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1952-02-25 第13回国会 衆議院 大蔵委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年二月二十五日(月曜日)     午前十一時五分開議  出席委員    委員長 佐藤 重遠君    理事 小山 長規君 理事 佐久間 徹君    理事 内藤 友明君       淺香 忠雄君    川野 芳滿君       島村 一郎君    夏堀源三郎君       三宅 則義君    宮原幸三郎君       宮腰 喜助君  早稻田柳右エ門君       高田 富之君    深澤 義守君  出席政府委員         大蔵政務次官  西村 直己君         大蔵事務官         (主税局長)  平田敬一郎君         国税庁長官   高橋  衞君         農林政務次官  野原 正勝君         林野庁長官   横川 信夫君  委員外出席者         農林事務官         (林野庁林政部         長)      幸田 午六君         専  門  員 椎木 文也君         専  門  員 黒田 久太君     ————————————— 二月二十三日  恩給受給者相互銀行法制定等に関する請願(中  曽根康弘紹介)(第八八七号)  水あめ、ぶどう糖に対する物品税撤廃請願(  岡西明貞紹介)(第八八八号)  同(川野芳滿紹介)(第九一〇号)  台湾における外地資産補償に関する請願(三木  武夫君紹介)(第九〇一号)  同(福田繁芳紹介)(第九〇二号)  国民金融公庫帯広支所設置に関する請願(高倉  定助君紹介)(第九二六号)  石油関係関税免税措置延期に関する請願(角  田幸吉紹介)(第九二七号)  同外二件(北村徳太郎紹介)(第九二八号)  同外二件(岡延右エ門紹介)(第九四八号)  同(小坂善太郎紹介)(第九四九号)  北区地内の旧軍用施設用地の開放に関する請願  (加藤隆太郎紹介)(第九四七号)  未復員者給與法の一部改正に関する請願(庄司  一郎紹介)(第九五〇号)  旧陸軍共済組合員年金交付に関する請願(藤  枝泉介紹介)(第九六一号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  所得税法の一部を改正する法律案内閣提出第  二九号)  法人税法の一部を改正する法律案内閣提出第  三〇号)  相続税法の一部を改正する法律案内閣提出第  三一号)  砂糖消費税法の一部を改正する法律案内閣提  出第三二号)  公庫予算及び決算に関する法律の一部を改正  する法律案内閣提出第三八号)     —————————————
  2. 佐藤重遠

    佐藤委員長 これより会議を開きます。  まず一昨二十三日付託されました公庫予算及び決算に関する法律の一部を改正する法律案議題として、政府当局より提案理由説明を聴取いたします。西村大蔵政務次官。     —————————————
  3. 西村直己

    西村(直)政府委員 ただいま議題となりました公庫予算及び決算に関する法律の一部を改正する法律案提出理由を御説明申し上げます。  国民金融公庫及び住宅金融公庫予算につきましては、公庫予算及び決算に関する法律の定めるところにより作成執行いたしているのでありますが、従来の規定によりますと、公庫固定資産取得に要する経費はその收入支出予算に計上することになつております。しかしながら公庫の收入支出予算には、その業務上の損益に関する收支のみを計上し、固定資産取得費はその支出予算から除外するのが適当であると考えられますので、昭和二十七年度予算からは、これを收入支出予算に計上することなく、固定資産取得のため支拂い得る経費限度額予算総則規定して、国会の議決を受けることに改めようとするものであります。  なお、これに伴いまして他の規定につきましても、所要の整備をはかることといたしております。  以上がこの法律案提出いたした理由であります。何をぞ御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願いいたします。
  4. 佐藤重遠

    佐藤委員長 本案に対する質疑はあとまわしにしまして、この際一言政府に対し警告を発しておきたいと思います。  本委員会におきましては、ただいま重要な税法審査のため、連日委員会を開会いたしておりますが、大臣出席もなく、また本日のごときは、十一時を過ぎても予期しておる政府委員出席もないのであります。このような状態では、本委員会税法審査支障を来すことはなはだしく、この際政府当局に対し、かかることのなきよう嚴に警告を発しておきます。
  5. 西村直己

    西村(直)政府委員 一言申し上げますが、大蔵委員会といたしましては、確かにおつしやる通り主管大臣がなるべく再々参りまして、御説明なり御答弁なりに当らなければいけないのは当然このとでございます。本日も委員の方から強いお申入れがありましたこと、私も伺いまして、大臣出席を促しておつたのでございますが、本日ちよつと健康を害しておりまして出席ができませんでしたことを遺憾に存じております。できるだけ近い機会に予算委員会その他との運営関係をにらみ合せて、御希望に沿うようにいたしたいと思つております。本日政府委員が少し出席が遅れましたことも遺憾に存じております。私もその一人でありましたが、たまたま院内におりまして待機はいたしておりましたが、連絡が不十分なため遅れましたことは遺憾に存じております。今後まだたくさんな法案の御審議を願わなければならないのでありまして、今後ともなお一そうの各位の御協力をお願いいたす次第であります。
  6. 夏堀源三郎

    夏堀委員 ただいま委員長から警告があつたのでありますが、私は前委員長として、しばしばこういう問題を取上げて警告したことも何回となくあるのであります。けれども政府がなめたという言葉が大分当委員会にもはやつて来ましたが、なめたという意味において、軽視したという意味において、その警告は何回言つても当らないのであります。今御警告なつたけれども、きようとあしたは多少早く来るかしらないが、あさつてはまた出て来ないということはすこぶるはつきりしておる。きようも国税庁長官出席を求めて電話で申入れをしておきましたけれども国税庁長官はきようも出て参りません。大蔵大臣予算委員会で忙しいことは知つております。その忙しいことを知つておるがために、與党なるがために、私どもが遠慮してその出席予算委員会重点に置いてもらつておるのでありますけれども予算委員会は大体大詰めに達して、あとせめて半日でも大蔵大臣出席をほしい、こういう気分でおつたのでありますけれども、病気となればこれはどうもなりません。しかし程度によつてでありまするが、私もきようはかぜを引いておりましたが、無理して出て来たのであります。そうしたようなことで、予算が上る、どうしても今月中に上げなければならぬという大勢になつておるので、特に税法もこれと並行して上げなければならない、こうした方針であつたのであります。にもかかわらず、予算上つたから大蔵委員はまあ黙つてつて法案を通すであろう、そういうことであつたら、とんでもない話であります。よつて私は政府の怠慢なそのあり方に対しては非常に不満であります。これは私は前の大蔵委員長としての経験をなめて来た関係上、今後こういうことがあつてはならぬということを、今委員長警告したのだが、しかしそれは何のきめもないだろうということを私は予言しておきます。そういうようなことはどの程度きくかきかぬかということは、今後の行動によつてわれわれは嚴重に監視いたします。
  7. 内藤友明

    内藤(友)委員 ただいま委員長から政府に対しまして、非常に強い意見を申されたのであります。また前委員長夏堀さんからも非常な不満があるところを申し述べられたのであります。これは実は西村さんもわれわれの同僚委員でありましたので、よく御承知なので、いまさら西村さんにかれこれ申し上げることも不必要だと思うのでありまするが、とにかくこういう状態なのであります。西村さんは控室に待機しておつたのだが連絡が悪い、こうおつ、しやるのでありますが、衆議院公報には十時から始まるぞということが書いてありますので、おそらくけさ西村さんのお宅へも公報が配達になつたことだろうと思うのでありまして、私どもも十時ちよつと過ぎましたけれども、ここへ参りましたのでありますが、まだどなたもお見えにならぬ、こういうことなのであります。與党の皆さんからも非常な御不満があるのでありますが、ましてや嚴正公平にいろいろのことを考えて行かなければならぬ、それを信條といたしておりまする野党といたしましは、このほか不満なのでありますが、ただ顔色に現わさぬだけなのであります。私はこれはひとつ十分にお考えいただきたいと思うのであります。何も私どもはあげ足をとるとかけちをつけるかというようなことは、毛頭ないのでありまして、この日本の国のこの困難な状態を、お互い協力して何とかしなければならぬ、それがわれわれの宿命的な仕事だ、こう考えて一生懸命やつておるのでありまして、政府の方もそういう気持でやつておりまする議員に、どうかひとつ御協力いただきまして——ども協力するのでございません、私どもはそれをやらなければならぬのでありますから、私どもにひとつ御協力いただきたいと思うのであります。でございますから、この税法の問題がこの委員会にかかりました当時におきまして、委員長からも直接大蔵大臣にも申したのでありますが、しかしその後依然として行われておらぬ。そんなことでありますと、なかなかこれは法案審議支障を来すのでありまして、この点はひとつ十分お考えいただきたいと思います。従つて法案審議に対するいろいろな故障が起きまする事柄一切、これは政府が御協力なさらぬということから起きておるということを、十分御承知いただきたいと思うのであります。かような意味におきまして、ただいま委員長から正式に政府に対しまして意見を申されたことは、将来ひとつほんとうに心から御実行いただきたいものだと思う一のであります。この点よろしくお願いいたします。委員長きようはこの程度で御散会いただきたいと思うのであります。
  8. 深澤義守

    深澤委員 私は本国会の劈頭にあたりまして、この大蔵委員会において、どうも大蔵委員会に対する政府資料提出が非常に不十分であるということを警告いたしました。その点はわれわれの同僚から西村政務次官が就任されたので、おそらく十分訂正されるであろうことを期待しておつたのであります。しかるに税法に関連いたしまして、私は数日前に資料請求をいたしておるのであります。なおおとといもこの月曜日には必ず出してもらいたいということを事務局を通じて要求いたしてあるのでありますが、まだそれが出ていないのであります。こういうことは、審議の上において、非常に遺憾の意を表したいのであります。この点をひとつ西村政務次官大蔵委員として長い間そういうことに対しては、御体験をなめられていると思うので、この点を十分お考え願いたいということが  一つであります。  それからもう一つは、本日大蔵委員会か開かれることが事前に十分われわれはわかつております。そうしてすでに税制の問題が大体今年一ぱいくらいで採決するというところまで迫つておる。従つてこれからの大蔵委員会は、終日これをやるということは大体予定されているのであります。しかるに私は本日の新聞並びラジオによりまして、この税法の問題に政府当局の一員として出席すべき高橋国税庁長官が、本日の二時半から楽しい税の話ということでラジオ放送に出て、入江たか子さんと対談をすることになつているのであります。いやしくも私は税制問題が今大蔵委員会提出されて、そうしてすでに採決のまぎわになつて来ております。全国の納税者は、この税制の問題について重大な関心を持ち、その重大な責任にある高橋国税長官が、国会出席をせずに、ラジオ放送に出るがごときは、まことに私はその責任者として不謹慎の至りであると考えるのであります。この点西村政務次官はどういうぐあいにお考えになつておるか、明快な御答弁を願いたい。
  9. 西村直己

    西村(直)政府委員 深澤さんにお答えいたします。深澤さんの御意見ごもつともで、実はそれ以外にもいろいろこの委員会に対する政府側協力の問題につきましては、不十分な点があれば私から遺憾の意を表し、同時に私も長い大蔵委員経験で、多少自分としても感ずるところがございます。今後十分御協力いたします。今資料の点につきましては、主税局長もここに見えておりますが、できるだけ督促をして近く提出できるそうであります。  今のラヂオの放送の件は、実はこの委員会とダブるというようなことになつて、録音で事前にやつておりますから、この委員会運営なさる場合におきましては支障がない、こういうふうに私は聞いておるわけでございます。この点御了承いただきたいと思います。
  10. 三宅則義

    三宅(則)委員 私はごく簡單に事務的に申し上げまするが、議事進行についてであります。たびたび前委員長夏堀氏も本委員長佐藤氏も言われたことでございますが、予算委員会におきましては、大蔵大臣はもちろん主管大臣でございますが、他の各大臣もあるわけでございます、必ずしも終日予算委員会に詰め切らなければならぬということはどうかと考えておるのでございますから、三日に一ぺんでよろしいから、こつちの方にも顔を出していただいて、十分野党質問等にも答えていただきたい、こう考えるのでございまして、特に予算委員会もすでに終らんといたしておりまするから、今度は隔日くらいに出は席していただいて、政務次官ももちろん経験を持つておられますから、長官といたしましても局長といたしましても、終日御出席なさることは当然でございまするが、特に大臣自分主管大蔵委員会でありますから、月に一ぺんなんということでなくして、一日置きくらいは必ず出るということを、嚴重に私からも申しますから、西村さんもお忘れなく警告を御伝達願いたいと思います。
  11. 西村直己

    西村(直)政府委員 承知しました。
  12. 夏堀源三郎

    夏堀委員 ただいま同僚委員からの申出もありましたが、きようは私は大臣及び国税長官——主税局長の方は大体もう考えはわかつておりますし、言つたつてまた逃げるでありましようから、国税長官大臣質問したいと考えておつたのでありますが、きようはお見えにならぬ。いつお見えになるかわかりませんが、自分としては相当これは聞きたいところである、こう考えております。しかし政府委員が出て来ないということでは、答弁にあずかることができない。よつて所得税法案がいつまでにあげればいいと政府がお考えになつておるかわかりませんが、少くも政府委員の誠意のないこう  した状態にかんがみて、もしこれの審議が延びるようなことであつたならば、それは政府責任であるということを、私は考えてよろしいだろうと思います。だから、この点だけを申し上げて、きようの私の質問は、これであとにまわすことにいたします。
  13. 佐藤重遠

    佐藤委員長 ただいま各委員より、政府当局出席に関し御要望がありましたが、委員長といたしましてもまつたく同感でありますので、十分その点に留意して、議事運営をはかりたいと思います。     —————————————
  14. 佐藤重遠

    佐藤委員長 次に所得税法の一部を改正する法律案ほか三税制改正案一括議題として、質疑を続行いたします。質疑は通告順によつてこれを許します。深澤義守君。
  15. 深澤義守

    深澤委員 税制改正の問題について、主税局長質問したいと思います。先般私は日米租税協定の問題につ  いて、主税局長質問したのでありますが、主税局長は、この租税協定はまだ発表する段階でないということを言われておつた。ところが二十四日の日本経済によりますれば、日米租税協定の問題については、今年一月ワシントンで、この日米租税協定が内定をしておるということが報道されておるのであります。そういたしますと、すでにこれは一応向うと相談して内定しておるということであれば、私はすでに発表すべき段階に来ておるのではないかというふうに考えるのでありますが、この点はどうなつておりますか。
  16. 平田敬一郎

    平田政府委員 先日も申し上げましたように、日米租税協定につきましては、大蔵省からある人をワシントンに派遣しまして、先方でその準備のための下打合せを行わせることにいたしたのであります。大体その際におきまして、問題になる事項の討議はいたしたのでございまするが、なお最終的に見解の一致を見ていない事項が若干残つておるのでございます。それからまた実際問題といたしましても、この條約を締結するといたしましても、平和條約発効後になることでございましようし、なお先方政府部内といたしましても、慎重に審議する必要がありまするし、また日本政府としましても、それに基きまして慎重審議した上で最終案をまとめ上げたい、こういう気持でおる次第でございます。従いまして、中間的な打合せの結果は、まだ発表する段階ではない、先方との間におきましても相互に、発表する時期等につきましては、適切な時期を選んで同時に発表しよう、こういうような予定で進んでおりますので、その点御了承願いたいと思います。
  17. 深澤義守

    深澤委員 これは日米租税協定新聞には発表されておるが、今主税局長の言われるところによると、日米租税條約ということになるように解釈できるのでありますが、それはどういうことになりますか。
  18. 平田敬一郎

    平田政府委員 これは租税條約でございまして、いずれ発効するまでには、国会承認を要することに相なるかと存じております。
  19. 深澤義守

    深澤委員 條約締結の場合においては、事前国会に諮る場合と、事後において国会承認を求める場合の二つがあると思いますが、この租税條約に関しては、事前国会承認を求める方針なのか、それとも事後において承認を求める方針なのか、その点どういうことになりますか。
  20. 平田敬一郎

    平田政府委員 私ども今の考えとしましては、事前承認を得るようにして参りたいと考えておる次第であります。
  21. 深澤義守

    深澤委員 そこで、行政協定の話合いが現在相当のところまで行つておるようでありまして、この行政協定の中にも、一応租税問題が織り込まれておるやに、われわれは聞いておるのでありますが、租税條約とそれから行政協定との関連は一体どうなりますか。
  22. 平田敬一郎

    平田政府委員 行政協定は主として日本に駐留しまする軍人軍属及び駐留軍の調達しまする物資の輸出入並び国内物資の調達、そういうことに関連しました課税上の措置でありまして、その措置につきまして打合せ中でありますことは御指摘通りでありますが、二重課税防止協定の方は、広く日米相互間の民間の経済活動あるいは一般納税者相互の負担の調整で問題がございますので、若干関係のある部分も全然ないとは申し上げがたいと思いますが、大体別個のものとしてお考えつてさしつかえないと存じております。
  23. 深澤義守

    深澤委員 それからまた最近の新聞によりますと、日米通商條約中に、日米間の租税問題が多少問題になつておるようであります。そういたしますと、租税條約でもある規定をし、行政協定でもある程度租税に関する協定が行われ、通商條約においても租税問題が多少條文の中に入るということになりますと、非常に複雑になると思うのであります。われわれはこれを統一される必要があると考えるのでありますが、その点はどういうぐあいにお考えでありますか。
  24. 平田敬一郎

    平田政府委員 行政協定と二重課税防止協定は、今申しましたように別個にした方がいいと思います。それから通商航海條約と租税條約の問題は、これは関係が非常に深いのでございますが、通商航海條約にはごく簡單な、方針と申しますか、そういつたようなことだけが、プリンシプルとして規定されて、具体的措置はあげて二重課税防止協定できるということに相なると存じておる次第であります。
  25. 深澤義守

    深澤委員 そういたしますと、各條約、協定において日米間の租税問題が一応協定されますと、当然日本税制が一部政正になるということでありますが、今度の税制改正におきましては、それらの協定並びに條約の改正を予想して改正されておるのか、それともまた條約並び協定の成立の後において、再びこの税制改正をやるということになるのか、これはどういう順序になりますか。
  26. 平田敬一郎

    平田政府委員 今回の所得税法改正には、その一部といたしまして——條約を結ぶといなとに理論的には関係ないのでざいますが、実際上は二重課税防止協定に関する一定の方針につきましては、大体先般も御説明申し上げましたが、ある程度そのことを頭におきまして制限納税義務者に対する課税範囲擴張を行うということをいたしております。しかしこれは嚴重に申し上げますと、防止協定いかんにかかわらず、それぞれ各国の税法に従いまして、大体同じような方向に改正いたしておりますので、條約いかんにかかわらず、私どもは妥当と考えておるのでございますが、ただやはりある程度重複して課税のある部面もございますので、そういう点につきましては、将来二重課税防止協定を結ぶということもあわせ考えつつ、所得税法改正を行つおることは、たびたび御説明申し上げておる通りでございます。たとえばその制限納税義務者に対する課税範囲擴張、それから日本において生じた所得に対しては、原則として日本課税する、こういうのは主として條約には直接には関係なく、国内法の問題でございますが、そのような措置をやりますると、二重にかかる面が相当出て来ますので、従いまして二重課税防止協定も早く結んで効力を発生する必要がある、こういう関係に相なるかと存じます。
  27. 深澤義守

    深澤委員 それから私は、行政協定の内容が新聞にある程度発表されておることに関連いたしまして、お聞きしたいのであります。関税の問題でありますが、米軍装備あるいは駐留軍の直接使用する物資については、関税を免除するという規定があるのでありますけれども、これは直接的に軍の必要な物資にはかけないが、その他の生活必需物資というものにはかけるという解釈もできるのでありますが、その点どういうぐあいに考えられますか。
  28. 平田敬一郎

    平田政府委員 関税につきましても、大体の基本的な方針につきましては、岡崎国務大臣からお話になつておる通りでございますが、細目の点につきましては、なお若干話が残つておる部面もございますので、詳細な点は、やはりきまりました後に、正当な方法で御説明あるいは発表することにしたらどうかと考えておる次第でございまして、今御指摘のような細目につきましては、なお若干打合中であります。
  29. 深澤義守

    深澤委員 行政協定による刑事裁判権の問題については米軍家族等も結局軍人軍属と同じように待遇されるということになるのでありますが、租税の場合において、米軍家族等生活に必要なる物資というものは、米軍装備及び駐留軍の直接使用する物資と違つて来ると私は思う。そういう意味において、そういう家族関係するところの物資は、当然課税すべきであるという見解を持つのでありますが、これは最終的な決定は出ないにしても、主税局長はこの問題に対しては、どういうぐあいに考えられておるか、政府全体のまとまつた意見でないにしても、主税局長は税本来の立場からどうお考えか、私見でもよろしいからお伺いしたいと思います。
  30. 平田敬一郎

    平田政府委員 行政協定でどうきめるかということにつきましては、まだ私から申し上げる段階ではないのでございますが、ただ深澤さん御承知通り外国人日本に住所を移して、日本に入つて来ます場合におきましては、現在の関税定率法におきましても、引越荷物と称しますか、その人が日本に入つて来る際に、通常身まわり品あるいはその他の生活用品として、必要な限度におきましては関税課税しないことにいたしておりますので、そういうものとの関係をよく考えまして、妥当なとりきめを結ぶようにいたしたいと考えておる次第でございます。
  31. 深澤義守

    深澤委員 それから所得税関係の問題でありますが、新聞によりますと、米軍構成員給與に対する課税はしない、もう一つ問題になるのは、軍務以外による日本を源泉とする所得というぐあいに発表されておりますが、これはどういうものをさして言つておるのかということに対して、われわれは疑問を持つのでありますが、その点は主税局長はどういうぐあいに考えておりますか。
  32. 平田敬一郎

    平田政府委員 この問題は先ほど申し上げましたように、細目にわたる点は、いずれよく話がまとまりました上で公表し、御説明申し上げた方が、かえつて誤解を招くようなことがなくてよろしいかと思いますので、その際にお譲り願いたいと思う次第であります。
  33. 深澤義守

    深澤委員 細目にわたる問題こそが、税制関係からいつて非常に問題になりますので、今度の税制改正法案審議する課程において、われわれはある程度そういうものを明確にして、今度税制改正とのにらみ合いをしたいというぐあいに考えるのでありますが、主税局長は、行政協定が明確に細目がきまつてからということでありますと、税制改正法案国会を通過して後ということになりますので、結局はそうした問題について、この大蔵委員会において審議ができないという結果になつてしまうのであります。そういうことはわれわれ非常に不本意でございますが、税制改正審議が行われているこの過程において、そうした細目を明確にある程度説明できる機会があるかどうか、その点をひとつお伺いしたい。
  34. 平田敬一郎

    平田政府委員 今提案いたしております改正法とは直接関係する部面はないと考えますので、協定の内容等もきまりまして公表いたしました際に、御要求がございますれば、もちろん詳細に御説明するつもりでございますが、今の税法と関連しまして特に問題になるような事項は、私はないものと存じておる次第でございます。
  35. 深澤義守

    深澤委員 われわれが非常に政府に対して不満に思うのは、新聞にはある程度具体的に発表されておる、だが国会においては新聞程度にすら政府当局答弁されないということは、まことにわれわれは国会軽視の感を抱くのでありますが、新聞に発表されておる程度のことは、もうある程度確定しているものか、あるいは論議になつておるものであるから、それに対するある程度政府見解を発表すべきであるというように考えるのでありますが、この点は特に西村政務次官は、どういうふうにお考えになつておりますか、その点をひとつ。
  36. 西村直己

    西村(直)政府委員 どの程度に内容が新聞で発表になつておるか、私自体も政府でありますけれども新聞の発表自体は、私も読んではおりますけれども、まだ協定の折衝の段階でありまして、それ自体は政府全般の内部においても論議の対象になつていない、こうお考えいただきたいのであります。
  37. 深澤義守

    深澤委員 新聞では、諸條項についてはほとんど全部意見の一致を見て目下條文の整理を急いでおるというぐあいに言われておるのであります。従つて私は、これはおる程度もう意見が  一致しているのであるから、新聞に発表されている程度のものは、十分御承知であり、その程度のことは国会において当然答弁する義務と責任があると考えます。ところが西村政務次官は、新聞は読んでおるが、どの程度になつておるということは言えないと言う。副大臣とも言われる政務次官がそのような考えでは、まことに心細い限りであると思います。私はあまり無理なことは要求いたしませんが、税制改革の審議の過程において、ある程度行政協定に関する租税の部分は、大蔵委員会説明すべきであるというぐあいに考えますが、それができるかできないかという問題について、西村政務次になお御答弁を願いたいと思います。
  38. 西村直己

    西村(直)政府委員 もちろん交渉でございますから、一つの相手あつてつておる段階だというふうにお考え願えればいいのでございます。従つてそれが具体的にまとまつて他との関連とにらみ合せますれば、当然これは、いろいろ国会に御説明申し上げ、ものによつては御審議にかけなければならぬ、こういうように解釈して行けばよいと私は考えております。
  39. 深澤義守

    深澤委員 これ以上押し問答しても、どうも問題が片づかないのでありますが、私はこの税制改革の過程において、ある場合においては秘密会でもよろしいから、大体行政協定の範囲内において、とりきめられたことの御発表を、当大蔵委員会にしていただきたいということを、あえて要求しておきます。他に税制に関する質問もございますが、淺香さんの方にも質問があるそうでありますから、一応そちらの方に譲ります。
  40. 淺香忠雄

    ○淺香委員 きようは西村政務次官がお見えでありますので、政務次官に伺いたいと思います点は、御承知通り過日大阪税国局管内におきまして、八つか九つかの程務署における汚職事件が発生いたしまして、これが検察庁の手によつて取調べを受ておりますが、そのことに関しまして私汚職に関係しました各税務署を一通りまわりまして、いろいろな角度から調査をしたの  であります。このことにつきましての具体的問題は、主税局長あるいは高橋長官などにお伺いしたいのでありますが、今西村政務次官に伺いたいと思います点は、御承知通り公務員の給與が市内と郡部は地域給の差がついております。同じ大阪でありながら、市内に勤めておられる方と郡部の税務署の署員とは相当金額の開きがあるわけであります。そこでこの地域給の問題につきまして、汚職などに関連しまして、いろいろ問題があるようでありますが、今後この地域給に対しては、大蔵省としてはどうお考えになつておられるのか、一応政務次官のお考えと、今後に対処されるところの方策を伺いたいと思います。
  41. 西村直己

    西村(直)政府委員 私は地域給の差があるから汚職が起るというふうには実は考えていないのでございます。この地域給は御存じの通り人事院の勧告によりまして、全国特、甲、乙、丙というように何段階にもわかれておりまして、それぞれ物価差その他を基準にいたしまして勧告され、それによつて政府が施行しておるわけでありまして、ただいまお考えを伺いますれば、大阪市内と郡部とに地域差があり、それによつて汚職が起るというよりも、私は汚職自体がやはり税なら税の執行に当る職員諸君の心構えの問題だと、こう考えておるわけであります。なおこの汚職の発生防止、言いかえれば職員の指導につきましては、当然国税庁長官の方におきましても、いろいろ苦心をしておりますので、かわつて答弁をしてもらいます。
  42. 淺香忠雄

    ○淺香委員 政務次官は私がお尋ねしたことを、お取違えになつておられると思うのであります。今の御答弁を伺いますと、汚職が起きた原因というものは、地域給の差があつたから起きたのではないという御答弁でありますが、しかし私はそうとは限らぬと思う のであります。やはり今の公務員の給與はたれがながめましても、見聞の標準から行けば低い。しかし国民の側から立つてみました場合は、こういう汚職を働く公務員のために、税金が消えて行くのは見ておれぬ、こういう立場になると思うのであります、そこで私が言うのは、この汚職に直接関係はなくても、間接には大きな関係があるということは、私は言えると思うのであります。そこであなたに質問かたがたお願いすることは、同じ税務署に働いている人たちが市内に勤務しておつて、何かの動機で郡部に転勤になつた場合に、それだけ給與が低くなるということは、これは本人としては同じ公務員でありながら、市内で働くのと郡部へまわされるのと、これだけの給與差ができるということに対して、割切れぬ感情が残るということは事実でございます。そこで私の言うのは何かはかの方法でこの差のつくのを何かあなた方のお考えで、たとえば何らかの手当とか何かの方法でこういう地域の差を——人事院の勧告はわかりますが、この地域差に対して内部的に方法はないものだろうか、それを政務次官は各局をにらんでおられるお立場の上で、どう善処なさるのか、今後のお考えをひとつ承りたい、こういう意味でございます。
  43. 西村直己

    西村(直)政府委員 もちろん淺香さんの言われる通り地域差自体によつて汚職が発生する、そういう問題ではな  いと思うのであります。またこの点は御了解がいただけると思うのであります。地域差があるがゆえではない、こう私も解釈いたしますが、問題は大阪の郊外と市内とに、おのずから地域差が起る、これは人事院の所管において、非常に苦労してきめたのですが、元来地域差を、はたして設けることがいいかどうかということ自体が、私個人としてはある段階まで行けば、この問題はもう少し基本的に解決しなければならぬのじやないかこう思つております。現在おそらく官庁の給與ベースに対する地域差の問題、それがかりに甲村から乙村にかわる、あるいは市内から郊外にかわつた場合に、そこに差がつくという問題につきましては、政府としてはただちに手当その他によつて解決するということは、ちよつと不可能と存じておるわけであります。
  44. 淺香忠雄

    ○淺香委員 それでは高橋長官に伺いますが、今の政務次官の御説明にありましたように、私も地域給だけによつて、汚職が起きるとは考えておりません。しかしこの地域給が郡部に勤めておられる職員の方々が非常に低い、これが各方面に影響することが、重大であるということは私が言うまでもありません。いろいろ長官は御苦心をなさつておられると思うのでありますが、その点につきまして何かひとつお考えをしておられるようなことがありましたら、そのお気持を聞きたいと思います。
  45. 高橋衞

    高橋(衞)政府委員 大阪市内におまして、年末ごろから相当数の汚職者を出しましたことは、私ども監督の責にある者といたしまして、まことに遺憾にたえない点であります。ただいまの地域給の問題つきまして、地域給を本人の住所地にきめるか、官庁の所在地によつてきめるかということが、一つの問題になつておるのでありますが、どうしても官庁の所在地によつて地域給をきめるというやり方が、公平でもあり、また理論的にそうすべきことじやないかというふうに考えております。しかしながらただいま御指摘通り、同じ市内に住んで、市内の税務署に勤めておつた者が郡部に転任になる場合には、現実に給與が減るという問題が起きております。そういう場合に何か方法があればということで、私どもずいぶん苦心はいたしておるのでありますが、合理的にこれを救済する道はございません。従つて人事の異動にあたつて、それを最も合理的ならしめ、何とかして本人の実情等も考えながら人事の異動をする、その辺は相当慎重な考慮をいたしておるつもりでございます。それといま一つ、これは給與にはならない問題ではありますが、市内における場合と郡部における場合におきましては、たとえば郡部におりますると、どうしてもいなかの方にまで出張をせざるを得ないというふうな事柄もございまして、実質的にはある程度生活費その他の足しになる場合もあり得るというふうに考えておるのでございます。  なお汚職の防止に関しましては、淺香さんもよく御承知通り、昨年来監察官の数も相当増加いたしましたし、またその権限も警察権を付與するというふうなことによりまして、実質的に相当これが調査を進め、また事前にこれを防止するということに非常に努力をいたして参つておるのであります。どうしても税務というものは、納税者が税務官庁は、ほんとうに公平で正しいことをやつてくれるという信頼を得るのでなければ、ほんとうに円滑ないい税務行政はなし得ないのでございます。その点からいたしまして、今後もますますこの点に力を注ぎまして、何とかして汚職をできるだけ少くする、予防して行くという方向に努力して行きたいと考えております。
  46. 淺香忠雄

    ○淺香委員 汚職問題にいて、一、二善後措置について伺いたいと思うのですが、御承知の大阪の東成署のごときは、法人、直税の両係十二名がおられるところに、大半が汚職に関係している。そのために事務が非常に渋滞いたしまして、署長が頭を悩ましておりました。たとえばそういう方によつておのおの査定をされた納税者気持というものは、非常に大きい不安を持つておられると思う。従つてその査定を受けた人たちは、これに割り切れぬ感情を抱いておる。従つて本年度において決定したものをやり直してもらいたい、こういう気持が横溢しておるのですが、この点につきまして、今の査定をやりましたものを、もう一度新しい人たちによつて査定をやり直しする御意思があるかどうか、これをひとつ伺いたいと思います。
  47. 高橋衞

    高橋(衞)政府委員 淺香さんの御承知通り、確定申告の時期が今月末に迫つております。その時期までに全部の調査をやり直すということは、これは物理的に不可能でございます。従つて所得については本人が一番よく御承知でございますので、それには調査した人間がどうあろうとも、とにかくできるだけ正確なものを出しておいていただきまして、そういう点に不安のある向きは後になつて調査して行きたい。もちろんこういうふうに多数の汚職者を一つの税務署で出しますと、その税務署の仕事はどうしても遅れます。それを全部やり直すにはある程度の時間がかかると思うのであります。私どもといたしましては、そういうふうに汚職と関連のある調査につきましては、さらに見直すことがどうしても必要になつて来る場合が相当あるのでございます。しかしながらどうしても確定申告につきましては時期がありますので、その時期までに納税者の方には、できるだけ確かな申告をしていただきまして、後ほど調査することによつて、たとえば更正決定を受けるとか、またはいろいろ罰則的な加算税を納めなければならぬというふうな事態にならぬように、御自分の方でよく御協力をお願いしたいと思うのでございます。
  48. 淺香忠雄

    ○淺香委員 正確を期するために、今度新しい方々によつて昨年度の決定というものに対して、もう一度これを調査さす、こういう方法をおとりになるというように私ども考えましてよろしゆうございますか。やり直すのでなかつたら、あらためてもう一度検討さす、こういうふうにとつてもよろしゆうございますか。
  49. 高橋衞

    高橋(衞)政府委員 御承知通り二十六年度の所得に関しましては、大体本年の一月までに各税務署とも各納税者についての一通りの調査を終えまして、そうしてその調査に基いて、ただいま各納税者の方に申告を出していただくようにお願いしている最中であります。しかしながらその調査の中には、これは汚職等の事故がなかつた場合におきましても、全部完全に調査することは不可能でございます。どうしても見直しを必要とする面が残つておるのでございます。そういう面に関しましては、今後やはり時間をかけて、なお見直して行くというように考えておるのであります。
  50. 淺香忠雄

    ○淺香委員 それからいま一点は御承知通り納税協会というものがあります。この納税協会がたいてい税務署の中に間借りをしている。もしくは付近にその事務所を持つておりまして、この納税協会なるものが積極的に納税者に入会を勧める。ただでさえ重税に苦しんでいるところの納税者の負担が、これによつて非常に加重されている。もしもこれを断つた場合には、どこでどういうようにまた押えられるようなことがあつてはいかぬという弱身につけ込んでいる点があると思う。しかもこの納税協会の関係者には公務員の方がこの事務所にしばしば出入りされておる。またあるところによつては、別の箇所でこの納税協会の所員と公務員の方々と飲食したという事実でございます。またこの納税協会のメンバーには、旧公務員が相当使われておる事実もあります。これについて納税の気持としましては、勧められればいやとは言えぬ、いやと言えばまた何かやられてもいかぬというような気持で、ほんとうにつらい中から相当の負担金を出しておるという事実がありますが、この点について高橋長官はどうお考えになつておられますか。
  51. 高橋衞

    高橋(衞)政府委員 大阪国税局管内におけるところの納税協力会でありますが、こういうふうな組織が、ときどき税務署または税務官吏との関連においいろいろ非難の的になつておるという事実は、私ども承知いたしております。また東京におきましては、法人会とか青色申告会というような会がやはりできておるのであります。それらの場合に私どもいつも注意するのは、これは完全な任意団体でございますので、これがほんとうに納税協力という面についてプラスになる面も相当あるのであります。たとえば法人会について申し上げますと、法人の税法改正、その他申告の指導というふうな面につきましては、そのメンバーの方がみなお集まりになつてくだされば、私どもはお伺いしてお話をして、よくわかつていただくという面におい非常に便利な面もあるのであります。しかしながら同時に、もしもその職員等によつて事がゆがめられるというふうなことでありますと、これはたいへんでございます。その点を特に私ども嚴重に警戒いたしておるのであります。従つて納税協力会の事務所等も、過去の長い間の関係もありますが、できれば何とかして税務署以外に出ていただく。それから直接の関係はもう完全に断ち切つていただく。税務署を背景にして、税務署とたとえば一心同体であるかのごとき感じを、納税者に與えないということに、特に注意していただくというふうな事柄を、実は昨年来特に局に注意をいたしまして、そういうふうな点の是正に努力をいたさせておるのであります。もしそういうふうな感じのものがなお多少残るところがあるといたしますれば、その点はなお調査をいたしまして、厳重に改めさせて行きたい、そういうふうに考えている次第であります。
  52. 淺香忠雄

    ○淺香委員 それではいま一点伺います。あとにもどりまして先般大阪に起きました汚職事件で検挙されている公務員の中で、納税者から納税引当金として預かつた金を、費消しておる者があるということはすでに御承知通りであります。納税者の側から言わせますと、いつも顔見知りの事務所の人たちというので金を渡した。ところが汚職でひつかかつて事件は検察庁にまわつた。ところが署長は一旦退職したから、これは個人関係だと言つてつつぱねておるわけであります。そこで問題は在職中か退職後かということになるわけでありますが、もちろんこれは現職中のできごとでありまして、この問題はどういうように解釈したらいいものでしようか。
  53. 高橋衞

    高橋(衞)政府委員 ただいまもお話の通り、もしもそれが退職後の事柄であるならば、どうも国家としてそれについて責任を負うということは困難であると考えますが、在職中であつて、しかもある程度納税者が信ずるような程度の領收書を與えておるというふうな事実があれば、これは政府としてやはりある程度責任を負わなければならないと思います。しかしながらその限界線にありますと、非常にあいまいな点もありますので、具体的に大阪の事件について、私はまだ詳しく研究いたしておりませんが、納税者がほんとうにそう信じて、その税務官吏に渡すことによつて、当然に納めたというふうに信じられるような状態にあれば、こ  れは政府としてはその責を負うのが当然だろうと考えております。ただ限界線は非常にむずかしゆうございますので、具体的に研究いたしまして、具体的なケースとして善処いたしたいと考えます。
  54. 淺香忠雄

    ○淺香委員 それではこの席上でこういう非常にむずかしい問題の明確な御答弁をいただくことは無理でありますが、これは大阪の南署で起つております問題でありますので、何らかの形で連絡をしていただきまして善処をしていただくことをお願いすると同時に、またこういう問題は、私が持つておりますところの資料を携えまして、そちらに伺いまして、御相談の形式で納税者にいわゆる迷惑をかけないように、また納税者気持としてこういうことがあつたという事実が喧伝されることによつて、非常に税務署に対して不審の疑惑の念を持つて見られるということは、お互い非常に困りますので、この点ひとつ今後においても御考慮願いたいと思います。
  55. 三宅則義

    三宅(則)委員 本日は主税局長並び高橋国税庁長官及び農林省から野原政務次官がおいでになりましたから、まず政務次官の野原さんに伺います。  わが国の治山治水という問題につきましては、かねてから問題でありまして、これは戦争中伐採を多くいたしました結果、その余波といたしまして、大洪水が出て、関東におきましても大災害があつたわけでございますが、将来とも日本といたしましては緑化運動——木材を伸長させて日本の資源を豊富にいたして、将来の発展に、資するという事柄は当然であると思いますが、野原政務次官は森林行政に対して、どういうふうに考えておりますかお伺いしたい。
  56. 野原正勝

    ○野原政府委員 わが国の森林の現状は御指摘のごとく戰時中及び戰後を通じまして、非常な過伐、濫伐に陥りました。すなわち森林の林木の成長は、年々ある程度ずつ成長しておりまして、その成長の分だけを伐採いたしますと、永久にその森林は保続ができるのでありますが、何分にもあの大戦争及び終戰後における非常な木材界の好況によりまして、ほとんど成長量の二倍ないし三倍にも達するような伐採をしたのであります。数字等はあとで林野庁長官から詳しく御説明申し上げますが、しかもそれが森林の全体にわたりまして、適正に伐採が行われたのではないのでありまして、生産のしやすい場所、運び出すことが楽な場所、いわゆる里山でありますが、その里山にだけ伐採が集中された、それで非常に里山の過伐、濫伐が極度に行われたわけであります。しかも一部には奥地の未利用林のごときは搬出の設備がないために、依然として大木がいたずらに山中で朽ちておるというようなものも相当あるのであります。里山につきましては、先ほど申しましたような状態でございます。こうした過伐、濫伐の現象、これが当然まだ伐採の時期でない盛んに成長しておる成長盛りの幼壮齢木まで伐採されるということになりまして、その結果といたしまして、御指摘のごとく山林の持ついわゆる保水力、洪水を調節するという山林は、非常な重大な国土保全の役割を持つておるのでありますが、その国土保全の機能というものが、著しく喪失したことは事実であります。従いまして雨が降りますとすぐに水が出る。従来ならば雨が降りましても、洪水になつて出て来るまでの間には相当の時間がかかる。あるいはまた降りました雨量に比較いたしまして、出水の量というものが、非常に山に水が保たれるということのために、そう多くの水は出なかつたのでありますが、最近は保水力の点におきましても、著しくその機能を喪失いたしました結果、雨が降るとすぐに水が出るというような現象が——これは関東地方のみならず関西あるいは九州、日本全国至るところがさような状態に相なりました。この状態を繰返しますと、勢いわが国は非常な災害を繰返すことに相なります。そのために山林はもとよりのこと、農耕地は流失をし、あるいは河川は氾濫して堤防は決壊する。工場あるいは人家、人畜の生命までも危險状態に相なるということになりますと、結局このことが続きますと、国土崩壊が起つて来るわけであります。さようになりましては、これはあらゆる産業経済の破壊であります。従いましてわが国の国土の保安をするということは、あらゆる産業、経済の基盤をなす山林をして、これが十分国土保全の機能を果すというところに、日本の林業の基本的な林業政策の基調があるわけであります。従いまして今日の日本の山林の現状から考えまして、これは一刻も放置できない、何とかしてここにはつきりした方針を立てまして、治山治水の全きを期さなければならぬという観点から、御承知通り昨年の国会におきまして、森林法の改正を提案いたしました。当時私が森林法改正の提案者といたしまして、国会にお諮りをいたしまして、新しく森林法が改正されたわけでございます。その森林法改正の主眼は、これを詳しく申し上げますと非常に時間がかかりますけれども簡單に申しますれば、つまり現在山林が非常に過伐になつておる。しかもその過伐されておる山林に対しまして、当然造林をしなければならぬ、木を植えなければなりません。ところがその伐採した跡地が相当面積が残つておりまして、まだまだ造林をしなければならぬ部分が非常に多いのであります。その部分を急いで造林をしなければならぬ、まず国をあげて造林をする、いわゆる国土緑化ということを徹底しなければならぬということと、それからまたまだ伐採できないような非常に若い林が無残にも切られている。これをもう少し伐採を制限して、そうしてもう少し太くなつて成長してから切るということになりますと、山林を所有しておる人たちの利益でもあり、また国家のためにもけつこうなことである。従つてそういう細い木、まだ小さな木はできるだけ切らせないようにする、伐採の制限をすること及び国全体を通じまして、成長量をみだりに越えた伐採量はできるだけ避けたいということで、伐採の全体の量に対する制限、それからまたまだ伐採してはならぬものに対して、山林を保護するための保安林をつくるとか、その他治山治水の面、あらゆる観点から考えました林業のあり巧につきまして規定をいたしまして、森林法をつくつたわけであります。その方向に向つて日本の林業施策を進めて行きたいと考えております。
  57. 三宅則義

    三宅(則)委員 昨日も一昨日も委員外の発言で、金原舜二君、平野三郎君からも嚴重なる話もあつたわけでありますが、これは今野原政務次官もお話になつ通り、造林ということにつましては、非常にめんどうを見てやらなければならぬと思うのであります。なぜならば今のところは造林をいたしましても、これを撫育し、あるいは成長せしめるためにも、相当費用がかかるわけでありますが、今の相続税の段階でありましたのでは、今後そういうような植林をいたしまして造林するというような計画は立たぬ。伐採しつぱなしである、こういうことでありますから、これは普通の相続と土地や家屋とは別に考えまして、山林だけは別な観点から相続税をかける。たとえばその相続税につきましても、山林だけは別に免除するという規定、あるいは減額する規定、こういうことが必要であろうと思いますが、野原政務次官はどう思つておりますか。私は少くとも山林につきましては、今度の改正によりまして、延納は五年から十年に延びました。また日歩は四銭から二銭に下つておりますが、しかしこれは家屋や土地と切り離して、むしろ山林の方は延滞日歩は全免するか、もしくは二銭のものは一銭に切下げるというような恩恵的な手段を講じなければ、将来造林はできない。日本は鉄、石炭が少いときにおきまして、どうしても木材資源を今後の復興に持つて行かなければならぬのでありますから、資源を愛撫し、日本の緑化運動、国土の再建ということにつきましては、山林というものにつきまして、ぜひそうしたように重点的に考えて、恩恵を與うべきであると思いますが、野原政務次官はどう思つておりますか、承りたい。
  58. 野原正勝

    ○野原政府委員 山林の課税の問題に関しましては、御承知通り山林の特殊事情というものを、十分尊重されなければならぬことは、もとより当然であります。しからばわが国の税制が、山林という特殊な事情に対しまして、十分なる考慮を今まで拂つてつたかどうかという点に関しましては、これはきわめて私ども遺憾であると言わざるを得ない。御承知通り收獲を見るまで、つまり造林をいたしましてから、それが伐採できますまでの間には非常に長年月を要する。しかも不断の努力をもつてこの山林を守り、手入れをして大きくするわけであります。これが三十年あるいは五十年たちまして伐採をされた、收入を見たその間において非常な苦心が拂われ七、初めて收入ができるのでありまして、農産物のごとく、春まけば秋とれるとか、あるいは商業その他のように、きのう買つた物をきようはすぐ金になつてもうかるというようなものとは、まつたく性格を異にしておるものであります。しかも山林は御承知のごとく個人が持ちました山林でも、常にその山林が、その地方における気候風土を改善するとか、あるいは洪水予防に貢献するとか、いわゆる社会的、国家的な使命というものを十分に持つており、非常なる使命を果しておるのでありまして、山林はそういう特殊な機能を持つておる。そういう産業であるというふうに考えますときに、これは国家、社会、公益的な事業でもあるわけであります。しかしてその山林は御承知通り年々成長するわけでありますが、その成長量たるや、気候、風土その他の事情等もありますが、そう一年に急に大きくなるわけではないのでありまして、年々の成長を見ておりますと、利回りにしましても、うまく行つてせいぜい六分、よく行かなかつたときには四分か四分五厘きり利回りがないという、非常に利潤の低い仕事でございます。そういう点から考えましても、所得税等を考えます場合に、当然十分なる必要経費を控除する必要があります。そうしてその残りのものにつきましても、一年にそれだけが收入されたのではないのであります。つまり成長するまでの間三十年、五十年かかつてそれだけの收入を得た。こうなりますと、所得としましては、一年に見積りますと、非常にわずかな收入であります。それを山を売つたからといつて、まとめて一回に税金をとるというような單純な考え方で税金をとることは、これは山林の育成にならないというような点からいたしまして、私は常に山林課税に対しましては、十分山林の特殊事情を尊重するという税制でなければならぬということを強く要求して参りました。しかもその要請に対しまして、まだまだ徹底を欠いておるような感があるのであります。幸いにしまして、このたび多少所得税法等が改正になりましたので、私どもの主張にやや近寄つて参りました。しかしながら今御指摘のごとく、山林につきましては十年の年賦などということでは、とうていまだまだ十分ではない思う。少くとも二十年は必要である。また延納の利子は二分とる。しかしこれは私どもはでき得べくんば全免にしてもらいたい。御承知通りアメリカ等における諸外国の例を見ましても、自分の山であろうが、国の山であろうが、造林をするという行為は、これは国家社会に対する奉仕であるというふうに考えまして、税金を全免しておる国がたくさんございます。従いまして、そういう点から真に日本の現在の国土の現状、山林の現状等を考えまするならば、山林に対して、たとえば造林費等に対しては、所得税はでき得べくんば全免することが望ましいのであります。しかし税法その他の事情から、他産業との均衡において全然免除することもでき得まいと思いますので、でき得べくんば山林の事情等は十分勘案されて、公正妥当なる、しかも国土の緑化が十分可能のように税法を改めていただきたい。私どもは真にこれを望んでやまないものであります。
  59. 三宅則義

    三宅(則)委員 私は今の野原政務次官のお話につけ加えて申し上げたいと思います。これは私の持論でありますが、今度の所得税の計算によりまして、その收入があつた場合には十万円控除するということになつておるわけでありますが、私はむしろ山を売つた場合には半額減額いたしまして、その残りに課税する、こういう線を出したいと思つております。次に相続税につきましては、今お話しになりましたように、三十年、四十年しなければ成長いたしませんから、一旦相続を開始した場合には、所得あるいは相続財産を決定いたしまして、それを納めるには三十年年賦というように、森林の成長年数と合わしたようにして、年賦償還にいたしまして、金利はまけたらよろしい、こう考えております。行き過ぎた話かもしれませんが、政務次官はどう考えておりますか、承つておきたい。
  60. 野原正勝

    ○野原政府委員 山林に対して非常に御理解のある御発言でありまして、私どもはさようなことがもしできますれば、これは日本の治山治水、森林の復興上まことに効果甚大であると考えております。しかしながら私どもはしばしばその問題に関しましては大蔵当局等にもお願いをし、連絡はしておりますけれども、まだまだ林業に対する事情に対しての大蔵御当局の御見解は、徹底を欠いておる向きもございますので、この点に対しましては、当大蔵委員会で十分にその点をひとつ御審議願いまして、われわれの考えております線でおきめいただくよう御協力をいただきたいと思います。
  61. 三宅則義

    三宅(則)委員 主税局長にお尋ねいたしたいのであります。それは相続税の中で家屋、土地、立木というように分類いたしまして、立木いわゆる山林について、どのくらいの相続税をとつておりますか。この際資料がございましたら、承りたいと思います。
  62. 平田敬一郎

    平田政府委員 お尋ねの点は、各地方、あるいはどこに山林があるか、奥地であるか、近傍であるか、あるいは伐採の木がどの程度に達したものであるか、その事情によつてよほど違つて来ると思いますが、どこかの実例でも示せということでありますれば、後ほど少し調べまして——これは国税庁でお調べ願うわけですが、お示してもいいと思います。一律にはなかなか言いがたい問題じやないかと思います。
  63. 三宅則義

    三宅(則)委員 主税局長は今ここに資料の持合せがないという話でありますが、小さい山、いわゆる薪炭林のごときは大体十五年、二十年で生長いたしますが、用材、すなわち建築材料に用いるものは、三十年以上四十年ないし五十年、これが通俗なんです。私の選挙区にも山があるわけでありまして、よく山の方をまわりますと陳情を受けるわけでございますが、今の課税法からいいますと、どうしても造林ができないと言われますので、せつかく資料を集めまして、山林と土地、家屋とは別に観点をかえて立案するような御用意が、主税局長にはあるかどうか。もしなかつたらやつてもらわなければならぬと思います。
  64. 平田敬一郎

    平田政府委員 私はこの問題では三宅さんに繰返し申し上げまして、私どもの意のあるところは伝えておりますので、ひとつ御了承願いたいと存じます。私は、今までの山林に対する課税の実績で、少し判断し過ぎておられやしないかと存じますが、今回の改正で、ちよつぴりじやなく、よほど改善されるものと考えております。しかし問題は全然ないかというお話でございますと、これはもちろん相当あると思いますが、しかし今回の改正がどのような結果になるか、その点もひとつよくお考えの上で、御判断を願いたいと思います。
  65. 三宅則義

    三宅(則)委員 今主税局長のお話でありましたが、実際面によると薪炭林をつくる方は、今の改正によりまして非常によくなつたと思うのです。この要綱の二の方によりますと、薪炭林をつくるところの山林におきましては、大体十万円を控除いたしまするとよろしいと思いますが、いわゆる用材を造林するという方面に対しましては、これではまだ不十分であると思いますから、国税庁長官も来ておりまするので、ひとつさつそくお調べ願いまして、各局ごとに、いわゆる用材をつくるところの森林と、薪炭林というようなやさしい山とを区別いたしまして、そうしたような用材もしくは治山治水に貢献するような造林等に対しまする財産税あるいは相続税につきましては、相当考慮を拂う必要があると思いますから、至急国税庁に命ぜられまして、その案を本委員会に提案せられんことを希望いたします。なお緑化運動、森林愛護等、わが国の再建に必要である山林造成につきましては、大蔵当局も十分留意をせられまして、立案に邁進せられることを切望いたしておきます。
  66. 佐藤重遠

    佐藤委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は明二十六日午前十時より開会いたします。  これにて散会いたします。     午後零時二十二分散会