○高橋(衛)
政府委員 医師その他の方々の
社会保險診療の
所得の算定につきましては、実は二十五
年度のとき以来、ずいぶん多くのいろいろな苦情を私
どもはお聞きいたしたのであります。
従つて従来取引いたしておりましたところの帳簿を備えた人、または実施調査をいたしました人以外の人に対する、
一つの推定の材料としての標準をどう置くべきかということについては、二十六
年度においては相当愼重に検討する必要があるというふうに
考えまして、
年度当初からこの問題については、相当多数のデータを実は集めたのであります。しこうして従来は
計算の
簡單な
方法を用いるという
建前からいたしまして、自由診療をなさ
つておる方が、同時に
社会保險の診療をや
つているという状態が普通でありますが、その場合に雇い人費でありますとか、減価償却費というふうな種類のものを、自由診療の分にどの
程度振り向けるか、また社会診療の方にどれだけ振り向けるか、その按分
計算が非常にむずかしいのであります。従来は大体その双方に使われた薬価というものを、
一つの標準としてや
つていたのでありますが、しかしながらどうも薬価按分という
方法ば、必ずしも実情に沿わないという事柄も十分に
考えられますので、この際そういうふうな
計算の
方法もひ
とつ改めてみたい。
それからいま
一つは、御承知の
通り一点單価の引上げということは、もともと諸物価が一般的に高騰したということが原因にな
つておるのであります。
従つてなるほど昨年末におきましては、一点單価の引上げが行われたのでありますが、昨年の
所得の基本となるところの一月から十二月までの分におきましては、ほとんどこれは影響がございません。
従つて物価の騰貴を実際上どの
程度見なければならぬかという点も、同時に考慮の必要があるのであります。そういうふうにいたしまして、結局雇い人費でありますとか、減価償却費のごとき、直接その診療に振り向けることのできないところの間接的な経費と申しますか、こういうようなものを、大体その
保險診療に従事したところの所要時間というものを一応
計算いたしまして、所要時間に上るところの按分をしてみたのであります。それから同時に一方の物価騰貴の面も十分に検討し、多数のデータを集めて検討してみました結果、大体推定の基本としては、三〇%
程度が適当であるという結論を得た次第であります。たまたまこれが政治的な考慮によ
つて、
一つの政治的な決定として行われたがごとき印象を、一般に與えておるようでありますが、私
どもとしては、どこまでも
所得の算定というものは、実際の
所得がどこにあるかということたきわめることが、われわれの仕事でありまして、それが変更されることはもつぱら
法律によ
つてのみ行われるというふうに、
考えておる次第でございます。
従つてそういうふうに多数のデータを集め、いろいろ
計算の
方法等も検討いたしました結果が、大体三割
程度が妥当であるという結論を得ましたので、その方針に
従つて行くことにした次第であります。
しこうしてそういうふうな
一つの推定の標準でありますので、青色または実地調査の場合においては、それと差が出る場合が普通でありますけれ
ども、大体標準的な状態をと
つてみますと、そういうふうな結果が出ております。青色等の場合においては、これはむしろ正直なまじめな方々が多いのであります。そういう方はどつちかと申しますと、薬もよりいいものを使われているのが普通の状態であります。また時間等も多く、処置も丁寧であります。
従つて普通常識からいたしまして、青色について非常に多いところの
所得が出るというふうな場合には、やはり真実に離れていることが多いのではないかということが、一応想像されるのであります。
従つてその場合には、なお漏れている経費がないかどうかという点について検討を加えまして、実情に合うようにいたして行きたいと
考えておるのであります。御承知の
通り医者の場合においては、個人生活と診療施設というものは、一体にな
つていることが普通であります。
従つて家事関連の経費その他につきましては、この区分が非常に困難であります。
従つてその区分を適正にすることができれば、青色の場合においても、実地調査の場合においても、その標準を越えるということは、まず普通なかろうというふうに
考えております。その点を十分に調査するように指示いたしておるのであります。
しこうして第二点の、この
措置が一年限りであるかどうかという点につきましては、私
どもはこの標準というものは、年々違うべきはずのものであるというように
考えております。そのときの物価の情勢、一点單価のきまり方、その他によ
つて、経費の割合というのはおのずから異なるのが当然であります。
従つて二十七
年度においては、さらにやはり相当のデータを集めて、十分検討して決定いたしたい。言いかえますと、この三〇%、二五%という
措置は、今年についてのみ適用されるものである、そういうふうにお答えいたします。