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1952-05-21 第13回国会 衆議院 大蔵委員会 第72号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年五月二十一日(水曜日)     午後一時五十四分開議  出席委員    委員長 佐藤 重遠君    理事 小山 長規君 理事 佐久間 徹君    理事 内藤 友明君 理事 松尾トシ子君       有田 二郎君    島村 一郎君       清水 逸平君    苫米地英俊君       夏堀源三郎君    三宅 則義君       宮幡  靖君    高田 富之君       深澤 義守君    久保田鶴松君       中野 四郎君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 池田 勇人君  出席政府委員         大蔵事務官         (主計局法規課         長)      佐藤 一郎君         大蔵事務官         (理財局次長) 酒井 俊彦君         大蔵事務官         (銀行局長)  河野 通一君         大蔵事務官         (銀行局総務課         長)      福田 久男君         大蔵事務官(銀         行局銀行課長) 大月  高君  委員外出席者         大蔵事務官         (理財局管理課         長)      横山 正臣君         大蔵事務官         (管財局閉鎖機         関課長)    堀口 定義君         日本開発銀行総         裁       小林  中君         日本開発銀行理         事       中村 建城君         日本開発銀行調         査部事業調査課         長       網野 貞雄君         日本開発銀行秘         書役      一瀬 幸雄君         専  門  員 椎木 文也君         專  門  員 黒田 久太君     ————————————— 五月二十一日  委員森幸太郎君辞任につき、その補欠として有  田二郎君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  長期信用銀行法案内閣提出第一一三号)  日本開発銀行法の一部を改正する法律案内閣  提出第一三八号)  閉鎖機関令の一部を改正する法律案内閣提出  第一四三号)  地方公共団体職員給與改善のための地方公共  団体に対する国の貸付金に係る債務免除等に  関する法律案内閣提出第一五三号)  国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に  伴う措置に関する法律案内閣提出第一九〇  号)  接收貴金属等数量等報告に関する法律案(  内閣提出第二三一号)  貴金属管理法の一部を改正する法律案内閣提  出第一二九号)(参議院送付)  地方自治法第百五十六条第四項の規定に基き、  税関出張所及び監視署設置に関し承認を求  めるの件(内閣提出承認第四号)     —————————————
  2. 佐藤重遠

    佐藤委員長 これより会議を開きます。  長期信用銀行法案貴金属管理法の一部を改正する法律案日本開発銀行法の一部を改正する法律案閉鎖機関令の一部を改正する法律案地方公北団体職員給與改善のための地方公社団体に対する国の貸付金に係る債務免除等に関する法律案国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律案接收貴金属等数量等報告に関する法律案地方自治法第百五十六条第四項の規定に基き、税関出張所及び監視署設置に関し承認を求めるの件、以上人件を一括議題として質疑を続行いたします。質疑は通告順によつてこれを許可いたします。宮幡靖君。
  3. 宮幡靖

    宮幡委員 本日はせつかく開銀総裁もお見えになつておりますので、日本開発銀行法の一部を改正する法律案につきましては、前回に事務的なこととあらましのことはすでにお伺いしましておるのでございますが、この際、あるいは開発銀行だけの立場といたしまして御判断をいただくのは無理かと思いますが、国の新しい独立という面から見ます全般的の、簡単な言葉で言えばかなめ、財政経済基本的な問題について、総裁のお立場においてはそれぞれ一つの達観をお持ちになつておると思いますので、それらの点につきまして二、三お伺いしてみたいと思います。  開発銀行政府機関といたしましての長期資金調達機関であることは、疑う余地がないのであります。ただいま民間機関といたしまして、同時審議なつております長期信用銀行法案というのがありますが、開発銀行のただいまの経営御担当の立場におきまして、民間にこういう長期信用銀行複数制で発足いたすことにつきまして、どういうふうな御感想を持つておられますか。その点について御意見を承りたいと思います。
  4. 小林中

    小林説明員 ただいま開発銀行と、法律案なつておりまする長期信用銀行との関係について御質問があつたのでありますが、私個人といたしましては、大体民間長期信用銀行というのは、原則といたしまして民間資金資金源といたしまして、これを長期産業資金として流す建前をとるのではないかと思います。かようにいたしまして、日本経済が安定し、また強力になつて来た場合には、こういつた民間銀行が自然に強力になりまして、産業長期資金というものは、本来こういつた民間長期金融機関が補つて行くべきが本筋であると考えます。しかしながら、現在の日本状態におきまして、ただちにそういうことを期待することは非常に無理でありまして、過渡的措置といたしまして、一方に政府機関としての長期金融機関をつくり、また一方の民間金融機関も、ある程度政府資金に準ずる資金金融債として引受けてもらいまして、これを産業資金として投じて行くというかつこうをとらざるを得ないということが、日本の現在の状態ではないかと考えております。
  5. 宮幡靖

    宮幡委員 その点御意見はよくわかりました。そこでこれは少し国家的の問題で、行き過ぎの質問になるかもしれませんが、この間も大蔵大臣ちよつとお尋ねをいたしたのでありますが、国の現在の姿が、生産過剰とまでは参りませんけれども、物の需給のバランスが一応とれる。しかしながら生活水準の点に参りますと戦前の八八%程度で、ますます生活水準の向上に努力して行かなければならぬ。さりとて物の生産があるからといつて、消費をみだりに抑制しない方向に持つて行きますと、あるいは消費インフレなどという傾向も出て来るでありましよう。しかしながら全体の国の財政收支均衡といい、あるいは国際收支均衡ということをめざしている経済の中におきましては、開発銀行という政府機関等設置いたしまして、開発資金等供給をいたす建前から見ますと、好ましき方向かどうかというイデオロギーはしばらく別といたしまして考えても、現在の政府とつておりますいわゆる自由主義経済、各国民の経済の基盤に総意とくふうと努力を強く要望しております自由主義経済の中におきましても、どうしても開発銀行運営から考えますと、ある程度経済計画性を鋳たなければならないということが、ほのかに察知せられるのでありまして、もちろん社会主義経済的な統制経済を、私どもは本来の姿と思つておるものではありません。けれども開発銀行等資金の操作というものは、あくまでも一つ計画性を持つておるものであります。従いまして、政府資金運用いたしております立場から考えれば、自由主義経済の中に、やはり意義あるところの計画性を持たしむべきであると考えておりますがこの点について総裁はどうお考えなつておりますか、お聞かせいただきたいと思います。
  6. 小林中

    小林説明員 ただいまの御質問に対しましては、私は全面的に御意見通りだと考えております。御承知通り日本の現状は長期の戦争によりまして、その後の産業の様相というものが、国際水準から相当遅れている状態でありまして、これを国際水準にまでできるだけ早く持つて行くというためには、自由主義経済というものが非常に役立つのではないかというふうに考えておるのであります。こういう意味から行きまして、日本経済原則自由主義経済で行くべきだと考えております。しかしながら全部が自由であるのだということは、今の国際情勢あるいは世界の情勢から参りまして、必ずしも許さるべきものではないのでありまして、そこに計画経済とまでは参りませんが、一種経済指導ということが必要ではないかと思います。特に政府資金を扱つておりますわれわれは、いわゆる政府基本計画の線に沿いまして、融資をいたすような関係に立つておりますもので、見方によりますと、一種計画的融資だということも言い得るのでありまして、これは計画的融資とまで申すのはどうかと思いますが、指導的意味融資だというふうにお考えを願いたいと思つております。
  7. 宮幡靖

    宮幡委員 まことにごもつともなお考えだと存じ上げるわけであります。そこでひとつ開発銀行立場として、何といいましても現在は資金需要が旺盛でありまして、その資金源にかなり逼迫せられておるであろうことは、これはもう諸般の実情から疑う余地はないのであります。そこで財界等意見を時に触れ折に触れて聞いてみますと、もつ開銀運営について一般的な財政余裕金の活用を考えたらどうか、というような意向が強いのであります。一例で申しますと、資金運用部保有短期証券日銀に売り渡しまして、その資金開銀貸付に充てる、こういうような手は打てないものか。しかしながら、預金部で持つております短期証券を、日銀に売り渡しまして通貨を発行いたしますことは、ある意味においてインフレになるかもしれませんが、むしろこれが日本経済を全般的に振興いたしますところの有効なる開発銀行資金源となるならば、私はある程度その手も必要であると思いますけれども、かような点につきまして、総裁とせられてどういうお考えもつておりますか。これはある程度さしつかえもあるかもしれませんから、おさしつかえの点は御自由に御取捨て願いまして、総裁独自のお考えを伺いたいと思います。
  8. 小林中

    小林説明員 ただいまの御質問に対しましては、私ども開発銀行を預かつております者の立場から行きますと、まことに需要厖大でありまして、それに対応する資金は少量であるという感を深くいたしておるのであります。しかしながら現在の日本産業に、あまり厖大資金を一時に投ずるということはあるいは設備過剰の結果に立至りますので、将来に非常な禍根を残す点も、日本経済全体の上で考えなければならぬと思つております。今の日本銀行の債券の問題は、これは私どもがくちばしを出す範囲でございませんで、政府金融政策の上から考えるべき点だと思うのでありますが、御説の通り、あるいは電力の問題あるいは船舶の問題等によりまして、今後ますます資金の欠乏を来して参りますので、できれば政府財政資金余裕をより多く金融機関に流していただいて、産業資金に振り向けて行くことが最も必要ではないかと考えている次第であります。
  9. 宮幡靖

    宮幡委員 ただいまの総裁の御意見に関連いたしまして、いわゆる資金運用部資金の問題につきまして巨細にお尋ねしたいのでありますが、この機会に、関連して銀行局長さんの御意見はどうでありますか。簡単でけつこうでありますから承りたいと思います。
  10. 河野通一

    河野(通)政府委員 今お話資金運用部資金で、糧券その他政府短期証券を持つている。これを日銀へ売り渡して、その金を、たとえば開発銀行等開発資金に流したらどうかという御意見であります。この点につきましては、先ほどちよつと宮幡さんもお触れになりましたように、これは国の資金民間資金を合せた、金融上の全体の問題の一環として考えなければいかぬ。ただ個別的に、たまたま資金運用部資金短期証券に出ておる。従つてこれをはずせばすぐこの金が産業資金として動くではないかというふうには、簡単に言えないと思います。特に政府財政資金及び民間資金を合せた金融政策全体の立場から、健全な金融均衡した財政という原則の上に立つて、最も効率的に資金を動かすのにはどうしたらよいかということを判断して、その場合に一つ方法として今お話のようなことも考えられておりますけれども、これはいろいろな考え方のうちの一つであると思います。必ずしもそれが唯一のものではありませんし、最善とも考えておらぬのであります。要は日本財政なり金融なりの健全なる姿、基礎のもとにおいて、今お話のような長期産業資金を、できるだけ多額に発行する方法いかんということに相なるわけであります。その点についてはまつたく宮幡さんのお示しの通りだと考えておりますが、具体的な問題につきましては、今にわかに御説に賛成を申し上げるわけにも参らぬと思います。全体の問題の一環として、十分検討に値する問題であるというふうに考えている次第であります。
  11. 宮幡靖

    宮幡委員 それでは重ねて開銀総裁にお伺いいたします。ただいま国家全体の財政資金運用の中において、時と場合によりやるべき問題であるというふうに銀行局長も答えておりますが、それもごもつともであると思います。しかしてその時と場合によりそういう運用ができたと考えて、それらの資金開発銀行へ流れたといたしますならば、これは先般もちよつと伺いましたが、市中銀行長期貸付肩がわりする。これは従来からやつて来て、現にやりつつあり、将来もやるということを言われております。この点は別にお尋ねするのではありませんが、さらに進みまして、市中銀行あるいは直接開発会社——これは民間開発会社、そういう事業目的を有します事業会社社債、あるいは市中銀行が持つており社債肩がわりしてやりましてさらに市中銀行に還元してやる、あるいは必要なる金融債の一部を肩がわりをいたす、こういうことができ得ますならば、開発銀行としての本来の生命が開かれるものと私は考えます。もし幸いにして、ただいま前段の条件として御意見を承りました財政資金の一部である資金運用部資金等を、肩がわり的に開銀に流し得たといたしましたならば、そういう御運用をなさるお考えであるか。将来の方針について承りたいのであります。
  12. 小林中

    小林説明員 ただいまの御質問は、開発銀行法におきまして、開発銀行債券所有することができることに現在でもなつているのであります。従いまして法の上から行きますと、債券の募集にも応じられるということでありますが、開発銀行資金は実は融資をいたしまして、その後の資金用途を現在では厳重に監視しているといいますか、監督しているような状態でありまして、これが直接融資である場合には、そういう方法は十分とり得るのでありますが、間接融資でありまして、社債を引受けるということになりますると、どうもその点資金用途の監督ということが非常にむずかしくなりまして、政府資金であります関係上、同じ効果を起すものであれば、むしろ直接融資方向とつて行きたいと考えております。また現在の市中金融機関におきまして、社債等所有しております場合、これを肩がわるかというような話でありますが、現在の市中銀行の姿は、むしろ社債所有をより以上ふやして行くことが、市中銀行の姿がよくなるのではないかというふうに考えておりまして、社債所有ということに対しましては、もちろん将来は相当考えなければならぬとは考えておりますが、ただいまにおきましては、考え方が多少消極的であるということを御承知願いたいと思います。
  13. 宮幡靖

    宮幡委員 その点はきわめて明瞭にわかつたのであります。そこで先般もちよつとお伺いいたしたことがあるかと思いますが、これは財政資金運用の面におきましての一つ考えでありますが、たしか今月の初めでありましたか、一万田日銀総裁が名古屋から関西の方面へ参られました。それに同行した記者から聞いたのでありまして、その後数日遅れて新聞でもちよつと散見したように思つておりますが、政府資金金利引下げというような問題を話されておりまして、その中におきまして、大体輸出入銀行は七分五厘を二分下げにしたい、開銀につきましては一割を七分五厘くらいにしたい。つまり見返り資金並——今回四十億を限度としまして、見返り資金からの借入れを認められることになつておりますが、その並にしたい、こういうような意向を漏らされておりますが、こういうことによりまして政府資金金利を下げるということは、全般的低金利政策の先導をなすものであります。もちろん高金利は抑圧して参らなければならないのでありまして、これはよい思想であると思いますが、しかしながら開銀それ自身の、いかに政府機関と申しましても、採算それ自体をまつたく度外視することはできないわけであります。ところで開銀としてお考えになりまして、一割を七分五厘に、ただいまはならなくても、将来はそういうことに行ける可能性があるか。この点につきまして総裁の御意見を承りたいのであります。
  14. 小林中

    小林説明員 ただいまの質問に対しましては、最近における金融情勢が多少全般的に緩和して参つた。これはむしろ私は消極的な緩和ではないかと思つているのでありますが、しかしながら現情は多少そういうような姿に移つて参つておりますので、開発銀行としても金利の問題に対しましては、ただいま各角度からこれを研究しているのであります。しかしながら御承知通り輸出入銀行のごときは、国際金利水準というものをどうしても基本考える必要がありますので、これは大幅の金利引下げも、また国策の上から見てやむを得ない処置だと考えておりますが、ただいまにおきましては、開発銀行国内資金重点でありますし、特に開発銀行の使命といたしますところは、市中銀行金融補完をするということが、開発銀行法にはつきりうたわれているような次第でありまして、資金補完をする役目である開発銀行が、率先して金利引下げをして行くことが是か非かという問題は、私はただいま研究をしているような次第であります。
  15. 宮幡靖

    宮幡委員 金利の問題に対する総裁の御構想は至極ごもつともと思います。それは七分五厘になり得ればけつこうであるますが、これはなかなか遠き理想であるように思うのでありまして、きわめて妥当な考えを持つておられる。いまさらながら敬意を表するにやぶさかでない。従いまして国内重点といたしました開発資金補完的役割、こういうものでありますと、今度改正いたします要点の中にもありますように、外貨貸付というようなことも考える。あわせて現在の外資法が許す範囲におきましての外資導入をいたしたい。あるいは在外商社外銀から借り入れる。これは為替管理法の精神によりまして相当制限を受ける。これをとつてはずしてもらいたい。借りた金が自由なわくで使えないようなら、借りてもしかたがないと思う。あるいはアメリカあたりは低金利でありますから、借りておつた方が得だということもあるかもしれませんが、借りて有効に活用できないから、何とかしてくれという要望が商社あたりには多いのであります。これとにらみ合せまして、開銀は、先般も伺いましたが、いまだ外資導入に関します具体的なものは一つ交渉段階に入つておらぬ、こういうことでありますのに、将来こういう段階に入つて行くことを構想いたして起ります現在の法律並びに改正の趣旨というものに照しまして、そういう場合が起つたときに、それをただちに外貨貸付にいたしまして、しかもそれらのものについては、その開発銀行で指向いたします方向一つわくをかけると申しますか、運用を制限するというような方向考えを持つておりますか。外資導入とはまつたく縁を切り離しまして、在外商社等が外地の自己の信用に基き調達いたします資金は、ただ政府外貨管理だけにまかせておこうという御意見であるか。一体外資導入というもののねらいはどこにあるか。その外資開発資金として国内円資金につながる外資導入であるか。外貨としての外資導入であるか。せんじ詰めればその二点であります。円資金につながる外資導入は必ずしも歓迎すべきでないと、私ども考える点もあるのであります。従いまして外貨として活用する外資導入しようとなさるか。この基本的な方針を、ただいま総裁のお考えなつている程度けつこうでありますから、お答えを願いたい。
  16. 小林中

    小林説明員 ただいまの御質問に対しましては、開発銀行は御承知通り設備資金融資することを目的としておりますので、外資導入あるいは開発銀行自体外国金融機関から借入れをする場合におきましても、ただいまの法律範囲内におきましては、国内設備資金にこれを使う、あるいは国内設備資金に使われる外資導入の保証をするというふうな立場をとらざるを得ないと、私は考えております。
  17. 宮幡靖

    宮幡委員 ただいまの点は問題が問題だけにはつきりいたしませんが、それではもう一つだけ伺つてみます。これは私の予見的な話でありますので、実情に沿うか沿わないかは別でありますが、実情に沿わない一つの空想であるといたしましたならば、それは答えも不必要であります。けれどもただいま商社の例をあげて申し上げましたが、たとえば輸出入銀行の援助によりますプラント蔵出をいたす、このこともでき、また一部ながらやつてもいる。けれども商社等が進出いたします場合に、たとえば東南アジア地区等にあります商社が地元の開発——といつても大開発でなく、あるいは中小開発資金供給してくれるならば、そこによき交易條件等が盛り上る場合があろう。この場合におきまして、開発銀行がもしその地区におきまして貸付のできる外貨導入し得たといたしますならば、将来御投資なさる方針であるかどうか。このことをひとつお聞かせ願いたいのであります。
  18. 小林中

    小林説明員 ただいまの御質問は、あるいはそういう事態が将来考え得られるかもしれないと私どもにも考えられるのでありますが、ただいまの開発銀行状態から参りますと、そういつた仕事は私ども輸出入銀行がやるべき領域であるというふうに考えておりまして、開発銀行国内産業設備資金供給機関であるというふうに、ただいまのところでは狭く考えておるのであります。しかし開発銀行仕事もあるいは将来におきましては、そういうふうな方向に発展すべき必要性が起つて来るのではないかとも考えられます。
  19. 宮幡靖

    宮幡委員 こまかい点はすでに他の説明員の方から承りましたので、開銀に対する質問はこれで終ります。
  20. 有田二郎

    有田(二)委員 話は別なんでありますが、川崎製鉄の問題であります。川崎製鉄融資の問題についていろいろ問題になつておるのでありますが、私の意見としては、維持の問題を見ましても、四百万錘から六百七十万錘にわずかの間にふえて来た。そういつたことが大きく今日の繊維業界を混迷に陥れておるという一つ事態があるので、開発銀行からの融資については、国内の資源によつてやるものについては別でありまするが、繊維とかあるいは製鉄とかいうものは、少くとも海外からその原料を仰がなければならないものでありまするので、設備をどんどんふやして行くということについては私はどうかと思います。これは千葉県の方の衆参両院議員の方からも、政治的な問題となつて出て来ておるということもわれわれは聞いておるのでありまするが、これについてのただいままでの状態について、小林開発銀行総裁から御所見を承りたいと思います。
  21. 小林中

    小林説明員 ただいまの御意見は私どももごもつともなことと存じます。今後とも拳々服膺して行くべきことではないかと思います。開発銀行日本産業設備資金融資しておる。あるいは合理化資金改良資金等の名目で出しておりますが、実際問題といたしまして設備過剰ということは、将来非常に恐るべき問題だと思つておるので勝ります。特に溶鉱炉建設のごときものは、ほとんどその原料海外に仰がなければならないというふうな産業でありまするので、現在政府基本方針に基いていろいろな問題が起つております。これはひとり千葉川崎製鉄の問題ということでなく、日本溶鉱炉開設をどの程度に押えるか、どの程度に援助するかという問題を今比較検討をしております。有田さんの御意見は十分われわれも考えて参りたいと思います。
  22. 有田二郎

    有田(二)委員 それについでさらにお尋ねしたいのは、化学繊維、合成繊維の問題でありますが、羊毛に例をとりましても、合成繊維が非常にいいということが言われておりまするし、また資源も国内でとれるのでありますが、これによつて海外からの綿の輸入もある程度抑制できるということも考えられるのでありまして、これらに対して開発銀行としてはどういう融資方法がとられておるか。この点をひとつお聞きいたしたいと思います。
  23. 小林中

    小林説明員 化学繊維の問題は、御承知通り最近におきましても、新しい繊維が続々と出て参つておるというような状態でありまして、特に化学繊維の二、三のものに関しましては、漁網等に最も適切な繊維であるということを言われておるのでありまして、日本の漁網に対する綿花の量というものは相当の量になりますので、これを化学維持で置きかえて行くということは日本繊維政策の上から言いましても、非常に重大なる問題であると思つております。従つて漁網に関しましては、開発銀行はすでに二十六年度におきましても関心を持ちまして、一、二取上げておるような状態であります。
  24. 夏堀源三郎

    ○夏堀委員 開発銀行運営の点につきまして、大蔵大臣銀行局長に過般来二、三質問しておきました。その要点は、開発銀行はその名のごとく、開発のためにその運営のよろしきを得なければならない。よつてここに各地区的の開発ということ、それから業種別の開発ということ——現在開銀がお考えなつておる運営方法は、各業種ごとに重点的にお考えなつておるだろうと考えております。業種別の重点的の運営、今申し上げた地区的の運営、これは両面に考えていいじやないか、こう考えております。昨日も大蔵大臣にこのことをお伺いしたのですが、これは地区的の運営ということもある程度は織り込んでおりましようけれども、もうちつと未開発地区開発することにも、相当御考慮願わなければならぬじやないだろうか、こう考えておる次第であります。きのうは大蔵大臣の御答弁を伺つたので、御答弁の食い違いはないでしようけれども、そうした二様の考えで今後の運営も考慮すべきではないか、こう考えまするので、その点の御答弁を願いたい。
  25. 小林中

    小林説明員 ただいまの御質問に対しては、大体開発銀行融資方針は、日本の全体の産業を見まして、それを業種別に重点的にやつて参つておるのであります。しかしながらおつしやる通り地区別の特殊事情を決して考慮しないわけではありませんので、この点も十分地区的の特殊事情に対しては、今後も考慮をいたして行きたいと考えております。
  26. 佐藤重遠

  27. 苫米地英俊

    ○苫米地(英)委員 長期信用銀行制度の問題につきまして、まず大蔵大臣に二、三お伺いいたしたいと思うのであります。長期信用銀行制度をこのたび確立せられる意思をもつて法案が上程されておりますが、私は原則としてこのたび提案された法案に対して賛意を表するものであります。この長期信用銀行ができますれば、資金源と貸出しとの間の調和もとれ、従つて長期資金が円滑に運営されて行く。従来設備資金にのみ重きが置かれておつて、長期運営資金がとかく軽んぜられて来たために、業者が非常な困難をしておつたことも事実であります。これらの各階がこの制度の確立によつて非常に円滑に行くようになり、また経理の問題でありますが、ある程度オーバー・ローンの問題も解決せられるということになりますので、基本的にはきわめてけつこうな構想であると私は信じて、賛意を表するにやぶさかではないのであります。しかしこのことはどこまでも一般論であつて、ものには常に例外がある。例外のない規則はないと昔から言われておりますが、この制度確立のために例外的に不況に陥るものがはたしてないであろうか。私は疑義の念を持つものであります。具体的に申し上げますと、北海道については現在北海道拓殖銀行が債券を発行いたしており、太年四月末現在で発行高が三十四億円になつておりますが、この資金を通じて北海道の長期資金供給に、重要な役目を果して来ておるのであります。しかし従来の北海道拓殖銀行の供給しておつた資金量はまことに不十分であり、中小企業は非常に悩んでおるのであります。その結果といたしまして、北海道に総合開発の支障を来しておるのが現状であります。こういう状況下におきまして、北海道拓殖銀行が将来債券の発行ができなくなる、また長期資金の取扱いができなくなるということは、道内の産業界に多大の衝撃を與えておるのでありますが、この点について政府は道民に安心を與える何らかの構想もしくは施策を持つておられるか。この点をまず第一にお伺いいたしたいと思うのであります。
  28. 池田勇人

    ○池田国務大臣 結論から申し上げますが、お話のように今の北海道拓殖銀行をもつてしては、北海道の開発には私は十分ではないと考えるのであります。北海道拓殖銀行は四、五百億の資金源を持つております。しこうして昔の長期銀行たる性格よりも、今では短期金融を主とする性格にかわつて来ておるのであります。前に北海道拓殖銀行と北海道銀行とが併立しておりましたときには、長期銀行の色彩が強かつた。しかしその後合併いたしましたし、また名は拓殖銀行でありますが、実は商業銀行になつてしまつておる。こういう一定のわらじと申しますか、一足半のわらじと申しますか、こういう状態では北海道の拓殖は十分に行かぬのじやないか。一歩進めて大銀行に溶け込んで、大銀行の力をもつて北海道拓殖に当る方が早道である。こういう考えから長期金融機関を設けますということも、私はその意味で効果があると考えるのであります。従いまして長期金融機関を設けましたならば、そういうことを頭に置いて、未開発と申しますか、開発のおそい北海道につきまして十分の考慮を払いたい。今でもたとえば金融債を引受けるにいたしましても、別わでく北海道はどうこう言つておりますが、えてして少くなる傾向があるのでございますから、大きく一本構えて長期信用銀行運用について十分な措置とつて行こう。具体的にいえば、市中銀行指導いたしまして重役も置くとか、また今までの経験のある拓殖銀行に代理貸しを認めるとか、いろいろな方法があると思うのであります。また金融制度をこういうふうに改めました以上は、この長期金融機関のみならず、日本開発銀行におきましてもその名が開発でありますから、ただいま夏堀委員から言われたように、資金の支出ということと同時に、また地方的にも相当重点を置いて考え長期金融機関あるいは日本開発銀行が十分開発長期金融、こういうことに努めて行くならば、今のような一定のわらじ、一足平のわらじをはいているよりもよほどうまく行く、こういう考えで進んでおるのであります。せつかく苫米地先生は趣旨において賛成なさつたので、運用につきましては十分留意いたしまして、北海道拓殖、北海道開発、こういう点を十二分に考慮して進んで行きたいと考えておるのであります。
  29. 苫米地英俊

    ○苫米地(英)委員 ただいまの大蔵大臣の御答弁によりまして、大分事態は明らかになつたのでありますが、長期信用銀行ができまして、北海道拓殖銀行が債券を発行し得なくなつたときにおいて、もし北海道の拓殖銀行が現在通り債券を発行したならば獲得し得るであろうという財源を、この新しい長期信用銀行が北海道のために確保するというようなお考えを持つておられるかどうか。この点をひとつお伺いしたいと思います。
  30. 池田勇人

    ○池田国務大臣 今まで以上に北海道に行くようにいたしたいと思います。それが北海道拓殖銀行は北海道だけだといつても、その債券がはたして北海道だけに使われるか、一般の短期預金と合同してやりますときに截然と区別がつかない。これは北海道拓殖銀行に行つたら、これだけの長期資金が北海道のみに使われるというのも、これは妄信でございまして、それよりもやはり長期的なものは長期銀行に持つて行つて、それが北海道の本店の会社かあるいは北海道に支店を持つ会社か、どういうふうに北海道に使つておるかということを監視する方が、長期資金がどれだけ北海道に行つたかということがよくわかるのでございまして、こういう場合におきましてもはつきり問題を取上げて、それによつて指摘し管掌して行つた方がいいんじやないかというつもりでおります。従いましてお話通りに北海道の開発につきましては私は十二分の考慮を払うということを言明してはばかりません。
  31. 苫米地英俊

    ○苫米地(英)委員 ただいま大臣の言明せられたところによりまして、たとい拓殖銀行が債券を発行しなくなつても、その債券発行によつて供給できる長期資金以上なものを考慮して北海道の方にまわしてやる。またそれによつて確実に北海道にそれだけの資金が流れる、こういう御説明でございますので、この点は了承いたします。しかし長期信用銀行が、ただいまの御説明の通り軍役を常駐させる大きな支店を北海道に設けられるといたしましても、これの窓口が一つであつては北海道のような広大なところでは容易にこれを利用することができないので、ただいまのお話によれば、拓殖銀行にこれを代行させるという道もお開きになるというように了解いたしましたが、その点間違いございませんでしようか。
  32. 池田勇人

    ○池田国務大臣 これは北海道に支店を一つくらい置くとか、二つぐらい置いても十分な措置ができないので、私はやはり北海道拓殖銀行を代理店その他に使つて行くことは信用銀行としても便利がいいし、拓殖銀行としても、今までの関係上適当じやないか、こう考えておりまするから、お話のような方向へ進んで行きたいと思います。
  33. 苫米地英俊

    ○苫米地(英)委員 ただいまの大蔵大臣お話で、日本開発銀行資金についても、北海道の特殊性にかんがみて、北海道の総合開発に必要な資金は融通するように、格別の考慮をするというような意味の御答弁があつたのでありますが、これに関連しまして、開発銀行総裁にお尋ね申し上げたいのであります。日本開発銀行は、政府資金基本計画に順応して、北海道開発に必要な資金量並びにその運営について、特別な措置を講ずる御用意が銀行自身としておありになるかどうか。総裁から御答弁願いたいと思います。
  34. 小林中

    小林説明員 ただいまの苫米地さんの御質問でございますが、御承知通り日本開発銀行は、ただいまにおきましては北海道地区に、札幌に事務所を設けまして、復金から継承いたしました債権の管理、回收をしておるのであります。しかしながら北海道の産業事情を考慮しまして、できるだけ早い機会に、ただいまの予定では本年の十月一日までには、おそくもこの事務所を支店に昇格いたしまして、そうして融資事務をこの支店が直接扱うような組織にかえたいと考えております。しかしながらただいまの長期信用銀行の問題で、北海道拓殖銀行の機能の改変等が偉いまする関係等もありまするので、政府の御方針等に基きまして、この十月一日の支店設置を早めましてつ第一・四半期の間におきまして、できるだけ早い機会に支店をつくりたいと考えておるのであります。と同時に、従来北海道に対する融資は、その特殊地区を十分に考慮いたしまして、融資の時期等に対しましては適切なる資金の出し万をして参つておるのでありますが、今後とも政府基本計画に基きまして、できるだけ北海道の特殊地区を勘案いたしまして、十分に融資を積極的に考えて行きたいと思います。と同時に北海道開発庁等とも十分連絡をいたしまして、北海道の産業資金はできる限り御便宜をはかりたいと考えております。これはたとえて申しますると、二十六年度におきまして北海道に、これは日本セメントだと記憶しておりますが、セメント工場の増設をいたしまして、その資金開発銀行が出しておりますが、これは二十六年度におきましては北海道だけでありまして、他の地区には出していないというふうな事情もございます。そしてこれもすでに御承知のことかと思いますが、二十六年度におきますところの北海道地区に対する開発銀行融資の総額は、十七億五千万円に現在なつております。大体これは開発銀行融資総額の一〇%に当るのであります。他のいろいろな比率を見ますると、大体北海道は全国の五%ということにほかの比率ではなつておりますが、融資の点は一〇%を融資しておるというような状況であります。これも二十七年度にはより以上積極的にして参りたいと、現在は考えておるのであります。
  35. 苫米地英俊

    ○苫米地(英)委員 開発銀行といたしましても、政府基本線に従つて十分御協力をくださる旨の言明がありましたので、大いに安心するものでありますが、従来の融資の実態をながめておりますと、造船であるとか、炭鉱であるとか、天然資源開発であるとか、そういうような大きい資金は北海道で使われるものとしても、大体中央の折衝できまつておつたように思うのであります。現在北海道の困つておるのは、そういう大企業の金融ではなくして、中小企業の金融が困つておるのであります。この十七億五千万円という昨年度の融資につきましては、大企業の融資がこのうちどのくらいを占めておるかをお伺いいたしたいのであります。
  36. 中村建城

    ○中村説明員 ただいまの苫米地さんの御質問でございますが、お説の通り十七億五千万円のうちの大部分は中央折衝で、東京に本社のある大会社であります。しかしながら北海道地区、たとえば雪印乳業——北海道バターであるとか、あるいは北海道のはしけの荷役であるとか、そういうふうなものがやはりございまして、これは件数から申してある程度ございまするが、金額的にはやはり大企業の貸付が多うございまして、パーセンテージから申しますと、ほんとうの地元の会社につきましては、やはり非常に低い率になつております。お説の通りであります。
  37. 苫米地英俊

    ○苫米地(英)委員 この点が非常に心配なのでありましてつ日本開発銀行が北海道のことを考慮に入れて心配してやると申されましても、それが大企業に偏重しておる限り、現状と異ならないばかりでなく、われわれがもし日本開発銀行の言明を信じ、道民は安心をしておりましても、北海道の方には資金は心配してやつているのだ、資金は量的にも、また時間的にも十分考慮してやつておるのだと言うけれども、その恩恵を受けるものが、従来の中央で折衝してきめておつた大企業だけであるということになれば、現在以上何ら裨益するところはないのであります。将来この方針について、開発銀行はどういうふうにやられるか。それを伺つておきたいのであります。もちろん開発銀行は国家の方針に従いまして、造艦であるとか、電源開発であるとか、炭鉱であるとか、そういう基本的なものに順序をつけて、重要さをもつ融資しておられることは承知しておるのでありますけれども、現在は北海道の実情としては、それだけではどうにもならない状態にあるのであります。そこでその点について、日本開発銀行総裁から御答弁を伺いたいのであります。
  38. 小林中

    小林説明員 ただいまの苫米地さんの御質問でございますが、これは十七億五千万円二十六年度に北海道地区融資をいたしたものは、ことごとく北海道地区で使われている金であります。従つて、北海道地区にそれだけの金が余分に流れる、今後の北海道地区に余分に金が流れるということは、北海道地区自体の、また将来の北海道の銀行等の預金も順次ふえて参りますし、北海道の金融状態が非常によくなつて来るのだということに、私は結論はなるのではないかと思うのであります。開発銀行資金は、本店が東京にあります会社に金を貸しましても、北海道地区でそれが完全に使われているということは、これは常に資金用途は厳重に監督をしておりますので、私の申し上げた金は、北海道地区でことごとく使われているのだということを御承知を願いたいと思います。同時に近き将来において、札幌に開発銀行が支店を設けました以上は、ここで融資業務をいたしますので、従来本店で扱いまするのと違いまして、地元に支店が融資機関を持ちますので、従来よりも中小企業的な融資も積極的にできるのではないかと考えております。
  39. 苫米地英俊

    ○苫米地(英)委員 どうも総裁の今のお言葉は非常な不安をかもすと思います。従来北海道の大きな資本は中央の本店で扱われており、開発銀行以外の金融機関からの融資を受けてやつて来たのであります。そして、それに対して総裁の御答弁では、その金はみんな北海道へ落もるのだといわれますが、これは現実を無視したお言葉でございます。全部落ちはしません。のみならず、今後もその方針で行くというのであれば、これはまつたく北海道においてわれわれが渇望しておる中小企業の振興、または開発銀行からの融資ということは、期待をかけられないことになるのであります。なるほど北海道に支店を設けるから、ある程度は中小企業にも及ぶだろうというようなお話もあつたのでありますけれども、これはまつたく運営上の問題であつて、北海道に大きな金融が折衝されて来るのだからという根本観念がある以上は、中小企業に対する資金の融通ということについては、きわめて軽く扱われるおそれがあるように思うのでありますが、この点についてもう一度御答弁を願いたいと思います。
  40. 小林中

    小林説明員 ただいま私が十七億五千万円、開発銀行資金が二十六年度に北海道地区に流れたと申し上げたのでありますが、それは機械とか、設備とかの一部として、必ずしも北海道にその資金がとどまる金かということは、苫米地さんの言う通り、全部がことごとくとどまる金であるかは、非常な疑問だと思います。しかしながら、設備資金として出した金で、相当部分はやはり北海道に残るのではないかと考えられるのであります。と同時に、支店設置によりまして、直接北海道の札幌に融資の機関を持つようになりますので、従来東京にありますよりは、中小企業の御商談も非常に楽になる。従つて、私どもは北海道の特殊性を十分に考慮しまして、そういう点も積極的な業務の運営をいたして行きたいと考えておるのであります。
  41. 苫米地英俊

    ○苫米地(英)委員 北海道の設備資金として流すのであるから、大部分は北海道に行くといわれますが、これはやはりその御答弁によつても私は満足できないのであります。実例を今ここで詳しく述べるまでもなく、総裁もそのことは十分おわかりになつての上のお言葉だと思いますので、その現実はここで申し上げることを差控えます。もちろん将来にといつても、すでに北海道には、ことしはこれだけの融資をしておるから、これ以上はできないというような口実を設けられるおそれがあるのであります。しかも、これだけ行つているというものの、ほとんどすべてが大企業を相手としたものであつて、中小企業を相手とする場合には、北海道にこれだけ注入したから、これ以上は無理だというようなことをいつて、逃げるというおそれが多分にあるのであります。そこで総裁にもう一度お伺いいたしたいのでありますが、中小企業に流す長期資金と、大企業に流す資金というものを、結びつけて考えないというように言明せられることができるかどうか。この点をお伺いいたしたいのであります。
  42. 小林中

    小林説明員 ただいま苫米地さんのお話だと、二十六年度十七億五千万円出したのだから、もうこれ以上は北海道に対して特別の考慮を払わぬというようなお話でありますが、私はそういうことは決して申し上げたのではなくて、二十六年度の実績がかくかくである、従つて二十七年度にはより以上積極的に北海道に産業資金を出す覚悟でおります。そう申し上げたのであります。それにつけ加えまして、北海道に支店も設置されることでありまするから、中小企業の金融も扱いが一層円滑になるのではないか、従つて中小企業の資金もより以上出し得るような態勢をとつて行くのだ、こういうことを申し上げたのであります。
  43. 苫米地英俊

    ○苫米地(英)委員 私のお伺いしたのはそうではなくて、将来に対しても大企業の金融と中小企業の金融というものを結びつけて、一方をもつて他方を拒否する資料としないで、別個のものとして考慮されるかどうかということをお伺いしたのであります。二十六年度のものがどうというのではなくて、二十七年度以降のものについて、大企業の金融と、言いかえれば中央において折衝される金融と、支店において折衝される支店の中小企業を相手としたものとを、別口に御考慮されるかどうかということをお尋ね申したわけであります。
  44. 小林中

    小林説明員 それは大企業の融資が多くなつたから、中小企業を減らそうとか、あるいは中小企業が融資の額がかさんだから、大企業の融資を減らそうというような考え方は決して持つておりません。実情に即した金融をして参りたいと考えております。
  45. 苫米地英俊

    ○苫米地(英)委員 ただいまの御答弁ではつきりいたしました。つまり実情に即して大企業も中小企業も金融をする。一方の金融措置もつて他方の金融措置を食いとめる理由にはしない、そういうお言葉でありますが、その点は安心できるわけであります。そこで先ほど第二・四半期——きわめて早い時期に支店を開設するというお話でありましたが、まず最も早いところでどのくらいのことを考えに持つておられますか。もちろんこれは事情によりまして、多少の狂いが起ることはしかたがないと思いますけれども、企業家にこの長期信用銀行の成立とともに起るであろう不安感をぬぐうために、一日も早いことを望みますが、まず大体見通しはどのくらいであるか。これは多少の狂いを生じてもいたし方ないと思いますが、この点は言明することを困難となさいますかどうですか、お伺いしたいと思います。
  46. 小林中

    小林説明員 開発銀行の札幌支店の設置時期は、御承知通り支店を設置いたしまするには相当準備期間がいりますので、ただいますぐ支店を設置するというわけにも参りませんが、私のただいまの考えもつていたしますると、できれば八月一ぱいくらいに支店設置をいたしたい、こういうふうに考えております。
  47. 苫米地英俊

    ○苫米地(英)委員 日本開発銀行が支店を設けられた後に、その窓口は開発銀行だけでおやりになりますか。もしくは必要に応じては、代行機関をも置くというようなお考えでございますか。この点を承つておきたいと思います。
  48. 小林中

    小林説明員 開発銀行の支店といたしましては、札幌にただいまの予定では一箇所でございます。しかしながら復金融資以来の関係もありますので、興業銀行の支店あるいは勧業銀行の支店、あるいは北海道拓殖銀行の支店を使いまして、融資はできることになつております。但し新しく立てられましたところの長期信用銀行の営業方針等を勘案をいたしまして、その点はあまり摩擦のないようにやつて行きたいと考えております。
  49. 苫米地英俊

    ○苫米地(英)委員 大体今までの御答弁によりまして了解できたのであります。そして決して日本開発銀行総裁のこの委員会における言明を疑うという考えは毛頭ありませんが、将来いろいろの行き違いが生ずるというようなこともあると困りますので、この点については事務的に北海道開発庁次長とよく御連絡をいただき、その内容等についてもお互いに文書を交換するというふうにしていただきたいと思いますが、その点はいかがでございましようか。
  50. 小林中

    小林説明員 先ほども申しましたように、北海道開発資金に対しましては開発庁とも今後十分密接なる連絡をとつて参りたいと考えておりますから、その点御了承願います。
  51. 苫米地英俊

    ○苫米地(英)委員 ちよつとはつきりしなかつたのでありますが、これはもちろん委員会の速記録で将来明瞭になることでもあります。お互いの人格を尊重するがゆえに、これ以上のことは一応必要ないと考えられますが、まだこまかい点について遺漏があるかもしれませんし、また私どもが各方面と話合いをして、この長期信用銀行委員会における審議を進めて行く上におきましても、こういうふうになつておるからと私どもが言うことができるようにするために、なお総裁におかれましても、北海道開発庁次長もしくはその事務担当者と、開発銀行の事務担当者との間において明細なる打合せ了解をつけまして、文書として残すというようにひとつ取扱つていただきたいと思うのであります。もちろんその資金はどれだけ流すとかいうようなことは、これはできないことでありますけれども運営等についてこの基本線だけは、はつきりしておきたいと思うのでありますが、この点をもう一度ひとつ総裁にお伺いしたいと思います。
  52. 小林中

    小林説明員 北海道開発庁も政府機関でありますので、従つて北海道開発庁とは十分にわれわれも北海道の特殊性を考慮いたしまして、今後時々打合せを遂げて行きたいと考えております。どうぞその点御了承願います。
  53. 苫米地英俊

    ○苫米地(英)委員 時々打合せて行くとかいうお話でありますが、それはもちろん必要でありますが、今長期信用銀行法案を取扱う上におきまして、いろいろ複雑した事情がありますので、この事情を乘り越えて行くために私はこまかいことはとにかく、基本線だけはさつそく打合せて明確にして%いていただかないと、私どもがいろいろな関係方面に政治折衝するのも困難かと思うのであります。この点ぜひ総裁にひとつ了承していただきたいと思います。
  54. 小林中

    小林説明員 再三申し上げております通り、北海道開発庁次長も開発銀行に参つて打合せを現在しておるような状態であります。これは遺漏なくやるつもりであります。もちろん政府と北海道開発庁との連絡も十分にとることと思います。三者一体にできるだけ御希望に沿いたいと考えます。
  55. 苫米地英俊

    ○苫米地(英)委員 私にはどうも総裁がこの点について積極的でないということが、了承できないのであります。確実にそうやるというならば、その基本線をはつきり出したつて、どこにも支障がないわけであります。あとからになつて自由な解釈をして、自由に動こうというのならば、そういう意思があるならば、これを躊躇する理由は十分にあると思う。そういう意図がないたらば、これに対して二の足を踏まれるという理由はどこにもないと思いますが、小林総裁はその点はいかがでございましようか。
  56. 小林中

    小林説明員 大体御承知通り開発銀行融資の線は、政府基本計画に基きましてやつておりますので、開発庁の計画も当然政府の計画の一環であります。この線は開発銀行としても十分画重して参ることであります。苫米地さんは非常に御心配のようでありますが、私がここで再三立ちましてかように申し上げることを、ひとつ信用願いたいと思うのであります。
  57. 苫米地英俊

    ○苫米地(英)委員 開発庁も政府機関であり、開発銀行政府機関であることはもちろんでありますけれども、おのおの独立の立場を持つて、おのおの独立に動き得る立場にあるのでありますから、そこのところをこの機においてはつきりさせておかないと、私どもがこの問題を取扱う上において、私はここにはつきりは申しませんけれども、政治的かいろいろの支障が起ることを予見するがゆえに、この点を私はつつぱるわけなのであります。決して政府機関との間でどうだというのじやありませんけれども政府機関同士であつても、各省と省との間であつても、とかく誤解があつたり動かなかつたりすることがある。いわんや金融機関開発庁というものの間においては、行き違いや意見の相違も起るだろうと思いますので、基本線についてだけは動きがないところをはつきりさせておかないと、私どもこの銀行法を取扱う上において支障を生ずると思うゆえに、私は総裁にこの点はぜひ御了承願いたいと思うのであります。
  58. 池田勇人

    ○池田国務大臣 開発銀行政府関係の問題でございますので、大蔵大臣としてひとつ申し上げたいと思います。開発銀行総裁が答えられたように、政府開発銀行融資方針につきまして閣議決定をいたしておるのであります。この方針にのつとつ開発銀行はやつておられると思います。従いまして直接の監督に当る大蔵大臣とは、常に密接な連絡をとつております。しかし開発銀行総裁として、個々の、たとえば北海道に金を出す場合、あるいは農林関係の問題とかあるいは通産関係の問題につきましては、これは開発銀行総裁が独自の考えで、個々に政府意見を聞かれるような場合もあると思いますが、開発銀行総裁として、北海道開発庁とは特別の協定をいたしますとか、農林省とはこういう協定でやつて行くということは、なかなかおつしやりにくい問題ではないかと思います。従いまして、まず私が大蔵大臣として、各省のとりまとめ役をやりまして、そうして開発銀行と連絡をとる、こういうふうにしました方が、両方ともやりいいんじやないかと思います。問題は金融の問題ばかりでなしに、予算の問題その他の点が総合的に考えられなくてはならぬ問題と思いますので、開発銀行総裁が今までお答えになつたことはもつともことでございます。しこうして今苫米地さんの述べられた眞意も、開発銀行総裁にはわかつておると私は考えるので、大体この程度でひとつ御了承願いたいと思います。
  59. 苫米地英俊

    ○苫米地(英)委員 ただいまの大臣のお話もごもつともに存じますけれども、私は人を対象としてお話をしているんじやありません。機構と機構とを対象としてお話をしているのでありまして、大藏大臣池田勇人という人を私がいかに信用しましても、時代とともに大藏大臣になる人はかわるものと思うのであります。また開発銀行総裁小林中氏も、小林という個人を相手に私は申しておるんじやありません。かわるかもしれない。時間の経過とともに必然的にかわる時期が來るに相違ない。であるがゆえに、私は人をいかに信用しても、機構と機構との間は、それは前任者の考えであつたと言われたんじや、すべてがひつくり返つてしまうのでございます。ですから機構と機構との間においてはつきり動かない線を出しておくことが必要であつて、個人の信用というものを離れて、この問題は考慮しなくちやならないと私は考えておる次第であります。
  60. 池田勇人

    ○池田国務大臣 私は池田勇人個人として申し上げたんじやないのでございまして、日本開発銀行ができました経過等から考えまして、政府といたしましては、大藏大臣の監督のもとに政府融資方針を閣議決定をして、これにのつとつてやつていただくようにいたしておるのであります。従いまして機構としては、できておるその機構がいいか悪いかという問題は、これはそのときの状況にもよりましようし、また人の問題もあるかもわかりませんが、ただいまの機構といたしましては、開発銀行が個々の官庁と融資その他についてとりきめをするという機構には相なつていないのであります。ただいまの閣議決定によりましての指導方針で、個々の問題につきましては大蔵大臣が監督する、この機構で行くのが適当荘と思います。で、そういう機構のもとに運営をどうするかということにつきましては、ただいま申し上げましたように、大蔵大臣としては各般の事柄につきまして各省、各庁の意見を聞く、そうして閣議決定の方針をかえる必要があればかえますし、またその方針の丙ではどういうふうな運営にしたらいいかということは、私がこれを監督者といたしまして適当に処置する、こう申し上げておるのであります。
  61. 苫米地英俊

    ○苫米地(英)委員 どうもそこのところにしつくり行かないところがあるのであります。閣議決定は、大体重点をどこに置いて金融をするかという問題についてだけ決定があると、了承しておる次第であります。もちろん大蔵大臣の御答弁は、個人ではなく大蔵大臣として答弁しておる。これは私その通りであると信ずるのでありますけれども、やはり個人を離れて公の職というものはあり得ないので、個人がかわればその考え方も内容も勢いかわつて来るのであります。でありますからして、そこのところを私が心配をするばかりでなく、この問題に関係を持つておる多くの人が心配しておる。ある人はごまかされちやだめだぞと、私にこう言う人もあるのであります。自分はごまかされているんじやないんだ、こういうふうに信ずるがゆえに言わなければならないのであります。それでなければ問題はなかなかまもとまらに。もし衆議院でまとまつても、参議院へ行つてまた妙なことになりはせぬかということを、私はおそれておる次第なのであります。そこでどうしてもこれが満足の行く御答弁が得られないならば、この程度で私は保留して、なお研究もし相談もしてみなくてはならないと思うのであります。それからもう一つ大蔵大臣にお伺いいたしたいのでありますか、北海道の金融は、長期信用ばかりでなしに、商工金融であるとか、国民金融公庫であるとか、農林漁業資金であるとか、こういうようなものの供給いかんによつても、非常に大きな影響があると思うのでありますが、これらの点につきまして、大藏大臣はどういうお考えを持つておられまか、一応お伺いいたしたいのであります。
  62. 池田勇人

    ○池田国務大臣 各種金融機関につきましても、それぞれその分野におきまして、また日本産業経済状況を検討してやつておると思うのであります。これは予算でもおわかりになるように、公共事業費その他につきましては、北海道については特別に政府として措置とつていることは、苫米地さん御承知通りであります。また開発銀行につきましても、先ほど総裁から申されておるような状況でありまして、また新銀行設立の場合にも、そういう気持でやるということは私が言明した通りで、一般の金融機関につきましても、先ほど私がここで申し上げましたような気持で、指導いたして行きたいのであります。
  63. 苫米地英俊

    ○苫米地(英)委員 ただいまの問題については大蔵大臣の御答弁に満足いたしますが、この問題は留保いたしまして、本日はこれで打切りたいと思います。
  64. 有田二郎

    有田(二)委員 去年の夏に、私は大蔵委員として北海道の国政調査に小山、奥村両君と一緒に参りました。今苫米地さんの話の中に、金融に力が入つていないという意見がありましたが、公平に見て日銀の例をとつてみても、札幌、小樽、函館、釧路と四つも支店がある。しかも函館の方はたつた二十二億の預金で二十七億の貸出しであつたにかかわらず、こういうところに支店がある。また小樽にしても、支店の必要性がないということを私は痛感して帰つて参つたものであります。もちろん北海道は日本に残された、たつた一つの開拓されるべき有望な土地であることは、だれしも十分認めるところでありますけれども、北海道だけでなく、九州も四国も、それからまた委員長の県は宮崎県ですが、それぞれ開拓しなければならぬ県も残されておると思うのでありますが、北海道についてはやはり特別に考えることが妥当だと思います。しかもこの問題を苫米地さんがやかましく言われるようになつた原因は、やはり北拓の問題が中心になつていると私は考えるのであります。私は先般の予算委員会で大蔵大臣の池田さんに、北拓とか勧銀のように一定のわらじで行くことはよくない、商業銀行でありながら債券を片方で持つているということは、他の市中銀行あるいは地方銀行に比べてアンバランスであるという点をやかましく申し上げたのであります。そのことによつて、長期信用銀行のできましたことは非常にけつこうでありまするが、今苫米地さんの御心配になつておられる点を考えましても、また今日本開発銀行小林さんの御答弁を聞きましても、支店の設置に準備がかかるというお話でありますし、また長期信用銀行が発足しましても、一年以内という報が入つておりますけれども、私はまだまだ準備にかかるものと思うのでありまして、これらについてもう少し検討をすれば、苫米地さんの御心配の点もなくなるのではないか、かように考えるのでありますが、大蔵大臣の御所見を承りたい。
  65. 池田勇人

    ○池田国務大臣 この法案が通りまして、ただちに着手にはかかりまするが、何と申しましても、新金融機関設置されて動き出すまでには、やはり相当の時間を要することは、これは今までの例から見てもわかることでございます。従いまて、いよいよ新銀行が設立せられて活動ずる、また開発銀行が支店を置いて積極的にやるというまでには、つなぎとしてやはり北海道拓殖銀行の業務を考えなければならぬと思います。
  66. 宮幡靖

    宮幡委員 ただいま開発銀行法の一部改正と長期信用銀行法と混同されたような応答がかわされているので、その点をはつきりさしていただくために、関連質問としてお伺いするわけであります。開発銀行は、先ほども総裁に総括的なお尋ねを一、二いたしたわけでありますが、政府長期信用機関であると考えている。一般の長期信用銀行というものは純然たる民間機関でありまして、苫米地委員は、日本の重要開発点である北海道の問題について、あるいはその地区に密接な関係のあります郷土愛、あるいは国家を愛するがつえのお気持から、いろいろなお尋ねをしておつたのであります。総裁も大臣も個人の資格とかあるいは公の資格とかいうことまで加えまして、御答弁があつたわけでありますが、そのやりとりを聞いておりますと、この長期信用銀行自体に何らか足りない点がありまして、それで政府機関である開発銀行資金もつて、これを補充するというような感じがいなしたのであります。これは私のえこじな考えからそう聞えるのかもしれませんが、いやしくも開発庁の次長と開発銀行との間で、何か書面のとりかわしをしたらどうかというまでの御意見があり、これはお互い政府機関であるから、書面によるといなとを問わず時々刻々と折衝して——北海道は重要な開発点であり、苫米地委員の人格と北海道を愛する気持はよくわかるのでありますが、かような法律制定にあたりまして一地区一地方に対しまして特別なる配慮が加えられるということが、もし法案審議に現われた場合は私はこれは容易に看過すべからざることでそういうことが法律の欠陥を補う一つの行政措置であるというようなにおいがいたすならば、残念ながらこれには賛成する勇気がないということになりますので、この点につきまして、大蔵大臣といたしまして、また開発銀行総裁といたしまして、はつきりした御意見を伺いたいと思います。
  67. 池田勇人

    ○池田国務大臣 御質問の点がはつきりわからないのでございますが、私は開発銀行長期金融機関というものを混同いたしてはおりません。開発銀行開発銀行でその使命によつてやつて行くのであります。これは完全な政府関係機関であります。しかし長期金融機関は、これは民間の興銀というようなものと似たものでございます。従いまして、長期信用銀行法に根本的に各階があるという点、趣旨としてはこれは反対する理由はないのでありますが、その経過的な措置等におきまして不足があるから、これが開発銀行の札幌支店によつて補われるというに至りましては、私は本末転倒している疑いがおると思うのであります。従いまして、苫米地委員の御心情、御熱意に対して反対の気持を持つものでありますせんが、法律案を審議する立場から言いますと、技術的な面を重点考えて、その間に截然と区別がつくのであります。北海道拓殖銀行が今まで一定のわらじをはいておつたのを、今度はそれをやめるというので、経過的な問題としまして、金を貸す実質面におきまして支障のないようにしよう、こういうのでありまして、機関自体の性質は、あらためて申し上げるまでもなく別個の機関であるのであります。それから北海道拓殖銀行というのは特殊な銀行でありましたから、この移りかわりで北海道拓殖銀行をどうするかという御心配は、御心配なさるのも無理からぬことであると思います。先ほど来申し上げましたように重要地点でありますので、特に注意を払つて今後やつて行こう、こう申し上げているのであります。
  68. 宮幡靖

    宮幡委員 私のお尋ねした言葉もわからなかつたかもしれませんが、御答弁の方も私の気持とは少し違つている。私の申すのはそういう趣旨ではない。開発銀行は北海道開発のために協力するので、予算措置その他これを重点的にやつて行く方針には、何ら異存がないのであります。けつこうなことだと思つている。しかしながら、今までのやりとりを見ますと、長期信用銀行法のあきたらない点が、開発銀行によつて補充されて行くというのであります。かりに申すならば、興業銀行が長期信用銀行として新たに発足するか、あるいはさらにこの法律が施行された上に、準備されました日本長期信用銀行というようなものができて、その支店を北海道の各地に設けまして、それぞれのまかないをするというならばわかります。長期信用銀行によつて北拓は発券の能力も失いまして、純預金銀行、商業銀行となるのだ。しからばその商業資金のまかないはどこでやるかといつたならば、開発銀行等融資によりしかるべくその資金をまかなうということになると、法律上、苫米地委員は温厚篤実なる言葉の言いまわしをされますが、足りないところは開発銀行融資によつて補われるのではなかろうか。それについて開発銀行総裁から一札をとつておかなければならぬということは、速記を繰返してお読みになつたならば明らかな事実であります。私はこの点につきまして、もし一つの既成事実をもつ長期信用銀行法を條件付で発足させるということに対しましては、私どもは了解に苦しむということをお尋ねしたのであります。従つて單独に北海道開発のために開発資金注入等に配慮せられることは、私どももとより賛成であります。けれども長期信用銀行法の欠陥を補足せんがために、その措置によつて、しかも行政的な配慮によつてこれをいたそうなどということについては、私どもの尊敬いたします大蔵大臣のやり方として、決して私はそう賛意を表することはできないという趣旨を、まずい言葉でお尋ねしておるのでありますが、これほどくどく申せばわかると思います。
  69. 池田勇人

    ○池田国務大臣 大分誤解があるようであります。これは苫米地さんの御意向をそんたくいたしますと、長期金融機関としての北拓がなくなつた場合において、どうやつて行くか。そこで新銀行につきまして、支店を置くとか重役を常駐さしておくとかいうような方法を講じてもらいたい、こういうことにつきまして、私と苫米地さんとの間に話があつた。しかして新長期信用銀行というものはまだ発足もしておりませんし、これに対してどうこうというのは、まだこれからの問題であります。しかし開発銀行はもうすでに発足いたしましたから、その経過にかんがみて、苫米地さんがいろんな御意見を言われておるのでありますが、長期金融機関の審議あるいは決定の條件としてどうこう言われておるようには、私は思つていないのであります。今までの開発銀行の経過からいつて、こういうふうに改めたらどうか、こういうふうにやつたらどうかということは承つておきますが、今証文をとりかわしたりすることはお待ちください、そうしなくてもうまく行くと思つております、こういうことを言つておるのであります。
  70. 宮幡靖

    宮幡委員 それではつきりいたしました。従いまして、ただいままでに苫米地委員と御答弁のやりとりのありましたことは、あくまでも一時的に、もし長期信用銀行的な存在があるいは一定のわらじといたしましても、そういう存在が北海道地区になかつた場合においては、北海道開発のための特別の政府機関もあるので、これらと開発銀行あるいは政府の予算措置等によりまして、この開発銀行資金供給を全うして行きたい、こういう趣旨であつて、あくまでも長期信用銀行そのものに関連しての問題でないということを、了解してよろしいのでありますか。
  71. 池田勇人

    ○池田国務大臣 これまたむずかしいのですが、前提はこうですか。北海道拓殖銀行というふうな長期銀行がもしなかつた場合において、新しい長期銀行ができる場合においては、ああいうふうな議論はないか、こういうことですか。
  72. 宮幡靖

    宮幡委員 開発銀行を通じてとらんとする措置は、長期信用銀行法を施行しようという趣旨とは全然別個な観点から、苫米地委員との間に質疑応答がかわされたのか、それとも長期信用銀行の発足によりまして、ただいまの北海道拓殖銀行の発券能力その他によつてまかなつて参りました北海道の資金に欠陥が生ずるから、開発銀行その他から供給してこれをまかなうのだという妥協の応答かというのです。
  73. 池田勇人

    ○池田国務大臣 制度の問題と実質の問題とわけて行かなければならぬと思います。制度の問題としては別個の問題であります。しかし何といつても、北海道へ金をできるだけ出して開発に充てたいというときには、関連性がございます。
  74. 宮幡靖

    宮幡委員 それはよくわかります。そのくらいのことはよくわかりますが、北海道拓殖銀行の発券能力をとるかとらないかということが、従来大臣にはお忙しいので出席回数が少いのでありますが、これは苫米地委員の御質問の中にもしばしば現れて来ておることであります。それが発券能力をとつてもよいということに了解し得たという前提に立ちますと、その裏づけとして開発銀行の何らかの措置あるいは政府財政措置、こういうことによつてまかなわれるからいいと思う。それについては開発銀行総裁は、開発庁の次長あたりと覚書の一本くらいもとりかわしておいてもらいたいが、どうだというようなお話がありました。それが曖昧模糊として流れて来ておるのでありますから、その点で制度の区別のあることはわかります。観念の区別のあることもわかりますが、そういう場合においては、一地区に偏重するところの行政的運営によつて、補つて、それで長期信用銀行を発足せしめなければならないかという、一つ考え方が進んで参るのであります。長期信用銀行日本の各地に複数制であるというから、正常に発足していただきまして、長期資金の足りないところを政府機関と相まつてこれを補完して参りたい。この御趣旨は総裁からも先ほど問いたのであります。それが法律運営にあたりまして、單に北海道地区だけを重点的に考えるというような言葉が残つておつたとすると、なかなかこれはむずかしい問題になろうと思いますので、そうでなしに、制度の問題も観念の問題もよくわかりますが、非常に脱線した話になるかもしれませんけれども、苫米地委員にしても、われわれの先輩としてごそんたく申し上げれば、表面から実は北海道拓殖銀行の発券能力を急激にとられては困る、ということではなかろうかと思われるのであります。それをもつとはつきりしていただかないと、苫米地委員のしばしば操返されるように、参議院等の審議もあり、とかく参議院は衆議院の大蔵委員会は何をしておるなどと物申しておるようでありますから、何もしておらない、正常に国民の代表として審議を進めて行く、たとい大蔵大臣であろうが、開発銀行総裁であろうが、明らかにするところは明らかにいたしまして、この審議をするのだ、こういう過程をただいまとつておるのであります。従つて何らそこに感情的な気持もないのでありますが、一方に片寄つた措置ということにとられる質問や、法律それ自体に対する当委員会の不満というものを、行政措置によつて妥協的措置をとるというようなことに至りましては、残念ながら賛成ができないという意味であります。しかしこういうようなことは、私はこれ以上は関連質問範囲を越えますからやめまして、まだこの法案の審議は続くことでありますから、具体的にその機会に私のよくわからないところを、大蔵大臣からお教えを請うことにいたしまして、私はこれで終ります。
  75. 苫米地英俊

    ○苫米地委員 宮幡委員は私の言葉を大分誤解しておられるようでありますので、私も一応明確にいたしたいと思います。長期信用銀行が発足する場合に、今後の北海道の長期金融が、今まで拓銀で世話を見てもらつたのがどうなるかということが、一つであります。いま一つば、北海道の大企業は先ほども数字で示されましたように、開発銀行でまかなつて来ておる。しかしもし長期信用銀行ができたがゆえに、この大きな企業の金融、中央で折衝せられたものが、開発銀行を手を離れて、長期信用銀行の方に追もやられるということになれば、たとい北海道拓殖銀行が従来発券しておつた資金量が、そのまま長期信用銀行から北海道拓殖銀行に取扱わせるようなおとりはからいがあつても、これは資金量において非帶に減少して来る。従つて今後も開発銀行は、従来通り大企業の資金を中央でお引受になるかどうか。それを長期信用銀行の方に追いやつてしまわないで、従来通りおやりになるかどうか。いま一つは、日本開発銀行が今まで金融をしておられたものは、政府のいわば縦の金融政策、閣議で決定せられた重点従つて、中央において大企業の金融をやつて来られたのであるけれどもそれを今度は支店ができた場合に、支店の方にほおり込んでしまわれたのでは、支店ができても何にもならない。であるからして、大企業の金融と中小企業の金融というものを分離して考えて、中央においては従来通り大企業に対する金融をし、支店においては中小企業の金融を見てもらう用意があるかどうか、こういうことを聞いておるのであります。この点誤解があるようですし、他にも誤解のある方もあるかもしれませんから、この点を明瞭にいたしておきたいと存ずる次第であります。     〔「了承」と呼ぶ者あり〕     —————————————
  76. 佐久間徹

    ○佐久間委員 ただいま議題となつております八法案中、日本開発銀行法の一部を改正する法律案地方公共団体職員給與改善のための地方公共団体に対する国の貸付金に係る債務免除等に関する法律案、及び地方自治法第百五十六条第四項の規定に基き、税関出張所及び監視署設置に関し承認を求めるの件の三三案につきましては、大体質疑も盡されたと思いますので、この際打切られんことを望みます。
  77. 佐藤重遠

    佐藤委員長 ただいまの佐久間君の動議のごとく決するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  78. 佐藤重遠

    佐藤委員長 御異議ございませんようですから、ただいまの三案につきましては、以上をもつ質疑を打切ることといたします。  これよりただいま質疑を打切りました三案につき、順次討論採決に入ります。  まず、日本開発銀行法の一部を改正する法律案を議題として討論に入ります。討論は通告順によつてこれを許します。深澤義守君。
  79. 深澤義守

    ○深澤委員 ただいま議題となりました日本開発銀行法の一部を改正する法律案に対しまして、日本共産党を代表いたしまして反町の意見を述べるものであります。このたびの改正によつて日本開発銀行は、その資本金を三百億に増額いたしました。それに加うるに、復金の出資金政府の出資金といたしまして、八百五十二億二千万円を加えまして、合計千百五十二億二千万円という厖大なる資金量左有するところの銀行になるのであります。さらにこれに加うるに、適当な時期において見返り資金の私企業に対する貸付の債権、及びこれに伴う権利義務を承継することになりまして、日本経済の柱ともいうべき大きな銀行の性格を持つて來るわけであります。しかしながら、われわれは現在の日本状態といたしまして、この銀行の果す役割は、決して日本産業の正常的な平和的な発展に寄與するものではなくして、これはいわゆる日米経済協力によりまして、日本産業の軍事的再編成を促進するところの大きな役割を果す結果になるという意味におきまして、まずわれわれは反対するのであります。  第二の点は、いわゆる復興金融金庫の問題でありますが、御承知のごとく復興金融金庫は終戰の直後に発足いたしまして、その摂した役割というものは、まことに国民の疑惑の目をもつて見ておるところであります。その集中的な表現として現われましたのが、いわゆる昭電事件でありましたが、われわれはこれはまさに、氷山の一角にすぎないという見解を持つておるのであります。あの敗戰の渦中において、日本の財閥が何らの支障なく今日のような厖大なる発展をしたということの中には、国民の血税によつて復興金融金庫を通じて、この財閥の復活のために努力したという点が明らかになつておるのであります。具体的に指摘しますならば、三井鉱山が三十八億の借入れをしておるのであります。三菱鉱業六十四億、北海道炭鉱汽船四十四億、井華鉱業三十二億、明治鉱業十八億というように、実に厖大なる資金量をもつて、あの終戰の中から再出発いたしまして、今日の厖大なる資本を有するところの事業として再編されつつあるのであります。一般国民の犠牲によつてこれらの独占資本の復活をしたという、この復金の役割というものを、またそのまま開発銀行が受継いで行くというところにこそ、またこの開発銀行が第二復金の性格をもつて行くものである、こういう意味において、われわれはこれに対して反対するのであります。  第三点といたしましては、現在の日本開発銀行の業務内容を見ますると、鉄鋼関係に対して二十一億八千二百万円、石炭関係に対して十九億八千三百万円、自家発電——これはほとんど大企業の自家発電でありますが、これに対して十二億七千六百万円、化学工業十六億一千万円、電源開発五十六債、さらに返済資金として海運に二十五億四千八百万円というような貸出しをしておるのでありますが、これは先ほど指摘しましたように、いわゆる日米経済協力による日本産業の軍事的再編成のために、この資金がほとんど投資されておる。平和的な産業にはどのような融資が行われておるかということになると、繊維工業の一億農林水産五億一千万円、こういうことになつておるのでありますが、しかもその農林水産の内容を検討いたしますというと、太洋漁業一億五千万円、日本水産一億六千万円、極洋捕鯨二億円というぐあいに、これまた水産業の大資本に融資されておるのであります。この開発銀行の役割というものは、日本における独占資本の育成強化のためにこそ存在するのでありまして、日本全体の産業開発とその平和的発展のために、寄與するものでないということは明らかであります。こういう意味において、日本の再建は労働者、農民、中小企業をまず救済することこそが、日本再建の基礎であるという見解から、われれれはこの日本開発銀行法の一部改正案に対しましては、断じて賛成することができない。こういう態度を表明して反対の討論といたしたいと思います。
  80. 佐藤重遠

    佐藤委員長 討論は終局いたしました。  これより採決に入ります。本案を原案の通り可決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  81. 佐藤重遠

    佐藤委員長 起立多数。よつて本案は原案の通り可決いたしました。次に、地方公共団体職員給與改善のための地方公共団体に対する国の貸付金に係る債務免除等に関する法律案及び地方自治法第百五十六条第四項の規定に基き、税関出張所及び監視署設置に関し承認を求めるの件を一括議題として、討論に入ります。
  82. 佐久間徹

    ○佐久間委員 ただいま議題となりました両案につきましては、この際討論を省略して、ただちに採決に入られんことを望みます。
  83. 佐藤重遠

    佐藤委員長 ただいまの佐久間君の動議のごとく決定するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  84. 佐藤重遠

    佐藤委員長 御異議ないようですから、右両案につきましては討論を省略して、ただちに採決に入ることといたします。まず、地方公共団体職員給與改善のための地方公共団体に対する国の貸付金に係る債務免除等に関する法律案に賛成の諸君の起立を願います。     〔賛成者起立〕
  85. 佐藤重遠

    佐藤委員長 起立多数。よつて右案は原案の通り可決せられました。次に地方自治法第百五十六条第四項の規定に基き、税関出張所及び監親署の設置に関し承認を求めるの件を、原案の通り承認を與うべきものと議決するに賛成の諸君の起立を願います。     〔賛成者起立〕
  86. 佐藤重遠

    佐藤委員長 起立多数。よつて本案は原案の通り承認を與うべきものと議決することに決しました。なおただいま採決せられました三案に対する委員報告書の件につきましては、委員長に御一任をお願いいたします。     —————————————
  87. 佐藤重遠

    佐藤委員長 次に接收貴金属等数量等報告に関する法律案を議題として質疑に入ります。
  88. 夏堀源三郎

    ○夏堀委員 接收貴金属等数量等報告に関する法律案について二、三お伺いいたします。この法案の目的は、第一条に「この法律は、連合国占領軍に接收され、その後連合国占領軍から政府に引き渡された貴金属等に関して、接收の事実、数量等を確認し、返還その他の措置を講ずることに資するため、報告を徴することを目的とする。」こういうことになつております。そこでこの「数量等を確認し、」ということがこの目的のうちにありますが、最近の新聞の報道によりますと、確認は非常にむずかしいではないか、こういうことも考えられる。政府の資料によりますと、平和条約発效により連合国占領軍から政府に解除された貴金属等の数量調べと、連合国占領軍の接收された金銀の数量調べとの間に、約六トンの食い違いが生じておるのであります。そこで問題となりますのは、今新聞の記事を申し上ぐるまでもなく、これは大藏大臣は御承知のこととは存じますが、まず東京新聞の五月三十日の新聞で、貴金属の接收管理は占領軍が直接行い、日本政府は全然タッチしていない。従つてリストの引渡しを受けて初めて具体的数字を知つたわけである。これから審査を行い接收数量を明らかにする。このリストは簡単で、詳細な記入はないために、内容と現物の照合を行わなければならない。あるいは政府日銀の帳簿による接收された数量と、占領軍側の解除の数量とに食い違いがあるが、管理行為は占領軍が一手に行つたのでわからない。終戦直後には日本の産金が停止されていたため、配給されていたこともある、こういう食い違いがあり、たいへん困つたことであるということが書いてあります。なお今朝の日本タイムスには、旧敵国ということは申しにくいのですが、フイリピン、インドシナ、タイ等の要求に基いて、かつての司令部が日本政府にかわつて使用した金がある。これが日本にためてあつた。これは向りさんの言葉でしようか、これが今度返還されるというようなことも記事になつて出ておるようであります。この問題は相当米国内においても問題となつておるようであります。大蔵省としては、貴金属の接收管理は占領軍が直接行い、全然タッチしていない。従つてリストの引渡し等も初めてで、具体的な数量を知つたわけではない、こういうようなことであります。これから審査を行い接收数量を朗らかにする。そのリストは簡単で、詳細な記入がないということでありますが、そうしたようなことは、結局政府日銀の帳簿によつての接收された数量と、占領軍側の解除数量とに食い違いがあるということ、この管理行為は占領軍が一手に行つたのであるということ、占領の直後には日本の産金は行われなかつたということでありますので、こうした今申し上げましたようなことによつて、この新聞記事にもありますが、いわゆる受渡しの場合一体領收書をとつているのかどうか。民間の場合この領收書が合つているかどうか。そして特にダイヤは金庫管理の米兵に持ち去られたということが、新聞に記載きれておりますが、これが発覚したということで、アメリカで問題になつているそうであります。そうしたような場合に、この受渡しの数量が記載になつておらないということであり、領收書がはつきり見当らないということである。それに対して今報告を確認するという方法が、一体どうして見出すことができるか。これが問題であると存じます。なお法律案の中に、第四条でありますが、「第一項又は第四項の規定による報告に際して虚偽の報告をした者は、六月以下の懲役又は五万円以下の罰金に処する。」ということがあります。その当時戦争遂行のためにみなたいへん大事にしておつた貴金属が、ただみたいに買い取られたのであります。そういう処置によつて生じたことである。その受渡しの証拠となるべきものが民間にあるのかどうか。たとえばその後戰災等によつてなくしたものが相当あるかどうか。そういう場合に虚偽の報告をした者は云々ということがある。虚偽の報告であるかないかということを何によつて証明するか。まずこれが問題になりるだろうと存じます。そして連合軍はその当時日銀から一体幾ら持ち出したのか。戰争当時、あるいは終戦直後あちらが持ち出した方法手段について、この始末が一体どうなつているのか。ここにもこの数量を確認するという条項において、非常にめんどうな問題が起きるのではないだろうかと存ずる次第であります。こうした問題について、この法律案にはつきりとうたつている目的の確認ということの方法をどうして見出すか。これらはこの法律案の最も重要な問題でありますので、この点について大蔵大臣の御答弁を伺います。
  89. 池田勇人

    ○池田国務大臣 敗戰当時から一、二年間の事情はよく存じませんが、先般アメリカより七百万ドル、六トン程度外貨を渡すからというので、事情を調べてみましたところ、アメリカ軍の接收したものを日本へ返す、こういうことであります、従いましていろいろな事情を調べてみておるのでありますが、とにかくアメリカが終戰当時並びにその後そう長い期間じやないと思うのでありますが、接收した事跡がありますので、一応これを被接收者にお返ししなければならぬというので、今回本法案を御審議願つたわけであります。一応こういう法案を出しまして、接收された方々から報告を受けて、そしてその人の今までの職業、生活状態あるいはいろいろな点から、帰納的に真実なりやいなやということを審査するよりほかにないと思います。こまかい問題につきましては政府委員より答弁さしていただきます。
  90. 酒井俊彦

    ○酒井政府委員 先ほどお尋ねのありました資料で、接收解除になりました金の数量と、政府及び日銀が接收を受けた数量とが合わぬじやないかというお尋ねでありますが、実は政府並びに日銀で接收を受けた金の数量は、この金の中には品位の低いもの等もございまして、それを金の純分に換算いたしまして、百八トンという帳簿になつておるのであります。それに接收を受けまして返つて参りました二十六トンの合金がございますが、その中に金分が約八トンございます。従いまして、この合金の中の金分を合算いたしますと、金としての純量は百十トン接收が解除されたわけであります。連合国総司令部に接收されましたあとで、総司令部の方で接收貴金属の整理をいろいろいたしておりますが、その場合におそらくそういう品位の低いもの、あるいは金なり白金なりのまざつた難物の入つておりました分は、あるいは合金ということで整理をして返されて来たんじやなかろうかというふうに想像いたしております。何分まだ個々に純分を検定し、そして秤量するという仕事が完了いたしておりませんのでその結果を見合せましてつき合わすことによつて、大体その間の事情がはつきりしようかと考えております。それから第二は、イヤ・マークの金の件であります。これは戰時中にタイ、仏印等に対しまして、軍事協力その他の目的によりまして、七十二トン金がイヤマークされております。そのほとんど全部が大体返されております。従いまして、今回のこの数量の中には入つておりません。それから領收書があるかどうかという問題であります。これは私もはつきり承知しておりませんが、聞くところによりますと、中には金の純分率が書いてないとか、あるいははなはだしいのは数量が書いてないのもあるやに承つております。そういうことでありますので、今回のこの法律案を通していただきまして、当時接收を受けました人たちから接收当時の事実、それから数量その他の報告口をいただきまして、その報告によつて接收の事実を確認して参りたいと思つております。それから占領中に司令部の方で多少盗難にあつたんじやないかというようなお尋ねもございましたが、金、銀につきましては、そのような事実を承知いたしておりません。占領軍といたしましてはきわめて正確に管理をいたしておつたようでありまして、私どもといたしましては、そういう事実を承知いたしておりません。それから最後に罰則の件で、虚偽の報告をどうして取締るかということでありますが、虚偽であるかないか、これは証拠によつて判定するのでございまして、明確な証拠がございません限り、これは虚偽である、従つて罰則をかけるというふうには参らぬかと思います。ただ先ほども申し上げましたように、接收当時の事情が何分にもそういう純分その他が書いてないというようなことでありますので、その間非常に悪質の人たちが、接收の事実を曲げて報告をされるというおそれがなきにしもあらずと考えますので、もしそういう事実が証拠によつて確認されました場合には、この罰則を適用するというふうになるかと思います。
  91. 夏堀源三郎

    ○夏堀委員 まことに抽象的な御答弁ではつきりいたしません。今アメリカとの友好関係を堅持しなければならぬというときに、これは読賣ですか、新聞の記事にもはつきりと、「またダイヤ等は当時金庫を管理していた米兵によつて持ち出されたものも一部ある。(マーレイ大佐は帰還後発覚、有罪となつた。)」云々ということで、あちらでも問題になつておるということを聞いております。こういうことはあつてはならぬことであつて、私ども信じたくはないのでありますが、戦争というものは正常な取引によつてものをやりとりするということは、なかなかその通り行かぬ場合もあると思います。剣付鉄砲ですべての管理の場合いやおうなしに強制的にこれを行うということもあり得るだろうと存じます。ただ友好関係を持つて行かなければならぬという大事なこの機会に、もしそれがそうじやないとしたら、そのようなことを新聞記事に書いたとすれば、これは問題であります。政府は今の御説明によりますと、正当な方法で、云々ということに承わりましたが、そうあつてほしいのであります。何か連合軍でその管理中に幾らかこの貴金属を持つて行つたという事実はありませんか。そしてあわせてそれによつて数量の不足というようなことが現われたのかどうか。そうじやなく、別の理由によつてこの数量の不足が現われたものかどうか。さつきの答弁ではちよつとわかりかねますので、もう一ぺん御答弁を願います。
  92. 酒井俊彦

    ○酒井政府委員 新聞記事がどういうところから出ましたのか、私ども承知いたしておりませんが、政府といたしましては、そういう事実をまだ知つておらない状況であります。もつとも大分前のことでありますが、ダイヤモンドについて若干事件が起つたということを聞いております。しかしそのダイヤモンドにつきましてはかわり金として、さつき大蔵大臣からお話のありました六トン余りの金ということで、すでに返還を受けております。それからここにあげましたこの資料によります数字の違いは、先ほど申し上げましたように、整理の仕方が、政府及び日銀の接收された金百八トンと申しますのは、たとえば金、銀の合金、あるいは金、銀白金の合金であります場合には、金といたしましては、合金の中の金の純分を接收された額に掲げてあります。そういう整理を私ども並びに日本銀行ではいたしております。それを連合軍で接收いたしまして、その後品位を調べました結果、これは純金でない、まざり物があるということで、合金の整理をされるということはあり得るわけでありまして、この合金の中の金の純分が八トンあるということを加えまして、要するに百千トン金としてもどつて来たということでありまして、政府日銀で百八トン接收されて、百十トンもどつて来ておりますから、その他民間のものがそこに二トン余り入つておるということになるわけであります。
  93. 夏堀源三郎

    ○夏堀委員 政府の資料として御提出なつたこの数字に対しては、何ら新聞記事等のそれによつて生ずる疑惑を招くようなことはない、こう承つてよろしゆうございますか。
  94. 酒井俊彦

    ○酒井政府委員 さようでございます。
  95. 夏堀源三郎

    ○夏堀委員 それでよろしい。そうなくてはならぬと思いますけれども、これはその数量を確認するということがありますので、いずれ委員会の方でも、まあ間違いはないでしようけれども、確認するということの報告に持つて行くまでには、若干の調査の方法も進めたいと存じております。ただ今第四條で申し上げました虚偽の申請云々ということは、現実の問題として夏堀源三郎も貴金属を少からず供出しておる。けれども、その数量はよくわからなかつた。そこで一体どういう方法によつてこれを買いもどすことができるのだろうということになれば、私自身もわからないのと同様に、おそらくわからない人は多数あるだろう。領收書も一体あるのかないのか、こういう場合にただ勘によつてまあちよつと書いてみようとということが、虚偽の申請であつたということになつて、問題になる。六箇月以下の懲役、五万円以下の罰金などということになつて、これはたいへんなことになる。そんなうるさいものに手を入れるよりも、黙つておつた方がいいのだ、こうなるだろうと存じます。そういう場合に一体どういう方法をとればよろしいか、お教えを願います。
  96. 酒井俊彦

    ○酒井政府委員 おそらく大部分の方方は、接收をお受けになつた貴金属につきまして、帳簿その他で記録がおありになると思います。それからまた接收の事実のときに、大多数の場合にはおそらくどこで何トン接收したという受取書をお持ちでいらつしやると思います。そこでそういう証拠書類を同時に提出していただきまして、その証拠書類等によりまして、幾らであつたかという判定をいたしたいと思つております。
  97. 夏堀源三郎

    ○夏堀委員 ところが証拠書類というけれども、証拠書類があれば何も問題がない。焼けてしまつて何もないのだ、何もないからここに問題が起きるのだ、こういうことになりますので、私が今どういう方法をとればよろしいか教えてくださいと、こう申し上げたところで、あなたも神様じやないからではこういう方法とつたらいいだろうという御答弁はむずかしいだろうと思います。それはそれとして、それでは進駐軍が管理する場合、よくあり得ることだが、剣付鉄砲でもつてこれを管理するのだというその行動に移つたとつさにおいて、領收書をくださいということが言えるかどうか。もしそういう場合にその数量の確実な領收書を、日銀なり政府なりがとつてあつたかどうか、そういうことがありましたがどうか、これを伺います。
  98. 酒井俊彦

    ○酒井政府委員 貴金属の接收にあたりましては、日本政府あるいは日本銀行といたしましては、全然これにタッチいたしておりませんでしたので、政府がそういうことを証明する、あるいは領收書を出すという事案はございませんでした。
  99. 夏堀源三郎

    ○夏堀委員 そうだろうと存じます。それは定石である。だが定石であるといつたところで、それを証明すべきものがない。そうしてこの数量の確認ということが、一体どうしてこれを見出すことができるだろう。そこで今あなたのおつしやつたような御説明によつて、何か帳簿上あるいは何だかんだというようないろいろなことを総合して作成すれば、それを承認すればよろしいということになるかもしれないけれどもかく野党の方々もがんばつておられるので、そう簡単に行かぬぞということになれば、一体どこにそういう証拠書類を見出すかという問題になる、こういうことになるだろうと存じます。私どもこれに対しては與党として御協力の意味で、適当な方法を何か見出さなければならぬと存じておりますので、この点はお互いにこれから協力してこの確認の方法を見出したい、こう存じております。  もう一つお伺いしたいことは、その当時の帳簿価格、そしてそれを帳簿価格によつて売りもどす——あれは売りもどすということになりますか。そうですが。
  100. 酒井俊彦

    ○酒井政府委員 まず第一段におきまして、御報告をいただきまして、確認をした上でどういう返し万をするか、民間にどういう返還方法を講ずるかということを研究いたしたいと思いますので、それはまたこれで報告をいただきましたあとで、別途の法案といたしまして御審議を願いたい、かように考えております。
  101. 夏堀源三郎

    ○夏堀委員 それを買いもどすということになれば、その価格を定めなければならぬ。それはその当時の帳簿価格によつて買いもどすことができるかどうかということです。これはどうです。
  102. 酒井俊彦

    ○酒井政府委員 いろいろのケースがございますが、お尋ねの件は、たとえば買いもどし條件付で日本銀行にお売りになつたというようなものでございますれば、やはりこれはそういろ條件付でお売りになつておりますので、当時の価格ということになるのじやないかと思つておりますが、それ以外のいろいろの場合がございます。それぞれの場合にどういう返還方法を講ずるかということは、第二段の問題としてこの報告をいただきましたあとで、処置を考えて行きたいと思つております。
  103. 夏堀源三郎

    ○夏堀委員 どうもはなはだ不明確な御答弁で、その当時云々といつたところで、戦争遂行のためにこうせよという命令的なそれによつて処理されたのであります。あなたの言うようないろいろな条件を具備してこれを売り渡したとは、常識的に考えてもそういうことは当らないと存じます。これから研究するというが、一体どう研究するのか。法律案はもうここに提出なつておるのだ、そうしてこれを通せば、証拠書類を持つておる人は、ではこれを買いもどししたい、こういうた時分に、どの条項によつてこれを買いもどすかということになるだろうと存じます。この法案について不備な点がもしあつたならば、すみやかにこれは整備しなければならぬ、こう私は考えておりますが、この点はどうです。
  104. 酒井俊彦

    ○酒井政府委員 先ほど当時の価格と申しましたのは一例でございまして、たとえば日本銀行へ買りもどし条件付で売つたものがこぎいます。たとえば美術品でございますとか、いろいろお茶の道具でありますとか、金の純分、素材価値よりも、工芸品としての価値が非常に高いというようなものがたくさんございまして、それらを鋳つぶすには忍びませんので、買いもどし条件をつけまして、一応日銀へ売つたものがございます。そういうものが返つて来た場合に、もちろん政府としては日本銀行にお返しするわけでありますが、日本銀行としては、売りもどし条件付の買入れでありますから、売りもどしの請求があれば、その当時の約款に従つておそらく売りもどさなくちやならぬだろう、そういうものもございます。それから他の場合、たとえば製品でございましたのが接收されて、その他の金と一緒に溶解されて、現在は一つの金塊になつておる、しかしそのどの部分がだれのものだということが全然わからなくなつておるようなものもございます。そこでいろいろ各場合によりまして事情が複雑でございますので、どんな返し方をするかということは、一応御報告を受けました上で決定いたしたい、それは別途の法律によつて決定して参りたい、かように考えておる次第でございます。
  105. 夏堀源三郎

    ○夏堀委員 あなたの答弁は私にははつきりわかりません。これからいろいろ研究なさるという意味だろうと存じます。けれども実際にこの法律を通せば、ただちにどう処理しなければならぬかという事態が生ずるのであつて、そのときにこれから研究しましようでは治らないだろうと思います。そのときのもようからいつて、返すという条件が、帳簿価格であるとか時価相場であるとかいう何かの条件がもしあるとすれば、そのときの帳簿価格は時価にすればおそらく何百倍の利益差が出るだろう。一ぺん接收もしくは安く買い上げたという事態によつて、ここにそ線がびつたりときまつちやつた。法律の解釈はどう解釈すればいいかわかりませんけれども、一応ここで買い取取つた、あるいは接收した、あるいはこうしたといろ線がきまつてしまうと、その後発生する事態は、所有権はまた別個の処理をすることによつて、利益差を生ずるということになりはせぬか。これは程度の問題でありますが、大蔵大臣は税金をとる方の親分ですけれども、その利益差に対して税金をおとりになりますか、なりませんか。
  106. 池田勇人

    ○池田国務大臣 これは御承知通り戦争中、タイヤ、金、白金にを供出したときに、われわれその代金を払つたわけなんでございますが、供出の場合にこれは鑄つぶさずにおいてもらいたい、こういうので買いもどし条件付で日本銀行で預かつておるのもございます。こういうのは返す場合もありましようし、今酒井君が答弁したように、一応いろいろな事情で鑄つぶした場合もありましよう。いろいろな点があると思いますが、そういうことに対しましてどういう売りもどしの措置をとるかということは、この法律を施行いたしましての申告が出てから、ゆつくり考えたいと思います。お話通りに罰則もついておりますし、いろいろなむずかしい問題があるのですが、われわれの今の知恵といたしましては、一応こうやつて調査をして行こう、こういうことからスタートしておるのであります。で、今度これを政府がお返ししたときに、税金の方の間頭はどうなるかという問題でございますが、これはこればかりでなしに、たとえば賠償指定工場なんかは、財産税の場合におきまして、法人の資産からはずして株価をきめております。これは財産税の対象にしないわけです。しかもまた個人がこういう美術品を持つておつても、こういうものは一応財産税からはずしております。多分財産税は五年以上たつてもまたとれるように、あれは延期し九と思つておりますが、これは正確に記憶しておりませんが普通の税は一応五年間でございます。昭和二十一年の三月一日を基準にしてやつておりますから、五年の時効はもう切れたと思いますが、多分それは継続する法律を出したものと記憶しております。そうすると理論上は財産税を納めた人は、これに加算してはじき直すということになるのですが、実際問題としてそれをどういうようにいたしますか。美術品等につきましては財産税を課税するといつても、非常にやつかいな問題がある。そういう今後の問題につきましてはこの報告が出てから研究したい、こう考えております。
  107. 夏堀源三郎

    ○夏堀委員 なるほどたいへんむずかしい問題でありますので、ここで明確な御答弁を承るということは、私の方でも御遠慮申し上げます。ただ一つ、こういうことは言えるだろうと存じます。もともと自分のものであつたのだ、それを戦争遂行のために、一時そういう臨時措置と申しましようか、そういうようなことによつて持つて行かれたんだ、それが元に返つたんだ、元に返つたんだから、やはり自分の所有に返つたんだからそれでいいじやないか、こう簡單に処理ができれば、たいへんけつこうです。ただ所有権がまた別に移つたんだということになれば、大蔵大臣はこれを見のがすというようなことはなかなかできないだろうと思う。とる方は必ずおとりになるということに馬力をかけるだろう。そのおそれがありますけれども今申し上げたようにもともと自分の所有のものが返つたということであるから、相当この問題に対しては委員会においても研究もしたいと思つておりますけれども法律の面からいつてどう操作するかということになれば、なかなかめんどうな問題になります。米軍の処置なされたその当時のあり方及び第四條の処置、これは非常にむずかしい問題でありますので、委員会においてもこれをよく研究いたしまして——先ほど申し上げた新聞の記事は、あるいは政府の方ではこれはそうじやないということをおつしやつておりますけれども、どの程度のものであるか、何か外国でも問題になつておるということを聞いておりますので、これは委員会の方でも一応取上げて調査を進めたい、こう考えておる次第であります。これで私の質問を打切ります。
  108. 小山長規

    ○小山委員 ただいまの理財局次長と夏堀委員との間の質問のやりとりは、私はまるでピントがはずれておると思う。と申しますのは、この法律は占領軍が占有者から接收したものを、占有者に返すということを書いてある。夏堀さんの質問は、その返された元の所有者が受取る場合に、一体どうするのかという質問なんです。それをあなたの方で混同されておるから、なお夏堀さんの方ではわからぬし、あなたの方もわからぬと、こういう結果になるのじやなかろうかと思うのでありますが、そうじやありませんか、この法律は。
  109. 酒井俊彦

    ○酒井政府委員 この法律は連合国によつて占有者から接收したものを、元の占有者にどうして返すかという、その第一段階といたしまして、政府としてはどういう接收が行われ、どれだけのものが接收されたのか、そういう事実がさつぱりわかりませんので、そういう基礎的な事実をつかみませんことには、これを返還するというような処置がとれませんので、そこでまず第一段階として、調査の法律案を提案いたしておるような次第でございます。戦時中に買い上げられたというものにつきましては、一つは先ほど申し上げました日本銀行に買いもどし条件付で一時預けたというものと、一般の人々が金を供出いたしまして、すでにその当時の価格で代価を払つてもらつたという二つの形態がございます。そこで第一の買いもどし条件付になつておりますのは、日本銀行に預けておりまして、これがよし返つて来ましたならば、先ほど申し上げましたように、この法律目的といたしますところは日本銀行に政府はそれをお返しするという前の段階であります。そこで日本銀行と買いもどし條件付でお売りになつた人との関係は、日本銀行との間の私的な契約をどう処理するかということでありまして、おそらく今後の接收された金属の返還にあたつて、どう処置するかという法律の対象外になると思います。それから戦時中に買い上げられまして、代金をすつかり払つてもらつておる場合には、これはその当時売買がそこで完了いたしております。従つてこの法律でこれをどうしようという趣旨ではございませんで、この法律としましては今小山さんの言われましたように、終戦後に占領軍によつて接收された金を、その元の占有者にどうして返すか。その前提として事態が一向わからぬので、返す対策も立たないから、一応調査をさしていただきたい、これが趣旨であります。
  110. 小山長規

    ○小山委員 その通りでありまして、どうも先ほど来のやりとりは、何を質問し何を答えたかが、お互いに食い違つて飾るという結果になつたのだろうと思います。  そこでもう一つ私が伺つておきたいのはこういう場合に一体どうするつもりでこの法律を出されたのかということであります。まずその前に聞いておきたいのは、占有者とあなた方が推定しておるのは、日本銀行以外にどういうのがあるのかということが一つ、それから政府が占有者にせつかく返したはいいが、その占有者が元の所有者に返そうというときに非常な不公平が起りはしないか。ということは、一つは物が買いもどし条件とかなんとかいうことでわかるものもありましようが、全然わからぬものもある。それから、たとえば日本銀行がわれわれから戦時中に買つたもの、その買つたものの中でまだここに残つておるものがあるかもしれない。それからあるいは買いもどし条件付で売つたもので、すでに鋳つぶされておるものもあるかもしれない。そうするとその結果は、わからぬものは結局日本銀行なりその他の占有者が、不当利得をするということになる。その不当利得を一体許すつもりでこの法律をつくられたのかどうか、こういうことであります。
  111. 酒井俊彦

    ○酒井政府委員 第一の点でございますが、政府及び日銀以外のもので、どういうものが接收されておるかということでございますが、一例を申し上げますと、戦時中に、たとえば軍需工場に指定されまして操業しておつた。その工場に行つてみたところが、金銀その他の貴金属があつた。これは軍から材料を支給されておつたのではないかということで、接收を受けておるものもございます。これは一例でございますが、そういつたようないろいろなケースがございます。そこでそれらがはたして正確な領收書をもつてやられたかどうか、その辺を調査いたしまして、どういう形態のものがあるかということを、まず政府として承知いたしませんと、その後の処置がつかないということで、まずこの調査だけを第一段階としてやつて行きたい、こういうことであります。それから、第二にお尋ねの、戦時中に売つたもので、売りもどし条件付のものは、現物が残つて日本銀行に返されるというものもございます。それからさつき、つぶされたもので、また接收されて返つて来たものがある、これをどうするつもりかということでございますが、たとえば戦時中の金銀運営会でありますとか、物資活用協会でありますとか、そういうところを通じて金を買つたもので、その残りが接收されたものがございます。それは政府といたしましては、戦時物資活用協会なり、あるいは金銀運営会といつたようなそういう機関から、連合軍は接收して参つたのでございますから、そういう機関にお返しをする。なおそういう接收を受けた機関と、これを元供出をしたものとの関係をどうするかということでありますが、これはさつき申し上げましたように、すでに売買として商行為が完了しております。従つて私的な契約問題ではありません。ただそういう戦時物資活用協会とか金銀運営会とか、そういうものに返したものをどうするかということは、これは接收貴金属の返還とはまた別途の問題として考えるべきである、そういうように考えております。
  112. 小山長規

    ○小山委員 その中で一、二点わからぬ点があるのであります。というのは、売りもどし条件で売つたものについて、その占有者が占有しておつたというような場合に、その売りもどし条件を証明できないという場合には、その占有者に返つたものは、もどされ手がないわけである。もどされ手がないから、従つて自然にそこに金なり銀りダイヤモンドなりが、占有者の帰属に帰するということを前提としてお考えなつているに違いない。そうするとそこに不当利得が起るだろう。その不当利得をどう処置するのかという問題が一つ。それからも一つは、政府と占有者との間、占有者の方が証明がつかないというときには、貴金属の行方のわからぬものが政府に残つて行く、これを一体どう処置するつもりでこの法律を出されたのか。先のことは一体どうするつもりで——ただ軍に申訳としてこの法律を出されたのか。つまり本来はこのまま没收してもいいのだけれども、一応探せるものは探した上で、没收なら没收の手続をとろうという考えでお出しになつたのか。これはとことんまで探して行つて、その上で正当な占有者を最後まで探して行くということでおやりになつたのか。その意図を聞いているわけであります。
  113. 酒井俊彦

    ○酒井政府委員 まず売りもどし条件付の方でありますが、これは日本銀行が買いもどし条件付で買つておりますので。日本銀行に記録が残つております。従つてこれを証拠立てるということは、割合に容易ではないかと推測いたしております。しこしてそういうものはこの法律の意図しておるところによりますと、占有者に返すということでありますから、こういうのは結果として日本銀行に返すものと、日本銀行と買いもどし条件付でお売りになつた方との間をどうされるかは、これは一般の私的の交渉になる。そのまま買いもどしを請求はしないということであれば、日本銀行の所有に帰するでございましようし、条件に従つて買いもどしを請求するということであれば、原所有者の手に返るということになろうかと思います。  それから次の点でありますが、政府に帰属するかしないか、これは調べてみなければわかりません。あるいは帰属するものが、余分なものがあるどころでなくて、足りないかもしれません。そこらはやはり調査をしてみまして、余るのか足りないのか、どんな形のものがあつたのか、そういう事案をとらえました上でないと、どういうふうに処置すべきかという案も浮んで参りませんので、とりあえず調査をお願いしたい。もちろん考え方といたしましては、徹底的にそういう証拠書類その他でその事実を究明いたしまして、はつきり返すべきものは返すというつもりでやつております。ただ事実問題として、それが最後までわかるかどうか、また余るのか不足するのか、その辺は一応調べてみないと、私どももわからないというのが現状でございます。
  114. 小山長規

    ○小山委員 私も理財局次長の言われるように、その数字が合わぬ場合があるだろうと思う。あるいは政府がよけいもどさなければならぬというような場合が、出て来はしないかと思うのであります。そういう場合に一体どうされるのかということを聞きたかつたのでありますが、それもお答え願うとして、その前に私が提供しました問題は、日本銀行なら日本銀行が売りもどし条件で買つておる場合に、あなたのおつしやるように相手方がわかつておる場合は、相手方の意思によつてどうでもできるが、おそらく相手方がわからぬ場合が多いだろと思う。その場合には、日本銀行に不当な利益を與えるためにこういうことをやることになつてしまう、こういうことになるのだが、そういうものを一体どう処置しようと考えつつ、この法律をつくられたか、こいうことであります。
  115. 酒井俊彦

    ○酒井政府委員 私の言葉が足りませんでしたが、日本銀行に買いもどし条件つきで売りました分は、当時の時価をもつて代金を払つております。従いまして日本銀行としては不当な利益ではない。正当な対価を払つてその金を買つておる。ただそれに買いもどし条件がついておる。従つて所有者はいつでもその条件を発動して買いもどしを請求すれば、買いもどせるという状態なつておりますが、日本銀行としては、当時正当な代金を払つてその金製品等を買つておりますから、そこに何ら不当の利益は生じないわけであります。
  116. 小山長規

    ○小山委員 不当利益は生じますよ。正当な代価を払つておつたかもしれないけれども、その後三百倍も値段が上つておる。しかもそれは相手方が判明して、その相手方がその権利を放棄したならいい。相手方が判明しないで権利を放棄したのか、請求するのかわからぬような状態なつて來た場合には、不当利得である。私はそういうものは法律上の不当利得となるかどうか知らぬが、常識的には不当利得です。そういうものをどう処置されるつもりでお出しになつたのか。つまりもう一つ言葉をかえていうと、かような法律は出さないで、その他政府が受取つたのなら政府が受取つて、ほかの方法に使うことを考えられないかということも、あわせて伺つておきたいのであります。これはむしろ大蔵大臣にお伺いしたいのであります。
  117. 池田勇人

    ○池田国務大臣 後段の問題から申し上げますが、私はこいうものはわかり次第返すのがほんとうであつて、政府がやむやにそういうものを坂上げるということはよくない。早急に調べてお返ししよう、こういうのであります。  それから前の日本銀行の不当利得という問題でございますが、買いもどし条件付で日本銀行が接收した、そのときに買いもどし条件を履行しない人があれば、これは法律日本銀行は——金が相当の倍数になつているので、法律上の不当利得であるかといつたら、法律上の不当利得ではございません。ただ経済的に日本銀行は値上りだけ利得するだろ、こういうことは考えられます。そのときに経済的に非常に利益が上つた場合にどうするかという問題は、日本銀行の持つておりまする一億二千万ドルの問題と一環をなす問題だ、こう思つております。それから足りない場合も実は考えられるのでありますが、足りない場合というのがどの程度足りないのかということによつて、また考えなければならぬ問題であります。やはり何とか結末をつけなければならぬという気持ではございます。
  118. 小山長規

    ○小山委員 この問題はまたいずれあとに譲ることにいたしまして、私の質問はこれで終ります。
  119. 佐藤重遠

  120. 宮幡靖

    宮幡委員 大蔵大臣のいる間に、ただいまの接收貴金属等数量等に関する法律案が議題になつておりますので、これに関連いたしまして、大きくいえば産金政策ということについて、またなかなか大臣はお見えにならぬと思いますから、時計の針を見ながら御質問いたします。ごく簡単であります。  この法律基本ともなるべきものは、今度貴金属管理法の一部改正、すなわち金管理法にかわる法律でありますが、そこでこの内容が銀と白金地金の政府の買入れ売却制度をはずすということ、貨幣以外の金については妥当な範囲でプレミアム付価格で売買を認めるということ、業者に対しては割当を行う。金鉱業者に売りもどしを行う。金鉱業者をして販売せしめる。これは納入数量に応じてやる。加工金売りさばき業者というものを政府が設けて大蔵大臣が認可をする。こういう要点でありまして、結局金の販売というものが、あるいは金の価格というものが、日本の産金政策と密接な関係を持つようになつて参ります。そこで各条文に対しまするこまかいことは酒井次長から伺いますが、一体金の国内価格というものは、どの程度大蔵大臣はおきめになろうと思われておるか。国際通貨基金加入の関係もありましよし、為替レートを堅持する場合の政策の点からも十分考慮さるべきであります。国際通貨基金協定の第五条の第六項「金に上る基金からの通貨の買入れ」その(b)の条項に、「本項の規定は、加盟国がその領域にある鉱山から新たに生産された金をいかなる市場で売ることも妨げるものとみなしてはならない。」となつております。それから同じく基金協定の第四条の第二四条でありますが、「平価を基礎とする金の買入れ」という条項がありまして「平価の上下のマージンを定める。」となつております。これらの条項から照してみますると、国内の価格はどういうところへと置くべきであるかということが、園内の鉱山業者、産金業者の重大な関心のあるところであります。古い話になりますが、大蔵大臣が通産大臣兼任の当時、私はその政務次官として補佐をいたした当時、鉱山からの産金価格の問題もかなりやかましくいわれました。当時大蔵大臣の持つておられた御構想を私は一応知つておるのでありますが、当時大蔵大臣考えは、金山救済というような立場から、補助金政策などをとつて価格の引上げを策するなどということは当を得たものでない、こういうお気持を持つておられましたが、ごく簡単にお答えをいただくとするならば、この金価格政策に今でも心境の変化はないのか、しかしていかなる価格が妥当と現在考えられておるか、この点だけお尋ねいたします。その他は事務当局からお尋ねいたします。
  121. 池田勇人

    ○池田国務大臣 原則は、補助金政策をとるべきではないと考えて起るのであります。しこうして価格は何によるかと申しますと、まず第一、一ドル三百六十円を基準にして行かなければならぬ。しこうして、一オンスは三十五ドル、こういうことになつておりますので、日本の金の値段は一グラム四百五円に対しまして、現送費その他をある程度勘案してきめるべきものが原則であるのであります。しかし産金の必要性その他の問題また国内金の需要問題等考えて、この原則をどの程度モデイフアイできるのかという問題と思うのであります。そこで片一方では、この為替レート堅持の意味、また国際通貨基金への加入の前提としての制約を考えながら、しかもこの制約原則をあまり乱すことなしに、大体モデレートな国内価格をこしらえるべきではないかというところまで、私は折れて来ておるのであります。しこうして、この考え方は私ばかりではございません。世界の相当の国でやつておる。しからばそのマージンをどの程度に置くかというと、大体為替相場で行つて場合の二割ないし二割五分を最高といたしておりますので、そのモデイフアイする限度も各国並にやろうか。ただその限度を越えることはできない。これは今アメリカでも、一オンス三十五ドルでは引合わぬという議論があるのであります。御承知通り金のやみは、ソ連の作為によりまして、かなりかわつて来るものでございます。私は今の状態といたしましては、先ほど申し上げました原則を守りながら、ある程度人並程度のモデイフアイは、やむを得ないのじやないかと考えるのであります。
  122. 宮幡靖

    宮幡委員 補助金政策を用いないという基本方針には、いまだかわりのないことも、それではつきりわかつて参りました。価格の点につきましては、非常にうまい表現の御答弁でありますが、そういう意味をこちらで推定いたしますと、四百五円より安くなく、五百円より高くないというように聞えるのでありますが、そんな程度考えてよろしいでありましようつか。
  123. 池田勇人

    ○池田国務大臣 御想像にまかせますが、大体そういうところがモデレートなものではないかと思つております。
  124. 宮幡靖

    宮幡委員 本日は、大臣に対することはそれでけつこうでありますが、この問題で引続いて事務当局に御質問がありますが、大臣に三宅委員から御質問があるそうでありますから、そちらに譲ります。
  125. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 私は、国務大臣でありまた全権として出られました大蔵大臣に、ちよつとお伺いいたしたいと思います。ただいまの関係もありまするが、実は役務賠償あるいは技術賠償等は相当やられるように承つておりますが、本国会を通じ、もしくは来国会でそういうような事柄を定めまする用意を持つておられまするか。ごく簡單に御説明を願いたいと思います。
  126. 池田勇人

    ○池田国務大臣 役務賠償、技術賠償は、日本経済存立可能の範囲内においてやるのでございます。それが相当という表現で行くかどうかはわかりませんが、とにかく相当やるということは、日本経済自立、日本の国民生活水準維持向上を害しない範囲で、できるだけ隣保共助、あるいはわれわれの戰争によつて犯した罪を償いたいという気持でございますが、何分にもフィリピン、インドネシアその他との交渉によつてきまる問題でありますので、財政的にはそういうものも含めまして、二百十億円を準備いたしておるのであります。
  127. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 あまり深いことをお聞きするのはどうかと思いまするが、将来日本財政と見合せまして、でき得べくんば技術の点等につきましての賠償は、やはり日本の貿易を振興せしめ、産業開発の一助となるかと思いますから、これもいろいろ御考慮願いたいのであります。次に、これはこの委員会だつたと思いますが、国内関係がありますから、このことをちよつと伺いたいと思います。行政簡素化をはかられるにつきまして、大臣も国務大臣として閣議に列席をせられて——特に一例を申しますると、国税庁のごときも廃止して内局の徴税局にする。また証券取引委員会も証券取引と審議会とし、公認会計士管理委員会も公認会計士審査会として、わざわざ内局にせられたと存するのでございまするけれども、ただ一つここでお伺いしたい事柄は、内局であると外局であるとを問わず、経費の点についてさしつかえのないものは、やはり外局に置いた方がよいではないか、こう考えまするが、大臣はどう思つておりまするか、承りたいと思います。
  128. 池田勇人

    ○池田国務大臣 これは事務の簡素化から申しまして、私は原則として内局にするのが適当だと考えておるのでございます。ただこの国税庁を徴税局にいたしますると、今まで租税の賦課徴收につきましては、国税庁長官が責任者で、これが大蔵大臣ではなかつたのであります。内局になりますると、大蔵大臣が当の責任者になる。こういう場合において査察部等の問題をどう解決するかということは今研究中でございまするが、原則としては、私は事務簡素化という建前から、これは内局が適当ではないかと思います。
  129. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 関連いたしまして、これはシャウプ勧告がありまして、実は本委員会にかかつたことでございましたが、会計士管理委員会というようなものは、内局よりもむしろ会計検査院と同じような意味合いにおいて、外局に置いた方が公平になり、また審議も良好だろう、こういう意味合いで、一応内局になりましたものをわざわざ外局に直したわけであります。ところがまたまた内局になさつたわけでありますが、こういうような問題につきましては、どういう御構想でありまするか。今まで一応シヤウプ勧告案によりまして外局になつて、今度はまた内局になつたわけですが、その辺についてちよつとお伺いいたしたい。
  130. 池田勇人

    ○池田国務大臣 勧告もありますし、外局にしてみたらどうかというのでやつたのですが、やはり内局の方がいいから元にもどすのであります。(笑声)
  131. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 長くなりまするから、大蔵大臣に対する質問はこの程度にいたします。最後に一つお伺いいたしますが、大蔵大臣は、行政の簡素化をはかり、また国の財政経済を担当しておられる方でありますから、でき得べくんばわが国の行政機関の全般にわたりまして、なるべく簡素化をいたしたい。たとえばこれは行政官庁のことで、書類を幾つも出さなければならぬというようなことになりまするが、これは何とか簡素化する御用意を持つておられまするか。この際ひとつ参考までに承りたいと思います。
  132. 池田勇人

    ○池田国務大臣 先般の公務員の人員整理並びに今回の行政機構の改革は、相当程度簡素化の線を実現いたしたと思います。しかし何と申しましても、人員整理、行政機構の簡素化というものは、そう一度に大それたことは実際なかなか困難でございますので、私はこの行政機構の簡素化、人員の整理ということは、常に為政者として考えなければならぬ問題で、私の考えとしては、国の仕事はできるだけ少くした方がいい。そうしてできるだけ税を少くした方がいいということは、私は政治の根本だと考えておりまして、逐一そういうふうな方向で進みたいと考えておるのであります。
  133. 宮幡靖

    宮幡委員 金の問題は、きようはもうやりませんが、資料でちよつとわからぬところがありますので、それだけ一つお確かめしておきたいと思うのですが、四月の二日に参議院の大蔵委員会に出しました資料の中で、特別会計で保有しておつた金の残高、終戰時が五千六百十四キログラムとなつておりまするが、これは接收されたとなつております。その数字が、これは新聞記事ですが、まだ政府から資料としてもらわぬのであります。大蔵省発表と称しますものでは、六千六百三十一キロでありますが、この終戰時というのはどこかねらいが違つておるのかどうか。あとの数字は新聞で見た数字ですから、それを押すものではありませんが、これはどうも結末の数字とこの資料の数字とが合つておりませんが、これを基本とした方がよろしいのですか。そこをひとつはつきりしていただきたい。それからなおすでに参議院に提出した資料中、昭和二十六年金地金消費高、こういう資料説明があります。一番末尾に八百二十キログラムを輸出したということが書いてある。こういうことは、どこへどういう必要で輸出したのか、この資料の説明をひとつつけていただきたい。どうも新聞を信ずるわけではありませんけれども大蔵省発表という数字とこの資料との間に若干食い違いがあるように思いますので、ここで御説明をいただくことは聞きますが、なお衆議院大蔵委員会として、独自の立場において貴金属管理法を改正いたします過程に必要だと思う。特にただいま接收金属の問題に対しまして、夏堀委員等から要求がありましたことに必要な資料をとりそろえて、次回までに御提出をいただきたいと思います。
  134. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 資料の要求があるので、私もひとつ……。私は、本委員会にかかつておりまする製塩施設法案に関する資料の要求をお願いいたします。一、塩田の能力と製塩実績、最近三年間の地方局別許可面積、稼働面積、塩收納数量等を御説明願います。二番目に最近十年間の塩田災害の災害別補助金額及び補助方法の概要。三番目は、国内塩の生産確保に関する閣議決定の内容。四番、最近五箇年間の塩收納価格と公社売渡し価格等の要港の経過。五番、塩の需給計画。六番、塩の輸入量価、前年度実績及び本年度見込み。これらに対しまする資料を、大蔵省から本委員会に提出せられたいと存じます。
  135. 佐藤重遠

    佐藤委員長 政府委員においてしかるべくおとりはからい願います。なお説明員理財局管理課長横山正臣君の発言を許可いたします。
  136. 横山正臣

    ○横山説明員 ただいま御質問になりました第一のことについて、先般参議院の大蔵委員会で要求のありました数字と、今回の資料との相違点でありまするが、この前に参議院の方にお出しいたしましたのは、終戰当時の残高という要求がありましたので、その文字通り残高を帳簿からはじき出したのであります。今度衆議院の方にお出しいたしましたのは、接收された数量——と申しますと、終戰当時の残高の後に次の二点において異動がありました。その点をちよつと御説明申し上げます。まず参議院に出しました資料から差引いていただくものといたしまして、金資金特別会計の帳簿には載つておりますが、日本になかつた。——これは奉天にありました八十五キロ、これを差引いておる。これは奉天の日銀代理店に保管してあつたものでありまして、これが終戰後どうなつたかということは現在わかりませんが、おそらく中共あるいはソ連において接收されたことと考えております。それから次に、参議院の要求資料に加算する数字でありますが、四十五キロであります。この加算する数つ字といいますのは、終戰当時におきまして現品を造幣庁へ輸納して、造幣庁へ納入されたものに対しまして、代金を払うのに指図書というものがあります。その指図書が日本銀行の窓口に参りまして、それで代金を受取つたときに初めて日本政府の特別会計の帳簿に買入れとして載つて来るわけであります。その数字がその後四十五キロほど出て来た。そういうわけで差引参議院に提出した資料に四十五キロ加えたものが現実に接收された数字、こういうことになるわけであります。それから第二点の金地金の消費高の輸出という点でありますが、この種類別で工業とか公衆衛生というふうに区別しておりますのは、われわれの事務上の便宜でありまして、この際の輸出と申しますのは、輸出商品に対して配給した、こういうことでありまして、主として陶磁器とか万年筆に配給したのであります。
  137. 宮幡靖

    宮幡委員 そう今のように言われましてもわからぬので、やはり資料で出していただきたいのです。それから日銀の不当利得を得るであろうというところまで、さつきの委員から質問があつたのでありますから、終戰時の混乱のときには、帳簿の残高を差引いたり加えたりしなければならかつたでありましようが、今日いまさら差引いたり加えたりする必要はないのでありまして、帳簿の残高なんかきちつと出ておるのが、事務練達の士を集めておる大蔵省の面目です。そんなことをいまさら差引いたり加えたりしなければ、説明がつかないというようなことが間違いですから、こういうことは速記にとどめて説明されるよりも、資料でちやんとお出しになつた方がいいのです。終戰時の混乱のときには帳面がわからないということはございますが、今整理されてわからないで、あとから差引いたり加えたりしなければわからないということではこれは当てにはできない。そこで不当利得や火事場どろぼうができるなんという議論も生じますから、どうか理財局で——われわれも相当これについては調べも進めておりますけれども、あるいは仲のいいのにまかせて鋭い質問もあるかもしれませんから、十分堅実な御用意をお願いいたします。
  138. 酒井俊彦

    ○酒井政府委員 ただいま宮幡さんから、差引いたり加えたりせねばならぬような資料を出すのは、はなはだもつてけしからぬではないかというおとがめがございましたか、先ほど管理課長が御説明申しましたように、参議院の要求資料は終戰時における金地金の持つておつた残高を出せということで、残高を出したのであります。それから今度の御要求は、接收された分が幾らかということで、接收された量を出しましたので、その間に差異がある次第であります。
  139. 宮幡靖

    宮幡委員 了承いたしました。あらためて資料をいただきます。
  140. 佐藤重遠

    佐藤委員長 次会は明二十二日午前十時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。     午後五時六分散会