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1952-02-27 第13回国会 衆議院 大蔵委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年二月二十七日(水曜日)     午前十時五十七分開議  出席委員    委員長 佐藤 重遠君    理事 奧村又十郎君 理事 小山 長規君    理事 佐久間 徹君 理事 内藤 友明君       淺香 忠雄君    川野 芳滿君       清水 逸平君    三宅 則義君       宮幡  靖君    宮原幸三郎君       武藤 嘉一君  早稻田柳右エ門君       松尾トシ子君    深澤 義守君       久保田鶴松君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 池田 勇人君  出席政府委員         大蔵政務次官  西村 直己君         大蔵事務官         (主税局長)  平田敬一郎君         国税庁長官   高橋  衞君  委員外出席者         專  門  員 椎木 文也君         專  門  員 黒田 久太君     ————————————— 本日の会議に付した事件  所得税法の一部を改正する法律案内閣提出第  二九号)  法人税法の一部を改正する法律案内閣提出第  三〇号)  相続税法の一部を改正する法律案内閣提出第  三一号)  砂糖消費税法の一部を改正する法律案内閣提  出第三二号)     —————————————
  2. 佐藤重遠

    佐藤委員長 これより会議を開きます。  所得税法の一部を改正する法律案外三税法案一括議題として、前会に引続き質疑を継続いたします。質疑通告順にこれを許可いたします。深澤義守君。
  3. 深澤義守

    深澤委員 まず私は、先般政府に対して資料要求をいたしたのであります。それは租税特別措置法の中にあります外国人、並びに外国商社租税軽減措置に対して、資料要求をいたしたのでありますが、政府が出しました資料は、ただ租税特別措置法條文の要旨を抜萃したのみでありまして私の要求する具体的な資料にはなつていないのであります。従つてその点を私は具体的にひとつお伺いしたいのであります。  まず第一に外国人日本において給与所得を得た場合においては、その所得の二分の一、最高三百五十万円を控除する、そうしてその半額に課税するという、これは日本人課税に対比してはなはだ不公平な、そして外国人に非常に利益な特権を与えておるのであります。資料の(イ)にあります外資法人に勤務する者に対して、今言う所得税減税措置をいたしまして、二分の一、最高三百五十万円を控除して残額に課税するということになつておりますが、一体外資法人に勤務する者はどのくらいの人数があり、それに対して今までとつた税金はどのくらいの額に達しておるか。その点をまず具体的にお尋ねしたいのであります。
  4. 平田敬一郎

    平田政府委員 深澤委員の御要求資料につきまして、私から補足しましてさらに申し上げたいと思います。前回外国投資あるいは外国特許権支払い等のことをお尋ねでございましたので、その後調べたのでございますが、その数字を先に申し上げておきたいと思います。これは昭和二十四年三月から二十七年の一月末、つまり今年の一月末までの実績に基きまして、外資委員会資料をもとにしまして調べたのでございますが、それによりますと、株式の取得が六百五十件で、投資額円価に直しまして五十八億三千万円、今後一年間に配当として支払われるであろうと認められる金額が九億一千万円、それから特許権等技術援助でございますが、これが百十七件ありまして、その一年間に対価として支払う使用料などの金額が三十二億六千九百万円、これは使用料でございます。元本ではございませんで特許料等対価でございます。それからこれはちよつと違いますが、今度の課税関係いたしますので申し上げておきますが、外国映画会社のフイルムの上映権使用料でございます。これが二十七年におきまして三十八億五千万円程度と見込んでおる次第でございます。この点ちよつと手間取りまして印刷が遅れましたので、今の説明でひとつかえさしていただきたいと存ずる次第でございます。  それから今御指摘給与の点は、実は前回お聞きしていなかつたのでありますが、この外資法人に対する免税は、実は本年度から効力を有する——勤務者に対する関係は、二十七年から効力を有する関係になりまして、まだその人数等につきまして正確な数字を今持ち合していないのでございますが、実績が明らかになりました上におきましては、はつきり申し上げることができるかと思う次第でございます。
  5. 深澤義守

    深澤委員 そういたしますと、この(ロ)(ハ)(二)(ホ)等がやはりそれに関連するのでありますが、これらに対する具体的な資料は現在お持合せありませんか。
  6. 平田敬一郎

    平田政府委員 これらの点も、いずれも二十七年から三十年までと上にも書いてございますが、本年度から適用になりますので、具体的にまだ資料がございません。これも実績が明らかになりました場合におきましては、御報告申し上げたいと存ずる次第であります。
  7. 深澤義守

    深澤委員 今特許権使用料の額が大体三十二億六千九百万円という説明がありましたが、その中にはロイアルティという形で、相当多額のものが支払わされておるのでありますが、そういうものも含まれているのかどうか。ただ特許権使用料というものに限定されているのか。このロイアルティという形において多額に支払われているものは、これは特許料に、あるいは使用料に相当しないものとして扱つているのか。その点ひとつお伺いしたいのであります。
  8. 平田敬一郎

    平田政府委員 これは御指摘のようなものを全部含みまして、技術援助関係で、その対価として支払う額でございます。
  9. 深澤義守

    深澤委員 それからもう一つ外国人関係の問題でお伺いしたいのでありますが、最近例の外国放出物資が、日本の市場に非常にたくさん放出されております。それに対しまして、日本一般営業者は相当の打撃を受けておるやに、われわれは聞いておるのでありますが、あの放出物資関税がかけられているのか。その他の税金等は一体どういう処置をされているのか。その点をひとつお伺いしたいのであります。
  10. 平田敬一郎

    平田政府委員 この点は先般もちよつと申し上げたと思いますが、今年の一月一日から、ひとり外国人だけではなくて、日本人円価外国のああいう商品を買えることにいたしたのでございますが、それと同時に関税輸入税及び国内の物品税等消費税も、全部差別待遇しないで一律に課税するということに相なりまして、そのようなことで実際におきましても措置して参つておる次第でございます。
  11. 深澤義守

    深澤委員 それから一つの問題は、先般の臨時国会におきまして、連合国財産補償に関しまして、外国法人あるいは個人あるいは外国政府等に対して、戰争中被害を与えたという意味において、三百億円の支払いをすることになり、本年度は予算にも百億計上されておるのでありますが、これは外国政府等に支払うものは別といたしまして、外国法人並びに個人に対する補償に対しては、日本に住居を有しあるいは営業所を有する等の者に対しては、一応課税対象になるやに考えるのであります。なお今までの政令によりまして、外国人財産の返還という問題に関連する税は、免除する規定になつていると思つておりますが、今度の連合国財産補償法による外国法人並びに個人に対する補償に対しては、課税する方針を持つているのかいないのか。その点をひとつお伺いしたい。
  12. 平田敬一郎

    平田政府委員 今の関係の点は、大体現実の補償と申しますか、損害があつた場合の補填でございますので、実際問題としては課税にならない場合が大部分ではないかと思いますが、具体問題といたしまして、ほかの利益ですでに相殺しているような場合は、それが益金になりまして、結果におきましては課税になるという場合も、場合によりましてはあるかもわかりませんが、大部分の場合は損害補埴でありますから、課税にならない場合が大部分じやないかと存ずる次第でございます。
  13. 深澤義守

    深澤委員 所得税の問題について先般主税局長に大体はお聞きしたのでありますが、特に私は、徴税面において最近非常に問題がありますので、その点についてお伺いしたいのであります。申告納税制度は、納税者実情に即して納税者申告する、それを基本として税金査定をするということについては、これは何人も疑う余地のない法律的な根拠があるのであります。ところが最近税務署等におきましては、いわゆる申告慫慂あるいは指導という立場におきまして、税務署自体納税者に先立つて申告の額を指示し、その額によつて申告しなければ、更正決定等をやるという強圧的な態度に出ているのであります。これはもう全国到るところにそういう事例があるのでありますが、これは申告納税制度から申しまして、明らかに税法に対する違反行為であると考えるのであります。これは一体国税庁長官がそういう方針において指導されておるのか。あるいは大蔵省主税局がそういう立場において指導されているのか。これは出国到るところにそういう事実があるのでありますが、この点に関する主税局長並び国税庁長官の見解を、ひとつお伺いしたいのであります。
  14. 高橋衞

    高橋(衞)政府委員 ただいまお話通り申告納税制度というのは、納税者がみずから計算をし、みずから申告をし納付せられるというのが建前でございます。しかしながら日本の過去の制度賦課課税制度であり、政府がすべて決定するという制度でありました伝統と申しますか、慣習というものがなかなか抜け切れませんので、そのまま放置しておきますと、いい申告をしていただくということが非常に困難な実情にあるのでございます。従いまして本来から申しますれば、申告が出ましてからその申告の是非を判断し、また調査をいたしまして、是認すべきものは是認する、決定すべきものは決定するということが建前でございますけれども、現在の段階は、どうしても税務署が一々所得計算方法なり、またその内容なり等について指導を申し上げて、そして申告をしていただくということをいたしませんと、円滑な税務行政の遂行が困難な実情にあるのでございます。従いまして税務当局といたしましては、申告前にできる限り多数の納税者について実際の調査をいたしまして、税務署調査した結果を納税者に御連絡いたしまして、ぜひいい申告をしていただくというふうにお願いいたしておるのでございます。これはただいまもお話通り、全国的にそういうふうな方針をもちまして、事前納税者税務署調査した結果をよく説明申し上げまして、出していただくという建前をとつておるのであります。現在の税法で御承知通り申告が出ない場合におきましては、無申告加算税がかけられますし、またその額が低くて更正決定を受けなければならぬというような状態になりますと、過少申告加算税がかかるというような状況でありまして、そういうふうなことは納税者にとつても非常に迷惑な事柄でもありますし、また税務行政全体といたしましても、いたずらに紛争が多くして、円滑な運営ができないというような結果になりますので、当分の間は事前にできる限りの力を盡して、こういうふう指導申し上げ、だんだんいい申告を出していただくというような状況になりましたならば漸次切りかえて、後に調査し、後に判断して更正決定をするかしないかという段階に、移行いたしたいと考えておる次第であります。
  15. 平田敬一郎

    平田政府委員 私から特に申し上げる必要はないと思いますが、あくまでもこれは指導でございまして、強制ではないと私ども解釈しておりまして昨日大臣からもお話のありましたように、現在の状況からしまして、ある程度そういうことは行わざるを得ないという実情であります。もちろんこれは税法違反ではない。経過的にはそのような方法をとることによりまして、今後申告納税制度が、やはり漸次理想的なものに行き得るのではないか、かように考えておる次第であります。
  16. 深澤義守

    深澤委員 まことに末端の事情を御存じない答弁であります。一般納税者はこわいものは警察であつたが、現在は警察でなくて税務署である、そういう状態にすらなつておる場合において、税務署が親切に指導する、あるいはいい申告を出してもらうために努力するのだということ自体が、一つの強制的な態度であるのであります。私は一つここに事例を申し上げます。浅草税務署納税者に対してこういう通知を出しております。これは印刷されております。この納税者は昨年大体二十五万円の申告をいたしまして、それで決定されているのであります。ですから今年は二十五万円から多少は上つた申告をするという心組みでおつたところが、こういう呼出しが来たのであります。「先日はお忙しいところお出でを頂きありがとう御座いました。早速で御座いますが、その際当署調査営業所得金額五十三万四千四百円で申告されることを保留してお帰りになりましたが、もしこの金額より低い額で申告をなされたり、また申告をしなかつたときはやむを得ず更正決定をしなければならないことになりますので、今一度篤と相違の点をお互いに話し合いたいと思います。ついては、御足労でも二月二十六日午前十時頃に所得税係まで万障御繰合せの上お出でを願います。」こういうように言葉はまことにやさしいのでありますが、実際はこちらの申告の倍に相当する——二十五万のものを二十七、八方は申告しようと準備されていたのでありますが、それを税務署の方は五十三万四千四百円、これより低い申告をするならば更正決定をしなければならぬ、こういうことによつて結局納税者は、泣きの涙でこの税務署要求に従わなければならない、というような状況に押し込まれているという例が、どこにもかしこにもあるのであります。従つて国税庁長官がよい申告を出してもらわなくちやならぬということを言う背後には、あらかじめ予定されました税務署のとらなくちやならぬという割当の額があるように、われわれは考える。その線に沿つて、去年二十五万円のものを、どうしても倍額の五十三万四千円押しつけなくちやならぬというような必要に迫られているやに、われわれには受取れるのであります。こういうことによつて結局納税者申告制度を非常にりこうに蹂躙しながら、税務署一般納税者に強圧的な態度に出ていることがうかがわれるのであります。こういうことはどうしても納税者自体納得できない。税務署自体つたく一方的な押しつけをやつているのであります。これは單なる一つ事例でありますが、ここにもたくさんな資料があります。先般公述人もこの委員会に対しまして資料を出しておりますが、去年より倍の申告要求いたしまして、もしもこれが払えぬというならば行政処分だとか、あるいは、もしもお前のところでこれに従わなければ、結局おれがやめるかお前の店をつぶすかという結果になるぞ、というような態度に出ている幾多の事例があるのであります。私はこういうことをさして申告納税制度違反する徴税態度である、こう指摘をしているのでありますが、国税庁長官は、こういうような印刷物を各税務署納税者に配つておられる事実を知つておられるかどうか。そしてあらかじめ税務署がきめた申告の額を、前もつて納税者に通知しましてこれを強要しているという事実、そういうことを御存じであるかどうか、その点をお聞きしたい。
  17. 高橋衞

    高橋(衞)政府委員 ただいまの、昨年二十五万円であつたのを今年三十七万円に申告しようと思つてつたというお話でありますが、私どもは各納税者について、今年は去年よりもはるかに進んだよい調査ができているというふうに考えているのであります。従つて税務署調査した結果が、あるいは、たとえば記録その他に基いて間違つている点がある場合もあると考えますので、そういう点も十分に納税者お話合いをして、そうしてわからぬ点、または間違つた点は率直に修正しながら、とにかく最も正しい申告をしていただくという方向に、あらゆる努力を傾倒いたしておるのであります。税に関しましては、更正決定を受けました場合におきましても、再調査請求とか、審査の請求または訴訟とか、いろいろ行政救済の手段もありまので、もしもそれが納税者の方において不満であられるならば、当然それらの道によつて請求をしていただき、その修正を求めるということが当然でありますが、何と申しましても、税法に十分通じておられない、または計算の仕方その他において、なかなかわかりにくいというふうな面もおありでありますので、そんな点はぜひおいでを願つて一々御説明申し上げるということが、やはり最も親切な正しいあり方ではないかというふうに考えているのであります。
  18. 深澤義守

    深澤委員 もちろん申告について税務署指導し、その計算方法、そういう点について指導することはまことにけつこうだと思います。ところがあらかじめ税務署が、本年の分はお前のところはこの額である。この額以下の申告ならば、お前のところに新しく更正決定をせざるを得ないというような態度で臨むことが、私は税法違反だと思うのであります。指導することはまことにけつこうです。計算方法をこういうぐあいにして計算するのだ、こういうぐあいにして帳簿をつくるのだ、申告書はこうしてつくるのだという指導をするのはけつこうですが、あらかじめ税務署納税者の意思を全然無規して一方的に額をきめて、これを申告しなければ更正決定だというこの態度は、私は税法違反であると考えるのですが、どうですか。
  19. 高橋衞

    高橋(衞)政府委員 計算方法とか申告書の書き方を指導申し上げることは、これは当然でございますが、そのほかに、所得金額が幾らになるかということについて、税務署といたしましては十分に調査をいたしておりますので、その額を納税者にお知らせして、そうしてその額について具体的にいろいろ説明を申し上げて、または納税者の御意見を伺うということが、最も的確ないい申告を出していただく行き届いた指導方法であると考えております。決して強制するとかなんとかいう意味事柄ではないのでありまして、税法の趣旨に基いて一日も早く申告納税制度を完全な城に持つて行くという過渡的な措置といたしましてはこれ以外に方法はないかというふうに考えておるわけであります。
  20. 深澤義守

    深澤委員 その税務署の根拠ある調査というものは、これはおそらく昭和二十六年十一月に国税庁所得税課が、いわゆる模範調査というものをやつておられるが、その模範調査の結果に基くものではないかと私は考えるのです。ところがその模範調査になるものが、新聞雑誌に発表されているところによりますれば、国税庁模範調査は、サーヴィス販売業については五十二件の調査をやつておられる。そうしてその結果が結局東京においては昨年度の十割七分増になつておる。大阪においては昨年度よりも十二割七分増になつておる。仙台においては十一割三分増になつておる。名古屋においては十一割四分の増である。金沢においては五割三分の増である。関東信越については六割六分の増であるというような基礎が出ているのであります。この基礎に基いて各業種に対して、この業種は何割増しというぐあいに、一応予定された数字国税庁から税務署に下つておりまして、それに基いてやる。結局個々具体的な調査をするのではなしに、あらかじめ調査いたしました模範調査基準率というものによつて、各個人々々にこの申告の額を、税務署が一方的に押しつけているというぐあいに、私は解釈できるのでありますが、あなたの言うこの国税庁並びに税務署調査というのは、この模範調査のことをさされているのですか。その点をひとつ承りたい。
  21. 高橋衞

    高橋(衞)政府委員 模範調査とか交換調査とかいうような各種の名前をもちまして、あらかじめ税務官吏の訓練をするとか、またはその他全般の情勢を知るというような意味において、わずかの数については国税庁も直接調査をいたしておりますが、これらのものはきわめてわずかの、九牛の一毛にも当らぬような数でありまして、これを基礎にいたしまして何らかの判断をするというようなことは、われわれはいたしておりません。特に税の調査にあたりましては、何らかの先入主を持つということが一番禁物でありましてそういう態度は絶対避くべきものであると考えておるのであります。しかして先ほど税務署調査と申しましたのは、各税務署個々納税者について、できるだけ多数の方について実額調査をし、または間接資料その他によつて資料を收集いたしまして、それによつて調査したところのものをさすのでありまして、業種によりまたは地域により、何らかのパーセントをもつて指示するということは絶対いたしておりません。むしろ結果について、今年は何割増になつたということを事後において知るというのが、われわれの態度であります。
  22. 深澤義守

    深澤委員 そうであればまことにけつこうでありますが、それならば個々納税者收支計算というものを税務署が十分に調査いたしまして、そうしてお前のところの申告の額はこの程度であるが、本年度所得金額はこの程度であるということまで個々人に対して調べるということは、現在の人員ではおそらくできないと思うのであります。だから一応業種あるいはその地域にわたつて調査をいたしました結果として、一定の標準をもちまして、その模準によつて割出しておるということが事実らしい。国税庁長官は、税務署が、納税者の一人々々について個々具体的に調査して、そうして個々所得金額はこの程度であるという調査を完了せられて、納税者に対して申告慫慂などをされておるという確信がございますか。
  23. 高橋衞

    高橋(衞)政府委員 深澤さんもよく御承知だと思いますが、納税者のうち、正確な帳簿、つまりほんとうに信憑性のあるところの帳簿なり資料を、完全に備えておられるという方は割合に少いのであります。従いまして、どうしても資料金額であるとかまたはその他各種資料から、推定をせざるを得ぬという場合が相当多いのでございます。従つて推定にかかる部分につきましては、これは納税者もおそらくはよくおわかりにならないし、税務署も確かにこの通りであると、証拠をもつて全部を追求するということは、とうてい困難なものが非常に多いのでございます。しかしながら、これが最も正しい所得であろうという程度までは、税務署の能力の範囲において十分に調査をいたしておる次第であります。
  24. 深澤義守

    深澤委員 それでありますから、個個人にわたつての具体的な調査というものは不可能です。従つて税務署があらかじめ、お前のところのことしの申告所得金額はこれでなければならぬといつて納税者に先だつて額をきめてそれを押しつけるという態度は、これは申告納税制度違反する態度であるということを、私は指摘しておるのであります。  そこでもう一つ私がお伺いしたいのは、税務署ではいわゆる所得標準率表というものをこしらえまして、そうしてこれが大体各種業種所得金額査定基準になつておるやに聞いておりますが、国税庁としてはこの所得標準率表というものを製作いたしましてそうしてこれを各税務署員納税調査基準にされておるという事実がありますかどうか。その点をひとつ伺います。
  25. 高橋衞

    高橋(衞)政府委員 その前に、先ほど個々納税者について調査をしないで、というお言葉がございましたが、税務署といたしましては、調査方法は、つまり精密度はそれぞれ差はありまするが、各個の納税者について必ず調査はいたしております。それからそういうふうに完全な帳簿がない、またはどうしても推定によらざるを得ないという場合におきまして、所得標準率というようなものを使つておるかという御質問でございますが、これは所得標準率という言葉がいいのか——その他各種資料というものを私どもは使つております。たとえば洋雑貨の小売であるならば、その荒利益というものは大体どの程度であるということは、これは調査の過程において漸次常識として生れて来るものがあるのであります。もちろんこれは何割何分というふうなきちんとした数ではありませんが、大体二割から三割の程度とか、または二割五分から三割の程度とか、そういうふうに一つ範囲限つて、常識的に荒利益がどの程度ある、それからその上に経費がどの程度割合にあるという程度の漠とした標準は、それぞれ税務官吏としては当然常識として持合せなければいけませんし、その調査自体が正確であつたかどうかを、もう一度振りかえる場合におきましても、そういうふうな多数の調査の結果から集積された数字を絶えず頭に持つておりまして、正確な判断をすることが必要であります。
  26. 深澤義守

    深澤委員 私が今お伺いしたのは、国税庁所得標準率表というものを作成いたしまして、これを税務署員に使わせている事実があるのであります。各納税者の具体的な調査は精密にはできません。従つて、その調査の根拠として所得標準率表を作成いたしまして、これによつて店頭に行つて、たとえば青物屋であるならば、青物屋の現在の商品を調べまして、それが大体百回転する、こういう計算になつております。二万円の商品があるとすれば、それが一箇年間に百回転するのであるから、売上げは二百万円になる。そうして百円に対して十六円六十銭程度の收入金額になるから、所得金額は三十三万二千円である、償却の費用は百円について五十二銭だから一万四百円で、差引所得金額は三十二万一千六百円である、というような計算ができる所得標準税率表が、ちやんと税務署員に渡されている。それによつて調査をいたしまして、お前のところは幾ら幾らでなければならないというぐあいで、納税者の予定しているものの、ある場合には二倍になり、ある場合には七割増し、八割増しになるような額を押しつけておる。こういう事実があるのでありますが、国税庁として所得標準率表というものを、各税務署員調査基準として使えということで指令されているのかどうか。その点をお伺いします。
  27. 高橋衞

    高橋(衞)政府委員 ただいまお述べになりましたような場合は、帳簿のない最も悪い場合でありまして、普通の場合におきましては、税務署といたしましては、できるだけ各種の具体的な資料を收集する。たとえば最も完全な場合におきましては、收入並びに支出を帳簿によつて具体的に調べる。そこまで行かぬ場合におきましても、少くとも売上げは全部事実に基いて調査して行く。また私どもの方では、各種資料をもちまして多数の調査の結果から集積いたしまして、たとえば一つの料理屋であるならば、その面積に対してどの程度の益金が出る、またお酒の売上げに対してどの程度割合利益が出る、従業員に対してどの程度であるか、そういういろいろな外形的な標準から推して、常識的に生れる見当というものを絶えず頭に持つておることが、調査を正確ならしめる一つの間接的な材料になりますので、そういうふうな指数は、われわれの方でも絶えず研究いたしまして、そして税務署員の常識として持つようにという指導はいたしております。しかしながら、どこまでも具体的な事実に基いて、できるだけ推定を少くするという方向に、私どもは努力いたしておる次第であります。
  28. 深澤義守

    深澤委員 われわれは所得調査する税務署員が持つてつた事実を知つているのでありますが、非常に詳しい所得標準率表をお持ちになつておるわけです。その中に、各業種で一箇年間の回転率は幾ら、百円に対する所得が幾ら、百円に対する償却が幾らというぐあいに、実に明確に具体的な表があつて、そうしてこれによつて調査をしておる事実が、全国各所にあつたわけであります。たとえば営業者であるならば、臨店心得、その調査に行つた場合の調査の心得、調査方法、そういうものを具体的に、こういうぐあいにやれということを明確にされたものが、渡されている事実があるのであります。従つて国税庁長官が上の方でいかにりつぱな方針を述べられておつても、末端における税務署員納税者から警察よりもこわがられておる。しかもその横暴な態度は毎国会われわれが指摘しておるのですが、まだその跡を断ちません。それが実情でありますがゆえに、国税庁長官の御説明はまつた実情を知らない御説明でありまして、われわれはそういう説明では満足できない。最近全国において滞納整理が差押え等によつて強行されております。そこでこの差押えの事情につきまして、私は前臨時国会のときにおいても、国税徴收法の第十六條第四号によつて禁止された物件の差押えをやつておるという具体的事実を指摘いたしまして、国税庁長官にその事実の有無の調査要求したのであります。それに対しましては、国税庁長官はほおかむりでありまして、何ら報告はありません。そこで私はなお国税徴收法の第十六條第四号の、禁止物件についての解釈をお聞きしたいのであります。あの中には業務上必要欠くべからざるものということになつておりますが、事実は小さい営業者のモーターを差押え、あるいは機械器具を差押えておるという事実が、全国至るところにあります。またこの国税徴收法に基いて税徴收を行うところの県並びに市町村におきましても、こうした幾多の事例があるのであります。その代表的なものとしては、たとえば電話等の差押えが非常に広汎に行われております。電話は一つでも相当の価値があり、また営業者にとつても非常な打撃をこうむりますので、これは一番急所であります。現在の営業にとつては、電話は必要欠くべからざる業務上の物件であります。従つてこの電話は、国税徴收法第十六條第四号に禁止されておる物件に該当すると考えるのでありますが、国税庁長官はこの條文をどういうぐあいに解釈されておるか、禁止物件に入るか入らないかということについて御答弁を願います。
  29. 高橋衞

    高橋(衞)政府委員 法律の第十六條四号の「技術者、職人、労役者共ノ他主トシテ自己ノ知的又ハ肉体的労働二依リ職業二従事シ又ハ営業ヲ営ム者ノ業務上欠クべカラザル物」これが禁止物件になつておりますが、その趣旨はその納税者の身体と申しますか、納税者自身の知的または労働として、所得の大宗がその労働から生まれるという場合をさしておるのであつて、その他の資産所得が乏しくて、生計の大平は自己の労働によつて保持しておるような場合に、その労働を得るに必要な最低限度の不可決物件という趣旨に解釈しておるのであります。たとえば大工さんの場合に、大工道具のようなものがこれでありまして、電話のごときはこの物件に該当しないというふうに解釈いたしております。
  30. 深澤義守

    深澤委員 それならば日本にある非常のに零細な営業者、たとえばここに小さなお菓子屋さんがある。このお菓子屋は、モーターとか攪拌機とか小さな器具があるわけですが、それはまさに家内労働として、普通の八時間労働どころじやない、十時間労働、十五時間労働によつて、そういう業務をやつておるのであります。そういう小営業者、小生産者、これは日本特有な営業状態として非常に広範にあるのですが、こういうもののモータや機械器具というようなものは、まさに労働によつて営業を営んでおる者に、必要欠くべからざる物件に相当すると思うのでありますが、そういうものの差押えは可能であるかどうか。その点をひとつ伺います。
  31. 高橋衞

    高橋(衞)政府委員 この法律に規定いたしておりまするように、「技術者、職人、労役者」こういうふうに例示までいたしております。「其ノ他」というのは、これに類するという意味でありまして、営業者はこれに含まないと解釈いたしておるのであります。
  32. 深澤義守

    深澤委員 そういたしますと、非常に不明確になるのであります。そうすると、自己の責任において営業をやつておるものは、一切それに含まないという解釈がされておるのでありますが、どこか勤めておるとか、あるいは大工とか左官とかいうように、これらの人は自宅で仕事をするのではなくて、よそへ行つて仕事をする、こういうものにのみ限られておつて、自家経営をやつておる独立生産者は、そういうものに該当しないという解釈でありますか。
  33. 高橋衞

    高橋(衞)政府委員 この十六條の四号に「労役者其ノ他」というふうに書いてありますが、その他の解釈が問題であると思います。その他として僧侶とか技術家とか、あるいは漁師、医師、そういうような方がこれに該当するのであります。それ以外の方は該当しないというふうに解釈しております。
  34. 深澤義守

    深澤委員 そうすると、農業の場合はどうでありますか。
  35. 高橋衞

    高橋(衞)政府委員 農業に関しましては、農業上欠くべからざる器具、飼料、牛馬、肥料、種子というように別個に規定しております。
  36. 深澤義守

    深澤委員 そういたしますと、いかなる労力をもつて——家族労働でやつておるものであつても、独立の生産者の必要欠くべからざる物件は、それに該当しないという解釈は一致した意見でありますか。
  37. 高橋衞

    高橋(衞)政府委員 これは独立の業者であるといなとの区別ではないのでありまして、たとえば大工さんの場合においては、これは独立の業者と考えていいかと思うのであります。
  38. 深澤義守

    深澤委員 次に私は農業所得に関してお伺いしたいのでありますが、税務署は農村におきまして個人調査をすると同時に、農業協同組合に対して、個人別の調査資料の作成方を依頼しておられる傾向が、全国的に非常に多いのであります。これは税法上からいつて、農協がそれを調査して提出する義務があるのかどうか。あるいはこれは税務署が農協に対して、常識的に依頼して協力を願うという程度のものであるのか。一体これは農協がどうしてもその調査の義務を負わされておるのか。その点をひとつお伺いいたしたいと思います。
  39. 高橋衞

    高橋(衞)政府委員 所得税法上、取引を有する関係の方々に対しては、質問をしたり検査する権限は持つております。しかしながら現在農業協同組合等にいろいろ御協力を願つておりますのは、そういうふうな法律的な観点からやつておるのではないはずでありまして、むしろ最も農家についてのいろいろ知識が豊富であり、また材料を持つておられる方々にいろいろな資料を提出していただき、また御協力を願うということが、実情に最も適した税務行政の運用をなさしめるという観点からいたしまして、お願いをいたしまして、できるだけ御協力をお願いしておる次第であります。
  40. 深澤義守

    深澤委員 その場合において農協がそういう税務署要求を拒否した場合はどうなりますか。拒否する権利がありますか。
  41. 高橋衞

    高橋(衞)政府委員 これは権利義務の関係では動いておりませんので、むしろ税務署の方から、できるだけ御協力をお願いしておるという状況にあるのであります。
  42. 深澤義守

    深澤委員 そこで農家の收入に対し所得計算する場合において、先般も主税局長ちよつとお伺いしたことがあります。農民の方は大体農林省の統計調査事務所が調査いたしました数量なれば、承諾するという態度に出ておるのでありますが、税務署がこの農林省の統計調査を上まわつた数字要求しておるのであります。政府機関であるところの農林省の統計調査事務所の調査した数字を採用しないということはまことにわれわれは納得が行かないのであります。国税庁としては、農林省の統計調査事務所の調査による数字を採用せられるのか、採用されないのか、この点をひとつ伺います。
  43. 高橋衞

    高橋(衞)政府委員 税法上の建前からは、別個の独自の見解をもつて調査をなし得るということに相なつておりますが、できるだけ農林省の調査を活用させていただくという考えております。しかしながら従前はむしろ農林省の調査そのものを、十分活用させていただけないというふうな地域も相当ありましたので、やむを得ず税務署でもつて独自の見解に基いて調査をせざるを得なかつたという事実もございます。しかしながらできるだけそれらの資料を利用させていただくという方針で行きます。ただ御承知通りいろいろな副業收入その他に関しましては農林省もいろいろ資料を持つておられませんので、どうしてもこの点は別個に調査する必要があるのであります。
  44. 深澤義守

    深澤委員 副業收入につきましては、これは統計調査事務所としても、具体的な数字を今持つておる段階ではないと思いますので、それはよいのでありますが、少くとも米麦に関する限りは、私は農林省の統計調査事務所の数字によることが、最も農民を納得させるゆえんであり、また税務署自体の手数も省けるゆえんであると考えるのであります。具体的に申し上げますと、先般私は新潟に参つたのでありますが、全国の穀倉地帯である新潟の農民側は、統計調査事務所の平均二石三斗三升の主張をしておるのであります。ところが税務署側は二石五斗という態度で譲らないというので、相当これは摩擦が起きておるのでありますが、こういう場合においては、私は農林省の統計調査事務所の数字を採用することが最も適当ではないか、それがまた農村における税務行政の摩擦を避けるゆえんであると考えるのであります。特に全国の穀倉地帯としての新潟にこういう問題が起つておるのでありますが、この点に対しては国税庁長官はどういうぐあいに考えて直りますか。
  45. 高橋衞

    高橋(衞)政府委員 新潟県においては、実は標準率の関係で円滑に行かない向きがちよちよいあるという報告に接しております。新潟県におきましては、あそこは農業所得が相当大きなウエートを持つておりますので、各町村に少くとも三軒程度の実際の調査をいたしてみております。その調査の結果を基礎にいたしまして、税務署といたしましては、最も正しいと考えるところの基準を設けまして、その基準に基いて御申告を願うように、ただいまお願いをいたしておるような次第であります。
  46. 深澤義守

    深澤委員 これは主税局長にお伺いしたいのでありますが、今度の税法改正によりまして、青色申告申告者に対しては、その同一親族でもつぱら当該事業に従事する者のうち、その給与を受ける者は五万円を限度として、これを経費として認めるという改正が行われておるのであります。ところが御承知のように日本の農家におきましては、青色申告をやるということはまことに手数であり、ふなれであるという関係から、実はやつておるものは少いのであります。そういう見解に立ちまして、私は農家に関する限りは、今日の実情に即しまして青色申告をしなくても、今度の税法改正の従業者に対する経費を認めるという制度を、適用するということをやられたらどうかという考えでありますが、この点はどういうぐあいに考えられるのですか。
  47. 平田敬一郎

    平田政府委員 農家の方などは、なかなか帳面がつけにくいという事情がわからないでもございませんが、先日申しました通り記載事項はできるだけ簡單にする、様式等もあまりやかましく言わない方式でやつておりますので、苦手のお手数をかけていただきますればやはりできるのではないか、ことに家族の従業者がいられるような場合におきましては、なおさらそのようなことができるのではないかと考えられますし、またこのことは非常に長い目で見ますと、農業経営の上におきましても望ましいことでございますし、やはりこういう特別な制度を認めるということは、経理が明らかであるということが何としても前提でなければなりませんので、やはり農家の方におきましても、営業者の場合と同様にしておくのが、私どもとしましては妥当ではないかと考えておる次第でございます。
  48. 深澤義守

    深澤委員 非常にあとこまかい問題もたくさんございますが、大蔵大臣がせつかくおいでになりましたので、他の同僚からもいろいろな御質問があると存じますので、私は一点だけこの際大蔵大臣に御質問申し上げたいのであります。  超過供出に関する課税問題がいろいろな形において発表されておりますが、この超過供出に対する課税について決定された方針を、ひとつ大蔵大臣から御説明願いたいと思います。
  49. 池田勇人

    ○池田国務大臣 超過供出という問題でなしに、匿名供出の場合につきましてどうするかということを、われわれは考えておるのであります。租税の徴收はやはり実態に沿うようにいたすべきものであると同時に、また現在の経済、社会情勢に適応するようなやり方で行く必要もあると考えるのであります。従いまして匿名供出の実際の状況を見まして、立法措置を要するならば立法措置をいたしますし、また立法措置をしなくても行政の手心でできる程度のものならば、それでやつて行こう、実態を見ました上で、いずれの措置をとるかということをきめて行きたいと考えております。つきましては、この私の気持を行政の末端に知らしておく必要がありますので、先般国税庁長官から各国税局長それからまた税務署長に、この私の考え方を通知するように手配いたしておるのであります。その通牒の内容は国税庁長官からお話申し上げることにいたします。
  50. 高橋衞

    高橋(衞)政府委員 二月十三日に、ただいま大臣から御答弁申し上げました点に関して、各国税局長に通知をいたしたのでございますが、大体の要点を申し上げますと、第一に匿名供出——匿名によらない超過供出も含んでおるのでありますが、匿名供出の事実があつても、この事実によつて当該農家または当該市町村の昭和二十六年産米の收量の増加を、課税上特に見込むことは行わないというのが第一点であります。  それから第二点は、昭和二十六年産米に対する匿名供出等にかかる奨励金は、昭和二十六年分の收入には算入しないものとする。これが第二点であります。  それから第三点は、なお匿名供出にかかる超過供出奨励金に対する昭和二十七年分所得税課税については、行政的措置または場合により立法的措置により、課税対象から除外する措置が講ぜらるる予定である。これが第三点であります。
  51. 深澤義守

    深澤委員 そういたしますと、匿名供出分で出たものの額は、町村の收量の増加として算入しない、こういう通牒ですと、結局それは個人々々を調査することも匿名供出はできないのですから、結局免税ということになりますか。
  52. 高橋衞

    高橋(衞)政府委員 農業所得に関しましては、それぞれ各農家について実收高を調査いたしまして、そうして一つ標準率を用いて所得を算定いたしておるのでありますが、匿名供出または超過供出も全部含んでおるのであります。たとえば保有米から麦を食うことによつて米を出すという場合が普通でございますので、その超過供出があつたという事実のために、調べたところの実收高がふえたという考え方は、これは事実に反すると考えますので、そういう点は超過供出がたとい相当ありましても、それによつて実收高そのものがふえたのだと解すべきではないということを、念のため通牒を出したわけでございます。
  53. 深澤義守

    深澤委員 そういたしますと、匿名供出だけでなくて、超過供出は保有米からさいて出したのであるから、收量として増加したのではない。従つて従来の調査によつて決定された所得よりも、超過供出分を加えて課税するようなことはない。従つて超過供出全体は特別に増加分として見るのでなくして、保有米からさいて出したものであるというぐあいに理解してよいのですか。
  54. 高橋衞

    高橋(衞)政府委員 その通りであります。
  55. 深澤義守

    深澤委員 他にも大蔵大臣に対する御質問があると思いますから、私は他の同僚にも御迷惑をかけますから、一応質問を打切つております。
  56. 佐藤重遠

  57. 奧村又十郎

    ○奧村委員 私は一点だけお尋ねします。しかもこれは昨日の大蔵大臣に対する質問に関連するのであります。実は昨日お尋ねするつもりでありましたが、かなり微妙な点でありましたので、一晩考えてもう一ぺんお尋ねをし直す、こういうことであります。つまり言葉の言いまわしかどうかと思うのでありますが、きのうの大蔵大臣の御答弁ではこういうことでありました。いろいろな税の今回の軽減措置からして、また将来譲渡所得税などを免税するということになると、その振合い上勤労所得の免税の限度が今三万円であるが、それを六万円程度まで引上げなければならぬ、こういうふうに考えるが、そういう振合いを考えて株式譲渡所得税などを廃止する場合に、勤労所得税の減税の限度を引上げるか、こういうお尋ねをしたのでありますが、そのときにそういう場合もあり得るが、勤労所得に対しては公平観念だけでなしに、また政府の財政上の必要からも考えねばならぬと、こういう御答弁であつた。そこでその根本的な考え方をお伺いしたいのでありますが、私どもはあくまでもまず税は公平原則を貫かなければならぬが、一方財政上の必要からして、また考慮をしなければならぬ。あるいはまたその他政策的な面からして、公平原則が政策的な必要からその道を多少譲らなければならぬ、こういう場合もあると思うが、しかしまず貫かなければならぬのは公平原則であつて、財政上必要であつても、公平原則をそこなわない程度において、政府措置すべきである、私どもはこう思うのであります。ところがきのうのお話によると、公平原則から言つて、勤労所得の、つまり免税の限度を引上げねばならぬが、財政上これはいましばらくできない、こういうような御答弁では、公平原則があまりにもそこなわれはしないか、こういうふうな不安を持ちますので、その点大蔵大臣の御所見を承つておきたいと思います。
  58. 池田勇人

    ○池田国務大臣 なかなかやつかいな問題でございまして、租税上公平原則ということは、これは税制の根本観念であります。何が公平か、こういう問題になつて参りますと、イギリスのように二方ポンド以上の人は、所得の九割七分五厘まで税金をとるということが、公平原則と考えておる考え方もあります。またアメリカのごとく、九〇%以上とるのが公平原則だというのもあります。日本のように、今回二百万円以上の所得者に対して、五五%で公平だという観念もあるのであります。同じ日本におきましても、戰争前には、いろいろなものを加えまて、八割五分程度所得税率があつたのであります。これも公平だ、今では五五%が公平だ、こういうことになつております。そこでその公平の観念というのは、その時代、その国民感情、そのときの財政、経済状況から割出して来ることであつて日本民族の公平観念というのは、所得税は五五%以上には行かないのが公平だという今の考え方もありますし、十年前には八五外まで行つてつた。でありますから、公平観念というのは、そのときどきの状況によつて考えざるを得ないと思うのであります。今お話になりました勤労者に対しまする控除の問題は、ずつと昔、大正時代におきましては、六千円以下は二割、一万二千円と六千円との間は一割控除、これがだんだんかわつて来て、一割控除、二割控除、二割五分控除になつて、シャウプ博士に言わせれば、二割五分控除はいかぬので、一割控除が一番公平だ。しかしあのときも、奥村君御存じ通りに、一割控除はどうしても不公平だというので、私は特にシヤウプ博士に頼んで一割五分にしてもらつた。一割五分控除がいいか、二割五分控除がいいか、一割の控除でもけつこうだという公平の観念もありますが、大体今のところは、一割五分では少しきついじやないか、二割くらいにしたいという気持はなきにしもあらずでありますが、大体財政の状況その他からいつて、ただいまのところは一割五分でひとつがまんしてもらおう、このように一応の公平の観念でなつておる。それなら、一割五分の控除を一応認めるとして、控除額が三万円を限度にしておる。それを倍の六万円にしたらどうかという問題、六万円がいいか八万円がいいか、あるいは五万円か、四万円かという、いろいろな公平の観念はあるかと思いますが、しかし今の三万円にいたしましても、だんだんふやして来ておる。そこで三万円をお話のように六万円にいたしますと、税收入が大体六十億円ばかり減つて参ります。六十億円減つても、限度の三万円を六万円にすべきじやないかという議論もありましようが、これは一方高額の俸給所得者に対しては、今の際六万円まで行かなくてもいいじやないかというので、三万円で押えておるのであります。税の公平というものは、繰返して申し上げますが、そのときどきの国民感情並びに財政の状況、経済の姿、こういうところから見て考えられることであつて、私は税の公平というものは、そういうように弾力性のあるものであると思います。ただ一旦きめた税法に対しては、その税法を公平に施行しなければいかぬ。施行面についての公平の観念と、それから立案するときの公平の観念とは、そこにおのずから差があるのでございまして、私の考え方といたしましては、やはり税の公平というものは、現状を見てから帰納すべき問題だと考えておるのであります。
  59. 奧村又十郎

    ○奧村委員 ただいまの大蔵大臣の話されたのは、主として税率などの点でありますが、私の申し上げるのは、それではなしに、同じ納税者の中での、つまり勤労所得とその他の所得と、あるいは山林所得と、そういうふうな同じ納税者の中の所得ごとに、あるいは納税者業種ごとに、階級ごとに、不公平があつてはならぬ、このことであります。国家財政の必要上全般的に負担が重くなりあるいは軽くなる、これは当然でありますが、そうではなしに、業種ごとに、あるいは所得ごとに負担度がかわるということは、これは公平観念を阻害する。こういう意味であります。従いまして勤労所得に対する、主として源泉徴收の課税の規定と、それから申告所得に対する課税の規定及び現状、これから言つての公平が保たれておるか、ここが一番私はかんじんであると思います。また今国内でこの問題が一番議論されております。つまり税務執行の実態において、勤労所得はほとんど把握されて、しかもこれに対しては納税歩合がはなはだよろしい。ところが申告所得に対して、第一所得の把握は十分じやない。これはいろいろ事情がありますが、昨年の申告所得税の收入の実績を見ても、予算から二百五十億も赤字が出ている。これはやはりまず第一には所得の把握ができておらぬ。そういう勤労所得申告所得との振合い、これが問題である。この振合いということについては、あくまでも国家財政の必要上、振合いが多少不公平であつてもいいということは、これは私は議論にならぬと思うので、その点ははつきりしていただきたい。国家財政上負担が重ければ重いように、軽ければ軽いように、まずこの納税者業種あるいは所得の相違によつて、公平の度合いが違うということは決してあつてはならぬ。この点の大臣の言明がいただきたいのであります。
  60. 池田勇人

    ○池田国務大臣 所得の種類別によつて担税力が違うかという問題があります。百円の所得があつたという場合に、これが配当から来る所得、土地、建物から来るいわゆる資産所得による百円の所得と、事業によります百円の所得と、それから勤労によります百円の所得と、同じ百円で担税力が違うか違わぬかというのが、一つ税法上の大きい問題であります。日本におきましても、資産所得と勤労所得、事業所得につきましては、ずつと昔の所得税法では、ある程度予算課税実績課税等によつて差別をつけておりました。昭和十五年に根本的の税制改正をいたしました場合におきまして、資産所得と事業所得と勤労所得とは、同じ百円の所得でも担税力が違うというので、分類所得税制度をやつたのであります。これは一つの考え方でありましよう。しかし英米流の思想から申しますと、同じ百円なら、どこから来ても担税力は同じだというのが、私は理論的には正しいのじやないか。こういうところで、資産の種類によりますところの担税力の差等は設けないことに一応いたしております。理論的にはまだ疑問の点はありますが、一応百円の所得なら何から来ても同じだ。しかし今度はもう一つの問題は、所得計算方法によつて差等をつけるべきである。これはもう当然のことであります。勤労所得に一割五分控除するということは、所得計算方法が違うからやつておるのであります。事業所得であろうが資産所得であろうが、ただいまのところは区別いたしていないのであります。私は根本観念としては、所得はいかなるものであろうとも同じだ。ただ一時的所得につきましては山林所得とかあるいは譲渡所得等につきましては、特別の措置をとつておりますが、これは特例といたします。勤労所得、事業所得につきましては、計算方法が違うからやつておるのであります。把握力が違うから税率をどうこうぜいというのは、その次の問題であります。だから所得税法とすれば、把握は絶対に各所得ともやらなければならぬ。把握ができないということを前提にして税率や控除を考えたら、これはいたちごつこになる。これこそ不公平のもとをつくるものである、こう考えておるのであります。しかし私の申し上げるのは、りくつでございます。理論でございます。あくまでもこの理論を貫くように努力しなければいかぬと思う。お話通り申告納税につきましては、予算に対してかなり減收が出ておりまするが、これは把握力の点ばかりではないのでございまして、法人なりその他の点がありますが、まだ把握力の足らぬところもございましよう。そこで把握力が勤労所得に強くて事業所得に少いから、勤労所得の税率を下げたらどうかという、実際論と申しまするか感情論といいますか、感情と言つては悪うございますが、そういう点から勤労所得の控除をふやすとかいうふうなことは、理論としては考えられない問題だと思つておるのであります。
  61. 奧村又十郎

    ○奧村委員 私は所得の把握力の問題も、ある程度税法上考慮すべきであると思うのでありますが、これは別の機会に譲りたいと思います。先ほど深澤委員税務行政の末端において、所得標準率などでいわば水増し徴税をやつておるというようなことを言われるが、私は全然逆に、むしろ所得の把握力が非常に鈍い、しかもいろいろな制度がかわつて来ておるということ、従つてこれは税法上考えるべきであるが、これはまた別の機会に譲りたい。しかし今度ははつきり税法上譲渡所得は十万円控除する、あるいは相続の場合の譲渡はかけない、これはまことにけつこうであります。そのほか税法上はつきりそういう所得を免税する措置をなさつておられるならば、勤労所得に対する控除をも、公平の原則からいつて考えて行かなければならぬ。私ども税法の審議において、まず公平観念から審議をする。これが最も建前である。この意味からして、昨日大臣の財政上の点から公平原則を多少譲らしてもいいというようなお話について、大臣のお考えを明らかにしておきたい、こう思つて御質問した次第でありまして、私の質疑はこれをもつて終ります。
  62. 佐藤重遠

    佐藤委員長 武藤嘉一君。
  63. 武藤嘉一

    ○武藤(嘉)委員 ちようど大臣がおいでになりましたので、私の質問は銀行局の所管に属するかもしれませんが、ほんのわずかの時間でありますから、お許しを願いたいと思います。  実は最近名古屋市、三重県、岐阜県方面におきまして、いろいろな形で無盡類似、いわゆる相互銀行に類似の形式のもので、百貨店の月賦販売というような形式のものがたくさんできておりまして、私のおります岐阜附近等も二十数社できております。これは愛知県、三重県、おそらく大阪、全国であろうと思いまするが、最近これらのインチキと申しますか、かような業態において非常にたくさん不正事件が起つて参りまして、最近では三重県、名古屋市、岐阜市等非常に多いのであります。新聞で見ましただけでも、最近四、五件あります。しかもこれらは契約高といいまするか、零細なる資金を集めました契約高が、およそ十億円以上に上るものが相当あるのであります。従つてこのままにほつておきますれば、これはまことに零細な市民層の資金を、まつたくむだにしてしまうことになるのであります。もちろん全部とは申しません。善良な会社もあると思いまするが、まことに文字通りのインチキ業者も相当おるものと見えまして、今申しますような犯罪容疑でもつて、国警及び市警で調査しておるものが、東海地方だけで相当あるのであります。これについては貸金業法以外に取締りの方法がないというので、大蔵省は放任なされておるのではなかろうか。手をつけておるのは国警もしくは市警だけでありまして、大蔵省では何らの処置をなされていないのか。またそうでなくして、大蔵省に監督の権限がおありであるとすれば、地方の財務局はどういう怠慢なことをしておるのかと申し上げたいのであります。これはきようの税法の問題に直接の関連はありませんが、金額が最近非常に大きいのでありますし、ほつておきますると、ますますこの種の業者が蔓延いたしますので、私は緊急に大臣から何か御処置をお願いすると同時に、御意見を承れば光栄と考えます。
  64. 池田勇人

    ○池田国務大臣 お話のような点が最近相当ふえて参りまして、大蔵省としても実は困つたものだと考えておるのであります。御承知通り貸金業法というのがございまするが、これは届出だけでございまして、実際その預金を預かつて、これを貸し付けるというと銀行法の適用を受けまするが、預金の形式をとらずに、出資の形式とかその他いろいろな脱法行為と申しますか、それをやつておるのが、大蔵省で調べたところによりますと、大体全国で六千件ばかりございます。そのうち、届出だけでよいものでありますから、大蔵省に届出したというので表面は大蔵省公認、こういうような看板が出ておるのであります。実は公認したわけではない、貸金業法で届出したというだけであります。届出せられたものを大蔵省は拒否するわけに行かぬ。片方では大蔵省公認だ。こういう銀行類似のこと、あるいは貸金業法のもとにやつておるのでしようけれども一般の零細な貯金者に不慮の損害を与える可能性の多い今の金融制度が瀰漫しておるということは、お話通りでございます。そこでこれが対策につきましては、警察当局もやつておりまするが、大蔵省といたしましても、これをどうこうしようといつても、実は今のところ手のつけようがない。六千件近いものを一々検査する手数もかかりますし、今困り抜いておる状況であるのであります。中にはいいものもあるかもわかりませんが、総じて簡約をし、お金をためられた方に不慮の損失をもたらす場合が、今後出て来るのじやないかというので、私は心配いたしておるのであります。従いまして貸金業法について改正を加えるかどうするかという問題は、今大蔵省としても研究をいたしておりますし、実はごく最近におきまして臨時金融制度懇談会にでもかけて、ひとつ御意見を聞いてみてはどうかというので、事務当局を督励しておるような状況であるのであります。
  65. 武藤嘉一

    ○武藤(嘉)委員 今申しました件につきましては、大蔵省において至急に対策を考えられて、立法処置か何かなさらないと、ますます弊害が純良な預金者といいまするか、契約者と申しまするか、被害を受ける者が零細な資金をもつてつておる者でありますので、賢明なる大臣は、国としてのいろいろな対策を至急にお考えになるべきではないかと考えるのであります。  なお私のもう一点申し上げたいのは、酒に関する公定価格です。大体三月一日ごろ御設定になると聞いておるのでありますが、関係方面との折衝で遅れておると聞いております。至急にこれを御設定なさいませんと、すでに一種のやみ取引に類似のことが行われておりますので、早く御決定を願わしゆう存じます。
  66. 池田勇人

    ○池田国務大臣 お話通りで、今関係方面と話しておりまするが、大体三月一日から価格改訂ができると思つております。今問題になつておるのはビールでありますが、これがいけなければそれはあとまわしにしても、その他の分だけは三月一日からやり得ると思います。ただいまのところではビールも今明日中にはきまると思いますから、お話通りに三月一日から適正な価格に改める、これが実現し得ると私は確信いたしております。
  67. 佐藤重遠

    佐藤委員長 淺香忠雄君。
  68. 淺香忠雄

    ○淺香委員 昨日も質問いたしましたように、不幸にして大阪の国税局管内の汚職事件が拡大いたしましたので、この際それに関連いたしまして二、三大臣の御意見を伺つておきたいと思うのです。  その一点は、くどいようでありますが、公務員の地域給の差額でございます。これは大蔵ばかりでなく、文部関係あるいはその他の公務員にももちろん関係する問題でありまして、こういう席において取上げることがすでに間違つておるのかわかりませんが、公務員のさなきだに少い收入が、同じ管内に勤めておりながら、郊外に勤めておるがために少い、市内に勤めておる者は多い、こういう点が非常に薄給の方であるがために、こうした汚職にも相当関連がございます。従つてこれは人事委員会の問題でありましようけれども、副総理とまで言われておりますところの池田さんの、この問題についての今後に対する心構えと申しましようか、御意見を承りたい。  それからもう一点は、かねて問題になつておりますところの密告者の報償制度の問題、これも今度大阪に起りました汚職からつらつら考えますと、たとえば一例として淀川の税務署において法人係の某氏が、ある会社の分で申告漏れ百五十万円を三百万円と更正決定した。しかしその裏には密告の報償制度がありますために、それの方に悪辣に連絡をとつてつた。これは納税者から脅迫をしてとり、しかも密告者に対してまたもうけさせておるというような、非常に悪辣なことがあつたわけであります。かねがね問題になつておるのでありますが、これはプラス面よりかマイナス面が多いと思いますので、この報償制度というものは至急廃止すべきではないかと考えるのでありますが、大蔵大臣の御意見を伺いたい。  いま一点は、売払い仲立業に関する問題であります。すなわち税金のかわりに取立てた土地あるいは家屋、この国有財産を食いものにしておる。そうして自分のふところを肥やしておる指定商人が、方々で指摘されております。昨年末も東京におきまして各新聞が騒ぎ立てました問題でありますが、こういう弊害のあるものに対しては、むしろ局の方が直接にこれを担当されて、そうして新聞公告などによつて一般に公売するという方法をとる方が、私は弊害がないのではないかと日ごろ考えておるのでありますが、この点をお伺いしたいと思います。  その次には監察制度の問題であります。御承知のごとく今各局の方の権限によらずして、国がこの権限を持つておりますがために、その地方の局長と密接な連絡がなく、しかも弛緩した空気があるわけでありまして、局長が思うようにこの監察制度を動かせない。これをある意味において局長の皆さん方が、嘆いておられるといいましようか、欠陥を指摘しておられた事実がありますので、この問題に対して今後改善されるような御意思があるならば、承りたいと思います。  それから一昨日も主税局長に御意見を伺つたのでありますが、調査委員制度を復活する意思があるかどうかという問題であります。何もイギリスやドイツのことをまねなければならぬわが国の現状ではございませんけれども、聞くところによりますと、イギリスやドイツあたりでは、日本の昔のあの調査委員制度が非常にうまく運営されておるということでありますし、また今の国民の心理に合致した、いわゆる伝統的な調査委員制度というものは、国民全般がその復活を望んでいると思うのであります。と申しますのは、一方において御承知のように協議団がございますが、この協議団は税務署の側の方の協議団かのような形であります。しからば税務署だけの協議団かといえばそうでもなく、税務署としてもこの協議団に持ち込まれる前に、署の方で処理して行こうという考え方でできましたのに、一向その効果を発していないという現状であります。私はこれに関連して旧所得調査委員制度を復活することが、現在の国情に適合したものであり、国民の要望であるように考えるのでありますが、この点を伺いたい。  さらにもう一点は、昨年末に今度日本政府に返還されました南西七島の問題であります、これにつきましては法務府、自治庁あるいは大蔵省も、現地視察に人を派遣されたということを聞いております。そのことについで過日主税局長に、向うへ行かれました模様を聞き知つておる範囲内において、お知らせ願いたいということを私申しましたところが、きわめて漠然たるものであつて、管財局方面の方々が行かれたかのようなお説でございましたが、何がために向うの方面のことを知りたいかという私の質問の趣意は、御承知通り今度国民の熱願がいれられまして、南西七島は日本に復帰して非常に喜んでおります。しかしながら戦災とかルース台風などいろいろな被害があつて、島民の状態というものはきわめて悲惨であるということを、新聞、ラジオ等において知つているわけであります。従つてせつかく復帰をいたしましたところの島民も、日本政府として差延べる手が遅れたり、あるいは島民の意思に反するような行政措置をとりました場合には、非常に期待がはずれると同時に、その他の島々が復帰を要望しておるのに対して、非常な障害になるのではないか。こういう問題はすべからく先手を打つことの方がいいのではないか。この考えのもとに、この南西七島の状態をお聞きし、同時に今後どういう行政をもつて行かれるかということについて伺つたのでありますから、この点もし大蔵大臣のお考えがありましたならば、この際承つておきたいと思います。非常にたくさんになりましたが、簡單でよろしうございますから、一つ一つ御答弁を願いたいと思います。
  69. 池田勇人

    ○池田国務大臣 御質問の第一点の地域給の問題でございますが、実はお話通りに非常にやつかいなもので、これがごく小部分ならよろしゆうございますけれども、今のようにほとんど全国的になりますると、非常な不公平が起るのであります。私は今朝も強い陳情を受けまして、聞きますとまことにごもつともな陳情でありますが、これをごもつともごもつともといつておると、全部がそれになりまして、地域給というものがなくなつてしまう。これは根本的に考え直す時期が早急に来るのじやないか。そうしなければ不公平であり煩にたえません。そういう考えを私は持つております。  次に、密告制度は先般も本委員会で問題になりましたが、私はもともとあまり賛成いたしていないのであります。まあ、悪いことばかりではございません。いいことも中にはありまするが、いいことがあるからといつて、全体として国民感情にあまり合わないようなことは、考え直す必要があるのではないか。一ぺんにやめてしまいますか、あるいは弊害の多い報償制度を、今五十万円になつておるのをうんと下げるとか、徐々にかえて行きたいと考えております。  国有財産の売払いの問題につきましては、お説のように、できるだけスキャンダルが起きないように、一般競争入札で行くことが適当と考えまして、その趣旨でやつております。ただ昔から特に縁故関係のありますもの——これは普通の縁故関係でなしに、国有財産にする場合とか、払い下げるところが公共団体といつた場合には、一般競争入札ということは困難でありますので、これは不正の起らないようにやつて行かなければならぬと思います。  第四番目の監察制度は、一応国税庁長官のところで統轄しておるようでありますが、各国税局長に相当の人事権を持たせてやつておりますので、うまく行つておるのではないかと考えますが、長官も今御質問を聞いておりましたので、長官の方から再度答弁させてもよろしゆうございます。  第五番目の所得調査委員会も一利一害があるので議論がございます。私は長い間税務署長をしまして、調査委員会制度のいいところと悪いところをよく知つておりますが、今の税務署別に置きまする協議団もだんだん軌道に乗つて参りまして、いいところもあるのであります。ただ今までは税務署を通して協議団へ書類が行くということになつておりましたので、税務署で握りつぶしてしまつて、協議団の方へまわることが遅れることがありましたので、今度は協議団の方に直接に異議の申立てをさすようにいたしております。その場合におきまして、協議団というものを今三人で構成しておりましたか、これに持つてつて民間の人に相当入つていただいてやるのも一つ方法かと思います。私は自分のほんとうの私見としては、所得調査委員会はいいものだと実は考えておるのであります。しかしせつかく今の協議団があるのでありますから、今度改正いたしまして、民間の人をもつと協議団へ入れる方向で研究した上で、所得調査委員会のように決定前に付議するか、あるいは今の協議団を拡充いたしまして決定後民間の人の意見を聞くとか、この点につきましてはもう少し検討したいと思いますが、民間の人の意見を相当事前か事後かにいれるということにつきましては、私は適当な方法だと考えておるのであります。  鹿児島県の十島村の問題につきましてはお話のような点がございます。事務的には関税法の問題で調査に行つたとか聞いておりまするが、島民の方々の終戦後長い間日本から離れておつたあの気持をわれわれは十分くんで、できるだけの措置をいたすべきだと考えておるのであります。
  70. 松尾トシ子

    ○松尾委員 与党の方から、この際大臣がお見えになつているから聞け聞けという促進があるので、ここでお伺いしてみたいと思います。  行政協定も終りまして、その後講和関係諸費として巨大な金が外へ流れていると思うのですが、特に接收解除の問題が非常にやかましく叫ばれているときに、この交渉が成立したあとは、米軍の移動費とか設備費とかいうものがやはりこれに伴つて出るので、そのままにしておくとインフレーシヨンになると思うのですが、政府は税をいじつたり、あるいは更正決定を高めたりしないで、非常ないい方法をおとりになつていただかなければ困るのでありますが、池田さんはどういうふうにこれをやつていただけるか。この際御所見を承つておきたいと思います。
  71. 池田勇人

    ○池田国務大臣 行政協定はまだ最後的の決定には至つていないと思います。私特別にこの方面の所管をしているわけではございませんが、近いうちにはきまりましようが、最後の決定にはまだ至つていないと考えております。行政協定があつた場合において千八百二十億円の出費があるというお話でございまするが、行政協定の中には警察予備隊とか海上保安庁の問題は入つていないのでありますから、千八百二十億円から六百十三億円を引きました千二百億円程度のものが、行政協定によつて出るのであります。しこうしてこの千二百億程度のもののうち、防衛分担金というものは前からもう終戰処理費等によつて使つておるのでございますから、あまりかわつたことはございません。また安全保障諸費の五百六十億にいたしましても、昔は終戰処理費が千億円を越えておつたのでありまするから、大して違いはないと思うのであります。ことに安全保障諸費というのは、米軍が七大都市から移駐する場合におきましての経費でございまして、一ぺんに出るわけでもございません。それがインフレに拍車をかけるとか、すぐインフレになるというふうな気持はない。これはお金の面から申しますると、この程度でインフレになるという心配はございません。ただ問題は、お金は均衡財政で行つているが、物がなくなつて来てインフレになりはしないかという点であります。そこで物の使い方につきましては、そのときの様子によりまして考えなければならぬ。従いましてわれわれはこういうことを予想いたしまして、昨年の秋ごろからビルの建築は原則としてとめる。今でもやつております。これは前から計画している分は、そう途中でやめるわけに行きませんが、最近はそういうものをやめまして、安全保障諸費で相当の物を使いましても、ただちに物資の不足を来してインフレになるというふうなことのないような下準備は、今までもいたしているのであります。また今後におきましても、使い方につきましては相当考えて行かなければならぬと思います。
  72. 松尾トシ子

    ○松尾委員 そういたしますと、大臣はこれからは物の使途については、計画的にがつちりおやりになるということですね。
  73. 池田勇人

    ○池田国務大臣 これからではない。今までももう始めております。物を直接にどうこうということでなしに、金融面でやりますし、金融面で設備資金を押さてえいます。今後われわれとして五百六十億円使い方につきましては、そのときどきによつて支払い予算のつけ方に手かげんをいたします。
  74. 松尾トシ子

    ○松尾委員 それでは金融統制をおやりになつて行くつもりですか。
  75. 池田勇人

    ○池田国務大臣 いや、金融統制は、今までも直接統制はやりませんが、指導によりましてやつているのであります。法規を設けましてああやれこうやれというよりも、大蔵大臣あるいは日銀総裁あるいは各銀行の方々と、経済の今の実情を話合つて、こうやつて行こう、ああやつて行こうというのでやつているのであります。
  76. 松尾トシ子

    ○松尾委員 これからお尋ねすることは、少し飛躍したお話なんですけれども、大臣の御所見がありましたら、承つておくと非常にいいと思います。  今日本銀行券の発行がだんだんに多くなつて来たことは、みな御承知なんですけれども、予算が均衡を保つていながら、どんどん日銀の発行券が多くなるし、一般には小さなところには金がまわつて来ないというかつこうなんです。私これをあまり深い研究をしない頭でながめてみますと、この日本銀行の発行券は、結局割引手形とか日銀の貸付とかユーザンスでやつていると思うのですけれども、こういつた面で真に健全に貸し出しているというものは一割くらい、あるいは一割ちよつとくらいではないか。あとのものは、敗戰によりまして非常に物価高になつたり、あるいは物の価値がなくなつたりして、平和の産業を遂行して行くのに必要な資金に迫られて、日銀が相当出していると思うのです。この膨脹したものを、ただ税の引上げとかあるいは揚げ超にして行くと、だんだん失調して行くので、何か特別の——何%か国民が知らない間にたな上げをして、長い期間のうちに片づけて行こうというような考えをお持ちになつたことがございますか。それともこの問題に対して、将来御研究していただけますか。
  77. 池田勇人

    ○池田国務大臣 松尾さんのお話が私にちよつとわかりかねるのですが、御質問のキー・ポイントはどこにあるのでございましよう。通貨が多いとおつしやるのだと、私は通貨は決して多くないと思います。年末に五千五百三十億になりましたが、きのうなんかは四千三百億くらいでございまして、四千三百億の通貨というものは決して多くはございません。国民所得が四兆六千五百億といつているときに、通貨の四千三百億というものは、これは少な過ぎるということではございませんが、少ない方です。これはもうよその例をおとりになつても、アメリカでもイギリスでも、国民所得に対しまして大体一〇%の通貨ということは常識です。少しインフレ的なイタリアが、国民所得に対しまして一割五分程度、フランスも一割七、八分、これは少しインフレでございますが、こんなまねはする必要はございません。日本は四兆六千億に対して四千三百億では九%、少ない方です。決して多いとは考えません。通貨が多いからたな上げするということは議論にならない。それからある人はこれはもうゼロが多過ぎるから下げろと言う。ゼロを切るということはなかなかむずかしいことで、できることではございません。フランスなんかはやはり一ドルに対して三百五十フラン。フランスは一ドルに対して三百五十フランだから切り下げたらどうかという議論はフランスにはありません。日本は一ドル三百五十円だから切り下げたらどうか、たな上げしたらどうかと言う。これは日本人だけの気の早いというか理解しないというか、いろいろなことを言いたがる日本人だけの言うことで、ゼロを切つたつてただ不安動揺を起すだけです。私は御質問の点がよくわからないのですが、もし私の答えでがまんできたらこれで御了承願います。
  78. 佐藤重遠

    佐藤委員長 時間も大分経過いたしましたので、午前中はこの程度にとどめ、午後一時半まで休憩いたします。     午後零時四十六分休憩      ————◇—————     午後三時五十五分開議
  79. 佐藤重遠

    佐藤委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  所得税法の一部を改正する法律案外三税法案一括議題といたし、質疑を継続いたします。質疑通告順によつてこれを許します。久保田鶴松君。
  80. 久保田鶴松

    ○久保田委員 きようは本会が開かれておりますので、大蔵大臣の出席がございません関係上、一応主税局長の平田さんあるいは国税庁長官高橋さん等に、伺つてみたいと思います。今度の基礎控除と扶養控除の引上げによります減收は、どのくらいになりますか。まずそれを伺いたいと思います。
  81. 平田敬一郎

    平田政府委員 お手元に昭和二十七年度租税印紙收入予算の説明という印刷物を、一番最初にお配りいたしておりますが、その第四ページに詳細に書いております。すなわち基礎控除の引上げによりまして五百七十五億円、扶養控除の引上げによりまして二百四十五億円、両者を合せまして約八百二十億円程度の減收になることになつております。
  82. 久保田鶴松

    ○久保田委員 私その数字を合せて思いますことは、総理府の統計局の調べによりますれば、現在五人世帯の平均生計費は一万七千程度であるという数字が出ております。従いまして基礎控除額を五万円とありますのを、もう一万円引上げまして六万円、扶養控除を三人まで一人に対する三万円、四人以上一人に対する二万円、こういうことにいたしますると、五人家族で十七万円の控除となります。そうすることがその実收に適するのではないか、こういうふうに考えるのですが、平田さんはどう思われますか。
  83. 平田敬一郎

    平田政府委員 今お話の生活費は、一定の給与並びに事業所得者の調査対象になりました、総平均の生活費ではなかろうかと存じます。従いまして若干高目の所得並びに生活費のある人も、一緒になつておると思うのでございますが、その平均を求めますことは、どうも私ども、このような控除額をきめる際におきましては、適当ではなかろうと思う次第でございます。もちろん先般もたびたび議論しておりますように、財政状況等が許しますれば、所得税の控除をある程度引上けるということは、望ましいことではあると思うのでございますが、現在の財政状況等から考えますと、まず今回の控除の引上げは、相当勉強したと申しますか、思い切つた引上げでございまして今回としましては、今申し上げましたように、これだけでとにかく年間八百余億の減收になるような次第もございますので、私どもとしましては、この程度が適当ではなかろうかと存ずる次第でございます。
  84. 久保田鶴松

    ○久保田委員 そうおつしやいますが、しかし單に概念的に考えて、今回の基礎控除あるいは扶養控除による減收の問題は、これは今話されました程度のものをもつて、国民が納得できる納税となることはなかなか行かぬと思うのです。私はそうしたことによりまして、民生安定のためだけではなく、その控除を引上げますことが、思想的にも得るところが非常に大きくなつて来るのではないか。こういうような意味で、今申しましたような控除の点をもう一応考え直してもらいたい。非常にその影響が両方に大きいと私は思うのです。くどくお伺いいたしますが、どうでしようか。
  85. 平田敬一郎

    平田政府委員 第一点として申し上げますが、今度の改正によりまして、実は今お話の扶養親族が四人、本人を入れまして五人世帯の場合におきましては、控除額は給与所得の場合には年額十四万七千円になるのでございます。月にいたしまして、約一方三千円になりましてこの二、三年前と比べますと、今御指摘の平均生活費との開きも、非常に実に接近して参つたのでございまして、この一、二年前までは、平均生活費よりもはるかに低い控除しか行われていなかつたのでございますが、順次引上げまして、このようなところまで参つた次第でございます。なお一層引上げたらどうかということに対しまして、私は必ずしもそのこと自体として反対するものではございませんが、しかしやはりそのときの財政事情等も考慮に入れなければなりませんので、現在のところといたしましては、まずこの程度の控除の引上げで、私どもといたしましては、よほどさつき申しましたように勉強したと申しますか、努力したつもりでございまして、その点御了承を願いたいと思います。  なお御指摘のような改正にいたした場合に、歳入がどうなるか、正確に計算してみないと今すぐに申し上げかねるのでありますが、おそらく私の今の目の子算で行きますと、やはり七、八百億円程度さらに減收になるのではないかと感ずるのでございまして、そのような減收を生じた場合におきまして、歳出をそれだけ減らすことができるかできないか。それから歳出を減らすことができないとすれば、他のいかなる税でそれを置きかえるか。その辺に非常に問題があるわけでございます。そういう点を考えますと、今回の改正は、二十七年度の財政事情等からいたしまして、まず妥当なところではないかと感じておる次第でございます。
  86. 久保田鶴松

    ○久保田委員 いろいろここで私たちが国民の立場から、扶養控除あるいはその他の税の問題について伺いますると、大蔵省の関係の方々、平田さんといたしましてもいろいろ数字をあげられまして答弁はしていただきますが、しかしその数字というものは、大体ほんとうの働く人たちの立場から出ているものではない。そういうことからいたしまして、私たちは今の税務署税務署の方々がしておりまする仕事の面を見ますると、これは非常に無理があると思います。その無理によりまして大蔵省を初めとして、税務署に対する国民の反感が強い、こういうことになつて来ております。それは現在の税務署を、かつて警察あるいはいやがつたあの留置場のごとき考えをいたすのであります。そのことは権力をもつてしやにむに差押えをしまして、物件をとりに来るというような状態が、今の税務署の実際のあり方であります。だから昔でございますれば、悪代官のような印象を与えております。私は大蔵省はまずこういうような国民感情を払拭することからいたしまして、先ほど申し上げましたようなことを申し上げておるわけでございます。まずそういうところから次々と尋ねて参りますと、ここでいろいろ各議員の方々が質問をされまする答弁を聞いておりましても、これはこの間の公述人の方々の話にもございましたが、一つのりくつだとか、井の中のかわずがいろいろなことを言い合つておる形だというような言葉がございました。私はこういうときこそ、もつとこうした国民の困つている生活状態というものを考えてもらいまして、日本で十二、三か五、六くらいの大会社の税の問題ということでなくして、ほんとうに働く人たちの、あるいは零細業者の人たちの立場を考えてもらわなければならないときだ、こういうふうに思うのです。そういうような意味から、まずこの税の問題に対する合理化をはかつて行きたい、こういうふうに思うのですが、私が申しました点から、もつと具体的にほんとうに困られる人たちの点をこういうふうに改正して行こう、こういうふうにしてやろうと思つているんだが、今はできない。しかしそれはできないのじやなくして、私はやろうと思えばやれると思う。それに対する資料もいろいろ労働組合あるいは農民組合あるいは企業組合、一般の方からも集めてはおりまするが、その点ここでいろいろ話しておりますと、本会議の途中でありますので、なかなか簡單にその結論は得られないと思うのでございますが、大体ただいま申しました点について一応局長の話を伺いたいと思います。
  87. 平田敬一郎

    平田政府委員 私久保回さんのお気持はよくわかるわけでございまして私ども所得税が戰後非常に重くなつた。この所得税を何とか軽減いたしたい、ほかのあらゆる税に先がけまして、所得税はできる限り軽減したい、こういう考え方で臨んで来ましたのも、気持としましては今久保田さんのような気持で、実は私どもつて来たつもりでございます。しかし大分よくなつたことは事実でございますが、なおまだ不十分であるので、何かもつと思い切つたことができないかという点が、今の御要望かと思います。しかし率直に申し上げまして、私ども財政事情さえ許すならば、やはりもう少し軽くした方がいいという点は、たしかに考えておる次第でございますが、しかし單に所得税を軽くするという見地からのみ、判断するわけにも行かない事情もありますので、漸を追つて実は改正して参つた次第でございます。その結果としまして、実は低額所得者、一番低い所得者の負担は、この二、三年の改正で非常に軽くなりました。所得金額が少くて家族の多いような、たとえば農民の方々は、これは納税者が三分の一に減つたのでございます。昭和二十四年がたしか三百九十万人くらい納税者がありましたのが、今年の見込みでは、百三十万人くらいに減る。これはお手元に資料として別途に配つておりますが、相当減つております。これは農民の所得一般に低くて家族が多いから、控除の引上げによる影響が強く現われまして、そのような結果になつたのでございます。実は所得は若干増加しましてなおかつそうでございますので、相当に効果は出ておるものと見ておるのであります。それから勤労者の場合におきましても、低額所得者の場合は、実は相当軽くなつてつておるのであります。ただ問題は中と申しますか、下の上と申しますか、中以上からなお所得税が重い。なかんずく中ごろの所得のところが、なかなか納税者がそう簡單に納められるような軽い負担ではない。相当なものでございます。これにつきましても、もちろん今までたびたび軽減をはかつて来たのでございますが、なお相当なものである。ただそれに関しまして、数字を申し上げるのは恐縮ですが、やはり納税者の声の中に、どうもいろいろなあれがありますので、やはりひとつどれくらいの負担になつているかということを、よく頭に入れて御判断願いたいのですが、まず勤労者の場合、月給取りの場合でございますと、さつきお話になりました平均一万六、七千円でございますが、一万五千円の月收のある人は、今度の改正で、家族が五人おりますと、税金は二百十六円でございます。所得に対して一・四%の負担にすぎない。それから二万円の方、この辺が家族の多い人が相当多いと思いますが、二万円の方の場合は、改正前は二千円でございますが、改正後は千百六十六円になります。五・八%になるのでございますが、まずこれが非常に過重かと申しますと、私はそれほどだとは感じません。もちろんこのほかに市町村民税が約二割ほどかかりますが、それにいたしましても、約千四百円程度の負担であります。三万円のところになりますと、それが少しふえまして、現行税額は五千四百円でありますのが、改正後は三千九百円、約四千円負担する。そのほかに市町村民税がかかります。この辺から、実際といたしましても、どうも税金が大分重いなというふうに感ぜしめるところになりはしないか。それから事業所得の場合におきましては、これも下の方は相当軽くなりましたが、給与所得は今申しましたように一割五分の勤労控除がございますので、事業所得と違うわけでございます。事業所得の場合におきましては、二十万円から三十万円ぐらいのところが、実は営業者の場合は多い。農家の方々の場合は、十五万円前後が、平均しまして多いのでございます。十五万円以下の方も相当おられますが、そういう人は大体失格しておられる。十五万円の場合におきまして現在九千円の負担が改正後は二千円になる。二十万円の場合におきましては、現在二万一千二百五十円の負担が一万二千円になる。それから三十万円の場合におきましては、現在五万三千二百五十円の負担が改正後は三万八千円になる。この辺は一割二分六厘という負担でございます。地方税を入れますと約一割五分、三十万円の年收がありまして、約一割五分の負担をするわけでありますが、この辺のところは実際はなかなかやはり納税しにくい。と申しますのは、納期になりまして一ぺんに納めざるを得ない。勤労者の場合は源泉で差引きますので、多いとはいいながら、何とかやつて行けますが、事業者の場合はどうもやはり金繰りに困る点もありまして、納期になりましてから一ぺんに納める。ことに確定申告で一ぺんに納めなければならぬというような事情に相なりますと、どうもなかなか税金が納まらない、従つて重い、こういうような実情になつておりますことは、これはどうも私ども否定するものではないのでありまして、そういう点からしまして、できるだけ軽くいたしておるわけでございますが、しかし絶対的に言つて、この程度が今なお非常に重過ぎるかということになりますと、前よりもよほどよくなつて来ているということは、同時にお認め願いたいと思うのでございます。従いまして、一方におきましては納税資金と申しますか、納税貯蓄運動を平素からいたしまして、納期において納税をしやすくするということが、何と申しましても事業者の場合の納税を容易にし、また役所の場合におきましても、徴税を円滑ならしめるゆえんでございますので、そういう点とあわせ進めまして、でき得る限り摩擦なりあるいは負担のしにくい点を緩和しようというのが、今の私どもの考え方でございます。しかしそれにいたしましても、なおやはり相当重いものを御負担していただくということは、これはもうあえて否定するものではございません。でございますが、今申し上げましたような事情で、相当軽くなつてつておりまするし、まず本年度といたしましてはこの程度の負担をごしんぼう願う。私は簡單に納められる税金とも思いませんが、諸般の事情から見まして、納税していただく額としましては、そう過重なものではないということは、言い得るのではないかと考えておる次第でございます。
  88. 久保田鶴松

    ○久保田委員 いろいろ勤労者に対する控除の点についても説明がございました。ところが今度の改正されまする法案の中において、勤労者に対する勤労控除がすえ置きになつているのです。それは物価の騰貴を無視しているということも私は言えるのでありますが、ある意味におきまして、扶養控除等の引上げに比べて、非常に勤労者のこの控除がすえ置かれたことは不公平である、こういうふうに思うのです。ですから勤労意欲の向上等をはかるためにも、これを二〇%ぐらいにぜひ引上げてもらいたい。なお農民やあるいは漁民、中小企業等の勤労をもつて生活をいたしておりまする人たちも、これも一〇%ぐらいの控除をする必要があるのではないか、こういうふうに思うのです。先ほどから同じようなことを繰返しておりまするが、いろいろ数字をあげられました関係から、勤労者の控除をぜひそうする御意思がございますか、どうでございましよう。
  89. 平田敬一郎

    平田政府委員 この問題は午前中実は大臣からお話があつたのでございますが、勤労控除をどうするかという問題、これはなかなかむずかしい問題の一つでございます。一五%の控除がいいか、あるいはシヤウプ勧告のごとく一〇%でしかるべきか、あるいはわが国で多年、昔やつておりましたように二〇%ぐらいの控除が妥当であるか、これはなかなかやはり議論の余地はあろうかと考えるのでありまするが、ただやはり控除の結果、事業所得者と勤労所得者との間に、同じ所得金額でありましても、現在の一五%の控除で、実は相当な差がついているのでございます。ことにこういう控除が一番影響しますのは、中以下の所得者の場合でございまして、中以上の所得者になりますと、それほどの差が出ていないのであります。下の方の所得者になりますれば、控除いかんによつて非常に差が出て来る。事業所得者にまた控除しますと、これまた勤労所得者との差が縮まつて参りまして、勤労控除がまたいいかどうか、問題になつて来るのでございます。最近の資料によりますと低額所得者の大部分、ほとんど九〇%以上は勤労所得者か農業所得者か営業所得者か、このいずれかであります。それにつきまして、お互いに控除しつこしておりますと、結局基礎控除を上げたり扶養控除を上げたりするのと、同じ結果になる場合が多い。資産所得としましては、御承知のように配当とか利子とか、あるいは地代、家賃等の所得がございますが、これらの所得が最近非常に目ぼしいものが少くなつております。また利子所得につきましても、貯蓄奨励等の見地から、少額のものは免税するということになつて参りますと、結局問題になりますのは、ただ月給取りと申しますか、勤め人と農民と営業者、営業者の中には医者と弁護士等を入れますが、これらの所得の相互の負担関係がどうなるかという問題に、大部分帰着するのでございます。従いまして私ども事業所得者に勤労控除を認めたらどうかという意見も、りくつとしてはたしかに一つのりくつでございますが、現状から見てやはりどうも勤労控除との差は、一五%ぐらいつけておいた方がいいのじやないかという見地から、この問題はもう少し研究することにしておりまするし、勤労控除の引上げにつきましては、これはたしかに一つの考え方ではあると思うのでありまするが、これまた今申し上げましたように、事業所得者の方が、勤労控除を引上げますと、新しく控除を設くべきではないかということになりまして、どうもいたちごつこになるおそれがございます。従いましてまず勤労控除としましては、さしあたり一五%すえ置き、事業所得につきましては、控除の問題は将来の研究にゆだねるということに、今回はいたした次第であります。ただ勤労控除の限度を三万円に頭を限つておりますが、これを少し所得がふえたのだから、上に上げたらどうかという御議論は、たしかに私は一つの議論だと思いますが、そうなりますと、これによりまして利益を受けますのは、中以上の給与所得者になりまして、中以下の勤労所得者には全然影響はないということになりますと、どうもこれだけとるのはいかがであろうか。歳入におきましても六、七十億の減少になる点もございますので、この問題はもう少し将来に延ばしたらどうか、こういう意味合いで今回といたしましては、勤労控除の問題は手を加えないということで、実は御審議願つておるような次第でございます。たしかにこれはなお問題があるということは承知いたしておりますが、今のところは、まずこの辺のところじやなかろうかと存じておる次第でございます。
  90. 久保田鶴松

    ○久保田委員 勤労控除を二〇%に引上げましたら、数字の上でどのくらい違つて参りますか。
  91. 平田敬一郎

    平田政府委員 二〇%に上げますと、所得税におきまして約百七十五億円の減少でございます。
  92. 久保田鶴松

    ○久保田委員 それから戰争犠牲者と勤労学徒等の社会保障的な面から、非常に重要な問題があると思うのです。これをいただきました資料から見ますと、たしか四千円であると思うのですが、これは一万円くらいに控除を引上げるというようなことは困難でありますか。
  93. 平田敬一郎

    平田政府委員 四千円は税額から控除する額でございます。御承知かと思いますが、所得から引くのでなくして、出て来た税額を四千円だけ減税するという控除でございますので、所得に還元しますと、たとえば低い所得者の場合は税率が二〇%でございますけれども、二〇%で割りますと、年額の所得とするとちようど二万円の控除になります。ちよど扶養控除が三人まで二万円といたしましたが、それと同じ額になるわけでありまして、まずこういう制度といたしましては、その程度が妥当ではないかと思います。しかしこれは何も当然こうすべきだというりくつはなくて、一種の社会政策的な特別の控除でございますので、特にむずかしいりくつがあるわけではございませんが、まずそういう点から見まして、この辺が妥当ではあるまいか、こう見た次第であります。ただ今度遺家族に該当します不具者なり、未亡人の場合におきましては、一層事情において気の毒な点がございますので、四千円の税額控除を六千円の税額控除に、五割増しするということにいたしたい。これは遺家族援護法の法律案の提出と同時に、その方でそのような措置をとるようにいたしたいと考えておる次第でございます。
  94. 久保田鶴松

    ○久保田委員 伺つておりますと、その程度が妥当じやないかというような説明でございますが、やはりいろいろ国の財源の問題もございますし、そこで税率の累進の高め方と申しましようか、二百万とか五百万あるいは一千万、二千万というような人たちは、御承知のように大きくなるとかわりがない。下の人には非常に多い負担で、大きくなるとこれはもうかわらぬというようなことで、資料によりますと、百万、二百万、あるいは五百万、一千万もこれはもう同じだということです。こういうような点を改めてもらつて、そして下の方を引上げてやる、上の方からよけいとるということをお考えになりませんか。
  95. 平田敬一郎

    平田政府委員 今の問題は、実は久保田さんは簡單なことのようにお話になりましたが、私ども税制を考える上においては、非常に重大な問題の一つにしておる問題でありまして、常にそういう角度から検討いたしておる次第であります。御承知通り現在の制度は、今回の改正で二百万円超五五%に押えまして、そのかわり高額所得者に対しては、富裕税という形で一種の所得税課税しよう、こういうシステムをとつておるのであります。富裕税を設けていなかつた時代においては、日本所得税も税率としては最高八五%まで行つていたのでございますが、どうも会社の重役さんの所得とか、あるいは事業者、営業者の所得というものに八五%も課税するよりも、そういうものは低目にいたしまして、株の配当の高額所得者とか、あるいは地代の高額所得者とか、そういう面に少し高率課税をした方がいいのじやないかというのが、今の制度の考え方でございます。しかしこの点またいろいろ問題もございますので、富裕税についてはやめたらどうか。大臣もあまり富裕税は賛成でないということを、今朝お話になつたようでございますが、富裕税をやめるとなりますと、ある程度上の方の税率を上げなくてはならぬ。上げるのは私ども当然だと考えるのでございますが、しかしそれにいたしましても、遺憾ながら戰後大所得者が非常に少くなつた。これは相対的でございますが、二百万円と申しましても、戰前の貨幣価値に改めますと、一万円ぐらいの所得者でございますし、かりに一千万円といたしましても、五万円ぐらいの所得者ですが、五百万円以上の所得者が実は非常に少くなつている。資料をお配りしましたが、二百万円以上の所得者の場合におきましても、総所得五百万円以上の納税者が今年の見込で約二百人、二百万円から五百万円までが千七百人、だから二百万円以上の所得者が約二千人ぐらいしかない、こういう状態でございまして、これは戰後のいろいろな事情によるものと思いますが、大所得者が相対的には非常に減つておるのでございます。昔の貨幣価値に換算して、昔と同じような意味の大所得者でございますね。現在のもとにおきましては、一般所得が低くなつておりますから、それでも大所得者じやないかということになるのでありますが、以前のような考え方でいたしますと、大所得者が非常に減つておる。今の数字は二十五年度実績でございますが、二十七年度におきましては、それが若干増加すると見ておりまして、五百万円以上が千九百人、二百万円以上が一万人ぐらいあると見ております。それにいたしましても、前と比べると減つておる。従いましてその課税所得等もそれほど大きな額ではない。そこでこの辺のところに相当重課いたしましても、実は大した税收入にはならない。今申しましたように、基礎控除をちよつと上げますと、すぐ百億ぐらい響いて来るのでございます。この辺を飛切り納められないような税率にいたしまして、ほとんど全部所得税課税するといたしましても、大した收入でない。そういう点なかなか今の所得税の苦しいところでございまして、従つてある程度中くらいの所得者に、相当な税を納めてもらうというようなことになつておる次第でございます。そういう点は私ども常に研究しておるのでございますが、そういう角度から税率を少しかえることによつて、低額所得者の所得税を相当大幅に減らすということには、なかなか参りがたい事情もあるということも、御了承願いたいと思う次第でございます。
  96. 久保田鶴松

    ○久保田委員 それでは次に砂糖消費税の引上げ法案の問題ですが、砂糖の課税につきましての比較でございます。水あめとぶどう糖等の差がはなはだ高くなりはせぬか。そのために国内におきましての澱粉工場は圧迫され、農村の経済に重大な影響を及ぼすのではないか。今回の砂糖消費税の引上げによりまして、砂糖の価格と水あめあるいはぶどう糖等の価格との差が、どういうことになるかということを伺いたいと思います。
  97. 平田敬一郎

    平田政府委員 砂糖の消費税はこの四月から統制が撤廃になりますので、それに対応いたしまして、現在の税率は少し低きに過ぎるのではないかという見地から、この際引上げようというのでございます。なお一方におきましては、関税率を同時に引上げまして、それによつて国内の産糖の保護をはかりたい。この二つで一斤約十円、百斤千円ほどの負担がふえることになるのであります。その結果といたしまして、もちろん水あめ等の値段、これは物品税はございますが、やめてくれという議論がございますが、やめないにいたしましても、砂糖との価格差が、それだけ税が上つただけよけいになりますので、あめに与える影響も間接的にそれだけいい影響を来す。そういう点も若干あわせ考慮いたしまして、砂糖の課税を引上げることにいたしたのであります。ただこれによりまして今川上りますのは、現在の百斤千円、一斤十円の砂糖消費税と、今回の輸入税の負担が大体一斤十四円、合せまして二十四円くらいが一斤の負担になります。今の状況で行きますと、統制撤廃後砂糖の値段は、二十四円の税金がかかりまして、大体八十円くらいになりはしないか。そうなりますと三割くらいの負担になりますが、まずそれくらいのところが、消費税としては穏当なところではないかというふうに考えまして、今回の案をつくつたような次第でございまして、もちろん水あめ等に及ぼす影響も、砂糖の値段が現在より十四円だけ上りますので、その限度におきまして有利に相なるかと存ずる次第でございます。
  98. 久保田鶴松

    ○久保田委員 砂糖の消費税につきましては、消費者一般に及ぼす影響は大きいものでありまして、局長も話されましたが、この関税の引上げ、これをどのくらい引上げるのかという説明がなかつた。私は関税の引上げによりまして、砂糖価格と水あめ等の価格との均衡を、むろん平田さんもはかる考えでおられましようが、関税の引上げはどのくらいお上げになるのですか。
  99. 平田敬一郎

    平田政府委員 この法律案は近く提案しまして御審議を煩わす見込みでございますが、現在の砂糖の輸入税が、精製糖が二割でございますのを三割五分程度に引上げ、それから原料糖の方が一割でございますのを、二割程度に引上げたい、そういう趣旨の改正法案を近く提出しまして、御審議を煩わす考えでございます。
  100. 久保田鶴松

    ○久保田委員 それからこの水あめの問題につきまして、農村工業の育成のためには、これは非常に影響して来るのです。そういう意味において、水あめとぶどう糖等に対する物品税の廃止が必要になつて来はせぬか、こう思うのです。これは廃止になる方針でございますか。
  101. 平田敬一郎

    平田政府委員 水あめの物品税につきまてしてはいろいろ要望もございましたし、私ども考究してみたのでございますが、物品税は御承知通りいろいろなものに課税いたしております。たとえば紙、マッチ、ラムネ等の、どつちかと申しますと必需品に近い、非常な必需品とは私は申し上げにくいと思うのでございますが、必需品に近いものに相当課税いたしておりましてそういうものから相当の收入を実は得ておる。こういうものを全部軽減するということになりますと、どうしてもやはり五、六十億くらいの物品税の減税をしないと実現できない、そういう状況でありますれば、むしろ所得税方面の減税に充てた方がいいのではないかという考え方をとりまして、間接税につきましては実はこの際としては減税はできるだけしないという考え方をとつたのでございます。従いましてあめ等につきましても、政府としましては他の物品とのバランスもございますので、これはどうも減税するわけには行くまいということで、物品税の改正案は提出を見合せたような次第でありますことを、御了承願いたいと思います。
  102. 久保田鶴松

    ○久保田委員 私いろいろ企業組合の問題、それから中小企業といいますか、零細業者の人たちの関係の問題、ずいぶん聞きたいことがあるのでございますが、高橋さんも見えておりませんし、大臣もおられませんので、一応きようはこの程度にいたしまして、次にまたお伺いすることにいたします。これで終ります。
  103. 佐藤重遠

    佐藤委員長 本日はこの程度にとどめて、明日午前十時から会議を開きます。     午後四時四十一分散会