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1952-02-14 第13回国会 衆議院 大蔵委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年二月十四日(木曜日)     午前十時四十五分開議  出席委員    委員長 佐藤 重遠君    理事 奧村又十郎君 理事 佐久間 徹君    理事 内藤 友明君       淺香 忠雄君    有田 二郎君       川野 芳滿君    島村 一郎君       夏堀源三郎君    三宅 則義君       宮原幸三郎君    武藤 嘉一君       宮腰 喜助君    深澤 義守君       久保田鶴松君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 池田 勇人君  出席政府委員         警察予備隊本部         次長      江口見登留君         大蔵政務次官  西村 直己君         大蔵事務官         (主計局法規課         長)      佐藤 一郎君         大蔵事務官         (主税局長)  平田敬一郎君         農林事務官         (農地局長)  平川  守君  委員外出席者         農林事務官         (農地局管理部         農地課長)   和田 正明君         専  門  員 椎木 文也君         専  門  員 黒田 久太君     ————————————— 二月十三日  所得税法の一部を改正する法律案内閣提出第  二九号)  法人税法の一部を改正する法律案内閣提出第  三〇号)  相続税法の一部を改正する法律案内閣提出第  三一号)  砂碎消費税の一部を改正する法律案内閣提出  第三二号) 同日  旧陸軍共済組合員年金交付に関する請願(川  島金次紹介)(第六七七号)  ラヂオ受信機等に関する物品税撤廃請願(高  間松吉紹介)(第六八三号)  捜査鑑識用資材に対する物品税撤廃請願(土  倉宗明紹介)(第六八四号)  同(野村專太郎紹介)(第六八五号)  果実エツセンスに対する物品税撤廃請願(上  林與市郎紹介)(第七一六号)  石油関係関税免税措置延期に関する請願外一  件(坪内八郎紹介)(第七一七号)  革製手袋に対する物品税免税点設定に関する  請願天野公義紹介)(第七一八号)  元陸軍造兵廠定期職工年金受給者基礎額算定  に関する請願赤松勇紹介)(第七三〇号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  公聴会開会承認要求の件  開拓者資金融通特別会計において貸付金の財源  に充てるための一般会計からする繰入金に関す  る法律案内閣提出第二七号)  所得税法の一部を改正する法律案内閣提出第  二九号)  法人税法の一部を改正する法律案(内第閣提出  三〇号)  相続税法の一部を改正する法律案内閣提出第  三一号)  砂糖消費税法の一部を改正する法律案内閣提  出第三二号)     —————————————
  2. 佐藤重遠

    佐藤委員長 これより会議を開きます。  昨十三日本委員会に付託されました所得税法の一部を改正する法律案法人税法の一部を改正する法律案相続税法の一部を改正する法律案、及び砂糖消費税法の一部を改正する法律案の四案を一括議題として、まず政府当局より提案理由の説明を聴取いたします。大蔵大臣池田勇人君。
  3. 池田勇人

    池田国務大臣 ただいま議題となりました所得税法の一部を改正する法律案外三法律案について、その提案理由を説明いたします。  政府国民租税負担状況にかんがみ、負担軽減と調整をはかるため、さき臨時同会におきまして所得税法臨時特例に関する法律等につき、御審議願つたのでありますが、今回この措置を平年度化するのほか、さらに所得税及び相続税及び相続税について一層負担軽減をはかるとともに、課税簡素化資本蓄積等に資することを目的として、ここに関係法律案提出いたしましたのであります。  まず、所得税法の一部を改正する法律案について、その大要を申し上げます。所得税法におきましては、基礎控除扶養控除及び税率につきまして、さき特例法によつて実施した軽減措置を平年度化することとしております。すなわち、基礎控除額は三万円から五万円に、扶養控除額は一人一万五千円から三人まで一人につき二万円に引上げ、また税率につきましては、最高税率の適用される所得階級を百万円から二百万円に引上げ、これに応じてそれぞれの税率階級区分を緩和することといたしました。  また、不具者控除老年者控除寡婦控除及び勤務学生控除につきましても、さき特例法と同様に、一万五千円の所得控除を年四千円の税額控除に改めることといたしました。なお別に遺家族援護対策の一環として、遺家族たる寡婦及び老年者並びに傷痍軍人につきましては、これらの控除を六千円に引き上げる等の措置を講ずる予定であります。  このほか資本蓄積を促進する見地から、生命保險料控除限度額を、二千円から四千円に引上げることといたしました。  また、青色申告書提出を助長するために、青色申青書提出する納税義務者については、所得計算上の特例として、事業者がその事業にもつぱら従事する親族に支拂つた給與額を、年五万円を限度として、事業所得計算必要経費に算入することとしております。  さらに変動所得につきましては、その負担軽減課税簡素化をはかるため、まず退職所得につきましては、その收入金額から十五万円の特別控除をした後の半額税率を適用して、他の所得と分離して課税するという特例法改正を平年度化することとし、次に山林所得譲渡所得、一時所得につきましては、その所得金額から十万円を控除して課税することとし、また変動所得平均課税の適用を受けることのできる範囲、及び一年限りの平均課税が認められる範囲を擴張することといたしました。なお相続の場合の譲渡所得課税は行わないこととしているのであります。  次に源泉徴收制度につきましては、新たに医師の社会保險に基く診療收入、弁護士及び公認会計士等法人から受ける報酬、並びに制限納税義務者支拂いを受ける特許権使用料等に対して、源泉徴收を行うこととするとともに、従来の源泉徴收税率二〇%のものを、一五%に引下げることといたしました。なお源泉徴收税額が過納となつた場合における還付の手続につきましては、その簡易迅速をはかるため、特別の措置を講ずる予定であります。  また租税協定の締結と関連して、制限納税義務者に対する課税所得範囲を擴張しました。このほか基礎控除及び扶養控除によつて納税義務のなくなる者については、申告を要しないこととする等、簡素化合理化とをはかることといたしたのであります。  次に法人税法の一部を改正する法律案について申し上げます。  法人税につきましては、さきに、法人收益状況等を考慮して税率引上げを行う一方、価格変動準備金及び退職給與引当金損金算入、並びに法人税徴收猶予等制度を設けたのでありますが、今回はさらに法人が他の法人から受ける利子または配当について、源泉徴收された税額法人税額から控除し切れないときは、これを還付することとするとともに、法人税半額について三月間徴收猶予する場合の利子税を、日歩四銭から二銭に引下げることとする等、その合理化をはかることといたしました。  次に、相続税法の一部を改正する法律案について申し上げます。  相続税につきましても、その負担軽減合理化をはかるとともに、申告納付の期限を延長する等の改正を行うことといたしました。すなわち、まず基礎控除額は十五万円から三十万円に引上げ税率につきましては、現在二十万円以下の金額に対する二五%から、最高五千万円を越える金額に対する九〇%となつているのを、二十万円以下の金額に対する二〇%から、最高一億円を越える金額に対する七〇%までの税率に、引下げることといたしているのであります。  次に未成年者控除につきましては、未成年者が十八才に達するまでの各一年につき、現在一万円となつているのを二万円に引上げることといたしました。さらに被相続人死亡により、保險金を受取る場合の控除限度額は、これを十万円から二十万円に引上げ、また、被相続人死亡により受取る退職金につきましても、新たに二十万円を控除することといたしたのであります。  なお相続財産のうちに不動産、立木等換価の困難な財産半額以上あるときは、その延納期間を現在の五年から十年に延長することとしたほか、延納の場合の利子税を四銭から二銭に引下げる等、延納制度合理化をはかることといたしたのであります。  最後に、砂糖消費税法の一部を改正する法律案について申し上げます。  砂糖につきましては、その小売価格に対する税負担状況、並びにその配給及び価格の統制が、本年四月以降廃止されること等にかんがみまして、別に関税におきまして粗糖の税率を一〇%から二〇%に、精製糖税率を二〇%から三五%に、それぞれ引上げることといたしておりますが、砂糖消費税におきましては、白砂糖び氷砂糖等に対する税率を、おおむね七割方引上げることといたしました。なお、黒砂糖及び糖密等につきましては、その税率を現行のまますえ置くことといたしているのであります。  以上四法律案につきましては、その提出理由内容の概略と申し上げた次第でありますが、右に申し上げた措置によりまして、所得税において約千六億円、相続税において約十二億円の減收となります反面、砂糖に対する関税において約二十三億円、砂糖消費税において約四十八億円の増收が見込まれるのであります。なお、法人税におきましては、さきに実施いたしました税率引上げ等による増減收の結果、差引約百九十一億円の増收となるのであります。以上を通算いたしまして、税制改正の結果、二十七年度におきましては、約七百五十八億円の減税と相なるのであります。  何とぞ御審議の上、すみやかに賛成せられるよう切望する次第であります。
  4. 内藤友明

    内藤(友)委員 議事進行について……。ただいま議題になつております税法改正案の問題でありますが、これは当委員会といたしましても、非常に重要な案件だと思うのであります。従いまして、委員長におかれてはこの税法審議につきまして、とりあえず理事会でもお開きになつて、今後どういうふうに取扱われるかということを御相談いただきまして順序よくこの法案の審議をしたいと思うのでありますが、委員長においてしかるべくおとりはからいいただきたいと思います。
  5. 佐藤重遠

    佐藤委員長 ごもつともな御発言でございます。委員長において善処いたします。  これより質疑に入ります。通告順によつて発言を許すことにいたします。武藤君。
  6. 武藤嘉一

    武藤(嘉)委員 所得税間接関係がありますから、池田大臣がいらつしやいましたので、伺つておきたいと思います。二十七年度において七百五十八億の減税だとおつしやつたと思うのであります。減税をなさつていらつしやることはたいへんけつこうでありますが、実は税の二十何パーセントを占めておりまする酒税が、一向に下らないということについて、業界が非常に不安を持つておりますので、特に池田大臣の御意見を承りたいと思うのであります。内部で廣川農政では、酒はいくら増産しても売れるというような御意見であるようで、どんどん酒を増産なされておるようであります。去年に比べますと、おそらく百五十万石以上の増産になつておるのでありますが、農村の不況あるいは現在の繊維の非常なパニツク、その他から見まして消費の面は必ずしも楽観を許さないであろうと考えておるのであります。最近におきましても、業界におきましては、清酒ばかりつくつておりまする業者が集まりまして、ことしは必らず生産過剰で困るのだ、滯納ができはしないか、どうしたらよかろうかといつて、寄り寄り協議をいたしておるようであるのであります。そこで大蔵当局においては、この間も私は平田主税局長さんに質問をいたしましたところ、楽観的な口吻を漏らされておるのでありますが、ただいままでの統計あるいは昨年末だけの統計でもつて、これをはかられるのはどうかと思うのでありまして、相当にこれはだぶついて来る、ことに滞納がふえて来る懸念が多いのであります。いろいろの方面吉田内閣減税を実現されておりまするが、この二十何パーセントを占めておる酒税については、一向に大臣熱意がないようにわれわれは考えておるのであります。漏れ聞きますると、事務当局では御賛成のようであると聞いておるのでありますが、かんじんの大臣が一向熱意をお持合せにならないためにできない。これは池田大臣お一人だけがそうであつて事務当局においてはそれと反対で、できるならば減税をしてやりたいという御意向に承つておりますので、特にこれは前座としてこの酒税に対する根本方針池田大臣から承りたいと存じます。
  7. 池田勇人

    池田国務大臣 私は大臣に就任以来、政治の根本減税にある、こういう気持で三回にわたつて減税をいたしたのであります。お話酒税につきましても、相当大幅な減税を昨年、一昨年やつたのであります。しこうして減税をいたします場合に、どの税をまず減税すべきであるかということになりますと、私はやはり所得税減税するのが、税の理論から言つても実際面から言つても一番適当ではないか、こう考えまして所得税の大幅な減税をいたしたのであります。しかし経済界状況を見まして、所得税減税をいたしますと同時に、法人税については相当の負担力があるというので、増税をいたしたのであります。お酒について減税の必要を認めないことはございませんが、今の財政事情から申しまして、酒税減税することは困難ではないか、私はこういう見通しであります。業界の方の意見も聞きまするが、減税と申しましても、どの程度減税をやるかというのが問題でございまして、一部には石三万円のところを、ひとつ二千円か三千円減税をしたらどうか、とう議論があつたようでありまするが、酒の税金の三万円の一割とか一割五分とかいう減税は、私は考うべきものどはない。これは価格引上げ程度減税という案も聞かぬことではございませんが、私は今この際酒税について減税を行うときではない、もし減税を行うのならば、もつと減税をし得るような情勢になつてから、大幅にするのがほんとうじやないかと思います。消費状況から申しまして、一昨年、昨年とお酒はふえて参りましたが、非常な売れ行きでございます。私は酒税におきまして、清酒売れ行きは楽観いたしております。もし景気があまりよくならなくて、売れ行き不振があるとすれば、合成酒あるいはしようちゆうの方の売れ行きが減るのではないか。今の国民の嗜好の状況から申しまして、清酒売れ行きはあまり心酒ないと思つておるのであります。  要するに今酒税減税をするときではない。いろいろな説はありまするが、減税に対しましましては、私が全責任をとつてつておりますので御了承願いたい。機会がございましたら、私の根本趣旨に沿いまして、所得税はもちろん、酒税減税をいたしたいという気持は持つておりますが、今はそのときでないと考えております。
  8. 武藤嘉一

    武藤(嘉)委員 それでは時期の一日も早からんことをひとつお願いいたします。  次に申し上げておきたいのは、関連いたしまするが、新しい原料をもつてつくりましたところの新酒、これにつきまして実はまだマル公公定価格がきまつておらないのであります。そこで地方では、これを原料その他三十円くらいは当然値上げしなければならない。一升三十円くらいは、コスト高になつておりますので、どうしてもこれがマル公改訂を要求しておるのであります。減税方面ができないとすれば、せめてこのマル公改訂を早急におやりくださらなければ、品物が出て来ないことになります。またかりに出て参りまして、いろいろの名義をくつつけまして、そうして一つ種のやみ取引が行われる憂いがあるのであります。マル公改訂は三月一日というように聞いてはおりますが、三月一日前に一日も早くおやりくださらぬと、品物が出て参らない憂いがありますので、あわせて平田主税局長さんにも、この点はお願いしておきたいと思うのであります。
  9. 池田勇人

    池田国務大臣 ただいま醸造しておりまする酒はもちろんでございまするが、他の酒類につきましても原料高でございまして、ただいまの価格では不適当だと思います。従いまして価格改訂案を検討いたしております。大体三月一日くらいから改訂をいたしたいという見込みで考えております。
  10. 三宅則義

    三宅(則)委員 本日は提案理由を承つたのでありますが、大臣根本のことを二、三御質問いたしたいと存ずるのであります。今度の税の簡素化につきまして努力せられたこともけつこうでございますが、所得税その他の減税に重点を置かれたことも多といたすものでございます。地方に参りますると、自由党は減税々々といつておりまするけれども国民所得等を考えてからでありましようが、末端税務署等においては、本年は五割平均上げるということを言つて歩いておるのでございます。これは私は少し行過ぎであると思うのであります。場合によつては上らない場合もあり、また二割上るものもあるのでありましようが、平均というような言葉を使うことはこれは国民を圧迫するものであると思うのでありまして、むしろ場合によつては上るものもあるけれども、ものによつてはそのままのものもあるというふうに、指導した方がよろしいと思うのであります。大蔵大臣は非常に上の方の地位でありますから、末端の方のことは御存じないかもしれませんが、われわれが選挙区をまわつてみますと、たびたびそういうことを言つておるのであります。どうか監督せられます地位の立場上、ぜひそうしたような誤つたことを国民に訴えないように、正確に調査をいたして、所得があつたものは上げる、そうしてないものはそのままにしておくというふうに、穏健な指導を要望いたしたいと思うのでございます。  次にこれに関連いたしまして、今までのこの案によりましても、基礎控除が三万円から五万円になり、扶養控除が三人までは一人一万五千円から二万円に上りました。大体五人家族で十二万五千円までは免税ということに相なるわけでございますが、十二万五千円内外のものは非常に心配をしておるわけでございまするから、これらのものに対しましては、ある程度まで簡素化いたしまして、所得申告通りというふうに簡單に申告いたしまして、内容は去年通りというふうにいたしたならばよろしいかと思うのでありますが、その辺の二点について大臣より承りたいと思う次第でございます。
  11. 池田勇人

    池田国務大臣 所得税平均幾ら上げるということは、これは間違いでございます。調査の結果所得税はこういうふうに上つて来る。こう言うのが真実であり、また税法の命ずるところであります。これを行政官がこうやるんだとか、ああやるんだとか、いうのは根本的な誤りでございます。調査の結果上る見込みだということは言い得ると思いまするが、しかし実際問題といたしまして、各人各様でございまして、一体に景気がいいからといつて納税者全部が上るというのは非常にまれな場合で、上る人もあり下る人もあるというのが、実情だと思うのであります。従いまして私は全般的に、平均的に何割上るというようなことは考えておりません。個々に調査して、所得の増加した人は増加した所得で納めていただく、減つた方は減つたところで納めていただく、こういうふうにいたすべきだと思います。  それから今回の改正にもあります通りに、基礎控除その他扶養控除によりまして、申告を出さなくても済む人が今まではずつと出しておつた。こういうようなことは手数もかかりますし、非常に不経済でございます。税法所得税がかからぬと思われる人は、お出しになる必要はない。
  12. 三宅則義

    三宅(則)委員 今の大臣お話は非常に率直に承りますればよく了解するわけですが、末端に行きますると、せつかく大臣のお持ちになつていらつしやる気持をそんたくせずして、ただ官権の濫用、民論の圧迫というようなことになると考えるのでございますから、どうか今お話になりました事柄は、率直に国税庁国税局税務署というようにお流し願いたい。  それからもう一つ、関連いたしておりますからお伺いするわけでありますが、今度の税改正によつて青色申告を非常に優遇する、専従従業者、たとえば家族でありましても、成年以上の従業者に対しては五万円を取除く。これはまことにけつこうな話でございますが、もう少しく青色申告者に対しましては、大幅に減税というのですか、恩典といいますか、これを見るのが私は当然じやないかと思いまするが、何かいい方法がありますか。私どもは少くとも一割くらいは所得から減じてやるということがずつと前の歴史、大正もしくは昭和の初めにはそういう穏便な措置もあつたかと思います。これは以前東京税務監督局主税局関係のあられました大蔵大臣はよくおわかりと思いますから、その辺を考慮の中に入れていただきたいと思いますが、どうでありましようか。  もう一つ、この前の国会のときに質問した際、零細な企業物品税等をはずすべきものは相当ある。税金も少いし従業者も少い、また脱税になるようなおそれのあるものにつきましては、大幅にこれは免じてやる。たとえば生活必要品をつくるもの、あるいは零細なる商工業者あるいは税收の少いものは、これを免除しようという御意思であつたのですが、今回出ておりませんが、どういう御意思でお出しにならなかつたか承りたい。この二点であります。
  13. 池田勇人

    池田国務大臣 青色申告をなさる方に対しまして、特別の措置をとるという御意見賛成でございます。今回も専従者の方に五万円という控除を認めた次第であります。一歩前進でございます。三歩も五歩も前進されるというお話でございますが、やはりそれは税收その他の点から、徐々にやつて行くべきではないかと思うのです。  次に物品税改正につきまして、この前どうお答えしたか私記憶がございませんが、先ほど酒につきまして申し述べたと同じような状況で、財政事情から申しまして、今回は間接税の方は、どちらかというと増税をいたしておるような次第でございます。ただいまのところでは所得税減税で、消費税の方は減税しない、あるいは増税をした部分もある、こういうわけであります。
  14. 三宅則義

    三宅(則)委員 この前の国会で確かにお話があつたはずでございます。たとえて申しますと、わずか一貫目か二貫目入れるような、家庭用の冷蔵庫にまでかけているということもございます。そしたものは一例でございますが、皆さんの御同意を得まして、近くそういうものは減税する、あるいは免税するという線を出していただきたい。同時にまた大蔵省内におきまして、省令もしくはその他の方面におきまして、その最高価格とかあるいは免除価格等を決定されることができると思いますから、そうしたような生活必需品零細企業につきましては、十分に部下を督励せられまして、善処せられんことを要望いたします。もう一度大蔵大臣から責任ある御答弁を得たいと思います。
  15. 池田勇人

    池田国務大臣 ただいまお答えを申し上げました通りで、間接税につきまして減税するという気持はただいまのところ持つておりません。しかし研究はいたしております。
  16. 有田二郎

    有田(二)委員 今三宅委員からお話がありましたように、今度あなた方の業態は五割上げてもらわなければならないというような表現が、全国的に各税務署で行われておるのであります。大臣お話はまことにけつこうな御意見で、さすがは大蔵大臣と思うのでありますが、実際第一線に行きますと、お前ども業態は全部五割上げなければいけないというような、ほとんど命令的な話合いで、特に私なんかは大阪市という特殊な選挙区でありますので、そういう不平が非常に多いのであります。親の心子知らずというもので、せつかく池田さんのそういつた気持があるのにかかわらず、第一線表現の仕方が悪い。これは国税庁から国税局国税局から税務署へとだんだん指導が流れて行くに従つて、末広がりに広がつて大蔵大臣趣旨に反した方向に進んで行つておる。收入のある者に税金をかけるのは当然であります。しかし收入のない者に対しても、大体この業態は五割増しだから、五割上げてとらなければならぬというようなことは、先般も予算委員会大蔵大臣が答弁されました通り所得に対して税金をかけるという、この根本方針にも私は反すると思う。この点は大蔵大臣に十分関心を持つてもらいたい。先般も私は福岡の国税局長の帰来談というものを新聞で見た。これも同じように、凱旋将軍が帰つて来て、今度の税金は大体何割どうしても上げるというような声明が、新聞に発表されておる。おそらく本人の意思ではないだろうと思うけれども表現の仕方がまずい。少くとも局長ともなればある程度の政治性というものも理解して、池田大蔵大臣の訓示なり御方針を十分体得して、表現の仕方をうまくやらなければならぬ。私は税務署の署員が悪いと思うのではないのでありますが、それらの国税庁国税局指導方針が行き過ぎるというきらいがあるのではないかと思うのであります。大臣の御所見を承りたいと思います。
  17. 池田勇人

    池田国務大臣 先ほどお答えした気持はもう二、三年来機会あるごとに申しておるのであります。国税局会議が開かれますと、私はほかの会議には出ませんでも、常に出まして指導いたしておるのであります。一昨年よりも昨年、昨年よりも今年の現状はよほど改善されて来たと、確信いたしておるのでありますが、昨年の今ごろでございましたか、一昨年の暮れでございましたか、もう調査しなければ更正決定をしちやいかぬ、こういうのでございますから、平均何割上げようとかいうふうなことは私はないだろうと思う。もし不行届きの点がございましたら、有田委員はこの方面の専門家でございますから、教えていただければ十分訓戒して、誤りのないようにいたしたいと思います。
  18. 有田二郎

    有田(二)委員 大臣が税制の改革その他に非常に努力をなさつておられることは、われわれ非常に感謝をいたしております。第一線の例をあげろというお話でありますが、全面的であります。もう枚挙にいとまないのです。ですからこれは大臣から国税庁長官に御指示願いまして、この業態は何割上げなければならないというような、下手な表現の仕方はさせないようにという御訓示が願いたいと思うのであります。例をあげろとおつしやれば、名古屋におきましても大阪におきましても、そういう例は枚挙にいとまがないのであります。おそらく三宅委員選挙区においても、そういう例があつたろうと思うのでありますが、その点十分御調査の上、御検討が願いたいと思うのであります。  それから分室の問題でありますが、仙台国税局が秋田に分室を設け、関東信越の国税局が新潟に分室を設けておるのであります。これはもしも必要があるならば、国会の承認を経ることが妥当だと思うのであります。分室があるために秋田なり新潟方面の人は、非常に便利であるということは承つておるのであります。しかしながらその分室を設ける場合には、やはり内閣委員会にかけて、そうして国会の承認を経て分室を設置すべきものだ、かような意見を持つものでありますが、大臣の御所見を承りたい。
  19. 池田勇人

    池田国務大臣 御趣旨の点は、国税庁長官から指令を出すようにとりはからいたいと思います。  それから国税局の分室を設けたかどうかは私存じませんが、その分室というのが、調査官が二組、三組出張したのが、どつかへ集まつて協議するとかいうふうなものならば、お話通りに内閣委員会にかけて、制度を設けるというようなことをする必要はないと思いますが、正式に役所を設けるということであれは、特別の措置をとらなければいかぬと思います。
  20. 有田二郎

    有田(二)委員 承るところによると、関係方面の指示でそういうものができたのだそうでありますが、できることに決して私は反対をするのじやないのであります。もうりつぱに分室として秋田並びに新潟にはできておるのであります。できておる限り、やはり成規の手続をおとりになつて国会の御承認を得られることが、私は與党の委員として妥当である、かような見解を持つものでありまして、さらに御検討が願いたいと思うのであります。  先般私は、渡辺東京国税局長のアメリカからお帰りになつお話を承つたのでありますが、アメリカにおいても今国税の汚職事件が非常に起つてつて国税局長は民間からなつておるというようなために、問題があらゆる角度に起きておるという報告を受けたのであります。その点日本の国税局は、アメリカのよりもうまく行つている点もあるのじやないかと思うのでありますが、とにかく査察課の運営につきましては、さらにわれわれは検討してみる必要がある。特に第三者通報制は、三月末にわが国が独立国になりましたならば、一日もすみやかに廃止すべきである。密告をして五十万円まで礼をもらうというようなあり方は、私は日本の事情にそぐわないと思います。しかも最近、名古屋、一宮におけるある会社の問題のごときは、銀行員が密告をしておるというようなうわさがあるのであります。銀行員が無記名預金を記録しておいて、その銀行員がその銀行をやめた後において、その会社の無記名預金を密告しておるというような事態もあるのでありまして、第三者通報制というものにつきましては、われわれは十分に検討してみる必要がある。もし大蔵省の方では、第三者通報制によつて五十万円まで礼を出すことについては、どうしてもこのまま置きたいというお希望であるならば、私は通報は幾らされてもけつここうでありますが、通報によつて礼をとる——大阪ではこれにこつて第三者通報の株式会社すらできておるといううわさも承つておる。目下は占領下にありますから、いかんともいたし方がないのでありますが、独立国家になりました場合には、第三者通報制を政府として撤回なさる意思があるかどうか。特に最近、査察の第三者通報による事件は約一割程度で、他の九割は他の方法によつてやられておるということを承つておりますが、この点に対する大臣の御意見を承つておきたいと思います。
  21. 池田勇人

    池田国務大臣 国税行政のうちで査察の行き過ぎた点のありますことは、私も認めております。また査察の職員のみならず、税務官吏の中にも不心得者が間々あるということも認めておるのであります。こういう点から、全体の気分の引締め、ことに査察関係につきましては十分注意いたしまして、今検討しておるわけであります。なお第三者通報制は占領後設けられた特殊の制度でありまし、設けますときにいろいろな議論があつたのであります。やはり税務行政というものは国民性を相当考えなければならぬので、私は第三者通報制につきましては考慮しなければならぬ問題だと考えて、今検討を続けております。有田委員お話も、第三者通報制はいいけれども、これに対して賞金をやることはどうかということですが、私ももつともな点と思いますので、今検討を加えております。
  22. 有田二郎

    有田(二)委員 私は大蔵委員の経験がまだ一年有半でありまして、非常に経験が浅いのでありますが、その経験に徴しましても、国税局、あるいは税務署の運営というものが、非常によくなりつつあるということは承認するものであります。しかしながらどういう点でよくなつたというと、最初は非常に下剋上であつた。各税務署において、課長が何だ、局長が何だという空気が充満しておつたのでありますが、最近においては、上司の命令がよく下部に浸透されるようになつた。この点は私は非常に欣快に存ずるのでありますが、ただ査察官についてはまだ下剋上の空気が濃厚であります。私は査察官の訓育、査察官の待遇などについてはひとつ十分御検討が願いたいのでありまして、大阪の例をとりますと、大阪国税局の査察課は先般財務から建物をもらつて、応接間を四つこしらえ倉庫もつくつてある。そうしてその調査にあたつては、その秘密が他に漏れないようにしている。ところが名古屋におきましても、東京におきましても、査察課は他の税務署国税局員と同じように一つの都農にたくさんの人間が並んで調べておる。しかし少くとも査察となる事件については一つの犯罪容疑でありますから、当然これに対しては、調室というようなものでなくとも、応接室というようなものを設けて、他に秘密の漏れないようにする。また調べられる方々は相当の会社の重役であり、またりつぱな納税者であるのでありまして、そういう人を脱税容疑で調べるのでありますから、建物を要求したいと思うのであります。また査察官のあり方についても、ちようど検察官が上部の命令に絶対に服従してやつて行くと同じように、査察官も部長、課長、あるいは係長の命令によつてやる、行き過ぎたことをしないというような訓練が必要であると同時に、またこれら待遇についても十分な考慮を拂わなけれどならぬと考えるものでありますが、大臣の御所見を承りたい。
  23. 池田勇人

    池田国務大臣 ただいまお答え申し上げましたように、査察の問題につきましては人の問題につきまして、改良をいたすべく権討いたしております。
  24. 佐藤重遠

    佐藤委員長 ちよつと申し上げますが、大蔵大臣は予算委員会に行かなければなりませんので、本日は大臣に対する質問はこの程度に打切ることにいたしまして、さらに次会に続行することにお願いいたします。     —————————————
  25. 佐藤重遠

    佐藤委員長 次に開拓者資金融通特別会計において貸付金の財源に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案議題として、質疑を続行いたします。質問は通告順によつてこれを許します。深澤義守君。
  26. 深澤義守

    ○深澤委員 農林省の農地局長にお伺いしたいのであります。この開拓計画は当初百五十五万町歩ということで計画されました。日本の食糧の増産並びに戰後における失業の救済というこの二つの目的をもちまして、この百五十五万町歩の開拓計画が発表され、それが実施されたのでありますが、この百五十五万町歩のうち、事実上現在開拓されているのはどの程度であるか。その現況をお伺いしたいと思います。
  27. 平川守

    ○平川政府委員 昨年までに開墾いたしました総面積は、約四十万町歩と考えております。数字的のことにつきましては、資料をお配りしたいと思います。但し一部は新しい入植者によつて開墾いたし、またある一部は地元の既存農家の増反によつて、開拓いたしておる面もございます。それらを総計いたしまして、その程度開拓いたしております。
  28. 深澤義守

    ○深澤委員 大体当初の計画は、内地が七箇年、北海道が十二箇年という期限でありますが、すでに数年を費しているのであります。それにもかかわらず三分の一の四十万町歩ということでありますと、当初の計画はこの期限内では達成できないという結論になるのでありますが、その点はどうでありますか。
  29. 平川守

    ○平川政府委員 これは毎年の予算等の関係もございまして、必ずしも当初の概略案の通りには実行できないかと思つております。
  30. 深澤義守

    ○深澤委員 そこで問題になりますのは、当初の計画は、戦後の日本の食糧の増産と、今まで開発されていないところが開発され、農業の発展にも役立つのでありますが、この当初の計画が行き悩んでおるということについて、その原因は一体どこにあるか、その点……。
  31. 平川守

    ○平川政府委員 当初の計画はごく概括的につかんだ計画でございまして、年々実施いたしますにつきましては、一つ一つの用地が入植可能かどうかという技術的な調査等を進めて参らなければなりませんので、かなり具体的な段階に入つて参ります。ことに入植戸数を増加いたします問題については、相当に財政上の問題もあるわけであります。それらの関係が特に大きな要素になつておるように考えております。
  32. 深澤義守

    ○深澤委員 そこでお伺いしたいことは、今まで開拓いたしましたこの四十万戸に対して、補助金あるいは資金融通等がどのくらい行われておるか、それを一軒当りに換算いたしますと、どの程度になつておるか、それをひとつ……。
  33. 平川守

    ○平川政府委員 ただいま全体の総額をはつきり記憶いたしません。と申しますのは、非常に貨幣価値がかわつて来ておりまして、ただこれを過去の分と一緒に積み重ねましても、実はあまり意味をなしません。これにつきましては、なお資料等によつて申し上げたい存とじますが、ごく大ざつぱに申しまして、開拓者の資金融通だけを考えましても、今回の計画によりますと、一戸当り約十五万円ぐらいの営農資金を貸し出すということにいたしております。そのほか直接間接の、たとえば建設資金というようなものになりますと、一戸当りで計算しておりませんので、二戸当りどのくらいになるか、あとで資料でお答えしたいと思います。かれこれ合せまして、ごく概算的には三十万ないし四十万の資金及び助成金が、いろいろな形において開拓農家に行つておるだろうと推察いたしております。
  34. 深澤義守

    ○深澤委員 一戸当り三十万ないし四十万の資金を融通をいたしまして、過去約五年間営農されて来たわけでありますが、過去五年間三十万ないし四十万の資金を投下いたしまして、現在開拓農家で安定農家として存在しておるものがどのくらいありますか。
  35. 平川守

    ○平川政府委員 入植いたしました農家は約十四万戸でございます。このうち脱落いたしたもの、あるいはなお営農確立の途上にあるもの等々が、一、二割はあることと存じます。しかし現在におきましては、少くとも八割程度はほぼ営農の——もちろん苦しい事情はございますけれども、まずそこで農業を続けて行く見込みが立つておるというふうに申し上げてさしつかえないかと存じます。
  36. 深澤義守

    ○深澤委員 十四万戸のうち八〇%程度はすでに国家の助成もあるいは資金融通もなしに、独立して営農ができる状態になつておるというぐあいに、農林省は考えておられますか。
  37. 平川守

    ○平川政府委員 そういう意味ではございませんで、資金の融通にいたしましても、あるいは助成金にいたしましても、数年かかつてだんだんと交付して参るわけであります。入植いたしましてから助成金も資金の融通も特別の援助なくして、完全に自立的経営ができる段階に達しますには、どうしても入植後七、八年ないし八、九年はかかると考えておりますので、そういう意味において今後予定の援助を続けて行けば、自立できる見込みがあると考えておるわけであります。
  38. 深澤義守

    ○深澤委員 入植の状況を見ますと、私の調査範囲内においては、大体高冷地の農業が非常に多いようであります。ところがこの高冷地農業に対する営農指導がまことに不十分でありまして、開拓地で現在営農しておる人々の内容は、まことに貧弱であります。従つて半失業状態と申しますか、日雇い労働者に出るとか、あるいは行商に出るとかいうことによつて、辛うじてその生活をささえておるものが非常に多い。従つて農地局長がおつしやるように、少くとも入植者が安定農家として今後立つて行くためには八年、九年あるいは十年を要するというのが常識であろうと思います。ところが実際は今ちようど第一回の資金融通の返済期が来ておつて、その返済のために非常に努力をしておるのでありますが、これはおらく営農によつて蓄積された資本をもつて返還して行くということではなしに、先ほど申しましたように、営農以外の收入あるいはその他のいろんな借金等によつて、返済を続けておると思う。従つて現金の入植者の叫びとしては、ちようど今山の中腹に来ておるのだ、もう一ふん張りここで政府に資金の融通なりあるとは資本を投入してもらえば、何とか一人前の百姓としてやつて行ける可能性があるのだ、ところが最近になつて最初の入植者等に対しては、資金の融通やその他の補助金が打切られて、何らほかの收入の道がなくつた、すでにわれわれは見捨てられておるのだというような意見が非常に多いのであります。そこで今年から入植するもの、あるいは来年入植するものに対しても助成する必要があり、あるいは資金融通をする必要がありますが、すでに入植いたしまして数年間その困難な中に闘つて来た入植者こそ、政府が相当の補助と指導と援助を與えて、そして定住できる一人前の農家に仕立て上げる重大な時期に、私は当面していると思うのです。その点に関する農林当局の見解をお伺いしたいのです。
  39. 平川守

    ○平川政府委員 私どもいろいろ聞いておるのでありまして、個々の入植の地区の状況なり、また個々の団の経営の巧拙等にもよりまして、差がだんだんとできております。三年以後においてただちに償還いたすことについて、苦痛を訴える向きが相当多いのであります。しかし三箇年で一応の段階に達して、長期の年賦の形において償還を始めるということに一応なつておりますので、これはこれといたしまして、それを補う意味におきまして、すでに三箇年以上経過しておる農家に対しましても、この資金融通の面におきまして、家畜導入等について新たなる融資をするという道を開きまして、二億何がしという金額につきましてはいわゆる新規入植以外に、過去の二十三年度の入植者に対しましても、大家畜の導入に対して資金を融通する、また短期の肥料資金その他について、三箇年以後の農家の非常に困つておる面がございますので、これに対しましては、二十七年度の予算におきましては、開拓者信用基金制度というものに対して、国庫から一億円ほどの貸付をいたしまして、これをもとにいたし、農林中金等においてこれに対してさらに三倍の融資をする、国家も一億円を出す、府県がまた一億円程度出す、また開拓者も醵出をすることによりまして、大体二十七年度においては基金四億円を積み立て、それに対して農林中金から十二億円程度の肥料、農機具等に対する短期融資をいたしたいというふうにいたしまして、家畜等に対する中期の融資、あるいは肥料等に対する信用基金制度による短期の融資というようないろいろな面を合わせまして、既入植の足らざる部分を補つて参りたい。またさらに特に既入植者の団で問題になつておりまのは、いろいろな開拓建設工事等が遅れております。これは予算の関係で非常に遅れておるのでありまして、二十七年度におきましては、これを一挙に昨年の倍程度に仕事を進めて参りたいというふうに、予算面におきましてもかなり改善をされておるわけであります。そういうようないろいろな方法によりまして、過去三箇年以上経過していまだ完全なる自立に至らない開拓農家に対しては、別途にそういう各種の援助施策をとつて参りたい、かように考えております。
  40. 深澤義守

    ○深澤委員 開拓の現状につきましては、農道の設置の問題やら、あるいはすでに終戰直後入植いたしまして掘立て小屋を建てまして、その家屋がすでに五年、六年経過いたしまして、建てかえなくちやならぬような事情のものもあるのです。特にはなはだしいのは、入植数年たつのにまだ電気のついていないところも相当あるのです。特に今農地局長が言われた農道の問題とか、建築あるいは改修というような問題は、相当考慮されておるやに承つておりますが、少くとも今の時代といたしまして、電気のない生活というものはかなり暗澹たる生活であると考えるのであります。特に無燈の入植部落に対して急速に電気をつけるような配慮を、偏光的にやるべき必要があるということを痛感しているのでありますが、そういう点について何らか農林省としては考えたことがあるかどうか、承りたいと思います。
  41. 平川守

    ○平川政府委員 実は開拓に対する援助の必要な問題としましては、非常にたくさんございまして、なかなか十分に参らないのでありますが、電気の問題につきましては、昨年初めて電気導入に対する国庫の助成を計上いたしまして、本年はこれを約倍額にいたしまして、三千万円程度を計上いたしております。しかし何分にも各種の資金が必要でありますために、私どもといたしましては、電気ももちろん近代的な生活を営むために不可欠でありますけれども、開拓の施策の最重点としましては、何と申しましてもやはり農業ができて、まず飯が食えるというところをどうしても最重点に置かなければなりませんので、農業を営むための建設工事でありますとか、あるいはそのための必要な家畜の資金であるとかいうところに、やはり最重点を置いておることはやむを得ないと思うのであります。しかしそういう面に対しましても、ただいま申しましたように、昨年の倍程度ということでできるだけ進めて参りたい、かように考えております。
  42. 深澤義守

    ○深澤委員 警察予備隊の次長さんが何か用事があるそうでありますから、その方の質問を先にいたします。従来占領軍の基地のためにつぶされた開拓地等が相当あります。この問題は全国にいろいろな物議をかもして、まだそのままになつておりますが、最近警察予備隊の演習場が各地にできるやに承つております。それが開拓地あるいは採草地あるいは一部農地というようなものが、その区域内に入つているようでありますが、警察予備隊の方の計画としては、そういう演習場設置によつて開拓地、農地あるいは採草地等のつぶされるようなところがどのくらいございますか。その点をお伺いしたい。
  43. 江口見登留

    ○江口政府委員 演習場の問題につきましては、早いろいろと計画を進めておりますので、確定的な数字としてどのくらい演習場がいる、従つてその中に含まれる農耕地とか採草地とかいうものの坪数が、幾らくらいになるかという計算は、まだ正確にいたしておりません。ただわれわれとしましては、とにかく部隊の訓練も進んで参りましたし、相当程度の演習場もほしいということで、各方面の土地を目下物色中であります。従いまして、どの程度のものが確定的にいるかということは、地元のそういう人たちといろいろ話合いをしてみなければ、どこがどれだけもらえ、どこがどれだけとれるかというようなことがはつきりしないと、それ以上はもうけつこうでありますというような段階にまでは、至つていないのであります。しかしもちろんその中に農耕地とか採草地等がありますれば、それは話合いの上でできるだけ補償するなり、買收するなり、借入れするというようなことにいたしたいと考えております。
  44. 深澤義守

    ○深澤委員 それでは具体的にお伺いいたしますが、山梨県区域の冨士山麓に、警察予備隊の全国の演習場をおつくりになるような予定がおありになりますか、その点伺いたい。
  45. 江口見登留

    ○江口政府委員 冨士山麓には御承知のように、進駐軍が使つております広大なる演習地がございます。もちろんわれわれは武器を米軍から借りております関係上、いろいろ訓練上の勧告も米軍から受けているわけでありますが、米軍としましては、冨士の裾野の米軍が使つている演習地のほかに、警察予備隊としても相当広い演習地を必要とするのではないか、という申入れもあつたのであります。しかしわれわれはできるだけ農民その他の人に御迷惑をかけたくないという趣旨から、冨士山麓の演習地につきましては、日本側としては別にそういう演習地をつくるという意思は、表明していないのであります。できるだけ現在米軍の使つている土地を共用さしてくれということを、強く申し込んでおります。もちろん米軍の演習の都合上、われわれの希望する時期に借りられないときもありますけれども、できるだけ現在の米軍の接收地を共用さしてもらうという方針のもとに進んでおりますので、目下のところ冨士山麓に警察予備隊自身として演習地を設ける、設けないという段階には入つておりません。
  46. 深澤義守

    ○深澤委員 もう一つお伺いいたしますが、鳥取県の中濱村ほか二箇村、並びに大山山麓に相当広大な警察予備隊の演習地を予定されている、というぐあいに聞いておりますが、その点はどうでしよう。
  47. 江口見登留

    ○江口政府委員 全国的にわたりまして、演習地になりそうなところを目下物色いたしておりまして、鳥取県のただいまの御指摘になりましたところも、演習地にはなれないかなという建前で、今調査をいたしておるのでありますが、非常に農民に御迷惑をかけるようなことになりますと、それはとりやめなければなりませんので、全国的に調査をいたしておる段階でありまして、鳥取県のどこそこに予備隊の演習地を置くということは、まだ決定いたしておりません。
  48. 深澤義守

    ○深澤委員 いずれにしても演習地が設けられます場合に、開拓地なりその他農地等がつぶれる場合ににおいて、従来の占領軍の軍事基地に借り上げられた條件というものは非常に過酷であります。従つてこれに対しては、全国各地における農民が、その補償の非常に少いことを訴えているわけであります。そこで私は警察予備隊が恵び演習地を設ける場合において、従来の占領軍のやつたような借上げの方法ではどうしても全国の農民は納得しません。今までの軍事基地はいろいろな法律や規則があつたのでありますが、それ以上に占領軍という圧力において、泣寝入りをしたという事情が相当あるのではないか。警察予備隊もあの轍を踏んでやるとするならば、おそらく日本の各地の農民は承知しないと私は思う。そこで警察予備隊が演習地をつくることによつて、もしも農地や開拓地等がつぶされるということになりますれば、どういうことによつて、その地元農民を納得させる方法を持つておられるか。その方針が具体的に決定されているとするならば、ひとつお漏らしを願いたいと思います。
  49. 江口見登留

    ○江口政府委員 その農地の買收と申しますか、使用権を得るというような際には、必ずその補償という問題がついてまわると思います。その補償問題につきましては、警察予備隊としましては、別に専門家もおるわけではございませんので、ある土地を演習地にしたいという場合には、それが可能か不可能か、あるいは可能であるとするならば、どの程度の補償にすればいいのかという相談は、常に農林省の手を通じてやつていただくことになつておりますので、ただいまおあげになりました非常に没義道な買收とか、補償とかいうようなことは、われわれとしては考えていない次第でございます。
  50. 深澤義守

    ○深澤委員 そこで私は農地局長にお伺いしたいのでありますが、そういう問題が農林省と相談の上で行われるといたしますならば、従来のように、たとえば建設省、農林省等が農地を買い上げる場合においては、公共事業の建設、あるいはその他道路等の問題で買い上げる場合には、一反歩十万円ないし十一万円という価格で買い上げる例が多いのです。ところが米軍の軍事基地の場合においては、借上げ制度で七、八千円、十分の一以下の価格において借り上げられているわけです。こういうことであつては今後相当問題になりますので、私は警察予備隊等の問題が起る場合においては、一般公共事業による補償金に準じてやるべきであると考えますが、農林省の考え方は一体どうでございますか。
  51. 平川守

    ○平川政府委員 私の方から警察予備隊の方にも積極的に御連絡を申し上げまして、第一段階としては、もちろん農地をできるだけ避けるということを、極力やつていただくということに話合いをいたしておりますが、なおやむを得ざる場合におきましての補償関係につきましては、私の方でお話のような各種の場合のいろいろな例もございますので、それを予備隊の方にもお話申し上げまして、そういう例に準じた公平な扱いをしてもらいたいということの申入れをしておるようなわけであります。
  52. 深澤義守

    ○深澤委員 その例に準じて処分をしてもらいたいということでありますが、その例とは具体的にどういう例でございますか。
  53. 平川守

    ○平川政府委員 たとえば農林省関係の用水改良工事のためのダムの水没地ができるといつたような場合、その他いろいろな関係で、建設省その他の関係の工事等によりまして、農地がつぶれるというような場合がいろいろあるわけでありまして、こういうものを例にいたしまして、合理的な基準をひとつつくりたい。およそその基準を今お話合いをいたしておるわけであります。そういう基準によつてつていただくということにお願いしておるわけであります。
  54. 深澤義守

    ○深澤委員 これは警察予備隊の方と農林省の方と十分連絡をとりまして、従来の進駐軍の取扱いのような、過酷な扱いのないように私は希望いたしまして、一応警察予備隊の方の質問は打切りたいと思います。  そこで農地局長にお伺いしたいのでありますが、私はここで一つ根本方針をお伺いします。  開拓計画ということは、日本の食糧自給態勢の上で重大な要素を持つものであると考えます。日本が毎年々々外国から食糧を入れなければならない事情に迫られており、資金獲得のためにダンピングまでやつて輸出をいたしまして資金を獲得し、その金で食糧を外国から買わなくてはならぬということは、経済上においても非常に不利益であり、また国の独立の点から申しましても、食糧を外国に依存するということになれば、将来日本の独立の基礎ができないことになるわけであります。従つて開拓政策に十分な力を入れまして、そして日本の食糧自給の一環として、努力する必要があると思うのであります。ところが、今までの例によりますれば、大体当初の百五十五万町歩の開拓も十分でない。しかも開拓された四十万町歩の耕地も、独立の営農が成立し得ないような現特にあるということであるとしますれば、まつたく日本の食糧自給態勢の一環が危うい基礎にあるというぐあいに、われわれは考えるわけであります。従つてこの開拓問題については、農林省も大幅に予算を拡大し、これに相当の努力をいたしまして、そして日本の食糧自給態勢の一つの基礎を確立する必要があると考えるわけでありますが、どうも現在の状況によりますと、終戦直後の失業救済的な意味にやられて、従つて現在においては、開拓関係に対しましてはあまりウエートを置いていないという感じを私は受ける。また開拓農民の間にもそういう考えが非常に強く出ているのでありますが、一体農林省は今後急速に当初の計画を遂行するために、熱意を持つておるのかどうか、その点を根本的にお伺いすると同時に、全国の開拓民に対して、君たちのやつている仕事は国家的に重要である、政府もこれに対して十分真劍になつて応援するから、ひとつりつぱな農家として今後存立するようにやつてもらいたいという熱意を、注入しなければならぬと私は思うのですが、その根本問題については、一体どういうぐあいに考えられておりますか。その点をひとつお伺いしたいと思います。
  55. 平川守

    ○平川政府委員 先ほど申し上げましたように、年々の予算の関係財政等の関係でなかなかめんどうでありますので、必ずしも思うような結果になつておりませんけれども、少くとも農林省の考え方といたしましては、お説のように、食糧増産上の見地から見ましても、開拓の占める地位はきわめて重大であります。私どもは日本においては、今後といえどもなお七、八十万町歩つの開墾の余地がある。これによつて八、九百万、石の増産は可能であるというぐあいに考えている次第でありまして、食糧増産の見地から見ても、きわめて重大なる要素をなしておりまするし、また農村人口の問題を考えましても、これまたきわめて重要な問題であると考えておるのであります。きわめて大ざつぱなことでございますけれども、本年の二百十五億の土地改良、開拓関係の予算におきましても、そのうち約七十億は開墾、建設、開拓補助等々の開拓関係事業につぎ込んでおり、そのほか営農資金においても十五、六億の資金をつぎ込んでおるというようなことでございまして、もちろん万全と申すわけではございませんけれども、相当これには力を入れておる。少くとも農林省としては非常に重点を置いておるというふうに、御了解願いたいと思うのであります。
  56. 深澤義守

    ○深澤委員 開拓計画が非常に頓挫しておるという一つの原因は、私はやはり山林等の開放が行われるので、それを阻止する大きな力が反映して来ておると思うのです。従つて、たしか、記憶ははつきりしないのでありますが、十五度以上の傾斜地は開拓用地としては適しないという標準をきめていると思つているわけですが、しかしこれは平坦地から考えますれば、そういうぐあいに考えられるのでありますが、二十度、三十度の傾斜地で、既存の農家の耕地として開拓されているところがたくさんあるわけです。従つて私は十五度という制限は、少くとも日本の耕地を擴張する一つの大きな障害になつているのではないかと考える。山林開放が行われることをこばむ諸君は、結局それによつて日本の治水、治山が危ぶまれるということを言つてつたわけですが、事実上は、最近におけるパルプ資本の奥地に対する侵入が、まつたく日本の森林資源の枯渇となり、従つて治山治水というものに対して大きな影響を與えているのでありまして、もし治山治水を考えるならば、あのパルプ資本のめちやくちやな濫伐こそ、私は制限すべきであると考える。農村に参りますれば、昔は畠であつたところが、採算上みな山林になつておるというところがあるのです。そういうところはよろしく開拓をして、農地にすべきだと私は考えるのです。ところがそれに対してなかなか大きな圧力が加わつて、開拓政策が行き悩んだというのが実情であると思う。従つて農林省は、十五度以上の傾斜地は開拓不適地であるという認定は、これを改めるべき段階に来ておるのではないかと私は思うのでありますが、その点に対して農材省はどういうふうにお考えになつておりますか。
  57. 平川守

    ○平川政府委員 御指摘のように、従来個人が自由に開墾をいたしたものにおきましては、場所によつてはかなり十五度以上の傾斜地を開墾しておる場所もございます。ただ国の開拓政策として、助成をして、政府として国家的に開拓を進めて行くという場合については、やはり二面治山治水の上の見地も十分考慮しなくちやならぬと思うのであります。個々の場合によつて、場所場所によりましては、十五度というものがいいのか、十六度というものがいいのかということについては、いろいろ問題があるかと思いますけれども、ある一定の安全なる基準の中において、開拓政策として行くということも考えなくちやならぬだろう。そこで十五度以内の傾斜地について開拓地を求めましても、なお七、八十万町歩あるわけでございます。それで私も現在の段階におきましては十五度以内という、治水上も安全であるという範囲内において、ひとつ開拓政策を進めて行こう。その範囲内においても、御指摘のように山林所有者等の関係もいろいろございますが、これにつきましては、私どもといたしましは、各村々においてそれぞれみな人口過剰があるわけであります。そういうことから、また土地が足りなくて困るという状態があるわけでございます。そういう村々の計画において、ただいまの十五度以内というところに適合する開墾地を持つている場合には、できるだけこの開拓を進めて行くように話合いを進めて行く。そうして国もこれに援助を與え、また仲介もいたしまして、開拓を進めて行きたい。さしあたりこの十五度以内におきましてもなお七、八十万町歩あるわけでございますから、まずこれをやるべきであるというふうに考えております。
  58. 深澤義守

    ○深澤委員 入植開墾につきましては、私はその七、八十万町歩の十五度以内の開拓地を、大いに国家が助成してやるべきであると考えますが、増反開墾の関係におきましては、十五度というものを限度とする必要は、必ずしもないというぐあいに私は考えるわけであります。増反開墾の場合においては、この十五度という制限を撤廃すべきではないかと思うのでありますが、その点はどうですか。
  59. 平川守

    ○平川政府委員 ただいま申しましたのは原則でございまして、地元増反用の場合で、十五度以上であるけれども、これは治山上大してさしつかえないし、開拓した方がよかろうというようなものにつきましては、特別の許可制度によつて、これを例外的に認めるということをいたしております。
  60. 深澤義守

    ○深澤委員 本案の資金融通の問題は、私は今申し上げましたような開拓政策の重要性を認識する意味において、十五億三千万円ですか、この額はまだ少きに失するという見解を持つておるのでありますが、農林当局がなお一段と、ひとつ開拓政策について熱意を持たれることを希望いたしまして、私の質問を一応打切ります。
  61. 佐藤重遠

    佐藤委員長 川野芳滿君。
  62. 川野芳滿

    ○川野委員 時間も十二時でございますので、ごく簡單に二、三点だけお尋ねをいたしたいと思います。  先ほど農地局長の御説明によりまして、八十万町歩ぐらいの開墾適地があるから、さらに開墾する、こういうつ御答弁がございました。まことにけつこうと存じます。しかし現在の開墾地の入植者の実情を見ますと、半分くらいの入植者は、実は腰を浮かして逃げ出さんといたしておるような実情でございます。そこでこれらの問題について、私はいろいろ検討をし参つておるわけでありますが、立地條件の非常によい開拓地は、実は入植者が逃げ出すというようなことはないようでありますが、立地條件が非常に悪いところ、すなわち非常な寒冷地帯であるとか、あるいはまた酸性土壌のために作物ができない、こういうような地帯におきましては、入植者が実は逃げ出そうといたしております。そこで寒冷地帯におきましては、これはもちちろん寒いことは承知で開拓に当つたわけでありまするが、酸性土壌地帯におきましては、これは土地改良を行いますならば、ある程度この問題は解消するのじやなかろうか、こういうふうに考えますので、少くとも開拓地の土地改良の問題は、今後大きく取上げていただきたいと考えるわけでありますが、これに対する局長の御所見を伺いたい。  さらに私は宮崎県でございますが、宮崎県におきましては、御承知のように一年に数回の暴風雨が参りまして、そのために開拓地の農作物に非常な災害を来しておるような実情であります。そこで防風林の設備をしていただくならば、ある程度これらの台風の災害が防止できる、こういうふうに地元の開拓農民は叫んでおるわけでございます。従いましてこれらの地方におきましては、特に防風林の設置をしていただくということが最も必要ではなかろうか、こういうふうに考えるわけであります。さらにこれらの地帯における農業の改良問題等を考えますると、どうしても営農指導員を相当置いていただきまして、この営農指導員によつて、いろいろと開拓農民の指導をしていただく、こういうことが非常に必要ではなかろうかと私は考えるのでありますが、これらに対して局長の御所見を伺つてみたいと存じます。
  63. 平川守

    ○平川政府委員 御指摘の、ことに山地帯等の開拓地においては土壌が不良の場合が多い、酸性土壌の場合が多いのであります。これには非常に力を入れて考えておりまして、たとえば二十七年度の予算におきましても、昨年に比べますと一挙に倍以上、三億数千万円の予算を計上いたしまして、これを酸性土壌の改良に充てるということにいたしております。その他先ほども触れましたように、開拓地の建設工事、道路でありますとか、あるいは水路、水利施設というようなものに対しましても、昨年に比べて倍額程度の予算を計上いたしまして、開拓地の営農の基礎條件を早く充実したい、かように考えておるわけであります。  それから防風林の問題も、これは地帯によりまして非常に必要な問題であります。林野庁の方に防風林の関係で六千万円ほど予算が計上してありまして、それをこちらの方でかなり優先的にもらい得るというふうに話合いをいたしております。予算としては林野庁の方にあるわけで、それをできるだけこちらの必要な場合にはさいてもらう、こういうことになつております。  なお営農指導員の問題につきましては、これも必要性を十分感じておるのでありまして、できるだけ人数もふやして参りたいと考えておりますが、これは行政整理等の関係もございまして、人員の増は認められませんでしたので、今後できる限りこれの充実に力を盡したいと思つております。
  64. 川野芳滿

    ○川野委員 ただいま暴風よけのために暴風よけの森林地帯をつくる、こういう問題について、必要な場合は予算を林野庁の方からもらう、こういうお話がございましたが、ひとつ暴風地帯を実地にごらんいただくならば、必要であるかどうかということは、もうはつきりいたしておりますので、どうかひとつできるだけ早く実行面に移つていただきたいと考えるわけであります。さらにこの開拓地の振興のためにいろいろな方法がございまするが、開拓農協を通じてこれが振興に当られることが最も必要ではなかろうか、こう考えるわけでありますが、これについては一般の農協よりも、さらにある程度の助成金をやる、こういうふうにしていただかなければ、開拓が緒についたばかりの現在の実情からいたしますと、どうしても農協の側面的な援助によつて、開拓者を健全化することが必要であるかと考えますので、これに対する特別の助成金をおやりになる御意思はないかどうか、この点をひとつ伺つてみたいと思います。  それから、これは文部省の問題と考えますが、さらに局長から文部省に御交渉をしていただいて、実現するという意味合いのもとにお尋ね申し上げてみたいと存じます。実は開拓地には非常に学校が少い。そこで遠隔地には分教場をつくつていただきたい、こういう要望が実は非常に強いのでございます。現在の実情は二、三里離れた小学校に通つておる、こういう実情でありますので、これらの遠隔地においては分教場をつくつていただきたい、こういう要望に対する御所見を伺つてみたいと存じます。  最後に大蔵省にお尋ね申し上げたいと存じますが、実は大蔵省の軍用財産がございます。この軍用財産を開拓者に転用されておるところもございまするが、まだ転用をされていない建物等が相当あるわけであります。そこでこれをひとつ至急に農林省の所管にして、そうして開拓者にこの軍用財産を無償——無償でいけなければ、できるだけ安く拂い下げる、こういうことにしていただきたいと存じますが、これについての大蔵省の所見を伺つてみたいと存じます。
  65. 平川守

    ○平川政府委員 開拓協同組合に対する助成の問題でありますが、こういう種類の団体に対して、直接に助成金を交付するということは、最近におきましてはすべての団体にこれを認めておりません関係で、特に開拓組合にだけこれを認めるということは困難かと存じております。但し開拓農協の助長ということは、開拓者の発展上もきわめて必要であることは、私どももその通りと考えております。協同組合の再建整備等の機会におきまして、開拓協同組合の不振のものに対しては、同じ扱いを受けるというふうにお願いをいたしまして、その扱いを受けるものが七組合あるわけであります。その他でき得る限りいろいろな機会におきまして、開拓農協の育成ということについては、事業面等におきまして、できるだけ援助をして参りたい、かように考えております。  それから小学校の分教場の問題につきましては、これも従来から遠隔の地に対しましては助成をいたしております。本年も昨年よりさらに單価増等をいたしまして、内地において五十棟、北海道において三十棟くらいを目安といたしまして設置して参りたい、かように考えております。  軍施設等で大蔵省の管理になつております財産等につきまして、これを開拓の方で利用させてもらうと、非常に便利であるという場合につきましては、個々の物品につきまして、大蔵省の方とお話合いをいたしまして、できる限り割愛していただくようにいたしております。具体的に何かございますれば、さつそく御連絡をお願いいたします。
  66. 川野芳滿

    ○川野委員 まだ同僚が二人くらい御質問があるということでございますので、これで私の質問は終ります。また機会がございましたら、質問をいたしたいと思いますが、最後に重ねて御希望申し上げておきたいと思います。冒頭申しましたように、新しく開墾するという問題も最も必要であるかと存ずるわけでございますが、今日せつかく入植いたしまして、孜々営々として開拓に当られた方々をして、開拓地をできるだけ捨てさせたくない、こういう意味合いで、ぜひひとつ現在の入植者に対して、できるだけの保護をしていただきまして、そうしてその土地にとどまらせる、こういう施策をさらに強く推進せられんことを切望いたしまして、私の質問を終ります。
  67. 佐藤重遠

    佐藤委員長 宮腰喜助君。
  68. 宮腰喜助

    ○宮腰委員 開墾の問題と農地の問題に関連して、質問申し上げたいと思うのであります。電力問題についてつ、いて、自由党は九分創案、われわれ民主党は五割案ということで、いろいろ論議して参つた結果、自由党の案が採択されたのでありますが、ごく最近に、地方の電力会社が盛んにダムの建設をやつております。すなわち水力発電所のダムの建設が盛んに行われて参りますが、これで農家がそのダムの底になるということで、退去を命ぜられる運命が至るところに起きております。従つてこの補償問題もなかなか農家の要求通りには出してくれない。また農家がそのダムの地点からほかへ越す、あるいは都市に移動して職工になるとか、あるいは商店を開こうというようなことは、とうてい不可能な場合が多いのでありまして、どうしても今までの生活上の環境から考えて、その土着の周辺に住居したいという希望者が相当多い。また価格補償については摩擦が起きておる状態でございます。ことに東北電力では数百億の金を投じてダムの建設、自家発電等の建設が行われております。こういうぐあいに電力会社のダムの建設、あるいは鉱山等の自家発電の設置のために、立ちのきを要求せられる農家が相当あります。こういうような農家を立ちのかしめるにあたりまして、これはなるほど国家の重要産業の一つの基礎になるところの電気のことでありますから、われわれも協力しなければなりませんが、こういうような場合にどうしても国有地や国有林の国営開拓をやらなければ、この立ちのきを命ぜられた農家に対しては実に気の毒であります。こういう意味で今後起きるところのこういう複雑な問題については、農林省として積極的な対策を考えておるか、あるいはまたこの予算の中に、こういうことを予想しながら計画をされておるかどうか、その一点を伺つておきたい。
  69. 平川守

    ○平川政府委員 これは電気関係等にとどまらず、あるいは建設省などのダムあるいは農林省の灌漑排水工事用のダム等にも、同様の問題が起つております。これらの場合につきましては、それぞれ工事者におきまして一定の農家の生活を安定せしめるに必要なる補償を出すのが、当然と考えておるわけであります。しかしそれに対しましてそれだけをもらいましてもあとあとの生活という意味から申しますと、やはり農家のことでありますから、別のしかるべき土地において農業を営まなければならぬ。こういう問題に対しましては、農林省といたしましても新しい土地の開拓という面において、十分の援助をいたすつもりでおります。従つて新しい開拓地に新規の入植者を入れます場合に、そういつた事情のもとに移転を余儀なくされましたような農家には、優先的にこれを考えるというようなことをいたしておるわけであります。それから予算面におきましては、特別にそういう農家のためという予算はありませんけれども、開拓その他の関係においては、それぞれの適用される場合が出て来るわけであります。しかし直接的にはその事業者が、そういう農家のあとあとの経営を安定せしめるだけの補償は当然すべきものである、われわれの方でも工事の関係でそういう農家が出ます場合にはそこまで考えた十分の補償をいたして参りたいという方針でおるわけであります。
  70. 宮腰喜助

    ○宮腰委員 それから開墾に関しまして、先ほど川野委員からもお話のあつたように、宮崎県のようなああいう台風の吹く地帯、並びにまた東北でいえば秋田県のように雪国であつて、しかも單作地帯である、当然に多角農業経営をやらなければ、農家は生きて行かれないというようなものについては、特別助成金なり、いろいろな対策について、資金関係についてはこういうような地帯に多くめんどう見てあげなければならない。たとえば家畜の導入についてもこれを買い入れる資金がない、こういうような場合に、こういう雪国の地帯とか台風の吹く地帯には、特別な考慮を拂う必要があるのではないかと思いますが、政府はそういうような差別を考えておるかどうかお伺いしたい。
  71. 平川守

    ○平川政府委員 形式的に東北に対してはどうというような、差別的な制度は設けておりません。ただ実際問題といたしまして、家畜の導入に対する資金融通でも、二億二千万円ほどの予算を計上しておりまするし、また今回一般の農家に対する家畜導入の資金として、約二十億ほどの資金を考えまして、これに対する利子補給等の予算を畜産局におきまして計上しておりますが、こういうものに対しましても、開拓農家等が必要があれば申込みができる。これの割当等についてその地帯地帯の必要性によつて、割当をいたして参るというふうに考えているわけであります。
  72. 宮腰喜助

    ○宮腰委員 この開拓問題につきましてときどき起る問題でありますが、たとえばきのうも質問申し上げましたが、多角的農業経営をやれということで緬羊を飼わして毛をとる。この毛の販売、それからまた大豆やあずきを收穫した場合の、この販売の組織が悪いので、各組合心々が個々に売却しておるために、悪ブローカーの手に乗りまして、非常に迷惑を受けている場合がたくさんあります。従つてこれには何らかの、たとえば全購連のようなああいう組織の団体をつくりまして、この販売の方法も合理的に考えて行かなければならない場合が非常に多いのでありますが、今の状態であれば一生懸命働いても、結果において何もならなかつたということになるおそれがありまするので、全国的な販売の対策に関する会社なり組合なりを結成して、有利にこれを販売させる方策を考えて行かなければ、せつかく借りた金も利息も拂えないという状態になつて参ります。従つて生産されたこの製品の販路の問題について、農林省としてはどういうお考えを持つておられるか、その点を伺いたい。
  73. 平川守

    ○平川政府委員 販売等の問題につきましては、ある程度の数量がまとまりませんと——またその数量に応じていろいろな機構を考えなければならぬと思うのでありまして、開拓者だけが独立して何でもかでもやればいいということではなかろうと思う。場合によりましては地元の一般の農業協同組合と一諸になつて販売するのが、有利な場合もありましよう。また非常に開拓特有のまとまつた品物があるということになれば、その全国組織を通じて販売するという場合もあるかと思うのであります。現在開拓者のそういう関係を扱う組合といたしましては、開拓農業協同組合をつくつているものが大部分でございます。それが県單位におきましては県関連、全国單位におきましては全国連合会というようなものをつくつております。これがちようど取扱うに適当な品物がありますれば、それをまとめて扱う。たとえば全開連のごときは肥料の購入であるとか、これは購入面でありますけれども、そういうある程度開拓者共通のまとまつた品物を扱つております。その販売作物の種類、数量に応じまして県関連を使う、あるいは全開連を通すことが有利であるものについては、これを通すことも可能であると思います。
  74. 宮腰喜助

    ○宮腰委員 ただいまのお話によると非常にうまく行つておるようなことを申されますが、実は県関連にしても資金がないために、この開拓者から買い入れることが困難でありまして、その資金の正面を一般のやみ金融業者から金を借りて買集めをしたり、非常な無理をしている県が相当あるようであります。決して農林省で考えておるように簡單に行つていないのでありますが、こういうように県関連があるならば、ある特定の收穫時期になりましたならば、その資金を積極的に見てあげて、有利にこれをまとめて、全購連なり適当なる団体にこれを売却するようなあつせんなり、努力なりしてあげなければいけないと思うのであります。農林省の言つておるような状態にはなつておらないのでありますが、この県開連に対して、一定の時期にそれ相当の資金の融資あつせんなんかやつておられるかどうか、その点もお伺いしたいと思います。
  75. 平川守

    ○平川政府委員 ただいままで農林省としましては、もちろん県関連なり全関連なりに対する農林中金あたりからの融資について、いろいろお世話をしております。ただ中金の方でもやはり信用を重んじます関係で、具体的の取扱い品目に応じて、またその計画の方を十分検討しまして、品物別にいろいろお世話をしているというようなわけであります。現在のところでは、まだ先ほど申しました肥料の代金でありますとかいうようなものについて、逆に購入する物資についつての資金のあつせん等は、中金に対してずいぶんいたしております。いろいろな種類の農産物の販売についての資金のあつせんというものは、まだ私聞いておりません。これがもし中金としても、それならば信用して貸すことができるというような具体的な計画ができますれば、世話ができるかと存じます。今後具体的に一つ一つ事情を調べまして、そういう必要があり、また可能性があれば、できるだけの世話をして参るつもりでおります。
  76. 宮腰喜助

    ○宮腰委員 もう一点お伺いしておきますが、先ほど深澤委員からの質問の中に、十五度以上の傾斜については開墾をやらぬ方針であるということを伺つたのであります。ところがダムの建設なんかやる場合は、たいてい傾斜面が十五度前後の場合、以上の場合が非常に多いのでありますが、こういう場合にもこの国営開墾を認めないかどうか。またそういうような山沿い地帯はやはり收穫も非常に悪いようであります。たとえば秋田県の八幡平の開墾なんか見ますと、そばだとかじやがいもくらいのもので、ほかはほとんど收穫がない。現地をわれわれも調査して参りましたが、ほとんど收穫がありませんで、食えないような状態で、入植して非常に後悔をしているような方が非常に多いのでありますが、そういう場合に、十五度以上の場合でもこれは開墾を許される場合があるかどうか、その点をお伺いいたします。
  77. 平川守

    ○平川政府委員 十五度以内というようなことは、それぞれの具体的なその土地について言うわけでありますから、全体的にはかなり傾斜のひどい地帯でも、そこに十五度以内の小面積があるということはあり得るわけであります。ダムの建設されるような地帯におきましても、小さい面積について十五度以内のものもありまするし、また先ほど申しましたように、増反等につきましては、例外的な許可制度も設けているわけであります。ただ大体の考え方としては、国が計画的に開墾を助成してやつて参るのは十五度以内のところである。従つてダムの水没地の農民が、その附近においては非常な傾斜地ばかりで耕作地が得られない場合においては、全然ほかの平地の方に移転することを世話をする、というような場合もあり得るわけであります。
  78. 三宅則義

    三宅(則)委員 私はごく簡單に申します。先ほど来他の委員からも質問がありましたから、関連しておりますので、ごく簡單に御答弁願います。ダムの建設されまする関係上、農村には三十戸も四十戸も——一村全部ではございませんが、半分くらいはどうしても移転しなければならぬところがあるわけです。私の方でも愛知県東加茂郡巴川ダム——農林省がやつておりますが、そういうものはなるべく近い所に行きたいという要望があるわけであります。しかし近い所があればよろしいのですが、ない場合には遠方に行かなければならぬことになりますから、そういう場合には各地が供出した土地をやれるものでありましようか。開拓の方に持つてつてしまうのですか。その辺を承りたい〇
  79. 平川守

    ○平川政府委員 これは個々の具体的の場合の話合いに相なるわけでありまして、形式的には結局ある程度の補償でということになるわけでありますが、補償金だけもらつたら、それで生活が安定するというわけではありませんので、個々の具体的な被害農家の希望も十分聞きまして、たとえばその近所である程度山仕事などもつて、おちついて行きたいというような希望を申し出る場合もありまするし、また思い切つて平野に出て、純粋の農家になりたいという希望を申し出る場合もあります。またその場合においても私どもとしましては、国が一定の補償をします以上に、受益地においていろいろのめんどうをみてもらいたいということを申しているわけであります。つまり数十戸の農家が何万戸かの受益農家の犠牲になるわけでありますから、その何万戸かの受益農家の方において、こういう場合においてはできるだけ土地をあつせんする。たとえば何か平地のようなものを供給するとか、あるいは場合によつては自分たちの農地の中から幾らかさいて入れるとか、この辺になりますと、つまり受益農家の方の好意的ないろいろな提供にまつりよしかたがない。政府としては開墾地がありますれば開墾地を提供します、補償もいたします、こういうわけであります。
  80. 佐藤重遠

    佐藤委員長 三宅君にちよつと申し上げますが、どうでしようか、この程度で。あなたは一点とおつしやつたから私は発言を許したのですが、どうか次会にひとつお譲り願いたい。     —————————————
  81. 佐藤重遠

    佐藤委員長 この際お諮りいたします。先刻政府当局より説明を聴取いたしました税法四案につきましては、国会法第五十一條により重要な歳入法案と認め、公聴会を開会したいと存じますが、公聴会開会につき、衆議院規則第七十七條により議長の承認を求めることに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  82. 佐藤重遠

    佐藤委員長 御異議ないようでありますから、さよう決定いたします。  なお議長の承認がありました場合、公聴会開会の日時、公述人の選定、その他公聴会開催に伴う諸般の手続等につきましては、すべて委員長及び理事に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  83. 佐藤重遠

    佐藤委員長 御異議ないようでありますから、さよう決定いたします。  本日はこの程度にとどめ、次会は明十五日午前十時より理事会、十時半より委員会を開会いたしたいと存じます。  本日はこれにて散会いたします。     午後零時三十七分散会