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1952-06-04 第13回国会 衆議院 大蔵委員会 第83号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年六月四日(水曜日)     午後二時二十三分開議  出席委員    委員長 佐藤 重遠君    理事 奧村又十郎君 理事 小山 長規君    理事 松尾トシ子君       大上  司君    川野 芳滿君       島村 一郎君    清水 逸平君       高間 松吉君    苫米地英俊君       夏堀源三郎君    三宅 則義君       宮幡  靖君    宮原幸三郎君       武藤 嘉一君    中野 四郎君  出席政府委員         外国為替管理委         員会委員長   木内 信胤君         外国為替管理委         員会委員   大久保太三郎君  委員外出席者         大蔵事務官         (理財局管理課         長)      横山 正臣君         大蔵事務官         (管財局閉鎖機         関課長)    堀口 定義君         通商産業事務官         (通商振興局経         理部長)    石井由太郎君         専  門  員 椎木 文也君         専  門  員 黒田 久太君     ――――――――――――― 六月四日  委員有田二郎君及び宮原幸三郎辞任につき、  その補欠として高間松吉君及び水田三喜男君が  議長指名委員に選任された。 同日  委員水田三喜男辞任につき、その補欠として  宮原幸三郎君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 六月三日  織物消費税廃止に伴い既納税額の一部戻入に関  する陳情書  (第二一一一号)  商工組合中央金庫及び国民金融公庫の融資迅速  化に関する陳情書  (第二一一二号)  外資導入に関する陳情書  (第二一一四号)  公認会計士制度改正反対に関する陳情書  (第二一一五  号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  閉鎖機関令の一部を改正する法律案内閣提出  第一四三号)  緊要物資輸入基金特別会計法の一部を改正する  法律案内閣提出第一九八号)  外国為替資金特別会計法の一部を改正する法律  案(内閣提出第二〇三号)  接收貴金属等数量等報告に関する法律案(  内閣提出第二三一号)     ―――――――――――――
  2. 奧村又十郎

    奧村委員長代理 これより会議を開きます。  閉鎖機関令の一部を改正する法律案緊要物資輸入基金特別会計法の一部を改正する法律案外国為替資金特別会計法の一部を改正する法律案接收貴金属等数量等報告に関する法律案の四法案一括議題として、質疑を続行いたします。質疑は通告順によつてこれを許します。中野四郎君。
  3. 中野四郎

    中野(四)委員 この際接收貴金属等数量等報告に関する法律案を審議するについて、資料要求したいのですが、第一に戦争中、すなわち昭和十二年より二十年までの年度別の、日本の金及び白金産出高を明確にしていただきたいと思います。続いて当時保有しておりました日本の金、白金数量、もとより輸入を含むのですが、この数量金額を出していただきたいのです。これが第一です。第二の資料は、接收解除になりましたダイヤモンド種類品位を明らかにしてもらいたいのです。そしてその個数カラツトを明確に示していただきたい。これが第二であります。第一の方は後日この資料要求の理由を述べますけれども、第二の方の問題は、先日日本銀行の地下室にこの委員会調査に参りまして、一応拝見したのでありますが、金並びに銀、白金等については、これまた後日調査資料要求をする必要が起つて来るかもしれませんが、当面する問題は、ダイヤモンドの問題でありまして、その種類品位が全然明確を欠いておることです。そして個数カラツトは大体示すことができると言つておりましたけれども、その個数とか種類品位というものをば明らかにしなければ、この法律案を審議するところの目的に私は沿わぬのではないか、かように考えますから、この二点はたいへんやつかいな資料ではあろうと思いますけれども大蔵当局委員長から要求をされまして、明確なる資料を至急出していただくようにお願いをいたしたいと思います。
  4. 奧村又十郎

    奧村委員長代理 ただいま御要求になりました資料は、委員長の方において至急とりそろえたいと存じます。  暫時休憩いたします。     午後二時二十六分休憩      ————◇—————     午後二時三十三分開議
  5. 奧村又十郎

    奧村委員長代理 会議を再会いたします。——武藤嘉一君。
  6. 武藤嘉一

    武藤(嘉)委員 この問題はすでにお尋ねした問題で、あるいは重複するかもわかりませんが、特に私ども東海地方においては非常に重要な問題でありますので、重ねて通産省政府委員にお伺いしたいのであります。  それは陶磁器に用います金液でありますが、この金液は、御承知通り陶磁器生産費の中では、相当重要な要素になつておるのでありまして、この金液コストの約三割を占めておるという状況でありますが、この金液につきまして、最近役所の方では値上げをおやりになるように聞いておるのであります。ところがただいまの値段は、聞くところによると、一グラム四百九円くらいで払下げをなさつていらつしやるようでございます。産金業者の方でだんだんコスト高くなるから、当然値上げをして来るということはわかりますが、ただ一度にお上げになる。たとえば産金業者は五割くらい値を上げてくれということを要望されておるようでありますが、五割も値上げをされますと、大体一グラム六百円以上になると思います。六百円以上になりますと、これは金地金国際価格をはるかに上まわることになるのであります。国際価格でも一グラム大体四百九十円から五百円見当であると承つておる。もし産金業者要望通りに、五割も急に値上げされるというか、払下げ価格が高騰いたすことになりますと、陶磁器業者は経営上非常に苦しむことになるのであります。さような値段になりますれば、勢い何も日本のそういう高い金液を買わないで、輸入金液買つてもいいということになり、またそうしなければ採算が合わないということになります。そうなつて参りますと、全国に現在あります金液業者はこれがために失業上、倒産することになるのであります。また一方、陶磁器は対米輸出では非常に重要な地位を占めておりますので、価格の点においてはあまりに上げていただきたくないというのが、東海地方業者要望であります。この辺について通産省政府委員の御意見を承りたいのであります。     〔奥村委員長代理退席委員長着席
  7. 横山正臣

    横山説明員 ただいまお話金価格につきましては、先般から理財局長の答弁いたしておるように、今度の法律では第十条におきまして、世界の国際市場価格及び生産者事情消費者事情、この三つを勘案して定める、こういうふうになつておりまして、特に大蔵省の立場からいたしましては、通貨価値に及ぼす影響等もいろいろ考えまして、特にそれに重きを置きまして、鉱山業者の言うような六百円とか五割増しとかいうような値段はなるべく避けたい、こういうように考えております。ただいま幾らにするかということはまだ決定を見ておりませんが、大臣及び局長あたり意見を今まで聞いておりますところでは、大体五百円程度に押えたい、こういう気持を持つております。
  8. 武藤嘉一

    武藤(嘉)委員 大体今のお話では、産金業者要望もさることながら、あまりに一度に値上げしないで、できれば五百円見当にしておきたいというお話であります。まことにごもつともな御意見だと私は存じます。御承知のように、戦後非常にたくさんアメリカ国内陶磁器業者ができましたためか、戦争中十年間米輸出がとまつておりましたためか、自給自足がだんだんできて来たのであります。そこへ七割の輸入関税が、今度さらにアメリカ政府においては、これを五割とか上げるというような法案が、すでに上院を通過したということを聞いております。かようなことがもし実施されることになりますと、日本陶磁器輸出が著しく圧迫されることは明らかであります。ひいては外貨獲得の面から見ても、これは一つの地方的産業というよりは、むしろ日本の大きな輸出産業でありますから、たいへんな問題でなかろうかと思うのであります。どうぞそれらの点を考えられまして、できるだけ金の払下げ価格につきましては、陶磁器業者原料として金液をなるべく安く獲得できるように、御配慮を願いたいと思います。私の質問はこれで終ります。
  9. 佐藤重遠

  10. 清水逸平

    清水委員 緊要物資輸入基金特別会計について二、三伺いたいと思います。現在この会計輸入されて、政府の手持ちになつておる品物はどういう額か、概略でよろしゆうございますか……。
  11. 石井由太郎

    石井説明員 緊要物資輸入基金で現在買付契約をいたしましたものは、ニッケル約五百六トン、合成ゴム千七百八十六トン、石綿百七トン、苛性ソーダ六百トン、コバルト三トン及びアメリカからの原皮約四十二万六千ポンドでございます。但しこれは現在全部自由価格品というわけではございませんので、入つておりますものはニッケルが四百三十七トン、合成ゴムが六百七トン、石綿二十四トンというような景況なつております。うち売り払いましたものはニッケルが約三十六トン、合成ゴムが約五十トンという景況でございまして、ニッケルにつきましては従来非常にやかましい規制が行われておりました関係上、非常に足がのろいという景況でございます。
  12. 清水逸平

    清水委員 そういうこの会計で扱つておる物資配給というか割当とか、こういうふうなものはどういうふうな御方針で……。
  13. 石井由太郎

    石井説明員 ニッケルコバルトと申しますような物資は、御承知のごとく民主主義国家は国際的な規制を受けつつ使用輸出あるいは輸入等をいたしておるわけでございます。わが国におきましても新物調法と申しますか、国際的供給不足物資等需給調整に関しまする法律に基きまして、需要者に対します切符割当ということが行われておるわけでございまして、これらに対しましては切符引きかえとともに納めるということに相なりまして、国際的な規制がこの程度に至りませず、最終消費民主主義国家目的に合致するようにするとか、あるいは再輸出を制限いたしますとかいうような、たとえば石綿でございますとか合成ゴムでございますとかいうような物資につきましては、切符引きかえというほどの強い規制はいたさないわけでございまして、あるいは特需原材料あるいは国家の幾多の需要、ないしは産業合理化のための需要、ないしは輸出増進のための需要というようなものに対しましては、それぞれのケースに応じまして輸入いたしました価格ベースとして、売渡しをいたすわけでございますが、爾余の物資につきましては、これは一般国内市価をもつて会計原則に従つて売り渡す。このような考えでおるわけであります。
  14. 清水逸平

    清水委員 その割当の場合でございますが、業者のおそらく要望するだけの割当は、もちろんできないことは当然と思います。そうした場合に政府払下げ価格市場価格に非常に開きがある。そういうようなことが従つて製品面にも、でき上つた第二次製品にも響いておるというようなことに対して、何か通産省として取締りとか監督とかいうようなことは、されておりますかどうですか。
  15. 石井由太郎

    石井説明員 ごもつともなお話でございまして、たとえばニッケルを例にとつて申し上げますと、国内一般市価は従来三百万円を越えておつたわけでありますが、現在でも今回ニツケルの製錬助成法に基く指定価格というものは、約二百七十万円という非常に高いところに、国内市価が維持されておるわけであります。これに対しまして輸入いたしましたニッケルコストは四十一、二万円ということでございまして、国内市価と比べまして輸入品が非常に安いということになつておるわけでございますから、どのような事業に、どのような目的の場合に、これが政府から売渡しを受けるかいなかということは、業界の採算点はむろんのこと、事後においての監督から申しましても、非常に苦心をせねばならぬところでございます。私どもといたしましては、このような大きな値開きのありまするニッケルのごときものは、まず何と申しましても特需その他の国際協力の面からいつて一番重要な用途、あるいは今後の日本産業合理化のためであるとか、あるいは輸出増進のためであるとか、そのような用途には、国際競争関係もございますし、また民主主義国家国際原料割当会議等を結成いたしまして、お互いに国際的に不足する物資をわけ合うことにしておりまする、国際流通秩序にも即応いたさなければなりません関係上、安く払い下げるわけでございますが、またそれらのものがはたして所定の用途に、必ず使われておるかどうかという点の追究につきましては、たとえば特需等用途に売り渡します場合には、特需に納めたという納品票を持つて来ませんければ制限を解除しない、従つて契約上の差金を納付させるという措置も講じております。また輸出のために一般市価よりも安く払い下げましたような場合には、輸出申告書——税関のデクラレーシヨンを持つて来さして、これによつて輸出されたという認定をする。産業合理化の大きな機械等でございますれば、これらはそれぞれ御承知助成法その他の関係によりまして、これらの事業にどのような機械がすえつけられたかということが、明らかにされるわけでありますから、それらの措置を講じさせるようにいたす。このような措置によりまして、その間の不公平を是正して参るつもりでございます。  しかしながらこのよう特別の用途でございませんで、一般に使われますものにつきましては、これは国内の通常の値段によらなければならぬことに相なるわけでありまして、国産のニッケル等を買いましたものと、政府輸入ニツケル配給を受けましたものとの間に、不公平な差別はないようにいたしたいと考えております。但し国内価格国際価格とが著しく違いますものは、このニッケル等が顕著な例でございますけれども、他の諸物資につきましては、実は今回の法律改正によりまして、大体輸入政府会計で一手に握るということにいたしますれば、いわばこの基金国内に独占的な価格設定者に相なるわけでありまして、この価格を、輸入価格ベースといたしまして適正にさえいたしますれば、ニツケル等国内に若干の生産のありますものについて見られるようなアンバランスは、起つて参らないのではなかろうか、このように考えております。
  16. 清水逸平

    清水委員 少し横道にそれて、今の政府払下げ価格の安いニツケルでつくつた二次製品といいますか、それが今のやみの三百万円もする価格をもつて売られておるような場合がたくさんある。そういうものの取締りということは、今のお答えではなかなか困難じやないかと思うのですが、何かうまい方法というものはありませんか。
  17. 石井由太郎

    石井説明員 今日までニッケルが売られておりましたのは、従来の緊要物資の売払いに関する法律に基きまして、特需のはつきりした発注がございました場合に、その資材計算書と申しますか、資材換算率をきめました証明書が出まして、その証明書数量だけを売りまして、かつその製品の納期に、それぞれの特需調達先に納めたという証明書をとつているわけでございまして、いわゆる歩どまりを盗めば別でございますが、それがない限りは、スクラップの類までも監視いたしているわけでございまして、ないものと考えているのであります。ただ国際的な供給不足が非常にはなはだしかつたために、何せ三百万円を越えるというニツケルと、四、五十万円で売られるニツケルとの差が大きいわけでございますので、商売によりましてはちやんとした商売をいたすよりも、この差額の方が利益があるというような商売もあるわけでございまして、現在はいわゆる新物調法と申しますか、国際的供給不足物資需給調整に関する法律に基きまする報告等に基いて、臨検等をいたしているわけでございますが、今までのところ私ども政府会計から売り渡しましたニッケルが横に流れたという事実は、実はつかんでおらないわけであります。
  18. 清水逸平

    清水委員 その次に伺いたいことは、国際割当物資として割当てられたものを、日本産業状況において必要として購入することはわかつていますけれども、その数量等については、通産省であらかじめ需要量をきめて輸入するのでありますか。それとも割当てられた全部をとるのですか。
  19. 石井由太郎

    石井説明員 現在国際原料割当会議に対します需要計算は、経済安定本部中心になりまして、関係事業官庁あるいは生産官庁生産消費の実情を見通しまして、年間及び四半期の需要要請を出している次第でございます。これに対しましてワシントンのIMCでは各国事情を総合いたしまして、日本に対しましての輸入勧告あるいは輸出勧告等が参るということになつているわけでございまして、計算はできる限り精密にいたしているのでございますが、経済界波動もございますし、こちらから要請いたしましたのが何がしかの削減を受けまして割当を受けましても、若干景況が悪くなりますと、一般商業ベースと申しますか、民間輸入べースではそういうものが入らない、だれもとり手がないというような、まだはつきりした事例なつておりませんが、それに近い事例を生ずるのではないかというような例も、ときとしてないことはございません。例として申し上げますれば、タングステンがそれに近いものでございまして、但しこれに対しましてはIMCでは各国に都合のいいものだけの——もちろん供給不足物資でございますから、全体的に見ますれば供給不足なんでございますが、あまり参加各国がわがままを言いまして、全体的な需給に大きな波動を来たすというようなことは困る点でもありますので、そのようないわゆる引取り辞退と申しますか、そういうような関係がございますと、他の足の早い物資割当の場合に、相当考慮を払われるというようなことになつておりまして、このような点から考えましても、IMCへの原料需要量要請はきわめて精密を期すると同時に、割当てられたものは誠実に引取るということにいたさねばならぬと、考えている次第でございます。現在までIMCから割当のありましたものは、昨日の会議でも申し上げました通りニッケルが五百十六トン、しかし政府買付契約をいたしましたものは五百六トン、それからコバルトが百二十トンで、現在までに買いましたものが先ほど申し上げたようにまだ三トン、これは近く数十トンの買付契約ができる見込みでございますが、そういうような状況なつております。タングステンが百五十五トンの割当のうちまだ買付契約が済んでおりません。モリブデン七十七トンの割当という程度でございます。
  20. 清水逸平

    清水委員 人造ゴム買付新聞で伺いますと、割当をして買付はしたけれども、今度はその処理にお困りになつているように新聞に出ております。これはその後において、アメリカ人造ゴム消費規制を撤廃したというようなことから、人造ゴムについての処分が多分お困りになつているだろうと思いますが、これについてはどういう御処分をなさるかということを伺いたい。また当時においては非常に希望者も多かつたようでありますが、今となつてはなかなか処分も困難じやないかと思うのですが、どういう処置をとるおつもりですか。
  21. 石井由太郎

    石井説明員 合成コムにつきましては、昨年の秋にいわゆるガリオアで入りましたもの約四百トンを、この物資の買上げでやつて参りまして、それ以後はなかなか割当がなかつたのでございます。当時御承知のごとくアメリカにおける合成ゴム国内価格と申しますか、市販価格は大体七百ドル見当一般天然ゴムは千ドルを越えるというような景況でございましたが、その値開きの点もございましたし、またアメリカにおきましては、タイヤの製造等人造ゴムの九割混入ということを要求しているわけでございまして、特需調弁にあたりまして、もし在日兵站部等が同一な方針をもつて臨まれますると、どうしても天然ゴムではいけないので、人造ゴムを混ぜなければならぬ。このような事情もございましたので、つとにOITと申しまするアメリカ国際貿易局割当要求しておつたのでございますが、これに対しまして、昨年の十—二月の割当といたしまして、約千五百トンの対日割当があつたわけでございます。これの処置につきましては、需要特需等に向けることを中心にということでございました関係上、政府購買といたしたのでありますが、その後間もなくアメリカ自身が約三セントの合成ゴムの値下げをいたしたのでございます。加えましてシンガポールその他南方諸地域における天然ゴム市況が非常に悪化いたしました関係上、人造ゴム天然ゴムとの値開きが少くなつて来た。従来トン当り二万、三万、あるいは五万も差がありましたので、一般業者としましてはこれに対するインタレストを相当つたような状況で、御説の通り見方によれば困つた状況ということも言えるのでございますが、ただ現在のゴム市況と申しますものは、御承知及びかと思いますが、先だつてカナダで行われました国際ゴム会議決定が決裂となりまして、米国が一齊に天然ゴム買付を差控えているという景況から生れて来ました価格でございまして、まあ毎日の相場の変動等もございまするので、現在われわれといたしましても大いに苦慮はいたしておりますが、必ずしも悲観的な見方のみで見る必要はなかろう。またJLC等においても、特殊なゴム製品については日本側使用が逐次なれて参りますにつれまして、発注をふやすという状況でございますので、処分はつく見込みでございます。
  22. 清水逸平

    清水委員 御答弁を伺つて安心をいたしました。最後に、この会計で扱つておるものが相当にございますけれども、今の国際情勢からいつて、これが緩和されて来るのじやないかというような観察を私はしております。当局のお考えとして、今後この会計で扱う物資が多くなるが少くなるか。また金額等においてこの会計で二十五億が予想されておりますが、そういう金額で十分間に合うかどうか、お見込みを聞いておきたいと思います。
  23. 石井由太郎

    石井説明員 国際関係につきましては、御説の通り米国におきましても、諸多の統制物資需給を緩和いたして参りました関係上、統制を緩和する傾向も明らかであります。また、いわゆる国際マーケット買手市場に逐次かわりつつある景況でございますから、このような基金によりまして、政府は保有する必要はないのじやないかということも一応検討され、また考慮もされたのでございますが、国際情勢につきましては、実は変転の見通しが、だれから申しましてもこれはなかなか断言できがたい状況でございますので、もちろんいわゆる先高見越しとか、あるいは先へ行つての動乱必至というような見地に立ちましての買いだめ、備蓄的な買付はもちろん必要はないと思うのであります。しかしただいま申しましたようなニッケルコバルトあるいはタングステンモリブデンといつたような、わが国といたしましては、どこを探してもなかなか出し得ないというような物資につきましての買付を確保いたしておきますること、これは必要ではないかと考えまして、今回の法案改正に及んだ次第でございまして、計画といたしましては、昨日申し上げました通りニッケル八百トン、コバルト二百四十トン、タングステン三百トン、モリブデン三百五十トンこの価格約二十億、ほかに特需原材料その他、これはOIT物資でございまして、ただいま申し上げましたのがIMC国際原料割当物資価格でございます。その他、アメリカ国際貿易局からの割当物資石綿、牛皮あるいは亜麻仁油等不足物資が若干考えられるのではないかと考えまして、年間を通じて三十億から三十五、六億程度考えられております。従いまして、本会計基金増加等も目下考慮しておらないというような状況でございます。
  24. 高間松吉

    高間委員 閉鎖機関令の一部改正のことについてお尋ねいたします。今までの閉鎖機関整理委員会が、今度提案理由に説明されているところの特殊清算人というふうにかわつた場合に、今までのやり方と今後未結了のものを処理して行くのに、どういうふうなかわり方がありますか、説明していただきたい。
  25. 堀口定義

    ○堀口説明員 本年の三月末までいわゆる閉鎖機関整理委員会といい、これは政府機関でありまして、予算も政府予算に組んでおりまして、そういう法的な一つの機関によりまして、当初千八十八ありました機関を二百数十まで清算して参つたわけであります。そこで、委員会等に関するいろいろな考え方もありましたし、講和条約も発効するという事態でありますので、一応委員会制度というものをやめまして、今度は類似の機関を四つにわけまして——大阪関係の機関と、それから特殊法人、すなわち特別法によつてつくりました公益営団なり産業設備営団というものとか、それから在外関係機関として朝鮮銀行、台湾銀行、それからそれ以外のもの、その四つにわけまして、おのおの百人から百数十人の人たちをその清算人に置きまして清算をやつている。清算の内容、やり方につきましては、この国会で、前にポツダム政令で出ておりました閉鎖機関令に、法律的な拘束を与えていただきましたのでかわりありません。ただやる機構が、法的機関としての閉鎖機関整理委員会が、大蔵大臣が任命する個々の清算人、そういうことにかわつたというだけのものであります。
  26. 高間松吉

    高間委員 そうしますと、特殊清算人というのは、今までの呼称がかわるだけで、やり方については何らかわりがないというお話ですか。
  27. 堀口定義

    ○堀口説明員 現在の閉鎖機関令でも、特殊清算人というものは大蔵大臣が任命することになつておりまして、その任命する対象の特殊清算人が、たまたま閉鎖機関整理委員会という法的機関であつた前からでも、特に大蔵大臣が任命すれば、整理委員会以外の人も任命できるという法律構成に今までなつておつたわけであります。そこで閉鎖機関整理委員会の廃止に伴いまして、別の人を任命したというだけでありまして、やり方は、閉鎖機関令によりまして債権の取立て、債務の弁済というような仕事をやつているわけであります。
  28. 高間松吉

    高間委員 そうしますと、今まで持つてつて処分した方法と、まだ未解決の問題を今後片づけて行く方法とは、何らかわりはないという御意見ですか。
  29. 堀口定義

    ○堀口説明員 その点はかわりありません。
  30. 高間松吉

    高間委員 そうしますと、閉鎖機関整理委員会の当時には、品物を処分するのにほとんど競争入札でやつてつたようですが、そのときに、かりに一つの品物がありまして、それを競争入札で払下げを受ける場合に、証拠金を何分の幾つか積んで払下げを受けた。ところがたまたまその品物が相当金額のために支払いができなくなつて、閉鎖機関の方でも相当の期間猶予したのでありますけれども未払いに終つて、そうしてその売買契約が一応取消されたのであります。そこで閉鎖機関の方では、その後に、前に競落した額より、相当とは言いませんけれども、かなり高い値段で他の者に売却してしまつた。そこまではいいですけれども、それから後に、前に契約した者から内金が入つております。証拠金以外に内金が入つておるのでありますけれども、私ども考えます範囲におきましては、証拠金はもちろん損害賠償の方で政府へとられてもしかたがありませんが、その後に入れた内金を閉鎖機関は返さない。保險料とかなんとかいろいろの名目をつけて、民間から納めたその金を何としても返さないのですが、そういう点についての大蔵省の方の法的処置というものは、どういうふうになつておりますか。その点をお聞かせ願いたい。
  31. 堀口定義

    ○堀口説明員 さきに申しましたように、権利義務の関係は、三月三十一日で、前委員会の持つてつたものがそのまま新しい清算人に引継がれることになりますので、その委員会でやつた行為について何らかの要求があれば、そのまま次の清算人に行けることになつております。従いまして、その機構がかわつたという点において、そういう不合理は起らなかつたというふうに解釈しております。ただ事実そういう問題があつたといたしますれば、おそらくその証拠金というものの性質なり、あるいはその契約を解除した場合の証拠金以外の損害賠償と、それに通常の契約をやつて、正当に売買が済むまでに通常考えられる以外に経費がかかつた場合に、それに対する損害賠償として、証拠金以外に一部払つてつた金が充当されたということはあるかもしれません。競売する場合には、いつも競売契約の内容がちやんと明示されておりますから、その中にはどのくらいの保証金をいただきます、どういう条件でやりますということをちやんとうたつてあるわけであります。従いましてもし証拠金以外のそういう一部払いの金を返さないということになれば、当然これは不当利得でありまして、そういうことはないと思います。たださつき申しましたように、その契約解除に基いて、損害賠償というものが委員会側に請求できるというケースでありますれば、その一部を損害賠償に充てるということはあり得るかもしれません。なおその問題について個々の問題について御疑問があるようでしたら、後ほど十分お聞きいたしまして、調査報告をいたしたいと思います。
  32. 高間松吉

    高間委員 そうしますと、証拠金はそのまま没收されることは、本人はわかつておりますが、その後に払い込んだ額についても取上げるという法律はないのですかあるのですか、どつちなんですか。
  33. 堀口定義

    ○堀口説明員 そこの点は通常の民商法の場合におきましても、そういう特に取上げるという規定はないと思います。ただ損害賠償の規定があるわけでありますから、たとえばその人に売る予定をしておつたために、ホテルならホテルというものの営業を停止して三箇月なら三箇月待つてつた。ところがたまたま金がないということで、大分待つてあげたにもかかわらず、その契約が成り立たずに破約になつたという場合には、証拠金として、たとえば一割を預かつてつたといたしましても、その三箇月なり何なり営業を停止しておつたということについての損害賠償というものは、当然できるわけでありまして、そういう意味の損害賠償に一部の金が充当されたのではないか。これは推定でありますが、よく事実を調べて御報告いたしたいと思います。
  34. 高間松吉

    高間委員 それは推定という言葉はどういうふうな意味でおつしやるのかわかりませんが、私の申し上げていることは、証拠金を入れて競落をして、あと代金を約半分くらいまで入れていた。その品物がそうは待てないというので、閉鎖機関の方から通達があつて、解約になつた。そしてそのあとで他の者に前の品物の値段より相当——さつきも申し上げましたが、相当とは申しませんけれども、かなりの高い値段で売却をして、しかもその代金が支払い済みになつて、その物品の引渡しがごく最近に終つておる。ですから大蔵省の方からその証拠金以外の金について、損害賠償をとるということは起らないと思うのです。そこで私は申し上げるのですが、その点は向うは品物を相当の意気込みで買つたんだけれども、その品代金を払うことができないような蹉跌を来してしまつた。それで現在では、率直に申し上げれば、米を買うのにも困つておるような状況なんです。だから返してもらいたいということをしばしば言うのですけれども、どういうふうな方法で損が立つたかそれはわかりませんけれども、いろいろなことを言つて返してよこさない。と同時に元閉鎖機関が生糸を販売する時分にも、私何回か行きましたことがあるのですけれども、あの閉鎖機関というものが役人でもないし、大蔵省の監督は受けているけれども、妙な存在だつたために、先ほど私が冒頭にお伺いしたようなことをお伺いしなくては、どこに根拠があるのかわからないような存在のように私見受けたものですから、初めにお伺いしたのですが、そういう事情政府が民間へ当然返さなくちやならない金だとすれば、閉鎖機関の監督官庁としてさつそくに取調べて、返す方法を講じさせてもらうということをお願いしたいのですが、その点はどういうふうにお考えですか。ひとつお伺いしておきたいと思います。
  35. 堀口定義

    ○堀口説明員 調べてみまして、それは当然返すべき金である、その契約解除について損害というものは起つていないというようなことでありますれば、それは当然お返しすべきだと思います。ただそこにも法律案というのがありまして、そういうことにつきましては有能な弁護士さんたちが相当おりまして、よく訴訟になつた場合等のことも考慮して考えておりますから、大体間違いないのじやないかという感じがします。なおどういう話でありますか、お伺いいたしまして調べてみたいと思います。  それからちよつとそれるかもしれませんが、閉鎖機関の性格につきまして、お説のようなところは多分にあつたという気持がします。それは昭和二十四年までは、大体司令部の直轄的な監督のもとにありましたので、むしろ大蔵省としてもなかなかいろいろなことが言えないような立場にあり、ほんとうに大蔵省の監督のもとに来ましたのは昭和二十四年からでありますから、その以前におきまして相当いろいろな点で御迷惑をかけた点もあるかと存じます。その後そういう問題についてはなるべく国内事情に合致しましたような方法によりまして、逐次改善して参つているわけであります。
  36. 高間松吉

    高間委員 話はよくわかりましたが、先ほど申し上げた通り、閉鎖機関というものがどじようかうなぎのようなもので、どこがつかまえどころかわからないので、都合の悪いところになるとつるつるすべつちやつて、どうにも押えどころがないので困つてつたのでありますが、それが今度また特殊清算人ということに名義が変更になりますと、会社で言えば第二会社みたいなもので、責任のあるような、ないような、へんてこなものになりはしないかというおそれがありますので、こまかい点ですが、最初からそういつたふうな聞き方をしたのですが、ひとつその監督官庁の責任者といたしまして、そういうふうなものはたとい損害賠償として取上ぐべき筋合いのところがあつても、一般日本人が今まで商業道徳というもののけいこをした範囲では、証拠金を入れて証拠金だけ損すればあとのものは返すというのが、大体商業往来にのつとつたやり方なのでありますから、その点ひとつ監督官庁の方から、方法を講じて返させるような方法にしていただきたいと思います。
  37. 堀口定義

    ○堀口説明員 さつきの点は、申し上げましたように調べて御報告いたします。ただ損害賠償の点につきましては、これは閉鎖機関整理委員会であつたからとるという意味じやありませんで、閉鎖機関令というものもそれほどむちやなことをやつておるわけではありませんので、大体破産法なりそれから民商法の規定を十分研究しまして、若干閉鎖機関にとつて有利な規定も従来ありましたけれども、それ以外の点は通常の民商法によつておるのでありまして、もしそういう不当な行為があれば、当然それは裁判所に提訴できるわけであります。従いまして委員会といたしましても、訴訟になつた場合に負けるようなことはやらない。その点については十分気をつけているはずでありますので、損害賠償という点は、これは通常の商慣習からいえば証拠金だということですが、特に損害の起つた場合には、これは要求されるのが通常でありまして、その点はよく内容を調べてみたいと思います。
  38. 高間松吉

    高間委員 それは閉鎖機関の方は訴訟になつてももちろん負けはしないで託しよう。しかし実際問題として片方は、そういうふうな状況で、証拠金だけはしかたがないということでかぶとをぬいでいるのだし、同時に国が個人を相手にして、法律的にこれはこつちにりくつがあるのだからしようがないと言えば言えるものの、実際にその中には、それより高く売却して、しかも取引が完了して引渡し済みになつておることは明らかなのでありますから、その点人民があつての国なんですから、親心を加えてもらいたいということを私は申し上げておるのです。
  39. 堀口定義

    ○堀口説明員 ちよつと補足して御説明しておきまするが、委員会はあくまでも国でありませんので、国の機関ということにはなつておりますが、いわゆる公団その他と同じに一つの法人でありまして、政府という意味の国ではないのです。それからその損害賠償の問題につきましては、私は御事情を承りますと、いろいろそういう考慮を加える点があるかと存じますが、一方清算人というのはそういう非常にお気の毒な方々ではありまするけれども、一面株主なり債権者というものが一方についております。この方々はやはり清算人が理由のない債権を負けてやつたり、理由のないそういう緩和した方法をとるということについては、非常に重大な関心があるわけです。一面そういうやり方について債権者なり株主というものは提訴できることになつておりますので、要するに清算人といたしましては、どちらにも非常に公平な立場をとらなければならないということがありますので、その点よろしく御了承をお願いしたいと思います。
  40. 高間松吉

    高間委員 あなたはよく提訴しろ提訴しろと言いますけれども、そういうふうなことをしないでやれる範囲だろうと私ども考えておるので、申し上げておるのであります。ですから提訴をして負けた、勝つたということを裁判所で片づけるならば、こんなことを私は申し上げなくてもよいのです。と同時に今もあなたがおつしやつたが、閉鎖機関というものはどうもつかまえどころがないような形になつております。しかし別にそれに対して不正があつたとかなんとかいう意味じやないのですけれども、現在私が申し上げている事柄については、これはもう当然国税徴收法によつてもそういう形になつております。そこまでつつ込んで行けば閉鎖機関は国じやないのだ、こう言いますけれども、やはり同じ国民ですから、そこのところをうまく政治的に解決ということは申し上げかねますけれども、一応あまり法律に触れない範囲の処置をやつていただきたい。これは提訴なんかすることを標準にしておるならば、そんなことを申し上げなくたつていいし、また提訴しておれば勝つ、負けるはやがてきまりがつくとしても、相当の日数がかかる。ただいま申し上げたように、本人は証拠金を納め、あと本人とすれば現在の状況から行くと相当の金にはなつておるのですけれども、それがないためにやはり非常な困難をしている経済状態なので、その点監督官庁から一応話していただけば、何とか処理が早くつきはしないかというのが私の考え方なのであります。あなたのお話はよくわかりますが、もう少し処理を早くやつていただきたいということを再び申し上げておきます。
  41. 堀口定義

    ○堀口説明員 よく事情を調べまして善処したいと思います。
  42. 佐藤重遠

    佐藤委員長 小山長規君。
  43. 小山長規

    ○小山委員 緊要物資輸入基金特別会計であるいは質問があつたのかもしれませんが、きわめて愚問かもしれませんけれども、一、二点伺つておきたい。  それは緊要物資輸入基金特別会計の第一条がかわりまして、「政府において取得することを緊要とするもの」ということになつたのでありますが、これがかわつたということは、従来日本で必要があろうがなかろうが、割当物資はとらなければならぬという制度であつたものを、今度は日本政府の希望するものだけをとることになつたという意味でありますか。その点を一つ伺つておきたい。
  44. 石井由太郎

    石井説明員 従来の緊要物資輸入基金特別会計におきましては、外国において生産されたいわゆる特需原材料に向け得られる物資ということが書いてあつたのでありまして、「特殊需要に応ずるため」云々という表現でありましたので、実際特需に入用のありそうな物資でございますれば、これはたとえば国際条約、国際協定等で割当等のございません物資でも取得できる。そのかわり特需関係のない物資になりますと、たとえば石綿のごときはよい例でございますが、特に特需ということはないと思います。そのようなものは国際協定あるいはOIT割当というようなものがございましても、それを取得するために、どうしても政府買付をするのが有利であり、また適当であるという場合におきましても、手が出せなかつたのであります。そういう制約を——特にと申しましても独立後のことでありますので、その辺にかかわり続けて行くのもあまり自主性のない経済政策でありますので、今後の行き方といたしましては、国際割当物資等のものであつて、特に重要なものは、用途のいかんを問わず、この会計で取得し得るということにいたそうというのが、今回の改正の要点なのであります。
  45. 小山長規

    ○小山委員 その割当物資というものは、日本政府がそういうものは輸入しなくてもよいというものでも、買わなければならぬことになつておりますか。たとえばここに例が出してありますように、硫黄は日本がむしろ輸出するくらいにあるものであろうと思いますが、こういうものも買わなければならぬという義務があるのですか。
  46. 石井由太郎

    石井説明員 御質問の硫黄のごときものは、日本輸出割当を受けている方でありまして、輸入のできないことはもちろんのこと、輸出をせよ、銅につきましても、亜鉛につきましても同様でございます。従いまして国際協定その他国際的なとりきめについて、日本国に輸入割当てられ、または勧告されたものというふうに相なるわけで、言葉としてはあるいは足らないかもしれませんが、輸入という言葉が上にかぶさつておりますので、そのようにお読みとり願いたいと考えておる次第でございます。
  47. 小山長規

    ○小山委員 それからこの基金の運営でありますが、これは一年に何回転というふうな目安を立ててやつておられるのですか、その点はいかがです。
  48. 石井由太郎

    石井説明員 本基金によります物の買付の方は、長期的な契約を有力な生産者と結びまして、IMCOIT等の割当の範囲内で半年あるいは一年というような契約を結んで、重要なものは輸入したいと考えているわけでございますが、販売の方は諸多の費用の制限等がございますので、実はこれらの物資は自由商品でございますと、きわめて足は早いわけでございますが、このような制約のもとでは、実は足がおそいということが予想されるわけでございまして、全体の計画といたしましては、二十五億の基金をもつて、三十億ないし三十五億程度の取得にとどまるのではないかというふうに想像されます。
  49. 小山長規

    ○小山委員 この基金物資の貯蔵にも充てることを目的としているのですか。それとも買つたものは全部放出するという建前で運営されるのですか。
  50. 石井由太郎

    石井説明員 国際的な稀少物資につきましては、民主主義国家はすべて備蓄屯積を許さないということに相なつておりまして、備蓄屯積するために買いつけるということは、これは強く禁止されているところでございます。従いまして、国際流通秩序に即応いたしまして、この基金を運用する見地から考えましても、備蓄ということはもちろん目的ではないのでございます。従いまして足の早いことをもちろんはからなければならぬのでございますが、事実上は、海外からは、たとえばニツケル等の割当がございました場合は、できるだけいい条件でありますれば取得しておきますが、国内における流れというものがややおそくなりますれば、貯蔵というほどではございませんけれども、この基金の範囲内では、ストックを持つことがあるということに相なるわけでございます。
  51. 小山長規

    ○小山委員 最後にもう一つ伺つておきたいのは、これは清水さんも取上げた問題ですが、たとえばニッケルのごときは、日本国内価格輸入価格との間に非常な開きがある。従つてこれを取得した人は、非常な国家の恩恵を受けるわけですが、その業種の選定をされる場合の方針、あるいはそれがたとえば政治的な運動によつて、そういうふうな業種を指定するような余地がある運営方式をされておるか。あるいはそれは自動的に割当ができるような方式でやつておられるのか。そこにスキヤンダルの入る余地のないような運営方式を、通産省として綿密な機構というものができ上つておるのか。その辺のところをひとつお聞かせ願いたいと思います。
  52. 石井由太郎

    石井説明員 会計法の原則によりますれば、もとより一般公入札によつて、時価をもつて処分するということに相なるわけでございまして、緊要物資の売払いに関する法律が、この例外といたしまして、私どもに、特に時価  によりませず、輸入価格ベースで売つてもよろしいという権限を与えましたものは、もちろん例外的なものでございますから、きわめて厳密に解釈しなければならぬというふうに考えております。ただ従来は、この基金が国際経済協力といつたような見地からの、特需原材料の取得だけでございましたから、問題はやや簡単でございましたが、今後はそれ以外に、いわゆる政策的な目的をもつてこの基金を運用いたすといたしますれば、御説のような見解も成り立つわけでございますが、当省といたしましては、まず第一に、この基金が取得いたしますニッケルコバルト等のものは、民主主義国家が大いに協力し合う意味から、海外から割当を受けて、従つていわば国際的マル公で輸入されるものでございますから、この民主主義国家の協力に必要な諸方面への売渡しというものは、まず特に時価より安い値段で売つてもさしつかえないのじやなかろうか。すなわち特需その他の国連協力等の用途は、輸入価格ベースで行く。それから第二段は、国の官庁の需要のうちで、はつきり官庁自身の需要するもの、たとえば例といたしまして、このような例をあげるのがよろしいかどうか存じませんが、電通省でニッケルで電話機をつくるというような、官庁間で——特別会計でございますと非常に問題がございますが、官庁間で高い金のやりとりをし合うというのがはたしていいかどうか。これは大蔵当局とも相談しなければなりませんが、このようなものにつきましては、いわば会計間の移管でございますので、輸入価格ベース考えていいじやないじやないかと考えております。さらに第三は、輸出増進のために必要な用途でございますが、これは現実の輸出に結びついておりませんければ、見込み生産輸出用だといつて割当を受けまして、自転車のニッケルのメッキに使つて国内でどんどん売つておるというようなことでは、これはもちろん問題にならぬわけでございますけれども、現実に一台に何グラムいりまして、それが輸出されたということが確認されました場合に売るのでありますれば、国際経済競争という見地から考えましても、さしつかえないのじやなかろうかと考えまして、まず輸出考えたい。それから第四番目といたしましては、わが国としては、何にいたしましても産業合理化をいたしまして、設備の更新等を推進せねばならぬのでございますが、実は機械類につきましては、国際稀少物資が足りませんために、非常に機械が悪いという例が多いのでございます。一例をあげますと、人絹製造のためのギヤーポンプというのがございますが、これは若干のニッケルあるいはコバルトを添加いたしました鋼材でつくりますれば、二月も三月も持つ。これらの混入がございませんと、一週間あるいは五日ですべて消耗してしまう。しかも一個の価格は数千円に及ぶ。このような状況でございまして、わが国産業設備が遅れているというのは、機械が構造的に遅れているのみならず、材質的に非常に遅れておるのであります。この点はコバルトニッケル等の不自由関係から来ているので、産業合理化のための諸機械の製造、たとえて申しますれば、今回の企業合理化の促進法で、あるいは特別償却を受け得るように指定された機械でございますとか、あるいは関税定率法の適用で、外国から輸入するのであれば関税をまけてやる、関税の免税をいたす。このような機器類につきましては、その製造原料に使うこれらのニッケルコバルト等を、輸入価格ベースで売り渡してもさしつかえないじやないかと考えておるのでございまして、政策的な考慮が問題になるのは、最後の合理化促進用に必要な機械類といつたような範囲だろうと思いますが、これもただいま申し上げましたように、あるいは企業合理化促進法において、あるいは関税定率法において、あるいは法人税法等において、自動的にきまつておるのでありまして、これらの線に即応して処理いたしますから、御懸念のごときことは起らないのじやないかと考えております。
  53. 小山長規

    ○小山委員 その点はよほど運営に気をつけられる必要があろうかと思うのでありますが、さらにもう一つは、それらの稀少物資割当を受けた業者は、非常に安い原料が手に入るわけでありますが、その人たちが売る値段については、何か御考慮なつているのか。あるいはそれらは全然考えておられないのか。それからまた、もし価格が自由であるならば、相当高い利潤が得られるはずだと思いますが、それは税務当局その他には通知されておるかどうか。その点はいかがですか。
  54. 石井由太郎

    石井説明員 原料だけを非常に安い値段で売られて、製品価格については、統制もなければ何もなくて、自由放任であれば非常な巨利を博するのじやないか。その点の問題でありますが、まず特需等につきましては、帳簿価格そのものが国際価格、つまりもつと端的に申し上げますと、アメリカでこのようなものが一つ幾らでできるか。ニッケルは四十万円であるというベースで帳簿価格がきまります関係上、実は二百七十万円というようなニッケル原材料といたしましては、特殊鋼の入札等はとうてい落ちないのでございます。従いまして、この種の分野におきましては、問題はないのではなかろうかと考えます。第二に官庁調弁の場合を考えてみますと、これは予定価格におきまして、ただいま申し上げましたように原則が打立てられておりますれば、予定価格をつくりますときに、ニツケルは二百七十万円ではなく、四十万円という計算で行きますから、これは業者としては余得を受ける道はあまりなかろう。それから輸出につきましても、これまた国際価格ベースでございますので、あるいは値段そのものでは、うまい売り方をいたしますれば、もうかる場合もあるでありましようが、自転車にいたしましても、ニッケルのメッキは二百七十万円ではなく、四十万円ベースでメッキが行われておるわけでありますから、その範囲で、たまたま他の面の優位が現われてもうけが出ましても、これはニッケルを安く売つてつたからのもうけではないというふうに考えられるのでありまして、この点につきましては、もちろん私ども報告調査等を十分にいたしまして、トレースはいたしますから問題はないと思いますが、法人税あるいは個人所得の査定につきましても、所要な事項はもちろん国税当局等にも連絡いたしたいと考えております。第四番目の機械類の製作等に、特に安い値段で売りました場合が問題になるのでございますが、これらの機械類の製作は、たとえば大きな人絹機械にいたしましても、なるほどマル公もなければ、制限もないというわけでございますけれども、前申し上げましたように、それは国際的に見まして非常に割高になつておりまして、そのような価格、そのような品質では、むしろ外国品がどんどん入つて参りまして、国内産業がつぶれてしまう、あるいはとても競争して立ち行かないというようなポジシヨンに置かれているわけであります。のみならず外国から入つて参りますれば、関税も免除しようというほどのものでございますので、第四番目の範疇に属する面にこれらの物資が行きましても、むしろこれらの物資国際価格で供給されることによつて、ようやくにして国内における需給の道を発見し得る程度でございまして、御説のような巨利を博するようなことはなかろうとは思いますが、もちろんこれによりましてそのような採算なつて参りますような場合には、国税当局にも連絡いたしまして、その余剰利得の捕捉に遺憾なきを期したいというように考えております。
  55. 小山長規

    ○小山委員 ただいま議題となつておりまする四法案のうち、緊要物資輸入基金特別会計法の一部を改正する法律案につきましては、質疑も尽されたと思われますので、この際質疑を打切られんことを望みます。
  56. 佐藤重遠

    佐藤委員長 ただいまの小山君の動議のごとく決定するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  57. 佐藤重遠

    佐藤委員長 御異議ないようですから、緊要物資輸入基金特別会計法の一部を改正する法律案につきましては、質疑を打切ることといたします。  次会は明五日午前十時より開会することといたしまして、本日はこれにて散会いたします。     午後三時四十二分散会