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1952-04-24 第13回国会 衆議院 大蔵委員会 第57号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年四月二十四日(木曜日)     午前十一時二十二分開議  出席委員    委員長 佐藤 重遠君    理事 奧村又十郎君 理事 小山 長規君    理事 佐久間 徹君 理事 内藤 友明君    理事 松尾トシ子君       大上  司君    川野 芳滿君       島村 一郎君    清水 逸平君       夏堀源三郎君    三宅 則義君       宮幡  靖君    宮原幸三郎君       武藤 嘉一君  早稻田柳右エ門君  出席政府委員         大蔵事務官         (銀行局長)  河野 通一君         大蔵事務官         (銀行局総務課         長)      福田 久男君         大蔵事務官         (銀行局銀行課         長)      大月  高君  委員外出席者         大蔵事務官         (銀行局特殊金         融課長)    有吉  正君         大蔵事務官         (銀行局資金運         用課長)    高橋 俊英君         専  門  員 椎木 文也君         専  門  員 黒田 久太君     ————————————— 四月二十四日  委員山本久雄君辞任につき、その補欠として宮  原幸三郎君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 四月二十三日  製塩施設法案内閣提出第一七六号)の審査を  本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  国有財産特別措置法案内閣提出第五九号)  長期信用銀行法案内閣提出第一一三号)  国民貯蓄債券法案内閣提出第一二一号)  日本開発銀行法の一部を改正する法律案内閣  提出第一三八号)  閉鎖機関令の一部を改正する法律案内閣提出  第一四三号)  貸付信託法案内閣提出第一三〇号)(予)  国有財産法第十三條の規定に基き、国会議決  を求めるの件(内閣提出議決第一号)     —————————————
  2. 佐藤重遠

    佐藤委員長 これより会議を開きます。  前会に引続き国有財産特別措置法案長期信用銀行法案国民貯蓄債券法案貸付信託法案日本開発銀行法の一部を改正する法律案閉鎖機関令の一部を改正する法律案、及び国有財産法第十三條の規定に基き、国会議決を求めるの件の七法案一括議題として、質疑を続行いたします。質疑は通告順によつてこれを許可いたします。佐久間徹君。
  3. 佐久間徹

    佐久間委員 長期信用銀行法案につきまして、二、三お尋ねいたしたいと思うのであります。これを拝見いたしますと、字句の事柄にもなりましようが、有価証券応募引受というようなことがあるのでございますが、この説明をしていたたきたいと思います。
  4. 河野通一

    河野(通)政府委員 お答え申し上げます。お尋ねの点は業務の中の第六條の関係だと思います。第二号に「国債、地方債社債その他の債券株式又は出資証券応募その他の方法による取得。」、こうなつておるわけであります。この取得と申しますのは、今お話のように引受ももちろん入ります。それから買入れももちろん入りますが、この場合の引受につきましては、但書によりまして、社債その他の債券または株式、または出資証券につきましては、売出し目的取得する場合を除いてございます。売出し目的でこれを取得する場合には、これは本来の証券業務ということになるわけであります。そういつた意味証券業務は、この銀行には取扱わせるつもりはございません。それらは本来の証券業者証券会社等がこれを行つて参ることが適当であろう。しかしながら長期信用銀行はその性質から言つて長期産業資金に対して資金を供給することになるわけでありますから、その一つの方法として株式あるいは社債等債券引受けて、ずつと保有して行くということは、本来の長期信用銀行使命から見て適当であろうということで、これらの引受業務は認めて参りたいと考えております。
  5. 佐久間徹

    佐久間委員 そういたしますと、証券取引法の六十五條で、業者でなければ売買はできないということになつておると記憶しておりますが、引受あるいは応募ということはできるが、処分することはできない、こうなりますと、ずつと持ち続けるという意味なんですか。
  6. 河野通一

    河野(通)政府委員 有価証券を持ちました場合におきましても、その償還期——株式についてはもちろん償還期はありませんが、未来永劫にわたりまして、社債に書かれました償還期まで、ずつと持ち続けなければならぬというふうには考えておらないのであります。資金繰り都合あるいはその他の事情で、これらのものを場合によつて処分しなければならぬこともあると思います。しかしながらその処分はあくまで、ここに書いてあります売出しというふうなやり方でなしに、売付あるいは証券業者を通して売りますなり、あるいは個々の話合いで売るということは、認めて参らなければならぬと思いますが、売買目的でもつて持つということは、長期信用銀行には認めない。つまり売つたり買つたりすることを長期信用銀行自分でやるという目的のために、有価証券引受けたりいたすということはやらせない、こういう趣旨に御解釈をいただきたいと思います。
  7. 佐久間徹

    佐久間委員 どうもそこのところが私にははつきりしないのでございます。社債などを引受あるいは応募するが、それは売買目的ではないのだ、しかし資金繰り関係処分する場合もある、こういうように解せられるのでありますけれども、当初から資金関係上私たちも社債応募とかあるいは引受けたからにはこれを持ち続けて、償還期限が来るまで、あるいは最後まで持つて行くということは、資金がこれに固定してしまつて、いかに長期信用銀行といえども、非常に困るのではないかというようなことを考えておつたのであります。従いましてこの社債引受けるとか、あるいは応募した者が、そのときすでにやがては処分されるものではないかというようなぐあいに、だれからも解釈されるのではないかと思うのです。かつてこの問題については討論されたことがあつて銀行等投資して総額引受株式引受行つた場合、個々処分しまたは売り出すような行為、こういうものがしばしば繰返されれば、それは証券業を営むということになつて取引法の違反になるのだという政府答弁があつたように、記憶いたしておるのでありますが、これと同じ結果になるのじやないか、こういうように思うのですが、こういうことにならぬという確約を銀行局長がおできになるのかどうか。この点ははつきりしておいた方がよいと思いますので、お尋ねいたします。
  8. 河野通一

    河野(通)政府委員 法律的に御説明申し上げますと、売出しといいますのは、不特定多数の者に均一の條件でこれを売るということであろうと思います。佐久間さんの御関係になつております保険会社等におきましても、有価証券をお持ちになり、金繰り都合でこれを処分なさることもある。ずつと株式等をお持ちになつて会社が解散なりするまで、その株を持つておらなければならぬということは、金融機関、少くとも投資機関使命からいつて、きゆうくつに縛ることは、保険会社の例をごらんになつてもむずかしい問題であろう。しかしながらそれかといつて、絶対に一度引受けたもの、あるいけ買い入れたものは処分してはならぬというような制限はつけないにいたしましても、証券業者がやつておりますように、売つたり買つたりということをたびたび行う。しかもこれは今申し上げましたように、売出し方法でそういうふうな取引をいたすということは、これは銀行あるいは保険会社にしても同じでありますが、そういうものの性質からいつて、これは適当でない。従つて処分をいたします場合は、今申し上げましたような特殊の金繰りのためであるとか、あるいは他にどうしても緊要な投資先資金を供給しなければならぬというような関係から、これを手放して、その資金でもつて他の投資に充てるといつたような必要が起りました場合におきまして、むしろ例外的にこれを処分するということを認めて参りたいということでありまして、証券業者が行うような、そういう頻繁な売つたり買つたりというような業務を行わせることは、法律趣旨でもございませんし、また行政指導上の立場から言いましても、そういうふうなことのないように、おのおのその銀行目的従つて、与えられておる使命分野に、その仕事を制限して参りたい。証券業者等との仕事の競合なり、あるいは重複なりということの起らないように、法律の建前もそうなつておりますし、実際の行政上の指導もそういうことでやつて参りたい、こういうように考えておる次第であります。
  9. 佐久間徹

    佐久間委員 大分はつきりして参りましたし、なるほど局長の言われる通り証券業者のように頻繁に取引をさせないというわけでございますが、そうすると、やはり処分する場合に、これは認可事項か何かになるのですか、どうですか。この点はいかがでしよう。
  10. 河野通一

    河野(通)政府委員 認可をいたすようなことは考えてございません。これは現在でも普通の銀行でも実はできるわけなんです。普通の銀行社債とか——株式は例外的でありますけれども株式もある程度つている場合がある。これを処分する場合に、一々認可をしておるかということになりますと、これはやつておりません。それと同じ実態とお考え願いたい。しかしこの法律の精神及び長期信用銀行目的というものは、今申し上げましたように、おのずからはつきりいたしておる。行政上の指導におきましてもそういふう考えて参りますし、長期信用銀行経営者自体としても、この点については十分おわかり願つて、この目的従つて証券業務を取扱われることを、私どもは期待いたしております。その点について非常に濫用されるとか、あるいは分野を混淆するというような心配は、万ないと考えております。なおそういうふうな心配があります場合には、行政上の指導で適当に措置をして参りたい、かように考えております。
  11. 佐久間徹

    佐久間委員 銀行局長の確信ある回答を得て、非常に満足するわけでございますが、これも要するに程度の問題もあろうかと思うのでありまして、これらの点につきましては、監督官庁として趣旨にもとらないように指導もし、また監督もして行くと信じております。従いまして、われわれが考ておることはあるいは相愛であるかもしれないが、一方においてははつきりした法律がございまして、取引業務を行つているものと競合にならないように、ぜひひとつ御配慮をいただいて行かなければなるまい、こう思うのでございます。この点も特に御注意申し上げておきたい、こう考える次第であります。
  12. 佐藤重遠

  13. 夏堀源三郎

    夏堀委員 長期信用銀行法について二、三お伺いいたします。長期信用銀行は大体何行くらいお認めになるお考えでありますか、お伺いいたします。
  14. 河野通一

    河野(通)政府委員 この点は先般の委員会でもお答え申し上げておいたのであります。現在のところでは、まだ法律が通過いたしておりませんし、はつきり的確なことは申し上げられないのでございますが、長期信用銀行は御承知のように、資金性質債券の発行によつて資金の源を調達するわけであります。そういたしますと、預金によつて資金を集める場合に比べまして、コストが非常に高いのであります。そういつた点等考えまして、長期信州銀行経営というものは、相当多額資金量を持たなければならぬ。そうしなければなかなか預金銀行のようなぐあいには、経営がむずかしいと思います。従いましてその観点から言いましても、私どもは数はできるだけ少い方がいい。しかし非常に基礎の強固な、信用の厚い銀行でなければならぬ、ころ考えております。しかしながら、だからといつて一行に限るというようなことは、これは非常な弊害を伴いますので、今申し上げましたような観点から、複数の長期信用銀行を認めて参りたいと思いますけれども、数はできるだけ少い方がいいのじやないか。長い将来のことは別でありますが、さしあたりの問題としては、大体二行、三行程度のものを認めて参りたい、かように考えておる次第であります。
  15. 夏堀源三郎

    夏堀委員 現在興行銀行北海道拓殖勧業銀行等のこれらの投資銀行が、大体長期資金をまかなつておる、こら考えております。こういう勧業銀行及び北海道拓殖銀行等のあり方を、一体どういうふうにお考えになつておりますか。
  16. 河野通一

    河野(通)政府委員 まだ法律も通過いたしておりませんし、法律ができた後においてどういう形になるかということにつきましては、私どもまだはつきり構想はできておりません、原則といたしましては、できるだけ当事者の発意、自発的なお考えを尊重して参りたい。たとえば今お話も出ましたから、具体的な例になりますが、勧業銀行等がどういうふうな形になるか、まだ正式に勧業銀行当局から私は伺つておりません。従いまして勧業銀行が一体今後どういうふうになろうかというお考えをいただきまして、そのお考えを正式に私どもが承つた上で、この問題をどう処理するかということを考えて参りたいと思います。まだ正式にそういうお話は承つておりませんので、この際勧業銀行はこうして行くつもりだ、あるいは北海道拓殖銀行はこういうふうにするつもりだということは、今申し上げる段階にないのであります。ただ二つの点だけは申し上げられると思います。第一点は、先ほど申し上げましたように、できるだけ強力な銀行を少数にして行きたい。それからもう一点は、この銀行ができます場合におきまして、その経過的な処置、つまり長期信用長期融資が、その間設立等の準備のために過渡的にギヤツプができるというようなことのないように、できるだけ円滑に長期融資ができるように処置をして参りたい。この切りかわり処置等につきましては、お手元にあります法案の附則において、いろいろ規定を置いておりますが、できるだけこの円滑な切りかえをして参りたい。この二つの点だけはここで申し上げられると思います。
  17. 夏堀源三郎

    夏堀委員 長期信用銀行新設することと、これまでの既設銀行を育成することと、一体どちらが得であるか。損をすることを考えることはないか。特に新設銀行に重点を置いて、これまでより以上プラスがなければならない。どの点がプラスになるかということなんですが、たとえば発券銀行として、主として地方銀行がこれを引受けるということになるだろうと思います。そのほかに資金運用部の方からどれくらい一体入るのか、これも大体見通しがついておるはずであります。それを強力なものにするという、言葉はたいへんけつこうですが、強力なものにするといつたところで、これまでのいわゆる金融債引受等においても、あまり満足する程度のものでなかつたということは、御承知通りであります。長期信用銀行が今度新設されたことによつて、一体どの程度満足を与えることができるか。この点について大蔵大臣に過般質疑を行いましたときに、大蔵大臣はあまり自信がないとおつしやつた。ときどきどうも大蔵大臣が食い違つたことを申されるので、私もちよつと失望したのですが、自信がないことをなぜやるのか。そうして新設銀行がこれまでの既設銀行と比較して、どの程度積極性を持ち、資金量をまかなうことができるか。先ほど申し上げたように、地方銀行引受けるといつたところで、これも限度のあることであつて地方銀行引受けて、その長期にわたつておる貸付金肩がわりをどの程度やれるか。結局これは引受けるときの交換條件になりはせぬかと思われるのですが、一体そのことはどの程度考えになつておりますか。あなたのお考えとして、資金量を一体どの程度まかなうことができるかということが問題なので、銀行業は何といつて預金によつて利ざやをとることが商売なんで、この点においても相当高い貸付利子となりはせぬかということも考えられるのです。そうした場合にこれまでの興業銀行等もかなり高い利子になつておる。これ以上また高いということになれば、一体産業資金として、はたして役立つものであるかどうかということがちよつと心配なので、この見通しはいかがですか。
  18. 河野通一

    河野(通)政府委員 第一点のお尋ねは、新しい長期信用銀行ができた場合に、その資金の量はどの程度になるのかということであります。これは今のところ的確はなかなか申し上げかねると思いますが、先ほどもお示しのように、資金運用部といたしましても、できるだけ多額のものをこの新しい銀行金融債引受に充てて参りたい。金額等につきましては、今この際まだ申し上げる段階にございませんけれども、できるだけ多額のものを資金運用部としても引受けるようにいたして参りたい。一方におきまして、長期信用銀行債券は必ずしも資金運用部政府資金引受だけにたよることは適当でない。一般長期資金というものを、政府資金以外のルートから消化して行くという道も、できるだけ講じて参りたい。その一番大きな道は、やはり地方銀行もの等であるかと思いますけれども、そのほかに個人もありましよう。会社もありましよう。いろいろな形で長期資本というものが、だんだん民間において蓄積されて参るに応じまして、これらの引受額も祖当増加するものと期待いたしておるわけであります。現に例でありますが、勧業銀行につきましては、資金運用部引受けておりますものを除きまして、民間で消化されておりますもの、地方銀行等を中心にした金融機関銀行引受額というものは、決してそう多額になつておりません。現在でも債券消化先というものは、過半はその銀行以外のところで引受けられておるという状態であります。これらの点も考えまして、一方民間資金による長期資金の調達も、今後は極力努力して参りまして、政府資金による引受と相まちまして、長期信用銀行資金量を拡充して参るように、努力して参りたいと考えております。  第二点の金利の問題でありますが、これはお示しのように、預金銀行預金を集めます場合に比べまして、債券資金コストというものは高いわけでありますから、その点はどうしてもおのずから貸出し金利というものも、普通の短期の貸出しと少し違つて来ることは当然だと思います。これは資金性質から言いましても、長期資金はどうしても高くなつて行くことはやむを得ないのであります。しかしながら現在私ども見通しでは、この新しい長期信用銀行ができたということによりまして、現在長期資金を出しております興業銀行とか、あるいは勧業銀行等の現在の金利の水準を、非常に上まわるといつたことにはならないと私ども考えております。ただ一般金利ベースの問題でありますから、金利全体の問題がかわかて来ればまた別でありますけれども、現在の一般金利というものは、現在の金利ベースがかわらない場合におきましては、長期信用銀行なつたからといつて長期金融金利が上るといつたようなことは、まずないと私は考えております。御参考までに申し上げますが、大体現在興業銀行あたり長期金融は、三銭から三銭一厘くらいになつておるかと思います。大体その程度のもので、やつて行けるのではないかというふうに考えております。
  19. 夏堀源三郎

    夏堀委員 いわゆる発券銀行としての利子は高く、預金の方は安い。であるから高い方の利回りの金を使つて、営業はできるだけ勉強してやるとおつしやつた言葉は、そのままお受けすればいいのですけれども、いわゆる思うという言葉がついている。思うと実際とは大分食い違いがあると思うので、であるから私の考えとしては、思うということはなかなかその通り受取ることはできない。興業銀行は三銭一厘とおつしやいましたが、三銭三厘くらいのところなんです。私は知つておりますが、三銭三厘あるいは高くいつて三銭五厘、こうなつて来ると、今納税の方でも何か二銭くらいの延利で勉強するというので、延納二銭、片方は五銭以上、こうなつて来ると、やはり経済人というものはみんなそろばんをとるので、まあ税金を納めなくても、そつちの方へまわそうか、というような人もあるかもしれない。であるから経済というものはそう簡單に行きません。思うのでなかなか割切れないので、この点は結果を見なければわかりませんけれども、なかなか楽観は許されないだろうと私は考えております。これは議論になるかもしれませんが、先ほど申し上げたように、この新設された銀行によつて経済界産業界が非常に助かつたのである、こうなればよろしいのですけれども、あまり効果がなかつたということになれば、骨折り損のくたびれもうけです。何か石橋湛山氏のオーバー・ローンの議論、その他長期の金をどうしてまかなつたらいいだろうかという御苦心の結果が、ここまで来たのかもしれませんけれども、なぜかしらどうも面子にこだわつてこれをやつたのじやないかというような気分も、正直なところ私どもは持つのであつて、これは政策上の問題にわたりますけれども、実際に新設銀行よりも、これまでの既設銀行をもつと強化育成することが、結果においてはいいのじやないかというような気分がいたすのであります。しかし大蔵大臣は御自分自信がないとおつしやつて、なおこれを強行するということの腹は、その後いろいろ御研究の上、大いに自信がついた。そうしてこれまでよりも興行銀行及び勧業銀行北拓等よりも安い金利で勉強して長期資金を多くまかなえるという自信が、あらためてついたとは思うのですけれども、しからばどういう点で大きくその当時の考えと今の考えとは、大分考えが違つて来たのであるかという点が、まだ具体的に何ら示されておりません。局長はかなり御答弁がうまいので、私がこう御質問申し上げておつても、こう言えばああだとかこうだとかおざなりになりますけれども常識から考えて、先ほど申し上げた高い利回りの金を使つて、安く勉強して貸そうということに、健全金融ということを生み出すことはできないじやないか。そうなれば思うでは割切れないことである。こう考えております。これはちよつと議論にわたつてはなはだ申訳ないのですけれども、これは結果において現われることでありましようが、そうしたような考えを持つております。しかしこれは議論にわたるかもしれませんけれども、今申し上げたことによつてもう一ぺん砕いて御答弁願いたい。
  20. 河野通一

    河野(通)政府委員 先ほども新しい長期信用銀行の数の問題について、いろいろ御質問があつたのですが、そのときにお答え申し上げましたように、この新しい銀行は、債券でもつて資金を調達するわけでありますから、金利コストが高い。従つて預金銀行違つて利ざやも薄い。そういう観点からできるだけ資金量を多くしてやらなければならぬ。最近の常識論として大体預金銀行なら、地方銀行で申し上げますと採算ベースと申しますか、何とかやつて行ける最低のものは、二十億程度預金があれば大体やつて行ける。まあ多々ますます弁ずるわけでありますが、大体その程度でやつて行けるだろうという見込みを持つております。長期信用銀行につきましては、私ども大体計算したところでは、最低二百億から三百億の資金量を持たないとなかなか経営ができない。従つてその資金量を極力ふやして行く。そういつた意味で強い銀行にする。従つて預金銀行のようにたくさんの銀行をつくることは適当でないと申し上げましたのは、その点から出ております。第二点はコストの点であります。資金コストは今申し上げました通り預金銀行よりまさに高いのでありますけれども一般経費の点から申しますと、店の数あるいは人員等からいいますと、資金量に比べまして、普通の預金を吸収いたしておるものに比べますと、割合経費の率というものは低くて済む。これはもちろん給与ペースとか、いろいろ経費率人件費等の率にもよりますけれども一般経費といたしましては、今申し上げましたように、一般預金銀行よりは安くて済むと考えます。それらの点をかみ合せまして資金量を大いに充実し、あわせて資金コスト以外の経費をできるだけ節減することによりまして、貸出し金利はそんなに高くならないで済む。これは将来のことでありますから、わからぬと言われればそれまででありますけれども、私どもはその点については、先ほど答弁申し上げましたように、大体間違いなくそういう結果になるというふうに考えております。興業銀行金利の問題も今ございましたけれどもお話のように三銭三厘というもの、もちろん例外的にはございますが、とにかく三銭一、二厘というようなべースで、今後の新しい銀行の貸出し利率は、その程度でやつで行けるというふうに考えております。
  21. 夏堀源三郎

    夏堀委員 資金量を多くするためには、地方銀行発券銀行の証券を多く買わなければならない、こういうことになります。そのためには、先ほど申し上げたように長期の貸出しのそれを肩がわりすることが、一つの條件となるだろう、常識的にそう考えるのですが、そうしませんと地方銀行等においても、そう資金はだぶついておらぬはずであります。肩がわりするということに重点を置くのか、新規の設備資金に重点を置くのか、この御方針はどういうような御方針ですか。
  22. 河野通一

    河野(通)政府委員 両者相まつて行きたいと思つております。しかし資金量長期資本の量自体が、現在の日本の経済の状況からいいますと、そうむげに大きいわけでもございませんので、原則はやはり長期の新しい貸出しというものが中心になつて、その資金の余裕がありますれば、地方の預金銀行の資産構成をできるだけ正常化して行く方向に向つて、すなわち今お話のように、普通銀行のやつております長期の貸出しを肩がわるというような措置も、もちろん講じて参りたいと思います。資金量に制限のあります限りにおきましては、やはり新規の長期貸出しというものが中心に参る。資金の余裕のあります限り、今申しました肩がわり措置を講じて参りたい、かように考えております。
  23. 夏堀源三郎

    夏堀委員 この銀行券を日本銀行は担保にとるのでありますか。
  24. 河野通一

    河野(通)政府委員 もちろん金融債は日本銀行の適格担保になつております。
  25. 夏堀源三郎

    夏堀委員 以上です。
  26. 佐藤重遠

    佐藤委員長 小山長規君。
  27. 小山長規

    ○小山委員 国民貯蓄債券法案というのが新しい法律として出て来たのでありますが、これについて当局の意向を若干確かめておきたいのであります。これは大蔵大臣に聞いた方がいいのかもしれませんが、きようは大臣が見えておりませんので、局長がかわつて答弁願いたいのでありますが、この貯蓄債券法の体系は、政府債券を発行して、それを政府資金として扱つて行く、こういろ考え方であります。従つてこれはある角度から見ると、一種の公債政策ではないか。つまり産業資金に行く金ならば、公債を発行してもいいというふうな考え方で、出発されておるのじやないかというふうにも考えられる。その点はどういうふうな考え方でこの法案を立法されたのか。これをまず伺つておきたいのであります。
  28. 河野通一

    河野(通)政府委員 私どもはこれを普通のいわゆる公債とは考えておりません。政府資金は、御承知のように郵便貯金も政府資金でありますが、これらをやはり集めて参りまして、それをいろいろ国の目的に合するようなところへ投資をいたします。これはたまたまそれな少し形をかえた、証券化したようなものになるわけであります。従いまして、これは公債政策について根本的な大転換をしたというふうなことではなしに、むしろ郵便貯金等の政府資金の吸収方法の一つの態様として考えた、こういうふうに私ども考えております。
  29. 小山長規

    ○小山委員 預金資金を集めるための一つの方法として考えた。公債政策としての政策の転換をやつたわけではない。こういうことであるので了承いたします。そういたしますと、もう一つ聞いておきたいのは、産業資金をまかなうための国民貯蓄を推進するために、政府が金を集めてそれを産業界に流す方がいいと考えておるのか、あるいは国民の貯蓄は民間に集めさせてやつた方がいいと考えておるのか、重点は一体どちらに置くべきものと考えておられるのか、それを一つ伺つておきたいと思います。
  30. 河野通一

    河野(通)政府委員 私どもは、筋はあくまで民間資金でもつて産業資金がまかなわれることが、根本の筋であろうと考えております。しかしながら御承知のように、現在ではそういうふうに民間の資本の蓄積というものは、なかなか十分に進まない点もございます。早い話が、一般金融機関でありましても、産業資金を供給いたしております開発銀行とか、そういつたものにいたしましても、やはり政府資金を投入しなければならぬ。これは本来ならば開発銀行等はなくて、民間長期信用銀行でいい場合もあるわけでありますが、なかなかそう現在の日本の経済の力からいつて行かない。ある部分については租税によつて徴収した資金でもつて、国家の投資をすることもやらなければならぬ。郵便貯金にいたしましても、そういう形で政府が集めた金でもつて、ある程度産業資金を供給して参らなくてはならぬというふうな段階にあると思います。言葉は非常に語弊があるのでありますけれども、現在の状況におきましては、やはりあの手この手といろいろなルートから、いろいろな態様の長期資金を集める方法を講じて参ることが必要であろう。しかし本筋はどこにあるかと言われますれば、あくまで民間資金民間資金でもつて調達されることが筋である。経済がだんだんゆたかになり、資本の蓄積が進んで参りますれば、そういつた政府の租税なりあるいは政府の機関によつて集めた金でもつて産業資金投資することは、だんだん少くなつて行くことが望ましいというふうに私ども考えております。
  31. 小山長規

    ○小山委員 政府が集める方が集めやすいということでありますが、今度の貯蓄債券は五年の長期にわたる債券であります。しかし民間銀行金融機関を使つたのではそういう長い金は集まらぬが、政府なら集められるだろうと考えられる根拠はどこにありますか
  32. 河野通一

    河野(通)政府委員 これは実はなかなかむずかしい問題でありまして、先ほどちよつと申し上げましたように、こういう資本の蓄積をとにかく進めなければならぬ、特に長期資金をできるだけ集めて参らなければならぬ時期におきましては、いろいろな方法でいろいろな態様の蓄積方法考えて参らなくてはならぬ。民間の蓄積の方法もいろいろな考え方で現在やつておりますが、それとあわせて政府資金の集め方につきましても、いろいろな方法を講じなければならぬ。りくつから申しますれば郵便貯金の方法があるじやないか、そのほかの特別の制度を設ける必要はないじやないかということも、一つの御意見かと思いますが、こういう時期でありますから、いろいろな方法を講じて、国民、ことに零細資金を貯蓄いたしまする方々の趣味と申しまするか、好みに合うようないろいろな方法を講じて参りたい。それで言葉は非常にまずいのでありますが、あの手この手といろいろな方法考えるというような考え方から、出ておるわけであります。民間資金の蓄積は民間で集めて参る。それと並行して政府の資本蓄積の方法も、今申しましたようないろいろな方法の一つの態様として、こういう方法をとつた、こういうことでございます。
  33. 小山長規

    ○小山委員 それではお伺いいたしますが、毎年度百億と限度をきめたのはどういうふうな根拠からやられたのか。これは百億はとうてい達成できないだろうという考え方に出発されておりますか。それとも百億以上集まるのであるけれども、百億でとどめるのであるという考え方から出発されておるのか。それはどちらですか。
  34. 河野通一

    河野(通)政府委員 これは専門家の小山さんは一番よく御承知のことでありますが、集めようと思えば、條件さえかえれば相当集まると思います。しかし民間資金の蓄積にあまり大きな妨げになるようなことも適当でない。かたがたこの資金の当てといたしまして、政府資金投資をいたして参りたいと考えておりますのは、さしあたり本年度におきましては六十億程度のことを大体考えております。その方の資金の需要の観点が一つと、それからかたがた年六十億といたしますと月五億、程度のものであります。五億程度のものなら、一般民間資金の吸収をそう阻害することもないであろうというような観点から、両方から押えまして大体百億以内で資金の需要の方も見通しがつくと思います。また民間金融機関資金を圧迫することも、その程度ではないだろうというふうなことで、大体百億以内ということにいたしましたのであります。これに対する具体的な数字的根拠というものは、なかなかつかめませんわけであります。御参考までに申しておきたいと思いますが、本年度の貯蓄目標は大体六千八百億ということに考えております。これは達成できると思いますが、この程度の年大体六十億、百億以内のものを政府資金として吸収いたしますことは、民間資金を圧迫することはないというふうにも考えておるわけであります。
  35. 小山長規

    ○小山委員 私が百億以上集まるけれども、百億で押えたのか、あるいは百億はむずかしいんだが百億を目標にしたかということを聞いたのは、これは今後の問題として記録に残して置きたいからであります。というのは、法律となりますと、この百億という数字はいつでもかえられる。二百億にでも三百億にでも、こういう法律が出た以上はすぐかえられるのであります。だから立法の精神というものをこの際明らかにしておかないと、たとえば、これを二百億にするとか三百億にすることは法律では可能であります。それを消化させるためには無理な方法でやらなければならぬことがある。あるいは金利を不当に引上げる場合もありましようし、金融機関銀行局の権限を濫用して、ひとつ買つてもらいたいがというふうに押しつける方法つてできる。でありますからして、百億なら百億ときめたところの立法の精神がどういうところにあるかということを、この法律の初めにおいて明らかにしておく必要があるので、ただいまの点は、そういう意味からもう少し明確にお答えおきを願いたい。
  36. 河野通一

    河野(通)政府委員 その点は、これまで申しました私の説明の後段の方に主として当ると思いますが、民間資金の蓄積に非常に大きな障害を与えないようにして参りますためには、大体百億程度くらいが適当であろう。それを越えると、さらに民間資金の方へ悪影響を及ぼすおそれがあるというふうに考えております。
  37. 小山長規

    ○小山委員 それでは今度は資金は百億ときまりましたが、ただいま承るところによると六十億を目標にしておる。そうすると百億発行して六十億しか手取りがないという趣旨でありますか。それとも百億発行できるんだが、手取りが六十億になる程度にとどめておくという趣旨ですか。どちらですか
  38. 河野通一

    河野(通)政府委員 法律といたしましては、百億以内の発行ができるようにいたしていただきたいと思いますが、さしあたり本年度につきましては、先ほど申し上げましたような資金需要の面から考えまして、六十億程度の発行で大体まかなえると考えております。具体的には、この資金資金運用部資金の運用計画の中に上つておりますように、大体電源開発資金として使つて参りたい、これは大体六十億程度これから出せば、さしあたり間に合うだろうということであります。
  39. 小山長規

    ○小山委員 それでは少し話がこまかくなりますが、六十億発行して六十億使うのだというと、発行費用はどこからまかなうのか。今政府考えは額面で六十億発行して六十億お使いになるつもりなんですか。それとも六十億発行して発行費用その他を差引いて、その残りをお使いになるのですか。どちらですか。
  40. 河野通一

    河野(通)政府委員 経費は今お話にありましたように、一方でこれを集めますために利子といいますか割引料でありますが、そういうものを払わなければならぬ。それから一方でこれを貸付その他に運用いたしますと、それで利子が入つて来る。この差額でもつて経費はまかなう、こういう方針をとつております。
  41. 小山長規

    ○小山委員 これは参考のために伺うのですが、六十億発行するために利息を除いた費用は幾らかかりますか。
  42. 高橋俊英

    ○高橋説明員 ただいまの六十億と申しますのは売出し価格でございます。額面ではありません。額面は当然それより上まわるわけであります。大体私たちの考えは、條件等は政令で定めることになつておりますので、的確に今コストが幾らということは申し上げかねるのですが、一応仮定に立つて御説明いたしますと、今年度の場合ですと、大十一億くらい発行したい。それで一億くらいは償還する。非常に変な話ですが、五年という期限はつけましたが、そういうふうな金縛りで五年ということにしますと、今そんな長く寝るようなものは、だれも買つてくれません。今の時代では無理でございますから、中途で必要があれば買い上げるということも考えております。そこでその六十一億円を発行して六十億を手取りにする、そういう仮定で今年度の予算を組んであるのであります。来年度になりますとさらに償還も多くなりますので、その分をさらに上に重ねて行きます。非常に計算がややこしいのでございますが、概括的に申しますと、今年度の予算から割出しまして、単位を十億円として、発行の場合にどれだけ要するかと申しますと、四千百九十八万円、今年度の予算から、ある仮定を用いて割出した発行のときの経費が、それだけかかります。それから償還はやはり、今年度は少ししか入つておりませんが、明年度以降に入つて参りますので、その関係経費が三千万くらい見込まれます。売出し価格十億円につき、両者を合して七千百九十八万円、このくらいかかるわけであります。しかしこれは五年間をならさないで、その十億円が全部償還に至るまでの発行の経費の総額でございますから、その資金の滞留期間によりまして、これはコストとしては違つて来るわけであります。滞留期間が非常に長ければ長いほど、発行償還経費は安くなる。短かくなれば高くなるわけであります。私ども見通しといたしましては、全体を平均して五年余りぐらいの滞留期間はあるであろう。そういたしますと、その発行償還のコストとして来ますものは、二分三厘七毛というふうな数字になつております。その程度の平均コストで、そのほかに割引歩合、較差金歩合というものがありますが、これも滞留期間によつて多少の差異は生じます。條件はつきりきまつておりますので、何ともはつきりしたことは申せませんが、六分を少し上まわるという程度ではなかろうか、こういうふうに見ておるわけであります。
  43. 小山長規

    ○小山委員 これは民間資金と競合してはならないという法律もありますし、それからそのことは従つて金利水準が民間金利水準と著しく違うということは、民間資金の集め方を妨げるということにもなりますので、それを防ぐために、どの程度の発行利回り、あるいは利用者の利回りというものを一年目はどのくらい、二年目はどのくらいという、これはもうきまつていなければならぬはずだと思うのでありますが、それはどういうふうにお考えになつていますか。
  44. 高橋俊英

    ○高橋説明員 ただいま、まだ政令の方の案をきめておりませんが、私どもの試案といつては語弊がありますが、案によつて申し上げますと、大体五年ものとしまして千円で売り出して、千四百円で五年後に償還する。満期償還価格千四百円というのを考えております。だから五千円のものをかりにつくりますれば、五千円の場合には七千円ということになる。そういたしますと、満五年経過後における利回りを計算いたしますと、六分九厘六毛になります。満期まで持つて六分九厘六毛でございますから、途中で買い上げる場合は、当然それより低い利回りで買い上げることになります。現にこれと最も似かよつているもので、額面の大きさは違いますが、割引興業債券とか割引商工債券というものがございますが、これは一年ものの割引で、七分をいずれも越えておるわけであります。しかしこの貯蓄債券というものは、必ずしもそういう債券と同じような條件にしなければならぬというものでもございませんから、当然一年のような場合には、むしろ銀行の定期の税引利回りというものを参考にいたしまして、四分八厘程度で、満一年たつたならば、そのくらいの利回りになるような価格で買い上げるということも考えております。そうしてその四分八厘くらいからスタートいたしまして、大体三月くらいは同じ価格であります。三月ごとくらいに條件をかえて行きますので、その中間のいろいろな価格が出て参るわけですが、今の案で言いますと、二年になつてまだ五分八厘三毛くらい。あまり高いものとは申しかねるのですが、ただこういう利点はあろうと思います。これでは割興や割商を買つた方が有利なわけですが、五年まるまる持つておれば、あまりかわらない。途中で、一年のときに売つてしまえば有利ではありませんが、一年から二年にかけての利回りというのは非常によくなる。こういうことによつて持続するように、なるべく持続けた方が得である、こういうふうな案に定めて行きたいと思つております。
  45. 奧村又十郎

    ○奧村委員 今の点に関連して割増金の点はどうなるんですか。これは相当利回り関係するほどの金額を出すのか出さぬのか、それの政府考え方を伺いたい。
  46. 高橋俊英

    ○高橋説明員 ただいま申し上げましたのは、割増金は法規の上では一応つけ得るゆとりを与えていただきまして、実際はさしあたりはつけない。割増金をつける債券はさしあたり出さないでやつてみよう。それでうまく行くかどうかわかりませんが、割増金をつけることにいたしますと、やはりこの法律にございますが、その分だけ割引歩合を下げることになつております、早くいえば、確定利回りの分を下げて、余裕を生み出して割増金をつけることになつておりますから、当らない人から見ますと不利になるわけであります。それよりは、確実な利回りを与えるような債券を売り出した方が、ただいまのように、銀行の定期預金にしましても、その他とにかく富くじ式なものが非常に多うございますから、むしろその逆を行つて、さしあたりは確定利回りのようなものを出してやつた方がいいじやないか。割増金をつける場合には、それに要する割増金の金額は——いわゆる市中金利と均衡をとるといわれておりますのは、割増金と較差金の場合を合わしたもので均衡をとるわけでございますから、そういうところからいえば、普通の利回りの中からそれを生み出して行く、さいて行く、こういうわけであります。
  47. 小山長規

    ○小山委員 この集まつた金は、資源の開発その他経済の再建に必要な産業の施設の建設のために、必要な資金の供給に資するというのでありますが、運用計画としては、ただいまのところでは電源開発だけでありますか。それが一つと、それから資金の供給の方法としてはどのような方法をとられるのか。つまり金融債引受、あるいは開発銀行に対する貸付というような間接的な方法をとられるのか。あるいは地方公共団体等に対する直接貸しの方法をとられるのか。もし地方公共団体に対する貸付も考えておられるとすれば、六十億の割合をどういうふうに考えておられるか。その三点を伺いたい。
  48. 河野通一

    河野(通)政府委員 資金の運用方法は、法律案に書いてありますように、資源の開発その他緊要産業の建設のための資金でありますが、さしあたり二十七年度といたしましては、先ほど申し上げましたように、電源の開発資金に全額を充てるつもりでおります。この出し方は、具体的には、今本国会にかかつておりまする電源開発会社ですか、これができましたあかつきにおきましては、これに対する貸付という形で出して参りたい。本年度といたしましては、大体見込みが六十億の資金の手取りでありますから、大体六十億程度をこれに充てることによりまして、他の方へはこの際としては充てることは今考えておりません。将来資金の需要の関係等から見まして、他のものへも出さなければならぬという場合に、どういう形でこれをやるかという場合には、今お話のように、一つは金融債引受という形も出て参ります。それから開発銀行に対する貸付になりますか、出資になりますかわかりませんが、そういう方法もとれると思います。ただ私どもが今予定いたしておりますところでは、地方公共団体に、いわゆる地方債引受という形で産業資金を供給するということは、少なくともこの貯蓄債券から入つて来た収入金をそういうものに出すことは、予定いたしておりません。
  49. 小山長規

    ○小山委員 最後に一つ、資金運用部資金の運用計画の方針を同つておきたいのでありますが、国民貯蓄債券法というような法律で集めた金は、いわば余分な金だと考えてよろしいかと思いますけれども資金運用部の計画を立てる場合に、これを従来のわくの範囲内に納められるというのでは、一方に滞留する金が出て来ますので、この入つた分は、別わくという言い方はおかしいかもしれませんが、別わく的な考えで運用されるのか。これは余分のように集まつた金だから、全体とにらみ合せて、この分だけはとつておこうという考え方があるようでございますが、そういうふうな運用方針をとるのか。その点を明らかにしておきたいと思います。
  50. 河野通一

    河野(通)政府委員 この別わくとか内わくとかいう問題は、なかなかむずかしい問題でありますが、大体貯蓄債券を発行いたしません場合においても、郵便貯金でありますとか、あるいは簡易保険でありますとか、そういうもので集まつて参ります資金というものは、一応予定を立てております。それに対してプラス六十億というものが、資金運用部資金として入つて来る。その入つて来た資金は、この法案に書いてありますように、資金運用部資金となるわけでありますから、これは色はなかなかつけがたいのでありますけれども、今お話申し上げましたように、それだけはこの貯蓄債券を発行しなかつた場合よりも、発行した資金だけは資金運用部資金がふえる。こういうふうに御了解願いたいと思います。
  51. 内藤友明

    ○内藤(友)委員 きわめて簡單なことでありますが、ただいまの貯蓄債券法の第六條の二項であります。大蔵大臣は、相互銀行信用金庫その他政令で定める「金融機関」というのでありますが、「政令で定める金融機関」というのは、どういうふうなものをお考えになつておるのですか。
  52. 河野通一

    河野(通)政府委員 実はこの中にどういうものを入れようかということは、まだはつきりきめておりませんが、大体考えておりますのは、県信連あたりは、お取扱い願えるならお取扱い願つたらどうかと考えております。
  53. 内藤友明

    ○内藤(友)委員 実はそれをお尋ねしようと思つたのです。単協はあるいはちよつとむずかしいかもしれませんが、ぜひ県信連は認めていただきたいと思います。それからもう一つ、これはきわめて簡單なことでありますが、第七條で「資源の開発その他経済の再建に緊要な産業の施設」というのでありますが、これは村の方からもかなり金が流れ出ると思うのであります。還元ということは筋の通つたりくつではありませんけれども、やはり還元もして行かなければならぬと思うのであります。そこで土地改良であるとかなんとかいうことは、これはもちろんほかからも出ますが、これもひとつ締出しのないようにお願いしたいと思うのであります。何かそういうことについて同情してやろうというお考えがありますか、どうですか。
  54. 河野通一

    河野(通)政府委員 「資源の開発その他経済の再建に緊要な産業」と申しますと、もちろん農業関係の資源も入ると思います。しかし先ほど小山さんの御質問にお答え申し上げましたように、さしあたり本年度といたしましては、大体発行計画六十億に対して、その六十億全額を電源開発の関係に充てるつもりでありますので、本年度といたしましては、ちよつとその他の方へまわす余裕は実はないかと思います。将来といたしましては、そういうことも十分頭に置いて、重点的に考えて参りたいと思います。
  55. 松尾トシ子

    ○松尾委員 実はただいま提案になつております諸法案に対する質疑は、あしたにさせていただきたいのですけれどもちよつと党の都合がございまして、一点だけ違つたことをお尋ねさせていただきたいと思います。それは去る十七日鳥取県の大火の際に、政府がいち早く資金運用部から二億と、それから住宅金融公庫から二億お出しになつたのは、まことにけつこうなのでありますけれども、あの大火の損害の大きさに比べまして、これは十分でないと思う。今後どのくらいお出しになる御予定でありますかどうかを、お伺いしておきたいと思います。そこで被害の状況その他も、つまびらかに政府の方の調査が行き届いたと思われるのですけれども、その調査状況から見て、どのくらいお出しになつたら——大体ふだんでも困窮しておるような都市ですから、特例を設けて融資方を講じていただきたい、こういうのがうちの党のお願いなんですけれども、その見通しを伺いたい。
  56. 河野通一

    河野(通)政府委員 鳥取の大火につきましては、今松尾さんから二億というお話でございますけれども、とりあえず一億五千万円を、資金運用部から短期の緊急融資をいたしました。もちろんこれだけで十分とは考えておりませんので、その後だんだん調査が進みますに応じまして、必要な資金は供給して参りたいと思いますが、さしあたりの分としては、この程度で今のところは応急的な処置には間に合つておると思います。今度いろいろ損害の状況の調査等が固まりますに応じまして、必要な資金は出して参りたいと思います。それから住宅公庫につきましても、今お話がありましたように、大体ある程度の金額を別わくとして出したいと考えておりますが、それと並行いたしまして、国民金融公庫につきましても、この際特別な措置で、ある程度の金額をこの方へ向けて参りたい、かように考えておる次第であります。御了承いただきたいと思います。
  57. 松尾トシ子

    ○松尾委員 家を焼かれたり、資産を焼かれておりますし、遊んでおれないのですから、そう調査が手間取りますと、その間に個人的に復興がだんだんできてしまいます。その上で、政府は復興ができたからというような調子で、時間的にずらして、その融資方を少くしようというのではないですか。
  58. 河野通一

    河野(通)政府委員 毛頭そういうことは考えておりません。実は県の分について、大体の調査はできておりますけれども、まだ非常に詳細なものはできておりません。市の分につきましては、大体の調査も京だこつちに参つておりませんので、この調査ができまして、こちらに出て参りますれば、今お話のようなおしかりを受けることのないように、極力やつて行きたいと思つております。
  59. 武藤嘉一

    ○武藤(嘉)委員 先ほど長期信用銀行についてちよつとお尋ねしたいのでありますが、局長は、強力でかつ少数の銀行長期金融銀行を設立したい、こういうお話でございます。実は従前地方では、勧業銀行あたりがほとんど府県に分散しておりましたが、戦争中に併合されて、勧業銀行も一本になつておるのであります。また不動産金融については、日本勧業銀行がなくなりましてから、不動産金融はほとんど行われない。市中銀行へ不動産を持つておる者が参りまして、不動産担保で貸出しを要求いたしましても、これは許されない。日本はほかに財源がない国でありますので、土地は少くともこれは相当価値ある物件と思おなければなりません。それは担保融通力が非常にありそうなものでありますけれども、現任の商業銀行ではこれが許されない。地方では非常に困つておるわけでありますが、従つてもし今度長期信用銀行というものが生れ出ました場合においては、不動産に対する担保力というか、不動産金融というものはどんなようになるものでありましようか。局長の御所見を承りたいと思う。
  60. 河野通一

    河野(通)政府委員 御承知のように、不動産金融と申しますものはいろいろなカテゴリーがあるわけであります。同じ不動産担保の金融のうちでも、たとえば農地を担保にする金融、これは農地というものが、制度がかわりまして以来、担保力がなかなか十分でございませんので、農地担保の金融というものが、一般民間の金融としてはなかなかむずかしいような状態になつて来ております。そういう点もございますので、別途農林漁業特別会計をつくりまして、この方でその資金を出すことにいたしておるわけであります、それからその他一般の都市等におきまする不動産金融につきましては、二つにわけて考えられる。一つは、その担保は不動産であるけれども資金産業資金、いわゆる事業資金に充てられるもの、一つは担保は不動産であり、かつその資金産業資金に充てれないもの、納税資金でありますとかいろいろなものがあると思いますが、そういう二つのカテゴリーがあると思う。前者につきましては、これはいわゆる事業資金の一環として、その事業資金の担保がたまたま不動産であるというようなものでありますので、これらの金融につきましては、この長期信用銀行本来の使命として、十分にその点の疎通をはかつて参りたいと考えております。なお不動産担保の事業金融につきましては、国民金融公庫においてもこれを行つておりますし、その他の一般の庶民金融機関におきましても、これは中小の事業金融については行つておるわけであります。これらの資金は当然長期の設備資金なりあるいは運転資金の一環として、十分にこの新しい銀行によつて疎通をはかつて参りたいと考えております。ただ後者につきまして、つまり不動産を担保といたしまして、その資金の使途が事業資金でないという場合におきましては、本来この長期信用銀行はやはり産業資金を供給するという目的でできておりますので、これらの資金につきましては、この法案の第六條の第二項に書いてありますように、他の業務に支障のない限りにおきまして、これらを担保とする事業資金以外の貸付もやる、こういうふうな建前にいたしておるわけであります。不動産担保金融と一概に申しましても、いろいろなカテゴリーがございますので、今お尋ねの点はどこを中心にしてのお尋ねでありましたか、あるいは私のお答えが御質問に対して少し的をはずれているかと思いますけれども、なお御質問によりましてお答え申し上げたいと思います。
  61. 武藤嘉一

    ○武藤(嘉)委員 ありがとうございました。私の申し上げるのは農地ではなくて、市街地の宅地を担保にした融通力をいかにするかという点であります。私の特にお願いしたいと思いますのは、どこの戦災都市もほとんどうちは焼けたあとで、宅地は持つておりますが、これが何とも融通力にならないために、融通性を持たないために、宅地の所有者は従前は貸家を建てておつたが、今は建築費が非常に上つておりますので、貸家を建てて貸す、そんなめんどうなことはしてくれない。またひまのないことも一つでありますが、今後まだまだ住宅が足らぬのでありますから、相当低金利で不動産金融で金が借りられる。さらにそれでもつて住宅が建てられるということになり、また貸家を営むところの方面に資金がまわるものならば、それを投資と言いますか、あるいは営業と言いまするか、そうしたものをする人が多くなると思う。実際問題においては役所の住宅金融金庫その他では、住宅はなかなか思うように建つておりません。だからこの際不動産金融を長期信用銀行によつてつていただければ、私は低金利であれば相当貸家を建てることも不可能ではないのではなかろうかと思うのでありますが、この点ひとつ局長の御所見を承りたいと思います。
  62. 河野通一

    河野(通)政府委員 長期信用銀行の意図いたしておりまする不動産担保金融は、少くともこの第六條の第一項に書いてありまするものにつきましては、貸家を建てるというような場合の金融は実は考えておりません。むしろどちらかと言いますれば、第二項の方である程度考えて参ることができるかと思います。住宅一般の問題につきましては、きわめて不十分な回復の状況でありますことはお示し通りであります。この点につきましては、できるだけ早く住宅の充実をはかつて参りたいということは、私どもも念願いたしておるのでありますが、何分にも経済力がまだ十分でないわけであります。いろいろ限りのある資本を、他の緊要なものに使つて参らなければならぬものもございますので、お話の方にさらに十分な資金を投下することは望ましいことでありますけれども、財政なりあるいは金融全体の立場からできますかどうか、なかなか困難だと考えております。住宅金融公庫にいたしましても、また国庫の補助によりますいわゆる庶民住宅と申しますか、そういつたものにつきましても、年々相当多額資金を国家資金として放出いたしておるわけでありますが、今後におきましてもお話のように財政の許します限り、また金融資金の許します限り、この方面にも資金はできるだけ供給するように、努めて参りたいと考えております。さしあたり長期信用銀行につきましては、第六條の第二項の運用によつて、これらの必要な資金は、あるいは御満足の行くようなわけには参らぬかと思いますけれども、事情の許します限り疏通をはかつて参りたい、かように考えておる次第であります。
  63. 佐藤重遠

    佐藤委員長 次会は明二十五日午前十時より開会することにし、本日はこれにて散会いたします。     午後零時四十一分散会