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1952-03-11 第13回国会 衆議院 大蔵委員会 第30号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年三月十一日(火曜日)     午前十一時三分開議  出席委員    委員長 佐藤 重遠君    理事 奧村又十郎君 理事 小山 長規君    理事 佐久間 徹君 理事 内藤 友明君       淺香 忠雄君    川野 芳滿君       塚田十一郎君    三宅 則義君       宮原幸三郎君    武藤 嘉一君       荒木萬壽夫君    宮腰 喜助君       深澤 義守君    久保田鶴松君       中野 四郎君  出席政府委員         大蔵政務次官  西村 直己君         大蔵事務官         (日本專売公社         監理官)    久米 武文君         大蔵事務官         (主計局法規課         長)      佐藤 一郎君         大蔵事務官         (主税局税制課         長)      泉 美之松君         大蔵事務官         (銀行局長)  河野 通一君         通産政務次官  本間 俊一君         通産事務官         (通商振興局         長)      井上 尚一君  委員外出席者         大蔵事務官         (主税局税関部         長)      北島 武雄君         農林事務官         (大臣官房農林         金融課長)   林田悠紀夫君         農林事務官         (農政局農業保         險課長)    久宗  高君         日本輸出銀行專         務理事     山際 正道君         日本輸出銀行理         事       高橋  一君         日本輸出銀行総         務課長     二村 龍男君         專  門  員 椎木 文也君         專  門  員 黒田 久太君     ————————————— 三月十一日  委員大上司君辞任につき、その補欠として塚田  十一郎君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 三月十日  日本專売公社法の一部を改正する法律案内閣  提出第五五号) 同日  台湾における外地資産補償に関する請願淺香  忠雄紹介)(第一三一九号)  同(中曽根康弘紹介)(第一三七五号)  同(小松勇次紹介)(第一三七六号)  旧陸軍共済組合員年金交付に関する請願(淺  香忠雄紹介)(第一三二〇号)  同(大矢省三紹介)(第一三五一号)  陶磁器製タイルに対する物品税撤廃請願(武  藤嘉一紹介)(第一三二一号)  揮発油税軽減に関する請願三池信紹介)(  第一三四九号)  石油関係関税免税措置延期に関する請願(早  稻田柳右エ門紹介)(第一三七七号)  外国製菓子輸入禁止に関する請願田嶋好文君  紹介)(第一三八五号)  加工用金自由販売制反対に関する請願外十四件  (早稻田柳右エ門紹介)(第一三九六号) の審査を本委員会付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  塩田等災害復旧事業費補助法の一部を改正する  法律案内閣提出第四〇号)  農業共済保險特別会計歳入不足を補てんす  るための一般会計からする繰入金に関する法律  案(内閣提出第四三号)  農林漁業資金融通特別会計法の一部を改正する  法律案内閣提出第四四号)  日本輸出銀行法の一部を改正する法律案内閣  提出第四六号)  関税定率法等の一部を改正する法律案内閣提  出第五三号)  日本專売公社法の一部を改正する法律案内閣  提出第五五号)     —————————————
  2. 佐藤重遠

    佐藤委員長 これより会議を開きます。  去る七日本委員会付託に相なりました関税定率法等の一部を改正する法律案、同じく昨十日付託に相なりました日本專売公社法の一部を改正する法律案、及び去月二十五日付託に相なつております塩田等災害復旧事業費補助法の一部を改正する法律案の三案を一括議題といたしまして、まず政府当局より提案趣旨説明を聽取いたします。西村大蔵政務次官。     —————————————
  3. 西村直己

    西村(直)政府委員 ただいま議題となりました関税定率法等の一部を改正する法律案外二法律案につきまして、その提出理由を御説明申し上げます。  この法律案は、わが国経済の実情に対処して、関税率適正合理化をはかることを目的とするものでありまして、その主要な点は次の三点であります。  その第一は、国内関連産業保護育成及び財政収入増加をはかるため、砂糖及びこれに関連する物品輸入税引上げようとするものであります。すなわち粗糖につきましては、現行輸入税の一割を二割に、精製糖につきましては二割を三割五分にそれぞれ引上げるとともに、これに関連して氷砂糖、角砂糖、糖蜜、菓子ジャム等輸入税につきましても、砂糖との均衡上それぞれ税率を若干引上げようとするものであります。  第二に、原油、重油、新聞用紙、大豆、船舶重要機械類等につきましては、暫定措置として本年三月三十一日まで、その輸入税免除または軽減しているのでありますが、これらの物品につきましては、諸般の事情にかんがみまして、引続きその輸入税免除または軽減する必要があると考えられますので、昭和二十八年三月三十一日まで、すなわち一年間その期間を延長しようとするものであります。なお重質軽油につきましては、現在潤滑油同率の二割となつておりますが、一般軽油同率の一割に改め、船舶につきましては、現在大きさ、構造について何ら制限がないのでありますが、その免税趣旨にかんがみまして、総トン数千五百トンを越える鉄鋼船に限り、免税しようとするものであります。  第三に、兒童給食用のミルクは、その用途の特殊性にかんがみまして、昭和二十八年三月三十一日まで、その輸入税免除しようとするものであります。  以上がこの関税定率法等の一部を改正する法律案提案理由並びにその概要であります。  次に日本專売公社法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。  この法律案は、專売事業の円滑な遂行に資するため、日本專売公社会計制度合理化をはかることを目的としたものであります。その内容の概略を申しますと、まず経費の効率的な使用をはかるため、予算の繰越しに関する制度を拡張したことであります。すなわち現行法におきましては、公社がある事業年度内に契約その他の支出原因となる行為をし、その事業年度内支拂いの義務が生じなかつたものにつきまして、翌事業年度経費を繰越して使用することができるといういわゆる事故繰越しの制度を認めているのでありますが、改正案におきしましては、このほか、歳出予算経費の性質上または予算成立後の事由に基き、その事業年度内支出を終らない見込みのあるものにつきましては、あらかじめ国会の議決を経て繰越し明許費として計上し得ることといたし、また事故繰越しにつきましては、その範囲を若干拡張し、従来の工事その他の事業経費のほか、新たにこれに関連して支出を要する経費についても、繰越しを認めることといたしたのであります。  第二に、專売品売上げ増加の場合の経費増額使用に関する制度を設けたことであります。  現行法におきましては、公社予算には專売品売上量増加その他予見しがたい事由による歳出予算不足を補うため、予備費を設けることができることとなつておりますが、予備費使用しても、なお事業のため直接必要とする歳出予算不足を生じます場合に、專売品売上量増加に基く予定見積額を越える収入増加額の一部を、予算の定めるところに従つて事業のため直接必要とする経費使用することができることといたしたのであります。  これによつて製造たばこ等売上げ増加の際に、製造または販売のため必要な経理上の措置迅速適切にとることができるようにいたそうとする趣旨であります。  最後に、公社業務にかかる現金預託機関に関する規定を整備したことでありまして、これまでは公社業務にかかる現金預託機関としましては、日本銀行の支店または代理店のほか、郵便局または市中銀行が規定されておりますが、このうち市中銀行について、これを銀行その他大蔵大臣の指定する金融機関と改めるごとといたしたのであります。  以上がこの法律案提案理由であります。  次に塩田等災害復旧事業費補助法の一部を改正する法律案につきまして提案理由を御説明申し上げます。  国内におきまする塩の生産を確保するため、塩田等が暴風、洪水等による災害を受けましたときは、現在塩田等災害復旧事業費補助法に基きまして災害復旧事業を施行する者に対して、日本專売公社補助を行わせておりますが、その補助率は、塩田及び濃縮施設については事業費の十分の五、塩田防災施設については十分の六・五といたしております。しかるに昭和二十六年に発生した災害により激甚な被害を受けた地方の塩田等災害復旧事業につきましては、現行補助率では事業施行者がその負担にたえられない状況にありますので、塩の生産を確保するため補助率の特例を設けることとし、災害復旧事業費が政令で定める額を越える場合には、その部分について、補助率塩田及び濃縮施設については十分の八、塩田防災施設については十分の九に引き上げることといたしております。  以上がこの三法律案提出いたした理由であります。何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願い申し上げます。     —————————————
  4. 佐藤重遠

    佐藤委員長 次に農業共済保険特別会計歳入不足を補てんするための一般会計からする繰入金に関する法律案農林漁業資金融通特別会計法の一部を改正する法律案、及び日本輸出銀行法の一部を改正する法律案の三案を一括議題といたしまして、前金に引続き質疑を継続いたします。質疑は通告順によつてこれを許可いたします。深澤君。
  5. 深澤義守

    深澤委員 日本輸出銀行法の一部を改正する法律案に関連いたしまして質問をいたします。本法案は、従来日本輸出銀行であつたものを輸出入銀行にするということで、輸出入金融をする性格にかわつて来たのであります。それは貿易関係と重大な関係がありますので、まず私は通産政務次官が御出席なつておりますので、通産政務次官にお伺いするのでありますが、最近における日本貿易関係には幾多の問題があるのであります。しかも困難な問題があるのでありますが、まず私は通産政務次官に、最近における日本輸出入状況をお伺いしたいと思います。
  6. 本間俊一

    本間政府委員 お答えいたします。御指摘のありましたように、貿易上にはポンドの問題、その他非常にやつかいなむずかしい問題が山積しておるのでございますが、二十六年度輸出入計画から申しますと、輸出は十三億八千万ドルくらい予定をいたしておつたのでございますが、大体その程度は行くものと考えております。輸入は大体十六億くらいを予定いたしておつたのでございますが、これは幾らか下まわるかもしれませんが、大体それくらいの程度は行くであろう、こういうふうに考えております。
  7. 深澤義守

    深澤委員 大体そういう数字の上の問題でなしに、輸出の問題にいたしましても、輸出が伸びるという問題は、最近において非常に海外事情との関係において困難の状況にある。そうして輸出業者の倒産問題、そういう問題もすでに起つておるのであります。従つて單数字計画を立てられまして、この予定が大体行くであろうという、非常に楽観的なお考えを持つておるが、輸出をやつておる業者立場から申しますれば、はなはだ輸出は困難である、こういうような声がちまたにあるのであります。昨年の暮れから起りました輸出業者の倒産問題、これに関連いたしまして、今後の日本輸出見通しというものは、どういうぐあいに考えられておるか。その点をひとつまずお伺いしたい。
  8. 本間俊一

    本間政府委員 先ほど私が申し上げましたのは、大体二十六年度見通しを申し上げたのでございまして、問題は二十七年度になるであろうと思うのでございますが、二十五年に比較をいたしまして、二十六年度輸出入とも指摘もありましたように、非常に伸びたのでございます。ところがポンドが異常にふえまして、なかなかそれに伴いまして輸入の方が思うように行かない。こういうような問題がございまして、御承知のように、スターリング・ブロツクとの貿易の問題を、輸入を大いに盛んにいたしまして、そうして輸出入バランスをとつたところで、あまり押えないようなところで何とかしたい、実はこういう考えで、ただいま計画を立てておるようなわけでございます。従いまして貿易業者の問題は、御承知でもあろうかと思いますが、昨年春以来のいろいろな問題が重なりまして、御指摘のように、非常に、苦境に立つておるのでございますが、ただいま銀行側といろいろな話合いをいたしておりますので、再建計画ができ上りますれば、次第におちついて来るのではないか、こういうふうに考えておる次第でございます。そこで問題は、スターリング貿易関係でございますが、何とか去年の実績くらいの範囲内で商売をいたしまして、それに見合う物資をぜひとも輸入したい。ただいま計画を立てておりますのは、六億五千万ドルくらいのところで、輸出入バランスがとれるようにというようなつもりで、ただいま作業をいたしておるような次第でございます。
  9. 深澤義守

    深澤委員 問題になつておりますポンド過剰の問題でありますが、この問題が貿易関係において、一つの大きな問題になつておるのでございます。このポンド過剰の問題の具体的な解決策というものについては、いろいろな議論があつたようでありますが、大体おちついた解決策はどういうことになつておられるか。ポンド過剰の解決策についての具体的な御説明を願いたい。
  10. 本間俊一

    本間政府委員 この問題は、非常に実はむずかしい問題でございまして、抜本的な対策はなかなかないのでございます。しかし私どもといたしましては、輸出が伸びます度合に応じて、ポンド品物を買い得れば一番いいわけでございまするので、何としても輸入を促進いたしまして、そしてスターリング・ブロックとの輸出入バランスを、できるだけ拡大した線でとりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  11. 深澤義守

    深澤委員 スターリング地域から輸入が円滑にできれば、問題なく解決するのでありますが、伝えられるところによりますれば、スターリング地域におきましては、特にスターリング地域における相当大きな支配権を持つておるイギリス等におきましては、日本への輸出日本側から考えますれば、スターリング地域からの輸入というものを、あまり好ましくないという態度に出ておるやに、われわれは聞いておるのであります。そういうところに大きな問題があると思うのであります。従つて日英関係の円滑な話合いというものが進まない限りは、うまく行かないではないかというふうに考えているのでありますが、そういうようなところはどういう状況なつておりますか。そうしてスターリング地域から輸入ができないという根本的な原因は一体どこにありますか。その点をひとつお伺いしたいと思います。
  12. 本間俊一

    本間政府委員 何と申しましても、今までの日本の宿命とでも申しましようか、ドル地域から原材料輸入いたしまして、スターリング地域へ売る、こういうような関係なつておつたものでございまするから、価格問題等もございまして、なかなか思うように輸入することができなかつたわけでございます。しかし多少価格のハンデイキャップはございましても、できるだけ輸入をする方が、今の日本貿易の上から見ますればいいことなのでございまするから、私どもといたしましては、できるだけ輸入を促進いたしたいというふうに考えております。価格の問題も一つ原因でございますが、国内輸入をいたしまする場合の金融の面にも、いろいろな隘路があつたように思うのでございます。従いまして、輸出に対して輸出銀行が今まで融資をいたしておつたのでありますが、今度は輸入に対しましても金を出せるようにいたしたいということで、大蔵省の方と話合いをいたしまして、ただいま提案なつているような輸出入とも金融をつける道をつけたい、こういうふうに考えておる次第であります。
  13. 深澤義守

    深澤委員 結局輸入ができないということは、輸入価格の問題、それから輸入金融の問題であるというふうに政務次官は言われておるが、もつと根本的な問題があるのではないか。日英関係等において、あるいは東南アジア等との国際関係において、これができないような根本的な根拠があるのではないかというふうに、われわれは想像するのでありますが、單にこれは輸入価格の問題、輸入金融の問題だけが解決すれば、輸入はうまく行くという見通しを持つておられるのか。それよりもつと根本的な問題の解決をしなければ、うまく行かない点があるのじやないかというふうに、われわれは考えておるのでありますが、その点はどうですか。
  14. 本間俊一

    本間政府委員 ただいま私が申し上げましたのは、一、二の原因を申し上げたのでありまして、決してそれだけでスターリング地域からの輸入が、すべて円滑に行くというふうには考えておりません。先ほども指摘のありましたように、スターリング地域のそれぞれの立場から、輸入をできるだけ少くしたいというような動きのありますることは、御指摘の通りでございます。
  15. 深澤義守

    深澤委員 日本輸入をできるだけ少くしたいという動きは、その根本にどういうことが横たわつてつてそういう動きがあるのか。それは損得の関係なのか。それとも国際的ないろいろな国際勘定と申しますか、そういうようなものが横たわつているのか。その点を私は明確にお聞きしたいのであります。
  16. 本間俊一

    本間政府委員 最近——最近といいましても二十六年度でございますが、ポンドが非常に過剰になつたという一つ原因は、御承知でもあろうかと思いますが、濠州の農産物が非常に不作でありまして、これが思うように入つて来なかつたということも、一つ原因のように私ども考えておる次第であります。スターリング地域の国々が、やはりそれぞれの立場から輸出入関係考えまして、そうしてできるだけ輸出入関係をよくしたいというような関係から、いろいろな動きがあるわけでございますけれども、二十六年度、本年度ポンドが非常にたまりました一つ原因は、繰返して申し上げますが、濠州の農産物不作というようなことが一つの大きな原因であると、こういうふうに私ども考えておる次第であります。従いまして、日英の間で今後支拂いの問題に対しまする交渉、話合いをいたしまして、できるだけ改善をするように努力をいたすと同時に、またスターリング地域供給力の点も、いろいろの方面から検討いたしまして、できるだけ買い得るものは買うようにいたしたい、こういう考えをいたしております。
  17. 深澤義守

    深澤委員 このスターリング地域との関係は、大体日本重要原材料を求めようとしておる。ところがイギリス等においても、その重要原材料を確保しなければならぬというようなことで、ぶつかつておるのではないかと考えるのですが、そういう点が私はこのスターリング地域輸入が、うまく行かないという根本原因であり、またイギリス等はそういう問題については、スターリング地域に相当強硬な通達等を出しておるということも、聞いておるのであります。その辺に大きな問題があるのではないかというふうに考えるのですが、その点はどういうふうに考えられますか。
  18. 本間俊一

    本間政府委員 必ずしも私どもはさようには考えないのでありまして、スターリング地域から買いますものは鉄鉱石でありますとか、あるいは石炭でありますとかいうようなものも一部ございますけれども、そのほかの品物の方が多いのでございますから、イギリスがそういつた必要な原料を確保するために、私どもの方が思うように買えないというふうには考えていないのでございまして、やはりスターリング地域輸出入バランス関係の方が、あるいは先ほど御説明申し上げましたように、濠州の食糧が非常に不作であつたというふうな点の方が、大きな原因であるというふうに私ども考えております。
  19. 深澤義守

    深澤委員 そこでなおお伺いしたいのでありますが、ドル地域との貿易関係は、現状がどういう状態にあり、今後の見通しはどういうふうに考えられておるか、その点だけひとつ……。
  20. 本間俊一

    本間政府委員 二十六年度の大体買いました品物別、それから地域別数字を、ただいま政府委員の方から申し上げます。
  21. 井上尚一

    井上(尚)政府委員 お答え申し上げます。ドル地域関係貿易状況が、最近どうなつておるかという問題でございますが、二十五年、二十六年、二十七年の計画につきまして、簡單に申し上げたいと思います。  二十五年におきましては、輸出が全体としまして八億二千万ドルでございましたが、このうちドルが約三億六千四百万ドルでございます。二十五年一箇年間の輸入は九億七千万ドルでございましたが、このうちドル地域からの輸入が五億五千五百万ドルであります。二十六年につきましては、輸出全体としまして約十二億、このうちドルが約三億であります。輸入につきましては、約十八億ないし十九億といううち、ドル地域からの輸入が約十一億弱であります。こういうふうに二十五年、二十六年のドル貿易を比べてみます場合におきまして、ドル地域に対しましての輸出が三億六千数百万ドルから三億ドルに減退しております。逆に輸入は五億五千五百万ドルから、約十億ないし十一億というふうに増加しておるという状況であります。二十六年におきましてのドル輸出の約三億ドルという内訳を簡單に申しますと、大体繊維関係が三三%、それから食糧関係が一一%、それから機械雑貨を通じまして約一一%というような割合に相なつておるような状況であります。二十七年度計画としましては、輸出につきましては、全体としまして、十六億ドル予定であり、輸入につきましては二十一億ドル予定でございますが、このうちドル地域に対しまする輸出が三億五千万ドルドル地域からの輸入を十一億ドルというふうに、大体予定をいたしております。大体以上であります。
  22. 深澤義守

    深澤委員 そういたしますと、ドル地域に対する輸出入関係は非常に順調に行く。つまり輸入に困難しておるが、輸入も相当伸びるというぐあいに、数字上は考えられるのでありますが、そのような、輸入が伸びるという楽観的な考えを持つて間違いないでしようか。
  23. 井上尚一

    井上(尚)政府委員 先刻ポンド問題についていろいろお話があつたのでありまするが、今日のわが国貿易情勢から申しまして、従来のドル地域からの輸入をできるだけポンド地域に切りかえて行く。逆に輸出につきましては、ポンド地域に対しましては、ポンド累積現状にかんがみまして、ある程度輸入と見合うような程度にこれを押える必要があり、逆にドル地域への輸出を大いに増進する必要がある。大ざつぱに申しましてそういうふうにわが国貿易構造と申しますか——重要原材料食糧等ドルから輸入し、そして多くのものをスターリング地域ポンド地域輸出しておつたというその性格に対しまして、この際相当な転回、切りかえが必要である。ここにわが国の今日の貿易問題の最も困難な重要なポイントがあることは、申すまでもないところであります。そういう意味合いからしまして、今後のドル地域に対しましての輸出増進につきましては、格段のいろいろな努力も要するかと存ずるわけでありまして、今通産省としましても、いろいろドル地域に対しまする輸出増進方策につきまして、着々各種の方策を講じつつあるような状況であります。なおまた原料買付のマーケットを、ドル地域からポンド地域の方へ切りかえて行く、いわゆる買付市場の転換という問題について、ことにポンド地域からの輸入の促進という問題につきまして、いろいろな方策を講じておるということは、先ほど政務次官の方から申しました通りであります。
  24. 深澤義守

    深澤委員 最近において、特にドル地域であるアメリカの関税の問題が非常に大きな問題になつて、まぐろのカン詰に対する関税引上げという問題は、日本のアメリカに対する貿易に対して、非常に大きな影響を持つておると思うのですが、そういうような傾向が各商品にわたつて出て来るという傾向になるとすれば、これはいかに計画は立てられても、非常に困難をわれわれは来すと思うのであります。そういう問題についても、通産省においても相当の苦慮をされておるように考えられるのでありますが、あの関税引上げというような問題がどういうことになるか。その見通しについてお伺いしたいのであります。
  25. 本間俊一

    本間政府委員 御指摘のありましたように、まぐろの問題で関税上の引上げの問題がございまして、昨年来政府も民間も一緒になりまして、いろいろアメリカの輿論を喚起する、あるいは当業者日本事情説明するというような運動をいたしておりますることは、御承知の通りでございます。まだ最後的なところまで話合いは進んでおりませんけれども、大体数量を限りまして、その限りました数量の範囲内では、税をかけないというような考え方で、この問題を解決しようというような情報に接しております。それから品物によりましてまた問題がありますので、その方面の申入れも近くいたしたい。御指摘のように、アメリカの国内業者との関係ども、関税の問題にはあるのでございますけれども、しかしこれは私どもといたしましては、できるだけ当局あるいは当業者の方と話合いをいたしまして、了解を深める、また利用いたします消費者の方の輿論等にも訴えまして、できるだけひとつ有利な解決点に到達したいということで、ただいませつかく努力中でございます。
  26. 深澤義守

    深澤委員 私は通産省の方の質問は、大体これで終ります。  そこで輸出入銀行関係で、銀行局長にお伺いしたいのであります。大体輸出銀行の出発は、わが国のプラント輸出促進という観点から出発したのでありますが、大体所期の計画と、現在に至るまでの輸出銀行の業績というものは、計画通り行つておるのかどうかという点について、まずお伺いしたいと思います。
  27. 河野通一

    ○河野(通)政府委員 お答え申し上げます。プラント輸出の促進のために、輸出銀行が発足いたしましてから、その後の実績につきましては、お手元に資料を提出してございますので、ごらんいただきたいと思います。現在までのところでは大体順調に行つておると思います。ただ金額的には当初予想いたしました程度まで、残高といたしまして融資が進んでおりません点もございますが、この一——三月の今後の予定等を頭に置いて考えまするならば、大体当初私ども計画いたしました程度の実績を、上げ得るものというふうな見通しを持つております。  なお詳細は輸出銀行の專務理事が見えておりますから、そちらの方からお聞取りを願いたいと思います。
  28. 山際正道

    ○山際説明員 輸出銀行の過去一箇年間の業績に関しまして、ただいまお尋ねがございまして、銀行局長からお答えがございましたが、さらに少し内容に立ち至つて申し上げますると、当初この銀行設立の必要がとなえられまして、それが実現をいたし出発いたしましたころの予定に比べますると、やや業績振わざる模様があつたのでございます。それは諸般のプラントものの輸出の方が、なかなか国際競争上、価格その他の点において、十分に成果を上げることができませんでしたために、比較的契約の成果が低調であつたのでございます。しかしながら昨年の秋ごろから、御承知のように世界の造船界が非常に好況を呈して参りまして、自然日本に対しましても、輸出船の建造の注文が多量に参るようになつたのでございます。従いまして年末から年初並びに昨今にかけまして、この種の輸出が非常に振興する見込みでございまするから、年間を通じて考えまするならば、大体において当初予定された実績を上げ得ることになるだろう、かように見通しておる次第でございます。
  29. 深澤義守

    深澤委員 今のお言葉の中に、造船界の好況にあつて、その影響で業績が非常に上つたということでありますが、提出されました表によりますと、なるほど造船関係にも多少の動きがあるようでありますが、大体船舶関係については、圧倒的にパナマとの関係に一番多くの融資をしているようであります。これは何か特殊の事情がございますのですか。
  30. 山際正道

    ○山際説明員 パナマ向けの輸出船が一番盛んになつておりますのは、船籍をパナマに置くアメリカ系のタンカー、つまり油槽船であります。アメリカ資本の経営によるものでありまするが、各般の情勢上、船籍をパナマに置くものが多いということから、かような結果になつております。
  31. 深澤義守

    深澤委員 それからこの業績を見ますると、パキスタン関係が、特に繊維機械等について非常に輸出が盛んになつております。今後われわれはインドあるいはビルマ等との関係が、もつと緊密にならなければならぬと考えているのですが、特にパキスタンだけ非常に飛び離れて輸出金融が多いのでありますが、この関係はどういう事情でございますか。
  32. 山際正道

    ○山際説明員 御指摘のようにブラントものの輸出に関しましては、パキスタン向けがなかなか多いのでございますが、その事情といたしましては、私ども承知いたしております限りにおきましては、御承知の通りパキスタン国はインドの国とわかれまして、独立をいたしたのでございますが、以前のインドの工業施設というものは、その大部分が現在のインドの方に残りまして、パキスタンの方には目ぼしい工業が来なかつたということを伺つておるのでございます。従いまして建国以来パキスタンといたしましては、その工業力の増進ということに、非常に力を注いでやつておるという話でございます。特にこの軽工業、なかんずく繊維工業に関しましては、特別に政府が力を入れてやつておる、そういうことを承つておりますので、その結果がこの数字なつて現われたものと考えております。
  33. 深澤義守

    深澤委員 それから電気機械の関係におきまして、二十億八千万円という総額の中で十五億四千四百万円というぐあいに、これは協調融資並びに手形割引等の関係で、沖繩が圧倒的に多いのでありますが、沖繩との貿易ということになりますと、これは米軍の基地でございます。ここにもプラント輸出という形でこの融資が適用されるのでありますが、私は貿易というやつは大体こちらで輸出をすれば、向うからまた何かを輸入するという双務関係が円滑に行くのが、貿易の基礎的な條件であると思うのであります。非常に多額のものが米軍の基地である沖繩に輸出されるということは、これは貿易の常道じやないというぐあいに考えるのでありますけれども、この点はどうですか。
  34. 山際正道

    ○山際説明員 電気機械類の沖繩に対して輸出された分は、これは沖繩において相当大きな火力発電所が建設された結果でございます。件数がいろいろわかれておりますのは、土木関係でございますとか、建築の関係とか、あるいは機械設備その他それぞれ專門の商社がございまして、そのために口数がわかれておりますが、要するに一体となりまして、相当大きな火力発電所が設けられたため、このプラントを輸出したのがこの数字でございます。なお貿易政策の見地からいたしまして、沖繩に相当これに匹敵するような輸入の期待があるかというようなお尋ねであります。なるほど輸入輸出の収支の均衡は望ましい状態でございまするが、これは全部米ドル拂いになつておりまするために、日本ドル貨といたしまして、他の地域から相当重要なる物資を輸入し得る資源をも生じたわけでございまするので、実行いたしてさしつかえない輸出考えた次第でございます。
  35. 深澤義守

    深澤委員 それから銀行局長にお伺いいたしますが、大体この法案の改正に基いて、輸出銀行性格輸出入ということになるのですが、その輸入に関して、わが国輸出の振興に役立つ原材料という点に、この輸入の重点を置くように考えておりますが、この輸出の振興に役立つ原材料というものは、大体何を予定されているのか。その点を伺います。
  36. 河野通一

    ○河野(通)政府委員 前回の委員会で詳細御説明申し上げたのでありますが、大体考えておりますのは、具体的に地域別の詳細な調査もございますが、品目で申し上げますと、鉄鉱石、粘結炭、マンガン、場合によりましたら塩、その他の鉱物資源を大体主として考えております。調査いたしましたものについて、もし詳細御説明が必要でござましたら、地域別に申し上げてもさしつかえないと思います。
  37. 深澤義守

    深澤委員 これは時間を要する問題でありますから、ひとつ資料の御提出を願えればまことに幸いであると思います。  それからその輸入に関しまして、対価の一部が前拂いされる場合に、その輸入金融をやるのであるということでありますが、あとずつと読んでみますと、品物を買うその代金の前拂いということではなくて、その品物が出て来る開発の仕事をやるために、金融をするのだということになつているのです。この前拂いということは、結局開発資金を貸せるのだという結論になつてしまうようでありますが、その点はどうでありますか。
  38. 河野通一

    ○河野(通)政府委員 お話の通りでございます。
  39. 深澤義守

    深澤委員 そういたしますと、現在品物がつくられているものを買うための輸入金融でなくて、まだ地下にあるものを開発して、それから買うのであるということになると、現在の日本の状態に対して、すぐに役立つことにはならないという結論になるのでありますが、そういう見通しをもつて輸入金融をされるということが根本方針でありますか、その点をひとつお伺いいたしたい。
  40. 河野通一

    ○河野(通)政府委員 この点は開発のための必要な資金も供給いたしますけれども、現在すでにある程度稼働いたしておるものもございます。その稼働いたしておりますものを掘りながらだんだんこつちへ、日本からいいますと輸入、向うからいいますと輸出でありますが、出して来るということも考えられます。一方現在稼働しているものを出しながら、さらにその開発を促進する、そのための資金を供給する、こういうことに相なつております。
  41. 深澤義守

    深澤委員 そういたしますと、まことにこれは漠然としているのでありますが、一体一応そういう開発をして、どの程度のものがいつ入つて来る。それによつて品物生産して、また輸出をするという関係になるのでありますが、そういう正確な、明細な計画を立てて行かなければ、この輸出銀行輸出入銀行にして、今度は輸入金融をやれば、日本原材料はどんどん確保されて行くのだ、そういう形の中でポンド過剰の問題も解決されるでありましようし、日本原材料不足解決されるであろうというような期待を持つわけであります。今のお話によりますと、相当長期の見通しの上に立たなければ、この輸出銀行輸出入銀行にしたということが、日本経済に役立たないという結果になつて来るのでありまして、私はやはりその明細な計画というものを、一応承知する必要があるのでありますが、もしおわかりになつておりますれば、ひとつお聞かせ願いたいと思います。
  42. 河野通一

    ○河野(通)政府委員 先ほど申し上げましたように、そう五年も十年も先の問題だけを考えておるわけではございません。現在稼働いたしておりますものは、それから出て参りますものを輸入しながらさらにその開発の生産力を拡充いたして行くための開発資金を供給して行く、こういう形になつておるわけでありまして、非常に長い将来にだけ期待いたしておるわけではございません。  なお先ほど申し上げました品目についての具体的な調査のできたものにつきましては、輸出銀行の專務理事の方から御説明申し上げます。
  43. 山際正道

    ○山際説明員 ただいま関係業者の間におきまして、主として東南アジア地域において、日本輸出を振興いたしまするのに必要な原材料の入手ということについて、しかもそれは主として鉱産資源でございまするが、調査をいたし、またそれぞれ現地の関係筋と話合いなどを進めておりますものが、数箇所ございます。たとえば鉄鉱石について申し上げまするならば、香港の馬鞍山という山がございます。あるいはマレーのズングン、タマンガン、ロンピンなどという鉱山がございます。またフイリピンにおきましても、ララツプ鉱山との間に日本の製鉄業者話合いを進めておりますることは、過般の新聞にも伝えられておる通りでございます。そのほかインドにもオリツサ、ビハール地区におきまして、相当大きな鉄山がございます。それについて業者が調査を進めておる点があるのでございます。また昨年すでに実行をいたしましたものといたしまして、ポルトガル領のゴアから鉄鉱石を、ことしの秋から年々五十万トン程度輸入するという契約も、すでに結ばれておるような次第でございます。マンガンにいたしましても、フイリピン、奄美大島などに二、三業者が調査を進めておる点がございます。また銅につきましては、フイリピンのラプラプ鉱山あるいは台湾の一部などについて、調査が進められております。そのほかボーキサイト、これはマレーその他でございます。そのほか塩につきましてはタイでありますとか仏印の地区でありますとか、それらについてそれぞれ関係業者が調査を進めております。かようにいたしまして、いろいろ話は起きておりまするが、何分にもこれは外国との話合いのことでもございまするし、そういう具体的にかつ当方で計画をいたします通りに実行いたすことは、なかなかむずかしいのでございますが、すでに申し上げました通り、ゴアの分はもう実現をいたしております。今述べましたような諸点につきましても、逐次この年内に実現を見て行くものであろうと、期待をいたしておる次第でございます。
  44. 深澤義守

    深澤委員 まあ各東南アジア地域に非常にたくさんの資源がある、その調査を現在やつておるというぐあいに言われておるのでありますが、それがわが国国内の問題であれば、しごく簡單解決すると私は思うのでありますが、東南アジアと日本関係は必ずしもうまく行つていないと思います。たとえて申しますれば、フイリピンにおきましても賠償問題等が相当問題になつております。インドネシアにおいてもそういう問題がございます。インド、ビルマ等につきましても、今後講和條約という問題が相当困難な道をたどるであろうと思います。そういうような状況にあるときに、どこにもある、かしこにもあるという調査が一応できましても、そことの具体的な関係が成立をいたしまして開発するということは、相当の日子とまた国際的ないろいろな問題の解決が必要であると、考えるのであります。ただ日本側で、あそこにもある、ここにもあるということだけでもつて計画を立てられると、この計画に大きな齟齬を来すと考えます。そういう関係につきまして、現在調査しておるところが必ず実施稼働できるというようなお見通しを持つておられるのかどうか。その点をひとつお伺いいたします。
  45. 河野通一

    ○河野(通)政府委員 ただいま山際さんからもお話がありましたように、対外的な関係でございますので、今話がありましたようなものはすべて近く実を結ぶというようには、私ども考えておりません。今後いろいろな関係でこの問題は対外折衝として、だんだん熟して来るものであろうと思います。私どもはできるだけこういう関係が伸びて行くことを、期待いたしております。なおフイリピンその他の対日感情その他の問題もございますが、これらの地域といたしましても、経済の、ことに資源の開発については、非常に大きな経済的利益に関心を持つておりますことは、申すまでもないことであります。これらの経済的利益と、日本の期待いたしまする経済的利益とは、必ずやどこかでうまく合致するところがあると思います。こういう観点から、私どもはこれらの計画ができるだけ多量に実を結ぶように努力もいたしたいと思いますし、期待もいたしておる次第であります。  なお先ほど山際さんから御説明がありましたゴアの問題の例がありましたが、今般輸入業務輸出入銀行に認めて参りますことにいたしましたその輸入の態様は、ゴアについてやりました経済開発のためのプラント輸出と、ちようどうらはらの関係になるわけであります。ゴアの例で申し上げますと、ゴアの地区の開発の機材を日本からプラント輸出して、これに対する支拂いを向うからの原石による。それをこちらに輸入して来る代金でもつて支拂う、こういう形に相なるわけであります。今般輸出入銀行に認められる輸入金融は、日本からプラント輸出をいたしますかわりに、現地でこれらの開発の資材でありますとか、あるいは労力でありますとか、そういつたものが調達できる、資金さえ供給いたしますならば、その地域で必ずしも日本からプラント輸出しなくても、そつちで開発が促進できる、こういつたようなものにつきましては、プラント輸出という制度に限らず、資金を供給するという形で、その供給された資金の返済は、それらの地域からの鉱物資源の日本への輸入によつて返される、こういうふうな措置をとつたのであります。プラント輸出と今般の輸入業務とは、一見非常に形が違つておるようでありますけれども、必ずしも実体はそう大きな開きがないというふうに、御了承いただきたいと思います。
  46. 深澤義守

    深澤委員 それからこの金融関係につきましては、市中銀行との協調融資をすることになつているようでありますが、この協調融資の場合における輸出銀行が受持つパーセンテージと、市中銀行の協調融資のパーセンテージは、どの程度予定されているのか。その点をひとつお伺いしたいと思います。
  47. 山際正道

    ○山際説明員 現在までの協調融資は、輸出銀行八割、市中銀行二割の分担でやつております。今後も当分の間はそれを継続する考えであります。
  48. 深澤義守

    深澤委員 その八割、二割という関係について市中銀行の方でも積極的に協力するという態度に出られているのかどうか。その点をひとつお伺いしたいと思います。
  49. 山際正道

    ○山際説明員 八割、二割の分担につきまして、市中銀行から輸出銀行の割合をもう少し増してくれというような要求には、格別接しておりません。大体従前の八割、二割の割合でもつて、少くとも市中銀行輸出銀行との間の関係は、円滑に推移するものと期待いたしております。
  50. 深澤義守

    深澤委員 先般宮幡委員が山際さんに質問したときの山際さんの御答弁によりますと、フイリピンの開発について米国の銀行金融を行つておる。それを日本輸出銀行が保証をしておるということをちよつとお伺いしたのでありますが、この問題はどういう事情なつておりますか。その点をひとつお伺いしたいと思います。
  51. 山際正道

    ○山際説明員 お尋ねの点は、最近の新聞に報道されました通り、輸出銀行の保証をまつまでもなく、市中銀行がアメリカの銀行に保証をすることによつて解決いたしたのでございます。すなわち日本側の製鉄業者の代行者であるある商社が、バンク・オブ・アメリカから資金を借りまして、それをフイリピンの鉱山に前拂いをいたしまして、その借入金について日本側の大銀行三行が保証の地位に立ちまして、その商談は成立をいたしました。輸出銀行関係する余地はなかつたわけでございます。
  52. 深澤義守

    深澤委員 それからその融資の期限の問題でありますが、融資期限を六箇月超から三箇月超に改め、輸入金融の融資期間を三箇月超三年以内、特別のものには五年以内、こういうことになつておるのでありますが、私はしろうとである関係上、どうもこの点がうまくのみ込めないのでございます。この間の御説明をひとつ詳細にお願いしたいと思います。
  53. 山際正道

    ○山際説明員 今回御審議願つております改正案は、輸出銀行が従前受けておりましたところの拘束、すなわち最短六箇月、最長五年という期間のうち、最短六箇月の方をいま少しく拡張いたしまして、三箇月以上のものから取扱い得るということにしようという趣旨でございます。それは過去一年間の経験によりますと、輸出銀行が扱いますのは、六箇月以上の長期のものでなければならぬことでありますために、六箇月には満たないけれども、たとえば四箇月、五箇月程度輸出契約において、金融をつける道が乏しいという具体的問題に遭遇をいたしたのでございます。御承知のように貿易手形の制度がございまして、日本銀行を中心として、短期の貿易金融につきましては円滑なる運用が行われておりますが、その期間が三月でございます。それと輸出銀行の六箇月とのちようど中間にはさまれます期間がございますので、その間隙を今回の措置によつて救い得るかと考えるのでありまして、同様の事情輸入金融についても期待できると思いますから、輸出入あわせまして三箇月以上のものから取扱い得る、こういうふうにいたそうという改正案でございます。
  54. 深澤義守

    深澤委員 従来の業績から申しまして、輸出銀行の融資に対する回収率はどういう事情なつておりますか。予定通り行つておるのか、あるいはいろいろな支障があるのではないかと考えられますが、その点をひとつ伺います。
  55. 山際正道

    ○山際説明員 開業以来の成績におきましては、回収はきわめて順調でございまして、当初計画されました通りにきちんきちんと償還されております。最近商社の問題などいろいろございますが、輸出銀行に関する限りにおきましては、何ら影響を受けておりません。
  56. 深澤義守

    深澤委員 手形の割引も相当やつておるようでありますが、不拂い手形というような問題は全然起りませんか。
  57. 山際正道

    ○山際説明員 全然生じておりませんし、かつそのおそれはないものと考えます。
  58. 小山長規

    ○小山委員 二、三追加して伺つておきたいのでありますが、この輸入金融をやる場合に、これは国内業者に対して円の金融だけやるのでありますか。それとも外国の業者に対しても、たとえばポンド金融をやるとかいうふうなことも、この法律でできるのでありますか。
  59. 河野通一

    ○河野(通)政府委員 輸入業務につきましては、とりあえずのところとして国内業者に対する金融でいいと思います。国内業者に対する円の金融が大体原則になると思いますが、場合によりましたら国内業者に対する外貨の金融もできる道は開いてあります。
  60. 小山長規

    ○小山委員 外国からの輸入原料、たとえば先ほど山際さんからお話のありましたように、外国の鉱山を開発する場合に、外国で資金の手当ができればというような場合のことも想定されておるようでありますが、その場合に日本政府が持つておる外貨を、外国の業者に貸し付けるというようなことも、この法律でできる余地があるのですか、ないのですか、それを伺いたい。
  61. 河野通一

    ○河野(通)政府委員 御承知の通り、輸出につきましてはある程度そういうことを考えております。今般の輸入業務につきましては、とりあえずのところとしては、国内業者に対する金融だけでけつこうであろうということで、法律なつておるのであります。
  62. 小山長規

    ○小山委員 法律上できるのかできないのかということをお伺いしておるのです。
  63. 河野通一

    ○河野(通)政府委員 法律上は、輸入金融に関しましては、国内業者に限つております。
  64. 佐藤重遠

    佐藤委員長 ただいま議題なつております三案中、日本輸出銀行法の一部を改正する法律案に対しまして、ほかに御質疑はありませんか。
  65. 佐久間徹

    ○佐久間委員 ただいま議題なつております三案中、日本輸出銀行法の一部を改正する法律案につきましては、すでに質疑も盡されたことと思いますので、この際本案に対しては質疑を打切られんことを望みます。
  66. 佐藤重遠

    佐藤委員長 ただいまの佐久間君の動議のごとく決定するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  67. 佐藤重遠

    佐藤委員長 御異議ないようでありますから、本案に対しましては以上をもつて質疑を打切ることといたします。  午前中はこの程度にとどめて休憩いたします。午後は一時半より再開いたします。     午後零時十分休憩      ————◇—————     〔休憩後は開会に至らなかつた