○笹川
参考人 私は、
委員長から御
紹介にあずかりました全逓信従業員組合の笹川重雄でございます。ただいまから
資金運用部資金法の一部を改正する
法律案、並びに
簡易生命保険及郵便年金特別会計法の一部を改正する
法律案につきまして、
参考人といたしまして
意見を述べさせていただきたいと思います。
この両
法律を改正する
法律案に対しまして、結論から先に申し上げておきますが、私は
賛成でございます。なおでき得るならば、この問題が過去長い間
国会において討議されました経緯にかんがみまして、なおまた、私
どもが国の権威として最も敬意を表し、最もその尊厳を確信しております本十三
国会におきまして参議院並びに衆議院において全会一致の
決議案が通
つている経緯にかんがみまして、この
内容の施行期日は少くとも本会計年度において実施せられる
ように、皆さん方の慎重なる御審議を期待してやまない次第でございます。以下これに対しまするところの
意見を申し述べてみたいと思うのでございます。
理由といたしまして、簡易生命保険並びに
郵便年金事業の経営方針は、私
どもは事業の創始の趣旨から
考えまして、爾来三十有幾年、
郵便年金につきましては二十有幾年の経営の過去から
考えまして、私
どもは次の三点であらねばならぬと思
つておるのでございます。すなわち事業そのもののために、確実でありかつ有利に
運用すべきことである。二番目といたしましては、加入者階級の利益のために、社会公共事業にこれが奉仕をされなければならない。第三点といたしましては、
地方に
還元する
建前をとらなければならない。この三点が少くとも経営の
基本方針であらねばならないと、私
どもは確信をいたしておる次第であります。
さらにこの
法律改正にかんがみまして、第十
国会において
資金運用部資金法の制定の当時の
国会の審議の状態から
考えまして、さらにまた本日ただいまの
参考人並びに
委員各位の討議の
内容から見まして、私は大きな点を感ぜざるを得ないのであります。質問その他を拝聽いたしておりますと、この
積立金の性質が
国家資金あるいは
財政資金という性格のもとに、論ぜられておるということであります。なるほど
資金運用部資金法のある現在におきましては、
国家資金あるいは
財政資金という
ような性格を
根本的に否定するということは、あるいは無理かもしれませんけれ
ども、私
どもはこの
積立金の持つ本質というものは、決してこれは
国家資金でもなければ
財政資金でもない。すなわちこの
積立金は加入者の積み立てた金でありまして、あくまでも加入者のものである。言いかえますならば、加入者の信託財産であるというのが、この持つ本質であると私
どもは理解をいたしておるのでございます。従いましてこの資金を
国家の
財政資金として
運用すべきものではない。これがこの資金の、
積立金の持つ本質だと私
どもは解しておるのであります。また過去長い間の
運用方針は、少くとも大蔵省の預金部にこれが統合せられるまでは、これらの精神は貫かれてお
つたものと、私は確信をいたしておるのでございます。すなわち国の
財政資金としての性格を持たして
運用することは、簡易生命保険並びに
郵便年金事業創始の意義をま
つたく没却いたしまして、その本質を誤まるものであると私
どもは理解をいたしておるのでございます。従いましてそういう理解の上に立ちまするならば、
資金運用部資金法の中にこれを包含して
運用するということは、あるいは
言葉が極端になるかもしれませんけれ
ども、邪道ではないかという
ような私
どもは
考えを持
つておるのでございます。
従つて全逓信従業員組合といたしましては、また二十六万の
郵政従業員といたしましては、一日も早くこの資金が
資金運用部資金法の
わくからはずれまして、本然の姿にもど
つて、事業経営者の手にもどる。言いかえまするならば、
郵政省にもどしていただいて、
郵政大臣の管理と
運用のもとに、もつぱら社会政策的事業に使用さるべきものである、この
ように
考えておるのであります。従いまして簡易生命保険並びに
郵便年金事業の続く限りは、この方針に未来永遠にかわ
つてはならないものであり、またこれに携わりまするところのわれわれ従業員といたしましては、これをあくまでも死守しなければならぬ
立場にあるものと、私
どもは理解をしておるのでございます。
委員会の御審議の状況を拝見いたしまして私
どもが
郵政省の手により、要するに
郵政大臣の手により管理
運用することになりますと、まず直接にどういうことが言えるかということを、私
どもは一応
考えてみたいと思うのであります。これは保険
年金に加入する人の
立場にな
つてみますと、
自分たちのかけました掛金が、直接その身近な
自分の生活、あるいは
自分の環境に結びついた
施設に利用されるということは、非常に嬉しさを感ずるだろうと私は思うのであります。つまりこれが社会公共
施設として奉仕され、たとえば目分の村に
学校が建つ、あるいは住宅が建
つた――ただいま下村先生から住宅の問題が出ましたが、住宅がどんどん建
つて行く資金が、少くとも
自分らのかけた金がそういう方面に使われておる、あるいは最近非常に台風等によりまして災害が出ておりまするが、そうした災害復旧によ
つて橋も直り、道路も直り、あるいは護岸工事もできる、あるいは港湾
施設も完備するという
ように、
自分の身近のこうした復旧状態が、
自分のかけた金からおもにまかなわれるということを感ずるならば、おそらく郷土の発展、郷土の開発ということに関心を持つところの国民というものは、非常に嬉しさ、あるいはそうした感じを持つことは当然だと思うのであります。その金が十分に認識されることが、事業の発達の上において非常に効果があるものであると、私
どもはこの
ように
考えておるのであります。従いまして国営事業でありますところの簡易生命保険並びに
郵便年金の事業が、国民の協力によりまして、国民多数の理解の上に立
つて発達するならば、おのずからそこに資金というものが蓄積せられるということも、また当然といわなければならぬのであります。大蔵省の資金
運用部の手によりまして
融資せられまするならば、こういう点はなかなか明確に行きがたいのではないかと、私
どもは見て起るのであります。
それからよく
窓口が
二つになることは煩瑣だという
ような御議論もあるやに、私
どもは承るのでありますが、私
どもが日常生活にいろいろ経験することでありまするが、
一つのものでやりますと、とかく独裁になり専制にな
つて、親切味がないのであります。この事業ができまして、たしか大正八年から
運用の
事務が開始された
ように記憶いたしておりますが、長い二十数年の間、当時の逓信省によりまして
融資をされまして、非常に親切で非常に簡便で、そして非常に手ぎわよく、いわゆる
地方公共団体に
融資されてあ
つたと、私
どもは自負いたしておるのであります。従いまして多数の
地方自治体から感謝の念をも
つて迎えられたことは事実でございまして、これは長い過去の実績を御
検討を願いますならばおわかりになるのであります。これを
一つの手でやりますと、非常にわがままで、俗に言ういばるとか、あるいは権力を振うという
ようなことが出て来るのでありまして、私はしからば大蔵省がそういう態度をと
つておるかどうかという
ようなことにつきましては、あまり触れたくないのでありまするが、しかし私
どもが耳にする限り、必ずしも親切でない。どんどんと陳情をしなければならないという
ようなことも耳にしておるのであります。しかしそういうことは私本日は触れたくはないのでありまするが、
郵政省の伝統であるところのいわゆる奉仕の精神と申しまし
ようか、
サービスの精神というものは、過去の実績によ
つて輝いておりますし、今後
郵政省の手によるならば、この点は大いに強調せられて、
地方自治体は非常に喜ばれることであると、確信を持
つておるのであります。
それから従業員の志気高揚の問題でありまして、これも
委員会の討論において御審議の中にあ
つたやに聞いておるのでありまするが、
郵政省二十六万の従業員は、この
運用権が大蔵省の手にもどりましてから今日まで、長い間非常に残念に思
つておるのであります。寝ても夢の中に画くほど残念に思
つていまして、これがわれわれの手によりまして
運用せられるならば、志気が大いに高揚いたすことは事実であります。さらにそれが仕事の上に、能率の点におきまして、その他の点に大きく反映することは当然であります。それから何か募集と
運用というものの問題について、いろいろと論議せられておりました。なお午前中の
参考人等も、これらについて触れておられる
ようでありまするが、何か
運用することをえさにして募集をしておるかのごとき、われわれは印象を受けるのでありますが、それはとんでもないことでありまして、
運用事務というものと、
融資事務というものと、募集
事務というものは、おのずから画然とわかれておるのであります。しかし長い過去におきまして、
先ほども申し上げました
ように、いわゆる
自分の村の
学校あるいは橋梁その他住宅等の金が、保険の金でできておるという
ようなことを国民が知
つておりまして、この奨励
事務に従事するいわゆる局員に、いろいろ質問等のあることは事実であります。質問を受けた場合には、それらに回答することはわれわれ公務員としての当然の義務と
考えておるのでありまして、これを募集のために利用するという
ような
考えは、毛頭持
つておらないのであります。何か民間生保等におきまして、さも
郵政従業員がそういう
ようなことをしておる
ようなふうに、お
考えにな
つておるものといたしますならば、これは誤りでございます。
さらに私
どもはこの
運用を
郵政大臣の手に管理
運用することが、利益の増大になるのでありまして、すなわち
運用収入というものがふえます。少くとも現在よりはふえると私
どもは確信しております。その他死差益、いろいろの経費でありますが、要するに利益金というものは、契約者に返すのが
建前であらねばならぬと思うのであります。簡易生命保険も過去におきましては長期還付金といたしまして、これを契約者に返してお
つたのでありますが、最近におきましては遂にこれが停止された。そうしてこれの
運用権が返り、事業がますます発展いたしまして収入が増大するならば、再びまた長期還付金制度の創設というものも
考えられるのであります。さらにまた直接的にはこうした経費が出ますならば、か
つて大正十一年から
全国の枢要の地に
簡易保険健康相談所というものを設けまして、三百数十箇所あ
つたやに記憶いたしているのでありますが、いわゆる保険の加入者を
対象といたしまして、国民の健康保持増進上非常に役立
つたのであります。もしそういう経費が出るならば、将来そういう方面にも
施設をいたしまして、国民の体位向上、福利増進、健康増進の上に役立ち得るということも
考えられるのであります。さらにまた従業員の待遇改善、あるいは
施設の改善等ができまして、さらに一層加入者に
サービスをよくすることができる。この
ように私
どもは解しておるのであります。
なおこれにつきましては、吉田内閣ができまして、たしか第十
国会の当時だと記憶しておりますが、まだ占領軍がありましたときに、いわゆる
大蔵大臣並びに
郵政大臣の名前をもちまして、総司令部に懇請書を出しております。さらに吉田総理大臣の名前をも
つてこの懇請書を出しておりますが、ここにもいわゆる均衡予算をはかる上にも必要であるということが、強調せられておるのであります。いわゆる特別会計でありますために、均衡予算をどうしてもはからなければならない。こういう
意味合いからも、この
運用再開というものは必要であるということを、強調いたされておるのでありまして、さかのぼりますれば、芦田内閣時代にも閣議としてこれが決定をされ、さらに吉田内閣におきましても数回にわた
つて決定をいたしておるのでありまして、この問題は日本の国策であるというふうに、われわれは理解をいたしておるのであります。私
どもの最も尊敬を払い、権威あるものと確信しております
国会におきましても、数回にわた
つて決議がされておる事実を見ましても、これが
郵政省の上に復元することが、これは当然であるというふうに
考えておるのであります。
さらにこの
委員会の御審議の状況を拝見いたしますと、
分離運用というお場
言葉が使われておるのでありますが、私
どもは
分離運用ということでなくして、
運用の復元だというふうに
考えておるのであります。さらに
先ほど私
どもの最も尊敬いたします、しかもこの事業の生みの親である、あるいは育ての親でありますところの下村先生の当時のお話を拝聽いたしまして、非常に
参考に
なつたのであります。これはたしか大正五年の第三十七
議会であ
つたと思いますが、
国会の御審議の
過程から、非常に私
どもの感銘を深くしておるものがあるのであります。当時の状況をちよつと思い出しまして、吉植庄一郎議員から、零細なる
地方資金を集めて、これを
中央の金庫に集中するは、一層
地方金融を枯渇せしめる結果となる。資金運転に関する
政府の
意見いかん、という質問に対しまして、箕浦逓信大臣は、資金はもちろん一般財政の施用に供するがごときは絶対に避くべく、あるいは産業組合その他に貸し付け、あるいは細民のために貸長屋を建てる等、もつぱら社会政策の事業に使用する、と
答弁をせられておる。さらに吉植庄一郎議員は、資金を財政の用に供せざることは言明せられたるところなるも、永遠にその意思を貫徹するため、
法律上に厳重なる資金
運用の規定を設くるを必要と信ずる、という質問をせられたのであります。これに対して当時の逓信大臣は、法文に規定するは、ただに法を複雑ならしむるのみならず、他日違反の行為あらば、いわゆる行政監督権を有する
議会においてもこれを責むる力を有し、国論もこれを許さないのであるということを
答弁せられておるのであります。すなわち当時この資金を
財政資金として利用するならば、違反行為であるとして逓信大臣は御
答弁なす
つておるのであります。私
どもはこの精神は今日もなおかわらず、これを貫くべきであるという、ふうに
考えておるのでございます。
さらに申し上げれば長いことでありますので、
内容をごく
簡單に要点を申し上げますが、この問題が
国会に討議せられましてから、これは非常に大きな政治問題とな
つておるのは事実であります。これは今
国会ばかりでもございません。第十
国会におきましても同様であります。しかしこの問題が
郵政省の手から離れた、いわゆる戰時中において大蔵省の手に移
つたことにつきましては、私
どもはこの
ように理解をいたしておるのであります。すなわち大蔵省はこの事業の創始当時から、この資金
運用をしたしという野望を抱いてお
つたというふうに、私
どもは見ておるのであります。その野望をときの軍部の力と結託いたしまして、軍部の力を利用いたしまして、
郵政省の手からこれを強奪したというふうに、われわれは解釈をいたしておるのであります。当時この大蔵省の手に参りましたときの輿論というものは、
地方自治体はこぞ
つてこれが復元を要請いたしました。さらに日本が戰争に負けまして、占領軍が参りました。いわゆる昭和二十一年一月二十九日付の総司令部の経済科学
局長マーカツト少将から、
大蔵大臣にあてられました指令によりまして、さらに大きく制限をされることに
なつたのでありますが、私はこれに対しても非常に不可解に思
つておるのであります。少くとも日本
政府としてやるからには、当然当時の逓信大臣並びに
事務当局というものは、それらの相談にあずからねばならなか
つたと思うのでありますが、私の知る限りにおいては、当時の
郵政大臣は全然知らない。
郵政事務当局は相談にあずからない。いわゆる予算編成権を握るところの大蔵省の一方的な意思によ
つて、この指令が出されたのじやないかというふうに
考えておるのであります。さらに第十
国会におきまして、いわゆる
資金運用部資金法が討議せられました当時に、いわゆるドツジ書簡というものが出されたのであります。これらの御討議につきましては、おそらく
委員の皆さん方のまだ御記憶に新たなことと思うのでありますが、この問題につきましても、
大蔵大臣が懇請をして、それによ
つてこれが出されたものであ
つて、この書簡によ
つて政府並びに
国会は拘束されるものでないという
意味のことを、
大蔵大臣が御
答弁されておる次第であります。しかしこのドツジ書簡当時は、閣議においてもこれを
郵政省にもどすということが決定され、予算等の措置も
郵政省の手によるところの予算措置が講ぜられてお
つたものと、私は理解しておるのでありますが、それがこの
ような結果にな
つて、少くとも当時の担当大臣に何らの御相談もないというあり方は、これは少くとも大蔵省の、いわゆる大蔵官僚の長い間の権力を集中せんとするところの野望がここに出てお
つたものと、私は見なければならぬのであります。
さらに過去のことはおきまして、今回全逓信従業員組合は、この
郵政省復元問題につきましては、全組織をあげてわれわれは運動をいたしておるのでありまするが、この運動の
過程におきまして、私
どもは大蔵省の、大蔵官僚のやり方について最も遺憾であるところの事実を持
つておるのでございますが、以下これからその事実につきまして、
皆様方の御
参考に供したいのでございます。
いわゆる大蔵省の
立場において、この
権限を持ちたいと希望なさることについては、私
どもは別にとやかく申す意思はないのでありますが、私
どもの組織といたしまして、最近今
国会の末期におきまして、
地方の自治体から
郵政省復元に対して、非常な反対の陳情が
国会にあるということも
承知いたしております。また議員各位に対しても、そういう電報、書面が続々来るということも
承知いたしておりますが、どうも私
どもとしてふしぎでならない。
地方自治体は過去において
郵政省への復元については、非常に
賛成し御協力なさ
つたのに、今
国会においてはどうしてそういう事実ができたのかということをふしぎに思いましたので、全組織をあげて知り得たその最も代表的なものを本日持
つて参りましたので、御
参考までに申し上げたいのであります。
新潟県会におきましては、本年の二月二十九日、
簡易保険並びに
郵便年金の
積立金の
郵政省による
運用再開促進の
決議をいたしたのであります。ところが大蔵省資金
運用部が、同県の三面川電気事業費その他の
起債について、考慮しなければならないという意向を示して圧力を加えたために、四月十四日同県
会議員二、三名が急遽上京いたしまして、大蔵省に陳情陳弁これ努めておるというふうに、
郵政省に
賛成することによ
つて、大蔵省が
権限を不当に濫用しておる事実があるのであります。
さらに川口市におきましては、当面する市債の借入れにつきまして、かねて関東財務局に陳情したところが、四月八日に同財務局員が訪れまして、四月十一、十二の両日、千葉市において開催される関東市
議会議長
会議において、
郵政省への
運用復元運動に反対する議案を提出することを慫慂いたしたのであります。このために同市
会議長は、
自分の市の
起債のためにこれを急遽上程したという
ような事実も、私
どもは知
つておるのであります。
さらに徳島県の那賀郡の橘町三笠旅館におきまして、四月十四日同郡の
町村長会議が招集されまして、高松財務局から係員が参
つております。その係員の名前もわか
つておりますが、本日は名前は伏せておきます。その係員が臨席いたしまして、各
町村から提出された
起債の申請書を示しまして、お前の方には何百万円、お前の方には幾ら幾ら
許可するから、そのかわり
郵政省復元反対の方に判を押してくれ
といつて、
起債の承認と交換に判を押させている事実があるのであります。これ明らかに官権の濫用であると私
どもは見ておるのであります。
さらに昭和二十七年四月十七日午後五時から、札幌放送局の
地方ニュースとして、高田札幌市長は昨日
東京から札幌に帰り、本日、上京中の模様などについて次の
ように語りました。札幌の市
議会で
簡易保険の
積立金を
地方に
還元してほしいと
決議し、その
意見書を
関係大臣に提出したことについて、大蔵省の一部で不満の態度をと
つておる者がおり、そのためにこのたびの札幌市の
起債の
許可額に、影響を及ぼすのではないかと心配している者もいる。こういうふうに札幌市長が、
東京から帰りまして語
つたことが、ローカル放送で放送されているのであります。か
ように
地方自治体の
責任者が上京して参りますと、
郵政省に
賛成する者については圧迫を加えている事実があが
つているのであります。
さらに本年の三月、これは日にちが明確にな
つておりませんが、広島財務局の某課長、これも名前はわか
つておりますが、本日は特に伏せさせていただきます。その某課長が山口県の徳山市を訪れまして、
簡保年金積立金の
運用権の
郵政省復元に反対しろ、もし
郵政省支持の
決議を陳情すれば、平衡交付金その他当面の
起債の申請の
許可について考慮せざるを得ない。反対したならば、その写しを
当局――
当局というのはおそらく広島財務局のことだと思いますが、
当局、衆参両院議長、
大蔵大臣に提出せよ、もしこの提言に反対すれば、北陸のある市長が大蔵省に呼び出されて、つるし上げを食
つた例もあるので、
考えてほしい旨を言
つたということであります。これは明らかに官権の濫用どころか、不当なる圧迫といわなければならぬのであります。こういうことがもし許されるならば、行政というものの前途は非常に暗澹といたすのであります。
さらにもう二、三例を述べさせていただきたいと思います。長野県の岡谷市
議会の議長は、四月四日に上京いたしまして、大蔵省に岡谷市の
起債融資を申し出たところ、大蔵省は
融資承認の交換条件に、
簡保年金運用反対の
決議を持ち出し、そのために四月五日諏訪市で開催されましたところの長野、富山、石川、福井の四県下の市
議会議長
会議におきまして、反対
決議がなされております。
さらに北海道小樽の市長は、四月九日市
議会に電話をいたしまして――小樽市長は当時用務のために上京されてお
つたのでありますが、
郵政省復元
賛成の
決議をすれば、平衡交付金、補助金を減額されるおそれがあるから、
決議の
内容を弱められたい旨の電話要請をしておるのであります。これは事実に基いて私は報告申し上げておるのであります。しかしこれはまだ閣議決定前でもありますが、こういう
ような
権限の濫用をや
つておるのが、今
国会に現われている
地方自治体のいわゆる反対の
内容であります。
さらに私
どもといたしまして非常に納得の行かない点は、閣議決定がなされた後は、少くとも
国家公務員であるならば、その方針に従わなければならぬのは当然であります。ところが五月二十日に最終決定がされまして、二十一日に法案整理がなされ、二十二日に持ちまわり閣議で案文が最終決定した
ように私
どもは聞いておりますが、少くとも五月二十日に閣議決定がされた後におきまして、五月二十九日山梨県におきましては財務部長が――これはおそらく県の財務部長ではないかと思いますが、山梨県知事に対して、
郵政省に復元することに反対してくれということを言
つたそうであります。山梨県知事は、
自分はどちらでも金を借りやすい方から借りればいいのだ、だからそういうものに入りたくないという趣旨のもとに、断られたということでありますが、五月二十日に閣議決定をして、二十九日にこういうことをや
つております。
さらにまた五月二十九日、長野県下伊那郡の会地村役場に、附近の七箇
町村の助役並びに収入役を集めまして、関東財務
局長野財務部から係官が出ております。名前もわか
つておりますが、き
ようは伏せさせていただきますが、
簡易保険、
郵便年金の
運用を現状
通り大蔵省において取扱う
ようにされたい。そうしてその反対の捺印をさしておるのであります。さらにまた五月二十八日、二十九日には、やはり長野県の下伊那郡泰阜村温田、それから上郷村役場、この
二つの方面にやはり長野財務部の係官がそれぞれ出張しておりまして、
自分の行く役場へあらかじめ電話をかげまして、その役場から附近の
町村に電話をかけさせまして、公印を持
つて来させ、持
つて来た公印で
郵政省移管反対の署名をとらしておるのであります。閣議決定の後において、なおかつこういうことが
全国的に行われておるのでございます。私が今申し上げたのは事実に基いて申し上げたので、いわゆる
国家公務員として閣議決定に違反するところの行為を、しかも堂々とや
つておる。これがすなわち
国家公務員の姿であり、国民全体の奉仕者としての公務員の姿であるかどうかについては、私はこれこそ排除しなければならないと思うのであります。大蔵官僚のこうした一部の動きにつきまして、われわれは気持の上においてはわかるところがありますが、
国家公務員として権力を不当に濫用し、あるいは
地方財源の枯渇に苦しむところの
地方自治体の幹部に対しまして、圧迫を用いて反対を勧めておるところのものが、本
国会に
集まつておるところの
地方自治体の反対の大多数であるというふうに、われわれは
考えておるのであります。私はこれは重大問題だと思うのであります。少くとも権威ある
国会の審議権に対して、公正な判断を誤らしめる
ような行動をとることが、はたして
国家公務員のとるべき姿であるかどうか。これは権威ある
国会において十分究明されなければならないと思うのであります。もし
国会におきまして、証人として
関係者をお呼びくださるならば、私は
国会の権威を重んじ、
国会の尊厳を信頼いたしまして、進んで証人台に立
つて証言するところの用意を持
つておるのであります。かかる見地に立ちまして、今
国会におけるところの大蔵官僚の
全国的な動きというものは、決して下部の出先
機関のものがやれるものではございません。少くとも
中央における大蔵本省の
責任ある何がしかの示唆なり、あるいは慫慂なり、そういうものがなければならないと思うのであります。全逓信従業員組合は、正しい労働組合運動に徹することに努めております。また健全なる組合運動のあり方に立
つて、正々堂々と運動いたしております。従いまして今度の
運用権復元運動につきましては、あくまでも正々堂々たる態度をと
つておるのでございますが、これにつきまして、私
どもはなおいま
一つの事実を
皆様に御
参考に供したいのでございます。
本年の四月に、大蔵省の職員組合で、
簡保年金積立金分離運用論を批判するというパンフレツトと、その他のパンフレットを出しております。この問題につきましては、全逓信従業員組合のある幹部の一人が、大蔵職員組合の幹部の一人に会
つた節に――これはどういう職にあるかということも知
つておりますが、き
ようは申し上げません。とにかく某幹部と申し上げておきまし
よう。大蔵職員組合からこういうパンフレツトを出したことについて話をいたしましたところ、いや、大蔵職員組合は、この
簡易保険、
郵便年金の
積立金の
郵政省復元にはあえて反対はしないのだ。あのパンフレツトは省側でつく
つて、こういう組合の名前を使
つたから、了承しててれということを言
つて来たのだ。しかし組合の
立場もあるので、積極的に
賛成ということはできないけれ
ども、そういうことであるということを言
つておるのであります。もしこれが事実であるとするならば重大問題であります。私はこれが大蔵職員組合で真に発行したであろうことを信じたいのであります。しかしもしこの話が事実であ
つて、大蔵職員組合の名によ
つて出されたものが、大蔵官僚の手によ
つて出されたものであるとするならば、これは一体どういうことでございまし
ようか。重大問題であります。全逓は正しい組合運動をや
つております。官公労の中でも、筋金の入
つた運動をしておるつもりであります。われわれはこういうことは御用組合のやることだと思
つておりますが、他の單産のことでありますので、あまりとやかく言いたくありませんが、
責任ある地位に立
つておるものでございますので、私は真実だと思うのでありますが、こういうことが行われておるのであります。いかに
郵政省復元反対の、ゆがめられた運動が
国会に持ち出されておるかということが、この事実をも
つても証明できるのであります。私は
国会の権威の上に立
つて、こういうことをどうぞ十分御審議を願いたいのであります。
私は正義を愛します。全逓従業員組合は正義を愛します。正義の上に立
つたところの闘いをなす信念に燃えておるのであります。民主主義を守り、国民のための政治の行われることを念願といたしまして、さらに政党政治の健全なる発達を願い、
議会政治の発展をひたすらに祈るがゆえに、権威ある
国会を尊重いたします上におきまして、この
基本法である
運用法案が衆議院を通過いたしましたことについては、
国会に対して心から敬意を表しておるのであります。何とぞこの二法案もすみやかに、しかも慎重御審議くだざいまして、成立されます
ように念願いたしまして、私の
意見を終りえいと思います。