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中馬委員 私はただいま
議題と相なりました葉タバコの
収納代金に対する
課税の問題について、若干の
質疑並びに要望をいたしたいと存じます。
今日の
国家財政の大きな需要額の中におきまして、タバコの専売益金というものがいかなる比重を持
つておるかということは、私が申し上げるまでもありません。しかもこの一千二百億円という財政専売益金というものは、何と申してもその根本は葉タバコの耕作者の力によるのであります。私
どもは今日かくのごとき非常に大きな貢献をいたしておる耕作者のいろいろ
意見を聞きますときにおいて、最も大きな問題は税金の問題であるのであります。なるほど終戰以来毎年毎年
所得税に対するいろいろの改善といいますか、減税が断行せられて来ましたけれ
ども、葉タバコの生産に関する限りは、なかなかその点において納得の行かないような問題が、たくさん残
つておるのであります。
まず第一は、御
承知の
通りタバコの生産者の組合員の一番大きな不平は何であるかと申しますと、他の農作物との間における権衡がとれておらないということであります。たとえば葉タバコの収納金の場合におきましては全然ごまかしがきかない。一反歩からたとえば二万五千三百円とかあるいは五万五千六百五十四円とか、いわゆる一銭一厘のごまかしもきかないのであります。しかるに他の農作物におきましては、たとえば藺草をとる場合あるいは他の園芸作物の場合におきましては、ある場合におきましてはいろいろ間違い等がありまして、実際の収納を下まわ
つて査定をされることがあるかもしれませんけれ
ども、事いやしくもタバコに関する限りは、一銭一厘のごまかしもききません。そこでごまかしのきかないこの葉タバコの場合と、他のごまかしのきく——と言
つては語弊がありますけれ
ども、若干融通のきくような他の園芸作物との間におきましては、耕作農民の気持というものが非常に違
つて参ります。しかるに今までの国税局あるいは大蔵省の葉タバコに関する取扱いというものがいかにもきびしい。ごまかしのきかないものに対しまして、たとえば一番大きな問題は生産費を幾らに見積るかという問題であります。御
承知の
通りほかの農作物に比べまして、このタバコに生産費のかかることは、私の申し上げるまでもありません。たとえば一年半以上にわた
つてタバコの耕作というものは準備期間がいるのであります。しかも生産費を幾らに見積るかということに対しまして、毎年毎年各地の耕作組合の諸君が非常な努力をされますけれ
ども、なかなか満足するところまで行
つておりません。全国のタバコの連合会からは、たとえば黄色種におきましては大体二万五千円から三万円、在来種におきましては二万三千円くらいは、どうしても生産費として必要であるということを力説して参りましたけれ
ども、なかなかうまく行きません。しかもこの生産費の中において、われわれが最も遺憾にたえないことは、今日専売公社が品質の改善ということを実にやかましく言うております。品質改善をしなければ貿易品として不適格であるとか、外国の葉タバコと競争ができないとか、あるいは国内の需要者の方々に対するサー、ビスの点からい
つても、品質の向上をやれと言う、いわゆる量目主義から品質主義への転換ということが、非常に極端に行われましたために、今日耕作者が受けておる影響は軽視することができないのであります。しかるにかかわらず全国七十万の耕作者諸君は、一に専売公社の方針を忠実に遵法いたしまして、日々非常な努力を傾けておるのであります。しかもかくのごとき努力を傾けておるにかかわらず、生産費の見積りにおきましては労賃といいますか、自家労賃というものが全然見積られておりません。あるいは国税庁の方々から言わせれば、青色申告者に対しては労賃の場合源泉
課税を認めておる、こういうことをいわれるかもしれぬけれ
ども、今日の農村におきましてこういうことはなかなかうまく行われておらない。そこでわれわれは
国家財政に寄与するところが大きい、あるいはごまかしがきかない、あるいは一年以上かか
つて手数がかかるというような大きな
観点に立ちまして、生産費の見積りというものに対しましては、どうしても一段の御配慮をお願い申し上げたいと思うのであります。さらに具体的に申し上げますと、全国の各国税局管内におきまして、この生産費の見積りというものが非常にまちまちであります。われわれは全国一斉に統一的な生産費の要求をいたしたいということを言いますけれ
ども、ある国税局管内におきましては、われわれの国税局においては非常にうまく行
つていますから、あまりそういうことを言
つてもらうとかえ
つてやぶへびだとかいうようなことを、若干の——非常に例外ではありますけれ
ども、言われる。こういうことはわれわれとしてはまことにけしからぬことだと思う。こういう取扱いが行われるということ自体が、何か欠陷があるのではなかろうかというようなことを、実はわれわれは考えておるのであります。また品質の改善につきましては、今日の園芸作物のうちで、夜業をする園芸作物というものはほとんどありません。しかるにタバコの場合においてはやれ雨が降
つた、やれ風が吹いた、霜がおりた、あるいは収納の取片づけあるいは葉タバコをいよいよ乾燥する場合におきましては、ほとんど連日連夜の夜業を行
つておるのであります。他のたとえば藺草あるいは園芸作物におきましては、夜業をする園芸作物もたくさんありますけれ
ども、しかしタバコほど一年中を通じて夜業の多いものはございません。しかもこういうような特別の品質改善のために夜業、あるいは手数がかかるというようなものに対しましては、今日国税庁においては全然考慮を払
つていないのであります。この点につきましては国税庁においては、ひとつ格段の御研究と御配慮をお願い申し上げたいのであります。
以上まず前段として生産費の見積りのことを申し上げましたが、これに対する
国税庁長官の御見解を伺いたいと思います。