○夏堀
委員 大蔵大臣がお見えに
なつたので。この四月二十三日今問題にな
つております韓国における在外資産の問題で質問申し上げたのであります。その際に、速記はとめておりましたけれ
ども、私の質問に対しまして、たいへん満足すべき御
答弁にあずかつたと私は存じております。その後五月八日付の朝日新聞及びラジオで、朝鮮における
日本の存外資産に対する請求権はないというようなことを、米国の国務省から覚書として発表に
なつたというニュースかあつたのであります。またその後五月十日には、さらに米国が日韓交渉には介入しない、先の請求権の覚書を否定しておるということが一記載にな
つております。これは非常に重大な問題でありますので、この点をあらためてお伺いしたい。きようは外務大臣の出席も求めて、両大臣からの御
答弁にあずかりたい、こう存じておりましたが、ちようど外務大臣は今外務
委員会に出席中であるそうでありますので、またあとで出られるかもしれませんけれ
ども、大蔵大臣が御出席になりましたので、ある程度所管の債権債務等について、ちようど今大蔵
委員会に付託にな
つております
閉鎖機関令の一部を改正する
法律案に関連してお伺いするのであります。
この問題のいきさつはたいへんむずかしい問題でありましようが、国民は講和条約発効後の
日本の自立経済及び政治の面に対して、第一歩を踏み出したのでありますから、いわゆる独立国家として、平和条約第四条による協定によ
つてとりきめすべきその条項に該当するものである、こう存じまするので、私がこの間御質問申し上げた二、三日後に私そのときにこれは平和条約発効後に、この問題を取上げるべきものであるということも申し上げたのであります。この協定はちよつと中止にな
つておるようでありますが、今後これはまた協定の本筋に入るでありましようか。その解釈を一応お伺いしておいて
参考にもいたしたいと存じます。特に新聞に記載にな
つておるどちらがほんとうか、この点に対しても
政府の見解を明らかにしておくへきものである、こう存じます。前
委員会におきましては、私はまだ占領下においての場合であり、遠慮も申し上げ、相手を刺激するようなこともどうかと思いまして、一部速記をとりやめて申し上げた点もありますが、きようは講和条約もすでに発効にな
つて、独立国家と
なつたのでありますから、国
会議員として、国民の聞かんとするところ、言わんとするところ、そうしてこの大きな問題は、ある程度これは相手を特に刺激しない程度において、申し上げることはさしつかえないだろうけれ
ども、
政府も御
答弁のうちに、今後協定に入
つて、もしおさしつかえがあるというお
考えでありますれば、その部分は適当に御処置をお願いしたい、こう存ずる次第であります。
そこで結局平和条約の第四条に当ると思いますが、第四条の「この条(b)の規定を留保して、
日本国及びその国民の財産で第二条に掲げる地域にあるもの並びに
日本国及びその国民の請求権(債権を含む。)で現にこれらの地域の施政を行
つている当局及びそこの住民(法人を含む。)に対するものの処理並びに
日本国におけるこれらの当局及び住民の財産並びに
日本国及びその国民に対するこれらの当局及び住民の請求権(債権を含む。)の処理は、
日本国とこれらの当局との間の特別取極の主題とする。第二条に掲げる地域にある連合国又はその国民の財産は、まだ返還されていない限り、施政を行
つている当局が現状で返還しなければならない。」1住民という語は、この条約で用いるときはいつでも「(法人を含む。)」とな
つております。ただここで問題になるのは(b)の第二項の「
日本国は、第二条及び第三条に掲げる地域のいずれかにある合衆国軍
政府により、又はその指令に
従つて行われた
日本国及びその国民の財産の処理の効力を承認する。」これが問題であろうと存じます。この第二項のこれは朝鮮のそれに該当することではなかろうか、こう存ずる次第であります。これは私の推測でありまするけれ
ども、結局第二項のこの解釈を朝鮮側では「
日本国及びその国民の財産の処理の効力を承認する。」という、これをも
つてその所有権は
日本にはないということを主張しておるのではないだろうか、こう私は
考えておるのでありますが、この問題は結局「国民の財産の処理の効力を承認する。」の処理とは何ぞやということで、処理とは非常に範囲が広いことであ
つて、没収も処理であり、あるいはまた売却とかいうようなことも処理ではないだろうか、こうも
考えられる節があるのではないかと思います。ただ問題として、今新聞に記載にな
つております請求権があるとかないとかいうことについて、問題が問題だけに、国民はこれに対して一体どちらがほんとうだろうか、こう
考えておるだろうと存じます。これは今後協定する際に、請求権があるという御主張であ
つて初めて
政府がこの問題を取上げることであ
つて、なければ、何も問題にする必要はないのです。であるから、請求権があるという
政府の御見解を明らかにしておくべきではないだろうか。しかし、ないという御見解であれば、これは何をか言わんやでありまするけれ
ども、このような大きな問題で、私この前も御質問申し上げて、今またここに再びこれを取上げることは、時が時であり、そうして平和条約発効後においての
日本のあり方が、占領下にあつた場合にはやむを得ないけれ
ども、講和発効後においてもアメリカの一片の覚書によ
つて左右されることは、一体どうしたものかということが、一部の国民の声ではないか、こう存じております。私はそのような解釈はしたくはないのでありまするけれ
ども、事重大でありまするので、この点の解釈を御
答弁願いたいと同時に、今申し上げた平和条約第四条第一項、第二項の解釈、この点について今私は自分か
つてな意見を申し上げましたけれ
ども、この点は非常に重要な問題でありますので、おさしつかえのない程度において、この問題を明確にすべきではないだろうか。今申し上げたように、もし今後の協定において何かさしさわりのあるという点については、適当に御処置を願
つて御
答弁を願いたい、こう存ずる次第であります。