○川島
委員 私は
日本社会党を代表いたしまして、ただいま上程になりました
財政法、
会計法等の
財政関係法律の一部を
改正する等の
法律案に対して原則的には賛成を申し上げるものでありますが、この際われわれの立場を明確にいたしておきたいと思うのであります。
第一は、今般の
政府原案たる
財政関係法の
改正案はもちろん、参議院における修正案の基本的な
考え方に対してわれわれは若干の疑義を持
つておるものであります。と申しますることは、現行憲法におきましては、
政府は必ずその毎会計
年度の予算を編成して、
国会の議決を経べしということが明確に
規定されております。この「毎会計
年度」という明確な法文は、少くともその
年度に限る予算を示したものであると、われわれは
考えております。
従つてこの憲法の明文の精神からいえば、まず
財政法を
改正いたします前提として、憲法を
改正することなくして、継続費の問題を單なる
財政法のみによ
つて解決するということについては、われわれは非常な疑念をさしはさむものであります。しかしすでに先般衆議院において
政府原案に対して賛成した、その原案の審議にわれわれも慎重を欠いたのではないかという感じは、今日でも持
つておるのであります。そのような
意味で参議院においてもこの問題について
議論はありましたが、一応修正をいたしておりまする現状にかんがみまして、こういつた疑義がわれわれにはあるのでありますが、この点は後日の問題として、一応この修正案を当面の処理の
方法としては認めて行きたい、こういうふうに
考えておるものであります。
第二には、この修正安本の根本をなしますものは、もちろん継続費の計上ではありますが、その継続費の内容というものが、工事とか製造とかその他一般の事業ということでありまして、実に広範囲無
制限的なものであります。こういつた広範囲かつ無
制限な諸般の事業に対して、必要とあれば継続費を数年間にわた
つて認めるというようなことは、か
つての旧憲法治下におけるところの
日本の
財政のたど
つて参りました現状に照しまして、まことに危險をはらむ性質のものではないかと、われわれは強く感じているものでありますのみならず、さらに
金額においても何らの
制限をされておらない。こういつた事柄は、やがて
政府並びに多数の圧倒的な與党を持ちまする場合には、何と言いましても政治の慣例から申し上げまして原案が強い。その原案に対して正当なる反対党並びに
国民の声がありましても、それに対して往々にしてそれを蹂躙されてしまうということが、議会政治史上の例であります。
従つてわれわれから申し上げますならば、工事はもちろん製造にいたしましても、その地一般の事業という広範囲、無
制限な問題や、
金額の無
制限な問題に対してもある
程度の
制限を付し、そしてややもすれば行われるところの、
政府とその與党との独断的な独善的な政治に対して
制限を設けておくということが、最も正しい民主主義政治のあり方ではないか、かように感じまするので、わが党の参議院の
方面においては、これ対するいろいろな
條件を付することを強く主張して参つたのでございまするけれ
ども、今なお占領下にありまする
実情にかんがみまして、諸般の
事情を勘案し、現段階においては、この
程度以上にわれわれの主張を貫きますることの不可能でありますることを、われわれは率直に認めると同時に、ただいま申し上げましたような
理由に基きまして、この修正案が万全なものであるとはわれわれは
考えておりませんが、ただいま申し上げましたような現段階の諸般の
事情にかんがみまして、やむを得ざる当面の処理であろうということを
考えまするがゆえに、本案に若干の不満はございまするけれ
ども、わが党はこれに賛意を表するものであります。