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1952-06-11 第13回国会 衆議院 大蔵委員会 第87号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年六月十一日(水曜日)     午後二時十三分開議  出席委員    委員長代理理事 佐久間 徹君    理事 奧村又十郎君 理事 小山 長規君    理事 内藤 友明君       淺香 忠雄君    佐藤 重遠君       島村 一郎君    清水 逸平君       高間 松吉君    苫米地英俊君       三宅 則義君    宮幡  靖君       深澤 義守君    久保田鶴松君  出席政府委員         大蔵事務官         (銀行局長)  河野 通一君         郵政政務次官  寺本  齋君         郵政事務官         (簡易保險局         長)      白根 玉喜君  委員外出席者         大蔵事務官         (銀行局資金運         用課長)    高橋 俊英君         郵政事務官         (簡易保險局次         長)      中村喜代嗣君         郵政事務官         (簡易保險局運         用課長)    稻増 久義君         專  門  員 椎木 文也君         專  門  員 黒田 久太君     ――――――――――――― 六月十一日  委員宮原幸三郎君辞任につき、その補欠として  水田三喜男君が議長の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 六月九日  パナマ帽子に対する物品税免税点引上げに関  する請願島村一郎紹介)(第三四六五号)  税理士法の一部改正に関する請願三宅則義君  紹介)(第三四六六号)  公認会計士法の一部改正に関する請願三宅則  義君紹介)(第三四六七号)  政府資金統一運用に関する請願佐藤重遠君  外五名紹介)(第三四七三号)  同(宮幡靖紹介)(第三四七四号)  同(龍野喜一郎紹介)(第三五一三号)  同(高橋權六君紹介)(第三五一四号)  同外二十二件(田中角榮紹介)(第三五一五  号)  同外一件(早稻田柳右エ門紹介)(第三五一  六号)  同外一件(中村寅太紹介)(第三五一七号)  同(淵上房太郎紹介)(第三五一八号)  同(岩川與助紹介)(第三五七六号)  同(大石武一紹介)(第三五七七号)  同(島田末信紹介)(第三五七八号)  同(松本一郎紹介)(第三五七九号)  同(黒澤富次郎紹介)(第三五八〇号)  同(川野芳滿君外二名紹介)(第三五八一号)  同(奧村又十郎紹介)(第三五八二号)  同(川野芳滿君外二名紹介)(第三五八三号)  同(中島茂喜紹介)(第三五八四号)  同(平澤長吉紹介)(第三五八五号)  同(奧村又十郎紹介)(第三五八六号)  同(庄司一郎紹介)(第三五八七号)  同(平澤長吉紹介)(第三五八八号)  同(奧村又十郎紹介)(第三五八九号)  同(平澤長吉紹介)(第三五九〇号)  同(淵上房太郎紹介)(第三六一四号)  同(前田郁紹介)(第三六一五号)  同(久野忠治紹介)(第三六一六号)  同(永田節紹介)(第三六一七号)  同(藤田義光紹介)(第三六一八号)  同(床次徳二紹介)(第三六一九号)  同外一件(笹山茂太郎紹介)(第三六二〇  号)  同(佐藤重遠君外十名紹介)(第三六二一号)  同(松浦東介紹介)(第三六二二号)  同(北川定務紹介)(第三六二三号)  同(武藤嘉一紹介)(第三六二四号)  同(淺香忠雄君外三名紹介)(第三六二五号)  同外一件(淺利三朗紹介)(第三六三二号)  同(久野忠治紹介)(第三六三三号)  同(小山長規君外一名紹介)(第三六四六号)  陶磁器製タイルに対する物品税撤廃請願(早  稻田柳右エ門紹介)(第三四九四号)  在外資産の調査に関する請願岡良一紹介)  (第三四九五号)  桜皮細工たばこケースに対する物品税撤廃の請  願(根本龍太郎紹介)(第三五三三号)  公衆浴場業所得税減免に関する請願佐藤重  遠君紹介)(第三六〇〇号) の審査を本委員会に付託された。 同月十日  高金利等の取締に関する法律案に関する陳情書  (第二二  二七号)  特別未帰還者給與法による支給額増額に関する  陳情書(  第二二三五号)  政府資金統一運用に関する陳情書外三件  (第二三一四  号)  同外九件  (第二三一五号)  同(第二三  一六号)  同(第二  三一七号)  同外十七件  (第二三一八号)  同外五件  (第二三一九号)  同外十三件  (第二三二〇号)  同外一件  (第二三二一号)  同外二件  (第二三二二号)  同外一件  (第二三二三号)  同外一件  (第二三二四号)  同(第二  三二五号)  同(第二三二六号)  同(第二三二七  号)  同外三件  (第二三二八号)  同(第二三  二九号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  簡易生命保險及郵便年金特別会計法の一部を改  正する法律案内閣提出第二四一号)  資金運用部資金法の一部を改正する法律案(内  閣提出第二四二号)     ―――――――――――――
  2. 佐久間徹

    佐久間委員長代理 これより会議を開きます。  簡易生命保險及郵便年金特別会計法の一部を改正する法律案、及び資金運用部資金法の一部を改正する法律案の両案を一括議題として、質疑を続行いたします。質疑は通告順によつてこれを許します。宮幡靖君。
  3. 宮幡靖

    宮幡委員 前会に引続きまして両法案につきまして、ことには郵政委員会審議いたしまして、本院を通過いたしております法律、これらに関連しましてお尋ねをいたしたいのであります。それにつきまして質問の仕方というか審議の仕方から行きますと、まだなかなかたくさんあるのであります。もし私が佐藤郵政大臣の個人的な言葉をまともに受けて判断いたしますと、どうも何か時間をかせぐというような感じに響いたのでありますが、当大蔵委員会は、さような気持はないのでありまして、すでに前会にも郵政関係政府委員の御出席を願いましたときに質問いたしました。大臣からもしかるべく答弁があり、事務当局からもしかるべく答弁がありましたが、私はその後も研究を続けてみまして、どうしてもこの基本法でありまする郵政委員会審議しました法律の第三條と第四條の関係は、明らかに国家行政組織法に抵触するものであり、しかして実際問題としてかような起債計画というものを組み立てることは、事務上にも困難であろう、こういう考え方がいまだにうせていないのであります。こいねがわくはこれに対しまする郵政当局の明快なる法的根拠、もしできましたならば、私は当院の法制局長あるいは法務府の法制意見長官あたりの適正なる意見を聞いて、判断いたしたいものと思つております。けれどもできるならば郵政当局から、内閣法として提出されました本法でありますから、それに対しまする基本的な御説明をいただいて了承いたし、満足をいたしたいのであります。そこで本日はちようど銀行局長も見えておりますので、大蔵省側両方関連して、おもに事務的な問題につきましてお尋ねをしてみたいと思います。  ちまたに聞えておりまする一部の声としては、すべての郵便局を通じて集めた零細なる資金地方還元が十分でない。たとえば大阪商科大学教授近藤文二先生の本なんかにも、これは一体簡易保險積立金その他資金運用部資金として集まるものが、表面は違つたように見えるが、内容としては多く産業資金に流れておる。だからよくないというような書き方をしておられる。これは学者の論でありまして、われわれ野人が必ずしも決定的な批判をすべきではありませんが、こういう観念が私どもはなはだ納得ができません。もし産業資金に流れたならば、これが国民大衆の潤いにならぬということの御意見であつたならば、なおさらであります、もしさような意見であつたならば、国の正常なる経済還流ということを期待することができません。国の正常なる経済還流ができない以上、日本の経済の自立なんということも、これもまたかけ声だけとなるのであります。もし産業資金であろうとも、それが財政資金であろうとも、これが公平に各地域に散布されてこそ、あらゆる機関を通じあらゆる機能を通じまして、国民大衆の生活に浸透して参りまして、常時効果を上げるのであります。これが直接市町村やその他の地方公共団体等還元されることが、一番効率的な運用であるともし考えておるならば、私は抜本的に意見相違があるのであります。いかなる面におきましても、たとい産業資金でありましても、これがその事業活動によりまして国民所得の増となり、しかして中央地方を通じますところの税負担によつて中央地方財源が得られて還流して行きます以上、いささかもさしつかえない。これが産業資金に多く流れるから、当初の運用の目的をはずれておると批判するに至りましては、私は先輩学者意見でありましても、これに承服することができないような次第であります。それによりましてその基本となります地方還元につきまして、とかくの議論がありますが、まず銀行局長お尋ねしたいのは、二十六年度資金地方還元、これは予算委員会等におきまして、あるいは資料をもらつてあるかもしれません。探して見ましたが、適切なものが見当らないのでありまして、大体のところは地方債の五百六十億円、住宅金庫の六十億円、農林漁業資金に三十億円、国民金融公庫に二十億円、その他農中や商中や北拓債の買入れ等、全部で運用いたしました総額が千二百八十八億でありまして、そのうち大体七百三十三億くらいは地方還元の形をとつておりますが、比率にしますと五十七、八パーセントであります。半分以上が地方還元なつておると、私どもは総括的な頭で見ております。しかるに地方還元が全うされておらないという議論が、巷間において出るにおきましては、この総括的な発表や数字に間違いがあるのではないか。地方還元はどのような実体において行われておるのか。まず大蔵当局からひとつ御説明をいただきたいと思います。
  4. 河野通一

    河野(通)政府委員 お答え申し上げます。今宮幡さんからお示しになりました数字はその通りであります。なお地方還元と申しましても、今御指摘のように、他の鉄道公社その他に対しまする資金も、出ますのは、相手は中央にあります東京の公社に出るわけでありますが、これらも結局まわりまわつて地方に金が出て行くわけであります。ただ形の上で、地方債という形でだけ出て行くものが地方還元されるものではないので、資金というものは、御承知のように流れて参りまするものでありますから、そのうちどれだけが地方に一体行つたかということは、なかなか的確につかみ得ないと思いますが、少くとも国鉄公社等に出しました資金も、やはり相当部分地方に結局は流れて行くというふうにも、見て参らなければならぬと思います。それらを一応抜きにいたしましても、今お示しのように七百数十億——今ちよつと数字ははつきりいたしませんが、千二百億のうち七百数十億というものが地方に直接に出ている、かように私ども考えております。
  5. 宮幡靖

    宮幡委員 銀行局長答弁をまつまでもなく、相当量——必ずしもこれで満足すべき地方還元だとは私は申しません。けれども、ある程度地方還元が実施されており、本年度計画におきましても、その方向は決して違つた方向に歩いておらない。それなのに、郵政当局として、地方還元を全うすることができないという一つの御意見が、理由として述べられておるのでありますが、これにつきまして、どういう点において地方還元が不十分であると信ぜられておるか、忌憚ない御意見を承りたいと思います。
  6. 白根玉喜

    白根(玉)政府委員 お尋ねの点についてお答え申し上げますが、金の面といたしまして、地方還元をしておるということにつきましても、直接と間接と濃淡があろうかと存ずるのでございます。従いまして、今銀行局長がおつしやいましたように、鉄道に投資するのも一つ地方還元である、こういう見方もあるいは立ち得るだろうと思います。また金融債につきましても、まわりまわつて行けば、ある程度濃淡の差こそあれ、地方還元であると言われれば、そうも言われないこともないと思います。しかしながら金融債地方還元であるということは言えないと思います。のみならずわれわれといたしましては、事業の性質からいたしまして、資金地方還元は直接的にやりたい。直接的にやることこそ、加入者階層に対しまして利益を還元するようなかつこうになるのでございまして直接的にやることこそ、還元の大きい理由であると、かように考えます。
  7. 宮幡靖

    宮幡委員 両方お話を開きますと、地方還元の定義というものに基本的な相違がある。これはどつちがよいかという判断を下すのも、またなかなか容易でありません。従いまして、両方意見を私はそのまままるのみにいたしますが、とにかく見方相違であるということは確かである。もつと言葉をかえて言うなら、見解の相違でありましよう。そこで私は一応郵政省側の、俗な言葉で申せば、肩を持つてひとつお伺いしてみますが、直接還元が真の還元であるという御意見であるならば、加入者主義とでもいいますか、あるいは加入額主義と申しますか、その加入地域に集められました資金還元するのが、これが直接還元基本的な行き方であります。貧弱なる町村経済状態に恵まれない、あるいは財政が豊かでないような地域から集まるものは、おおむねやはり少いと私は思う。そうするとその地区へ直接還元すれば、還元する額もまた少いのが当然ではありませんか。むしろ資金運用部資金法の精神というものは、貧弱なる財政貧困なる地方相当量配慮を加えました、いわゆる余分に配賦して行くということが、起債計画根本であり、資金運用審議会の経過におきましても、これは明らかであります。集まつたものを加入者主義加入額主義でもつてもし直接還元をいたすとするならば、貧弱な町村などは、この資金の面を通じましては、永久に救われないということになりはしないかと思うが、そういう弊害があるとしましても、なおかつ直接還元というものが妥当であり、循環還元と申しますか、さような遠まわしのものでは納得が行かぬと仰せられるのか、この点をはつきりしてもらいたい。
  8. 白根玉喜

    白根(玉)政府委員 どうも観念的な議論なつてたいへん相済みませんが、私ども地方還元と申しますのは、中央に集中することを避けるということでございます。科学的に加入者から入つた金の率に応じまして地方還元するというようなことは、言つておるわけではないのでございます。かつて貯金の面につきまして、貯金リンク制というのを終戰後やつたことがございます。そのリンク制は、御承知のようにあの当時におきましては、募集した額の半額は、当該市町村に希望があれば還元するというやり方を、おやりになつたようでございます。しかしわれわれの言う地方還元は、そういう意味地方還元ではないのであります。従いまして、おつしやるような貧弱なところから吸い上げて、都市なり民度の高いところへ流す、こういう意味地方還元ではないのであります。考え方といたしましては、農村方面町村方面は、むしろ保險といたしましては、培養力といたしまして養わなければならないところでもございまして、従いまして科学的に加入者から入つた金の率に応じまして——地方還元というのはそこまでいうのではないのでございます。とにもかくにも中央集権的なことはやらぬということだけでございまして、できれば加入者階級地方に配分いたしたい。配分するにあたつて入る金の率に応じてやるというところまで、われわれは考えているのではないのでございまして、むしろ町村方面につきまして力点をある程度つて行きたい。そこまでも考えておるのでございまして、なるほど文字から行けば、地方還元といえば、宮幡先生のおつしやるところまで突き詰めればなるかと存じますが、そういうところまで考えておるのではなくて、むしろおつしやるような線につきまして、地方還元やり方をやりたい、かように存じておる次第でございます。
  9. 宮幡靖

    宮幡委員 なかなか局長さんのお話は、遠慮なく申せば巧妙な御答弁でありますが、私の質問した要旨とは六割も七割もはずれておるのであります。私どもは別に地方へ集中して産業資金を流せとか、そういうような方向還元だといつたのではない。あなた方が地方還元とおつしやることは、しかも加入者主義あるいは加入主義によつて、これを基本として還元したいということになれば、そういう直接還元をやるならば、貧弱町村というものは救われる道がないじやないか、それでもその方がよいとおつしやるのかと、こういうことをお尋ねしたのであります。しかしながらその巧妙な答弁の中におきまして、一部分そのお話もわかつたわけでありますから、別にくどいことは私は申しませんけれども、さような抽象的な言葉では恐縮だという御答弁の前段でありましたが、まつたく私は恐縮どころか、この法律是非善悪につきまして判断に苦しむ一つ言葉になります。どうしてもそういうことが正しいのだという信念ならば、それが間違つていても私どもはある程度尊敬しなければならぬ。抽象的であるがこういうふうなことになるのだ、こんなことでありましては、どうも法律審議の上において、さようでございますかという了承を與えるのには、若干躊躇をしなければならないという気がずる。しかも各地域から集めたものを直接でなく、ある意味においてそういつた趣旨をもつて地方に多く流れるようにしたいという御意見であるとするならば、先般銀行局長お尋ねいたしました二十六年度の実績によりまする地方還元五七%程度のものを、お認めになつているとするならば、それではまだ足りないのだという他の理由があるべきだと思う。私どもは現在の国の財政資金の全般の運用から見まするならば、千二百八十八億のうち七百三十三億が地方還元を全うし、その比率が五七%ならば、まずまずもつて十分とは言えなくても、現在の状態においてやむを得ざるところの地方還元の措置であると考えておるのでありまして、それでは足りないのだという一つの有力なる理由郵政省から伺わなければ、あなた方の法律基本的な賛成をすることができない、こういうことになるわけでありますが、その点については別にもし速記に残してぐあいの悪い点があるならば、これは私の敬愛する寺本政務次官もおられることでありますから、速記をとめられて、われわれの了解する実際のお話をちようだいしてもけつこうだと思います。
  10. 白根玉喜

    白根(玉)政府委員 別に速記をとめていただく必要はございません。その点につきましては、現在の府県市町村における資金需要供給財源との見合いからいたしますと、御承知のように需要の方が多いことは事実でございます。その程度が相当多いことも事実でございます。その事実に基きまして、さればといつて需要があれば全部まかなつて行かなければならないのではなくて、やはり地方自治体の健全な点を越えてまで、資金供給をすべきものではないとは考えられますが、現実の姿が市町村需要を、今まで供給した程度で十分であるかということになりますと、私どもこれはわかりません。郵政省財政当局ではございませんからわかりません。しろうと考えでございますが、やはりまだまだ足りないのではないか。これはしろうと考えからいえば、言えると思うのでございます。そういたしますと、私の方でこういう復元をしていただきますと、これは見方相違でございましようが、やはり従業員志気その他によりまして、集まる資金量というものはやはりふえるのじやないか。これは見方相違であろうと思いますが、私たちの考え方としては資金量はふえるのではなかろうか。そういたしますと、そのふえるプラス・アルファの面は、やはり何と申しますか国の資金としてはふえるわけでございます。ふえる部分市町村の方へ流す可能性も強くなつて行くのではないかと思うのでございます。そういう意味からいたしましても、先ほど申し上げましたように、科学的に地方還元ということではないけれども、そういう方向へ持つて行きたいという気持還元一つ理由になる、かように存じている次第でございます。
  11. 宮幡靖

    宮幡委員 だんだん具体的になつて参つたわけでありますが、従業員志気が高揚せられまして募集もうまく行く。これも行くという断定ではなく、行くであろう、こういうことでありまして、これは先般要求しました資料であるかもしれませんが、まだ拜見しておりませんが、そこで全体に分離運用をした場合に、どれだけの数字的、経理的な効果が上るかということについては、資料をもつて説明してもらいたいと思います。これがそうですが。
  12. 白根玉喜

    白根(玉)政府委員 そうです。
  13. 宮幡靖

    宮幡委員 これはただいま配付されたばかりでありますから、読んで次会にまたこの問題はお伺いいたしますが、今の観点から行きますと、もちろん私どもはせつかく閣議でも決定いたしたことでありますので、これらの法案国民納得の行く線において成立するということを、根本からいつて希望しておる。その資金が余分に集まる、そうすれば地方還元も今よりよくなるであろう、今は決して満足すべき状態でない、これは御説の通りもつと十分にやりたい。そういうことであるなら、ふえて来たものはそんな運営ができる、こういうことになりますと、これがよい御構想であることには私は異議がありませんけれども、前会からの答弁——これは速記照すまでもなく、比較してみますとはなはだ大きな矛盾がある。ことにはやはり基本法である簡易生命保險及び郵便年金積立金運用に関する法律の第三條、第四條の関係なつて来るのであります。それは二十七年度地方債詮議要綱というものがある。これは郵政大臣も副委員長でありますか、副会長でありますか、その立場で御参画なつているその運用計画の第三番目に何と書いてあるか。起債許可予定額の配分、これは都道府県別都府県分、五十六市分、市町村分にわかち、この方法により配分するものとす。但書は省略いたしますが、こうなりますと、ふえたそのかたまりを配分して行く計画はこの中において行われるということが、二十七年年度のそのままの運用であつたといたしますならば、そういうことになる。市町村の分、五十六市の分、都道府県の分、こういうふうにわけてやる。それは資金のかたまりがこれだけふえましたから、これだけは私の方でどこへやるのだという起債計画郵政省参画しない以上は、これは不可能なことであります。しかもその起債計画参画するということは、現在の国家行政組織法それ自体から考えまして、郵政大臣地方債起債計画に対しまする決定的な参画をする立法的な根拠はございません。わずかに総理府設置法附則を設けまして、資金運用部のこの運用に対して、意見を述べられる機会が與えられておるのみである。それはすでに前回資金運用部資金法を成立せしめた当時、郵政大臣を副会長といたしまして、大蔵大臣とともに副会長立場において、内閣総理大臣指揮下におきまして、両者の運営を全うしたい、こういう趣旨にできておることと何もかわりのない総理府設置法附則改正であります。従いましてどうしても大蔵省地方財政委員会に専属いたします起債計画郵政大臣参画しない以上、御趣旨のようなことはできないのでありますが、もしその通り参画してやるのだということになれば、私の方では借入金の申込書をとりましても、事前審査はいたさないのであります。別に人の数もふえません。別にこれがためにたくさんの窓口をふやすというわけではありません。しかも国の財政資金一元運用というものの方針に、何らの変更はないのである。二元運用などという言葉を使われては、むしろ迷惑であるということを前回述べられでおりますが、その方針とまつたくこれは相反する御答弁であると思いますが、この点について十分御説明を聞きたいのであります。
  14. 白根玉喜

    白根(玉)政府委員 まずお答えする前に、今一番先に御説明になりました起債方針につきましては、資金運用審議会には付議されておらないのであります。従いまして現状におきましては、地方庁と大蔵省との話合いで、起債の詮議方針がきまつておるのでございます。それにつきましては、郵政省は従来はタッチしておりません。のみならず資金運用審議会には付議されておりません。これだけはお断りしておきたいと思います。  なお三條、四條の関係と起債の問題でございますが、まず三條、四條の問題につきましては、前回の委員会におきまして、たびたび大臣なり事務次官から御説明申し上げたので、それで御了承いただいておるとは存じますが、蛇足を加えて御説明申し上げますと、なるほど現在の設置法から申し上げますと、起債の許可という面につきましては郵政省は権限がございません。従いまして今度の運用にあたりましても、そこヘタツチする意思は毛頭ございません。それは全然ございません。しかし大蔵省のタッチしておるというのは、これは私よくわかりません。債権者の建前でやる包括的な債務の監督という面から、個々の市町村のところまで記載伝票を一々お調べになることが、どこの権限から出るかということは私は存じません。しかし少くとも地方庁は許可の権限がございます。それから大蔵省も一般的な監督の権限がございますから、それでおやりになつておるのではないかと存じでおります。従いましてその面に対しましては、私どもはタッチする気持はございません。これは前回の御答弁と全然同じことであります。  なおさて起債の許可についてでありますが、私の方は許可の処理に対しましてからむ書類といたしましては、特別にとらない。とらないけれども地方庁なりあるいは県の地方裸等から書類をちようだいして、借入れ申込みに対しまして貸す準備をするために、あらかじめそういう書類をお借りじて行くような方法でやりたいというたことは、今でも間違いはございません。さて設置法との関係につきましては、先ほど申し上げましたように、郵政省といたしましては、起債の許可にかうんで権限はございません。ございませんが、三條は権限規定というものではなく、これは戰前におきまして御承知のように、起債の許可と起債の許可を受けたあとの資金を貸すのとは、画然と区別されておつたのでございます。ところが現在のように許可に伴う資金需要資金とでは、需要資金の方が五倍以上あると思います。従いまして許可は許可、金を貸すことは貸すということで、全然分離して無関係でやるのでは、資金量の方が需要量の方よりも非常に少いから、従つて次に来るべき金を貸すときとの見合いもしなければならないという意味合いにおきまして、実行上起債許可をやるときに、地財委とじては成規の手続をとつて財政の事情を調べる。また大蔵省どいたじましては、債権者の建前か一般監督権の建前かよくわかりませんが、そういう意味でやがてまた金を貸すときの見合いのために、起債との結び合せをするために、申込みの申請書というのをおとりになつて、その際に單独事業につきましては相当詳しいお調べをなさつて、その上でさらに借入れ申込みという手続をとつておられると思ます。われわれのところではお話の面もございますし、三本になるのもどうかと思いまして、それらの書類は地方庁を通ずる書類を利用いたしたい。しかしこれは起債に干渉するというわけではなくて、やがて来る金を貸すときの大体の見当をつけるために、書類を県の地方課から以後のところでお借りしたい、あとは金を貸すところの書類だ、こう持つて行きたい、かように存じておる次第でございます。従いまして三條の問題といたしましては、これはいわゆる貸付業務でございます。むろん戰前におきましても、現在の地財委に相当するものに内務省がございました。それから現在の大蔵省に相当するのはやはり大蔵省でございます。その際におきましても、これは貸付業務でございました。戰前におきましては、地方債に限らず、社債とかあるいは株式までもやつておつたのでございます。それらのことをチェックいたしまして、現在の資金の総合的運用の必要性の現状にかんがみまして、また先ほど申し上げましたように、加入者還元する必要性からいたしまして、地方債なり地方貸付に限定いたしたものは三條でございまして、この点につきましては、設置法との関係には全然矛盾はないと私は思います。のみならず、先日来大臣から御説明申し上げましたように、しからば郵政省で設置法上資金運用ができるかできないかということは、できる法條の根拠があることを御説明申し上げまして、宮幡さんに大臣から御説明申し上げた通りでございます。むろんあれには法令の定むるところというのがございますが、その規定によつて間接の預託も運用ではないか、もつともでございます。これも運用であると存じます。従いまして今後におきましても、余裕金は運用の一態様といたしまして、資金運用部に預託する建前をとつておる。しかし現在におきましても預託だけが運用の一態様ではなくて、証券貸付の面は現在私の方で、これはむろん資金運用部のある法律で許されておる規則があるとおつしやれば、それまででございますが、これも設置法の権限に基いて、三十数億円という証券の貸付償還の事務をやつておるわけです。従いましてこの設置法上の運用というのは、間接運用と直接運用を含んでおるわけでございます。従つてこの設置法の権限に基きまして間接運用的なところを少くして、直接運用的なところが従来よりふえて参つた、こう考えておる次第でございます。  そういたしますと、現在四條の問題でございますが、資金運用審議会は御承知のように内閣の所属機関でございます。直接運用法律的に幅を広げてやることが、この法律を通していただきますと、できることになる、できることになりますと、郵政大臣も諮問することができ、大蔵大臣も自分の資金運用部資金の面で諮問することができる、こういう建前をとることについては、何らの法律上の矛盾はないと思います。従つてこの審議会を通じまして両者の計画を総合と申しますか、にらみ合せまして総合計画をやつて、現在の資金事情からいたしまして相互の要請も加味できる、こういうような意味で、この法案の御審議をお願いしておる次第でございます。
  15. 宮幡靖

    宮幡委員 御懇切な御答弁をいただきましたが、全般を通じましては、わかるような、わからないようなことであります。しかしながら、その中で重要な二、三点だけは確認することができる。郵政省は進んで起債の許可というものに介入する気持は持つておらない、こういうことははつきりいたしました。それともう一つは、これは何か言葉の言いまわしの間違いか、あるいは聞き違いかもしれませんが、郵政大臣は今まで資金運用審議会参画しておらぬと断定的に申されたようでありますが、私の知つている範囲では、副会長であつた。今度法律ができて初めて四條の効果によりまして、そこに発言の機会が與えられ、あるいは諮問されるという立場になるので、決して摩擦なく行くのだ、こういうことになるのでございますが、今までは、これは銀行局長から聞きたいのでありますが、郵政大臣審議会の副会長ではなくなつたのでありますか。これはいつからでありますか。その点をお尋ねしておきたい。
  16. 河野通一

    河野(通)政府委員 郵政大臣は副会長であります。
  17. 白根玉喜

    白根(玉)政府委員 これはお聞き違いか、私のしやべり違いかどちらかと思いますが、私の申し上げました意味は、郵政大臣運用資金の管理運用の建前で参画しておるのではなくて、御承知のように資金運用部資金法によりますと、あの資金の管理運用大蔵大臣がやつておることになつております。従いましてその資金の管理権者としてのタッチでなくて、大きい関係大臣として副会長なつておるのでございます。このたびこちらの運用を再開いたしますと、法案にもありますように、来年度積立金からスタートいたしまして、多少例外がございますが、その管理権は郵政大臣が管理運用権を持つております。そういたしますと、あとに残つた資金運用部資金とこちらで運用するところの資金、その管理権者は二人でございます。二人でございますから、大蔵大臣は所属の管理権の範囲内における資金の面につきまして、計画を立てて審議会におかけになる。郵政大臣は、もしこの法案通りますと、法案の認めた範囲内における資金の管理権者として、計画を立てて審議会にかける。両者の計画を総合するのは審議会自体にある。従つて現存の設置法におきましては、なるほど大蔵大臣が諮問する権限だけしかないような附属機関になつております。その附属機関の性格をかえていただきまして、郵政大臣も諮問することができるというような権限を附加する改正を、別途の法律でやつておるのでございまして、権限その他については、私どもとしては何ら矛盾はないと思います。
  18. 宮幡靖

    宮幡委員 またあとで誤解の種になるといけませんから、はつきり申し上げておきますが、私は権限問題において矛盾ありと断定いたします。しかもお話を聞いておりますと、今まで副会長として発言の機会もあり、諮問に応ずることはできた。むしろ諮問なんというよりも、強い意見資金運用部資金運用審議会において述べる機会があつた。その機会をみずから利用しなかつたではなかろうかとさえ解釈ができるのでありまして、今度法律の第四條によつて、管理権があるからといつてやりましても、第三條で縛られました地方債その他の運用の方途から見ますと、局長もお認めになりましたように、地方財政委員会の権限等を決して侵すものではない。起債に関して介入はいたさない。また地方自治法の二百五十條の規定によりましても、起債の許可は政令の定めるところによつて地方財政委員会もしくは都道府県知事に専属いたしておる、その起債の許可の権限に何ら介入をいたさない、今までの資金運用部資金運用の面において遺憾があつた、そういう御意見なら私は聞かなければなりませんが、別に法律をもつてこれを抜き出して、特に規定しなければならないということはない。かように抜き出してみたところで、根本的な資金を集めることは、従業員志気高場等によつて達成できましても、その資金の全体の計画は、やはり国の財政計画とマッチする地方債というものに縛られておる第三條であつてみれば、この改正をしても、局長さんの御説明するような独自の権限は生れて来ない。しからばこの法律はまつたく無用なものである。むしろ今まで審議会の面において達成せられなかつたことは、郵政大臣の発言あるいは意見が重要視されるような方途を進めても、私は足りるものであろうと思います。こんなものは妥協の法律であります。これを読んでごらんなさい。これは最初に申し上げたように、衆議院の法制局も見ておる。專門家が見て一応さしつかえないとしたのでありますから、われわれしろうとが批判するのは間違つておるかもしれない。それを前提として私は言つておる。もしほんとうにあなた方が御説明になるような御意図を持たれており、分離運用して、貸すことから利息をとることから一切あなたの方でやるというならば、われわれは納得ができる。金を集めてたくさんになつた、第三條の目的のもとに、その許可を與えるのは大蔵大臣なり、地方自治庁長官なり、あるいは地方財政委員会委員長に専属することを認めて、一体この法律は何の効果があるか。むしろ單独命令にして、おれの方でかつてに貸して行くんだ、こうして地方還元も全うしたい、従業員志気も高揚したい、さらには戰争前に一時的に現われたよき制度である地方への直接貸付をしたいんだ、そういうのなら、利害得失はあとの研究といたしまして、そこに一貫性があるのでありますけれども、この部門には意見を述べる機会がある、権限は侵すものではない、政府資金一元運用に対しては決してこれにそむくような運用はしない、金を貸す立場において事前審査はしない、窓口もふえない、従業員もふえない、そうして効率を上げて今までの赤字は吹つ飛んでしまう、たとい飛ばないまでも、よい收益状態になる、こういうようなことでは、私どもはこの三法律案を見合いまして、ほんとうに良心的に申しますならば、賛成ができると思われるお役所の方の考えが、私は間違いではないかと思う。もし今のようなことであつたならば、もつとはつきりお書きになつたらどうですか。そうすればそれに対する利害得失というものを私どもは検討いたしまして、賛成すべき理由があれば欣然として賛成いたします。しかしながらこんな妥協的なものでは、とうてい納得が行かないと残念ながら申さねばならぬ。これを特に大臣にもお伝え願いたい。私どもの政治的地位はまつたく無官の大夫であります。しかしながらそれだけ正確に法律を批判して、次に備えるところの十分な心構えを持つております。意地や感情で決して争いません。どうか郵政省に限らず、政府当局は、われわれ国会の審議に付するならば、一つの信念をお持ちになつて、われわれとともにその審議に全精力を盡していただきたい。今の御答弁は、あとから速記を読んでみましても、これが一貫した趣旨のもとにできた法律でないということは、うかがい知るに困難でありません。従つて私はもはやこの法律の全部について、一々こまかい質問をする勇気がなくなつたくらいであります。現在のところ起債の許可に介入する気持はない、こういう御当局考え方でありまして、せつかく郵政関係従業員を督励せられ、かりにたくさんの資金が集まつたといたしましても、その効果を期待する実際の運用は不可能である法律が提案されておるものと、認めざるを得ないのであります。しかしこれでも名目が立つんだからいいのだというような話であるならば、これは法律の本筋から離れました常識論であります。これもまた一晩寝てよく考えてみてから、私は判断いたすことにいたしますが、とにかく決定的な問題としては、起債の許可の権限は持つていないということを確認いたし、審議会の運用が従来十分でなかつたので、四條によつて管理権を今度持つから、その管理権に従つて意見を述べ、また諮問に応ずる立場なつたということを、この際確認いたしておきたいのであります。  それで次に、あまりりくつは言いたくないのでありますが、もしほかの方の御発言がなければ、事務的な問題を、国会議員としての当然の勤めを果す意味で、質問を続けてもよいのであります。委員長どうでありますか。
  19. 白根玉喜

    白根(玉)政府委員 ちよつとその前に申し上げます。筋を通せというお話は非常に御親切なお話であります。筋を通せといつても、現在資金の総合という面が、戰前程度に綜合性が必要でないときは筋は通し得るのであります。しかし筋を通し得ない程度に現在の国家資金というか、民間資金にあらざる資金の総合というものの必要があるから、そうなつておるのであります。  なお一言申し上げますが、起債の許可の権限は大蔵省もないと思います。従つて起債の許可がないからと申しましても、われわれは起債の許可の行政にはタッチする気持はないのでございます。ないというのは、市町村に煩わしいことをやつちやいけないというのでやらないのであります。しかし起債の詮議方針については、われわれは債権者側としてある程度タッチしてもいいんじやないか、また先ほど来申しました趣旨に基きまして、起債の詮議方針にはタッチする必要がわれわれはあると思います。個々の起債に対しましての起債詮議方針とかいうようなものは、おつしやるように審議会にはかかつておりません。またここまでかけるということは、現在の審議会のあり方としては相当むずかしいのではないか。従いまして審議会で副会長であるから、それでいいんではないかというような御議論では、ちよつとわれわれとしても困るのであります。起債詮議方針にはタッチしたい、しかし個々の起債については市町村側にロードをかけてはいかぬ、複雑なものはやらしてはいかぬという意味で、そこにタッチしないのでありまして、おつしやるように右か左かということは、なかなか現在の状況ではできないのでありまして、右と左でない中のところもございまして、そういうところをわれわれはねらつておるのでございまして、妥協と申しましても決してただ單なる妥協ではございません。そういうことを賢明なる宮幡先生、ひとつ了承していただきたいと思います。
  20. 宮幡靖

    宮幡委員 私も了承したいので、私の考え方がどうか間違つていてくれればよいということを、念願しておるのであります。従いましていろいろな意味でお伺いいたしておるのでありますが、局長さん、私が與党でありますから幸いであります。もしこれが痛烈なる野党でありましたならば、局長さん詭弁を弄してはいけませんというようなことになるかもしれません。と申しますのは、あなたが説明することによつて郵政省がどうしたつて起債許可に介入する権限ありということの裏づけにはならぬのであります。それでありますから、私は自治法二百五十條の規定によりまして、地方財政委員会会長もしくは都道府県知事に専属しておるものではないかと言つておるわけでありますから、どうしてもそれは起債の許可権が郵政省にあるという説明にはならぬのであります。従いましてこの三條と四條は、私に言われるまでもなくうつとうしい法律なのである。これを皆さんの方でこういうものをとつてしまえば、うつとうしくないわけであります。言葉の言いまわしでこれを了解しろといつても、うまくないわけでありますから、何とかして結論を出さなければならないという立場から考えれば、許可権限がない、それに介入する意思はないという善意の発言と、私がまず確認したいゆえんもそこであります。それでありますから、これらの問題につきまして、郵政大臣が今まで審議会に参画いたします権限及び実績がきわめて低調であつた。だからこれを十分価値あるものにして行かなければならぬということも、郵政省立場としては十分わかるのであります。それでありますから、どうかこういう單独運用をいたそうということは、この積立金などは、国家の全般の財政資金から切り離しまして、昔の通り郵政省におまかせしてもよいんだという経済事情、国の財政事情、少くとも自立の過程が順調に進み、国民生活の水準も低下せず、国際融資の均衡も保ち得るときまで、お待ちになることが妥当であるのであります。私ども根本的にこれに反対するものではないのであります。今資金運用しまして、その運用される資金のうち一七%ないし一八%がやはり積立金からなつております以上、この運用が完全に切り離されない以上、根本的には現在のこの單独法には賛成ができにくいという立場であることも、また知つていただきたいのであります。こういうことを無関心でどんどんと通過させてしまつた場合におきまして、一体国家の資金繰りやあるいは国家の收入を当てにいたしまする復興過程にある、あるいは振興過程にありまするところの日本の産業、経済全般はどうなりますか。一平代議士の宮幡といたしましてもこれは心配でなりません。これは郵政省におまかせしまして、集めることから貸せることまで御随意におやりになるという権限が持てるときになつてこそ、初めてやるべきことでありまして、まだ全体の預金部資金として集まります資金の十七、八パーセントまでが積立金で占めておる重要なる要素であるものを一部だけとつて一つのからだの足一本とり、手一本とり、こういうようなことでもつて資金運用が全うされると考えることは、私は早計であると思う。かような意味におきまして、世論あるいは両派にわかれてやつておるかもしれませんが、われわれは世論の起るゆえんも知つております。あるいは作為的な世論もありましよう。しかし独自の立場でこの問題をお考えになりますのには、私ども賛成すべきでありますが、時期尚早であるということをもつて論じなければならぬことは、まことに遺憾とするものである。これは郵政大臣以下郵政省の幹部諸君によく知つていただきたい。大蔵委員会はかかる観点におきましてこの法律をながめて、むしろ適当な機会があつたならば郵政委員会と合同審議をいたしまして、十分国民納得するところの審議の上、あるいは私どもの意思が強かつたならば、この際簡易保險積立金なんというのは郵政省へ元通り全部やつて、一指も大蔵省その他に染めさせない運用をしてもいいではないかというような、すぐれた議論も出たかもしれません。しかるに残念ながらわれわれの申し入れました合同審議も拒否され、あるいは正常なる公聽会によりまして公述人がみずから申し出をして、これを委員会において選定いたしましてやる、いわゆるこちらの希望する人を参考人として呼ぶなどというような、あらかじめ意思を通ずるような情実ではなくして、公告その他によつて、真にみずから進んで申し出て来られた人々の神聖なる意見を聞いて判断すべき機会さえも、われわれは失つてしまつた。そうしてみると、この法律は、おそらく郵政当局——言葉をかえていえば、宮幡のやつ、ずいぶんしつこく責めるが、これでも満足していないんだ、これまでおれの方が讓歩してやつたことが、大蔵委員会はわからぬかというようなくらいの気持を持つておるのかもしれませんが、それだけいけない法律であります。それでありますから、私がただいままで申しましたことは、はなはだ言い過ぎであるかもわかりませんが、私は一平議員でありますけれども、自己の当然なる職務といたしまして、決して行き過ぎでないことを確信いたしまして、強く申し上げた次第であります。  あとは事務的なことでありますが、一つ私が伺いまして、あと他の議員の方にお譲りいたしたいと思います。これはごく簡単な問題でありますが、この間あるいは夏堀議員からの要求であつたがもしれませんが、郵政関係から資料の御提出をお願いいたしましたうちに、保險の募集についての外務員の募集手当が、一人当り三万七千円という資料をいただいた。ところがきようここへ参りますと、それが二万八千円と訂正された資料の配付があつた。これは私は三百的なりくつを申し上げるわけではありませんが、一体郵政省保險募集に関する勧誘員の給與関係の整理なんということは、そんなにめちやくちやになつているものなんですか。これは過去の実績をいうのでありますから、こんなものはわかつておるはずです。そうしてこの手当はどういうふうにして出されたのか知りませんが、端数のつかない数字が出ておる。端数もないということさえも私は疑問に思う。これはそういう給與方法をすれば端数がないのかもしれませんが、現実に給與したもの、これは源泉徴收もあります。でありますから、どのような面から見たつて確定的な数字が出ておらなければならないのが、二日か三日で変更されるに至りましては、どうも残念ながらこういう資料につきまして、私はその信憑性を疑つては申訳ない。ないけれども、一片のそういう疑点が生ずるのでありますから、これはひとつ事務当局からどつちがほんとうであつて、どういうわけでこういう間違いが出たのか、ぜひひとつ御懇切、丁寧な御説明をいただきたい。
  21. 白根玉喜

    白根(玉)政府委員 非常に相済まぬことをいたしまして、心からおわび申し上げます。しかしこれはそろばんの誤りでございまして、そういう偽りでないということを、はつきりわかるように訂正しておるところでもわかるだろうと思うのであります。基礎が間違つておるのじやございませんで、何しろ急にいろいろのことがございまして、忙しくてこうなつたのでございまして、決して偽りでないということは、訂正したそのままを出しておるところで御了承願いたい、かように存じます。
  22. 宮幡靖

    宮幡委員 ただいまの答弁は私率直に了承いたします。本日はこれで質問を小山委員に譲ります。
  23. 小山長規

    小山委員 忘れないうちに、この表の中でいかにもふしぎなところがありますので、これの説明を一応伺つておきたいと思います。先ほど配付になりました表の中で、簡易生命保險年度別府県別收入保險料額の北海道の欄を見ますと、いかにもふしぎなんです。というのは、二十一年が七千八百余万円、その次が十一億三千九百万円にはね上つておる。その次の年になると三億七千七百万円と四分の一に下つております。それからその次が一億二千三百万円でまた三分の一に下つてつて、昭和二十五年度になりますと、それがまた一躍して今度は十八億六千四百万円となつておるのでありますが、北海道はどうしてこのように波がはげしいのか。何か理由がありますか、お伺いしたいのであります。
  24. 白根玉喜

    白根(玉)政府委員 実は保險は集計が相当むずかしくて、私の方にまず入らなかつたのでございます。北海道は御承知のように非常に経済上の移動がございまして、多分年金の方にも影響があると思います。と同時に、終戰後相当あそこは組合運動の強いところでございます。その影響と、水産関係で、たとえばにしんがとれるかとれぬか、いかがとれるかとれぬか、りんごが増産になるかならぬか。それからまた炭鉱関係の景気、不景気によりまして木材関係の出入りが非常に違いまして、現状は大分安定しておりますが、過去におきましては非常に起伏のあつたところでございます。あるときは非常にいいときもございますが、あるときは悪いときがあるのでありまして、それらの影響だろうと思います。
  25. 小山長規

    小山委員 表そのものの信憑性の問題でありますから、だろうではちよつと困る。というのは、收入保險料というのは新規のものでなくして、その年度に入つて来る総合計の問題であろうと思う。総合計であるとすれば、前年度より減るということがあるはずがない。
  26. 白根玉喜

    白根(玉)政府委員 これはあとで調べた上申し上げます。
  27. 小山長規

    小山委員 これは提出された表の真偽の問題でありますから、十分に説明をされたいのであります。  次に、今まで各委員から総体的な質問があつたのでありますが、質問を通じまして伺つている間に、いろいろな疑問がわいて参りましたので、非常に断片的でありますが、質問をしてみたいと思います。私の見解によれば、衆議院においてあるいは参議院において、独立運用とかあるいは分離運用とか、あるいは郵政省への簡易生命保險及び郵便年金の復元という声が起り、院議としてこれが成立したということについては、私は代議士諸公の側においても誤解があつたのではないかと思う。つまり地方の起債のわくがふえるとか、あるいは地方への還元額がふえるとか、郵政省の側からいえば、募集が容易になるとかいうようなことで、従業員が張り切つて来る。募集が容易になるということは、結局手当がふえるということであります。それから市町村の側から言うと、起債のわくがふえる。今まで非常にきゆうくつであつた地方起債額が豊富になつて来るであろう。これが各代議士諸公に響いて、早く復元しなければいかぬ、あるいは独立運用と認めてやらなければならぬという声になつたのであろう、私はそう考えておるのであります。今までの御説明によると、別に従来よりも地方還元をふやしてやるわけではない、またこれによつて起債のわくがふえるわけではない、また募集と運用を一体としてやるようなことは考えておらぬ、こういうのであります。そうすると、残るところは何かというと、独立して運用をすれば運用利益がふえる、つまり資金運用部に預けておくと、最長五年の場合に五分五厘でありましたか六分五厘でありましたかであるのが、独立運用になれば地方債に投資する場合にも、普通の七分五厘とか八分とかいうように、表面上の運用利益がふえて来る。従つて、現在のところ独立運用とかあるいは復元とかいうような問題は、結局帰するところその問題だけ残るではないかという印象を受けているのでありますが、それ以外に何か理由がございますか。
  28. 白根玉喜

    白根(玉)政府委員 実はそういう運用差益だけの問題ではないのであります。資金の増ということに確かに事務的に見ますればなると思います。ただ大臣は、民間資金を押えてまで政府資金と申しますか、民間資金にあらざる資金を増にしてはならぬということをおつしやつておつたのでございますが、もし郵政省に復元いたしましても資金の増にならないとは言い得ないので、これはわれわれ長年募集に携わつておる側から申し上げますと、たとえば貯金の金か厚生年金の金か簡易保險の金かわからぬようなかつこうで学校が建つよりも、加入者階層の非常に渇望している学校が、たとえば簡易保險の金で建つたということになりますと、これはやはり協力の面は相当ふえるんじやないか、こういう面だけでもある程度ふえるのじやないか。また志気の高揚の面もございます。しかし志気の高揚を非常に強くやる、民間資金を抑制してまでやるということはいかぬことは、大臣のおつしやる通りだと思います。しかし本年度の面から申しますと、御承知のように前年度におきましては、簡易保險の集まる金は二百七十億であつたのです。ところが民間資金にあらざる資金、まあかりにこれを国家資金と申しますか、政府資金と申しますか、その資金をもう少しふやさなければならないということで、前年度におきましては二百七十億であつたのを、資金計画の面から見ましていま少しふやしてくれないか、百億ふやしてもらいたいという御意見が、大蔵省方面からありまして、従いまして懸命にそれをやつておるのであります。もし国家資金が増高しなければならないという現在の情勢から行きますれば、むろん直接的に集めるところでまた還元して来るということはいかぬと思いますが、何とかして資金が増になるような方向に手が打てれば、打つた方がいいのではなかろうか。民間資金と申し上げましても、御承知のように町村以下におきましては、銀行の取扱店はほとんど少いのでございます。また保險関係といたしましても、代理店あたりが農村地帶には、昔はあつたんですが、現在はないのでございます。それらの農村方面における資金吸收の面につきましては、貯金とともに保險も相当な役割を演じておるのではないかと思います。そういたしますと、結局従業員志気の高揚の面——この高揚は、大臣が牽制する意味で言うとおつしやつたが、あの牽制する意味を越えてやつてはいかぬと思いますが、スムーズに行き得る方法がある限りにおきましては、資金の増をはかつてもいいんじやないか、こういうような意味からいたしますと、資金増というのは、何と申しますか、強権的な資金増を目ざしはしないけれども、泉の水のごとく自然な姿において資金の増がはかられるという方向は、われわれ事務当局としてはやりたいと思います。そういうやり方をする面からいたしましても、資金増というのはあり得る。長年募集に携わつておるわれわれといたしましては、理論は別といたしまして、経験上の面からいたしましても、それはあり得る、こう考えておる次第でございます。ただ運用差益だけを目安にしてやるという考え方だけではないことを、ひとつ小山先生御了承していただきたい、かように存ずる次第であります。
  29. 小山長規

    小山委員 資金の増があり得るであろうということは、これは私も率直に認めてよろしいかと思います。ただ現在、これは私が経験したこどでございますが、近県の郵便局長が、たしか千万円ばかりの募集の割当を受けたが、自分の村では消化できないので、東京の知人をたよつて——知人と申しますか、村出身の人たちをたよつて募集に歩いているという事実がある。今後こういうことはやまるのですか、それともさらに今後強化されますか。
  30. 白根玉喜

    白根(玉)政府委員 千万円と申しますのは保險金額であるということを、ひとつ御了承いただきたいと思います。大体保險料の百二十五倍くらいの目標でやつておるのでありますが、約百四十くらいになつております。その点は御了承いただきたいと思います。  それから御設例の点は、私どもといたしましても非常に残念でございまして、なるべくそういうことのないように、従来とも取締つてはおるのでございます。その点はなるべく——なるべくといつてはおかしいですが、これまた相当強く取締りたいと思うのでございますが、本年度にれきましては、先ほど御説明申し上げましたように、前年度に比較いたしまして百億増の予定を持つておるわけでございます。これは私どもの方だけの予定でなくて、国家資金需要の面から、こちらの方に百億増してもらいたい——もつともこれは募集の面だけではございませんが、従いまして募集の面も相当多くしなければならないと同時に、解約を少くするというような維持の面にも強化をいたしまして、国家資金に穴の明かないようにやりたい、かように存じておりますが、そういう本年度の実情から申し上げますと、間々そういうのが出る場各があると存じますが、しかしそれらの点は、われわれといたしましては十分戒心するように申し伝えたい、かように存じておる次第でございます。
  31. 小山長規

    小山委員 募集割当というようなことはなるたけやりたくないという考え方、はなはだけつこうだと思いますが、それでもつて、この独立運用のあかつきにおいて、あなた方がここにお示しなつておるような資金の増は、どのような方法でそれをお増しになりますか。
  32. 白根玉喜

    白根(玉)政府委員 募集割当と申しますか、責任額的なかつこうの割当は、これはなるべくやめたい。しかし、期待額的なものは、実は組合の方面とも十分打合せをいたしまして、この程度はできるだろうという了解の上でやつているのでございます。一、二の地方におきましては割当が少しきついというような面もあろうかと存じますし、またそういう募集方法を口実にするのはぐあいが悪いのであろうと存じますが、なかなか保險の思想が普及いたしておりませんし、それにもまして保險意欲が減つておるわけでございます。従いまして、入れていただくために割当がきついとかなんとかいうことを言つて、入れていただくようにするのではないかと思います。またお断りになる側からいたしますと、私の方の従業員簡易保險に入つてくださいと言つて行くと、もう入つておるよ、どこに、それは第一相互だというようなふうに、断る口実をつくるような面もあるような現状でございます。従いまして現在のような、相当安定はしておりますが、戰前に比較いたしまして経済が安定しない時代におきましては、やはり募集がきついと言うことも、一つは入つていただくような、胸をゆするような意味で使つておる面もあると思いますが、むろん非常に強い割当をするという考え方は避けたいと存じます。
  33. 小山長規

    小山委員 募集割当というのは、従業員に対する労働強化になつておりませんか。それが一つと、それからもう一つは、ただいまおつしやつたところによりますと、募集の割当なりあるいは責任額なり期待量というようなものはやらないとおつしやるのだが、先ほどの話によると、この学校は保險で建つたんだという考え方で行けば、保險の募集も容易になるのではないかということも言われた。その間に関連があるとすれば、これははなはだ矛盾した考えのようですが、この点どう御説明になりますか。
  34. 白根玉喜

    白根(玉)政府委員 募集がかりにないとすれば、そういうむき出しの貸付をいたしますと、やはり協力の度合いが違う。その協力も強制的な協割でなくて、村全体の自然発生的と申しますか、心からなる協力でありまして、これは強制の意味ではないと存じます。それで相当量資金増になると存じます。それと割当とは実は関連性がないと思います。やはり資金が前年度に比較いたしまして相当量の増を予定されておりますので、責任額とかいうような強い意味での割当はしないでも、この程度は期待しておる。こうしないと資金計画はできないのだというような意味の、納得される募集の大体の目標は、ある程度與えなければならないと思いますが、御心配の労働強化の面につきましては、それらのないように、実は組合方面とも毎年々々この程度の期待額でいいかということを打合せをしまして、それで反対されますと、それをだんだん落して参りまして、大体本年度はこの程度で、労働強化でなくて、君たち喜んで——そこまでではございませんが、納得して、この線で期待額の範囲内において募集することができそうかということを、毎年募集計画を設定する際におきまして、相談もいたしますし、また地方保險部長以下募集担当官とも十分相談をいたしまして、納得の上で期待額の線を出しておるような実情でございます。
  35. 小山長規

    小山委員 募集の場合に、学校をつくるためにひとつ保險に入つてくれないかというふうなことでやる方が、非常に募集がしやすい、こういう御趣旨でありますか。
  36. 白根玉喜

    白根(玉)政府委員 そういう趣旨ではございません。この学校を建てる金を貸すからというので募集するわけではございません。ただ結果において貸付で学校ができたということによつて、やはり何と申しますか、村が協力する気分になろうということだけでございまして、因果関係を持つて行くということになりますと、強制募集になりますので、われわれはそういう強制募集をする考え方ではございません。ただ制度の上でそういう姿が出ることは、結果において、自然発生的と申しますか、自然な姿において協力する度合いが、あるいはふえるだろうということでございます。
  37. 小山長規

    小山委員 それを聞いて、市町村長はさぞ安心したことだろうと思います。但しその場合に、今説明されたようなことを保險の募集員がやつた場合の処分——責任者はどういうふうに処罰されますか。
  38. 白根玉喜

    白根(玉)政府委員 そういうことは万々ないと思います。もしあつたとすれば、その程度によつて適当な処分をしなければならないと思います。
  39. 小山長規

    小山委員 それを確認いたしておきます。  次にはあなた方の運用の復元の一つの大いなる理由として、運用利益が増加し、従つて将来においては契約者に対する配当もやりたいのだというふうに言われておるのであります。確かに表面上の利回りはふえるだろうと思いますが、経費がどうしてふえないのか。その辺のあなたの説明はまだ伺つておりませんが、それはいかがになりますか。
  40. 白根玉喜

    白根(玉)政府委員 おつしやることは私よく存じませんが、資金運用部におきましても、ある程度コストの一部といたしまして、投資のための調査その他においてコストがかかつておるのじやないか、このコストの面はこちらの方にある程度入るじやないか、それ以上郵政省がやると、投資に伴うコストがふえるんじやないか、こういうことを御心配であろうかと思いますが、私どもの機構におきましては、コストの面といたしましては、資金運用部における投資に伴う調査費とか、あるいはそれに伴うコスト、これは資金運用部におきましては、金が一本になりますと、これは保險の金ではない、貯金の金ではない、厚生保險の金ではないということになつて、一本の金にしてありますが、貸す客体その他の調査がやはり相当関連性があつて、複雑になつておるのではないかと思うのでございます。ところが私どもの方で運用させていただきますと、地方庁に対する地方債及び地方貸付の一本でございます。しかもそのために機構を特に強化しなければならないという面は、そう大きくはないのでございまして、しかも募集しいい環境にもなりますので、定員などは内部操作でできる、かように存じております。有機的な組織になつておりますので、投資に伴うコストが、資金運用部による投資に比較して特に増になるとは、われわれは考えていないのでございます。
  41. 小山長規

    小山委員 資金運用部に預託した場合の利率と、それから單独に地方債運用した場合との利率との差が、そつくりそのまま運用利益となつて現われて参りますか。
  42. 白根玉喜

    白根(玉)政府委員 それは初年度と次年度によつて違うと思います。初年度におきましては、おつしやるように、ある程度利差はむしろマイナスになるのではないか、かように存じております。と申しますのは、御承知のように、今度の法律によりまして、大体原則といたしまして、来年度積立金からスタートするわけであります。そういたしますと、余裕金時代は資金運用部に預託する建前になつております。その預託期間の点について、われわれとしてはある程度調整しなければならないと思うのでございます。現在簡易保險資金は、大部分が五年ものになつております。それを来年四月一日から復元いたすことになりますと、五年ものにいたしますと、期限前の拂出しというようなかつこうにしなければならぬことになるのであります。それでは資金運用部の方もお困りであろうと存ずるのでございます。従いまして、本年度の余裕金は、大体投資の起債がきまつて、公共団体へ投資するカーブによりまして、大体のめどをつけると、大体一年以上のものはお預けをしないで行くことになります。そうしますと、御承知のように資金法におきましては、銘柄によつて一年までは安くなつております。その面においてマイナスの面が出ます。ところがそれがさらに投資客体がきまりまして貸付いたしますと、大体六分五厘になると思います。そこで増になります。その増と、それからマイナス分と比較較量いたしますと、初年度におきましては若干利差がマイナスになります。お手元にもすでに御配付済みかと思いますが、たとえば昭和二十八年度で三百五十億円の原資があるといたしますと、初年度におきましては、八厘程度のマイナスになります。しかし爾後は資金運用部による投資のコストと、私の方で運用する際における投資のコストが、大体とんとんと見るということになりますと、一分の開きが出る。この一分の開きが多いか少いかは、資金運用部によつて投資しておるところの投資コストと、こちらで投資するところのコストと、どちらが割高になるかということの意見によつて、一分より上になつたり、一分より下になつたりすると思いますが、一応われわれとしては同じと見て——仮定でございますが、その仮定に基きまして、一分の開きがあるという観点で、お手元に配付したような資料になるのでございます。この点問題は、初年度においてはむろん低目になります。次年度以降増になりますが、一分の開きがどうかということは、先ほど申し上げたような意味で、まだこれから始めることでもございますし、はつきりしたことが言えないので、一分程度——どちらもコストは同じだろうというような前提で、資料としてはそういう資料を出しておる次第であります。
  43. 小山長規

    小山委員 運用利益の計算の問題はいろいろな問題がありますので、なお私の方でも資料その他調査いたしまして、この関係は後日に譲ることにいたします。  その次に伺つておきたいのは、今まで一向明らかになつておりませんが、地方債還元すると限られた場合に、政令で定めるというのは、どういうものを定めるか知りませんが、資金運用部が従来取扱つておつたような地方債、あるいはその他のものと違つた面に運用されることになるのかどうか。この運用法の解釈は、どういうふうに相なるのでありますか。まだ「地方公共団体その他政令で定める公共団体」というのは、どういう団体でありますか。
  44. 白根玉喜

    白根(玉)政府委員 ここで「政令で定める公共団体」、こうあるので、その幅が資金運用部による幅と違うかどうかというお話でございますが、われわれといたしましては、現在資金運用部で投資しておるような幅と同じに考えております。たとえば政令によるのは、土地改良区の区債と水害予防組合の組合債を考えておるのであります。
  45. 小山長規

    小山委員 水害予防組合と土地改良区の方は、農林漁業資金で私はまかなうというふうに考えておつたのでありますが、これを直接にやられるのでありますか。
  46. 白根玉喜

    白根(玉)政府委員 御承知のように、土地改良区とか水害予防組合の方は、現状におきましては例の農林漁業資金融通特別会計を通じてやつておるのでございまして、来年度これができましても、それをくずすつもりはないのでございます。しかし将来それを通じないような方法がある場合において、こういう規定だけは残しておきたい。現に資金運用部による場合の融通規則におきましても、資金運用部におきましても、おつしやるように一本で流しておるのでございますが、融通規則の中にはそういう場合もあろうかというので、この両債券に投資するという規則も存じておりますので、当分はそれらに合せてやりたい、こういうような考え方でございます。そういう農林政策と申しますか、また農林政策に順応した投資方法と申しますか、それがかわらぬ限りにおきましては、この政令の定める公共団体というのは、動くときは——しかし現在は動かないと思います。
  47. 小山長規

    小山委員 それを聞いておそらくこの院議に賛成した代議士諸君の中には、失望する方がおられることと思います。水害予防組合にも貸すそうだ、あるいは土地改良区にも貸すそうだといつて、賛成された議員がたくさんおられるのを私はよく知つておる。そうすると、当分のところは、この政令にはそういうものはやらないのですね。
  48. 白根玉喜

    白根(玉)政府委員 それは農林省との交渉の問題でございます。あの融通規則を通じて流す以外に、直接的に水害予防組合に貸してもらいたいということで、その点について、農林省が承諾すれば、われわれとしては貸したいと思います。しかしこれはまだ農林省と今交渉を進める過程ではございませんので、ただいまのところでは、そう思つておるということでございまして、農林省が例の融通特別会計を通じないで、むき出しに私の方から水害予防組合へも貸してもいいという了解が受け得れば貸したい、こう考えております。
  49. 小山長規

    小山委員 資金は結局、その面においてもふえないということの結論に相なろうかと思います。次にこれは私根本的な問題として伺つておきたいのでありますが、簡易生命保險運用に関する法律の第三條、「積立金は、左に掲げるものに運用する。」こう書かれておりまして、ここに従来の保險金の「受取人に対する貸付」それから「地方債」、それから「地方公共団体その他政令で定める公共団体に対する貸付」こういうふうに限られたのは、どういう趣旨から出発したのであるか。このことはすべての問題に関係して来ますので、十分に御説明をお願いいたします。
  50. 白根玉喜

    白根(玉)政府委員 簡易保險積立金運用郵政省に返してもらいたいという趣旨は、もう前々御説明申し上げた通りでございます。その趣旨からいたしますと、加入者階層の福祉増進に直接稗益するような面については、戰前ではこれ以上に幅が広かつたわけでございます。しかし現在の状況といたしますと、先ほど御説明申し上げましたような状況でございまして、国家資金供給していい幅の範囲内におきましても、需要とそれから資金源を比較いたしますと、資金源が少い状況でございまして、従いまして、資金の総合的な運営という必要性も現在ではあろうかと存じます。そういう現状からいたしますと、この程度に自律的に制限するのが妥当である、こう考えまして、こういうふうに制限したわけでございます。
  51. 小山長規

    小山委員 その自律的というのが、私ども非常に不安なのでありますが、自律的ということは、要するにほかの方面にも運用したいのであるけれども、この議会を通すために、自律的にこういうふうに限つたのである、ほんとうは利回りのいい社債あるいは株式にも投資したいのである、こういう気持であるけれども、自律的にこういうふうにやつたのである、こういう意味でありますか。
  52. 白根玉喜

    白根(玉)政府委員 この議会を通したいためという、テクニックの自律的の意味ではございませんで、現在の資金投資の総合管理と申しますか、統制と申しますか、その必要がある限りにおきましては、その程度に応じまして、自律の線を制限すべきものである、かように存じております。決してこの議会を通すためにやるのではなくて、現在の資金の現状から見まして、この現状が続く限りにおきましては、こういう考え方でやるべきであるとかように存じております。
  53. 小山長規

    小山委員 この法律を将来改正する意思が内閣にあつて、そして改正法案を出される場合に、この自律的な第三條の制限條項を拡張したいというときには、だれがそれを判断するのでありますか。郵政大臣判断するのでありますか、大蔵大臣判断するのでありますか。
  54. 白根玉喜

    白根(玉)政府委員 それは政府でございます。
  55. 小山長規

    小山委員 政府でありましようが、閣議の提案者はだれでありますか。
  56. 白根玉喜

    白根(玉)政府委員 法案関係からいえば、郵政大臣であると存じます。
  57. 小山長規

    小山委員 先般来郵政大臣は、資金運用部法のわく内において運用するのであると言われておつたのでありまして、ただいまの保險局長説明と矛盾するようでありますが、その点はいかがでありますか。
  58. 白根玉喜

    白根(玉)政府委員 資金運用部の現状がそのまま動かない限りにおいては、これを直す意思はございません。
  59. 小山長規

    小山委員 資金運用部が直らない限りは、これをお直しになる考えはないというのは、これは政府としてのお考えでありますか、それとも法案自体のどこかに出ておりますか。
  60. 白根玉喜

    白根(玉)政府委員 それは私個人の意見でございます。資金運用部によつて、あの程度の総合管理をする必要性が続く限りにおいては、現在と同じ状況でございますから、現在と同じ状況である限りにおきましては、これに手をつけるわけではない、こういう意味でございます。
  61. 小山長規

    小山委員 その趣旨は、この法案自体の中には現われておりますか、現われておりませんか。
  62. 白根玉喜

    白根(玉)政府委員 そういうものは、従来の法案につきましても、そのときの提出した政府できめることでございまして、そういうものは法案に書くべきものではなくて、そういう制限的な法律を書かないでも、その時におきましては——今即時というわけではありませんが、その時がもし来たといたしますれば、政府が提案者であれば、政府できめる。しかも提案しまして、議会の御審議を受けるわけであります。法律の建前から行けば、郵政大臣が閣議申請をいたしましても、郵政大臣の言う通りになるわけではないと思います。従いまして、政府提案である限りは、政府できめて議会に提案をする。提案をいたしましても、議会は独自の見解から、御承知のように御審議していただくのでございまして、郵政省はこう思うと申しましても、それは法律の建前から申しますれば、提案をするのは郵政省から提案いたしますが、それがその通りきまるというのではなくて、閣議を経る。閣議を経ても、それできまるのではなくて、御承知のように議会の御審議を経るわけであります。
  63. 小山長規

    小山委員 私がお尋ねをしているのは、先般来郵政大臣は、資金運用部法の範囲内において運用するのであるというふうにしばしば言われ、局長もまたそのような答弁をされておりますので、どこかこの法律案の中に、それに該当する字句でもあるのかということをお聞きしたのでありますが、これはないということでありますから、そのように了承をいたしておきます。  それからもう一つは、これは先ほどの宮幡委員の質問に関連するのでありますが、郵政大臣大蔵大臣が、おのおのこの資金運用部審議会に諮問をするという御範囲であります。ところが両者の調整はだれがとるのかということが一つ。それからもしも両者の調整は、審議会がとるのであるというならば、これは財政金融の担当者は大蔵大臣であるという考え方と、矛盾しはしないかということでありますがこれについてはどういうふうにお考えなつておりますか。
  64. 白根玉喜

    白根(玉)政府委員 審議会は、御承知のように諮問機関でございます。従いまして審議会は決定機関ではないのであります。従いまして、審議会で調整をとるということは、法律的にはいわれないと存じます。しかし諮問した以上は、審議会の御意見によりまして、御意見が出ると思います。その御意見に従つて、両者の出した計画につきまして、調整を必要といたしますれば、大蔵大臣郵政大臣とが相談いたしまして、計画上の調整をする。しかし諮問委員会と申しましても、やはり委員の御意見を尊重してやるのが当然のことでございまして、法律的にいえば、大蔵大臣郵政大臣とが、両計画の調整を委員会意見を尊重してやるべきものであると、かように存じます。
  65. 小山長規

    小山委員 運用としてはその通りでよろしかろうかと思うのでありますが、制度の問題として私はお尋ねしておるのであります。制度の問題として、先ほどの第三條に関連するのでありますが、将来たとえば地方債以外のものにこれが運用できるような法律ができました場合に、その提案者は片方は郵政大臣であり、その他の資金については大蔵大臣であるということになつて来ると、資金運用計画そのものがくずれて来はしないかと思うのでありますが、制度としてはどのようにお考えになりますか。
  66. 白根玉喜

    白根(玉)政府委員 戰前におきまして、その当時の逓信省から、資金運用の六割程度大蔵省へ、移管といいますか、常識的に言えば移管でございますが、御承知のように昭和十八年にそういう時代があつたのです。その前におきましても、あのような状況のときにおいても、現在程度までは行かないといたしましても、相当国家資金の総合の必要があつたわけでございます。その必要に基いてやつておつたわけでございます。そういう時代におきましても、この法案のようなかつこうでやつてもさしつかえがなかつたのであります。国家資金であるからと申しましても、それは総合ができればいいことでありまして、総合ができる限りにおきましては、そうやつていただいてもいいのではないか。また国家資金と申し上げましても、実質上は、大臣なり政務次官なりから御説明申し上げましたように、簡易保險資金は形式上は——これは法律上でいうといろいろ御異議があると存じますが、実質論といたしましては、国家資金であつて、そして財政上の理由に使おうというような実質的なものでないことは、たびたび大臣から御説明申し上げたのでございます。従いまして、むろん現在におきましては、総合的な意味は必要でございますので、突き合せることはいたしますが、この法案程度——大蔵省の方では分離と申し、私の方では復元と申しますが、その復元程度のことは、両者の調整ができて無理ではない、かように存じております。
  67. 小山長規

    小山委員 今の御説明は、もう一ぺん速記録を読んでからよく研究いたすことにいたします。ただ私非常に疑問に思うのは、資金運用部審議会に郵政大臣大蔵大臣両方から案が出て来る。そしてその資金のわくを、たとえば今年の地方起債は六百八十億にするのか、七百三十億にするのかというときには、だれがこれをきめるのでありますか。
  68. 白根玉喜

    白根(玉)政府委員 お伺いいたしますが、地方に限るのでございますか。
  69. 小山長規

    小山委員 そうです。
  70. 白根玉喜

    白根(玉)政府委員 地方に限る意味でお答え申し上げますが、現在の起債の総額を決定するときには、御承知のように両面から見ておるわけでございます。一面は地方予算の推計等によりまして、地財委が推計を立てます。他面は国の金融政策と申しますか、国の地方債融通可能額というのをおきめになると思うのです。従いまして、地方債融通可能額全部をきめるのは、これは大蔵省であるかと存じますが、その相当大きな要素をなす、本年度において積立金がどのくらいあるかというような推定的なことは、郵政省が一番知つておると思います。従いまして、郵政省意見を聞きつつ全体の地方総額は、これはむろん大蔵省がきめるのではないかと思います。
  71. 小山長規

    小山委員 私の聞きたいと思つておりましたことは、大体当面のところ以上であります。なおこの運用利益に関する問題、その他もう少し資金運用部法との間の関連事項等が若干残つておりますが、それは後日に譲ることにいたしまして、本日の質問はこれをもつて終りといたします。
  72. 佐久間徹

    佐久間委員長代理 本日はこの程度にとどめたいと存じますが、明十二日は午前十時より開会の上、ただいま議題となつております両案について、参考人より意見を聽取することに相なつておりますので、委員各位全員の御出席をお願いいたしたいと存じます。  本日はこれをもつて散会いたします。     午後四時散会