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1952-06-07 第13回国会 衆議院 大蔵委員会 第86号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年六月七日(土曜日)     午前十時五十分開議  出席委員    委員長 佐藤 重遠君    理事 奧村又十郎君 理事 小山 長規君    理事 佐久間 徹君 理事 松尾トシ子君       淺香 忠雄君    大上  司君       川野 芳滿君    島村 一郎君       清水 逸平君    高間 松吉君       苫米地英俊君    夏堀源三郎君       三宅 則義君    宮幡  靖君       宮原幸三郎君    久保田鶴松君       中野 四郎君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 佐藤 榮作君  出席政府委員         外国為替管理委         員会委員長   木内 信胤君         外国為替管理委         員会委員   大久保太三郎君         大蔵事務官         (大臣官房長) 森永貞一郎君         大蔵事務官         (銀行局長)  河野 通一君         郵政政務次官  寺本  齋君         郵政事務官         (簡易保險局         長)      白根 玉喜君  委員外出席者         大蔵事務官         (銀行局資金運         用課長)    高橋 俊英君         郵政事務次官  大野 勝三君         郵政事務官         (簡易保險局運         用課長)    稻増 久義君         專  門  員 椎木 文也君         專  門  員 黒田 久太君     ————————————— 本日の会議に付した事件  外国為替資金特別会計法の一部を改正する法律  案(内閣提出第二〇三号)  簡易生命保險及郵便年金特別会計法の一部を改  正する法律案内閣提出第二四一号)  資金運用部資金法の一部を改正する法律案(内  閣提出第二四二号)     —————————————
  2. 佐藤重遠

    佐藤委員長 これより会議を開きます。  外国為替資金特別会計法の一部を改正する法律案簡易生命保險及郵便年金特別会計法の一部を改正する法律案、及び資金運用部資金法の一部を改正する法律案の三法案を一括議題として、質疑を続行いたします。質疑は通告順によつてこれを許します。宮幡靖君。
  3. 宮幡靖

    宮幡委員 まず外国為替資金特別会計法の一部を改正する法律案につきまして二、三お尋ねをいたしたいのであります。今回の改正要点提案理由にもはつきりされておりますように、きわめて簡單事項であります。この点についてはあまりお尋ねをいたします必要もなかろうと思います。ただ改正の第一点であります有利確実な外貨証券、こういう字句提案理由に書いてございますが、有利確実な外貨証券と申すのは具体的にたとえばどういうものであるか。
  4. 木内信胤

    木内政府委員 具体的に申しますとアメリカ大蔵省で出しております短期大蔵省証券、期限は大体三箇月くらいでありますが、まずその辺のところを考えております。
  5. 宮幡靖

    宮幡委員 貴金属管理法金管理法とかわることが予定されておりまして、それに伴つて銀統制額がなくなりますが、この大蔵大臣指定価格で評価する、こういう改正でありますが、この指定の価額というのは今どのような程度になつておりますか。
  6. 大久保太三郎

    大久保政府委員 ただいま貴金属管理法によりまして指定されております銀の価格は、一キログラムにつきまして買いの場合が九千七百円、売りの場合が九千八百円、そういうふうになつております。
  7. 宮幡靖

    宮幡委員 法律案に直接関係のあることはその程度でありますが、ちようど各省設置法改正等に伴いまして、今まで外為委員会で非常に御苦労願いました日本為替制度といいますか、機構につきまして一つ改革、改善が加えられようとしておるやさきであります。これらの関係につきまして全部をお尋ねすると、たいへん長い時間がかかりまして、またむだなこともあろうと思いますので、思いつきましたことをなるべく短かい時間にお尋ねをいたしてみたいと思います。  現在いろいろな意味で発表されたりあるいは意見が述べられておりますが、一体為替銀行制度は今後どういうふうな形態をとられて行くのか。伝わるところによりますと、十六日から為替銀行外貨を持たせることもいたしたい、こういうようなことも伝わつております。あるいは従来の副勘定制度もやめる。全体の信用量の差入れもいたそう。しかしアタッチメントの関係もあるので、従来のような全権委任状のような制度はしばらく残すのだ、こういうふうに切れ切れに伝わつておるのでありますが、一体当面の委員会であります外為委員会としては、どういう御方針で、どういうふうにお考えになつておるか。
  8. 木内信胤

    木内政府委員 たいへんむずかしい問題であつて、全部申し上げるのはたいへん長くなりますから結論だけ申し上げます。  今度の機構改革に関しましては、私すでに衆議院の予算委員会において御質問を受けまして申し上げました理由により、為替管理委員会としては反対であります。のみならず、委員会廃止後にどういう運営になるものかについて、実はいまだに私どもはつきりした認識を持ちません。従いましてお尋ねの、為替管理機構変革伴つて為替銀行あり方はかわるのであろうか、その見込みはどうかという点に関しましては、私はお答えする資格はあまり持たないのであります。但し、私ども機構改革反対であるということを言つておるのでありますが、その反対一環として、為替銀行の問題は現状ではだめではないか。だめであるならばそれをかえる一環として、管理機構の方もかえてかかるべきでないかという議論がもしあるとするならば、私どもは現在の日本為替銀行行き方は別に悪くない、これは非常にうまく行つてつて、このままでけつこうだ、こう思つております。これが大体論であります。  次に細目ですが、今度いわゆるサブ・アカウント、副勘定をよす問題はどういう関連にあるかという御質問でありますが、この問題は実は技術的な問題であつて、あまり重んじてくださらなくてもいいかと思いますが、考えております方向は、現在のごとく十二行の為替銀行を持ち、政府勘定集中制度があり、為替委員会のごとき一種の保証人の役をしておる機構が継続するものとして立案され、この十六日から実施に移すのであります。要点を申しますと、現在までは各為替銀行為替管理委員会代理人という資格仕事をしていた。外国銀行においてなす勘定は、全部為替管理委員会名義勘定であつたのであります。その中の一部を各銀行自己名義勘定を持つ、その勘定によつて受払いをして行くということにすることが、自立化の一歩でありますので、その方に進めたい。しかし今の為替銀行の資力の状態からしまして、あまり多量の外貨は持てませんし、信用状況からしまして、為替管理委員会保証と、うしろだてというものを絶対にまだ必要とする時期でありますから、この自立化なるものは一歩々々行くべきであるという認識に立ちまして、今までの為替管理委員会代理人として仕事をしていたのをよして、自分ではやるが、為替管理委員会が背後から保証して、そこまで進もうというのが今度の行き方であります。これを称して為替銀行外貨自己保有という名で呼ばれておる行き方であります。これを十六日から実施いたします。それに伴いまして、今までは為替管理委員会名義のものを代理人として各銀行運用しましたために、銀行がどういうような取引をしておるかということをサブレコード、副勘定というもので先方に記録を依頼しておつたのでありますが、今度はサブレコードがいらなくなりまして、各自が自分名義で持つことになりますから、従いましてサブレコード廃止ということが出るわけであります。廃止後の行き方は今申した通りでありまして、比較的簡單なことであります。
  9. 宮幡靖

    宮幡委員 その点はわかりましたが、それに続いて関連的に伺いますが、ただいまの外国為替銀行十二行、これをこのまま複数的というか多数的に育成なさる方針であるか、あるいはこれを自然淘汰の形で行きますか、あるいは強引な措置で行きますかは議論のあるところでありますが、為替銀行制度に何らかの限界を加えようという御意見をお持ちになつておるか。国内はたまたま御承知のように長期信用銀行等もできまして、長期金融ということと——まあ短期金融という言葉は当らないでありましようが、純預金銀行長期資金をまかなう銀行との間の制度も、確立されんとしておるところであります。單一為替銀行制度に進むのか、あるいは複数的な為替銀行制度を取上げて行くのか、十二行をどういうふうにひつぱつて行くのか。こういう問題と相関連いたしまして、委員長としての御意見、並びにこれに必要なことは銀行局長からも補足して、御説明をいただきたいのであります。
  10. 木内信胤

    木内政府委員 ただいまお尋ね為替銀行あり方、数の問題については、為替管理委員会意見といたしましては、現状少しも多過ぎない。自然淘汰ということがいわれますが、おそらく淘汰ということは多過ぎるから少くするのだ、しかしそれは自然にまかすということと思いますが、自然淘汰ということも起らないのであつて政府の方で特に新しいことをやればでありますが、現状で進む限り各銀行十分におやりになれると思つております。またそれがいいことである。長期信用銀行関連においてお話がございましたが、日本においては為替業務というものは何か非常に特殊なものであつて、特別な人間でなければ、特殊な銀行でなければ扱えないような認識があるのであります。これは、昔の日本では正金銀行というものが、あまりにも大きな部分を扱つていたために起つたとつ錯覚であつて世界各国をながめてみますと必ずしもそうではない。為替銀行の数を制限しているということはむしろ異例であります。イギリスで見ましてもアメリカで見ましても、為替というものは、外国為替であつても普通の商業ビジネスと同じでありまして、端的に言えば、北海道へ荷為替を組むのも、ニユーヨークヘ荷為替を組むのも話は同じであつて、ただ英語でやるというだけなのである。でありますから私どもとしては、日本が国際的になるためにもなるべく多くの銀行——初めは困難であるかもしれないが、外国為替を扱つて国際的な仕事になる方がいいのだ。これをやるために特別な組織というものはいらない。現在は、さきに申しました通り政府うしろだて保証というものがいりますが、別にそれ以外には大した役向きはいらない。現に先方は喜んで相当な利益を上げつつ仕事をしておられる。けつこうなことだと思つております。
  11. 宮幡靖

    宮幡委員 今のお話を要約いたしますと、現在の十二行は決して多くはない。むしろ世界信用にこたえるだけの力を順次持ちつつあるのであつて、別に、自然淘汰というような言葉はもとよりのこと、積極的に何らかの措置を講ずる必要はない。むしろ保証と援助で育成すべきだという方針が、やや明らかにされたようであります。と同時に、われわれの頭にも、御指摘のように、いわゆる横浜スペシー・バンクという戰前の為替單一銀行というようなものの観念が、確かにしみ込んでおる錯覚があることも私は認めたいのであります。従つて、單数の為替銀行制度ということは、今後の日本には不適当だという結論委員会としてはお持ちになつておる、こういうこども確認されたわけであります。そこで今度の機構改革に伴いまして、外為委廃止されまして大蔵省為替監理局へ移るわけでありまして、もちろん為替監理局ができたといたしますならば、現在の機構改革説明から行きますと、最終的な管理権はその為替局へ移るのでありますが、たとえていいますと、輸入信用状の開設というような実際的の事務は、今までの関連から言いまして、人の数などから言いましても、どうも日銀の窓口でやらなければならないようになるだろう、またやるのが当然であろうと思いますが、かりにこういうふうにわかれましても、為替管理の上において支障はないというお考えを持つておるかどうか。これは不適当だとお考えになつておるかどうか。これはむしろ時間的には少し質問がおそいのであります。おそいのでありますが、事実をはつきりいたしておきたいので、この点については忌憚ない御意見を承りたいと思います。
  12. 木内信胤

    木内政府委員 先ほども申し上げました通り機構改革は私ども反対であります。反対理由は、機構改革というものは、簡素化及び責任所在明確化ということによつて伝えられておりますが、現機構というものはなかなか複雑な意味を持つているのでありまして、私ども考えましても民主的であり、かつ世界の進歩した諸国がみな採用している原則といいますか、ものの見方に立つた機構であると考えます。すでに予算委員会で申しましたことを繰返すことになりますが、それは要約しまして五つの原則がある。第一は、貿易との管理を一体化してやるべし。第二は、為替管理というものは、特に貿易と一体化するから一層そうでありますが、いろいろ関係事項が多くて、とうてい一人一省一局の専管事項とすべきものではない。この問題は為替管理という業務見方関係いたしますが、多くの者が責任をわかち合うのがいいのだ。従つて責任所在が分散いたしますから、それを総合調整する仕組みを伴わなければならない、こういう見方であります。第三には、一人の手にあまりに多くの権力が集中されるのはよくない。デモクラシーの政府というものはチエツク・アンド・バランスでなければいけない。これが第三であります。第四は、為替管理というものはしかく込み入つたものであるについては、少くともその中枢的機構にある者は、專門家を拉し来るがよろしいという考え方であります。第五は、為替管理もまた中央銀行に例をとつていいかと思いますが、この仕事は確かに政府仕事ではありますが、同時にこれは、いわゆる政治からある程度のしかるべき独立性を持つた方がいいという認識であります。それらが有機的に相互に関連して組み合つた一つ認識でありますが、そういう認識に立つてできているのが現在の機構であつて、そのように動いて来たものであります。これははなはだ問題点も多いのでありまして、私どもも現機構をこのままでいいとは信じていないのでありますが、これらの原則は非常にいい原則である。これを捨て去つて、前のような為替管理に返ることになるかと思うのでありますが、今度の機構改革案によりますと、はなはだ惜しむべしと考えておるのであります。そこで、それらの基礎的な見方から見まして、今度の改革をやつてうまく行くかどうかという御質問と思いますが、私は、事務的にも非常に困難であり、担当なさる方はどなたか存じませんが、非常に困難なさるであろうと思う。それは、国際的に見ても相当まずい場面を現わしはしないか。日本国際信用という点から言つて独立後日なお浅く、日本がどう動くであろうかということを世界が注目している今日において、時期的にもはなはだまずいと考えておるのであります。政府原案のごとく成立しますれば、そのあとがうまく行くかどうかということに対して、去り行く私どもとして、あまりきわどいことを申し上げるのはどうかと思いますが、しかし正直に申しまして、私どもは非常に深い憂いを国家のために抱くのであります。
  13. 宮幡靖

    宮幡委員 よくわかりました。その御意見に従うといなとにかかわらず、私どもは、ただいまの言葉を借りて申しますと、去り行く者の言葉はきわめて公正であろうと思つておるのであります。死ぬ人にたとえてはいけませんが、人の死ぬときはその声やよしと申しまして、おそらく私どもは御意見に対しまして、他日大いなる反省とまでは行かないのでありますが、回顧をもたらしまして、日本為替制度の円満なる発展——国際信用にもこたえ得る為替制度の確立に努力しなければならない、こういうことだけは確かに了承できるのであります。  続いてやはり要点だけを伺いますが、最近外国為替特別会計廃止いたしまして、為替平衡基金を設けるという問題が考えられておる。その理由といたしましては、特別会計形式による貿易資金需給調節作用というものには限度がある、大体予算面の拘束を受けては、運用円滑化をはかることはできないというような理由がたまたま伝わつておるのであります。他に理由は幾つもあると思いますが、そういうようなことが伝わつております以上、一応特別制度平衡基金制度との優劣を、ここで検討してみなければならぬ。そこで当面これを御担当くださつた木内委員長としての御意見を承りたいと思います。
  14. 木内信胤

    木内政府委員 私は為替平衡資金というものをつくるべしという説が、何がために唱えられるのであるか実はわからないのであります。為替平衡資金という考え方は、英国において発達した。——実例が起つたためにできた言葉であります。これは為替相場というものを自由な姿に置いて、但しその上下がはなはだしいということはよろしくないから、政府会計市場に出動して、ペツグするという言葉を使われましたが、相場を下ささえるとかあるいは上るときは押えるとか、そういうことをする。つまり自由に市場でいわゆるオペレーシヨン、市場操作をするためのものが平衡資金であります。そのようなものは今固定的公定為替相場をとつております日本としては、考える余地のないことであつて、なぜそれが唱えられるかわかりません。しかるに今の外国為替資金特別会計というものに資金的制約がありまして、運用必ずしもおもしろくなかつた、現におもしろくないということは事実であります。これはいわゆるドツジ・ラインでありますが、私どもの使うことが許されている円資金の量というものに限りがあつて、輸出が非常に伸びますと円資金がいりますから足りなくなる。常にそれでごたごたしたわけであります。これはしかしあの当時としては、よかつたことであつたと今から思うと思いますが、私どもは常に私ども会計円資金制約があるということは、つまらぬことであるといつて来たのであります。しかしながら、かわしようはいろいろあるものでありまして、私ども円資金が詰まるときは外貨が多いときでありますから、その外貨を一時日銀に売りつける、買いもどし條件付日銀に売りさえすれば円資金が調達できますから、この道さえ活発にやらせてくだされば一向困らないのです。しいてその問題から平衡資金という言葉を使うほど大きな変革をするということは、意味のないことであります。但し私ども会計円資金制約があるということは、インフレ抑制の見地から来ておるのでありますから、私ども外貨があれば幾らでもそれを日銀に売りつけて、それで円資金をつくつてインフレ的な操作をしていいというものではないと思います。そこに日銀大蔵省の間に三者円満なる申合せをして一体的に——この問題は日銀がリーダー・シツプをとるべきものと思いますが、運用するにつきましては、私ども円資金の問題は、日銀外貨売付という方法によつて解決して一向さしつかえない。現在半分ほどそれをやつておるのであります。だからこれでその問題も大よそ実行上は解決している。半分ほど解決していると思います。
  15. 宮幡靖

    宮幡委員 これは妙なことで、追従的な言葉になるかもしれませんが、為替平衡資金に関します御意見は、私の私見とまつたく同一であります。その必要はないと思う。予算上の制約ということは、確かにこれは大きな一つの隘路でありますが、これにはまたいろいろな打開策もあろうと思いますので、特別会計の範囲内においての運用をしかるべきものだと考えたいのであります。そこで最近国家予算補正しなければならない事態になりまして、補正財源としては税の自然増收四百二十一億、そのほか節約額あるいは不用額等を集計いたしまして、七、八百億の金が出て来る。その中に有力に入つている財源が、いわゆる外為に対しますインヴエントリー・ファイナンス三百五十億でありますが、これが現在の手持ち外貨増加状態におきまして不必要である、こういう見通しのもとにこれを停止する、そうしてこれを補正予算一つ財源にしたい。こういうことが伝わつておるのでありますが、現在大体私の方で簡單に調べましたのでは、外為証券で八百億、国庫の余裕金が四百五十億、ただいまの御説明のありましたスワップが四百四十億程度、借入金の限度が前年度分からの繰越分まで入れますと、大体千七百億見当になるのでありますが、この際三百五十億を繰入れなくても、はたして年間の見通しが立つておるのかどうか。これもなかなかむずかしい話でありますので、決定的な御意見は聞かなくてもいいのでありますが、三百五十億を入れなくてもまずやつて行けるという基礎的な数字と、貿易等に対しまする総合的なひとつ見通しを、聞かしていただきたいと思います。
  16. 木内信胤

    木内政府委員 これは非常に込み入つた問題でありまして、むずかしいのでありますが、私ども仕事をやつて行けるか行けないか、三百五十億のインヴエントリー・ファイナンスの繰入れなしに、やつて行けるか行けないかということは、今の日銀スワップというものが無制限とは申しませんが、それが必要あれば一定の條件下に得られるということになりますならば、やつて行けないというものではないと思います。しかしながらインヴエントリー・ファイナンスということは、外貨が引続きふえて行くならばいいことであると考えられる。しかも外貨が、一時的にふえるものも、ふえるものはみな政府資金で、その財源は税であるという行き方は、非常にかた過ぎていけませんと思いますが、現在の三百五十億というものは、外為所要資金の実は一部であつて、一部ではあるが、日本が恒久的に持つべき外貨準備金とでも称すべきものを、だんだんにふやして行くというならば、その適当な部分政府資金でやるがよかろうという認識だと思います。この認識は非常にいい認識であつて、これをくずすのは政策的にいいかどうかということは大問題であると思います。但しそれがなければやれないというものではないと思います。これは私ども考え方でありまして、この問題は財政一般の問題でありますので、私どもはそれ以上立ち入つて考えておりませんし、大蔵省日銀の方で考えていただくというように考えております。
  17. 宮幡靖

    宮幡委員 問題もやや複雑であると同時に、これの決定的なお答えは、予算を編成いたします方面の見通とで織り込むことでありましようから、委員会の方から承るのはもとより無理でありますが、しかしながら予算を組むということになると、財源がないときゆうくつなことをしいるものであります。もし特別会計運用予算面制約を受けて、円滑化をはかれないということになりますれば、三百五十億や四百億程度のものでしたら、外貨増高に備えるための備蓄的な観念をもつて、このまま行く方がいいと私は根本的に考えております。むしろこういうものを切り詰めて持つて行きまして、予算補正しなければならないという観念に、どうしても敢然と賛成する勇気がない、こういう立場からお尋ねをいたしてみたのであります。  そこで次には、たくさん問題がありますが、時間の関係もありますので、おもなものをもう一つ二つ伺つてみたいのでありますが、最近どうしてもやらなければならない日英支払協定でありますとか、これがまあどういう状況に展開されて参りますか、少くとも現行の協定——暫定延長されております協定の第二條、米英裁定レートの尊重という字句につきまして、第一に検討を加えてみて、そうしてどうしてもポンドの実勢を、為替管理の表に打出すということができるような改正をやつて行くべきだ。第二点といたしましては、昨年来の懸案でありましたいわば一年間、この次までという意味でたな上げになつておりますところのドル・クローズの復活、万一ポンドの切下げがあつた場合にこうむるべき損害賠償の交渉をする問題が第三。さらには中共地区と申しますか、あるいはこれを敷衍いたしますと東南アジア地区まで入るのかもしれませんが、東南アジアポンド貿易中心地であります香港地区のポンド勘定を別建にするという問題が、第四点として考えられる。さらには、日本では最近輸出取引法案などというものも、一応衆議院は通つております。昔の観念とは違いますが、独禁法及び事業者団体法等に触れない範囲におきまして、調整のための組合をつくり得るようになつた。これはおそらく業者の要望がありますので、参議院も通過いたしまして、成立公布される日が近いと思う。しかしこういう極端なる行政措置というものは、日本でも自発的にやらない。やらないかわりには英国及び英連邦のとつておりますいわゆる輸入制限措置、繊維品とか日本の主要輸出品に対しまする制限措置を除いてもらうとか、緩和してもらう、こういうことが日英支払協定のおもな話題になつて来るであろうということが、推定されるのでありまして、これらの一つ一つについては、ずいぶんむずかしい経緯もありますので、短かい時間にお尋ねをしてお答えいただくことも無理だと思いますが、要点だけでけつこうでありますから、もし現在委員長としてのお立場で、日英支払協定に参加いたしまして会議いたします場合には、これこれの方針で行くという点をひとつ説明願いたいと思います。
  18. 木内信胤

    木内政府委員 この問題ははなはだむずかしいのでありまして、政府部内においてもなお確定意見は今研究中というステージにあります。従いまして私の申し上げることは、御指示がすでにありましたように、私の個人的見解もしくは外為委の見解であると御承知願いたいのです。簡単に申し上げますならば、今御指摘の四点はいずれもごもつともなポイントであると思います。しかし簡単に申し上げますと、ポンドが実勢相場を離れた、すなわち日本で言えば千八円という相場でわれわれはポンドの取引をしなければならないというところに、すべての禍根があるのでありまして、これは国際決済の理論という面から見ますれば、かくのごときごとをやつている限り、あらゆる方面であらゆる困難が起きて来るにきまつているのであります。これは日本側に落度はないのでありまして、ポンドそのものが遺憾ながら昔のようなポンドの姿でないという状態にあるにもかかわらず、昔のポンドすなわち国際決済通貨としての王座を誇つたところのボンドであるかのごとく、千八円という相場すなわち公定相場で取引をする、しかも無制限でやると先方がきめているところに禍根があるのでありまして、いわば向うさんの方が少し狂つているというわけであります。ですからこれは日本側としては、何らうしろめたさを感ずることはないのでありまして、お前さんの方が悪いからこつちが困る。それは日本のみならず、世界各国、全世界みんながこの問題で困難しておるのである。何も交渉にあたつて決してむずかしいことはない。ところがそれは理論でありまして、これを実際にどうするかということになると、英国ももちろんそれを認めて苦心しているのでありますが、これはなかなか解決方法がない。理論をいかにして実際に調和させるかという問題であります。従いまして香港を別建にするというようなことも、一つの大きく現われて来る弊害を救済することになるのでありますが、そうしたからといつて、やはり全体としては大きな問題は起るのです。現在は先方の輸入制限ということによつて、問題がドル・クローズのございました前の事態に帰りつつある。これははなはだ残念な次第であります。何のためにドル・クローズを落したのかわからぬ状態になる。これも先方としてはとりあえずやり得る手段に訴えて、その弊害の大部分のものを除去しようとしていることであつて、あえて非難もできませんが、さつぱりそれでは解決にならない。しかもこれはまさに縮小均衡の過程に入つているのだ。これに比べましてもし実勢相場で取引することが許されるならば、実勢相場で輸入すれば輸入はふえます。今よりもふえます。そのふえる限度まで輸出していいということになるのでありますから、今よりは、はるかに拡大均衝の姿になります。それを私どもの主張いたしました二月、三月ごろの世間の認識ではそういうふうにとつてくださらなかつたので、あのころ非常に高かつたのに対しては落ちます。この落ちることを嘆きまして、実勢相場なんというのはだめだなんという反論もあるのです。それが今はもつともつと落ちてしまうというかつこうになりつつある。実勢相場になりますれば輸入がふえますから、そこまで輸入していいというのは、今向うが輸入できる程度まで日本の輸出は落ちつつありますから、ここまでは実勢相場ならば行き得る。これは英国にとつて非常に困難なことでありますから、英国の為替管理法の行き方というものをあまりに乱さずに、実勢相場のアイデイアをいかにして取入れるかという技術問題になると思います。まあそういうふうな考え方で進んで行つて解けない問題ではない、私はそう考えます。
  19. 宮幡靖

    宮幡委員 時間の関係がありますので、終りにしたいと思うのですが、そこで今のお話を聞きましても、八、九月ごろに予想されます日英支払協定が、正常な状況に妥結するという見通しは、なかなか困難なように思われるのであります。そこで妥結しなかつたならば、残された手段はわずかに現在の協定を延長するよりないと思いますが、かような状況になるお見通しであるかどうか、あるいは何らか新しい面が打出せるものか。これは簡単な言葉で、総括的には困難だということでも答えとなるのでありますから、私は何かそこに一つの感じを得たいのであります。これは無理な注文でありますが、当面のこれに当られております方のほんとうの感じというものを察知することは、この問題を検討して行く上に非常に必要なことだと思います。そこでごく簡単な言葉けつこうでありますから、成立に至るかどうかということを伺いたい。
  20. 木内信胤

    木内政府委員 妥結にならなければ破棄であります。破棄というのは、むしろ新しい提案をしなければ、八月三十一日限り現協定は自然消滅するのであります。自然消滅した場合に、必ずしも非常に悪い状態になるとは私は思いません。現協定でなくても、お互いに商売というものは相ともに利する過程でありまして、けんかではなくて一緒に仕事をしようということでありますから、現協定がなくなつたとて、その気分においてかわりないならば、何らかの道はある。何も現協定を廃棄することに遠慮があるから、このままで延ばしてしまうというものではない。現協定そのままにエクスパイアさしてしまつてもさしつかえない。それを何か非常に日英国交上恐ろしいことのように思われるのは、この問題は——日本人はいわゆるインフエリオリテイ・コンプレックスがあるように私は思うのです。私は別にそう心配なことはないと思つております。
  21. 宮幡靖

    宮幡委員 これは決定的なよい返答を得るわけでありまして、私ども日英支払協定というものはあまり神経質に考えたくない。経済の自然の交流というものにつきましては、楽観論ではありませんが、ある程度自由な解決がそこに見られると思う。自然の解決が得られると思う。そこで委員長もそういうお考えであるならば、私は日英支払協定——たとい現協定が破棄になりましても、両国の国交及び経済交流の上に、大きな弊害をもたらすようなことにはならないということを、認識したいのであります。  次に、最後に一つ伺いたいのは、優先外貨制度の問題であります。先般ポンド地域とオープン・アカウント地域につきまして、輸出振興、外貨資金割当制度と申しますか、これを一時的に停止されたように聞いております。ドル地域はやるが、ポンドとオープン・アカウントの地域は停止したのでありますが、現状でもそのままになつておるかどうか。  それから最近これは私新聞で見たのでありますから、それに全幅的な信頼を置いているのではありませんが、木内委員長談といたしまして、為替管理の緩和を考慮するという趣旨のことが出ております。相手はたしかタイのバート、ブラジルのクルゼイロでしたか、そういう通貨に対しまする実勢の低下に備えての為替管理の緩和をいたしたい、自動承認制のわくの拡大等もいたしたい、こういう趣旨のことで、海外送金とか、あるいは海外の旅行費の支出というようなことには、十分ひとつ配慮してやりたい、こういう意味でありましたが、前の優先外貨を一時的にも停止した趣旨と、このお話との間に若干の矛盾があるように私は聞いたのであります。聞いたというよりも感じたのであります。特に最近日英の運賃の協定と申しますか、運賃の円拡いの問題があります。これらと関連いたしまして、優先外貨制度現状どうであつて、そして将来このような方向に進むという当面の見通しを、参考に聞かせていただきたいと思います。
  22. 木内信胤

    木内政府委員 優先外貨制度ポンド、オープンを廃止してドルだけにする、そのかわりドルの比率をふやすという原案がありました。私どもはその考え方に賛成したのでありますが、これはいまだに実施されていないのであります。ですから現在は元通りです。すでに私どもも賛成、大蔵省も賛成であつたと思いますから、あるいは近い機会にそうなるかと思つておりますが、その問題と今いろいろ御指摘のありました点とは、私関連性がないのだとお答えしたいと思います。クルゼイロ、バートというものは、あすことのオープン・アカウントが実勢相場を離れておりましてうまく行かない。これもポンドの問題と同じでありまして、実勢相場でやりたいという考え方がありますが、これはなかなか困難であります。しかしこれと今の優先外貨とは関係ありません。それから為替管理を緩和したいということ、これも関係ないのでありまして、その緩和は、クルゼイロ、バートの問題とも無関係であります。ただ外貨事情は、当面はいいのでありますから、この際海外旅行者であるとか、手数料の送金であるとか、あるいは外人商社が日本に来て仕事をしております者の利益送金であるとか、そういつたような、金額にすれば小さい問題でありますが、それについてあまりつべこべやかましく言うよりは、国際通貨基金その他の大理想に従いまして、なるべく為替管理簡單にいたして行こう。やればやれる状況にあるから、考えようじやないかということを申したのであります。運賃の円払いは、これまた無関係でありまして、これは貨物に関しては前から円払いであります。それで船会社そのものを統制して、誤りなきを期しておるのでありますが、資本逃避というようなことが行われないことを期しておるのであります。旅客運賃は、旅行者そのものを取締る便宜としても、外貨払いがいいというので、外貨払いにしておるのであります。このごろ日本の船舶で渡航もできるようになりました関係上、日本の船舶に乘る場合は円で行けるというので、外国船舶の方から、これは不平等取扱いであるという抗議を受けましたので、いろいろくふうしまして、旅行者も円でやつてさしつかえないように、資本逃避というものは起らないようなくふうを行いまして、そういうことにかえました。これはただそれだけの問題でありまして、別に深い意味はございません。
  23. 宮幡靖

    宮幡委員 ただいまの御説明で、まだポンドとオープン・アカウントの優先外貨制度を停止したことは、実施されていないということでありますので、あとの質問はむだであつたのであります。しかし内容としては、相当参考になりましてけつこうだと思います。  なお他の議案の審議がありますので、実はこの問題については、まだ多数のお尋ねしたいことがありますけれども、時間がありませんので、本日はこの程度にして、直接外国為替資金特別会計法の一部を改正する法律案に対する質疑としましては、これをもつて打切りまして、為替制度等に関する問題につきましては、委員長のおはからいによりまして、委員会の審議の繁閑と照し合せて、適当な時期に懇談的にさらに検討を加えることにいたしまして、本日はこの程度にて質問を打切り、残余のことは保留したいと思います。
  24. 佐藤重遠

    佐藤委員長 了承いたしました。奧村又十郎君。
  25. 奧村又十郎

    ○奧村委員 私は郵政政務次官並びに郵政関係政府委員の方にお尋ねをいたしたいと思います。前会当委員会におきまして、佐藤郵政大臣にお尋ねしたことでありますが、いまだに明確にされておりませんので、重ねてお尋ねをいたしたいと思います。  それは簡保及び郵便年金の運用に関する法律案、この法律案の提案の理由であります。この理由は何であるかということであります。この法律案は、要するに従来簡保及び郵便年金の積立金は、大蔵大臣管理及び運用にまかせられておつたのでありますが、これをひとつ郵政大臣の管理及び運用にまかせよう、こういうことであります。これはなぜそういうふうになさるのか、その提案の理由を明確にお尋ねいたしたいと思うのであります。そこで提案の理由書には、はつきり書いてあります。この簡保及び郵便年金の積立金を確実で有利な方法により、かつ公共の利益になるように運用することによつて、経営を完全ならしめるため、こういうふうに出ております。しかしこれは資金運用部の理由及び目的にも、これと同じことが書いてある。資金運用部においても、確実及び有利な方法で、公共の利益になるように運用するということで、資金運用部もそれを目的にしている。これから切り離して、郵政大臣の管理運用にしようということについては、その管理するというための特別の理由がなければならぬ。その理由をまずお尋ねいたしたい。この提案の理由が明らかにならなければ、これからの審議は進まないと思うのであります。そこで郵政大臣は、前会の委員会でいろいろ御答弁になりましたが、明確になつておりませんから、もし、ここに郵政政務次官あるいは郵政政府委員がおられますので、これについて御答弁があれば承りたいと思います。
  26. 寺本齋

    ○寺本政府委員 お答えいたします。今の奧村委員の御質問は、大臣からお答え申したと思いますが、それでは不十分だということであります。もちろん資金の効果的運用ということも考えておりますが、簡易保險並びに年金積立金の運用は、簡易保險創始当時から、これは郵政大臣の管理であつたものでございます。それを戰時中大蔵省で統一してやつて参りました。終戰後これを郵政省へ復元いたしたいと考えたのでありますが、これも資金運用部資金法によつて大蔵省で統一しておられるわけであります。ところが御承知のように、日本独立国家となりまして新発足のこの機会に、創始当時のいわゆる簡易保險、郵便年金積立金運用の本旨に帰つて、郵政省に復元させていただきたいというのも一つ理由であります。多分そういうことも大臣は申し上げたと思いますが、もともとこの簡易保險並びに郵便年金の創始されました大正五年二月八日の帝国議会の衆議院における問答によりましても、小山松壽議員から「斯業により蓄積せる資金は社会政策的に使用する由なるも、如何なる方法か具体的に明示ありたい。」と言つたときに、当時の箕浦逓信大臣は「或は産業組合に或は労働者に対し家屋等の供給に使用する等その方面は種々あるも財政上の急に応ずるため使用するが如きことは絶対に避ける。」ということを答弁しております。この創設当時の考え方からしますれば、いつかはこれは郵政省に管理を返していただいて、そうして保險金の本来の姿に持つて行かなければならぬと考えるわけでございます。しかし今国家の財政上から見ますれば、国家資金の欠乏しております現在でありますから、ことに地方債の起債のわくもある現在でありますので、その点は調節をとつて行きたいと考えておるわけでありまして、根本から何もかも郵政省に復元してもらいたい。資金の計画から、貸出しの根本方針から郵政省に返してもらいたいという考えではないのでございます。この点は御了承願いたいと思います。
  27. 奧村又十郎

    ○奧村委員 ただいまの御答弁によりますと、前回の大蔵委員会における佐藤郵政大臣の御答弁にも、そういうふうなお言葉が見受けられたのでありますが、どうももともと簡保の積立金の運用は郵政省がして来たので、それを元へもどすのが本来の姿だという御答弁、これはいかにも郵政省のなわ張りだからなわ張りに返せ、こういうふうにとられるのであります。しかし郵政省の仕事大蔵省仕事も国務には違いないので、国家的に見てよい方に持つて行けばいいので、これは郵政省のなわ張りだから元のなわ張りへもどしてもらいたいということは、これは公の理由にはならぬ。今までのいきさつはどうであろうとも、法律をもつて政府資金は一切資金運用部でもつて統一して、効率的に運用するのがよろしいという結論に立つて資金運用部資金法なるものが成立して、それによつて今日までなし来つたその現状をかえるということならば、その資金運用部から分離するがためには、その分離する理由がただ昔郵政省が管轄しておつたから分離するんだ。これでは国民は納得せぬでしよう。少くともこの資金運用部で統一運営したのではいかぬというのなら、郵政大臣の管轄運用にした方がいいという、そのよりよいという理由お尋ねしておく。その理由についてお触れにならなければ、この法案提案の理由にはならぬ。その点お答えがあればお聞きしたい。
  28. 寺本齋

    ○寺本政府委員 ただいまの奧村委員のお話を伺つておりますと、ただ郵政省の元のなわ張りに返すというようになるととられたように思います。しかし私たちの考えは、元のなわ張りに返すというだけではございません。この簡易保險並びに郵便年金の積立ての性質というものを、完全に国家資金だけに考えていただくと、そういうふうにとられるわけであります。しかし簡易保險の積立金というものは、今日は国家資金のようにまぎらわしくなつておりますけれども、本来は保被瞼者の利益を考えるということがまず第一であつて国家資金の性質という面も今日は持つておりますけれども、より多くの部分に私は保險金、積立金の性質というものは、国家資金と違う性質を持つているんだろうと思います。そういう面から大蔵省で融資されるものを郵政省に返していただくとしますと、いろいろの点において——現在起債のわくのあるときに、飛躍的なこともできませんけれども、将来はやはり第一には保險契約者の利益、福祉をまず考え、次いで社会保障制度——これは一環をなすものだろうと思うわけですが、その根本の、いわゆる積立金の性格というものを、完全に国家資金と考えていただくと、奥村委員のような御意見が成り立つと思いますけれども、私たちはそれを完全な国家資金とは考えておりません。これは最初私が申し上げましたように、創設当時の考え方からも、今日におきましても、私は一貫した保險積立金の本質的な考え方だろうと思つております。この点御了承願います。
  29. 奧村又十郎

    ○奧村委員 御答弁によりますと、簡保の積立金は保險契約者の利益も含まれておるからして、それがために資金運用部から切り離して郵政大臣の管理運用にまかせなければならない、こういう理由のように承ります。それだけですか。——ただいま郵政大臣が来られたので、前会の引続きになりますが、実はこれは申し上げるまでもなく、全国的に長年の問題でありましたので、いろいろな議論が出ております。現にこれは郵政省という判をはつきり押して、そうして簡保復元のためのいろいろな理由や利益を書いております。これが理由であるのかどうかということについて、これを確かめて、これによつてわれわれは審議を進めなければならぬので、その点郵政大臣にお尋ねいたしますが、この郵政省からお出しになつた「簡保年金積立金運用問題の概要について」、これの最後の「むすび」のところに要約してある理由によつて復元なさるのであるかどうか。この点をお尋ねいたしたいと思います。
  30. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 実はそこに郵政省と書いてあると言われますが、私自身どういうパンフレットが出ておるか知りません。正直に申し上げまして、どういう結論が書いてあるか私存じませんが、先ほど申し上げましたように、簡易保險を復元する理由等は、一昨日ですか詳しく申し上げましたので、あれで御了承いただきたいと思います。
  31. 奧村又十郎

    ○奧村委員 一昨日詳しく御説明になりましたが、その御説明たるや、特に資金運用部から分離して、郵政大臣の管理及び運用に復させようというための特別の理由としては、明確な御答弁がなかつたので、従つて重ねてお尋ねしておるのであります。それで大臣はもう言つたからと言われるが、言われたとすれば、その言われたとすることについて重ねてお尋ねいたしておきます。まずそれに関連してお尋ねしますが、この郵政省のパンフレットは大臣はお知りにならぬという。それでは政務次官あるいはここに幸い局長も来ておられるが、郵政関係政府委員の中には、このパンフレットをお出しになつたことについて御承知の方がおありになりますか、その点をお答え願います。
  32. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 どうも勉強しておらないというおしかりですが、この結びでけつこうのように私考えます。
  33. 夏堀源三郎

    ○夏堀委員 関連して……。私前大蔵委員長として資金運用部資金法案を取扱いました関係——ちようどその当時幹事長であられた今の郵政大臣は、当時のことはよく御承知のことと思いますが、古いことを言うこともどうかと思いますけれども、あのドツジ氏と私数回折衝いたしまして——これは大蔵大臣との了解のもとにやつたのです。あの産業資金を大幅に国民に還元する。これはどうにか国会でも協力してその通りになつたのであります。その結果としてこの資金運用部法案は、法律としてこれを提案することになつたのであります。そのときに郵政委員の方から猛烈な反対意見がありまして、これに対して修正をしてもらいたいということがありました。それは取扱上として、私これを修正案として一応総司令部にも提出をしたことがありました。あの当時の考え方と今の考え方と比較いたしまして、一昨日の郵政大臣の御答弁のうちに、どことなく内容にはあまり触れたくないと申しましようか、奧村君の質問に対しては、ただ院議によつて決定したものである。閣議が決定したものであると、どことなく大蔵委員会はのんだらいいじやないかというようにも聞えたのであります。特にこれは與党としてはなはだ申し上げにくいのですが、何にせよあの際は非常に紛糾するから、私どもとしてはできるだけ妥協点を見出して円満に解決をしたい、こういう考えを持つてつたのであります。国会対策委員会にも委員の連中と私も出まして、決議案は出さぬということになつたけれども、約束を破つて全然われわれの知らぬうちに、特に大蔵委員会のメンバーの名前も全部連ねて、決議案は提出されたのであります。そうしたようなあり方で、大蔵委員会考え方と郵政委員会考え方とは、何か円満に適当な案を見出すことができたじやないかと思いますけれども、それを無残に踏みにじられたと申しましようか、合同審査会もけられ、公聴会も保留、あらゆる面において大蔵委員会に対する議会運営のうちに、何かしら非常に不愉快な感じを與えたのであります。院議によつての決議及び大蔵大臣の参議院においての答弁、こうしたことは記録にも残つております。それをたてにとつて、こういう答弁をしたではないか、こういう院議ではないか、その一本で委員会としてはこの法律案を審議せよとして政府が提出した。それをただ形式の上において通してやれというような、何か命令、指示のような感じを受けては、はなはだ不愉快な感じがする。そこに問題がある。円満解決をいたそうと思つても、ここまで追い詰められると、結局感じの上においてはなはだ気まずいものが出て来たということは、否定することができない。そこで政治経済は、ものの表現の方法としては不適当であるかもしれませんけれども、生きているのだ。合同審査会の場合に、あの議会内の猛者の第一人者である椎熊という男が、池田大蔵大臣に対して、君がおやじを毒殺したではないかという毒舌まではいた。私は大蔵委員長としてそのときに、あまりひどいことを言うからたしなめてやろうと思いましたけれども、この法案は非常に大事な法案であるから、きよう一日はがまんしてつるし上げになつてほしいというような気分で耳打ちして、午前十時から午後六時まで通しにつるし上げになつたのであります。そういうような経過をふんでこの法律が通つたのであります。そこで奥村君の質問は、私の聞いたところでは、郵政省の方にこれを移管することによつて、どの程度プラスになるかということであろうと思います。私どもは、大蔵委員会なるがために大蔵省一辺倒というような考えは持つておりません。国家全体としてプラスになればそれでよろしいのだ。国民経済、生活のためにプラスになればそれでよろしいのだ。マイナスになつてはいかぬのだ。ただこれだけであります。その審議の十分な機会を與えてくれたのだから、ここで十分にこれを審議したい、こう思うのであります。何もりくつを言うのではありませんで、きようは郵政大臣からものを教えてもらおう。大蔵委員会の連中は頑迷だかもしれませんけれども、こういう場合にこれを掘り下げて、国民の聞かんとするところを十分に発言して——今郵政、大蔵のなわ張り争いとまでいわれているこの問題に対して、釈然としないものがあるのであるから、これを十分に大蔵委員会において審議を進めて、国民の納得するところに持つて行きたいという誠意から、ここにお伺いをするのであつて、そのほかに何の他意もないのであります。その意味において、私のようなものは頭も悪く、はなはだのみ込みが悪いので、よくわかるように親切に御説明くだされ、その説明によつて国民とともに納得する線においてこの法律案を通したい。納得のできないものを無理に、閣議で決定した、院議で決定したからこれを通そうということは、それはちよつと民主政治としてはふさわしくないと思いますので、その点はこれから私の申し上げることに教えてくださる意味において、御親切に御答弁にあずかりたい、こう思うわけであります。  まず大蔵省の方にちよつとお伺いしたい。この問題についてはなわ張り争いというはなはだ聞きにくい言葉で、新聞がいろいろ批判しておりますが、なわ張り争いということははなはだけしからん言葉である。しかし片方がこれをとろうということは、これは現実の問題としてすでに現われておる。そうしてその郵政省の意見は、ただいま申し上げた国民の経済に役立つものであつたならば、それは欣然として大蔵省が渡したつていいじやないか、ただそう行かない面もあると私ども考えております。ただ問題は、きのう資料にちよつと目を通したのですが、まだ十分見ておりませんけれども、赤字がたいへん出ておるようである。一方に赤字を出して、そうしてすべて自立経済と言つておりますが、その赤字が永続的ということもどうかと思いますので、そこで赤字ができたところで、それは国全体としての財政面から、いずれはカバーするでありましよう。あるいは同じ政府部内の大蔵及び郵政の両省のいわゆる調整によつて、赤字を克服する方法もありましよう。しかし赤字を出している資料を拝見いたしましたので、これは一体どういうことで、こういう赤字を出したのであるか。そういう点を先に大蔵省の方にお伺いをして、それから郵政大臣にもまた質問を申し上げたいと存ずるのであります。
  34. 高橋俊英

    ○高橋説明員 夏堀委員の言われた赤字というのは、私どもの所管ではありませんので、郵政省の委員の方からお答えを願いたいと思うのですが、おそらくおつしやつておられる趣旨は、責任準備金が少し足りないという意味じやなかろうかと思います。これは保險のそういう責任準備金につきましては、非常に技術的な面も多いので、私からそれがどういうわけでできて、将来どういうふうに減つて行くのか、あるいは解消する見込みがあるかないのかというような点は、簡單にお答えは  できません。私の方から申し上げるとすれば、利率の問題ではないかと思います。  御承知のように、当委員会を経まして、郵便貯金特別会計に対しましては、五年以上の契約のものに対して一分以内の特別利子を支払う。つまり二十七年度で申しますと、六分五厘の利子を支払う。これで、もしほうつておけど相当大きな赤字が郵便貯金特別会計に生ずるところを、利率の引上げによつて相当程度カバーして、名目的には四億数千万の赤字しかない。しかも資金運用部は四億数千万の剰余金を出して、それを一般会計に入れますから、結局一般会計を通じて資金運用部の剰余金にまわつて来まして、それで郵便貯金特別会計の採算がとれる、こういうことになるわけであります。この問題がありました際に、私たちも非常に困つたといいますか、バランスが破れるわけでございます。他の特別会計からたくさん金をいろいろな口座で預かつておりますが、その場合に、簡易保險に現在の通りの五分五厘を払つておいて、郵便貯金にだけ六分五厘払う。厚生保險にも五分五厘、そこに早くいえば、利率の上では明らかに不公平があるわけです。ですから、それをもし簡易保險の方も赤字といいますか、責任準備金の足りないところを補う必要があるならば、これは金利を引上げる、郵便貯金並に金利を引上げることによつて、早急に解決ができるわけでございます。しかしながら、現在の財政全体から考えまして、簡保の責任準備金の不定、これは金額的にはそう大きなものであるとは思いませんが、それを埋めるために金利を引上げる。そうなれば他の厚生保險等につきましても、そういう措置をしなければならぬ。つまり公平であるべしということから行きますと、五年以上のものは、一切合財金利を六分五厘にしなければならぬ。そういうことになりますと、その金利を引上げたことによるところの負担は、一切一般会計の負担つまり税金でこれはカバーするということになるわけでありますが、はたしてその必要ありやいなやということにつきまして、いろいろ検討いたしました結果、また郵政省御当局とも相談いたしまして、郵便貯金については、現実にその年の支払いに充てなければならない赤字でございます。簡易保險の方は計算上、つまり現実に支払いをするのではなくて、計算上の不足がある、こういうことでありますので、この際はしんぼうしていただこう。五分五厘の利率で一応しんぼうしていただき、郵便貯金の方は六分五厘に引上げる、こういうことで御了解をいただいたわけであります。それで簡易保險等の預託金の金利引上げについては、この際一応問題にしない、そういう話がついた。そういういきさつがあるということだけを申し上げておきます。
  35. 夏堀源三郎

    ○夏堀委員 赤字の問題は資料によつてちよつと目を通しただけであつて、内容はよくわかりませんでした。ただ郵政省の主張するところは、先ほど政務次官のお話で、財政面ということもさることながら、それよりもいわゆる保險事業ということに、重点を置きたいというような御説明にも承つたのでございます。また一昨日の大臣の御答弁の中にも、そういう感じが含まれてあるように伺つたのであります。私はこの問題は、一保險事業ということを主体としてやるということよりも、この問題は、いわゆる一つの採算的な自立のためにということが含まれておるのではないか。そうであれば、政府部内において簡單に調整はつくはずだ、こう考えておつたのであります。この点について、どの程度お話合いになつたのか。またそういうことは別に考える必要はないのだ、ただ保險そのものを重点として、今郵政省で主張するそれを通そうとするお考えであるのかどうか。その点をお伺いしたいと思います。
  36. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 夏堀さんは前大蔵委員長であられますので、この問題の経過を私から重ねて申し上げる要はないと思いますが、この簡易保險積立金の運用権、さらに郵便年金の積立金の運用権の問題は、今回突然現われたものでないことは御承知の通りでございます。これは非常な歴史的な問題のように考えられますと、郵政省としてもまことに遺憾に思いまするが、歴史的な問題といたしましても深い因縁のある問題でございまして、従いまして、この前におきまして資金運用部資金法を制定いたします際に、関係するところの郵政省関係の法文の整備にあたりましても、いろいろの問題があつたことは、私、党の役員をいたしておりました関係上、よく承知いたしておるのでございます。いつの時代かにおきましては、この問題の解決をしなければならない。これはひとり国会内部の郵政、大蔵両委員会だけの問題でなく、自由党は自由党の問題といたしましても、いろいろ論議を重ねて参つておるのでありまして、今回閣議決定を見るに至りますまでも、この委員会でさような事情をお話申し上げますことはまことに恐縮に存じまするが、自由党といたしまして、政府が提案いたすにつきましては、與党である自由党にも十分お諮りをいたしまして、政府の最終案を決定いたした次第でございます。その最終案を決定いたしますに際しましては、党の政調会なりあるいは総務会等役員会におきましても、愼重に審議されたものだと私は確信をいたしておるのであります。この経過等から考えましても、この前の奥村君に対する私の答弁は非常に簡單であり、どうももう少し親切味のある答弁をしたらどうかという御指摘がございまして、私もその点まことに恐縮に存じておりますが、国会の委員会審議といたしましては、当然御審議になることでありますし、それに対します政府委員としての答弁は、また親切に詳細を盡す義務があることは、私もよく了承しておるのでありますが、本問題に関します限り、政府が決定をいたしますそれまでの段階等におきまして、党議等におきましても十分諮られたものでありますだけに、それらの点について、やや私ども説明をはしよつておる感があり、その点でただいま夏堀さんが御指摘になりますように、皆様方に非常な不快の念を持たした、さようなことを生じた次第ではないかと思いますが、この点は他意あるわけではないのでございます。申し上げたいのは、ただいま申す歴史的な経過、これをやはり御考えを願いたいのでありまして、今回郵政省が大蔵省の権限にあるものを取上げる、かようにお考えになりますと、いかにも不都合きわまりないようにお考えだと思いますが、この資金運用部資金法ができました当時の経過等を想起いたしますと、私は党におりました関係、また今回郵政省を預かつております関係から申しまして、やはり簡易保險の積立金であるとか郵便年金の積立金は、その運用は、この資金運用法がある限り、資金運用法の基本的運用方針には縛られますが、担当官庁といたしましては、これはやはり郵政省をお使いになることが最も適当ではないか、かように考えておる次第でございまして、その点は、一昨日の私の説明が不十分でありますれば、ただいま重ねてその点をごひろう申し上げる次第でございます。かような意味お話をいたした次第でございますから、何とぞよろしく御審議のほどを願います。
  37. 夏堀源三郎

    ○夏堀委員 御答弁にあずかりましたが、まだぴつたりしないところがあります。政調会にもかけて党議は決定した、閣議も決定した、それはその通りでありましよう。しかし政調会はどの程度の納得がついたか、政調会の幹事の連中も、これに対しては相当の御意見があつたと思います。ただここまで来たことは、いわゆる言葉を飾りなく申し上げますれば、一つの政治圧力という言葉が適当であるかどうか。ただここにいろいろ最近の問題になつておる議員立法等においても、いろいろ批判になる法律案も出ておるようであります。これも多数の意見によつて通るなら、やむを得ないことであります。けれども、そのうちには目鼻のあいた国会議員もあるでありましよう。そうした場合に少くも、少数の意見によつてこれをくつがえすことはできなくとも、少数の意見が正しかつたかどうかということは、国民が批判するでありましよう。それを私が今申し上げるのであります。しかし私も、この大蔵委員会が與党野党こぞつてこれに対して意見を申したところで、いわゆる政治的にそこまで来たものを、これをくつがえすことは不可能であるかもしれません。けれども輿論がここまで大きく批判しておる場合、これをただ政府及び党議と申しても、私ども全然知らぬうちに出た党議に私どもがそのままつられて、一片の意見も申し出ることができないうちにこれを通さなければならぬということは、私ども国民の代表として、これに対しては承服することができないのであります。そのために承服する程度の御説明を求めたいということを、先ほどから、私がお願いしておるわけであります。そうして通すものであつたら通したい。こういうことで、繰返して申し上げますが、そうした機会を與えてくれなかつた、連合審査会も拒否され、公聴会も留保され、すべてがいわゆる何かしら指示命令によつて、お前たちこうしろというような感じを受けたのが、ここに来たのではないかという気分もいたすのでありますれども、しかし結論は、理論的にこれがほんとうに国民の生活、経済にプラスになるならば、私どもは双手をあげて、御賛成を申し上げたい。しかし現状において、私の手元に入つておるいろいろの請願及び新聞の論調、これが正しい意見であるかないかは結果によつて現われるでありましようが、ただ結果をまつて云々ということはどうかと思う。よつて委員会において、これに対する、先ほど申し上げたような納得の行くような御答弁を煩わしたいわけなんであります。最もおそれておるところは、郵政委員会はただ形式的な質問があつたかないかわかりませんけれども、ああいうように同意したということもうなずけるでありましよう。けれども大蔵委員会はそうは参らぬと思います。それは何も大蔵一辺倒ではありません。ただ国民のためになるものであるならばということだけなんで、その点について後の批判が、正しい意見であつたということが国民にうなずければ、それでよろしい。また御答弁によつて、それは通した方がいい。それなればそれもよろしいということなんで、それを重ねて申し上げておきます。そこで、ただ抽象的なことをお伺いして時間をつぶすこともどうかと思いますが、奥村君から目的について云々というお話もありましたので、これに対してははなはだ満足の行かない御答弁のように承つておりますけれども、これによつて時間をつぶすこともどうかと思いますので、ひとつ具体的にお伺いして、これに対して、その問題に対する御答弁をいただきたい。そうしてこれを進めたいと存じます。  郵政省は、資金の一元的能率的運用と申しましようか、こうしたようなことについては、郵政省の考えとして効率的にこれを運用するということに対しては、別に御異存がありませんでしようか。それとも郵政省の方に復元することによつて、もつと効率的にまわすことができるというお考えでありましようか。これが一番問題になるのでありますが、効率的に運用ができるという点がありましたならば、具体的に御説明を願いたいと思います。
  38. 大野勝三

    ○大野説明員 御説の通り簡易保險、年金の積立金の運用については、有利確実のみが目的ではありませんが、有利確実に運用するということが、重要な一つの要件であることは申し上げるまでもございません。そこでただいまの御質問の効率的に運用することは、運用を復元した方がより効率的になるのであるかどうかという御趣旨であつたように伺いましたが、私の答えはその通りでございますというのでございます。と申しますわけは、先ほども大蔵省の方から御説明がありました通り、現在の資金運用部に預託するというだけの方法でこの簡保、年金の積立金を運用いたします場合におきましては、資金運用部の資金の構成が、いろいろの特別会計の金を集めております関係上、どうしても預託金の利率問題一つを取上げてみましても、いわゆる他の会計からの預かり金の利子と、つまりそういつた待遇條件の公平といいますか、バランスという点に相当に考慮をお用いになる。これは当然だと思います。そういたしますことによつて、本来直接運用をいたしますなれば、もちろんこの直接運用という中には、国家全体の金融政策と申しますか、財政政策と申しますか、そういうわくの中での話でございますけれども、そういうわくの中で直接投資をいたします場合には、そういうバランスの点はそれほど問題でなくなつて参ります。そこでたとえば現在五年間すえ置きまして、つまり最長期間すえ置きまして五分五厘という預託率は、直接投資することによつて若干上まわることを期待できる。こういう一点におきまして、復元された方が効率的であるというお答えになるかと存ずるのでございます。
  39. 宮幡靖

    宮幡委員 ただいま夏堀委員から大綱的なお話を郵政大臣になされましたが、おとといの御返答を私よく聞いておりませんが、それと比べれば非常な進歩であるようであります。なるべく大臣の御説を納得いたしたいのであります。そこで大臣もしばしばお忙しい中を、しかも当該委員会でないので御無理かと思います。そこで私は関連であり、かつ議事進行上の観点から大臣にお願いし、要求いたしたいのでありますが、今後この審議を夏堀委員のお説の通りに相当愼重に進めて行くということになりますが、しかも当該委員会じやないので、出席はしなくてもよいなどということで御出席にならないようなことになると審議は進みません。どうか大臣は御督励なさつて、せつかく政府委員でない事務次官まで本日は御出席になつておりますから、やはり説明員として引続き御出席くださるというようなことにして、十分審議を盡さしてもらいたい。私どもこういうことを申しますと、何だか審議の引延ばしであろうというようなことを、残念ながら院内で宣伝しておる。私はことごとく納得が行かない。何たる情ない国会議員各位であろうと私は思う。なぜかと申しますと、私どもこの法律案を見まして、第一番に納得ができません。と申しますのは、この法律の第四條などを見ますと、一体国家行政組織法との関連におきまして、これが正しいか正しくないかということの決定に至りましては、これは最高裁判所の決定を経なければなりませんが、現在の国家行政組織法においては、この四條に規定しますところの郵政大臣の新たなる権限というものは、明らかに大蔵省と自治庁に専属するものであつて、郵政省にはないのであります。従いまして、大臣の御説明にありますように、これは決して大蔵省のものを取上げるのではない。元の通り返してもらうのだという趣旨は尊重いたしたい。しかも夏堀前大蔵委員長の当時におきまして、私は資金運用部資金法について、與党内にも反対のありますものを、私は自由党を代表いたしまして賛成討論をしておる当人であります。従つて当時の経過は前委員長とともによく知つておるので、返すのが実情であり、返すことが適切であるとするならば、もつとよい形態の法律で円満裡にこれを返すことが妥当であろうと思う。私は郵政大臣の御意見を百パーセントとるのじやない。返すのだという観念が正しいという前提に立つならば、もつとうまい法律で返してやりたい。だから、合同審査もしてみたい。公聴会もしてみたい。大体第三條と第四條の関係は、第三條の貸付限度を地方公共団体の地方債に限定しておりますが、明らかに所管は大蔵省と地方自治庁でありまして、これは法制局の御審査も経ておるでありましようが、少くともだれが見ても、ただちに納得のできるものだということは言い切れないだろうと私は思う。もちろんわわれれの意見も最後は最高裁判に持つて行かなければならぬでありましようけれども各省設置法もせつかくかえておるところでありますから、どこかへ入れまして、行政的な措置というものは法令によつて行わるべきものである。法令にないものは権限がないのであります。従つて権限のないものと私ども信じます法律のもとに、かような一時的な法律をつくりまして、この際拙速的な措置をとられるよりも、合同してよく衆知を集めまして、しかもこれを実施する期間はいつかというと、準備期間はもちろんありましようが、昭和二十八年四月一日である。何をもつて一日、二日を急いでやられるのか納得できぬ。しかも私ども郵政大臣の党最高幹部としてのもとにおいて、自由党を代表し賛成討論いたしておる当時の経過をよく知つておる。従つて最大限度におきまして、私どもは郵政大臣の御意見を尊重し、あわせて各位の御意向も尊重したい。院議といわれますが、院議については、もし院議をしいられるならばわれわれにも異論があります。しかし院議である以上は、われわれはその院議に服しましたものといたしまして、みずからこれを尊重したい。院議に服せというならば異議がある。しかし院議である以上、院議の尊嚴さはみずから立てて行く用意がある。そういう気持で、これはお互いにさわらぬ方がいいのであります。この問題にさわればさわるほど悪くなる。そこでよく大臣お考えくださいまして、大臣もときどき顔を出していただくと同時に、政府委員の方あるいは説明員の方も、どうぞ委員会の要求する通りに出していただきまして、円満なる結論を出したい。少くともこういう法律案は私には納得行かない。大臣は、宮幡、お前はまた小りくつを言うであろうというようなことを言うかもしれませんが、実際におきましてそうであります。権限が明確でない。地方債の起債のことなどは自治庁と大蔵省とにきまつている。郵政大臣の権限でないことは行政組織法でおのずから明らかであります。これは直せば直る。簡單に話が進んで行けば直せる。それをなぜ一日や二日を急ぐか。期日は昭和二十八年四月一日となつている。これでたれが納得すると思われますか。私どもはこの中の権限争いの問題を言うのではありません。またそういうことがよいというならそれに従つてつて参りたい。おそらく郵政大臣の御意思の通り、また閣議決定の通り大した問題でないとしかわれわれは考えない、どつちでもいいというくらいに考えている。それを輿論をあおりまして、しかもそれに対する十分な検討を加えないうちに急ぐという気持におきましては、私どもは残念ながら承服できない。しかしこれはもう過ぎたことはやむを得ません。そこでどうか私利的な考えを持たず——早くやつて功名手柄になるような考えをなさる方があるようなことも私直接耳にしますが、さような拙速によりまして、あとに憂いを残すようなことのないように、郵政委員会の方ではすでに本法案は上つているのでありますから、これに対して私はいまさら何も言いませんけれども、この委員会だけはぜひとも十分御審議をするだけの時間と余裕を與えていただきたい。もちろん法の成立を阻害したり、妨害したりする意思を本旨として持つものではない。しかし得心の行かぬものはあくまでも得心が行かぬのでありますから、この点だけははつきり伺つておきたい。こういうやむを得ない事情であるということを御了承願いたいと思います。われわれはこの点につきましては、委員長にもお願いしまして、特に委員会も定刻に開き、そして大蔵省関係法案でありますから、大蔵政府委員も完全に出席していただく、郵政の方々もやはり完全に出席していただきまして、われわれの疑問とする点を一々明快に御説明いただきたい。得心の上では何をか言わんや、喜んで賛成する用意もあれば、また得心が行かなかつたならば、敢然として反対する用意があることを郵政大臣に申し上げておきます。
  40. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 ただいま宮幡さんからいろいろお話がありましたが、私政府の国務大臣としていろいろ申し上げておるのでありまして、当委員会と郵政委員会との審議の問題につきましては、私どもが直接関與する問題ではないのでございまして、これは申し上げるまでもないことでございます。従いまして、先ほど自由党と申しますか、與党の意見決定のお話を申しましたのも、この機会に申し上げることはやや不適当ではないかということを、前置きをいたしたつもりでありまして、国会の審議と政府の意思決定とこれを混淆する考え方は毛頭ありませんが、ただ本日もこの委員会にお集まりの皆さん方が、大部分自由党の方のようにお見受けいたしますので、さような意味で、比較的委員会にふさわしくない意見を開陳しているかと思いますが、その点は御了承いただきたいと思うのであります。  それから郵政委員会におきまする審議の問題につきましては、さような意味合いにおきまして、政府である私どもなり、また事務当局がこれに関與する筋のものではないのでありまして、その点は両委員会の問題としてお話をしていただかないと、私たとえば合同審査を断つたとか、あるいは公聽会を開くことを断つたとか言われましても、これについて私意見を何ら申し上げ得る立場に実はないのでありますので、この点はむしろ委員会運営からごらんになりましても、意見を開陳し得ない立場にありますだけに、むしろ私ども伺いましても、ちよつと取扱いに困る点があるのでございます。ただ、ただいまのお話のうちに、権限がどこにあるのだというお話でございましたが、この審議会の問題につきましては、御承知のように審議会は総理府の機関でありますので、総理府令の方の改正をいたしておるのであります。これは当委員会にはかかつておりませんが、郵政委員会にかかりました簡易生命保險及び郵便年金の積立金の運用に関する法律の附則の第三のところで「総理府設置法(昭和二十四年法律第百二十七号)の一部を次のように改正する。」「第十五條第一項の表の資金運用部資金運用審議会の項中『資金運用部資金』の下に『若しくは簡易生命保險及郵便年金特別会計の積立金』を、『大蔵大臣』の下に『若しくは郵政大臣』を加える。」という所要の修正をいたしておるわけでございます。従いまして、審議会につきましての権限もこの法案によりまして付與されることに相なるのでございます。従いまして、先ほど来の御議論はこの点でやや当つておらないじやないかという感がいたすのであります。私どもが今回この郵政省へ復元をいろいろ計画いたしましたゆえんは、先ほど申しますように、経過的な問題が一つの大きな問題になつておるのと同時に、また簡易保險事業自体といたしまして、やはり募集と運用とを一元化したい。これが強い要望であるのであります。これらの点についてただいま資金の統制をはかつております現下の情勢から見ますと、いかにも資金統制を二元化するとか、さような意味合いにおいて相当の不都合があるのではないかという批判も受けるのでございますが、この点では資金運用部資金法の適用を受けて参るわけでございますので、復元をいたしましても、自由闊達に、自律的な方法でやるというわけのものではない。いわゆる必要な国家的統制のわく内において、本来の姿においての復元を要望いたしておる次第でございます。さらに情勢等がかわりまして、資金法自身がその適用の必要をなくする時代がもしも万一参りますならば、それはまた別な問題でありますが、それがあります今日におきましては、まだ適用範囲内においての活動でありますので、特に今まで主張されておりますような二元的運用という問題には、まずならないのではないか、かように私ども考えている次第でございます。
  41. 宮幡靖

    宮幡委員 今の大臣のお話、これはまことによい御意見で、さすがにわれわれの尊敬いたします大臣であると思われるのであります。と申しますのは、閣議は国会の審議権というものとは明確に区別があるのだというお話です。従つてここで言うべき場合でないけれども、参考にと言つた前段のことは、まつたくこれはことごとく了承します。それでけつこうでありますから、私どものお願いいたしますように、この法案の審議にさしつかえないように、政府委員等を順次出していただくということを、あわせてやはり御了解いただいたものと私は信ずるのであります。と同時に、今の総理府令で移しました権限の問題でありますが、これを大臣がおつしやつた。ごもつともで、私もあることを知つておる。知つておるから聞いた。そうでありますが、そうなると、このパンフレットを見ますと、とにかく一応二元運用、しかも郵政大臣は資金運用部資金の審議会の副会長である。副会長ということは資金運部資金法を通過させますときに、郵政省の簡易保險積立金等の運用につきまして、郵政大臣が協議に参加しなければ、これは独断専行に流れるか、あるいは簡易生命保險及び郵政年金等の基本的性格に照して、はなはだ遺憾な点があるからというので、郵政大臣を審議会の副会長として参加する機会を與えたわけであります。そこで総理府令の改正によりまして、権限ができたからというので、これは新たに二元的運用を認めることになります。そうしますと、大臣はこんなパンフレットを読むひまはないので、多分読んでおられないと思う。また読まなくてもけつこうでありますが、その十二ページのしまいから七行目に何と書いてあるか。「政府の財政金融政策や資金計画の枠内でなされることは勿論である。この意味において自主運用政府の一元的運用の線を外れるものではない。」というように、総理府令の設置法まで改めまして、新たに計画を郵政大臣にもし代與したといたしますならば、そのこと自身がこのパンフレットとは違つておるということを知つていただきたい。また認めるべきである。私はそういう意味——しかしごねるわけではありません。大臣は私どもの気持はわかる。無事成立させたいという大きな気持をよく察していただきまして、当委員会の審議について郵政省はあげて御協力賜わりたいことを——関連質問でありますから、長いことを申し上げませんが、要望いたしまして、あるいはお願いした方が妥当かもしれませんが、ごくなごやかな気持でひとつ郵政大臣に、この私どもの要求を聞き入れてもらいたいことをお願いいたします。
  42. 夏堀源三郎

    ○夏堀委員 先ほどの続きを申し上げます。郵政省の方では金利の率がふつり合いである、そのために赤字が出るのだ、そういうようなお考えであろうと存じて、先ほど大蔵関係の方に質問したのであります。こういうようなことはどの程度お話合いになつたかどうか。政府部内のことであるから、郵政省の方がこうした赤字が出るのだ、だがこれは積立金の関係があるから、結局積立金を全部引去るとこういう赤字が出るのだ、積立金の操作によつて赤字は出ないのだ、こういうことを言うだろうと思います。そうした事務的のことはお話合いによつてできることであつて、そしてまたこの運用においてこうしなければならない、こうすると赤字が出ないのだ、こうなればその通りつても適当に処理はできるだろうと存じます。同じ政府の間にあつて、足らなければ一般会計からこれをまわさなければならぬ、余裕金があれば一般会計にまたもどさなければならぬということも、言えるだろうと思います。だから、これは政府の一体とした資金運用上の問題であつて、大した問題ではなかろうと存じます。その点に対して個人の取引のように、どうにもならぬ、やはり自分の手に納めなければ、この利回りはどうにもならないということにはならない、こう存じております。  ただこれまでの御答弁の内容を承つておりますと、どことなくいわゆる募集維持のために運用権を必要とするのだ、これが重点じやないか。募集維持のために運用権を必要とするならば、これはちよつと違つた話になつて来ます。そこで政府が積極的にこの募集事業を進めることによつて、これは限度もありますから、かつてにはできないでしようけれども、民間の事業を圧迫するということも言えるでありましよう。であるから、保險事業というものは保險事業としてとり得ることによつて国家財政に役立つという面と、そして国民は国の信用、いわゆる国家というものに対する信頼感、そうしたものも手伝つておりましよう。けれども、私は募集維持のための運用権ということは、これは掘り下げて考えてみますと、あながちそうでもないように考えております。ただこれを第三者が考えた場合に、なるほど自分で募集したものは自分でこれを運用するから非常にやりやすいし、また積極的に持つて行くにいい、こういう感じがいたすでありましようけれども、これが政府としての場合は、個人や会社と違つて来ますので、これもあながちそうは申せないと思います。実はこの募集に携わつている数名の人で非常に親しみのある人がありますので、ときどきその連中が私のところに遊びに来るので、それとなく、一体君らはどのくらいの收入になつているのか、そこで今問題になつておるいわゆる運用権という問題について、はたして下部の募集員はどの程度のことを考えておるかということを、いろいろ話合いしたことがあります。彼らの言うことは、この募集した金はどう運用されようと、われわれ下部の者にはわからぬし、これに対しては大した関心を持つておらぬ。ただ與えられた責任額はどうしても募集しなければ、帰つてからはなはだまずい顔をされる。いわゆるにらまれるということであります。にらまれて最後には進退伺いをしなければならぬ。それは首の問題である。そこで與えられたそのいわゆる責任額を果すことによつて——これは資料の中にも入つておりますが、相当いわゆる奨励金と申しましようか、そういうものが得られる。それはたしか保險料の三〇%となつておりますか、もし三〇%になれば相当のものであつて、そうなれば大したものですが、それが十三箇月以内にもしあとの掛金ができなければこれは没收なのだ。そういうこともあるように聞いております。政府はずいぶん苛酷なことをするものだ、こういうことも考えたのであります。今はかわつておるかもしれませんが、とにかく何といつてもその募集の金額の割当、責任を果さなければ非常にまずい顏をされるので、門から入ることがまことに入りにくい、こういうことを繰返して言つております。そこでそれが自分の生活に非常に影響を受けるのである。食うがためには一生懸命働かなければならぬ。そうすると、君らはその運用ということはあまり考えないのか。なるほど上層部では考えておるけれども、募集員はそこまで考える余裕がない、こう申しております。そこでこれは募集の維持と運用権というものは、大臣初め郵政省の上層部の方々のいわゆる構想であり、御意見であつて、下層部の募集に携わる人方の意見ではないのである。けれども募集ということになれば、郵政大臣御本人が行つて募集をやるなどということはおそらくないでありましよう。そういうわけでありますから、第三者が考えた場合に、募集維持と運用権の問題は不可分の関係にあることになりましよう。そういうふうに考えやすいところでありますが、実際問題とすれば、その人方は自分たちの生活のために、そうしてその成績を上げることによつて門から入りやすい、ほめてもらいたい、こういうことを重点的に考えておるようであります。先ほどの三〇%、これはいつの時代であつたか、今はそうであるかどうかわかりませんが、そういうことも聞いたことがあつたということであつて、間違いであつたかどうか知りませんが、感じとしては募集の維持と運用権は一体化することによつて、効果百パーセントということは言えないだろうと私は考えます。これは御答弁を承つたところで水かけ論になるかもしれませんが、私はそう考えております。そうなつて参りますと、さつきパンフレットの問題がありましたが、パンフレットにもそういうことが書いてありますので、おそらくその下情に通じておる人たちであれば、必ず自分の生活ということをまず考える。上司の連中によい顔をされるということを考えることは人情であります。そうなつて来ればいわゆる人情としてそういう動きを示すことは当然であつて、大きく政府の上層部が考えておるように、これを運用するということははたしてどうか。しかし地方還元ということもこのパンフレットの中に入つておりますが、地方還元ということと資金の統一、一元的、能率的、効率的運用ということと、そこにも矛盾がある。資料をわれわれは要求いたしましたが、まだはつきり目を通しておりませんので、大都市に対してはこの募集額は、おそらく相当多いでありましよう。かつての時代にはあるいは五〇%、東京と大阪あたりで五〇%という時代もあつたそうです。そうして農村県には金がないから、募集の額は少いという。そうすると地方還元ということが——大都市はこれは俸給生活者が多いので、俸給日に取立てに行く、そういう関係もありましようけれども、大都市の募集に対して還元するというのか。そうすると地方還元ということは、何か農業関係は運営を今後考える。そのために農業関係の人方もこの運営会に入れるのだ。こういうことを言つておるようでありますが、そこにも矛盾を来すのではないか、こう考えるわけであります。今申し上げたことは郵政省側で最も強く主張する募集の維持と運用権の問題、それから一元的資金の効率的運営ということと、そうしてパンフレットの中にもあります地方還元ということに矛盾がある。この点に対してはどのようにお考えになつておりますか。
  43. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 簡易保險の積立金の運用につきまして、また募集状況等についてるるお話がありましたが、相当実情にも合わない御議論のように思いますので、私どもの所見を申し上げてみたいと思います。  御承知のように、簡易保險の運用権が郵政省に返つて参りますれば、奥村君の一昨日の質問にもお答えいたしましたように、志気の上ることはこれは確かでございます。郵政省といたしまして郵政職員が、自分たちが集めた金が郵政省において運用される。これは確かに志気が上るのでございます。この点は郵政職員といたしまして実現を熱望いたしております。その点からもこれははつきり言えることでございます。ただこの簡易保險の募集に際しましては、これを貯蓄奨励が国の政策であるにいたしましても、非常に行き過ぎますると弊害があるのでございまするし、また御指摘のように、国家資金と民間資金との調整をとるという政府考え方からしましても、一方に偏在することはこれはいろいろの批判があるのでございます。ましてこの募集  しました金が、ただちに地方に還元されるかのような理由によりまして募集することは、嚴に戒めなければならないことは、御説のように私ども考えております。従いましてこの簡易保險の限度の問題も非常に政府といたしましては苦慮いたしまして、簡易保險の立場だけからはこれを決定しなかつたのでございます。御承知の通り今回五万円の限度を八万円にいたしましたゆえんも、これは別に民間業者の事業経営云々という意味ではなしに、民間資金と政府資金とのバランスをとるという意味合いにおきまして、特に簡易保險に民間資金の偏在することを避ける、かような意味におきまして限度の引上げ等も特に考慮をいたしたのでございます。しこうしてただいまのお話のうちで、保險の募集をいたしております者がこれが貸付をする、かようなものでないことは私の説明を要するまでもないのでありまして、もしも集めた者が金を貸すのだ、かようにお考えつたといたしましたら、非常な研究の深い夏堀さんの御意見としましても、私は理解に苦しむのであります。御承知のように郵政省といたしましては広汎な、全国にわたります仕事をいたしておりますが、やはり募集は募集、運用運用と、それぞれの専門にわけなければならない。これは金を集める人が一方の手で集めて、ただちに左の手で貸す、かような簡單なものではないのであります。この点から見まして募集員について運用権の当否を御議論なさいましても、これはあまり参考にならない御意見かと思います。問題は総体の志気に影響するかどうか、この点をひとつ御了承をいただきたいと思うのでございます。これは郵政職員が復元を非常に熱望いたしておりますが、この点は必ず志気に関係するということが申されるのであります。特にこの点は夏堀さんは前委員長として資金法を調整されます際に、非常に強い反対を郵政職員が展開したことを御承知であるはずでございます。これらの点を勘案してお考えになりますれば、その点は明快になるだろうと思うのでございます。これが統制のとれた運用になるかならないかという問題は、資金法の適用のもとにおいて運用されるかどうか、あるいは今日まで大蔵省なり地方財委が関與し、処理しておりますそれが根本的にくつがえされるかどうかという問題になるわけでございます。私ども見方ではその御心配はない。ことに今回の処置をとるにいたしましても、郵政省といたしましては、事前の調査等をする考えは毛頭持つておらないのでございます。また郵政省は、このために職員をふやすというようなことも計画をしておりません。これらのことをお考えになりますれば、これが二元的運用になるという御心配はないというように、ひとつ御了承いただきたいと思います。
  44. 小山長規

    ○小山委員 今大臣は非常にかんじんなことを仰せられたのですが、ちよつとしまいの方で語尾がはつきりしておりませんので、一言確かめておきたいのであります。二元運用になることを大臣は考えておるのではない、従つて事前調査もやらない、こうおつしやつた。それがはたしてその通りであるかどうか。それからもう一つ、事前調査もやらないということは、従来通り預金部と自治庁が地方債の額を決定し、それからその明細を決定したものに対して、大臣がしばしばこれは私に私的に申されたことでありますが、ごく平たい言葉でいえば、郵政省の側は資金の運用をするにあたつては、ただ單に伝票を切るだけであるというような考え方で、二元運用はしないとおつしやつたと思いますが、その点を確かめておきたいと思います。もう一点ありますが、これはあとで申し上げたいと思います。
  45. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 二元運用と申しますのは、もちろん権限は、この法案が通れば郵政省に帰つて来るわけでございますが、その郵政省が運用いたします基本法は一本である。従つて全然別個な方向においては運用されない、かような意味合いのことを申しておるのでございまして、これは誤解のないように重ねて申し上げておきたいと思います。  それからただいまも御指摘になりました点でありますが、事前調査はもちろんしないつもりでおります、従いまして今日まで大蔵省なり、地財委の了承でやられる事柄につきまして、もちろん郵政省も参画することになりまするが、郵政省独自の立場において、大蔵省関係官を抜きにして、地財委と相談して決定するというようなものでないということを、明確に申し上げておきます。
  46. 小山長規

    ○小山委員 私どもこの問題から考えておりまする主たる点は、地方側からいえば、地方債に運用するということになつておるのだが、金額がふえるわけでもないのに、窓口がふえるだけではないか。こういう世間の非難に対して、私はこれはもつと掘り下げて、このような場合にはどうなる、あのような場合にはどうなるということをお伺いしたいのでありますけれども、きようは時間がございませんから、その点は触れないことにいたしまして、一般的に言うと、要するに結論だけ伺えばよいのでありまするが、地方債に運用するという原則はきまつておる。そしてその地方債の分量が別にふえるわけではない。ただ窓口がふえるだけであるのかどうか。この点に対する明確な答弁をまず伺つておいて、それからあとのこまかい点については、折を見て申し上げたいと思うのであります。
  47. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 窓口がふえるという言葉は、あるいは適当でないかもわかりません。と申しますのは、私ども郵政省に権限はとつて参りまするが、今日地方から起債を要望されるような際に、郵政省にも必ず地方からその書類を必要とする、そこまでは考えておりません。従いまして、今日ありますたとえば地方財政委員会と申しますか、その方へ出ます書類を見せていただけばけつこうなんでございまして、直接町村からそういう書類をとる考え方をしなくてもよろしいと思います。しからば郵政省が入つて何か効果があるのかというようなお話になるだろうと思いますが、官庁同士もやはり競争があるのでございます。はつきりいたしました金額の割振りはありましても、その金額の扱い方におきましては大蔵、郵政両省間におきまして、こまかな点においてそれぞれ競争して参りまして、扱い方がより親切になり、より迅速に処理される、かように私ども考えております。特にその点は私どもの主張でありますが、これを実施されましたあかつきと申しますか、それは過去の実情等からお考えになりますと、この点は御了承がいただけるのじやないかと思います。
  48. 小山長規

    ○小山委員 この問題は一番核心に触れる問題でありますが、きようは原則的に事前調査をなす考えはないという大臣の御答弁と、それから直接書類を地方側から郵政省にとる意思はないのであるという御答弁を、確認いたしておきます。  それからさらにもう一つ、これは夏堀さんの質問に対する関連事項でありますが、郵政側は、そこにおられる御両人は、今まで私は政務調査会で何べんも議論した方である。そのときのお話では、郵政省が募集の維持のためにどうしても独立運用は必要だと言われておる。今の大臣の御答弁によれば、募集の維持のために運用するのではないということでありますが、これを重ねてお確かめをいたしておきます。
  49. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 前の点にさらに明確に申し上げておきますが、地方起債に際しまして、窓口をふやしたり事前調査をする考え方は毛頭ありません。地方起債に関しましては、はつきりそのことが申し上げられると思うのでございます。この点を明確にいたしておきます。  それから募集維持云々の問題でありますが、これは先ほど来申しますように、募集については基本的な考え方があるわけでございまして、その点が事務当局と国務大臣としての責任とは、やや表現が違いはしないかと思います。私ども民間資金なり政府資金のバランスはぜひともとらせたい、かように考えますし、この意味においても政府にいろいろの計画があるわけでございます。ところが御承知のように、ことしの予算にいたしましても、簡易保險の募集額は相当多額を見積らざるを得ない、こういうような財政資金の状況でございます。こういう際に、この計画遂行をいたします際に、いろいろ実施の面におきまして取扱い上の便益を得たいというのは、事務当局のこれまた熱願しておることであつて、私どもはこれを頭から否定はできないことでございます。かような意味合いにおきまして、事務当局の気持はおそらく政調会等において率直に出ておると思いますが、ただ私申し上げますのは、その気持をそのまま現わして参りますことは、基本的な問題として、財政資金と民間資金とのバランスをとる上から、非常な支障を来すのではないか。この点においてブレーキをかけざるを得ない、かような問題でございます。
  50. 小山長規

    ○小山委員 私が募集維持と独立運用の問題を特に大臣の御答弁を求めましたのは、大臣は先般来院議々々と言われておる。その院議のよつて来るところは募集の維持、そしてそれによつて簡易生命保險の額がふえる。従つて地方に還元される金額がふえるのである。この理論によつて院議が、少くとも党議として成立した。その点がありますから、この委員会においてどうしてもその点を、はつきりさしておかなければならぬのであります。従つてただいまの言明は、私は事務当局の考え方いかんにかかわらず、大臣としては募集維持ということと独立運用という問題とは、関連はないのであるという大臣の御確言を伺つて、きようは私の質疑は一応これで保留いたします。
  51. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 関連がないとはつきり観念されますと、非常な問題があるのであります。そこのところは非常に大事な点でございます。先ほど来申し上げておることでおわかりがいただけると思いますので、その点は一方的に結論を出されないように、重ねて御注意をお願いしておきます。
  52. 小山長規

    ○小山委員 一番大事な点をそうぼかされてしまうと、今後の質問の方向が違つて参ります。従つて大臣はどうとも答えられる立場にあるのですし、独立運用と募集維持とは関連があるのかないのかは、爾後各委員がどの線に沿つてこの問題を審議して行くかというわかれ道になるのですから、この点をきつぱりお答えを願いたい。
  53. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 先ほど来申し上げましたように、全然関係がないわけのものではございません。関係はもちろんあります。しかしそれだけが復元の問題だ、かようにお考えにならないことを願つておるわけでございます。
  54. 佐藤重遠

    佐藤委員長 時間も大分経過いたしましたので、午後は二時から開会いたすこととして、これにて休憩いたします。     午後一時一分休憩      ————◇—————     午後三時二分開議
  55. 佐藤重遠

    佐藤委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  簡易生命保險及郵便年金特別会計法の一部を改正する法律案、及び資金運用部資金法の一部を改正する法律案の両案を一括議題として、質疑を続行いたします。質疑は通告順によつてこれを許します。宮幡靖君。
  56. 宮幡靖

    宮幡委員 午前におきまして奥村委員からの質問で、それに関連いたしましていろいろ議論が出て来ました。しかしながらまだ決定的な点は全般的には判断できないような状況であります。何分にもこれの基本法とも申すべき法案が、郵政委員会を通過しておりまして、でき得べくばわれわれの方も納得のもとに、すみやかに審議を了したい、かような気持を持つておりますので、今日は特に本会議と並行して委員会を開催いたしたような次第であります。そこでまた元へもどりますけれども、この資金運用部の全般的の問題につきまして、大蔵当局及び郵政に関係のあります部分は郵政の方から御答弁をいただきまして、一通り従来の経緯を反省してみる、こういうことにいたしたいと思うのであります。  午前にも申しましたように、資金運用部資金というものはドツジ方式の一環でありまして、当時国会の審議にもいろいろ議論がありました。そこで郵政省の希望いたしまするところの運営方向に近いものにしたい、こういう努力はずいぶん払つて来たわけであります。その結果といたしまして運用審議会の構成は、これは総理府につくるという基本的な線は認めると同時に、総理大臣が会長であり、副会長としては大蔵、郵政の両大臣を入れまして、簡易保險積立金、郵便年金等の積立金の正常なる運営が、国家財政資金の一元的な運営の中に見出し得る構想を求めたわけであります。これが現在の運用審議会の構成であります。それまでには幾多の経過がありまして、これは郵政側のパンフレツトによりますと、何か大正五年か大正十二年とかいう歴史をとりまして——今パンフレツトがちよつとありませんので、それを指摘できませんが、そういう経過のみが今日まで続いておるような御説明であります。それは確かに私も認むるにやぶさかではありません。と同時に、資金運用部資金法というものが両院を通過成立したという事態におきまして、それまでに現われておりました委員会の決議とか、あるいは希望條件とかいうものは、私は一応清算されたものだと考えて、はなはだ当を得たかどうか知りませんが、当時の速記録を回顧してみればわかります通り、私は資金運用部資金法に対する與党としての自由党を代表いたしまして、賛成の討論をいたして参つたわけであります。ところがこれによつて一応清算されたという感覚がまた逆もどりいたしまして、昔はこうであつた、元はこうであつた政府は繰返されておるようでありますが、この点は私個人の考えかもしれませんが、ある程度納得ができません。資金運用部資金法の発足にあたりまして、審議会等を設ける中に、郵政省としての気持といいますか、権限と申しますか、国家財政資金の効率的一元運用に御同情くださいました郵政省の立場を十分取入れまして、従来のいきさつというものは、これで一応白紙に返つたと私は今でも考えておるのでありますが、この点についてのお考えはどうでありましようか。
  57. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 資金運用部資金法が制定された、それによりまして従来郵政省で運用いたしておりましたものが、郵政省の権限から大蔵省に移された、この法律ができたということ自体で過去の問題が清算された、かように観念されることは、理論的に一応わからないわけでもありません。ただそこで問題になりますのは、一昨日私答弁いたしまして、大分やかましく言われたのでございますが、この処置をとりますのが、これが今言われるように清算した恒久的な制度としてこれを考えたか、あるいは特殊な臨時的措置としてこの方式が採用されたか。そこに問題があるのでございまして、これが恒久的な措置だと言われまするならば、在来の郵政、大蔵両省間の主張に対しましては終止符が打たれたということも言えるでありましようが、大蔵大臣の答弁等から見ましても、これは暫定的な措置であるということが言われておるのでございまするし、また郵政省設置法の中には、依然としてこの積立金を運用するという規定も残つておるのでございます。それらのことを勘案いたしますると、今日この問題が再燃することもまた御了承がいただけるのではないか、かように私ども考えておる次第でございます。
  58. 宮幡靖

    宮幡委員 御答弁によりますと、従来郵政省にあつたものが戰後において一時停止されたということは、これは大わくとして別といたしまして一応はやる、郵政省に残るべきものだ。現に郵政省設置法の中にも、第四條に「法令の定めるところに従い、簡易生命保險及び郵便年金の積立金及び余裕金運用すること。」こういう権限は大臣御指摘の通り明示されておるわけであります。しかしながらこの運用という字句につきましては、資金運用部へ預託することもやはり運用なんで、必ずしも単刀直入に直接貸付をしなければならぬという意味にだけ、これを解するわけには容易に行かぬわけであります。従いまして、この設置法の趣旨をもちまして、当然にかつ自然的に郵政省へもどるべきだという論拠には、残念ながら、敬愛する大臣でありますけれども、私には全部は承服できないわけであります。しかもこれらの基本的となります問題を、引合いに出されるパンフレツトでありますが、「資金運用の歴史」という項目の末尾の方に「要約しますと次の三つになるのであります。」と書かれております。一体この保險という事業の観念でありますが、私ども浅学非才で、薄つペらな保險学などという本を読んだくらいでは、容易に保險というものの説明はできないでありましようが、端的に申しますれば、掛金を払い込んだものが、ただちに反対給付的な恩沢を受けるというのが保險の制度ではない。不幸がありまして、お葬式のときに香典を持ち寄つて、そうしてその死亡という危險負担を大衆に分散する、このことが保險制度のスタートであります。これは理論的でありまして、実際はそれに合致するかどうかはしばらく別でありますが、このパンフレットに書かれております三つの点の「一、事業そのもののために確実、且有利に運用すること。」確実ということは、これは人から預かる金でありますから、安全性を確保することは第一要件であります。しかし有利に運用されて、加入者に対しまして一体どういう利益があるのか、これを具体的にお示し願いたい。かりに簡易生命保險にいたしましても、赤字であつてみたところで、約款に定める通り、支払いの給付は保証されておりましよう。しからば有利に運用したからといつて、どのくらいの利点が加入者に與えられておるか、また具体的に與えているか。約款を上まわる、いわゆる利益配当的な観念というものが、国家事業であると認められております簡易生命保險事業の中に、実施されておるのかどうか。利益配当しておるのかどうか。そういうものがなかつたならば、加入者の利益のために国家が有利に運用するなどということの問題は、国家の財政資金の一元的運用とにらみ合せまして、おのずから軽重のあることをまず考えなければなりません。これは事務当局でけつこうであります、有利に運用したもうけがたんと出たという場合には、加入者は一体どういう恩典に浴することになるのですか。これを具体的にお示しを願いたい。
  59. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 第一点と申しますか、前段になります点で、郵政省設置法による権限について、預託もまた運用なりというお話がありました。確かに預託もまた運用に違いないと思いますが、この運用は預託だけではないのでございまして、御承知のように運用するということでありまして、唯一の方法としてその運用方法が預託に限られることは、郵政省としては非常な迷惑を感ずるのであります。運用はどこまでも自主的であるべきだというのが本来でありまして、自主発にこれを預託する場合もありましようし、その他直接運用することも考えられる、こういう意味合いの運用ということでありますので、この点も誤解のないように願いたいと思います。  第二点の問題で、これを有利に経営をいたしますれば、いかなる方法をとられるか。ただいままでは郵政省としては実施いたしておりませんが、やはりただいま御指摘になりましたような方向において、利益金を使つて参りたいという気持は多分にあるのでございます。御承知のように相互保險等におきましては、はつきりそれらが出ております。郵政省といたしましては、ただいまの簡易保險の成績等から見まして、ただいま御指摘のような利益配当という点まで進み得ない現状にあるのでございますが、事業を整備すれば当然そういう点にくふうがこらされる、またこらすべきだ、かような考え方をいたしておるのであります。
  60. 白根玉喜

    ○白根(玉)政府委員 別に補足して申し上げることはございませんが、利益配当は過去において制度としてはありまして実行しておつたのでございますが、終戦後事業の経営が非常に悪くなりまして、利益配当——私の方では長期還付金と申しておりますが、これを今ストップしている状態であります。従いまして先ほど大臣が御説明申し上げましたように、利益が出れば、還元方法としては利益配当もある程度やらなければならぬじやないか。また将来になればこれは保險業にも影響するように相なると思うのであります。なお御承知のように、簡易保險の加入につきましては、法律の規定によりまして、余剰金があれば加入者に還元するようにやらなければならないという條文もあるのでございまして、利益が出れば、そういう方向へわれわれとしては行くべきものではないか、かように存じております。
  61. 宮幡靖

    宮幡委員 まず大臣の御答弁の方から実はお尋ねしてみたいと思います。預託だけが運用でない。このことははつきりわかります。従つて簡易生命保險及び郵便年金の積立金の運用に関する法律案、この中の第三條の必要性が生まれて来る。第三條では、その運用が地方債なり、あるいは地方公共団体その他政令で定める公共団体への貸付、こういうことになるのであります。そういたしますと、先刻は総理府設置法の附則によつてこのことは今度追加されているから、その権限があるのだという御説明でございましたが、これが納得できなくなるのであります。あくまでもそのもとをたずねますと、地方財政委員会設置法第四條「権限」の二十におきましても、地方債の発行に関して許可を與えることはこれは実証できるのであります。総理府設置法に審議会の規定だけ補足いたしまして、これで万全だということにはなりにくいと私は思いますが、大臣はどうお考えになつておりますか。
  62. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 もちろん、先ほど申しました郵政省設置法の運用は、言葉といたしましては私の解釈通りでよいと思います。ただいまの状況では具体的に運用する方法がないというのが現状でございます。御承知のように、ただいま郵政省設置法では運用することと書いてありますが、資金運用部資金法なり、あるいは今例にあげられました等の法律、また郵政省には積極的に権限付與の規定がないわけであります。今回この改正法律案が出まして、この法案が成立をいたしますれば、これによりまして権限が付與され、その範囲内において運用が可能に相なる、かように私どもは解釈いたしております。
  63. 宮幡靖

    宮幡委員 そうすると、それは運用に参加することができるのでありますが、自主的な運用はできないという意味に私は解釈している。かりに御解釈のように、そういうことができるといしましても、やはりその権限は、大蔵省なり地方自治庁なり専属して参る。これが国家行政組織法から解釈いたしました正常なる解釈だと私は思います。私はこいねがわくは私の見解が誤解であつてほしい。もつとはつきり、簡易保險と郵便年金の積立金は、この法律の成立によつて郵政省が單独に運用できるのだ、という根拠あるところを知りたいのが私の本意でありますが、現在といたしましては、少くとも私としては了解できない。同時に、もしこれが独立運用権が発生する法律であるとするならば、これは巧みな言葉で規定せられております、いわゆる国家財政資金の効率的一元運用という精神に反するのみならず、先刻も指摘いたしましたパンフレットの十二ページにあります御趣旨というものが、残念ながら一片の宣伝でありまして、実際においては切り離した二元的運用をするのだということを逆に証明することになる。いずれが正しいか。二元的運用になつてもいいから独立運用をなさろうとするのか、いやそうではない、ここに書いてあるように、自主運用政府の一元的運用の線をはずれるものではないという精神で行くのかどうか、両者いずれかに私は矛盾があるように思います。そこでこれらをどつちがどうだということを正しくひとつ教えていただきたい。そうすればこれは非常に納得が早いのであります。そういう点を説明していただかないと、人の口には戸はたてられません。輿論輿論とおつしやいますけれども、いろいろな面において輿論は醸成される危險もあります。そうして誤れる輿論というものはわれわれが指導いたしまして、これは説き説明するだけの義務もあると考えております。従つてこれらに対しましては一体どつちがほんとうであるか。どうも私は先刻は少し関連質問でありまするから、要点をはずれたような聞き方もいたしましたが、どうしても国家行政組織法の観念から行きますと、大蔵省と地方自治庁に専属いたしますおのおのの権限に対しまして、何らかの規定が設けられ、むしろ法律の精神の方が、従来あります諸法令に対しまして一つの違反的な形にすぎない、こういうことがほのかに見える。いやもしそうでないといたしまとて、これが正常にできたといたしますれば、この資金の運用というものは明らかに二元化しようという法律の意図であるか、どちらでございますか、こういうことであります。これは別に責めるわけではありません。実際どうだということを聞いているのであります。でありますからその線を詳しく御説明を願いたいのであります。
  64. 大野勝三

    ○大野説明員 ただいまお尋ねになりました第三條の地方債の関係でございますが、御承知の通り簡保、年金の積立金の運用は、次に掲げるものにするんだという趣旨のこれは規定でございます。つまり地方債を許可したり、地方債に関して何らか監督上の命令を発したり、そういうことをこの三條が規定しているものではございません。もうそういうことを規定したとしましたならば、まさに御指摘の通りになります。ところがそうではない。簡易保險及び郵便年金積立金というものは、本来ならば有利確実に社会公共のために、事業創始以来の使命に反しない限りは、どんなものに投資してもいいわけです。どういう範囲で運用をしても  いいわけです。しかしそういうふうに自由に運用するということは、今日の情勢から見て必ずしも適当ではないではないかというので、むしろ自主的に自律的に運用の範囲を縛つておる。すなわち保險、年金積立金というものはこれこれのもの以外には運用はいたしませんということを、みずから宣言しておるというような意味合いの規定でございます。従いまして権限でもない、何でもないこの規定があるために、たとえば地方財政委員会の持つておりまする地方債に関する許可の権限とか、または監督上の権限に何ら抵触し、あるいはそれを侵すものではない、かように考えておる次第でございます。  それから一元運用云々の問題は、もしこの一元運用ということをどこかの政府機関が一本で、つまり一手に運用の実務をやるということが一元運用であるといたしますならば、まさにそうはなりません。これは資金運用部も運用するし、郵政大臣も保險、年金積立金を運用するというのでありますと、これは明らかに二つの政府機関が運用するということであります。私どもの一元運用ということを申し上げておりましたのは、つまりそういう政府機関が二つの政府機関というものは、今日この考え方を広げて参りますれば、いろいろの特殊の公法人的な政府機関で、大体農山漁村方面その他に政府資金運用いたします機関が、他にもいろいろありますが、ちやんと大わくの政策と申しますか、一連になつて国家資金の運用方針がちやんと守られておる、そういう意味で一元運用、かように御説明を申し上げておつたわけであります。
  65. 宮幡靖

    宮幡委員 なかなか名答弁でありまして、わかつたようなわからないようなお答えであります。私もこの御答弁をよく承りましてさらに研究してみます。純政府資金の運営は他にも類例もあると思います。その一元運用というような解釈については、あとで研究をいたしてみたいと思いますが、そこで先ほど有利な運用、利益が多くなれば配当的のものもやるのだ、前もそういうことをやつて来た、でき得る制度である、しかし今はもうからないからやらない。端的に言えばこういう御説明であります。それではもうかるように運営するというならば、これは恐縮ですが、資料として要求しますが、あなた方が現在お考えになつておりますこの法律に定められております運営をいたしますならば、どれだけの利益が上る、そうして少くとも赤字を解消いたし、これだけの有利な還元ができるという希望的な観測でもけつこうでありますが、これは資料としてお出し願いたい。但しこの際念のために私はあるいは失礼な言葉、よい言葉で申せば善意の苦言を呈すると申しますか、一体もしこういうふうに国家の運営いたしまする簡易保險制度などというものが強化される、大きく利益を上げる、利益本位に運営されるというならば、これまさに民間保險業の圧迫であり、しかもその基本的政策は、保險国営の観念にまで推進いたすようなことになりはしないかということを、私はおそれるのであります。もしかりにそういう意識が潜在いたしまして、簡易保險の運営それ自体を強化しようとするならば、これはイデオロギーの相違から来るのでありましようけれども、残念ながら私どもは根本的に賛成できません。むしろ国家の保險制度であります以上は、若干の赤字がありましても給付を確実にいたしまして、そこにあらゆる面においてこのパンフレツトにもありますように、社会公共の福祉のために使用する、しかも自由主義経済の中において、資本主義経済の中においてマツチするところの、社会政策的保險制度でなければならぬのであります。しかるにそれを強化いたしまして国営に一歩踏み入れるような観念で、もしこれを考えているということになりまするならば、これはまた私どもは一大決意をもちまして、これに対する検討を加えて参らなければならぬ。そこで高利有利の運営をするという趣旨はどこに限界を持つているか。民営保險を圧追してもよろしい、そうしてこれは多くは社会保障制度の資金として、民間に再散布されるという意図をねらつているのかどうか。この点はあるいは大臣にお答えをいただいた方が適当の面もあると思いますので大臣、その他の細目の点につきましては事務当局から詳細に、包み隠さずにひとつほんとうの気持を教えていただきたいと思うのであります。
  66. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 簡易保險事業が内容を整備する、これはとんでもないことだ、民間の事業の圧迫だ、かような御説のように拝聽いたしたのでございますが、簡易保險はいわゆる簡易保險でございまして、いわゆる民間保險とは性格が相当建つているのでございます。この点私申し上げる要はないと考えておりますが、さようにお考えが願えれば、簡易保險の実体に御理解がいただけますならば、簡易保險事業が簡易保險事業として内容を整備することが、ただちに民間保險事業の圧迫だということにはならない。非常に論理的な飛躍があると考える次第であります。ことに先ほど来お話を申し上げましたように、簡易保險は簡易保險といたしまして、相当社会保障的な性格を持つものでございまするが、なお民間保險事業に與える影響等をも考慮いたしまして、この限度は簡易保險事業としての目的から見れば、もつと高く引上げざるを得ないと思つたのでありますが、これを八万円に引上げる。この限度を八万円にいたしまして、この点自体で民間事業に対する圧迫をできるだけ少くするというように、くふうをいたして運営をいたしているのでございます。どうかこの点も御了承をいただきたいと思います。
  67. 大野勝三

    ○大野説明員 必要もないかと存じますけれども、一言補足しておきたいと存じますが、ただいま御指摘になりました第一の点の、もし有利ということのみを追求するなれば、それはまさに民間保險事業と何ら選ぶところはないのであつて、もうそのところに行けば国営でやることにも、相当疑問を持たなければならないというような御趣旨であつたかと拝聽いたしたのでありますが、まさにこの保險事業の最も重要なポイントをおつきになつた御発言だと拝聽いたしました。これは御承知でもございますように、保險事業創始のときに、まず第一には、少額所得者の階層を対象としての保險制度であるということが、そもそも国営とされた大きな理由ではございますけれども、そのもう一つ別に、これが国営とされておりますことによつて——民間事業であるならば、本来それは有利に運用をすることによつて、有利な運用をすればするほど、その保險会社の契約者に利益を均霑いたしますし、それだけまた保險條件も有利になるでありましようし、従つてまたその保險事業は伸びるということになりますが、そうでなくしてこれを国営とすることは、つまりこの保險年金の積立金の運用については、それを社会公共の利益のために、つまり有利確実ということと同時に、社会公共の福祉のためにという條件が満たされなければならない。これがすなわち国営とされたいま一つの大きな理由だというふうに当時説明をされておりまして、爾来保險年金積立金の運用については、その趣旨が一貫して継承されて来ておるのでありまして、今回の運用法におきましても、この第三條の運用の幅を契約者に対する貸付と地方債と公共団体に限つて、どんなに有利でありましても、会社の株式を持つたり、あるいは社債に投資したり、いわんや金融債に手を出すようなことは全然やらぬという建前をとりましたゆえんのものは、まさにただいまの御趣旨に沿う必要があるからにほかならない、かように考えておる次第でございます。
  68. 宮幡靖

    宮幡委員 その点はけつこうなお考えでありまして、私ども反対せんがための反対の感覚を持つておりません。これはすなおに聞けるわけでございます。ぜひそうあつてほしいわけであります。ただ今大臣はちよつと御退席になりましたが、また間もなく来るそうですが、大臣に関します分はあとから速記録を見て、適当にお答えを願うといたします。  まだ今までのは本格的なものの尋ね方ではないのでございます。別にとがむるというほど強い意味ではありませんが、大臣の御答弁と事務当局の御答弁と必ずしも一致していない点がある。これは大臣は国務を担当せられる方でありまして、別に事務的なことについて、私はパンフレットなどは知らなくてもよいということを、やじ的に申したくらいでありますので、それでけつこうでありますが、どうも聞いておりますと一致しておらない。今大臣の御答弁の中に、たとえば簡易保險の限度を八万円に押えたことも、民業の圧迫にならぬようにという配慮であるということを承りまして、ごもつともであります。まことにそうだと思うのであります。ところがそれは皮相の観察をいたした言葉でありまして、われわれ真相を知る者からしては、その言葉は残念ながら信ずることができない。一体、基本的な線を持つて参りましたのは、民営保險の無審査の限度を二十万円やるからおれの方も二十万円という、明らかに競争意識、対抗意識をもつて限度の引上げをやりまして、好ましくないことでありますが、郵政部会と申しますか、郵政委員の有志の方々と私ども同席いたしまする三人も——大蔵側というとはなはだセクシヨナリズムになりますが、委員となつて話合いいたしましたときにやりとりされました諸般の経緯を考えますと、今はなるほどこういう運用の再開というようなことによりまして、限度の引上げという希望は八万円にとどめておる。しかもこれは民業を圧迫しないのであるという美名のもとに、確かにこれは達成した、こういうことになるかもわかりませんが、潜在する意識は、依然として保險限度額の引上げが真相であることは、私ども察知せられるのでありまして、いないなむしろこれは断定的にと申してよいくらい強い意思を持つております。八万円の線で妥結をいたしました経過から考えますと、これが決してこの線でとどまつて、民業を圧迫しないなどという言葉では終らないのではないかという心配をいたしておるのであります。さらには先ほどの一元的運用説明もあり、この三條、四條との関係において、決して全般的な、かつて気ままに運営をするのではなく、それはわくをもつとしぼつて来た、であるから正しく運営されるということでありますが、そういたしますと、この中で縛られ、他の法制権限等によつて縛られますと、郵政省の運営はきわめて狭い面になります。もつと具体的にいえば、小山委員からの関連質問に現われたように、あるいは郵政省の自己運用は、單に貸付金の申込書を経由する窓口になる、こういうことさえそうではないかと思うような言葉のやりとりになつております。事前審査もいたさないで、そうして運営審議会におきまして全体のわくをきめる。特に起債等につきましては、自治庁が基本的にきめたものに従う。そうして自主的な計画というものは何もない。郵政大臣が計画運営を定める審議会に諮問することになつていましても、自主的なことはやれないというふうに、午前の質疑の間に現われた空気は、これはおおうことはできないのでありますが、一体窓口が三つにふえる、四つにふえるということほど、国民大衆に迷惑なことはないのであります。それが相手が村であるとか町であるとか市であるとか、何々公共団体であるということは別といたしまして、とにかく全般的に申して、一箇所で済むものを二箇所なり三箇所に書面を出して審査を受けるようになりましたならば、その手数の煩瑣——いわんや現在要望いたします起債額、資金の需要額、それに応ずるだけの原資を持たない現状におきましては、明らかに配賦的な割当をいたしておりますが、そういう場合には査定も必要になつて来る。ただ査定もしないで申込みだけで受付けて、そうしてこれを基本的権限のあります自治庁なら自治庁の地方財政委員会の審査にまかせ、しかもその反面においては審議会に諮問するんだ、こういう運営になるのでありましようか。それともやはり独立運営するのであるから、あくまでも貸付者の資格、信用、その他あらゆる一般の貸付等をいたします機関の、それぞれの手続と同じようにおやりになろうとするのかどうか。これが午前の答弁では、小山委員から適切なるところの質問もありましたけれども、はつきりしておらない。これはどちらでありますか、事務当局からはつきりと御説明願いたい。大臣は今おりませんが、書面を受付ける程度だ、国家の総合的な資金運用のわくの中においてやるんだという意味を述べられておるが、事務当局ではどう考えておられますか。この点どうも先ほどの御答弁では、実際の運営をやろうという大臣の大方針との間に、相当の開きがあつたようにうかがえる。これは私の邪推であることを願つておるのでありますが、どうか明快にその点を御説明いただきたい。
  69. 白根玉喜

    ○白根(玉)政府委員 お答えいたします。大体の大筋につきましては、午前中大臣から御説明申した大筋と違いはないのであります。少し詳しく御説明申し上げますと、御承知のように現在のやり方といたしましては、地方起債総額のわくの決定につきましては、地方財政委員会が調査した地方財政の状況、それから地方公共団体の起債計画と、資金運用部資金の蓄積額とをあれこれ勘案いたしまして、資金総額をきめておる模様でございます。このわくの決定によりまして、さらに起債方針の詮議の際に、起債事業の種類別、たとえて申しますと、大別いたしまして、地方自治団体が直接單独で行ういわゆる單独事業、それから国の補助金及び経済安定本部の認可を受けて行う公共事業とにかわちまして、なおこれを都道府県別にわけて、起債のわくの配分をやつておることは御承知の通りであります。さてその際におきまして、單独事業のわくの決定につきましては、大蔵省及び地方財政委員会が地方公共団体より詳細にわたる書類をとりまして、しかも大蔵省におかれましては、起債の高額なものにつきましては、わくの承認以前におきまして、提出書類に基いて事前に直接公共団体に出かけまして、詳細に御調査をしておるように聞いておるのでございます。なお五百万円以上のものにつきましては、地財委と大蔵省と両者で協議して決定しておるような状況であります。ただ公共事業のわくの決定につきましては、大蔵省はこれに干渉——干渉と言うと言い過ぎでありますが、それにはあまりタッチいたされないで、主として地方財政委員会、都道府県及び経済安定本部の三者によつて行われておるのが、現状であると存じます。さて郵政省といたしましては、先ほどいろいろ事務次官が御説明申し上げましたように、起債の許可に対して直接関與するということは考えておらないのであります。従いまして、起債にからむ書類につきましては、私どもといたしまして直接書類をちようだいいたす考えはございません。また事前調査というのもいたしません。主として地財委の書類あるいは地方課から——地財委の御協力を得まして、なるべくあとの貸付事務の円滑をはかる意味からいたしまして、あらかじめとの程度の起債の申請があるのであろうかというような大勢は、ある程度つておく必要がありますので、便宜地財委なりあるいは地方課あたりの御協力を得、またできれば私の方も出向いて教えていただきまして、起債の一般的状況がどうであるかということは、ある程度知りたいのでございます。しかしその書類自体を公共団体からもらう気持はございません。従いまして、公共団体の側からいたしますと、大蔵省財務部を通じて大蔵省に行くルートと、地方課を通じまして地財委に来るルートと、このルート以外に別のルートをつくりまして、私の方に直接に起債にからむ書類をもらう。またそれに伴うて事前調査をやるということは考えておりません。但し金をお貸しするのでありますから、従いまして貸付承認に基いて申込みをして、金を出す前にはやはり書類はお願いいたしますが、起債にからむものにつきましては、直接公共団体から書類をちようだいする考えは持つておりません。なお先ほど、そうすればほとんど形式上であつて、特別にかげんする必要はないじやないかという御意見でございますが、しかし起債の標準の決定なり起債のわくの決定、ことに起債のわくの決定につきましては、郵政省の簡易保險に入つて来る保險料はどのくらいあるだろうか、また貯金、厚生年金等からいたしまして、大蔵省の資金運用部でどのくらいの見通しがあるだろうかということにつきましては、やはりわれわれのところは現業を持つておるのでございますから、それで大体の推定をつけまして、両者相協議いたしまして、地方公共団体に対する貸付総額をどの程度にするかということについて、ある程度中央において御相談にあずかりたい。また單独事業にどの程度、それから公共事業にどの程度ということにつきましては、許可権にタッチするという意味ではございませんで、その際に教えていただく意味で、三者協議というかつこうをとつてつたらどうかと思うのであります。また一面おつしやるように、資金量がふえないという見方——いろいろあると思いますが、これは見方の相違だろうと思います。現在の地方債に対しましては、宮幡さん御承知のように、現在の要望額に対しまして金が少いのでございます。少いので、それに対しましてできるだけ総額のわくがふえるような措置を講ずることが、必要ではないかと思うのであります。これから先はちよつと見解の相違になるかもしれませんが、運用の再開をしていただきますと、やはり従業員の志気の向上等によりまして、資金量は従来よりかふえる、こう考えておるのであります。
  70. 宮幡靖

    宮幡委員 本日忙しい大臣初め皆さんに御出席願いまして御答弁いただきまして、はつきりしたことがあるのです。大体の線におきまして、大臣のお考え事務当局のお考えとが一致していることを、私はえこじに物を考えませんので認めたいのであります。しかし小山委員の質問とは多少食い違いがあることも私はわかるのであります。それは後刻小山委員からさらにお尋ねがあると思います。それで御答弁を結論的な言い方をしてみますと、それでは郵政省には窓口はできない。書面等は受付けない。全体の計画から行きまして、決定したもの資金量の相談とか、あるいはこういうふうになるということの相談は受けたいし、貸付がきまつたところの書類の配付等は受けたい。きまらないうちでも、県地方課なりあるいは財務局を経た書類の一部を交付してもらえばよい、直接窓口で受付等はしない、こういう意味に受取れたのでありますが、その通りに御運営なさるつもりでありますか。
  71. 白根玉喜

    ○白根(玉)政府委員 起債の許可にからむ書類といたしましてはおつしやつた通りでございます。しかし起債の許可が下りた後に、実際に金を貸すときに、大蔵省で今やられておるのでは借入れ申請と借入れ申込みと二つあります。借入れ申請の際におきましては、起債にからむ調査をやるため等でやられておるのでありますが、金をお貸しする場合に、起債の許可が決定したあとで借入れ申込みに相当する書類がなくては、お貸しすることができないので、それはやるつもりであります。
  72. 宮幡靖

    宮幡委員 その点もう一ぺん確かめます。起債の許可を地財委と大蔵省で相談してできた。もちろんそれには郵政省が参加するのが至当でありますので、現在の運営方式におきましては参加していただくことが好ましいのでありますが、その結果許可した、こういうことになつた場合には、その許可証の写しのようなものでも添付いたしまして、そうしてあらためて郵政省の窓口へ借入れの申込みをするという手続になるのですか。
  73. 白根玉喜

    ○白根(玉)政府委員 考え方といたしましては、おつしやる通りであります。
  74. 宮幡靖

    宮幡委員 そうすると、やつぱり郵政省の方としては人員もふやさない、別にこれがためにどうもしないという御説明でありましたが、必然的に人員もふえるでありましようし、大衆の手数というものが確かに増して来ることになる。窓口が三つになり、二つで済ますということになりにくいのであります。ただ單に事前審査をいたさない、許可だけの審査をいたさない、こういうことになります。それでは具体的な実例を伺つてみます。これは大蔵省の方でも必要なことがあるので答弁してもらいたいのですが、二十七年度の起債許可予定額、資金量等について局長さんにお尋ねもありましたが、大体運用の方向においては前年度末の原資の額によつて運用されて、新年度に入りましてから累次増して来ます資金源は、これはただちに計画の中に載すべきものでない。従いまして、もう事ははつきりしている。少くとも運用計画を定め、起債の許可を與える計画を定めるときには、原資というものははつきりしているわけです。従つて、ことしはそれで七百三十億の資金を運用する。資金運用部資金六百五十億、公募によるものが八十億、こういうことになります。公募でありますから、市中銀行から借りたつてさしつかえない。ところがこういうようなもので八十億も——かりに某市なり某団体なりへ十億の許可が出た。これを市中銀行等で消化できない。あるいは市内では愛市公債とでも銘打つて募集する。相当なものが募集されますが、結局消化しきれない。これを郵便局の窓口へ持つて行くとどんなことになるか。郵便局の窓口へ持つて行つてとつつてもらおうじやないか。たまたまそこに前年度末の資金源は運用計画の中に載つておる、けれども、またほかの年度に使うべきところの、現在消化しつつある資金がある。あるいは皆さんの期待いたしておりまするところの従業員の志気が高揚いたしまして、資金が漸増して来た。ちようど今の短期融資の形のような、かようなものをひとつ優先的にわれわれの方で消化しようじやないかというようなことで、運用なさるお気持を持つておるかどうか。これはなかなか重大でありますので、その点をはつきり伺いたいと思います。
  75. 白根玉喜

    ○白根(玉)政府委員 この法案にもありますように、当該年度における貸付総額は、その当該年度の決算できまつた金でございます。従いまして、余裕金自体は資金運用部にお預けいたします。その面だけを全面的に考えますと、これはもう確定した推計じやないか——この三月末までの間で大体起債のわくをきめなければならないのですから、またその間においては決算で積立金の相当額は推計で出るのですから、その分はふえないじやないかという御議論はあり得ると思います。しかしこちらで運用するということになりますと、一年間は余裕金でございますが、一年たてば積立金になるわけでございます。次年度以降については、志気高揚その他の予算面から、資金増の面は影響を受けるわけであります。従いまして、御質問の当該年度の積立金は足らないが、余裕金はある。その余裕金をちよつと失敬してお貸ししようということは、やらないつもりでございます。
  76. 宮幡靖

    宮幡委員 ただいま実例的に申しました八十億の一部超過の分を、かりに簡易保險積立金、郵便年金積立金で引受けるような場合にも、運用審議会で決定いたしましたそのわくの中でやる、こういうことになりますね。
  77. 白根玉喜

    ○白根(玉)政府委員 おつしやる通りです。
  78. 宮幡靖

    宮幡委員 その点ははつきりいたしました。私の質問はまだ三日や五日はやつてもいいのでありますが、一人でそうも行きませんので……。しばしば述べられますところの簡易保險なり郵便年金事業なりの歴史が喋々されておる。その間に幾変遷かあつたことも、ある程度認めざるを得ない。しかしながら、これは私がえこじにものを考えるのではないが、分離運用が至当だという方向の言い分だけがたくさん並べられておりまして、もつと忘れてはならないようなことが——端的に申せば、そういう分離運用が妥当だという線に持つて行くことが、少し不利だと考えられるような條件はこれに書いてないのです。いろいろな本を見ましても書いてない。これは公平の見地から行らましてどうかと思うのです。そこで実例的に申しますと、現在一番資金難に悩んでおるのは中小企業であります。しかしその中小企業へ直接積立金を運用するということは、法律にもなければ、またそういうことができないことも皆さん御承知の通りであります。ちようど簡易生命保險等が大正年代から昭和にかけまして順調なる発展を遂げて来た。その間におきまして、昭和十一年に中小企業の資金まかないのために特設されたものが、御承知の通り商工中金であります。そうして、このときの商工中金を設立いたしました本旨は何であるかというと、これは郵便局を通じて集めた零細なる資金を、商工中金を通じて民間に還元することを目的として商工中金が立てられた。それが今度は、法律によりますと、三條、四條の規定によりまして——商工中金といえばその他の政令で定める部分にもありましようが、最近資金運用部の資金も、一部は、債券の消化はもちろん、あるいはできたら預託等もしようというような機運になりまして、まことによい方向だと思つておりますが、もし簡易保險や郵便年金の積立金を、ただいまのような縛られた範囲に持つて行きますと、郵便局を通じて集めた零細なる資金を、商工中金を通じて還元さすのだという、昭和十一年に設立いたしました商工中金の趣旨が全然なくなつてしまうと私は思う。こういうことは、分離運用に対する一つ反対理由となるがためか、残念ながらこのパンフレットにも書かれていないが、これらの点につきましてはどういう御観点を持つておりますか。郵政当局並びに資金課長から御答弁をいただきたい。
  79. 白根玉喜

    ○白根(玉)政府委員 ごもつともな御議論であると思います。商工中金の問題につきましては、御趣旨のような面もなきにしもあらずでございますが、しかしながら、それらのものはこちらが直接運用するがいいか、大蔵省資金運用部でやるがいいかという面に対しましては、私の方といたしましては、むしろそこら辺は大蔵省を通じてやつていただく方が適切ではないか。同時に資金量の関係からいたしまして、わくをそんなに広げるということも——この筋に合つたようなわくにいたしたい、自立いたしたいという気持で、そこは制限しておる次第でございます。
  80. 小山長規

    ○小山委員 関連して……。さつきの大臣の答弁とただいまの白根局長の答弁との間に食い違いがあるような気がする。私が先ほど大臣に、窓口は一体ふえるのかふえないのかという質問をしましたときに、大臣は、窓口はふえないという趣旨で、事前の調査をすることもなければ、直接書類を徴することもないのだと言つておられる。ところが白根局長の答弁を聞いてみると、地方債の許可についてはむろんとらないが、借入れのときにはとるのだと言う。これではまつたく詭弁だと思う。地方債の許可に郵政省が関與できないことはわかり切つている。窓口をふやすかふやさないかというときに、こういう書類をとるかとらないかという話をしたのでありまして、それに対して、大臣はとらぬと言つておるのに事務局はとるのだと言う。これでは大臣の答弁がうそになると思うのでありますが、局長のお考えはどうですか。
  81. 白根玉喜

    ○白根(玉)政府委員 たしか大臣は、起債にからんだ書類はとらないと言つて、それ以外のことはお触れになつていなかつたと思います。また金を貸すにあたりまして、全然書類なしでやるということは非常識であると思います。のみならず公共団体側から行くならば、借入れの申請にあたつて、どちらが借りるということは書類に書いてあります。われわれといたしましては、公共団体が大蔵省から借りたいか郵政省から借りたいか、借入先は公共団体の希望したようにやりたい。しかしまたわくの関係で借入先の調整の必要が起る場合もありますが、その調整は地財委で行うという意味でそう申したのであります。戰前のように資金の問題がきゆうくつでない際におきましては、起債許可と金を貸す側、これは別個のような考え方に立つて、特別の関連のないようなやり方をしておつたのでありますが、現在は御承知のように、資金量と需要の量とが非常に違うのでございます。従いまして、起債のわくと資金量に無関係に、地方公共団体の起債の許可をやるというのも架空になるので、大体資金量と見合いにしつつ起債の許可をやつておるのが、現状のようにも聞いております。従いまして起債の許可の点につきましても、資金量と無関係にやるというのもどうかと思われますので、小山さんの御心配の面もわれわれ考えまして、従いまして起債の許可にからむところの書類については、まだ事前調査もしないというようなやり方をやることを申し上げたのでございまして、金を貸す際におきまして、貸すに必要な書類を全然とらないということは無理だろうと思います。
  82. 小山長規

    ○小山委員 私は借用申込書を書かないでもいいということは申し上げません。金を借りるのに借用申込書すらとるなと言つているのではない。私が大臣に聞きましたのは、国民の側からいうと手数がふえるのではないかということを言つた。手数がふえないという趣旨でおつしやるから、従つてもつと具体的に申しますと、たとえば宮崎県なら宮崎県が地方債の一億なら一億の許可を受けた。その場合に預金部側から借りるのか郵政省側から借りるのか、県としては初めからきまつていないと困る。地方債の許可のときに、内部的にすでにこれは大蔵省預金部から借りる、あるいは郵政省側から借りるということがきまつておるなら、あとはただ借入れ申込書をきまつたところに出せばいい。それならばそんなに手数はふえない。ところがあなたの今の御答弁によると、最初からどこに申し込むかわからないから、一億なら一億の地方起債の許可を受けたら、郵政省と預金部と両方に書いておけ、こういう御趣旨だ。それでは国民は困る。大臣の答弁はそうじやなかつた。大臣の答弁はそんな手数はかけないで——借入れ申込書ぐらいは書きますけれども、しかし初め借りる方の側が、預金部から借りるのやら郵政省側から借りるのやらわからぬ。従つて預金部の方へも行つてお願いしなければならぬ、郵政省の方へも行つてお願いしなければならぬというような状態があつては困るというのが、地方側の反対一つ理由なんです。その点を私は何度も確かめておるのでありますが、大臣のおつしやることとあなたのおつしやることとが、どうも食い違つておるように思える。その点をもつと具体的におつしやつていただきたい。
  83. 白根玉喜

    ○白根(玉)政府委員 どうも私の説明が足りなくて、たいへん済みませんでしたが、やり方を大づかみに申し上げているのであります。毎年度決定されるところの地方債総額をきめるにあたりましては、運用部資金と簡保年金積立金との両者でまかなうことにしなければならないと思います。そこで大蔵省、郵政省両省におきまして、それぞれ分担する貸付総額を協議の上決定いたします。そして実際はやはり地方財政委員会を加えて、三者でお話合いしなければならないと思います。そうしますと地方財政委員会におきましては、この両資金をそれぞれの貸付原資の総額に達するまで、できるだけ地方公共団体の希望を聞くのは聞きますけれども、その個々の起債を地財委と大蔵省とわれわれと御相談しまして、個々の資金別にこれを区分して決定いたします。その決定したところに基きまして、借入れ申込み書類を出させる建前でございます。従いましてお話のようにどこから借りるかわからないというようなことのないように、三者と御相談の上決定いたしたいと存じております。
  84. 小山長規

    ○小山委員 答弁がうまいのか、聞き方が下手なのか知りませんけれども、どうもあやふやで困る。では端的に聞きますが、たとえば県なり市町村なりが金を借りようというときには、従来通り地方財政委員会に書類を出しておく。あるいは今までは財務局経由で大蔵省へ出しておるのでございますが、その財務局経由に相当する部分は郵政省には出さない、こういう趣旨ですね。——それからもう一つ、そこで地財委と大蔵省に書類が従来通り出ておりますから、原資と見合つて、地方起債の金額と要望額とにらみ合せて、大蔵省と地財委が決定する。そうしておいて、たとえば宮崎県の地方債一億なら一億、あるいは鹿兒島県の地方債三億なら三億は大蔵省が負担する、あるいは福岡県の一億は郵政省が負担するということが決定したときに、初めて宮崎県なり鹿兒島県は大蔵省部分として、福岡県は郵政省の部分として書類を出さなければならない。借入れ書類を出せばよろしい、こういうことですか。
  85. 白根玉喜

    ○白根(玉)政府委員 大体その通りであります。ただおつしやる面で、たとえば宮崎県に府県の分はこのくらい、個々の市町村にはこのくらいということを、大蔵省と地財委だけで決定するのではなくて、われわれにも相談にあずからせていただきたい。それだけです。それ以外はおつしやる通りであります。
  86. 小山長規

    ○小山委員 そうすると、要するに地財委でこれだけだと決定されたところに従つて、県側なり市町村側は、郵政省として決定された県なり市町村だけが郵政省に申し込む、それから大蔵省として決定された分は、県なり市町村は大蔵省にだけ申込みをする、こういう形になるわけでありますか、
  87. 白根玉喜

    ○白根(玉)政府委員 まつたくその通りであります。
  88. 佐藤重遠

    佐藤委員長 ちよつと委員長から申し上げます。ただいま本会議が開かれておるのでありまするが、御承知の通り定足数の関係もありますので、四時半まで休憩いたします。     午後四時七分休憩      ————◇—————     〔休憩後は開会に至らなかつた