運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1952-05-23 第13回国会 衆議院 大蔵委員会 第74号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年五月二十三日(金曜日)     午後一時四十七分開議  出席委員    委員長 佐藤 重遠君    理事 小山 長規君 理事 佐久間 徹君    理事 三宅 則義君 理事 松尾トシ子君       有田 二郎君    島村 一郎君       苫米地英俊君    夏堀源三郎君       宮幡  靖君    宮原幸三郎君     早稻田柳右エ門君    高田 富之君       久保田鶴松君  出席政府委員         大蔵政務次官  西村 直己君         大蔵事務官         (銀行局長)  河野 通一君         大蔵事務官         (銀行局銀行課         長)      大月  高君  委員外出席者         大蔵事務官         (主税局税関部         調査統計課長) 藤田  茂君         参  考  人         (日本勧業銀行         副頭取)    浜口 巖根君         参  考  人         (北海道拓殖銀         行代表取締役頭         取)      廣瀬 經一君         参  考  人         (三井船舶株式         会社取締役社         長)      一井 保造君         専  門  員 椎木 文也君         専  門  員 黒田 久太君     ————————————— 本日の会議に付した事件  長期信用銀行法案内閣提出第一一三号)     —————————————
  2. 佐久間徹

    佐久間委員長代理 これより会議を開きます。  本日はまず長期信用銀行法案を議題といたします。本案に関しましては、参考人の御出席を願つておりますので、この際参考人方々より本案についての御意見を聽取いたしたいと存じます。本日御出席参考人の名簿はお手元に配付いたしてありますが、一部変更がありますので、念のために朗読いたします。三井船舶株式会社取締役社長一井保造君、日本勧業銀行頭取浜口巖根君、北海道拓殖銀行代表取締役頭取廣瀬經一君、以上三名であります。  参考人方々におかれましては、本案についての忌憚のない御意見の開陳をお願いいたしたいと存じます。それから発言時間は御一人大体三十分以内でお願いいたしたいと存じます。  それではまず日本勧業銀行頭取浜口巖根君にお願いいたします。
  3. 浜口巖根

    浜口参考人 私はただいま御指名のありました勧業銀行の副頭取浜口でございますが、お求めによりまして、長期信用銀行法案に関しまする勧業銀行意見を申し上げたいと存じます。  まず第一に、長期信用銀行法制定せられまして、金融機構整備しようとせられまする今回の御構想につきましては、後に申し上げまするように、その実施の時期につきましては、いまだやや時期尚早のように考えられるのでございまするけれども金融政策の遂行上、これを実施せられることに御決定に相なります場合におきましては、これに順応いたしまして、あえて反対をいたすものではございません。今回の金融制度整備にあたりまして、債券発行法は廃止せられることとなつておりまするけれども、この債券発行法制定せられました当時の事情を顧みてみまするに、昭和二十四年三月復興金融金庫の貸出しの停止に伴いまして、長期金融円滑化の問題が緊急の課題として取上げられました。産業界金融界、各方面におきまして論議せられました結果、債券発行法制定によりまして、一般普通銀行に対し債券発行機能を與え、これによりまして長期金融の促進をはかられたのでございます。これは当時の諸般の事情に即応いたしました、きわめて適切な制度であつた考えられるのでございます。当時当行におきましてもこの制度趣旨を体しまして、大方の要望にこたえまして、その特殊技能経験を生かしますることが適当と考えまして、同法によりまして、昭和二十五年の六月以来債券発行を再開いたしまして、わが国長期金融機関の一翼といたしまして、いささか長期金融疏通に貢献をいたして、今日に至つた次第でございます。この間債券発行を続けて参りました興業銀行北海道拓殖銀行及び勧業銀行債券発行高の累計を申し上げますと、債券発行法制定以来本年の三月末までに、実に一千二十四億円に達しまして、民間長期金融機能はおおむね順調に発揮せられまして、さして支障なく今日まで推移して参つたものと考えられるのでございます。従いまして今日にわかにこの制度を変更する必要は、特にこれを認められないのでございまして、この制度の切りかえによりましても、現在の金融情勢に照しまして、長期金融機能が増大することは期待しがたく、むしろかえつて一時的には低下のおそれがあるのではないかと懸念せられる次第でございます。私ども銀行経営者立場から考えますると、新設せられます民間長期金融機関が存続発展いたしますための経済の基盤は、現在のところいまだ薄弱のように思われます。たとえば現在の債券発行によりまする長期資金の調達が、量的にもまた発行條件においても、きわめて困難かつ不利である点等があげられるのでございます。これらの点は、今後なお早急に改善せられることは期待しがたいのでございまして、従いまして民間専門金融機関経営は、決して容易なものではないと考えられます。こういう際におきまして本法制定いたし、新制度早急樹立をはかられるにあたりましては、政府当局におかれましては、よほどの援助的な御措置を講ぜられる必要があろうかと考えます。たとえば運用部資金等政府資金を可及的多額に、しかも長期かつ低利な條件によりまして、新設の長期信用銀行に投入せられることが必要であり、また日本銀行等の格別な資金的の援助を仰ぐことも、やむを得ないという実情ではないかと存じます。このような一連の保護育成策が講ぜられまして、初めて長期信用銀行の円滑な運営が期待せられるものと考えられるのでございます。  次に申し上げたいと存じますことは、先ほども申し上げました通り制度の切りかえられまするにあたりましては、わが国長期金融機能低下は極力これを避けるべきでありまして、この間長期資金供給力が鈍るようなことがございますると、産業界に至大の影響を及ぼすのでございまするから、この点につきましては十分な御配意をお願いいたしたいと存じます。  最後に、今回の構想勧業銀行との関係につきまして申し上げます。勧業銀行は、預金銀行業務を主体といたし、それに加えまして長期金融をも営んでおる現状でございますが、今回長期信用銀行法が施行せられるあかつきにおきましては、現在の当行業務の重点が一般商業銀行業務の方にありまして、取引先との関係業務内容等、すべての点にかんがみまして、債券発行をやめまして純粋普通銀行の道を選ぶ考えでございます。しかしながら、わが国長期金融機関一つとして貢献いたして参りました勧業銀行の五十余年の歴史と、勧業銀行技能経験とにかんがみまして、新しい長期信用銀行の創立につきましては、十分御協力を惜しまないことは申すまでもございません。なお勧業銀行がこの制度の切りかえに順応いたしまして、純粋普通銀行になるにあたりまして、従来長短両様機能を有しておりましたものが、短期間の間に長期金融部門を失うことになるのでございますので、経理的にもまた資金的にも、ある程度影響があることが考えられるのでございます。これを補いますには、迅速的確に普通銀行としての体制を整えることが必要でございまして、これらの点につきましては、この際政府当局初め皆様の御理解のある御配慮を、お願いいたしたいと存ずる次第でございます。  私から申し上げますことは、簡單でございますけれども以上でございます。
  4. 佐久間徹

  5. 廣瀬經一

    廣瀬参考人 私、北海道拓殖銀行廣瀬でございます。お見知りおき願いたいと存じます。  長期債席銀行法案趣旨は、長期金融短期金融とを区別する趣旨だろうと存ずるのでありまして、その意味におきまして、私どもといたしましては当初より賛意を表しておる次第なんでございます。そして何とかこの法案の成立せられんことを、むしろ希望いたしておる次第でございます。ただ北海道につきましては、御承知通り未開発の面がたいへん多いのでございまして、特にこの長期資金必要性が多いと思われるのでございます。従いまして、中央的な考え方だけではなかなかむずかしい面もあると考えるのでありまして、北海道については例外的にこの長期金融兼営ということを認めていただきたい、かように存じまして、北海道拓殖銀行といたしましては、そういう意見当局に陳情いたしておつた次第でございます。しかしながら最近に至りまして、新聞の報道にもございますが、御当局におかれましても、このわれわれの主張にこたえられて、北海道特殊性あるいは重要性ということについて、認識を深めていただいたのではないかと存ずるのであります。当行兼営をやめても、なお北海道長期金融支障がないような道をお考えくださらなければならぬ、かように考えているのでありまして、御当局においてもこの点についてはお考えいただけるものと確信をいたしているのであります。もともと拓殖銀行といたしましては、当行自体立場からこの兼営を主張して参つたわけではないのでございまして、北海道長期金融を円滑に取進めるという意味において、拓殖銀行兼営をいたしました方がよろしいのではないか、かように考えて参つたのであります。従いまして、この兼営よりかわつた方法において、北海道長期金融疏通する道が開かれるならば、私どもはそれでさしつかえない、それでけつこうであるというふうに考えておるのでございます。先ほど勧業銀行浜口さんからお話がございましたように、ここに新しい長期信用銀行が生れるというふうなことがございますならば、拓殖銀行といたしましても、従来の経験に徴し積極的にこれに協力をいたしまして、北海道といたしましては、多数の店舗を持つております当行といたしまして、十分な協力の実を上げて、北海道長期金融に対して、将来従来以上にうまく行くようにというふうに考えておる次第であります。またこの法案が通過して施行せられますならば、拓殖銀行といたしましては、もちろん長期部門を捨てまして、普通商業銀行として将来進んで行く考えでございます。しかしながら普通の商業銀行といたしましても、また長期的な資金も出し得ないわけではないのでありまするから、その点につきましても協力を続けて参りまして、北海道として最も必要といたします長期金融疏通ということに盡力をいたしたい、かように考えておる次第であります。どうぞよろしくお願いいたします。
  6. 佐久間徹

    佐久間委員長代理 ちよつと申し上げますが、いま一名の参考人であります三井船舶社長一井保造君が少し遅れるようでございますから、ただいま御両名から御説明がございましたので、両氏に対して質疑がありますならばこれを許します。
  7. 宮幡靖

    宮幡委員 わざわざ当委員会に御出頭を願いまして、参考意見を聞かせていただきまして、法案審議の上に非常に参考になつたのであります。そこで日本勧業銀行及び北海道拓殖銀行という両得のお立場から申しますと、長期信用銀行という制度には、根本的には異論を申すものではない、将来は長期部門を捨てまして、あるいはその中でまかない得る長期金融もまかなうけれども純粋預金銀行として存続をして行きたいという気持を持つておる、こういうことに要約されるようでありまして、この点は両行ともやや同じお考えであろう、こう拝察するのであります。そこで両行別々に二、三——疑問と申しては失礼ですが、はつきりしないところがありますので、お伺いいたしてみたいと思います。  日本勧業銀行浜口さんにまずお尋ねいたしますが、お言葉の中に、時期尚早という言葉をお使いになつておりまして、制度としては必ずしも反対はしないが、これをすぐやつてよいか。もし早期に実施するような場合がありとするならば、かえつて長期金融円滑化よりも、若干長期金融が鈍る、こういうおそれさえあるのであつて、時期尚早考える、こういう言い方になつてつたようであります。尚早という言葉はきわめて常識的に使われまして、私はよい言葉だと思いますが、しかしこういう法律の上で考えて参りますると、單に尚早だけではどうも割切れない。尚早だからといつて三年も四年も待つならば、いまさらかような法制を審議する必要もなかろう。一日か二日でよいということならば、少々無理をしてもやらなければならない、こういう事態になりますので、尚早という意味深い言葉のほんとうの気持を、はなはだ失礼ですが、少し具体的に伺うことができましたならば、それは何月何日という暦によつたものでなくてよいが、おおよそこの程度のものがあつたならば、移りかわり段階ができて、従来の得意先、あるいは興業銀行と並んで勧業銀行長期金融をまかなつて来たという大看板に対しましても、はずかしからぬところの移りかわりができるのだ、こういうようなお見通しがありましたら、この委員会は率直に皆様意見を伺いたいのでありまして、もちろんここで発言せられました皆さんの言葉は、おそらく国会議員が保護されていると同じように、院の外において責任を負うべき御意見でなかろうと思います。従いまして御自由な立場で、尚早というものの中味をもつと見せていただきたいと思うのであります。はなはだ失礼ですが、ちよつとお答えをいただきたいと思います。
  8. 浜口巖根

    浜口参考人 ただいまの御質問に対しましてお答えをいたします。このたびの長期金融制度実施につきましてあえて反対するものでない、ただ時期尚早であるということを申し上げたのに対しましての御質問でございますが、どのくらいたつたならば尚早でなくなるかということは、どうも私からはつきり申し上げられないのでございまして、いろいろ国際情勢、あるいはそれに伴いましての世界経済情勢わが国経済情勢等によりましてきまることでございますので、三年たてばよいとか五年たてばよいとか、そういうことは今申し上げかねるのでありますが、ただいまの情勢は、少くとも長期債券発行するのに不便でもありますし、貨幣価値関係見通し等がまだはつきりいたさない点もございまして、長期債券を引受けるという人があまり多くあることを望めないのでございます。それと、條件等につきましても、長期であるかわり相当利率が高くなければならないとか、そういうような点につきましていろいろ不利な点がある、そういうことを今申し上げたのでございまして、こういう情勢がいつまで続くかということは、私からはつきり申し上げることはできないのでございます。
  9. 宮幡靖

    宮幡委員 私のお尋ねが悪かつたことと思いますが、もつと率直に言えば、本法の公布はいいが、施行はいつごろになつたら適当と考えているかということを——もちろん現段階において、現在の情勢においてどのくらいたつたならば、純粋預金銀行として発足する準備態勢が整うか、その時期尚早という言葉につなぎをつけてお伺いいたしたのであります。その点につきまして、簡單けつこうでございますから、お気持を伺いたいと思います。
  10. 浜口巖根

    浜口参考人 勧業銀行が、どのくらいたつたならば、純粋預金銀行として健全な経営をやつて行けるようになるか、という見通しを聞きたいとおつしやるのでございますか。——これはなかなかむずかしい問題でありますけれども、私の考えでは、自分銀行だけのことで申し上げておつたのではなかつたのでございますが、勧業銀行がどのくらいしたらいいかということは、結局資金の量がどのくらいふえるかというようなことに関係して来るわけでございます。どのくらいしたら、預金がどのくらいふえて、国の予算がどのくらいふえるかということもあると思います。今後どのくらいたつたらどのくらいふえるかというような見通しは、今のところちよつとはつきりつけかねるのであります。ただいまは預金が約七百億から七百五十億くらいの程度に行つておりますが、将来のことは今のところちよつとわかりません。あるいはこのままとまつてしまうかもしれません。今すぐに上つた場合は、その程度預金をもつて営業して行かなければなりませんので、ある程度影響があると思います。将来のことはどのくらいふえますかわかりませんので、はつきり申し上げかねます。
  11. 宮幡靖

    宮幡委員 これは聞き方と答え方の問題でありまして、お気持はわかるのでありますが、どうも私の知らんとします一体実施期をいつにしたらいいかということの核心に触れての御答弁は、不幸にしていただけないのであります。別に追究申し上げませんが、また追究申し上げる失礼もいたすべきでないということも心得ておりますから、重ねてはお尋ねいたしませんが、ただいま参考意見を述べられた中に、移りかわりにつきましては、一時的には長期金触が鈍ることになるのであつて政府当局のしかるべき援助措置を要することは必至である。たとえば資金運用部資金を潤沢にまわしてもらつて、コストの低い資金を獲得さしてもらう、こういうような手も打たれなければならないし、日本銀行特融の面においても何かカバーしてもらわなければならぬのである、こういうことをあなたは率直におつしやられておつたはずであります。こういう対策をめぐつて、こういうことがどの程度できたならばどのくらいの準備段階まで進むのだということは、何かの御事情で率直簡明に仰せられることを控えておられるのかもしれませんが、その次の用意というものについては、ただいま私が復調いたしましたような構想を述べられておるのでありますから、実施の時期は今は早い。しかしいつごろはいいだろうというようなことくらいは、御構想の中にあると私は推察するのであります。と同時に、預金銀行として継続して行きたい。別途長期信用銀行としての設立、発足等についても一つ考え方は持つておるのだ、こういうふうに述べられておるのでありますが、預金銀行として継続して、しかも今七百数十億の預金を持つておるが、これはますますふえて行く。預金吸收の面においてはどういうことをしたらいいか、これについては残念ながら具体的な御案がなかつた。しかし今までは、戰前の慣例から申しますと、勧業銀行はあくまでも特殊な銀行でありまして、これを使命といたして参りました関係上、全国的に見まして資金吸收いたします網と申しますか、この点においては他の一般市中銀行とは趣を異にしておる。具体的に言えば、ちようど先般東京銀行債券発行をいたさなければならないような状況になつたと同じようなこと、すなわち全国の各地店舗が散在施設されておらない。従つて地方資金吸收とか、あるいは各地にあります一時的な預金吸收いたしまして、これを運用する部面において欠けておる。現実の問題としてこれが東銀債発行しなければならない最大の理由である。従つて勧業銀行についても私どものかつてな推測かもしれませんが、純粋預金銀行として生命をつないで行きたい、あるいは繁営を願つて行きたい。しかして企業家にも、あるいはあらゆる階層から喜ばれるよき金融機関として続けて行きたいということになるのは——勢い資金の集めやすいということは、政府の特段の措置といわれます資金運用部資金日銀特融というようなことを離れれば、もはや支店を比較的自由に各地に設けさしてもらうということに、結論されるではないかと私は存ずるのであります。抽象的なお言葉でなく、預金銀行として継続して行く場合におきまして、支店設置がぜひ必要である。もし御構想があるなら、こことこことこのくらいのものはぜひ設けさしてもらわなければ、移りかわりができないのだくらいのお気持は、あなたにはあると思います。しいて私は御意見を聞こうとは思いませんが、別にそうさしつかえのあることではなかろうと思いますので、もしおさしつかえなければ——地名までは言えないかもしれませんが、このくらいの数の支店はほしいとか、支店設置が必ず認められるということが一つ條件になるのだ、というくらいのことを仰せられましたならば、この際記録にとどめたいと思いますので、お述べをいただきたいのであります。
  12. 浜口巖根

    浜口参考人 ただいまの御質問お答え申し上げます。  勧業銀行純粋普通銀行になりますとどういうさしつかえがあるか、それを除去するにはどうしたらよいかということは、私ども非常に考えなければならぬことであります。御承知通り私の方の銀行は、先ほども申し上げましたように、長短両方金融をやつておりました関係上、店舗網の形でございますが、そういうものとかいろいろな点につきまして、また普通銀行としての完全な態勢を整えるまでに至つておりません。それでございますから、今後そういう点につきまして自分でも努力をいたしますが、大蔵当局日銀その他関係方面から、特別の御援助を願わなければならない部面も出て来ると思うのであります。その中で特に私ども必要であると考えて、御要望を申し上げなければならないのは、店舗網整備ということでございます。勧業銀行は今申し上げましたように、長短両方金融をやつておりました関係で、店舗網は他の大銀行大分違つております。御承知のように預金を集めますには、資金のたくさん集まるところに店舗がたくさんなければならない。それはどういうところかと申しますと、大都会でございます。大都会面積が狭いのでございますが、狭い面積の割に資金が集まりやすいのであります。他の大銀行は大都会に非常にたくさんの店舗を持つております。ある銀行のごときは、その半数を東京市内に持つておる。六大都市における大銀行店舗数勧業銀行店舗数と比較いたしますと、およそ四倍くらいになつておる。そういうように私ども銀行大都市店舗が少いのでありまして、預金吸收するのに非常に不便になつております。これをまず整理いたしませんと、預金銀行としての態勢が整いませんので、資金吸收の面におきましても、また融資の面におきましても、非常に不利な態勢にありまして、ハンデイキヤツプを背負つて営業をやつて行かなければならないのでございますから、今度純粋預金銀行になりました際には、そういう点につきまして、私の方といたしましてはぜひ店舗網整備拡充をしていただきたいという考えであります。大蔵当局におきましても、この点につきまして事情をよく御了承くださいまして、御理解ある御考慮をくださるものと確信しておる次第でございます。
  13. 宮幡靖

    宮幡委員 その点はよくわかつたと申し上げてさしつかえないと思います。ただ私はまだそれだけでは理解ができないのでありまして、理解ができない方がぼんやりしておる、こういうことになるかもしれませんが、一般大都市支店を設ける必要性ということは仰せの通りであります。と同時に、支店を置きまして、零細なものかもしれませんが、地方資金中央へ集めてそのかたまりを長期資金に使う、あるいは短期資金に使うというのが、世間で非常に非難を受けます資金集中政策であります。大銀行は偏在した地方から金を集めて中央に集中して、これを大企業にのみ融資して地方へ散布しない。こういうことが大きな声で申せば、一つの国民の怨嗟の的とでもいうべきものであります。その系統をたどつてみますと、地銀との関係におきまして、今は昔のようにはつきりしたものはないのでありましようが、系統銀行——その方法は、たとえば地方銀行勧業資金をコール市場を通じて調達するという場合もありましよう。あるいは預金の形で受ける場合もありましようが、とにかく昔の観念におけるところの親銀行子銀行、こういうような関係におきまして、現在勧業銀行はさような系統をお持ちになつておりますかどうか、あるいは相当の期間を置きましたならば、そういうつるができるものであるかどうか、このお考えをひとつお聞かせ願いたいと思います。
  14. 浜口巖根

    浜口参考人 ただいまのところそういう系統金融機関を持つておりません。将来そういうことができますかどうか、ちよつと今はつきり申し上げられないのでございますが、御了承願いたいと思います。
  15. 宮幡靖

    宮幡委員 はつきり申されないとしましても、そういうこともして資金を集めようというお気持はお持ちになつていますかどうか。
  16. 浜口巖根

    浜口参考人 私の方は、幸いにいたしまして地方にはまんべんなく支店網を持つております。支店におきまして相当資金吸收いたしておりまして、ある場合にはこれを中央にもまわしまして運用しておる、そういう関係がありまして、地方におきましては、不本意ながら地方銀行との摩擦も起ることが相当あるのでございます。そういう預金の競争ということになつておりますので、地方のそういう銀行から預金をもらつてまわすというようなことは、なかなか考えられないことじやないかと思うのでございます。
  17. 宮幡靖

    宮幡委員 あまり長くお尋ねするのも失礼でありますので、要点をひとつ要約してお伺いいたしますが、御意見によりますと、まあ支店を設けるという必要性は痛感せられておる。しかし支店設置場所はおおむね大都市をねらいとしておつて、もしこれでもつて資金の調達がうまく行かないという場合の、他の移りかわりの支柱となりますものは、あくまでも政府当局の好意的な援助措置である、こういうことに要約されるようでありますが、そう考えてよろしゆうございますか。
  18. 浜口巖根

    浜口参考人 もちろん自分でも努力をいたしますが、自分の努力だけではなかなか困難な点があると存じます。ただいまも申し上げましたように、店舗網を拡充整備していただくということが一番大きな眼目でございますが、その他お尋ねでございますから、少しこまかいことでございますが申し上げますと、この移りかわりの際におきましては、今までは債券資金を集めて長期資金を融通しておりましたが、それが急に債券発行できないということに相なりますと、債券の償還というものはそれに見合う長期融資をもつて償還をいたさなければならないことになつておりますけれども、契約は債券の償還期限と見合いまして貸出しをやつておりますから、その通りつて来ればさしつかえないのでございますが、とかく延滯がちになりやすいものでございますから、いろいろ経済情勢の変化、企業経営の都合によりまして、償還ができないようなものもできて来るごとと存じます。そういう場合に、債券の償還の時期とそれから資金の回收の時期とが時間的にずれることも、想像せられるのでございますが、そういう場合におきましては、極力銀行といたしましても努力いたしますが、やむを得ない場合には、ある程度の御援助を仰がなければならぬこともできて来るかと存じます。こういう点につきましては、もちろん常識的なことでございますので、今から特に大蔵当局にお願いしておかなくても、その場その場になりまして、十分御理解のある御協力を願えることと確信しておる次第であります。そういうことがどうしてもできない場合に、回收を強行することになりますと、産業界に思わぬ悪い影響を及ぼすものでございますから、そういう場合には御援助を願わなければならぬこともあるかと存じます。
  19. 宮幡靖

    宮幡委員 その点は非常によくわかつて参りました。そこで、なおくどいようですが、念のために伺つておきます。そうすると勧業銀行としましては、預金銀行として発足して参る。発足というより継続して営業を続けて行きたい、債券は返して行く、こういう建前になりますが、今のお話で聞きますと、大体貸し付けた金も見合いになつておるので、順調にとれれば大したものではない。あるいは時間的なずれによりまして、債券の償還ということにつまずきができるかもしれません。そのときにはもう当然かつ実際におきまして、当局のしかるべき御処置があるものだと期待しておる。こういう意味でありまして、私もその御意見には——もしそうでなかつた場合の方をおそれるのでありますから、そういう処置を現在の大蔵省としては行政的にとられるものであるということは、私自身もこれは期待しておるわけでありまして、その辺で行けるのではなかろうかと思つております。  そこで最後にお尋ねいたします。すでに法律案は御通読を願つたものといたしまして、附則の第一項に「この法律中附則第二項の規定は、公布の日から、その他の規定は、公布の日から一年以内で政令で定める日から施行する。」ことになつておるのでありますが、両院の審議手続を終えまして、公布された日がかりに七月一日であつたといたしまして、それから一年以内に政令で施行の日をきめるのでありますが、こう法律にはつきり書いてあるのでありますから、今までいろいろ御無礼なお尋ねもいたしましたし、率直なお尋ねもいたしましたが、その間の事情をあわせ考えまして、この一年以内で政令で定めて施行する時期がいつであつたならば——先ほどは暦によらず御答弁を願いたいということを申し上げましたが、今度は七月一日という発足日を予定してのことでございますから、そうしたならば、何年の何月に発足してもらつたならば、今まで話して来たようなことがおおむね達成できるのではなかろうか、こういうお見通しがあるべきだと思いますが、この点もしお話がいただけるならば、本案の審議上非常に楽になつて来ますから、ぜひおさしつかえない程度でお聞かせ願いたい。
  20. 浜口巖根

    浜口参考人 お答えいたします。法律が七月一日に公布せられまして、一年以内に施行せられるということで、いつ施行されたら一番都合がいいかというお尋ねでございますが、法律が公布せられましてから施行せられるまでの期間は、あまりに長いとかえつてよくないと私は思います。これはまああまり正確に計算したのではございませんが、大体早くとも今年の終りか、四月一日ぐいらからであるとちようどいいのじやないかと考えます。それは残る短期金融をやるところの勧業銀行の都合と申しますよりも、新しくできる銀行の設立の準備のために、相当の期間が必要じやないかと考えますからでございます。それから四月一日と申しましたのは、決算が三月三十一日でございますので、そういう関係もございまして、四月一日ぐらいがいいのじやないかというように考えております。
  21. 宮幡靖

    宮幡委員 決算という言葉が出ましたから、その言葉に関連して、ひとつほんの簡單なことですが、お尋ねしておきます。決算は九月三十一日にもあるわけであります。従いまして十月に発足ということは準備ができないという意味でありますか。
  22. 浜口巖根

    浜口参考人 そうであります。十月ではとても準備ができないと思います。
  23. 宮幡靖

    宮幡委員 それでは勧業銀行の方へはこれでやめまして、北拓の方へほんの簡單でありますが、お伺いいたしたいのであります。これは同僚苫米地委員が非常に心配しておるところでございまして、同委員が日本の一番の未開発地域北海道の開発、並びによい意味で申しますところの北海道を愛する郷土愛、こういうことから非常に御熱意を持たれておる。きようはどういう御都合か御出席がないのでありますが、それで債権発行を廃止いたしまして純粋預金銀行として行く。できる限り資金を広範に集めて、そして一部分は長期金融をまかないたいという御意見は、まことにけつこうだと思いますが、その間におきまして債券発行にかわる何らかの措置を期待しておる、こういうように聞えました言葉があるのであります。何とかして北海道長期金融円滑化をはかる措置が講ぜられなければならないはずである、こういうふうな言葉があつたようであります。速記録を読み返してみてお尋ねすればなお正確でありますが、北海道特殊性を認め、そして運用資金にさしつかえのないことは、当局考えていただけるものである、こういうふうな言い方をせられておりました。そこでこの問題は具体的に——法律じやないので、あくまでも行政措置でありますが、何かそういうことについて、ここに銀行局では銀行局長さんが見えておりますが、何か具体的にお話合いがあつて——苫米地委員を初めといたしまして、われわれ大蔵委員が安んじて北海道長期金融資金に事欠かぬのだ、こういうような安心感を持ちまして、この法律の審議を全うするというふうなかてにもなるのでありますから、おさしつかえない程度でその御構想を、むしろ具体的にひつとお話を承りたいと思います。
  24. 廣瀬經一

    廣瀬参考人 お答え申し上げます。拓殖銀行が債権発行をやめました折に、それにかわるべき北海道長期金融を円滑ならしめる措置はどうか、こういうお尋ねだと思います。この点につきまして、私はまだ御当局から何のお話も伺つておりません。しかし新聞紙上等に散見いたりしますことにおいて、承知をいたしておる程度にすぎないのでありますが、ただ御当局とせられましても、誠意をもつてこの点は考えようということは伺つておりまするし、前の金融制度懇談会の答申の中にも、北海道の特殊事情にかんがみて、北海道長期金融については、阻害せざるような愼重な考慮を払うという附帶條件がついておりますので、さような点でお考えをいただけるものと確信をいたしております。
  25. 宮幡靖

    宮幡委員 その期待しております長期金融円滑化をはかります資金の供給は、御期待されるその気持はよくわかるのですが、一体その資金のねらいが財政資金——これは悪い言葉でありますが、政府資金を日当としてのお考えですか。あるいは政府資金といわず、あらゆる資金を総合的に考えての御構想ですか。この点が、実ははつきり申しますと、北海道という特殊な地点に重点を置きまして、北海道拓殖銀行だけの保護のために国家の財政資金、準財政資金等をここに偏重して活用いたしますことは、国会の立場から見ますると、あるいは公平の原理にそむくかもしれません。北海道の開発庁を置きまするゆえんも、北海道の開発の必要性を痛感してのことでありまして、これに伴います当然の資金——しかしながらこれに附帶して活動を続けて参りました北海道拓殖銀行長期金融制度の発足にあたりまして、移りかわりを補足いたすために何らかの処置を打つたということが、もしさような非難の言葉に当ることでありますと、これは大蔵当局が誠意をもつてやるなどと約束しましてもできにくいことです。そこでただいまのところでは、まことに予想でありますので的確な御意見はないのでありましようが、どういうふうな程度において政府が誠意を示してもらえるのだろうか。その御期待の内容をちよつとでも伺つておりますと、われわれがこの法律案に賛成したり反対したりする立場が、非常に楽になつて来るのであります。そういう気持でもし速記録におとどめになつていけないという点がありましたら、速記録におとどめくださらなくてもよいのでありますから、その点をはつきりひとつお伺いいたしたいのであります。
  26. 廣瀬經一

    廣瀬参考人 お答え申し上げます。北海道長期資金はどういうものが必要か、こういうお話でございます。政府資金であるかあるいは民間資金であるか、かような御質問だと思いますが、北海道といたしましては、すでに御承知いただいておりまする通り、未開発のために、まず第一には交通とか電力とかいう公共事業に、長期資金をつぎ込む必要があると思うのです。これは主として公共事業のものでありまして政府資金だと思います。政府資金として公共事業に対する資金を潤沢に供給していただく、かようなことがまず第一だと思います。いま一つは、いわゆる一般金融べースに乘りにくいものもあるのであります。それは未開発なるがゆえに、ただちに乘らないまでも、非常に長期なものでなければならぬというふうなものもあるのであります。そういうものにつきましては、たとえば開発銀行資金というような、一般市中銀行と違つた意味の性質の資金も、これも必要とするのであります。この長期資金も非常に必要といたします。なおそのほかに一般民間資金と申しますか、普通銀行長期資金、いわゆる今回できまするような長期信用銀行による長期資金、かようなものももちろん必要であります。そういう意味におきまして、いろいろな意味が含まれておりまして、長期資金は特に北海道において必要である、かように考えておるのです。ただ最後にお話がございました、あるいはこの際に拓殖銀行を擁護するために云々ということは、絶対にございません。私ども考えておりますのは、最初も申し上げました通り拓殖銀行立場から兼営を主張して参つたのではないのであります。北海道長期金融がうまく行くがどうかという点にのみあるのでありまして、銀行立場というものは全然ございませんから、さよう御了承願いたいと思います。
  27. 宮幡靖

    宮幡委員 最後の一点として伺います。ただいまの御意見でまことに気持が楽になりました。さすが北海道拓殖銀行であると、私は賞讃の言葉を惜しまないのであります。(笑声)これは事実笑いごとでなくてさように思います。おそらくこの御意見が世間に伝わつたとするならば、今まで皆さんが御存じあつたかどうか知りませんが、何かそこに特別な空気があつたように察知いたされますことが払拭されるであろうことを、私は第一に喜ぶのであります。そこでさらに最後の一点として、これはまことに兒戯にひとしいお尋ねかもしれませんが、先ほどのお言葉の中で、開発銀行資金が、札幌あたりに支店を設けるといなとにかかわらず、とにかく開発銀行資金が投入される。また他の長期信用銀行資金が投入される。そういう場合において北海道拓殖銀行は、その供給されました資金北海道拓殖銀行預金となりまして、その預金の歩どまりということを利用する余地があるかどうか。この点について、現在のところでけつこうですが、お聞かせ願いたい。長期資金が、他の政府機関から流れるところの資金が、一時北海道拓殖銀行のどこかの店舗において滯留いたしまして、預金歩どまりによつて何らか潤うところがあるかどうか、あるいはこういうことに期待がかけられておるかどうか、こういうことであります。
  28. 廣瀬經一

    廣瀬参考人 ただいまの御質問お答え申し上げます。いわゆる公共事業に投ぜられる政府資金とか、あるいは開発銀行資金、あるいは長期信用銀行資金というものが北海道に投入された場合に、拓殖銀行としてそれで潤うかどうかという御質問だと思いますが、ただちにそれが拓殖銀行預金になるとかという性質のものではないと考えます。ただしかし北海道資金が投ぜられますということは、北海道経済を豊富にいたします。従いましてまわりまわつて北海道経済が進んで参りますならば、自然に北海道を基盤としておる銀行としては助かることはあると思いますが、直接にその金が拓殖銀行に滯留するということは考えられません。
  29. 宮幡靖

    宮幡委員 これでもつて質問は終ります。
  30. 佐久間徹

    佐久間委員長代理 次に三井船舶社長一井保造君にお願いいたします。
  31. 一井保造

    一井参考人 本日議題と相なつておりまする長期信用銀行法案につきましての私の意見を率直に申し上げます。  結論から申し上げますると、私は長期信用銀行法案制定につきまして賛成をいたすものでございます。戰争の結果多くの産業は資本の蓄積を失いまして、しかも急速に産業の復興をはからなければならないこの現状におきまして必要な資金、特に多額を要します設備資金につきましては、現在におきましては主として普通銀行にこれを仰いで起ります。これが運用面におきまして、ある程度でき得る限り円滑に参りまするように、具体的な措置を講ずるとしましても、この際国家の金融体系におきましは、はつきりと長期信用を供與する方策を講ぜられることが、適当であると考える次第でございます。これは單に産業方面だけではなく、金融機関の側におかれても、おそらく好都合であると考える者でございます。  次に長期信用銀行設置につきまして、若干私の希望的意見を申し上げたいと存じます。長期信用銀行においては、必要とする資金源を主として債券発行に求められると存じまするが、この資金源につきまして産業方面から希望するところは、でるだけ資金の量の多いこと、並びに信用供與の期間が長くて、また金利もできるだけ低いことを望むということは当然でございまして、できるだけ産業方面の必要に応じて御考慮をお願いいたしたいと存ずるものでございます。さらに詳しく申し上げますると、長期金融の期間及び利率につきましては、各産業によりましておのおの事情が違つております。ある産業では非常に長い時間に対して資金を必要とし、また金利につきましても、国際的な競争、国際的な比較等の観点から考えまして、これを定めていただきたいという産業もございます。しかるに長期金融機関発行する債券につきましては、現在のところ一挙にこれに対しまして、期間あるいは利率等につきまして大きな期待をかけるということは、実際上はおそらく困難でなかろうかと思うものであります。従つて長期金融機関の有力な資金源である政府預金資金につきましては、かかる観点から十分に御考慮をお願いいたしたいと存ずるものであります。  次にこの法案制定されるといたしまして、実施までには一箇年以内の猶予期間があるように承つております。この期間がはたして妥当かどうかということにつきましては、私どもとしては十分なる判断資料がございませんが、この過渡的な期間に対しましてでき得る限り円滑に参るように、十分におとりはからいを願いたいと存ずる次第でございます。  以上でございます。
  32. 佐久間徹

    佐久間委員長代理 質問を許します。
  33. 小山長規

    ○小山委員 今日は皆様方お忙しいところおいで願いまして、そうして本法律案につきまして御公述をいただくことになりましたのは、この長期信用銀行という法律はまつたく新しい制度でありまして、ことにこの内容には、現在債券発行されておる勧業銀行あるいは北海道拓殖銀行というようなものが含まれておりましてこれらの利害関係を持つ方々は、一体どのようにお考えになつておるであろうかということを、われわれは知つておく必要があるということから、お忙しい中をおいで願つたわけであります。ただいままでの御発言によりますと、長期信用銀行という制度けつこうな制度である。それからまた利害関係者である勧業銀行あるいは北海道拓殖銀行にしても、別にこの法律案が施行されても不便な点もないというふうに伺つたのであります。ただ移りかわりの途中においては、多少日本銀行あるいは政府当局が行政的措置を講しておかないといけない場合があるかもしれない。あるいはまた勧業銀行北海道拓殖銀行のような場合に、金は貸し付けてある。ところがそれの資金源である発行された債券は、償還期限が容赦なくやつて来る。その場合に預金が足りないために、あるいは債券の償還ができないような場合があるかもしれぬが、そのような場合には政府あるいは日銀の適当な援助があれば円滑に行く、かように伺つたわけであります、また施行期日としては、決算その他の関係で三月末あたり、四月一日あたりから実施されるのが一番望ましいであろう、かように伺つたわけでありまするが、以上伺つたところもし間違いがあれば御訂正願いたいと思うのでありますが、さように了解いたしてよろしゆうございましようか。利害関係者でありますところの勧業銀行並びに北海道拓殖銀行の方から、ただいま私が申し上げたところが間違つていなければ間違つていない、違つておるとすれば違つておる点を、明確にひとつお話を願いたいのであります。
  34. 浜口巖根

    浜口参考人 ただいまの御発言は、大体私の申し上げたところと違わないと存じます。先ほど私が申し上げましたのは、ある程度影響があるということを申し上げた。その影響を除くために、政府日銀その他の各方面から、移りかわりの際におきまして、特別の御配慮を願わなければならぬことがあるかもしれないということを申し上げた。なお移りかわりの際というだけではなく、店舗網ということでございますが、これは一挙にできるものではございませんので、移りかわりましてから——移りかわりの際と申します言葉に時間的に相違があります。順々にふやしてもらわなければならない。急にはできない。だんだんに将来にわたりましてやつてもらうということになるだろうと思うのでありまして、そういう点の御配慮が十分に願えますれば、円滑にやつて行けるということを考えております。大体におきましてお話の通りでございます。
  35. 廣瀬經一

    廣瀬参考人 ただいまお話の通りで間違いございません。
  36. 佐久間徹

    佐久間委員長代理 有田二郎君。
  37. 有田二郎

    ○有田(二)委員 お尋ねいたしたいと思いますが、まず三井船舶の社長さんにお尋ねしたい。昨日予算委員会で私ども大蔵大臣に質問しました場合に、長期の金利については引下げる時期が到来しておると自分は思う、こういう大蔵大臣の答弁があつたわけです。今あなたのお話の中にも、金利はできるだけ下げてくれというお話がありましたが、大蔵大臣も時期が来たということをおつしやつておられます。私もさように感ずる一人であります。産業面からごらんになりまして、非常に長期の金利は大体どの程度が妥当であるかという御所見を、ひとつ承りたいと思います。
  38. 一井保造

    一井参考人 ただいまの御質問に対しましては、造船並びに海運の立場から申しますと、これは申すまでもなく国際的な性格の非常に強い産業でありますので、従つて国際的な比較ということが大きな一つの観点になると存じます。但しそれだからといつて、国際的に最も低いところに一挙に持つてつてもらいたいというようなことは言えないと思いますが、一例を申し上げますると、アメリカでは造船資金の一部を政府が融資をしておりますが、この利率は三分五厘であります。またイギリスも三分以下でございます。ドイツは四分でございます。これらは一つ参考の資料でございまするが、現在見返り資金は七分五厘の利率でもつて融資をいたしております。     〔佐久間委員長代理退席、委員長着席〕 従つて何分がいいかということを、業界一般意見としてここに申し上げることは私はできませんが、私個人の考えといたしましては、これは実行できるやいなやは第二といたしましても、希望といたしましては少くとも五分見当が望ましいということを、申し上げてよかろうかと思つております。
  39. 有田二郎

    ○有田(二)委員 さらに北拓頭取さんにお尋ねいたしたいと思います。大体今の小山さんの話で納得ができたような話でありますが、私は以前北拓並びに勧銀につきまして、予算委員会並びに日本銀行の一万田総裁にも申し上げたのでありますが、片一方で商業銀行として行きながら、片一方で債券発行しておるということはアンバランスだ。従つて適当な時期に何とかこれを考えなければならぬという意見を私は述べたのであります。長期信用銀行ができましたことについては、私は妥当だと考えておるのであります。しかしながら翻つていよいよ長期信用銀行ができまするということになりますと、勧銀なり北拓のこれからのあり方ということについて、十分考えてみなければならぬと思います。今の宮幡君の御質問に対しまして、途中から入つたのでよくわかりませんが、北海道のことをというお話でありました。北海道のことも大切でありまするが、北拓の将来についても当然考えなければならぬ、かように私ども考えております。長期信用銀行法案がなかなか難航いたしましたゆえんのものも、勧銀並びに北拓の将来が保障され得るというところにあつたのであります。もちろん北海道のことについて、苫米地委員から非常な関心を持たれたことは、北海道選出議員として当然でありまするけれども、われわれ大蔵委員会の一員として、今まで債券発行さしておいた勧銀、北拓がいよいよ商業銀行としてひとり立ちになつて行くのに大丈夫かということが、われわれの最も関心とするところであつたのであります。従いまして四月の一日という御希望がありましたが、四月の一日でぽつと行つたところで、なかなかこれはむずかしいのではないか。銀行局の方で何とかするというお話でありまするが、由来事務当局はよくうそを言うのでありまして、当てにならない場合が非常に多い。従つてこの際われわれが法案を通す前に、はつきり勧銀なり拓銀と銀行当局との間に、完全な了解をつけてもらいたい。口約束ぐらいでごまかされないようにしてもらいたい。  さらに進みましてお尋ねしたいことは、依然今日の北拓の支店の状態が、債券発行という一つの業務を持つておりまする特殊性から考えまして、商業銀行としての立場から考えて、支店の存在が商業銀行としては必ずしも妥当でないという面がないかどうか。あるいは支店につきまして相当の増設を希望しておられるかどうか。さらに樺太における戰前の支店の状態はどうであつたか。さらにまた今申しました新しく商業銀行として出発するのには、どの程度支店が望ましいかというような御希望がありましたら、これまた承りたいと思いますし、また日本銀行との関係におきまして、北拓としては日本銀行にこうしてもらいたいというような御希望も、おありになると思うのであります。そういつたこともすでにお述べになつたかもしれませんが、お述べにならぬ点がありましたら、お聞かせ願いたいと思います。
  40. 廣瀬經一

    廣瀬参考人 お答え申し上げます。ただいま有田さんのたいへん御同情あるお話を伺いまして、まことに感激をいたしておる次第でございます。拓殖銀行長期信用銀行法の施行によりまして、長期部門を捨てまして、商業銀行一本になつた場合に困るのではないかというふうな、御同情をいただいた次第でございます。それでは拓殖銀行長期部門で非常な損失をこうむるのではないか、というふうなお考え方だと思います。実は長期部門の仕事で、年額大体四億くらいの收入があるのであります。そしてこの特殊の営業規模もまたそれだけ減るわけであります。その意味におきまして、拓殖銀行としては損失であるということには間違いないと思います。ただ長期部門は、御承知のようにそれほど利益があるものとは考えておりません。ただ将来に期待をいたし、この営業をやつておるために便利もあり、将来も続けて行きたいという希望を持つてつたことには間違いございません。しかしこの部門を切り離しましても、全体の拓殖銀行の形といたしましては、現在におきまして預金が四百六十億ばかりございます。それに対しまして債券発行額が三十五億であります。さような形でございますので一〇%、一割足らずの業務でございます。九割までは普通商業銀行として今日まで参つておる次第でございますが、一割を切り捨てるという形になるかと思うのでございます。かような意味で、耐えられないというふうな性質のものではないと考えております。  それから北海道店舗が、このままで商業銀行として行けるかというようなお話であると存じます。大体拓殖銀行は沿革的に考えまして、北海道におきましては、従来普通の商業銀行として運行をいたして参つたものでございますから、北海道における店舗としては大体よろしいのでございます。このままで十分行ける。ただ北海道経済が順次発展をいたして参りますと、内地の地方との経済交流というものが順次頻繁になつて参りますから、それによりますと自然内地にも店舗を必要とする。そうして初めて商業銀行として、完全な運行ができるのではなかろうかということは考えております。しかしこれは、別段長期信用銀行云々ということとの関連において考えておるわけではありません。それとは別個に、少くとも北海道経済が進んで参りまして、本州との経済交流が頻繁になれば、その裏づけとなる北海道を基盤とした拓殖銀行といたしましては、将来は本州にある程度店舗を持たなければ、全体としての構想がうまく行かないのではないかというふうには、考えておる次第でございます。  なお樺太の店舗のお話がございましたが、樺太には当行といたしまして十一箇店を持つてつたのであります。それが今回——今回と申しますか、終戰によりまして失つておる次第でございます。大体さようでございます。
  41. 有田二郎

    ○有田(二)委員 銀行局の人がおられるので大分遠慮して言つておられる。将来なんと言わないで、今ただちに内地に支店を持たなければ、私は北拓というものはりつぱに伸びられないのではないかと思う。北海道だけの銀行として、北海道だけお店があつていいという筋合いのものではないと思う。将来を待たなくとも、今度のこの四月一日なら四日一日から、完全に北拓として独立なざるときにおいて、この際ひとつはつきり銀行局と話合いをして、内地においてどことどことどこというふうに、すでにおそらく出しておられ、ることだろうと思うのでありますが、はつきりこの際法案が通るまでに確約を得て、四月一日からやつて行けるというように、あとから文句のないようにこの際はつきりしておいていただきたいと思うのであります。これは銀行課長がうしろにおるから、御答弁しにくかろうと思いますから言いませんが、そんな将来というような遠慮することはない。この際ならばできますが、将来いよいよいよくつわを並べて他の銀行と一緒に行くときに、北拓だけ特別にというようなことには行かぬわけでありますから、今回だけ特別ということはおそらく他の銀行も納得し得ると思う。この際遠慮せぬで、はつきりおやり願いたいと思うのであります。  さらに勧銀にお尋ねいたしたいのでありますが、勧銀は北拓と同じように、あるいは北拓以上にこの問題があるのではないかと思うのであります、しかも私が銀行局の力から頂戴しました資料によりますと、一人当りの物件費が一万七千円から一万八千円——これは市中銀行で一番高いのが冨士銀行の月に一万円、そうして市中の銀行で一番安いのが七千八百円、地方銀行で五千円、大体そういう見当でありますが、興銀と勧銀は大体一万八千円、日本銀行が大体二万円というように記憶をいたしておるのであります。非常に銀行の内部がぜいたくであるということは、数字を見ただけで申し上げるのは当らないと思うのでありますが、数字だけを見ますとそういう感があるのであります。勧銀が市中銀行として一本立ちで行きますにつきましては、あらゆる角度の支店設置、あるいは日本銀行どの間の関係、あるいは内部における農工銀行なんかが一緒になりました関係上、非常に月給の高い人が多いというような問題があると思うのでありますが、商業銀行として一本で行きますに際しましては、よほど思い切つたメスを入れて、はつきりした考え方でお越しにならないと、他の銀行とこれからくつわを並べて行くのには、私は相当支障がある、かようなしろうと考えをいたしておるのでありますが、これらにつきまして、勧銀の浜口頭取の御意見を伺いたい。
  42. 浜口巖根

    浜口参考人 御質問に対してお答えいたします。先ほどから御質問に対してお答えしておるのでございますが、長短両用の金融をやつておりまして、長期金融がなくなりまして、純粋の短期の商業金融だけを主体として立つて行きますにつきましては、確かにある程度影響はあるわけでございます。今後純粋普通銀行としての態勢を整えますにつきましては、ただいまもお話のありましたように、いろいろ改善、合理化を加えなければならぬ点があるということは、申すまでもないことであります。そういう点につきましては、もちろん私ども考えておる次第でございます。  なお今の物件費の問題などにつきましては、実は今伺いましたような次第でありまして、そういう点がございましたならば、改善を加えなければならぬと思います。  なお人件費につきましては、ほかの銀行より多いというふうにも考えておりませんが、今お話がありましたような農工銀行を合併いたしまして、行員も引継いでおりまして、高給者があるということは事実でございます。そういう点は、これは特にどうともしようがない。ほかの方面におきまして経費を節約し、合理化しなければならぬというように考えております。その点につきましても、各方面の特別の御考慮を願わなければならぬ点が相当あろうかと思つております。それを先ほども申し上げたのですが、必要なものは御理解が願えるというふうに考えております。
  43. 有田二郎

    ○有田(二)委員 最後に一つお願いかたがた、銀行局の方にも御協力を賜わりたいのは、一例を協和銀行にとりますと、それは貯蓄銀行が集まつて協和銀行なつた。貯蓄は非常にうまいのでありますが、貸出しが非常にまずかつたということは、だれもが常識的に知つておる点であります。これと同じように、北拓なり勧銀なりが債券発行して来たという、片つ方に強みがあつただけに、商業銀行として出て行くのにはよほどしつかりしていただかないと、甘い見方で行きますと、かつての協和銀行のおとりになつたようなわだちをお踏みにならないとも限らないと思うのでありまして、この際銀行内部におけるいろいろなことにつきましても、そういうような銀行が将来成り立つて行く三井造船の社長さんがおつしやいました通りに、私ども銀行の好むと好まざるとにかかわらず、預金利子の引上げと貸出し利子の引下けということは、断固われわれはやらなければならぬと考えておるのであります。従いまして銀行経営というものが、将来はそんなに楽なものでないということだけは、ひとつ御記憶が願いたい。従つて、今日どうにかやつて行けるからというような甘い考え方でなく、将来をよくお見通しになりまして、この商業銀行として出発なさいますのについて、将来万遺漏のないように、特にこの点につきましても、銀行局側も十分ひとつ御検討を願つて、物件費あるいは人件費その他支店の新設の問題、あるいは日本銀行との関係その他の問題について、十分同情のある事務当局の御処置と銀行当局の戒心をお願いして、私の質問を打切りたいと思います。
  44. 佐藤重遠

    ○佐藤委員長 三宅君。
  45. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 私はごく簡單に二、三点質問をいたしたいと存じます。  最初に一井三井船舶株式会社の社長さんにお尋ねいたします。長期信用銀行につきましては、長い期間の金融ということを目標にいたされておるわけでありますが、もちろん船舶などは超超重要産業でありまするから、政府の方も相当これに考慮を持ち、金融面も考えておることと存じます。この長期信用銀行のねらいは長い期間というのでありまして、私の質問に対しまして大体三年ないし五年ということを政府当局は答えておるわけでありますが、船舶などを中心に考えまして、どのくらいの年度をもつて長期の期間であるというふうに考えられておりまするか。債券発行等もあるわけでありますが、どのくらいの期間がちようどよろしいか。三年とか五年とかあるいは七年とかいう期間があると思いますが、経営者としてどう考えておられるか承りたいと思います。
  46. 一井保造

    一井参考人 お答え申し上げます。ただいまの御質問に対しまして、これも先ほど申し上げました各国の例でございまするが、アメリカでは造船の一部融資に対しまして期限は二十箇年、イギリスでは十二箇年、フランスは二十年、ドイツは十六年、かような例がございまして、まちまちでございまするが、少くとも三年、五年というような期限は、造船金融については短かいというふうに存じております。実際的な方法といたしましては、三年、五年のものをだんだん延長を願いまして、やつておるという実情でございまするが、長期金融を造船業、海運業の性格から考えますならば、少くとも十年、十二年以上——的確なことは、これは船によつて違いまするが、現状は非常に短か過ぎる。各国の例はかようであるということを申し上げまして、お答えにかえたいと思います。
  47. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 ありがとうございました。私も大体十年くらいが適当ではないかということを考えまして、質問したわけであります。政府当局では三年ないし五年を中心に考えておると言われましたが、お説の通り船舶等については、超重点産業でありまするから、相当政府といたしましても長い期間の金融をつけてやりたい、こういう線を出すように、ひとつ私からも申し上げたいと思います。  次に北拓の頭取にお尋ねいたすわけでございますが、これは先輩苫米地委員からもたびたび質問があり、また同僚宮幡委員、有田委員からも御同情ある御質問があつたわけでありますが、北拓といたしましては、北海道を中心としてやつておることはもちろんでありますけれども、内地にも相当支店をお持ちになつておるようであります。たとえば私どもの県でありまする愛知県の名古屋の方面にも、支店があるように伺つておりますが、全国的に、たとえば中部地方より以北に対して支店を多く置かなければならぬかと思いますが、どういうような意味合いにおいて——内地の各地支店をお持ちになつておる御様子でありまするが、あるいは経済の交流等を考えまして、九州の果てまでも支店がなければならぬとも考えられるわけでありますが、北拓といたしましては、ある程度北海道中心に金融考え、また一面どのくらいの債券発行せられたいという御意思でありまするか。この二点についてでありますが、たとえて申しますると、政府の許可によつて資金の二十倍までを許可されることになつておるわけでありますが、五、六倍ずつ発行せられるかと思いますが、この二点です。内地の支店をどの辺とどの辺に置くのがよろしいかというのが一点。その次は、債券発行するには何倍くらい発行して行つたならば都合がよろしいかという点について、御説明願いたいと思います。
  48. 廣瀬經一

    廣瀬参考人 お答え申し上げます。順序は不同になるかと思いますが、債券発行の御質問でございますが、実は長期信用銀行法が施行いたされましたあかつきにおきましては、北海道拓殖銀行といたしましては債券発行はやめたい。そうして一般商業銀行になり切ろうという考えを持つております。  また支店のお話でございましたが、支店につきましては、北海道との経済交流の観点から考えまして、やはり大都市というふうに考えており、津々浦浦というふうな考え方は毛頭持つておりません。
  49. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 わかりました。御説明によりまして、商業中心にやるということでありましたならば、たとえば東京、大阪、名古屋あるいは福岡というような大都市を中心におやりになる、こういうふうに考えてよろしいと思いますが、間違つておりましたならばまたお答え願いたいと思います。  次に、勧銀にお尋ねいたします。これは地方の農工銀行吸收合併せられて、勧銀というものができ上つておると私は信ずるのでありますが、主として大都市——東京、大阪というような大都市を中心に、土地、家屋、機械等について融資をせられて、農村面については割合金融が不円滑である、こういうことを承つておるわけでありまするが、これは何か今まで——戰時中もしくは統制経済中に必要がありまして、そういうものには重きを置かない。都市中心で商工業あるいはその他機械設備を中心に考えられたわけであろうと思いますが、今後は農村もしくは農村に付随いたします小都市等においても、勧銀の相当活発な御活躍を願いたい、こういう希望があると思います。これに対しまして勧銀の副頭取はどういうふうにお考えになつておられますか。御構想の一端をお漏らし願いたいと思います。
  50. 浜口巖根

    浜口参考人 お尋ねの通り勧業銀行は、同じような業務をやつておりました各県にありました農工銀行を合併いたしまして、支店とした関係もございますし、従来から、おい立ちが不動産金融を主としておりました関係もございまして、各地方にまんべんなく支店がございます。農村金融ということについては相当重点がございました。しかるにこの戰争の結果によりまして、土地制度が改正されましたりいろいろいたしまして、不動産金融をいたしますにつきまして、農村金融の担保であるところの農地というものが、融通性のないものになりました。それで担保にとることができない。それから農村が割合裕福になりまして、資金の需要というものが比較的減つて参りました。そういう点から急速に償還せられまして残高は今非常に少くなつておる。それから農業手形制度どもできまして、短期の農業金融というものがそういう方で相当まかなわれ、勧業銀行の方にあまり御用がないわけでありまして、決してそれをきらつておるようなわけでもございません。また一面商業短期金融を始めるようになりまして、そちらの方に自然重点も行つた関係もございますが、ただいまのところは純粋の農業金融といたしましてはあまり残高もございません。決してきらつておるわけではありません。担保の関係とかいろいろの関係がございまして、さようになつております。
  51. 佐藤重遠

    ○佐藤委員長 苫米地君。
  52. 苫米地英俊

    ○苫米地(英)委員 二、三参考人方々にお伺いしておきたいと思います。  まず第一に、一井三井船舶社長にお伺いいたしますが、現在私どもの見たところでは日本の金利があまり高過ぎるので、その金利を払うだけで、外国から用船ができるというような状態ではないかと思うのですが、その点いかがでございましようか。
  53. 一井保造

    一井参考人 かなりむずかしい問題であると思いますが、金利は九分ないし一割の金利を払つておるのであります。かりに十三億円の船に対しまして九分の金利を払えば、一億一千七百万円の金利を一年間に払つておるということであります。そこでかりに一万トンの船を四ドルで借りますれば、月に四万ドルの用船料を払わなければならない。従つて一年間には四十八万ドルの用船料を払わなければならないということになる。それで約五十万ドルでありますか、そうすると、これを三百六十倍しますと一億八千万円ですから、あるいは船によりましては、もし安い船ならば單純に金額だけを比較すれば用船が可能かもわからないです。しかしながら安い性能の悪い船を使いますのと、新造船を使いますのとどちらがいいかという問題もございますし、また日本の海運政策として單純に金額だけを比較して用船するということは、これはまた考えなければならない問題ですから、どうしても新造船をつくらなくちやならないという問題がございますので、これはその問題とは切り離して、やはり主力を新造船に置いて持つて行き、また必要において特に性能のいい船ならば買船する、また用船も若干はその必要がありますが、しかしながら現在のマーケットで、さように非常に有利に、またあらゆる点から考えまして、まことに都合のいいような用船はできかねる場合もあります。この問題は数字的に比較してどうというふうな結論を出すことはちよつとむずかしかろう、かように存じております。
  54. 苫米地英俊

    ○苫米地(英)委員 お話はよくわかりましたし、私も用船したり買船するより、新造船で行く方がいいと考えておるのでありますが、今度長期信用銀行が発足するにあたつて、造船を考えておられる会社として、何か長期信用銀行に対して御希望があるのではないかという考えをもつて、前の質問を申し上げたわけであります。何かもし長期信用銀行に対して御希望がございますならば、この際承つておきたいと思います。
  55. 一井保造

    一井参考人 先刻も申し上げましたが、造船、海運のごときは最も厖大な設備資金を要する仕事でございます。従つて長期金融に対しましては非常な関心があり、またいかなる形にあれ長期金融機関の設立を希望しております。しかしながら現実は長期金融機関で得られます資金源というものを考えてみますに、一般から得られます財源によつて得られる資金というものは、金利にしましてもあるいはまた期限にしましても相当の制約があつて、先刻申し上げましたが、多くを望むということは事実不可能であろうと考えますので、従つてその資金源の有力な一財源であるところの預金資金等につきまして、これは国家において造船、海運の特殊性というものから、期限等につきましても特別の御好意をお払いくださるならば、長期信用銀行においても、もしそれが国策的に是認されるならば、この産業に対して特別の支払いをするということが期待できると思います。これはいわば政策の問題であり、政治の問題であると私は考えておりますので、その方面において特別の御考慮をお願いいたしたいと存じております。
  56. 苫米地英俊

    ○苫米地(英)委員 ただいまの御説ごもつともでありますが、これに関連して長期信用に大きな財源として必要なのは、資金運用部資金であります。あそこから今度は簡保が分離して行くということは、長期資金の上に大きな影響があると思いますが、この二つを別個にやる方がいいか、従来通り一本で行く方がいいかという点について、御意見がございましたらお伺いしたいと思います。
  57. 一井保造

    一井参考人 ただいまの御質問に対しましては、私はいまだ的確に存じておりませんので、むしろこれは銀行方面の方の御意見を伺いまして考慮して行きたいと思います。
  58. 苫米地英俊

    ○苫米地(英)委員 次に浜口勧業銀行頭取並びに廣瀬拓銀頭取にお伺いいたしたいのでありますが、今度長期信用銀行がもし法案通り発足いたし、両銀行債券発行ということが中止せられ、純粋商業銀行として行かれる場合に、長期信用銀行に対して積極的に参加して行くというような意図を持つておられるかどうか、この点をお伺いいたしたいのであります。
  59. 浜口巖根

    浜口参考人 お答えいたします。御承知通り勧業銀行は従来長期金融専門でありまして、最近は短期金融と両方あわせて行つておりまして、長年の経験がございます。そうして特別の機能も持つておりますし、人的資源もまた相当擁しておる関係もございます。勧業銀行といたしましては、長期信用銀行ができます場合におきましては、国家のために必要に応じまして積極的に協力をする用意がございます。その他の点につきましても、その人的資源その他のいろいろな点につきましても、できるだけ御協力申し上げたいと考えております。
  60. 廣瀬經一

    廣瀬参考人 私からも御答弁申し上げます。長期信用銀行が誕生いたします際に、北海拓殖銀行としてはこれに協力するかどうかという御質問だと思います。結論的に申しますならば十分に協力して参りたい、かように考えております。御承知のように、北海道拓殖銀行債券発行の面をやめまして、長期部門を切つた場合に、北海道としてはそれでは困る場面も起るのではないかということが、想像いたされるのであります。まず拓殖銀行といたしましては、年額二十億ばかりの長期資金を導入いたしておる次第でございます。それが資金導入がとまるという意味においても困りますし、また一つには長期資金北海道内において合理的に、最も円滑に供給をして行くという面におきまして、拓殖銀行がこれに協力するということが一番都合がいいのじやなかろうか。新銀行がかりに生れた場合におきましても、拓殖銀行協力してこそ初めて北海道特殊性から考えまして——多年の経験もございますし、店舗も持つておる、かような意味におきまして、新しく銀行ができるならば、物心両面において協力したい気持を持つております。
  61. 苫米地英俊

    ○苫米地(英)委員 御両氏の御答弁を伺いましてまことに安心いたしたのでおります。勧業銀行においても、拓銀においても、豊富な経験と人材とを擁しておられるのであります。これらを新しい長期債田銀行に生かして行くという気持がなければ、たとい窓口を代行機関としてお預かりになつても、ほんとうの熱が入らないと思うのであります。でありますから私はできることならば、資金的にもまた人的の方面においても、あらゆる協力をして信用銀行を強固なものにして、一体となつてつていただけることが、日本全体として見てもまた北海道として見ても、きわめて重要なことであると存じましたので、この点をお伺いいたしたのであります。そこで人的の問題は別としまして、資本的という方面で参画するというようなお考えがおありかどうか。もう一言だけお伺いしておきたいと思うのであります。
  62. 浜口巖根

    浜口参考人 お答えいたします。ただいまの御質問は、人の方でございますと、これはただいまのお話のようにただ店を広げまして、でたらめに人を集めましても仕事になりませんので、やはり專門家がある程度いませんとできないと思います。そういう意味におきまして、勧業銀行は積極的に御協力申し上げる用意はもちろんございます。それから資本の点につきましては、ただいまちよつとそう申し上げかねるのでございますが、そういう御要請がございましたならば、できるだけそういう方向におきましても、御協力申し上げたいと思つている次第であります。ただ同じ一種の銀行ということで、資本参加が法律的にはできるのではないかと考えております。そういうことが、はつきりは申し上げられませんが、できるだろうと思います。
  63. 廣瀬經一

    廣瀬参考人 お答え申し上げます。先ほど申し上げました通り人の問題、店舗の問題いろいろあるかと存じますが、人的にも十分に協力をいたしたいと考えております。  資本の問題を今お尋ねでありますが、資本の問題と申しますと、新しい銀行がどういう形で現われるかということもわれわれは一向存じませんので、よほど問題が具体化して参りますならば、十分に協力したいという考えは持つているので、さよう御了承願いたい。先ほど浜口さんのお話のように、これは五%以上は資本金は持つてないんですか、何かそういう制限もあるのじやないかというようなことも存じておりますが、協力する考え方は持つております。御了承いただきたいと思います。
  64. 佐藤重遠

    ○佐藤委員長 参考人方々に対し他に御質疑はございませんか。——御質疑はないようでありますので、これをもちまして長期信用銀行法案に対する参考人方々よりの御意見の聴取を終ります。参考人のお方には御多忙中にもかかわらず御出席くださいまして、本案に対し忌憚のない御意見を開陳され、本案審査の上に多大の参考に相なつたことを厚く御礼申し上げます。ありがとうございました。  次会は明二十四日午前十時から開会することにいたしまして、これにて本日は散会いたします。     午後三時三十五分散会