○平田
政府委員 御
指摘の問題はおそらく年末調整の際の税額と、それから確定申告の際の最終税額、これに計算上の誤差が出て来た場合に、どう処理するかという問題であろうと思いますが、理想として申し上げますと、実は誤差がないようにするのが税制の上における理想でございます。私どももその点につきましては、作成する際にくふうしてみたのでありますが、そういうことをなくするためには、場合によ
つては表を五
倍程度にふやさなければならぬ。これまた非常に厖大なものになりまして、取扱い上これまた非常に煩雑になりまするので、一応ある
程度の誤差の生ずるのも、いたし方がないということにいたしておる次第でございます。若干取り不足になる人と取り過ぎになる人とございます。もちろんその金額が大きければ大問題でありまして、そのような
措置をとるのはどうかと思
つたのでありますが、納むべき税額に対しまして大体一%以下、つまり年額五万円の所得税に対しまして二、三百円とか四、五百円、その
程度の税額の差が出て来る、こういうことに
なつておるのでございます。その際に不足した税額につきまして、これを申告によ
つて追徴するというのは、どうも行き過ぎではないか。そこまで行く必要は必ずしもない。しかし取り過ぎにな
つたものにつきましては、これはやはり確定申告が出ますれば、その確定申告に応じまして返すという建前に実はいたしておるのでございます。年末調整で打切
つてしまうのも一つの行き方でございますが、そうしますと、
一般の申告納税者より源泉納税者が不利になるという結果になりますので、取り不足のものはわずかでありますから、もう目をつぶ
つて申告を要しないことにいたしておりますが、あくまでも取り過ぎにな
つた分は申告があれば返す、こういう建前にいたしておる次第でございまして、おそらくその問題に関連して、その事実を少しあとで知りました方々が、問題にしておるというのが現状ではないかと思います。もちろんこの問題は法制上の建前といたしましては、確定申告をしていただきまして、
税務署が確認しました場合におきましては、
税務署から返すか、あるいは支拂者の方に過納額を提示いたしまして、その次に納める税額に充当して、源泉税額から控除することができるように
なつておるのでございます。
これがうまく行われますれば、実質負担には影響がないということになるのでございますが、どうもその事実を最初から知らぬ人が相当あ
つたようでございまするし、それから中には数多く出て来る場合もございまして、本年はその辺のことが若干スムーズに行かなか
つたような点があるように、見受けられるのでございます。しかしこれは本年はあくまで期限の二月末日までに申告した人といたしまして、これはひとり源泉課税だけではございま
せん。たとえば預金利子等につきましても、同様な問題があるのでございますが、そういうのはすべて二月末までで一応打切りまして、処理する一とにいたしておりますので、本年といたしましては、今からさかのぼ
つて処理するというのは、どうも無理ではないかというふうに考えるのでございます。もちろん申告がございまして本税額が直りますれば、基礎がかわ
つて来ることになるので、地方税の方もそれに応じて直さなければならぬのですが、二月末日までにその申告がなければ、やはり元納めた税額で地方税もかか
つて来る、こういうことに相なる次第でございます。将来の問題としましては、もう少しくふういたしまして過不足の出る人をもつと少くするように考えてみたらどうか。と申しますのは、全部なくするためには非常に厖大な税額を要するのでありますが、その数をうんと狭めますれば実際的な問題がよほど少くなりますので、二倍ないし三
倍程度にするところまで行きますかどうか、その辺もなお少し研究してみたい、そうしてなるべく過不足ないように
措置するのが一つであります。それからもう一つは過不足が生じた場合におきまして、過納額につきましてはもう少し周知をよくはかりましてたとえば支拂者等につきましてとりまとめて計算して、一応申告書をつく
つてもら
つて、そこの
税務署で確認してもらいまして、その分をすぐ二月の税額から相殺する、こういう行き方をとりますれば、比較的早く処理できるのではないかというふうに考えられますので、今後の問題といたしましては、立法的な問題としてなおよく検討いたしまして
——そのような問題は額が小さいので大した問題でないということにもなりますが、何しろ相当の人に影響がございますので、さらに一層合理的に処理するように努めて行きたいと考えておる次第でございます。