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1952-03-29 第13回国会 衆議院 大蔵委員会 第42号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年三月二十九日(土曜日)     午前十一時十分開議  出席委員    委員長 佐藤 重遠君    理事 淺香 忠雄君 理事 奧村又十郎君    理事 小山 長規君 理事 佐久間 徹君       大上  司君    尾崎 末吉君       島村 一郎君    清水 逸平君       庄司 一郎君    苫米地英俊君       三宅 則義君    宮幡  靖君       宮原幸三郎君    宮腰 喜助君     早稻田柳右エ門君    松尾トシ子君       高田 富之君    深澤 義守君  出席政府委員         大蔵政務次官  西村 直己君         大蔵事務官         (主計局法規課         長)      佐藤 一郎君         大蔵事務官         (主計局給與課         長)      岸本  晋君         大蔵事務官         (主税局長)  平田敬一郎君         大蔵事務官         (主税局税関部         長)      北島 武雄君         大蔵事務官         (銀行局長)  河野 通一君         食糧庁長官   東畑 四郎君         通商産業事務官         (通商雑貨局         長)      徳永 久次君         建 設 技 官         (道路局長)  菊池  明君  委員外出席者         大蔵事務官         (理財局管理課         長)      横山 正臣君         大蔵事務官         (銀行局資金運          用課長)   高橋 俊英君         大 蔵 技 官         (主税局税関部          鑑査課長)  木谷 忠義君         通商産業事務官         (通商雑貨局紙         業課長)    矢野宏太郎君         建設事務官         (道路局庶務課         長)      淺村  廉君         專  門  員 椎木 文也君         專  門  員 黒田 久太君     ――――――――――――― 三月二十九日  委員川野芳滿君、夏堀源三郎君及び武藤嘉一君  辞任につき、その補欠として塚田十一郎君、庄  司一郎君及び尾崎末吉君が議長の指名で委員に  選任された。 同日  理事淺香忠雄君の補欠として奧村又十郎君が理  事に当選した。     ――――――――――――― 三月二十八日  銀行従業員給與に対する大蔵省の干渉及び統  制の排除に関する請願佐竹晴記紹介)(第  一七四五号)  漆器に対する物品税撤廃等請願益谷秀次君  紹介)(第一七四七号)  積雪寒冷地帶所得税軽減に関する請願(亘四  郎君紹介)(第一七四八号)  月賦販売証書にちよう用の收入印紙に関する  請願水谷長三郎紹介)(第一七六九号)  未復員者給與法療養期間延長特例患者に適  用等請願金子與重郎紹介)(第一七七六  号)  同(堤ツルヨ紹介)(第一七七七号)  同(岡良一紹介)(第一七七八号)  同(松谷天光光紹介)(第一七七九号)  社会保險料等に対する所得税免除に関する請願  (青柳一郎紹介)(第一八一三号) の審査を本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  理事の互選  関税定率法等の一部を改正する法律案内閣提  出第五三号)  特定道路整備事業特別会計法案内閣提出第九  五号)  食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案(  内閣提出第九六号)  農業共済保險特別会計法の一部を改正する法  律案内閣提出第九七号)  国家公務員共済組合法の一部を改正する法律案  (内閣提出第一〇四号)  国家公務員等旅費に関する法律の一部を改正  する法律案内閣提出第一〇七号)  日本国アメリカ合衆国との間の安全保障條約  第三條に基く行政協定実施に伴う所得税法等  の臨時特例に関する法律案内閣提出第一三三  号)  日本国アメリカ合衆国との間の安全保障條約  第三條に基く行政協定実施に伴う関税法等の  臨時特例に関する法律案内閣提出第一三四  号)  日本国アメリカ合衆国との間の安全保障條約  第三條に基く行政協定実施に伴う国有財産  の管理に関する法律案内閣提出第一三五号)  貴金属管理法の一部を改正する法律案内閣提  出第一二九号)(予)     ―――――――――――――
  2. 佐藤重遠

    佐藤委員長 これより会議を開きます。  議案の審査に入ります前に、理事変更の件についてお諮りいたします。  昨日、奥村委員理事辞任せられ、淺香委員理事に選任いたしたのでありますが、本日淺香委員から理事辞任の申出がありましたので、この際再び奥村委員理事に選任いたしたいと存じます。この点御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 佐藤重遠

    佐藤委員長 御異議ないようですから、奧村又十郎君を再び理事に指名いたします。     ―――――――――――――
  4. 佐藤重遠

    佐藤委員長 次に、去る二十七日本委員会に付託せられました、日本国アメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定実施に伴う所得税法等臨時特例に関する法律案日本国アメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定実施に伴う関税法等臨時特例に関する法律案日本国アメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定実施に伴う国有財産管理に関する法律案、同日予備審査のため本委員会に付託されました貴金属管理法の一部を改正する法律案の四案を、一括して議題といたし、まず政府当局より、提案理由説明を求めます。西村大蔵政務次官
  5. 西村直己

    西村(直)政府委員 ただいま議題となりました日本国アメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定実施に伴う所得税法等臨時特例に関する法律案外三法律案につきまして、その提案理由説明いたします。  日本国アメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定の締結に伴い、同協定従つて米国駐留軍構成員軍属またはこれらの家族等につきまして、所得税等課税に関する特例を設ける必要がありますので、ここに関係法律案提出いたした次第であります。  以下順次法律案の大要を申し上げます。  まず、日本国アメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定実施に伴う所得税法等臨時特例に関する法律案におきましては、第一に、合衆国軍隊構成員軍属またはこれらの者の家族が、合衆国軍隊またはPX等軍人用販売機関等における勤務または雇用により受ける給與所得等、その性質上わが国の所得税を課さないことが適当と認められる所得について、所得税を課さないこととしております。  次に、合衆国個人または法人で、合衆国軍隊使用する施設及び区域の建設運営等に関して、合衆国で締結した契約に基く事業のみを行うもののその事業から生ずる所得等については、所得税または法人税を課さないこととしております。  次に、合衆国軍隊構成員軍属またはこれらの者の家族が、相続、贈與または遺贈により取得した個人用動産価額等は、相続税課税価格に算入しないこととするとともに、これらの者が日本において有する個人用動産価額等は、富裕税課税価格に算入しないこととしております。  また合衆国軍隊が、合衆国軍隊の用務を遂行するために汽車等を利用する場合には、通行税を課さないこととしております。  次に、合衆国軍隊または軍人用販売機関等が発する証書及び帳簿については、印紙税を課さないこととするとともに、合衆国軍隊またはその公認調達機関等が、合衆国軍隊の用に供するため、日本において調達する物品または揮発油については、物品税または揮発油税を課さないこととし、この免税された物品または揮発油は、原則として他の用途に供するために譲渡することを禁止し、他の用途に供するために譲渡したときは、譲受人から税金を徴収することといたしております。  なお、今回の行政協定による物品税課税上の措置に関連いたしまして、輸出免税手続について簡易化をはかるため、物品税法所要改正を加えることといたしております。  次に、日本国アメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定実施に伴う関税法等臨時特例に関する法律案におきましては、まず、合衆国公用船で公の目的で運航されているものに対しては、トン税を免除し、公用船一般貨物を積載しているときは、全積載貨物一般貨物が占める重量の割合に応じてトン税を徴收することとするとともに、公用船及び公用機の入出港に際しては、関税法で定める手続のうち、必要最小限度のものをとらせることといたしております。  次に、合衆国軍隊、その公認調達機関軍人用販売機関合衆国軍隊構成員軍属またはこれらの者の家族等輸入する特定物品については、関税及び内国消費税を免除することとするとともに、右の免税を受けた物品国内において免税を受ける資格のない者に処分されたときは、当該物品につき輸入または保税地域からの引取りがあつたものとみなして、関税及び内国消費税を徴収することとし、譲渡人及び譲受人に必要な手続を行わせることといたしております。  なお関税及び内国消費税を免除された物品につきまして、その横流れを防止するために必要な措置を講じているのであります。  次に日本国アメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定実施に伴う国有財産管理に関する法律案につきまして、その提案理由説明申し上げます。  日本国アメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基きまして、先般日米行政協定が締結されたのでありますが、この行政協定規定によりまして、合衆国軍隊の用に供することとなります国有財産管理及び処分に関しまして、国有財産法等特例を設ける必要が生じましたので、この法律案提出した次第であります。  以下この法律案のおもな内容について申し上げますと、第一に、国有財産無償合衆国使用を許すことを規定しました。すなわち行政協定二條第一項及び第三條第一項の規定に基きまして、国有財産合衆国軍隊の用に供する必要があるときは、その用に供する間無償合衆国に対して当該財産使用を認めることができることとしたのであります。  第二は、行政協定第四條第一項の規定に基きまして、合衆国使用に供した国有財産につきましては、合衆国から日本国政府当該財産の返還があつた場合においても、その原状回復またはこれにかわる補償の請求を、合衆国に対して行わないというふうに定めたのでございます。  第三は、行政協定二條第四項に基きまして、合衆国使用に供した国有財産について、合衆国軍隊の用に供している間といえども、その用途または目的を妨げない限度において、他の者にその使用または収益を許すことができることといたしたのでございます。  第四点といたしましては、国が、国有財産を国以外の者に貸し付けている場合におきまして、当該国有財産合衆国軍隊の用に供する必要があるときは、適正な補償行つた上で、貸代契約を解除することができるというふうに定めたのであります。  第五点は、特別会計に属する国有財産合衆国軍隊の用に供しようとする場合の取扱いでありまして、この場合におきましては、当該財産一般会計に所管がえもしくは所属がえをし、または当該財産一般会計使用せしめたことといたした上で、一般会計から合衆国使用に供することにいたした点でございます。  以上が行政協定実施に伴うこの法案内容でございます。  最後に貴金属管理法の一部を改正する法律案でございますが、金、銀等貴金属地金管理につきましては、現在貴金属管理法によりまして、新産の金、銀及び白金族地金は、すべて政府が買い入れ、必要やむを得ない用途に対しては、その需要者政府から直接売却する制度をとり、その売買価格はそれぞれ政府が公定いたしているのであります。  しかるに最近に至りまして、銀地金につきましては、その需給状況等にかんがみ、流通及び消費に関する一切の統制を撤廃してさしつかえない段階に達したものと考えられます。また白金族地金につきましては、国内生産額はきわめて少量であり、国内需要を満たしますためには、そのほとんどを輸入に仰がなければならない状況でありまして、その流通に関する規制は、別にただいま国会提出されました国際的供結不足物資等需給調整に関する臨時措置に関する法律案にゆだねることが、むしろ適切であると考えられるに至りましたので、この際銀及び白金族地金に関する貴金属管理法による規制を、撤廃することといたしたのであります。  一方、金地金につきましては、政府による金地金売買価格は、米国政府の買入れ価格を基礎として定めております結果、一般物価の上昇に比べまして、低価格にすえ置かれておりまして、これがため金の生産は伸長いたしがたい実情にあるのであります。今後国際収支の決済その他国民経済上欠くことのできない金について、その生産を確保し、その増産をはかることはきわめて肝要でありますので、この際貨幣用以外の金について、妥当な範囲でプレミアム付価格による売買を認めることといたしたのであります。  以上のような理由によりまして、貴金属管理法改正することとし、この法律案提出した次第であります。  その内容につきまして主要な点を二、三申しますと、まず法律の題名を「金管理法」に改め、法文中「貴金属」とあるのを「金」に改める等の字句改正によりまして、銀及び白金族地区政府買入れ及び売却制度を廃止いたしたのでございます。  次に、政府所有金地金を直接需要者売却する現在の制度を改めまして、需要者に対しては、従来通り割当を行いますとともに、その割当に見合う金地金は、政府に金を納入した金鉱業者等に対しまして、それぞれの納入量に応じて売りもどした後、金鉱業者等からこれをプレミアム付価格で、需要者売却することを認めることといたしました。  また金鉱業者等が多数かつ全国的に散在する需要者と直接取引することは、容易でないものと考えられますので、その取引を円滑ならしめるために、新たに、中間売買業者として加工用金売りさばき業者を設けるとともに、金地金取引特殊性を勘案し、加工用金売りさばき業を営むには、主務大臣の認可を要することといたしました。  さらに、金地金取引価格国際的性格並びに割当制度をとることの趣旨にかんがみ、主務大臣は、金鉱業者等及び加工用金売りさばき業者金地金売却する場合の最高価格を定めることといたし、あわせて金地金需給調整上必要があるときは、これらの者に対して、その所有する金地金売却に関して、所要の指示をすることができることといたしました。  以上がこの法案提出理由及びその内容の概要であります。何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願い申し上げます。     ―――――――――――――
  6. 佐藤重遠

    佐藤委員長 次に関税定率法等の一部を改正する法律案特定道路整備事業特別会計法案食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案農業共済保険特別会計法の一部を改正する法律案国家公務員共済組合法の一部を改正する法律案、及び国家公務員等旅費に関する法律の一部を改正する法律案の六法案一括議題として、質疑を続行いたします。質疑は通告順によつてこれを許可いたします。宮幡靖君。
  7. 宮幡靖

    宮幡委員 ただいま議題となつております六法案につきまして、主として関税定率法等の一部を改正する法律案について、質問いたしたいと思うのでありますが、すでに去る委員会において、大よその点はお尋ねをいたしまして、御当局からの答弁をいただきました。もちろん了承したものと、納得しがたいものとありましたが、おおむね質問としての趣旨は盡されたと思つております。ただ印刷紙の問題につきまして、いまだ御意見を承ることにおいて不十分な点があると思いますので、本日は時間の関係等もありますので、この問題に限定いたしまして、若干の質問をいたしてみたいと思うのであります。  まず印刷紙輸入税をもう一年間免除しよう、こういう政府原案趣旨でありますが、私はこの際去る第二国会におきまして、本年三月三十一日まで輸入関税を暫定的に免除するということを決定いたしました。当時の委員会審議経過というものを、この際確認いたしてみたのであります。当時の状況におきまして、国内印刷紙需給バランスというものは、不安定と申しましようか、必ずしも需給を満たしておらないということが、現実の問題であつたように考えられる。特に二金七年度の教科書用紙問題等は慎重な考慮佛つて、もし国内需給が十分でなかつた場合においては、教科書印刷にも困るであろうというような声があつたのでありまして、これは大きな問題として、われわれも深甚の考慮を佛つたわけであります。ことに電力事情の悪化というようなこともあわせ考えられまして、生産担当省であります通商産業省や、あるいは業界の自主的な団体等において考えられておりました増産というものも、はたして達成せられるかどうか、こういうことも一つの心配の種でもあつたわけであります。そうしてその結果、教科書と見合いまする新聞紙需要というものを満たすことができない、結局教科書用紙不足は、新聞紙にしわ寄せされるのではなかろうかというようなことが予想される状況であつたので、この際輸入をいたしましてそうしてこの補足をいたしたい。それには輸入の当時の状況はどうもマル公と申しますか、国内価格に見合いますような普通の価格では輸入しにくい。端的に申せば、グレイ・マーケツト・プライスであつて国内の当時の価格よりも若干高いものを輸入しなければならぬ。こういうことになつて国内産業保護目的でもつて設けられてあります一〇%課税は不適当だということによつて、三月三十一日までこの緊急の場合の需要を満たす意味において、輸入についての暫定的な措置を講ずることが妥当であろう。しかしておおむね三月ぐらいになれば、電気の事情も明白になつて参る。のみならず国内増産態勢というものの成果も把握できる。そのときの事情におきましてこれを廃止するということも、決して間違いではない。従いましてもはや当時の状況におきましては、三月三十一日以降延長しようなどという気持ちがあつて、われわれはこの法律案、いわゆる政府原案に対しまして賛成の意を表したものではありません。さような意味におきまして、私はいまさら政府原案が一年間延長いたしたいという点につきましては、当時の第十二国会におきます審議の過程に現われました諸事情が、どういうふうになつておるかということを、まず検討して参らなければなりません。  そこで第一番に伺いたいのは、実際印刷紙輸入というものの実態はどうであるか。契約の成立したものはどれだけの数量契約されておるか。そのうち実際にどれだけの数量輸入されておるのか。三月三十一日までに契約された分でありまして、輸入未済数量がどれだけあるのか。これらの点につきまして、はつきりしたことのお示しをいただきたいのであります。
  8. 徳永久次

    徳永政府委員 ただいまお尋ねのございました新聞用紙輸入状況がどうなつておるかということでございますが、契約量といたしましてシヨート・トンで九千五百トンほど契約が成立いたしておるわけであります。そのうち輸入済み数量が七千五トン、残り千五百トンが近日入港の予定ということに相なつております。なお御承知だと思いますが、九千五百トンの契約のうち、当初の契約と違いましてサイズが契約と合つていない結果として、ほとんど新聞紙に使えないであろうといわれて、国際的な紛争対象になつておるものが、九千五百トンのうち約六千五百トン含まれておるわけです。
  9. 宮幡靖

    宮幡委員 そうすると、九千五百トンのうち七百五トンと言われたんですが、五十トンですか。
  10. 徳永久次

    徳永政府委員 七千五トンです。これは輸入……。
  11. 宮幡靖

    宮幡委員 そういたしますと、七千五トン入つて五百トンだけは正規な印刷用紙であつて、六千五百トンがただいま国際的なクレームがついておるという事情を話した。この六千五百トンというのは現在保税倉庫にあるのですか。それとも国内に引取られてクレームがついてお存のですか。
  12. 徳永久次

    徳永政府委員 六千五百トンは目下保税倉庫にございまして、輸入手続が行われておりません。
  13. 宮幡靖

    宮幡委員 そうするとせつかく第十二国会において、当時の状況を配慮いたしまして手配いたしました、輸入関税暫定免除措置によります印刷用紙輸入の実績というものは上つておらない。従つてこの配慮に基きますところの需給関係は、当時の印刷用紙不足であろうという国内需給調整趣旨を達成していないことになる。しこうして国内需給が一応大した紛争もなく、今日まで経過して参りましたにつきましては、不足する紙の増産が達成された、あるいは産業合理化の線によりまして、資金面におきましても製紙産業のごときは、設備資金の融通さえ禁止されている項目であるにかかわらず、これだけ、その中から努力いたしまして、おそらく増産態勢が進行して参つたものだと私は信ずるのでありますが、この間におきまして通産省における生産経過並びにその達成等につきまして、詳細な御説明をいただきたいと思います。
  14. 徳永久次

    徳永政府委員 御承知のように昨年秋異常渇水状況に対しまして、この十一月、十二月からことしの一、二、三月ころまでの間電力制限というか、供給不足のために新聞用紙が相当減産するであろうというのが、実はわれわれの当初の予想であつたのです。事実の経過は御案内の通り、当初の予想ほど電力制限事態も悪化せずに、むしろ豊水経過いたしましたような事情もございまして、当面の影響も少くて済んだ。一方電力制限になりまして新聞紙製造電力のために著しく減産になつていることも、好ましくございませんので、私どもといたしましては公益事業委員会その他と折衝いたしまして、御承知通り電力制限段階を業種によつて異にいたしておりますから、新聞紙につきましては、製造等につきましても製造工場を個別指定いたしまして、電力割当につきまして優遇をはかるという措置をやつたわけであります。また他方製造メーカーとして、それによりましても電力が若干不足するという場合に、その不足分重油発電機等により補いたいと思いまして、緊急に重油発電機を手配するような措置もとられたわけであります。その措置のとられました製造業者に対しましては、私どもとしまして所要の燃料になります重油を特配するという措置もとつたわけであります。さような異常渇水になりました直後の生産減少をおそれまして、いわばばたばたとそれらの緊急対応策をいろいろと講じたわけでありますが、大局的には渇水にならずに済んだ。むしろ豊水であつたというようなことが幸いいたしまして、需給関係は冬場の間比較的順調に推移いたしまして、ただいま御指摘のございましたように、当初はこれだけのものを輸入しなければ、新聞紙建ページが維持できないであろうということを心配いたしておりましたものが、この輸入が行われなくとも、国内増産によりまして、建ページ減少を示さないで需要がまかなえたというような経過をたどつたわけであります。
  15. 宮幡靖

    宮幡委員 さらにお伺いいたしますが、一応対象となりました九千五百トンという輸入につきましては、商社等は介在しないでありましよう。おそらくダイレクトの輸入であろうと思いますが、九千五百トンの輸入は――商社等がやりますと、擬制契約という形をとりまして、為替予約などはしていない弊害等があるわけでありますが、この九千五百トンに対しましては、輸入為替手続は全部完了しておるものでありますか。
  16. 徳永久次

    徳永政府委員 すべて完了いたしております。なお御質問にお触れになりました契約は、輸入商社を通じて六社関係いたしておりますが、六つの輸入商社がそれぞれ相手方と契約して、輸入手続を進めておるわけであります。
  17. 宮幡靖

    宮幡委員 商社の介在するということが明らかになりました。商社と実際の消費者、実際の輸入者との間の円資金の決済状況について、通産省として何か現実的な問題を御承知ならば、この際お知らせいただきたい。
  18. 徳永久次

    徳永政府委員 詳細な事項は私お答えできませんが、この輸入商社六社ほどありますうちに、取扱い金額が相当な金額が上るというようなこともございまして、為替銀行の方で輸入商社に対しまして、この取扱い量そのままの為替の契約に応じられないというような事情もあつた商社、いわば商社、いわば信用力の低い輸入商社もございましたが、そのような輸入商社に対しましては、実際のこの輸入品の購買者であります新聞社では、債務保証といいますか、そういう信用の裏づけをするというようなことをやつておるケースもあるように聞いております。ただそれは全商社でございませんで、自己の信用力だけで為替銀行と取引のできなかつた輸入商社だけについて、さようなことが行われておるというふうに聞いております。
  19. 宮幡靖

    宮幡委員 そういうお話を聞きますと、これはあるいは私の推測が誤つておるかもしれませんが、資金の面から見ますと、現在保税倉庫にあります六千五百トンというものは、特に引取られなければならない。それともクレーム状況がこれを本国へ送還するというような状況になつておるのですか。その点をひとつ明らかにしてもらいたい。あわせて九千五百トンの残部は、当然相当の期間を経過することによつて所要印刷紙国内輸入されるものと推測してあやまちでないものかどうか。その点を明らかにしておきたい。
  20. 徳永久次

    徳永政府委員 ただいま申し上げました全契約量は九千五百トンで、紛争契約対象になる分が六千五百トン、その差額の約三千トンの数量につきましては、契約通りの品質、寸法の品物が入り、または入りつつあるというふうに承知いたしておるわけであります。しこうしてこの紛争対象になつております六千五百トンのものにつきましては、全部が新聞用紙として使えないというものではないようでございまして、一部は新聞用紙に使えるものがあるというふうに承知いたしております。しかしその数量は比較的僅少でございまして、大部分が新聞用紙として使えない。少くとも契約と違つた品物であるというふうに承知いたしております。従いまして、これが売手との間にクレームの問題ともなつておりますが、さらに完全なクレームの問題として処置できるばかりでなしに、売手の方のいわば詐欺と申しますか、刑事事件的な性格も持つておるというふうに承知いたしておるわけであります。さような状況でございますので、この紛争がきわめて短期間に、普通のクレームのように、契約と違つた品物だつたら、それを向うへ送り返し、新規に契約通りの品物があらためて送られて来るというようなぐあいに順調には運ばない。私どもとしてはさようなことになることを希望いたしておりますが、どうも相手方の商社の実体なり、かようないわば普通の常識を越えましたような違反、あるいは詐欺を起しておるわけでありますから、さような場合には、すらすらと取り運ばないのではなかろうかというふうに予測いたしておるわけであります。
  21. 宮幡靖

    宮幡委員 今回の政府原案の一箇年延長を見ますと、あとから申し上げますが、これは有力な理論的根拠はないのであります。ないと私が断定することは専断でありまして、言葉としては不適当かもしれませんが、もしあるとするならば、これを解消いたしまして十分理論闘争をしてみたい。ただ一点考慮しなければならないことは、ただいまこまかい問題にまで触れて二、三お尋ねしたのでありますが、一―三月の間において印刷紙不足するであろう、それに対応するためには輸入で充足しよう、それには灰色市場の価格輸入されるから、免税してやろうという状況のもとで計画しました輸入が、実際その目的を達成しておらない。でありますから、事の起りは、やはり時の事情に応じまして、国内印刷紙不足を充足しようという、よい精神から出ておるのでありますから、そのときに計画されたことを精神的に考え、あるいは動機といいますか、それから考えますと、この恩典には将来といえども浴せしめなければならないという、一つの考え方が浮んで来るわけであります。従つて免税の期間をこの品物に対してのみ考えまするならば、延ばしてやりたいという一つの気持になれるわけであります。しかしながらその他の理論的根拠から申しますと、今後IMC割当物資となりました印刷紙輸入などが大量に行われた場合には、国内産業の圧迫は重大問題であります。従つてもし大蔵省原案のごとく免税期間を延長しようとするならば、紙の不足にこたえる輸入計画のもとに、いまだ輸入が達成できないその印刷紙に対してのみ、その恩典に浴せしむべきだとかたく信じておるものであります。それ以外にはこれを延期すべき理由は実は認めがたい。そこでとにかく国会といたしましては、あまりこまかいところまで議論をしては参りませぬけれども、当面の問題につきまして二、三お尋ねいたしまして、なお理論的にこれらの措置の妥当性を、われわれは確認いたしておきたいのであります。  国内需給バランスについては先ほど説明がありまして、もちろんそれで全部が盡きたとは私は思つておりませんが、まず大体需給のバランスがとれておる、こういう御説明であるように承つております。ただ一流新聞社が考えております、夕刊をさらに四ページ程度増ページしたいという希望に対するお見通しは、どういうことであるか。これはできないことであるか。あるいは現在の国内需給の関係において、この目的も達成せられるかどうか。この点をひとつ明らかにしておいてもらいたい。
  22. 徳永久次

    徳永政府委員 国内の紙の生産は逐次順調に増加いたしておるわけであります。二十六年の十二月の実績を申し上げますと、四千二百六十三万ポンドでございます。それが四月には四千五百五十八ポンドになると予想いたしておるわけであります。四月は非常に近い月でございますので、そう狂いなしに行くんじやなかろうかと考えますが、なおその後におきましても、各社の増産がいろいろと行われておりますので、それが予定通り順調に推移いたしますならば、九月には五千七百二十八万程度まで行くんではなかろうかということを、考えておるわけであります。他方、新聞紙建ページの増加に伴いまして、これもある一つの想定でございますが、四月から一流紙の建ページが、現在の六ページ建が八ページ建に増加すると予定し、その建ページの増加に伴いまして、一方その発行部数が約六%減少すると考え、それから九月以降におきまして、全国的に新聞紙建ページがすべて八ページ建になる、さような需要の増加の想定をいたしておるわけであります。その際の新聞用紙の一箇月当りの需要量でありますが、ちよつと私どもが用意しております資料が月別になつておりませんので、十月からのポンド数で五千三百八十九万ポンドというのが、必要な需要量という推定をいたしておるわけであります。
  23. 宮幡靖

    宮幡委員 今の数字は私は信じたいのであります。しかしながら建ページを増した結果において、六%発行部数が減るということには、これはひとしお通産省の認識を改めていただきたいと思います。今の国民生活の水準におきまして、その生計費の中に占める文化費の割合は何%か。かりに新聞紙が増ページされたとして、従来の通り新聞紙を全種類とつて行くということなどは、その生活に余力がないと私は残念ながら推測しなければなりません。従いましてページがふえたとするならば、今まで二種類の新聞紙を一種類に減らしまして、増したページを読んで行くということにしかならない。従つて六%ぐらいの減でないことを――あるいはこれも専断でありましようけれども個人としてはそうなるであろう、こういうことを心配いたしておるのであります。こいねがわくはぜひともそういう増ページされました新聞をどんどんみな読めるような生活水準の引上げ――これも現在の政府も考えていることであるし、われわれも考えていることでありますが、現状ではそういうことは許されません。従いまして、こういうことで六%という減少を考えてみて、それを基本として推定しました月額五千九百万ポンドぐらいの紙でありましたならば、これは問題な  い。当然八月あたりには過剰なものになるとさえ言えるわけであります。その点につきましては、今の説明は数字を並べただけでありますが、八、九月になれば一応間に合う、こういうことに私は了承いたしまして、その他のことは意見でありますので、その後においてひとつ御検討を願いたい。どうか国民生活の水準も、この生計費の中に占める文化費の割合等も十分勘案せられまして――こういう問題を、ただ発行するから足りなくなる、それに押されまして、しかも国民生活を文化的に向上せしむるのだという美名のもとに乗り出しまして、実は国内産業等を圧迫する一つの原因になるようなことは、遺憾千万であると私は考えます。そうしてそれらのことを勘案いたしますと、近い将来――現にもうその事態は実際には起つておるのでありますが国内の紙全般から考えますると、特定の種類の過不足はありましようけれども、全般的の紙の需給関係から行けば飽和状態、いな少し過剰な状態になつておる。それにもかかわらず通産省は、輸出禁止を解こうというようなことについて、いまだ確たる御方針を持つておらないように私は思う。この点につきまして、輸出禁止措置をどうおやりになるか。もちろん紙の需要はおおむねスターリング・エリアでありますが、ポンド過剰の現在におきましては、なお輸出貿易の上におきまして検討を加える余地はありましようけれども、単に紙というものの関係から考えました場合の輸出禁止措置をどういうふうにおとりになるつもりか。この際その点を明らかにしていただきたい。
  24. 徳永久次

    徳永政府委員 紙の輸出制限につきましては、仰せの通り目下のところ貿易管理令によりまして、若干の制限を加えておるわけであります。これはことに新聞用紙につきましては、前々からIMC等に対しまして、日本側の新聞紙はむしろ国内需要をまかなうのに、せい一ぱいであるというような事情を訴えてもおりますし、さらに不足気味であつて日本新聞用紙の延ページの増加等に関連いたしまして、国際的な割当をもらわなければ困るというような要請をいたしておつたというような事情もございまして、他方、東南地域の方から新聞用紙に相当するものの需要もあるわけでございますが、それに無制限に応ずるという態度も、他方において輸入を要請するというような事情から見まして、不穏当な点もございますので、さような輸出制限措置をとつておつたのでございます。ただその後におきまする紙――新聞紙と限らず、紙全体の需給関係というものを勘案してみますると、ただいま御指摘のございましたように、逐次需給関係は好転いたしておりまして、たとえばクラフト紙とかいうようなものを考えますと、若干の余裕も出ておるというような事情もございますので、現在行つております紙全般に対しまする輸出制限の今後の運用につきましては、その品種等につきましてもつと緩和するという方向で、今どの品種についてどの数量ぐらいをゆるめて行くかということを検討中でございます。これは早急に結論を出すつもりでおるわけでありまして、現状より緩和する方向で考えつつあることを御了承願います。
  25. 宮幡靖

    宮幡委員 その点はわかりました。ぜひすみやかに御検討くださいまして、適当なる措置をお願いいたします。  次に、関税ということは、大体国内産業を保護するということが重点的になつておる。それがある意味においては行き過ぎになつて悪い場合もありましようけれども、これはあとから大蔵当局に伺うのでありますが、関税の精神はあくまでそこにあるのです。そこで日本の製紙工業の現状が、どの程度近代化を要請されておるかということについて、これは私の方で質問するより、そちらの方が専門家でありますから、愚問だと思いますけれども、どうも通産省の方針というのは、ともすれば関税の面などにおきまして、国内産業を保護育成するということから、遠ざかつて行くようなにおいがするのであります。これは私決して毒舌を吐くのではありませんが、とにかく矢野課長も見えておりますので、簡單に実例を申しましても、すでに紙のすき尺のスピードにおきましても、アメリカの機械などは二千尺以上の速度を持ち、スエーデンにおきましても約八百尺を越えるぐらいが標準であるが、日本は四百尺程度、たまたま旧王子系の三社の中には高スピードの機械もあるのでありますが、こういうものに対しましてはいわゆる近代化を促進いたしまして、そうして増産態勢を確立いたさなければならない。その場合におきまして、ともすれば輸入重点主義のような傾きがありまして、資金も、先ほど申しましたように、設備資金の供給がとめられており、ひたすら自己資金で近代化をはかつて行こうという現段階におきましては、あくまでも保護関税政策をとるべきだと思います。しかるのにこれから遠ざかるような傾向のあることは、私ははなはだ遺憾にたえないのでありますが、この点につきましての通産省のお考えを――実は大臣にこの点を伺つておきたかつたのですが、大臣がお見えにならないので、局長さんには御迷惑かもしれませんが、大臣にかわつて、その点の方針をひとつこの際明らかにしていただきたいと思います。
  26. 徳永久次

    徳永政府委員 ただいま通産省が紙の製造業に対して、保護の必要なり合理化の必要を認めていないのではなかろうかというようなお尋ねでございますが、これは前にも私申し上げたと思いますけれども、私ども国内の紙製造業の保護の必要につきましては、宮幡委員に劣らず十分感じておるつもりであります。ただ先般申し上げましたように、今回御提案申し上げまして、暫定的に関税を免除するという案を考えました趣旨は、一応私どもが、将来のことでございますので、われわれの予想に若干の狂いはあるといたしましても、需給推算をやりましてその不足分が出るということ、しこうしてその不足分輸入によつてまかなうといたしますと、その輸入される紙が現在の国内価格よりも高いであろうという推定、簡單に申しますればその二つの前提に基きまして、国内産業保護のための関税というものは、さしあたりその輸入分に関する限りはいらないという結論になると考えまして、この案を御提案申し上げたのであります。それからなお国内の製紙業の合理化につきましては、今具体的な政策の形で現われておりますのは、御承知のように税法上の特典、償却の促進の租税特別措置法におきまする特典がございますが、その業種の中に輸入機械、新しい高能率の機械を入れまして、税法上の特典を與える。他方その輸入につきましては、外貨資金を極力つけるというような措置もとつておるわけでありまして、さような具体的な政策の現われの中に、私どもが製紙業の保護をおろそかにしてないという気持を、御了察いただきたいと思います。
  27. 宮幡靖

    宮幡委員 時間もございませんので、より以上伺いたくないのでありますが、ただいままで伺いましたところでは、通産省のお考えといたしますと、やはり国内的に需給バランスがとれて行くということが基本であつて、しかも輸入価格国内価格より高いであろう、こういう想定のもとの免税でありますから、輸入価格国内価格より下まわつた場合には、これは当然保護関税の政策にのつとりまして、基本的な一%を課税することに御異論がないと私は思う。今まで数字をあげて御説明をいただきました諸般の事情を、もつと深く掘り下げて行かなければならぬのでございますが、あまり長くなつても御迷惑でありますから、その点は省略いたしまして、包括的に申しますと、大体価格の点で輸入紙が日本の内地価格より高くなかつたら、当然これは入つて来る。しかしながら事情は昨年の第十二国会審議した当時と違いまして、グレー・マーケツト・プライスでないことは当然推定できる。IMCの割当は、価格までは制限統制的な措置をとつておらないのでありますが、その割当物資が通常のマル公というものがあれば、それより高いわけはないと私は思つております。すでに輸入印刷紙に対しまする割当制度がかわつておる。従いまして、私ども関税を軽減いたしまして、国内不足するであろうと予想されまする印刷紙輸入にまちたいというその念願は、当時の状況によつて計画されました例の九千五百トンだけであろうと思います。これが遅れて入つて来るために、その特典を與えないということは、これは計画に違算を生ぜしむるであろうから、これに対しまする輸入税は将来にわたつて免税することに、私どもとしては決して反対いたしません。けれども新しく外国紙を輸入するために免税いたしまして、そして輸入を促進する等の策は、現在の国内産業の実情、あるいは紙自体の需給バラソス等を考えてみまして、これは当を得ないものであるということを私はかたく信じております。従いまして三月三十一日までの暫定的な免税措置というものは、計画の九千五百トン、これを限度としたものである。特にただいま徳永局長も触れられました外貨割当の点におきましても、国内産業保護意味におきまして、これは自動承認制の品目か、あるいはどういうふうになつておるかは、この前の委員会お尋ねしましたが、これもやはり時間の関係で掘り下げてありませんが、為替管理の面からいつても、不当に国内産業を圧迫いたしますような紙の輸入というものは、むしろ禁止的な態度をとるべきだと思います。かような意味からいつて、私どもは残念ながらこの政府原案に全面的に賛成の意を表することができません。そこでこれは後刻時間の関係がありますので、適当な措置を講じまして、現在の事情にマツチいたしまする一つの国会としての審議の結果を得たい、かように思つておるのであります。  そこで時間がありませんから飛びまして、大蔵当局に簡單に基本的なことを一つお伺いいたしたいと思います。昨年たしか第十国会だと思いますが、関税定率法を制定いたしました。これはまつたく制定といつてもよろしい。大正十五年以来改訂しないものをやつたわけです。そのときは御承知のように、ブレトシ・ウツズ協定に基く国際貿易憲章の一環であります国際貿易機関、ITOと申しますか、それに基きますいわゆるハヴアナ協定に基き、ガツトに加入するという前提のもとに、いわば無傑作最恵国待遇ということを基本といたしましたところの関税政策を、占領下にありながら自主独立の国家と同様に、日本がもし国際連合に加入を許されたといたしますならば――このガツトに加入することは拒否権を用いられないのでありまして、自由加入ができる。その態勢に沿うべく立てたものであります。これが日本の国際貿易に通されましたところの筋金であることを、天下に発表したわけであります。しかるにたまたまの事情に基きまして、一定の信念と方針と理論がなくて、ややもすれば関税定率を変更したり改訂したりするような運動が展開されるということは、私は遺憾にたえないのであります。大体におきまして今後通商航海條約におきましても、基本的な相互最悪国待遇ということを勘案いたしますならば、われわれ日本はたとい国際連合に加入しなくとも、平和條約の前文にある通り国際連合の精神を尊重し遵守する。その意味におきましても、国際信用に長くこたえるために、こいねがわくは関税定率法等はだれでも納得し得るところの正常な理論がない限り、みだりにこれを玩弄物視し、あるいはおもちや扱いをすべきものではないと思つておるのであります。この方針を大蔵当局としては、今後とも堅持せられるお考えであるかどうか。本日は大蔵大臣にこのことを確かめておきたいと思いましたが、御病気でお休みのようでありますから、かわつて主税局長から簡單でよろしゆうございますから、基本的な方針をお示し願いたいのであります。
  28. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 昨年関税定率法につきまして全般的に改正をいたしましたのは、一つは国内的にそれぞれ産業の事情等を考えまして、一刻も早く妥当な関税率を定めたいというのが一番大きな理由でございましたが、同時に今宮幡さんがお話のように、国際的にもはずかしからぬ関税定率法をつくりまして、ガツト等への加入の前提をつくる、こういうこともあわせて考えておる次第であります。やつてみました結果はいろいろ問題もございましたが、おおむね所期の目的を達成しつつあり、ただガツトの加入問題はこれはいろいろ国際的な問題がありまして、現在もまだそこまで至つておりませんが、平和條約発効後におきましては、なるべく早い機会に私ども早く加入し得るように、できる限りの努力をいたしてみたいと考えておる次第であります。昨年の秋理事会がございまして、それにも外務省から特にオプザーヴアーを派遣していただきまして、加入への準備等を私どもといたしましてもいたしておる次第でございまして、この次の機会におきましては、なるべくそういうような方向に持つて行きたいと考えております。なおそれに関連いたしまして、一旦きめた定率法を軽卒にかえはしないかというお話でございましたが、これは私どもやはり軽卒に別にかえておるつもりはありません。それぞれ必要に応じまして理由をよく聞きまして、実情に応じまして考慮いたしておるわけであります。今回の提案いたしておりますうちにも、重要機械の輸入とか、あるいは原油等に対する臨時的な免税措置関税定率法の一般的な税率に対しまして、わが国の現状に即応する暫定措置を相当広汎に講じているわけであります。これは私はやはりそれぞれ理由があるとすれば、これは別に先ほど申し上げました趣旨に違反するものではないと存じます。新聞用紙等に対しまして先ほど議論がございましたが、私ども徳永局長が最後に言われた点、つまりIMCに現実に必要だとしてわが国が申請をして、これは入れる必要があると一応判断しておるわけであります。それで入つて来る物資の価格が、これは宮幡さんが今指摘になりましたように、外国の建値では必ずしも入つて来ない。今までの見通しといたしましては、日本の紙の値段よりも低いところでは入つて来ないであろう。この辺がなかなかはつきりしないところでございましたが、そういう大体の事情があるということを私ども聞きましたので、そういう点を考えまして、臨時に免税措置をやつたものだ、こういう趣旨でございまして、関税制度全体をこれによつて適当にかえようとか、あるいはないがしろにしまして、いいかげんな処置をしようという趣旨ではないことを、御了承願います。
  29. 宮幡靖

    宮幡委員 大蔵当局関税政策に対する基本的な観念は、私どもも納得の行くものでありますが、ただいま取上げております印刷紙の問題につきましては、私はあくまでも九千五百トンの輸入計画が繰述べられた限度に免除をとどむべきである。こういう趣旨であります。従いまして、国内需給のバラソスの見通し、あるいはIMCの割当物資の価格等の十分の見通しがつかない場合において、通産省が輸入促進の態度をとられるということがありますと、これは非常な誤解を招くと思います。でありますから、こういう態度はとらない。このときには九千五百トンの輸入の達成しない、未輸入の分につきまして、在来の恩典に浴せしめる限度にとどめまして、その他は為替管理の方法によりまして――もし国内価格より高ければ、これは私は申しません。それは国内価格よりも安いという見通しの方が多いのであります。そういう状態になつて参る。しかも国内価格より高いという事態が、ただいまで申せば、ポンド三十六円の印刷紙がかりに二十五円になつたために、アメリカのものが三十円で高いということはできません。国内産業を殺しておいたあとで、それが高いからといつてさらに免税をして、外国のものを歓迎するというような、遺憾な態勢を招くわけであります。もちろん国内価格はコストによつて計算されている標準価格があるわけであります。一体印刷紙はポンド幾らでいいかということは、通産省ではわかつているはずだ。それより安いとか高いという問題は、むしろ国内産業の面から見ますと、これは慮外にしなければならぬくらいに私は考える。そうなつて来ないと、アメリカに対して二十年遅れた日本の製紙技術、北欧に対しても五年や十年遅れているといわれております国内製紙産業の、保護育成どころではない。近代化をはばむことになる。それでありますから、どらも今回の紙に対する免税措置を一箇年間延長しようという趣旨には、私どもは九千五百トンの未輸入分に対する恩典を継続せしめるという限度においてのみ、賛成し得るものであります。しかしただいまは討論でございませんから、私は賛否を必ずしも強く主張するものではありませんが、この点十分考慮せられまして、今後国民全般の立場から考えまして、特定の方面において歓迎せられて、大衆からはむしろ非難せられるというような方策につきましては、十分慎重に考えまして、措置を講ぜられたいと思うのであります。特に大蔵当局におきまする関税政策の基本は、ただいま中田局長から明示をいただきまして、これに対してわれわれは異論はございません。そうしてみますると、これらの政策は十分将来御研究を願いたいと同時に、今回の印刷紙の将来にわたります輸入というものについては、一―三月に計画されましたところの計画量の未輸入の方を対象としての免税、こういう筋が通らなければならない。この面におきましても、法的にどうしろとは私は考えませんが、通産省におきましてはあくまで行政的措置におきまして、これらの事情にマツチするような措置を講ぜられたいことをこの際要望いたしまして、ちようど私に與えられた時間も経過いたしておりますので、質問はこの程度で打切りたいと思います。
  30. 佐藤重遠

    佐藤委員長 深澤義守君。
  31. 深澤義守

    ○深澤委員 非常に時間が迫つておりますので、この際食糧庁長官に、食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案に関連いたしまして、お伺いしたいのであります。本法案には直接関係はございませんが、大蔵委員会としましては、食糧問題をお聞きする機会がなかなかないので、私はこの際ひとつ全体的な日本の食糧需給関係について、お伺いしたいのであります。  食糧問題については、統制撤廃で大分論議がございました。今国会に対しましても、麦の統制撤廃の法案提出するやに聞いておるのであります。この統制撤廃の見解というものは、食糧の需給状態に対する楽観的な見解であります。それにもかかわらず、最近においてビルマ米の輸入について、前根本農林大臣を政府は派遣をいたしまして、そうしてビルマ米の輸入の懇請をやつておるのであります。一方において統制の撤廃をやると言つておる。一方においては外国食糧の輸入に、わざわざ前農林大臣を派遣しなければならないということは、これは矛盾した現象であります。そこで私はこれは政府全体の動きでありますから、食糧長官に責があるのではないでありましようが、食糧長官の立場として、日本の今年度の食糧需給に対して自信を持つておられるかどうか。どういう方針を持つておられるのか。その点をまずお伺いしたいと思います。
  32. 東畑四郎

    ○東畑政府委員 食糧全体の本米穀年度に対する見通しいかんという御質問だと考えます。当委員会では申し上げなかつたのでございますが、たびたび申し上げておりますように、政府といたしましては、二十七米穀年度につきましての需給につきまして、米につきましては外米百万トン、供出二千五百五十万石というものを期待いたしまして、需給の安定を期しておる次第でございます。目下供出は二千四百六十四万石程度を確保いたしておりまして、一日三万石以上の供出が、例年に比べまして若干遅れておりますけれども、進行中でございまして、われわれはこの超過供出に非常な期待を実はいたしておるのであります。外米輸入につきまして、本米穀年度にすでに到着いたしましたもの、及びすでに買付済みのものは六十二万一千トン、これは二月末でございますが、そういうことになつております。百万トンに対しまして、まだ三月、四月、五月、六月、七月、八月という相当の期間がございますので、輸入の手当等につきまして、実は万全の措置を講じておるのであります。ただ同じ主食と申しましても、米と麦とは若干性格が違いまして、麦の方の輸入につきましては、実はただいまはそうさしたる困難がないのでございます。麦は、日本生産が遺憾ながら需要をまかなえませんために、需要量の約三分の二というものを、海外に依存しておるような次第でございます。そこが米と若干、同じ主食でありながら、性格が違うものでございます。麦は、この三分の二の輸入を持つておりまして管理いたしますなれば、物の需給そのものの操作というものは、政府自身が完全にコントロールできるという性格のものでございます。問題はいかなる価格国内価格を安定するかということが、生産者、消費者の問題でありまして、価格政策に適正を期しますれば、需給そのものの操作は、若干の米の考え方とかわることも可能であるという、実は私事務当局としての自信を持つております。ただいま深澤さんが、米は統制し、ビルマの方に懇請に行かれた――実は懇請とは考えていないのでありまして、答礼に行つていただいておる次第でありますが、麦と米とが同じ主食であり、その輸入のあり方、国内におけるあり方というものが若干違うというところに、やはり統制の方式が変化するものではないか、こういうように考えておりまして、私自身としまして、米につきましては、輸入その他供出等について、ますますわれわれの計画通りの懇請を続けなければならぬと考えるのでありますが、麦等につきましては、さしたる不安を持つていない、こういうような実情になつておることを、御了承願いたいと思います。
  33. 深澤義守

    ○深澤委員 長官の御意見はごもつともな御意見だと思うのでありますが、そこで私は、一般国民感情といたしまして、外米というものは歓迎されていないことが事実であります。それにもかかわらず、その歓迎されないビルマ米の輸入について、前農林大臣を派遣したということは、それほど日本の食糧が今日窮迫状態にあるのかという国民の不安が、私はあると思うのです。従つて今食糧長官は、麦の依存度が非常に高い、外国に三分の二をたよつておる、米の方は心配ないと言われているのでありますが、大体ビルマから輸入の予定は、この百万トンのうちどのくらいを予定されているのでしようか。そしてそのビルマから入つて来る予定のものが、なかなか困難で入つて来ない。それで根本前農林大臣を派遣したということになるのであります。ところが入つて来る外米というものに対しましては、実は国民はあまり期待していない。それにもかかわらず政府はそれをやつておるというところに、大きなギヤツプがあると思いますが、私が重ねてお伺いしたいのは、前根本農林大臣がビルマに懇請に行つたというその根拠は、それほど切実な問題として行かれたのかどうか。その点をなお重ねてお伺いしたい。
  34. 東畑四郎

    ○東畑政府委員 今日の段階におきまして、われわれがいろいろ需給数字を扱つております場合に、米食率そのものを維持して行きたいという場合に、遺憾ながらなお百万トン程度の外国米に依存をしなくちやならないのが、実は本年の現実なのでございます。その百万トンの外来の中には、いろいろな種類がございまして、内地米に近いものもございます。また内地米と性質の違つた米でございますが、国民が非常に期待していないという、一つの内地米に対する嗜好性というものはよくわかるのでありますが、政府といたしまうて、米自体の不足量をやはり内地米のみで補うことが、今日の生産事情では不可能でありますので、遺憾ながら外米を輸入いたしておるのでありまして、外米のうち、ビルマ米が幾らかという御質問でございますけれども、国別の数字はわかつておるのでありますが、これを責任者が申し上げますことは、国際相場等に非常な影響等がございますので、数字等を申し上げますことはごかんべんを願いたいと思います。ただ先ほど申し上げましたように、総額におきまして六十二万トン程度はすでに確保いたしております。今後どの程度確保しますかは、国別には申し上げにくい点もございます。根本特使のことにつきましては、私自身から申し上げる立場にない事項かとも考えます。
  35. 深澤義守

    ○深澤委員 いろいろな問題がございましようが、それで私がお伺いしたいのは、相当この外米が輸入されておりますが、国民はこれを内地米の嗜好性という立場からなかなか好まない。事実それは非常に好んでいないことは間違いないのであります。そこで私の県なんかでも、外米の配給が引取り手があまりないという事情にありまして、相当ストツクが出ておるのであります。私は全国的にそういうような傾向があるのではないかと思うのであります。この外米の受取り手がなくて、ストツクしている量が相当私はあると思うのです。その数字的な事情を、食糧管理局としてはおつかみになつていると思うのでありますが、現在どのような状態になつておるか、それをひとつ……。
  36. 東畑四郎

    ○東畑政府委員 深澤さんの御質問趣旨は、実は山梨県の事態かと考えます。実は申訳ないのでありますが、外米を入れましても、いろいろな品種があります。また検査等もやつておるのでありますけれども、中には若干不良のものもあつたのは事実でございます。たまたま山梨県等に四日分でございましたか、割当てました外米の中に、たしかこれはタイの外米であつたと思いますが、若干品質等が悪くて、われわれといたしまして、外米等につきましては、内地米の九〇%の価格をつけておるのでありますが、歩どまり等が非常に悪くて、若干問題を起した外米があることを了承いたして、まことに相済まなかつたと実は思つておるのでありますが、全体といたしますと、価格差をつけましたことによりまして、そう大きな配給辞退はないのでございまして、具体的の数字等につきましては、ただいま手持ちをいたしておりませんので、お答えできないのでありますが、そう大きな数字にはなつておらないのであります。もちろん外米を受取らない人もあるのでありますけれども、また外米を非常に希望される方も、価格等の関係でございますので、われわれといたしましては、今後再搗精その他等につきましても十分注意をいたしまして、また購入の仕方等につきましても、より検査を厳重にいたしまして、なるたけ良質なものを購入いたしますとともに、価格等につきましても、合理的な価格決定をひとついたしたい。こういうようにして努力をいたしたいと考えております。
  37. 深澤義守

    ○深澤委員 そこで時間がございませんので、簡單に要点だけ御質問申し上げますが、本年度の超過供出に対する奨励金あるいは委託集荷費で奨励金という形が、あるいはどういう形か知りませんが、一応出されているのであります。それに対する課税問題が先般からしばしば問題になつておりまして、一昨日もその問題で主税局長に内藤委員から質問いたしましたときに、この点については特別措置は講ぜずに、行政措置で解決できる見通しがあるというような見解があつたのでありますが、食糧管理局の方としては、この集荷手数料あるいはその他超過供出に対する奨励金等が、今年課税対象にならないという、大蔵当局と十分の行政的な打合せが完了しているかどうか。その点をひとりお伺いしたいと思います。
  38. 東畑四郎

    ○東畑政府委員 匿名供出その他一切の超過供出につきまして、二十六年の所得課税にはかからないということは、はつきりいたしておりますが、二十七年の所得について、匿名供出によるものにつきましては、これは免税措置を講ずるということが、両省においてはつきりいたしまして、通牒いたした次第でございます。しかし匿名によらない超過供出がどうなるかという問題等につきましては、なお折衝の余地があるのであります。そのことにつきましては、主税局長とわれわれの方とで、均衡を失しないように交渉をいたしておる次第であります。
  39. 深澤義守

    ○深澤委員 そこで本法案に関連いたしまして、若干の質問をいたしますが、この改正によりますと、農作物検査法によるところの経費を、食糧管理特別会計から支出するということでありますが、大体において食糧管理特別会計は、統制の食糧を中心として扱うのでありますが、農作物検査法によりますと、雑穀その他すべてのもりが検査の対象になるのでありまして、従つて食糧管理特別会計でこの経費を支出するということは、どうも妥当でないというぐあいに私は考える点が一点と、もう一つは現在農業協同組合等が非常に苦境に瀕しております。いずれの農業協同組合も困難を来しておりますが、これら農業協同組合に委託検査をいたしまして、そうしてその経費を政府が協同組合に交付するということになりますれば、農協の再建のためにも一つのてこになりますし、また検査の方から申しましても、自主的な検査という形で、民主的な方法がとられる、こういうことになりまして、私は一石二鳥の方針になるのではないかと考えているわけでありますが、この点についてひとつ長官の御意見を伺いたいと思います。
  40. 東畑四郎

    ○東畑政府委員 農産物検査の国営検査官は、実は食糧管理特別会計でその経費を負担いたしておるわけであります。農産物検査官は、ただいまのところ食糧庁の食糧管理特別会計の経費でやつておりますので、強制検査は米麦だけでございますけれども、その他の統制がとれましたものにつきまして、希望検査として、県の方からお頼みになつたものにつきましては、国がこれにかわつてつておるのであります。そういう建前上統制のとれましたものにつきましても、国の検査官が希望検査において検査をするということになつておりますので、その経費につきまして、手数料等が国に上りました場合一般会計から繰入れをしていただくというのが、実は建前でございまして、われわれといたしましては、国営検査主義というものはやはり堅持をいたしまして、強制検査は米麦でございますけれども、県等で希望がありました場合には、いたした方がより農民のために公正に行くのではないか、こういうように実は考えておる次第でございます。
  41. 深澤義守

    ○深澤委員 この際私はその点について、もちろん国営検査主義というものも、一つの理論としては筋が通るのでありますが、現実に食糧検査所を通じて行います検査というものは、農民の非難の的になつております。しかも一面には非常に情実関係によつて、国営検査の厳粛性が、ある場合にはゆがめられておるというような弊害も起つておるのであります。こういうような農民の感情から考えましても、また幾多の弊害から考えましても、この統制されておる主食についてはやむを得ませんが、その他のものは、これは民間団体の委託検査ということが、適当でないかというぐあいに考えておるのでありますが、この点の御意見だけは申し上げておきたいと思うのであります。  それから今年度の食管特別会計内容を見ますると、この農産物検査法によるところの本法案改正の予算というものは、今年度予算に組み入れられていないように私は見ておるのでありますが、これは新たにこの改正法律案によつて、この特別会計の予算を修正するということになるのでありますか。それとも現在の項目のうちでこの処理はできるということになりますのか。その点をお伺いしたいと思います。
  42. 東畑四郎

    ○東畑政府委員 一般会計の繰入れは六千九百万円ということになつておるのであります。六千九百万円は一般会計の予算で通りまして、食管特別会計には、たしか輸入補給金と同じ項目に二百七十億六千九百万円と端数がついておりますが、その端数六千九百万円の繰入れが検査の繰入れだと御了承願います。
  43. 佐藤重遠

    佐藤委員長 午前中はこの程度にとどめることにいたしまして、午後一時半まで休憩いたします。     午後零時四十一分休憩      寺     午後二時四十四分開議
  44. 佐藤重遠

    佐藤委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  関税定率法等の一部を改正する法律案特定道路整備事業特別会計法案食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案農業共済保険特別会計法の一部を改正する法律案国家公務員共済組合法の一部を改正する法律案、及び国家公務員等旅費に関する法律の一部を改正する法律案の六法案を、一括議題として質疑を続行いたします。松尾トシ子君。
  45. 松尾トシ子

    ○松尾委員 特定道路整備事業特別会計法につきまして、一点お尋ねを申し上げます。この特定道路の指定をどういう根拠によつておやりになるかということと、今年度の具体的計画を、その工事の面からあるいは資金の面から、全部のお話をこの際していただくとけつこうだと思います。
  46. 菊池明

    ○菊池政府委員 議題になつておりまする特定道路整備事業特別会計法案と一体になつております、道路整備特別措置法案の御説明を申し上げれば、その点がはつきりいたすと思いますので、一応それを御説明申し上げて、その上で箇所をどう選んだかということの御説明をいたしますが、御承知のようにただいま国及び地方公共団体の財政事情にかんがみまして、道路の整備を促進して交通の利便を増すということのために、一定の條件を備えた道路を新設あるいは改築いたしまして、その道路から通行料金をとることができるようにしたい。これによつて建設費を償還して行こうというのが、道路整備特別措置法案趣旨であります。このおもな点はだれがやるかということですが、これは建設大臣及び都道府県知事、市長であります。それからどういう道路がこれにできるかと申しますと、通行者がその通行によつて著しく利益を受けるような道路であるから、原則としてそれを無理に通らなければならないというような道路は、なるべく避けたいと思います。それからどういうものから料金をとるかと申しますと、原則として諸車及び無軌道電車であります。緊急自動車等からはこれはとりません。それから渡船場あるいはエレベーターの設備のあるものがありますが、そういうところでは歩く人からもとることができるようになります。どの程度の料金をとるかということですが、これは使います人が普通受けます利益の限度は、絶対越えないようにしようということであります。それから建設大臣は大蔵大臣と協議の上で、都道府県あるいは市に有料道路の費用の全部、あるいは一部を貸し付けることができるようにいたしたい。こういうのが大体の趣旨であります。有料制によります道路の整備は、わが国では初めてのことでありまして、この運用につきましては十分慎重を期して、万全を期したいと思つております。  ただいまの御質問のどういうところを選ぶかということですが、第一にそれをやることが通る人に與える利便が非常に大きいというものをまず選ぶ。従つてまたそれがうらはらになりますが、それから上る料金によつて建設費は当然ペイして行けるようなものでなければならぬというのが、この大筋でございます。それから来年度どういうものを考えているか。これは今後事務的にはこの法の手続を経なければ決定いたさないわけでありますが、この準備のために、こうこういうものを考えているというのが十数箇所ございまして、それによつて来年度の十五億円という特別会計の予算の基礎ができておるわけであります。
  47. 松尾トシ子

    ○松尾委員 そういたしますと、こういうものは特定道路として認定する場合に、その土地の一部の有力者とか、あるいは業者とのいろいろな関連がございまして、法律通りに行われないことが、ほかの場合にもしばしばあるようでございますから、そうした監督を十分にする何らかの方法をお考えになつているでしようか。
  48. 菊池明

    ○菊池政府委員 建設大臣が有料道路を設けようとします場合には、あらかじめ道路管理者の意見を聞かなければならないことになつております。管理者の方ではその意見を出します前に、公共団体の議会に諮問する。また管理者の方でやります場合には、建設大臣の許可を受けることになつております。その場合にも地方公共団体の議会に諮問をいたしますので、十分その許可の際に監督はできると思つております。
  49. 松尾トシ子

    ○松尾委員 私にちよつと関係のあることをお尋ねいたしたいのですけれども、新京浜道路というものをお考えになつているらしく、この予算を見ましても、六千一百万とつておりますけれども、それはどの辺でどういうふうにおやりになるのか。おわかりになつている程度をお聞かせ願いたい。
  50. 菊池明

    ○菊池政府委員 新京浜国道は、実は公共事業費で今年までやつて参つたのであります。御承知のように、あれは幅員が二十三メートルないし二十五メートルでありまして、高速車道と緩速車道、歩道というふうな計画ができておるわけであります。ただいま完成いたしておりますのは、まん中の車道だけで、一部歩道もできておりますが、特に緩速車道の方は完成いたしておりません。それから非常に危険な平面交叉が二箇所ございます。それを今後やる必要がある。特に車道の方は緩速車道ができておりませんために、自転車とか荷車とかが高速車道の方に入るので、それが非常に支障いたしておりますので、緩速車道の方も完成いたし、歩道も完成いたしまして、それで十分高速車道が機能を発揮し得るように完成しようというわけであります。
  51. 松尾トシ子

    ○松尾委員 全体としてはまだこれからお始めになるので、こまかいこと等はわからないと思いますが、私はこの法律に対しまして、よく世にある汚職めいたものが問題になつておる今日でございますし、こういつたものは大体が非常に利権的になりやすくなりますから、その利権を十分に気をつけてやつていただきたいと思います。言い過ぎかもわかりませんけれども、この大きな事業が、一つの地区から選出されている議員の選挙運動になつたり何かしないように、気をつけていただきたいと思います。
  52. 佐藤重遠

    佐藤委員長 深澤義守君。
  53. 深澤義守

    ○深澤委員 このたびの特定道路整備の事業は、まつたく新しい方針であることを、今も建設省の当局者も言われておるのであります。こういう方法はいまだかつて国の事業として行つたことはないのであります。こういう新しい方法を講ずるようになつたその根本的な原因は、どこにあるのか。いよいよ講和によつて独立になつたのだから、ひとつ独立態勢の一環としてやろうとでも考えておられるのか。私はどうもその原因に苦しむわけです。こういう方針を考えられた根本の原因についてお聞かせ願いたい。
  54. 菊池明

    ○菊池政府委員 道路は一般交通の用に供するという公共性を建前にしまして、今日まで参つたわけでありますが、今後といえどもその方針を捨てるわけではございません。原則としましては、できるだけ公共性をとうとんで、賃取り道路のごときものはなるべくないようにしたいというのが、われわれの考えておるところであります。しかしながら現在の財政状態では、御承知のように公共事業費の中の道路事業費というようなものは、現在の道路をよくして行くのに十分なだけがまわりません。これがそれでよろしいという建前でお話をいたさなければなりませんが、大体その公共性のあるものに、今日まで一般の税負担によつてつて行くという建前があるわけでありますから、その方針で行きますれば、税の上つたのに応じて、また広く普遍的に道路の改良が行われて行くということは、これは当然のことなんで、一箇所に非常に集中して大きな工事があるというような場合に、短時間に非常に大きな工事費をそこに集中するということは、非常に困難になる。従つて今日あちらこちらに大きな隘路が残されておる。これはいつまでたつても今の方針では、道路事業費が格段に増額しない限り、一箇所の橋が十年もかかるとか、トンネルが七年も八年もかかるというようなことで、解決がつかない。そこでもしそういう工事が完成しました場合に、それを利用する人が非常に利益を受けるというような場合、この利益を受ける人、つまり通行人からある程度の、そう高い料金ではないが、その利益の限度を絶対越えない程度でもつて料金を拂つて、それでもつて建設費を償還して行くという方法は、こういう際の打開の方策として悪くはなかろう。むしろ税をお拂いになつてなかなか道路もよくならぬという、つまり一箇所に集中するために、普遍的に返つて来ないというような方々に対しましては、むしろそういう方針の方が――一般公共事業費の方は全体的に広く行き、そういう集中的なものはそこを特に利用される人から、料金を頂戴してやつて行くという方針の方が、道路整備の促進の上に適当でなかろうか。またそれは道路の公共性との調和において、決して欠くるところはなかろうかというような考えから、こういうことを考えたわけでございます。
  55. 深澤義守

    ○深澤委員 それでは今までの公共事業でもやるが、こういう方法でもよかろうという程度の根拠からおやりになるというぐあいに、われわれは受取つておるのでありますが、そうではなく少くとも十五億の予算を計上して、まつたく公共性のある道路で、一応国の経費負担によつてやるべきものを有料でやるというのですが、こういう新しい制度をつくるということの背後には、それは緊急やむを得ないという事情に迫られているのではないかという印象を、われわれは受けるのであります。ところが、あなたの御答弁によりますと、こういう方法もよかろうではないかというような、きわめて安易な、そう緊急性を持つていないような御答弁なんです。どうもわれわれの法案から受ける感じと、あなたのお考えとではえらく食い違つて来るわけですが、その程度のお考え方でこの制度をおやりになるということでありますか。それともそのほかに、もつと緊急やむを得ない緊迫性を持つた必要に迫られておるというところから、おやりになるのか。その点もう一ぺんはつきりお伺いしたい。
  56. 菊池明

    ○菊池政府委員 交通上から緊迫と申せば申せないこともないかと思いますが、先ほどの講和がなかつたからとか、そういう緊迫の関係ではございません。関門トンネルのごときは十三年来かかつて、いまだ完成しておりません。まだあと三十億要するということで、このままでほつておきますと、これは普通の公共事業費ではあと何年かかるかわからぬというようなものが、あちらこちらにありますので、これを早く解決したいという意味であります。
  57. 深澤義守

    ○深澤委員 そこでなおお伺いいたしたいのは、道路を有料にするその根拠であります。これにはいろいろな方式があると思うのですが、この法案説明によりますと、受益者が利益を受ける範囲内において負担することが、料金算定の大体基礎になつているようであります。私たちの考えはそうでなくつて、一応建設費というものの総額を考え、それから道路なりあるいは橋なりの耐久年数を考え、あるいはその間における補修等の経費も考えまして、そういうものから割出して、大体一箇年間にどれだけのものが利用するか、従つて單価は幾らになつて来るかということの算定が、最も科学的にして、何人も納得し得る料金の算定の基礎ではないかと私は考えるのですが、ただ單に受益者の受ける利益の範囲内において、料金をとるということはどうも納得が行かない。料金算定の基準をどこに求めておるのか。その点をお伺いしたい。
  58. 菊池明

    ○菊池政府委員 もちろん建設費と、それからあとの維持費、運営費を考えます。それから償還年限は大体どれくらいという限度もございましよう。それともう一方の利益の限度と申しますのは、現在まわり道をするのに比べて、あるいは舗装のない道路を遠くまわるのを、近距離を舗装した道路でもつて早く運ぶ場合の差額は計算できますから、その両方から計算いたしまして、もちろんきめるわけでございます。條文には結局利益の限度ということが書いてございまして、建設費の方からの説明はございませんが、もちろんそれは考えた上で、利益を越えない程度できめたいと思います。
  59. 深澤義守

    ○深澤委員 結局それは道路なら道路が完成し、橋なら橋が完成する。そうすると、その道路なりあるいは橋梁の使える限りは有料であるということになるのか。それとも一定の年限を区切つて有料にするのか。そういう点については、どういうぐあいに考えておりますか。
  60. 菊池明

    ○菊池政府委員 これは償還してしまえば無料にする、こういう方針でございます。
  61. 深澤義守

    ○深澤委員 そうすると、最初から年数は予定せずに、とにかく償還してしまつたら無料にするという方針でございますか。
  62. 菊池明

    ○菊池政府委員 交通料を予定しまして、償還年限を一応立てます。それで最初はこの予定を立てました十箇年、十五箇年を目標にして償還できるような方針でやります。
  63. 深澤義守

    ○深澤委員 それから諸車及び無軌道電車とありますが、無軌道電車の方は大したことはないと思いますが、諸車とはどの程度のものを含むのか。その点を一つ伺います。
  64. 菊池明

    ○菊池政府委員 モーターがついて走る自動車類であります。但し関門トンネルはそれ以外のものもとるのであります。
  65. 深澤義守

    ○深澤委員 それからもう一つの問題は、駐留軍日本にたくさん駐留いたします。その駐留軍の軍事輸送等で、新京浜国道なりあるいは関門トンネル等は相当利用されると思うのですが、その場合における料金はとるのか、とらないのか、伺いたい。
  66. 菊池明

    ○菊池政府委員 それは行政協定なり、その後の協議の線に従うのでありまして、われわれの希望は、とりたいと思うのですが、おそらく軍事行動をしているものからは、常識的にはとれないだろうと思います。
  67. 深澤義守

    ○深澤委員 行政協定にはまだそういうことが明確になつていないようでありますが、そうなると、これだけの制度をお考えになる場合には当然この問題を予想して折衝すべきであると私は考えておりますし、明確に国会に報告する準備をなさることは当然であろうと私は考えますが、この国会法案をお出しになる前に総司令部関係と折衝されて、こういう方針で行くということはまだ決定されていないのですか。
  68. 菊池明

    ○菊池政府委員 総司令部の方には相談しませんが、外務省の方にこのわれわれの意思は伝えてございます。
  69. 深澤義守

    ○深澤委員 あなたの方の意思をお伝えしただけで、また具体的に、それが決定されているのか、いないのか、その点を伺いたい。
  70. 菊池明

    ○菊池政府委員 結論までは至つておりません。
  71. 深澤義守

    ○深澤委員 そういうことから申しまして、関門トンネルであるとか、新京浜国道というようなものは、おそらく軍事輸送の問題が相当出て来ると私は思う。ところがそのときに、あなたは今軍用あるいは軍事輸送は、常識としてはとれないというぐあいにお考えになつているのですから、あらかじめあなたの方の考えはもうきまつているわけです。そこで問題になるのは、こういう制度をおつくりになる場合においても、日本政府独自の立場からお考えになつているのでなしに、これはやはり今後駐留軍が十分使うことを予想して、総司令部等の相当強い要請もあつて、こういう制度ができて来たのじやないかというぐあいに考えられますが、その点はどうですか。
  72. 菊池明

    ○菊池政府委員 そういうことはございません。われわれが考えたことであります。
  73. 深澤義守

    ○深澤委員 それから具体的にこの予算案を見まして、伊東から下田、こういう方面に本年度は三千万円の予算を盛つてやるわけです。それから熱海から伊東、小田原から熱海、こういう温泉、遊覧地帶等に対してこういう制度を考えられて、早く道路をつくらなくちやならぬということになるのですが、それよりももつとほかに、たとえば中部山林の資源を十分有効に使うための道路であるとか、あるいはその他鉱山関係の資源を十分に出すような道路をつくるということの方が、優先的であると考えるのですが、どうもあまりに伊東、熱海という方面に力を注がれて、これに対してやるのだということは納得が行かない。この点は一体どういうわけですか。
  74. 菊池明

    ○菊池政府委員 これは特にここに上りましたから目立ちますが、公共事業費でもつてずつと毎年々々やつておるものでございまして、これならばペイするのだということで上つておるだけのことです。普通の公共事業費の方にすでに上つておつたものでございます。
  75. 佐藤重遠

    佐藤委員長 小山長規君。
  76. 小山長規

    ○小山委員 有料道路についてまずお伺いいたします。いろいろあるのでありますが、時間が十分にありませんので、要点だけお伺いすることにいたしたいと思うのでありますが、この有料道路を設定しようというときの基準であります。どういう基準によつてこれをなさろうとするのか。これはどなたか質問が出たかと思いますが、私少し遅れましたので、あらためてお伺いしておきたい。
  77. 菊池明

    ○菊池政府委員 個所の設定の方針というようなことでございますか。
  78. 小山長規

    ○小山委員 さようでございます。
  79. 菊池明

    ○菊池政府委員 それを施行しました場合に、そこを通る車両が他を通る今までのよりも、非常に利益を受けるというようなところが第一であります。それからまず、非常に一箇所に集中的に工事費がかさむというようなものを、この方法によつて早く解決したいということでございます。最もいい例は関門トンネルのごとき、五億も六億もかかる大きな橋梁というようなものを主としてやりたい。
  80. 小山長規

    ○小山委員 それは合格点に達するものは、そういう基準でやられるでありましようが、優先、先後のいずれを先にし、いずれをあとにするかということの判定は、何によつてやられるのか。それをお伺いしておきたい。
  81. 菊池明

    ○菊池政府委員 個所を選びます場合は、有料にいたせ、あるいはそうでない場合にいたしましても、どちらを選ぼうかというすれすれの場合には、その基準はきわめてむずかしいと思うのであります。点数をつけられるわけではありませんから、非常にむずかしいのですが、大体今までわれわれが見ておりまして、重要な路線というものはわかつておりますので、今まで公共事業もかけており、それがなかなかできないというようなものから選んで行こうというわけで、すれすれものをどちらを選ぶかという場合に、どういう点数でやるかということは非常に困難だと思います。
  82. 小山長規

    ○小山委員 そういたしますと、今まで公共事業等で施行して来たものに限る、こういうことでありますか。
  83. 菊池明

    ○菊池政府委員 そういうわけではございませんが、道路法に言つておる道路の中のものでありますから、どれでも公共事業を投じ得たものであります。
  84. 小山長規

    ○小山委員 私がお伺いしたいのは、たとえばお話にありましたように、熱海、伊東というような線がある。これはあるいはペイするのかもしれない。むろんペイするからおあげになつたのでありましようが、菊池さんも私のところの小林の須木のトンネルはいつかごらんになつたことがある。ああいう山坂を越えて三里も四里も県道を通らなければならない。ところがそこに一つの三、四百メートルのトンネルを掘れば、平坦な道路になつて、そうしてそこを通るトラックその他から料金をとつても、十分にペイすると思われるようなところは、どういうふうにお考えになつておるか。
  85. 菊池明

    ○菊池政府委員 そういうものももちろん詮議に上り得る資格はあると思います。
  86. 小山長規

    ○小山委員 詮議に上り得る場合に、私はその判定の基準をお伺いしておるのであつて、そのようなたとえば熱海、伊東のトンネルと須木のトンネルという場合に、いずれが優先、先後の順序になるのかということを御判断になる場合には、ただ政治的な考慮ということだけでなしに、何か事務的に一つの基準を持つていなければならぬはずであると思いますが、そういう点はいかがでありますか。
  87. 菊池明

    ○菊池政府委員 いつもそういう場合はあるのでありますが、まず交通量がどうか、それから交通の種類がどういうものかというようなことを勘案いたしまして、やつておるわけであります。
  88. 小山長規

    ○小山委員 どうもそれは現在の交通量の話をされておるのであつて、たとえばトンネルならトンネルが抜けた場合には、非常に交通量がふえるというような将来の予想はされないのかどうか。
  89. 菊池明

    ○菊池政府委員 もちろんできるだけいたします。生産物の高とか、そういうものを勘案いたしまして、それがどういうふうになるだろうか、またその地方にある車の数、車のふえる状況等を勘案いたしまして順位をきめております。
  90. 小山長規

    ○小山委員 私はやはりこういうふうな有料道路という法律をつくる以上は、ただ従来人車の交通が多いからとかいうようなことだけでなしに、それを開発することによつて、たとえば山林の資源が十分に開発されるというようなことも、判定の基準の中に十分にお入れにならなければならぬと思うのでありますが、建設省としてはどう考えていらつしやいますか。
  91. 菊池明

    ○菊池政府委員 ここにあがつて参りますものは、現在痛切に困つているところが解決し得ていないもの、それをまずやろうという趣旨でありまして、そういうものは大体今後の開発の方にも、もちろん考えておるわけであります。
  92. 小山長規

    ○小山委員 実体的なことはわかりましたが、それでは特別会計について二、三伺つてみたいのは、この特別会計が預金部から金を借りて、地方公共団体に又貸しをするという制度になつておる。そういたします場合に、地方公共団体はその債務としてはあるいは災害復旧の債務がある。あるいは学校施設の債務がある。そういうふうな債務をにらみ合せてその地方公共団体に金を貸すか、貸さぬかということをきめるのが、国としては当然のことであろうと思うのでありますが、ただ單にこの道路の必要性があるということから判断して、金を貸すということであつたならば、これの回收については一体どういうふうに判定したらいいのか。またかりにそれを判断するのは、やはり銀行局なりその他の大蔵省の機関がやるのだということであるならば、なぜ特別会計という一つのものをつくらなければならぬか。その点を銀行局長お尋ねしたい。
  93. 河野通一

    ○河野(通)政府委員 本来資金運用部を中心とした政府資金を、統一的に全体をにらんで総合的に運用するということは、それ自体の目的からいつてきわめて好ましいことであるし、そうすべきものだと考えております。その意味で実体的に今案に出ておりまする有料道路の関係の貸付金を、この会計がいたすというふうな行き方は、きわめて例外の措置と考えております。先ほど来お話がございましたように、この会計が新しい試みで出発するということでありますので、とりあえずのところといたしましては、この会計がある程度の資金をもつて、それを貸し付けるという経過的な便宜の措置をこの会計に限つて実は認めた、こういうことに相なつておるわけであります。従いまして本来の筋から言えば、やはり統一的に政府資金は運用して行く、貸し付けて行くということが必要でありますので、案にもございますように年限を限つて、その三年間を限りましてそういう特別の貸付方法を認める。だんだんそれが軌道に乗つて参りました上は、一般の地方債に対する貸付計画の一環として、本来の趣旨に返る、こういうふうな趣旨であります。
  94. 小山長規

    ○小山委員 ただいまのお答えでは、償還能力の判定は一体どうやつておるかということについてのお答えがないのでありますが、その点はいかがでありましようか。
  95. 河野通一

    ○河野(通)政府委員 償還その他につきましては、先ほど来お話もありましたように、有料道路でありますので、今後の償還計画とにらみ合せながら、その料金もきめられる一つの基準にもなるかと思います。一般のそういう償還財源が出て来ないものに比べますれば、有料で料金が入つて来るだけは、償還の点は有利と申しますか、確実さが多いのじやないかというように考えております。
  96. 小山長規

    ○小山委員 そういたしますと、この預金部から又貸しする方の金は、その料金で返せるという、つまり他の一般財源は全然見ないで、その料金だけで返せるものだけに限るということになりますか。
  97. 河野通一

    ○河野(通)政府委員 財源を料金だけに限ることは考えておりません。しかしその点も、一つの償還の財源の大きな部分になるというふうに私どもは考えております。
  98. 小山長規

    ○小山委員 しからばその他に災害復旧の債務が一体幾らあるのか、あるいは学校施設の債務が幾らあるのか、それに対して県の税收入はどれくらいになつておるかというふうなことをにらみ合せて、今まで大蔵省が統合的に資金運用をされておつたが、その判定の基準がくずれるのじやないかということが一つの理由であります。その点についてどう考えておるかということ。それから、はしよりますが、簡易生命保険の問題ですが、しからばこのような制度を認めるならど、簡易生命保険特別会計に預金部から金を貸してやつて、そして簡易生命保険によつて得た金を、預金部に返せばいいじやないかという議論が必ず出て来る。その点についてどう考えておるか。
  99. 河野通一

    ○河野(通)政府委員 第一点につきましては、お話のような償還の確実性を総合的に見て行かなければならぬという点もございますので、貸付をいたします場合におきましては、大蔵大臣は協議を受けるので、全体の財政計画、償還計画等は、総合的に見て参るつもりであります。第二点は、筋としてはお話の通りの私どもの意見でございます。ただ問題は先ほど申し上げましたように、本来の長い目で見た筋から言えば、こういう制度はおかしい。おかしいけれども、初めての試みでもあるから、臨時的に期限を切つて、すべり出しだけはそういう形でやつて行く。二十七年度以降三年間を限つて、しかも大蔵大臣と協議をした上で貨付を行う、いうことかたい制限をつけて発足をいたす、かように考えております。
  100. 小山長規

    ○小山委員 そういたしますと、この特定の道路に対して、特別会計が又貸しをするかしないかということの判定は、金を貸す方の大蔵省の側が最後の判定をする、こう考えてよろしゆうございますか。
  101. 河野通一

    ○河野(通)政府委員 道路整備特別措置法案の第七條に書いてありますように、建設大臣が貸し付ける。しかし建設大臣は、大蔵大臣と協議をしてこれを貸し付ける、いうことことになつております。貸付の主体はやはり建設大臣、しかし大蔵大臣と協議をして貸す、こういうことになつております。
  102. 小山長規

    ○小山委員 それではこの問題はこの程度にいたしまして、次に国家公務員共済組合法についても、いろいろ聞きたいことがあるのでありますけれども、時間の関係がありますので、二、三点だけ伺つておきます。  第一は、八十四條の二の改正であります。この中に「大蔵大臣は、組合の保健給付についての第三十一條各号の規定による費用の負担又は支拂の適正化を図ため必要があると認めるときは、」云々として、「診療簿その他その業務は関する帳簿書類を検査させることができる。」こういう規定があります。ところが従来この医師の診療簿を見るについては、一定の資格のある人が見なければならぬということであつたはずでありますが、この帳簿を見ます場合には、診療内容まで立ち入つてごらんになるのか。診療内容まで立ち入らなければ、この帳簿検査ができないのかどうか。あるいは單に診療費の收入あるいは支出だけ見れば、この検査は十分に行われるのかどうか。この点を一つ確かめておきたいのであります。またさらにもう一つは、その中にある検査をする当該職員というのは、大蔵省の官吏であればだれでもいいのか。あるいは医師としての心得のある人に限るのかどうか。この二点をぜひとも伺つておきたいのであります。
  103. 岸本晋

    ○岸本政府委員 ただいま御質問の、ございました第一点でございますが、診療簿その他の帳簿書類を拜見させていただくのは、どういう趣旨であるかという点であろうと思いますが、これは共済組合といたしまして、医療機関から診療の請求書がまわつて参りました場合、そのままうのみにできない場合が多々あるのでありまして、ある場合には診療機関に参りまして、診療簿その他の帳簿書類を拜見させていただく場合が往々ございます。しかしながら、これはあくまでも債務者たる共済組合の立場において、ただ請求書がまわつて来たから拂うのだということでなくて、内容を見せていただく。いわゆる債務者の立場として見せていただくわけであります。従いまして、その帳簿書類を拝見いたしまして、この診療内容がいいとか悪いとか、あるいは将来こういうことをやつては困るとかいうような、監督的な面まで入る意思は全然ないわけでございます。この点につきましては、本法案国会の御審議を経まして、成立いたしました場合のことを予想いたしまして、厚生省と、先ほど申し上げました意味合いにおける覚書も、すでに交換いたしておる次第でございます。  第二点といたしまして、立入り検査権限を行う者はだれであるか、医療に経験のある技官をもつて充てるか、あるいは普通の事務官かというような点が、問題になろうかと存じますが、この検査の趣旨は、先ほど申し上げましたように、單なる債務者たる立場において、検査をするという趣旨でございますので、特別な医療関係の技官を充てる予定はございません。大蔵省あるいは主計局で、この共済組合の業務を監督いたしておりますので、その大蔵省の下部機構でございます財務局部の事務官を使つて、この検査をいたさせよう、かように考えております。
  104. 小山長規

    ○小山委員 帳簿の検査の内容につきましては、巷間いろいろ心配しておる向きがあるようでありますから、厚生省とあなたの方で、この法案の成立を予想して考えておられるという覚書を、この席で発表できるならば、全文を読んでいただきたいのであります。
  105. 岸本晋

    ○岸本政府委員 ちよつと長文でございますが、よろしゆうございますか。
  106. 小山長規

    ○小山委員 それでは、朗読の煩を省きまして、その覚書の内容を、速記録に御記載願うということで了解いたします。  次にこの罰則でありますが、検査のために帳簿書類を見た者が、その内容を、現在の官吏が他に漏らしたような場合、あるいはそれを伝聞した人が漏らしたような場合、あるいはかつて官吏であつた者が、それを漏らしたような場合の罰則については、この八十四條には規定がないのでございますが、これは多分国家公務員法に同様の規定があるからということで、ここには省略されておるかとも思うのでありますけれども、健康保険法とか、その他の法律には、国家公務員法の罰則と同様な規定があるのでありますから、この本共済組合法の場合にも同様な罰則をつけるべき唇はないかと思うのでありますが、その点についての御見解を伺いたいのであります。
  107. 岸本晋

    ○岸本政府委員 ただいま御指摘のございましたように、健康保險法等には、検査を行いました者が秘密を漏らした場合の罰則規定はあるのでございます。昭和二十二年でございますが、国家公務員法が成立いたしましてからは、そういうふうな国家公務員に関しましては、取扱いがかわつてつておるわけであります。ただいま御指摘のありましたように、国家公務員法自体に、官吏が在職中に知り得た秘密は、退職後においても漏らしてはいけない。その場合には一定の罰則に付するという規定が明記してございます。その後の立法といたしましては、こうした関係の秘密厳守の義務、あるいは罰則規定は、国家公務員に関する限りは別々には取扱わない。国家公務員法一本で処理して行くという取扱いになつておるわけであります。現に昨年春通過いたしました国家公務員災害補償法におきましても、やはり災害補償決定の必要がある場合には、行政官庁は医療機関に立入り検査できることになつております。これについての秘密厳守の義務ないしは罰則の規定は、入つておらないのであります。
  108. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 私は、同僚委員質問いたしましたが、特定道路整備事業特別会計法について、二、三御質問いたします。  道路は、御承知通り公共性を十分持つておるものでありまするから、新しくこの法律によりまして新設道路、新設の橋というようなものを基準に考えておられましようか。従来ともありました道路、もしくは橋等におきましても、今この法律によりまして、新たに金を費しまして特定道路をつくる、こういう線を出されるのでありましようか。たとえて申しますると、東京の近郊に四ツ木橋のようなものがあります。これは十数年来かかつて、まだできておりません。しかしそういうものにつきましては、従来の公共事業費でやりまするか、あるいはさらにあらためて何億円かの銭を出しまして、戸有料道路ということにして橋の銭をとりますか。そういうような新旧事情もあろうと思います。が、道路局長はどういうふうに考えておられますか。特に公共事業を連続とておりますものを中断して特定道路にせられるか、もしくはどういうふうにしておられるかを、ひとつ承りたいと存じます。
  109. 菊池明

    ○菊池政府委員 なるべく新設の方が無難なわけでございますが、ただいまの四ツ木の橋の例でございますと、あれだけできておりますので、いまさら賃取りということはできないと思います。ただ前後道路がありまして、今ある橋がもうとても持たないというような場合に、なお公共事業費の方もむずかしい、五億も六億もかかるというような場合には、また、少し條文からは苦しいのでございますけれども、考えた方がいい場合も起りはしないかと思います。
  110. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 ちよつと具体的な例でございまするが、たとえば岡崎から多治見に至りますような道路、これも擴張しなければならぬ点があるわけですが、公共事業費ばかりにたよつておりますと長くなるおそれがありますから、あるいは町村、あるいは県等で特別に金を出しまして、たとえば橋を直すとか、あるいは道路を改修するということがあるかと思います。これは主としてこの近在でありますが、衣ヶ浦の橋のごときは、あるいは今後進展いたしますることによりまして、建設省といたしましては、有料道路をお試みのように考えておりまするか。こういうように新たにできまする橋につきましては、相当有料道路というものを、十分お持ちになつていらつしやるかどうか。毎年相当数量の橋を限定いたされまして予算を組み、もしくは議会の承認を得てやられるつもりでありましようか。その辺をひとつ承りたい。
  111. 菊池明

    ○菊池政府委員 今後どういうふうにしてやつて行くかということのお話でございますが、ただいま銀行局の方からお話がありましたのでおわかりでございまするが、何しろ新しい試みでありまして、また大蔵当局とされても普通の方法じやないのだというので、たいへんここは苦しいところがあるのでございますが、ただいまの法案通り、三箇年ぐらいこれを続けて行くということなんで、そうは広げられない。直轄の場合は別といたしまして、貸付の場合につきましては困難はないと思います。
  112. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 ただいまのお話は了承いたしましたが、この道路も本年からは鋪装するということを聞きまして、当然のことであろうと思います。都市の周辺におきましては、ぜひ鋪装してもらいたいということが、各地においても陳情があるわけでございますが、この舗装費の方も、やはり特別会計といたしまして、有料舗装費というものを考えておられまするかおられませんか。私どもはなるべくそういうことを考えたくないと思うのでありますが、たとえて申しますと、名古屋から新潟に通ずるような大道路等につきましても、考えがあるわけでございまするが、道路局長はどういうふうに思つておりますか、承りたい。
  113. 菊池明

    ○菊池政府委員 ただいまのところは、舗装だけしまして料金をとるということは考えておりません。
  114. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 もう一点伺いますが、橋もしくは観光のための道路、外資の導入、もしくは外国の遊覧客等を考えまして、この特定道路ということを考えたこともあろうかと思いまするが、今後もこういうような特定道路につきしては、日本といたしましては初めての事柄であると思いまするから、そういうような会計整理、先ほど来同僚委員からも考えがあつたわけでございますが、会計の基準等を厳然ときめまして、いやしくも不公平のないように、また使込み等、あるいは国損の起らないように、ひとつ十分に監督をしつつ、道路局長はわが国の道路網の完成に努力せられたいと思いまするが、これに対する御所見を承りたい。
  115. 菊池明

    ○菊池政府委員 御鞭撻をいただきましてありがとうございました。その趣旨を体しまして、十分努力いたします。
  116. 宮腰喜助

    ○宮腰委員 この道路の管理方法の問題についてお伺いしたいと思いますが、一般に道路を通常人よりも多く利用するような場合に、利益を受けるような場合に、受益者負担金というものがありまして、これを納めなければ強制徴收ができたのであります。今回の場合も受益者負担金と同様に、たとえば一般に拂われなかつた場合に、強到徴收ができるかどうか。その点をお伺いしたい。
  117. 菊池明

    ○菊池政府委員 料金を拂わない場合ですか。――実はこれは料金をとる方法は、走つておるものをとめてとりますので、非常に困難が伴う。そこでわれわれ普通に考え事と、電車の切符を売るとか買うときのように一々やるわけなんですが、そう苛斂誅求したのではかえつてお客様が来なかつたり、通らなかつたりすることもありましようし、それから非常に非難を受けることもあるであろう。関門のところにたまつたりなんかしたのでは困りますので、そうむずかしいことはあまり言えないのじやないかと思つております。外国の例を今調べに行つておりますが、簡單に簡便にあまりとめる特間もなくとれるような方法でやつておるようでありますから、それらも参考にいたしまして、それほど強くは、強制云々ということはないようにしたいと思つております。
  118. 宮腰喜助

    ○宮腰委員 よく以前は民間の団体に対しても、橋梁の建設を許しまして、料金をとる場合があるのでありますが、大体モーターのついておるような軍であれば一々そこにとめないで、どんどん通行して、お金をおいて行かない場合がずいぶんあり得ると思うのです。そういう場合にせつかくこういうような親心で道路をつくつても、料金がとれない結局政府で返還する債務を予定期間には納められないという状態になると思うのですが、この点について……。  もう一点お伺いしたいと思うのでありますが、それと同時に先ほど局長が申されたように、これはモーターのついた車だけだと、こう言われますが、今後農家でもリヤカーを手でひつぱり歩くよりも、こういうりつぱな道路ができれば、オート三輪車くらいで歩くようになると思うのでありますが、今までは一銭も道路に拂わない、受益者負担で料金をとられなかつたにかかわらず、今後農家に対してもこういう負担をかけるようなことになるのでありますが、こういう場合に農家には特別にできるかどうか。あるいはまた国家警察予備隊の移動の場合にも、これはとるのであるか。その点についてお伺いしたいと思います。
  119. 菊池明

    ○菊池政府委員 前段の問題は、やはり関門を設けまして、なるべく漏れないようにとることに努力はいたすということで、その方法は研究いたしております。  それから農家の三輪車という場合には、やはりとるつもりでございます。農家でも、そこを通りますことによつて、やはり利便を受けるのであります。もし必要がない場合は、外をまわるとかなんとかいうことになりますので、通つて損はないはずなのでありますから、その受ける利益の一部を拂うという建前でとりたいと思います。それから予備隊関係の団体行動等のときは、これはとれないだろうと思います。
  120. 宮腰喜助

    ○宮腰委員 ただいま、農家がモーターのついた三輪車くらいで運搬するような場合に、農家もそれを利用することによつて利益があるのだと申されますが、そういうふうに道路を改修しなくとも、現在無料で通行しておるのであります。牧穫時期になると相当の物資を運ぶ。そうすると、今まで全然納めなくていい人が、こういう部面でマイナスになつて来るということは、農村対策の上においても、マイナスではないか。あるいはまた考えられることは、橋梁だけでもそれでは許可しますということで、橋梁の料金をとる。今までは木橋であつて無料であつたものが、今度コンクリートに直したから有料にするのだということであると、農村に対する負担が相当大きくなる。こういう点もやはり考える必要があるのじやないかと思うのですが、農家に対しては特別に無料にするとか、そういう特別なお考えはないかどうか、伺つておきたいと思います。
  121. 菊池明

    ○菊池政府委員 今まで通つておる道があつて、今度これを通らなければならぬという場合は、少いと思うのでございます。それから非常に大きな橋等を考えておりますから、今まで渡し等で行つておつた者が、橋の上を行くというようなことになるのでありまして、農家の方々に、これがでぎたためにかえつて負担が増すことはなかろうと思います。なお徴収いたしまする車両の種類を、政令で定めることになつておりますので、その点考えられる余地もまだあろうと思いますが、前段申しましたように、これができたために、今までとられなかつたものがとられるという感じのない場合に、適用されるものとお考え願います。
  122. 苫米地英俊

    ○苫米地(英)委員 関連して……。今予備隊の問題が出ましたが、私のお伺いしたいのは官庁の自動車、トラック等はどうなるかという点であります。
  123. 菊池明

    ○菊池政府委員 料金をとります。
  124. 苫米地英俊

    ○苫米地(英)委員 それは、たとい建設省のものであつてもとりますか。
  125. 菊池明

    ○菊池政府委員 とります。
  126. 深澤義守

    ○深澤委員 国家公務員共済組合法の一部を改正する法律案について、お伺いしたいと思います。保健給付の支拂いの適正をはかるために、組合員に対する療養費の現金支拂いを制限するという制限は、どの程度におやりになるのか、その点をひとつ伺います。
  127. 岸本晋

    ○岸本政府委員 これは、法律提案理由に書いてございます制限という言葉を、非常に強く響いておとりになつたのではないかと思うのでありますが、ちよつと実態が技術的なこまかい問題でございますので、詳しく申し上げますと、現在国家公務員の共済組合員が医療機関を利用いたします場合に  は、組合の直営の医療機関を利用いたします場合と、組合で特別な契約を締結いたしております契約病院というものを利用いたします場合、それから健康保険医を利用いたす場合、そのほかに一般の町の開業医を利用いたす場合、この四つの場合がございます。現在までの法律の建前では、共済組合員か病気にかかつた場合には、その四つのうちのどの医療機関にかかつてもよろしい、という建前になつておるわけでございます。ところがさきに申しました三者、つまり健康保険医までのところは、組合が直接に費用をお医者さんに支拂うのでありまして、患者からお医者さんに支拂うわけではないのであります。ところが一般開業医を利用いたしました場合には、まず組合員がお医者さんに金を支拂いまして、組合員からさらに組合に金を請求するという建前になつておるわけでございます。この最後の場合を療養費の現金支拂いという名称で呼んでおるわけでございます。ところがこれが非常に濫用されがちなのでございます。と申しますのは、現在の共済組合の事務能力からいたしまして、そうした場合の報酬請求の内容を、的確に審査するだけのことができませんので、ともいたしますると、出て参つた請求書そのままをうのみにして拂つてしまうという事例が多々ございます。これが非常に不必要な支拂いを起しておるわけであります。これを押えて行こう。つまり組合員である以上は、あくまでも組合の病院であるとか、健康保険医を積極的に利用していただく。ただ例外的に地理的な関係であるとか、あるいは医者の専門の関係で、そういうものを利用できないという場合には、やむを得ないから一般の開業医を利用してもさしつかえないというふうに、制度を改めて行く趣旨でございます。この点は民間の健康保険につきましても、まつたく同様な取扱いをやつておるわけでございまして、特に共済組合員の待遇を低下させるという趣旨ではないのであります。
  128. 深澤義守

    ○深澤委員 それから医療機関に対して、大蔵大臣の監督権を規定したのでありますが、大体医療機関に対する監督権というものは、私は厚生大臣の関係であろうと思うのでありますが、厚生大臣もある程度の監督権を持つておる。その上に大蔵大臣の監督権をも認めて、そうしてその報告をしなかつた場合とか、虚偽の報告をした場合とか、あるいは職員の立入りを拒んだ場合だとか、そういう場合には六箇月以下の懲役、または一万円以下の罰金に処すとかいう強権的な措置を講じまして、大蔵大臣の権限を及ぼすということは、医療機関の活動というものを非常に制限し、共済組合の活動というものを非常に円滑にしない結果になると、私は思うのであります。こういうところまで大蔵大臣の権限が乗り出さなくても、これは厚生省の関係において解決するということの方が、妥当のように考えますが、どういう趣旨から大蔵大臣の監督権をここに法定されるのか。その点をひとつ伺いたい。
  129. 岸本晋

    ○岸本政府委員 今日の国家公務員の共済組合は、一般の社会保険の場合と同様に、非常に受診率が高く、経営内容が苦しくなつておるのでございます。一昨二十四年度にもやはり三億程度の赤字を出して、国会で御審議いただきまして、国庫補助で切り抜けたわけでございます。二十五年度にありましてもやはり相当な赤字がまだ解消していないという状態でございます。そのおもな内容は、やはり医療費が非常に増高しておる。しかもその中には最近の私どものところで行いました監査によりますと、相当な不正な支拂いも行われておる。残念でございますが、そうした点が発見されたわけでございます。そこで医療報酬の支拂いに対して、できるだけ適正にして行き、いらない金はできるだけ拂わないようにしよう。それによつて公務員の最後のよりどころであります共済組合の経営を健全に持つて行こう、こういう趣旨でいろいろ努力いたしおるわけでございます。医療機関に対しましてこうした検査権を新たに入れましたのも、この趣旨から出たわけでございまして、従来の監査によりますと、とかく水増し請求でございますとか、あるいは実体のない、からの請求、これが出て来るのでございます。そうしたものを発見いたしますためには、まあやむを得ない場合には、医療機関に参りまして、診療簿等を調査させていただかなければならない、かように考えているわけでございます。これはしかもそのときには、先ほど小山委員の御質問に対してお答え申し上げましたとまつたく同様でありまして、債務者たる立場として支拂うわけであります。医療機関に対して監督権限を及ぼすという性格のものではないのでございます。これは卑近なたとえを引いてまことに恐縮でございますが、料理屋に上つて勘定書がまわつて来たときに、これは自分の注文した品数とそれに対する定価の通りになつているかどうか、そういうことを調べるのが目的であります。料理がうまいまずい、料理人をかえろ、そういうところまで申しておるのではないのでございます。これはあくまでも債務者たる立場において、しかも最近の共済組合の状況にかんがみまして、できるだけ保健給付の支拂いの適正を期して行こうという趣旨で、出発しておるものであります。
  130. 深澤義守

    ○深澤委員 債務者が支拂う場合に、強権的な裏づけをもつて調査するということについては、どうもわれわれは納得ができないのです。結局あなたの今の御説明によると、共済組合の円滑な運営のためには、不正がある、その不正の根源を断つためには、大蔵大臣の権限によつて検査監督をする、こういう法定をしなければならぬという御趣旨でありますが、單に不正やあるいは不当の支拂いということによつて、共済組合の内容が悪いのではなくて、結局診療者が非常に多くなつたというところに、私は原因があるのではないかと思います。それからもう一つの問題は、最近において医療費が非常にかさんで来た、そういうところに私は根本的な問題があると思います。それを單に不正なるあるいは不当なる支拂いがあるからということによつて、問題が解決するという考え方から、この大蔵大臣の立ち入つた権限を認めるということ臓、これはかえつて私は、この共済組合の活動というものを不円滑にする結果になるのではないか、結局角をためて牛を殺すの結果になるのではないかというふうに考えるのですが、その点についてもう一度あなたの御見解を承りたい。
  131. 岸本晋

    ○岸本政府委員 医療機関の検査立入り権限を今回規定いたそうといたしましたのは、これだけによつて組合の経営を健全にしようという趣旨のものではないのでございまして、監督官庁としての立場においては、これ以外のあらゆる手を打つておるわけでございます。先ほど申しました医療費の直接支拂いを制限するというのも、やはり一つの手でございます。このほか行政上の措置としても、できるものはいろいろ手を打つておるのでございます。これだけは特に今回の法律に入りましたので、そういうふうな感じをお受けになるのではないかと思うのでございますが、これはできるだけ水の漏るところはふさいで行こう、こういう趣旨から出たものにすぎないのでございます。これによつて共済組合の活動がかえつて不円滑になるのではないか、一般のお医者さんからきらわれて、共済組合が扱つてもらえなくなるのではないかという心配のあることも、私どもも一応考えたのでございます。しかしながらこうした権限を発動いたしますのも、これはごく例外的なものでございまして、心証をいたしまして非常におかしい場合に限つて、検査いたすのでございます。日常業務といたしまして、毎日医療機関に出かけて行つて、がしやしや医議案ひつかきまわすということは、毛頭考えてないのであります。その点は医療機関の側からも、十分なる御援助をいただけるものと期待いたしております。
  132. 深澤義守

    ○深澤委員 時間がないようでありますから簡單にもう一つ。……国家公務員等旅費に関する法律に関しまして、御質問申上げたいと思いますが、旅費の全体の増額をすべき情勢にあるということは、これはわれわれも反対することは何もないのであります。ただこの値上げの仕方において、やはり上に薄く、それから下に厚いというやり方でなしに、逆に上に厚く下に薄いという結果になつていると私は思うのであります。特に外国旅行の旅費宿泊料の場合におきましては、従来の九百円の日当並びに二千七百円の宿泊料というものが、数倍に上つておるわけであります。ところが内国旅行の場合におきましては、それほどの率に上つてないという不均衡があるのでありますが、今度の旅費の増額の大体目的とするところは、今後外国旅行者が非常にふえて来る、これを優待するという意味において、この増額が行われたという印象すらわれわれは受けるのであります。大体今度の旅費増額に対する根本的な観念はどこにあるのか。その点をひとつ伺いたい。
  133. 岸本晋

    ○岸本政府委員 今回の旅費定額の改訂の考えておりますところは、やはり内国旅行については約二年前決定された定額が現行の定額でございますので、その後の物価等の値上り等を考慮いたしまして引上げる、その引上げます場合にも必ずしも、ただいまお述べになりましたように、下に薄く上に厚くというような方向ではやつてないのでございまして、上下の開きというものは従前とかわりないのであります。それから外国旅行の旅費につきましては、これは特に増額というような措置は考えておらないのでございまして、最低基準と最高基準は、現行で表に認められております旅費定額をそのまま上下で押えまして、その間を内国旅行の場合の段階に応じて、振りわけたという程度でございまして、特に外国旅行のための増額ということは行つておりません。
  134. 深澤義守

    ○深澤委員 それは給與の根本が悪いのでありまして、非常な職階制的の性格を持つておる給與の決定をいたしたところに、原因があるのでありまして、それに基いてやつておるから、結局上に厚く下に薄いという結果になるのであります。  もう一つこれは非常に極端に現われておる問題を、お伺いしたいのであります。二十七條において在勤地内の旅行の旅費の場合を考えてみるときに、在勤地内に宿泊した場合において、今までの法律では甲地八百円、乙地六百四十円、この定額の範囲内において実費の宿泊料を支給する、こういうことになつておる。実費と申しても大体七、八割程度の実費がもらえるという実情だそうであります。今度の場合なるほど甲地を九百四十円、乙地七百五十円といたしましたが、それは半額、二分の一に相当する宿泊料を支拂うということになりまして、甲地において四百七十円、乙地において三百七十五円しかもらえない。旧法による八百円、六百四十円に対する八割程度をもらつた方が、百円くらい多いという結果になる。今度の改正の増額は、実際において在勤地内の旅行の場合には、非常に減額になるという結果になつて来ておる。この点はどういうぐあいに考えておりますか。
  135. 岸本晋

    ○岸本政府委員 元来地内の旅行で宿泊するということは、非常に異例のことでございます。この場合の在勤地内の宿泊料につきましては、いろいろ各省庁取扱いがまちまちでございます。しかしながら大体において半額程度というのが大体のラインでございまして、各省の実行いたしておりますところは大体半額でございます。それを実費ということに今までのような方式で続けて参りますと、事務手続上非常に困るということで、やはり二分の一というふうにはつきり改めたわけでございます。
  136. 深澤義守

    ○深澤委員 もう一つお伺いいたしたいことは、大体旅費あるいは日当、宿泊料の支給を受ける部分、そういうものはこれは公務員全体で均霑するものではないと思うのであります。特に出張の多い職場におる者、あるいは視察の関係の非常に多い者、なお高級官僚の方々は、いろいろな口実をつけて出張が非常に多いのであります。従つてこの旅費の増額、宿泊料の増額によつて恵まれる公務員の人々は、高級官僚の人とそういう特殊な職場におられる方が、これによつて恵まれるという結果になると私は思います。  もう一つは、出張あるいは視察あるいは監視等に出かける場合に、多くは最近において国民のあまり利益でない問題にいろいろな突発事件が起つて、それを視察するとかあるいは監視に行くとか、あるいは総司令部等の要請によつていろいろな視察に出かけるとかいうような出張が、非常に多いやにわれわれは聞いております。従つて旅費の増額によつて利益を受けるというものは、決して一般公務員でなくて一部の人々にすぎない。むしろ公務員の中における特権的な立場にある人々が、この利益を受けるという結果になりますので、われわれはこの点は単に国家公務員の旅費並びにその他の増額が、公務員全体に及ぼす利益であるというぐあいに考えられないということが言えると思うのであります。そこでもう一つ問題になるのは、たとえば労働省の基準監督局における職員のごときは、その職務の万全を期そうといたしましても、なかなかできないというような問題が、この旅費日当の問題とからんで来ている。あるいは農林省関係の耕地の調査とか。あるいは測量とかいう問題について、旅費日当の問題について、下級職員の人々は地方へ出張することが困難だというような、幾多の事情があるのでありまするが、こういう問題が今度の増額によつて、根本的には解決されないというぐあいに考えられるのであります。そういう意味において、われわれは必ずしもこの増額ということは、公務員全般に及ぼす利益という観点から賛成するという考えが出て来ないのであります。私の概括的な意見に対して、当局の方はどういうぐあいに考えられておりますか。その点をひとつお伺いしたい。
  137. 岸本晋

    ○岸本政府委員 ただいまのお話は、出張旅行と申しますか、そうしたものが一部の特権階級あるいは一部の職員だけに限られて、下級職員が潤わないという御質問であろうかと存じますが、これはやはり旅費法の精神といたしましては、特別な公務がありまして、そのために職員でなければ出張できない、出張する必要があるという場合に限つて、出張命令が出るわけでありまして、一部の者だけを対象として出ることは、まずないと考えられるわけでございます。もちろん出張に出るのでございますから、役所に入り立てのまだ西も東もわからないような職員を出すわけには参りませんので、外に出しまして一人前に働ける職員が対象になるということは、争えない事実だと思います。また特殊な資格を持つた職員でなければ出張ができない、調査権限もないという事情があると存じます。こうした場合が特に目立つのではないかと思いますが、全体といたしましては、特に一部のものだけにするという旅費制度は行われていないかと存じます。
  138. 奧村又十郎

    ○奧村委員 ただいま議題となりました関税定率法等の一部を改正する法律案特定道路整備事業特別会計法案食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案農業共済保険特別会計法の一部を改正する法律案国家公務員共済組合法の一部を改正する法律案、及び国家公務員等旅費に関する法律の一部を改正する法律案の六法案につきましては、質疑も大体盡されたと思われますので、この際右六法案につきましては、質疑を打切られんことを望みます。
  139. 佐藤重遠

    佐藤委員長 ただいまの奥村君の動議のごとく決定するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  140. 佐藤重遠

    佐藤委員長 御異議ないようですから、ただいま議題となつております六法案につきましては、以上をもつて質疑を全部打切ることといたします。
  141. 奧村又十郎

    ○奧村委員 ただいま質疑を打切りました六法案中、特定道路整備事業特別会計法案食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案農業共済保険特別会計法の一部を改正する法律案国家公務員共済組合法の一部を改正する法律案、及び国家公務員等旅費に関する法律の一部を改正する法律案の五法案については、討論を省略して、ただちに採決に入られんことを望みます。
  142. 佐藤重遠

    佐藤委員長 ただいまの奥村委員の動議のごとく決定するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  143. 佐藤重遠

    佐藤委員長 御異議ないようですから、特定道路整備事業特別会計法案食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案農業共済保険特別会計法の一部を改正する法律案国家公務員共済組合法の一部を改正する法律案、及び国家公務員等旅費に関する法律の一部を改正する法律案の五法案につきましては、討論を省略して、ただちに採決に入ります。  まず特定道路整備事業特別会計法案に賛成の諸君の起立を願います。     〔賛成者起立〕
  144. 佐藤重遠

    佐藤委員長 起立多数。よつて本案は原案通り可決いたしました。  次に食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案農業共済保險特別会計法の一部を改正する法律案国家公務員共済組合法の一部を改正する法律案、及び国家公務員等旅費に関する法律の一部を改正する法律案の四案を、一括議題として採決いたします。  右四案を原案の通り可決するに賛成の諸君の起立をお願いします。     〔賛成者起立〕
  145. 佐藤重遠

    佐藤委員長 起立多数。よつて右四案はいずれも原案の通り可決せられました。  次に関税定率法等の一部を改正する法律案議題といたします。本案に対しましては修正案が提出せられておりまするので、修正案提出者より提案趣旨説明を聴取いたしたいと存じます。修正案提出宮幡靖君。
  146. 宮幡靖

    宮幡委員 ただいま議題となつております関税定率法等の一部を改正する法律案につきまして、修正案を提出いたします。修正案の要領は別にお手元に配付いたしてございますので、それをごらん願いまして、かつ速記録へ載せていただきまして、この際朗読を省略させていただきます。  そこで修正案の概要を申し上げますると、第一点は印刷紙に対します減税期間が、原案におきましては三月三十一日で期間が切れますので、さらに四月一日から明年三月三十一日まで延長しようというのでありまして、この考え方を持ちました当時におきましては、いまだ新聞用紙輸入ということが必要な事態も若干推定されたのみならず、一般の物資と同様IMC物資以外の通常物資としての輸入が、期待されておつたのでありますが、ただいまでは国際割当物資、いわゆる工MC物資となりまして、一般市場から灰色値段等によりまして購入するというような事態もなくなりました。従いまして価格の点におきましても、あえて国内市場のものより高額であるというような状況も、解消されて来るであろうという事態であります。特に本年三月三十一日までかりに一〇%の課税を免除いたしました有力なる理由は、国内需給が不安定である、ことには電力の問題から来ますところの減産の危機、かようなことを配慮いたしまして、この充足をはかるため、三月三十一日までこの措置を講じたわけであります。しかるところ、その後輸入の実績というものは、いろいろな事情によりまして十分ではないのみならず、成立いたしました輸入契約の九千五百トン、そのうちでわずかに国内に現に輸入されましたものは、五百トンにしかすぎないということが明らかになつております。従いまして今後、これは既契約の分でありますので、順次輸入されて来るであろうということも、また考えなければならない、こういう事態を見合つて参りますと、用紙不足に対しまする一つの緊急措置としていたしました輸入計画の分が国内に入るまでの間は、やはり免税をいたしてやるべきだ。しからざる部分、いわゆる新規の需要に対しまする輸入というものには、もはや免税を継続する必要はないという事態になつたように考えます。そこで原案の一箇年はやや長きに失するのきらいがありますので、これを六箇月に修正いたしまして、すでに免税の條件において輸入を計画いたしましたものの残部についての輸入には、ひとしく免税の恩典に浴せしめる。おおむねその他の新しい用紙はあえて輸入にまたずとも、国内充足ができる。のみならず進んでは保護関税目的のもとに、国内産業の保護育成にもつと力を注ぐべきである。かような観点から原案の一箇年の免税の期間を、六箇月に短縮いたしたいというのが、第一点の修正の要旨であります。  次には、これはおもに輸出振興の資源で、これも輸出製品の大宗とも申すべきところの繊維品の染色の問題に、重大な関係のあるものでございまして、もちろん日本の染料工業の現状から見ますると、消費者であります染色業者、あるいは織物業者という面とは、必ずしも利害が一致しておるわけではありません。この見方についてはあるいは異論があるかもしれませんが、現状の段階におきましては特定の染料、ことに特許の関係等によりまして、その自主権がいまだ日本国内に及んでおらないような、たとえて申しますと、ピグメント・レジン・カラー・ベース、及びエキステンダーというような染料につきましては、もちろん日本国内産業において、これにかわるべきものの生産が勃興いたしますことを、われわれは期待いたしおる存でありますけれども、現状の段階におきましては、輸出綿布の堅牢度を向上させ、われわれが海外市場におきまして、かつて先輩のやつて参りました繊維品の市場獲得等に、十分な競争のカをたくわえる意味におきましても、ぜひともこれらにつきましては輸入を容易ならしめまして、輸出振興の一助となすべきであろうと信ずるのであります。従いまして、これを長期にわたつて行いますことについては、もちろん異論がございますので、暫定措置といたしまして、新たに一箇年間だけ免税措置を講じたいというのが、修正の要旨であります。これに伴いまして同様建染染料のうちスレン染料につきましては、一箇年間の暫定計画の税率を二〇%と先国会において定めたのでありまするが、諸般の実情を勘案いたしますると、当初暫定税率を定めます場合の衆議院の意見の通り、一五%程度というのが妥当のように考えられますので、この際去る関税定率を制定いたしました当時の国会状況と見合いまして、この一五%に引きもどしまして免税措置を講じて参りたい。これはあくまでも繊維製品の加工原価をできるだけ低くいたしまして、もしありとするならば、他国との競争に優位な地位を占められるという観念から出ました修正案であります。以上の二点が大体の修正の要旨でありますから、何とぞ提案者の趣旨を十分御了解の上、もちろん物品につきます生産消費の両面から参ります異論等もあることと存じまするが、現下の実情においてはかかる処置を講ずることが、最も適切妥当であると信じまして、皆さんの御賛成を仰ぐ次第であります。
  147. 佐藤重遠

    佐藤委員長 修正案の趣旨説明は終りました。  これより本案及び宮幡提出にかかる修正案を一括議題として討論に入ります。討論は通告順によつてこれを許可いたします。松尾トシ子君。
  148. 松尾トシ子

    ○松尾委員 私は社会党を代表いたしまして、ただいま議題となつております関税定率法等の一部を改正する法律案に対しまして、ある点は非常に賛成で、ある点はどうも了解が行かないというような複雑なものを感じますので、全体としては反対をしておきます。そしてこれを参議院にまわしてから、社会党的に修正するところは修正させようと考えております。何となれば政府は、この提案理由を見ますると、国内産業を保護育成するためというふうに書いてございますが、関税定率をしばしば手心を加えたりなどいたしましても、国内産業の保護ということが完全に遂行され得るとは思われないのであります。従いまして、国家の総合的経済政策を実施しなければならないようにも感じられます。よい例をあげますと、砂糖の問題でございます。砂糖の供給量の九六%は外国輸入に依存し、国内産はわずかに四%と聞いておりますが、関税をかけることによつて痛しかゆしの感があるのでございます。関税があるために、消費者はそれだけ高い砂糖を使用しなければならないと言う。ほかの面からいうと、わずかで問題にならないような生産しか持たない国内砂糖の精製者に向つても、これをそのままにしておくわけに行かないというふうになります。新聞紙の問題にしましても、一方では関税をはずすことを喜び、一方では関税をかけることを叫んでいるという調子で、なかなか複雑ので、とりあえずこれは全体的に反対の意を表しておくものでございます。
  149. 佐藤重遠

    佐藤委員長 宮腰喜助君。
  150. 宮腰喜助

    ○宮腰委員 関税定率法の問題は、日本の貿易振興の上においてプラスになる面とマイナスになる面とありまして、これに重税をかけるということになりますと、諸外国から報復手段として、日本では保護関税制度を用いているから、われわれも報復しなければならないということで、輸出に非常に影響するものもあります。また稀少物資してどうしても輸入に仰がなければならないものもありますので、この関税定率法を制定するには、慎重の上にこれを決定しなければならない、こういう意味合いで、改進党の態度としては、この定率法の一部改正の中でも、賛成の部分と賛成しがたい点とありますが、まずわれわれは條件をつけてこれに賛成をするものであります。そこで新聞紙輸入税の問題でありますが、これなども私は日本の現在の山林の状態から見まして、ごく最近洋紙パルプ製造のために濫伐の結果、治山治水上重大な影響を及ぼしておる。こういう意味合いから言つても、新聞紙輸入はなるべくして、農山村の治山治水を遂行するという意味から言つても、ぜひこれは自由党の修正された案の通り、われわれは賛意を表するものであります。但しこの新しく自由党から出した修正案の中の薬品の輸入税の問題でありますが、これを二割から一割五分に引下げるということについては、われわれは反対の意を表するものであります。従つて修正案に対しては、新聞紙の問題については賛意を裏するものでありますが、この染料の関係については反対の意思表示をするものでございます。そこで原案の関税定率法は、今後貿易対策あるいは日本の産業経済対策を十分考慮の上に、今後いろいろ修正して行かなければならないという意味合いの條件を付して、賛成するものであります。
  151. 佐藤重遠

    佐藤委員長 討論は終局いたしました。  これより採決に入ります。まず宮幡提出にかかる修正案の採決をいたします。本修正案に賛成の諸君の起立をお願いします。     〔賛成者起立〕
  152. 佐藤重遠

    佐藤委員長 起立多数。よつて本修正案は可決せられました。  次に本修正案の修正部分を除いた原案に賛成の諸君の起立を願います。     〔賛成者起立〕
  153. 佐藤重遠

    佐藤委員長 起立多数。よつて本案は宮幡提案のごとく修正議決せられました。  なお以上六法律案の報告書の件につきましては、すべて委員長に御一任を願いたいと存じます。  次会は公報をもつてお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。     午後四時二十一分散会