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1952-05-13 第13回国会 衆議院 大蔵委員会 第65号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年五月十三日(火曜日)     午前十一時五分開議  出席委員    委員長 佐藤 重遠君    理事 奧村又十郎君 理事 小山 長規君    理事 佐久間 徹君 理事 内藤 友明君    理事 松尾トシ子君       川野 芳滿君    島村 一郎君       清水 逸平君    苫米地英俊君       夏堀源三郎君    三宅 則義君       宮幡  靖君    武藤 嘉一君       深澤 義守君    中野 四郎君  出席政府委員         大蔵政務次官  西村 直己君         大蔵事務官         (銀行局長)  河野 通一君         大蔵事務官         (銀行局銀行課         長)      大月  高君  委員外出席者         参議院議員   小林 政夫君         大蔵事務官         (理財局管理課         長)      横山 正臣君         大蔵事務官         (理財局外債課         長)      上田 克郎君         大蔵事務官         (管財局閉鎖機         関課長)    堀口 定義君         大蔵事務官   橋口  収君         大蔵事務官         (銀行局特殊金         融課長)    有吉  正君         日本開発銀行理         事       中村 建城君         日本開発銀行調         査部事業調査課         長       網野 貞雄君         専  門  員 椎木 文也君         専  門  員 黒田 久太君     ————————————— 五月十二日  貴金属管理法の一部を改正する法律案内閣提  出第一二九号)(参議院送付) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  長期信用銀行法案内閣提出第一一三号)  日本開発銀行法の一部を改正する法律案内閣  提出第一三八号)  閉鎖機関令の一部を改正する法律案内閣提出  第一四三号)  国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に  伴う措置に関する法律案内閣提出第一九〇  号)  昭和二十七年度における行政機構改革等に伴  う国家公務員等に対する退職手当臨時措置に  関する法律特例に関する法律案内閣提出第  一九七号)  緊要物資輸入基金特別会計法の一部を改正する  法律案内閣提出第一九八号)  外国為替資金特別会計法の一部を改正する法律  案(内閣提出第二〇三号)  接收貴金属等数量等報告に関する法律案(  内閣提出第二三一号)  地方自治法第百五十六条第四項の規定に基き、  税関出張所及び監視署設置に関し承認を求  めるの件(内閣提出承認第四号)     —————————————
  2. 佐藤重遠

    佐藤委員長 これより会議を開きます。  まず国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律案昭和二十七年度における行政機構改革等に伴う国家公務員等に対する退職手当臨時措置に関する法律特例に関する法律案緊要物資輸入基金特別会計法の一部を改正する法律案外国為替資金特別会計法の一部を改正する法律案接收貴金属等数量等報告に関する法律案、及び地方自治法第百五十六条第四項の規定に基き、税関出張所及び監視署設置に関し承認を求めるの件、以上六件につきまして、順次政府委員より提案趣旨説明を求めます。西村大蔵政務次官
  3. 西村直己

    西村(直)政府委員 ただいま議題となりました国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律案につきまして、その提案理由を御説明いたします。  今回わが国国際通貨基金協定及び国際復興開発銀行協定加盟することといたし、これがため国際通貨基金協定及び国際復興開発銀行協定加盟につき承認を求める件を、別途国会提出中でありますが、加盟伴つてわが国基金協定及び銀行協定規定によつて出資払込みその他各種の義務を負うこととなるのであります。これらの義務を履行いたしますためには、国内法的な措置を必要とするものがありますので、このためこの法律案提出いたした次第であります。  次にその内容概略を申し上げます。  まず、基金及び銀行に対する出資額は、それぞれ一億五千万ドルでありまして、現行のレートで換算いたしますと、それぞれ九百億円となりますので、政府はこの金額範囲内で、基金及び銀行に対して出資し得ることを規定いたしました。この金額は現在ただちにその全額の支出を要するものではなく、負担最高限を示したものであります。  次に、基金に対する出資は金及び本邦通貨で、銀行に対する出資は金または合衆国通貨その他の外国通貨及び本邦通貨で行い得ることと定めております。すなわち基金への出資は二つの部分にわかれ、割当額二億五千万ドルの二五%に当る部分は、金で加入前に出資することを要しますが、残額七五%に当る額は本邦通貨加入後支払うことになるのであります。また銀行に対する出資は三つの部分に分れ、第一に、総額一億五千万ドルの二%に当る部分は、金または合衆国ドルで、第二に、総額の一八%に当る部分本邦通貨で、いずれも加入前に払い込むことを要しますが、総額の八〇%に当る額、すなわち出資額総計の大部分は、将来銀行から払込みの請求があつたときに金、合衆国ドルその他の外国通貨のいずれかで支払うこととなるのであります。  次に、出資を行うにあたりましては、わが国の財政の現状にかんがみまして、日本銀行の所有する金地金をその帳簿価額で買い上げ、これを基金出資する金の一部に充てることが適当と認められますので、これに関し必要な事項規定いたしました。  次に、基金協定及び銀行協定によりますと、本邦通貨たる円で払い込む額については、必ずしも現金で全額出資する必要はなく、その大部分は、政府または中央銀行の発行する一定の証券をもつて、円貨の払込みにかえることができますので、わが国もこの協定規定により、その払い込むべき本邦通貨の大部分を、国債の交付によつてかえることとし、この出資のために基金及び銀行に交付する国債発行等に関して、必要な事項規定したのであります。  なおこの国債は、基金または銀行から要求のあり次第、ただちに現金で支払われるべきものであることを要請されておりますので、政府基金または銀行からこの国債について償還請求があつた場合には、ただちに償還を行うことにしますとともに、償還財源に不足がある等のため償還ができない場合を考慮して、政府はその償還できない金額に相当する国債の買取りを、日本銀行に対して命ずることができることといたしておるのであります。  以上申しましたほか、基金との取引及び協定規定による寄託所として、日本銀行を指定すること等について、所要事項規定しているのであります。  以上がこの法律案提案理由及び内容概略でございます。何とぞ御審議の上、すみやかなる御賛成をいただきますようお願い申し上げます。  次に、議題なつております昭和二十七年度における行政機構改革等に伴う国家公務員等に対する退職手当臨時措置に関する法律特例に関する法律案、これにつきましてその提案理由を御説明申し上げます。  先般の行政整理に際しましては、退職者に対する優遇措置として、昨年十月から本年三月までの間に退職する職員に対しましては、特に従来の場合の八割増の退職手当を支給する措置を講じたのでありますが、今回の行政機構改革に関連して退職する職員に対しましても、諸般の事情にかんがみまして、先般と同様の措置を講ずることが適当であると考えられますので、ここにこの法律案提出いたした次第であります。  次にこの法律案内容概略説明申し上げますと、まず今回の行政機構改革に関連して、または昭和二十七年度予算実行上の要請によりまして、昭和二十七年四月五日から同年十二月三十一日までの間において退職する職員で、閣議で定めるものに対しましては、さきの行政整理の場合と同様に、国家公務員等に対する退職手当臨時措置に関する法律附則第五項の規定により計算した額の八割増の退職手当を、支給することといたしました。  次に昭和二十七年度予算実行上の要請によりまして、昭和二十八年一月一日から同年三月三十一日までの間において退職する職員で、閣議で定めるものに対しましては、従来の通常の整理の場合と同様、国家公務員等に対する退職手当臨時措置に関する法律附則第五項の規定により計算した額の退職手当を、支給することといたしたという趣旨であります。  以上がこの法律案提案理由内容であります。何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成くださるよう御願い申し上げます。  次に議題なつております緊要物資輸入基金特別会計法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由説明いたします。  従来緊要物資輸入基金は、特殊需要に応ずるため、政府において緊急に取得することを必要とする物資輸入に、運用することになつているのでありますが、今回その運用する物資範囲を改めるため、この法律案提出いたした次第であります。  すなわち、政府が取得することの緊要な物資で、以下に申しますようなものの輸入に対して、この基金運用することといたそうとするものであります。  その一つは、国際的とりきめに基いて日本国に割当てられた物資でありまして、これは国際原料割当会議によつて加盟国に亜鉛、硫黄、タングステン、マンガン等を割当てておるのでありますが、これらの貴重物資については、輸入後の使途につき規制する必要がありますので、緊要物資輸入基金運用により、これを政府において取得することといたしたいのであります。  次に外国における輸出統制物資等で、政府以外の者による輸入が困難なもの、または政府による輸入を有利とするものでありまして、たとえば外国において政府相手でなければ輸出をしないもの、または民間において輸入をするときは、競争のため輸入価格をつり上げるおそれのあるもの等でありますが、これらの物資についても、本基金運用により取得することといたしたいのであります。  以上がこの法律提案理由であります。何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成くださるようお願いいたします。  次に外国為替資金特別会計法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由説明いたします。  現在外国為替資金は、対外支払い手段及び外貨債権並びに対外支払いの決済上必要な金銀地金売買等に、運用することになつているのでありますが、最近の外国為替等保有高の増加の状況にかんがみまして、同資金を有利かつ確実な外貨証券にも運用し得ることとすることが、適当と認められますので、外国為替資金特別会計法所要の改正を加えるため、この法律案提出いたした次第であります。  このほか、今国会で目下御審議を願つております貴金属管理法の一部を改正する法律により、銀の統制額がなくなりますのに伴いまして、外国為替資金に属する銀地金につきましては、大蔵大臣の指定する価額によつて評価することといたしているのであります。  以上がこの法律案提案理由であります。何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成くださるようお願いいたします。  第五番目の法案として、接收貴金属等数量等報告に関する法律案提案理由説明いたします。  終戦後、連合国占領軍は、本邦内におきまして、政府及び日本銀行等公的機関を初め、旧軍需会社等の保有いたしておりました金、銀、白金等貴金属及びダイヤモンドを占領軍自体の手で直接接收し、管理して来たのでありますが、今回の平和条約発効と同時に、これら貴金属等政府に引渡し、その処理政府にまかせられたのであります。政府といたしましては、これらの引渡しを受けました貴金属等を、その接收を受けた旧所有者等に対しまして、返還その他の措置を講ずる必要がめるのでありますが、何分にも接收に関しましては、政府はまつたく関与いたさなかつたため、現状においては接收を受けた者の住所、氏名及び接收されました貴金属等種類数量その他が不明でありますので、これらの事項を明確にすることがまず必要であります。そこでこれらの事項を調査確認いたしますため、接收を受けた者から必要な報告を徴することといたし、この法律案提出いたした次第であります。  以下その内容につきまして申し上げますと、本邦内において貴金属等を占有していて、これを連合国占領軍接收された者またはその相続人等は、昭和二十七年九月三十日までに、その接收されました貴金属等種類数量その他接收の事実を示す事項を、所要証明書類を添えまして、大蔵大臣報告しなければならないこととしているのであります。  なおその報告にあたつて、不当の利益を得るがため虚偽報告をすることを防止するため、虚偽報告をなした者に対する罰則を設けることといたしました。  以上がこの法律案提出理由であります。何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成くださるようお願いいたします。  第六番目の法案でありますが、地方自治法第百五十六条第四項の規定に基き、税関出張所及び監視署設置に関し承認を求めるの件につきましてその提出理由を御説明申し上げます。  最近における外国貿易の趨勢、密貿易動向及び北緯二十九度以北の島嶼のわが国行政権下への復帰等にかんがみまして、税関行政の円滑な遂行及び密貿易監視取締りの完全を期しまするため、津久見税関支署佐伯監視署外監視署出張所に改めますとともに、神戸税関飾磨監視署外監視署を新たに設置することといたしたく、ここに国会の御承認をお願いいたした次第であります。  次にその内容概略を申し上げますと、まず津久見税関支署管内佐伯港は、港湾設備が整備された天然の良港で、また背域産業も最近とみに隆盛を来しており、その上二月十日に発せられた安全宣言を契機として、セメント、木材等輸出が増加し、税関業務も急増する傾向にありますので、現在の佐伯監視署出張所に昇格いたしたいのであります。  また釜石税関支署管内大船渡灘は、気候的にも地理的にも恵まれている上、背後に豊富な地下資源を有し、化学工業立地条件に恵まれており、工業貿易港として発展しつつありますので、現在の大船渡監視署出張所に昇格いたしたいのであります。  次に、阪神地区密輸動向及び地理的条件を考慮いたしまして、姫路市飾磨区に監視署を新設いたしたいのであります。また津久見税関支署管内佐賀ノ関港は、地理的にも重要な地に位置し、日本鉱業佐賀ノ関製錬所の門戸をなしているため、不開港出入特許を得て出入いたします外国貿易船も次第に増加しており、その上一方この地と琉球及び南西諸島方面との間に、非鉄金属類密輸が相当活発に行われておりますので、この地に監視署を新勢いたしたいのであります。  さらに、このたびわが国行政権下に復帰いたしました鹿児島大島郡十島村のうちいわゆる下七島は、中ノ島主要中継地として、従来からわが国奄美大島琉球方面との間の密貿易主要中継地なつております上、近くこの島を経由する鹿児島、那覇間の定期航路も予定されておりますので、密貿易取締り税関行政の円滑を期するため、中ノ島監視署を新設いたしたいのであります。  以上のように二出張所及び三監視署設置いたします反面、行政機構簡素化趣旨にかんがみ、現在見るべき貿易実績もなく、密貿易事件も僅少と思われますところの門司税関六連出張所神戸税関真浦監視署及び湊監視署を廃止し、また青森税関支署大湊出張所監視署に改めることとしたいのであります。  以上が国際通過基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律案外四法律案、並びに地方自治法第百五十六条第四項の規定に基き、税関出張所及び監視署設置に関し承認を求めるの件の提案理由及び内容であります。何とぞ御審議の上、御賛成いただきますよう願い上げます。
  4. 深澤義守

    深澤委員 資料の要求があります。接收貴金属等数量等報告に関する法律案につきまして、平和条約発効と同時にこれら貴金属等政府に引渡し、その処理政府にまかせられたのでありますということが提案理由の中にありますので、占領軍日本政府に引渡しました貴金属はどのような内容のものであるか、そうして接收したのは大体どこから接收したのであるかというような、ある程度のことがおわかりになつていると思う。そういう点をできるだけ具体的に表わしました表を、ひとつ御提出願いたいと思うわけです。
  5. 佐藤重遠

    佐藤委員長 了承しました。  ただいま政府委員から提案趣旨説明がありました六件につきましては、説明聴取にとどめまして、次に移ることといたします。
  6. 佐藤重遠

    佐藤委員長 長期信用銀行法案日本開発銀行法の一部を改正する法律案、及び閉鎖機関令の一部を改正する法律案の三案を一括議題といたしまして、前会に引続き質疑を続行いたします。質疑は通告順によつてこれを許可いたします。深澤義守君。
  7. 深澤義守

    深澤委員 ただいま議題となりました法案のうち、日本開発銀行法の一部を改正する法律案に関連いたしまして、若干の質問をいたしたいと思います。  まず第一に本法案によりますと、見返り資金私企業に対する権利義務関係承継を、日本開発銀行がいたすということになつておるのでありますが、見返り資金の問題は、占領下においてもその運用の問題について幾多の問題があつたのであります。もちろん占領下におきましては、しばしば池田大蔵大臣も言つておりますように、その運用については占領軍当局の意向を十分参酌して、運用することになつておつたのであります。しかし講和発効いたしまして、一応形式的に独立国の形になつたのでありますから、見返り資金運用性格がおのずからかわつて来ることは、これまた必然であります。しかしながらわれわれはこの見返り資金運用、その性格のかわつたことについては、いまだ政府当局から明確にその方針が示されていないのであります。ところが本法案によりまして、見返り資金私企業部分日本銀行承継することになつておるのでありますから、見返り資金全体の性格とその運用方針の根本的なものが、政府によつてきめられていなければ、こういうことはできないと思う。そこで私が銀行局長にお伺いしたいのは、見返り資金占領から講和発効という根本的な性格の変化によつて、その性格がどういうぐあいにかわつて来たのか。その運用をどういうぐあいにやつて行くのか。その根本方針についてまずお伺いしたいと思います。
  8. 河野通一

    河野(通)政府委員 見返り資金につきましては、実は私が所管をいたしておりませんので、十分的確な御満足の行くような答弁ができますかどうか疑問でありますが、一応私の承知しておりますことを申し上げたいのであります。独立いたしましてつまり平和条約発効に伴いまして、見返り資金運用につきましては、予算上、つまり国会の御承認その他の問題を抜きにいたしまして、対外的な関係を申し上げますならば、原則として日本政府の独自の判断運用できるように相なるものと了解いたしております。ただ問題は、従来からのいきさつ等もございますので、特別の場合にはいろいろ大きな点について、相談を要するような問題が起るかと思います。見返り資金そのもののもとになつております援助資金が、日本政府アメリカ政府からの債務ということに相なつております関係上、その点に関連いたしまして、先方と相談しなければならぬ問題も起つて参るかと思いますが、原則日本政府の独自の判断によつて運用できるもの、かように了解いたしております。
  9. 深澤義守

    深澤委員 援助資金返済の問題について、すでに合衆国政府から日本政府に対して、公式ではないが、非公式に返済要求があつたように、新聞でわれわれは承知しているのであります。そこで日本政府は、援助資金返済は一体どういう方法をもつてするのか。性格的に申しますれば、見返り資金援助資金見返りとして、積み立てられているのでありますから、これを返済にまわすということも実は考えられる。あるいはまた別個に予算を立てまして、毎年一般会計から返済して行くというようなことも、また考えられるのであります。そういう問題と関連して、見返り資金性格をわれわれは考えなくちやならぬと思うのでありますが、その援助資金返済等について、一体政府見返り資金自体を充てて行くのか、それとも別個に一般会計予算を組んで、国民の税負担の中において返済をして行くのか、そういう問題が明確にならなければ、この見返り資金運用という問題は、やすやす考えるべき問題ではないと私は思うのであります。それらについては、どういうぐあいに考えられておりますか。
  10. 河野通一

    河野(通)政府委員 見返り資金のもとになつております援助資金が、アメリカ政府からの債務でありますことは、先ほど申し上げました通りであります。これが返済につきましては、西ドイツでありますとかその他の諸外国例等をも参酌いたしまして、現在いろいろ検討は加えておりますが、まだこれが具体的な処理方法及び時期、順序等につきましては、申し上げられる段階に至つておりません。特にその返済をいたします場合の財源を、どこから捻出するかという問題につきまして、見返り資金からこれを返済するか、あるいは一般会計から特別の財源として計上いたしまして、これで返済することになるのか、これらの点につきましても、まだ明確な結論には到達いたしておらぬわけであります。なお先ほど申し上げましたように、私実は直接の所管をいたしておりませんので、必要がございますれば、関係局長なりあるいは大蔵大臣から、答弁を求めていただきたいと思います。
  11. 深澤義守

    深澤委員 講和発効と同時に見返り資金運用方法については、当然政府が根本的な方針を定めなければならない。その方針が定まつていないのに、私企業の分だけは、日本開発銀行承継するのだというようなことを、やすやすと法案に私は盛るべき性質のものではないと考える。まず根本的な見返り資金に対する運用方法国会に明示して、しかる後にその運用として、私企業分開発銀行に振り向けるというようなことにならなければ、筋が通らないと私は思うのであります。この問題については、銀行局長所管でないからとおつしやるのでありますから、つつ込んだ御答弁は得られないことも無理ないと思うのでありますが、この点については、私は特に重大な内容を含んでおります問題であるので、これは池田大蔵大臣に直接御答弁願いたいと思いますので、委員長からひとつ池田大蔵大臣の御出席を願いまして、この問題に対するお答えをお願いいたしたいと思います。
  12. 佐藤重遠

    佐藤委員長 了承しました。
  13. 深澤義守

    深澤委員 その次にお伺いいたしたいのは、復興金融金庫資金開発銀行による承継の問題でありますが、提案理由説明によりますと、復興金融金庫から承継した資産に見合う政府借入金八百五十二億二千万円を、出資金に振りかえることとしたということでありますが、この中には復金の未回收の分も含まれるのか含まれないのか、その点を伺いたいと思います。
  14. 河野通一

    河野(通)政府委員 今のお尋ねは、ちよつと聞き違つたかと思いますが、復金の従来貸出しをいたしましたその債権が振りかわるわけではないのでありまして、復金への政府出資が、そのまま開発銀行に対する貸付金として処理をせられたわけであります。従いまして、その貸付金に対して処理せられたものが、政府からの出資に振りかわる、そういう措置をいたしたのであります。こういうことをいたしました理由は、同じ政府からの貸付金という形で整理をいたしますか、あるいは政府からの出資という形で整理をいたしますか、これはいろいろ議論のあるところであろうと思いますけれども、必ずしも従来やつておりますような、政府からのこういう政府機関に対する出資という形を、特に貸付金という形に振りかえる必要は、実はなかつたわけであります。これらの点から考えて、はつきり政府から政府機関に対する金の出し方は、出資という形で出した方が適当であろう、こういう見解に立ちまして、これを貸付金から出資ということに振りかえたわけであります。
  15. 深澤義守

    深澤委員 そういたしますと、すでに復興金融金庫から開発銀行承継した資産、それが今までは政府の借入金ということになつておつたが、それが今度は出資金という形になつたのだ、こういうことでいいんですか。
  16. 河野通一

    河野(通)政府委員 あるいは御質問とダブるかもしれませんが、こういうことです。復金が従来政府からの出資を得て、それによつて融資をいたしておつた。その融資をいたした融資債権貸付金債権との関係ではなくして、政府から出資をいたしておつたその金額が残つておりました。その金額がそのまま開発銀行への貸付金という形にかわつたわけです。今の現行法ではかわつておるわけです。復金自体の融資債権の問題じやなくして、政府からの復金に対する出資、それが政府からの貸付金にかわつておつた。それを今度は、政府からの貸付金政府からの出資に振りかえた、こういうことであります。
  17. 深澤義守

    深澤委員 よくわかつたのでありますが、つまり復金に今まで政府が貸しておいたものを、今度はその貸しておいた額を、開発銀行への出資金ということに振りかえたんだということでありますが、そこで問題になるのは、なるほど政府復金に八百五十二億二千万円というものを貸したのであります。ところが開発銀行は、この復興金融金庫から承継した資産に見合う政府借入金八百五十二億というものを、今度は政府出資金として処理するのであるが、しかしこの八百二十五億二千万円というものは、現実にある現金ではなくして、かつて復興金融金庫政府が貸したというその形式的な額を、開発銀行出資金として受けておる、こういうことになつたというふうに了解してよいですか。
  18. 河野通一

    河野(通)政府委員 こまかい点でありますが、ちよつと違うのでありまして、復興金融金庫に対して政府出資をいたしたので、貸し付けたのじやないのです。その出資をいたしたものの残高を、開発銀行復金を引継ぐにあたりまして、これを政府開発銀行に対する貸付金に振りかえた。当初は復金に対しては政府出資をいたしておつたのであります。その点はちよつと違いますから……。
  19. 深澤義守

    深澤委員 そこでその八百二十五億二千万円というものは、結局現実にそこに現金があつたということではなくて、あるなしにかかわらず、とにかく政府復金出資したものを、そのまま今度は日本開発銀行出資にしたということなんですね。
  20. 河野通一

    河野(通)政府委員 ええ。
  21. 深澤義守

    深澤委員 そこでこの八百二十五億二千万円というものは、形式的に政府開発銀行に対する出資金なつたといたしましても、開発銀行といたしましては、この八百二十五億二千万円というものを現金で受取つたのではないから、そこで問題になるのは融資債権の問題です。これは政府が責任を持つのか、それとも開発銀行が責任を持つのかということが問題になつて来ると思うのですが、その点はどうですか。
  22. 河野通一

    河野(通)政府委員 政府が責任を持つか、開発銀行が責任を持つかの問題でありますが、御承知のように政府開発銀行との関係は、まつたくの政府機関という開発銀行性格から見まして、しかもその資本金の全額は、いかなる形によりましようとも、結局政府からの出資ということになつております。そういう意味におきまして、この貸付債権内容いかんの問題も、これからいろいろ御質問誇るのだろうと思いますが、その貸付債権内容いかんによつては、結局開発銀行がその責任を負うのであるか、あるいは日本政府が責任を負うのであるかという点につきましては、両者とももちろん責任を負う、こういうことに相なるわけであります。
  23. 深澤義守

    深澤委員 そうすると、開発銀行といたしましては、今後銀行の運営に基きまして、八百二十五億二千万円というものは政府出資になつたのでありますが、その見返りはおそらく現金で、開発銀行に八百二十五億二千万円が入つたのではないのでありますから——今までの融資債権見返りなつておるということでありますから、これを百パーセント生かして行くためには、結局融資債権の問題をどうするかという問題が、当然起つて来ると私は思うのであります。そこでその融資債権の問題について、これは政府復金整理段階におきまして、三段階にわけて、一つは近くとり得るもの、その次は長期間にわたつてとる可能性のあるもの、第三段階はとる可能性のないものというぐあいに、三段階にわけて整理をしているのだということを、相当前の国会でわれわれは政府当局説明を聞いたのであります。そこでこれはほかの同僚委員からもいろいろ御質問がすでにあつたと思うのでありますが、この融資債権整理方針という問題について、概括的でいいのでありますが、政府は一体どういう考えを持つておられるのか、そして現状はどういうぐあいになつているのか、その点をお聞かせいただきたいと思います。
  24. 河野通一

    河野(通)政府委員 現状につきましては、開発銀行から役員の方が見えておりますから、そちらからお聞き取りを願いたいと思うのでありますが、今後の整理方針という点につきましては、極力個々の事態を十分に見まして、この開発銀行、あるいはその前身であります復興金融金庫が、政府全額出資のもとに設立された政府機関という点から考えまして、終局的には国民の租税負担につながつておるという観点から、できるだけこれらの債権の取立てを円滑に進めまして、間接に、終局的において国及び納税者の負担になることのないように、極力整理の満足なる遂行をはかつて参りたい。しかしながらこの点につきましては、やはり個々の融資関係等につきまして、場合によりましては、当初の契約の融資期限よりもある程度延ばして回收をした方が、終局的には債券の発行が十分にできるという面もございましようし、またそういつたふうなことで、従来一括して回收する約束になつておつたものを分割して、回收をするという形にする方が、債券の発行になるというような面もございましようから、その個々の融資関係に従つて、これらの点は十分の配慮を加えて参りたい。要はこれらの債権回收を確実に実行する、そして終局的に国民の負担に帰することのないように、できるだけ善処いたしたい、これが私どもの念願であり、基本的な方針であります。なお詳細につきましては、開発銀行の役員から御説明していただきます。
  25. 中村建城

    ○中村説明員 それではただいま銀行局長の御説明に補足いたしまして、開発銀行方針を申し上げます。元来回收方針ということを普通考えるのでありますが、しいて方針といえば、無理なく回收するという一語に尽きるのでありまして、実際はケース・バイ・ケースになるのであります。いろいろな方針におきましても、個々に事情が違いますから、規則的なものはつくりましても、動きがつかないのでありまして、ケース・バイ・ケースに判断をしてそして無理なく回收をする、こういうことであります。私どもの考えは、復金時代は回收した金は全部政府に納付したのでありますが、今度は回收いたしました金はさらに産業界にまわるわけでありますので、従つて回收した金は、政府に納めても生きるでありましようが、われわれとしては前よりも身近に使えますし、産業界にすぐ還元するというので、非常に良好じやないかと思いまして、特に元利回收には力を入れようというわけであります。ただ実際問題といたしましては、期限通りに返せぬものもあり、それからしばらくめんどうを見て行けば生き返るものもあり、中にはどうしても担保物もあまりない、それから債務者もまつたくない、そういうものにつきましては、これは強行してもとれないので、そういうものは適当に、たとえばできるだけのものを納めていただいて、あとは打切るということも出て来ると思うのであります。概して申しますれば、かすに時をもつてすれば、そう懸念なくとれると思うのであります。ただたとえば政策融資と申しますか、引揚者の融資であるとか、特別の災害の復興融資であるとかいうものにつきましては、初めから万全の回收——確実の意味では貸したのでないものもあるのでありまして、そういうものにつきましては、あまり強くやりましても、実際上無理がありますので、その場合には適当な時期までに償却をさして行くよりほかないと考えております。
  26. 深澤義守

    深澤委員 どうも私はその債権回收について、今までは政府に対して納付するのであるが、今度は産業界にすぐ還元するのであるからという形で、非常に安易に考えている傾向があるのじやないかと思う。大体終戦直後のあのどさくさに出された政府融資の復金の金というものは、返さなくてもいいのだというような観念も、ある部分には相当あつたと私は思う。従つてこの回收問題については、国民の負担をできる限りなくするという意味において、相当の努力を必要とするもので、安易に考えるべき問題ではないと思う。特に終戦直後の貨幣価値と現在の貨幣価値とは違い、貨幣価値は非常に高まつているのであります。従つて債務者の方といたしましては、十分利益を得ているわけです。そういうような関係において、私はこの復金の金を相当利用して莫大な利益を得て、なおかつその債権返済していないというような傾向が相当あるのではないかと思う。これは二重、三重の利益を得ていると私は思う。そういう意味において、厳重にこの債権回收についてはやるべきであるというように考えているのであります。そこで今も説明があつたのでありますが、やむを得ない場合には切り捨てる、こういうことをおつしやつておりますけれども、大体現在までの整理の状況の過程において、切り捨てなければならないような見通しのつく債権は、額として大体どのくらいあるのか。その点の見通しがありましたらひとつお答え願いたいのであります。
  27. 中村建城

    ○中村説明員 債権の償却というのでありますが、これは復金時代に二回いたして、累計五億四千万円ばかりいたしております。それから今年度の決算におきまして、三億七千万円ばかりの償却をいたすつもりでおります。将来のことにつきましては、実は引継ぎを受けましたときに、最近の機会において全部調べて、見通しをつけたいと思つておりましたが、ただいまのところ実績の数字はございまするが、将来の見込みの数字はまだ固まつておりません。
  28. 奧村又十郎

    ○奧村委員 ちよつと関連して……。ただいまの五億数千万円と三億数千万円の金というものは、この一月十六日の引継ぎの時点のときには、すでに償却済みになつておるわけですか。
  29. 中村建城

    ○中村説明員 復金で、つまり一月十六日までに二回にわたり五億四千万円ばかりを償却いたしました。それからわれわれが引継ぎを受けましてから、本年度の決算において三億七千万円ばかりを償却するつもりでおります。
  30. 河野通一

    河野(通)政府委員 開発銀行の中村さんから今御説明がありましたことを、誤解のないように申し上げておきたいと思います。償却をしたということは、必ずしも切り捨てたということではございません。償却をいたしますのは、内部の経理上の立場からはつきり大事をふんでおくということもございます。償却をしたからといつて、必ずそれは切り捨てて、あとはとらないでほうりつぱなしにしてしまうということではありませんので、その点は誤解のないように。
  31. 奧村又十郎

    ○奧村委員 それでは経理上の償却というのはどういう処分をなさることですか。
  32. 河野通一

    河野(通)政府委員 中村理事から御説明申し上げた方がいいかと思いますが、経理上償却をいたしますのは、個個の銀行においても同じことで、内部の経理として——これは最悪の場合にはとれないかもしれぬ、しかしこれは十分にとるのであるけれども、内部の経理の堅実と申しますか、確実を期するために、これだけのものは留保しておこう、利益の留保をしておこうということで、償却をいたすものが相当あるわけです。これは一般の銀行がそれでやつておるわけです。しかしこれは、相手に対してそれだけはもうまけてあげます。つまり元本をそれだけ払わぬでよろしいというのではないのだということを申し上げておきます。
  33. 奧村又十郎

    ○奧村委員 しかしそれは貸倒れ準備金の意味とは違うと思う。貸倒れがどれだけあろう、あるまいにかかわらず、融資残高に対して一定の割合で積み立てるのです。そうすると、その処分は経理上はどうなるのですか。これだけはとれないということにするのだが、切り捨ててはしまわないのだ。そうするとあつさりいつて、貸借対照表の上からは落すというわけですか。貸借対照表の上から落した場合に、政府出資金はどうなるのですか。
  34. 河野通一

    河野(通)政府委員 貸借対照表から落します場合は、それは利益金その他で落すわけです。出資金を食つて落すわけではない。出資金を食つて落すのは損失補填なんです。そうではないので、一般の銀行と同じやり方をやつておるわけです。利益金でもつて償却をするわけであります。しかし償却をしたからといつて、あなたの債権をまけてあげますということではない、とれたらとつたらいい、帳簿上は落します。しかし外に対しては債権は残つておるわけです。それが入つて来れば——全額は入らないかもしれぬけれども、一割でも入つて来れば、雑益なり償却済み債権回收益というふうな形でそれは入つて来るわけです。益として入つて来るわけです。そうしてもし入ればそれだけのものは債権回收になるわけであります。償却をしたからといつて、すべてを切り捨てるということではないことだけ、はつきり申し上げておきます。
  35. 小山長規

    ○小山委員 今の問題に関連して二点お伺いしたいのでありますが、この説明書によりますと、「復興金融金庫から承継した資産に見合う政府借入金八百五十二億二千万円」となつておるが、ただいまの説明によると、資産という場合には不確定資産も含まれておる。つまり将来とれるかとれないかわからないものも、含まれておるという意味のように解釈するのでありますが、その通りでありますか。
  36. 河野通一

    河野(通)政府委員 帳簿の上に載つております資産は、これはすべて貸付債権として資産として見ております。しかしながらそのうち全額、必ず一〇〇%とれるかとれないかという問題につきましては、これは一般の銀行の経理の中にもいろいろ問題があるわけであります。しかしながら私どもは、先ほど来申し上げましたように、極力これが回收を円滑に進めることによりまして、終局的に資本の欠陥を起すようなことのないように十分回收に努めたい。資本の欠陥を起すことは、結局終局的に国の負担になるわけでありますので、そういうことのないように努めて参りたい、かように考えております。
  37. 小山長規

    ○小山委員 そうしますと、これは振りかえではなくて、合併なのですね。出資ではなくて合併なのじやないですか。つまり本来ならば、開発銀行政府出資するというならば、復金の資産を洗つて、純資産を引継ぐのがほんとうなんだろうと思うのだけれども、いわばこれは将来どうなるかわからぬような債権までひつくるめて持つて来るのだから、一般の観念からいうと、これは合併なのですね。
  38. 河野通一

    河野(通)政府委員 その意味では合併とお考え願つてもいいかと思います。しかしとれるかとれぬかわからぬような債権がそうたくさんあつては困るので、原則として私どもは大体とれるということを前提として考えております。それからもう一つ、この点はこの場合の特質だと思いますが、同じ機関の合併とか吸收という点につきましても、復興金融金庫開発銀行もやはり同じ政府機関である。従つて普通の営利会社が合併いたします場合におけるような問題は、結局終局的には政府負担に帰するわけであります。政府負担というのは、結局国民の負担に帰すわけであります。その意味におきましては、普通の営利会社の合併とはやや趣を異にしておる、こうお考え願つていいかと思います。
  39. 小山長規

    ○小山委員 それからもう一つ、中村理事にお伺いいたしますが、さつきのお話によると、政策融資あるいは災害復旧融資というものがあるようなお話だつたのですが、これは種類別にしますと、金額にして一体どれくらいありますか。これは明細をお出し願えますか。
  40. 中村建城

    ○中村説明員 非常に俗な言葉を用いたのでありますが、復金時代には、たとえば震災があつて工場がくずれる、それに対してその工場を復旧する資金を貸したり、引揚者が何かするので引揚者に資金を貸した。政策という言葉は私がかつてにつくつた言葉でありますが、そういうものは小口でございますが、比較的とりにくいものになるということを申し上げたのでありまして、別にそういう分類があるわけではないのであります。従つてそういう統計もあるわけではないのであります。
  41. 小山長規

    ○小山委員 しかしそういうふうなことを言われたところを見ると、そういう観念があるに違いない。でありまするから、それがおそらく今後とれないというか、非常に取立てが困難な資金に該当するのではないかと思うのでありますが、その金額は一体どのくらいあるのかということと、それは何箇年くらいで償却できる見込みかというくらいのことは、復金から来られた中村理事は御承知のはずでございますが、その点はいかがですか。
  42. 中村建城

    ○中村説明員 実は復金の重役は全部解任いたしまして、全部新規の者が役員になつておりますので、貸付等の状況は実は詳しく存じないのでありますけれども、しかしながらわれわれがずつと回收をやつておりますと、どうも比較的回收の悪いのは、ただいま申し上げたようなものが多いのであります。その顕著なものは炭住資金であります。これは別途に解決いたしまして、おそらく今後は新しい条件によつて回收できると思いますが、炭住資金は特別問題になりまして、特別な措置ができたのでありますが、その他にも相当、普通の金融べースからいえば、貸しにくいものを貸しておつたのが、復金時代にあつたのであります。これは当然またそうあるべきだつたと思うのでありますが、そういうものが何となくとりにくいように思うのであります。しかしながらそれはやはり各業態に入つておりまして、分類としては引揚者融資が幾らというような分類はいたしておりません。やはり機械類なら機械類、炭なら炭というように分類いたしておりますので、それを抜き出しますことはちよつと時日を要するので、御了承願いたいと思います。
  43. 小山長規

    ○小山委員 しかしこれは野党側が必ず追究されることだろうと思うのです。そういうようなものがおよそどのくらいあつて、そうしてそれは現在の收益状況からいえば、何年くらいで償却できるはずであるというくらいのことは、私は見通しがついていなければならないと思う。全然見通しがついておりませんか。
  44. 中村建城

    ○中村説明員 この解散当時に、復金から引継ぎました積立金というのが三十六億ばかりあるのです。これはもし必要ならば償却に見合つてもいいのです。それでかりに——これはわかりませんが、かりに五十億くらい不良資産になつておつたといたしましても、今三十六億ありますから、差引きますと、十七億になるのであります。それに対しまして、昭和二十七年度はわれわれの予想通り行きますれば、利益が六、七十億円あると考えますから、そのうちから消して行けば、そう長い期間でなく非常に不良なものがあれば消せるという見通しはついております。
  45. 小山長規

    ○小山委員 ただいまお話に出ました炭住資金というのは、どういうふうな解決をしたのでありますか。復金でもつて出しておつた高い利息を、開発銀行の普通の貸付金に振りかえて、あたりまえの貸出し利息をとるというような形をとられたのですか。
  46. 中村建城

    ○中村説明員 炭住資金の解決の一番の要点は、短期償却を税法上認めたことであります。つくつたときから十年以内に……。これは損に計上しますから、それだけ経理が楽になります。一方貸付の方はこの四月一日を画しまして、その以前は全部五分五厘に下げる、それから四月一日以降は六分に下げる、こういう解決をいたしております。
  47. 深澤義守

    深澤委員 こまかい問題に入りますと、非常にたくさんございますので、そういう点をあとまわしにいたしましてともかくもこの復興金融金庫整理という問題については、これは国民も非常な関心を寄せている問題でございますので、私は概括的な問題をまずお伺いしたいのでありますが、現在融資債権の残額の総額は幾らあるのか、その点をまずお伺いいたしたい。
  48. 中村建城

    ○中村説明員 この三月三十一日の締切りでありますが、その当時におきまして、開発銀行の貸付が二百二億四千万円でございます。それから復金から承継いたしました貸付が七百五十八億、合せまするとちようど九百六十億ぐらいになります。
  49. 深澤義守

    深澤委員 資料が出ておりまする五千万円以上融資先残高比較調べの最後は、解散当時が六百十億三千五百九十一万一千円ということになつておりますが、これは五千万円以上の融資先の残高であるということに承知していいのでありますか。
  50. 中村建城

    ○中村説明員 さようでございます。
  51. 深澤義守

    深澤委員 そういたしますと、これが七百五十八億から差引かれますと、百四十七億がこの五千万円以下の残高であるということになりますね。
  52. 中村建城

    ○中村説明員 その通りでございます。
  53. 深澤義守

    深澤委員 それからこの五千万円以上の表が出ておりますが、これは融資条件の中の期限がまだ来ていないものが全部なのか、それとも全部期限が来て、なお回收なつているのか、その点はどういうぐあいになつていますか。
  54. 中村建城

    ○中村説明員 これは一月十六日復金を吸收した当時におきまして、残高が残つておるのでありまして、期限が来て滯納しておるものも多少ございます。しかし大部分はまだ昭和二十何年まで続いておるものもあるのであります。
  55. 深澤義守

    深澤委員 そういたしますと、全体的に昭和三十何年までその期限がまだ続いておる。そうすると復金の融資期限というものは、十年というようなことで、大体全部がきまつているのですか。
  56. 中村建城

    ○中村説明員 業種によつて違います。短かいのもございますが、長いのは十年というのもございます。
  57. 深澤義守

    深澤委員 そうするとこの五千万円の中の大部分が、これはもう十年——昭和三十何年ということになつておるのですか。それともその比率はどういうことになつておりますか。これは大体がそうであつて、中のごくわずかの部分だけがすでに期限が来ておるのだが、滯納になつておるということなんですか。
  58. 中村建城

    ○中村説明員 概して申しますと、石炭と、船については相当長期に貸しておりますが、その他のものはそうひどく長期なものはございません。
  59. 深澤義守

    深澤委員 そういたしますと、石炭と船ということになりますと、この五千万円以上の中ではそう多くの部分ではないと思うのですが、そうすると大部分はすでに期限が来ているのだが、滯納の状態になつておると理解していいのですか。
  60. 中村建城

    ○中村説明員 復金は新規貸出しをやりましたのは昭和二十四年でございますから、新しいのは昭和二十四年ごろ貸したのもあるのでございますが、そのころ長いのは十年くらい、短かいのは三年、五年というのもございますから、ただいま申し上げましたのは、少し間違いましたが、石炭と電気と船この三つは相当長く貸しております。あとはそう長く貸してないのでありますが、もうすでに期限が来ておるというのは少数でございまして、なお一、二年残つておるのが大部分でございます。
  61. 小山長規

    ○小山委員 これらのうちの利息の納入状況はどんな状況になつておりますか。
  62. 中村建城

    ○中村説明員 概して申しますと、五十万円以上の大口のものはほとんど大都分が元利ともにきれいに返つております。ごく特殊の事情のものが一、二あると思いますが、五千万円以上の大口のものにつきましては、大体におきまして原則としては順調に返つておるのが多いのでございます。
  63. 深澤義守

    深澤委員 この復興金融金庫で貸した当時と、さらに今度は開発銀行がこの融資をしておりますが、復興金融金庫が相当額貸したものに、さらに貸付を今度は開発銀行としてやつておるのでありますから、こういう場合において、前の債務と今度の債務との関係があるのでありますが、開発銀行が新たに貸すという場合は、これはどういうことになりますか。もちろん前の債務の償却が確実であるという意味で、これは融資されるのか。それとも前の債権を確保し、さらに回收を確実にするために、この開発銀行として融資をするならば、うまく行くであろうという見解で融資をされるのか。その融資の方針というものをひとつお伺いしたいと思う。
  64. 中村建城

    ○中村説明員 この開発銀行になりましてから貸しますのは、政府の基本計画というものがございまして、それに順応して貸すのであります。ただその計画に順応しております計画でも、従来復金の取引ぶりが悪いものにつきましては、これは貸出しをしぶるわけでございます。従つて復金の貸出しも順調に返す、新しい貸出しも順調に返す、こういう見込みがなければ新規の貸出しはいたしません。  それから最後にございましたのは一種の管理融資かと存ずるのでありますが、もしこの際新しいものを貸せば前のも生きて来る、今度のも生きて来る、こういう場合には特別に考えることもありますが、それは抽象的な考え方でありまして、具体的には管理融資、つまり前の成績は悪いけれども、今度貸せば前のが生きて来るというような例は、具体的な例としてはまだ見当らないのでありますが、方針としてはそういうことが考えられると思います。
  65. 深澤義守

    深澤委員 時間もないようでありますし、ほかに同僚委員からも質問があるので、こまかい部分はあとまわしにして、なおお伺いしたいのは、政府開発銀行に対して出資する場合において、「百万円に満たない部分に相当するものを除く外」という規定が四十八条にあるのです。この点の解釈がどうも納得が行かないのでありますが、この点を銀行局長にお伺いしたいと思います。
  66. 橋口収

    ○橋口説明員 ただいま御質問のありました点は、現在の開発銀行政府からの借入金には端数がついております。これは従来開発銀行復金を合併いたしました当時においても、復金の資本金に端数がついておりまして、これが現在でも端数となつて残つているわけであります。ただ将来の開発銀行の資本金を考えますときには、端数がなくて比較的割りいい数字の方が適当であると考えまして端数の百万円に満たない部分につきましては整理をいたしまして、その部分開発銀行の準備金として積み立てるという措置をとつたのであります。
  67. 佐藤重遠

    佐藤委員長 宮幡靖君。
  68. 宮幡靖

    宮幡委員 今開発銀行について深澤委員から質問がありましたので、その方面で一、二伺つてみますが、これは実は大蔵大臣にも聞いておいていただきたい。政府の財政金融政策が、どうも独立ということの余波を食いまして、不動であるべきものがだんだん弛緩をして来るような感じがいたしてならぬのであります。そんな傾向のときにおきまして、枝葉末節を論じましても、まことにかいないことである。むしろ開発銀行法にいたしましても、開発銀行に人事的な信頼が持てるならば、こまかい人事上の問題なんかはおまかせしておいてもけつこうだと思う。むしろ融資なんかは国の方針に従つてやるべきでありますので、今後どういうふうに運営されるのか、資金の調達はどうなるのかというふうな方面に、重点的に考慮を加えるべきものだと考えております。完全なる政府機関と考えられます日本開発銀行は、国の財政計画に基きます資金運用の線にまつたく一致してあるべきものだと思います。例はあるいは逸脱する例になるかもしれませんが、最近簡易保險の積立金の運用の問題につきまして、政府の中にも、国会の中にも、またちまたにおきましても、財界、事業界といわず、あらゆる方面において問題になつておる。しかし政府資金の一元的運用という原則から見まするならば、これを分離運用するなどと考えることの方が間違つておる。もしこういうことを政府当局においていささかでも考慮に加えておるという事態であつたならば、私は、日本開発銀行を存続いたしまして、政府の財政資金及び準財政資金その他の一元運用をするという根本方針がくずれるであろうと思う。だから日本開発銀行なんかはすみやかにおやめになつて、民間にでも移してやつたらどうだと極論したいような気持が出て来るのでありますが、この問題につきまして二元的な運用をなさるつもりでいるのか。これと関連いたしまして、為替銀行なんという問題についても、単一の為替銀行をこしらえまするならば、これもただいまの長期信用銀行法とからみまして、国内業務と国際的な金融と申しますか、まあ国内業務といえば、預金の受入れあるいは取引先の限定、貸付の方法等いろいろありますが、こういうような問題でかなりむずかしい問題がある。もしかつての正金のようなものを為替銀行法として設定いたしまするならば、これは国際金融と国内金融の二元化が復活する。そこでただいまのように、簡易生命保險積立金の運用を分離いたそうなどという観念があると、まことに動揺した財政金融政策であると言わなければならない。そこで大蔵省としては、あるいは政府全体の意向としては申しにくいかもしれませんが、大蔵省としてのかたき信念をお聞かせ願わない以上、私どもは日本開発銀行の今後の運営方針などについて質問する勇気がないのであります。その点につきまして、本日時間もありませんし、問題も問題でありますから、もし銀行局長から御即答をするいとまがないという事態でありましたら、委員長のおとりはからいによりまして、大蔵大臣の御出席を求めたい。実は今日予算委員会がありましたので、開会になりましたら、私は大蔵大臣に総理大臣のおいでになる前で質問をいたすつもりでおりましたが、何か予算委員会の方も開会がたいへん遅れたのでこちらに参つた。この問題については、まず少くとも大蔵大臣のかたき信念を吐露していただきまして、そうしてから日本開発銀行、及び附属の関連いたしておりますところの、あるいは提案されておりますところの金融諸法案審議を進めたいと思うので、どうかこの点についてはひとつはつきりと大蔵大臣の御説明を願いたい。従いまして、本日のお尋ねいたしますことは、まず事務当局の銀行局長としてはどうお考えになつておるかという範囲において、御答弁をいただきたいと思います。
  69. 河野通一

    河野(通)政府委員 政府全体の考え方について、私が答弁いたすような僭越なことはできないのでありますが、私どもの考えておりますところは、今御指摘のありましたように、これほど資本の不足に悩まされている日本の経済の少くとも現状のもとにおきましては、特に政府資金につきましては、これを一元的に効率的に運用することが、絶対に必要であろうというかたい信念を持つております。しかしながらこの点につきましては、先般来参議院におきましても、当衆議院におきましても、御決議があつたことではございますし、これらの点も十分頭に置きまして、慎重になお検討を続けたいと考えております。なお政府全体としての考え方は、大蔵大臣なり他の国務大臣からお聞き願いたいと思います。
  70. 宮幡靖

    宮幡委員 そこで時間がなくなるといけませんので、審議したくないという気持でありますけれども、もし審議しなければならなくなつた場合の用心として、せつかく開発銀行の当局の方がお見えになつておりますので、二、三事務的な質問をいたしたいと思います。  今回の改正によりまして債務保証業務を追加せられておりますが、これは追加せられた方がいいとか、あるいは追加しなければならないということの理由について、御明快な御答弁を願いたいと思います。
  71. 中村建城

    ○中村説明員 この債務の保証ということにつきましては、一つは国内の債務の保証と、それから外資の導入の場合の保証と二つあるわけでありますが、主として今回頭に入れておりますのは外資導入の場合でございまして外資導入の場合には、あるいは政府の保証を求める、あるいは中央銀行の保証を求めるという場合がありますが、たまたま開発銀行のような政府の国家機関の銀行がある場合、それに適合するならば、開発銀行の保証でもいいというケースが起り得るのではないか。これは具体的にはわかりませんが、そういう場合に備えて保証というのを入れていただいたのでありまして、主たるねらいというのはこの点にあります。
  72. 宮幡靖

    宮幡委員 外資導入を主たる目標といたします債務保証業務を開始せられる。まさにそれは必要であろうと信ずるのであります。そこでまず外資導入ということを目標に掲げるのでありますが、想定といいますか、こういう外資が入つて来そうだとか、あるいは外資法の精神からいつても、この程度のものは取入れてもいいんだというような、具体的に何かありましたら——もしなければ無理にお尋ねいたしませんが、ありましたならば、その想定をお聞かせ願いたいと思います。
  73. 中村建城

    ○中村説明員 ただいまのところまつたく聞いておりません。
  74. 宮幡靖

    宮幡委員 しからばせつかく業務に追加するのでありますから、これが有効適切に働くようにひとつ御心配にあずかりたいことを、この際要望いたしておきます。  次にお尋ねいたしたいのは、この法文の中に政府からの資金の借入れ、政府資金種類などという言葉が使つてありますが、これはどういう種類であつて、その借入れの方法等はどうなつておるか。どういうふうに考えておりますか。それをひとつ詳細にお話していただきたいと思います。
  75. 河野通一

    河野(通)政府委員 政府資金の借入れにつきましては、まだ具体的になつておりません。その方法につきましては、十分これから審議をいたして参りたいと思いますが、御承知のように先般国会を通過いたしました予算の附属書の中にもあがつておりますように、見返り資金から四十億の借入金を実は予定いたしておるわけであります。これはもちろんこの法律案が通過いたしませんとできないわけでありますが、そういつたものを考えておりますし、また資金運用資金全体の資金繰りの関係が許しますならば、これらからやはり長期資金を貸し付ける。開発銀行から行きますると借り入れるわけであります。そういうような道を開きたいと考えております。特に政府からの借入れに限りました理由は、宮幡さんよく御承知ですから、特に御説明申し上げる必要はないと思います心
  76. 宮幡靖

    宮幡委員 それからやはり今度の改正の特徴として、見返り資金の貸付債権及びこれに付随する権利義務承継、将来出資に振りかえるという含みでありますが、元利を合計したものを再投資する、こういうねらいであります。その趣旨は私は賛成するものでありますが、字句の上で「これに付随する権利義務」こうありますが、一体これに付随する権利義務というものはいかなる実体のものであるか。これについてお伺いしたいと思います。
  77. 橋口収

    ○橋口説明員 お答え申し上げます。ここに規定してあります趣旨は、開発銀行見返り資金私企業貸付債権とそれに付随する権利義務、言いかえますならば、見返資金特別会計が当該私企業債権について持つておりまする法律上の地位を、一括して承継するという趣旨でございます。従つてここに書いてあります権利と申しますのは、たとえば保險金請求権であるとか、あるいは抵当権、あるいは既経過の受取り利息、義務といたしましては、たとえば完済した場合には抵当権を解除してやるというような、そういう意味の広汎な権利義務を含めているつもりであります。
  78. 宮幡靖

    宮幡委員 しからば見返り資金がこれは特別な資金でありますので、普通の営業と考えることが誤解かもしれませんが、もし営業と考えたならば、いわゆるこれに付随する権利義務ということは、営業の全部または一部の譲渡という意味の権利義務承継と同じ解釈で、間違いないのでありましようか。
  79. 橋口収

    ○橋口説明員 開発銀行承継いたします主体は、あくまでも見返資金特別会計の私企業に対する貸付債権でございますが、それに関連いたしまして、ただいま御説明いたしましたような権利あるいは義務については、これを包括して承継する。従いまして御指摘のありましたような、営業の譲渡というような考えに近いのではないかと考えております。
  80. 宮幡靖

    宮幡委員 そこで次にもう一、二点伺いますが、開発銀行の貸付決定に至ります間において、開発銀行の当事者はどうお考えになつておるか知りませんが、遠慮なく申せば——私があえて毒舌を振うわけではありませんが、どうも評判がよくないのであります。先ほど中村説明員のお話の中に、政府の計画に基いてやるのだ、しかしそのうちでも貸せないものは貸せない。これはごもつともであります。ところがそれがどうも極端に出ている。安本の計画、担当行政官庁から推薦いたしました資金の割当にいたしましても、遠慮ない言葉で申せば、小林中さんのごきげんに合わないものは借りられないのだ、というちまたの評判があるのであります。そこでこれらの誤解を払拭いたしたいのが私の念願であります。この貸付決定に至ります政府機関との連絡の詳細を、ここで御説明をいただきたいと思います。記録にとどめておきたいと思いますから、御説明を願いたい。
  81. 中村建城

    ○中村説明員 大体貸付順序を申し上げますと、まず窓口でお申入れがございますと、それが政府の基本計画に沿つているかどうかという判定をいたしまして、沿つていない場合には、申込みの受付を留保するのであります。それから計画に載つておりますれば、正式に受付をいたします。その受付をするかしないかの決定は、全部役員会で責任をもつて決定いたします。それから受付をいたしましたものは、これを審査へまわしまして、会社の状態、それから今度の計画がいいかどうか、それがはたしてどれくらいの金がかかるかどうか、また会社の返す能力があるかどうかということを詳細に調べまして、審査をいたしました結果、その報告に基きまして、さらにまた貸付をするかどうか、幾ら貸すか、条件をどうするかというようなことを役員会で決定いたしまして、そうして完了するわけでありまして、その場合にいろいろな点がございますと、さんざんひつぱられまして、遅れもいたしますし、また場合によるとお断りすることもございますが、大体お断りするときには、相手方の納得をいたしていただきまして、お断りしているのが現在までの実情でございます。
  82. 宮幡靖

    宮幡委員 口で答弁願いますと、まことにスムーズでありますが、実態ははなはだ不円滑のようで、評判はよくないのでありますから、どうか窓口業務を初めといたしまして、国家の資金計画により、決して当局の方々が私心をさしはさんだようなことをなさらないように、これは私は言葉はやわらかいのでありますが、強い意思をもつて御要望を申し上げておきますから、総裁にも一つぜひ御伝言願いたいのであります。具体的事例をあえて言えというならば、二、三にとどまらず申し上げまして、私の誤解であれば反省いたすと同時に、もし開発銀行の取扱いがわるかつたら、大いに改めていただきたい、こういう気持を持つております。  もう時間もありませんから、その他の点はたくさん伺いませんが、近ごろ経済界と申しますか、産業界と申しますか、開銀の業務につきまして、開銀の資金で直接民間市中銀行が持つております社債等の肩がわりを積極的にやる。そして市中銀行資金を流す。系統によりましては市中銀行も金融緩慢でありまして、コール資金においても出し方が、出しておるよりとり手の方が少いという状況でありますから、今は一時的にその時期ははずれておるかもしれませんけれども、全般的と申しましては開銀の資金で直接肩がわりしてもらつて、市中銀行へ金を流してもらうという、こういう方法がないものかという要望が強いわけでありますが、資金の金繰りの面におきまして、そういう余裕があるのかどうか、また方針としては将来そういうことをお考えになつておるかどうか、この点をひとつ御説明願いたい。
  83. 中村建城

    ○中村説明員 ただいまの肩がわりにつきましては、昭和二十六年度に二回いたしました。最初が買船資金の肩がわりで、第二次が第六次の後期の肩がわりをいたしまして、さらに今年度に入りまして、電力の肩がわりを約二十六億今手続進行中でありまして、近く完了すると思います。さらに本年度の資金計画として約五十億を肩がわりに予定しております。これはそのときの情勢によりまして——これは何も五十億円になつたわけではないのでありまして、さらに資金の状況を見まして、適当に肩がわりをいたしたいと考えております。
  84. 宮幡靖

    宮幡委員 次に簡単なことを一つ伺いますが、二十七年度の開銀の融資計画というのはもちろんあるわけであります。それは資料をいただいておつたかどうかはつきり頭に残つておりませんが、その他の行政庁で開銀の資金を使うために、いろいろな構想を発表しておる。たとえば通産省の案々見ますと、約二百三十億の融資が可能である、こういうことを言つておる。自家発に六十億、鉄鋼で四十八億、石炭が三十五億、金属鉱山が十六億、機械で十六億、化学で十八億、その他一般産業で三十七億、これが融資計画である、こういうことでありますが、これは預金部資金関係と非常に深い関連を持つのでありますが、今一体こういう計画の実態はどうなつておるのか。そこで、これは言葉の上でなくて、文書でいただいた方がよろしいと思いますから、資料として未提出のようでありましたならば、あすでもあさつてでもけつこうでありますから、出していただきたい。それで運輸省の方に行きますと、運輸省の関係は、これは建設勘定でありますが、設備資金といたしまして開銀に百三十億の導入を折衝しておる。これができれば、線路ができるか、トンネルができるか、あるいは電化ができるか知らぬが、とにかくやるんだ、こういうことを運輸省はまことしやかに言つておるし、計画にも載つております。こういう問題を運輸省でも取上げておるのですが、現に折衝があるのかどうか。通産省の方で考えておりますところの計画を見ますと、そこに矛盾撞着があるわけであります。これがどういうふうになつておりますか。ひとつ実例的に、運輸省は設備資金として開銀を通じて百三十億導入するのだというこの考え方につきまして、御説明いただきたいのであります。
  85. 河野通一

    河野(通)政府委員 具体的な問題の折衝の経過につきましては、あとで中村理事から御説明いたします。政府としての開発銀行の運営の基本的な指導方針と申しますか、そういうものにつきまして、世上やや誤解もあるようでありますから、この点はつきりいたしておきたいと思います。政府といたしましては、開発銀行に対しては、産業あるいは金融に関する基本的な計画、政府資金のバツクをもつてしても、どうしてもこれだけのものは資金をつげなければならぬという意味の基本的な計画につきまして、閣議の決定を経たものをつくりまして、その決定された基本的な計画に基いて、それに順応して開発銀行は運営されることが望ましいということであつて、それ以外に政府として公式に開発銀行の個々の貸出しを拘束したり、あるいはこれに命令をしたりするような制度は全然ございません。ただあるいは通商産業省におきましても、あるいは運輸省におきましても、こういうものにぜひ何とか融資をしてもらいたいという御希望は個個にあるかと思います。それは決して政府全体としての意思ではないのであつて、個々にそういう希望が通じられることはあると思いますけれども、通商産業省か、たとえば今お話のようなことは私はよく存じませんが、そういうものを省議なら省議で決定いたしたといたしましても、これに開発銀行の運営は拘束されるわけではない。参考としてその意見を開発銀行として聞かれることは、もちろんさしつかえないと思いますけれども、そういうものに拘束されるものではないというふうに、御了承いただきたいと思います。なお具体的な問題については中村理事から御説明いたします。
  86. 中村建城

    ○中村説明員 ただいま銀行局長答弁された通りでありますが、私どもといたしまして拘束を受けますのは、閣議の了解を得ました基本計画だけでありまして、あれには数字は全然入つておらないのであります。そして数字はわれわれの方で運用の実績に応じて、もし回收がふえるとか、あるいはその他資金がふえればよけい貸す、うまく行かなければ縮めるよりほかないのでありますが、数字は全然拘束は受けません。それに対して各所管省ではわれわれの方の仕事を助ける意味におきまして、いろいろと案を持つて来て御説明を承るわけでして、非常に参考になるのであります。これには数字は載つているのですが、これも決してこちらを拘束する意味ではなく、ただ開発銀行側もすべてを知つているわけじやないので、われわれの方で知つているのを教えてやろうということで御説明していただくわけで、ありがたく拝聴しているのであります。
  87. 宮幡靖

    宮幡委員 本日の最後の一点を伺いますが、私は金融政策について一万田さんのおつしやることが、なかなか気になる一人であります。この間も車中談が、たしか名古屋あたりへ行つたときの言葉で、そのときついて行きました記者からも聞いたのでありますが、政府資金の金利引下げということを言つている。そうなりますと、輸出銀行開発銀行というものが、全部とは申しませんが、直接利下げのある面の対象になることは避けがたいのであります。そこで基本政策としましては、輸出銀行は七分五厘の二分下げくらいになります。二分という言葉が正確であるとすると、五分五厘に一挙に下げるということはとほうもないことでありますので、私は疑問に思つております。この言葉がいいとか、あるいはその行動がよいとかとは思つておりませんが、とにかく利下げ計画で、開銀の一割を七分五厘にするのだ、こういうようなことを言つておりますが、それは金利が低下することは、日本は高金利で非常に困りますから望ましい限りでありますが、そこでかようなことを現状の段階におきましていたした場合には、開銀や輸出銀行に対する影響というものは相当微妙なものであると思う。これは銀行局長といたしましても、また開銀の当事者としてもどういうふうに考えておられるか。これを簡単に御答弁願いまして、以上で時間の関係で私の質問を打切ります。
  88. 河野通一

    河野(通)政府委員 一万田総裁が車中で話されたようなことを私新聞でちよつと見ましたが、直接一万田総裁の意見がどこにあるか、まだ聞いておりません。金利一般の問題につきましては、これは政府資金の金利の問題と、一般の市中金利の問題と、問題が実は二つあるのであります。金利の問題につきまして大蔵省で引下げを考えていることは、いろいろ新聞にも出ておりますが、実はまだ結論を得ておりません。現在の非常に動いている経済の実情から見まして、この問題はそう軽々に扱うべきものじやありません。特に政府資金につきまして、一般の金利水準とかわつた、いわばある意味における補助金的な政策としての政府資金の引下げということが、はたして全体の経済の運営のためにいいかどうかという点も十分考えなければならぬ。現在のところは私どもはまだ結論として、積極的に日本開発銀行なりあるいは日本輸出銀行の金利を下げる、いわんや二分下げて輸出銀行を五分五厘にするといつたようなことは、今のところは考えておりません。金利の問題でありますから、常に研究はして起りますが、まだ結論を得ておらぬわけであります。
  89. 中村建城

    ○中村説明員 実は新聞紙上で見て私どももいろいろ相談したのでありますが、元来開発銀行の建前は、市中金融機関の貸出しを補完し、または奨励するとありまして、つまり市中銀行から貸すのが第一であります。その足りぬところを貸すというのでありますから、最初一割を受けます際も、一割というのは端数がないから一割にしたのでありまして、実際は市中銀行に追随したのであります。従つてその方針をとつているわけでありまして、市中が下げないのを、それより先にこつちが先に立つて下げるということは、開発銀行法律の条文に沿わないように考えるのであります。これもさらに政府と御相談して善処いたしたいと思います。
  90. 佐藤重遠

    佐藤委員長 本日はこの程度にとどめ、明十四日午前十時から開会し、引続き審査を続行することにいたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後零時四十分散会