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1952-05-26 第13回国会 衆議院 大蔵委員会 第76号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年五月二十六日(月曜日)     午後二時五分開議  出席委員    委員長 佐藤 重遠君    理事 小山 長規君 理事 佐久間 徹君    理事 三宅 則義君 理事 内藤 友明君    理事 松尾トシ子君       奧村又十郎君    清水 逸平君       苫米地英俊君    夏堀源三郎君       宮幡  靖君    宮原幸三郎君       武藤 嘉一君    深澤 義守君       久保田鶴松君    中野 四郎君  出席政府委員         大蔵政務次官  西村 直己君         大蔵事務官         (主計局長)  河野 一之君         大蔵事務官         (主計局給與課         長)      岸本  晋君         大蔵事務官         (理財局長)  石田  正君         大蔵事務官         (銀行局長)  河野 通一君         大蔵事務官         (銀行局銀行課         長)      大月  高君         厚生事務官         (医務局次長) 高田 浩運君  委員外出席者         大蔵事務官         (理財局総務課         長)      宮川新一郎君         大蔵事務官         (理財局管理課         長)      横山 正臣君         厚生事務官         (医務局管理課         長)      尾崎 重毅君         厚 生 技 官         (医務局国立病         院課長)    小沢  滝君         参  考  人         (全日本国立医         療労働組合中央         執行委員長)  岩崎 清作君         專  門  員 椎木 文也君         專  門  員 黒田 久太君     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  長期信用銀行法案内閣提出第一一三号)  国立病院特別会計所属資産讓渡等に関する  特別措置法案内閣提出第一六三号)  国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に  伴う措置に関する法律案内閣提出第一九〇  号)  昭和二十七年度における行政機構改革等に伴  う国家公務員等に対する退職手当臨時措置に  関する法律特例に関する法律案内閣提出第  一九七号)  接收貴金属等数量等報告に関する法律案(  内閣提出第二三一号)  貴金属管理法の一部を改正する法律案内閣提  出第一二九号)(参議院送付)     ―――――――――――――
  2. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 これより会議を開きます。  まず国立病院特別会計所属資産讓渡等に関する特別措置法案議題といたします。本案につきましては、本日参考人といたしまして、全日本国立医療労働組合中央執行委員長岩崎清作君の御出席を得ておりますので、同君より本案について御意見を伺うことといたします。全日本国立医療労働組合中央執行委員長岩崎清作君。
  3. 岩崎清作

    岩崎参考人 私はただいま紹介いただきました全日本国立医療労働組合委員長岩崎であります。さつそく私は国立病院療養所に勤務している四万名の職員を代表しまして、今度実施されようとしています国立病院地方移譲問題について、反対意見を述べさせていただきます。  まず最初に国立病院現状と、今日まで果して来た役割について簡単に申し上げますと、終戰によつて元陸海軍病院がすべて厚生省に移管されまして広く国民大衆医療機関として開放され、戰後国民生活の窮乏から社会の要請に応じ、普遍的かつ平等に医療を普及するために、極力営利的形態を排除して、広く国民医療保障使命として今日に至り、われわれもその任務達成のために、微力を盡して参つた次第でありまして、このことがまた憲法二十五條の精神からして、国家社会的責務であると信じているものであります。政府移譲する理由一つとして、陸海軍病院てあつたため立地條件を問題としてあげていますが、現在全国で九十九箇所ある国立病院は、約二万六千の病床を持つておりまして、月平均延べ入院患者数は約八十万、それから外来患者延べは約七十五万余という莫大な診療実績を上げているのであります。さらにその患者を分類してみますと、生活保護法による患者が三一%、社会保險患者が四四%、未復員者給與法による患者が一〇%、その他医療費負担能力のない者に適用される減免規定、これは国立関係だけでありますが、これの該当者が二・五%、合計八七・五%で、自費患者はわずかに一二%で、大部分社会保險生活保護法適用患者であることを見ましても、国立病院の性格がうかがえると思うのであります。これらの患者に差別なく、より低廉な医療費で、しかも適正な医療を施すことこそ、国立病院本来の使命と考えております。さらに大きな特徴といたしまして、全国的に一貫した診療方針総合的研究を行いまして、常に医学進歩に伴う医療内容の向上、経営の改善がなされていることであります。経営形態につきましては、創立当時におきましては一般会計でまかなわれ、年間支出に対しましては收入は六〇%程度で、赤字の分は全額国庫負担になつておりましたが、昭和二十四年から現在の特別会計制がしかれ、診療收入目標がきめられまして、支出に対して七五%の診療收入を上げ、二五%は一般会計から繰入れられることになつたわけであります。それ以降收支バランスをとるために支出を押え、收入を上げる傾向が強く現われ、社会保障的な役割がかなり制約を受けたことも事実であります。その現われといたしまして、結核患者診療費について申しますと、同じ国立でありながら、結核療養所自費社会保險患者を問わず一律二割の減額を行つているのに対しまして、病院の方は割引なしという矛盾さえ生じております。またいわゆる減免患者が当初一〇%以上ありましたのが、現在では二・五%に圧縮されていることも、その辺の事情を物語つていると思います。  それがさらに国庫負担が打切られまして独立採算前提として地方移譲が行われた場合、営利性がますます強化され、医療内容が低下し、公的医療機関としての本来の使命が達成できないのみならず、府県によつてはそれを維持することすら困難になるのではないかということを、最も憂慮しているものであります。現に独立採算制をとつている多くの公的機関では、診療報酬一点單価十一円五十銭、田地で十二円五十銭でありますが、その歳入だけではとうてい医療公共性公的医療機関としての任務を果すことができないと申しており、県立病院の最も多い岩手県、新潟県でも、年間莫大な赤字のために悩んでおります。岩手県では六千万、新潟県では約三千万という赤字に悩んでおる現状であります。従いまして最低国立病院の二五%程度国庫負担を、強く要望している実情であります。  われわれが何ゆえこのように医療社会性公共性を強調するかと申しますと、御存じのように、医療というものは人間の一番弱点をになつ職業分野でありますために、経営を営利化しようとすればどのようにでもできるのでありまして、これを経営する方から申しますと、治療費の支拂い能力のないような患者診療を断る。また受ける方からの立場は、特に肉親のだれかが死ぬような苦しみをしている、あるいは死に瀕しているような場合、自分を犠牲にして、また娘を売つても見てもらうということになるのでありまして、このような例は昔から今日まで数限りない悲劇として生じているのであります。このようなことから、特に貧しい人たち医療をいかに確保するかということが、われわれの一番重要視している点でありまして、この点が今後の医療行政の中心であらねばならぬ。また公的医療機関に課せられた使命とも存ずる次第であります。従いまして地方移譲の問題は、單に経営主体の問題ではなく、今後の公的医療機関のあり方を左右する問題として、きわめて重要な要素を含んでおり、この地方移讓われわれが強調している医療行政強化拡充ということであれば、もちろんわれわれ自身の身分上の問題は多少の不利益は忍んでも、国民立場から協力を惜しまぬのでありますが、決してそのようなものではなく、国でもてあましたのを地方に押しつけたというよりほかに、説明がつかないのであります。私どもの主張が国民各層の支持を得ている点も、ここにあると確信している次第であります。  次に申し上げたいことは、厚生省移讓する唯一の根拠として、昭和二十三年に医療制度審議会が出した答申の中に、将来公的医療機関経営主体は、原則として地方公共団体にすべきであるということを取上げていますが、この答申は広汎な社会保障実施を考慮に入れてなされておりまして経常費の一部国庫負担前提とされておりますのに、他の答申項目がほとんど実施に移されていないのに、経営主体答申だけを移譲根拠とされている点が、どうしても理解できないところであります。  第三に、地方移譲することと、将来日本総合的医療体系をどのようにするかの関連が、明らかにされていないことであります。つまり移譲された病院が、府県及び公共団体主体とした医療機関体系の中で、どのような役割を果し、どのような整備拡充に位置するか。この点について何ら検討されていないことであります。少くとも将来の医療体系日本実情に応じて確立する設計図の上に立つて、現在府県にある公的医療機関実情立地條件、人口の密度等から移譲する対象になつている病院、存置する病院理由が明確にされてなければならないと考えますが、その点がきわめて不定見で、比較的整備された立地條件のよい大病院国立で残され、負担のかかるボロの病院といいますか、群小病院移讓対象となつているとしか思われないのであります。そのことが單に土地、建物拂下げのように、財政法特例によつて措置されようとしており、商取引のように、買手のついたところから落して行くというようなことが、なされようとしていることによつて明らかであります。率直に申しまして、公的医療機関を発展させるために、地方移譲をすると申されておりますが、実は今まで一般会計から繰入れられていた経常費の二五%、約十億余りの国庫負担を削減するために、若干の手切金をつけて六十の国立病院を売場に出したとしか考えられないのであります。  第四に、受入れ側地方自治体の財政的基盤についてでありますが、このことはいまさら私どもが申し上げるまでもなく、全般的に赤字財政に悩んでおり、そのしわ寄せが保健衛生社会福祉教育分野に強くかかつており、保健衛生費について見ますれば、二十六年度当初予算で、東京都の四・九%を最高に全国平均二・七%という貧弱なものでありまして、それがまたさらに削減圧縮されようとしている実情であります。国立病院経営状態は先ほど述べましたように、收入目標をかなり強制されておりますが、そのほとんどが赤字経営になつておりまして、最低收支率五〇%というものさえあります。しかしこれが全国九十九箇所のプールで、二五%の国庫負担によつて初めて運営のバランスをとつている次第でありまして、個々ばらばらに切り離した場合、また財政上非常に不均衡な府県財政の中で運営された場合、診療内容に非常なアンバランスを生ずることは火を見るより明らかであります。厚生当局は無理じいはしないと逃げておりますが、いやしくも医療行政を統轄する立場にあるものが、また国民医療現状から医療行政を立案しなければならぬものが、以上のような状態の中で六十の病院を切売り的に地方に押しつけようとして、売れなければ補正予算で組もうなどとは、不定見もはなはだしいといわざるを得ないのであります。われわれはこのような厚生当局の不定見方針反対するというより、むしろ憤りを感ずるものでありまして、責任を回避して地方に押しつけるのでなく、国民医療強化拡充のために、あくまで熱意と確信を持つように、猛省を促すものであります。  現に全国知事会議においては、昨年の十月に続いてまた本年一月と二回にわたつて移譲反対を決定しており、同様の決定は全国市町村会議西日本知事会議東海ブロック県会議長会議で強く表明され、また全国病院長及び患者もこぞつて反対をしているのであります。さらに府県市町村の決議を経て国会に出された請願は、衆参両院合せて約三百件に及んでおり、地元からもわざわざ上京して陳情するなど、非常な熱意を示されておるのでありまして、これの紹介議員としては自由党の大野、増田の両氏を初めとして、超党派的に取上げていただいております。私ども国会議員府県理事者学識経験者等約千五百名を対象に、地方移譲問題についてアンケートをとりました結果は、その七五%が反対であり、あとの三五%の方々も国庫補助條件に賛成しておられるのでありまして、全国地方新聞もその論説等地方移譲問題を取上げて当局反省を促しているのが、われわれの把握しているだけでも約四十件にも達しております。ここに持つて参りました署名も、私どもの主張している趣旨に賛意を得ました約百万の署名のうちの一部でありまして、総評を初めとしましてあらゆる労働団体、特に受入れ側立場にある自治労協自治労連とも完全な連携の上に運動を推進しているのであります。われわれの念願するところは社会保障制度確立でありまして、これこそまた全国民の要求するところであります。  結論的に申し上げまして、この地方移讓問題は、社会保障制度の後退であり逆行を意味するものでありまして、制度確立国会においても超党派的に決議されており、各党の政策の重要項目一つとしてあげられていることを確信する次第であります。私ども公的医療機関に働く従業員としまして、また労働者といたしまして、あくまで社会保障強化拡充を念願し、これを麦持する全労働者、全国民とともに当局反省を促し、賢明なる議員各位慎重審議を要望する次第であります。これで私の意見を終らしていただきます。
  4. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 ただいまの岩崎君の御意見に対して、御質疑があればこれを許します。
  5. 深澤義守

    深澤委員 参考人が今申し述べた通り医療問題は社会保障制度の重要な問題として、当然国家責任を負うべきであるということは、われわれも同感でありまして、従つて国立病院独立採算制を採用するときにも、これは政府負担を軽減する意図を持つておる、こういう問題については国家が積極的に医療保障をすべきであるという立場において、この独立採算制反対であるという立場をわれわれはとつて来たのであります。さらに今度はその国立病院の非常に立地條件の悪い部分地方に押しつけて、そして政府が肩のがれをしよう、こういうことが本法案の本質であるとわれわれは指摘しているわけであります。そこでお伺いしたいのは、現在のような事情のもとにおいて、国立病院に入院させ、あるいは通つて来て診療を受ける者に対しまして、現在の国立病院立場において、はたして十分の医療ができるかどうかということについても、われわれは心配しているのでありますが、それが地方移譲されればなお困難なことになるのであります。現在の事情において、国立病院立場から一般国民に対して十分医療診療ができるかどうか、あるいはやられているかどうかという、非常に広汎な問題でありますが、参考人が職場に勤められておるその経験だけでもよろしゆうございますから、具体的にその事情をひとつお伺いしたいのであります。
  6. 岩崎清作

    岩崎参考人 お答えいたします。先ほども述べましたように、国立病院として移管された当初におきましては一般会計でありまして、別に收入についての目標はなかつたわけであります。ところが特会制以降、七五%の診療收入を上げる努力目標が示されて、それ以来先ほど申した点で、要するに社会保險あるいは生活保護法適用を受けてはいないが、そうかといつてまた自費診療を受ける能力もない者が、国民全体の中で約三〇%あるとわれわれは見ておるわけなのであります。これらに対して従来国立病院のいわゆる減免規定がありまして、当初一〇%以上あつたものが、現在では二・五%と非常に減免が制約され、圧縮されて来ておるということは、いわゆるこの七五%の診療收入を上げよということに大きく影響されておるというふうに、一つの事象が現われておるわけであります。そのほか陸海軍病院は非常に古い建物が多うございまして、建物の命数も来ておりまして、いわゆるはしたな整理費では修理するよりこわれる方が多いという現状でありますが、その点の整理費現状では不十分でありまして、御承知の方もあると思いますが、相当ボロ病院が多いことも事実であります。さらにまた、このように日に日に進む医学進歩に伴いまして、医療機械その他これに即応するところの態勢、あるいはまたレントゲン機械あたり一台買いましても何百万とかかる。こうしたものが收支バランスということで制約せられておる現状では、どうしても收入をにらみながら支出を手かげんするというふうな現象が現われておりまして、特に特別会計制以来そういう傾向が強まつておるということを申し上げたいのであります。
  7. 深澤義守

    深澤委員 大体政府方針としますれば、二十二の本院、二つの分院を残置しまして、他の大部分――本院七十三、分院二、これを地方移讓しようとしているのであります。ところでお伺いしたいのは、この地方移讓法案が通過いたしまして、各地方ともこれを喜んで、あるいは大したこともないだろうという程度で、地方移讓を受けようとするものが一体どのくらいございましようか。もし全然ないとすればこの法案通つても無意義だと思うが、そういうような事情について何か御存じのことがございましたらお伺いしたいと思います。
  8. 岩崎清作

    岩崎参考人 お答えいたします。受入れ側、特に府県実情でありますが、私どもの把握しておる点では、知事会議におきまして、とにかく火の車のような府県財政の中へ、さらに負担のかかるようなものを押しつけられたのではかなわない。従つてこれは国営でやつていただいておるのであつて現状を維持し現状のままでということが、二度の知事会議で表明されたというふうに考えておるわけであります。ただやはり一、二の例でありますが、かねがね県立病院も建てたいという所望のあるところもないではありませんので、この機会に條件によつてはという動きのあるところも、全然皆無とは申せませんで、一、二あるだろうというふうにわれわれは見ております。
  9. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 ほかに御質疑ありませんか。――御質疑もないようでありますから、岩崎参考人よりの御意見の穂坂を終ることといたします。参考人の方には御多忙中にもかかわらず御一席くださいまして、本案に対し忌憚のない御意見を開陳され、本案審査の上に多大の参考になりましたことを厚く御礼申し上げます。本日はまことにありがとうございました。     ―――――――――――――
  10. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 次にただいま参考人より意見を聴取いたしました国立病院特別会計所属資産讓渡等に関する特別措置法案、並びに長期信用銀行法案貴金属管理法の一部を改正する法律案国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律案昭和二十七年度における行政機構改革等に伴う国家公務員等に対する退職手当臨時措置に関する法律特例に関する法律案、及び接收貴金属等数量等報告に関する法律案の六法律案一括議題とし、前会に引続き質疑を続行いたします。質疑は通告順によつてこれを許します。松尾トシ子君。
  11. 松尾トシ子

    松尾委員 きようは委員皆様の御同意によりまして、私の推薦しましたところの参考人を呼んで、いろいろ国立病院の問題について聞いたのですが、私は自分が推薦した関係から、参考人には質問をしませんけれども政府委員ちようどお見えになつておりますから、一、二点質問をさしていただきます。  実は厚生委員会政府委員の答弁を聞いてみますと、この法律は別に無理押しに押しつけるものではない。要望をするもののみに拂下げをして、地方移讓をするのだということをおつしやられておりますけれども予算を見ますと、これが九箇月予算しか組んでいないということは、一体どうしたことかと思うのです。これはもちろん財政法違反であると思うのですけれども、その腹の中と説明とがマッチしていないのではないかというふうに思えますので、参考人無理押しではないと言いますけれども、このあたり政府意図が出ているのではないかという心配をするのではないかしらと思うのですが、このあたり財政法的にも、またその他の理由がございましたら、どうしてこういうことになつたのかということの御説明を願えるとけつこうだと思います。
  12. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 皆様に申しますが、本日は政府委員といたしまして河野銀行局長政府委員厚生医務局次長高田浩運君が御出席でございます。
  13. 高田浩運

    高田(浩)政府委員 今御質問のありました点についてお答え申し上げますが、国立病院地方移譲につきましては、前々から当委員会ないし厚生委員会においても申し上げておりますように、法律によつて強制するということにはなつておりません。相手方と十分協議を遂げまして、協議につきましては、将来におけるその病院の行き方等につきましても十分見込みをつけた上で、協議整つてから讓渡をするということにいたしておりますし、今後もその方針で参るつもりでございますので、お話のように強制的に押しつけるということは万々ないように考えております、私らこの法律執行に当ります場合におきましても、御質問のような趣旨は十分考えて行くつもりでございます。  次に予算の問題でございますが、一応見込みといたしましては約六十施設についてはこれを移譲をするという考え方をとつておりますので、予算としましてはお話のように通年ではなしに、一部分を計上してないわけでございますが、もし万一にもこの移譲計画通りに行かなかつた場合において、予算に不足を生ずるということがございましたならば、これは予算上の措置として善処をいたすつもりでおります。
  14. 松尾トシ子

    松尾委員 どうも厚生政府委員にこういうことを申し上げるのはどうかと思うのですけれども、ただでさえ大蔵省に圧迫を加えられておるのに、そういつた事態が来たときに、財政的措置ができる自信がおありですか、
  15. 高田浩運

    高田(浩)政府委員 これは病院を運営して行く上から申しますと、金がなければ運営できませんし、金がないからあしたからやめますということは、これはとうてい常識的に考えてもできないことでございますので、その辺は十分財政上の措置をすることが必要であると考えておりますし、そのように善処いたすつもりでおります。
  16. 松尾トシ子

    松尾委員 そういう事態が発生しましたときには、大いに御努力をしていただきたいと思いますが、もう一つ、その審議の過程に問題になつたというふうに私は伺つているのですけれども、いわゆる持参金をつけて、もうからないものを地方にやつてしまおうというために、六億四千万円だけ持参金をつけてありますけれども、これはこの積算基礎が問題になると思うのです。この六億四千万円という金は一体どういつた算定方法をなすつのか。これをひとつ説明願いたい。
  17. 高田浩運

    高田(浩)政府委員 今御質問のいわば前提としてお話になりましたもうかる、もうからぬという言葉、これは私らとしては慎んでおる言葉でございますが、なるほど特別会計をしきましてから、約二割五分程度の繰入れを一般会計からやつておりますし、これは先ほど岩崎参考人からお話がありましたが、だんだん締められて来たというふうに、もしそういうふうな御印象を受けておられるとするならば、これにはいろいろ前提がありますので、必ずしも特別会計なつたから締め上げるんだというつもりで、そういうふうなやり方になつているというふうにお考え願わないように、お願いをいたしたいと思います。     〔三宅(則)委員長代理退席、委員長着席〕 と申しますのは、国立病院が発足いたしました終戦直後に比べますと、患者の内容自体が非常にかわつております。それから社会的にもかわつておりますし、その間社会保險ないし生活保護法等もかなり進歩を来しております。そういつた全体の関係から、いわゆる終戦直後の運営の財政的な内容よりも、二十四、五、六年、その辺においては多少よくなつているということは言えるわけでありますが、これは特別会計なつたから締め上げたという意味ではないことを、申し上げたいと思います。  それからもう一つは来年度におきましては――去年までは今申し上げましたように約二割五分程度の繰入れをいたしておつたのでありますし、二十七年度においては約一割余りの繰入れをずることになつておりますが、この繰入れのおもなるものは整備費でありますとか、その他いわゆる移管に伴いますいろいろな費用でありますとか、そういつたものが入つておるわけで、普通の日常の経営については、大体バランスがとれるかつこうになつておるわけでございます。このおもなる原因は保險の單価の値上り等に基くわけであります。そういつたわけで、全体としては国立病院経営というものは、以前に比べますと非常に改善をされて、いわゆるもうかる、もうからぬというふうな観点から必ずしも見る必要はありませんが、以前に比べますと経営状態は非常によくなつているというふうに、われわれは考えております。  それから残ります病院移讓いたします病院についてでございますが、いい病院だけといつて、悪い病院だけ押しつけるのじやないかというふうな誤解がおありかと思うのでございますが、これは個々についてごらんになればおわかりになると思いますが、残る病院についてもずいぶん建物等がお粗末な病院がございますし、それから移讓をします病院の中にも相当整つた病院もございますし、決してそういうふうな観点からこれを選択をしたわけではないのでございます。それから六億四千万円でございますが、これは大体今までいろいろ整備をしなければならないと考えておつた点が多々あるのでございますが、そういつた点を勘案いたしまして、大体この程度で応急的な処置はできるのじやないだろうかというふうなことも考えまして、六億四千万円を計上したわけでございます。これが配付にあたりましては、よく具体的な整備を要する状況等を十分検討いたしまして、それによつて配分をする心づもりでおる次第でございます。
  18. 松尾トシ子

    松尾委員 ただいまの御説明によりますと、政府がとつておく分は、別にもうかる、もうからないを基準にしたのじやない、こうおつしやいますけれども、そうしますと、存置する分はいかような目的と、いかような事情によつておきめになつたのでしようか。それが一点と、もう一つは、たとえば六億四千万円の持参金は、これは配付する場合によく公平にやる、実態に照してやるとおつしやいますけれども、これをおきめになつたのは、算定基礎とかそういつたような数字的なものでなくて、政治的におきめになつたのですか。その点をお聞きしたい。
  19. 高田浩運

    高田(浩)政府委員 国の方に存置いたします病院を選択する一応の考え方としましては、第一はそのブロックのいわばメディカル・センター――数府県にまたがつていわゆるメディカル・センター的な役割を果すべき、そういう性格を持つに適当なということが一つ。それからもう一つは特殊な治療、たとえば温泉治療でありますとか、あるいは精神科でありますとか、あるいは整形外科でありますとか、そういう特殊な治療を主たる目的として、国家的に持つておくことが必要であるというふうに考えられておりますもの、そういつた二つの大体ものさしでもつて選択したわけでございます。  それからその次の整備費の問題でございますが、これはいわば概算でございまして、正確に積み上げた予算ではないのでございます。その意味におきまして、今申し上げましたように、この範囲内においてできるだけ適切に配分できるようにいたしたいと思つております。ただ申し上げておきたいと思いますのは、六億四千万円という金額は、これは多々ますます弁ずでありますから、あるいは少いというふうなお考えがあるかもしれませんが、従来国立病院の整備につぎ込みましたその経験等に徴しますと、六億四千万円という数字は決して少い金ではなしに、相当従来の例に比べますと多額な整備費ということになつていることを、申し上げておきたいと思います。
  20. 松尾トシ子

    松尾委員 これはなかなか地方自治庁としては大きな問題でございますけれども、平衡交付金をもつとふやしてくれとか、起債のわくを広げるとかいえば、それは別ですけれども、これも今の経済事情や大蔵省の考えではむずかしいです。そういうものと切り離して、一体厚生省はこれを地方移讓したら仕事が少くなつてよろしいと思うのでしようか。それともこのままにしておく方がいいとお考えなんでしようか。賛成者とあるいは反対者とどうなんですか。むしろ地方移譲した方がよろしいとお思いになつて、この政策に御賛成なさつたのでしようか。
  21. 高田浩運

    高田(浩)政府委員 たいへん御親切な御質問でございますが、私たちが実は考えておりますことは、全体の病院体系を整えて行きたいということが、いわば主たる眼目でございまして、そういう点からいたしますると、これはいろいろ議論のある点ではあると思いますが、従来この国立病院体系をどうするかということは一番大きな問題で、過去においてもいろいろ審議会なり、あるいは委員会等においても議論をされたのでございますが、その結論からいたしますと、大体公の病院というものは、これは県が中心でやつて行くことが一番よろしい。そうして国はその上に立つてそれを指導するような、少数の何がしかの病院をしつかり整備して、そういう体系にして行くことがやはりいいのじやないだろうか、というような結論になつているのでございます。そういう点からいたしますと、国立病院厚生省で引受けて経営することになりました経過等から考えましても、この国立病院を今申し上げましたような全体の体系に合して行くということは、国立病院経営いたしました当時からの実は問題であつたのでございますが、今申し上げましたような趣旨に沿つて、この国立病院を整備して行こうという、いわば第一着手といいますか、そういうふうに考えておる次第でございます。
  22. 佐藤重遠

    ○佐藤委員長 次は深澤義守君。
  23. 深澤義守

    深澤委員 今の国立病院地方移譲についてお伺いしたいのでありますが、提案の理由を見ましても、「今回厚生省所管の国立病院の一部を地方公共団体等に移讓することとなりましたが、」ということで、一体どういう根拠に基いて、国立病院地方公共団体移譲することになつたかという根本的な理由が、実は明確になつていないのであります。この法案を出されるに至つた根本的な理由というものを、今松尾さんにちよつと御答弁になりましたので、大体はおうかがいできるのでありますが、この地方移譲の根本的な理由というものについて、もう一度御質問申し上げたいと思います。
  24. 高田浩運

    高田(浩)政府委員 国立病院は御承知のように旧陸海軍病院を引継ぎまして、厚生省経営をいたしておるのでございますが、その当時から将来永遠にこういう形で持つて行くかどうかということにつきましては、いろいろ意見もあるし、適当な機会にはこれを本来あるへき姿に返すべきじやないかという意見もあつたのであります。また過去において、当衆議院の厚生委員会におきましても、あるいはまた参議院の厚生委員会におきましても、国立病院地方移讓というものを考うべきじやないかというふうな御意見も多々あつたのでありまして、それに対して厚生省としましては、適当な時期においてはそういうことを考えたい。ただ現在まだその時期ではないではないだろうかというふうな答弁をして参つたのでございます。と申しますのは、ただいまも答弁申し上げましたように、国全体の公の病院体系をどうするかというふうな全体の問題につきましては、やはり県が中心になつて、この公の病院経営して行くということが、一番いろいろな点から考えてよろしい。従つて行く行くはそういう形に持つて行くことがいいじやないか。国はそういつた病院をさらに指導をするような、あるいはまた特殊の目的を持つたそういう何がしかの病院経営をやつて行くということにすべきであつて、県で本来やつて行くべき性質のものを、全部国が引受けてやつて行くということは、これはあるべきで姿ではないので、適当な機会には、この国立病院というものについても、そういう形に狩つて行くべきであるということは、これは過去におきますいろいろな審議会、医療制度審議会その他の委員会等においても議論があり、大体そういうような考え方に一応なつておるのでございまして、従いまして今回の移讓措置は、そういう線に沿わんとする措置でございます。これは経済的に見ましても、先ほど申し上げましたよ、のに、従来は一般会計からかなりの繰入れをしておつたのでございますが、二十七年度におきましては、保險單価の引上げ等の原因もありまして大体経常的な経費についてはバランスがとれる状態にまでなつたのでございます。それから終戰後のいわばこんとんとした状態から、病院というものがある程度整つて、一応りつぱにやつて行くような態勢になつて参りましたので、この機会に、先ほど来申し上げておりますような本来の形に持つて行くことがいいのじやないか、そういう黄味においてこの法律案を提出いたした次第であります。
  25. 深澤義守

    深澤委員 今の答弁によりますと、医療制度については国は何がしかの特殊なものを経営し、そうして地方公共団体経営する医療設備を監督指導するという体系が、大体今の政府医療制度に対する見解だというぐあいに要約できると私は思うのであります。しかし社会保障制度の中で、この医療問題というのは相当大きなウエートを持ち、これに対して国家責任を持つという、のが、少くとも社会保障制度の根本だと思う。ところが今のお考えによりますと、国は何がしかの特殊な病院経営し、その他は地方公共団体移讓して、それを監督指導するのだということでは、これは社会保障制度の本筋と違う方針じやないか。少くとも医療というものは、国がある程度責任を持つてつて行くところに、社会保障制度の意義があると私は思う。イギリスにおきましては、義手あるいは義足の問題で、内閣の閣僚が辞職するような問題が起つているのであります。結局社会保障制度というものが、近代国家かどうかということの標準になると思う。従つて医療問題については国家が――全部ということは今の政府の段階では行けないといたしましても、ある程度責任は持つべきである。ところが何がしかの特殊な病院だけを国がやり、あとは地方移讓するということでは、社会保障制度というものに対して本筋ではないと私は考える。この社会保障制度の一番重大な役割を引受けている厚生省当局が、そういう医療制度に対する観点では、われわれは非常に心細いと思うのであります。一体社会保障制度全体の立場から、今のようなあなたの見解が、はたして筋が通つているかどうかということに対して、われわれは疑問を持つのでありますが、そういう大きな見地から、この医療制度をどうして行くことが、最も国民の期待に沿い得るものであり、社命保障制度の線に沿い得るものであるかという問題について、もう一ぺん御意見を伺いしておきたいと思います。
  26. 高田浩運

    高田(浩)政府委員 社会保障制度確立の見地から、この医療の問題が非常に重要であり、力を入れなければならないという点につきましては、お話通りでございますが、しかし社会保障の充実ということにつきましては、国だけが責任があつて地方はほとんど責任がないのだというふうな考え方は、私たちもとしてはとつていないのでございまして、中央、地方相協力してやらなければならないと思つておる次第でございます。そういう点からいたしまして、むしろ地方も十分これをやつていただき、国は国としての立場からこれをやつて行くということで、満足な結果が得られるのじやないかと思うのでございまして、社会保障制度の充実という観点から、必然的に病院は国でやつて行くということが本則であるというふりには、私らは考えていない次第でございます。
  27. 深澤義守

    深澤委員 国が責任を持つて地方は全然責任を持たないということではないのであります。神方にも現在において市立の病院もございます。県立の病院もございます。その中に一つぐらいは各県に国立病院を設けて、そうして全体の深海制度の中心になるべきようなものを持つ必要がある。ところが今度の方針によりますれば、せつかく終戦後各県に大体国立病院が出た。出たのを全部回收してしまつて地方に全部移讓してしまうということは、まつたく国がその責任を回避するということにしかわれわれは考えられない。それは国家全体の予算の上からいつて、大蔵省あたりが相当いろいろな発言権を持ち、そうして各厚生機関に対して圧迫を加えているということも、われわれは聞いているのであります。そういう政治体系の中にあつたといたしましても、この医療関係等について責任を持つ厚生省は、毅然として社会保障制度の線に滑つて医療の国による大幅負担という線は堅持すべきではないか。そうしなければ社会保障制度というものは、根本からくずれるのじやないかというぐあいに考えるのです。しかし私はあなたにいろいろなことを申し上げても、これは国全体の政策でありますから、その質問に対しましては、十分の御答弁はできないことはよく存じております。  もう一つ私がお伺いしたいのは、こうして各地方移譲してしまいますと、今度は国はそれに対する補助とか、あるいは国の負担というようなものは全然なくなるのですか。何らかの方法によつて地方移譲したものに対して、国が毎年々々ある程度支出をして行く必要があるのじやないかと考えるのですが、そういう道は全然なくなるわけですか。
  28. 高田浩運

    高田(浩)政府委員 移讓いたします病院につきましては、先ほど来御質問がありましたいわゆる整備費をつけてやるわけでありまして、その後において経常費的な経費について国の方で補助をするとかいうことは現在考えておりませんし、それから病院自体のその後の整備につきましては、これは今のところはそういう予算はないのであります。
  29. 佐藤重遠

    ○佐藤委員長 次は苫米地英俊君。
  30. 苫米地英俊

    ○苫米地(英)委員 今度長期信用銀行が発足いたすことになりますと、北海道拓殖銀行は債券の発行ができなくなるわけであります。もちろん北海道拓殖銀行は相当強固な基礎を持つて、従来も商業銀行として北海道の企業育成に努力をして来ておるのでありますが、これだけでは微力な部分があるのであります。内地方面の銀行も北海道に支店を出しておりますが、その普及率はきわめて乏しく、ある地区に限られておるような状態であります。従いまして今後北海道の金融をさらに円滑にし、強大にして行くためには、北海道拓殖銀行がさらに強化拡充されて行くことが、きわめて必要な要件であると信ずるものであります。そこで北海道拓殖銀行が今まで持つておつたところの特権を失い、純商業銀行、普通銀行として発足する場合には、銀行はどう考えておるか知りませんが、今後北海道拓殖銀行の支店を内地の各地に拡大するということが、必然的に要求されて来ると思うのであります。たとえてみれば東京、横浜、大阪、京都、名古屋、神戸というような重要都市に支店を持つということが、今後開発されて行くところの北海道の物資の交流というような立場から見ましても、必ず必要が起きて来ると思うのであります。こういう支店を設置するということについては、その各地の事情もありますので、無條件というわけにはもちろん行かないことは承知しておりますが、政府としてはこういうような必要を認めて、もし銀行が要求するときには、実情に即して支店開設を許可するという御方針でございますか。もしくは北海道拓殖銀行という名前にとらわれて、北海道にひつ込んでおれというような態度をおとりになるとすると、これは重大なことだと私は思うのでありますが、この点について大蔵省の見解を伺つておきたいと思うのであります。
  31. 河野通一

    河野(通)政府委員 お示しの点は、北海道拓殖銀行がこの新しい法案の施行とともに、一般の商業銀行に転換いたしました場合に、北海道との物資の交流その他の関係から、北海道以外の地域に相当支店網の拡充が必要ではないかというお話でありますが、この点は御意見通りだと思います。ただ問題は、具体的にどこへ、いつ店舗の設置を認めるかという点につきましては、やはりそのときどきの経済事情等をよく勘案いたさなければなりません。従いまして、今ここで商業銀行になつたあかつきにはどこどこに幾つ支店の設置を認めるかということは、申し上げる段階にまだございませんが、一般論としては今御指摘のような点は十分考えて参りたいと思つております。現在でも北海道拓殖銀行は必ずしも北海道に跼蹐しておるわけではございませんので、いわゆる内地にも店を持つておるわけであります。これらをさらに拡充をいたして参ります点につきましては、時期方法等について十分考慮をする余地があると思いますが、方針としては、十分その点はお示しのようなラインで考えて参りたい、かように考えております。
  32. 苫米地英俊

    ○苫米地(英)委員 ただいまの銀行局長の御答弁によりまして、私は安心いたしたのでございます。この時期、場所等についてはこれはもちろんそのときの情勢によるものであり、またその土地の状況にもよりますので、これを今こういうふうにということを申し上げることも無理でありますし、お答えいただくことも無理だと思うのであります。ただ一般的の原則として、もし局長のお考え通りに進んでいただけるならば、それで安心いたすわけであります。  それでは私はこれをもつて長期信用銀行法案に対する質疑を打切ります。
  33. 小山長規

    ○小山委員 長期信用銀行法案は、長きにわたつて質疑を続けて来たのでありますが、すでに質疑も終了したと考えられますので、この際質疑を打切られんことを望みます。
  34. 佐藤重遠

    ○佐藤委員長 ただいまの小山君の動議のごとく決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  35. 佐藤重遠

    ○佐藤委員長 異議なしと認めます。  本案につきましては、共産党を除く各派共同提案にかかる修正案が提出されておりますので、まず修正案提出趣旨説明を求めます。小山長規君。     ―――――――――――――
  36. 小山長規

    ○小山委員 ただいま議題となりました長期信用銀行法案に対する修正案について、修正の趣旨を御説明いたします。  本修正案は共産党を除いた各派の共同修正案でございます。修正案の案文はお手元に配付いたしておりますので、これをごらん願うことといたしまして、この際朗読を省略いたします。  修正の箇所は、長期信用銀行法自体に関するものではないのでありまして一この法律の附則で農林中央金庫法の一部改正を行い、債券発行限度を二十倍に拡張いたしておるのでありますが、これに伴いまして、この際かねがね要望されておりました同金庫の業務の拡張を認めることが適当と考えられますので、ここにこの修正案を提出いたした次第であります。  まず第一点は、農林中央金庫が所属団体のために債務保証をすることができることといたした点であります。御承知の通り農林金融の季節性からいたしまして、その資金の枯渇期に起きましては、たとえば肥料を購入するとか、水産資材を購入するとかいう場合におきまして、同金庫が系統団体の資金需要を充足し得ない場合がありますので、同金庫の保証によつて、系統団体が他の金融機関から融資を受け得る道を開いておく必要があるのであります。また債務保証が認められているときは、業者である系統団体が食糧庁から拂下げを受ける配給米等につきまして、その拂下げ代金の延納をいたしますような場合に、農林中央金庫が右延納について保証することも可能となつて参ります。資金の枯渇期における資金量の不足を補う上に、きわめて重要な機能を営むものと考えるのであります。  次に修正の第三点は、農林中央金庫が主務大臣の認可を受けて、国、公共団体、または銀行その他の金融機関の業務の一部を代理することができるといたした点であります。この規定に基き、同金庫が日本銀行の代理店となつて、国庫金の出納及び国債に関する事務を取扱つたり、あるいは地方公共団体の金庫事務を取扱うことによりまして、農漁村を対象とする所属団体に対し、納税及び国債事務の取扱いや地方公共団体の公金出納等において、大きな利便を與え得ることとなり、また農地証券の買上げ償還や漁業権証券の資金化に際し、痛感せられた不合理も解消することとなりまして、あるいはまた反面系統団体の信用向上や、貯蓄増強にも資するゆえんになると考える次第であります。  以上が修正案の概要でありますが、何とぞ御賛成あらんことを希望いたします。
  37. 佐藤重遠

    ○佐藤委員長 修正案の趣旨説明は終りました。  これより本案及び修正案を一指して討論に入ります。宮幡靖君。
  38. 宮幡靖

    宮幡委員 私は自由党を代表いたしまして、長期信用銀行法案に対し賛成の意を表明するものであります。  平和條約の発効によつて日本は法的な独立をかち得たわけであります。強く申せば独立を確保したということになるでありましよう。真の独立は、あくまでも経済自立の達成がなければ、その目的に到達しないことも当然であります。かかる観点におきまして、現下日本の経済を一瞥いたしてみますと、御承知のように資本の蓄積がまことに貧弱でありましていわゆる浅い経済という言葉で片づけられておりまして、国の経済自立の達成のために、中核的な政策は何であるかといえば、まあ金融の円滑化に大きなウエートがかかつておるということも、きわめて明瞭であります。かかる際におきましてはまさに長期資金の確保をはかりますことが、産業の合理化、輸出の振興あるいは日米経済協力の達成、東南アジア地域の開発等と、きわめて緊密な関係にあることがわかるわけであります。幸いにいたしまして政府も従来日本開発銀行とか、あるいは日本輸出入銀行という政府磯関によりまして政府資金を活用して、長期資金の調達に助成的な役割を果して参つたのでありますが、世界の実情から見ましても、政府機関というものはあくまでも民間機関の行う長期金融に対する、補足的立場にあるべきでありまして政府機関が長期資金の全部をまかなうということは、これは長期資金調達の面からいつて、常道でないと考えられておる折からでありまして、従つて民間金融機関の整備強化は急務であるということが痛感されておりまするから、今回本法案の提案を見ましたことはまことに当を得たものでありまして、まずこの点におきまして、原案に対し賛成の意を表するにやぶさかではありません。  さらに銀行制度の上から考えてみましても、長期銀行と預金銀行との業務分化を明らかにいたしまして、欧米あるいはわが国の事例、並びにかつての金融機関の運営の経験等に徴してみましても、おのおのその特徴がある。その特徴に基きます機能を、十分発揮せられるような段階に進むことは、これまた当を得たことでありまして、賛成の第二点と考えられるわけであります。  しかしながらここに反省を要しますことは、これらの長期信用銀行によりまして、日本の長期金融の調達に一生面が開かれたことは事実でありますが、これをもつて満足すべきではありません。世界各国と大きな声で申さなくても、簡単にフランス等の実情を見ましても、長期民間金融機関としては、預金銀行のほかに長中期貸付銀行と呼ばれるものが存在いたします。あるいは起業眼行と称するものが存在いたしまして、おおむね今回民間機関としての長期信用眼行を発足せしめんといたします本法案趣旨、並びにそれよりも飛躍拡大せられました業務分野をもつて活動せられておることも、われわれが反省しなければならないところであります。またイギリスにおきましても工業金融会社と呼ばれるもの、あるいは商工金融会社と言われるもの――この商工金融会社というようなものは、必ずしも純粋民間機関ではありません。イングランド銀行の出資も若干仰いで、イングランド銀行の任命する理事長が存在する等におきまして、あるいは純粋なる民間機関ではないかもしれませんが、官民合弁とでも申すべき組織におきまして、民間と政府の協力によりまして長期つ資金の調達に非常な努力を拂つておるということも、また大いに反省しなければならないことであります。また西ドイツにおきまして考えてみましても、民間長期金融機関として、興業信用銀行と称するもの、あるいは不動産抵当銀行と呼ばるべきもの、これは直訳でありますので、呼び名は悪いかもしれせんが、不動産抵当銀行、船舶抵当銀行というようなものがありましてそれぞれ特殊の産業分野に対しますところの長期資金の調達にまで、配慮をいたしておるというような制度は、十分今後とも大蔵当局におきましても御研究の上、まさに発足せんといたします長期信用銀行の趣旨を拡大普遍化いたしましてわが国の経済自立達成のために、大いに強力なる長期金融制度というものを確立せられんことを、私は切望するものであります。  さらに本法施行にあたりましては、何分にも銀行制度としては戦後におきます画期的なものでありますので、よい制度であるということだけによつて、その摩擦やあるいは不円滑な面を見透るわけには参りません。運用にあたりましては、慎重かつ綿密なる行政的な配慮を要することも必然なのであります。現在におきましてあるいは興業銀行といわず勧業銀行といわず、先ほど出た北海道拓殖銀行といわず、いわゆる二枚看板の銀行でありまして長期銀行と純粹預金銀行とをあわせ兼ねておる。これをまん中でさくわけであります。二分すると、こう簡単には申されないかもしれませんが、とにかくわけるということにつきましては、そこに摩擦のあることは当然であります。しかも預金銀行が債券発行に関する法律の廃止によつて、債券発行によりますところの資金の調達の面は閉塞せられるわけでありまして、單に預金によります資金調達を実行しなければなりません。あるいは過渡的には日銀の特融等の期待もかけておるでありましようが、これは預金銀行としての正常な道でないことは明らかであります。従いましてもし現在長期並びに預金銀行の両面を担当いたしております銀行があるとするならば、それがまた預金銀行として存続の規模を持つといたしますならば、これらに対し資金の獲得ができますように、行政的な配慮が必要であることは当然であります。その一部はすでにしばしば質疑の中に繰返されました店舗の拡充、これは何箇所、何地点に設けるというものではありませんが、その銀行の希望によりまして状況と照し合せまして、適当数を認めるという寛容さがなぐてはいけません。されどもむやみに店舗の増設によりまして、金融界におきます熾烈な自由競争によりましていろいろゆがんだ面の出ることはもとより好ましくないことと思いますから、こののりを越えない限度におきまして、十分な配慮をしていただきたいことを、くれぐれもお願い申し上げておきます。簡車な言葉で申しますならば移りかわりに対して、いやしくも特定の銀行あるいは数箇の銀行等に対しまして、特殊の圧迫が加わらぬということを私は念願しておるものであります。  さらには長期信用銀行の設立を意図せられる方々に対しましても、この画期的法制に密着する設立準備、あるいは従来の預金銀行の業務を捨てて、長期信用銀行に移行するような移りかわりの段階においては、相当複雑多岐にわたる準備段階があると思います。しかし本法案公布後におきまして、一年以内に政令をもつてその施行の期日をきめる。この配慮はまことに当を得たものとして、私どもは賛成をいたしておるわけでありますが、さてその一年以内のいつにするかということが実にむずかしい問題であります。これが長きに失しますれば、このよき制度実施を遅らすわけになります。しかしこれを急ぎまして促進するような形をとりますと、圧迫が非常に大きくなるわけでありまして、この関係はわれわれよりも当局がよく御存じであります。実情に照しまして、そうして十分なる準備を整えました上、すみやかにスタートをせしめる。準備の整うまでは十分なる指導と協力とを與えまして、この制度の円満なるスタートが切れますように御配慮をいただきたいことを、私はくれぐれもお願いいたします。  以上をもちまして長期信用銀行法案に対しまする原案に賛成の討論を終ると同時に、ただいま各派共同提案として提案されました修正案に対しましても、同様自由党を代表いたしまして賛成の意を表明する次第であります。
  39. 佐藤重遠

    ○佐藤委員長 討論は終局いたしました。  これより採決いたします。まず共産党を除く各派共同提案にかかる修正案より採決いたします。本修正案を可決するに賛成の諸君の御起立を願います。     〔賛成者起立〕
  40. 佐藤重遠

    ○佐藤委員長 起立多数。よつて本修正案は可決せられました。  次に本修正案の修正部分を除く原案について採決いたします。修正部分を除く原案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成著起立〕
  41. 佐藤重遠

    ○佐藤委員長 起立多数。よつて本案は修正議決せられました。  なお本案に関する報告書の作成並びに提出手続等につきましては、委員長に御一任を願います。     ―――――――――――――
  42. 佐藤重遠

    ○佐藤委員長 次に貴金属管理法の一部を改正する法律案国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律案昭和二十七年度における行政機構改革等に伴う国家公務員等に対する退職手当臨時措置に関する法律特例に関する法律案、及び接收貴金属等数量等報告に関する法律案の四法律案一括議題として、引続き質疑を続行いたします。質疑は通告順によつてこれを許可いたします。宮幡靖君。
  43. 宮幡靖

    宮幡委員 国際通貨基金の問題につきましては、まだ基金協定に対しまして、質疑をいたさなければならないと思う点が、二、三残つておるのでありますが、本日は特に主計局長の御出席を慣わしております。それは事はきわめて簡單でありますが、理財局長からも相当綿密な御答弁がありましたから、ある程度はつきりはいたしておりますけれども、これも新しい制度に加入するのでありますから、念のためにお伺いいたしておきたいと思いますので、その点を明らかにいたしていただけば、それでまず主計局長に対しまする質問は終ろうと思います。問題は簡單であります。言葉は申し上げようが悪いかもしれませんが、国際通貨基金の拂込みとして、日本の国債証書を寄託所に預けておく。しかしてそれが一般会計予算におきまして、支拂いを必要とする場合において、資金不足のために拂込みができない。協定の第何條か今探しておりますが、わかりませんが、その場合にその公債は日本銀行に命じて買い取らしめる、こういう條項があります。この公債は端的に判断いたしますと、政府資金不足から来ます一種の赤字公債だという疑念もあるわけであります。そうだとは断定するわけには行きませんけれども、そういう疑いがある。これは財政法第五條の但書によるものか、あるいは他の解釈によつてかような措置が法的に設けられるものであるか、その点を明らかにしていただきたいと思います。
  44. 河野一之

    河野(一)政府委員 財政法に日本銀行が引受けて公債を発行してはいけない、こういう規定があることは宮幡さん御指摘の通りであります。この財政法の規定は、国が予算を編成する場合において、いわゆる赤字公債を出してそれを財源としていろいろな経費支拂いに充てるということを、実は禁じた趣旨でございます。この具体的な設例の問題になるわけでございますが、法文を形式的に言いまするならば、これは国債の買取りということに相なりまして、いわゆる財政法にいう引受とは大分違うと思うのでございます。現在でも預金部は、日本銀行との間に公債の売買をいたしておるのでありますが、これは財政法のそういう制約を受けておらないわけであります。ただ精神においてそういうことに相ならぬかということが、宮幡さんのおつしやる趣旨かと思うのでありますが、これはこういつた場合において、もちろん国といたしましては歳出をとつて、その場合に間に合せるということが、適当であろうと思われるのでありますが、こういう趣旨の性質にかんがみまして、そういつた予算的あるいはその他の措置が、なかなかとり得ないということもございます。またこれが一般の赤字公債といたしまして、消費的な経費に充てられて、インフレを起すとか、そういつた懸念のない性質のものでありますので、必ずしも財政法第五條の精神に反しないのじやないか。かりにもしその精神に反するといたしましても、法律的にいえばこれは違つたものである。この法律でもつて財政法の特例を開いているのだ、こういうような見方もできるかと思うのであります。従いまして形式的にもまた実質的にも、財政法第五條に違反するものではあるまい、こう考えておる次第であります。
  45. 宮幡靖

    宮幡委員 お答えを聞きながら、そういう趣旨には読めるし、また読みたい心持なのであります。しかしながら、この表題の項目は円資金の不足ということなんです。通常の場合に、日本眼行と公債の売買をやるというのとはちよつと趣が違う。事が円資金、しかも理財局長説明を伺い、またわれわれの方から判断いたしましても、かかる実際の事態が起るということは、きわめて稀有の事実であろうと思う。予備的な規定にしかすぎない、こう思うのでありまして、実害の点においても、さように心配はいたしておりません。けれどももし起きたといたしますと、円資金の不足だ。買わせた公債がある。この償還計画は今度予算措置をするのかしないのか。あるいは理財局長説明によりますと、これは一般減債基金とは別個の勘定に処理されるような話にも、ちよつと受取れたのでありますが、そういう点はどうなつておりますか。もし事実にあつたとしますならば、どういうふうに処理されるのでありましようか。
  46. 河野一之

    河野(一)政府委員 これの償還に関する経費につきましては、一般会計から当該の歳出を組みまして、国債整理基金から出しましてその償還をいたしたいと思います。一般の減債基金の中に入れないで、特段にそういつた早期に償還するような措置を講じたいと思つております。
  47. 宮幡靖

    宮幡委員 それでわかりました。そういうふうにしていただいたら、まれに起きることでありますので、実際は心配なかろうと思います。その点はおおむねわかつたことにいたしましよう。  そこで次はきわめて事務的な簡單な問題でありますが、今回の拂込みをいたしまするにつきまして、日本銀行の持つております、あるいは接收せられたもので返されるものがあるかもしれませんが、そういうものの金を買い取りまして、予算面二百億をおおむね二百四十三億の状態にして拂い込む。これは二百九十ミリグラムを一円とした、いわゆる一グラム三円四十五銭ですか、その価格と現在の政府買上価格四百一円ないし五円程度の差金をもちまして、これを処理して行こう。こういう構想であることは、さきに大蔵大臣が総括的な質問をいたしたときに答えておるのであります。また理財局長もそのように答弁をせられておるのでありますが、これを一体予算及び決算の経理の過程におきまして、どういうふうに御処理されて、これが適法かつ妥当に行くのでありましようか。これは実際問題としての御説明をいただければけつこうであります。
  48. 河野一之

    河野(一)政府委員 これはごもつともなお尋ねだと思うのでありますが、二百億の出資が三百四十三億になるというところにからくりと申しますか、考え方というものがあるだろうと思います。二百億は一般会計の歳出で行く。しかし四十三億の分は、一定の価格で日本銀行から金地金を帳簿価格でやる結果、実際問題として二百四十三億の出資が行われることに相なります。この場合におきまして、決算と申しますか国有財産と申しますか、出資金の計算といたしましては、二百億は申し上げましたように一般会計の歳出から出ておるが、そのほかの超過の四十三億、これの評価はやはり現在のドルの評価によつて行われる結果、二百四十三億という財産を持つておるということに相なると思います。そうしますと、ちようど通貨基金として一般会計にあるものは二百億であるにかかわらず、それ以上になるじやないかと言われます部分は、現物出資があつた、その現物出資の評価として四十三億あるのだ。こういうふうな形式に一部を――ちよつと言葉は悪うございますが、二百億のもので一部現物を買つて、それが評価の結果二百四十三億になつた、こういうことに相なろうと思うのであります。そうしますと、国がもうけたというふうなかつこうになるのでありますが、これは第四條の二項によりまして、後に日本銀行の金の再評価というようなことがありましたときに、適当に調整が行われる。そこで損得なしになる。こういうふうな考え方をしておるわけであります。
  49. 宮幡靖

    宮幡委員 どうもこの説明は、残念ながら優秀なる主計局長の御答弁でも、宮幡なかなか納得ができないのであります。むしろこれは大蔵大臣に聞きましたら、補正をする意思がないと言つておりましたが、他にも補正をする事情が起つております。これは当初の予見する範囲におきまして見通しが悪かつたというような問題でなくいつたしまして、必然的に独立後の情勢に押されまして、予算を補正しなければならないという事態が出て来るのであります。これは私数々あると思います。従いまして補正した方が明らかになる。もつと簡單に申せば、金の差金を雑入として受けまして、二百四十三億を出資金として正常に計上する。二百億が二百四十三億の含みを持つておる。あるいは他に現物出資があつたなどということは、どうもはつきりいたさないのでありまして、この際私は何ても補正予算を組まなければならぬという、強い議論をいたすのではありませんけれども補正予算を組まずに、他に同様な措置を必要とするものに関連をいたしまして、加入後においてこれを調整せられるという御用意があつてしかるべきだと思いますが、この点についてのお考えはどうでありますか。
  50. 河野一之

    河野(一)政府委員 どうも二百億の金で、一部は金を買つてそれを出資いたした結果、それを現在評価してみると二百四十三億になる、こういうことでありますので、もちろん宮幡さんのおつしやるように、一般会計の歳出から二百四十三億をとりまして、時価によりまして金を買うというのも、一つの行き方てあろうと思います。しかし、今までのいきさつから考えまして、今申し上げるような措置とつたのでありまして、勘定としてはこれで一応けりがつきますので、さらに四十三億のものを日本銀行にやるための補正予算ということは、この際特に必要はないのじやないか。将来この第三項の規定によりまして、適当な機会においてそれを現金でやりとりをするか、あるいはこれを利益を納付させることにしてそれを帳消しにするか、いろいろな手が残されておると思いますが、現在の段階において、これを補正予算で必ずしも処理しなければならぬというふうには、考えておらない次第であります。
  51. 宮幡靖

    宮幡委員 もちろん国際通貨基金に加入することは、きわめて急ぐことでありまして、本委員会といたしましても、この緊急性を十分察知しておる。まず加入して拙い込んでサインを受ける。そうして、日本も第八順位の加入国でありますので、理事を選任できる資格が発生すると思うのであります。そういたしますならば、早く理事国になりたい。こういうことでありますから、当面は実害のない限り、どういう御処理をなさつても、あえてこれを行政処置として認めたいのであります。しかし将来の間におきましてながめました場合において、これはやはり予算、決算、国の財政の経理、処理の上におきまして適法でないということは、私は残したくない。これが私のお尋ねいたしておる趣旨なのであります。従つて金などを百二トンくらい、日銀にある全部を買い上げたと仮定いたしますと、第四條の二項に差金の処理、貴金属管理法第六條に大蔵大臣の指示する価格をもつて買い入れる、これは差金が出る、その差金はどうして一体国家は歳入とするか。あるいはこれも現物的なものを保有したというのか。これらの問題も出て来るのでありますから、本日のところは、この措置をどうしても緊急性から見て、こうしなければならないものであるという事実に押されて、私は妥当性を肯定いたしますが、どうか金の差金の全体の処理と合せまして、何かひとつ大蔵当局で適切な処理方策につきまして、一応われわれの納得することをお考えくださいまして――もちろん考えておるから、こういうものができたでありましようけれども、それをきようでなくてけつこうでありますからお示しくださいまして、近く大蔵委員会において、政府から特に発言を求められて、この点についてひとつ御発表をいただきたい。全体としての金の差金はどうなさいますか。ただ四十三億の分だけとぴつたり合えばよいのでありますが、それが過不足がある場合もありましようから、その点はどういうふうに処理なさいますか。もし何でしたらきようでなくてもよろしい。
  52. 石田正

    ○石田政府委員 お話の点につきましては、これは実際の経過を申しますと、将来理財局のままでありますならば、理財局におきましてそういう処理方式について原案をつくりまして、そうして主計局の方に会議すると申しますか、あるいは主計局の方で案をつくりまして、こちらへ会議の上きめる、こういうことになるのじやないかと思います。そこで今のお尋ねは具体的にどうなるか、こういう問題でございます。これはきわめて率直に申しまして、たとえば日本銀行の持つておりますところの金の地金の全量、これは先刻来別にお願いいたしておりますところの、接收貴金属の問題がございますが、あの場合の数量というものも、ほかの所有者との関係におきましても、一グラムの違いもなくそのまま処理ができる。かようなことを前提にいたしますならば、日本銀行の持つておりますところの金につきまして、その帳簿価格及び時価、これとの差額というものを、国家としてはどう処理するかということにまず相なります。これは各国の例等から申しまして、日本銀行がそのまま利得すべきではなくして、その評価差額というものを、国が何らかの形におきまして、国家に帰属させるような方法を講ずるのが妥当ではないかというふうに、目下のところ考えておる次第でございますが、その数額を示す、そうしてその差額と、それから今回の差額との関係をどう調整するかということに相なるのであろうと思うのであります。まあ想定をいたしてみますならば、先ほど申し上げました、日本銀行の持つておるところの全体の差額を国に徴收すると同時に、この部分の差額というものは、日本銀行に交付する、両建てによりまして、この分を相殺する。そういう方法も考えられる。それからまた日本銀行の総額のうちからこの分だけを除きました全量につきまして、差額だけを国に納付する、こういう方法もあろうかと思うのであります。ただしかしながら、先ほど来申したようなぐあいに、そのもとになりますところの日本銀行の金の問題がどうなるかということも、はつきりいたしてはおりません。それからまた同時に、今申しましたようなことは頭の中には描いておりますが、接收金全体の処理はどうするかということにつきましても、目下確定した方針政府として立てがたい、かような状況でございますので、大体筋道としてはいろいろなことが考えられますが、将来こうするのであるという具体的な方針を、ここで政府の側から進んで申し述べることは少し時期尚早であろうか、かように考えておりますので、その間の事情を御了承願いますれば、まことに仕合せであると存ずる次第でございます。
  53. 宮幡靖

    宮幡委員 今はなかなか決定的なことは言えぬ、これはごもつともであります。そこで私が申しますのは、この問題は、国際通貨基金協定に加入するかいなかの問題を、とめたり延ばしたりする理由にはならないのであります。その方はどんどん進めていただく。しかし処理自体は、その実際の問題を報告できる――たとえば日本銀行の納付金として、あるいは観念的に申せば特別納付金とでもいうのでありましようか、そういうような形でもつて処理するんだというようなことでもけつこうですから、こういうふうに処理せられたという経過を、実際に御説明のできます時期になつたら当委員会報告を願いたい。これで私の質問は本日のところは終りたいと思うのであります。
  54. 佐藤重遠

    ○佐藤委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は明二十七日午前十時より開会することとしまして、本日はこれにて散会いたします。     午後三時四十二分散会