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1952-05-12 第13回国会 衆議院 大蔵委員会 第64号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年五月十二日(月曜日)     午前十一時十七分開議     —————————————  出席委員    委員長 佐藤 重遠君    理事 奧村又十郎君 理事 小山 長規君    理事 佐久間 徹君 理事 松尾トシ子君       大上  司君    島村 一郎君       清水 逸平君    苫米地英俊君       夏堀源三郎君    三宅 則義君       宮幡  靖君    武藤 嘉一君       深澤 義守君  出席政府委員         大蔵事務官         (銀行局長)  河野 通一君         大蔵事務官         (銀行局銀行課         長)      大月  高君  委員外出席者         検     事         (民事局第四課         長)      吉田  昂君         大蔵事務官         (銀行局特殊金         融課長)    有吉  正君         日本開発銀行理         事       中村 建城君         日本開発銀行         (調査部事業調         査課長)    網野 貞雄君         専  門  員 椎木 文也君         専  門  員 黒田 久太君     ————————————— 五月十日  外国為替資金特別会計法の一部を改正する法律  案(内閣提出第二〇三号)  接收貴金属等数量等の報告に関する法律案(  内閣提出第二三一号)  地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き、  税関の出張所及び監視署の設置に関し承認を求  めるの件(内閣提出承認第四号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  日本開発銀行法の一部を改正する法律案内閣  提出第一三八号)  高金利等取締に関する法律案内閣提出第一  八四号)     —————————————
  2. 佐藤重遠

    佐藤委員長 これより会議を開きます。  前会に引続き日本開発銀行法の一部を改正する法律案高金利等取締に関する法律案の両案を一括議題として、質疑を続行いたします。質疑は通告順によつてこれを許可いたします。小山長規君。
  3. 小山長規

    小山委員 それではこれはしばしば皆さんから議題なつたと聞いておりますが、私ここ二、三日忙しくて顔を出せませんでしたので、あるいは話が重複するかもしれませんけれども、その意味お答えを願いたい。  問題は高金利取締りの問題であります。この高金利等取締に関する法律案というものについて、まず最初にお伺いしておきたいのは、この法律案を出すに至つた事情であります。これをまず聞いておかないと、私のこれからの質問があるいは違つた方向に行くかもしれませんので、この高金利等取締に関する法律案を出さざるを得なくなつた事情というものから、まず政府の側のお考えを聞いておきたいのであります。
  4. 河野通一

    河野(通)政府委員 お答え申し上げます。高金利等取締に関する法律案を提案しましたる理由は、先般来委員会でたびたび申し上げているのでありますが、重複の点はお許し願つて御説明申し上げたいと思います。  金銭貸付または金銭の貸借の媒介をすることを業といたしておる者につきましては、その業務の公正な運営を期しますために、昭和二十四年に貸金業等取締に関する法律が制定されたのであります。貸金業を行うことについては、大蔵大臣届出を要するものといたしましたとともに、貸金業が預かり金をすることを禁止いたしたのであります。このほか同法におきましては、さらに金融機関役職員等のいわゆる浮貸しを禁止するというような規定も入れまして、また当時無尽業法規定する無尽に著しく類似をいたしておりますような業務を行つておる、いわゆる殖産会社に対する整理措置規定いたしたのであります。現在に至るまでの同法の運用上の経験にかんがみますと、貸金業者届出制はその必要が非常に少くなつて参つております。また殖産会社整理はすでに一応完了を見ておるわけであります。浮貸し等の禁止及び預かり金の禁止につきましては、それぞれ他の法律をもつて十分に取締ることができることになつておりますので、むしろ単に不当な高金利のみを取締ることが、現状に即すると考えられるのであります。今回貸金業等取締に関する法律を廃止いたしますとともに、不当に高い金利についてのみこれを取締ることにいたすことが適当と考えられますので、この法律案を提案申し上げたような次第であります。
  5. 小山長規

    小山委員 そういたしますと、この高金利等取締に関する法律案を出した主たる理由は、貸金業法を廃止したいということから始まつたのでありますか。
  6. 河野通一

    河野(通)政府委員 貸金業法を廃止いたしますとともに、貸金業法のねらつておるところで、今後ともその点の取締りをやつて参らなければならぬという規定を残して参る、こういう二つ趣旨から提案を申し上げたのであります。
  7. 小山長規

    小山委員 それで理由はわかりましたが、この、月に一割五分までは処罰しない、日歩五十銭までの貸付金については処罰をしないという、この月一割五分あるいは日歩五十銭というのは、どういう根拠から出た数字でありますか。
  8. 河野通一

    河野(通)政府委員 この点も前会以来たびたび当委員会で実は御質問を受けておりますので、お答え申して参つたのでありますが、日歩五十銭ということを大体処罰対象限界ということにいたした理由は、二つの点から申し上げられると思うのであります。  一つ現行法のもとにおきまして、行政上の指導をいたしておりまするところが、大体日歩五十銭が限界ということにいたしております。この点につきましてはいろいろ御意見はあるでありましようが、現在行政上の指導をいたしておりまする率の程度を、この際急激に変更いたしますことは、上げるにいたしますれば問題はなおさらいけませんが、かりに下げた方がいいという場合にも、これをいきなりこの際五十銭をたとえば三十銭だとか、そういつたふうに限界を下げて参りますことは、経過的に非常に大きな混乱を起すおそれがありますので、現在までやつて参りました行政上の措置を、そのまま法律上の対象としてこれを法文化するということが、一番適当であろうというふうに考えたわけであります。  それから第二点は、大体五十銭というのは、そういう行政上の従来の沿革等の問題を抜きにいたしましても、現在の金利状況等から見まして、処罰対象としてこれを禁止いたさなければならぬ限界というものが、まあ大体五十銭程度であるのじやないかというふうに考えられます。これは実情から見てそういうふうに考えられるのであります。しかしながら五十銭という数字がぴたつと出るわけじやございません。五十銭でなければならぬ、それじや四十五銭であつてはいけないか、あるいは五十五銭でもいいじやないかというようなことにつきましては、いろいろ御議論があると思いますが、まあ大体常識的に考えまして、まるい数字でもありますし、現在の金利実情等から考えましても、この程度が適当であろうというふうに、常識的に判断をいたしたわけであります。  なおこの際つけ加えておきたいと思いますが、この処罰対象といたさなければならぬような高金利限界といいますものは、やはり全体の金利趨勢等から判断をいたさなければならぬのであります。経済が逐次正常化いたしまするにつきまして、金利というものがだんだんおちついて参ることもこれは当然のことであります。そうした場合においてはなはだしく高い金利——処罰をもつて取締らなければならぬような非常に高い金利の具体的な基準というものも、だんだんそれに応じてかわつて来るかと思います。そういうふうに情勢が動きますに応じて、必要に応じてまたこの法律改正をして参らなければならぬと考えております。
  9. 小山長規

    小山委員 日歩五十銭というのは、現在の貸金業者等が行つております貸付利率としては、常識的には大体五十銭見当というのが大部分を占めておるというふうな御判断でありますか。それからまた、その金額は百万円のものでもやはり五十銭、一万円のものでも五十銭であるというふうな実情にあるかどうか。その点はお調べになりましたか。
  10. 河野通一

    河野(通)政府委員 現在いわゆる貸金業者が行つております金利基準は、五十銭というのが大部分というわけではございません。いろいろありますうちで、割合まあこの程度までは処罰をもつて臨まなくてもいいという限界程度が五十銭、こういうふうに御了承を願いたい。金利実情は今手元で調べましたものは東京と大阪についてでございますが、大体月一割以上一割五分まで、日歩五十銭までの間が五〇%ぐらい占めておるようであります。従いまして最高その程度のものが五〇%ぐらい占めておるのであります。必ずしも全部が全部一割五分ということにはなつておりません。
  11. 小山長規

    小山委員 ひとつ政府の目標というものを伺つてみたいのであります。これはおそらく各委員からしばしば質問があつて意見の開陳があつたろうと思うのでありますが、法律上五十銭と書くことはいかにも国会立場としてはおかしいのじやないかという議論が、しばしばあつたはずであります。それで政府としてはここ数年間に五十銭というような高い金利を、たとえば三十銭とか二十銭とかいうところに持つて行き得るとお考えになつておるか。もうこの五十銭というのは当分動かぬとお考えになつておるか。その辺の政府の見解はいかがでありますか。
  12. 河野通一

    河野(通)政府委員 非常にむずかしい御質問で、実は私も御答弁申し上げるのに困るのでありますが、大勢といたしましては先ほど来申し上げましたように、経済全体が正常化し、資本の蓄積が増加いたしますに応じまして、金利というものは正常化して来る。従つてこういう貸金業者のやつておる貸金金利も、だんだん下つて来る傾向にあるということは言えると思います。しかし何年先に大体どの程度になるかということは、非常にむずかしい問題でありまして、金利の今後の趨勢等を具体的に見ませんと、なかなかお答えが申しにくいのでありますが、そう遠からざる時期に、相当程度低いところまで正常化されて来るであめろうということは申されると思います。なお日歩五十銭というのを法律の上に書くことは非常にぐあいが悪いじやないか、むしろ五十銭までは公認したような印象を与えるのじやないかということは、先般の委員会宮幡さんからも、また苫米地さんからも御指摘を受けたところであります。この点は私どもまことにその通りと考えるのであります。法律上は別にこの五十銭を公認したわけではありません。利息制限法等適用があるわけでありますから、公認したわけではないのでありまして、法律上に五十銭ということを書くことが適当でないということにつきましては、私どもまことに同感だと思います。しかしながらこの第一條の規定は、非常に高度の罰則をもつて臨んでおるわけであります。処罰対象になる基準というものはどうしてもこれを具体的に法律の上に書いて、国会の御審議を経た上でやらなければならぬ。ただこれを政令等に一任されて、それでこれを動かされるということでは、こういう高い処罰対象になるものの性質上からいいまして、適当でないという政府部内の結論に到達いたしたわけであります。私どもも御意見の点はまことにごもつともだと思いますけれども、やはり処罰ということの対象からいいまして、どうしても国会の議決を経た具体的な金額をあげることが、必要であろうということになつたわけであります。
  13. 小山長規

    小山委員 私もその点は同意見であります。いやしくも刑罰をもつて国民に臨む以上、その限度を政令で書くというようなことは、国会の権威にかけてもいけないと思うのであります。ただ五十銭と書いてありますと、いかにもつ公認したように見えるということが一つ。それからもう一つは、非常に強い罰則をもつて臨んでおるから、そのような行政指導でもつて来たような金額を書かざるを得ない事態に立ち至つた。この二つのことからこの問題を論じなければならぬのであろうと思うのでありますが、高度の強い罰則をもつて臨まなければならぬのであるかどうか。この点についてはどういうふうにお考えでありますか。
  14. 河野通一

    河野(通)政府委員 この罰則は、必ずしも今度の新しい法律によつて特に強化をいたしたのじやございません。現在の貸金業等取締に関する法律にありますいろいろな罰則規定と、大体同じ基準にいたしておるわけであります。しかもその現行法罰則程度が、非常にきつ過ぎるじやないかという御意見かとも思うのでありますが、この点につきましては、私から申し上げるのも非常に恐縮でありますが、やはり法務府その他の取締り検察当局立場等もございますので、民事局課長が参つておりますから、その方からお聞き取り願いたいと思います。
  15. 小山長規

    小山委員 日歩五十銭と法律上書いて、そしてまたそれの裏づけとして三年以下の懲役、あるいは三十万円以下の罰金というものを、どういうふうに調整するかということは、まだ残された問題でありますから、その点についてはまた後日に譲ることにいたします。  これまた、各委員から申されたことであろうと思いますが、利息制限法との関係、これに対して各委員意見を総合しますと、どうも局長の御答弁では満足できないという声が非常に強いのであります。つまり日歩五十銭までは刑罰対象にはならないという規定がある反面、利息制限法によると、金を貸した方は訴訟を起してみたところが、利息制限法を越える部分については利息はとれない。この二つの矛盾が出て来る。従つて貸す方の側から言うと、刑罰は免れるが、利息制限法は受けるということであるならば、実際問題として貸せないのじやないかというふうな考え方が起るであろうし、また借りる側が悪質な人でありますと、五十銭までは刑罰適用がないからということで、どんどん貸金業者が貸して行く。貸して、借りたあげく向うが訴訟を起すのを待つているというふうな、悪質な借り手が現われて来はしないか。この点についてはすでにしばしば各委員から申されたでありましようから、銀行局長としてもこれに対する周密な検討を経られたであろうと思うのでありますが、どういうふうな結論に達しましたか、それを伺つておきたい。
  16. 河野通一

    河野(通)政府委員 お話のように、この点につきましては、いろいろ先般来御質問を受けているのでありますが、どうも委員各位の御満足の行くような答弁ができませんので、実は私はなはだ恐縮に存じております。きようは法務府から民事局の担当の課長が参つておりますので、詳しい法律上の問題はそちらからお聞取りを願いたい、かように考えております。
  17. 吉田昂

    吉田説明員 お答えいたします。この高金利取締等に関する法律でもつて日歩五十銭と定めましたのは、非常に悪質なものと申しますか、非常に高利なものだけについて刑罰を課するという意味でありまして、そこまではよろしいという趣旨のものではないと私は心得ているのであります。従つて、現在の利息制限法を越える部分裁判上無効というふうに、段階をつけてみてもよろしいではないかというふうに考えるのであります。大体この法律は、貸金業等取締に関する法律を廃止しますにつきまして、その法律かわりとして制定されるものと考えるのであります。従来は、その法律によりまして業務方法書利息を書かせまして、それを許可するというような形で、利息を制限していたようなかつこうになつていたのでありますが、従来からそれは刑罰を科さないというような趣旨といいますか、取締るという意味だけで、そういうような高金利まで許されていたような形なんでありますが、利息制限法適用されていたわけであります。日歩五十銭といいますと、これはなかなか高金利になりますので、それから上はなるほどこれは悪質だから罰しようというので、こういう法律ができたわけでありますが、もしそこまで裁判上にも有効だということになりますと、これは厳に金利政策の問題ばかりでなくて、社会政策上の問題になつて参りますので、ただ金融業を営んでいるものだけについて、そういう特別な措置を認めるということもできないではないかというふうに考えております。従来裁判上無効であるということになつておりますれば、公正証書もつくれないということになつていたわけでありまして、従つてそれによつて公正証書をつくり、強制執行して行くということはできない。しかし、もし払えたら払つて行くというような形になつていますれば、幾らかでも金利が押えられて行くのではないかというようなことも考えられるわけでありまして、やはり現在の状態におきましては、段階をつけておいた方がよくはないかというふうに考えております。
  18. 小山長規

    小山委員 どうも私の質問には一向ぴつたりした答弁ではないのでありますが、問題が今までとは違うのであります。今までは、業務方法書にただ書かしておつて、ある指導のもとにおいて、それ以上は罰則適用場はないということであつたのであるが、今度は貸金業法というものが廃止される。廃止されて、ここで五十銭までは合法的にできるのだという印象を与えるような法律ができた場合に、今度は逆に利息制限法というものが悪用されはしないか。善良なとか、悪質だとかいうとおかしいのでありますが、つまり何も知らない貸金業者は、この法律が出ていると、五十銭までは当然認められたというふうに考えて金を貸す。ところが悪質な借手の方は、この法律を承知しておつて、借りて、あとでとるならとつてみろということで払わない。そうすると、訴訟が起る。訴訟が起ると、それ以上の利息制限法に触れる部分については無効であるというようなことになつて来て、つまり踏み倒すための借手が現われて来はしないか。それをどういうふうに調整して行くのかという問題を提供しているわけであります。
  19. 吉田昂

    吉田説明員 この法律は従来とかわりがないのでありまして、従来におきましては、業務方法書の許可という形式をとつておりましたので、行政行為になります。従つてその行政行為によつて利息制限法という法律改正するということはあり得ないわけなのです。ですから、利息制限法を越えてはならないという点は従来からもかわりはないわけであります。今度特に利息制限法適用を妨げずと書いたゆえんは、この法律になつておりますので、法律金利はつきりと定めたわけでございますから、今おつしやいましたように、日歩五十銭までは利息制限法関係においてもよろしいのではないか、というようなことを考えることがあるというので、特に「利息制限法適用を妨げない」ということを書いたわけなのでございます。
  20. 小山長規

    小山委員 従来とはかわらないという御意見でありますが、それはそれで承つておきます。ついでに今度は銀行局長の方に尋ねたいのは、日歩五十銭というような金は、金額にして一体どの程度金額が一番多いのですか。法律上からいうと百万円貸しても一千万円貸しても五十銭の日歩をとつてよろしい、そうしてそれはまた罰則適用がないのだというようですが、私は日歩五十銭あたりで貸すような金額というのは、おそらくごく零細な金額じやないかと思う。その点はお調べになつておりますかどうですか。
  21. 河野通一

    河野(通)政府委員 おそらく御指摘のように、そういう高い金利をつけておりまする貸付金は、金額は割合小さいものであろうということは私ども考えております。何分にもまだ金額別金利調べができておりませんので、はつきりと何万円くらいのものが多いかということは申しかねますけれども普通一般金融機関庶民金融機関たる信用金庫あるいは信用組合等貸付金金額よりは、一件当りの金額もつと小さいものじやないかというふうに、私ども考えております。
  22. 小山長規

    小山委員 その場合に段階をつけて、たとえば何万円までは日歩五十銭を越してはならぬ、何万円以上は日歩三十銭以下でなければ刑罰適用するぞというふうなことを、お考えなつたことはありますか。
  23. 河野通一

    河野(通)政府委員 お話のように、利息制限法規定いたしておりますような金額による段階別金利限界ということも、部内で一応考えてみたこともございます。しかし民事上の問題と刑事上の問題とは事柄の性質も違いますし、いわば絶対的限界といつたようなものでもあるし、かたがた技術的にも、一万円以下は幾らというように限界をだんだん切つて参りますことも、これはなかなかむずかしい問題でもあるのでそういう、絶対的にどうもあまり高過ぎる悪質の金利であるというのを五十銭ときめまして、これは金額の大小によらず、そういつたものは取締つて行くということにいたした方が、適当であろうと考えたわけであります。なお非常に大きな金額については、おそらく貸金業者としても融通をいたしておるものは少いと思います。そういうものにつきましては、そう高い金利というものが出て来るものでもないと思います。現実の問題としては、今御指摘のように、五十銭というようなものは非常に零細な金融対象だというふうに、お考え願つたらいいと思います。
  24. 小山長規

    小山委員 法務府の方に伺いますが、利息制限法というのはたしか明治の初期にできた太政官布告だと思うのです。従つてあの当時の千円とか千五百円という金は、今にするとおそらく百万円以上の金であろうと思う。そういうふうなあの利息制限法そのものは、改正すべきものじやないかというようなことを、御検討なつたことがございますか。
  25. 吉田昂

    吉田説明員 御説ごもつともでございまして、われわれも改正段階に立ち至つておるというようなことは考えているのでございますが、何分戦後金利が非常な勢いで上つて参つておりますので、金利の不安定な時期にこれを定めますと、次から次へと改正しなくてはならないというわけで、安定できる時期を待つていたわけでございますが、それと並行して研究もいたしております。従来は刑罰の方で何とか押えて行つてもらいたいというような考えでいたわけであります。
  26. 小山長規

    小山委員 私の当局に尋ねておきたかつたことは以上申した点であります。あとの問題は他に譲りまして、私の質問はきようはこれをもつて打切りといたします。
  27. 佐藤重遠

  28. 三宅則義

    三宅(則)委員 同僚委員の御質問がありましたが、私の調査によりますとこういうことがわかつて来たわけでありまするから、大蔵省銀行局長にお尋ねいたしたいと思う次第でございます。この法案によりまして、百円につき日歩五十銭の割合ということになつておりまするから、月に直しますと一割五分ということに相なると存ずるのでありまして、その際に手数料を五分とるという話であります。私ども一般常識からいたしますと、手数料、いわゆるこれを媒介いたし、または調査いたしました手数料等のことを勘案いたすわけであります。これは五分ということになつておりますので、私は、一ぺん手数をかけましたならば、切りかえる場合は一年くらいは調査する必要はないと考えておつたわけでありまするが、実際面におきましては、調査料といつて毎月五分とることになつておるのであります。してみますると、日歩五十銭、月に直して一割五分、プラス五分の二割というのが常識であるということは最近わかつたわけです。これははなはだ不都合なことであると存じておりまするが、銀行局長はこれを御調査なつたことがありますかどうか承りたいと思います。
  29. 河野通一

    河野(通)政府委員 調査はいたしております。ただここに書いておりまする媒介手数料貸付金額に対し五分というのは、たとえば私なら私に対して、貸金業者が自分の金を貸す場合の手数料ではないのであります。その意味手数料は、すべて何らの名目をもつてするを問わず、貸付利率日歩五十銭ということでありますので、手数料という名目を使いましようと、調査料という名目を使いましようと、すべて五十銭で押えられるわけであります。この媒介手数料と申しますものは、たとえば甲なら甲という人が貸金業者で金を持つており、乙という人が金を借りたいときに、その間に立つて丙という人が媒介をする。そうすると媒介をする人が何らかの手数料をもらわなければならない。こういう場合におきまして、その丙が乙から徴收をいたしまする手数料で、これは貸付金額についてきまるわけであります。期限とか何とかでなしに貸付金額に対して五分とるということでありますので、貸金業者が自分の金を貸す場合に、媒介手数料として、日歩五十銭のほかに五分をとるということは、この法律も認めておりませんし、実際にもそういうことはそうたくさん行われているとは思いません。そういうものがもしありとするならば、それは明らかに現在でも司法処分あるいは検察処分の対象になるものというふうに、御了解をいただきたいと思います。なお自分の金を貸す場合にも、実はよそから金を貸すのを媒介してやるのだといつたような名目を使つて、いわば脱法行為をやつていることが、現実にはあるいはあるかもしれませんが、しかしそれはあくまでその実質について判断をいたすべきであつて、筋といたしましては今私が御説明申し上げましたようなことで、脱法行為でありまするならば当然検察処分の対象になる、こういうふうに御了解いただきたいと思います。
  30. 三宅則義

    三宅(則)委員 今の銀行局長お話によりますると、媒介手数料以外のものはないと言われるのでありまするが、実際面を見てみますると、事実調査料といつて日歩のほかにとつておるのが現状であります。私もあまりよく存じなかつたのでありますが、下の方をよく探つて調査いたしますると、実際はとられておるのだという訴えを聞いて初めてわかつたわけであります。皆様のお考えもそこにあると思いますが、実際面といたしましての現状は、日歩のほかに調査料を毎月とつておる。月々これを切りかえておるというような、とんでもないことをやつておるわけでありますから、この際ひとつ法務局の方からも御意見を承りたいと思います。
  31. 吉田昂

    吉田説明員 先ほど銀行局長の御説明のように、実質についてこれは検討すべきものと解釈いたします。
  32. 三宅則義

    三宅(則)委員 私はさらに銀行局長さんにお尋ねをいたしておきたいと存じます。われわれ議会において審議いたしておりますが、実際面を調査いたしますと、一般の庶民階級の諸君が貸金を受ける場合に、日歩のほかに調査料をとられておる、こういう現状は、現に銀行局長は脱法行為である、こうおつしやつたのでありますが、実際面は月々これが切りかえられておる、こういうのが現状でありますから、この法の運用に対しましては、もう少しく下情に通じた面を調査なさつていただく方が、一般庶民階級の便益であると考えますから、もう少し下の方の調査をやられまして、間違いのないような方法によつて立案されたいと思いますが、これに対する銀行局長の確固たる御意見を伺いたいと思います。
  33. 河野通一

    河野(通)政府委員 法律の條文なり建前というものは、先ほど申し上げました通りであります。要は、実際の取締りがそこまでできるかできないかという問題であります。この取締りは先ほど法務府からも御答弁があつたように、十分その末端の検察当局におかれまして、これは私どもいわゆる行政当局よりも、はるかにたくさんの人数を持つておられるわけでありますから、こういう方々がその実態に即して、十分なる御調査をしていただく、それによつてそういうふうな悪質な脱法行為を取締るということついて、さらに一層の御尽力を法務当局にお願いせざるを得ない。私ども金融行政をあずかつておる者といたしましては、できるだけ今お話のように、下情という言葉は悪いのでありますが、そういう実情につきましては、十分調査をいたして参るつもりでおりますけれども、何分にも人手その他の関係もありまして、そういうことを専門にやつておる立場にございませんので、これはやはり検察ないし司法当局取締り対象として、そういう脱法行為を根絶するように努力をしていただくということが一番の近道であろう、かように考えております。
  34. 三宅則義

    三宅(則)委員 私はさらに下の方のことをお伺いするわけでありますが、財務局もしくは財務部、こういうものがあるわけでございますが、これらもしくは東京都庁あるいは警視庁等と関連をとりまして、貸金業、昔の質屋、そういうようなものも取締り対象になつておるわけでありますから、そうしたような関係官庁と連絡を密にとられて、組合長なりあるいはその他の役員等を官庁に呼びまして、真実を吐露し、また実際に金を借りた方の庶民階級も呼んでいただきまして、そこに公平な判断のもとに立案することが最も正しい方法である、かように考えるわけでありますから、銀行局長はずつと全般の方面を担当しておられるわけでありますが、もう少し下の人でもけつこうでありますから、もつと下に浸透するように実情調査して、しかる後に法案を提出し、審議を進められたい、かように思いますが、もう一度御答弁を願います。
  35. 河野通一

    河野(通)政府委員 私先ほど申し上げましたように、この問題は法律の立法上の問題ではなくして、その立法に基く運用の問題だ、かように考えるわけであります。法律自体につきましては、実情はできるだけ調査をいたしたつもりでありますけれども、その法律の運用として、今お話のような脱法行為が起らないように、この法律が通りました後において極力努力して参りたい、かように考えておる次第であります。
  36. 苫米地英俊

    苫米地(英)委員 ちよつと関連してお伺いしたいのですが、従来行政指導で、五十銭という限界でもつてつて来られたというお話でありますが、その指導の方法はどういうふうであつたか。また指導の際に、五十銭というのは大体想像がつきますけれども利息制限法等関係において、どういう指導をやられたか、それをお伺いしたいのであります。
  37. 河野通一

    河野(通)政府委員 現在行政上の指導というのは、具体的に申し上げますと、貸金業者届出をいたして参ります。その届出をする際に、業務方法書というものも届出をして参るわけであります。この場合に、行政上の指導として、金利をその業務方法書に書いて参るわけでありますが、それが日歩五十銭程度金利でありますれば、これを受理するという措置をしております。決してこれを認可するとか許可するというわけではございませんが、著しく高い金利については、届出を受理しない、これを直させて受理する、こういうような指導をいたしております。従いましてその業務方法書に違反して、たとえば六十銭とか七十銭というような高金利をとりました場合には、業務方法書違反として現行法では処罰をいたしております。そういうふうに御了解いただきたいと思います。
  38. 苫米地英俊

    苫米地(英)委員 その行政指導の際に、五十銭よりもつと安くすることができなかつた事情は、どこにあるのでございましようか。
  39. 河野通一

    河野(通)政府委員 これは程度問題でありまして、たびたび申し上げておりますように、五十銭でなければいかぬという絶対的な根拠は、実はないのであります。四十銭でもいいじやないか、あるいは三十銭でもいいじやないかということも言えるかと思いますが、だんだん経済が正常化するに従いまして、金利も安定はして参りますものの、終戦直後における混乱時期の、資本が非常に不足いたしておつて金利が非常に高かつた時代から、だんだん下つて来ておるという過渡的な事情にありますので、そういうような事情も十分加味いたしまして、行政上の指導といたしましては、大体五十銭が限界であろう。五十銭を公認すというわけではないのであつて、これを越えるということを処罰対象にしているという意味でありまして、大体五十銭ということで指導をいたしております。五十銭というものの根拠いかんと聞かれますと、これは先般の委員会でも苫米地さんからいろいろ御指摘を受けたのでありますが、先ほど来申し上げておりますような常識的な判断常識的な限界と申し上げざるを得ないと思います。
  40. 苫米地英俊

    苫米地(英)委員 その指導の際に、利息制限法というようなものについては、どういうふうに取扱つて来られたのでありましようか。
  41. 河野通一

    河野(通)政府委員 利息制限法は、先ほど来法務府の課長から御説明申し上げましたように、処罰対象となる金利と、利息制限法上の金利の取扱いとは、並行しておのおのその目的に従つて運用されておる。従つてたとい業務方法上で日歩五十銭というものが受理されておつても、これが裁判になりますれば、やはり利息制限法適用もある。この点については、今後の法律関係におきましても、その関係は同じである、こういうふうに考えております。
  42. 苫米地英俊

    苫米地(英)委員 そこのところに、私は非常に疑義を持つておるわけであります。受理せられておるからこれは利息制限法などの心配がないと、金を貸す方では考えておつたらしく思われるのであります。でありますから、今度利息制限法適用を妨げないということは、従来よりも逆もどりをしたのだというふうに業者は考えておる。そこのところに私どもとしては、どうしても割切れない問題があり、現に貸金業者が第三項を除いてくれという陳情をしきりにやつている。そういう陳情をやつているということ自身が、行政指導を誤つてつたのだというような印象を持つのでありますが、その点はいかがでございますか。
  43. 河野通一

    河野(通)政府委員 この辺はなかなかどうも答弁が非常にまずうございますものですから、御満足の行くようなお答えができないのでありますが、今お話貸金業者がこの三項を除いてくれという陳情をいたしておることは、私どもの方にも参つておりますので、よく承知いたしております。しかし私ども少くともはつきりした根拠に基いては申し上げられませんが、利息制限法適用がこの法律の中に書かれようと書かれまいと、利息制限法適用があることについては、これはよく御承知になつておると考えるべき根拠を持つております。従いましてその点については、ただここへ書かれると、いかにも言葉は非常に悪いのですが、問題がきらつくといつたような御印象程度であつて、この規定がここに入つたから、初めて利息制限法適用されるのであつて、これが入つておらなければ当然利息制限法適用がないのだというふうな御解釈に、少くとも法律にある程度明るい方であれば、貸金業者の方々においてもそうお考えになつておらないということは、はつきり申し上げられると思います。
  44. 苫米地英俊

    苫米地(英)委員 理論は銀行局長のお言葉の通りであると思います。ただ行政指導をやつて来た過去の実績から見ると、業者は利息制限法というものは届出を受理されたことによつて、これは無視できるのだという印象を持つておるのであります。でありますから私は行政指導というものが誤つており、それを基礎としてこの法律をつくるということは、はなはだまずい言い方じやないかと思うのですが、これは意見になりますから、この程度にいたしておきます。
  45. 小山長規

    小山委員 ちよつと関連して……。先ほど質疑を打切つたのでありますが、二、三もう少しお尋ねしておかなければならぬことがあります。それは日歩五十銭ということが今非常に問題になつておるのでありますが、これをたとえば三十銭とか四十銭とかにした場合に、金融の分量が非常な勢いで減つて行く傾向にあるとお考えになつておるか。これは非常に言い方がまずいのでありますが、つまり日歩五十銭ならば従来通りであるからして、みんな資金の分量はつまり従来とかわりはない。ところがこれを三十銭というふうに制限した場合は、つまり貸手側がもうとてもそんなものじや引合わないから、他の業種に転換しようと考えるというふうに思つておられるかどうか。問題はそこなんであります。つまり資金の分量が減らなければ、これは三十銭にしても二十銭にしてもよい。そこのところの判断はどういうふうにお考えになつているか。
  46. 河野通一

    河野(通)政府委員 この点については先ほど裏からお答え申し上げたつもりでおるのでありますが、今現在まで行政指導として大体五十銭ということを限界にやつて参つておりますから、急激にこれを低いものにいたしますると、経過的に相当混乱を起しはしないか。私の申し上げました混乱という意味は、貸金業者の方面においてもいろいろ混乱を起すであろうし、借りる方の側においても、金融の事情が急激に金繰りが詰まつて来るようなことになるといつたような意味で、不測の混乱を起すおそれはないかという両面から、実は申し上げたのであります。しかし具体的にそれでは限界を三十銭にした場合に、どの程度一般の低い階級の方々の金融が詰まつて来るかといつたような問題につきましては、数字的な御説明はなかなかむずかしい思いますが、これはあまり急激に一挙に限界を下げますと、少くとも過渡的には相当その辺で金を貸す方及び借りる方の両面に、相当混乱を起すのじやないかというふうに考えております。従つてこれをだんだん限界を下げて参りますにいたしましても、やはり経過期間を置くとか、あるいは下げる程度もやはり逐次これをやつて行くということでないと、いけないというふうに考えております。
  47. 小山長規

    小山委員 私も実はその点を、局長はどう考えておるかをただしたかつたのでありますが、たとえば目標としては、法律の上ではあるいは二十銭とか三十銭とか書いておる。それを逐次たとえば毎年五銭ずつ下げて行くというふうなことで、五年か六年たつたときには、法律の條文に書いてある通りに、二十銭とか三十銭にまで持つて行くという方法でやつて行くと仮定した場合に、金融上の混乱が起るだろうか起らないだろうか、そこのところの判断局長としてはどう考えておられるかと、こういうことであります。
  48. 河野通一

    河野(通)政府委員 その問題は結局程度問題だと思うのでありまして、将来に向つてどの程度の期間を置いて、程度の率でだんだん限界を下げて行くかといつたような問題につきましては、要するに程度問題です。私は方法としてはそういうことでけつこうだと思いますが、ただ問題はそういうことを法律の條文の上に書いて、たとえば本文では日歩二十銭なら二十銭と書いて、附則か何かで何年先にはそれを幾らにする、何年先にはそれをまた幾らにするといつたような書き方をするのがよいのか、あるいはそのときどきの経済の動きに応じた法文の改正なり、修正なりの方法で行くのがよいか、この点の立法技術と申しますか、そういう点につきましては、私は少なくとも現在の原案の形で行つて経済の動きがだんだん正常化するに応じて、この五十銭という金額をその実情に応じたように直して行く。何分にも二年先三年先の状態を、実は私どもおしかりを受けてもなかなか見通しはむずかしいと思います。どの程度までこれを下げてよいか、何年くらい先にどの程度下げてよいかというようなことは、今この際見通しとしてはむずかしいと思います。従いまし場てそのときの情勢に応じまして、この限界改正して行くということが、一番適当な方法ではないかというふうに私は考えます。
  49. 佐久間徹

    ○佐久間委員 今までいろいろ質疑を重ねておられたのですが、私たちもまだどうもはつきりしないところがあるので、具体的にひとつ説明していただきたいと思うのです。それはこの高金利取締りで、五十銭という一つの線を引いたこともよくわかるのですけれども、そうすると、これと利息制限法との関係がどうもはつきりわからない。これをもう少し砕いてわれわれのわかるように説明していただけないだろうか。両当局にひとつお尋ねしたいのですが、おそらくこれはいろいろまた参議院等においても、問題になつているようでございます。ここではつきりして、一般に納得し得るような一つの定義ができていた方がよいのではないかと思います。この点はいかがでありますか。
  50. 吉田昂

    吉田説明員 利息制限法では、その利息制限法を越える範囲については、裁判上無効であるということになつております。裁判上無効であるという意味は、裁判に持ち出して請求できない。また法制処置をつくつてそれによつて強制執行できないという意味でありまして、もし債務者の方で払つたならば、その払つたことについては効力は認められる。つまり利息制限法を越える部分については、道徳的な責任だけということになるわけであります。この法律案の制限を越えるというものは、これは非常に金利が高い。ですから、これを越える部分については違法であるというような考えから、これを罰するということにしたわけであります。
  51. 佐久間徹

    ○佐久間委員 そうすると、もしかりに五十銭でよろしい、そして賃借ができた。ところが利息を払わなかつた。急な請求を受けた。そういう場合に、どうも考えてみると五十銭は高い。利息制限法というものがあるのだから、それで行けばもう少し安くなるからといつて訴訟を起したりする場合があるでしようか。またあつた場合にはどういうことになるのですか。非常にしろうとの質問で恐縮でございますが、その点ひとつ御説明いただきたいと思います。
  52. 吉田昂

    吉田説明員 もしそういうことがございましたならば、裁判に請求いたしましても裁判所はとれない。つまり勝訴の判決を受け得ないことになります。つまり利息制限法を越える部分は、債務者の方で支払いをしますればそれでよろしいのでございますが、もし支払いができない場合であつたら、裁判所に訴えて請求をして、強制的にとるということはできないわけであります。要するに利息制限法を越える部分については、道徳的な責任にすぎない。従つて利息制限法それ自体が検討を要すると申しますれば、それはそういうことになると思いますけれども、現在の状況では、制限を越える部分は、裁判所に持ち出して強制的にとるということはできないことになつております。
  53. 佐久間徹

    ○佐久間委員 そうすると裁判に持ち出して五十銭、利息制限法の定むる利息以上はとれない、こういうわけなのですか。
  54. 吉田昂

    吉田説明員 そういうことになります。
  55. 佐久間徹

    ○佐久間委員 そうすると、この五十銭なんというものは掲げてみたところが、しかたがないということになるのじやないでしようか。この点はどういうぐあいにお考えでしよう。
  56. 吉田昂

    吉田説明員 これは罰則がかかるかどうかという問題なんでございまして、それはもちろん確実にとれるということを目的として、金を貸すということになりますれば、利息制限法の範囲内でやらざるを得ないということになるわけであります。ただそれ以上の部分をもし払うならば、別に罰則はかからないというだけのことであります。ですからそういう貸す方にしましても、その含みで貸すよりほかはないということになるわけであります。
  57. 佐久間徹

    ○佐久間委員 大分はつきりわれわれにもわかつて来たような気がするのでございますが、これは実にふかしぎな法律で、法律一つの線を引いて、五十銭なら五十銭以上を越えてはいけない、これには罰則を加えるのだ。しからば五十銭以下でやつた場合は、それに対する法的の保護があるべきものだ、こういうぐあいに私は考えておつたのですが、そうでないということを承つて、実はわれわれが法律知識のないことをつくづく考えたわけでございます。私はこの程度にとどめておきます。
  58. 深澤義守

    ○深澤委員 この法案は、私はある一面においてはきわめて明確な法案だと思います。それは自由党内閣金融政策が、庶民階級に対しては五十銭の日歩を払つて借りなければならないほど窮迫しておる。こういうことでありますが、もう一つ私が明確にしなければならない問題は、銀行局長はこういう法案を出しておきながら、これは公認したのではないと言う。なるほど今のりくつによつて裁判なつた場合には利息制限法の年一割で、それ以上はとれないからこれは無効になるのだ、だから公認ではない、こうおつしやる。しかしながら法律に書いた以上は、五十銭以下の貸金業をやつた場合においては、これは違反にならない、犯罪にならない、取締り対象にならないということでありますから、公然と貸金業者は五十銭以下の看板を掲げて商売する。ところが裁判になつて強制執行までしてとらなくてはならぬというのは、おそらく貸金のうちの十分の一か、あるいは百分の一か、千分の一だと思う。実際上は五十銭で公々然と行われるということになる。従つてこの法案が出る以上は、私は五十銭以下の高利を公認したいうことになると思う。それを銀行局長は公認したつもりはない、こうおつしやる。私は公認したというように考えるが、これをもう一つ明確にすれば、まことにこの法案は自由党の今の金融政策を明確にしたものだと思う。一体これを公認したと解釈するのか、あるいは公認しないとおつしやるのか、その点をお聞きしたい。
  59. 河野通一

    河野(通)政府委員 処罰対象としては、五十銭までは処罰をしないという意味においてはつきり書いてある。しかしそこまでとつてよろしいということではございません。その意味においては公認をいたしたものではない。
  60. 深澤義守

    ○深澤委員 それからこれは手形の割引あるいは売渡し担保に対しても適用する、こういうことに第二項にはなつておるのでありますが、それはそういう解釈でいいですか。
  61. 河野通一

    河野(通)政府委員 さようでございます。
  62. 深澤義守

    ○深澤委員 そうすると手形の割引までに適用すると、これは広汎な問題になると思う。私は一昨日も銀行局長に、これは必ず高金利政策の先走りになる、こう質問したところが、そんなことはないとおつしやられるのでありますが、一般の庶民階級の貸金日歩五十銭になる、しかもまた手形割引の割引料率も、その範囲内においてできるということになりますれば、どうしても私はこれは一般の高金利の方向にひつぱつて行く一つのてこになる、こういうぐあいに解釈し、また実際そうなるであろうと考えるのでありますが、この点に関する見解をもう一ぺん銀行局長にお聞きしたい。
  63. 河野通一

    河野(通)政府委員 先般の委員会で深澤さんにお答え申し上げました通り、ここで五十銭ということを表に出したからといつて、高金利政策をとるということはない。これは現在までの事実を、ただそこに行政上今までやつて来ておつたものを、はつきり処罰対象といたしますがゆえに、法文上明確にいたしたのであります。金利の実体については何ら影響がない、かように考えております。
  64. 宮幡靖

    宮幡委員 議事進行について……。ただいまの質疑中の高金利取締に関する法律でありますが、質疑応答の中に取立て珍しい話は見当らないのでありまして、この法律案には委員会は釈然たり得ない全般的た空気が流れておるのであります。  そこでこれは委員長及び各党の理事諸君にお集まり願つて、この法律案の取扱いをいかにするかということをきめて、その方針のわく内におきまして審議を進められたい。かような方法で進行しておりますと、多数法案をいただいております本委員会におきましては、重要諸法案が延長された会期のうちに審議未了になるというようなおそれもあるわけでありますから、委員長においては、各党の理事と御相談の上適当な処置を講ぜられんことを、この際要望いたしておきます。     〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  65. 佐藤重遠

    佐藤委員長 了承いたしました。苫米地君。
  66. 苫米地英俊

    苫米地(英)委員 銀行局長にお伺いいたしたいのでありますが、この行政指導の行われた法的根拠はどこにあるのでありますか。臨時金利調整法というようなものがあるのでありますが、それを越えて銀行局で行政指導をやられた、そういう法令に違反した行政指導をやられた根拠はどこにあるのですか。
  67. 河野通一

    河野(通)政府委員 現在の貸金業等取締に関する法律の第四條に、大蔵大臣はこれこれの届出があつた場合においては云々、「その添附書類に法令の規定に違反する記載若しくは重要な事項につき虚偽の記載があり、若しくは重要な事項の記載が欠けているときは、」云々、こういう規定があるわけであります。法令に違反する記載という点につきまして問題があるわけでございまして、具体的に申し上げますと、物価統制令というのがその当時あつたわけであります。物価統制令には不当高価、暴利を取締規定があるわけであります。この暴利、不当高価の内容につきましては、判断は非常にむずかしいのでありますけれども、これらの物価統制令に規定いたしております不当高価、暴利の規定に抵触するかしないかというような限界点、そういう問題とにらみ合せて、この届出されて来る業務方法書について、あれこれと金利限界について申しておつたわけであります。しかしながらこれは、完全にそれが物価統制令に規定いたしておる不当高価、暴利に当るのだという結論まではつきり出て、それを行政指導いたしたわけではないのでありまして、それに抵触するおそれがあるという点から考えまして、そのおそれのあるようなものは適当でないから、もう少し低いところに金利をしたらどうか、こういう意味指導いたしたわけであります。
  68. 苫米地英俊

    苫米地(英)委員 どうもまだはつきりしないのでありますが、臨時金利調整法、これはこの法律によつて政府がやつて行かなければならぬわけですね。しかるにこの調整法と関係のない指導を今やつておられたわけですね。それを越えていましよう。そうじやありませんか。
  69. 河野通一

    河野(通)政府委員 臨時金利調整法に規定いたしておりますところは、あらゆる金融機関また貸金業者も含めて、これらについて適当な金利限界を定めることができるということになつております。その手続は、いろいろ複雑な手続がございます。そうしてそれによつて告示をいたした場合に、その告示をされた金利の最高限度を越えて、授受してはいかぬということになつておるのであります。しかしこの告示の中には、現在貸金業者等についての金利については告示をいたしておりません。従いましてこの規定適用は、現在のところは現実にはないのであります。法律の建前としては、そういう限界を定めることができることになつておりますが、現実にはやつておりません。その趣旨は、金利調整法がねらつておりますのは、一般の、本来の筋道の通つた金融機関、従いまして御承知のように告示されている金利というものは、二銭五厘であるとか、二銭六厘であるとか、大体その程度の見当のものであります。一般の金融機関の貸出し利率についても、長期のもの一年を越えるものについては、特に告示をいたしておりませんが、これらにつきましても、大体御承知のように三銭から三銭二、三厘といつたような程度金利であります。また一般の庶民金融機関においては、それよりも若干高いもの、四銭とか四銭五厘とかいうのがありますが、いずれにいたしましても、三十銭とか五十銭とかいうものは、私ども金融機関金利とは考えておらないのであります。その意味において臨時金利調整法がねらつている金融機関金利の範囲には入らない。従つてこれによる告示をしたり、金利の決定はいたしておらないのであります。法律上はできることになつておりますが、これとは全然別の考え方で、私どもはこの貸金業者金利考えておる、こういうわけでございます。
  70. 苫米地英俊

    苫米地(英)委員 貸金業等取締に関する法律の第八條に、「貸金業者金銭貸付利率及び金銭の貸借の媒介手数料について」臨時金利調整法を「準用する」とあるのですが、これはどういうことでしようか。
  71. 有吉正

    ○有吉説明員 貸金業等取締に関する法律の第八條において、臨時金利調整法を準用しておるという点につきまして御説明申し上げますと、本来臨時金利調整法におきましては、先ほど局長からの答弁の通り、貸金業自身もこの法の適用を受けるということに相なるわけでございます。その間におきまして適用ということに相なると思いますが、第八條におきまして、特に金銭の貸借の媒介手数料等も準用するというふうにいたしまして、同時に臨時金利調整法におきましては、罰則規定がございません。この貸金業等取締に関する法律第十八條におきましては、「第八條において準用する臨時金利調整法第五條の規定に違反した者」という罰則を取出してあるという点で、特に準用が行われておるということであります。
  72. 苫米地英俊

    苫米地(英)委員 つまり第八條で臨時金利調整法がここに準用されておるのでありますから、その準用する線内において行政指導をやるべきものであつて、それを越えた行政指導というものは違法ではないか、という感じがいたすのでありますが……。
  73. 河野通一

    河野(通)政府委員 この点は非常に複雑になつておりますので、今課長から御説明ををさせたのでありますが、この第八條で臨時金利調整法の規定を準用いたしておりますのは、金利調整法には、貸出とかその他の金利については規定がありますが、媒介手数料については規定がないわけであります。従つてこの貸金業等取締に関する法律によつて媒介手数料についても臨時金利調整法の規定を準用して、適当な定めができるようにして行きたいというのが一点、もう一点は、先ほど課長から申し上げた通り、臨時金利調整法には罰則がないわけであります。ところが貸金業につきましては、現実には、臨時金利調整法がねらつておりますような二銭五厘とか三銭とかいう金利でなくて、非常に高い金利対象にいたしておりますので、これはやはり、それを越えたものは罰則に結びつけなければならぬ。罰則にそれを結びつける場合には、法令違反ということで行かざるを得ない。法令違反ということになりますと、臨時金利調整法の規定を準用しておかないと、その罰則へ持つて行けないというような点もございます。そういつた複雑な関係から、この規定を準用するということにしたのであります。本来は先ほど申し上げましたように、臨時金利調整法第一條に書いてありますように、貸金業者も臨時金利調整法の適用は受けるさわけであります。しかし現実にはそれを告示して縛るということをやつておらぬ。やつておらぬ理由は、先ほど申し上げました通りの意味からであります。
  74. 苫米地英俊

    苫米地(英)委員 どうも私にはまだ理解できませんが、もう少し研究いたしましよう。
  75. 佐藤重遠

    佐藤委員長 次会は明十三日午前十時から開会の上、質疑を続行することとしまして、本日はこれにて散会いたします。     午後零時二十九分散会