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1952-07-05 第13回国会 衆議院 大蔵委員会 第104号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年七月五日(土曜日)     午前十一時三十五分開議  出席委員    委員長 佐藤 重遠君    理事 奧村又十郎君 理事 佐久間 徹君       淺香 忠雄君    大上  司君       川野 芳滿君    島村 一郎君       清水 逸平君    高間 松吉君       苫米地英俊君    三宅 則義君       宮原幸三郎君    高田 富之君  出席政府委員         大蔵事務官         (主税局長)  平田敬一郎君         大蔵事務官         (銀行局長)  河野 通一君  委員外出席者         専  門  員 椎木 文也君         専  門  員 黒田 久太君     ————————————— 本日の会議に付した事件  税制に関する件  金融制度に関する件     —————————————
  2. 佐藤重遠

    佐藤委員長 これより会議を開きます。  本日はまず税制に関する件及び金融制度に関する件の両件を一括議題として質疑を行います。質疑通告順によつて許可いたします。三宅則義君。
  3. 三宅則義

    三宅(則)委員 本日委員会を開かれまして、特に税制に関する件と金融制度に関する件、二つの問題を中心にやるということになりまして、実は宮幡委員がこれを要望せられまして、私もこれに賛成をいたしておつたのでありますが、宮幡委員が御都合によりまして御出席がございませんから、私が先に質問させていただきます。  それでは税制に関する件をお伺いいたすのでありますが、今度の通常国会はもうわずかで終末を告げるわけであります。来国会等におきましては、ある程度大幅に税の改正が必要であろうということを言明せられたと信ずるのでございますが、主税局当局といたしましては、これに対しまする腹案を持つておられるでございましようか。今日その御構想の一端をお漏らし願いたいと存じます。
  4. 平田敬一郎

    平田政府委員 税制の問題につきましては、先般来なお問題がいろいろ残つておるということは、当委員会におきましてもたびたび申し上げた通りでありまして、それらの問題につきまして目下どのような解決方法があるか、あるいは最近までの実施の結果に顧みて、どういう点が問題とせられるべきか。現在はそのような問題につきまして、今拾い上げまして検討中でございます。まだ今具体的にどうすべきであるかという結論段階には達しておりません。いろいろな問題を取り上げまして、それに関する資料を收集し、いかにすべきかということにつきまして目下検討中でございますので、まだ本日具体的にどうするかということを申し上げる段階に至つていないことを、御了承願いたいと思う次第でございます。一般的な運び方段階は大体そのような状況でございます。なお具体的にどういう問題があるかということは、もう前からたびたび申し上げており、あるいは三宅委員もよく御存じの通りでございまして、ここに特別に繰返す必要もないかと思いますが、なおお尋ねがございますれば、それに応じましてお答え申し上げたいと思う次第でございます。
  5. 三宅則義

    三宅(則)委員 この事柄は、前からの私の持論でございますが、私といたしましては資本に対しまする利潤、こういうものの適正を期したいと考えておるわけであります。すでに政府におかれましても二、三べん再評価再々評価をせられたのでございますから、大部分資本というものも平常に復しつつある。やみの経済から正常経済に復しました関係上、法人等におきましては大体政府要望する通り、再評価もしくは再々評価が実現いたしたと信ずるのであります。ところがこれに対しまして利潤という方面から考えますと、もちろん金融面困難等もありましようと思いますが、相当利益のある会社もありますし、そうでない会社もあるということになりまして、一応主税局長利益中心考えて、資本利潤との関係はあまり問題にしなかつた、こういう御説明であつたわけでありますが、私は正常経済に復すれば復するほど、資本利潤というものはある程度並行して行きたい、こういうことを考えたのでありますが、政府といたしましてはどのように今思つておりますか、承りたいと存じます。
  6. 平田敬一郎

    平田政府委員 お尋ね趣旨をちよつとのみ込めないのでありますが、あるいは超過所得税のようなものを、法人税のほかに考えたらどうかというのが、今の問題に関する一つ考え方だと思いますが、この問題は前回にも申し上げましたように、超過所得税を起すというような場合におきましては、何を基準にするかということについて、なおまだなかなか問題があるようでございます。御指摘のように再評価もいたしましたし、大分経済も常道に復帰いたしまして、一時よりも基準を求めるのにたやすい事態なつたと思いますが、それにいたしましてもなおまだわが国会社の経理というか、産業全体といたしまして十分回復いたしまして、それからさらに伸びるというような段階には、まだ全体としては来ていない。従いまして、ここで今超過所得税のようなものを設けますのは、かえつて混乱を巻き起すから、どうであろうかという考えでありまして、現在のところそういうものを具体的にやつたらどうかというところまで、まだ結論を得ておりません。しかしお話のような点は確かに税制上における一つの問題でございますので、よく事態検討いたしまして、常に善処して行くという考えで進みたいと考えておる次第であります。
  7. 三宅則義

    三宅(則)委員 これはやはり税全般に関します一般国民大衆要望でありまして、主税局長にもかつて御質問いたしたことがございますが、所得算定をいたしますのは一定の場所、たとえば税務署というようなところで、公平にまた親切にこれをきめてやるというのが、基本でなければならぬと考えておりますが、現状におきましてはシヤウプ勧告もありました関係上、地方税においては、区になりますと区役所り税務課府県になりますと、国税税務署府県税府県税務事務所市町村等におきましては市町村役場税務課というように、三段階が実際に行われておるわけでございますから、今度税制改正をやられる際には、所得算定というものは一本でやるというふうに抜本的に改正するのが、穏健妥当にして便利であると考えておるわけであります。主税局長といたしましては、もちろん国税中心として取扱つておられるわけでありますけれども地方税も勘案をされまして、税金般の体系に一律に基準点を設けて、一箇所で公平にきめて、地方はこれに附加をする、もしくはこれを基準に置いて税をかけるという線を出すことこそ、講和も済みました今日一番必要であると思いますが、主税局長はどう考えておりますか、承りたい。
  8. 平田敬一郎

    平田政府委員 お話の点は確かに問題でございますので、目下そういう問題をどういうふうに解決するか検討中であります。
  9. 三宅則義

    三宅(則)委員 これもシヤウプ勧告によつてつけ加えられたことであると思いますが、国民自己自身所得算定し、民主的に納税するということが基本的要望であると考えておるのであります。ところが今日は大分なくなつては参りましたが、前々国会等におきまして、異議があつて調査請求がありましたものは、三箇月以内に再調査する。もししなかつた場合においては、直接国税局の方へ向つて審査請求ができるというふうに税法をかえたわけでありまして、これはもちろんけつこうでありまするが、私の聞くところによりますと、国税局調査官といいますか、あるいは審査をする方の係等におきましては、ややもするとまだ官僚の弊を脱却できていないので困るということを聞いておるのであります。そこで私ども要望いたしますることは、再調査の場合におきましては、税務官吏が再調査なさるわけでございますが、そのときには、やはり地方有力者もしくはその業界関係者、もしくはそれに類するような特別の知能を持ちました第三者を立ち合せてやることにすれば、公平にも行くし、また早く行く。こういうことを考えますら、町調査もしくは審査請求の場合におきましては、どうかひとつ第三者をこれにつけ加えまして、公平妥当なる線を出すように改正していただきたいという希望がありますが、主税局長は、今度の税制改正もしくは将来におきまして、そういうお心持を持つておるかどうか、承りたい。
  10. 平田敬一郎

    平田政府委員 ただいまの問題につきましても目下検討中でありまして、税のりくつから申しますと、民間委員を入れた方がいいかどうか、シヤウプ勧告の言うように確かに問題が多いのでありますが、日本実情からすると、やはりある程度そういう考慮を加えた方がいいのではないかという点も、確かに考えられるわけでありまして、そういう問題もあわせて目下検討中でございまして、まだどうするということは申し上げらしないのでありますが、よく研究してみたいと考えております。
  11. 三宅則義

    三宅(則)委員 これは地方をまわつてよく承ることでありますが、自由党は減税ということで、非常に善政を施しておるということを承つておるのであります。なお私の聞くところによりますと、安月給取りの方、あるいは中小以下の商工業君もしくは零細な農民等は確かに国税は少くなつた。ところが中産階級と申しますか、その方につきましては、平田さんの前で失礼でありますが、大体あまり減つていないのが実情である。でありますから、何かこの改革をいたしますときにおきましては、大所得者もしくは法人等に重課いたしまして、普通一般農民あるいは商工業者につきましては、何らか軽減と申しますか、恩典といいますか、考慮を払う必要があると思います。今青色申告については多少考慮せられておりますが、拔本的に何かいい案を持つていらつしやるかどうか、承りたいと思います。
  12. 平田敬一郎

    平田政府委員 所得税事業税の問題が中心になるかと思いますが、事業税につきましては、御承知通り今年から新たに基礎控除をやることにいたしましたので、中と申しましても中の下くらいかもしれませんが、下の方と中の下の方くらいは、今年は去年に比べまして事業税大分軽くなりました。それから所得税につきましては、御承知通り基礎控除扶養控除相当上げて来ましたので、下の方の所得者大分負担が軽くなつておる。しかし中以上のところはそれほど軽くなつていない——決して軽くなつていないのではなくて、軽くはなつておりますが、軽くなろ程度が少いということは事実でございます。しかしこれをもつと大幅に軽くするためには、実は今所得税が二千二、三百億ありますが、この税を大幅に減らさなければならぬ。しかしこれはやはり財政全般影響があるというわけでございますので、この問題を拔本的に解決するためには、財政規模をうんと圧縮して所得税大幅減税ができるということでなければ、なかなか解決策はむずかしいのではないかと思います。私ども所得税につきましては、できるだけ減税したいという考え方は現在も持つておりますが、何しろ財政事情全般影響する問題でございますので、そういう点ともよく関連して愼重検討してみたいと考えております。理想は中どころの所得者相当大幅に軽くなるようにと思つておりますが、なかなかそう行き得ないということも、おそらく賢明な三宅委員承知のことと思いますが、御趣旨の点にかんがみまして、できる限りのくふうはしてみたいと考えております。
  13. 三宅則義

    三宅(則)委員 私はさらに主税局長に大いにお考え願いたいと思うのでありますが、申し上げるまでもなくヨーロツパにおきましても、フランスイタリア等では主として間接税相当考慮に入れてやつておるということを承つておるわけでございますが、私どももこの再建途上におきましては、間接税についてもう少し検討を加える必要があろうと思うのであります。日用雑品あるいは税收の少いものにつきましては免税してもよろしゆうございますが、間接税を完全に把握する組織にしたならば、失礼な話でありますが、今日におきましては間接税におきまして相当脱税があるわけでありますから、正確な間接税の把握によつて、直接税を多少減税することができるのではないかということを考えておるわけでありますが、主税局長はどう考えておりますか、承りたい。
  14. 平田敬一郎

    平田政府委員 その点は前々申し上げておりますように、ヨ一ロツパの大陸間接税と申しますのは実は取引高税売上税でありまして、これが所得税と同じくらいの收入を上げておる。ところがわが国では、取引高税はやつてみましたが、どうも失敗いたしました。これが不評を買つてやめてしまつたということになりますと、大陸式税制を今またここで考え直すということはなかなか大問題と思いまして、今すぐにどうというわけには参らないのではないかと考えます。イタリアフランス、ドイツ、いずれも税收の三割くらいは実は売上税取引高税というような系統の税で上げております。それが間接税が多い最大の理由であります。でありますから、わが国の場合には今すぐどうというわけには参らないのであります。それからその他の間接税となりますと、酒、タバコは御承知通り收入として千三百億近くもそれぞれ上げておりまして、これは相当なものであります。その他になりますと物品税とか織物税とかになりますが、これはなかなかまた議論がありまして、簡単に拡張しようと思つて拡張はそう簡單ではございません。従いましてそういう方面をこの際大拡張をやるということは、少し私どもはどうであろうか。できる限り歳出の方面あるいは現在ある税の執行を適正にいたしまして、そういうものによつて出て来た財源で所得税のできるだけの減少をはかる、こういう方向が適当ではないかと思つておりますが、しかしこれらの問題もいずれやはり根本にわたる大問題でありますので、検討をした上で妥当な結論を出すようにいたしたいと考えております。
  15. 三宅則義

    三宅(則)委員 今問題になりました酒の問題を申そうと思つてつたところを、正税局長お話なつたわけですが、酒も大分出まわつて参りましたが、ある程度までいわゆる増石いたしまして、税收を上げるという点も考えられる。一面から考えますと、各地において東北地方あるいは九州地方におきましては、相当密造というものがはやつているわけでありますが、密造防衛対策ということを考える。また一面から考えますと、相当濃度の高いものについては高い値段で販売をする、そうして二級酒以下というものについてはある程度まで政策的に安く売る、こういうことによりまして結局密造対策にもなり、また増石によつて税收入も上るように考えていますが、これについて主税局長の明快なる御判断を承りたい。
  16. 平田敬一郎

    平田政府委員 昭和三十五年の十一月から実行に移しました酒税改正は、まさにお話のような趣旨相当税率を大幅に引下げ、値段も引下げまして税收入はふやすという方向でやつたわけでありまして、これがみごとに成功しましたことは御承知通りでございます。現在もなおまだ密造酒相当多いことは事実でありまするから、なおそういう手段を新たに講じましてやり得るかどうか。これは確かに問題でありまして、私どもよく検討いたしております。ただ酒税の収入は千三百億ということになつておりますが、この收入をある程度さらにふやして税率相当下げるという、下げてもふやすことができるかどうか。前よりも若干事態がかわつて来ているのじやないかということも考えられますので、その辺の問題につきましてはよく愼重検討いたしまして、妥当な結論を下すようにしてみたい。ひとつよく研究してみたいと思つているわけであります。
  17. 三宅則義

    三宅(則)委員 もう一つこれに関係をいたしますが、全国の酒屋は相当間税いわゆる酒税につきましては、完納いたしているわけであります。そこでそういうように完納した者につきましては、ある程度納税貯蓄組合と同様にこれに対する獎励金、こういうものを考えたらどうかと思いますが、主税局長はどう考えておりますか、伺いたい。
  18. 平田敬一郎

    平田政府委員 どうもお話のような議論が出るのが、まことに遺憾な事態だと私は思うのであります。税金というものは完納するのがあたりまえのことなんで、滯納は実は懲罰すべきものなんでございます。ところが最近の事態が非常に惡いために、あまりに滯納が多いために、完納するのはめずらしい、報獎に値するというようなことになりましたのは、少しどうかと思うのであります。ことに酒税は昔から相当嚴重に実行をやつておりまして、あまり脱税滯納も少かつたのでありまして、その美風は私どもできるだけ続けて行きたい。そのために何か特別な報獎みたいなことをやることを考えるのは、どうであろうかと思います。納税組合等につきましては多年、たとえば三十年、二十年完納を続けたところには、功労者としまして表彰的なこともいたしているのでありますが、むしろ滯納が普通で納めるのが例外だということになりますと、少しいかがかと私は考えるのでございます。なおしかし具体的な案がございましたら、そういう点に基きましてよく検討してみたいと思います。
  19. 三宅則義

    三宅(則)委員 私はかつて信賞必罰、よいものは相当これには敬意を払つて表彰しよう、惡い者は首切れ、こういうことを多年叫び続けて来たわけであります。幸いにして昨年たしか六月でありましたか、私の主張いたしたことを政府も認識せられ、国家要望いたしまして、永年勤続あるいは一般の人につきましては、大蔵大臣賞もしくは総監賞長官賞あるいは局長賞というように、それぞれ税務官吏については一般職について表彰せられたように聞いております。これは当然のことであると思いますが、納税者諸君に対しましてはそういう例が少い。私は官吏の力に賞を出すことにはもちろんけつこうでありますが、納税者諸君につきましても、そういうような獎励と言いますか、りつぱな人につきましては、紙一枚で済むことでありますから、何とかこれを優遇し、もしくはこれに対しまする、当然の義務とは言え、感謝する意味の表彰規定を設けた方がよろしいと思いますが、主税局長は今どうお考えであるか承りたい。
  20. 平田敬一郎

    平田政府委員 先ほども申し上げましたように、納税組合等につきまして表彰するようなことも現にやつておりまするし、また将来も考えられる。しかし納税者個人に対しまして直接表彰するといつたようなことはどうもなかなか——前からしよつちゆう議論もあるのでございますが、よく本質を考えてみますと、はたしてどうであろうか、問題がいろいろ多いように思います。どういう者をどういう方法で表彰するのか、その辺のところが特に問題でありまして、いい具体案がありますれば、そういうものを承りました上で、ひとつ研究してみたいと思いますが、これはなかなかむずかしい問題の一つかと思つております。
  21. 三宅則義

    三宅(則)委員 さらにお尋ねいたしますが、近ごろしようちゆう屋が本国会にも参りまして、中小以下の弱小しようちゆう屋というものは、非常にこのごろ通達によりまして悲鳴を上げている、こういうことを言われまして、大酒造の方のしようちゆうの方はそう大した影響はないけれども中小以下のしようちゆう製造業者は非常に困つているということを聞いておりますが、これはやはり値段の点でありましようか。あるいは酒税を納めることが困難なために、そういうようないきさつが起つたことでありましようか。その辺について、主税局長はどう考えているか承りたい。
  22. 平田敬一郎

    平田政府委員 それはおそらく最近しようちゆうにつきまして若干規制をやりまして、過去の一定の年の最高もとにして、それに対して一定の比率を乘じたもの以上に出してはいかぬという措置をとつたのであります。これはしようちゆう業界における競争が非常にどうもはげしくなりまして、そのままほうつておきますと、むしろ逆に中小の方がつぶれてしまいまして、大きな方だけ残る。しかし大きな方もまた一緒に競争しまして、税金をもつて競争する。そうなりますと酒税が低いと、そういう措置も必要でないかと思つたのでありますが、何しろ価格の中で相当部分を占めますので、税金を食つて競争されたんでは、どうも税金共倒れになるという点を考えましたので、やむを得ず出荷制限という臨時措置をいたしたわけであります。その結果といたしまして、中小の方も最近うんと伸びつつあつたところはどうも頭を押えられた。しかし特に伸びつつあつたもの以外につきまして、特に困難ならしめるという事態はないのでありまして、もちろん若干画一的な統制ですから、ありがちでございまして、例外はあると思いますが、一般的にはむしろ中小業者の方も、商売がよくなつて税金を納めつつある。こういう趣旨でやつているわけであります、例外が全然ないわけではございません。例外といたしましてどうも変なことにひつかかりまして、うまく行かないというようなものにつきましては、若干の特例を考えてみたい。目下調べておりますが、一般的にはむしろ中小業者の方がああいう措置によつて助かる。そうでございませんと、大企業の方がどうしてもコストが低いので、どんどん競争しますと競争力が強いという関係がございますので、例外は別としまして、一般的には私どもその辺は実は考えていないのでありますて、むしろ中小の方もある程度のところで安定して、仕事ができるということになるところを実はねらつているわけであります。しかしこれは主たる目的は、ほうつておきますと競争がはげしくなつて税金食つて国家税收入まで痛んでしまう、それではぐあいが惡いからということで、特別な制度にいたした次第でございます。そういう趣旨に即応する限りにおきましては、さらに必要な調整をいたしまして、円滑な出荷をはかるようにいたしたいと思います。
  23. 三宅則義

    三宅(則)委員 しようちゆうは今、夏に向いますと、労働者諸君農民等におきましては必要なものの一つですから、これを何とか勘案いたしまして、中小企業者も困らないようにいたしまして、あまり激甚なる競争によりまして税金を食つて濫売する、こういうことのないように指導してもらわなければならぬ、こう思うわけでありますから、さつそくこれを調査せられまして、大衆諸君の迷惑にならぬように勘案いたしました臨時措置を、さらに御研究願いたいと私ども考えるわけでありますが、最近国税庁に命ぜられまして、実情を把握せられた上において、そういうことをやられる用意を持つておられるかどうか、もう一度承りたい。
  24. 平田敬一郎

    平田政府委員 制限をしました趣旨は、戰時中あたり統制とまつたく違うのでありまして、売れ行きが惡くなりて、競争がはげしくなつてどうにも行かぬ、共倒れになるおそれがある、共倒れの中に国の税金まで入つて行く、それではぐあいが惡い、それでいたしたのでありまして、従いまして全体として売れ行きがよくなれば、当然制限を撤廃するか、率を緩和するというようにあるべき筋合いのものであります。ただ、今御指摘のやつは、中小業者の中で、前の基準年度関係で、どうも実際に即さないというような場合が人によりますと出て来る。たしか二十五年以前三箇年のうち、いずれかの最高年度の実績をもとにしまして、一定の率で統制を加え、その関係で若干実情に即さない部分があると思います。そういう面につきましては、資料を集めまして必要な措置を講じたい、こういう考えでありまして、統制趣旨方法はそういう次第でありますので、その点御了承願いたいと思います。
  25. 三宅則義

    三宅(則)委員 れからもう少し伺いますが、タバコにつきましては、今国会におきまして前渡金を出す、こういうことで、この大蔵委員会でも可決したわけでありますが、私ども昔から、在来の日本タバコよりもむしろ外国りつぱなタバコを植えまして、ある提度まで良質にいたしまして、廉価なタバコを売れ、こういうことを言つてつたわけでありまして、秋山專売公社総裁等もその線に沿つてつておられるわけであります。私の見るところによりますと、外国タバコを駆逐して、国産のタバコをもつて十分まかない得る程度になりつつあると思うのでありますが、中には外国タバコも多少あるわけであります。これを完全に駆逐いたしまして、りつぱな日本專売公社のでかしましたタバコ、こういうものを宣伝もしまた充実いたしたい、こういう点であります。いわゆる外国タバコの駆逐と、もう一つはやみタバコの駆逐、これが基準になりますならば、相当程度これまた税金も上るのじやないかと思いますが、主税局長はどう考えておりますか、承りたい。
  26. 平田敬一郎

    平田政府委員 タバコの問題は直接私の方で所管しておりませんので、どうもあまり責任あるお答えはいたしがたいのでありますが、御指摘の点は確かに問題でありまして、日本の專売收入外国のやみタバコ等で相当食われているという事実はあるようであります。これに対抗する措置といたしましては、御承知通り取締りを相当嚴重にいたしております。ときによりますと、列車の中でえらい人をつかまえちやつて——もちろん人をつかまえるのではございません。タバコをつかまえちやつていろいろ摩擦もあるようでございますが、取締りを励行するということをやつておるようであります。それから大蔵省におきましても、税関等におきましては、嚴重にその方の取締りをやるように、これは私どもの直接の所管ではございませんが、嚴命いたしております。ただしかし、取締りだけではなかなか簡單に行かないということで、最近は今お話のように專売公社の方で外国タバコ競争できるような新しい種類のタバコをつくることについて、目下計画中のように聞いております。それができますと、なお一層有効な効果も期待し得るじやないかというふうに考えられる次第であります。私直接所管しておりませんので、責任のあるお答えはいたしがたいのでありますが、取締りと経済的な対抗策と両方考えまして、善処すべき問題ではないかと考えている次第であります。
  27. 三宅則義

    三宅(則)委員 これは主税局長はちよつと方角が違うかもしれませんが、わが国の産業はだんだん開発いたして参りますからして、輸出いたしますときは免除になりますが、輸入貿易に対します関税であります。こういうものは相当増大するようにも考えられますが、また一面から申しますと、政策的に免税するものも相当あるわけでありますが、将来これは多少増收する見込みでありましようが、どんなものでありますか承りたい。
  28. 平田敬一郎

    平田政府委員 関税は私の方の所管でございますのではつきりお答え申し上げますが、御承知通り昨年関税定率法につきまして、実は全般的に改正をいたしたわけであります。この改正をする際におきましては、前にも申し上げましたように、最近と申しますか、戰後の国際協定の趣旨に従いまして、なるべく低い関税にしよう。あまり高い関税は設けない。日本としましてはどうしても貿易で立たなければならぬ。しかも輸入するものは原料とか食糧、製品を輸出するという関係にありますので、わが国があまり高い関税を設けるということは、国内の産業を育成する意味において必ずしも目的を達成しない。いわんや輸出を伸ばすという意味におきましては、反対に惡い結果を来すということでございますので、どちらかと申しますと、低い関税率で全面改正をいたした次第であります。しかしこれまでの関税率は、御承知通りインフレーシヨンの結果、従最税率がばかみたような税率になつておりましたので、相当引上げになつたものもございます。関税の收入は、最近消費財方面もある程度輸入するようになりましたので、それに関連しまして大体増加の傾向にありまして、今年の予算は百数十億計上いたしておりますが、これも若干増加の傾向にあるようであります。しかし御指摘通り、一方におきまして日本としましては、あまり関税率を上げるということは適当でない。しかも機械とか重油とかいつたようなものにつきましては、免税等をいたしておるといつたような関係もございますので、そう関税收入を財政上大きく期待するわけには参らないのではないか。関税率はやはり産業政策の一還としてどのようにするか、そういう点を中心にしまして考えていることを、御了承願いたいと思います。
  29. 三宅則義

    三宅(則)委員 これは具体的になりますが、関連しておりますから承りたいのであります。自動車、これは外国の自動車の方が非常によくて、日本のいわゆるハイヤーの方が惡い、こういうことをいわれておるわけでありますが、トラック、たとえばトヨタとか、いすずとか、あるいはその他の会社がつくつておりますトラック、これは相当良質で、また堅固なものができるといわれております。しかしハイヤーいわゆる乘用車の方は、外国品とは太刀打ち等ができぬということをいわれております。こういうものにつきまして、特別な産業保護育成等を考慮に入れまして、ある程度まで外国品と太刀打ちできるようにするものか、むしろハイヤー等は全部外国品に依存いたしまして、トラックのみを日本の主要産物といたすものでしようか、そういうことについて政府は何か考えたことがあるかどうか承りたい。
  30. 平田敬一郎

    平田政府委員 自動車の関税率をどうするかという問題は、実は昨年全面改正をする際に、やはり重要な問題の一つといたしまして、主として通産省と意見を交換しましてきめたわけでありますが、御指摘通り日本のトラック等の産業は相当確立しておりまして、これはもうあまり外国にも負けない段階に来ている。乘用車の方になかなかそこまで来ていない。これをどうするかということは確かに重要な問題であるのであります。その際におきまして、小型の乘用車はできるだけ日本において維持育成をはかつて行くような方向に持つて行こう。それに耐え得るような関税率考えよう。しかし大型車になりますと、どうも関税率で十分保護してやつて行けるようなところに行きますには、相当高い関税をもらわなければならない。そうなりますと、必ずしもまたおもしろくない面も出て来るというので、結局乘用車につきましては、四割の関税率を定めることによりまして、実行に移しているわけでありますが、さらにこれを高くするかしないか、なかなか問題がありますので、最近も外国車が大分つて来まして、目下いろいろな方面から意見が出て来ておりますが、私ども政府としましては、一層この事態に対しましてよく検討をいたしまして、善処いたしたいと思つております。しかしあまり高い関税で保護するというのもいかかであろうか。また現在のところといたしましては、関税率でどうするというところまでは至つておりません。その前に部分品の組立て工場をどうするか、あるいは外貨の割当をどうするか、その辺の問題がさしあたり今問題になつているようでございます。しかしこの問題は、関税率の問題としましては一つの重要問題といたしまして、私どもよく検討いたしまして、いずれ妥当な措置をとるようにいたしたいと考えておる次第であります。
  31. 三宅則義

    三宅(則)委員  いろいろ承つたわけでありますが、あまり一人の方に長く承るのもどうかと思いますから、もう一、二点だけ主税局長に承りまして、あとに河野銀行局長お尋ねいたします。私はかつて以前から言つておりますが、税金は知らず知らずのうちに納める——知らず知らずというのではありませんが、あまり苦痛なく納める、これが理想である。われわれもそれを念願といたしておるわけでありますが、今の段階におきましては、日本再建途上でございますから、なかなかそんなたやすいわけには行きません。しかし将来の見通しといたしましては——あまり先のことはわかりませんが、とりあえず来年度等におきましては、ある程度まで国民も安心して産業の育成に邁進することができますように、ひとつ税を改正いたしたい、こういう希望を持つておるわけであります。先ほど来の主税局長お話によりますと、目下検討中である、検討中であるというお話でありますが、何か片鱗でもありましたらひとつ承りたい、こう考えております。
  32. 平田敬一郎

    平田政府委員 税の問題は私一人で自分の意見を申し上げてみましても、どうもなかなか簡単に参らないのでありまして、先ほどから申し上げておりますように、いろいろな問題を取上げて、それに対しましてそれぞれ民間の意見はどうか、学者の意見はどうか、もちろん国会方面の御意見はたびたびの委員会質疑応答でよく承つておりますので、そういう点も十分頭に入れまして、一番妥当な案をつくり上げたいと、目下実は一生懸命勉強いたしておるところであります。従いましてまだ結論が出ておりませんので、はなはだ恐縮でありますが、具体的にどうということを申し上げるのは、まだ時期が若干早いと考えております、その点御了承願いたいと思う次第であります、かねがね三宅委員から大分いろいろと御注文を承つておりますので、そういう点もひとつよく考えまして、いい案ができるようにせつかく勉強いたしたいと思つておる次第であります。
  33. 三宅則義

    三宅(則)委員 もり一つつけ加えますが、私は穏健にして妥当なる税金——ことに物品税等については把握が十分でない、こういう点を考慮に入れまして、零細企業でありましたり、あるいは税收の少いものは、この際これを思い切つてやめてしまつて、そうして紙でありますとか、その他大会社で生産するものであつて、比較的容易に把握ができる、こういうもののみに基準を置く、こういう線を出すことが政治が末端に徹底するゆえんである、私はこう思いますが、主税局長はこれに対して何かお考えを持つておられますか、重ねて承りたい。
  34. 平田敬一郎

    平田政府委員 ひとり物品税だけでなく、各税の場合におきまして、徴税がはたしてうまく行くかどうか、やはりこれを考えなければならぬことは御議論通りであると思います。しかしそれだけではやはりいかぬ、たとえばダイヤモンドの指輪など、いくら課税がむずかしくても、それを課税しないで紙だけ課税するのは、これは人は受入れないと思います。やはり奢侈品には重税を課する、必需品には税をかけないか、軽くする、こういう税の根本の理論を考えつつ、同時に徴税技術のこともあわせ考えて行かなければ、非常に税の信用を失墜することになりますので、その辺をよく考えまして、結局妥当な解決をはかるよりほかはない、こう思います。單に零細の業者がつくつているという理由だけで、間接税を課税しないというように判断するわけには、必ずしも行かぬということを申し上げたいと思います。
  35. 三宅則義

    三宅(則)委員 それでは主税局長に対しまする質問はあとに留保いたしまして、一応銀行局長がおいでになりますから、宮幡さんから專門にお伺いするわけでありますが、私からもつけ加えます点は、長期信用銀行が今度できることになつたわけであります。長期信用銀行は最近発達いたしまして、相当国民大衆に利益を及ぼすべきものと思いますが、銀行局長はどのくらいの効果があると考えているかという、今年のもくろみ等について、ひとつ御構想を承りたい。
  36. 河野通一

    ○河野(通)政府委員 先般国会で御決議いただきました長期信用銀行法に基きまして、現在新しい信用銀行設立の準備を進めておる段階であります。しかしながら御案内のように、現在でも長期の金融を專門にやつております民間の金融機関があるわけであります。たとえば興業銀行、北海道拓殖銀行等は、現在でも長期の金融をやつておるわけであります。その資金は債券の発行によつてこれを調達いたしておるわけであります。この制度をさらに確立いたしまして、金融の分野をはつきりいたしたいということで、先般成立を見ました長期信用銀行の法律ができたわけであります。問題はだんだん経済の正常化に応じまして、長期資本が増大いたして参つておりますが、なお日本経済全体から需要いたされておりまする長期資金には、まだ応じ得ないような状態になつております。従いまして一番大切なことは、何といいましても、この長期信用の金融をいたしますための財源と申しますか、資金源を充実することであろうと思うのであります。これがために民間の長期資本を吸收することを、一層今後努力いたして参りますとともに、なおかつそれでも十分でありませんので、資金運用部資金等によりまする金融債の引受等、さらに資金繰りの許します限りにおいて、できるだけこれをふやして行く。これによりまして新しい長期信用銀行の資金源の確保に資したいと考えております。なお長期金融につきましては、ただこれらの民間の金融機関だけではどうしてもまかない切れないので、国家資本を投資いたして参りますことが、この際としては必要でありますので、御案内のよりに開発銀行につきまして、現在財政の許します限り、これらに対します国家の投資をふやして参りたいまた最近の法案の改正によりましてこれらができれば、外資の導入等もできるように、政府機関としての開発銀行が、長期資本の資金源の充実をさらに進めて参るというふうにいたしまして、民間の金融機関たる長期信用銀行と相並んで、これを補完しながら開発銀行の機能をさらに充実して参りたい、かように考えております。
  37. 三宅則義

    三宅(則)委員 長期信用銀行は、私の記憶するところによりますと、たしか日本勧業銀行、日本興業銀行、それから今度できる長期信用銀行と三つあると思いますが、さらに多くできましようか。てれともこの程度のもので行くのでありますか、お伺いしたい。
  38. 河野通一

    ○河野(通)政府委員 先般来この委員会でたびたび申し上げておるのですが、現在のところ日本興業銀行は、そのままそつくり新しい長期信用銀行になる予定でおります、それから日本勧業銀行は、この委員会でもいろいろ御業銀行の当局者から答弁があつたはずでありますが、日本勧業銀行自体としては、長期信用銀行にはならないで、銀行法による普通の預金銀行になる予定であります。現在のところでは、大体勧業銀行の長期部門、地方銀行その他の長期部門を集めて、これは資金だけでなくして、人員等もこれらのものを中心にして、一つの新しい長期信用銀行の設立の計画が進められつつあるようであります。まだ正式に私ども相談を受けておりませんが、現在のところで熟しておりますのはこれが一つでございます。従いまして当座としましては、日本興業銀行が長期信用銀行になるのが一つと、この新しい長期信用銀行が一つ、大体二つで出発することになつております。私どもは必ずしも二つで十分だとも考えておりませんが、これらの実績等を見ました上で、将来また必要な方途によつてこれをふやして行くということも考えられますが、御案内のように、長期信用銀行はなかなか普通の預金銀行と違いまして、相当大きな信用力と、従つて相当大きな資金量を持たないと、なかなかやつて行けない事業でございます。いたずらに数の多いことを私どもは望まないのであります。力の強い長期信用銀行が少数でもよいからできて行くということを、実は期待いたしておるわけであります。
  39. 三宅則義

    三宅(則)委員 今の中小企業等におきましては、土地もしくは家屋等についで、ある程度まで勘案して貸してもらいたいという希望があるわけです。ところが市中の銀行に行きますと、そういうものを相手にしない。たまたま中小企業もしくはそれ以下の企業者は、わずかに国民金融公庫にたよつているというわけでありますが、私はむしろそういうような資金面は、土地家屋等におきましてもある程度援助するという線を出すことが、必要であろうと思うのでありまして、日本興業銀行や昔の日本勧業銀行は別ですが、大きな銀行になりますと、なかなかとりつく島がないというような実情です。ですから今度の長期信用銀行等におきましては、たとえば零細なる商工業者でありましても、土地家屋等を担保にいたしまして融通するような組織に指導しますかどうですか、それを承りたい。
  40. 河野通一

    ○河野(通)政府委員 この点についても実はたびたび御答弁申し上げておるのでありますが、私どもは、今度新しくできまする長期信用銀行の制度におきましては、大企業に偏重するということはできるだけ避けて行きたい。十分堅実な事業でありますならば、中小企業に対しても金融の道を開いて行くことに、その運営の方針を持つて行きたいというふうに考えております。しかしながらこの点につきましては、やはり新しくできまする長期信用銀行は民間の機関であります。従いまして、いわゆる金融のベースと申しますか、そういつたものに乘りませんものにつきましては、なかなかそこに困難性がある。そういうふうな普通の金融のベースに乘りませんものにつきましては、やはり政府の機関、たとえば国民金融公庫でありますとか、そういつた力にお願いをしなければならぬということになるだろうと思います。国民金融公庫につきましても、先般の公庫法の改正によりまして、不動産を担保にいたしまする金融をやつて行けるようにいたして、従来百万円までが限度でありましたものを二百万円まで上げまして、百万円から二百万円のものにつきましては、不動産を担保にして貸すという方法をとつております。現在まだ実績は十分に上つておらぬようでありますが、これらの機能は十分に活用するようにいたしたい、かように考えておる次第であります。
  41. 三宅則義

    三宅(則)委員 それから金利の問題を承ります。この前もちよつと大蔵大臣に承りました際には、金利はだんだんに下げるべきが基準であろうというような御答弁でありましたが、銀行局長といたしましては——今日の場合金利の面つきましては、なかなか不十分であると思いまするけれども、どういう方向に進むべきが当然であろうと思つていらつしやいますか、承りたい。
  42. 河野通一

    ○河野(通)政府委員 金利は、できるだけ企業の負担を軽くし、競争力をつける、ことに国際競争力をつけて行くという点から、低い力が望ましいと考えております。ことにだんだん経済が正常化いたしますに応じまして、従来と違つて参りまして、金利の負担というものがだんだん企業に対する大きな要素を占めるようになつて来る。一ときインフレーシヨンの時代におきましては、金利なんかどうでもいい、とにかく金が借りられればいいという事態であつた。インフレーシヨンが終息いたしまして経済が正常化するに応じまして、金利というものが、企業者自体の競争力あるいはコスト引下げに、非常に大きな影響力を及ぼして来ているということも考えられます。従いまして、できるだけ金利は引下げることができるようにして参りたい。最近大蔵大臣からも申し上げたように、近い将来におきまして開発銀行、輸出入銀行の金利も引下げて参りたいと考えております。一般の市中金利につきましては二つの点で考えられる。一つは、やはり市中銀行は預金を集めて、これに相当なコストを払つて、なおかつ事業としての維持ができる程度に、貸出しの金利というものは定めて参らなければなりません。一方日本資本の蓄積が非常にまだ足りない状態におきましては、預金の金利も可能な限りこれを高いところに維持して行き、資本が吸收できるような道を開いて参りたい。コストの面においてこういう一つの大きな制約がある。そういう点もありますので、金融機関の経理の状況を見まして、その余裕がありますならば、できるだけ金利も下げられるようにして参りたい、かように考えております。ただ、現在のところといたしましては、どの程度下げられるかということを検討中でありまして、今にわかに結論を出す段階に至つておりません。各方面からいろいろな御意見も承つておるのでありますが、出丸持としてはできるだけ金利は下げる方向に進めたい、これによつて企業の金利負担を下げ、コストの引下げに資して参りたい、そういう希望を持つて現在具体的に検討を進めておる、こういう段階であります。
  43. 三宅則義

    三宅(則)委員 今度はやみ金融の話を承るのであります。市中のことはこの前の委員会でちよつとお尋ねいたしましたが、非常に高い金利があるわけでありまして、このやみ金融をなくするということに努力いたしたいのでありますが、小口金融等につきましては、相当活発にやつているわけであります。ですから私どもといたしましては、やみ金融必ずしも惡くはないと思いますけれども、あまりにいかがわしいもの、あるいは暴利を取過ぎるものにつきましては、相当嚴重に取締らなければならないことは当然です。ですからこれらから勘案いたしまして、私の考えるところによりますと、ある程度政府も指示はできましようが、政令等で、これくらいの程度のものはよかろうというものをお出しになる用意があるかどうか。今までは野放しであつたと思いますが、その点に関する御見解を承りたい。
  44. 河野通一

    ○河野(通)政府委員 現在は、御承知のように貸金業等の取締に関する法律というもので、貸金業者は届出をいたすことになつております。この届出をいたします場合に、業務方法書の届出をいたします。この場合に行政上の指導といたしまして、現在は限度を大体日歩五十銭ということにいたしております。それを越えて金利をとりました場合には、業務方法書違反ということで罰則につながつている、こういうことであります。この制度は、今申し上げましたように行政上の指導ということに相なつておるわけでありますので、金利の程度につきましてはいろいろありましようが、少くとも非常に高い金利は嚴重に取締る必要があるという考え方もとに、今本事委員会にかかつておりまする高金利等の取締に関する法律というものを、実は御提案申し上げているわけであります。その金利は、現在の行政上の指導の筋を考えまして、一応日歩五十残を限界といたしておりますが、これはあるいは現在の実情から見て高過ぎるという御意見もあるかと思いますの、その点はいかよりにも皆さん方の御判断によりまして、可能な限り低い方が望ましい。実は金利は低い方が望ましいのでありますから、お下げになるのには異論は全然ないのであります。この法律が通りますればその点ははつきりいたします。その意味におきましてこの法案が通過することを、私どもは心から念願いたしておる次第であります。
  45. 三宅則義

    三宅(則)委員 私は、このことについて高く言われることはわかります。か、どちらかと申しますとやはり安い方が適当であろうということは、どの委員の方も同感であろうと思うのであります。私が根本的に銀行局長お尋ねいたしたいことは、法律で高い金利をきめるということは非常に思わしくない。でありますから、むしろ法律でなくして政令等において基準をおきめになつた方が、穏健であろうと思つているわけでありますが、そういうようなお考えに御訂正なさる御用意はないかどうか承りたい。
  46. 河野通一

    ○河野(通)政府委員 この点は、先ほど御提案申し上げておりまする法案についての御質問のときに、実は出たわけであります。今般御提案申し上げておりまする法案の罰則が、実は相当高い罰則でありますので、これを政令などでかつてに動かすということは、国民の利害というものに非常な影響を及ぼす。従つてこれはやはり国会において、法律としてはつきりきめられたものでなければ、高い罰則の対象になるという点からいいまして、何と申しますか民主的でない。やはり非常に重い罰則の対象になるということは、国会でおきめになるのが筋ではないか、それを政府でかつてにきめて行く、しかもそれを越えたら実は非常に、重い罰則にかかるなどということは、どちらかというと、やはり議会を尊重しないやり方ではないかというふうに考えております。従いましてやはりこの点は政令で定めるよりも、法律ではつきり書いた方が、国民のためになるのじやないかというふうに私は考えております。
  47. 三宅則義

    三宅(則)委員 私はそういうことは法律に書くことはみつともないからいかぬ、こういうことを言つておるのであります、銀行局長の方は責任のがれに法律で書いてもらいたいというのでありますから、そこは大きな食い違いがあると思いますが、どうか御考慮を願いまして、国民の納得の行くような方法をとつていただきたいと考えております。  次に、もう時間も迫りましたから、長く質問いたしませんが、金融全般を取締つておるわけでありますけれども、大銀行にはかつて銀行検査官等があまり手を入れなかつたと聞いておりますが、近ごろはどんなふうになつておりますか。私は大銀行、中銀行を問わず、全般的に御検察になることが必要だと思いますが、これについて銀行局長はどうお考えになりますか、承りたい。
  48. 河野通一

    ○河野(通)政府委員 これは実は非常に意外なことをお伺いするので、現に昨年第一次の一斉検査を実施しております。非常に嚴格な検査を実施いたしました。検査の内容についてはいろいろな関係がありますので、ここで申し上げることはできませんが、検査は全体をやつております。地方銀行とか小さな金融機関だけを対象にして、大きな金融機関を検査しないということは絶対にありません。
  49. 三宅則義

    三宅(則)委員 次に信用金庫もしくは相互銀行、昔の無盡とかあるいは信用組合、こういうものについては、その当局のおもなもの、重役もしくは理事、いわゆるボス、こう申し上げるとはつきりするわけでありますが、ボスに関係の深い者のみに融通をいたしまして、一般の者には融通する率が薄い、こういうことを聞くのでありますが、私はそういうようなものは、やはりボスを中心にしないようにいたしまして、穏健妥当、普遍的にやるように御指導願いたいと思いますが、銀行局長は下の財務部やその他を通じまして、どういうふうに監督をしあるいは調査をしておりますか、承りたい。
  50. 河野通一

    ○河野(通)政府委員 御趣旨はまつたく同感であります。現にこれらの金融機関につきまして検査を実施いたしますときには、理事その他の経営者の情実的な関係貸しというものにつきましては、嚴重に調べております。それがあまりに情実貸し——という言葉は惡いかもしれませんが、そういう関係貸しにあまりに片寄るということは、金融機関の本来の使命に反するということから、これは非常に注意してやつております。今後金融機関というものがだんだん形をなして参りますれば、そういう点がだんだん少くなつて参ると思いますが、もちろん現在のところでは、御指摘のような点は皆無ではありません。今後はこれらにつきましては監督を十分にいたしまして、御批判を受けることのないように指導して参りたいと考えております。
  51. 三宅則義

    三宅(則)委員 これは昨年だつたと思いますが、大阪地方あるいは東京地方におきまして、信用組合であるとかあるいは相互銀行等におきまして不正なものがありまして、新聞の種になつたこともあります。そのためにある程度取付を食つたということも聞いておりますが、そういうようなことがありますと、一般の預金者あるいは組合員等は非常に迷惑するわけでありますから、そういうことが起つてから手を下すのではなくて、起らないように監督指導するのが、これは銀行局長の責任である、こう考えます。もちろん部下の財務局長やあるいは係官を督励いたしまして、そういうようなあやまちのない——金融機関というものはほんとうに国家の公器と同じように、信頼できるのだという線を堅持することが、国家の指導者といたしましては当然なことであると思うのでありますが、銀行局長はどう考えておりますか。
  52. 河野通一

    ○河野(通)政府委員 その通り考えております。しかしながら非常に不幸にして御指摘のような不祥事件が間々起りますことは、私も当事者として遺憾に存じておりまして、お話の信用機関であり、公の公共性を持つておりますこういう機関が、信用を傷つけるようなことは最も害があるというふうに考えておりますので、私は就任以来から一番心配をいたし、また気をつけて参つたのはこの点であります。今後といえどもさらに一層十分なる監督はいたして参りたいとは思いますが、何分にも、どうも多い従業員の中でもございますので、これを根絶することができませんことは私も遺憾に存じ、会合等のありますたびごとに、私からもこの点については嚴重に注意を促しております。はなはだどうもどろぼうというものが、これはよくないことはよくわかつておるのでありますけれども、やはりどろぼうが絶えないというような点等もありまして、なかなか個人多い何万という従業員の一人一人について、この点まで監督して参るということは、実は私どもの力では及びませんけれども、できるだけそういうことのないように努力をいたしたい、かように考えております。
  53. 三宅則義

    三宅(則)委員 四国もしくは中部地方にもあつたことでありますが、何々経済会、保全経済会というような名前のもとに、実は類似行為をいたしますものがあるわけであります。こういうものはある程度多数の人が加入をいたしておりまして、問題を起したということを聞いておるわけでありますが、こういうような類似行為をしますものにつきましては、何らか取締りを嚴重にいたしまして、罰則といいますか、そういうことにまどわされないようにしなければならぬと思いますが、これについての御構想、御判断を承りたい。
  54. 河野通一

    ○河野(通)政府委員 いわゆる金融類似の行為につきましては、それが金融類似の行為で非常に多数の加入者等に迷惑をかけるようなことがないように、私どもは注意して参らなければならぬと考えております。今御指摘の保全経済会につきましては、これが一体預金を受けておるか、つまり預金という名前でなくても、実質が預金であればこれはいけないわけであります。これが一体預金であるかどうかという点につきましては、実はまだ結論が出ておらぬわけであります。保全経済会は御承知のように特例組合で、出資を受けるという形でやつておる。最近これとやや似た方向をとつておりますのが例の株主相互金融で、これは株式会社でありますが、資本を集める形で大衆から資金を集める。これが一体預金であるかどうかははなはだむずかしい。実は判断がつきかねるわけで、まだ結論が出ておらぬわけであります。これはやはり最終的には裁判所で結論を出さなければしかたがない問題であります。この点につきましては、法律的にあるいは経済的にいろいろ検討いたしておりますが、まだ結論は出ておりません。これが預金であるという結論が出ました場合には、これは銀行法違反なりあるいは現在の賃金業法違反として、嚴重に取締るつもりであります。
  55. 三宅則義

    三宅(則)委員 今の銀行局長の話にら野放しにしておる、こういうお話でありますが、私の聞くところによりますと、四国もしくは中部地方におきましても非常に迷惑をしておりまして、その幹部——理事といいますか理事長といいますか、そういうような者がかつてに融通いたしまして、迷惑をこうむつたのは組合員と申しますか、あるいは加入者であるということを聞いておるわけであります。これにつきましてはある程度早く手を打つてもらいたいということを、聞いたことがあるわけでありますか、いつまでも手をこまねいて傍観することはつまらぬことであると思いますから、これにつきまして何とか早急に取締り規定を設けるとか、あるいはその他の方法によりまして、これを根絶する方向に持つて行くことが一番よろしいのじやないかと思いますが、局長はどう考えるか、承りたい。
  56. 河野通一

    ○河野(通)政府委員 この点につきましては取締り規定はあるわけです。現在の貸金業法をお読み願えばわかりますが、何らの名義をもつてするを問わず、預金の受入れあるいはそれに類似する行為はすべていけないということが、はつきり出ておるわけであります。その規定はちやんとあるわけであります。ところがそれが預金になるかならぬかという判断が、むずかしいわけであります。これは法律にいくら文章を書いてみても、その境のところは結局裁判所で判断するよりしかたがないということに、実はなるわけです。現在でも取締り規定はちやんとございます。銀行法にも、銀行以外のものが預金を受入れてはいかぬ——預金というのは、必ずしも預金という形式をとつたものばかり言うのではありません。実質上預金と同じものになつておりますれば、銀行以外のものは預金を受入れてはならぬということが、はつきりしておるわけであります。それに反すれば、やはり無免許銀行として罰則がかかるわけであります。問題は、結局その実体が預金であるかないかという判断の問題にかかつておるわけであります。また保全経済会は証券の売買をやつておる貸金業でもない。それやこれやいろいろ問題がございまして、実は一年以上かかつて、この問題については検討いたしておりますが、いまだに結論が出ません。はなはだ申訳ないのでございますが、現在はそういう実情になつております。
  57. 三宅則義

    三宅(則)委員 時間が参りましたから、最後にもう一、二点だけつけ加えさしていただきます。  これは預金部の問題でありますが、現段階におきましては、財務局、財務部といいますか、こういうものが中心にやつておるわけでありますが、私どもといたしましては市町村、公共団体等を考慮に入れまして、やはり国家資金というものは一元化いたして行くことによつて、運用の妙味が得られる。二元化、三元化、多元になりますほど、迷惑をこうむるのは国民であると考えておるわけであります。政府といたしましては、私の今申し上げたように資金を運用するには、重要な産業あるいは重点的に地方に行かなければならない点もございますから、これを一定のところで決定することが必要であると思います。二元化、三元化ということには絶対反対であると考えておりますが、政府当局としては銀行局長はどう考えておられるか、承りたい。
  58. 河野通一

    ○河野(通)政府委員 現在のように資本が非常に足りませんときには、特に政府資金につきましては、これを統一的に運用することが望ましいと私は考えております。かりに運用いたして参ります機関がわかれたといたしましても、できるだけ一元的にこれを運用する方針に近い運用の仕方をして行くべきである、かように考えておる次第であります。
  59. 三宅則義

    三宅(則)委員 今の御答弁はわれわれの聞かんとする要点であります。たといいかようになりましても、大蔵省は国の財政をつかさどる中心であることに間違いない。でありますから資金運用部資金ということになりますならば、たとえばこれが簡易保險の金でありましても、その他の金でありましても、やはり国家財政の根幹をなす基準点といたしまして、ぜひ一元もしくは一元に近い操作をすることは当然であると思います。私はいかなるものに対しましても、資金を運用いたした場合においては、大蔵省が中心にこれを監督するということだけは、絶対に手放してはならぬと思いますが、これはどう考えておられますか。
  60. 河野通一

    ○河野(通)政府委員 お話通り考えております。ことに地方債等の運用につきましては、中央地方を通ずる財政自体の問題に非常に関係がありますので、これらの点からも、財政監督については十分今後といえどもつて参りたい、かように考えております。
  61. 三宅則義

    三宅(則)委員 長い時間をちようだいいたしまして、ありがとうございました。大体本日は税制並びに金融に関しまして、大綱を承つたわけであります。これで十分盡きたわけでございませんが、今後また機会がありましたならば承ることにいたしまして、本日はこの程度において一応質疑を打切らせていただきたいと存じます。
  62. 佐藤重遠

    佐藤委員長 別に御発言ございませんか。  次会は大体来る七月二十五日午前十時からということに考えておりますが、正確には追つて公報をもつてお知らせすることといたしまして、本日はこれにて散会いたします。     午後零時四十五分散会