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1952-02-20 第13回国会 衆議院 大蔵委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年二月二十日(水曜日)     午前十一時十八分開議  出席委員    委員長 佐藤 重遠君    理事 奧村又十郎君 理事 小山 長規君       淺香 忠雄君    有田 二郎君       川野 芳滿君    高間 松吉君       丸山 直友君    三宅 則義君       宮原幸三郎君    武藤 嘉一君       宮腰 喜助君    川島 金次君       高田 富之君    深澤 義守君       久保田鶴松君  出席政府委員         大蔵政務次官  西村 直己君         大蔵事務官         (主計局法規課         長)      佐藤 一郎君         大蔵事務官         (主税局長)  平田敬一郎君         国税庁長官   高橋  衛君         運輸事務官         (自動車局長) 中村  豊君         運輸事務官         (自動車局整備         部長)     中村 俊夫君  委員外出席者         大蔵事務官   沢田 俊政君         専  門  員 椎木 文也君         専  門  員 黒田 久太君 二月二十日  委員宮原幸三郎辞任につき、その補欠として  樋貝詮三君が議長指名委員に選任された。 同日  委員島村一郎君、樋貝詮三君及び松尾トシ子君  辞任につき、その補欠として丸山直友君、宮原  幸三郎君及び川島金次君が議長指名委員に  選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  所得税法の一部を改正する法律案内閣提出第  二九号)  法人税法の一部を改正する法律案内閣提出第  三〇号)  相続税法の一部を改正する法律案内閣提出第  三一号)  砂糖消費税法の一部を改正する法律案内閣提  出第三二号)  財政法会計法等財政関係法律の一部を改正  する等の法律案(第十二回国会内閣提出第五三  号)(参議院送付)     —————————————
  2. 佐藤重遠

    佐藤委員長 これより会議を開きます。  所得税法の一部を改正する法律案外三税法改正案一括議題として、前会に引続き質疑を続行いたします。宮腰喜助君。
  3. 宮腰喜助

    宮腰委員 ただいま議題になつておる税法案のうち、所得税基礎控除の問題についてお伺いしたいと思うのであります。  今回の改正で三人まで一人につき二万円という扶養控除引上げがあつたわけですが、これは歳入関係考慮してやつたのではないかと思います。われわれの常識から考えれば、全員に対してこれを適用した方が、妥当のように考えられるのでありますが、三人までに限定した理由をお伺いしたいと思うのであります。
  4. 平田敬一郎

    平田政府委員 扶養控除額引上げを三人までに限定いたしましたのは、主として家族が多くなると、一人当り生活費が少くなるという点が、統計的にも資料によりまして出ておりますので、そういうことを考慮いたしまして、引上げは三人までにすることにいたした次第でございます。もちろん歳入の点もあわせて考えておりますが、若干差別をつける理由があるだろうという考えでございます。
  5. 宮腰喜助

    宮腰委員 実際は人数が多くなればなるほど、事故が起きたり病人が起きて、かえつて経費がかさむのじやないかと考えるのですが、政府考えている考え方と、われわれの常識の範囲内で考えられることとは大分開きがあるようです。この結果、歳入関係相当影響があるわけですが、三人まで適用されたために、歳入関係がどのくらい減つたかという御計算ができたら、それをお示し願いたい。
  6. 平田敬一郎

    平田政府委員 最近の東京都におきます家計調査、いわゆるCPSというのがございますが、その調査に基きまして一人当り生活費計算してみますと、三人世帯を一〇〇といたしまして、四人世帯が九二、五人世帯が八一・六で、七、八人世帯が六七というような数字が出ております。やはり世帯員が  一定以上になりますと、共通的な費用がお互いに相殺できるという点があるかと思います。食糧費などはあまりかわらぬと思いますが、その他の生活費大分違いが出て参りますので、このような差が出て来ているのではないかと存じます。そういう点も考慮し、一方におきましては、やはり歳入関係等考えましていたした次第であります。  なお二万円に引上げた場合、さらに幾ら減るかという計算は、後ほど調べましてお答えいたしたいと思います。
  7. 宮腰喜助

    宮腰委員 私がこれに関連した問題でお伺いしたいのは、暖かい所と寒い所との間において、生活費の計上が非常にかわつてつておるにかかわらず、暖かい所も寒い所も同様な税のとり方をしておるのであります。ことに東北寒冷地帯においては、冬になると雪払いをするとか、よけい経費相当かかります。暖房費至つては、勤労者の家庭でも一冬一万五千円から二万円くらいの燃料を持つという状態であります。こういう状態でありますが、東北寒冷地帯に対する特別の考慮が払われていない。そういう意味合いで、この基礎控除の問題について、東北の方は特別に考慮するという立法をした方がよろしいように思います。特に東北單作地帯であり、冬の寒いときは所得もなし、副收入もなく、そうして経費が暖かい所よりも非常にかかるにかかわらず、税のきめ方が大体関東、関西と同じようなきめ方をしております。これについて立法上特別な考慮ができるかどうか、また行政上の措置としてそういうことの考慮が払えるかどうか、もし払えるとするなら、全国国税局長会議でこういうことの申伝えができるかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
  8. 平田敬一郎

    平田政府委員 地域によりまして基礎控除とか、扶養控除の金額に差をつけるかつけないか、これは一つの問題であるかと思いますが、私どもいろいろ考えました結果、地域によつて差をつけるのは、やはり国税としては適当ではなかろう。生活費の問題になりましても、たとえば農村でありますと、都市に比べて食糧費が非常に安い。勤務地加算等があります例によつても御承知かと思いますが、東京東北の場合におきましては、生活費はおそらく東京の方が一般的には高いというのが、実情ではなかろうかと存じます。しからばといつて東京だけをよけいにするということも、これはちよつと国税といたしましてはいかがであろうかと思う。東北等におきましては、暖房費その他につきましては、暖かい所に比べまして若干高くなるだろうということは予想できますが、全体として考えました場合に、はたしてそのようなことになるかならないか、これも非常に問題があるかと思います。従いまして所得税のような国税で差をつけるということは、どうもその性質上適当ではないということで、全部一律にいたしている次第でございます。ただ地方税におきましては、おのずからその地方実情によりまして、税率その他についてもそれぞれある程度の差はつけ得ることに相なつておるわけでございますが、国税について設けるのはいかがであろうかと存ずる次第であります。  なおしからば行政上の措置によつて、何とかできないかというお話でありますが、この中に二つありまして、たとえば営業者の場合とか、農業者の場合等におきましては、收入を得るために特別に費用がいる、必要経費として一種の除雪の費用その他がいるというような場合、あるいは貸家の場合、貸家所得計算する際に特別の費用よけいにいる、こういう点でありますれば、当然これは所得の適正な計算のために必要でございますし、またそのようなことにつきましては、国会でもたびたび問題にもなりまして、私ども現地に十分そういう趣旨のことを伝えて、遺憾なきを期することにいたしております。しかしながらたとえば勤労者の自分の生活のための特別の暖房費、こういうものにつきましては、先ほど申し上げましたように、暖房費が高くても食糧費が安いというようないろいろな事情がございまして、地域的に差をつけるということはどうも適当でないと考えますので、生活費相当する分につきましては、行政運用におきましても、もちろん特別な扱いはむずかしいのではないかと考えております。所得必要経費を査定する際におきまして、お話のような事情は当然考えまして、適正を期したいと考える次第でございます。
  9. 宮腰喜助

    宮腰委員 それから今度の改正で百の分の五十五の限界を二百万円まで引上げたのでありますが、これと関連しまして、私は富裕税の廃止をいつの委員会でも唱えて参つたのであります。大蔵大臣は、新聞紙上あるいはまたほかの委員会でも、無記名定期預金を実施するから、富裕税は廃止しないというお話でありますが、この富裕税の問題については、専門税制研究団体あるいは経済団体連合会、こういうような人たちの御意見もたびたび伺つたけれども富裕税は廃止すべしという議論が非常に多いのであります。そこで簡單な例で申しますと、富裕税を実施しようということになつた段階で、現金を調べるということになりました際には、この現金を調べられるとたいへんということで、多くの資金たんすのこやしにした例がありまして、二十五年の歳末には金融上非常に困りまして、政府当局も声明のやり直しをやつたことがあります。そこで現金を調べないということになりますと、今度株券を持つている連中は売却して現金にかえて、これがたんすのこやしになる。これは証券市場にとつて非常にゆゆしい問題である。結局長期資金をこういう証券市場によつて獲得しなければならない現在の産業状態のもとにおいて、この富裕税制度があつたために非常に迷惑を受けている業者もあり、またこれがためにお困りになる未亡人の財産という問題もあります。たとえば土地を持つておられましても、何らその所から所得が上らないのに、結局富裕税という税をとられまして、その未亡人生活をささえて行けないような窮境にまで、追われて行くような状態なのでありますが、私はこの際富裕税を廃止する方が妥当だと思う。また全国富裕税を納める人数は四万七、八千名と聞いております。せいぜいとつても五十億円ぐらいである。それに要する人員の配置とか、印刷物経費考えるときには、これはもうとうてい採算がとれないのではないか。こういう意味で私は百分の五十五を五百万円までにし、五百万円以上のものは百分の六十ぐらいに税制を改めまして、富裕税は廃止した方がかえつてよいのではないかと思う。これは資本蓄積の上にも非常に役立つ。大蔵大臣は常に資本蓄積ということを唱えておりますが、こういう観点からもぜひ富裕税は廃止すべきだ、こう考えるのでありますが、今の局長の御心境はどういうふうな御心境であるか。私はこの問題について再三お願いをしておるわけであるが、そのお返答を願いたい。
  10. 平田敬一郎

    平田政府委員 富裕税の問題につきましては、私どももいろいろ研究してみたのでありますが、もう少しよく検討した上でどうするかをきめたいという意味で、実は今回は提案を見合せたような次第であります。税の仕組みに関する一つ考え方としまして、所得税最高税率はできるだけ低めまして、富裕税で補うという行き方は、確かに一つの進歩した行き方であろうと考えておるのでありますが、ただ日本の現状のもとにおいて、はたして妥当かということになりますと、いろいろ問題が多い。そこがこの問題が、国民一般から簡單に受入れられにくい問題になつておるのではないかと、感じておる次第でありまして、そのような点に関連しましてなおよく研究しまして、妥当な結論を下すようにして参りたい、かように考えておる次第であります。
  11. 宮腰喜助

    宮腰委員 次に農業所得の問題についてお伺いしたいと思います。これも新聞紙上予算委員会で問題になつ超過供出の問題でありますが、今もつてこの問題の内容について決定をしておらないようであります。そこでわれわれの常識から考えまして、農家所得というものは反実收によつて決定されておる関係上、その超過供出については当然税をかくべきでないにかかわらず、農林省の事務官の発表によりますと、超過供出には税をかけないのだというようなことを、前会も農林大臣出席の上で伺つたのでありますが、この超過供出それ自体は税をかくべきでないということは、反実收によつて農業所得決定される以上当然だと思うのであります。現在供出問題がうるさく言われておる関係上、この問題については税法改正しなくても、法理上これをとらないのが当然であると私は考えますが、もしこれをとらないということになつた場合には、政府としては立法措置をとられるのでしようか、それとも現在の法令解釈で、超過供出には税をかけなくてもいいという解釈をとられるのでしようか、どちらでしようか。
  12. 平田敬一郎

    平田政府委員 この問題は前会国税庁からも申し上げたかと思いますが、結局実收で所得を査定することにかわりはございませんので、匿名供出なり超過供出をやつたために、さらに実收が多くなるということは私はないと思います。従いましてそういう意味で收穫が新たにふえることはないと考えるのでございますが、ただ御承知通り、値段が一般供出の場合とは少し高い。その高い差額の分が実は問題なのでございます。問題はそれだけでございまして、そういう問題につきましては先般も申し上げた通り、今盛んに超過供出を奨励しておる際でもございますし、匿名供出の分につきましてはしいて課税しないと申しますか、差額の分の追求は行わないということで参りたい。しかしそういうことでは完全に目的を達成しがたいという場合におきましては、場合によつて立法的措置政府といたしましては考えたいということでございますが、これはいずれにしましても昭和二十七年分、つまり今年の所得に入るのはその差額の分だけです。元の分は昨年の所得になるのでございますが、その差額の分だけは売つてみないとわかりませんので、売つたときの所得になるわけであります。従いまして二十七年の所得になりますから、おつつけそういうことについてははつきりいたしたい。私は大体追求しないという行政措置でできるのではないかと考えておりますが、なおはつきりしない場合におきましては、必要な立法的措置を講ずることにいたしておる次第でございます。
  13. 宮腰喜助

    宮腰委員 それから農家報償金ですが、この前農林大臣出席のときに、報償金手数料というかつこうで、税をとらない方法で行きたいというお話でしたが、これは当然所得だと思うのであります。この所得手数料だという考えで税をとらなくてもいいようにするのだ、こういう解釈農林大臣はしておられましたが、私はこういう場合は当然所得だと思うのでありまして、これをとらないようなことができるかどうかということについて疑を持つておりますが、その点をお伺いいたしたい。
  14. 平田敬一郎

    平田政府委員 匿名供出でございますとなかなか調査がむずかしくてわからない。無理にわからせようとしないというのが私は行政措置だと思うのでございます。それで大体この問題は解決するのではないかと見ておりますけれども、しかしそれでなお解決しない部面が残りますれば、これは必要によりまして立法的措置考えたいという趣旨でありまして、その点御了承を願いたいと存じます。
  15. 宮腰喜助

    宮腰委員 次に青色申告の問題ですが、この青色申告の問題については、現在までその申告者に対して特別に考慮しようというような意見がありまして、青色申告をしないところの一般納税者と多少待遇を異にしておるのであります。これに関しまして今回もその申告者におみやげを出そうという意味で、いろいろ改正をしたようでありますが、しかし現在まで青色申告提出者に対しても更正決定相当ありまして、全体の七割までも更正決定によつて修正されておると聞いております。こういう青色申告についてはいろいろの指導官があり、あるいはまた専門家が立会つていろいろ協力いたしておるのでありますが、そういうりつぱな権威者が協力したものでも、さらにこれを更正しておるという事実があるのであります。この青色申告に対してはもう少し待遇を与える考えがなければ、とうてい申告者が増加して行かない。従つて青色申告に対する信用がなくなつて行くのではないかと思いますが、この更正決定が非常に多いということについてお伺いしたいと思うのであります。
  16. 平田敬一郎

    平田政府委員 青色申告者特例と申しますか、特典と申しますか、法律政令等でどういう特例を認めておるかということにつきましては、先般資料として印刷物をお配りいたしておる次第でございますが、相当いろいろな事項にわたつて——まあ所得計算に関する特例調査決定に関する特例、それから滞納処分を行う場合の特例、そういう場合につきまして実は相当いろいろな特例を認めておるのでございます。昨日以来いろいろ問題になりました、たとえば標準率によつて所得を査定するといつたようなことも、青色申告者の場合はできないことに法律上はつきりなつておりまして、あくまでも帳簿の内容をよく調べまして、決定する際にはなぜ決定するかという理由を付して、決定通知書を出さなければならぬ、こういう一つの基本的な、特別な扱いをすることにしております。そのほかいろいろな課税標準計算に関しまして、損金の繰越し、繰りもどし控除を認めるとか、償却について特例を認めるとか、あるいは個人の場合でありますと、普通たなおろしの資産は原価で行くことになつておりますが、青色申告の場合には時価法を採用することを認めるとか、貸倒れ準備金を認めることができるとか、あるいは退職積立金損金算入を認めるとか、今回さらに専従者につきまして給与の控除を認めるとか、これは私は中小の、ことに小さい青色申告者の場合には、相当特例になるものと実は考えておりまして、これはうまく納税者に活用願えますれば、私はよほど納税上のトラブルが最終的には少くなるような行き方になり、帳面額といたしまして比較的はつきりした基礎の上に申告してもらえるし、また税額も査定してもらえるというような方向に行くのじやないかと期待いたしておりまして、今回追加いたしました数字は、小納税者の場合には、特に大きな効力を持つものと存じております。中以上の場合でございますと、例の退職積立金損金算入あるいは貸倒れ準備金、その他今までありました制度相当合理的に有利になりますし、こういう制度をうまく活用することによりまして、私ども青色申告制度を伸ばす方向に持つて行きたいと考えておるのであります。従いまして調査にあたりましても、いたずらに摘発的態度をもつて臨まないで、できる限り親切に指導するというような態度をもつて臨むように、たびたび国税庁からも私どもからも、税務署等に注文をしたりあるいは訓令を出したりいたしております。お話のように、青色申告者の中に、最初から虚偽の記載をすることを目的としてやつておられる人も全然ないわけではないので、そういう人の場合はある程度私はやはり適切な策を講じなければいかぬと思いますが、善意でまじめにやろうという意図のある人々につきましては、でき得る限り指導的態度をもつて臨みまして、この制度を助長するという方向に持つて行くようにいたしたい。大体私どもそういう方向に動いておる。もし例外がございましたら、さらに今後そういうことにつきまして、適切に指導をいたしまして、何とかしてこの制度を伸ばして、先般申し上げましたように、むしろ青色申告が原則になるような時期が、なるべく早く来らんことを、私どもとしましてはこいねがつておる次第でございます。そういう点を政府におきましても善処いたしたいと、考えておる次第であります。
  17. 小山長規

    小山委員 運輸当局の方が見えておりますので伺いますが、三万台の車は条約発効後どういうふうに処置されるつもりであるかということと、現在進駐軍が使つておりますジヤポツク・ナンバーというものがありますが、このジヤポツク・ナンバーの車は、講和条約発効後はどういうふうにされるつもりであるか。つまりどういうふうにということは、依然として譲渡形式の処置をとられるのか、あるいは譲渡を自由に認めるような方法をとられるのか。ナンバーはやはり三万台というものは残しておられるのか。これは従来の観念における日本ナンバーに直されるのか。まずそれから伺つておきたいのであります。
  18. 中村豊

    中村(豊)政府委員 三万台の問題でございますが、ただいまは軍人軍属以外の外国人が持つている車は、三万台のナンバーを持ちまして、これを日本人に譲り渡すには、外国自動車譲受規則というものに従つて運輸大臣及び通産大臣許可を得なければいけないようになつておるわけであります。そうなりますと、それに関する外貨資金わくがおのずから制限がございますので、その許可の台数も限度があつて、自由に希望の方に譲り渡しがされていないような実情でございます。今後の問題といたしましては、できるだけ日本人にも買えるようにいたしたいと思いますので、外貨資金わくで押えられなくて済むような、たとえば円貨で決済できるような方法考えて行きたいと思いまして、目下通産省とも打合せ中でございまして、できるだけ早い機会に円及び外貨のどちらでも買えるようにいたしたい。かようになりますれば、相当たくさんのものが買えるんじやないかと思うのであります。ジヤポツク・ナンバーの問題は、これは軍人軍属の使用している車でございますので、ただいまのところでは、日本行政権限の外にあるわけでございますが、最近進んでおる行政協定ではどのようになりますか、まだ確定いたしておりませんが、あるいは日本政府に、その登録検査その他の行政措置をまかすということになろうかと思います。それにいたしましても、これは軍人軍属の車でございますから、この譲り渡しについては譲受規則によるほか、ドル以外の円で買うことができるかどうかについては、問題があろうと思います。  今後これをどうするかにつきましては、今言つたように、三万台につきましては譲り受けも相当自由になると思いますが、ただナンバーをどうするかの問題がございます。譲り受けが自由になりましても、クーポン制によつて許可制度を続けて行くとしますれば、やはりナンバーは特別な種類のものを置いておかなければいけないわけでございます。これについては通産省とよく相談しておるのでございますが、ただいまのところはこの制度をはずすというところまでは、考えていないわけでございます。  ジャポツクにつきましては、先ほど申し上げましたように、このナンバーを三万台ときめておりますのは、道路運送車両法に基く登録令に基きまして、登録をする際に、こういう種類のものは三万という番号を使う方がよかろうということを、運輸大臣から各地方陸運事務所に対して通知を出しておるので、大体統一されておるという実情でございます。
  19. 小山長規

    小山委員 条約発効後におきまして、三万台の車は円貨売買するかしないか、まだおきまりになつていないということでありますが、何か行政上あるいは法制上の障害があつて円貨売買について結論に達していないという理由があるのでありましようか。
  20. 中村豊

    中村(豊)政府委員 できるだけ日本人が買いやすくするために、ぜひ円貨にいたしたいと思いまするけれども外国人相手のことでございますから、円では売らない、ドルでなければいけないということを言つた場合には、外貨によつて買わなければいけない。かような意味で申しておるので、外貨及び円の二本建ということにいたしたいと思つております。  その場合に、両当事者間の話がつけば、外貨または円で買えることを自由にしたらいいじやないかという問題でございますが、これについてはちよつと問題がございます。そういう決済方法は、二本建にしましても、その数を制限する必要があるから、それをクーポン許可制を続けて行くという問題はあるわけでございまして、これについては通産省目下打合せ中でございますが、ただいまのところはクーポンによる許可制は続けて行きたい、かように考えております。
  21. 小山長規

    小山委員 そういたしますと、条約発効後に、日本内地における売買を、日本の通貨以外のものでやらなければならぬということは、予想されるのでありますか。外国であれば別でありますが、日本に居住する外国人との間の売買は、日本の通貨以外のものでやらなければならぬということが、義務づけられておるようなことが予想されるのでありますか。
  22. 中村豊

    中村(豊)政府委員 それは外国人から日本人が買う場合は輸入とみなされるので、それで外貨がいるということであります。
  23. 小山長規

    小山委員 そういたしますと、三万台のナンバーの車は輸入関税を全部払つていないのですね。
  24. 平田敬一郎

    平田政府委員 課税の関係につきまして少し申し上げますが、終戦後いろいろ移りかわりがありますので、やや複雑になつておりますが、現在のところにおきましては、結局軍人軍属が自動車を輸入する場合には、課税いたしておりません。それ以外の外国人が一種の携帯品といいますか、日本に自分が持つて来て輸入するものにつきましては、引越し荷物の家財道具と同じように、その際は課税しないということにいたしております。しかしながらそれを日本人に転売した場合あるいは他の外国人に転売した場合におきましては、やはり関税、物品税とも課税することにいたしておりまして、従つて三万台の車の中でも、所有者がかわつて登録が名義書きかえになりますと、その機会に物品税、関税を納めてない場合は納めるということに相なつているかと思います。少し沿革的にさかのぼりますと、関税を課税するようにいたしましたのは、昨年の五月に新しい関税定率法ができてからでございます。物品税につきましては、一昨年の七月に司令部からメモが来まして、それ以来課税することになつておりまして、やはり今申し上げた事情相当課税になつた実績もあるようでございますが、いずれもこれは輸入と見て課税しますので、税関で徴收しております。最近までの徴收実績は、関税が二千三百五十七台で四億九千九百万円、物品税は今申しましたように少し前からやつておりますので、三千二百六十八台で四億四千二百万円程度課税いたしております。なお横浜税関のもので一部まだ報告未済のものがございますので、全体はこれよりも若干多くなりますが、現在のところは大体そのようになつておる次第でございます。
  25. 小山長規

    小山委員 ただいまの占領中のことについてはそれでお話はわかりますが、今後占領が解かれた場合、つまり日本が自主独立の国家になつた場合に、これらの関税のかかつていないもの、あるいは物品税のかかつていないものが横行しておることを、自動車当局はどうして取締りますか。今後入つて来るものについてはむろん関税もかかり、物品税もかかるであろうが、かかつていないものとかかつているものをどういうふうに区別されるか。それからまたかりに新しく課税するという場合には、いつの価格をもつて標準とされるか。それを伺いたい。
  26. 中村豊

    中村(豊)政府委員 自動車関係当局といたしましては、街頭でこれを検査したりする方法がないものでありますから、運輸省関係としては三万台がはたして外国人自身で使われているのか、あるいは転売されているのかということを調査する方法がまずないのでございますが、これについては検察当局の協力を仰いで、できるだけさようなことがないようにいたしております。ただ登録の場合には初めて登録する際に十分関係書類を調査して、その点を十分に調べることができます。
  27. 平田敬一郎

    平田政府委員 関税、物品税を課税するようになつた初期におきましては、なかなか問題があつたのでございますが、最近は、今自動車当局から申されたように、登録する際は必ず一種の納税済書、あるいは納税しなくてもいいものについては税関の輸入免状と申しますか、そういうものをはつきり提示させてやらせることになつておりますので、登録に来ればこれは比較的はつきりつかまえ得る。ところが登録しないで転売しているということになりますと、率直に申しましてなかなかわかりにくいので、これは事実をなるべく調べまして、わかつたら当然課税すべきだと思つております。そういう問題については今後自動車関係当局とよく相談しまして、できるだけ適正化をはかろうと思つておりますが、なかなか困難な問題のようでございます。なお課税する場合の課税価格は、やはりさつき申しましたように、新しく課税する事実の発生したときの状態のもとにおける一定の価格を評価いたしまして、それによつて課税する。評価します際はアメリカの相場その他をよく調べまして、一つの基準となるべき価格をつくり、それによつて査定しておる次第であります。
  28. 小山長規

    小山委員 その課税の時期は、ただいま主税局長は、現在ある車で課税するときまつたときの価格を基準にすると言われたが、実際それを実行してもらわないと、今後転々売買されてほとんど廃車同様になつてしまつたものは、関税も輸入税もかからないという、非常に不公平な結果が出るであろうと思いますので、その点はひとつ十分に御注意を願いたい。  それからこれは運輸省の当局に伺いますが、物品税なり関税の関係から申しますと、円貨で買えるような方法を当然におとりにならなければいけないのではないか。それから条約発効後において、なお売買されているものはやはり輸入である、従つて外貨の割当をしなければならぬということはどうも受取れないのでありますが、なおそれを実行されるのでありますか。つまり現在入つているものについて、それが売買される場合に、外貨の割当をしなければそれが売買できないということは、強制通用力のある円貨日本の国内で通用できないということになつて、いかにもおかしいのでありますが、その点はどういうことになりますか。
  29. 中村豊

    中村(豊)政府委員 先ほどお話の三万台とジヤポツク・ナンバーとの話が一緒になつたものですから、多少こちらの説明に誤解を抱かれるような答弁を申し上げたと存じますが、三万台だけに関しましては、講和条約発効後は円貨だけで売買ができるようにいたしたいということで、関係方面と協議中でございます。
  30. 小山長規

    小山委員 わかりました。
  31. 宮腰喜助

    宮腰委員 所得税の問題でありますが、勤労者と同様な所得を收得しているような業者、たとえば一人大工、左官、とび職、ことにそれに近い理髪業というような人たちは、所得税をとられるほかに事業税をかけられるのであります。従つてこういうような部類の人たちは労働団体に加入し、所得一般の工場の職工さんよりもまだ低いにかかわらず、地方税をかけられる。こういう業者については特別に考慮を払いまして、源泉徴收のような便利な方法を講ぜられた方がかえつて適切ではないか。実際的にもこの階級の人たち所得は、勤労者よりも少い場合が非常に多いのであります。先ほど言つたように、地方税をかけられている点について非常に負担が重いのでありまして、税制制度からいつて非常に不公平であります。こういう点について今後源泉徴收をするような方法をとつてあげた方が妥当と思いますが、当局ではどういう御意見を持つておられるか伺いたい。
  32. 平田敬一郎

    平田政府委員 私も、所得税におきましてはなるべく源泉徴收を採用した方が、納税者にとつても便利でありますし、徴税の見地からいつても便利だという考えを持つておりまして、今回も実は相当その範囲を拡張したのであります。その結果少し返す場合が多いじやないかという御批評を受けておりますが、返す場合が若干多くなつても、源泉徴收をした方がいいのじやないかという一般的な考えを持つております。しかし今お話の事業所得者の場合でありますと、これはいかに考えましても源泉徴收の方法がうまく考えられない。小売業者の場合等でございますとどこで源泉徴收をするか、消費者から源泉徴收するというわけにも参りませんし、独立の営業者の場合では源泉でとる道がなかなかないのでございます。従いましてこういう方面について源泉徴收をやるということは、ちよつとむずかしいのではないか。農民につきましては供米について源泉徴收をしたらどうかということも、シヤウプ勧告では一部うたつてつて、研究してみたのでありますが、これもなかなかむずかしい問題でございますし、それから統制がやめになりますと、ただちに問題でなくなる関係もございますので、私ども躊躇いたしたのでございますが、一般の事業者の場合におきましてはなかなかその方法がない。医者、弁護士、公認会計士、保險の外交員、原稿料をかせぐ文士、こういうような人につきましては道がございますので、同じ事業所得の一種でございますが、源泉徴收することにいたしているのでありますが、どうも一般営業者の場合にはいい道がございませんので、遺憾ながらできない。従いまして納税につきましては納税貯蓄組合を結成してもらう。それから納税準備預金をできるだけ平素からしていただきまして、自分で売上げの一部をひとつ源泉徴收のつもりで天引きして、毎日納税預金をしておくというようなことにしてもらいますのが、私は一番いい道ではないかということで納税組合を設け、納税準備預金の制度を設けまして、できるだけそのようにいたしたい。一日二百円か三百円別途に箱の中にでも入れておきまして、納税準備預金にしておく。それを組合で集めて管理しておくということになりますと、源泉課税と同じような効果になることと思うので、ぜひそういう方向営業者の場合には普及するようにしていただきたいと考えているのであります。これでもなかなか一朝一夕には進まないような状態でありまして、何とかいい方法がございますれば、御教示を仰ぎたいと思つている次第であります。
  33. 宮腰喜助

    宮腰委員 ただいま申し上げた中で理髪業のことでありますが、こういう理髪業は一般の商業、工場と違いまして機械力を使つたり、あるいは加速度を加えるというようなことはほとんど不可能であります。こういうような事業についても地方税は当然かけられるのでありますが、この所得税の認定の場合においても、青紙申告をやらない場合が非常に多いのであります。この認定の場合でも、どうも一般事業と同じような考えのもとに徴税されるために、理髪業あたりは非常に困難な状態を来しているのであります。これは再三委員会にも陳情書が参りまして、本日も陳情書がわれわれの手元に届いております。これなども一般の業者と同様に税を徴收する基礎と、一般の業者の税徴收規則と同様な考えで算定するのは、私は不当だと思いますが、この点についてこれはほかの業も同じでことに手でやる、機械力でやらない家内工業的なものが非常に多いと思います。ことに理髪業については特に考える必要があると思うのでありますが、この理髪業について特に所得税の適正化をお考えになつておられるかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
  34. 平田敬一郎

    平田政府委員 理髪業の場合には、御承知通り地方税の事業税もかかつて来るという点は、御指摘の通りでございます。この点事業税が今まで免税点制度基礎控除がなかつた。従いまして比較的低い低額の事業者の場合に、相当負担が重かつたのでございますが、その点今回事業税を改めまして三万八千円の基礎控除を設けました。三万八千円にいたしましたのは、昨年の所得税基礎控除と同額でございます。二十六年度分の実績に基きまして、二十七年度に事業税を課税いたしますので、結局同じ控除を行うわけであります。つまり基礎控除を行いまして事業税を課税することになりますので、低額の事業者の負担はそれによりましてよほど緩和される。事業税の総税額でたしか七十億くらい、その措置によりまして減額になると思います。それによりまして、税制の上における少額事業者の負担というものは、よほど避けることができるようになつたと思います。なお所得の査定につきましては、主として国税庁からお答え願つた方がいいと思いますが、もちろん帳面等がない場合が多いので、やはりサンプル調査と申しますか、比較的帳面等のある人につきましてよく実態を調べまして、それに基きまして昨日から議論になりました一定の標準をつくりまして、それでできる限り妥当な所得をつかまえまして、それによつて申告してもらいますし、また更正決定もやつて行くということにいたしたいということで努めておりますことは、御承知通りでございます。中には非常にシンプルな場合は台数その他の方法によつて、外形的にやらざるを得ない場合もあると思いますが、これは特別に散髪業の場合にどういうことでなく、やはり一般所得の査定の場合に考えておりまする方法をできる限り精密にやりまして、実情に即するようにすべきものだと考えておる次第でございます。
  35. 宮腰喜助

    宮腰委員 先ほど小山委員からも申されたと同様な似た例でありますが、最近洋酒類だとか菓子類が盛んに至るところで売られております。この外国の菓子類や洋酒類は、われわれの考えからいえば、われわれの産業なり生活の上にさほど必要でないものと考えるのでありますが、外貨資金のない折から、こういうものをむやみやたらに輸入をする、あるいは市内に販売されるということは、日本の産業育成の上に非常にマイナスになるのじやないか、こういう心配がごく最近われわれの間に起つておる次第です。あの販売されておるものについては、厳重なる税金あるいは関税をとらなければならないわけですが、至るところの大道で販売される菓子類の氾濫のために、日本の菓子業もこれに圧迫されるような状態であります。こういうような問題については、現在までどういうふうに税をとつておるか、あるいはまた外貨資金を使つておられるか、その点をお伺いしたいと思います。
  36. 平田敬一郎

    平田政府委員 今御指摘のような問題は、昨年の十二月までと、今年の一月以後と大分事情がかわつて来ておるのでございます。昨年の十二月までは、実は主として外人専用、あるいはアメリカの主として軍隊ですが、そういう軍人さんとか外人専用のものとしまして一定の場所を指定しまして、関税を課税しないで販売を認めていたのでございますが、今年の一月から全部原則としまして、関税も消費税も課税するということにいたしまして、そのかわり外人だけに限定しないで、日本人も買うことができるというふうに切りかえたのでございます。従いまして従来街頭で販売されていた分は、これはほんとうは違法な措置であつたかと思いますが、最近販売されております分は、大体やはり適正に認められたものというふうに御了承願つてけつこうだと思います。しからば一体そういうものの輸入を認めて売らせるのが、いいかどうかという問題でございますが、これはやはり日本に外人の方が相当おられまして、そういう人々が日本生活されるのには、やはりある程度外国の品物を入れまして、入手しやすいようにしなければならない。しからばといいまして、外人だけに認めて日本人に購入を認めないということでは、どうもやはり適当ではないと考えまして、今申し上げたようなことにいたした次第でございます。もちろん外貨の割当にあたりましては、毎期一定の額で限界を置きまして、主としては通常外国人のために必要な数量を目安にしまして、割当を認めるということにいたしておる次第でございますけれども、若干その分が一般の国民の用に供せられるということになりましても、これはどうもある程度いたし方がなかろう。あまりたくさん認めるのは今外貨資金関係上、お話のようにどうかと思いますが、ある程度のものは認めた方がいいのじやないかという考え方で、そのようなことにいたしておる次第でございます。
  37. 宮腰喜助

    宮腰委員 今回無記名定期預金を実施するにあたりまして、われわれはこういう定期預金によりまして、長期産業資金獲得のために非常に喜ばしいことだと、喜んでおる次第でございますが、これと同時に、また税制上の問題で、無記名定期預金を許したがために、脱税に利用されるのだというように心配される方がありまして、定期預金をするような特権階級に、そういうような脱税を奨励するようなことであればいかぬという意見もあるのであります。これを世間に発表する場合においても、大蔵省担当局としても、正当なる理由をつけて発表しなければならないと思うのであります。おそらくこういう問題について、無記名定期預金は認めおるのだから、これこれもどうだというような悪い例を残すということになると、今後の税制上に非常に影響することでありますから、この無記名定期預金をやる上において、税制上一定の理由をつけておるだろうと思いますが、どういう理由をもとにしてこの問題を世間へ発表されたか、その点をお伺いいたします。
  38. 平田敬一郎

    平田政府委員 無記名定期預金の問題につきましては、先般もお答えいたしたかと思いますが、特別に預金自体に対して免税するとか、何するというものではないのでございまして、預金の元の所得を何か知らないが、税務署にわからないようにしておくというところに、実は無記名定期預金の課税上におけるいやな問題といいますか、税制上から考えますと、どうかと思われるふしがあるわけでございます。その点から私どもこれをやつた方がよいかどうかということについて、慎重に構えていた次第でありますが、何しろ貯蓄の奨励と申しますか、優遇と申しますか、そういうことが現下の非常に緊要なる問題にもなりましたし、結局において、課税当局としては若干つらい立場になるのでございますが、また別途の方法を用いまして、課税については適切化をはかることにいたしまして、この際無記名定期預金は復活をいたそうということに相なつておる次第であります。これによりまして隠れた資金が表に出て来て、実際に有効に働く資金が出て来るということになりますれば、全体としては、課税上の弊害はある程度目をつぶつてつてもよいのではないかということで、実は認めることに相なつた次第であります。その点御了承を願いたいと存じます。
  39. 宮腰喜助

    宮腰委員 これに関連して、今証券譲渡譲渡利得税が問題になつておりますが、私は証券の流通性から考えて、譲渡利得税は廃止すべきだと思う。そうして移転税か何かの税率を幾らか引上げてやつた方がまだ効果的だと思います。無記名定期預金を認めたということになると、譲渡利得税もこれに関連した問題として認めてあげた方がかえつて効果的である、あるいは長期資金獲得の上に、また産業資金獲得に役立つと思いますが、これと関連して譲渡利得税を今後廃止するお考えがあるかないか、伺つておきたいと思います。
  40. 平田敬一郎

    平田政府委員 この問題は昨日小山さんにお答えしたのでございますが、よく研究をしまして、しかるべく措置を講ずるという考えでありまして、いつするかということにつきましては、まだ結論を得ていない次第でございます。
  41. 有田二郎

    ○有田(二)委員 宮腰君の御了解を得ておるので、国税庁長官に伺いたいと思います。ただいま予算委員会で質疑応答の最中でありますが、われわれ大蔵委員としては、国税庁の予算に非常な関心を持つておるのであります。特に第一線で徴税される税務署の署員の超過勤務手当なり、また旅費その他いろいろな物資購入の費用について、万遺漏なくやつておるかどうか。ことに本年度の予算ではどういうことになつておるか。この点を長官から承つておきたいと思います。
  42. 高橋衛

    ○高橋(衛)政府委員 二十七年度の徴税費予算は、租税払戻金等を除きまして、純然たる徴税費が百三十二億二千五百万円に相なつております。前年度が百四十一億四千四百万円でありますから、約九億円程度の減少に相なつております。この減少を生じました理由は、御承知通り、今年度において六万一千二百人から九千百八十人だけ行政整理によつて定員の減少があり、これが最も大きな原因と相なつております。ただいまお尋ねの超過勤務手当につきましては、前年の基準とまつたく同じ基準によつて計算された金額を計上しておる次第であります。また旅費につきましては、前年ある程度不足を見込まれましたので、二十七年度においては幾分多く計上しておる次第であります。なおその他郵便料金の値上りでありますとか、または物件費として徴税費中最も大きな部分を占めます用紙類につきましては、たとえば申告書の用紙は良質の紙を要しますし、また台帳のカード化をはかるにつきましても、これまた相当良質の紙を必要としますので、それぞれこまかく区分いたしまして、その必要な経費を算出して計上しておる次第であります。従つて二十七年度におきましては、この経費をもつて税務行政は——もちろん満足にというところまでは行きませんが、全体として節約を旨とすることは当然でありますから、納税者にそう御迷惑をかけないで、幾分でも節約したいと考えておる次第であります。
  43. 有田二郎

    ○有田(二)委員 長官のお話で、今度の予算は昨年よりも劣つていないという報告を受けて了とするものでありますが、昨年度よりも物価も上つておりまするし、その運営において、国税庁としては相当むずかしい点があると思います。この予算は近く本月中に衆議院で採決して参議院にまわる予定でありますから、この予算を今いじることは無理でありますが、おそらく補正予算をやむを得ずつけなければならないのじやないかと思います。次の予算あるいは補正予算では、いろいろ徴税に必要な問題を本委員会においてひとつ掘り下げて大蔵委員のわれわれも協力して、徴税のあり方に対する予算の組み方について検討いたしたい。ただ国税庁長官が主計局の若い主計官に気がねをなさつて、大蔵委員会でそういうことをやつていただくと、かえつて予算が減るのじやないかというような考えを持つておられるやに今まで考えておつたのですが、われわれ大蔵委員会としては国税の予算に対して当然審議をしなければならない。実際どの委員もそういつた考えを今まで持つておられたけれども国税庁長官の主計局に対する気がねを考えて、われわれは遠慮いたしておつたのでありますが、いよいよ三月には独立国家になるのです。従つてわれわれ国会の方針によつて国税庁の予算も動かすことができる。今までは関係方面と主計局の関係でありましたからいたし方ありませんが、これからは予算委員会あるいは大蔵委員会において、十分国税庁の予算について検討して、より徴税能率の上る方向に努力いたさなければならぬと考えます。  次にお伺いしたいのは、本委員会として過去においても酒税の密造に対する摘発を取上げまして、たしか一昨年は二千万円か三千万円程度のものが七千万円になり、本年度も相当つているように聞いておりますが、一体今度の予算では、酒の密造に対してどれくらいの予算を組んでおられるか。千百何十億という非常に多額の酒税を国庫收入としておりますが、これに対して相当のパーセンテージの密造把握の費用を見込まなければならぬ、かようにわれわれは考えているのですが、本年はいかような予算を組んでおられるか。この点をお伺いしたい。
  44. 高橋衛

    ○高橋(衛)政府委員 お話通り酒税も来年度は千三百億円でありますか、相当大きな歳入を予定しておりますので、どうしてもこれが歳入を確保するためには、税務当局としても密造の取締りに非常な力を注がなければならないということを、痛感しておる次第であります。従いまして、昨年度は密造取締費として八千五百万円計上したのでありますが、二十七年度におきましては、これを一億六千万円に増額して計上しておる次第であります。もちろんこれをもつて十分であるとは考えておりません。しかしながら検察その他の方面の十分な協力を得まして、これは御承知通り密造の取締りにつきましては、どうしても相当警備力を伴うのでなければ、その完遂は困難なことであると存じます。従つて主として検察方面の御協力を得るということが中心になるかと思います。そういうような点も従来以上に緊密な連絡をはかりまして、そうしてこの与えられた経費を最も効率的に使うことによつて目的を達するようにしたいと考えておる次第であります。なお大蔵委員会におきましては、昨年来国政調査を引続きやつていただきまして、非常に詳しいところのいろいろ適切な御意見を伺いました。特にその中において税務職員の旅費とか、超過勤務手当というものが、相当不足しておる現状にあるということを御指摘を受け、御鞭撻していただいておる現状にありますので、その点は十分に今後も不足のないようにということでやつて参りましたし、またある程度はその点が改善されて参つたと考えております。ただこの際申し上げておきたいと思いますことは、税務行政のあり方として、常時超過勤務をしているというようなやり方は、いかにも正常な状態ではないのでありまして、これは仕事のやり方をもう少しくふうして行くことによつて、また年間これをできるだけ少くするというやり方をすることによりまして、何とかして一時的に超過勤務を苛酷にするというようなことをなくして行きたい。これはどうしても人間でございますから、長く夜おそくまで勉強してやりますと、自然疲労から興奮いたしまして、納税者の方にも御迷惑をかけるというようなこともちよいちよい起つて参りますので、そういうことができるだけないようにということで、事務計画をつくる際にもしさいに検討いたしまして、漸次そういうような必要をなくして行くという方向にも同時に努力して行きたい、そういうふうに考えておる次第であります。
  45. 有田二郎

    ○有田(二)委員 国税庁は税金を決定し、徴收して行く仕事をやつておるのでありまして、従つてこれに対する超過勤務手当なり、あるいは旅費なり、あるいはその他のいろいろの諸雑費にいたしましても、十分とまでは行かないまでも、かなりな予算が必要である。他の官庁の予算と違つて、かりに一億円入れることによつて二十億の税收が、そう無理でなく正当に入つて来るということになると、これは十九億の利益になるのであります。国税庁一つの商売でありまして、わずかな金をかけることによつて、より以上の税金が無理がなく入つて来るということであるならば、これは他の官庁と違つた観点において、予算の組み方としなければならぬ、かように考えるのであります。これからはぜひとも予算の面について本委員会の各委員の御協力を得て、予算の面においても十分とまでは行かないまでも、かなりの点まで他の官庁と違つた予算がとられなければならぬ、かように考えるのであります。その点将来も御協力が願いたいのであります。  さらに査察課の問題でありますが、先般も予算委員会で、大蔵大臣と査察官の問題について論議し、また先般国税庁長官がアメリカからお帰りになつたので、アメリカの状態伺つたのでありますが、ただいまアメリカでは査察官の汚職事件が非常に多いのでありまして、国税局長日本と違つて民間から選ばれておつて、その方々の汚職がアメリカでは今非常な問題になつておる。それと比較して今日の日本状態は、アメリカのそれよりは多少いいんじやないかとすら考えるのでありますが、ただアンバランスの点が考えられる。たとえば高松の関税局の査察課に、かりにある一定の査察課員の数がある。それと東京あるいは大阪あたりと比べてみますと、査察課員になると、どうしても仕事をしなければならぬ。仕事をしなければならぬから、仕事をこしらえてやる。しかし四国あたりの事件は非常に小さいのでありまして、東京、大阪あたりに比べますと雲泥の差がある。従つてアンバランスのものになる。そういう点から国税庁において全国の査察課をにらみ合せ、人員の配置について人間がよけいいるために、必要以上の摘発をするということで、全国的なアンバランスの状態ができて来るということをよくお考えつて、今度の機構改革については、この点を事務当局として十分御検討を願いたいと思うのであります。  さらにまた査察課員の訓練でありますが、由来主税局から国税庁にかわりました過去終戦後の状態は、まことに下剋上であります。官庁上部からの指令よりも組合の指令の方が、一時非常に力があつたという時代がありましたが、最近においてはあなた方の御努力によつて、下剋上の状態は漸次なくなつて参りました。上司の命令が徹底する、特に東京国税局に例をとりましても、税務署長にある程度人事に関しての意見を聞くというようなことにまで、吉武総務部長が来られてからかわつて来まして、署長の命令が徹底するようになつた。一時課長が何だ、署長が何だという空気が各税務署にありまして、そのためにおもしろくない事態を生じたことは遺憾であります。その点は最近のやり方が非常によくなつて参りまして、そういう点で漸次下剋上がなくなつて来た。しかし査察課の中ではまだ下剋上の空気が非常に多い。法案をたてにして、われわれは法律によつてやるのだ、課長が何だ、部長が何だ、局長が何だというような空気が非常に濃厚であります。これらの運営については、国税庁長官として一番気を使つておられる点であろうと思います。査察官のあり方というものは、今日の検察庁の検事のあり方と同じでなければならぬ。上司の命令をよく部下が聞いて、そうして一定の国税庁長官の方針にのつとつて、査察官の運営がなされなければならぬと思うのであります。最近の一つの例として、東京においてある会社が査察された。これは間税出身の査察課員でありますが、お前ら、小菅へ二、三日行つておれ、あるいは今晩全部お前たちを返さないというような、脅迫的言辞を弄して調べるという向きが多い。一般に法人税出身の査察官はそこまでひどい調べ方をしないのでありますが、間税出身の査察課員というものは調べ方が非常にひどい。大阪の例をとりましても、大阪ではよく、これから検察庁へ連れて行く、お前はこれから検察庁へ電話をすれば、すぐひつぱり込まれるというような方法によつて、すみやかに税決定をやろうというやり方が多いのであります。これらの査察課員に対する国税庁長官の御方針を承りたいと思います。
  46. 高橋衛

    ○高橋(衛)政府委員 査察行政につきましては、ただいま有田さんのお話通り、私ども最も頭を悩まし、またこれが適正化について常々努力して参つているのであります。当初インフレの進行時代におきましては、相当脱税の態様も一般的でありましたし、また納税思想の高揚という面から申しましても、相当何と申しますか、勇猛果敢に査察が行われざるを得なかつたという実情にはあつたと思いますが、それにしてもそのやり方が、あまりに度を過ぎているのではないかという反省をいたしまして、一昨年以来、実は査察官の教育という面に非常に重点を置きまして、特に二十六年度におきましては、査察官が少くとも年間一回の講習訓練を必ず受けるという程度にまで、訓練を徹底して参つたわけであります。しこうして査察事件の立件自体につきましても、従来はそれほど大きな資料を持たずに査察したような例も間間あつたのでありますが、十分に資料を整えて、ほんとうに嫌疑あり、容疑ありという場合に、初めて査察するという体制に切りかえた次第であります。その結果といたしまして、事件数はぐつと少くなつて参りました。その内容それ自体は進歩して参つたというふうに、私どもは見ておるのであります。なお査察官の訓練につきましては、常々非常な注意を払つておるのでありますが、何といたしましても中にはただいま御指摘のようなものもございまして、今後そういうふうな気風の絶滅を期して行きたいと、私ども考えておるのであります。もちろん査察の問題につきましては、絶えず会議その他の機会を持ちまして、私ども考えていることを十分徹底いたしまするし、また個々の査察官が独立して動くということを、絶対に避けるようにということについては、特に注意いたしまして、最近はそれが徹底して来たのではないかというふうに私どもは見ておるのでございます。なお遺憾な点も間々あろうかと思いますが、そういう点はいろいろお知らせをいただきまして、ぜひ是正して行きたいというふうに考えております。  なお査察課の職員の数が、各局によつてアンバランスになつておるという点は私どもも認めております。当初申告所得税納税義務者の数とか、脱税の数とかいうものを基準にいたしまして、定員の範囲をきめたのでございますが、その後納税義務者の数も、特に申告所得税につきまして半分程度に減少したのであります。しかもその減少の度合いが、農村地帯に非常に大きく減少いたしました。従つてどうしても新しい観点から、この査察官の定員の各局に対する配置を考えなければならぬという段階に入つております。これは所得税について言えるのでありますが、昭和二十七年度からは新しい定員配置によつてつて行きたいということで、ただいま検討しておる次第であります。
  47. 有田二郎

    ○有田(二)委員 もう一点お聞きしたいのですが、査察は、御存じの通り犯罪容疑をもつてこれを呼んでおるのであります。大阪は、私がちようど大阪選出でありますので、大阪の財務局に話しまして、鉄筋の三階建の建物を一つつて、そこに査察課を置いて、そして調べ室という意味ではありませんが、応接室の形で四部屋とり、また倉庫を一部屋とつておる。ところが、名古屋の査察課にしましても、東京の査察課にしましても、他の調査課その他と同じように混然として部屋の中にたくさん入つておる。この場合に、犯罪容疑をもつてこれを国税局に呼ばれる場合は、その方々の名誉というものを十分考慮に入れてもらわなければならぬ。また少くとも脱税容疑で呼んでいる人間に、たくさんの人間の前でいろいろな話を聞くということもなかなかたいへんである。従つて今度の予算の中で、査察課の調査室というものは当然設けて、そうして犯罪容疑で来ておらるる方々の名誉をよくお考えになつてつていただきたい。特に私は先般も自動車の件を申しましたが、自動車は各局にあるのでありますから、雇入れの自動車で査察官が脱税容疑を持つている所を急襲するという場合に、その雇入れの運転手からあそこの会社は、あそこの商店は脱税容疑で査察が入つたのだというようなことが他に漏れることは、その方々の信用なりまたいろいろな点で、迷惑をかけることが非常に多いのであります。そういう場合は、局の自動車をもつてこれに充てるというような方向で行くべきだと思うのでありますが、やはり国税庁は各局において非常に封建的でありまして、総務部長とかなんとかいうものは自動車をどんどん使うが、調査査察部の査察課になるとずつと末端に来て、なかなかそこに自動車がまわらないというきらいがあるのであります。しかしながらその査察課のあり方というものをよく御検討願つて、犯罪容疑で調べられる方々の立場も十分お考え願い、この点の運営をよろしくやつていただきたい。並びに、ただいま申しました調査室についても、すみやかに査察課のそういつた設備を私はやつてもらいたい。  もう一点は、査察課員の待遇の問題であります。査察課の仕事というものは非常にむずかしい仕事であり、おそらく国税局の中でも査察課員になりたがる人が少い、あるいは査察課員がやめたがつているという例が、全国にたくさんあるのであります。非常にりつぱな人物である、ああいう人にやめてもらつては困るというような人がやめて行き、やめてもらいたいようなやつは、なかなかがんばつてやめないというような例を見るのでありますが、査察官というものは他の調査官なりほかの税務署員より一段と格を上げて、給料の問題なりその他の待遇の問題なり、それからまたある所を襲つた場合において、その晩の夜食その他の費用についても、査察課員に対しては十分な手当をしておかないと、査察課員が汚職を犯すというようなことになつたら、いわゆる税金のあり方からいつて、私は非常に憂うべき問題になると思う。これらの点について、国税庁長官の御所見をこの際伺いたいと思います。
  48. 高橋衛

    ○高橋(衛)政府委員 査察課に関する調べ室の問題でございますが、これは昨年の九月以来、国税庁としては最初に局全体の仕事のあり方を検討してみたいということで、東京、名古屋、福岡、大阪、関東信越の五局について総合視閲というものをやつてみたのであります。その間において、私どもが指摘しました最大のポイントがただいまの点なのであります。もともと一昨年以来、納税者に対する親切という点については、非常に強調して参りました関係といたしまして、税務署等においてはそれらの施設は——もちろん経費が下足でありますから十分なことはできませんけれども、たとえばいすを置くとか、お茶を出すとか、火ばちを置くとかいうような程度のことは、だんだんできて参つたのであります。また特にお話できるような設備も、スペースさえあればできるというような状況になつてつたのでありますが、局の段階におきましては、この点が非常に不備であるということがはつきりいたしたのであります。これは率直に認めざるを得ないのであります。従つてその総合視閲の結果として、とにかく最も急務とする事柄は、査察についての調べ室の設置であるというふうに考えまして、その指示をさつそくいたしました。来年度——東京局におきましても工事に一部はかかつておるような次第でありますが、名古屋局におきましてもそういう点を考えまして、急速にこれを実現することにいたしております。ただ何分にも庁舎が非常に不足であります。特に名古屋局等におきましては、机も全部並べ得ないという状況でありますので、それぞれ他の部において無理をしなければならぬというような実情にあるのでありますが、ある点の無理は押し切つても、最も重要な人権に関係があり、その他納税者の利害休戚に非常に重大関係があるところの調査、査察の面に重点を置いてやつて行きたい、そういうふうに考えております。  なお査察官の待遇の問題であります。これは米国の制度等も調べておるのでございますが、米国等におきましても、待遇は根本的にはかわつていないのであります。ただ一点、恩給年限が短縮できるという点が、米国の法律においては認められておるのであります。日本におきましては、その点の特例はまだ認められていないのでありますが、とにかく何らかの方法によつて査察官に報いたいという方向で、あらゆる努力を傾倒したいというふうに考えております。
  49. 有田二郎

    ○有田(二)委員 協議団の問題でありますが、最近国税庁長官の御努力によりまして、協議団の運営が大体軌道に乗りつつあるという感があるのであります。さらにまた各局においても、協議団には局長みずからが非常に関心を持つておるということは、非常にけつこうだと思います。さらにその点の御努力を願いたいと同時に、最近この前の人事異動で、関東信越の協議官から一人署長が出た。最近大阪におきましても、浪速税務署長に山本半五郎氏、また直税課長が一人、こういう状態になつて来たこと——先般私人事の点を特にお願いしておつたのでありますが、これが実現されて来たことはまことに喜ばしく思うのであります。同時に協議官の方々の志気も非常にかわつて来たと思うのであります。どうか協議官というものが姥捨山ということにならならないように、ぜひともさらに人事交流の点について長官の御協力を仰ぎまして、そうしていい人を協議団に置く、またその中から署長に栄転して行く、あるいは課長に栄転して行くというあり方に、さらに関心を持つて御努力願いたいと思うのでありまするが、長官の御所見を承りたいと思います。
  50. 高橋衛

    ○高橋(衛)政府委員 協議団の定員は当初八百名を予定しておりまして、八百名の配置を全国にいたしたのでございますが、その後実際の結果を見てみますると、所得税におきましても、二十五年度の所得税につきましては、更正決定の数が非常に少かつたというようなこと、並びに法人につきましても、更正決定に伴うところの審査の請求が割合に少いというようなことのために、仕事の対象がそう大きくないということがはつきりいたしましたので、昨年の八月にこれを六百名に減少いたしたのであります。しかしながら同時に他面におきまして、ただいま有田さんの御指摘の通り税務署等におきまして、協議団に行つて訂正されるくらいならば、われわれの方で訂正したいという、小さななわ張り意識というようなものが暗黙のうちに大きくなりまして、それが協議団運営にある程度の支障を来しておることを認めましたので、それらの点を何とかして打破して行きたいということで、これが改善をはかつてつたのであります。なお今後の運営の問題といたしましては、今回御審議を願つておりまする所得税法等におきましても、改正を織り込んでおるのでありますが、協議団の運営がさらに適切に、さらに重要な意味において利用されるようにという方向に向つて制度改正もいたしますし、また運用の面においてもぜひその方向に努力を続けて行きたい、そういうように考えておる次第であります。
  51. 宮腰喜助

    宮腰委員 物品税の問題をちよつとお伺いしたいのです。今回物品税の問題が上程になつておらないようでありますが、物品税にも生活必需物資に関するもので重要な問題が、たくさん中に包含されております。こういう税金は軽減あるいは免税されない。ところが織物消費税のように、高級品に至つて全然税をとらない。この点については有田委員からも前回の委員会で申し上げたようでありますが、私は物品税は根本から全部やり直しをやる必要があるのじやないかと考えております。たとえばあめのようなものは生活必需品でありますが、これには税がかかつている。マッチのようなものにも税がかかつている。従つて私は、税制度を根本から入れかえまして、たとえば免税点の引上げとか、ああいう制度なんかやめてしまつて、物品税一本で行く、こういうことにした方がかえつて効果的のように考えられますが、この物品税についてどうして今回改革案を出さなかつたのか、そのいきさつをお伺いしたい。
  52. 平田敬一郎

    平田政府委員 最初に先ほどお尋ねの、扶養控除を全部二万円に上げた場合歳入が幾ら減るかということについて、お答えを留保しておきましたので申し上げます。源泉で四十二億、申告で三十八億、合せまして八十億円程度さらに減收を来すということに相なろうかと思います。  昨日小山さんのお尋ねで、勤労控除の三万円の制限を六万円に上げたら幾ら歳入が減るかということでございますが、これを計算してみますと、ちようど七十億円ほど減收になるという計算になります。これも補足しまして申し上げておきたいと思います。  なお物品税の問題でございますが、これは先般も申し上げましたように、今回は間接税におきましては減税をしないという考え方を実はとつたわけでありまして、そういう点から行きまして、物品税につきましても、今回は原則として改正を見合そう。いろいろ問題がありますことは私ども承知いたしておるのでございまして、いずれこの次の機会等におきましてさらによく検討いたしまして、できる限り適正化をはかりたいという考えでございますが、どうもよく一般論といたしますと、直接税は行き過ぎで、少し間接税に行くべきではないかという議論が多い。抽象論としておそらく宮腰さんもそうではないかと思うのでございますが、間接税になりますと、やはり奢侈品だけの間接税では收入はわずかです。最低の必需品には間接税はかけてはいかぬ。たとえばお米だとか、みそとか、しようゆとか、そういうものに対しまして間接税をかけることは、これは悪税の骨頂でありましていかぬと思いますが、それに至らない中間の嗜好品等につきまして、ある程度間接税を課さなければ、間接税の收入率は上つて来ない。従いましてお話のような砂糖、水あめ、マッチ、ラジオ、こういうものに対しまして、間接税である程度行くということになりますと、やはりそういうものに依存せざるを得ない、そういう考え方をどういうふうに持つて行くかという問題に関連して来るのでございます。私ども今回は間接税を増税する必要はないと認めますが、軽減するというのはどうであろうかと考えまして、改正案を出さないことにいたしたのでございます。将来の問題としましては、御指摘のような問題もございますし、それから物品税につきましては、一部はむしろ小売の段階で課税した方がいいのではないかという問題もございます。たとえば貴金属製品というようなものについては、そういう問題もございますが、なお将来よく検討いたしてみたいと思つておる次第でございます。今申し上げましたような方針で、今回は原則としまして間接税は増税も減税もしない、従いまして今回は改正も提出を見合せる、こういうふうにいたした次第でございます。
  53. 宮腰喜助

    宮腰委員 今の質問で免税点制度を廃止するかしないかという問題について、御答弁をいただいていないのです。
  54. 平田敬一郎

    平田政府委員 免税点の問題も、やはり必需品を除外する意味で設けてやつておるわけでございますが、これもやはりあまり限定しますと、收入がわずかになつてしまいます。その辺の加減がありますので、現在としましては原則として免税点も動かさないで行きたい。ごく微細のものについてどうするかというような問題は、若干検討の余地があろうかと思いますけれども、原則としては動かさないという方針でやつたらどうか、かように考えております。
  55. 佐藤重遠

    佐藤委員長 午前中はこの程度にとどめまして、午後一時半まで休憩いたします。     午後零時四十九分休憩      ————◇—————     午後二時三十八分開議
  56. 佐藤重遠

    佐藤委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  去る十八日本委員会に付託されました財政法会計法等財政関係法律の一部を改正する等の法律案議題といたします。本案につきましては、十二国会末に本委員会に付託され、全会一致をもちまして可決された後、参議院の継続審議を経て、今回修正の上参議院より送付された法案でありますので、政府当局の提案理由の説明はこの際省略し、修正点につきましてその修正の経過並びに内容を、便宜政府委員に説明させたいと存じますが、この点御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  57. 佐藤重遠

    佐藤委員長 御異議ないようでありますから、さよう決定いたします。西村政務次官。
  58. 西村直己

    ○西村政府委員 ただいま委員長から御報告がありましたように財政法会計法等財政関係法律の一部を改正する等の法律案の原案を、昨年の第十二国会に提案申し上げまして、全会一致をもちまして衆議院を通過、その上参議院において審議を十二国会において行われたのでありますが、継続審議になりまして、先般十三国会におきまして、ただいま委員長から御報告がありましたように修正されまして、ただいま当委員会に付託になつておる次第であります。その提案の理由そのものにつきましては、第十二国会におきまして詳細申し上げました際、さらに他の政府委員からも詳細御説明申し上げましたが、参議院の側における修正点につきまして、本来ならば、参議院の修正提案されたる方々が御説明に当るべきでありますが、その長き期間慎重審議に際し、政府委員といたしましても関係をいたしましたので、便宜上修正点を要約して申し上げたいと思います。  この修正点は三つございます。最も簡單なる修正点は、附則の改正でありまして、これは継続審議の結果、当初の施行期日を、継続審議にいたしました結果、施行期日をおのずから変更せざるを得なくなりまして、昭和二十七年四月一日に延期するのやむなきに至つた当然の修正であります。  次に残る二つの修正点のうち、第一点は、この法案の十四条の二に規定いたしております継続費制度の問題でございます。継続費につきましては、新しくこの法案の改正によつて継続費制度が起されたわけでございます。原案におきましては、数年度にわたつて継続費は支出することができるという条項になつておるのであつて、継続費につきましては、何ら年限について制限が付してなかつたのでありますが、参議院における審議の結果、これを「当該会計年度以降五箇年度以内」というふうに制限をいたしたわけであります。しかしそれでは予算の運用上不便を生じますので、「但し、予算を以て、国会の議決を経て更にその年限を延長することができる。」こういうふうに但書を加えておるわけでございます。この意味では国会の審議権を尊重されておるという趣旨に、解釈ができるわけでございます。  第二は、さらに右の継続費につきまして、その年度割を後年度におきましても審議し、場合によつては修正議決できるという点を明らかにするために、特にこういう条文を設けて加えたのであります。「国会が、継続費成立後の会計年度の予算の審議において、当該継続費につき重ねて審議することを妨げるものではない。」こういうふうにいたしております。以上三点が修正の点でございます。なお詳細必要がありますれば、法規課長も見えておりますので、御説明申し上げます。
  59. 佐藤一郎

    佐藤(一)政府委員 ただいま政務次官から申しましたが、私からちよつと補足して申し上げます。附則の改正につきましては、特に御説明を申し上げる必要はないと思いますので、一番議論になりました継続費につきまして、重要な二点の修正について御説明申し上げます。  最初は、年限を制限するという修正でございます。これにつきまして政府といたしましては、予算審議の際に、どうせ個々具体的に継続費についての審議は行われる。従いまして政府が十年で出しましたものを、五年に国会が御修正になることはできるわけでございます。これは予算審議において十分できるという考え方のもとにおいて、継続費については特別の年限の制限を設けなかつたわけでございます。これは旧憲法下におきまして認められました継続費においても同様でございました。参議院におきまして修正して、五年ということにされたわけでございますが、継続費につきましても、あまり長期間のものを認めることは、国会の審議権を実際問題として拘束するおそれがある、こういう議論もございまして、一応五年間ということに限られたのでございます。しかしながら予算の内容というものはきわめて複雑多岐でございまして、必ずしも五年に限るということが一律にできるということばかりも言えませんので、場合によりましては国会が予算の形で議決をいたしまして、この五年という年限を延長することもできるということになつております。但書によつて、いざという場合を十分救えるようになつております。そういう意味からいたしますと、実体的にはほとんど政府考え方と違いがないということになりますので、私どももこの修正には特に反対をしない、こういうふうに考えておるわけであります。  それから次の重ねて審議することができるという点でございます。これについては継続費制度につきまして一度五年なら五年、十年なら十年という年割額のきまつた予算が議決になりました場合において、後年度以降その年割額を国会といえどもあらためてこれを審議し、かつ修正することができないという、極端ないわゆる継続費中心主義的な考え方が成り立つわけであります。そういう考え方は形式的には成り立つのでありますが、実際問題としては非常に困るという議論が、参議院では大部分でございました。もちろん国会が最高の機関である現在におきまして、国会が毎国会自分自身が前の国会においてすでに議決したことについても修正し、審議できるという権能を当然保留する必要がある。しかしながら継続費については、特にその点について多少の疑いを持つおそれもあるのですけれども、特にこういう規定を念のために置いておいたらどうか。重ねて審議できるという表現を、そのために特に使つてあるわけでございます。これにつきましては政府といたしましては、特にこういう規定がなくともできるという考えを、前から持つておりましたが、内容につきましては何ら反対すべき筋はございません。大体以上が修正のおもなる点でございます。
  60. 佐藤重遠

    佐藤委員長 修正点の説明は終りました。これより本案に対する質疑に入ります。
  61. 川島金次

    川島委員 ちよつとこの機会に若干お尋ねしておきたいと思います。この事柄について私があらためてお尋ねをすることは、若干筋の通らないところもあろうと存じますが、私は前国会で本案の直接の審議に当つておりませんので、それを了承されまして、この機会の質問することを御了承願いたいと思います。  それは「国は、工事、製造その他の事業」とありますが、工事ということについてはわれわれも常識上の判定ができるのですが、製造となると、なかなか広汎なものになつて行くのではないかと思うのです。たとえば平和的産業に関連のある製造もあるでしようが、またそうでない、いわば物騒なものの製造を行うことがないとも限らぬと思うのでありますが、この製造はいかなる物体の製造にも、これが適用されることになるか。その点は本来ならば、私はこの製造の問題について、また工事の問題についても、ある程度の制限を付すべきではなかつたかと思うのですが、これによると工事、製造一切何の制限もなしに、工事と名のつくもの、製造と名のつくものは継続費を計上して、それが可決されれば実施に移されるということになるのでありますが、どういう見解でそういう制限を設けなかつたかということについて、お尋ねをしておきたいと思います。
  62. 佐藤一郎

    佐藤(一)政府委員 ただいまの点は、年限のときにもちよつと申し上げたのでございますが、予算の内容というものは非常に複雑多岐である。そこでその予算そのものの内容は、国会において予算審議として特別に審議されるわけであります。その際に適当でない内容のものであれば、国会がこれを削減せられることは少しもさしつかえないわけでございます。それで個々の具体的な内容につきましては、予算の審議においてお取上げ願うということにいたしまして、特に法律においてこれを制限するということは、予算の提案の内容を制限することにもなりますし、不適当であるということで、特別の制限を設けなかつたのであります。
  63. 川島金次

    川島委員 もう一つお尋ねしますが、「その完成に数年度を要するものについて、特に必要がある場合」とある。今提出されている財政法改正ができたものとして編成されております今度の予算の中で、私の記憶違いでないとすれば、継続費は確かに一方が三箇年、それから一方が四箇年ではなかつたかと私は記憶しているのです。そうすると今政府の出しておる予算において、三年で完成し、あるいは四年で完成するのにかかわらず、継続費として出ておるということは、この「数年度を要するものについて、」という事柄と抵触するのではないか、こういう感じがするのですが、その点はどういうことでしたか。正直に言うと私もうつかりしておりまして、確かにそういう予算ではなかつたかと記憶しておるのですが……。
  64. 佐藤一郎

    佐藤(一)政府委員 今回提案になつでおります継続費には三年のもの、四年のもの、五年のものとございます。たしか関門トンネルは五年であつたと思います。それで数年度という言葉の使い方、これは漢語の解釈になるわけでございまして、数という字をどの程度に解釈するか、漢語の専門家解釈があろうと思いますが、御承知のように旧憲法時代からこの継続費の規定がございまして、そのときからこの数年度という意味を三年も四年もあるいは十年のような場合にも、非常に広く解釈して来ておるわけであります。それで財政法の見地からいたしますれば、この数年度というものは厳密な意味でなく、非常にゆるやかに考えていいのじやないか、こういうふうな気持で規定をしているわけであります。
  65. 川島金次

    川島委員 そうすると現に予算に載つておりますのは、今申されたように最低のものが三年、最高のものが関門隧道でしたか、それが五年ということで、数年の数という言葉は五年ないし六年あるいはそれ以上で、それ以下のものを数という言葉で表現することは、われわれの社会通念ではあまりないわけです。われわれの社会生活においても、たとえば二日、三日間を要する場合にはこれを数日要するとは言わないのが、われわれの社会的通念であります。それがこの文章から行くと数年とある。しかも今の予算に計上されている継続費との関係は、最低が三年で最高ですらも五年、その事柄とこれとは通念から行きますと、どうも大きな矛盾があるように私は感ずるのです。この数年という表現の仕方は非常にあいまいなものを包んで行く形になるのではないか、何かもつとこれは明確にすべきではなかつたかと私は今気がついておるのです。数年といえばたれも五年以上と感ずる。二年ないし三年ぐらいのものを数年度とは、われわれの通念では考えられない。同時にまた法律の表現としても適当とは感じられないのですが、その辺の見解はどうですか。
  66. 佐藤一郎

    佐藤(一)政府委員 いろいろそういうお考えも成り立つかもしれませんが、私どもといたしましては一種の例示的に、まあわかりやすくというとおかしいのですが、旧憲法のときから用いておりまして、大体多くの場合やはり数年度のものが従来も多かつたのでございます。五までが数に入つて四は入らぬかどうか、そこらは私もはつきり申し上げかねますが、しかし大体五年くらいのものが従来の継続費の例では大部分でございます。特異な例もあるわけでありますが、従来からそういう考え方で来ておるわけでありまして、そうした気持を法文の上で例示的に現わじたものというふうに、お考え願いたいのでございます。
  67. 川島金次

    川島委員 私は議論をするつもりはないのですが、そうすると今後二箇年で終ることについても、三箇年程度で終ることについても、政府はこの「数年度を要するものについて」ということによつて継続費を計上する。そういうことになると、今の人はそういう説明を聞いてわかりますが、われわれ以外のもの、あるいはまたこれに携わつておらなかつた当局は、そういう点の通念上から言つて、非常に錯覚を起す問題をここに残しておるのではないかと思うのです。これをむしろ明確に、三年以上を要するものとか、四年以上を要するものについては、というふうに改めて行つた方がきわめて明確で、法律の用語としてもその方が条文として整いがあるのではないかと思うのですが、課長の意見はどうでございましようか。
  68. 佐藤一郎

    佐藤(一)政府委員 今申し上げましたように、大体継続費の制度がどういうふうに運用されるかということを頭に置いて、例示的に掲げた規定でございます。従いまして政府としては非常に幅を広く考えておる。また三年ないしは四年以下はいかぬというふうに最低限を設けることは、継続費の制度を認めた建前からしても、政府としてはそういう考えを持つておらぬわけでございます。特に二年のものはいかぬ、三年のものはいかぬという気持は持つておりません。従来からこういう例示的な規定で、ずつと了解をされて来ておるものであるだけに、その表現を使つたようなわけでありますから、ただいまのところはこの案のままでいいのではないか、こう考えておるわけであります。
  69. 川島金次

    川島委員 どうもわれわれの常識から行くと納得しかねるようなものが若干残る気がいたします。  そこでまたこのお尋ねをすることもどうかと思うのですが、ついでですから承つておきたい。工事と製造はわかりましたが、工事、製造以外のその他の事業ということになりますと、例示的に申されますとどういう事業になりますか。
  70. 佐藤一郎

    佐藤(一)政府委員 従来の例でございますと、たとえば国勢調査を三箇年かかつてやるというような場合には、三箇年の継続費をとつておりました。補助金等につきましても、これは工事にもなりますが、同時に補助にもなるという場合がございます。直轄の工事に伴いまして、中央の幹線は国でやつて、そのまわりの地方的な用排水線路は地方がやる。これは補助金で行くというようなことも考えられます。それから御承知のように政府には各種の企業特別会計等もございまして、これらにつきましては、大きな工場の建設とかいろいろな事業の建設事業がある。そういうような点も頭に入れて規定してあるわけであります。
  71. 川島金次

    川島委員 法規課長にお尋ねすることは、これも若干筋違いの趣があるのですが、この法案を審議する経過の中に、そういう考え方に疑問があつたということを、私は速記録に残しておきたいと思うので、お尋ねしておきます。  それは、なるほど国会法の各法規を根拠にいたしますと、前国会に審議未了となつた案件を継続審議に付して、しかもそれが衆議院で先議されて参議院の継続審議にまわる。しかも参議院においては大幅な修正をされて来たというのが、今度のこの財政法会計法等改正です。しかも私の率直な感じでは、何か法文を大幅な広義の解釈をして、牽強附会的な継続審議で、しかも参議院においてそれが修正となる。そういう場合には、私は別な立場に立つて政府はあらためて新たなる法案として、衆議院にまずこれを提出するという形で行くべきでないかということを感ずるのであります。それと同時にもう一つは、財政法はかりそめにも他の一般的な経済法、税法等と違いまして、少くとも予算を編成いたします不可分の重要な骨格をなすものである。しかもその予算の先議権が衆議院にあることは、憲法上明白に規定されている。この衆議院の予算の先議権という精神解釈から言いますならば、少くとも予算の編成にあたつての不可分の関係にある根本的な、しかも財政法改正のごときは、この憲法の先議権の精神にかんがみまして、当然この法の先議権も衆議院になければならない、こういうふうにわれわれは、憲法で衆議院における予算先議権の確立されたこの明白な法文を解釈いたすのであります。この事柄については、一応国会法の現状では著しい違法性というものを発見することは、まことに困難のようでありますが、本来の憲法の先議権の精神からいえば、そうあるべきではないかという感じが私にはいたすわけであります。そういうことについて、多年の経験を持たれ、その方面の立場におられる課長の私見でけつこうですから、この機会に漏らしてもらいたいと思います。
  72. 佐藤一郎

    佐藤(一)政府委員 前の問題でございますが、これは国会の手続の便宜の問題だと私は考えるのであります。すでに継続審議の制度国会法が認めたのでありますから、もちろんわざわざ提案をしなくても、これを提案があつたものとして扱うような一つの手続方法を、国会法において規定されるということは、私は国会のお考えとしてもつともじやないかというふうに考えております。  それからあとの問題につきましては、これは私個人の考えとしては、川島さんのお考えに同感であります。現に英国のごとく、議事規則において予算とそれに関連する金銭法案というものは、同じに扱うような例もあるわけであります。しかしながらこれは立法論として国会法の問題でございます。
  73. 深澤義守

    ○深澤委員 関連して一点だけ……。法案を出す場合においては、大体そうした法案が出なければ非常に不都合な事実があると私は思う。そこでこの財政法改正に伴いまして、今川島くんからもいろいろな議論がありましたが、第十四条の二に「国は、工事、製造その他の事業」ということがあります。工事は大体わたしますがこの製造等の問題について、数年を要して継続して費用を出さなくちやならぬというようなものは、どういうようなものを予想されているのであるか。その点だけをお伺いいたします。
  74. 佐藤一郎

    佐藤(一)政府委員 製造につきましては、今のところもちろん予算にも計上してございませんし、私どもといたしましては具体的なものは考えておりません。参議院におきましては、平和的な原子機械をいまに国がつくるかもしれないなどということを、議論された方もおりました。しかし政府としては、今直接には考えておらないわけであります。申し上げましたように予算の内容にどういうものが計上されて来るか、これは私たちとしても今後を予測できかねます。しかも今川島さんのおつしやいましたように、法律によりましてこの継続費制度内容をあまりに制限いたしますことは、政府の予算提案権並びに衆議院の予算審議権を、それを通じて間接的に制限する結果になると思うのであります。むしろ予算については何でも政府は提案することができる、しこうして衆議院はこれを何でも審議することができるという建前をとつておいて、そうして予算の審議の上においてこれが適当でないという場合は、適当にそれを修正、削減されるということが妥当ではないか、こういう考え方になつております。
  75. 奧村又十郎

    ○奧村委員 ただいま議題となつております財政法会計法等財政関係法律の一部を改正する等の法律案につきましては、先ほど委員長から言われましたように、十二国会末に本委員会に付託され、全会一致をもつて可決された後、参議院の継続審査を経た後、参議院より送付された法律案であり、修正点についての質疑は大体尽されたことと思われますので、この際、本案に対する質疑は以上をもつて打切られんことを望みます。
  76. 佐藤重遠

    佐藤委員長 ただいまの奥村君の動議のごとく決定するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  77. 佐藤重遠

    佐藤委員長 御異議ないようでありますから、本案につきましては以上をもちまして質疑を打切ることといたします。     —————————————
  78. 佐藤重遠

    佐藤委員長 次に、午前中に引続き所得税法の一部を改正する法律案外三税制改正案を議題として、質疑を続行いたします。深澤義守君。
  79. 深澤義守

    ○深澤委員 税法改正について、主税局長一つお伺いしたいのであります。まず私は国民所得と税收入との関係についてお伺いしたいのでありますが、御承知のように政府は二十六年度の国民所得を四兆六千五日六十億に見ておつたのでありますが、二十七年度は五兆三百四十億にこれが膨脹すると見ております。それに伴いまして予算の規模が、二十六年度の七千九百三十七億から、二十七年度は八千五百二十七億に膨脹しております。また税收入の見積りにつきましては、昭和二十六年度の五千五百十九億から、六千二百七十七億に増收するというぐあいに算定しておるのであります。予算の規模にいたしましても、税收入の見積りにいたしましても、国民所得というものが基礎になつているのではないかというぐあいに、われわれは理解しておるのでありますが、税收の担当者である主税局長は、国民所得と税收との関係をどういうぐあいに考えられているのか。そうして技術士から申しましても、この国民所得からどういうふうにして税收入というものを割出しているのか。その点についてまずお飼いしたい。
  80. 平田敬一郎

    平田政府委員 国民所得の大体の推移が財政政策、租税政策その他の上におきまして、重要な一つの判断資料になるという意味におきまして、国民所得調査及びその結果が、重要な関係があるということにつきましては、申し上げるまでもないところだと存じます。ただ私どもこの税收を見積ります場合におきましては、国民所得計算に漫然と乗つかるということはやつておりません。これは先般もたびたび御説明申し上げましたように、過去の課税実績をもとにいたしまして、それから一定の予想を立てておるのでございます。予想を立てる場合におきましては、国民所得も同じく過去のある年の実績をサンプリングで調べまして、それから推定いたしておるわけでございますが、将来のものはやはり一定の生産物価等の趨向を見まして推定いたしておる。従いましてほぼ同じような——完全には同じではございません。課税所得と国民所得は若干は違つておりますが、ほぼ同じような方法で税收の見積り等をつくるということは、申し上げることができるかと存じます。どちらかと申しますと、国民所得は大まかな達観材料としまして、相当有力な判断材料になるし、非常に細目にわたります具体的な課税におきましては、やはりそれぞれ必要に応じまして、必要な角度からいろいろな調査をして行くということに相なるわけでございます。何でもかんでも全部国民所得の上に乗つけておるというわけではないということを、御了承願いたいと存ずる次第であります。
  81. 深澤義守

    ○深澤委員 もちろん何んでもかんでも国民所得の上に乗つけて行くということは、われわれも考えていないのであります。しかしこの予算説明書その他を見ましても、国民所得の膨脹というものが予算規模の膨脹となり、税收の膨脹となつて来ておるということでありますから、一応われわれは、国民所得というものを明確にしておかなくてはならぬと思うわけであります。そこで私は政府が発表したところの国民所得考えてみますると、勤労所得でも俸給なら俸給をもらう。その俸給者が生活の物資を買いますと、それが営業所得になつております。それからまた営業者がいろいろな法人企業から物を買う。それがまた法人所得になるというぐあいになつて、結局国民所得というものは、日本の貨幣の流通の総額であるということにすらわれわれは考えるわけです。従つて国民所得というものは、必ずしも私は国民の担税力を意味するものではないというぐあいに考えるわけです。ちようど通貨が流通する、その総額が大体分配国民所得という形において形成されているのでありますが、こういうぐあいに計算して参りますと、金を長い間持つている時期においては、分配国民所得というものはおまりたくさんにならない。ところがふところへ金を持つている時期が非常に少い、火の車のようにぐるぐるまわると、国民所得は非常にふえて来る。だから国民所得が多いということ自体は、むしろ国民が非常に経済上には苦しいのだ、担税能力からいつても、非常に苦しいことを表現するのだというぐあいに解釈できるわけです。ところがそれを政府は、いや国民所得が増大したから税金は多くとるのだという見解を持つとすれば、どうも私は実情に即さないのじやないかという見解を持つのですが、その点は一体どういうぐあいに考えられますか。
  82. 平田敬一郎

    平田政府委員 国民所得が一体どういうものであるかということは、技術的に申し上げますと、むずかしいところがいろいろある。算定方式の非常に細部にわたる点につきましては、経済学者の間におきましてもまだ若干の差がありますことは、深澤さん御承知通りかと思います。しかし基本としましては、やはり国民所得は一年間に物資とサービスと申しますか、財貨とサービスの生産された純価値と申しますか、重複を控除しましたものが各生産諸要素に配分されて行く。その分配点を押えまして計算しておりますのが、今の分配国民所得でございまして、これは通貨の流通速度とは直接関係ない。もちろん国民所得がふくらみますと、通貨の方がそれに応じてふくらんで行くということもございましようし、それから物価が上りまして、国民所得が名目的にふくらんで行くということもございまするし、そういう面におきまして、通貨の問題と非常に緊密な関係があることは言うまでもないのでございますが、ただ国民所得自体というものは、あくまでも年々生産されますところの有形的な物財と無形的な勤労価値、サービスの価値、それの重複を控除しました純価値の合計でありまして、これを生産国民所得という言葉で表現しております。若干年度のずれはございまするが、分配国民所得は、このようにして生産されました純経済価値が各生産諸要素、俸給なり賃金なりあるいは地代、家賃、配当、利子、あるいは独立の事業所の場合でありますれば、専業の純利潤等の各生産諸要素に分配され、そういうものの総計がいわゆる分配国民所得でございまして、これは担税力と申しますか、あるいは経済力の指標としましては、今日においては一番有効なものとされておりまして、国際的に国力の比較等をします場合におきましては、やはり国民所得が現在は一番大きな基準になつております。たとえば通貨払込みの際の基準、あるいはいろいろな国際的な会費を負担する場合の国の基準としまして、最近では大分国民所得が用いられているようでございます。そういう点からいつて、国民所得はやはり担税力の基礎といたしましては、相当重要な一つの指標である。ひとり担税力のみならず、国の経済力の指標としまして最も重要な指標である。ただその算定をどういう方式でやるか、実際算定されました国民所得の金額、数字的に出て来ましたものが、はたして私が今申し上げたようなものを正確に現わしているかどうか、見積り方法がいいかどうか、こういうことになりますと、実はいろいろ問題があるわけでありまして、わが国の国民所得の算定方法は大分最近は進歩して参りましたが、なおまだ実証的あるいは理論的には問題の余地が残つているようでもございます。従つてそういうゆえにこそ、全体として概観いたしますような場合におきましては、国民所得というものは相当有力な参考になるかと思うのですが、細部にわたりまして非常にこまかい問題になつて来ますと、必ずしも国民所得に依存するわけにも行かない場合が相当ありますことは、私どもが先ほど申しましたような次第でございます。この国民所得というものは、私どもとしましては大体今のところそういうものと、実は観念いたしておる次第であります。
  83. 深澤義守

    ○深澤委員 そこで私は国民所得のこまかい議論につきましては、ここであまりやる考えを持つていません。しかしとにかく国民所得の増大ということが、国民の経済力の内容が充実をしているのだという観点に立たれて、これから税金はとれるのだという見解を持つておられますが、私は最近新潟に参りまして、農民諸君との懇談会をやつたのでありますが、新潟の各税務署は大体去年の收入の六割増しを農民に要求しております。また山梨県におきましても、税務署は昨年度の六割増しを大体予定しているようであります。そのようにして結局国民所得というものが国民の経済力の充実の指針であるという見解で、ただちにこれは担税力の充実である、従つて相当の重税を要求しているという形になつて、実は現われて来ているのであります。そこでわれわれは、なるほど生産あるいは物価指数その他を見ますると、国民所得の増大という計算が出て来るのでありますが、国民生活の末端に参りますと、その実情が非常に違つているという現実にぶつかりまして、どうも政府のやることが形式的であり、結局机上の立論であるという見解を持つているのであります。  私はなお税制問題についてお伺いしたいのであります。今度基礎控除を五万円にされ、扶養控除を三人までは二万円にされたということでありますが、基礎控除というものを、大体政府当局はどういうぐあいに考えられているかという問題であります。これが国民生活の最低を保障する額であるというぐあいに考えられて、基礎控除というものを運用されているのか、その根本問題をお伺いしたいのであります。
  84. 平田敬一郎

    平田政府委員 最初に地方で去年に比べて所得を大分ふやして、査定しているのじやないかというお話でありますが、私はそういう具体的な問題になつて来ますと——別段国民所得の全体の動きといつたようなことと関係がないわけではございませんが、実はそういう頭で問題を処理しているわけではございません。農家の実收が前年と本年と比べまして、はたしてことしは幾ら作物がふえているか、その値段が幾割上つているか、それに対しまして農家の使う生産費と申しますか、必要経費がどういうふうにふえているか、そういうものを具体的にできるだけ調べまして、そういうものに基きまして、農業所得の適正な査定ということをいたしているわけでございます。国民所得も同様な方法で、やはり同じくサンプリング調査メソッドによりまして、一定の標準的なものをもとにしまして、国民所得も同じく積み上げて計算いたしておる。国民所得の方から先に断定して、課税所得をきめてしまうというふうには考えていないということを、御了承願いたいと思います。課税所得の、ことに具体的な税務署の査定の場合におきましては、もう少し精密と申しますか、実地におりましたやり方でやつておるということでございます。ただ同じ所得を求めることになりますので、大体の方向は国民所得の算定の場合と同じような結果が出て来ないと、おかしいと思いますが、国民所得、ことに農業所得は減ると見ているが、課税の上では全体としてふえるという結果になりますと、従来課税漏れがあつたということ以外には理由がない。そういう意味におきまして関連はあると思いますけれども、実際問題といたしましては、国民所得の方を先に見積つてきめて、それで実際の課税をきめるというのではないのでございまして、その点御了承願いたいと思う次第でございます。  それから今お尋ねの基礎控除の問題でございますが、基礎控除扶養控除をどうするかという問題は、所得税の負担をどうするかという問題に関連する、最も重要な問題の一つでございます。これに対していろいろ見解の相違がございまして、国会におきましても、人によりまして控除の性格というものにつきましては、実は相当いろいろな見解がある。でありますが、所得税におきましては、私どもやはり一定のところまでの生活費はなるべく課税の対象にしない。しかしその生活費というものをいわゆる最低生活費と見るかどうか。これは最低生活費という表現を使いましても、それが一体何であるかということになりますと、またなかなか帰一するところがないのでむずかしい問題になりますが、なるべく低い生活費の部分には、所得税はかけない方がいいだろうという観点から問題を考えておりますのと、もう一つはそのときの財政事情によりまして、所得税においてどの程度の收入を期待しなければならぬか——財政收入の必要、この両面から考えまして、そのときの妥当な控除額をきめる、実はそういう考え方が毎年考えておるような次第でございます。所得税はもちろん国家公共団体費用に充てるわけでございますが、国家公共団体のサービスも、一種の国民の最低生活費の一部ではないかという見方をする人も中にございます。シヤウプ勧告に関連しました学者の一人に、そういう見解を持つておる人もいたようでございます。従いましてなかなかその辺は問題がありますが、しかし低い生活をする程度の所得につきましては、所得税はなるべく課税しないか軽くする、所得が多くなるに従つて高く課税するというのが、所得税の基本的考えでございますので、先ほど申し上げましたような観点から、そのときそのときに応じまして妥当な控除額をきめて行くというのが、現在の私ども考え方でございます。
  85. 深澤義守

    ○深澤委員 私は端的にお尋ねしたいのでありますが、基礎控除扶養控除がいわゆる憲法に規定されておる健康にして文化的な生活の何割を大体予定されておるのか、それともこの基礎控除扶養控除がいわゆる憲法に規定されておる生活相当するものであると考えられておるのか、基礎控除というものの根本観念をまずお伺いしたい。
  86. 平田敬一郎

    平田政府委員 根本観念は私が今申し上げた通りでありまして、これはパリテイ計算のような一定の方式で厳重にやると出て来るという性質のものではなく、今も私が申し上げましたような見地から、妥当なものをきめて行けばいいのではないか。それから控除しました残額に対しまして、いきなり全額課税するわけではございませんで、最低の税率は二〇%でございます。従いまして私はお話のように控除額を、それほどきゆうくつに考えなくてもいいのではないかというふうに見ております。
  87. 深澤義守

    ○深澤委員 そうすると、政府は毎年のように基礎控除扶養控除を上げて来たのですが、これは毎年上げて行く考えを持つておるのですか。
  88. 平田敬一郎

    平田政府委員 財政上減税の余裕が出て来るような場合におきましては、まずどの税をどういう方法で軽くするかという問題があるわけでございます。先般も奥村さんとも議論したかと思いますが、なるべく公平な税金ということになりますと、やはり所得の少いものが比較的担税力が低いのが一般の原則でございますので、控除額を引上げることによつてその分をまつ先に減税して行く。これが減税する場合一番の正道ではないかと思います。従いましてこの数年相当な減税ができますので、毎年控除額を引上げまして、大部分の減税をいたして来ております。そういう方針をとつて来たわけであります。今後さらにそういう場合においてどうするかということになりますと、やはり負担の状況、そのときの実際の生活の状況等を見た上で、決定すべきものであろうと思いますので、どうも今から断定的に申し上げることはどうかと思います。しかし原則論は私が今申し上げましたような趣旨でございますので、減税するとすれば、控除引上げるというのが、一つの有力な考え方であろうというふうに存じております。
  89. 深澤義守

    ○深澤委員 そこで一般的な問題についてまず先にお伺いしておきたいと思います。行政協定の進行に伴つて租税協定というものが取結ばれるやに、われわれは聞いておるのでありますが、この租税協定の方は、現在どういう進行状態になつておりますか。それからもし原案があるとすれば、政府はどういう原案をお持ちになつておりますか。その点をひとつお聞きしたいと思います。
  90. 平田敬一郎

    平田政府委員 アメリカの駐留軍に関係しました課税の問題は、行政協定の中に必要な条項を入れるという予定でございまして、目下その具体的なことを協議中でございます。まだ最終的にまとまらない部分がございまして、公表するまでに至つておりませんので、御了承願います。  それから租税協定と申しますと、もう一つ、そういう行政協定関係なく、実は国際間の二重課税を防ぐための租税条約と申しますか、所得税、法人税、相続税などにつきまして別個に条約を結ぶ。それを行政協定とは別に目下取進めております。これは下打合せの段階にしかすぎないのでございます。アメリカと日本の場合におきまして、経済の取引が頻繁になりますと、一体どこで課税するか。お互いに二重に課税しますと、納税者の負担が非常に高くなりまして、経済交通を阻害しますので、二重になる分をどのようにして調整するか、そういう問題につきまして、別に租税条約というものを結びまして調整をはかりたい。先般も申し上げましたように、所得税、法人税は、所得の発生地において優先して課税する。しかし住所地、本店の所在地におきましては、やはり外国において生じたものも、全部総合して課税するのでございますが、発生地において課税した分を、お互いに総合して課税する際に控除しよう、そういう方法によりまして二重課税の徴税を避けたらどうかという方向で、目下下打合せを進めているような事情でございまして、これも講和条約発効後なるべく早い機会に、とりきめの段階に行けるように進めたい、かように私ども考えている次第でございます。
  91. 深澤義守

    ○深澤委員 そうすると、行政協定に基く租税問題は駐留軍関係のみにとどまる、それから外国の商社等が、日本商社の株券を所有したり、あるいはまた経済行為を行つているのでありますが、そういうものは、今後の租税条約によつて決定して行く、こういうようなことになつておるのですか。
  92. 平田敬一郎

    平田政府委員 大体その通りでございます。ただ駐留軍に関連しまして、駐留軍の工事をやるために特別な民間の人が来た場合にどうするかという問題が、若干行政協定に関連してございますが、一般の取引に関連しました外国人の課税問題は、全部一般の租税条約によるということに相なるかと存じます。
  93. 深澤義守

    ○深澤委員 次に外国人の問題について、特に御質問申し上げたいのであります。外国の商社あるいは外国の個人が、日本法人から受ける配当についての課税の問題があろうと思います。この大蔵省から出されました税制改正案の細目の所得税の項の中における配当——日本法人から受ける配当というのは、外国の個人並びに商社だろうと思いますが、これはどのくらいの額を予定しておるのか。その点をひとつお伺いしたい。
  94. 平田敬一郎

    平田政府委員 的確な調査資料は今持つていないのでございますが、配当につきましては、今回新しく二割を源泉課税いたしますので、それによりまして日本の会社の配当を外国法人及び個人が受ける場合には、二割の源泉課税を行う、但し租税特別措置法で、日本経済の再建に望ましい投資の場合におきましては、一割に軽減する規定を設けておるのでございますが、一般の場合におきましては、二割の源泉課税を行うことに相なるかと思います。今の分は少し的確な数字を調べまして、お答えを申し上げたいと思います。
  95. 深澤義守

    ○深澤委員 この配当所得に対する税額は、あなたの方から出されている数字では、大体百二十億になつておるのであります。これは全部の配当所得でありますから、日本商社、日本の個人の分も全部入つておりますが、この百二十億のうち、外国の商社あるいは個人等の配当に対する課税がどのくらいの額に達しておるかを、後日でよいのですから明確にしていただきたいと思います。私の方の調査によりますと、外国の投資家が日本の資本金一千万円以上に達している十数社にわたる株券を、五〇%以上も取得しているという事実があるのでありまして、これは相当多額に上つておるのではないかと考えますので、この百二十億の配当所得の全税額の中で、外国人の所有する株券その他に対する配当の税額がどのくらいになつておるか、この点をまずひとつ明確にお聞きしたいのであります。  次に、これも後日でよいのでありますが、お伺いしたいのは、特許権その他工業利用権の使用料に対して課税をしておるのであります。たとえば具体的な例を申し上げますが、ある会社が外国の商社と契約をして、その会社が相当の投資あるいは協力をするということで、ロイアルテイという形において相当の額の支払いをすることをとりきめております。これは特許権あるいはその他の技術等の代償ということも意味するでありましようが、政府としては、それを特許権あるいは工業権の使用料として考えられておるのか、どういうぐあいに考えられておるのかという点を、ひとつお聞きしたいのであります。
  96. 平田敬一郎

    平田政府委員 今のお話の点は、具体的にはもう少しお伺いしないとはつきりしないかもしれませんが、大体特許権の使用料及びこれに準ずべきようなものは、今回の改正によりまして課税することに相なる見込みでございます。
  97. 深澤義守

    ○深澤委員 もつと具体的に申し上げますが、たとえば東洋レーヨンがデュポン社と提携しまして三百万ドル日本の金にすれば約十億円のロイアルテイの支払いをすることになつておるのであります。それの第一回分五十万ドル、一億八千万円を支払つたという事実があるのであります。これらは一体特許権あるいは工業権の使用料として、課税すべき性格のものではないかとわれわれは考えるのですが、これはどういうぐあいにお考えになりますか。
  98. 平田敬一郎

    平田政府委員 工業所有権その他の技術に関する権利、もしくは特別の技術による生産方式及びこれに準ずるものの使用料に対して課税する、こういう法文の表現にいたしておりますので、お話のようなものは原則として課税になるかと存じます。ただ非常に例外的な場合におきましては、やや法律上疑義のある場合があるかもしれませんが、そういうものにつきましては、具体例に応じまして判断したいと思うわけであります。原則は大体この条文で課税されることになるかと存じます。
  99. 深澤義守

    ○深澤委員 そういう実例が非常にたくさんあるわけでありますが、一体これに課税しているのかしないのかということが、はなはだ不明確なのであります。こういうものの課税の状況は一体どういうふうになつておるか、その課税額はどのぐらいあるかということを、ひとつ明確にお知らせ願いたいと思います。
  100. 平田敬一郎

    平田政府委員 そういうものは実は今までは日本に住所または営業所のあります場合においては、課税していたのでありますが、日本に住所または営業所がなかつた場合には、今までの税法では課税していなかつたのであります。しかしこれはやはりその有する所得は、日本において生じた所得であるという趣旨からして、今回所得税法改正いたしまして、そういうものに対しましても課税することにしようというのが、今回の制限納税義務者の課税範囲を拡張するという趣旨でございます。そうして二重課税の防止協定を結びまして、日本で課税のあつた分は、アメリカの税額から控除してもらうことによりまして、負担の調整をはかることにいたしたい、かように考えております。
  101. 深澤義守

    ○深澤委員 今まで課税されなかつたということは、日本にとつてはまことに不幸な問題であると考えるのであります。こういう条件において日本から相当所得が生れるということになりますと、こういう利潤を当て込んで侵入して来るところの外国資本があると私は思う。ところがこの資本が日本経済の再建のために役立つ役割を果すならばよいが、むしろそうでなく、日本商社を牛耳つて日本商社から超過利潤をせしめて行くという結果になりますので、この点を具体的に御調査願いまして、この税法改正を行われると同時に、どの程度のものがこの対象になるのか、その税額はどの程度になるかということは、当然お見積りになつておると私は思う。従つてその点の資料を具体的に御提出願いたいと思いますが、それができますかどうか。その点をひとつお答え願いたい。
  102. 平田敬一郎

    平田政府委員 わが国の所得税法は、実は昔からこういうものにつきましては必ずしも課税しないことになつていたわけで、日本において事業が営まれる場合におきましては課税していたのでありますが、日本で事業が営まれていない場合におきましては、日本において生じた所得でも課税しなかつた場合が多かつたのであります。しかしこれはやはり御意見通り日本において生じた所得については、日本においてまず優先して課税するという考え方が、妥当であろうという考え方からして、今回このような提案をいたした次第であります。なお課税することによつて一体どれぐらいになるだろうかということにつきましては、先ほどの配当と同じく、後ほどさらによく精査しましてお答え申し上げたいと思います。概算の資料はあるようでありますが、後ほどよく資料を整備しました上で、お答え申し上げたいと思います。
  103. 深澤義守

    ○深澤委員 それから非課税所得を拡張されたのでありますが、公職選挙の場合贈与を受けた金銭等は、これに対して課税しないということを、今度明確にされたようでありますけれども、これはおそらく今までも課税はしてないのじやないか。厖大に使う選挙費用に税金がかかつたというようなことは実情も聞かないし、その把握も困難だろうと思うのですが、この選挙資金に対して課税しないという趣旨は、どういうところから来ているのですか。
  104. 平田敬一郎

    平田政府委員 従来個人から選挙資金をもらいました場合におきましては、相続税を課税しないのでありますが、法人の場合でございますと、法人の贈与というものはどうも一種の利益の分配だという観念を強く考えまして、課税しないという規定を実は差控えていた。しかしながらやはり公職選挙の候補者が、選挙法に基きましてちやんと届け出たものにつきましては、法人からもらつた場合においても課税しない方がよいだろう。届出をしないやみの部分につきましては、よく調べまして課税すべきものは課税するというふうにすべきだと思います。それにしても、当然あからさまに公開的にやるものにつきましては、非課税にするという規定を設けた上で、はつきりした方がよいだろうという趣旨で、今回このような規定を設けることにいたした次第でございます。
  105. 深澤義守

    ○深澤委員 それから青色申告を提出した納税義務者が、その事業にもつぱら従事する親族に給与を払う場合においては、五万円を限度として必要経費に算入するということでありますが、たとえば農家等においては相当失業人口を抱えておりまして、次男、三男等がいるわけであります。これは給料という明確な形では支払つておりませんが、小づかいその他いろいろなものを支払つておるわけです。しかし農家の場合においても、そういう者に給料を支払うという形にすれば、その一人一人が必要経費として五万円を差引かれる、こういう結果になるのかどうか。この場合にはどういうことを予定されているのか。その点をひとつお話願いたい。
  106. 平田敬一郎

    平田政府委員 これは失業して、農業の手伝いもしていないで遊んでおる者が、小づかいをもらつておる場合には適用するつもりはない。当然外に行つて働けば收入があるのに、家にいて家業を手伝つて働いている、もつぱら農業に従事して仕事をしている、そして経営主から給料の支払いを受けている場合におきましてはこれを認めよう、こういう趣旨でございます。なかなか実際上の区分がしにくいのじやないかという点は確かにございますので、よくさらに実態を調べまして、私が今申し上げました基準に当てはまるように、運用の適正化をはかつて行きたいと考えておる次第でございます。
  107. 深澤義守

    ○深澤委員 これは農村の課税にとつて重大な問題になると思うのです。そこでその農業に従事するという限度ですが、これはたとえば日数に換算するよりほかないと思いますが、どの程度従事すれば、農業従事者として認めるのかどうかという問題が起つて来る。政府としてはどの程度を考えておられますか。
  108. 平田敬一郎

    平田政府委員 お話のような点は、法の運用におけるなかなかむずかしい問題でございますので、その認定の基準等についてもいろいろ具体的に調べまして、なるべく適正なものをつくりたいということで、目下検討いたしておるのであります。要するに実際親父さんの仕事にもつぱら従事して、しかもほかにはほとんど働きに出ていないということは、どういう状態であればそういうふうに認定するか、認定の基準の問題になつて参りますが、実効が出ます場合におきましては、もう少し具体的にはつきりさせたいと思います。今申し上げましたような観念で、できるだけ妥当なる認定基準をつくるようにいたしたいと考えておる次第であります。
  109. 深澤義守

    ○深澤委員 これは農業協同組合法等に、農業に従事しているという資格を認定する場合には、九十日以上従事するならば農業に従事しておると認めるという法文もありますので、それらが基準になることが私は望ましいと思います。この点は御検討を願うことにいたします。  それから自家用住宅及び自作農地を売却した場合云々という文句があるわけですが、現在の農地法によりますと、自作農地の売却というものはほとんど禁止されていて、税法だけで自作農地を売却あるいは交換ということをうたわれましても、事実上多くはこういうことはないのですが、この点はどういうふうに考えておられますか。
  110. 平田敬一郎

    平田政府委員 お話のような点が農地法において拘束を受けておりますことは事実でございますが、地方長官の認可等を受けて売却して新しく買いかえるというような例は、最近もぽつぽつあるように聞いております。なお今後農業経営の合理化をはかりますためには、やはりどうしても経営者との間の農地の適正な交換分合と申しますか、そういうことは非常に必要だと私どもも農林省の方からも聞いておりまして、そういう際における課税上の障害をできるだけ排除いたし、合理的な農業経営に役立つようにしようという趣旨で、譲渡所得税の課税におきましても、今申し上げたような改正を行おうという考えでございます。私どもは農業政策の見地からいたしましても、今後何らかの方法や手続等によつて、より促進される必要があるのではないかと考えておりまして、税法の側におきましてもそれらの趣旨に合うようにしたいというのが、こういう考えの基本になつておる次第でございます。
  111. 深澤義守

    ○深澤委員 そうしますと政府が農地の売買の制限を撤廃する傾向に動いているというぐあいに理解してよろしいのですか。
  112. 平田敬一郎

    平田政府委員 その点は私は必ずしもそういうふうに了解していないのでございます。一定の制限のもとに交換分合されるというような方向には、将来行く可能性が多いのじやないか、それは一向さしつかえないのじやないかというふうに考えております。しかし農業政策の基本に関する問題でありますので、もしも必要でございますれば、そういう点はなお農林省と打合せて、お答えしてもけつこうだと思いますが、税法としましてはそういう場合が相当あることを考えまして、あつた場合においても課税上障害にならぬようにしようというのが、この趣旨でございます。
  113. 深澤義守

    ○深澤委員 それから医師の社会保險に基く診療收入を源泉徴收するというのでありますが、この税率は一体どの程度を予定されているのか。その点を伺いたい。
  114. 平田敬一郎

    平田政府委員 これは前回申し上げましたように診療收入の一〇%ということで、法律案の方にははつきりそうなつておりますが、要綱の方にはそこまで書いておりません。
  115. 深澤義守

    ○深澤委員 それから外国で取得した所得を総合課税する場合には、外国で納付した税額を控除するというように規定の整備をするということですが、この点の説明をちよつとしていただきたいと思います。
  116. 平田敬一郎

    平田政府委員 その点は実は前につくりました要綱にはそういう字句が入つておりますが、あとでお出ししました横になつている大きな要綱の中からは、控除するという字句は落しておるのでございます。これはむしろ条約できめまして、条約ができ上つてからやつた方がいいのじやないかという趣旨で、今回はその事項は留保いたしております。反面日本において生じた所得に対して課税するということは、条約がきまる前にやつておきませんと前提が備わりませんので、その改正だけいたしまして、税額控除の方はむしろ個別的に条約できめ、必要に応じてそれを法律化して行くということにいたしたいと考えておる次第でございます。
  117. 深澤義守

    ○深澤委員 これは国税庁長官がおいでになるときの方が、明確になつていいと思うのですが、具体的な問題で少しお伺いしたいと思います。農業所得の算定にあたりましていつでも問題になるのですが、農業所得の算定の一番しつかりしたものは、私は農業統計事務所の数字だと思うわけです。ところが事実はこの統計事務所の数字を全然採用されないで、税務署が独自の数字をつくつております。そのために日本の穀倉地帯である新潟等におきましては、相当の問題をかもし出しているわけです。大蔵省としては農業統計事務所の数字を採用するという方針はとつておらないのかどうか、ひとつ伺いたいと思います。
  118. 平田敬一郎

    平田政府委員 御承知通り、正しい所得を見出すというのが税法の要求するところでありまして、作物でございますとやはり実收調査するという建前になつております。しかし同時に他の農林省の機関が同じようなことをやつている場合におきまして、それをそのまま利用するかしないかの問題でありますが、その辺は国税庁の方からお答えした方がいいかと思います。大した問題がない場合、他に有力な調べがありますればなるべくそれを利用する、しかしそれがその辺の評判なり、あるいは事実調べたところと食い違いがあると認めた場合におきましては、税務署独自の調べをするという行き方がよろしいのではないかと存じますが、最近はどうしておりますか。非常に具体的なお尋ねでございますので、その点は国税庁から別にお答えさせることにいたしたいと思います。
  119. 深澤義守

    ○深澤委員 農業所得の標準税率をきめる場合、新潟等においては従来相当問題がありましたので、農協並びに農民団体の代表者と税務署、国税局あたりと折衝をしております。ところがどうしても農業統計事務所の数字をそのまま採用しないで、税務署は税務署としての見解を固持しているわけです。しかし税務署が実收を調査しようとしたところで、それよりも専門家である農業統計事務所の調査の方が非常に確実であるが、農民自体もこの農業統計事務所の数字には実は承服していないのです。その承服していない数字をさらに上まわつた税務署の認定は、どうしても承知できないという立場をとつているわけですが、少くとも国家の機関が農業に関して専門的に調査をやつている、その数字すら認めないということになると、納税をする農民の方から考えますれば、まつたくこれは不当であると思うわけです。この点農業統計事務所の数字を大蔵省自体が採用するということの方が、首尾一貫するのではないかと考えるのですが、この点大蔵当局として十分御相談願つて、方針を決定していただきたいと思う。ほかの県におきましては、農業統計事務所の数字をそのまま採用するという例も相当あるわけです。穀倉地帯である新潟において、この問題がいまだに議論されておりますが、この点はひとつ主税局と国税庁が十分協議されて、方針を決定していただきたいと思う。その点についての御見解をもう一ぺんお伺いしたいと思います。
  120. 平田敬一郎

    平田政府委員 先ほど申し上げましたように、農林省で調べましたものが、その地方の風評あるいは税務署の個別的に調べた例等からいたしまして、その方で特別に異を立てるほどのこともないという場合におきましては、お話のようになるべくそういう資料を使うのが、相互に手数を省く意味におきましても、通常予想されることではないかと考えられます。ただ深澤さんはおそらく私どもよりも農村の実情を御存じでしようが、実際上相当供出以上に特別に販売しているという事実がありますれば、これは家計調査その他ではつきりわかつておりまして、そういうことが相当顕著になつておるような場合におきまして、供出基礎になりました資料をそのまま用いていいかどうかということになると、これはまんざらそればかりによれというわけにも行くまいじやないか。やはり所得税法はあくまでも実收をもとにして課税するという建前でございますので、そういう点につきまして、徴税官庁におきまして相当疑問のある場合におきましては、自己の責任におきまして正しいものを調べまして、正しい所得を見出すというのが、これまた徴税官庁の負わされた責任であるというふうに思いますので、必ずしもそれによれというのはいかがであろうかと感ずるのであります。その辺は現場の具体的な実際上の運用の問題でございますので、なお国税庁ともよく相談いたしました上で、別な機会に御返事申し上げさせていただきたいと思います。
  121. 深澤義守

    ○深澤委員 統計事務所の数字供出割当の数字になつていないのです。供出割当の数字はそれ以下の数字が採用されているのです。だから農業統計調査事務所の数字自体においても、農民は決して納得はしていないわけです。しかもさらにそれに税務署が上まわつた数字を出して、これが農業の所得税率の標準だというぐあいに出しておりますので、問題が起つておるのであります。そういう点は今申されたように十分に御相談を願いまして、何とか方針を決定していただきたいと私は思うわけです。その他まだありますが、国税庁長官の御出席を願いまして、具体的な問題をお聞きしたいと思います。  なお今度の税法改正に関連してお伺いしたいのであります。問題は砂糖消費税の値上げです。これは著しく国民生活を圧迫する結果になると思うのですが、どうして砂糖の消費税の値上げを決定されたか。その根拠をお伺いしたいと思うのです。
  122. 平田敬一郎

    平田政府委員 これはごく常識的に申しますと、皆さん御承知通り、現在は配給と自由販売と二本建になつております。配給の砂糖の値段はたしか六十七、八円、それから自由販売の砂糖の値段は百十二、三円になつているかと思います。その価格差の分は農林省の食管の特別收入になつておりまして、これが農林省の例のインヴエントリー・フアイナンスの財源になつている。二十六年度でたしか五十億円ぐらい予定しているかと思います。そういう形で一種の税と同じような特別利潤を、食管がとつておる制度でありますが、この制度を四月からやめて、みな自由販売にするという建前になつております。そのようなことになりますと、むしろこの際砂糖の税金が従来少し低かつたので、ある程度増税した方がいいのじやないかというような考え方で、百斤で七百円、一斤七円であります。それから関税を今度少し上げる見込みでありますが、それが大体三円上るだろうと思います。それで一斤十円ぐらい引上げよう。そうしますと現在砂糖の消費税、輸入税を入れまして、約十四円ぐらいかかつておりますのが二十四円ぐらいの負担となる。今の砂糖の国際相場から行きますと、そういう税をかけた場合におきまして、大体小売価格一本で八十円前後になるだろう。八十円前後の負担に対しまして、今度増税したところで二十四円ぐらいの税の負担になる。そうすると小売価格の中で三割ぐらいが砂糖の課税ということになるわけであります。その程度でございますれば、私は砂糖の消費の状況から見まして、消費税として妥当ではあるまいかという点を主として考えまして、こういう改正案を提案することにいたしたのであります。しかしてそれによりまして、歳入のふえますのは年間約七十億でございますが、昨年自由販売をいたしましたのは八月でございますので、一箇年でございません。それで五十億收入を上げておりますが、両者を比較しますと実質上は大差ない額になる、そういう点を考えまして、今回砂糖につきましてある程度の増税を行おう、こういうことにいたした次第であります。
  123. 深澤義守

    ○深澤委員 時間も相当たちましたし、同僚議員の出席が非常に少いので、きようはこの程度にて私の質問は保留しておきます。
  124. 佐藤重遠

  125. 丸山直友

    丸山委員 所得税法の一部を改正する法律案のうち、第四十二条についてお伺いしたいと思います。この四十二条は、医師が保險医であつて、その保險を担当して、社会保險診療報酬の支払いを受ける場合に、その中から二〇%を源泉納付しなければならない、こういうことであります。これを入れられました御趣旨は、察するところ滞納の防止とか、あるいは徴收を確保するという意味もありましようが、納期になつてから比較的多額のものを一度に出すよりは、源泉的にとつておいた方が納める方も楽であろうというような親心から、なされたものとも私は解釈しているのですが、なおそれ以外に何か目的を持つておられるか、お伺いしたい。
  126. 平田敬一郎

    平田政府委員 私ども考え方も大体お話通りでございまして、どうも申告所得税の状況を見ますときに、一番納税を不円滑ならしめている理由は、申告期限になりまして一時に多額の税金を納めなくてはならない。これは納税者も非常に苦痛でありまするし、徴税の方もうまく行かない。従つて源泉で課税し得るものにつきましてはなるべく源泉で課税しておきまして、確定申告で精算するという行き方をとつた方が、納税者にとりましてもまた役所の方にもお互いに便利じやないか、こういう点を主として考えまして、今回の提案をいたしたような次第でございます。
  127. 丸山直友

    丸山委員 大体私の了解している通りのお答えですが、ただこの場合に支払い基金が、所得税の徴收の事務のことを一応やらなければならないということになるわけです。ところがこの支払い基金と申しますものは、ただいまのところ事務分量が非常に多いのです。一応健康保險の手続をお話しないとわかりにくいかもしれませんが、健康保險の被保險者を診療した場合には、その一件々々について病名、姓名、年齢、会社の所属番号その他病気の状態までも一部書き加えた非常に詳しい請求書が、一枚ずつ出るのでございます。この支払い基金の業務といたしましては、規定せられておりまするように、保險金を受け入れるところの業務、診療報酬請求書に誤りがあるかないかを審査いたします業務及びこれに対する支払い業務、これらの三つの業務を持つているわけであります。ところが近来取扱つておりまする健康保險の件数は非常に増している。実例を申し上げますると、昭和二十六年度の四月においては三百六十七万三千件を取扱つている。五月はさらに四戸万件以上、六月は四百十二万六千件、七月は四百三十六万三千件、八月は四百七十六万一千件というように、非常にたくさんのものを取扱つている。しかもこれを迅速に審査し、迅速に支払いをしなければならないのですが、この場合には事務が非常に遅延いたしまして、政府の支払い遅延防止法が出ましたときも、健康保險の支払いの非常に遅延しておることが、これに該当するかどうかということが、強く言われたことがあつたくらいでありまして、一日も早くこれをやらせなければいかぬという必要に迫られておるのであります。ところがこれの事務をとつております人間の数もそれほど多くなく、また錯誤等もあつて、しよつちゆう非常に複雑な事務をとつておるのでございますが、そういうたくさんの事務を持つておるものに、さらに個々の一枚々々の集計をとり、医師の一個人々々々のものを集計し、それをまた一〇%とるというような、つまり徴税に関する事務をこれに附加しましても、こういうような事務がはたして完全に迅速に行われ得るというお見通しがあつて、これをおやりになるのかどうか。その点をひとつお尋ねいたします。
  128. 平田敬一郎

    平田政府委員 お話通り支払い基金の事務が、最近相当利用者等もふえまして、なかなかたいへんであるということは、私どももよく了承いたしておるのでございますが、今回の源泉課税は、実は給与所得の源泉課税などよりも非常に簡單でございまして、毎月幾ら払うかその合計くらいはおそらく出せると思いますが、各人ごとに払う場合におきまして、払う額の一〇%をあらかじめ控除してもらつておきまして、それを翌月の十日までにまとめて、税務署に納めてもらうということでございますので、この方の事務はそれほど複雑ではない。比較的簡單な事務のように実は私考えておるのでございます。勤労所得の源泉課税でございますと、御承知通り扶養家族が何人であるか。それに税額表を当てはめてみませんとなかなか出て参りませんが、今度の場合は、簡單に支払つた額の一〇%を計算しておきまして、毎月まとめて納めてもらえばいいということでございますので、この方の仕事はそれほどではないのではないか。ただ問題は、あとで各人に幾ら払つたか、医師の支払い調書を出してもらうことになるわけでございますが、この集計があるいはちよつと手数になるのではないかと考えておりますが、その辺のところは一割源泉課税ということになりますと、資料の提出につきましてはある程度簡易化ということも、おのずから実現できるのではないかと考えておる次第でございまして、今回の仕事をやりますために基金のふえる事務分量は、実はそれほどのことではなかろうと、私ども考えておる次第でございまして、この程度でございますれば、御協力願つてもいいのじやないかと考えた次第でございます。
  129. 丸山直友

    丸山委員 非常に簡易なようにお考えのようでございますが、実はあとの集計及び各個人々々のものを調べるにはなかなか複雑なんであります。私ども実際にこの業務に携わつております者から見ますると、支払い報酬請求書というものが実に複雑なものであります。それをやるにはなかなか骨が折れておる。これは支払い場所の首脳部の——名前を申し上げますとさわりができるといけませんから申しませんが、首脳部の方もこういう仕事をさらに附加せられることは、相当に迷惑を感じておるという意向を漏らしておることを、私は伝聞したのであります。のみならず、ある相当量の事務分量をそれに負担させるということになりますと、何かこれに事務費のようなものを若干でも御交付になる御意思があるかどうか。
  130. 平田敬一郎

    平田政府委員 この支払い場所は全国相当分散されておると思いますが、結局支払い場所ごとに計算して出してもらうということに相なるかと存じます。従いまして若干集計の事務等にやはり手数がよけいかかりますことは、御指摘の通りでございまして、私もその点はまことにどうもお手数だと思うのでございます。しかしこれによりまして両方とも裨益するところが大きければ、若干事務量がふえましてもひとつ御協力を願つたらどうだろうか。しこうして源泉課税の際に交付金みたいなものを出すか出さないか。これは私ども昔研究したこともございます。しかし税法でやはり一律にこういう義務を命ずる場合におきましては、どうもその交付金を出すのは不適当であろうということで、現在は給与所得者の源泉課税の際も、その他原稿料で源泉徴收をしまする際も、原則として交付金は出さないことにいたしております。その点ひとつ御了承を願いたいと存ずるのであります。
  131. 丸山直友

    丸山委員 支払い基金の方には事務費を交付なさらぬというお考えだそうでございますが、実は支払い基金の事務費というものはどこから出ておるかというと、これは国家が出しているのではない。おそらく全国におりまする約三百五十万の勤労者——工場に働いている勤労者その他官公庁等もありますが、そういう勤労者が月の所得の中から、千分の六十をもつて納めておる保險料である。その保險料は、自分の健康を守るために給付を受けるための保險料であります。その保險料の中から年額一人当り十円八十銭というものを事務費として先にとつて、それが支払い事務費というものに充てられているのが現状なのであります。そうしますと、若干でありましてもこの支払い基金に医者から税金をとるという事務、そういう事務をそこに附加いたしますると、若干といえども十円八十銭という勤労者の出しておる血と汗から出た金が、その目的以外のものに使われる。これはどうも私はあまり合理的な考え方ではないと考えられるので、この点に対しても御考慮を願われないか。これは私の希望なのでありますが、そういうことを申し上げておきたいのであります。  それからその次に、「支払うべき金額が命令で定める金額に満たない場合」というのは、つまり非常に少額なものに対しては不適当だと考えられて、限界を定められるという意思だと思いますが、大体金額はどの辺で一体限界をおきめになる意向でありますか。
  132. 平田敬一郎

    平田政府委員 前段のお尋ねでございますが、これは源泉徴收をされる方方の立場から考えますとごもつともな御意見かと存じますが、そういうことになりますとひとりこういうものだけではなくて、普通の勤労所得の源泉課税をしておられる方々、その他あらゆる場合に、やはり交付金を出すか出さないかという問題になりますので、これは法律に基く一つの義務といたしまして、国会法律案通りましたあとは、ひとつそれぞれの支払者の負担において、その事務をやつていただきたいというのが、現在の法律の建前になつておりますことを、御了承願いたいと存ずる次第でございます。  それからごく少額なものにつきましては、ある程度除外した方がいいのではないかということで、命令で除外する余地を残しておりますが、どの程度にした方がいいかということはなかなか実際上問題がございますので、目下具体的に取調べておりまして、まだ結論を出しておりません。いずれ結論が出ましたら御報告申し上げたいと思いますが、あまりこれをはずしますと、結局また源泉課税をした妙味がなくなつて来る。従いまして返さなくちやならぬ人の限度が一体どのくらいであるか、そういうものと関連しまして、妥当な額を定めるようにいたしたいと考えておる次第であります。
  133. 丸山直友

    丸山委員 この限度というものは非常に問題になる。と申しまするのは、医者というものの今の業態をよく調べてみますると、その收入の状況において三つの種類があるわけであります。收入を得る得方であります。東京都等の大きな都市におりまする非常に有名な医者——高級と申しますか、有名な人、そういう人たちは健康保險の担当医にはなつておられない。その收入は全部がいわゆる自由診療という形で、非常に單位の高い報酬を受けておられるものなのであります。またその次の段階の人たちは、それが相半ばするとか、あるいは数割を占めるというような段階の方もあるのでありますが、工業地帯の場末におられる、どちらかと言うと有名でない、またその人たちはほとんど自由診療というものを持つておられないで、社会保險のみをもつて生活しておる方で、場合によりますとある会社と特約を結んで、その会社の近所に自分の診療所をつくつて、そこの工場の人たちのみを対象としておるというような人が、また一種類あるのであります。それから新潟県、埼玉県、岩手県、秋田県、山形県等の地方におきましては、国民健康保險組合というものが非常に普及しておりまして、自由診療というものがほとんどないというような状態で、その單価は健康保險よりは一割ないし二割低いというような、大体三種類の医者が存在しておるわけであります。従つて健康保險から受ける部分だけを考えてみまして、それで一〇%というものをとつて過納になる人と、全然過納にもならないで非常に少い人と、そんなものは何にもならない人というように段階ができて来るわけであります。ただいま私の申し上げました第二種類の人、つまり工場地帯のある特殊の工場を対象としてやつておられるような、特に勤労者のみを相手としておられるような自由診療のない人たちが、この法律で一〇%であらかじめ税金をとられて、しかも扶養家族が一名であるというような場合には——先般の健康保險の單価の問題で非常に紛糾いたしましたあの社会保險の歩どまりと申しましようか、三〇%あるいは二五%という計算から参りますと、大体二百四十万円くらいの年所得がある方で、過不足なくこの税金が計算できる、自由診療を持つておる人はまたそれよりははるかに少くて済むと思いますが、そういう人たちは実際健康保險の診療報酬を受けることによつて、辛うじて生活しておる人なのでありまして、たとい一部でも、年末調整であろうがあるいは確定申告のときであろうが、金を返してもらえるのだというようなことだけでは、とてもその人の生活というものが、完全に営まれないという階級にある人が相当にあると思います。そういう階級があるということを念願に置きますと、必ずしもあなた方がお考えになつておるような一〇%というものが適正であるとは、私どもには考えられないのであります。ただその場合においては定める限界というものを高いところに置くか、あるいは一〇%というものを変動させるとかいうような調節が行われなければ、とうていこれに対応した適正な税金を徴收して行くという状態にはならないと考えておりますが、その点についてはどういうふうにお考えになつておりますか。
  134. 平田敬一郎

    平田政府委員 御指摘の通りなかなか問題がありますので、額をどういうふうに定めるか目下検討中でありますが、できるだけ私ども実情に即するようにいたしたいと考えております。しかしある程度はやはり画一的にやらなければ、目的を達しがたいという点がございますので、若干はあとで返すことができて参りましても、これはいたし方がないと思います。もちろん生活の非常に苦しい中でありますから、一〇%天引きされますとあとで返つて来てもどうもつらい、こういう事情は私どもにもわからないではございません。その点でとりつぱなしということになりますとまつたくお気の毒でありますが、しかしあとで一定期間に返すということにいたしますれば、まずそうしんぼうできないものでもない方々が数から言つても多いのじやないか。例外が全然ないわけではないと思いますが、一般のお医者さんの方々の納税ということを考えますと、全体といたしましてはやはりこういう制度を採用した方がよいのじやないか。できるだけそういう点がないように実情に即するようにきめたい、そういう方向で妥当な額を見出したいと思いますが、完全にやるということになると、むしろ源泉課税をしないで申告納税がよいのじやないかというようなところに発展するわけであります。しかしこれによつて相当便宜を受けられる方々が多い、役所の徴税も非常にうまく行くということでありますれば、やはり私どもといたしましては、こういう制度を実行した方がよいのじやないかというふうに考えておる次第でございます。しかしその辺は額をきめる際において、なるべく実情に即するように検討してみたいと考えておる次第でございます。
  135. 丸山直友

    丸山委員 たいへん幅のある御答弁なのでありますが、私ども関与いたしますのは法規でございまして、命令以下の分に対しては私ども直接に関与することはできないのであります。従つてこれからどんなところに限界を置かれるかということがわからない状態においては、私どもこの法律案の審議はよほど困難であると感ずるのであります。若干困る人が生ずるかもしれぬというお話でございましたが、若干といえども困る人ができては困る。税金は正しくその人から公正にとられることが望ましいのであつて、あらかじめとつことで過分な人が必ず出るであろう、それは少数かもわからないが、とにかく出るであろうということを予想して、困つても少数だからよろしいというお考えで、この税法をお扱いになつては国民は困ります。しかも困る人は何ら生じないということを原則として、この法案を審議しなければならぬと思います。またこれによつて利益を受ける人はもちろんありましよう。利益を受ける人はあるけれども、その人たちは比較的恵まれた階級の人なのであります。恵まれた階級にある人で便益を受ける人が多いからといつたところで、非常に困る人ができるならば、これは考えなければならぬ。私はこの点を主張したいのであります。しかもこの法律においては国民健康保險が全然除外され、これは調整にもお困りだろうということは当然考えられますが、先ほどお話のございました国民健康保險の方が、総数においても総金額においても、取扱つている人員においても圧倒的に多い。この圧倒的に多い部分がやはり收入でございますから、当然所得税の対象になるわけであります。従つて少数の部門しか占めておらないところの健康保險が、その一〇%を源泉的にとつておりましても、大多数の地方、村におきましては、あなたはさつき親心から分割的に納めさせる方が、あとで一ぺんに納めるよりは楽であるとおつしやいましたが、それはカバーにはならない。それはなぜかと申しますと健康保險として扱つて先にとられる金額は非常に僅少です。しかし国民健康保險の方はたくさん扱つているから、非常に多額を納めなければならないので、恩恵を受ける部分は少いのではないかと考えられる。つまり地域的に医者の業態によつては非常に便益を受ける人、親心というようなものは何にもならないという人、非常に困まる人と相錯綜している。それを一律にしなければならないのであるから、これを考えていただかなければならない。その点に対してはどうお考えになつておりますか。
  136. 平田敬一郎

    平田政府委員 健康保險の関係を調べてみますと、今回源泉課税の対象になる部分が二十六年度分の調べでございますが、全国で約二百八十五億、国民健康保險は若干資料不十分な点もございますが、厚生省の調査によりますと八十一億八千万くらいでございまして、額から申しますとやはり源泉課税の対象になる社会保險の分が大部分でございます。  それから少額所得者にはあとで返すものを絶無にすべきだという議論は、別に反対するわけではございません。従つてどもなるべくその趣旨を命令できめたいと考えておりますが、しかし完全にできるかと申しますと、正直に申し上げまして完全にはむずかしい。若干の人はどうしてもあとで返す人が出て来る。そういう場合におきまして、そういう人がいるから制度の根本を全部こわすかという問題でございますが、これは考え方でありまして、とりつぱなしということは絶対に避けなければならないと思いますが、あとで返すという制度をとつております以上は、その辺は若干伸縮性を持つて御判断願つてもよいのではないか。これはその他の源泉課税あるいは徴税の場合においてもそういう例が相当ございますが、そういう点については、全体としてこの制度がいい結果を生む場合においては、若干の弊害はあつて制度としては採用する、こういうことで行くのが制度考える場合の大体の趣旨ではなかろうか。重ねて申し上げますが、あとで返さないということならば、まさに今お話なつた議論の通りであると思います。その間の金利と金融の不便を与える意味におきまして、確かに困られるということを否定するわけではございませんが、あとで返すということでございますし、そこは程度の問題と考えられますので、その点はよく御了承の上御判断をお願いいたしたいと存ずる次第でございます。
  137. 丸山直友

    丸山委員 金額の数字でお示しになりましたが、国民保險の集計は非常に不確実なものでありまして、全国的な統計は実はできておらぬのであります。もう一つ理由は、健康保險というものは政府が保險者となつておるのが大部分であつて全国津々浦々までも集計してありまして、これは非常に普及しております。国民保險はその府県府県の相互扶助の制度が発達しておるかいなかによつて、あるいはその他の理由によつて、その一県下を通じて営まれておらない県と、ほとんど全県的に普及しておる県がある。全県的によく普及しておる県は埼玉県でございます。その次は新潟県でございます。これらの県においては国民保險收入の方が健康保險收入の数倍上まわつておるのであります。そういうような実情にありますので地区的な差が多い。全国的な集計においての金額はそうなるかもしれませんが、地区的にこれを考えると、今の埼玉県、新潟県、秋田県、山形県、岩手県等においては、この法律が定めましても親心的なものは何も働かないということになる。こういう地区的なものを画一的にやるということに対して、非常に不合理があるのではないか。それから返すからいいじやないかというお話でありますが、取り過ぎたら返せばいいじやないかということになると、これはちよつと問題になる。返すということに時期のずれがある。そのずれは本人にとつて非常な苦痛である。しかもその苦痛を感ずる人の階層は少額のそれを当てにして食つておる。あなた方は比較的上層部の大きな收入を持つておる医者と多くおつき合いになつておりますから、そういうふうに見られておるが、実際末端に行つてみますと、決してそんな簡單なものではない。そのために今度の健康保險の一点單価の問題でも、大所得者から起つたのではなく、非常に零細な健康保險を扱つておる者から、ああいうふうな問題が起つたのであります。もしあなたのお考えになつておる医者ばかりならば、そういうことは起り得ないと思う。そういうことから考えますと、困る人があるということは、健康保險制度の上に再び混乱が起るような危險があるのではないかということを、実はおそれておるのであります。それから国民保險が少いと言われますが、県によりましては国民保險の方が大部分であつて、それをカバーすることもできないような県があり、また東京都のような文化的に発達したところにおいては、上層階級の医者が多く、そういうところの税金を多額に納める人は、健康保險をほとんど扱つておらないから、そういう人に対しては無影響である。そういうことを考えますと、画一的にただやるということが、税源を確保するという意味、あるいは滞納を整理するという意味ならば別でありますが、納税者の利益ということを基盤にしてお考えなつたならば、納税者の中には相当に苦痛を感ずる者が、あなたがお考えになるよりはるかに多い。そういうことを念頭に置くならば、親心を示していただかない方がいいのだということが考えられる。これは日本医師会のただいまの幹部に相談してみましたところ、そういうような考え方が強いのであります。なお政府が今ここで源泉徴收するというような方式になつても、医者自身が困らない、しかも税金を納めるのに都合のいい納税組合のようなものを、自治的につくつてはどうかという機運が現在動いておりますが、政府といたしましてはこの納税組合というものに対して助成をするように、この法律に対しては再びお考えになる余地はないかどうかということをお聞きします。
  138. 平田敬一郎

    平田政府委員 新しく制度を設ける際におきましては、いつでも非常に議論がありまして、なかなか問題があるのでございますが、私は今までの経験からしまして、源泉課税をやりましたら、大部分のお医者さんは、きつとこれはよかつたというようにお考えになるにきまつていると判断しております。中にはお話のようにそうじやない方が全然いないということは申し上げかねるわけで、従つてその点正直に申し上げておるわけでございますが、数から申しますと大部分のお医者さんが、やはりこの方がいいと言うになるにきまつているのじやないかと考えておるのでございます。それと今御指摘の返すからいいじやないかということは、決して私どもそれを独断的に言つておるのじやない。なるべくそういう人を少くしたい。しかし少くするといつてもなくすることができるかと申しますと、正直に申しましてなくすることができないので、そういう人が中にいるかもしれない。そういう人はもちろんお気の毒だと思いますが、とりつぱなしではなくて返すのですから、全体のためにごしんぼう願つたらどうであろうか、こういう意味で申し上げておりますので、その点誤解のないようにお願いいたしたいと思う次第でございます。この制度納税者にとりましても便利と思いまするし、また役所の側におきましても、あとで申告してもらいまして、やれ督促だ、やれ滞納処分だといつたようなむずかしいトラブルのある問題を、少しでも少くするという意味におきまして、徴税上も非常に有効である。両方を考えておりますことを御了承願いたいと思います。  なお納税組合の問題でございますが、これは実は望ましいので、一般的に納税組合をつくつてもらいまして、納税準備預金をしてもらうことに非常に努力いたしております。営業者の方々、農家の方々にそういうようにしていただきますれば、納税がよほど円滑になるというふうに考えておる次第でございます。これはもちろん別途に並行して進めていただいて非常にいいのじやないか。ことに源泉課税以外の分等につきましては、その必要が特にあるのじやないかと考えます。  保險の外交員の場合におきましても、実は返す人が相当多いのです。しかしやはり大多数の者はもとでとつてもらつた方が便利だ、返す額をなるべく少くしてもらいたいという希望はございますが、源泉課税自体はやめてもらいたいという希望はほとんど出て来ない。そういう点から見まして、御賛成を得て実行いたしますれば、必ずなるほどよかつたということになるのじやないかと、私は考えておるのでございます。私は提案者でございますので、そう考えるのはあたりまえだとおつしやるかもしれませんが、多年のこういう問題の扱いから、そのように考えておることをつけ加えさせていただきたいと思います。
  139. 丸山直友

    丸山委員 これ以上申しますと議論になるから申し上げませんが、今保險の勧誘員のお話がございましたが、こういう勤労收入と医者の收入は違うのです。医者というものは材料費を使うのです。薬品も買わなければならぬ、機械も買わなければならぬということで、ことに新しい医者はそうである。勤労してもらつておる保險の勧誘員のごときものは、その中から別に材料費を払う必要もないし、ただそれで食つて行けばいいという考え方からいえば、税金を分納しておる方が非常に都合がいいのであります。今あなたのお考えになつておるようなものじやない。医者の生活は今相当窮乏しておる。しかもペニシリンとかストレプトマイシンであるとか、一つ当りの金額の非常に高い材料を、たくさん仕入れてストックしておかなければならぬ。これは現金でどんどん買わなければならぬ。しかも政府からもらう場合においては、数箇月遅れてこれをもらう、こういう現状であります。しかも物は数箇月間循環して順次に古いものから入つて参りますけれども、そういうことになつておる。生命保險の勧誘員と同一に並べてお考えになつて、喜ぶであろうというような考え方は、甘いということを申し上げておきたいのであります。私どもはこういう困る階級のないように、それに適応したものを自主的にやつた方がいいのではないかと考えております。先ほどそういうことは修正したいというお考えを承りまして、たいへんけつこうだと思いますが、それが完全にできますならば、それを法律で画一的に困る人を出すよりは、そういう方向でやつたら、非常にいい結果が生ずると考えております。念のために申し上げておるわけであります。これをもつて私の質問は打切ります。
  140. 平田敬一郎

    平田政府委員 なお補足して申し上げておきますが、いろいろ計算してみますと、大体社会保險の收入と、その他の收入とが半々である人の場合におきましては、大体控除前の所得金額でございますが、收入金から必要経費を引きました所得金額が、四人世帯二十三万六千円まで、これ以下で世帯の少い場合は十七、八万円まで返すことになる。普通のお医者さんの平均所得について、最近の東京国税局管内の、日本橋、荻窪、淀橋、渋谷、千葉、木更津、佐原、銚子、小田原、加納岩というふうに、都会といなかとをつきまぜて、二十六年度分について四百八十八人調べたところによりますと、平均所得が年四十二万五千円でございます。今年は若干それよりも健康保險の分は減るかもしれませんが、その他の分はふえるかもしれません。それから歯科医の場合は、二百九十二人調べまして、平均所得が三十万一千円、こういうことになつております。従いまして返す人の場合は、ある一定額以下を源泉で徴收しないことにしますと、非常に少くなつて来る。絶無はちよつと期しがたいということを、正直に私は申し上げた次第でございまして、その点御了承願いたいと存ずる次第でございます。
  141. 佐藤重遠

    佐藤委員長 三宅則義君。
  142. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 時間の関係上三点ばかりでございますが、一点ずつお伺いいたします。従来もあつたことでございますが、特に身に迫つた問題がありましたから、参考にお伺いするわけです。法人につきましては、私どもは大法人、中法人とあると思いますが、各税務署等においてその税務署のお得意台帳、たとえば何々会社についてはお得意台帳でしておりまして、それと同じように、いつの会計年度においてはどれだけ税金が納まつたというふうに、計算を系統的にやるということが、漏れがなくなることだと思うのでありますが、そういうようなことをお考えなつたかどうか。決算書を見て、もちろんこれに対する課税をなさるわけでございますが、われわれ民間人といたしますると、お得意名簿がある。取引先はどんなに帳面がないといいましても、売掛金の帳面、仕入の帳面はきつとある。税務署の方にも、税金をとるところでございますから、大法人、中法人等におきましては、ぜひそうしたようなお得意台帳、税收入台帳というものを、きちんとしておくことが必要であると思います。それに関連したことでありますからお伺いしますが、かりに法人の場合、取引先等におきましては、売掛金の入金があつた場合においては、銀行に入つて来る場合がありますが、銀行に来ればそれが入金になるわけであります。通知書が一週間遅れるとか、十日遅れる場合もありますが、それで決済が済むのであります。たまたまあつた例でありますが、決算期が終つて十日ばかりになりまして税金は確かに納めたのでありますが、その通知も確かに銀行から行つているわけでございますが、ただ決算書の届出がおそかつたために、申告加算税というものがかかつたことがあるわけであります。もろん法律では申告と同時に納税納税よりもむしろ申告の方が先だということも考えられないこともないわけでございますが、私どもは国家財政から考えますると、收入を得ることが大事でありますから、そういうような場合においてはなるべく穏便な制度によりまして、たとえば個人もしくは法人等において、銀行に入金があつた場合は、それで決済が済んだということにいたしておりますのと同様に、税金の方もそういうふうにはつきり会計年度をきめまして、納税した場合は、無申告加算税というものは多少穏便に見た方がよろしいと思いますが、主税局長はどういうふうにお考えになりますか、この際承りたいと思います。
  143. 平田敬一郎

    平田政府委員 お話の問題は、法律論としましては、やはり一定の期間までに申告をして納めることになつておりまして、申告と納付が一定の期間までに二つともなくてはならぬという建前になつております。従いまして税金だけ納めて、申告がないということになりますと、申告の方は無申告といいますか、期間後申告ということにならざるを得ないという事情でございます。従いまして機械的に見ますと、無申告加算税がかかつて来るということになるわけでございますが、実はこの点につきましては法律上やむを得ざる事情があります場合におきましては、加算税を免除することができることになつております。従いまして実際上はたしてその申告の遅れたことに、やむを得ざる事情があるかないか、その判断になつて来る。そういう場合はおそらく先に納税しまして、申告が遅れた際でありますので、特に何かやむを得ざる事情がある場合と思いますが、そういう事情をよく当該官庁に申し出られまして、お話になりますれば、免除する場合があり得る。そういう場合はつきりと免除するとは申しにくいので、その事情々々によりましてきまると御了承願いたいと思います。
  144. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 次に、この前にもお伺いいたしましたが、山林のことにつきましては、私どもの選挙区から、今度の改正によりまして、満足でないという陳情があつたわけでございまして、この際関連いたしておりますから、お伺いいたします。十万円だけの控除でありましては、撫育費、植林費あるいは手入れ費等を考えますと、引合わぬというのでございます。かりに三十万、四十万という山を売りまして所得がありましても、三十年、四十年の金利もしくは手入れ費その他を勘案いたしますと、差引きもうけに決してなつていない、こういうことを言われたのでありますが、この際十万円なんという半端な考え方ではなく、もう少し大幅に、たとえば全收入の半額を免除するというような方法になさつた方が、山林所得者には便利ではないかと思いますが、主税局長に伺いたいと思います。
  145. 平田敬一郎

    平田政府委員 山林所得につきましては、御承知通り必要経費は引くのであります。ただ将来山林を殖えるための費用は、売つた費用から引かないのであります。売つた木に対してかかつた費用は引く。ただインフレ前におきまして、高い貨幣価値のものを低い費用しか引かないという問題がございますが、その点は再評価法によりまして、経費も再評価して高い経費を引くことに、実は所得税法でもなつておるのでございます。従いまして財産税等の課税が、適正に申告されて、評価が低いと別ですが、相当な値段で申告し、査定されておりまして、それを評価後再評価で経費を一定の倍率で見ることになつておりますが、それをやりますと、人によりましてはあまり山林所得は出て来ないので、再評価税で済むという人が大分出て来ておるようでございます。従いまして山林所得につきましては、この前の財産税の評価が非常に低かつた人の場合は、お話のような場合も出て来ると思いますが、そうでない場合におきましては、お話のような問題はよほど解決しておる。しかしなお不十分な点ももちろんございますので、十万円の特別控除を認めようということにいたしたのでございます。山林を二分の一にして課税するかしないかということも研究してみたのでございますが、そうなりますと、ほかの所得者との間にアンバランスが出て来る場合がございますので、今回としてはこの程度で提案いたしたのでございます。
  146. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 いなかの税務署に参りますと、主税局長の言われましたように、再評価いたして云々というように詳しく計算を立てまして、親切に教えてくれるところももちろんありましよう。しかし大体におきまして山林所得につきましてはそういうことを眼中に置かずに、ただ收入を基準に考えましてやります関係上、そうしたような不公平があるということを、しばしば陳情を受けているわけであります。私どもも山林所得者に対しましては、大幅に軽減をしてやりたいという考えから、むしろ所得等につきましても一ぺんに払わぬで、年賦で払うような方法考えたらどうかと思います。この法にも十年云々ということもありますが、所得につきましてもある程度まで何とか軽減する方法といたしまして、一度売つた財産に対しましても一ぺんに払わないで、ちよいちよい払うということにしたらどうかと思いますが、そういう方法はおかしいでしようか。
  147. 平田敬一郎

    平田政府委員 私は所得税はやはり実際売つて現金が入りましたときに、納めていただいた方がいいのではないかと思います。相続税は元本に対する課税でありまして非常に重いので、所得からなかなか納めにくいので、何年かに延ばしてできる限り所得から払う。所得から払い切れない場合は一部を売つて納めてもらう。売つて納めてもらうにしても一ぺんに急いで売つて納めてしまうと損をしますので、相当長期にわたつてつて納めてもらう。こういう趣旨になつているわけでありまして、あまり納期を延ばすのはどうもいかがかと考える次第であります。
  148. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 もう一点伺います。先ほど来たびたび出たことでありますが、やはり相続税にも関係があることでありまして、再評価ということがよく下々といいますか、下の方に徹底していないというおそれがあるのでありまして、私どもは各地方税務署等を歩いてみましても、その不平等の原因がどこにあるかと申しますと、やはり昔安い値段のことを中心に考えておりますから、今売つたものに対して非常に差額があるということを言うわけであります。そういうことは税務署にも徹底せしめるとともに、国民大衆にも徹底せしめて、再評価いたしますならば、ある程度売りましたものについても、そんな所得はなかつたというふうに見られるということにしなければならぬ。と同時にまた植林費、撫育費等につきましては、多少農林省の方から補助がありますが、山持ちは、そうしたような新規に植林いたしましたり手入れするという方面には、至つて力が入らないということをたびたび言われるのでありまして、この方策につきましてはもちろん農林当局ともお打合せかと存じますが、何か便法をもちまして、相当山を切つた場合におきましてあと植林する方法、あるいはそれに対して手入れする方法等を考究せられて、この案をつくられたかどうか、承りたいと思います。
  149. 平田敬一郎

    平田政府委員 山林につきましてはお話のような事情もございますので、できる限り課税上も考えようという趣旨で、相続税及び所得税両方にわたりまして、できる限りの考慮を実は払つている次第でございます。再評価の方は所得税法にもはつきりと山林所得計算はあるわけでありまして、相当な山を買売されましたような場合におきましては、よく税務署に御相談願えれば、申告等にあたりましても正しい計算ができるのではないかと思います。私ども昨年大分山林課税の問題がありまして、主税局からも人を派遣いたしまして、実地に調べさせたこともございますが、財産税の評価が相当適正に行つたところにおきましては、再評価税だけを納めれば所得税を納めないでもいいという人が大分いた。再評価税は六%です。と申しますのは前から持つている山につきましては、財産税の評価額に対しまして、物価の騰貴率に乗じました額を経費に見ている。それよりも高く売れた場合だけ、その差額所得税になるということになつておりますので、財産税の評価が非常に低くてうまく済んだ人は、ちよつとなかなかそうは行かないと思いますが、適正な評価をしてもらつている方々の場合には、実は山林所得税と声はありますが、かからなくても済む。そういう手続を知らなくてうつかりしておられた方々は遺憾でありますので、よく税務署当局に御相談を願いまして、適正な計算をするようにお努め願つた方がいいと思います。
  150. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 言いがかりのように思えるかもしれませんが、そうじやありません。山林を持つている人は大体山の人で、あまり都会地に近くない人が多い。そういう人はそう法律などは読んでいない。再評価につきましてもあるいは緩漫であつたり、迅速にそういう手続をしていない人もあるのでありますから、なるべくそういうものをきめる場合におきましては、私はいつも言うことでありますが、その土地の町村長や協同組合長の意見を多少聞いて、しかる後に算定していただいたらよろしかろう。都会地にあります税務署の机の上で計算しないで、実地に山の中に入つて町村長の意見を聞くなり、あるいは実情調査して、しかる後にきめてもらつたならば、そうした不公平なこともなくなり、不平もなくなると思います。大体税務署のあるところは都会地に近いところ、山を持つているものは山の中におるのでありますから、そういうことについて十分なる御検討を願いたいのであります。この点についてもう一度承りたいと思います。
  151. 平田敬一郎

    平田政府委員 山林所得のうち、小さい所得者の場合は、十万円の控除で実は大分負担が軽くなつて来ると思います。少し大きな所得者の場合にはそれほど軽くはなりません。大きな所得者の場合は、私はある程度納税上の手数をかけていただいてもいたし方がないと思います。やはり三宅さんのような専門の方々に御相談なさる場合もあるでしようし、それからあるいは役所等に出て来てもらいまして手続等も聞いてもらう。そうしましてなるべく法律上認められた利益は、当然受けるようにしていただくというようにお努め願えますれば、そう無理なことはないのじやないか。再評価の方も、これは売つたときに確定申告の際に手続をしてもらえばいいのです。事前に再評価する必要はない。これは企業の償却資産と違いまして、この方は現実に資産を譲渡したり売却したときに、そのときの確定申告の際に、再評価によりまして所得計算することになつておるのであります。その辺をよくはつきりさせていただきますれば、私はある程度合理的な納税ができるのじやないかというふうに考えておる次第でございます。  なお相続税におきましては、評価その他でどうしても少し従来無理があつたような点がありました。たとえば幼齢樹林等の評価は思い切つて下げる。その他につきましても、売買実例等のとり方をさらによく検討いたしまして、評価につきましては一層実情に合うようにするということで、最近改正を加えておりますのでその点もあわせて御了承を願いたいと思います。
  152. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 私は今の主税局長の答弁を非常に了とするものでございますが、本委員会で私はたびたび質問いたしまして国税局からも答弁がございましたが、こういうような厖大なる所得税法などは専門家でなければわからぬ。専門家でもわからぬ。農業者には農業所得に対する解説書もしくはひな形、商業者には商業所得に対する解説書もしくはひな形、工業者には工業所得に対する解説書もしくはひな形、山林所得は特別でありますから、山林所得者にはよくわかるように、きわめて平易に解説を書いて、ひな形等を十分に備えて置いて、これはぜひ山村農村等に配つてつて、間違いのないようにしてやることこそ親切な方法であると思いますが、こういう構想をお持ちになつていらつしやるかどうか。お持ちになつていらつしやらなかつたら、ぜひ下僚に命じまして配布していただきたいと思いますが、主税局長の御答弁をいただきたい。
  153. 平田敬一郎

    平田政府委員 できるだけ従来から御趣旨のような方向に進めたいと思いますので、いろいろやつておりますが、山林所得につきましてはそういうものができていないと思います。これはいいお考えのように思いますので、ぜひそういうことも考えて行きたいと思います。
  154. 佐藤重遠

    佐藤委員長 本日はこの程度で散会いたします。次会は明二十一日午前十時より開会いたします。     午後四時五十九分散会