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1952-02-28 第13回国会 衆議院 大蔵委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年二月二十八日(木曜日)     午前十時五十四分開議  出席委員    委員長 佐藤 重遠君    理事 奧村又十郎君 理事 小山 長規君    理事 佐久間 徹君 理事 内藤 友明君       大上  司君    川野 芳滿君       三宅 則義君    宮幡  靖君       宮原幸三郎君    武藤 嘉一君       宮腰 喜助君    松尾トシ子君       高田 富之君    深澤 義守君       中野 四郎君  出席政府委員         検     事         (法務府検務局         長)      岡原 昌男君         大蔵事務官         (主税局長)  平田敬一郎君         国税庁長官   高橋  衛君  委員外出席者         大蔵事務官         (国税庁間税部         長)      原  三郎君         專  門  員 椎木 文也君         專  門  員 黒田 久太君 二月二十七日  在外公館等借入金返済に関する陳情書  (第六六六号)  超過供出奨励金に対する課税に関する陳情書  (第六九四  号) を本委員会に送付ざれた。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  所得税法の一部を改正する法律案内閣提出第  二九号)  法人税法の一部を改正する法律案内閣提出第  三〇号)  相続税法の一部を改正する法律案内閣提出第  三一号)  砂糖消費税法の一部を改正する法律案内閣提  出第三二号)     ―――――――――――――
  2. 佐藤重遠

    佐藤委員長 これより会議を開きます。  前会に引続き所得税法の一部を改正する法律案外三税制改正案一括議題として、質疑を続行いたします。質疑は通告順によつてこれを許可いたします。川野芳滿君。
  3. 川野芳滿

    川野委員 私は密造対策の問題について、少しく御当局の御意見伺つてみたいと存ずるわけであります。  密造の問題につきましては、本委員会におきましてもたびたび問題箱なつておるわけでありまするが、しかし当局のこれに対する対策が手ぬるいと申しまするか、一向にその実を上げていないのが現下の実情であります。そこで重ねてお尋ね申し上げてみたいと存ずるわけでありまするが、密造には集団密造個人密造があるわけであります。個人密造は、これは個人が飲む酒を自分がつくる、こういう観点から考えますと、私は今日ここで問題にしたくないのでありますが、集団密造一はこれをつくりまして販売いたしておる、こういう点から考えまして、まことに憎むべき行為であると考えるわけであります。しかし集団密造部落あるいは集団密造被害というものは、年々歳々その数を増しているかのような声も聞くのでございまするが、今日日本全国におきまして、集団密造部落のおもなる場所並びにこれに対する実情等を御報告願つてみたいと存じます。
  4. 高橋衛

    高橋(衛)政府委員 密造取締りがいかに重要かという問題につきましては、ただいまお示し通りでございまして、政府といたしましても、かねてからこれに非常な力を注いでいる次第でございます。  密造取締り経費といたしましては、昭和二十四年度が三千五百万円でありましたが、二十五年度においてこれを五千三百万円に、さらに二十六年度におきましては八千五百万円を計上いたしたのであります。しかしながら二十六年度におきましては、一般的な経費の節約という観点から五%程度節減をされまして、施行上は七千七百八十万円という経費を充当いたしておるのであります。しこうして二十七年度におきましては、御承知通り昭和二十六年酒造年度におきまして、前年に比べ原料米も六十万石から七十四万石というふうに増加いたしましたし、その他酒の製造量全体として、相当数量の増加を見込んでおりまするので、これが販売の確保という面からいたしましても、また国民衛生上の観点からいたしましても、またはさらに国民の道義という面からいたしましても、何といたしましてもこの密造の横行というものは、放置できないというふうに考えておりますので、昭和二十七年度におきましては、密造取締り経費も大幅に増加いたしまして、一億六千万円の経費を計上いたしておるのであります。  しかして今までの密造に対するところ活動状況と申しますか、取締り状況を簡單に数字をもつて申し上げますると、密造取締りのために出動いたしました人員の数は、昭和二十四年度におきましては八万六千人でありましたが、これが二十五年度におきましては十八万六千人、二十六年度は、これは最近までの数字でありますが、二十二万九千人というふうに増加いたして参つております。しかして検挙件数におきましても、二十四年度が二万三千人、二十五年度が四万六千人、二十六年度は四万八千人、これは最近までの数字です。年度一ぱいまでとすればさらに増加すると考えております。さらに告発件数におきましては、二十四年度は四千件、二十五年度は七千百八十一件、二十六年度は実に二万一千三百件というふうに、非常に多数の告発件数を出しておるのであります。しかしてただいまもお示し通り密造のうちに自家用の密造と、集団的な密造と二つの種類にわけることができるかと思います。もちろん双方とも取締りの対象にすることは当然でございますが、しかしながら何と申しましても社会的、経済的に大きな影響を持ちますものは集団密造でありますので、重点を集団密造の防止に置きまして、取締りの励行をはかつて参つておるわけであります。なお全国的に集団密造地帶につきまして御質問がございましたが、これは後ほど調べまして御報告申し上げます。
  5. 川野芳滿

    川野委員 実はただいま私説明を聞き漏らしたかとも考えるのでありますが、二十五年度、二十六年度における各年度別罰金総額、これがおわかりでありましたならばお示しを願いたい。
  6. 高橋衛

    高橋(衛)政府委員 二十四年度数字は、今ちよつとここに持つておりませんが、二十五年度におきましては一億七千万円、二十六年度は、これは通告、履行——いわゆる罰金を通告いたしまして、それが履行されただけの数字しかまとまつておりませんので、それを申し上げますが、これが一億九百万円ということに相なつております。年度途中でありますので、昨年よりも増額するものと考えております。
  7. 川野芳滿

    川野委員 ただいまの御報告によりますと、二十五年度におきましては密造取締費五千三百万円を使つて、一億七千万円の罰金を上げておる。さらに二十六年度におきましては八千五百万、この五%減の費用使つて、わかつておるだけでも一億九百万円の罰金とつておる。こういうことでありますので、人件費は別といたしましても、罰金密造対策費を考えますると、国家相当利潤を得ておる、こういうことにも相なつておるようであります。そこで二十七年度におきましては一億六千万円、約倍額の予算を組んでいただいたので、まことにけつこうでありますが、しかし実は先般宮崎県の宮崎税務署から、税務署白書が公表されました。この白書によりますと宮崎市の密造は一万石、その脱税が二億六千六百万円ということを、これは税務署が公表いたしておるわけです。そこで二億六千六百万円の脱税を、公然とやつておるということを税務署が認めておる。こういう点から考えますると、密造対策費というものをまだうんと増しまして、密造を徹底的に押えるということは、非常に国家に利益をもたらすものと考えるわけであります。取締り対策費を一億六千万円に増額いたしまして、さらに増額を要求するということはどうかと考えるのでございますが、しかし先般の武藤委員質問によりますると、この密造対策費を他の方面にまわしておるような形跡もあつた、こういうような御質問も承り、さらに昨年度におきましては、せつかく八千五百万円の予算を組みながら、五%の節減をやられておる。こういう点から考えますると、大蔵省内に国税庁密造対策に対する方針と申しますか——部落ですら二億六千六百万円の脱税をやつておるという、こういう国家にとりまして大きな問題を、非常に軽視されておるかつこうになつておると私は考えるのでございまするが、これに対する長官の御意見を承つてみたいと存じます。
  8. 高橋衛

    高橋(衛)政府委員 ただいまお答えいたしました一億六千万円の経費と申しますのは、たとえば出動するために必要なトラックの借上料であるとか、人夫賃であるとか、その他取締りに従事する場合におけるところのいろいろな写真機、その他各種の材料費、または一部食糧費等に充てられるものでございまして、旅費等も出ておりますが、間税部職員人件費のみは入つておりません。のみならず密造取締りについては、川野さんよく御承知通り、どうしても主体は警察方面のお力にすがらざるを得ないのが実情であります。大体集団部落におきましては、どうしても相当警備力を携えて取締りに従事するのでなければ、税務官庁においていかに人員を集め、いかに予算を計上いたしましても、これが取締りは困難であるというふうな状況なつておるのであります。もちろんそのために警察方面には、できるだけその必要性と事実を御連絡申し上げて、今までも十分な御協力を得ておると思うのでありますが、今後もその点についてますます徹底的なる取締りができるように、御協力をお願いいたしたいと考えるのであります。ただ川野さん御指摘の宮崎税務署の管内には、全国でも非常に有名な集団部落がございます。これが取締りにつきましては、今まで何回か大規模な取締り行つて参つておりまして、これが数量なりその他の違反件数は漸次少くなつて来ておるとは思いますが、根絶はなかなか困難であるというふうな実情のようであります。なおこれらの部落につきましては、ただ單に一方において密造取締りのみを強行するということについては、取締りの結果付随して生ずる事件その他のことから考えまして取締り当局におきましても、あとの結果について懸念する関係上、なかなか十分な徹底的なやり方をやり得ないというふうな実情もございますので、各方面の施策と相総合した観点から効果を上げるというふうに、努力いたしたいと考えておる次第であります。
  9. 川野芳滿

    川野委員 実は取締り関係上非常に好成績を上げておる、こういうのでありまするならば、私は重ねて質問はしないのでありますが、取締りが非常に緩慢なために、密造石数年々歳々増すばかりである。こういう現状でございます。税務署が発表いたしました白書によりますと、一万石の密造酒ということになつておりますが、あの大島部落自治会が発表いたしました数字は、この倍の二万石ということに相なつておる。すなわち自治会が、大島部落だけでも二万石を密造しておるという白書を発表し、取締り当局税務署は一万石の密造をやつておる、こういうことを発表いたしておる。これはまことに大きな問題でございますので、従いまして私は重ねて質問をいたしておるような次第であります。取締りの結果が非常に成績が上るということでございますならば、けつこうでございますが、年々歳々成績が落ちておる。ことに宮崎県の酒造業者は、約半数は休業いたしておるという実情であります。そこで私がこういうことを質問する点は、取締り点等にひとつ改良をしてもらいたい、こういう点からであります。ただいま御説明通り、もうああいう集団部落になりますと、税務署の手だけでは負えませんので、従つて警察の後援を願つておる、こういう実情でございますが、実際面から警察側意見を聞きますると、警察側取締りましても警察事件件数に加えられない。そこで警察がかり密造者を検挙いたしますると、その検挙者はただちに税務署に引継ぐだけであるという点等もございまして、警察は一向気乗り薄であるということを、実は警察側も申しておるような次第であります。そこでもう税務署側において手を焼いた、こういうことに相なるならば、いつそ取締り関係警察の方に御一任になつたらどうか。そういたしますると非常に成績が上るのではなかろうかとも、私は考えるのでありますが、この点について、これは主税局長でもあるいは長官でも、どちらでもけつこうでございますが、御意見を承つてみたいと思います。
  10. 高橋衛

    高橋(衛)政府委員 密造成績が非常に上つてないというお話でございますが、実は全国的な観点からいたしますと相当成績上つて来ておる。ことにいなかの地方におきましても、漸次正規の酒がつくれ出して来ておるということ、並びに川野さんよく御承知通り東京等におきましても、たとえば有楽町とか新宿等カストリ横町というようなところがございまして、ああいうところ密造酒相当氾濫いたしておつたのでありますが、一昨年の値下げ以来、その他取締り強化等によりまして、最近はそう号ところも跡を絶つたように見ておるのでございます。  なおただいまお話密造取締りは、全部警察に一任したらどうかという点につきましては、実は事実上は、たとえば取締りに出動する人員が、税務職員が三十人程度おります場合においては、たいてい警察の方で出動していただく人の数が、百人とか百五十人とかいう数になつているのが全国的な傾向でございます。そういうふうにむしろ取締り自体傾向は、勢い警察等にお願いせざるを得ないというのが実情でありますが、ただ密造犯そのものの調査なり、いろいろな結果のとりまとめ等につきましては、やはり密造犯自体について、または酒税法について十分知識と経験を有するところ税務官吏で当ることが、妥当であるというふうな観点から、双方協力してやつて行くという建前になつておるのでございます。いずれにまかしてしまうという事柄も、やはり昔からのいろいろな成果を考え、歴史を考えまして、また将来のことも考えてみまする場合に、必ずしも全部警察にお願いをして、こちらは知らぬ顏をするというかつこうにも行かぬであろうと、考えておる次第であります。
  11. 川野芳滿

    川野委員 私が警察にまかしてはどうかという意味は、処分権をまかせたらどうか、こういう意味でございます。官庁はえてしてなわ張り根性と申しますか、非常になわ張り観念が強いのでございまして、ただいま御説明申しましたように、警察検挙件数と申しまするか、この成績が上らないという点からして、非常に警察が熱意がない、こういう点を私は直接取締りの任に当つておりまする警察側から聞きましたので、こういう事態等から考えますると、処分権警察の方に一任したらどうか、こういう意味合い質問をいたしたような次第であります。しかしこの点はなかなか重大な問題でありますので、どうかひとつこれらの点も加味されまして、この点は将来研究をしていただきたいと存じます。  さらに今日国税庁密造対策費を各国税局配賦いたします。そういたしますると、国税局はさらに各税務署にある程度の金を配賦する、こういう現在の実情であります。しかしいろいろと私の伺つておるところによりますると、旅費等に非常にたくさんの金を使いまして、第一線の取締り費用が従つて非常に少くなる、こういう実情であることを私承知いたしたのでありまするが、ああいう集団部落密造対策費といたしましては、地元の税務署責任を持たせまして、従いまして責任を持たせる反面に、相当費用国税庁から税務署に直接渡す、こういうことにいたしたならば、私は相当成績が上るんじやなかろうか、こう考えるわけでありまするが、これに対する長官の御意見を承つてみたいと存じます。
  12. 高橋衛

    高橋(衛)政府委員 密造取締り成果が、警察の事績として載らないというふうな点につきましては、なお警察の御当局とも十分連絡いたしまして、それがやはり成績の一部になるように、ぜひお願いいたしてみたいと考えます。  なお密造取締費各局に対する配賦、または各局税務署に対する配賦に対しましては、先般も各局の監督をいたしました際に、詳しく検討してみたのでありますが、局によりましては、局がほとんど大部分を保留いたしておりまして、集団事態等に対して取締りに当ります場合に、最も有効に使つておる局が大多数であるのでありますが、ある局によりますと、昔通り一応各税務署にこまかくわけてしまうというふうなことをやつておる局もございまして、そのために特殊な地域においては非常に経費の不足をする、ある地域においては必ずしもそれが有効に使われていないというふうな傾向もございましたので、これは即刻そういうふうな方針を改めて、最も集中的に、最も能率的にこれを使用し得るようにいたしたいと、考えておるような次第であります。
  13. 川野芳滿

    川野委員 先ほどの御答弁によりまして、取締り関係は社会問題などを起すという点もございまして、非常に苦心の点は私も察知いたすわけであります。しかしそういう問題について、うんと国税庁はお力添え願つて、まず職を与えるということにしていただいて、そうしてさらに取締りを厳格にする。ただいまの取締り実情を見ておりますと、一年に二、三回お取締りに相なります。そういたしますと、その後三、四箇月は必ず取締りがないということを察知いたしますので、取締りにあたつて罰金等を科せられると、その罰金を納める費用をとりもどす、こういう意味合いでさらに大仕掛の密造をやつておるというのが、現在の実情であります。そこで取締りをやられるならば、徹底的に半年くらい毎月々々取締ることにされるならば、おそらく密造は絶滅するであろうと存じます。かつてタバコ密造が非常に盛んであつたのであります。ところ専売局取締りが峻厳をきわめましたために、今日はタバコ密造がほとんど跡を断たれておる。こういう点から考えますと、どうも現在の密造対策が非常に緩慢である、ことに検挙されましても、わずかな罰金を科せられておる、こういう実情でございますので、従つて密造にさらに拍車をかけておる、こういうことにも相なつておると私は考えますので、どうかひとつ罰則をもう少し重くしていただいて、ことに再犯の者に対しましては体刑をもつて臨む、こういうことにしていただかなければ、今のようなただ名前だけの取締りでは、私はとうてい密造は跡を断たないというふうに考えますので、これらの点もよく御考慮いただき、ただいま申しました職を与えるという問題を急速に御研究を願い、さらにその後に来るべきものは厳罰主義で臨む、こういう点でこの対策を考えていただきたい。こういうことを希望申し上げまして、私の質問を終る次第であります。
  14. 佐藤重遠

  15. 武藤嘉一

    武藤(嘉)委員 私は、今の川野委員密造対策に関連してちよつと伺いたいのであります。川野委員密造対策はまだ非常に緩慢だと言うております。私と同じ党派でこういう同士打ちのようなことを言つてははなはだ悪いのですが、漸次対策は強化され、成績を上げておるのであろうと思うのであります。また話によると神奈川県あたりでは、昨年でありましたか密造対策のために、税務署間税課長が殺傷された。その他相当に危險を冒してやつておることは事実でありますが、何と申しましても金が十分ありません。予算が十分ありません。またその金も、私の聞くところでは、最近立会い検査とかいう方面に使われたり何かして、真に密造対策のために使われているか疑わしい面がありますので、予算の面で十分であればもつと税務官吏は活躍できるであろう、こう考えるのであります。そこで私の申し上げたいのは、最近でありますが、大阪市で正式のルートで酒を販売しておる会社職員が、みずから酒を密造して、そしてこれを一般の正式な酒と一緒に売つたという事件があるやに聞いておるのであります。私真相は存じないのでありますが、いやしくも販売免許をもらつておる卸売業者会社であるとか、あるいは小売商とかいうものが、正規でない密造酒を仕入れて売つているということであると、これははなはだもつてけしからぬわけであります。かようなことについて、大蔵省は非常な厳罰をもつてなされるとは思うのでありますが、私はまず主税局長もしくは国税庁長官の御意見を承りたいのであります。
  16. 高橋衛

    高橋(衛)政府委員 密造取締費につきましては、むしろ総額が少いというふうに考えておりますので、各局ともどちらかと申しますと、密造取締費の方に他の経費使つておるというのが実情であると、私どもは見ておるのであります。ただ局によりまして、先ほど川野さんに御答弁申し上げました通り配賦やり方が各税務署均一に行つておるというふうな場合におきまして、ある税務署においては不適当な扱い方をしたという事実を、私ども認めておるのでありまして、その点は昨年総合視閲をやりました際に、即刻改めるようにいたした次第であります。なお製造家並び販売業者密造酒の取扱いであるとか、密造自体の犯罪に関しましては、私どもも非常に厳格な態度をもつて臨んでおるのでございまして、昨年中におきましても、たしか数件以上免許取消し行つて参つておるのであります。従来メーカーについて免許取消しを行つたことはあまりないのでありますが、一つの基準をつくりまして、厳格な態度をもつて臨み、それをただして行くという方針とつている次第であります。
  17. 武藤嘉一

    武藤(嘉)委員 私の長官にお尋ねしたいのは、メーカーももちろんでありますが、小売りにおいては密造酒を取扱つているという疑いを抱くものが往往ありますので、よほどこの点については十分なお達しが必要であると思うのであります。それから話は矛盾するようでありますが、実は酒の出荷にあたりまして、立会い検査という制度がまだ残つておるようであります。この制度は、非常に悪質なものについては当然必要であると思うのでありますが、業者の側といたしましては、立会いに来る税務官吏態度その他に非常に不満でありますために、これをきらつてやめてもらいたいという要望が強いのであります。もちろん悪質なものに対しては、どんどんそれをやら苦ればならぬと思うのでありますが、最近名古屋局あたりでは、この立会い検査を非常に強化したと聞いておるのであります。ところがこの問題について昨年の秋池田大蔵大臣は、広島県の醸造業者あるいは全国業者の私的な会合において、立会い検査はやめるのだとはつきり明言をいたしておるのであります。それで業者は、大蔵大臣のおつしやつたことだからその通りであろうというので、立会い検査はないものであるというふうに思つておるのであります。ところが最近またこれをぶり返して強化したということで、業者の方では非常にふしぎに思つているのでありますが、一体大蔵省はどういうふうにお考えになつているか。單なる池田先生の放言であるのか。あるいはそれは多少実行性を伴つて大臣はおつしやつたのか。きようはここへ御列席がないのでありますから、確めることはできませんけれども、もちろんこれは私的な会合でありまして、役所でおつしやつた、あるいは国会でおつしやつたというのではないのでありますけれども、そういうふうに業者は了承しているのであります。ところが今申しますように、最近著しくまた強化したといううわさを私は開いておるのでありますが、この点についてはいかなる御所見であるか承りたいと思います。
  18. 高橋衛

    高橋(衛)政府委員 立会い検査につきましては、国税庁といたしまして厳格にやれともやるなとも、いかなる指令も下したことはございません。おそらく各地方取締り当局におきまして、業者によつて立会い検査を要するものとしからざるものとを区分いたしまして、やはり疑わしいまたは取締る要があるというふうな場合におきましては、一部分立会い検査をやらざるを得ない方もあるのではないかというふうに私どもは考えます。しかしながら長年の伝統を保ち、りつぱに納税成績を上げておられる信頼できる納税者に対して、極端な取締りの方策を講ずるということは、効果もございませんし、またそういうふうなやり方は、取締り能率化という面から見て、いかがであろうかと考えますので、その点は十分に注意をしてやるようにいたしたいと考えます。
  19. 奧村又十郎

    奧村委員 川野委員の御質問に関連して、お尋ねしたいと思うのでありますが、ただいま川野委員質問を承つておりまして、私は漂然とした。宮崎税務署間税課が密造酒白書を発表した。その発表によると、宮崎県の一部落大島部落で、年間一万石の密造酒があり、二億六千万円の脱税がある、こういうことを税務署みずから発表している。これは何を意味するか。なおまた税務署以外にも、宮崎大島部落内の相当の公的機関では、税務署の発表は半分である、その倍額の脱税があるということを言うておる。これは今に始まつたことではない。昨年からも問題になり、この大蔵委員会でも、川野委員初めたびたび取上げた。そこでまずこういう事実を確めてみなければならぬが、これは宮崎税務署が発表したのでありますから、もちろん国税庁はこれを認めておられるはずでありますが、この事実を国税庁長官は認められるかどうか。報告があつたかどうか。
  20. 高橋衛

    高橋(衛)政府委員 宮崎税務署が発表したというふうに新聞に伝えられておりますその白書に関しましては、私ただいますが初耳でございます。
  21. 奧村又十郎

    奧村委員 宮崎税務署間税課のこの発表がもし事案であるとするならば、国税庁長官において、また間税部長においていかなる処置をおとりになるか。こういうことは白書日本の国内であるべきことじやない。しかも取締るべき責任官庁が、これを発表しておるということは何を意味するのか。取締るべき責任官庁が、とうていわれわれの力に及ばぬという無責任きわまる発表をしているわけである。しかもこれは今始まつたことではない。昨年あるいは一昨年から問題になつておる。この発表をまだ確認していないとすれば、この大島部落密造の現状について、国税庁の方ではいかなる調査をしておられるか。国税庁の調査の事実をひとつここで御報告を願いたい。
  22. 高橋衛

    高橋(衛)政府委員 宮崎県の大島部落に関しましては、川野さんもいろいろ熱心に御協力願いまして、また県当局も、または県会議長も見えられまして直接いろいろお話を承つております。また局からもいろいろ詳細な報告が来ておりますが、それによりますと、年間五千石程度になるのではなかろうかという、推定の報告を出して参つております。ただ、先ほど川野さんからもお話のありました通り、これは非常に特殊な地域であり、治安にもいろいろ関係するところでもあり、非常に困難な地帶であるというふうに考えておるのであります。従つて、地元の当局におかれましても、これが根本的な対策いろいろお立てになつて、それぞれ努力しておられるようでございますので、私どもも及ばずながら——これは本来のわれわれの密造取締りという面だけで解決しようとしても、なかなか困難な問題のようでありますので、側面の方からの御協力もぜひいたしたいというふうに考えて、ただいま研究中の問題であります。
  23. 奧村又十郎

    奧村委員 ただいまの御答弁によると、密造取締り責任がどこにあるか漠然とするような御答弁である。密造取締り責任政府のどこにあるのですか。私は国税庁長官にその責任があると思うのだが、そうじやないのですか。
  24. 高橋衛

    高橋(衛)政府委員 密造取締り責任はもちろん私にあると思います。しかしながら、先ほどからるる御説明申しました通り集団密造取締りにつきましては、どうしても相当警備力を持つてこれに当らなければならず、丸腰の税務官吏だけがこれに当ることはとうてい不可能であります。従つて、どの程度に十分な御協力が得られるかという点について、なお私どもの努力が足りぬ点があろうかとも思います。そういう点について十分努力しまして、できるだけ成果を上げて行くという方向に進めて行くつもりでございます。
  25. 奧村又十郎

    奧村委員 政府の国会における答弁としては、もう少し責任のある答弁がなければならぬ。国税庁長官ではこの密造の根絶ができない、根絶できないでその責任が持てないというならば、国税庁長官をやめるべきだ。それほどの問題を、この密造に関する限り、この大蔵委員会における御答弁はいつでもどうも無責任きわまる御答弁であるが、それで通るものではない。しかもこれは今度初めて取上げたのではない。そこで一歩讓つて、熊本国税局間税部長の報告では、大島部落密造は年間五千石とあるが、間税部長のその報告によるとしても、大島部落だけが年間一億円以上の脱税をやつておる。かようなことは国辱であります。これはいろいろ事情がありましようが、しかしその事情を各官庁に連絡し、内閣の責任においてこれを何とか根絶すべきその主務官庁として、当の責任者は国税庁長官である。従つて今の答弁では答弁になつておらぬ。国税庁長官はここで心から自分の無力を恥じて、国会に陳謝しなければならぬ。そうしてしかもなおかつこれに対しまして今後徹底的な対策を樹立し、これを国会に報告すべきであると私は思うのであります。  そこでこれに関連してお尋ねいたしますが、長官の御答弁では密造はだんだん減つて来ておるとは言われますが、少くともやみタバコの減少よりは密造の減少の方が少い。密造はやはりまだ全国的に氾濫しておる。そこで、この密造を根絶するについて今後いかなる対策が必要か。ただいまのお話では、一億数千万円の密造取締り費用を有効適切に使うというような御答弁であるが、私は根本にさかのぼつて考えるべきであると思うのであります。それは、なるほど都会における密造酒の氾濫は減つたかもしれぬ。しかし農村における密造は必ずしも減つたとは言えないと思います。その根源は何か。農村における酒の値段がいまだに高い。高過ぎる。現に米一升の供出の価格が七、八十円だ。七十円ないし八十円、税引きするならば一升六十円だ。その米の価格と二級酒の酒の価格と比較してみると、供出米を八升あるいは九升出さなければ酒一升が買えない。二級酒が買えない。こんな状態でもつていかに努力したところで、密造の根絶はできぬ。税金を下げて、特に農家に対しては農家特配酒を出し、せめて一升三百円程度の酒をふんだんに出して行くならば、密造酒を買う者がなくなるのだから、そう苦労しなくとも密造征伐ができる。この農家に対するところの酒の価格が高いというのが、密造取締りの最も隘路である。そこのところを御研究になりましたならば、密造対策に対しては、まず農村における酒の価格を引下げなければならぬ。こういうことになるのでありますが、長官としては、今の一升五百円のこの二級酒の価格を引下けずして、密造取締り責任をとれるかどうか。そこの根本問題をお尋ねする。もしこれがとれぬとするならば、少くとも農家に対する酒の価格を引下げるべきである。それに対する御意見を承つておきたい。
  26. 高橋衛

    高橋(衛)政府委員 密造取締りは、最近の取締りの結果を見ておりますると、だんだん密造やり方が巧妙になつて参りましたので、非常に困難になつて参りました。と申しますのは、なるほど密造部落取締りますると、たとえば蒸溜器なりまたはその他のいろいろな証拠物件が、多数発見されるのでありますが、その場所がたとえば道路の地下に埋めてあるとか、または畑の中にあるとか、山林の中にあるとかいうことで、それが何人に属するかということを確認することが、非常に困難な場合が多いのでございます。家の中にあるというふうな場合におきましては、その確認ができ得るのでありますが、そういう場合におきましても、たとえば偽各が使われておつたり、またはその他各種の方法が講ぜられておりまするために、非常な困難を最近は増して参つておるのであります。  なお密造取締りについて酒の値段との関係を御質問でありますが、これは私どもも常識的に考えて、たとえばタバコの値段が戦前の価格に対して、大体二百五十倍くらいに現在なつておるかと思うのでありますが、それに対して酒の値段は約四百倍になつておるというのが、常識であろうかと思うのであります。これは財政上の必要その他の面から、現在やむを得ない点であろうかと思いますが、こういうふうに値段が高いということが、ただいま御指摘の通り、何と申しましても密造の起る最大の原因でありますので、この点は密造取締り観点からは、ぜひ相当大幅な減税をお願いいたしたいというのが、私どもの年来のお願いでございます。これは日本の財政経済全般の観点から判断して行く問題でありますから、單に密造取締りだけの観点から判断するのも、いかがかというように考えております。
  27. 奧村又十郎

    奧村委員 私は結論として申し上げますが、つまり今長官の言われるように、農家に対する酒の価格が高過ぎる。これが密造の根絶できない根本原因である。したならば、国税庁長官は、ひとつ主税局長にその点をうんと申し込んで、そうして大蔵省一体として、密造を根絶できるようにやつていただきたい。  そこでただいま長官は国の財政の関係から、酒の価格を引下げることはできぬと言われるが、これは主税局の方の考え方の誤りであると思う。つまり農家に対する特配をふやしたらふやしただけ、それだけたとい税額は減つても、密造にかわつて売れる石数だけ税金がふえるじやありませんか。またむしろ税金はふえるのですが、ただ農家に特配する酒が都会にまわつて、都会に売れる酒がそれがために食われて売れないということであれば、それは税收減になる。しかし今の密造の現状から行くならば、密造に置きかわるだけで、まだ五十万石や八十万石農家に特配したつて決して酒の消費が困るということはない。そういう点において大蔵省方針が実態に合わぬ、こういうふうに思うのであります。私は決して国税庁長官責任をあくまでも追究するというのではないので、大蔵省一体として税率を引下げて安い酒を出す、しかも密造取締りを励行する、こういうふうに行かなければ、おそらくこの次の大蔵委員会でこの密造問題を取上げたら、今度こそは国税庁長官の答弁では、そのままでは済ませません。どうかそのつもりで大蔵省一体で、国税庁長官からひとつ主税局長の方へ申し込んでいただきたい。実は主税局長にも私はかねがね申し込んでおるが、主税局長はわれわれ私の意見に同調して来ないのであります。これはやはり取締り責任者である国税庁長官からの主張に、もう一つ力を入れてもらわなければならぬ、こういう意味においてきようは申し上げたのであります。これをもつて私の質疑は終ります。
  28. 高橋衛

    高橋(衛)政府委員 農村に対する安い配給酒を多量に出すことによつて、税收入に響かせずに密造取締りに貢献し得るという点については、私どももそういうふうに考える筋はあるのでございますが、ただ大蔵省だけの問題ではないのでございまして、原料米の配給の数量が限定されております場合におきましては、どうしてもそれによらざるを得ない、そういうふうな観点からいたしましてこれはやはり酒に対するところ原料米の配給の数量、これの問題から解決して行かなければならぬ、政府全体の問題であるというふうに考えておる次第であります。  なおただいまお話の減税を必要とするという点については、私ども決してそうなまけておるわけではございませんので、熱心に今までも努力しておりまするし、全体の財政の事情が許す限り、そういうふうな方向に今後も努力して行きたい、こう考えておる次第であります。
  29. 奧村又十郎

    奧村委員 しつこいようでありますが、米の配給が酒に対して不足しているから、農家特配が思うようにやれぬということであつたが、その点はもうききに私が大蔵委員会で念を押してあります。先般農林省の食糧庁長官を大蔵委員会に招致して全国における密造につぶす米が約二百万石である。そこで密造酒がなくなれば、それだけ米の供出成績がよくなる。そこで農家特配をふやして、一升三百円程度の農家特配酒を余分につくつて、それを農林省の割当におまかせする。供米の成績のよいおうちに真に米でつくつた日本酒を特配する。安い日本酒を特配する。こうすれば供米の成績がよくなるでしよう。供米の成績がよくなつたら、三万石や五万石の農家特配用の原料米の特配をするか、いやそれなら十分いたします、こういうことで結論を得ているので、その点も農家特配の分は農林省へおまかせなさるならば、その米は必ず出してくれる。それを出せぬというならば、おそらく大蔵省の政治力がいささか足りぬのではないかと思うので、つけ加えて申し上げておきます。
  30. 深澤義守

    ○深澤委員 私は川野委員密造問題に関連いたしまして二、三質問をいたしたいと思います。酒造家を代表する御意見によつて密造取締れという御意見は、まことに利害関係からいつてごもつともだと思います。また税法の建前からいつても、一応法律がある以上は密造取締ることももつともだと思います。しかしながら私は密造問題はもはや税制問題ではない。社会問題であると考えます。最近における農村の窮乏状態、農村における失業者の状態は何かしら收入を求めなくちやならぬということによつて、結局密造という問題が出て来るのであります。従つて根本的には農村に対する政策、あるいは農村の失業者をどうするかという問題でありまして、この問題が解決されない限り、いかに国税庁長官を責められても、国税庁長官をやめろと言われても、問題は解決しない。これはこの問題が解決されない限りは、浜の真砂は盡きるとも、おそらく密造は盡きないという結果になるのではないかと思う。そこで私がお伺いしたいのは農村において特に農民生活の上から申しまして、酒は活動の原動力といわれてもさしつかえないほど重要なものであります。特に寒冷地帶の農村におきましては、女の方々までが酒を用いるということは常識であります。従つて今日の実情といたしましては、どこの農村へ行つても、どぶろくの製造ということは公然の事実であります。これを取締ろうといたしましても、莫大な経費と莫大な人員を要しまして、徒労に帰することは明らかであります。そこで私は根本問題の解決といたしまして、昭和二年以来私はそういう主張をして参つたのでありますが、農民の自家用の酒を公然と認めるべきである。私はこういう主張を持つておるのであります。今ここで密造問題が問題になつて参りましたので、国税庁長官に特にお伺いしたいのは、少くとも農家の活動の源泉力である、農家自体がどうしても必要とする酒に対しては、必ずしも米ということではないのでありまして、いもでももろこしでもしようちゆうはできますから、そういう意味において農家にアルコール分を持たせることは、日本の農業の促進の上においても必要であると私は考えますので、農家一戸に対して一石五斗くらいの年間の公然たる酒の製造を認めたらどうか。その方がむしろ根本的な解決策になるのではないかというふうに考えるのですが、これに対する見解はどうでありますか。
  31. 高橋衛

    高橋(衛)政府委員 昭和二十七年度予算におきまして、酒税の收入は千三百億円を予定いたしておるのであります。しこうして先ほど御答弁申し上げました通り、酒の税率は現在相当高くなつておるのであります。従つてこの税收入を確保しようということであれば、また税收入を確保することは当然必要であろうと思うのでありますが、農家の方々に各戸に免許するというようなことは、とうてい考え得られざる問題であると考えるのであります。これはその製造者の取締りの面から考えましても、また密造取締りの面から考えましても、双方の面から常識的に考えて、絶対に免許し得ざるものであるというふうに考えております。
  32. 深澤義守

    ○深澤委員 そこで私がなおお伺いしたいのは、大体大蔵省が本年は一億数千万円の密造対策経費を計上し、去年でも二十何万かの人員を要したそうでありますが、そういう状態においても集団部落等は相当経費を要するところ取締り組織がなければ、取締れないという状態になつている。ところ個人密造というものは、全国至るところに公然の事実のごとく存在しているのであります。これに対して国税庁当局は、十分の取締りができるという確信を持つておられますか。もしもそれができないとすれば、何らかそれに対する法的な手を打つ以外に私はないと思う。緩和策を講じなければならぬと考える。従つてあなたの方で全部取締つて、密造がないようにできるという確信があるならば私はいいと思う。おそらくそれはできないと思うのですが、その点はどうですか。
  33. 高橋衛

    高橋(衛)政府委員 過去の酒税の非常に安かつた時代においても、密造というのはやはり存在いたしておつたのであります。従つてよく言葉で言いますところ密造の根絶をするということは、これは言葉の問題であつて、根絶というようなことは、おそらくいかなる時代においてもなし得ざることであるというふうに考えます。しかしながら大勢に影響のない程度にそれを取締つて行くということは、これは可能なことであるというふうに考えておるのであります。現実に終戰後の状況から今日までの推移を見ておりますると、漸次密造取締られて参りまして、その数量その他全般に及ぼす影響も、漸次軽減されて参つているというふうに、私どもは見ている次第であります。
  34. 深澤義守

    ○深澤委員 先年四国に調査に参りましたときに、酒屋さんが密造取締るのを盛んに陳情いたしておりました。そのときに四国のたしか局長代理だつたと思いましたが、立お会いまして、この密造対策はもう失業問題だ。これは職のない人に仕事を与える以外にない、いかに取締つても非常に困難であるというふうに、本音を吐いていたのであります。おそらくそれが私は実情ではないかと思う。これは国税庁長官をいくら責めても問題は解決しないのであります。吉田内閣の政策が農村をますます窮乏の状態に陷れますがゆえに、農村における失業者等はどうしても現金收入を得るために、そういう職業をしなければならぬ。それからもう一つの問題は、かつての統制時代に強制的に統制をいたしまして、酒屋さんがやめた人がたくさんあります。戰後その人々が酒屋として復活したくても復活できない。一部の特権者だけが復活しておる。従つてそういうオミットされた昔の酒屋さんが、密造部落等に参りまして、そうして指導して、非常に普通の酒よりももつとりつぱな酒をつくつておつて、安くてしかもうまい酒がのめるということで、密造というものが一般の間に非常に評判がいいのであります。こういう状態でありますから、私は酒税が高いとか安いとかいう問題でなしに、根本的な問題の解決をしなければならぬと思う。従つて統制時代にオミットされた酒屋さんを、どういうぐあいに救済して行くかという一つの問題がある。それからもう一つは、取締り費用なんかに金をかけるよりも、むしろ農村失業者救済のために金を使うべきである、こういうふうに私は考えておりますがいかがお考えになりますか。
  35. 高橋衛

    高橋(衛)政府委員 戦時中に企業整備によつて統合された業者の復活に関しましては、昭和二十三年度以降、それぞれ各地元において、もともと残存業者と廃業者と双方の間に、補償するとかいろいろな問題がございましたので、そういうような間の話合いをしていただきまして、そうして法律上の制限石数であるところの三百石を越え、しかも過去において酒税法違反とかいうことのない人につきましては、それらの人々の復活を認めて行くという方針とつております。なお後段の御質問の点は、私の責任範囲でないと考えますので、答弁を差控えます。
  36. 高田富之

    ○高田(富)委員 密造問題に関連しまして、一点だけお伺いしておきたいと思うのですが、先ほどの質疑応答の中で、集団的な密造に対しまして警察力を発動するということでありますが、これは手続としましては、やはり国税庁の方で事実を調べた場合に、警察権力の発動を懇請する、連絡をとるというような手続でおやりになつているだろうと思うのですが、昨年一ぱいに、いわゆる集団密造に対する警察権の発動によつて検挙したのは、大体どのくらいの件数がありますか。
  37. 高橋衛

    高橋(衛)政府委員 昭和二十六年度に入りまして、取締りのために出動しました人員が二十二万九千人でありますが、このほとんど大部分の場合は、警察方面の御協力を得てやつた事件であると考えております。しかしながらその回数その他については報告とつておりませんので、お答えできない次第であります。
  38. 高田富之

    ○高田(富)委員 二十二万九千人というのは、警察官の数は入つておらないのですか。
  39. 高橋衛

    高橋(衛)政府委員 この二十二万九千人には、警察官を含んでおりません。これは税務官吏だけの数字でございます。警察官の数字は持合せておりません。
  40. 高田富之

    ○高田(富)委員 農村の集団的な密造の問題その他につきましては、前の委員からいろいろ質問がありました。私がこの際特に伺つておきたいのは、こういう集団的な密造の中で、特に新聞紙上その他一般に大きくセンセーシヨナルに取扱われているのは、今までの例で見ますと集団密造、特に少数民族である朝鮮人の諸君の場合に、特にこれがセンセーシヨナルに扱われているような感が深いのであります。これはやはり相当大きな社会問題であり、政治問題の性格を持つものである。最近はほとんど生業を失いました多数の半失業状態にある朝鮮人の諸君が、いろいろな形で生きて行くための方法を講じているわけであります。たまたまこういうような方法でのつぴきならない生活の最後の保持策を講じている者に対しまして、これを何らか政治的に穏便な方法によつて失業対策を講ずる、あるいはいろいろな方法で適当な処置をとるという配慮なしに、警察権力の発動によりまして、大々的に検挙したり、襲撃したりするというようなことになりますと、これは單なる脱税とかなんとかいう問題でなくして、両民族の間に何か一つの大きな反感のようなものを抱かせる結果になるおそれが、多分にあると私は思う。こういうような点について特に警察権力の発動については、そういう方法をとらない別個の措置をとることは、私はこの際特に、こういう国際情勢の中におきましては、必要ではないかと考えるのでありますが、この点についての長官のお考えはどうでありますか。
  41. 高橋衛

    高橋(衛)政府委員 密造取締りに関連して、朝鮮人等に対して特に苛酷に行われているというふうなお話でございますが、私どもといたしましては、国籍のいかんにかかわらず、密造取締りは特にその弊害の大きいものを中心として、徹底的に行うべきであるというふうに考えております。
  42. 高田富之

    ○高田(富)委員 昨年度集団密造に対する摘発の件数、及びその検挙人員、その中で、特に主として朝鮮人関係ということになつているものは、どれくらいの割合を占めているか。これがわかつておりましたらお知らせ願いたい。
  43. 高橋衛

    高橋(衛)政府委員 検挙件数並びに告発件数は、先ほど川野委員の御質問に対してお答えいたしました通りでございます。なおこの内訳として朝鮮人等の者がどれだけあるかという御質問でございますが、これは韓国民または朝鮮人等の部落におきましても、日本人自体も相当含まつておるような関係もございまして、その区分は私ども承知してないのでございます。
  44. 川野芳滿

    川野委員 検務局長がお見えになつておりますので、検務局長に対してただ一点御質問申し上げてみたいと存じます。ただいま密造対策の問題がいろいろ委員会の問題になつておるわけでありまするが、この密造対策の貧困という問題につきましては、いろいろ理由もございましよう。すなわち大蔵当局予算を非常に少く計上いたしておる。これも大きな原因であります。さらにまた国税庁の無力がこの原因をなしておる。あるいはまた酒価が高いという点等も、種々なる理由をなしておるのでございますが、またその一つの理由といたしましては、検挙者に対する処分の問題であります。検察当局がこの密造に対する問題については非常に軽視されておる。こういうふうに私は考えるのでございます。ほとんど罰金刑、これもわずかな罰金でほうつておる、こういう実情でございます。従いまして罰金を課せられた人は、翌日は逃げてしまう。従つて罰金は一銭も納めずに済む。また半年もたちますと、元の所に帰つて来て、また密造に従事しておる、こういう実情でございまするが、検務局長殿におきましては、この処分の問題についてどういうお考えを持つておられるか、伺つてみたいと思います。
  45. 岡原昌男

    ○岡原政府委員 お答えいたします。ただいま御質問の点でございますが、濁酒密造につきましては、検察庁といたしましては税金の確保という大きな目的からいたしまして、絶えずその事犯の処罰につきまして、部内的に検討を加えております。たとえば各地方ごとに税金関係の財政係検事と申しておりますが、その会合を催し、あるいは年に一、二回全国の担当検事を法務府に集めまして、かような取締り方針等について指示をいたしております。そうしてその指示しておりまする要点は、もちろん個別的な事情によつて、いろいろと事件の処理は左右される場合もあります。たとえば起訴猶予とかいう場合もありますけれども、全般的な方針といたしましては、税金の確保のために、かような事件は徹底的に国税庁方針協力して行く、そういうことを指示いたしまして、また個別的な具体的な事件につきましても、大体御承知通り、この事件は全部告発にかかつて参りますので、告発の際にそれぞれ税務署の方から意見がついて参ります。その意見を十分尊重いたしまして、事件の処理をいたしておる次第でございます。ただいま御指摘の中には、罰金を言い渡されましてから逃げるのもあるのではないか、というお話はごもつともでございまして、中にはさような事例もございます。しかしながら一般には罰金の徴收につきましても、検察庁として絶えず目を見張つておりますので、逃げるというのは割合に少い比率じやないか、かように存じております。なお起訴率はほかの事件と違いまして、非常に高くなつておるということも、あわせて御報告申し上げる次第でございます。
  46. 川野芳滿

    川野委員 税務署の御意見を尊重して処分を決定する、こういう御答弁があつたのでございまするが、実際問題といたしましては、非常にそれとは違つておる実情であります。税務御当局としては体刑にしてもらいたい、こういうふうに希望を付して、検察当局に書類をまわすのでありますが、検察当局におかれては、刑務所が満員である、そこで体刑に処すべき者にかかわらず、罰金に付しておる、こういうことを私は取締りの検察当局からも伺つておるわけであります。これは、かりにどろぼうを考えるということになりますると、必ず体刑にされる。おそらく今日の密造脱税は、私は百億以上に上つておるのではなかろうかと存じます。百億以上に上るこの脱税という問題は、先ほども奥村委員が申されましたように、まことに国家にとりましては大きな問題であります。そこでこの大きな問題を、ややもするとわずかな金をとりましたどろぼうと比較いたしまして、どろぼう犯人は重く取扱われる、密造犯人は軽く取扱われる、こういう点が現実にあるわけでございますので、よくひとつこの点も御了承いただき、地方の検察当局に対しましては、この点の認識をさらに深めさせていただきまして厳重に処分をする。外国人でございますならば、強制送還の手続も考えてもらいたい、あるいはまた再犯に及ぶ者については、体刑をもつてこれに臨んでもらいたい、こういうことにしていただかなければ、百億以上に上るこの脱税問題の解決はできないと考えますので、どうか厳重に取締つていただきたい、こういう希望を申し上げる次第であります。
  47. 岡原昌男

    ○岡原政府委員 ただいまのお話はごもつともでございまして私どもといたしましても、お話のような線に沿うて事務を処理して参つておるのでございますが、御承知通りたとえば検事が体刑を求刑いたしましても、裁判所において罰金になることもありますし、さような事情にもございますので、この点は裁判所に対しましても、十分私の方から意見を開陳いたしまして、なるべく御趣旨に沿うような判決の結果、あるいは略式命令の結果が得られるように努力いたしたいと存じます。
  48. 小山長規

    ○小山委員 この際主税局長及び国税庁長官に、一言われわれの要望申し述べたいことがあるのであります。先日来の質疑応答によりまして、申告納税者の所得が、昭和二十五年度に比較しまして、昭和二十六年度の所得は平均四割七分ふえていることは、国税庁長官がしばしばこの席上で言明されたところであります。この四割七分はもとより平均でありまして、中にはゼロの人もおれば、十割、二十割とふえている人もおるのでありましようが、平均四割七分ふえているということである。そしてその所得は的確に把握し、納税者自身も認めているのが大部分でありましようけれども、さて納税という段になりますと、現在の金融状況から申しますと、相当納税資金に苦しんでおる人がたくさんおることも、また事実であります。従つてこの際徴税当局におかれましては、国策的な立場から、これらの納税資金の調達困難な者に対しましては、その前年度に比較して増額された税金、その税金の半分程度は、とりあえず確定申告の際に納めさせるといたしましても、残りの半分は、三月、四月に利子税を徴して分割納付をさせるという、一般的の方針をとられることが、現在の資金状況並びに中小企業の実態に即して、必要なことであると思いますので、われわれはこれを強く要望するのであります。そこでこれらの納税者に対しましては、その前年度に比して増額された分の半額程度は、即時確定申告と同時に納めさせるけれども、残りの半額については、三月、四月に分割納付の一般的な方針をとるということを、強く要望するのでありますが、これに対する国税庁長官のお考えを、この際伺つておきたいのであります。  さらにこれらの納税者の中には、昨年度は確かに所得が増加し、そしてそれは税務署が認める通りであり、本人もまた認めておるところでありましようが、本年度あるいは昨年の終りごろから、業況が非常に不振になつた産業が幾多あるのであります。これらの人人は、昨年度は確かに所得があつたけれども、現在の業況不振なために納税が困難である、單に資金的に困難であるのみならず、将来といえども非常に困難であるというものができて来たということも、また事実であります。これらの人々に対しては、分割納付のほか、さらに利子税の減免の措置を講ずべきではないかと思うのでありますが、現在法律上はその根拠がありませんので、主税当局におかれては、それらの納税の困難な者に対する利子税減免の根拠規定をつくる意思ありやいなや、この二点について両当局にお伺いしたいのであります。
  49. 高橋衛

    高橋(衛)政府委員 先般来、今月末の確定申告期限までに、いい申告を出していただくという趣旨をもちまして、全国一斉に、税務署にそれぞれ納税者の方においでを願つて、税務署の調査したところ説明申し上げ、そして申告を出していただくようにお願いいたしておるのでありますが、ただいままでの成績は、昨年に比較いたしまして、相当向上いたしております。しかしながら予定申告の税額が、七月の場合におきましては五百億程度でございました。予算は、御承知通り千二十億の予算が計上されておるのであります。従つて各納税者とも、予定申告の程度の税額で済む、または所得の増加の状況等から考えて、それで済むというふうにお考えになつている方は、あまりないようでございまして、特にまじめな方は、相当に納税貯蓄その他の方法でもつて、準備をしておられるようではありまするが、しかしながらただいま御指摘のように、昨年末ごろから業種によりましては、相当値下りその他の関係上、損失を来しておるという方々もございます。従つて具体的には、所得額としては、税務署の言う通り納得ができるけれども、今すぐ今月末までに全部納めるということは、非常に困難であるということをお訴えになる方がございます。それでそういうふうな方のために、各税務署とも、特に納付相談係というものを設けましてそういう人においでを願つて、そして納付についての一々御相談に応じておるのが実情でございます。国税徴收法の七條によりますと、いろいろな災害を受けました場合とか、納税人またはその親族が疾病にかかつたような場合とか、またはその事業を途中で廃止または休止したような場合とか、またはその事業について甚大な損失を受けた場合とか、またはその他前各号の事由に類するような事由があつたような場合等におきまして、一時に納付することが困難な場合には、徴收の猶予をするという規定がございますので、この規定をできるだけ活用いたしまして、それらの者につきましては、期限内にできるだけの誠意のあるところの納付の仕方をしていただいて、あとの分につきましては、できれば三月一ぱい、特殊な人につきましては、四月まで一部分延びてもやむを得ないというふうな考え方をもつて、それぞれ、御相談に応じ、納付期日等について御誓約を得て実行しているのが実情でございます。
  50. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 今のお尋ねのうち、利子税の問題についてお答え申し上げますが、今高橋長官からお話がありました、税金の全部または一部を徴收猶予をし、その一部につきまして、分割納付をすることができるという規定を、昨年の改正で設けたのでありますが、その際に、大体本人の責めに帰すべからざる事由で、そのような事情になつた場合は、利子税を免除する。しかし本人の責めだかどうだかわからない、やりそこないその他で、どうも納めることがむずかしくなつたような場合、こういう場合は、他の納税者との比較を考えまして、利子税を免除するのは少し行き過ぎではないかというので、金高橋さんから指摘されました五つの原因のうち、最初の二つの場合だけは利子税を免除しまして、あとの場合は免除する規定を設けていないのであります。しかし実情に応じて考えますと、これらの場合におきましても、利子税を免除した方がより実際に即するという場合があり得ると考えますので、できますならば、この次に税法改正案を出します際——もちろん今国会でありますが、三号以下の、やむを得ざる場合と認められる場合には、免除し得るような趣旨の規定を設けるようにいたしたいと考えている次第であります。
  51. 小山長規

    ○小山委員 ただいまの主税局長の答弁によりまして、たとえば非常な業況の不振によつて倒産したとか、あるいは重大な損失をこうむつたとかいうような場合にも、この国会において、利子の減免の措置を講ずることができるような改正案を提出されると伺いましたので、その点は了承いたします。至急にその提案をされたいということを要望いたします。  国税庁長官のただいまの御答弁のうち、若干不明な点があるのでありますが、私が申しておりますのは、現在の金詰まり状況、ことに中小企業の金詰まりの状況、またたとえば綿布とか、ゴムであるとか、皮革であるとかいうふうな特殊な商品においては、昨年秋以来の業況不振、国際的な市価の下落その他によつて、非常に資金繰りにおいても困難な人たちがおるのであります。これらの人たちも、現在の国税徴收法の解釈の範囲内において、これら資金繰りが著しく困難になつたという人たちに対しては、やはり行政的な措置によつて、三月あるいは四月までの分割納付を認めたといたしましても、税法違反にはならぬと私は考える。でありますから、国税当局の心構えと申しますか、方針といたしまして、ただいまのような非常に困難な資金状況にある者も、やはり分割納付の対象とするというふうな根本方針を、国税庁長官は持つておられるかどうか、これをさらに確かめておきたいのであります。
  52. 高橋衛

    高橋(衛)政府委員 昨年度の所得を算定いたします際に、所得のあり方が、たとえば預金の増加であるとか、または現金の増加であるとかいうふうに、現実に処分し得るところの財産の形において残つておるという場合におきましては、納付はきわめて簡單でありまするが、その形がたとえば売掛金の増加であるとか、または商品の増加であるとかいうふうな場合におきましては、その際は事実上納税に相当困難な場合があり得るのでございます。そういうふうな状況は、税務署において大体よくわかつているのが通常でございますので、できるだけこの第七條の趣旨にのつとつて、そういうふうな場合におきましても分割納付の方法を認めて行きたい。ただこの場合におきましては、先ほど主税局長から答弁申し上げました通り、利子税は徴收せざるを得ないのでございますが、しかしこういう場合におきましては、督促状を発して延滞利子税をとるというふうなことは差控えまして、実情に応じてできるだけ誠意をもつて納めていただくというふうにいたしたいと考えておる次第であります。
  53. 大上司

    ○大上委員 検務局長がお見えになつておられますので、二、三お尋ねしたいと思います。どの役所でもそうですが、近時特に汚職事件が非常に多いように察知せられる。そこで昭和二十三年、四年または五年度の会計検査院から提出せられたところのいわゆる年次検査報告書がございます。その中に特に收税官吏というか、いわゆる高橋さんの幕下に、パーセンテージからいつて相当事件があるやに見受けられる。もちろんほかの一般公務員は、その給料でやつておられるのだけれども、收税官吏にこれが起きるのは、いわゆる誘惑が多い職掌ということも一応考えられるけれども、何らか国税庁または大蔵省において、下部の教育が悪いから、そういうふうになつて来たのか。または世相がそうさしたのか。あるいはもう少し掘り下げてみまして、徴税費に該当すべきもの、一般給与等は別でございますが、特は旅費等におきましては非常に低い。そういう点は今まで事犯を処理なさつた経験から推して、どこに難点があるのか。それをひとつお尋ねしたいと思います。
  54. 岡原昌男

    ○岡原政府委員 ただいま御質問の、全国税務官吏の汚職事件の動機、原因でございますが、私どもといたしましては、全国からその種事犯の検挙報告並びに結果の報告を徴しております。その中に動機、原因を相当詳細に書いてあるものもございまするし、中には全然それに触れていないのもございまするので、全体を通じてどれが一番大きな原因か、最も強い動機になるのかということは、確言いたしかねますけれども、大体私どもの見ているところでは、これはほかの各官庁についても、ほぼ同様なことが言い得るのでございますけれども、終戦後一般的な風潮が非常に乱れて来まして、犯罪に対する観念が非常に簡單になつてしまつて道義心が低下したということが第一でございます。さらに、特に收税官吏につきましては、最近急激にその人員をふやしましたために、私どもの見るところでは、やはり若干素質の十分ならざる者が混入して来たのじやないか。これは終戰後に急に大きくなつ官庁に共通する現象でございますけれども、さようなために、割合に若手の、まだ考えの十分固まらない者が相当入つて参りまして、これらの者がつい簡單に犯罪を犯すというのが、一つの原因であると思います。さらに先ほど御質問の中にもありました、そういう徴税というふうな割に権限の大きい官吏でございまするので、権限の大きいところに必ずさような汚職というものが伴いがちだということは、常識的なものでございますが、さようなことも大きな原因のように考えております。その他個別的にこれを見ますと、たとえば生活難とか、あるいは先ほどもお話がありましたその他の一般的給与の不足というふうなこともあるように思います。全般的に国家公務員の給与は必ずしも多くないのでございますが、特に收税官吏について、その点が全般的にさようだとは私どもは考えておりません。しかし個別的な事件としては、さような原因もあろうかとかように考えております。その他いろいろございまするけれども、大体今気がついたのはさような点であります。
  55. 大上司

    ○大上委員 もう一つだけで切り上げます。大体わかつたのですが、いま一つ、今度は主税局または国税庁長官に、お願いといいますか頼みたいのですが、どうも徴税費がわが国以外の面から見たら、パーセンテージが上まわつているというのですが、これだけ税法がかわつて参りますと、印刷費その他役所が使うべきところの間接費は相当なものだと思う。けれども旅費その他の規定においては、給与が非常に少いように思うので、特にただいま検務局長の答弁の中にも、個別的には、という但書があつたようでございますが、特に徴税費等については愼重に扱つてもらいたいということを、希望條件として述べておきます。  次にいろいろの汚職事件の検挙について、ちようど納税期が目前に追つておるので、これが新聞記事等になりますと、一般の納税思想というか、徴税面には非常に支障を来す。けれども事犯は事犯として、検務当局は当然検挙またはこれに類すべきことはしなければならない。そこで実際の運営面において非常に当局が悩んでおられるということは、現実にわれわれでも察知できるのです。そこでもしも長官またはその当面の人が責任を持つて、その人間が逃亡しないとか、どうもしないというような、ある点を責任を持てば、法の許される範囲内であるならば、これを徴税期間に限つて特別の処置ができないものか。たとえば四箇月も五箇月も先なら別ですけれども、大体徴税の締切りが四十日もかからない一箇月以内というふうな場合には、特別な処置ができ得るのか、できないのか。  それからいま一つついでに申し上げますが、調査査察部でございます。これは一般的に国民が見ますると——国民感情ですから、私個人の主観的な考えかもしれませんけれども、いわゆる計数を扱うところの技術は、どうも国税庁の方がわれわれは上位にあると見ている。ところが一般的に国民の受ける感情は、いや検事さんがおられて云云ということで、最後の決が検務当局に引きずられがちのような気がするのです。それは国税庁の宣伝またはこれを国民に知らせる方法が悪いのか、検務局が悪いのか知らぬけれども、いわゆる最終決定の告知書または通知書を発行するのは国税庁がやるわけです。税務署長の名をもつてやるのですから、そこに少し考え方がおかしいような気もするのですが、これについての局長としての考え、または将来の扱い方、この二問をお尋ねします。
  56. 岡原昌男

    ○岡原政府委員 御質問の第一点でございますが、徴税期が迫りまして税務署が非常に忙しい、一方において汚職事件の摘発が起つて事務の澁滞を来す、他方において国民感情を刺激して、徴税の能率が悪くなる場合があろうということも御指摘の通りでございます。但し私どもといたしましては、従来とてもさようなことでございますが、事件の検挙あるいは処罰というものは、年がら年中やつておりますので、ちようど事件の進展がある段階に参りますと、どうしてもその事件をあと一箇月の間に切りをつけるという必要に追られることもあることは、御了承願いたいのであります。但し先ほど御指摘のような面もあることは事実でございますので、捜査の許す限り現地の検察庁の判断において、さような期間の取扱いについて愼重を期するということは、いろいろあろうかと思います。これは具体的な事件によつて、現地の処理にまかせておる次第でございます。  第二点でございますが、従来大きな事件等の通告、告発等につきましては、国税庁の方と検察庁の方と事前に相当密接な連絡をとり、協議をいたしておるのも事実でございます。ただその判定の基準と申しまするか、これはいろいろ具体的な事案によつて違いますので、大体の全般的な基準を一応設けておいて、それに触れるか触れないか、さらに触れるとしてこれをどういうふうに扱うかというふうなことは、両方案を持ち寄りまして具体的に検討しておるわけでございまして、別に検察庁の方が指揮するといつたようなこともございません。ただ事件によりましては、たとえば証拠の点とかあるいは情状の点とか、あるいは法律的な解釈の面とかいうふうなことで、いろいろ議論を闘わしておる間に、どうも公判の維持が十分でない、結局証拠がそろわないというふうな場合には、これを検察庁の立場から困るというふうに申し上げることもあろうかと存じます。具体的な事案によつて相当違つて参るのでございますけれども、特に御指摘のように、向うの意見をこちらで押えつけるというようなことはないつもりであります。
  57. 宮腰喜助

    ○宮腰委員 今の密造関係について一点だけお伺いしたいと思うのであります。これは各農村関係あるいは酒造業者関係からも、再三言われておる点でありますが、米と酒の交換の問題であります。安孫子前食糧庁長官は米を出すと言い、また先ほど高橋長官は米を十分配給してくれないから結局酒ができない、こう言われますが、米と酒の交換、ことに配給の通帳に記入して、農村に米と酒の交換を認めるということになると、非常に米が足りないから酒ができないのだ、税が十分徴收できないのだということも、うまく行くのじやないかと考えられます。これは鉱山労働者や何かには不均衡な問題が起ると思いますが、そういうような交換問題を御研究なされたことがありますかどうか、長官にお伺いいたします。
  58. 高橋衛

    高橋(衛)政府委員 御質問の点は、いわゆる委託醸造の問題であろうかと思うのであります。農家が一定の米を供出したならば、それに対して一定数量の酒を交換で出す。その場合にどの程度にしたら、そういうふうな制度が円滑に行き、また効果を上げるかというふうな問題であります。この問題については非常に熱心な提唱をなさる方もございまして、私どもも何回か研究いたしておるのでございますが、何と申しましても現在の税法で申しますると、一石の米が超過供出の場合におきましても九千三十円でございます。二級酒の価格にいたしまして自由価格であるならば五百円、配給酒の場合にはもう少し少いのであります。一斗の米を出して金を出さなければ、配給酒の値段においてもせいぜい二本程度しか交換できぬという状況であります。従いましてこの程度ではたして米をどんどんお出し願つて、そういう酒をつくつて行けるかどうかという面に、自信を持ち得ないというのが実情であります。
  59. 宮幡靖

    宮幡委員 税制の審議も大分時間をかけておりますが、三月三十一日まではどうしても成立させなければならない法律でありますので、審議をお急ぎであろうと思う。そこで時間もはずれておりますが、今までお尋ねいたしましたうちで、まだ二、三確認いたしておきたい点がありますので、その点について総括的な質問を二、三いたしまして、補足しておきたいと思うのであります。  第一番に主税局長さんにお尋ねいたすのでありますが、例の賠償施設が返還になりました場合に、帳簿価格が復活いたします。再評価という問題はしばらく別といたしましても、その復活いたします帳簿価格は法人税法上益金になるとか、これに対しまする課税の方針あるいは特別措置等について、何か御成案を得られておりますか。
  60. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 ただいまの問題は、できる限り実情に即するような趣旨で扱うことにいたしたいというので、租税特別措置法案といたしまして、近日中に提出する予定でございます。その際に御審議願いたいと存ずる次第でございます。
  61. 宮幡靖

    宮幡委員 その場合、これは直接主税局長さんの方に御関係はないかもしれませんが、企業再建整備法との関係はどうなりましようか。これは理財局関係でありますが、御協議の上で一緒にその措置に関する法律案なり、あるいは施行規則といいますか、あるいは大蔵省のお考えの内容等について同様にお示し願えるような段階になつておりますか。
  62. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 その方はすでに確定した分もあるかと思いますが、もちろんそのような点等もよく協議いたしまして、そのような問題も一緒に解決するようにいたしたいと考えております。
  63. 宮幡靖

    宮幡委員 予想される租税特別措置法の中の賠償施設の小さな問題でありますが、具体的な問題として参考に伺つておきます。およそ日本の工作機械と限定して考えてみましても、工場設備は陳腐化しておるわけですが、賠償設備として指定されたものは、まだ比較的設備のよろしいものであります。そこで陳腐化した工作機械と、賠償解除になりまして返還になりましたものを、一つ一つ交換するというような場合、このような場合は税の面からどういうふうにお取扱いになる構想のもとに、租税特別措置法をお考えになつておるか。古い機械を提供させまして新しい機械を与えて合理化を促進する、こういうようなこと、もつと具体的に言えば、古い機械をスクラップに代金で勘定いたしまして、新しい機械の価格で賠償施設の返還を受けました会社から売つてやる、こういうような交換のあつせんをすることが、行政としましては実は当然なんです。これは大蔵省でやることでなく、通商産業省、安本等で考うべきでありましてこの構想がすでに進んでおるわけでありますが、こういう場合の措置はどうなさるか、お考えのうちにありますかどうか。
  64. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 今お尋ねの件はまだ私の耳に入つておりません。従いまして結論を出しているわけではございませんが、もしもそういうものであるとしますれば、相当やはり考えてみたいと思いますが、機械の売却をいたしますれば、やはりその分は処分益が出て来れば、利益が出て来るということになる。それから賠償指定施設で今徐々に計算している分は、原則として昔の帳簿価格に復活する。それからさらに再評価する分につきましては、再評価法に基きまして一定の再評価ができる。こういうことに相なるかと思いますが、何か一般原則で非常にうまく行かない点がありましたら、今ちよつと私判断できませんから、頭に入れて留保しておきたいと思います。
  65. 宮幡靖

    宮幡委員 次に長い間衆参両院で審議を重ねました、企業合理化促進法の第六條の規定によります指定企業でありますが、この範囲もおおむね決定されまして、政令の要綱というようなも  のも配付を受けたわけであります。しかしあらゆる業界の要望から見ますると、御承知のように船舶もぜひこの仲間へ入れてもらいたい、これは運輸省あたりから熱心な要求がありましたが、元来この企業合理化促進法を考え  ましたときに、船舶は入つておりませんし、当然予算措置から見合いますと、さようなものを取入れるべき余裕もないことは明らかであります。そこでこれは大蔵当局としてはもちろんのこと、われわれの産業復興計画覇委員会においても、運輸省の非公式な要望でありますが、この要望はお断りいたして参つた。しかしながら何らかの緩和策を講じなければならぬということで、別途償却年限の短縮という問題を考えまして、大蔵当局等にもこの御意見を申し上げ、また運輸省に対しましても、この方面について大蔵省の了解を得るように勧告をいたしたわけでありますが、その問題はどういうふうになつておりますか。
  66. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 船舶を企業合理化促進法による例の二分の一償却の中に入れてくれという要望が、運輸省方面から大分ございましたが、この合理化法というのは、設備の近代化というのが主たる目的でございまして、その趣旨からはどうも少し逸脱する。かりに入れるといたしますと、償却は年間八十億円くらいになつてしまいますが、これは現実にそれだけの償却はできないところでございます。そのできないということは、こういう法案の趣旨にそぐはないということの意味におきまして、あの法には入れないということに先般閣議で了解を得たのでございます。ただ御指摘のように船舶につきましては、国際競争等の見地からなるべく償却を多くする。こういう一般的事情から、これは了とされる分もございますので、年限につきましてまず短かくし得る限度において、できるだけ短かくするという意味におきまして、今一般の貨物船は二十年でございますが、それを十六年程度に引下げるという方向で、今話をとりまとめ中でございます。さしあたりといたしましては、それで運輸省と話済みのことに相なつておる次第であります。
  67. 宮幡靖

    宮幡委員 同時にやはりこの促進法に関連いたしまして、紙パルプの設備の近代化をはかるということは、きわめて急を要することでありますが、やはりこれも予算等の関係と見合いまして、一応業種から除外されておるわけであります。除外されることに異議はないのでありますが、戦争中から今日までに至りまするパルプ紙の日本の技術というものは、はるかに二十年くらい置き去られておりまして、アメリカとはほとんど問題にならないくらい技術の逕庭が出て参りましたし、北欧スエーデンあたりに比べましても、紙のスピードにおきまして心日本においてはせいぜい四百尺、北欧においては八百尺、アメリカでは二千尺、このくらいの段階があるわけであります。そこで近代化をやはり促進する意味において、これに取入れたいのでありますが、予算措置等からその点今回はむずかしいので、そこで将来これを入れていただけるという希望も持つておるわけであります。それは別としまして重要産業としての免税措置——期間を切りましても、免税措置が租税特別措置法あるいは法人税法等に見られるわけでありますが、この中に取入れまして、何か特別な近代化を促進する方法をお考えのように伺つておりますので、その点につきまして御構想がまとまつておりましたら、この際お聞かせをいただきたい。
  68. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 紙パルプにつきましても、いろいろ審議してみたのでございますが、どうも事柄の性質は、たとえばさらしクラフト法といつたような、従来の方法と違う新規の方法の生産が行われ、しかもそれは最初のうちはなかなか技術的にも企業的に難問題がありまして、経営の上におきましてもなかなか困難を感ずる。しかも御指摘の通り重要産業でございますので、そういう種類のものは合理化法というよりも、むしろやはり今指摘の重要物産の免税でございますか、そういう問題として取上げた方がより妥当な解決じやなかろうか、こういう意味におきまして、そういう方面の問題としまして検討することにいたしておる次第でございます。
  69. 宮幡靖

    宮幡委員 今主税局長さんより、具体的にさらしクラフトのお話がございましたが、さらしクラフトの施設を取得いたした場合は、重要物産としての免税措置をやる、これは全般におやりになるつもりですか。一部をやつて一部をやらないということになりますと、なかなかうるさい問題が起きると思います。その点をはつきりしておきたい。
  70. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 重要物産の方は、御承知通り新規にそういう生産をやつた場合に、三年間免税をするという方針でございますが、もちろんその條件に該当するものでなければなりません。ただその中身におきましては、さらにどういうふうにするかという点につきましては、今実は検討中でございまして、よく検討いたしまして御趣旨に即応する結論を下したい。しかしまだ本日の段階ではつきりそうするということは、差控えさしていただきたいと存ずる次第であります。
  71. 宮幡靖

    宮幡委員 いつでございましたか、一月の半ばごろでありましたか、大蔵省の一つの非公式な情報としまして、いずれ牛無煙炭などはやはり重要物産としての免税をする、こういう項目を追加するというようなことを聞いたのでありますが、それらと同じ処置にただいまの問題はなるのでありましようか。
  72. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 ただいまの問題は、従来からの古い懸案でございましたので、先般実は解決いたしまして指定いたしました。先ほどお話になりましたパルプ等の問題は、追つてざらに研究いたしまして、必要な措置を講ずることにいたしたいと考えております。
  73. 宮幡靖

    宮幡委員 これは所得税法法人税法の施行規則においてお取扱いいただくお考えであろうと思いますが、おおむねの構想を発表されております貸倒れ準備金の限度を、百分の三程度に引上げるという措置はすでにおやりになつたのか。今後おやりになる御予定か。
  74. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 貸倒れ準備金の措置につきましても、先般の法人税の改正の結果、法人税法の施行規則の改正の  一環としまして、すでにその限度額の引上げの措置をいたしまして、すでに実行いたしておる次第でございます。
  75. 佐藤重遠

    佐藤委員長 本日はこの程度にとどめて散会いたします。  次会は明二十九日午前十時より開会いたします。     午後零時四十九分散会