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1952-06-12 第13回国会 衆議院 大蔵委員会 第88号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年六月十二日(木曜日)     午前十時四十三分開議  出席委員    委員長 佐藤 重遠君    理事 奧村又十郎君 理事 小山 長規君    理事 佐久間 徹君 理事 内藤 友明君    理事 松尾トシ子君       淺香 忠雄君    有田 二郎君       大上  司君    川野 芳滿君       島村 一郎君    清水 逸平君       高間 松吉君    苫米地英俊君       夏堀源三郎君    三宅 則義君       宮幡  靖君    久保田鶴松君       中野 四郎君  出席政府委員         大蔵政務次官  西村 直己君         大蔵事務官         (銀行局長)  河野 通一君         大蔵事務官         (銀行局総務課         長)      福田 久男君         郵政政務次官  寺本  齋君         郵政事務官         (簡易保険局         長)      白根 玉喜君  委員外出席者         大蔵事務官         (銀行局資金運         用課長)    高橋 俊英君         参  考  人         (全国市長会理         事)      佐藤和三郎君         参  考  人         (全国町村会常         任理事)    松崎 定治君         参  考  人         (生命保険協会         専務理事)   野口 正造君         参  考  人         (日本経済新聞         社論説委員長) 友光 正昭君         参  考  人         (東京銀行協会         長)      酒井杏之助君         参  考  人         (学識経験者) 下村  宏君         参  考  人         (全国逓信従業         員組合中央執行         委員)     笹川 重雄君         参  考  人         (特定郵便局         長)      横山 八次君         参  考  人         (大蔵省職員組         合副執行委員         長)      林原 正三君         専  門  員 椎木 文也君         専  門  員 黒田 久太君     ――――――――――――― 六月十二日  委員武藤嘉一君及び水田三喜男君辞任につき、  その補欠として有田二郎君及び宮原幸三郎君が  議長の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 六月十一日  連合国財産返還等に関する政令等の一部を改  正する法律案内閣提出第二四七号) の審査を本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  簡易生命保険及郵便年金特別会計法の一部を改  正する法律案内閣提出第二四一号)  資金運用部資金法の一部を改正する法律案(内  閣提出第二四二号)     ―――――――――――――
  2. 佐藤重遠

    佐藤委員長 これより会議を開きます。  本日はまず簡易生命保険及郵便年金特別会計法の一部を改正する法律案、及び資金運用部資金法の一部を改正する法律案の両案を一括議題といたします。  右両案につきましては、御承知のごとく一般輿論賛否二つにわかれ、その影響するところも重大であると思われますので、本日参考人方々の御出席を求め、御意見を拝聽することといたした次第でありますが、参考人皆様におかれましては、この際右両案につきまして、忌憚のない御意見の開陳をお願いしたいと存じます。  それではこれより参考意見を聽取いたしたいと存じますが、時間の関係上、発言時間は大体お一人約二十分ぐらいでお願いすることといたしまして、発言順序等につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じます。まず全国市長会理事佐藤和三郎君にお願いいたします。
  3. 佐藤和三郎

    佐藤参考人 ただいま御紹介を願いました全国市長会理事をやつております宇都宮市長佐藤和三郎であります。一応ただいま参考意見を聽取されておりまする簡保年金融資再開等につきまして、全国市長会として、今日まで取扱いました内容を申し上げまして、御参考に供したいと存ずる次第であります。  われわれ全国市長会は、約三年ほど前、簡保年金融資再開決議しておるわけでありまして、なお一昨年も札幌における全国総会におきまして、この問題を再確認いたしておるわけであります。しかしその前提――附帯決議というよりも、その前提といたしまして、起債わく撤廃をまずもつてすべきであるということが、同時に決議されておるわけであります。御承知通り現在地方債は、地方自治法の二百五十条によつて許可を得なければならぬことになつております。しかし自治法自体からいたしますれば、原則としてこれはさよう許可制度ではないのでありまして、各議会の議決を経て、自由に借りられるということが建前になつておるわけでありますが、二百五十条によりますと、当分の間政令の定むるところによつて起債関係地方財政委員会または都道府県知事許可を受けなければならぬ、かように制限を受けまして、現在もうすでに地方自治法がしかれて五年、この通り運用されて参つておるわけでありまして、従つてこの二百五十条を撤廃してもらわなければならないということが、その基本としての決議と相なつておる次第であります。これをやらないで、二本建、三本建ということは、われわれとしてはかえつて手続を複雑化するということになりまするがゆえに、これは少くとも現在金を借りることに困つておるというなら別であります。しかし現在金を借りることに困つておらないのです。と申しましても、そのわくをもらうということがまずもつて大切なことでありまして、わくをもらつた上で金を借りることは、自由に今借りられておる状況であります。そのわくをもらうことが、まずもつて問題であるわけでありまして、そのわくがまだ少しも撤廃されないで、配給店だけを二つにしたからといつても、サービスがよくなるであろうという意見市長会ではあつたのでありまするが、しかし切符はきまつておるのであります。品物も従つてきまつておる。それを二つの店に並べて、いらつしやいといつたところで、かえつてわれわれは申込みがめんどうだということに相なるわけであります。であるからして、かような二重の手間をわれわれは欲しない。ことに今後、現在すでに国会におかれましても、御検討つておると存じますが、行政機構改革事務簡素化という問題をあくまで叫ばれ、またこれが実施されつつある面があるわけであります。この意味からいたしましても、現在一本建で運行されておる以上、これで支障はないのであります。わくをふやすなら、あるいはわく撤廃するなら問題は別でありますが、わくのある間に、切符は同じで配給店だけは二重、三重にするというようなことは、かえつてわれわれの事務を複雑化する、かような面において、市長会としては検討を加えられておつたわけでありまして、従いまして、この四月の全国市長会役員会におきましては、わくのある間は一本建においてやつていただきたい、こういう決議がなされまして、政府その他にも御要望申し上げておる次第であります。  もちろん今回の融資再開等におきましては、地方公共団体サービスというようなことにおいて検討願つたと存ずるのでありますが、もし地方公共団体のためにかよう法律案を出されるというならば、まずもつて二百五十条を撤廃してもらいたい。それで自由に借りられるようにしていただければ、われわれはこれの方がサービスをよくしていただける根本であるというふうに、考えておるわけであります。もちろん、わく撤廃という問題については、相当インフレを助長する、あるいは地方財政危殆に瀕させるというような面もおありであろうと存ずるのでありますが、しかし起債はあくまで議会の同意を得るわけであります。得たからといいましても、自由になつた場合においても、自由に貸すわけではない。これは必ず償還見込みがあるという場合にしか、貸していただけないわけでありまして、地方財政危殆に瀕させるよう起債は、当然議会において承認を受ける見込みはないのであります。なおまたこれに対しましては、融資をする立場におりまするところにおいては、十分検討されるわけでありますから、自由に貸すようにしていただいたつて、決して地方財政危殆に瀕せしめるような事態は発生しないであろう、かよう考えております。サービスをよくするというならば、二百五十条をまず撤廃してもらいたい。このわく撤廃されることがまずもつて前提要件である。しかる上で二本建、三本建、自由にサービスをよくするというようお願いをいたしたい、かよう意味において、一本建においてやつていただきたいというのが、全国市長会決議内容であります。  はなはだ簡單でありますが、以上をもちまして、われわれ市長会としてこの問題について取扱いましたアウト・ラインだけを申し上げまして、御参考に供する次第であります。
  4. 佐藤重遠

    佐藤委員長 ただいまの佐藤参考人の御意見に対して御質疑がありますならば、これを許可いたします。別に御質疑はございませんか。――それでは次に移ります。  次は、全国町村会常任理事松崎定治君の御発言を求めます。
  5. 松崎定治

    松崎参考人 ただいま御紹介にあずかりました全国町村会常任理事をしております松崎と申します。ただいまの参考人意見を発表しておりますことと大部分同じようなことでございますが、責任上申し上げます。  まず直接貸していただくところの窓口二つにする。これは借りる者の身になつてみますと、非常にむずかしい問題でございまして、どちらへ申し込むか、お願いするか、非常に迷う問題でございます。従いまして、先ほどの話の通り地方自治法の二百五十条がなくなつて、両方へ幾らでも無制限にお願いできるなら別でございますが、一定のわくによつてとなりますると、だれもが取扱う方は人間でございまするので、やはりそこに事務上あるいはその他の事情によりまして、いろいろむずかしい問題も、もし二つなつた場合は起るのではないかという杞憂が、非常に強いのでございます。それともう一つ全国町村会といたしましての意見から申しますと、起債わくは、窓口二つになつても別にふえるわけではなく、前と同じわく二つにわけるだけである。従いまして二つを相手にすれば、私たちの方の立場において手続が煩雑になる。それから政府の方でお取扱いになる場合におきましても、審議する機関がやはりそれだけふえますので、行政事務費がそれだけよけいかかる。それから意見二つになりますので、どうしても国家基本となりますところの金融規正についての決定が遅れる、というようなことが杞憂されております。それから地方町村長といたしまして、私自身、あるいはこれは仲間でも話合つていることでございますが、要するに年金簡保積立金地方還元する、これを建前として強い郵政省側の方の御意見ようでございますが、これがお言葉通りにもし行われたと仮定いたしますれば、当然一つ地方における郵便年金並びに簡保金額対象といたしました金額を、その地方還元をするということになりまするから、字句には現われない一つの権利化されるような気分がありますので、当然その地方が積み立てておりまするところの金額をその町村に返す、市に返すということになりますと、われわれが目的にしおりますところの、重点的に国家資金を投じていただきまして、学校をつくるといたしましても、橋梁をかけるといたしましても、われわれのような貧弱な町村でございますと、二十年あるいはもつと長い償還期間を置いていただいて、自分の町の経済力償還力とを考えあわせまして、お願いをして、やつとできるのでございます。これをもしただいまの御説明、あるいは私が聞きそこなつているかもしれませんが、これをただいま聞いている程度地方還元するという御意見でございましたならば、重点的な国の重要なる施設は行われない。それからもう一つ、最も大きい経済力を持ちますところの都市東京、横浜、神戸、大阪、かようなところが大きな金額の預金、年金を持つておるはずでございますので、都市農村漁村の文化あるいは施設に、極端な差ができてしまうのではないか。社会問題といたしましても、最も杞憂すべき状態が予想されるのでございます。  それから全国町村会といたしましては、決議はしておりません。その理由といたしましては、実は私が仲介したのでございましたが、全国町村会の全体の空気といたしましては、二百五十条がある間は、従来通りつていただきたいという意見が大多数でございます。しかしながら、ここではつきりは申しませんが、九ブロツクのうちの一ブロツクの方が、非常に強い郵政省案賛成の御意見でありまして、法により、あるいはその他の規制によりましてつくられている私ども団体ではございません。どこまでも親睦及び各自の連絡を基礎にいたしまして、地方自治振興のため、国家の興隆のために尽すべき団体でございますので、あえて決をとり、またはその他の方法によつて賛否を問うということは穏当ではございませんので、私はこれはこのままにして、もし何かの意見発表をする場合があれば、私がこの点を町村側意見として、はつきりと公的に発表するという約束をいたしまして、今日まで決議はしておりません。かようなわけでございますので、私一人のかつてなりくつではございませんので、町村会絶対多数の意見でございます。決議はしておりませんので、あらためてここで釈明をしておきます。
  6. 内藤友明

    内藤(友)委員 ただいまのお言葉の中に、一ブロツク郵政省側にいろいろと好意を持つておられるというのですが、一ブロツクというのはどこの方ですか。
  7. 松崎定治

    松崎参考人 私の方は全国を九ブロツクにわけておりまして、その一つでございますが、内部のことでございますので、お許しを願いたいと思います。
  8. 内藤友明

    内藤(友)委員 東北の方か、北陸の方か、ずつと西の方か、どこかというようなことを、もしできるならば、おつしやつていただけると、私どもいろいろ判断するのに都合がいいのですが……。
  9. 松崎定治

    松崎参考人 それでは、ほんとうにおおまかでお許しを願いたいと思いますが、西の方でございます。
  10. 小山長規

    小山委員 松崎参考人にお伺いしますが、あなたの方に直接あるいは間接に聞えておるところの、この運用方法と申しますか、運用根本方針としては、どういうことでありますか。たとえば簡易保険が集まるならば、それで学校が建つとかあるいは橋がかかるとかいうふうなことで、独立運用がいいのだということを言つておりますか。あるいはまた地方還元になるから、独立運用した方が皆様方のために役に立つのであるというような、勧誘ないしはそういう要望が出ておりますか。その点をひとつ伺つておきたい。
  11. 松崎定治

    松崎参考人 ただいまのお尋ねでございますが、私は正式な形において聞いておりません。しかしながら、この郵政省案賛成をされますところの私たち仲間の方の御意見は、零細な金を借りるに、財務局あるいはただいままでの窓口へ一々何度も足を運んで、そうして少額の金額を借りるのでは、費用はかかる、ひまはかかる、なかなか手続は煩瑣で、ちよつくら貸してもらえない。それよりも、郵便局窓口から申し込んで借りられれば、これに越したことはないではないかというような御意見を聞いております。しかしながら私といたしましては、そういうふうになつていいかどうかは、私もしろうとでございまして、そこまで調べておらないのでございます。もし窓口で借りられるといたしましたならば、また問題でございます。と申しますのは、少くともわれわれは銀行金融ボスによつて、相当経済的に市町村の政治は影響を受けております。これがまた十万や二十万、あるいは五十万以下の金融対象にするような小さな寒村が、その町、その村の局長さんの取扱いいかんによつて、借款ができるとかできないとかいうようなことがあると仮定いたしますならば、従来の市町村行政における非常なむずかしい問題の一つを残すことになるのではないか。蛇足ではございますが、私自身が小さな町の町長といたしまして、金融機関から受けておりますところのかような問題を、自分が身をもつて体験しております。ですから私は、この点についても先ほどは申しませんでしたが、杞憂は持つておるものでございます。
  12. 小山長規

    小山委員 地方還元ということはどういうふうに聞いておられますか。たとえばその村で簡易保険なり郵便年金が積み立てられたものを、そのまま返すのであるというように、地方還元という言葉を聞いておられますか。それともそれ以外に、たとえば郵便年金なり簡易保険で集まつた金を、東京大阪でなしに、それ以外の都市なり市町村に渡すのであるというふうにお聞きになつておるか。あるいはその村なり郡で集まつた金を、その村なり郡に仮すのであるというようにお聞きになつているか。その点はいかがですか。
  13. 松崎定治

    松崎参考人 私たちのうのみの解釈から申しますと、少くともその郡、その村を対象として私たち考えております。
  14. 奧村又十郎

    奧村委員 ただいま参考人がお話になりましたが、全国ブロツクのうちで、大多数のブロツクは従来通りやるべきであつて郵政省の方へ移管して窓口二つもこしらえるのは困るという御意見だそうでありますが、市町村の方が大多数その立場で一致して、郵政省移管に反対されるのは当然だろうと思う。ところがそのうちで一ブロツクが強硬に反対したということでありますが、これはどういう理由で反対したのか。そのブロツクだけが強烈に反対しなければならぬ理由はどういう理由であつたのか。その反対した理由を詳しく申していただきたいと思います。
  15. 松崎定治

    松崎参考人 せつかくのお言葉でございますが、私うつかり聞き漏らしておりまして、お許し願いたいと思います。
  16. 奧村又十郎

    奧村委員 そこのところはかんじんなことですが、聞き取れないというのは、われわれも非常に残念だと思います。市町村長の側としては圧倒的に一元運営で行くべきであるというのは当然でありますが、その当然である市町村の側の一ブロツクだけが反対であつたというその理由が伺いたい。理由が聞けなければ、その裏面に何か圧力とでも申しますか、宣伝と申しますか、そういうようなことがなかつたかということも考えてみたい。こういうふうなことでお尋ねしたわけでありますが、それに関連して何かお気づきの点はありませんか。
  17. 松崎定治

    松崎参考人 私の聞いておりまする範囲内では、前の方の御質問にお答えした点、それから従来起債に非常に骨が折れたということの二つように聞いております。それより深いことにつきましては、私聞きたくございませんでしたので、ほんとうに聞いておりません。
  18. 宮幡靖

    宮幡委員 私は参考人の御意見は大体了解せざるを得ないと思うのであります。きのう私が一時間余にわたりまして、郵政省当局に伺いましたうちで、速記録を繰返すまでもなく、地方還元という問題について理論的にも実際的にも御答弁を願つた。しかも私が最後に補足的に申しました言葉は、私が幸いにして与党であるがゆえにこの程度に聞いておるが、もし野党であつたならば、あなた方の答弁は詭弁と称すべきものであるとまで申したのでありますが、そういう言葉とただいまの参考人意見はまつたく違つております。かりにここに出ておられます政務次官なり局長さんなりの指揮命令は、さように出ておらないといたしましても、末端においては、先刻も鋭く私が追究いたしましたように、貧弱市町村は救われないという意味地方還元だ。むしろ逆に申せば、中央へ集中するというきらいさえ強くなつて来るのではないか。こういう点について私の心配がいよいよ現実であることが、ただいまの参考人の御意見によつてうかがい知ることができるのであります。もちろんこれは参考人陳述そのもの責任ではないのです。これを立証するのではありませんが、内容といたしまして、今まで答弁せられまたことが、いわゆるわれわれ大蔵委員会答弁せられるための答弁でありまして、事実の腹というものは違つておるということを、如実に物語るものであろうと思います。従いまして根拠法としましての第三条、第四条の関係が、国家行政組織法の違反である。しかも起債許可権というものに対しては、郵政大臣には何らの権限がない、これは自治庁地方財政委員会並びに大蔵大臣権限があるものである、こういうことに至つて大蔵大臣には権限がありません。金融面を監督する総括的な権限はあるかもしれないが、直接そういう権限はありませんとまで御答弁なさつている。私はその言葉を聞き流しておりましたが、かような錯覚と誤解のもとにおいて発足せんといたしまする基本法は、まことに不可解きわまるのみならず、これを法的に勘案いたしましても、まだ私の了解のできない点は、速記録で指摘してある通り、こうい問題は、おおむね申せばまだ分離運用すべき時期ではない。分離運用するなら、許可から貸付から監督から一切郵政省が真に單独に運用のできる時期まで待つべきだ。日本の経済自立過程におきまして、財政資金というものは効率的に、しかも統一的に運用せざるを得ない現在の過程におきましては、分離運用考え、しかも、びつこな妥協的なかよう法律国会において成立するというようなことは、残念ながら賛成ができないということを私はしばしば繰返して申している。なぜ、やるならば完全に簡易保険郵便年金積立金は、初めからしまいまで郵政省運用しないのだ。する姿にしないのだ。しかもそれは常識的に是認せられる時期においてやらなければいかぬ。ただ趣旨において分離運用ということができる。運用の面におきましてごまかしをやろうという含みのもとに、かよう妥協的法律案をつくられては迷惑千万であるということを、きのう指摘しておきました。幸いにいたしまして、きよう参考人意見が、わずかにわれわれの主張を裏書きするものの一つになりました。これは参考人責任でないことを私はくれぐれも申しておきますが、それにいたしましても、郵政当局の御答弁はまつたく奇々怪々と申さねばなりません。小さな面に極限してお伺いしますが、地方還元の実際のお考えはきのう申したこととかわりありませんか。きよう参考人の御意見と照し合せましてどういうことになりますか、御答弁をいただきたい。
  19. 白根玉喜

    白根(玉)政府委員 地方還元のやり方につきましては、先ほど参考人の方方が御説明申し上げたよう考え方では全然ないのであります。全然ないのを参考人方々がさようにお考えなつたのは、あるいは郵政省側がさよう誤解を起すようなかつこうの宣伝をしたのではないか、というよう含みをお持ちになつておると存ずるのでございますが、われわれのところといたしましては、本省におきまして決定し、皆様に御説明した通りでございます。それらが科学的にそういうことになれば、都市に重点を置いて町村には薄くなるじやないかというふうなことは、おそらく、私の方の側から出ているパンフレットよりも、ほかの方の側から出ているパンフレツトに相当書いてございます。これは、われわれの地方還元という言葉が――あるいは突き詰めて行けばそういう字句が妥当でなかつたのかと存じますが、われわれの地方還元というのは、集まつた零細な金は各地方から吸い上げて来るのであるから、中央集権的に金融債その他の方へ流して行くよりも、簡單に言えばやはり直接的に地方還元したいという考え方でございまして、私どもの方からの宣伝によりまして、そういう誤解を生ぜしめるような手を打つたのでは全然ございません。この点は、私の方から出したパンレットと、それからほかの方から出したところのいろいろのものをごらんになれば、わかると思うのでございます。町村の方へは薄くなるというような、そういう意味地方還元という字句が悪ければおわびいたします。資金還元ということでございまして、字句が悪ければおわびいたします。そういう意味ではないということを、御了承いただきたいと存ずる次第であります。
  20. 佐藤重遠

    佐藤委員長 それでは、時間の関係もございまするので、午前中に予定してありまする参考人方々の御発言が全部終りました後に、一括して御質疑を願うことにいたします。  次は生命保険協会専務理事野口正造君にお願いいたします。
  21. 野口正造

    ○野口参考人 議題の点につきまして、私は参考人として、一言私の意見を申し述べさせていただきたいと存じます。  第一に、簡易保険年金積立金は、これを国家資金としてでき得る限り統合して効率的に運用し、もつて国民経済の基本的要請に応ずることが、国営保険事業の本質から考えて適切であるということであります。保険事業の国営がいいか民営がいいかというよう基本的な問題は別といたしまして、すでにわが国においては国営事業として簡易保険が行われておりますが、簡易保険及び年金保険の資金の運用をいかにすべきかということにつきましては、今私が申しましたように、でき得る限り総合的に統合してその効率を上げ、そうして国民経済の基本的な要請に応じて行くということが国営保険の本質である、こういうふうに考えているのであります。承りますると、資金運用部の資金は、二十七年の三月末現在におきまして三千五百六十二億円に達し、さらに二十七年度におきましては一千五百六十五億円の増加が予想されて、財政投資の最も有力な資源となつておるということであります。ことにこれらの資金は長期資金としての性格を備えておりまして、資金運用部の資金が、今日わが国における長期資金の供給源として重大なる使命を果していることは、ここに申し上げるまでもないことであります。今や講和発効後の独立国家として、新生日本の経済的発展向上のために最も必要なものは、産業資金としての長期資金であります。しかるに今日、民間資金の供給はいまだ十分ではありません。従つて外資導入問題が大きな国策として、今日毎日の新聞紙上をにぎわしておるような実情であり、またオーバー・ローン等の問題が、今日金融経済界の大きな問題となつておるような次第でありまするが、国民経済の遂行上、かくのごとき今日の長期資金枯渇ということの影響が、いかに大きいものであるかということを、私どもは痛切に感ずるものであります。と同時に、今日国家資金の金要性はいよいよ高まつて来ておるといわねばならないのであります。しこうして簡易保険年金積立金は、現在資金運用部資金のおよそ二割近くを占めておるということを承つておりまするが、これは年を経るに従つて累積増高して行く性格のものであります。もしこれを分離いたしまして、郵政省が完全に独立して運用せられるということになつて参りまするならば、金融の総合的バランスを考慮して行われておりまする資金運用部資金の需給バランスというものは、まつたく崩壊して参りまして、あるいは金融債の引受が困難になり、あるいは農村、漁村、中小金融資金等の融通にも支障を来すということになりまして、結局資金不足に悩む金融界、産業界に与うる影響はきわめて大なるものがあると申さなければなりません。もとより簡易保険におかれましても、創立当時からその方針として社会政策を目的として行われて参つたことは、よく私も了承しておるのでありまするが、戰争中大蔵省に一元的に運用が集中された当時と現在と――戰争中と戰後との相違はありましても、日本国家そのものから考えての重大なる時局であるという点におきましては、少しも私はかわつていないと思うのであります。戰時中のいわゆる剣にかえるに、戰後平和独立国家なつた今日、産業をもつてするという形式的の変化はありましても、その実質的ウエート、重さの点から考えてみまするならば、今こそ戰争中よりもまして、挙国一致われわれ官民一体となつて、この独立国家、新しき日本を育成するために、われわれは努力しなければならないと存じております。いわんや政府各省は、われわれ国民に率先してこうした協力態勢を見せていただくということが、講和後の独立日本の育成のために、物心両面から努力しなければならないときであると私は深く感ずるものであります。しかるに今国家が講和によつて独立したからといつて、ただちに戰争中以来のこの国家危急を救わんがため行われておりました政策が、一時に放擲されるということになりまするならば、これは近視眼的な考え方であつて、いま少しく私どもは時期的にも慎重に考慮する必要があるのではないかと感ずるのであります。しかも資金運用部資金の運用は、地方財政と密接なる関連を有しておりまして、国の財政ともつながつており、金融の情勢にも強い影響を持つておるのであります。従つて政府が直接この資金運用をする以上、財政金融政策の責任者でありまする大蔵省が全責任を持つて、これが施策の万全を期するということが私は適当ではないかと思います。財政金融責任を有しない官庁が、その重要なる一部分を切り離して運用することは、この重大なる今日の時期におきまして、理論的ばかりでなく実際的にも私は適当ではないと思うのであります。資金運用の方針が公共の利益及び有利、確実の原則に従うということはもちろんでありまするが、その基本的態度としては、あくまでも国民経済全体の発展という総合的見地から判断して実施すべきでありまして、保険事業の立場からのみ考え運用を考慮するということには、私はもう一回再考すべき余地があると思うのであります。ことに国営事業が国家財政の補填のために尽すということは、その本質から申しましても当然のことであると思います。一体保険事業が国営となつた以上は、その国営保険事業の目的が国家財政の補填そのためにあるということは、各国いずれの国といえども古今東西を問わず、その事例はあるのであります。いわんやわが国のみが例外であるということは、私はあり得ないのではないかと考えるのであります。  第二に分離運用は行政簡素化の趣旨にもとるということであります。簡易保険年金事業は国家事業であるから、契約、募集、集金等は郵便局を主管する郵政省が御担当になり、積立金運用は財政金融の衝に当つておられる大蔵省が担当し、国家資金として一元的にこれを集中運用して、金融行政の完璧を期するということが私は合理的であると思います。もしも簡易保険年金積立金郵政省において、また厚生年金保険積立金は厚生省で運用するというふうに、戰後財政金融責任を有しない各官庁が、財政資金の重要部分を分離運用するということになりまするならば、地方公共団体等にも同一条件で融資する行政の窓口が、二つにも三つにもわかれて参りまして、さらにその間に調整機関を設ける必要が起つて参りますなど、行政機構の複雑化は免れないと思います。その結果生ずる損失は、すべてこれ国民の負担とならなければならないのであります。しこうして現に資金の運用権が大蔵省にあつても、資金の運用方針及び条件その他運用に関する重要事項を調査審議する機関として、資金運用部資金運用議会が設けられておりまして、総理大臣を主管として、大蔵、郵政両大臣を初め、関係事務所管及び金融界代表、学識経験者等によつて構成せられておるのでございます。かかる機関が存在しておりましてさえも、郵政省の御希望になるような資金の運用が行われていないといたしまするならば、問題はそこにあるのでありまして、簡保年金積立金郵政省移管のごとき機構いじりを今日ただちになすということは、官庁のセクシヨナリズムの現われではないかとも考えられるのであります。これらの点は十分に郵政省のためにも、大蔵省のためにも効果がありまするように、よくこの際に再検討いたしまして、その効果が上るよう機関にするということが、私は一番いい方法ではないかと思うのであります。  第三に、分離運用しても資金の地方還元の増大が期待できるかどうか。そうしてある部分にはかえつて逆効果を来すことがないかということであります。簡易保険年金積立金分離運用いたしますれば、資金の地方還元が増大すると言われておりまするが、第一の項に述べました理由から、国家資金の一部である簡易保険年金積立金運用が、現在の財政金融政策や財政資金計画のわくのほかにおいて行い得るとは考えられません。また地方還元が各地方の加入状況に応じて資金を還元すると言われておりまするが、これはあまりにも地方の経済の実情を軽く見た主張ではありますまいか。かかる方針を推進して参りまするならば、貧困な地方は開発助成金を得る方途を失い、大都会とかまたは資力のゆたかなる地方におきましては、その恩恵を受けることになるのであります。国民全般の福祉の向上と地方産業の発展に貢献するということが、はたしてこういうやり方でありまするならば、可能でありましようかどうでしようか。そもそも簡易保険事業は、創成の当時薄資者階級を対象とするという一つの理念と方針を持つて、創業になつたことを承つておるのでありまするが、この薄資者階級を対象とするという方針は、今日幾らか変更しているとは申しますものの、一つの社会政策的な立場から考えましても、これらが一方に偏するというようなことがあつてはならないといたしまして、公平にこれがゆたかなる町村であろうと、そうでないであろうと、これが公平に行われるということによつて、私は簡易保険ほんとうの本質的使命が果せるゆえんではないかと考えるのであります。国民大衆の零細な資金の蓄積である積立金は、あくまでも国民経済全体の発展という、より高い見地に立つて運用すべきでありまして、国民の利益と加入者の利益とは、一体であるということを忘れてはならないと思います。  第四に、分離運用簡易保険年金契約者の利益擁護とはなりにくいということであります。簡保年金積立金は現在のごとく資金運用部へ預託しておりますれば、五分五厘の利子の収入を保証されております。しかるにもし分離運用されることになりますれば、地方債引受による地方還元には一定の限度があるのでありまして、直接公共団体並びに産業施設にみずから貸付することとなるのでありますが、貸付には融資対象の選択、貸付技術等の未熟な点によりまして、コストの増大を来し、これに加うるに民間事業のごとく保険業法の投資に関する規定、そのほか取締り規定を欠く結果、政治的な影響を受けて、情実によつて支配されるようなことが起る危険性が、伴つて来るのではないかと私は思います。従つて元利の支払いが保証されにくい心配も生じて来るのでありまして、前にも述べましたごとく、簡易保険積立金は国民大衆の零細資金の蓄積になるものである。右のごとき事態が起つて参りますれば、これら契約者の利益を害するばかりでなく、その損失はさらに最終的には納税者でありまする国民の負担となるのであります。  なおこれに関連して私は思い出すことがあります。かつて民間生命保険事業発展の初期におきまして、全国に百数十の小さな保険会社が濫設されまして、その不健全放漫な資金の運用によりまして、経営が没落して参りました。その結果契約者大衆に非常な迷惑をかけまして、これがすなわち動機となりまして保険業法の制定となり、そうして保険行政の監督を見ることになつたのでありまするが、これは後に民間生命保険発展の一つのがんとなりまして、生命保険に対する国民大衆の不信を招いた当時の歴史があるのでありまして、私どもはこの一つの歴史を打破するために、今まで非常に苦心をして奮闘して参つたのであります。地方郵便局等におきまして、そういうことがないことを希望いたしまするが、全国郵便局等において、自由な投資ができるというようなことが行われましたならば、私はこういうことが起りはしないか。起らないことを希望いたしまするが、これは一つの私の杞憂として去ることができますれば、たいへん幸いだと思います。  次に第五、分離運用は民間生命保険との不当な競争を引起し、また一般大衆に悪影響を及ぼすおそれがあるということであります。簡易保険年金事業におきまして、資金の吸収とその運営が一元化されなければ、従業員の志気の高揚、従つて募集事務に大きな障害を来して、事業の発展を阻害するという議論が行われておりまするが、従来はむしろ簡易保険が同法第十七条に反して全国的に超過保険契約等が行われて、民間事業を不当に圧迫したような事例もあるのであります。しこうして言われるごとく、資金の運用を募集業務に関連させるということでは、これ融資を条件として保険加入を慫慂すること以外には考えられないのであります。しかもかかる行為は民間生命保険事業に対しましては、保険募集の取締に関する法律第十六条第一項第四号によりまして禁止されております行為で、その違反は第二十二条によりまして罰せられることになつておるのであります。すなわち保険募集の取締に関する法律第十六条の第一項第四号は、こういう言葉になつております。「保険契約者又は被保険者に対して特別の利益の提供を約し、又は保険料の割引、割戻その他特別の利益を提供する行為」こういう行為があつた場合は、民間生命保険の職員は、これは法律をもつて罰せられることになつております。しかるに簡易保険が官業であるがゆえに、右法律の適用から免れ、その立法の趣旨に反する行為をもつて民間事業に不当な圧迫を加えるがごときは、絶対に許さるべきではないと思います。官業といえども民業と同様に、こういう行為は禁止されてしかるべきであります。ここに私は保険業法、保険募集の取締に関する法律の適用を、これらの官業にも私は適用せられることを、この機会に望むものであります。  第六に、これは前項にすでに申し上げましたことでありますが、この大蔵省における資金運用議会の構成について、先刻も申し上げましたように、せつかくこうした審議会があるのでありまするから、大蔵省と郵政省がこの審議会ほんとうに有効に活用されて奉りますならば、今回のようなことが起らなくてもいいじやないかと存ぜられまするが、もしこの機構に現在なお何らかの及ばざる点がありまするならば、これらの点をよく御検討になつて、総合的一元の運用ができますように、大蔵省と郵政省が仲よくこの問題が解決し得られまするように、その調整機関としてこれを利用するということに、御努力願つた方がいいのではないか。その意味におきまして、なおこの制度をよく再検討なさいまして、この際官民双方、特にこれは民間の諸団体の希望もございまするが、民間方面からも十分有能な人士をなお選任増加していただくというようなことがあり、そうして大蔵省、郵政省両面及び民間あるいは学識経験者が、そこにほんとうに知能を総合して、この完全なる運用をしていただくということにお願い申し上げたいと思うのであります。  大体以上私は個別的に意見を申し述べましたが、結論といたしまして、私は今回の問題はあくまでも国民経済全体の立場から考慮すべきであるということ、それから簡易保険創設時の御趣旨は私もよくわかつておるのでございますが、しかし今日、戰争中資金運用が大蔵省に一元的に統合されましたときと比べて、現在が重大時局であるという点はかわつていない。いな戰時中、戰争に勝つために統合されましたが、現在、戰後のこの占領政策が終つて講和条約発効となりまして、独立国家として将来国運を打開し再建して行くために、今こそほんとうに官民一体となつて、国民こぞつて祖国再建、新しき日本の建設のために努力しなければならないのであります。それには国民全体が物心両面の結集を必要といたします。その最も必要な国民経済再建のために、産業を興すために、民間資金とともに国家資金の必要がいよいよ重大性を帯びておるのであります。でありますから、この重大なる時局の解消いたしますまで、この問題はしばらく見送つて、そうして先刻大蔵委員宮幡委員からも仰せられましたように、しかる後にこれはほんとうによく慎重に考えて行くということが、私は妥当ではないか、こういうふうに考えるのであります。
  22. 佐藤重遠

    佐藤委員長 次は日本経済新聞社論説委員長友光正昭君にお願いいたします。
  23. 友光正昭

    ○友光参考人 私は結論を先に申し上げますと、主として財政資金の総合運用という建前から、この簡易生命保険及び郵便年金積立金運用権を、郵政省に移管するということに反対であります。  この提案理由を見ますと、簡保積立金郵便年金積立金を確実で有利な方法により、かつ公共の利益になるよう運用する、あるいは経営を健全ならしめるというようなことが書いてありますが、では現在の資金運用部による運用が不確実で有利でないのか、あるいは公共の利益にならないのかということが想像されるのでありますが、もしそのようなことがありますれば、これはたいへんな問題で、ひとり簡保とか郵便年金とかいう問題だけではないのでありまして、資金運用部全体として改善しなくちやならない。しかも簡保あるいは郵便年金積立金だけを郵政省に移管することによつて、はたしてその有利確実とか、公共の利益とか、経営の健全化ということが、現在以上にはかれるという保証は私には了解し得ないのであります。そういう字句にこだわることはやめまして、この反対の理由を、第一に実質的運用という点から考えますと、運用権を郵政省に移管しましても、はたしていわゆる自主的に運用する余地がどれだけあるのか、私は非常に不可解に思うのであります。この法律によりましても、簡保積立金は契約者に対する貸付以外は、地方債運用するということが書いてありますが、現在この地方債は、わくというものが大蔵省なり地方財政委員会なりによつて決定されておる。郵政省の方としましても、おそらくこのわくを無視するというようなことはないでありましようが、そうするとはたして自主的運用ということの余地がどこにあるか。もつともこのわくの中で自主的運用をするということになれば別でありますが、その場合にも、郵政省として独自の立場から、独自の考えによつて決定するということは非常に困るのでありまして、おそらく郵政省としてもそんなことは考えていないだろうと思います。ことに二十七年の見込みなどを見ましても、地方債起債総額というものは、おそらく簡保積立金以上の大きいものだろうと思います。そうすると、結局簡保積立金でも地方債を引受け、他の資金運用部資金でも地方債を引受ける。そうすると両方で、まさか同県は簡保の方、何県はそうでないとなわ張りをきめるわけにも行かないでありましようから、そこで混乱を起すというような危険も多分に考えられるだろうと思います。その点自主的運用ということが、一体はたしてどれだけ現在においてその余地があるか。これが第一に問題であろうと思います。  第二に、地方還元の問題でありますが、先ほどからいろいろありましたから、あらためて申し上げるまでもありませんが、ただ地方資金をもつと充実するという問題につきまして、これはひとり簡保資金だけでは片づかない問題であります。地方債一つつてみましても、簡保寄金だけではなく、それ以上のわくというものが簡保積立金以上の大きなものになつておる。従つて簡保資金をかりにいくら地方還元しましたところで、それによつて地方資金というものが満足させられない。地方資金どころか地方債自身も満足させられないと思いますが、資金の地方還元ということは、單に地方債だけでなく、金融あるいは財政支出という非常に広い面から考えなくちやならない。従つてもし極端に言うことが許されまするならば、それでは地方資金は簡保にまかせるから、ほかの方では知らぬぞと言われたら、地方自治体あるいは地方公共団体の方でかえつて困るのではないか。そういう意味地方還元ということも、簡保資金あるいは地方債だけで解決できる問題ではなく、やはり一般の金融とかあるいは財政支出とか、非常に広い立場から総合的に考慮しなければならない。そういう点でも簡保積立金だけ地方還元した、それで問題は片づいたと言つておられることじやないのであります。  それから第三に有機的契約、資金の運用を有機的に運用するのが当然だというふうなことを聞いておりますが、郵政省で契約をとつて大蔵省で運用するということは、民間の場合、たとえば三井生命で契約をとつて、その積立金を安田生命でやるというようなこととは、性質が全然違うのでありまして、この有機的運営ということは、ちよつとわれわれにははつきりわからないのであります。なお有機的運営において、運用郵政省でやれば、契約がもつととれるというふうなことを聞くのでありますが、この契約がとれるという理由は、一つ郵政省で自主的に運用した方が、契約者に利益であるというふうな考え方を、意識的でないにしても、いつの間にか与えておることがあれば、ただいま問題になりましたように、非常に困つたことでありまして、もし單に簡保積立金地方債引受に用いるということで、契約者がそれによつて自分たちの利益が保護されるのだというふうに、考えるはずはないと思うのであります。従つて有機的運営あるいは郵政省の自主的運用によつて、契約者が今よりも進んで契約をするということは、おそらくないのじやないかというふうに考えるのであります。それからもう一つ、契約が増加するということにつきまして、募集する方の人が非常に張り切るということを聞くのでありますが、現在簡保にしても郵便年金にしても、非常に好成績を上げておることは事実であり、また非常に喜ばしいことでありますが、これはその募集に当る人がほんとうにその仕事に熱心にやつているのであつて、決してそれが自主的運用とかあるいは有機的運営ということを、直接に意識して熱心になつていると考えるのは、むしろ募集する人の努力あるいは熱意というものを、何か汚すのじやないかというふうに考えられます。  以上のよう理由によりまして、昔のように総合運用というような必要が全然ないわけではなくても、現在よりも少かつた場合とか、あるいはまた将来そういう必要性が減少したというような場合はとにかくとしまして、現在においてこの運用権を郵政省に移管するということについては、私は反対するものであります。
  24. 佐藤重遠

    佐藤委員長 以上をもちまして、午前中に予定しておりました参考人の方方の御意見を全部拝聽いたしましたが、これから参考人及び政府当局に対する質疑を順次行います。佐久間徹君。
  25. 佐久間徹

    ○佐久間委員 野口さんに一点お伺いしたいのでありますが、政府の今までの復元理由といたしまて、われわれが了承しておる限りにおきましては、まず両度にわたる国会決議によること、それから次は大蔵大臣の参議院における答弁、次は投資の範囲を地方債に限定する場合よりも、金融債融資する場合を考えたときに、効率運用ができるというようなぐあいに了承しておるのでありまして、そのほかにあるいは聞き漏らしておるかもしれませんが、そういう理由で復元を言われておる。ところがその理由については、今までいろいろ同僚委員からも、しからざるゆえんを申し上げておるようでありますし、それに対してはまことにはつきりした線が出て来てない、というように了解しておるのであります。そこで先ほど野口氏からの話のうちに、その理由一つとして一般に推測されておるやに考えられるのは、簡保の自主運用が保険の募集に絶大な効果があると考えられておるのであります。要するにそれを自主運用によつて一つには募集をうまく有利に展開させるという含みがあるのじやないか、これが重大な理由一つではないかというようなぐあいに考えられるのでありますが、かような場合におきましては、民間保険会社においては、一面において利益を供与すべからずという原則がある。しかるに国家の絶大な信用とあらゆる国家機関を利用する簡保資金の地方還元が、募集の具にある程度利用されて行く、ということであるならば、民間保険会社にとつては重大な問題ではなかろうかと思うのであります。さきに五万円の限度を八万円に引上げ、さらにまたこういうよう考えで、国営簡保を推進して行くというようなことになりますると、少くとも民業を圧迫するというような非難が出て来ないとも限らないと思うのであります。ところが現政府の主張するところは、あくまで自由経済に立脚しておるということを、われわれは承知しておるのであります。そこに非常な矛盾が生じて来るように私は考えざるを得ない。そこでこういうぐあいに、時期にあらずというあらゆる人の言葉があるのにかかわらず、院議をここに至つて取上げて、その時期が今であるという解釈を下した当局のその気持、われわれにもまだよく了解し得ない点があるのでありますが、これはあとで質問して参りたいと思うのでございますけれども、とにかく民間側のこれに対する意見をひとつ徴しておきたいと思う。
  26. 野口正造

    ○野口参考人 ただいま佐久間大蔵委員殿から御質問がございましたが、先刻私が申し上げましたように、まず今回の問題といたしましては、時期的に今国家の一番重大なときであつて、戰争中に大蔵省において一元化されたときより以上に、今は戰争中ではないけれども、戰後の独立国家の育成という意味において非常に大事な時期でありますので、こういう時期に今この問題をただちに取上げるということは、私は適当でないということを申し上げましたが、それと同時に、今佐久間委員からもお話になりましたように、私ども郵政省の方からもいろいろのパンフレツト等をちようだいいたしておりますし、またそのほかからもちようだいいたしております資料等を見ますると、やはり地方還元をしないことが、簡易保険の従業員の方々が現地において仕事をするために、非常に障害になつておるという意味のことが書かれてあるのであります。この点は先刻私が指摘いたしましたように、もしも地方還元ということが行われなければ、郵政省のあの非常にすぐれたる従業員の方々の仕事ができないということであれば、それは結局地方還元ということを、募集の材料にするということ以外には考えられないのであります。しこうしてこれが募集の材料にされるということになりますれば、民間保険事業に対しましては、募集取締りに関する第十六条第一項第四号をもつて、利益の提供を約束することも、またそういうことをにおわせることも、また現実にそうすることはなおさらのこと、これは禁止条項になつておるのでありまして、二十二条によつて法律をもつて罰せられることになつております。そうでありまするのに、この地方還元をしなければ簡易保険方々の志気を沮喪させるとか、あるいはその事業の発展を阻害するというようなことはどうしても私たちとしては考えられないのでありまして、もし万一今のようなこの資金還元ということを募集の材料として、そうして簡易保険の事業成績を上げようというような手段でありまするならば、これは非常に民業の圧迫になることであると思います。ことに今戰後におきまして、いわゆる自由経済主義というものが非常に発達しておる。こういう時代におきましては、こうしたことは全然考えられないことであると思います。現に私は一昨年来簡易保険の超過保険の問題につきまして、当時は占領治下でありましたので、GHQの人々ともいろいろ話をいたしましたが、そのときのGHQの監督官でありましたマネー・アンド・バンキングのチーフのミスター・スミスのごときは、この簡易保険の問題につきまして、根本的に簡易保険のごときは、たとえばイギリスにいたしましてもアメリカにいたしましても、インダストリアル・インシユアランスはみな民営でございます。こういうものは根本的に官営、国営にすべきではないという考えでありましたが、しかし日本といたしましては、現実にこれが実行されている以上、これは今廃止するというわけには行かないけれども、積極的に募集員を使うとか、募集の督励費を予算でもつてとるとか、そういう方法までも講じて、民間事業を圧迫するということはよろしくない。ちようど郵便貯金等と同じように、窓口にもし申込みがあつたときは受取るというふうな、消極的な立場でやるべきであるというふうに、当時ミスター・スミスのごときは言つておりましたが、それが当時の予算にもある程度影響したということを私は聞いております。そういう簡易保険の国営問題そのものについても、一つ考え方があるのであります。しかしこれはもうすでに実行されておるわけでありますから、今とやかく私ども申すわけではございませんが、やはり簡易保険は官営の事業でありましても、民営事業と同じように、あくまでもフエアな経営をやつて行くべきだと思うのであります。民営事業に対しましては、今申し上げましたように、法律をもつてその行為を禁止されておるのが、官業においてはそういう行為をやらなければ、簡易保険の事業の成績が上らないというようなことがかりにありといたしますならば、これは非常にへんぱな特殊な取扱いである。こういう点は、あくまでも議会において、正当な官民平等な公平な一つ取扱いを御審議願いたいと思うものでございます。大体私の申し上げたいことは以上でございます。
  27. 佐藤重遠

    佐藤委員長 宮幡靖君。
  28. 宮幡靖

    宮幡委員 参考人の御出席を煩わしまして意見を承りましたが、私は他の関係で全部はお伺いいたしませんでしたが、私の伺いました御意見を要約いたしますと、変態的な独立運用ということはプラスになるものではない、そういう趣旨のお話と、完全独立運用は、正常経済のスタートするような場合がもし将来来た場合におきましては、それには賛成する、こういうような御意見。それから利回りの問題につきましては、どうも有利確実というようなわけには行かないようである。むしろ裏を返せば、かえつて不利になるではないか。それからただいま佐久間委員から聞かれました、不正募集と銘打つては悪いのでありますが、そういう懸念がある。もつとも平穏な言い方をしますれば、保険募集の取締りに関する法律との矛盾をどうするかということ。     〔委員長退席、佐久間委員長代理着席〕 さらにはこの点はあまりはつきり出ておりませんが、郵政大臣運用計画決定ということは、法理論にはあまり触れておりませんでしたが、実際として非常に迷惑を感ずる。これは私どもは越権だとさえ考えておるところなのであります。こういうふうな問題が御意見の中に現われておりました。そこで私は参考人を煩わして、いろいろな御意見を承ることは、かえつて重複するだけで何らの意義もないように個人的には考える。先ほど私が質問しましたが、委員会の運営上あとに譲りました地方還元の問題につきまして、まだ結論に達しておらぬ。これはぜひ参考人方々のお立会いの上でもつて私は確かめたい。それ以上参考人を煩わして確かめたいような気持は、本日のところ持つておりません。  前置きは省略いたしまして、先ほどからの続きとして率直に申し上げますが、昨日私がお尋ねいたしました郵政省考えております地方還元というのは、いわゆる加入額主義とかあるいは加入地域主義とかいうようなもので、そこで集まつた資金はそこへ還元するというようなことを、少くとも皆さんは考えておるのではないか。そういう方向に行くとしたならば、まず貧弱町村は救われない。国全体の資金計画としますれば、先ほど参考人の御意見の中にもありましたように、財政がゆたかだから全然資金の配分をしてやらなくてもよいという議論にはならぬのであります。資金というものは、必要な場合に必要な量を必要なところへ供給してやる、こういうことが達成されなければ、効率的運用というものが期し得られない。先ほど参考意見の中に、全国九ブロックにわかれた町村長会の組織の中において、たまたまたま一ブロツクだけが郵政案に賛成だということがあつた。その呼び水になつておるのは、どうも地方還元の誤れる観念であろうと思う。局長さんは昨日、速記録をひもとくまでもなく、加入額主義とか加入地域主義とかいうよう還元をするのではない。やはり全般的の起債計画の中においてやるのであつて、さような御心配はない。また都市偏重ということにもならない。実情に即したことをやつて行くんだという趣旨の御答弁でありました。もしそうであつたならば、これに町村長一つ団体、これは任意団体であるかもしれませんが、その団体が血道を上げまして賛成するなどという理由を見出すことができません。郵政事務当局の最高方面においては、さようなりつぱな考えを持つておりましても、末端におきましてはわれわれすでに聞くところによりましても、われわれのところへ来る陳情などを見ましても、さような預金部資金を借りるために地方課、財務課を通ることは煩わしい、局長さんのところへ行つてちよつと話せば借りられる、しかも資金運用部資金と申さず、あるいは郵政省積立金運用等につきまして、従来の一つの方針となつています一口三十万円という單位を、十五万円に下げてやろうというようなことさえ述べられておる。これは大蔵省がどういうふうな考えで、それに同意したかしないかはまだ確認しておりませんが、かような資金を零細化して配分してやる、都合よく貸してやるなどという言葉は、現に私どももその声を耳にしておるのであります。従つて正式に委員会において御答口弁なさいました地方還元の問題に関する昨日の御答弁は、事実とは違つておる。でありますからどういうふうにお取扱いになつてつたのか、そして一ブロツク地方還元の魅力に引かされまして、郵政案に賛成するという根拠を私はぜひ教えてもらいたい。そうしないと、大臣の答弁事務当局考えが第一次に違い、ようやく大臣と事務当局の御意見が一致したるやにうかがえる程度までになつた場合において、さらに昨日順を追うて確認して参りました地方還元の問題が、まつたく事実と相違いたしておる。かようなことにおいては、基本法の第三条、四条の問題、あるいは根本的な変態独立運用に対する反対などというものを、しばらくたな上げいたしてみましたところで、容易にかかる運用にわれわれは賛意を表することができなくなる。でありますから、地方還元ほんとうの気持を、ここで参考人のお聞きになる前で率直に説明してもらいたい。しかもあなたの述べることが真実に正当ならば、どうか全国に向いまして、今日までとられましたあるいは不正募集の原因ともなるようなことや、あるいは善良なる町村長を惑わすような言動は、すみやかに文書をもつてお取消しになる御用意があるかどうか。これもあわせて御返事をいただきたいのであります。
  29. 白根玉喜

    白根(玉)政府委員 地方還元の面につきまして、きよう参考人方々の御意見を聞きますと、ほとんど軌を一にいたしまして、今宮幡さんの御心配になつような面に触れております。しかしこれは郵政省側からそういうことを申した覚えは全然ございません。前々から委員会におきまして、大臣並びに私の方から御説明申し上げたところと、現在私が御説明申し上げるところとは全然食い違いはございません。むしろその意見は、ざつくばらんに申しますと郵政省以外の方面から出したパンフレツトに、そういうことをじやかじやかと書いているのでございまして、これがどう影響したか私よく存じません。また町村会におきましても、二年にわたつて郵政省に復元するということに賛成いたしておつたのに、本年に至りましてこういうようなつたので、私はその経緯もよく知りませんけれども、とにもかくにも郵政省といたしましては、参考人方々が御心配になるような、いわゆる都市集中の結果になるよう地方還元ということは全然考えてはおりません。それからいま一つ、募集との結び合せについて御心配なさつている模様でございますが、私どもといたしましても野口参考人の御心配になるよう運用、貸付をえさにいたしまして募集をつるというよう考え方は毛頭いたしません。また加入者階層のために運用をなるべくやりたいという、その方に還元するといいますか、その方に直接的にやりたいという気持も、市町村を通じてやることでございます。直接加入者に対しまして利をとるという考え方は全然考えておりません。また市町村を通じてやる場合におきましても、郵政省独自でやるわけではないのでございまして、地財委、大蔵省、郵政省と一緒に基本起債方針等につきましては御相談にあずかります。また市町村から三本建の申込みなどをしていただくということは、起債にからむものにつきましてはお願いしない。私どもとしては、地方庁を通ずる書類を通じましてやるという考え方でございます。その意味から申し上げますと、あるいは大蔵省の現在やられているよりも事務簡素化になるのではないか、かようにすら考えている次第でございます。また、どこから借りるかわからないという御心配もあるようでございますが、これらの関係は前々委員会において御説明申し上げましたように、借りる先は最終的には地財委で決定いたしまして、決定に基いて、たとえば郵政省からお借りいたしたいという市町村は、そのときから借入れの書類をお願いすることに相なるのでございます。どうかひとつ御了承願います。
  30. 宮幡靖

    宮幡委員 またまた局長さんの名答弁に会いまして、私の質問の要点をはずれている。そういうことは私は聞いておらない。あなた方は地方還元を、加入区域とかあるいは加入額でもつて還元するというようなことを確かに言つている。そういうパンフレツトはほかのだれかが出したもので、それにぐじやぐじや書いてあると言う。何のためにほかの方面で書きますか。そういうことをしては困るということを心配した方から流れたと言う。これはあなた方の怠慢である。ちやんと、言葉はこれと違うというなら格別ですけれども、ちやんと書いてある。各地方の加入状況において資金を地方還元すると明瞭に書いてあるではありませんか。この内容の説明をどうなさつている。たくさん募集ができて資金がたくさんできれば、学校を建てるときにもこの学校積立金の金でできたんだということで、何となく国民感情によくなつて従つて募集もしやすいとまであなたは答弁している。これを書いてないとおつしやるのか。私の言う要点は、こういうことをしないということを、あなたは明らかに昨日の委員会において、記録にとどめて答弁しているのであるから、こういうことをしないというならば、このパンフレツトの言うことも若干違いがあるのだから、これが判断を誤つていなかの町村長さんなどが小さな考えから、郵便局窓口でちよつとやれば、一時借入金のことぐ簡單に借りられるものと思つて誤れる賛同をしている。その蒙をひらくために、郵政省としてはそういうことをする意思はないという通達をしまして、世上の誤解を招くことを取除く用意があるかどうかということを尋ねている。そのほかの問題につきましては、まだ委員会が続きますからあともつと詳しく伺う。きよう参考人を前に置いて聞くことは、参考陳述に関しましたことに局限しているのです。ほかの答弁は私は求めない。もしパンフレツトに書いたこれがうそであつたならば、うそであつたということを取消されるかどうか。そうして国民の声が世上に現われることを待つて、われわれは国会立場においてゆうゆうと伺う。このへんぱなる独立方式というものを変更いたしまして、こいねがわくば最終的に完成したものを――ただいまのところはいかなる雅量をもちましても、国会議員の識見をもちましてはこの法案については賛成できない。少くとも担当をせられる郵政省の御説明では、われわれはいまだ納得せぬとはつきり言つている。その事実もあげている。これに対する具体的な御答弁はまだいただいておらぬ。私は今日は参考人を前に置いて御迷惑な話だが、地方還元郵政省のパンフレツトの、加入状況に応じて資金を地方還元するということは実際にやらないのだと、きのうの委員会に答えた通りだとおつしやるのだから、それを取消すために全国に通じて国民の誤れる判断のないようにしていただけるかどうか。その点をお答えいただきたい。、言葉は短かくてけつこうです。
  31. 白根玉喜

    白根(玉)政府委員 その字句はもしそういうふうにおとりになるなら、そういう意味ではございません。先般来御説明をいたした通りと全然違いはございません。と同時に、そのパンフレツトは審議の便宜と存じまして、議会方々に御配付いたしたのでございまして、全国的に配布したというわけではございません。通牒を出すとか連絡をとるほどの必要の程度まで頒布しているわけではございません。
  32. 宮幡靖

    宮幡委員 これは私は私の質問が悪いのかもしれませんが、答弁でないと思う。こういうことはしないのだ、少くともこの字句が間違いであるならば、審議の便宜上とわれわれをごまかすよう言い方――われわれはごまかされてもいいが、国民をごまかすことは一大事でありまするから、われわれは地方還元というものは実際においてこういう方法でやる、もし簡單町村長窓口に書類を出せば金が借りられる、今まで三十万円であつたけれども今度は十五万円、この辺にしてやるということで、あるいはその辺の利益があるということまで考えているいなかの町村長さんの頭を冷静にするために、地方還元とはさようなことではない、やはり起債全体のわくがきまつて、そのうち積立金に関する分だけは、單に借入れの決定したそのわくのきまつたものを取次いで金をやるだけだ、こうまでは書けないでありましようが、誤解を除く文書を出して一般的によく知らしてやつてもらうことができるかどうか、それをしてもらいたいがどうか。こういうことであります。その他の御意見はきようは承りたくありません。あとでゆるゆる聞きます。返事をしないと言つても聞きますから……。
  33. 白根玉喜

    白根(玉)政府委員 御趣旨のように御心配の面が、そうおとりになればあろうかと思います。そういう誤解があれば……。誤解があるという御心配でございますから、誤解のないように連絡いたします。
  34. 宮幡靖

    宮幡委員 それでは寺本政務次官に一言向います。この地方還元のことに対します誤解の種となつております原因を、郵政省が自主的にお取消しになる通達をお出しになる御用意があるかどうかだけ……。
  35. 寺本齋

    ○寺本政府委員 取消しの通達を出す気持はございません。ただこの法案が全部通過いたしましたらば、この運用資金について郵政省は、たとえば地方融資の問題はこういう考え方、こういう方式でやろうと思うということだけは、一応法案が通過したらば言わなければならぬと思います。
  36. 宮幡靖

    宮幡委員 私は敬愛する寺本政務次官でありますので、質問はしたくないのでありますけれども、通過したらこういう取扱いをする。これでは残念ながら政務次官のお言葉とも思われない。通過さしてやつて間違いあるかないかということをわれわれは審議しておる。通過させればあとで通達を出す。これではまつたく閉口します。何と言つていいのか私はわからぬ。出さないのなら出さないでけつこうです。きようの御答弁では、そういうものは出す必要はありませんという御答弁ならば、一応了承いたします。別に参考人を前に置いてぐずぐず言う必要はない。ですから私はそういうものを出してもらいたい。出せば――全国の九ブロツク町村長会のうち八ブロツク郵政案に反対であつて、一ブロツクだけが郵政案を支持するという大勢におきまて、われわれは政治的良心から判断してどれに賛成すべきが当然であるか。従つてその誤解の種になつておる原因をとるということが、そしてとつた結果が九ブロツク全部郵政案に賛成だということになつたとしても、決して私どもは悔みません。むしろ喜んでこの案に賛成するところの根拠ができるのであります。従いまして通つた運用を誤たないようにやるというのでは困るのですから、ひとつこの地方還元に対しまする誤解を払拭いたしますように、郵政省の自主的な御通達を出していただけるかどうか。これだけお尋ねします。
  37. 白根玉喜

    白根(玉)政府委員 言葉がちよつと足りなかつたので誤解を招きましたが、通過を条件としてという意味で申し上げたのではありません。通過の後において、われわれの取扱い方針をきめなければなりませんから、そういうことはあり得ると思いますが、今のところ通牒を出して取消す考えは毛頭ございません。
  38. 佐久間徹

    ○佐久間委員長代理 時間も大分経過いたしましたので、午前中はこの程度でとどめたいと存じます。参考人皆様には、御多用中にもかかわらず長時間にわたり有意義な御意見の開陳を行われ、本委員会の法案審査の上に多大の参考となりましたことを心から感謝いたします。  それでは午後一時まで休憩いたします。     午後零時二十二分休憩      ――――◇―――――     午後一時四十一分開議
  39. 佐藤重遠

    佐藤委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  簡易生命保険及郵便年金特別会計法の一部を改正する法律案、及び資金運用部資金法の一部を改正する法律案の両案を一括議題として、午前中に引締き参考人意見を聽取いたします。  ちよつと委員長から資料の訂正を申し上げます。お手元に配付いたしてございます参考人の名簿の中の下村宏君の下に「著述業」となつておりますが、これは誤りでございまして、「学識経験者」と訂正いたします。  午後はまず酒井杏之助君の御登壇を願います。酒井さんは東京銀行協会長でございます。
  40. 酒井杏之助

    ○酒井参考人 私はただいま委員長から御紹介がありました東京銀行協会会長酒井杏之助でございます。私が参考人としてお呼出しを受けました件は、簡易生命保険及郵便年金特別会計法の一部を改正する法律案及び資金運用部資金法の一部を改正する法律案、この両案を御審議になる参考として、私に意見を述べろというふうなお話でございます。私は銀行に勤めておりますので、この法案の御審議にあたりまして、金融という立場だけから私の意見を申し上げまして、御参考に供したいと思います。と申しますのは、私は單なる銀行業者でございまして、いろいろな角度から見たこの法案に対する考えというものは私にはございませんし、まだ法律にはなはだ暗うございまして、この法律案をどうこうという批評はできもいたしませんので、ただこの問題につきまして、金融という立場からどういう考えを持つておるかということを、御参考にお聞きいただきたいと思います。  資金運用部の資金が簡易保険その他で集まつた分を別途に運用するということ、あるいは別途に運用しないで一括して運用した方がいいというようなことが、大づかみに申しまして問題ではないかと思うのであります。それにつきまして金融という立場から見ますと、ここにおられる方はみな大蔵委員方々でありますから、私からいまさら金融はどういうものだというようなことを申し上げるのは、はなはだ失礼でございますが、私は三十年以上も銀行に勤めておりました関係上、皆さんも御承知のことを申し上げることになるかと思いますが、金融ということを取上げて申し上げます。  金融は御承知通り毛細管のようなものでありまして、血液が毛細管を通じてだんだんに動脈に吸い上げられて行く、この吸い上げられたものが全身にまわるということが、血行の運用でございますが、金融というものは血液の循環にたとえられております。こまかい資金をそれぞれ毛細管によつて吸収し、それを運用する場合にはどうするかといいますと、やはり統一のある運用、つまり吸収した血液がからだにまわりますためには、どこにも貧血状態の起りませんように、まんべんなく、またからだ全体としてウエートを考えて、適量な血液をまわして行くということが必要でございます。金融も私の考えによりますとやはり同様でございまして、毛細管によつて吸収された資金は、適量にこれを配分し、適量に国民経済全体にまわつて行くということが必要ではないかと思います。その見地から私ども金融業者から見ますと、簡易保険その他政府で経営なさつておる機関によつて集められた資金は、今では資金運用部の相当の部分を占めておるように承つております。今日は産業界におきまして、まだ民間資金の吸収とか蓄積とかいうものがはなはだ不足の状態でございますので、財政資金のかなり大きな部分を占めておる資金運用部の資金というものは、できるだけ一箇所に集めまして、これを適当に運営、循環させるということが、私は必要ではないかと思うのでございます。今日われわれの期待しますのは、民間の産業に対する資金の欠乏しております点を補う意味で、これをほんとうに有効に活用していただきたいと思うのであります。たとえば今大いに国家の基礎産業として必要でございます電力の開発、あるいは造船資金とかあるいは製鉄の設備の改善、その他石炭の開発、重要な産業の合理化のために、財政資金に非常にわれわれとしてはたよらなければならないのでございまして、民間の資金が欠乏しておりますばかりでなく、民間の資金は大体において短期の預金で成り立つておりますので、これをあまり長期に運営するということは困難でございます。事実今日われわれ銀行が造船資金あるいは電力の開発資金の一部というものを出しておりますけれども、これは変態でございまして、そういう長期の資金は会社のみずからの資本によるか、あるいは社債によるか、あるいは長期の信用機関――最近政府でもその点についてお考えになりまして、長期信用銀行というようなものをおつくりになりましたが、そういう機関国家の最も基礎になるような長期の仕事に、資金をまわしていただくということが必要であると私は思うのでございます。それにしましても、それではそういう機関ができたならば資金が自然に出て来るかというと、出て来るものではございませんで、やはりそこには財政資金というものが相当注入されなければ、せつかくの長期機関ができても、実際の資金がないということでは運営できません。それで私どもとしますと、資金運用部の資金というものは、なるべくこのヴオリユームが大きくなり、しかもそれが統一して運営され、今国全体として最も必要なように運営されて行くということを、希望いたす次第であります。もちろん地方集まつた資金が地方還元されるということは、また必要なことでございますが、これはまたその集まりました資金を地方債によつて地方へ出し、もう一ぺん還元する。その還元の仕方も国全体として計画ができまして、こういう地方には今の日本としてこれくらいの資金が必要である――もちろん今は資金が非常に欠乏しているときでありますから、どちらでも資金は非常に必要なのでありますが、しかし全体の資金の量が不足なときには、まず最も必要なところから順次軽重をつけまして、地方還元するということが必要じやないかと思うのであります。そういう意味におきまして、私は資金週用部資金というものが、簡易保険その他の吸収面によつて吸収された資金も一括して国全体としての見地から運用されるということが、私は金融的に見て必要であるというふうに思います。  ごく簡單でございますが、この法案を御審議なさる参考として、金融立場からどう考えるかということに対する私のお答えは、以上のようでございます。どうぞ御了承いただきたいと思います。
  41. 佐藤重遠

    佐藤委員長 ただいまの酒井参考人の御意見に対して御質疑があれば、簡單にこれを許可いたします。
  42. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 ごく簡單に一言申し上げます。今の酒井参考人のお話によりますと、一言にして申せば、金の運用面は大蔵省預金部の方がよろしいのですか。それとも郵政省という意味ですか。今までの公述では、もちろん大蔵省預金部を中心にしてやるというお話のようでありますが、それをひとつ……。
  43. 酒井杏之助

    ○酒井参考人 ただいまの御質問に対してお答え申し上げますが、国全体の資金の運用というものがあまりいろいろな立場から取上げられることは、一元化を欠くという考えでございます。
  44. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 わかりました。
  45. 佐藤重遠

    佐藤委員長 どうも御苦労さまでございました。  次は下村宏君。
  46. 下村宏

    ○下村参考人 私が今日参考人に呼び出されたのは、今の状態でこの法律をどうする、こうするというのではなくて、こういう問題の起つた簡易生命保険の資金の運用ということについて、私はこの制度をつくつた当時逓信省の貯金局長をしておつたのでありまして、こういう機会にその本来の性質を述べておくようにという意味で、私がここへ召されたわけと考えております。  これは資金の運用のため、資金を集めるというために簡易生命保険の制度をつくつたのでもなく、また簡易生命をやることによつて、資金を獲得して財政に寄与しようという目的で、この制度はできたのではないのであります。日露戰役の直後幸徳事件というのが起つたのであります。これは年輩の方はすべて御承知であろうと思いますが、朝野ともにこうした危険思想に対して、どういうような対策を講じてよいかということについて、相当いろいろの問題が起つておりました。私はベルギーへ貯金の研究で留学をしておりまして、日露戰争が起つたために呼び返されて帰朝したのであります。そのときにベルギーの貯金制度は簡易保険と同時に行つておりまして、そうしてこのベルギーの各都市では、やはり社会政策として労働問題に非常に重きを置いておつたのであります。それで簡易保険というのは名前でわかるように小口の保険であります。いわゆる第三級を相手にしておるので、中流なりまた資力のある階級を相手にしておるものではないのであります。いわゆるインスペクシヨンでただ簡單に見ることとして、この第三級の下級の人を相手に保険をする。しかもそれは何のためにするかというと、保険そのものによつて本人の将来の安定をはかるばかりでなく、同時に金によつて労働者の、つまり第三級者のための家屋をつくる。これにほとんど重点を集中しておつたのであります。この事業を始めて、この簡易保険に入るということが、めいめいが家屋を自分の手に入れる第一の条件にしたのであります。そうすると私が家屋を持ちたいと思うときには簡易保険に入るのであります。これに入つておりまして、月がけでその家のなしくずしの金と、それからまた同時に生命保険の保険料を合せたものを払つて行くのであります。そうすると相当の歳月を経て全部納まつてしまえば、その養老保険の金が入りますから、それによつて同時に払い込んで家屋の持主となることができます。また中途で病気その他の事故で死にますと、今度は保険金が入りますから、その保険金で今までなしくずしに払い込んでおつた残額を充当して、その遺族がその家の持主になることができるのであります。私はその制度をみやげに持つてつて東京の帝大の講演に持ち出し、また国家学界雑誌に載せたのでありますが、たまたま今のような事件が起つてつたので、そのときにまだ野におつた平田東助氏が、私からその話を聞きとられたのであります。次いで桂内閣で平田氏が内務大臣になつたときに、どうしてもこの制度をやれというので、私は保険には全然無縁の者でありましたが、ベルギーの先例によつてこの小口の保険を始めたのであります。当時は各生命保険会社の反対もあり、ほとんど十年以上もみ合つたのでありますが、政府も相当かわりまして、結局この制度をやるというので、この制度を始めたときに、ちようどあの済生会というのがやはり桂内閣によつてできたのであります。大正四年にその議が熟して、政府から提案することになつた。いよいよ議会に出るときに、私は台湾の民政長官に転任することになりまして、議会でこの案を説明することにはならなかつたのであります。それにかわつて説明されたのは松本烝治君であります。この案を提案するときに委員会ができまして、高橋法制局長官がその委員長となり、各省から委員が出まして、法制局からは馬場鍈一、松本烝治の諸君が出、逓信省からは私、農商務省から岡実、文部、内務、ことに司法省からは後の政友会総裁になつた鈴木喜三郎君が司法次官で、山内君が民事局長でありましたが、それに大蔵省からは主計局長でありました市來乙彦君が委員になつてつたのであります。結局この案を採択して、日本の社会政策の上に将来の社会問題の解決、社会保障の意味でこれをやる、だからこの資金を流用して、残りが多くなればそれをその契約者に払いもどすということが、この法案にも出ておるのであります。また余るぐらいであれば、少しでも月になしくずしにする金を減らすという、どこまでもこういう制度によつて大衆の生活の安定を得るように努めるというのが、この制度の趣旨であります。議会の当時の速記録を見ても、箕浦逓信大臣その他政府委員答弁質疑、すべてこの議事録に今申し上げたような趣旨が現われておるのであります。ただ私としてはなはだ遺憾に思うのは、この家屋問題にもう一つ力を入れるべきものが、今申したような事由でできたにかかわらず、それほど使われなかつたということであります。当時大蔵省で市来局長は、その資金は預金部ですべてまかなうということを希望条件として言いましたが、他の委員諸君、ことに松本、馬場、鈴木司法次官その他いずれも時局の解決というか、日本の将来の社会問題解決の意味で、この資金の運用はやはりその事業を営むところへまかさなければいかぬというので、あの当時の原案になつたのであります。これは言うまでもなく、租税であつたら黙つてつても出すのであります。あるいは郵便は出すなと言つても出したい者は出すのであります。電話でも電信でも必要があつて出すので、出せと言つて奨励する性質ではないのであります。けれども保険というような制度は、やはりこつちから勧めなければいけないのであります。めいめいが努めて勧誘して入れるんだ、お前ら入れて金を集めろ、おれの方で使つてやるというのでは一貫しないのであります。いずれもみな勧誘ということに力を入れるということが、いわゆる収入とその奉仕というものが相伴うからこの仕事が発展するのであります。私どもできてから間もなく台湾へ移り、それからあと十六年から朝日新聞におりましたから、今日に至るまでこの仕事には直接触れておりません。  それから何ゆえに預金部資金運用委員会というものができたか、預金部の問題については当時、いろいろ意見がありまして、私どもが時の浜口雄幸氏に数回話した結果が、この預金部資金運用委員会なつたのでありまして、いずれにしても入つて来る金をいかにしてより多く集め、またより多く大衆のために何がしか社会保障の趣旨を徹底し得るかという点から考慮しますと、いろいろの政策は政府または民間にもあり得るのでありますが、とにかく簡易保険はそういう意味でできたから、またああいう特殊の運用委員会もできておつたのであります。それが聞くところによると、戰になつてから大蔵の方へ移り、また今度はすでに本会議でも法案が通つたとかいつておりますが、私はその問題の是非についてかれこれ言うのではなく、また時の移りによつてこれは終始一貫すべきものではないでありましようが、ただだれが見ても日本の社会政策がそれではうまく行つてつたかと言うに、この運用がもつとよろしきを得ておつたならば、現状よりもまだ何がしか緩和しておつたのではなかろうか。常に私は筆なり口で、この制度と大衆の家屋という問題と連結して、少しでもこうしたアキユートな社会問題を緩和したい、こういうことを念願しているのであります。私ども先は短かいのでありますから、ただ生きている間にこういう方面に向つては、一簡易保険の問題に限らず、社会保障の問題には十分われわれ余生の余力を尽したい、かよう考えております。
  47. 佐藤重遠

    佐藤委員長 ただいまの下村参考人の御意見に対して、御質疑がありますならばこれを許します。下村先生はお急ぎの事情があるようですから、特に優先的に御質疑お願いいたします。
  48. 奧村又十郎

    奧村委員 一つお尋ねいたします。ただいまの御陳述によりますと、簡保積立金はただいま言われましたような社会政策的な方面に将来運用すべきであるから分離すべきだ、こういうことで、社会政策的な運用ということに結びつけておつしやられたようであります。そういたしますと国家として一元運用ということからして、多少矛盾を来すのではないかというふうに思うのであります。今日民間資金、国家資金とも需要に対して非常に少いのでありますから、その少い国家資金の一元的運用が非常に大切であると思いますが、この点と、それから郵政省でまた別に簡保の契約者の利益交付という建前からして、社会政策的な運用と、これとが矛盾を来しはしないか、こういうよう考えるのでありますが、この点はどういうふうにお考えになりますか。
  49. 下村宏

    ○下村参考人 ただいまのお話の、一元の運用ということと社会政策的ということで、そこに矛盾があつてはならないということはお話の通りと思いますが、今日までこの時局の起るまでは、むろんそういう問題がなかつたから続いて来たのであり、また時局によつて今度大蔵の方に移つた。今日また時局はもうもとしていいというので、このほど衆議院でこれに附帯した法案は通つたと私聞いております。むろんこういう運用ということはお互いが別になつたからといつて、全然お互いが参加もせず連絡もなしにやるものでもなし、またむろんやらぬものと思つておりますが、その辺がこの間に関連をとつて行くものであつて、今までもこの委員会は大蔵なり郵政なり、各方面の人がみなそれに参加しているわけであります。この点のあんばいをするということがその制度であり、また現に内閣にその運用会がまとまつているのも、そのためかと存じます。
  50. 奧村又十郎

    奧村委員 大蔵委員会で今日までしばしばこの点でいろいろ質疑があつたのでありますが、特に郵政大臣などは、従来の国家資金の一元運用の方針は堅持して行くのだ、その一元運用わくの中で郵政運用権を分離するのだ、国家としての資金の運用は従来とかわらぬのだ、従いましてこの簡保積立金運用につきましては、従来の方針通りただその中に地方債その他に、従来の計画のわくの中で出すのだ、こういうことで政府の御方針がきまつているということでお話になつたわけです。しかしただいまの下村さんの御意見によりますと、従来の簡保の経過からかんがみて、行く行くは住宅の建設などの社会政策的な方面に金をまわすのだというふうな、その社会政策的な方面に重点を置かれる。そういたしますと郵政としての方針と、国家資金としての一元運用の方針とかわつて来る。これは調節せねばならぬと思うのでありますが、下村さんの御意見としては、将来はどうしてもこの簡保積立金なるものは、事情が許すならば分離して社会政策的に使用すべきものだ。そこまでわかりましたが、しかし現在としては非常に国家資金の不足している時代、民間資金もまた不足している時代、この不足している時代には一元運用で行かなければならぬ、またその一元運用をくずしてはならぬ時期だ、こういうふうにわれわれは考えるのでありますが、その時期の問題であります。もうすでにその分離すべき時期に到達しているとお考えになつておられるのであるかどうか。この点郵政省考え方とも多少食い違うように思いますが、下村さん個人の御意見でけつこうでありますから、承つておきたいと思います。
  51. 下村宏

    ○下村参考人 私は時期に来ているとも来ていないとも申しておらぬので、また私としては一元ということによつてぜひ一つにせねばならぬということはない。  それからまた住宅ということも大蔵省の運用のときもその問題は起り得る。それから郵政省でやつてつても、地方債なら地方債という中で、やはり今まででも住宅はやつているのであります。将来もやはりやらなければならぬ。私はすべてをそれにせよと言つているのではない。ただ今までやり方が緩漫であつた。もつとその方にいたすべきであつた。それがどうも漏れておつたということがはなはだ遺憾だ。私の希望はどこまでも――今度のような問題が起つたのは私はいい機会だと思うのであります。それでもう一つ考えて、何で一体一元でいいかという意味の中には住宅は当然入つている。現在どこでもアパートをいろいろ建てております。それをもつと簡易保険に連結して――いわゆる恒産ある者は恒心ありで、めいめいが住宅を持つというようになつて来ることは願わしいことであり、各国みなそれを利用いたしているのでありますから、事情の許す限りはそうしてもらわねばならぬ。但し佐藤郵政大臣がどう言うた、こう言うたということは一向存ぜぬことで、ここの調節はむろん政府当局がとらなければならぬ、かように存じております。
  52. 奧村又十郎

    奧村委員 最後に一つお尋ねします。御承知通り政府機関として住宅金融金庫が設置されておりまして、政府の一般会計からもまた資金運用部からも住宅金融金庫に金を流しまして、住宅金融金庫を通じて零細な一般大衆に住宅の建設資金を流しております。結局従来は簡保積立金も資金運用部を通じて住宅金融公庫に流れ、それから零細一般大衆に住宅建設資金が流れている。しかし悲しいことにはこの金がまだ非常に足りないから、希望者十人に対して一人というような割合で流れておりますので、この資金の不足ということが痛切に叫ばれている、こういう事情であるのであります。ただいまの御意見によりますと、簡保積立金郵政の方で、直接いわゆる第三者階級と申しますか、お話のような階級に住宅資金を流すのだ、こういうことになると、住宅資金を二元的に供給することになる。これは私は国全体として見ると非常によろしくないと思う。やはり住宅金融公庫で一元的に流すべきだ、こういうふうに考えるのでありますが、今のお説によりますと、二元的に流すような御意見になると思いますが、その点はそういうふうにお考えになつておられますか。
  53. 下村宏

    ○下村参考人 私は、一元的にせねばならぬとは思つておりません。また現在もそうじやないと私は思つております。つまり住宅の金庫へ貸しているのもあれば、現在やはり地方債なり何なりによつて、それを通じてその金で地方団体が住宅を建てておる。だからこれは見方によれば、現在がすでに二元になつているのだ。それからまた住宅の金庫は、それはそれでやつて行くことをとめる必要は何もないので、めいめいがとにかく一つの恒産なりで、みな家屋の持主になるようにならなければいかぬ。ことに現時の日本では住宅が不足しておるのであります。これは何も下級階級に限らず、すべての階級が家が足りないのであります。あらゆる方法で多元的に、どこからでもその道があれば講じなければならぬ、そういう意味であります。
  54. 宮幡靖

    宮幡委員 私の質問はきわめて簡單でありますが、下村先輩の御意見は私は非常にいい言葉のあるのを拝聽してまことに喜ばしい。ただ残念ながら――私は先生の部下でありました松本烝治先生から教えを受けたずつと後輩でありますので、法律の話をすることは恐縮でありますが、実は今簡易保険積立金分離運用ようという法案自体が、下村先生の述べられた意見よう法律になつておらぬ。この点が一点。それから、もしこの法律による運営をいたしましたならば、御指摘の住宅の建設を促進し、恒産を持てるいわゆる家主となれることによつて庶民階級の生活の安定をもたらす、こういう効果的資金がふえるというお見込みの御意見でありますが、私どもは率直に申せば、この法律運用しましても、特定の住宅として考えましても、あながち資金量が増大し、その方面に社会政策的のよき効果をもたらすものであるかどうかということに非常な疑問がある。ただいまの法律を中心といたしますと、先生のようなお考えの骨子に合う法律でない。完全分離運用でない。いかに多元になつてもかまいませんが、完全分離して運用するということになつておらない、ただちに資金野が増大しない、こういうふうに認めておるのでありますが、その点はどんなふうにお考えになつておりますか。
  55. 下村宏

    ○下村参考人 初めのお尋ねは……。
  56. 宮幡靖

    宮幡委員 もう一度申します。先生の御意見よう法律が組み立てられておらない。つまり中途半端なもので、積立金を完全に別個に運用するのだというシステムになつておらぬ。積立金だけは管理するが、運用は全体の計画の中において、周知のように、地方債等の起債許可権限を持つております大蔵省財政委員会等におきまして決定されたわくである。いわゆる先生の御意見よう運用されない法律をつくろうというわけです。それでありますから、御意見はよくわかるのでありますが、その内容がこれに伴つていないと思いますが、いかがですか。
  57. 下村宏

    ○下村参考人 お答えしますが、それだつたら私たち意見ように、あなた方がしていただきたいということであります。
  58. 宮幡靖

    宮幡委員 ただいまのような冗長な法律におきまして運営いたしまして、はたして住宅建設資金というものの供給量がふえるというお見通しですか。
  59. 下村宏

    ○下村参考人 これもふえるようにしなければいかぬということで、問題はこれからの資金状態ですが、たとえば外資が入るとか入らないとか、あるいは朝鮮問題の傾向がどうなるとか、こういうことを今みな議論はしておりますけれども、これがものの半年もたたないうちに、あるいは一年もたたないうちに、一体世の中がどう動いて行くのか。現状、資金がどうこうと言つておりますが、従つてわれわれはあるめどをつけてやつて行かなければならぬ。それから先の事態は、極端に言えばどういうような変事が起らないとも限らないのでありますが、ただ私たちはそういうめどで進みたいという希望であります。
  60. 宮幡靖

    宮幡委員 もう一点お確かめ申し上げておきますが、現在提案されておりますところの審議中の法律案では、下村先生のお考えになつておりますような理想的な運営は困難だ、だからそういうふうにしたい、こういう御意見と拝聽してよろしゆうございますか。
  61. 下村宏

    ○下村参考人 それがほんとうに困難なのかどうか、中身の法理の解釈はどうなるかわかりませんが、これをそういう方面に向けたいという私の希望には、皆さんもおそらくあまり御反対はないと思う。だから、そういう方に向けるように、郵政なり大蔵の当局を十分御鞭撻を願いたい。
  62. 宮幡靖

    宮幡委員 よくわかつて参りましたが、がんじんなことでありますから……。現在の分離運用をしようという趣旨では先生の御意見ようにならない。むしろ先生の御意見ようならば、もつとはつきりと分離運用すべきだ。分離運用するという根本の趣旨に対しては、私どもは時勢が許すならば基本的に賛成なのであります。中途半端な実際的の辻用の効果が上らない法律は、今つくるべきではなかろうと私はひそかに考えておるのであります。こういう意味で御意見を伺つたのでありますが、その点をはつきりお教え願いたい。
  63. 下村宏

    ○下村参考人 これは黒と白というので、一方にやつたら一方にもやらなければならぬという問題で、中途半端だつたらどうしてもいかぬというのも一つの見方でありましよう。それからまた中途半端であつても、その方向に少しでも動いてやつて行くのがいいじやないか。もしも今法律ではつきりわかつことができなければ、一部でもその方へ向けば、前に私が申した方向に向いて行く、かように私は考えております。
  64. 佐藤重遠

    佐藤委員長 ほかに御質疑はございませんか。――それでは次に移りますが、下村参考人には、御多用中のところまことにありがとうございました。御退席をお願いいたします。  次は笹川重雄君。笹川君は、全国逓信従業員組合中央執行委員でいらつしやいます。どうぞ御登壇をお願いいたします。
  65. 笹川重雄

    ○笹川参考人 私は、委員長から御紹介にあずかりました全逓信従業員組合の笹川重雄でございます。ただいまから資金運用部資金法の一部を改正する法律案、並びに簡易生命保険及郵便年金特別会計法の一部を改正する法律案につきまして、参考人といたしまして意見を述べさせていただきたいと思います。  この両法律を改正する法律案に対しまして、結論から先に申し上げておきますが、私は賛成でございます。なおでき得るならば、この問題が過去長い間国会において討議されました経緯にかんがみまして、なおまた、私どもが国の権威として最も敬意を表し、最もその尊厳を確信しております本十三国会におきまして参議院並びに衆議院において全会一致の決議案が通つている経緯にかんがみまして、この内容の施行期日は少くとも本会計年度において実施せられるように、皆さん方の慎重なる御審議を期待してやまない次第でございます。以下これに対しまするところの意見を申し述べてみたいと思うのでございます。  理由といたしまして、簡易生命保険並びに郵便年金事業の経営方針は、私どもは事業の創始の趣旨から考えまして、爾来三十有幾年、郵便年金につきましては二十有幾年の経営の過去から考えまして、私どもは次の三点であらねばならぬと思つておるのでございます。すなわち事業そのもののために、確実でありかつ有利に運用すべきことである。二番目といたしましては、加入者階級の利益のために、社会公共事業にこれが奉仕をされなければならない。第三点といたしましては、地方還元する建前をとらなければならない。この三点が少くとも経営の基本方針であらねばならないと、私どもは確信をいたしておる次第であります。  さらにこの法律改正にかんがみまして、第十国会において資金運用部資金法の制定の当時の国会の審議の状態から考えまして、さらにまた本日ただいまの参考人並びに委員各位の討議の内容から見まして、私は大きな点を感ぜざるを得ないのであります。質問その他を拝聽いたしておりますと、この積立金の性質が国家資金あるいは財政資金という性格のもとに、論ぜられておるということであります。なるほど資金運用部資金法のある現在におきましては、国家資金あるいは財政資金というような性格を根本的に否定するということは、あるいは無理かもしれませんけれども、私どもはこの積立金の持つ本質というものは、決してこれは国家資金でもなければ財政資金でもない。すなわちこの積立金は加入者の積み立てた金でありまして、あくまでも加入者のものである。言いかえますならば、加入者の信託財産であるというのが、この持つ本質であると私どもは理解をいたしておるのでございます。従いましてこの資金を国家財政資金として運用すべきものではない。これがこの資金の、積立金の持つ本質だと私どもは解しておるのであります。また過去長い間の運用方針は、少くとも大蔵省の預金部にこれが統合せられるまでは、これらの精神は貫かれておつたものと、私は確信をいたしておるのでございます。すなわち国の財政資金としての性格を持たして運用することは、簡易生命保険並びに郵便年金事業創始の意義をまつたく没却いたしまして、その本質を誤まるものであると私どもは理解をいたしておるのでございます。従いましてそういう理解の上に立ちまするならば、資金運用部資金法の中にこれを包含して運用するということは、あるいは言葉が極端になるかもしれませんけれども、邪道ではないかというような私ども考えを持つておるのでございます。従つて全逓信従業員組合といたしましては、また二十六万の郵政従業員といたしましては、一日も早くこの資金が資金運用部資金法わくからはずれまして、本然の姿にもどつて、事業経営者の手にもどる。言いかえまするならば、郵政省にもどしていただいて、郵政大臣の管理と運用のもとに、もつぱら社会政策的事業に使用さるべきものである、このよう考えておるのであります。従いまして簡易生命保険並びに郵便年金事業の続く限りは、この方針に未来永遠にかわつてはならないものであり、またこれに携わりまするところのわれわれ従業員といたしましては、これをあくまでも死守しなければならぬ立場にあるものと、私どもは理解をしておるのでございます。  委員会の御審議の状況を拝見いたしまして私ども郵政省の手により、要するに郵政大臣の手により管理運用することになりますと、まず直接にどういうことが言えるかということを、私どもは一応考えてみたいと思うのであります。これは保険年金に加入する人の立場になつてみますと、自分たちのかけました掛金が、直接その身近な自分の生活、あるいは自分の環境に結びついた施設に利用されるということは、非常に嬉しさを感ずるだろうと私は思うのであります。つまりこれが社会公共施設として奉仕され、たとえば目分の村に学校が建つ、あるいは住宅が建つた――ただいま下村先生から住宅の問題が出ましたが、住宅がどんどん建つて行く資金が、少くとも自分らのかけた金がそういう方面に使われておる、あるいは最近非常に台風等によりまして災害が出ておりまするが、そうした災害復旧によつて橋も直り、道路も直り、あるいは護岸工事もできる、あるいは港湾施設も完備するというように、自分の身近のこうした復旧状態が、自分のかけた金からおもにまかなわれるということを感ずるならば、おそらく郷土の発展、郷土の開発ということに関心を持つところの国民というものは、非常に嬉しさ、あるいはそうした感じを持つことは当然だと思うのであります。その金が十分に認識されることが、事業の発達の上において非常に効果があるものであると、私どもはこのよう考えておるのであります。従いまして国営事業でありますところの簡易生命保険並びに郵便年金の事業が、国民の協力によりまして、国民多数の理解の上に立つて発達するならば、おのずからそこに資金というものが蓄積せられるということも、また当然といわなければならぬのであります。大蔵省の資金運用部の手によりまして融資せられまするならば、こういう点はなかなか明確に行きがたいのではないかと、私どもは見て起るのであります。  それからよく窓口二つになることは煩瑣だというような御議論もあるやに、私どもは承るのでありますが、私どもが日常生活にいろいろ経験することでありまするが、一つのものでやりますと、とかく独裁になり専制になつて、親切味がないのであります。この事業ができまして、たしか大正八年から運用事務が開始されたように記憶いたしておりますが、長い二十数年の間、当時の逓信省によりまして融資をされまして、非常に親切で非常に簡便で、そして非常に手ぎわよく、いわゆる地方公共団体融資されてあつたと、私どもは自負いたしておるのであります。従いまして多数の地方自治体から感謝の念をもつて迎えられたことは事実でございまして、これは長い過去の実績を御検討を願いますならばおわかりになるのであります。これを一つの手でやりますと、非常にわがままで、俗に言ういばるとか、あるいは権力を振うというようなことが出て来るのでありまして、私はしからば大蔵省がそういう態度をとつておるかどうかというようなことにつきましては、あまり触れたくないのでありまするが、しかし私どもが耳にする限り、必ずしも親切でない。どんどんと陳情をしなければならないというようなことも耳にしておるのであります。しかしそういうことは私本日は触れたくはないのでありまするが、郵政省の伝統であるところのいわゆる奉仕の精神と申しましようか、サービスの精神というものは、過去の実績によつて輝いておりますし、今後郵政省の手によるならば、この点は大いに強調せられて、地方自治体は非常に喜ばれることであると、確信を持つておるのであります。  それから従業員の志気高揚の問題でありまして、これも委員会の討論において御審議の中にあつたやに聞いておるのでありまするが、郵政省二十六万の従業員は、この運用権が大蔵省の手にもどりましてから今日まで、長い間非常に残念に思つておるのであります。寝ても夢の中に画くほど残念に思つていまして、これがわれわれの手によりまして運用せられるならば、志気が大いに高揚いたすことは事実であります。さらにそれが仕事の上に、能率の点におきまして、その他の点に大きく反映することは当然であります。それから何か募集と運用というものの問題について、いろいろと論議せられておりました。なお午前中の参考人等も、これらについて触れておられるようでありまするが、何か運用することをえさにして募集をしておるかのごとき、われわれは印象を受けるのでありますが、それはとんでもないことでありまして、運用事務というものと、融資事務というものと、募集事務というものは、おのずから画然とわかれておるのであります。しかし長い過去におきまして、先ほども申し上げましたように、いわゆる自分の村の学校あるいは橋梁その他住宅等の金が、保険の金でできておるというようなことを国民が知つておりまして、この奨励事務に従事するいわゆる局員に、いろいろ質問等のあることは事実であります。質問を受けた場合には、それらに回答することはわれわれ公務員としての当然の義務と考えておるのでありまして、これを募集のために利用するというよう考えは、毛頭持つておらないのであります。何か民間生保等におきまして、さも郵政従業員がそういうようなことをしておるようなふうに、お考えになつておるものといたしますならば、これは誤りでございます。  さらに私どもはこの運用郵政大臣の手に管理運用することが、利益の増大になるのでありまして、すなわち運用収入というものがふえます。少くとも現在よりはふえると私どもは確信しております。その他死差益、いろいろの経費でありますが、要するに利益金というものは、契約者に返すのが建前であらねばならぬと思うのであります。簡易生命保険も過去におきましては長期還付金といたしまして、これを契約者に返しておつたのでありますが、最近におきましては遂にこれが停止された。そうしてこれの運用権が返り、事業がますます発展いたしまして収入が増大するならば、再びまた長期還付金制度の創設というものも考えられるのであります。さらにまた直接的にはこうした経費が出ますならば、かつて大正十一年から全国の枢要の地に簡易保険健康相談所というものを設けまして、三百数十箇所あつたやに記憶いたしているのでありますが、いわゆる保険の加入者を対象といたしまして、国民の健康保持増進上非常に役立つたのであります。もしそういう経費が出るならば、将来そういう方面にも施設をいたしまして、国民の体位向上、福利増進、健康増進の上に役立ち得るということも考えられるのであります。さらにまた従業員の待遇改善、あるいは施設の改善等ができまして、さらに一層加入者にサービスをよくすることができる。このように私どもは解しておるのであります。  なおこれにつきましては、吉田内閣ができまして、たしか第十国会の当時だと記憶しておりますが、まだ占領軍がありましたときに、いわゆる大蔵大臣並びに郵政大臣の名前をもちまして、総司令部に懇請書を出しております。さらに吉田総理大臣の名前をもつてこの懇請書を出しておりますが、ここにもいわゆる均衡予算をはかる上にも必要であるということが、強調せられておるのであります。いわゆる特別会計でありますために、均衡予算をどうしてもはからなければならない。こういう意味合いからも、この運用再開というものは必要であるということを、強調いたされておるのでありまして、さかのぼりますれば、芦田内閣時代にも閣議としてこれが決定をされ、さらに吉田内閣におきましても数回にわたつて決定をいたしておるのでありまして、この問題は日本の国策であるというふうに、われわれは理解をいたしておるのであります。私どもの最も尊敬を払い、権威あるものと確信しております国会におきましても、数回にわたつて決議がされておる事実を見ましても、これが郵政省の上に復元することが、これは当然であるというふうに考えておるのであります。  さらにこの委員会の御審議の状況を拝見いたしますと、分離運用というお場言葉が使われておるのでありますが、私ども分離運用ということでなくして、運用の復元だというふうに考えておるのであります。さらに先ほどどもの最も尊敬いたします、しかもこの事業の生みの親である、あるいは育ての親でありますところの下村先生の当時のお話を拝聽いたしまして、非常に参考なつたのであります。これはたしか大正五年の第三十七議会であつたと思いますが、国会の御審議の過程から、非常に私どもの感銘を深くしておるものがあるのであります。当時の状況をちよつと思い出しまして、吉植庄一郎議員から、零細なる地方資金を集めて、これを中央の金庫に集中するは、一層地方金融を枯渇せしめる結果となる。資金運転に関する政府意見いかん、という質問に対しまして、箕浦逓信大臣は、資金はもちろん一般財政の施用に供するがごときは絶対に避くべく、あるいは産業組合その他に貸し付け、あるいは細民のために貸長屋を建てる等、もつぱら社会政策の事業に使用する、と答弁をせられておる。さらに吉植庄一郎議員は、資金を財政の用に供せざることは言明せられたるところなるも、永遠にその意思を貫徹するため、法律上に厳重なる資金運用の規定を設くるを必要と信ずる、という質問をせられたのであります。これに対して当時の逓信大臣は、法文に規定するは、ただに法を複雑ならしむるのみならず、他日違反の行為あらば、いわゆる行政監督権を有する議会においてもこれを責むる力を有し、国論もこれを許さないのであるということを答弁せられておるのであります。すなわち当時この資金を財政資金として利用するならば、違反行為であるとして逓信大臣は御答弁なすつておるのであります。私どもはこの精神は今日もなおかわらず、これを貫くべきであるという、ふうに考えておるのでございます。  さらに申し上げれば長いことでありますので、内容をごく簡單に要点を申し上げますが、この問題が国会に討議せられましてから、これは非常に大きな政治問題となつておるのは事実であります。これは今国会ばかりでもございません。第十国会におきましても同様であります。しかしこの問題が郵政省の手から離れた、いわゆる戰時中において大蔵省の手に移つたことにつきましては、私どもはこのように理解をいたしておるのであります。すなわち大蔵省はこの事業の創始当時から、この資金運用をしたしという野望を抱いておつたというふうに、私どもは見ておるのであります。その野望をときの軍部の力と結託いたしまして、軍部の力を利用いたしまして、郵政省の手からこれを強奪したというふうに、われわれは解釈をいたしておるのであります。当時この大蔵省の手に参りましたときの輿論というものは、地方自治体はこぞつてこれが復元を要請いたしました。さらに日本が戰争に負けまして、占領軍が参りました。いわゆる昭和二十一年一月二十九日付の総司令部の経済科学局長マーカツト少将から、大蔵大臣にあてられました指令によりまして、さらに大きく制限をされることになつたのでありますが、私はこれに対しても非常に不可解に思つておるのであります。少くとも日本政府としてやるからには、当然当時の逓信大臣並びに事務当局というものは、それらの相談にあずからねばならなかつたと思うのでありますが、私の知る限りにおいては、当時の郵政大臣は全然知らない。郵政事務当局は相談にあずからない。いわゆる予算編成権を握るところの大蔵省の一方的な意思によつて、この指令が出されたのじやないかというふうに考えておるのであります。さらに第十国会におきまして、いわゆる資金運用部資金法が討議せられました当時に、いわゆるドツジ書簡というものが出されたのであります。これらの御討議につきましては、おそらく委員の皆さん方のまだ御記憶に新たなことと思うのでありますが、この問題につきましても、大蔵大臣が懇請をして、それによつてこれが出されたものであつて、この書簡によつて政府並びに国会は拘束されるものでないという意味のことを、大蔵大臣が御答弁されておる次第であります。しかしこのドツジ書簡当時は、閣議においてもこれを郵政省にもどすということが決定され、予算等の措置も郵政省の手によるところの予算措置が講ぜられておつたものと、私は理解しておるのでありますが、それがこのような結果になつて、少くとも当時の担当大臣に何らの御相談もないというあり方は、これは少くとも大蔵省の、いわゆる大蔵官僚の長い間の権力を集中せんとするところの野望がここに出ておつたものと、私は見なければならぬのであります。  さらに過去のことはおきまして、今回全逓信従業員組合は、この郵政省復元問題につきましては、全組織をあげてわれわれは運動をいたしておるのでありまするが、この運動の過程におきまして、私どもは大蔵省の、大蔵官僚のやり方について最も遺憾であるところの事実を持つておるのでございますが、以下これからその事実につきまして、皆様方の御参考に供したいのでございます。  いわゆる大蔵省の立場において、この権限を持ちたいと希望なさることについては、私どもは別にとやかく申す意思はないのでありますが、私どもの組織といたしまして、最近今国会の末期におきまして、地方の自治体から郵政省復元に対して、非常な反対の陳情が国会にあるということも承知いたしております。また議員各位に対しても、そういう電報、書面が続々来るということも承知いたしておりますが、どうも私どもとしてふしぎでならない。地方自治体は過去において郵政省への復元については、非常に賛成し御協力なさつたのに、今国会においてはどうしてそういう事実ができたのかということをふしぎに思いましたので、全組織をあげて知り得たその最も代表的なものを本日持つて参りましたので、御参考までに申し上げたいのであります。  新潟県会におきましては、本年の二月二十九日、簡易保険並びに郵便年金積立金郵政省による運用再開促進の決議をいたしたのであります。ところが大蔵省資金運用部が、同県の三面川電気事業費その他の起債について、考慮しなければならないという意向を示して圧力を加えたために、四月十四日同県会議員二、三名が急遽上京いたしまして、大蔵省に陳情陳弁これ努めておるというふうに、郵政省賛成することによつて、大蔵省が権限を不当に濫用しておる事実があるのであります。  さらに川口市におきましては、当面する市債の借入れにつきまして、かねて関東財務局に陳情したところが、四月八日に同財務局員が訪れまして、四月十一、十二の両日、千葉市において開催される関東市議会議長会議において、郵政省への運用復元運動に反対する議案を提出することを慫慂いたしたのであります。このために同市会議長は、自分の市の起債のためにこれを急遽上程したというような事実も、私どもは知つておるのであります。  さらに徳島県の那賀郡の橘町三笠旅館におきまして、四月十四日同郡の町村長会議が招集されまして、高松財務局から係員が参つております。その係員の名前もわかつておりますが、本日は名前は伏せておきます。その係員が臨席いたしまして、各町村から提出された起債の申請書を示しまして、お前の方には何百万円、お前の方には幾ら幾ら許可するから、そのかわり郵政省復元反対の方に判を押してくれといつて起債の承認と交換に判を押させている事実があるのであります。これ明らかに官権の濫用であると私どもは見ておるのであります。  さらに昭和二十七年四月十七日午後五時から、札幌放送局の地方ニュースとして、高田札幌市長は昨日東京から札幌に帰り、本日、上京中の模様などについて次のように語りました。札幌の市議会簡易保険積立金地方還元してほしいと決議し、その意見書を関係大臣に提出したことについて、大蔵省の一部で不満の態度をとつておる者がおり、そのためにこのたびの札幌市の起債許可額に、影響を及ぼすのではないかと心配している者もいる。こういうふうに札幌市長が、東京から帰りまして語つたことが、ローカル放送で放送されているのであります。かよう地方自治体の責任者が上京して参りますと、郵政省賛成する者については圧迫を加えている事実があがつているのであります。  さらに本年の三月、これは日にちが明確になつておりませんが、広島財務局の某課長、これも名前はわかつておりますが、本日は特に伏せさせていただきます。その某課長が山口県の徳山市を訪れまして、簡保年金積立金運用権の郵政省復元に反対しろ、もし郵政省支持の決議を陳情すれば、平衡交付金その他当面の起債の申請の許可について考慮せざるを得ない。反対したならば、その写しを当局――当局というのはおそらく広島財務局のことだと思いますが、当局、衆参両院議長、大蔵大臣に提出せよ、もしこの提言に反対すれば、北陸のある市長が大蔵省に呼び出されて、つるし上げを食つた例もあるので、考えてほしい旨を言つたということであります。これは明らかに官権の濫用どころか、不当なる圧迫といわなければならぬのであります。こういうことがもし許されるならば、行政というものの前途は非常に暗澹といたすのであります。  さらにもう二、三例を述べさせていただきたいと思います。長野県の岡谷市議会の議長は、四月四日に上京いたしまして、大蔵省に岡谷市の起債融資を申し出たところ、大蔵省は融資承認の交換条件に、簡保年金運用反対の決議を持ち出し、そのために四月五日諏訪市で開催されましたところの長野、富山、石川、福井の四県下の市議会議長会議におきまして、反対決議がなされております。  さらに北海道小樽の市長は、四月九日市議会に電話をいたしまして――小樽市長は当時用務のために上京されておつたのでありますが、郵政省復元賛成決議をすれば、平衡交付金、補助金を減額されるおそれがあるから、決議内容を弱められたい旨の電話要請をしておるのであります。これは事実に基いて私は報告申し上げておるのであります。しかしこれはまだ閣議決定前でもありますが、こういうよう権限の濫用をやつておるのが、今国会に現われている地方自治体のいわゆる反対の内容であります。  さらに私どもといたしまして非常に納得の行かない点は、閣議決定がなされた後は、少くとも国家公務員であるならば、その方針に従わなければならぬのは当然であります。ところが五月二十日に最終決定がされまして、二十一日に法案整理がなされ、二十二日に持ちまわり閣議で案文が最終決定したように私どもは聞いておりますが、少くとも五月二十日に閣議決定がされた後におきまして、五月二十九日山梨県におきましては財務部長が――これはおそらく県の財務部長ではないかと思いますが、山梨県知事に対して、郵政省に復元することに反対してくれということを言つたそうであります。山梨県知事は、自分はどちらでも金を借りやすい方から借りればいいのだ、だからそういうものに入りたくないという趣旨のもとに、断られたということでありますが、五月二十日に閣議決定をして、二十九日にこういうことをやつております。  さらにまた五月二十九日、長野県下伊那郡の会地村役場に、附近の七箇町村の助役並びに収入役を集めまして、関東財務局長野財務部から係官が出ております。名前もわかつておりますが、きようは伏せさせていただきますが、簡易保険郵便年金運用を現状通り大蔵省において取扱うようにされたい。そうしてその反対の捺印をさしておるのであります。さらにまた五月二十八日、二十九日には、やはり長野県の下伊那郡泰阜村温田、それから上郷村役場、この二つの方面にやはり長野財務部の係官がそれぞれ出張しておりまして、自分の行く役場へあらかじめ電話をかげまして、その役場から附近の町村に電話をかけさせまして、公印を持つて来させ、持つて来た公印で郵政省移管反対の署名をとらしておるのであります。閣議決定の後において、なおかつこういうことが全国的に行われておるのでございます。私が今申し上げたのは事実に基いて申し上げたので、いわゆる国家公務員として閣議決定に違反するところの行為を、しかも堂々とやつておる。これがすなわち国家公務員の姿であり、国民全体の奉仕者としての公務員の姿であるかどうかについては、私はこれこそ排除しなければならないと思うのであります。大蔵官僚のこうした一部の動きにつきまして、われわれは気持の上においてはわかるところがありますが、国家公務員として権力を不当に濫用し、あるいは地方財源の枯渇に苦しむところの地方自治体の幹部に対しまして、圧迫を用いて反対を勧めておるところのものが、本国会集まつておるところの地方自治体の反対の大多数であるというふうに、われわれは考えておるのであります。私はこれは重大問題だと思うのであります。少くとも権威ある国会の審議権に対して、公正な判断を誤らしめるような行動をとることが、はたして国家公務員のとるべき姿であるかどうか。これは権威ある国会において十分究明されなければならないと思うのであります。もし国会におきまして、証人として関係者をお呼びくださるならば、私は国会の権威を重んじ、国会の尊厳を信頼いたしまして、進んで証人台に立つて証言するところの用意を持つておるのであります。かかる見地に立ちまして、今国会におけるところの大蔵官僚の全国的な動きというものは、決して下部の出先機関のものがやれるものではございません。少くとも中央における大蔵本省の責任ある何がしかの示唆なり、あるいは慫慂なり、そういうものがなければならないと思うのであります。全逓信従業員組合は、正しい労働組合運動に徹することに努めております。また健全なる組合運動のあり方に立つて、正々堂々と運動いたしております。従いまして今度の運用権復元運動につきましては、あくまでも正々堂々たる態度をとつておるのでございますが、これにつきまして、私どもはなおいま一つの事実を皆様に御参考に供したいのでございます。  本年の四月に、大蔵省の職員組合で、簡保年金積立金分離運用論を批判するというパンフレツトと、その他のパンフレットを出しております。この問題につきましては、全逓信従業員組合のある幹部の一人が、大蔵職員組合の幹部の一人に会つた節に――これはどういう職にあるかということも知つておりますが、きようは申し上げません。とにかく某幹部と申し上げておきましよう。大蔵職員組合からこういうパンフレツトを出したことについて話をいたしましたところ、いや、大蔵職員組合は、この簡易保険郵便年金積立金郵政省復元にはあえて反対はしないのだ。あのパンフレツトは省側でつくつて、こういう組合の名前を使つたから、了承しててれということを言つて来たのだ。しかし組合の立場もあるので、積極的に賛成ということはできないけれども、そういうことであるということを言つておるのであります。もしこれが事実であるとするならば重大問題であります。私はこれが大蔵職員組合で真に発行したであろうことを信じたいのであります。しかしもしこの話が事実であつて、大蔵職員組合の名によつて出されたものが、大蔵官僚の手によつて出されたものであるとするならば、これは一体どういうことでございましようか。重大問題であります。全逓は正しい組合運動をやつております。官公労の中でも、筋金の入つた運動をしておるつもりであります。われわれはこういうことは御用組合のやることだと思つておりますが、他の單産のことでありますので、あまりとやかく言いたくありませんが、責任ある地位に立つておるものでございますので、私は真実だと思うのでありますが、こういうことが行われておるのであります。いかに郵政省復元反対の、ゆがめられた運動が国会に持ち出されておるかということが、この事実をもつても証明できるのであります。私は国会の権威の上に立つて、こういうことをどうぞ十分御審議を願いたいのであります。  私は正義を愛します。全逓従業員組合は正義を愛します。正義の上に立つたところの闘いをなす信念に燃えておるのであります。民主主義を守り、国民のための政治の行われることを念願といたしまして、さらに政党政治の健全なる発達を願い、議会政治の発展をひたすらに祈るがゆえに、権威ある国会を尊重いたします上におきまして、この基本法である運用法案が衆議院を通過いたしましたことについては、国会に対して心から敬意を表しておるのであります。何とぞこの二法案もすみやかに、しかも慎重御審議くだざいまして、成立されますように念願いたしまして、私の意見を終りえいと思います。
  66. 佐藤重遠

    佐藤委員長 それでは順次御質疑のある方から御発言願います。
  67. 小山長規

    小山委員 ただいまの参考意見、つぶさに拝聽いたしました。そこで参考人の方にお伺いしたいのでありますが、ただいま参考意見としていろいろ述べられましたが、まず第一に伺つておきたいのは、地方起債許可は、現状のもとにおいてはやむを得ないものであるという前提のもとにお話になつたのか、あるいは地方起債許可なんというものがあるから、けしからぬのだという前提のもとにお話になつたのか、それを第一点として伺つておきたい。  その次は、また分離運用によつて得られるところのいろいろの利益を申されましたが、それは先般衆議院を通りました運用法の解釈として申されたのか、あるいはあなたの方の理想を申されたのか。この二点をまず前提として伺つておきたいのであります。
  68. 笹川重雄

    ○笹川参考人 お答えいたします。私は地方起債に対して、現在いわゆる認可と申しましようか、許可と申しましようか、いずれが妥当かは知りませんが、少くとも認可あるいは許可のあることは存じております。しかし私は本質的に地方自治体の自主性を尊重するならば、そうしたものは地方自治体にまかさるべきものではないかという考えを持つております。しかし現在は認可と申しましようか、許可制度のあることは承知をいたしておるのでありまして、これが正しいか正しくないかということにつきましては、別個の意見を持つておるつもりでございます。  第二点につきましては、法律案の解釈というふうに言われましたが、私どもは過去長い間の実績、事実に基きまして、かつて逓信省で管理運用いたしておりました際には、そうしたものは実施できたのでありまして、現在の法律では、もちろん私どもの希望するような条件が全部満たされ得る法律だとは思つておりませんが、この法律が制定されましたならば、少くとも現在よりも一歩も二歩もそういう点において前進され得るであろうというふうに、私どもは見ておるわけであります。
  69. 小山長規

    小山委員 その二つ前提を伺つておきまして、逐次お伺いをいたします。先ほど参考人の御意見で、簡易生命保険の積立金学校ができたり、あるいは災害復旧ができたり、あるいは住宅が建つたりするならば、その保険契約者は非常に喜ぶであろう、従つて保険契約はふえて行くだろう、こういうふうな御意見でありますが、さてしからば簡易保険の契約者は、自分積立金で、この学校が建つた、この住宅が建つた、この災害復旧ができたということはどうしてわかるのですか。
  70. 笹川重雄

    ○笹川参考人 このことは過去長い間逓信省が運営いたしまして、現実に地方自治体におきまして、いわゆる貯蓄の普及といいますか、そうしたような運動に際しては、今の言葉で申しますならば、資本の蓄積という意味におきまして、自治体もそういうふうな宣伝をいたしておつたのは事実でございまして、多くの自治体の議会等におきましても、審議の過程から、こういうことがだんだんと国民に啓蒙され、普及されておつたのが事実でございまして、従つてただいま御質問のありましたような趣旨は、多くの地方におきまして十分に周知されておつた事実でございます。
  71. 小山長規

    小山委員 私がお尋ねをしておるのは、あなたに先ほど私が前提として申し上げた通り、現在地方起債わくがあるという前提のもとにあなたはお話になつておる。ところが地方起債なるものは、郵便貯金で集まつて来た金もある。あるいは厚生保険で集まつて来た金もある。それから簡易生命保険で集まつて来た金もあるのであります。これらの少くとも三つのルートから集まつて来た金が、地方起債として流れて行く場合に、この学校はおれの簡易生命保険の積立金でつくつたのである、あるいはこの災害復旧はこの簡易生命でできたのであるということを、その契約者がどうしてわかるかという、そのことをお伺いしておるわけであります。
  72. 笹川重雄

    ○笹川参考人 おそらく現在の資金運用部で融資をいたしますと、それがわからないのが当然だと思います。わからないと思います。しかしこの法案が通り法案が成立した後において、郵政省運用いたしますれば自然にわかつて参ります。
  73. 小山長規

    小山委員 いや私はそこを聞いておる。この法案が通りまして、郵政省がそれを運用する場合に、どうしてそれがわかりますか。
  74. 笹川重雄

    ○笹川参考人 そのことは郵政省に復元されますと、郵政省の手によつて運用されるならば、簡易生命保険、郵便年金積立金だけが運用対象になるわけでありまして、当然にそれ以外の資金というものはないわけでありますから、従つて郵政省の手によつて融資をせられたものは、いわゆる簡易生命保険、郵便年金積立金から融資された金だということが、当然にわかるのでございます。
  75. 小山長規

    小山委員 それは結果としてはそうなりましようが、あなたはこういうことをすれば募集量がふえて行くであろうということは、おれたちの金がこれだけ行つておるのだということがわかるから、募集量がふえるんだということを、先ほどから参考意見として述べられております。従つてたとえば立川なら立川という市が郵政省から金を借りて来て、そうしてその学校を建てれば、これは確かに簡易保険で建つたということはわかりましよう。しかしその前に郵政省から借りるのか、あるいは従来通り預金部から借りるのか、実は借りる側では今度の法案ではわからない。募集を契約しておる間はわからないですよ。わからないのか、しまいに結局郵政省から金を借りたということになつて、そこでそれが簡易生命保険から借りたということは結果的にはわかりましようが、それでもつてどういう順序で募集がふえて行きますか。
  76. 笹川重雄

    ○笹川参考人 ただいまの御質問は、私は少くとも郵政従業員が、運用するからということで直接的に結びつけて、募集をしておるというふうにお考えになつての御質問のように伺います。もし誤りであれば直しますが、私どもはいわゆる運用と募集は実際上結びつけてはおりません。おりませんからして今の御質問のように、現在のところ確かに内容はわからないわけでありますが、そういう御懸念は毛頭ないものと思います。
  77. 小山長規

    小山委員 私は何も他意あつて話をしておるのではなくて、これは法案の審議に重大な関係がある。郵政当局独立運用すれば志気が高揚するとか募集量がふえるとか、こう言われる。ところがあなたのお話にも同じようなことを言われるのであります。そしてその例として、この学校が建つたとか、あるいはこの橋のかけかえができたとかいうようなことでふえて行くんだ。そうすると、それは何年かたつて行けばあるいはそうなるかしれぬが、しかし現在の地方起債わくの割合からいうと、簡易生命保険で引受けられる起債額というのはそうたくさんはない。その他の政府資金で引受けられる起債額の方が多いだろう。それをどうやつて契約者に区別してあなた方は説明されますか。これはお前たちが簡易生命保険に入つたからこの起債ができる、それからこの学校が建つたんだということをどうやつて説明されますか。そのどうやつて説明されるかを実は聞いておきたいのであります。
  78. 笹川重雄

    ○笹川参考人 私ども現実に公衆と接する場合において、いろいろと御質問が出ると思いますが、私どものかけた金がどういう方面に使われるのですかという質問を受けた場合、これは仮定になりますが、また過去においてはあつたわけですが、こういう場合には、簡易保険のこの積立金というものは、本質が社会政策的意味に使われるものであります。そういうふうな仕組みになつております――当時はなつてつたのですから――しからばどういう方面ですかと聞かれた場合には、たとえば市町村自治体が学校を建てる、あるいは橋をかける、道路を直すという方面に金を借りたいという場合に、いろいろな条件が満たされるならば、そういう方面に融資をしておりますということを、私どもつて説明をして来ておつたわけであります。ですから今小山委員が御質問なさるのは、私どもはかつてそうしておつたわけであります。将来郵政省の手によつて運用が再開されまして、そうしてそういう御質問が出れば、そういうふうにお答えするのが当然だと思います。  それからなぜ志気が高揚するかというようなお話でございましたが、私どもは仕事そのものを愛しております。少くとも自分の従事する簡易生命保険、郵便年金事業――その他の事業ももとよりでありますが、この問題はこのことに限られておりますので限定して申し上げますが、この事業に携わつておる者は、少くとも自分らの仕事のいわゆる本質的なものを理解をいたしまして、これをやることによつて一般勤労大衆の経済的な面が救われるんだという、一つの誇りを持つておるわけであります。さらに間接的には、この運用によつて社会公共施設が充足されるんだ、いわゆるその自覚と誇りを感ずるわけでございます。従いましてその自覚と誇りの上に立つて、勤労意欲は倍加されるということは当然だと思うのでございます。そこで全逓信従業員組合でも、昭和二十二年のいわゆる松江大会と申しておりますが、そこでこの問題が取上げられまして、爾来今日まで全逓の事業に関する大きな項目の一つになつてつてつたのでございます。従つてこれが復元されますならば、二十六万従業員が――先ほど私は夢にまで見ておると申しましたが、それは真実でございます。従つてこれがわれわれの手によつ運用せられ、そういう方面に利用されるならば、当然にわれわれの能率も上がつて来ます。しかしこれは必ずしも今まで全逓がサボつてつたというわけではございません。公務員として正しいあり方に立つてつたのでございますが、さらにその上に励みが出て参りますれば、おのずからそこに仕事に対する能率も上りますし、明朗性が出て来ると思います。さらにまたこの資金の利用価値が国民大衆に浸透いたしまして、どういう方向に利用されるか、どんな方面に利用されるかということがわかれば、国民はおのずからその上に立つてわれわれに協力してくれるだろう、国家事業に協力してくれるだろうということを、私どもは期待もし確信もいたしております。この上に立つて成績が上る、このように私どもは見ておるわけでございます。
  79. 小山長規

    小山委員 ただいまの点についてもう一つ確かめておきますが、郵便貯金で集まつた金も、地方起債としてその村なり町なりに返つて来るわけであります。その場合に、これは簡易生命保険がふえたから返つて来たのであるか、あるいは郵便貯金がふえたから返つて来たのであるかということの区別は、何かつきますか。
  80. 笹川重雄

    ○笹川参考人 現在のところは区別はつかないと思います。それから御質問の点は、この法案が通過した後においては区別はつく。ということは、郵便貯金によるところの融資は、法律には郵政大臣の管理運用になつておりません。従いましてこれは大蔵大臣運用管理することになりますので、おのずからその点は明瞭に区別されることになると思います。
  81. 小山長規

    小山委員 その場合に、これは組合長として伺つておきますが、郵便貯金がふえることよりも、簡易生命保険がふえることを望むような傾向になりますか。それともその点はかわりありませんか。
  82. 笹川重雄

    ○笹川参考人 そういう差別の観念は従業員は持つておりません。郵便貯金に従事する従業員は、それを本分といたしまして、恪勤精励いたしておりますし、簡易保険郵便年金に従事する従業員は、それを本旨といたしておりますので、その間におけるところの差別はないのでございまして、ただ政府の施策の上においていろいろ異なる点がございます。いわゆる省別における施策は異なると思いますが、それらは間接的にはおのおの性質と消長はあるかもしれませんが、従業員としての心構えには差別その他は毛頭ございません。
  83. 小山長規

    小山委員 その点はその程度にいたしておきましよう。それから先ほど来しばしば申されておりますが、地方還元という言葉をあなた方が使われる場合にどういう意味で使われておりますか。その点を伺つておきます。
  84. 笹川重雄

    ○笹川参考人 地方還元というのは、字で表わしたその通り地方還元というふうに私ども考えておるわけであります。
  85. 小山長規

    小山委員 尋ね方がまずかつたのかもしれませんが、地方還元というときには、その町なりその村で集まつた金をその村に返すことも地方還元であるし、あるいは中央地方というふうにわけた場合に、中央還元する場合と、直接地方還元する場合とがあるわけでありますが、あなた方はどちらの意味にお使いになつているわけですか。
  86. 笹川重雄

    ○笹川参考人 こまかくわけますと議論はわかれると思いますが、抽象的に御質問されたと思いますので、私は抽象的な点に立つてお答えを申し上げます。地方還元というのは、たとえば原則として九州方面から上り、あるいは東京とか大阪とかいう大都市でない、郡部と申しますか、一つの地域を限ることは語弊があると思いますが、郡部と都市というよう意味でわけました際に、郡部方面から上つた資金は原則としてそういう方面に返してやることが、すなわち地方還元の大きな考え方じやないか、このように理解しておるわけであります。地域的に区切るわけではありません。
  87. 小山長規

    小山委員 それは全逓信従業員の考えとして承つてよろしいですか。郡なら郡から集まつた金をその郡に返すのである、これが復元運動の根本趣旨であるというふうに理解してよろしゆうございますか。
  88. 笹川重雄

    ○笹川参考人 お答えいたします。御質問が非常にデリケートでありまして、答弁がむずかしいのでありますが、誤解があるといけませんから、率直な例を申し上げます。たとえば私どもは、新潟県から上つたものは、そつくりそのまま新潟県で利用するという考えは持つておらないのであります。山梨県の甲なら甲という行政上の郡から上つたものはその郡だけに返すのだ、こういうように解釈しておらないのであります。実際面から考えますと、かりに甲の郡で三百万円の積立金になると仮定いたします。しからばその郡は三百万円しか融資を受けられないかというと、そうではなくして、やはりいろいろ客観的な、あるいは主体的な条件を加味されまして、三百万円しか原資がなくても五百万円融資される場合もありましようし、また三百万円原資があつても、その起債内容その他のいかんによりまして、二百万円しか融資されない場合もあるでしようが、ともかく限られた小さい考え方で、原資が一千万円だから一千万円しか貸されないのだ、それだけ返すのだというように狭義に解釈しておりません。それらは国家行政の全体的な見地に立ちまして、個々に当然検討さるべきものだ。しかし地方融資というものは、郡部から上つたものを都市に重点に融資をされたりするのが地方還元ではなくて、少くとも精神として地方から上つたものは、努めて地方還元してやるのだ、こういう概念と理解しておるわけであります。
  89. 小山長規

    小山委員 ということは、従来はそういうことが行われていなかつたということも含まれておりますか。
  90. 笹川重雄

    ○笹川参考人 少くとも旧逓信省時代の融資は、今御発言のあつたように私ども理解しておりません。そういう点を十分勘案してやりますが、ただしかし、たとえば九州地方においては融資について幾ら幾らの資金になるかということが、おそらく参考にされておつたと私ども理解しておるわけでございます。しかしそれが絶対的条件というふうには私ども理解しておりません。過去におきましても、そういう点を十分勘案いたしまして融資されておつたものと、私ども考えておるわけであります。
  91. 小山長規

    小山委員 この点は世論と関係のある問題であると考えますので、少しくどいようですが、なお確かめておきたいのは、厳密な意味において、ある県、ある郡の募集額に応じて返すことはしないかもしれぬが、大体比例的にはそういうふうに返すのである、返すべきものであるというふうに、組合としてはお考えになつておりますか。
  92. 笹川重雄

    ○笹川参考人 比例というふうに一概に言い切ることは妥当でないと思います。しかしそうした地方――地方というのは村とか町とかいう小さいものではない。その他方の原資というものがどれくらいになつているかということは、参考程度に当然事務的には調べてみなければならぬと思いますし、過去においてはたしか調べてあつたと記憶しておりますが、比例というふうな厳格な意味には私ども解していないわけであります。
  93. 小山長規

    小山委員 言葉内容はわかりました。そこで、しからば先ほどの志気高揚の面と関連しまして、ある地方へ集まつた金を必ずしもその地方へ返すのではない。ある地方というのは郡なら郡と仮定いたします。その郡で五百万円集まつたのに、簡易生命保険からは一銭も出ないというようなこともあり得るとお話になつているのであるが、その場合に、あなた方の組合の統制はどういうふうに保つて行くのですか。非常な摩擦なり抗議が起つて参りませんか。志気高揚という点をあなた方は考えておられるのであるが、自分せつかく千万円くらいの保険料の出るような下地をつくつてつたのに、その村なり群なりには一向起債許可がないというような場合には、その従業員は失望落胆を感じて、今後もう募集はいやだという気になりませんかどうですか。
  94. 笹川重雄

    ○笹川参考人 今のは一つの仮説に立つた御覧間だと思いますが、私どもは極端なそういう例はあり得ないというふうに見ておるわけでございます。なぜかと申しますならば、少くともこの法案により郵政省融資する場合においては、この起債許可といいますか、先ほどの認可といいますか、これは地方財政委員会郵政当局、大蔵当局三者によりまして検討されるものだと思つております。従いまして、三者によつて公平な検討が行われるならば、そういう片寄つたことは起り得ない、想像もいたしておりません。しかし債権者の立場から考え幸して、大蔵省も郵政省もそうですが、地方財政が極端に紊乱しておりまして、融資しても回収の見込みが全然ないときは――地方財政委員会あるいは地方自治庁が監督しておりますから、そういうことはあり得ないと思いますので、一つの仮免として申し上げますが、全然お話にもならない極度に財政の紊乱した市町村と申しますか、そういう方面に金を貸すか貸さないかということは、別個の観点において特殊に討議をされますので、それ以外そういうことは夢想だにいたしておりません。
  95. 小山長規

    小山委員 この点も法案の審議上関係がありますので、さらに伺つておきたいと思いますが、さしあたりのところ地方起債は二十八年度から始まるといたしまして、地方起債として国家資金計画の中できめられる金額は、七百億か七百五十億見当でありましよう。そうして簡保運用できる金は、おそらく二百億か二百五十億見当であろう。そうすると三分の一程度引受けるわけであります。具体的な問題として申し上ると、各市町村おのおの地方起債許可を得ておる場合に、あなた方が少くともその志気の高揚をはかるためには、その近所の、たとえばAならAという村の起債許可が得られておる場合には、その村を中心とする何箇町村かの保険料分ぐらいはその村にもどつて来るように、郵政省が貸す金のあんばいについて配意さるべきである。そうしないと志気高揚上はなはだ困る事態に逢着するというように、お考えになりませんか。
  96. 笹川重雄

    ○笹川参考人 私どもは現実的には、ただいまの小山委員の御質問になつような事態が起きるとは思つておりません。隣村の起債がある程度許可されて、隣の村が全然許可されないということは常識として考えてもおりません。もしそれがあるとすれば、それは政府の時の行政上の都合によつてあるいはあり得るかもしれませんが、まず常識としてそういうことは起り得ないだろうと思います。  それから今の志気に関連いたしまするが、私ども起債許可されるとかされないとかということは、私ども権限外でもございますし、任務外でもございます。しかし関心は持つておりますが、それらはいわゆる政府のなさることでございます。組合においてはただ関心を持つているだけでございます。ただ自分の村がかりに一千万円の起債をした場合に、それが一千万円まるまる借りられるか、あるいは借りられないかということにつきましては、その土地の住民はもちろん関心を持つておりますが、しかしそれだけの狭い考え方で、自分の在任局だけのことで、組合内部において摩擦を起すというようなことはございません。全然心配もいたしておりません。
  97. 小山長規

    小山委員 そうすると、これは具体的な問題になりますが、あなた方の方では、それではそういうふうに法案を理解されているのですか。だから先ほど私が申し上げたようなことは夢想だもしない、こういうふうにおつしやられるところによると、たとえば東京都にかりに五十箇町村なら五十箇町村あるとして、それがおのおの起債許可を得た場合には、その起債額に応じて、かりに生命保険の積立金をある程度按分して渡してやる。もつと具体的に言うと、ある村が百万円の起債許可があつた場合に、その村に対しては、その村では相当な保険料が集つておるのであるから、そのうちの二十万円だけは自分の方で引受けよう、こういうふうなことをすることを考えておられるのでなければ、私の言つたことは夢想だもしないということは答えられないと考えますが、そういうふうに考えていますか。百万円の起債許可自治庁でとつて来た、そのうち自分のところで引受ける金額は、先ほどの設例で言えば七百五十億円でその大体三分の一の三百五十億円。そうすると百万円の起債許可を得たものは、そのうちの三分の一の三十万円だけは自分の方で引受けよう、こういうふうに考えておられるのですか。
  98. 笹川重雄

    ○笹川参考人 お答えをいたしますが、私は地方財政委員会並びに地方自治庁というものの権威を認めたいのでございまして、従つて責任ある官庁が、現在は統制と言つた方が妥当かもしれませんが、統制をやつておる間は、そういうことが起り得るということは私は考えていないわけです。もちろんこの法案の趣旨というものは、地方財政委員会並びに郵政省、大蔵省の三者の協議によつて出るというふうに理解いたしておりますので、今の御質問のように、厖大な起債の申請というものが、地方財政委員会許可されないような、認可されないような、そういう不当なものが申請されて来るということは、私ども考えてないわけであります。
  99. 小山長規

    小山委員 どうも私の質問がおわかりにくいようですが、私が質問しておるのは、全体の起債わくが七百五十億円であるといたしますと、その場合に、各府県、市町村、中には起債許可のない市町村があるかもしれませんが、その七百五十億円のわくの中で、ある村が五百万円なり百万円なりの起債許可を得た――ただいまあなたは、郵政、大蔵、自治庁の三者が協議してきめると言われたが、三者が協議してきめるのでないということは、そこにおられる白根局長が言つておられるのでありまして、これは大蔵省と自治庁がきめるのです。この点はあとで触れることにいたしまして、少くとも大蔵省と自治庁が百万なら百万の起債許可をした。これはもう許可なつたわけです。許可があつて、さてあなたの方に借りに来た場合に、なるたけ公平に分配したい、地方還元をしたいという趣旨から行きますと、その百万円を全部貸してやりたいのはやまやまだが、そうするとほかの村にちよつとぐあいが悪い。もつとほかにも起債許可を得ておるところがある。その村でも相当保険料を納めておる。そこで、これを志気の高揚あるいは組合内部の対立緩和というような点を考えると、これは百万円まるまる貸さないで――百万円まるまる貸すと、隣りの村が郵政省から借りられない所が出て来るから、それでは困るから、百万円の起債のうち三十万円だけ私の方で引受けよう、あとは預金部が引受けるだろうからというようなことを、考えておられるかどうかということを聞いておるのです。
  100. 笹川重雄

    ○笹川参考人 組合として答弁しておりますので、政府委員と間違えられると非常に困るのですが、われわれとしてはただ組合なりの考え方で申し上げておるのであります。政府委員でも何でもありません。各地方自治体の起債の申請というものは、その行わんとする事業々々によつておのおの別個に出て来るというふうに、私どもは了解しておるわけであります。違つておれば別でございます。従いまして今小山委員が質問されました百万円の起債があつたとして、それが一日の起債のものであるか、あるいは何件にもわかれたもので、合計百万円のものであるか、それによつて起債の認可がされる上においては、いろいろ立場上取捨選択されるだろうと思います。それを許可された場合には、その百万円がかりに三口なら三口にわかれた場合に、そのうちの一つはこれは郵政当局から借りる、そのうちの他の二つは大蔵当局から借りる、こういうようなことは、実際上の事務を行う上におきまして選別をされるのではないか、かように私どもは見ておるわけであります。従つてそういうふうな面が三者の間に協議――今小山委員は、これは地方財政委員会と大蔵省でやるのだとおつしやいましたが、あるいはそうかもしれません。が、とにかく私どもは三者で話合いされるものだと考えておつたのですが、三者でも二者でも、そこで話合いをされてやられますから、資金のわくというものはただいま小山委員がおつしやつた通り、七百五十億とあるのですから、そのわくとにらみ合わせてそれぞれ検討されておりますから、現実個々の問題については、御心配されるような事態が起きないというふうに見ておるわけであります。従つて組合内部においてはそういう摩擦はおそらく起きない。もしありましてもその事情を十分説明しまして、何か私どもの納得し得ないものがあるならば、それは組合として成規の手続をとりまして、大臣に対して意見を申し入れるなりするということは、あり得るかもしれませんが、今のところ具体的にそういうことが起り得るというふうには、ちよつと考えておらないのでございます。
  101. 小山長規

    小山委員 ただいまの御答弁は、それでは分割して引受けるようなことを期待してない。たとえば起債許可が、百万円というと少し金額が小さかつたから、あるいは誤解を招くかもしれませんが、たとえば五千万円なら五千万円の起債許可がある市なり県なりがあつた場合に、その五千万円というのが一口であつた場合、その中のたとえば二千万円なら二千万円だけを引受けるのであるというようなことは別に考えていない、こう了解してよろしゆうございますか。
  102. 笹川重雄

    ○笹川参考人 今の問題はそんなふうに私どもは理解しておりません。今五千万円の例が出ましたので、一つの事業を行いますために五千万円の起債の認可ができた場合、その資金源を二分割なり三分割をして借りるということはあり得ないことと思います。とにかく五千万円なら五千万円というのは、郵政省にそつくり来るか、あるいは大蔵省の方にそつくり行くか、こういうふうなわけ方になるのではないか、こういうふうに理解しておるわけで、五千万円が二口なり三口にわかれるというふうには、私ども考えていないわけ、あります。
  103. 小山長規

    小山委員 その点はそれでわかりました。それからもう一つ先ほど参考意見として申し述べられた中に、窓口二つになることはいいことだというふうに仰せられたのでありますが、これは実は郵政当局考え方と違う。窓口二つにいたしませんと郵政大臣白根局長もしばしば私に言つておられる。それであなたのお話と違うのだが、窓口二つになることを希望されておるのかどうか。それからあなた方の言う窓口といういうのは、郵政省本省なのか。郵政省の組織がどうなつておりますか。郵政局というのでありますか、地方の局がありましようが、そこなのか、あるいは郵便局なのか、どこなんですか。
  104. 笹川重雄

    ○笹川参考人 窓口の点につきまして、大臣や政府委員がどのよう答弁されましたか私存じておりませんが、誤解があれば解きますが、少くとも現在のところは借入先が大蔵省というふうに一つになつておるわけであります。従つて今後郵政省融資ができますれば、資金を借りる側からとつてみれば、これは郵政省全体で、郵便局も包括されるでありましよう。それから大蔵省、これは地方の財務部と申しましようか、その他も包括されますが、融資の申込みをするところと、この二つ、結局窓口二つある、こういう見方も成り立つのではないかと見ております。しかし大きく見れば、政府全体には間違いないわけです。大蔵省でも郵政省でも政府機関でございますので、政府機関という考えから見れば、受付するところが大蔵省であり、あるいは片方は郵政省であるといたしましても、窓口一つであるという説明が成り立つことも私は事実だと思います。それは見方と申しましようか、解釈の仕方によつてつて来るのじやないか、そういうふうに思つております。
  105. 小山長規

    小山委員 今お答えがないのでありますが、窓口二つになるとけつこうだとあなた方は考えておられる。ところが郵政大臣や、そこにおられる保険局長は、窓口二つにすることは絶対にありませんというふうに言われておる。つまりあなた方の、窓口二つになることはけつこうだというのは、サービスの競争が起る、だからけつこうだ、こういうことだろうと思いますが、そういうことをしないと言つておる。だから、あなた方の考えとどう違うかということと、これは巷間伝わつておるのですが、けさほどの参考人も言つておられるのですけれども簡單郵便局窓口に行つて金が借りられるよう誤解しておる向きもあるのでありますが、組合としてはどう考えておられますか。
  106. 笹川重雄

    ○笹川参考人 お答えをいたします。大臣や政府委員がどういう考え方で、どういう答弁をされましたか、さきに申しましたように私ども存じておりませんが、少くとも、私が窓口二つと言つた意味は、このように理解をしていただきたいのであります。但しそれが考え方としてますいということであれば、訂正するにやぶさかではございませんが、今申し上げましたように、融資を受ける申込書と申しましようか、借用証書と申しましようか、その手続を出すところの官庁が大蔵省であり、郵政省である。これは二つ窓口じやないか、私はこういう見方に立つて二つ窓口というふうに申し上げたのでありますが、これは私の見方でありまして、大臣の答弁がそうでないとすれば、国会に対しては大臣の答弁が権威あるものでございますので、一応その点は了解願いたいと思います。  それからもう一つは、郵便局長が貸付の決定権を持つものだというふうには、私どもは理解しておりません。大きくいえば、決定権は大臣であり、それが委任事項によりまして、保険局長ある郵政局長というようなことにわかれることはあり得ると思いますが、第一線機関であるところの郵便局長が、融資の申込みを受けた際に、それを決定するんだというようなことには、私ども考えていないわけであります、郵便局長は書類の受付と申しますか、ほんとうの第一次の受付、中継機関と申しますか、受付、それから融資された場合に、これは金額が全部になりますかどうかわかりませんが、ある程度の全額というものは、市町村の所在地の、集配事務を取扱うところの郵便局長を通じて、かりに五十万でも百万でも、そこから現金で渡すということは、地方自治体も非常に便利じやないか、このよう考えております。現在のところは、日本銀行あるいは代理店まで、汽車賃をかけて、北海道のひどいところになりますと、宿泊費をかけて、現金を受取りに行かなければならないような不便なところもありますが、郵政大臣の管理になりますと、集配する郵便局を通じて現金が渡されることになつて、非常に地方自治体は時間的にも、経費の点においても、能率の点においても便利になる。これだけを考えただけでも便利になるというように、私ども考えておるのであります。
  107. 小山長規

    小山委員 窓口の点がどうもはつきりしませんが、私の伺つておきたいのは、政府答弁とあなた方の答弁と食い違つておるということは、あなた方の今までの運動とも食い違つておるということに解釈されないでもないので、窓口二つになるのはけつこうだというのは、どういう理由で――郵政省が運営し、片方においては資金運用部が運営するということになると、国民全体とした場合に、どういう点がけつこうな結果になりますか。
  108. 笹川重雄

    ○笹川参考人 お答えをいたしますが、私どもが便利だと言うのは、地方自治体の側に立ちまして、融資を受けるときにまず手続が、抽象的に申しますと簡單と申しましようか、簡單と申しましてもちよつと言い切れませんが、所要の時期において、所要のものがすぐ融資を受けられる、すぐというとまた語弊がありますが、なるべく早く、時間的にも手続的にもあるいは能率的にもとにかく簡便と申しましようか、手軽にと申しましようか、ものによつては心ずしも手軽とばかり申し上げられませんが、とにかく早く、割合に手軽に、自分の所要する時期に融資を受けられる、あるいは申請する手続も割合に簡單に済む、こういうことが非常に喜ばれるのじやないか。そこでかつての逓信省時代に、そういう点がサービス的と申しましようか、私ども立場は、努めてそういうことを考えて処理しておつたわけでございますが、そういうふうに評判がよかつたわけです。いわゆる逓信省から借りるということは、非常に手続が楽だといいますか、簡易だといいますか、親切であるというので非常に好感をもつて迎えられておつたのは事実でございます。私どもはそれを確信しておるわけであります。そういう親切は、さらにこの上とも法案が通過したならば、かつての心構えを一層やろうという考えを持つておるわけであります。心ずや地方自治体の期待に沿い得るという確信を持つておるわけであります。
  109. 小山長規

    小山委員 そこであなた方の今までの署名運動なり、地方に対する宣伝のことがわかつたわけであります。ところがその点私が前もつてあなたにお伺いしたのは、この現在出ておる法律案前提としての御発言かということを、われわれ前に聞いたのはそれです。現在の法律案によれば、あなた方のおつしやるように簡易に、手軽く、所要の時期に金が行くようになつていないのです。これは郵政大臣答弁によつても、あるいは簡易保険局長の答弁によつても、はつきりしておるのでありますが、起債の計画はすべて地方自治庁大蔵大臣がきめる、きまるまでにはまた郵政側からのいろいろ希望意見も聞くであろう。かえつて従来よりも長くなる。従来より起債の決定がおそくなる。今まではかりに六月に決定しておつたものが、七月か八月になる。決定した後に初めて郵政側に申請して金を借りるということになるのであつて、簡易どころか、非常に複雑化し、かつ時期が遅れて来る。この点にわれわれ今度の法案に対して非常に疑問を持つておる。そこであなた方はどういう意思で理解されておるのかということを聞いてみたわけです。あなた方はそういうふうに考えておるが、今度の法案はそうなつていない。むしろ今までよりも複雑化し、かつ資金の流れが非常に遅れて来る、そういう法案になつておるのであります。あなた方が今まで復元について署名運動をされておることは顕著な事実であります。先ほど大蔵省側はそういう権限で何かやつたということを言われましたが、これはけんか両成敗で、両方責めなければならぬと思いますが、その場合にあなた方は、今申されたようなことを言われたのではないかと思う。地方へは、起債わくもふえる、手続も簡便になる、そうして所要の時期に金が来る、しかも簡便に郵便局で受取られる、起債は従来よりも遙かにふえて自由になる、こういうような錯覚を起したのが、地方側が最初復元に賛成し、あとでいよいよ法律案ができてみると、どつこいそうなつていない。これはたいへんだ、それでは今までの方がかえつてよかつたのじやないかということになつて来たのじやないかと、理解しておるのでありますが、このわれわれの考え方は間違つておりましようかどうか。ひとつ参考のためにお聞かせ願いたいのであります。
  110. 笹川重雄

    ○笹川参考人 ただいま小山先生から、全逓信従業員組合の運動も、大蔵官僚と同じようなことをやつておるではないかというような御発言がございましたが、これは全逓信従業員組合にとりましては、まことに重大な御発言であります。全逓信従業員組合は、先ほど私が申し上げましたような卑怯なる行動は、少くとも断じてとつておらない、こういうよう考えておるわけでございます。従いまして私どもは、先ほど申し上げましたものは、私どもが組織を通じまして調査いたしました事実でございます。ああいうふうに権限を濫用したり、地方自治体を圧迫したり、しかも閣議決定後においてなおかつ閣議の方針に反するような行動は、全然とつておりません。従いまして、その点は全然違うのでございますので、十分御理解を願いたいと思うのであります。  それからそのほかのことにつきましては、この法案はそういうふうになつておらない、こういうようなことでございますが、それは私どもの方でかりになつておると申しましても、それは見解の相違などの部分が相当あるのではないか。私どもは少くとも運用権が郵政省に復元されることを期待しておるのであります。率直に申し上げまして、現在の法案では、とにかく私どもが希望するような条件が、全部満たされるというふうには見ていないわけなんです。一例をあげますと、私どもは即座に実施していただきたいが、来年の四月一日になつて来たり、いろいろな点があると思うのです。しかしこの法案が成立したあかつきにおいては、多年の念願であつたところの運用権が復元して来るということで、喜びを持つております。組合と違う法案であるということは、御意見として私どもは承つておくより方法がないと思うのであります。そのようにお答えしておきます。
  111. 小山長規

    小山委員 そちらが意見として伺われると同じように、こつちも意見として伺われるのかもしれませんが、これはこの法律の審議を通じて、あなたがただいま申されたように、簡易にして、かつ今までよりも早く金が流れるような組織になつていないということは、従来の審議の経過を通じて、郵政大臣並びにそこにおられる保険局長答弁を通じて、出て来た結果なんです。これは私の一個の見解ではなくして政府の見解であります。従つてあなた方が了解されておる復元なるものは、今までにあなたが申されたようなふうに組合としては理解されておつた。しかるにこの法律はそうなつていないということを明らかにするために、それを伺つておきたいと思つて、今まで質問を続けたわけであります。参考人としてお呼びいたしまして、たいへん長い間質問をいたしまして、御苦労をかけましたことをおわびいたしまして、私の質問はこれで終ります。
  112. 佐藤重遠

    佐藤委員長 宮幡靖君。
  113. 宮幡靖

    宮幡委員 参考人意見は聞くだけでよいわけでありまして、あまり質問するのは好ましくないかと思います。しかも私は本会議関係で笹川さんの御意見の全部を聞いておりません。その途中のことは、小山委員からこまかい点までお尋ねがありましたが、私はごく簡潔に、重要な点を二、三点伺いたい。私が退席いたしますときに、ちようど両院で議決した院議のことに触れられておりましたが、これは私は院議を尊重するという立場におきまして、決して人後に落ちるものではございません。しかしながら院議が成立したからといつて、成立過程におきます数とか、あるいは脅迫による意思表示等によりまして、これに賛成いたしたことは、一切無効であることを御承知にならなければならない。郵政大臣から院議を尊重しろということは、別に強いられる理由はない。もし郵政大臣が院議を尊重しろというのならば、私どもは逆に院議を尊重し得ないのだという理由を、残念ながら述べなければならないことになるかもしれない。こういうことをおつしやるのは不適当だと思う。閣議決定とか院議のことをお出しになつてはいけませんと、私は郵政大臣に御注意を申し上げたくらいであります。従いまして、全逓がこういうところからお発しになつた御意見ならば、これはどつちかといいますと、いわゆる批判的な参考意見である。法律の審議それ自体に関しまする参考意見であるかどうかということを、まず疑問といたさなければなりません。そこで参考意見及び小山委員との質疑の間におきまして、私は重大なことを発見いたしました。と申しますのは、大蔵省が権力を振つていろいろな運動を展開したという御批判が、鋭くありました。あるいは手を振われまして、悲憤慷慨にたえないような面持をもつて言われた。御心情察するに余りがあります。けれどもこの間におきまして、私どもが最も重大視すべきことは、こういう争いをしておつて、迷惑するのは一体だれでありましようか。すなわち国民大衆である。あえて郵政従業員二十六万、大蔵従業員十数万、そういうような人の問題ではない。すでにこの法律が提案され、審議の過程におきましてさえも、あるいは国民が両方についてみたり、一方についてみたり、あるいは頼まれたり、おどかされてみたり、戸惑いしている。この国民の迷惑というものを、われわれは第一番に察知しなければなりません。もしこれを分離運用いたしました結果、窓口二つになるということは当然かもしれません。そういうような事態におきまして、国民は右往左往、どつちへ行つて頼んで、ほんとうにわずかばかりの金が借りられるか。一口十五万円に下げるというような案もある。そういうような事態におきまして、国民の迷惑、手数、煩雑というものは、数倍するのであります。ただ法律を出すか出さないかの問題でも、天下の階層を二分、三分いたしまして、こういう運動が展開されておる。それを実施されて、もし金を借りるようになれば、運動がどういうふうに展開されるでありましようか。これは真剣であります。しかも資金量というものは、地方自治体といわず、あらゆる面におきまして必要といたします資金の全量どころか、その何分の一しかない現在、それを獲得しようという争いがあつたら、迷惑するのは国民であります。でありますから、私は残念ながら、何とかいたしましてこの法律賛成をいたしまして、郵政省多年の宿望であり、もつと具体的に言えば、変態的な独立運用ではあるけれども、自主的な独立運用の熱望を充足させる意味におきまして、何とか賛成の道はないかと苦慮して参つたのであります。しかるにただいまのような状況になつて、迷惑が国民大衆に及ぶに至りましては、私どもはかような変態的な独立運用は断然認むべきでない、しこうして完全独立運用ができる時期までごしんぼうを願うのが至当であると、私は考えるに至りました。従いまして私ども立場にもかなり批判的御意見もありましたが、これは伺つておきます。しかし私はこういう考えを持ちましたが、それに対して一言でいいから、どういう御意見でありますか、伺いたい。
  114. 笹川重雄

    ○笹川参考人 お答えを申し上げます。今先生から国会決議云々のお話もあつたようでありますが、国会決議国会の内部のことでありまして、院外にある私どもがとやかく言うべき筋合いではない。ただ国民の立場において、国会決議したことは、私は非常に権威あるものであると見ておるのでありまして、その国会を尊重するところの観念から、この国会決議に対してそういうふうな見方をしておる、私は敬意を表しておるということを率直に申し上げたわけであります。国会の権威のためにもそれをあくまで信じたい気持でおりますし、また信じておりますが、その点の国会の内部におけることは、私どもの関与する問題でもございませんから、御了解願いたいと思います。  それからただいま、権限争いで迷惑するのは一般国民ばかりだという御発言でございましたが、私ども権限争いというふうな見方に見られることは、非常に心外なのでございます。私どもはそういう権限争いというよう考えでやつておるのではございません。もしこれが権限争いであると仮定いたしますれば、その権限争いがどういう経過によつて起きたかということが、やはり掘り下げられなければならないのじやないかというふうに見るのでございまして、この問題はもし権限争いということで御批判を受けるならば、むしろその責任は、大蔵省の考え方、長年私どもは野心と見ておりますし、あるいは野望というふうにも見ておるのでございますが、そういうふうなものがここに現われたものである。私どもはそういうふうな見方と考え方を持つております。しかしこれは国会の御審議の上に参考になるかならないかは知りませんが、そういう見方をしております。しかしお説のように、そのものの上に権限争いがあるとすれば、一番それは国民に迷惑をかけるかもしれませんが、ただ私どもは單なる権限争いでなくして、正しいいわゆる正義の観念に立脚いたしまして、正しい政治が行われ、われわれ行政に携わる者は、いわゆる国民全体の奉仕者であるという観念に立つて、国民に親切な行政に携わらなければならない、そういう考え方の上に立つて、私どもはこの運動をいたしておるわけでございまして、決して国民に迷惑をかけることは本旨でもございませんし、そういう考え方に立つて、私どもは運動しておるわけではございません。
  115. 宮幡靖

    宮幡委員 私は権限争いという言葉は使つておらない。お答えもそう長く伺おうとは思わない。私どもは現在この法律案が提案されても、二つにわかれたか三つにわかれたか、あるいは両方に判をついた人もあるかもしれない。そういうような運動を展開されることは、国民はまことに煩わしい。もしこういうびつこな運用でやります場合には、窓口二つになるということは必然であります。何とうそを言つてもそうであります。そうしなければ金を貸さぬということは当然であります。あつちこつちに窓口を持つてつて、しかも資金量が少いところへ需要が多いから、あつちへもこつちへも運動を展開しなければならぬというようなことでは、迷惑千万ではないか。今までならば、郵政省や全逓の従業員組合では納得できない過渡期的な制度であつたとしても、今の一元運用ならそれだけの手数は従来と同じだ。だから、この場合におきましては、むしろかような変態的な法律考えるよりも、完全にあなた方の御自由におやりなさいということの運用をしてやる時期まで待つべきであつて、かよう法律はつくるべきでない。しかもあなたの意見はそういう方向に行つているのですかどうだと、私は聞いたのであります。権限争いをなくするのには郵政省へお返しすればいい。それはわかる。郵政省へ返せばいい。ところが国全体の経済自立の態勢から申し、国家財政資金の効率的運用というようなことを勘案いたしますと、大乘的に考えて時期はまだ早い。従つてようなへんぱな法律には賛成したくないが、返すなら、私は喜んで賛成するにやぶさかでないのです。だから、あなたの参考意見というものは、こういうものは不適当だという意見に私は聞えるが、そう判断してよろしいか、その点だけでいいのです。
  116. 笹川重雄

    ○笹川参考人 お答えを申し上げます。私どもはこの法律を現在不適当というふうにしていただきたくございません。少くともまずい点もあるでありましよう。しかし一応この法律を通していただいて、しかるべき時期において、なるべく早い時期において、先生方の御協力によりまして、全部がわれわれの好むような方向に行くような制度になるように御努力を願いたい、このようお願い申し上げる次第でございます。
  117. 宮幡靖

    宮幡委員 それではそれでけつこうであります。  それではそれに関連しまして簡單なことをお聞きいたします。今回の法律を衆議院郵政委員会において、ほとんど審議もいたさずいたしまして通過せしめたことは、適当な措置だと全逓従業員組合の立場においてお考えになつておるかどうか。
  118. 笹川重雄

    ○笹川参考人 国会の内部の審議状態につきまして、私どもはとやかく発言いたしたくございませんし、発言する意思も持つておりませんが、ただいまの御意見ように、郵政委員会の御審議は、郵政委員方々の良識と常識のもとにおいて決定されたものだというふうに、私ども考えておるわけでございまして、それ以上のことは申し上げたくございません。
  119. 宮幡靖

    宮幡委員 それではむしろ静かに、組合としては批判的な立場をとつておるのだということでありますが、私どもは残念ながらこの郵政委員会でやられましたことに、全幅の信頼を寄せることができない。と申しますのは審議を尽しておらぬ。審議さえ尽すならば賛成するのが当然でありましよう。けれども尽しておらない。しかしながらこの法律がよいのかということを、小山委員もこの法律前提として質問をしておるが、組合としてどういうお考えを持つておるか、これだけは御意見の中になかつたが、郵政委員会のことは、正しいとかなんとかいう批判の限りでない、こういうことに承つておきます。しかして本日の参考人の御氏名、御職業、お立場、社会的地位等を拝見いたしますと、大蔵省なり郵政省なりに直接関連を持つた人はだだ一人笹川さんだけであります。あなたは国家公務員、国民の公僕だ、こういうことをしばしば繰返されて述べられた。従いまして、もし郵政省が打つて一丸となりまして、簡易保険積立金等の独立運用に熱意を傾けるといたしますならば、少くとも大臣、事務当局及び従業員組合の意見は、たとい間違つてつても、一致すべきではなかろうかと私は思考いたします。しかるにこの問題につきましては、残念ながら事務当局と組合を代表せられた笹川さんの今の参考意見との間に食い違いがあることは、これは答弁はいただきません。国民の公僕であり、公務員の服務紀律に従つてつており、しかも郵政省が年来の宿望であるという以上、そこに統一した意見があるべきだ。ないのがふしぎだというふうに私は参考意見を承つたのでありますが、これは私はあなたを政府委員として糾明するわけではありませんので、別にこれ以上重ねて失礼は申しませんが、どうもそういう御意見であつたということを私は承つておきまして、あとは事務当局及び大臣等と、国会の当然なすべき仕事といたしまして、審議を続けて参りたいと思います。
  120. 笹川重雄

    ○笹川参考人 ただ一言私宮幡先生に申し上げておきますが、今の御意見の中に組合並びに郵政省を代表してというよう意味にとられましたが、私のとり方が誤りであれば別でありますが、私は本日は全逓従業員組合を代表してこの参考人に立つたわけでありまして、非組合員を代表しているわけではありませんから、その点は明確にしておきたいと思います。御了承願います。
  121. 宮幡靖

    宮幡委員 しからば白根局長にお伺いしますが、従業員組合というものは憲法で保障されておる正常なる労働組合なんでありますから、これを云為すべきではありませんけれども、しかしながら事務当局のこれらの問題に対する考えを組合に浸透さして、正常な同じ方向に進むようになつてはおらぬのですか。これはどうですか。従業員組合は独自の見解を持つ――これは意見は別です。しかし実際問題としてそうなつておらぬのかどうか。これは簡單言葉でけつこうです。
  122. 白根玉喜

    白根(玉)政府委員 御説のように、官側と組合側とは立場が違うのであります。この案が通つて成立した上は、やはり業務遂行上組合が反対しようとどうしようと、それは強行しなければならぬと思います。ただこの案はただいま御審議中であります。御審議中のときに、組合の意見と官側の意見とが一致することをねらうことは、そこまでわれわれは考えておりません。組合は組合独自の立場がございましようし、また官側としてはいろいろ勘案してやるのでありまして、決定した上は、御心配のことのないように、業務遂行といたしまして組合が反対であろうがどうであろうが、決定した方針で行きたいと思います。
  123. 宮幡靖

    宮幡委員 それでけつこうです。
  124. 奧村又十郎

    奧村委員 私は先ほどの陳述の中で新潟県県会の議決云々、それからあと薮是わたつていろいろ事例をあげて、大蔵省が官権を濫用して議決をそそのかしたとかいうふうなことを言われたが、この点について、もしここで取消す御意思があるならば、取消さるべきだ。その御意思があるかどうかということを確かめておきます。この法案審議に、組合の執行委員がまさかにこういうふうなことを言われようとは思わなかつた。この御発言に対してわれわれもこれは考え直さにやならぬ。何のためにこういうことを言われたのか。大蔵省の役所のお人ばかりでなしに、大蔵省の職員組合にまで、あるいは強奪したのだとか、あるいは官権を濫用したのだというふうなことを、何のためにここで言わにやならぬのか。これはむしろお取消しになつた方がいいのではないかということで、お尋ねをするのであります。というのは、大体この国会において最近特にはなはだしくなつたのは、役所同士のいわゆるなわ張り争いが国会に反映して、国会のどの委員会においても非常に煩わしい状態が発生しておることを、非常にわれわれは遺憾に考えておる。どうかこういうことのないようにと念願しておう。ところがこのなわ張り争いが今日では国会はもちろんのこと、何もそういうことにとらわれのない国民大衆の間にまで、非常に露骨にこういうなわ張り争いの影響を受けている。国民大衆は非常に迷惑しておる。これはもうおわかりの通り。で、そういうふうなことについても、われわれはなるべく煩わされたくないという建前で来た。われわれ国会議員としては、この法案審議に際して、何にもとらわれない自由な立場で審議して来た。そこで今笹川さんは、何のためにそこまで大蔵省の官吏及び職員組合を攻撃なさるのか。その攻撃される目的はただ一つ、一部市町村長あるいは地方議会の議決が強要によつてなされた、つまりつくつたものである、自発的なものではないということを証明づけるためにあなたは言われた。それほどのことを言われるのに、そこまで――まあわれわれに言わすれば、同じ政府仲間で、役所なら役所同士のけんか、職員組合同士のことをそこまであばき立てぬでもいいじやないかそこでわれわれは市町村会の議決あるいは県会の議決を受取つておりますが、裏面においてどういうふうなことがあろうとは全然考えておらぬ。ただすなおに議決そのものを読んで、窓口二つなつちや困る――なるほどそうだと、その通りに受取つておるので、裏面のことは考えておらぬ。しかし今あなたの言われるように、裏面にそういうふうなことがあるということであるとするならば、ここでまた審議をやり返すということになつて来る。ところが実はわれわれは郵政省の側においても、郵政省郵政局長名で郵便局長にどういう手紙を出したとかどういう命令を出したとか、それはあなたに関係はないかもしれない。しかし郵政省ではどうだ、またあなた方職員組合の中においても、おそらくうず高く何十万人という署名をとつて、そうして全逓の方々国会に持ち込んで来ておられる。あれは正常な組合運動だ、政治運動だと言われるかもしれぬ。しかし、少くとも大蔵省の官吏及び職員組合を、そこまで罵倒するほどあなた方がきれいにやつておられるものじやなかろうと思う。あくまでもあなたがこの発言を取消されぬというなら、一応郵政省側のこともひとつ調べなければならぬ。しかし私はそういうことはすべきじやない、したくないというので、今日までこの委員会は、そういうことには一切触れずに来たのだ。あなたの方からそういうふうなことを持ち出されようとは、少しも考えなかつた。(「参考意見だからいいよ」と呼ぶ者あり)参考意見だから聞いておきますが、しかしお取消しにならぬとすれば、一応言われたことの根拠を調べて行かなければならぬ。また郵政省側のことも十分調べなければならぬということになつて来るので、取消す意思がなければないでよろしい。その御意思を承りたい。
  125. 笹川重雄

    ○笹川参考人 私がいわゆる事実として申し上げましたのは、私どもの組織を通じて調べましたので、これは私は事実であるといまなお確信を持つております。しかし奧村委員からの御発言は、そういうことはこの国会の審議には不必要であるというお考えように承りました。不必要であるならば、私は取消すにはやぶさかでないのであります。ただ私どもが運動する上において、先ほども申し上げましたように、正しい組合の考え方に立つて組合運動を推進しておるのでありまして、その間に私が指摘したようなそういう行動は、毛頭とつていないのであります。従いまして私が大蔵省の組合の立場から考えまして、大蔵官僚のいい意味における将来の反省を求めまして、国会においてどう試合をいたしたいという考えで、私どもは参つたのではございません。国会の審議に対して国会の先生方に対して、議員に対して、公正なる判断を誤らしめるようなことがあつてはならないという立場で、こういうことがあつたと私は申し上げたのであります。それがこの委員会の御審議に必要がなければ、私は取消すにやぶさかでございませんし、大蔵官僚の今後の正しい意味におけるところの動きを念願といたしまして、必要がなければ私はこれを取消さしていただきたいと思います。
  126. 奧村又十郎

    奧村委員 先ほどの笹川参考人の御発言に関連いたしまして、大蔵省の職員組合に関して質問がありますので、適当な機会に大蔵省職員組合の代表者を、参考人としてお呼び願いたいと思います。
  127. 佐藤重遠

    佐藤委員長 ただいまの奥村君の御発言についてお諮りいたします。本日の参考人の選定につきましては、委員長及び理事に御一任願つて佐藤和三郎君以下計八名の参考人を選定いたした次第でありますが、この際大蔵省職員組合副執行委員長林原正三君を参考人として一名追加して、御意見を聽取いたしたいと存じます。この点御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  128. 佐藤重遠

    佐藤委員長 御異議ないようでありますから、さよう決定いたします。  次に特定郵便局長横八次君に御発言お願いいたします。
  129. 横山八次

    ○横山参考人 私はただいま御紹介いただきました山形県長井十日町郵便局長の横六次でございます。特定郵便局長でございます。本日参考人としてお召しをいただいたわけでありますが、私はほんとうの昔の一三等郵便局長、特定局長という立場から一言申し上げてみたいと思うのであります。  先ほど来前参考人の笹川さんから、大体私ども考えておることを申し上げられましたので、この上蛇足を加える必要はないと思いますから、ごく簡單に申し上げますが、先ほど来いろいろ皆様のお話を承つておりますと、この簡易保険積立金国家財政資金として強く取扱われておるようであります。私どもいなかにおりまして、多年簡易保険募集あるいは契約維持に携わつておる者といたしましては、この積立金は加入者の金であつて政府資金と見ることは、妥当でないということのかたい考えを持つております。従いましてこの積立金は、加入者のために政府責任を負つて有効に運用するというのがほんとうではないか、こういうよう考えておるのでありますから、昭和十八年に戰争目的遂行のために、臨時的措置として国家財政資金に一応繰入れられたのでありますが、今日になりましてからは、一刻も早くこれを取扱いますところの郵政省にお返しを願つて、そうして第一に加入者のため特にこれを有効に使つていただくのが、事業の建前からほんとうではないかという意味におきまして、私どもも本委員会に強くこれをお願い申し上げたい、こう考えておるわけであります。書生論みたいなことを申し上げてまことに申訳ございませんが……。  郵政省としまして、簡易保険の翌年度の募集計画というようなものが決定いたしますと、それが各郵政局に配分になりまして、郵政局の方からはわれわれ第一線の者に対しましては、人口あるいは民度、従業員数というようなものを対象にいたしまして、一応の各局ごとの募集目標額というものができるわけであります。ただいまは御承知通り特定郵便局長会はございませんが、局長会がありました時代には、局長会の中で奨励を担当いたしますところの局長あるいは会長、逓信局の係の方ととくとここに協議をいたしまして、そうして実際に即応した額をここできめるのであります。そのきめたものを逓信局から各局の目標額として通達されるのであります。各局が通達いたされますと、その額に対しましては、昔のようにねらい撃ちだとかあるいは縁故募集というようなことは、今は全然できないのであります。御承知ようにすでに千人に対し約六割の六百人というような割合の加入率になつておりますので、ほとんど各戸もう加入していないところはないのでありますから、私どもはこれを科学的募集と称しておるのでありまするが、部落会則あるいは隣組別にこれを配分いたしまして、そうしてしさいにその部落内、隣組内の各家庭について検討を加えまして、このお宅では今年中学校に入つたからこの方に対してはこのくらい、またこの家は二万円しか入つてないから、いま三万円増した方がいいだろうというようなことで、具体的な方針を立てて各戸と交渉するのであります。そうしてできるだけすみやかに、この目標を達成するように努力するのでありますが、普通局と違いまして、特定局には約十四万人の従業員がおるのでありますが、募集専務というようなものはほとんどおりません。一日中忙しい仕事をおやしまして、その余暇あるいは夜分において、この募集に従事いたすのであります。かくしてできました保険でありますので、その契約維持というようなことにつきましても、私ども非常な力を入れております。そう申し上げますと、非常に簡單に目標額が完遂されるようでありますけれども、各家庭の状況等なかなか千差万別、またいろいろなできごともございまするために、なかなかそうしかく簡單にできるものではありませんので、その完遂には全力を注いでやる。いわゆる従業員の筋金が入つておるわけであります。そうしてでき上るのでありますが、私どもはこういうようなことも考えておるのであります。たとえば今年一万の人口の町におきまして、保険金額の目標額が二千万円といたします。保険料の目標額が二十万円といたしますと、十五年、二十年後には必ず二千万円というものはその町に返る金であります。でありますから、それだけ町には富がふえたということに私ども考えておる。来年また二千万円、再来年二千万円というようなぐあいにだんだん計上して参りますから、いわゆるこの簡易保険によつて、ある程度地方のための金を私どもの力でやるといつたような抱負を持つております。そんな点からいたしまして、この積み立てられた金というものは、先ほど申し上げましたように、加入者のため、あるいは先ほど問題になりました地方還元せられまして、公共事業を助成してくださるということになりますれば、一旦自分のやつたことが二重、三重の利得となつて現われて来る。そういうような理想をもつて、私どもは極力努力をいたしたのであります。ところが今回私ども地方におる者としましては、この積立金運用が再び本省に返るということで、みな期待をして喜んで待つておるのであります。先ほど来お聞きいたしますと、窓口二つの問題、あるいはしかく簡單にこの法律案ができておるのじやない、なおしばらく待つたらいいじやないかというようなお話も承つたのであります。私どもといたしましては、できるだけ早く再開していただきたいのでありますので、賢明なる委員諸公のお力によりまして、かようなことはそういうトラブルのないように、特にお力添えをいただきまして、郵政省に返していただきたいと思うのであります。私ども簡單な頭で考えておるのでありますが、戰争前におきましては、簡易保険積立金運用と、もう一つは預金部とあつたのでありますので、町村においては、物によつて簡易保険積立金からの融資、また物によつては預金部からも融資を受けておつたのであります。今回も多分そのようなことになるのじやないかと期待いたしておるのでありますのでどうぞよろしく地方の実情なり実際の実情というものを御勘案の上に、できるだけ早く成立いたしますように特にお願い申し上げまして、はなはだ簡單でありますが、前者がすべて申し上げておられますので、ただ意見を申し述べます。
  130. 佐藤重遠

    佐藤委員長 川野芳滿君。
  131. 川野芳滿

    ○川野委員 ただいま意見を聽取いたしたのでございまするが、郵政省が各局に簡易保険金を割当てまして、これに対して地方の局が非常に御苦心されまして、募集に従事されておりまするこの事実に対しましては、非常に敬意を表しておる次第であります。今回この運用権が郵政省に返る、こういう場合になつたときを想像いたしますると、また戰前のようなできごとが起るのではなかろうか、実はこういうことを私は心配いたす一人であります。と申しますことは、戰前におきましては、お前の村に学校を建てる場合には、その学校起債を貸してやるぞ、そのかわり簡易保険の募集をこれだけやれ、こういうことを村長に持ち込みつまして、さらに村長は各区長を使つて募集に従事いたしておる事実があるのでございます。すなわち地方局長郵便局員と村長、さらに各部落の世話人を通じて簡易保険の募集をやつておる、こういう事実のもとに非常に成績が上つておりましたのが、戰前の実情であります。そこでまた運用権が郵政省に返つて参りますると、お前の村には今度はこういう金の起債の申込みがあるから、また簡易保険をこれだけ募集してもらいたい、こういうようなことが起るということを、私は非常に心配いたしておる一人であります。過去におきまして、そういう実際を見せられ、しかも地方民は学校その他の起債を求めるために、あとは捨てることを知りながら、無理をしてそのときだけ簡易保険に加入した、こういう実績も私は目のあたりに多々見ておりますので、こういうことを心配するわけでございまするが、この点に対しての御意見を承つてみたいと存じます。
  132. 横山八次

    ○横山参考人 お答え申し上げたいと思います。ただいまお話のような点は、多少は私聞き知つたこともありまするが、寡聞にして私直接聞いたことはございません。私の経験では、私の町では簡易保険の資金を借りまして公立病院を建てたのでありまするが、その公立病院は非常な殷盛をきわめて感謝の的になつておるのであります。私の携わつた県におきましては、あの時代ですと、今年度この積立金を借りたいものがあるかどうか、あるならば大体どのくらいのものをほしいかというようなことを局長に大体連絡がございます。それによりまして、私ども承知ように特定局長というものは一万三千有余ありまして、千差万別ではございますけれども、大部分は土地につながりを持つておりますので、自治体とは密接な関係を持つておりまするから、自治体と連絡をとりまして、そうして大体その可能なる程度においてお借りいたしたのでありますが、私どもの経験では、いまだかつてそういう無理な募集をいたしたという経験がございませんのです。もしそんなことがありましたならば、今後私ども集団勧誘等によつてやる機会がございましたら、十分戒心をしてやりたいと考えております。
  133. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 私はごく簡單に一、二点だけ質問をいたしたいと思います。特定郵便局長さんでありまするから、あまり長いことは質問いたしませんが、今までの御説明によりますと、保険金は地元に返すということが中心であるというふうにお考えになつていらつしやると思いますが、むしろこれは国家的見地から考えまして、必ずしも地元のみに返すわけではない、国家財政の運用面を勘案いたしまして、緊急必要欠くべからざる方面に流さなければならぬ、こういう大きな気持があるわけでありまするが、局長さんは自分の地元だけを中心に考えておられるのでありましようか。その点をひとつはつきりお話を願いたいと思いますが、いかがでございましようか。
  134. 横山八次

    ○横山参考人 先ほど来のお話はごもつともだと思いますけれども、私ども事業を預かる者として、ことに事業第一主義で精進いたす者といたしましては、先ほど申し上げましたように、この積立金国家財政資金と言うことは私は適当でない、こういう信念を持つております。でありまするので、これはやはり加入者のためにはかるのがほんとうだという考えを持つております。
  135. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 さらに追究するようでありますが、やはり国家財政ということを基準に考えるべきものでありまして、無尽とは違う。一口入つたら幾ら貸すというような無尽会社とはちよつと関係が違うのでありまするから、郵便局長さんも少し頭を切りかえていただいて、国家財政に寄与する大きな見地から、その一分子であるというふうに私は了承するわけでありまするが、この点は意見にわたりまするから、ある程度までで控えます。ただ私ども地方におきましては、先ほど来からお話の強制加入、強制して割当てるという線が今まであつたわけでありまするが、将来もそういうような御意思でありましようか、あるいは任意でありましようか、その辺をひとつ承りたい。
  136. 横山八次

    ○横山参考人 先ほど申し上げましたように強制ということは絶対ございません。一応の線が出ますと、ただいまも申し上げましたように、関係者が集まりまして、民主的によく検討をした上に、これならばよろしいということできめるのでありまするので、郵政局のきめた線を必ずしも私どもはそのまま受取ろうとは思つておりません。これに変更を願つて、各地の実情に応じて適正な目標額を設定してもらいたいと思つておりますから、御了承願いたいと思います。
  137. 小山長規

    小山委員 局長さんにお伺いしますが、局長さんの御信念として、その村で集まつたものとしてはその村に返してもらいたいものだというふうに、お考えになつていらつしやるようでありますが、今度出ました法律案はそうなつていない。あなたの所でお集めになつても、必ずしもその村に返つて来ないという事態が相当たくさんに想像されるのでありますが、その場合に局長さんとしては非常にお困りになりませんか。たとえば自分の所で公立病院を建てたいとか、学校を建てたいとかいう目標を立てて、あなたが簡易生命保険の募集に、あるいは町村長あるいは村の有力者の人たちと相はかつてせつかく集めた、ところが起債許可はそこに来なかつた、これは国家資金として起債わく自治庁がきめるということに、この法律案ではなつておるのであります。それであなた方がそういうふうに苦心さんたんしてお集めになつておりますが、またおそらくそういうことで募集をされるだろうと思います。ところがこの法律ではそういうふうには来ない場合が多々あるのであります。その場合にあなた方は非常にお困りになりませんか。
  138. 横山八次

    ○横山参考人 ちよつと私承りたいのでございますが、今回のこの法律案というものは、国家財政資金として一応まとめられたもののうちから、簡易保険積立金だけをわけて、これを地方債ということにして御融資くださる、こういう案と心得ておりますが、間違つておりますか。
  139. 小山長規

    小山委員 そういうふうに特定郵便局長その他も御了承されて、そうしてこの運営という問題が起つたのではないかというのが、われわれの抱いておつた一番の疑問なんであります。でありますからその点を実はお伺いしたがつたわけであります。この法律案は、ちよつと簡單に説明いたしますと、起債許可国家運用資金の範囲内においてきめるのだ、幾ら地方債に出すかは国家運用資金の範囲内においてきめる、そうしてそのうちから簡易生命保険は幾ら運用するということも、また運用議会できめる、そうしてそこできまつたところで幾らという金額ば、たとえば二百五十億なら二百五十億だけは、簡易生命保険で引受けるということはきまりますが、さて起債許可地方自治庁がきめる、お前の村には幾らの起債ということは地方自治庁がきめるのでありまして、簡易生命保険が幾ら集まつたということは全然参考にしない。だからこの法律ではあなたが考えておられるような結果にならぬのであります。だからわれわれが特に特定郵便局長の御意見を御参考までに伺いたいと考えましたのは、そういう誤解があつて、この分離運営というものをお考えになつてはしないかということ言うために、実はわざわざ来ていただいたわけでありますが、はたしてわれわれが危惧した通り、あなた方はそういうふうに考えておられる。ところがこの法律案はそうなつていないことは、しばしば今までの委員会を通じて、郵政大臣並びに白根局長が答えられた通りであります。そこで先ほど宮幡委員が申されるように、われわれはそういう事態が来たときに返すべきではないか、そのときに初めて運営すべきではないか、そうすれば郵便局長も困られないし市町村長も困らない。現在のよう国家資金計画で定めるというような現状においては、こういう法律案をつくつて、そうして先ほどの全逓の従業員組合の執行委員が申されたよう考え方で進むと、従業員も困るだろうし町村長も困るだろう。それから特定郵便局長も困られるだろう。借りる側はなおさら困るだろう。そこでこういう法律案は今出すべきではない、今これをきめるべきではないのではないかというような疑問が多々あるのであります。そこでこれらの参考人の方に来ていただいて、はたしてどういうふうに理解されて、この法律案の通ることを希望されているかということを聞くためにお招きいたしましたところが、われわれが危惧したように、あなたはそういうふうに考えておられる。そこでわれわれの心配が当つたのではないかという結論が生じて来るわけであります。そういう前提でありますから、そのようにお含みおきを願います。
  140. 佐藤重遠

    佐藤委員長 次に先ほど参考人として追加選定いたしました大蔵省職員組合副執行委員長の林原正三君が出席されましたので、この際御意見を聽取いたしたいと存じます。林原君。
  141. 林原正三

    ○林原参考人 大蔵省職員組合副執行委員長の林原でございます。先ほどわれわれの友誼団体である全逓さんの参考人の方が御発言になりました中に、ちよつと事実を曲げられたところがありまして、法案の御審議上誤解のないようにいたしたいということで、ここに発言の機会を与えてくださいましたことを厚くお礼申し上げます。私どもはこのことについて全逓さんと決してけんかしようとか、どうとかいうことは毛頭思つているものではありません。先ほどのパンフレツトの問題で簡保郵政分離運用論を批判するというのは、これは官側に名前を貸して官側でつくつたものだ、というよう意味のことを申されたように記憶しております。これは私どもの方の執行委員がどういうことを申し上げたのか私は知りませんが、このパンフレツトは私ども委員長自分で発案しまして――と申し上げますのは、私の方の委員長は主計局の法規課におりますものですから、法規面のことは詳しいのでありまして、自分で書きまして、そうしてこれは、私ども先ほど申し上げましたように全逓さんと闘争するとか、あるいは官側に対して闘争するとかということではなくして、理論的な立場において私たちは啓蒙運動をしようじやないか、その啓蒙運動をするためにはパンフレツトが一番いいのではないかということでつくつたものでありまして、決してこれは官側で命ぜられたとか、名前を貸したというものでないことをはつきりここに申し上げておきます。同時にその他のことについて、官側に頼まれてこの運動をやつているとか、これは御発言にはありませんでしたが、そういうわれわれの立場では毛頭ないのでありまして、これはむしろ今年の二月ごろかと思いましたが、次官会見、官房長会見で、全逓さんの方でこういうような署名運動をやつているけれども、一体そういう問題が起きているのかということがあつたので、そんなことは何らわれわれとして話も聞いていないというような答えでありました。その後全国財務局の職員組合協議会のところで、こういうような問題が出まして、どうしても啓蒙運動はすべきではないかという意味合いで、題名もやはり批判する、こう書いた次第であります。その他のことについて、たとえば御用組合をやるかどうかというような問題については、私たち友誼団体である全逓さんと話をすれば、はつきりわかつてもらえることであります。ここでまたこれ以上いろいろ討論しようという気持は毛頭ありません。また私も執行委員会の決定をもつて、ここで発言しているわけではありませんが、ただ事実問題として誤解のあつた分だけは訂正しておきたい、こう思つてここに発言した次第であります。なお財務部の職員の問題をどうこうということがありましたが、これも私は事実を知りませんし、またわれわれ大蔵省職員組合というのは大蔵省の二千人だけでありまして、財務部の関係とは別でありますから、この問題についても私が発言するとか釈明するとかどうこうという問題ではありません。ただあの批判するパンフレツトは、私どもの方で積極的につくつたものであるということの事実を、釈明いたしておきたいと思います。
  142. 佐藤重遠

    佐藤委員長 以上をもちまして本日御出席を求めました参考人方々の御意見を、全部拝聽いたした次第でありますが、この際委員長よりちよつとごあいさついたしておきたいと存じます。  本日御出席参考人方々におかれましては、御多用中にもかかわらず長時間にわたり忌憚なき御意見を開陳せられ、本委員会の法案審査の上に多大の参考となりましたことに対して、委員一同にかわりまして深く感謝の意を表します。  次会は明十三日午後一時から開会することといたしまして、本日はこれで散会いたします。     午後四時四十五分散会