○
平田政府委員 まず相続税の問題ですが、相続税というのはどういう税であるかということを、少しお
考え願いたいと思うのです。これはやはり相続の
機会に、ある程度財産の一部を納めてもらう。これは必ずしも現物で納めてもらうという意味ではなく、金銭で納めてもらうことが前提でありますが、それが実は相続税なんであります。
所得から拂う税ではないのです。財産の一部で支拂うという建前のものが相続税でございまして、だからこそ五〇%とか六〇%という高い税率も妥当になるのでございます。従いまして相当巨額の財産を有しておられる方は、その相続税を全部
所得で拂
つてしまうというようなことを
考えられるのは、これはもともと無理なんで、そういう意味なら何も相続税をかける理由はない。
所得税と富裕税で
けつこうなんであります。特に相続税を
課税する理由は、相当巨額の財産を持
つている人が相続しました場合におきましては、相続した
機会に、ある程度財産の一部を国に納めてもらう、これが相続税の基本的な
一つの
考え方でございます。従いまして
所得で全部拂えないような相続税はだめだという議論でありますと、実はこれは相続税を無視する議論で成り立たない。しかしさればとい
つてて何でもかでも少い財産を相続の
機会に取上げてしまう。これはやはり適当ではないと
考えるのでありましてそこにはおのずからやはり限界がなければならぬ。そういう点から
考えまして、二十五年度に設けました相続税は、どうも限界を越えておるのではないかということを実施の
状況等から見まして、今回最高九〇%を七〇%に下げる、中間の方も大分緩和しておりますが、そういう
改正を行おう、そうしてできますならは
納税者も売らないで納めてもらうことができれば仕合せであります。相続財産の一部を売らないで、全部
所得で納められるようにしろということですと、相続税自体の存在を否認することになるので、その辺のことをあわせお
考えにな
つて、御判断願いたいと思います。
それから山林の場合に少しきつか
つたのは、相続が開始されますと譲渡
所得税を
課税されまして、その残りに対しまして相続税を
課税する、こういうやり方をや
つてお
つたが、どうもこれもやはり行き過ぎだと感じましたので、相続の場合におきましては、ひとり山林のみならず不動産も同様でありますが、譲渡
所得税は
課税しない、
あとで現実に処分したときに
課税する、こういう建前にいたしておりますから、現在と比べますとその点もよほどよくなるかと存ずるのでございます。しかし何でもかでも
所得で納め得る限度の相続税にすべきだということでございますと、相続税自体を否認してかかる
考え方になりますので、両者をあわせ、
考えまして適当なところできめて行くということで、御了承願いたと存ずる次第でございます。