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1952-02-12 第13回国会 衆議院 大蔵委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年二月十二日(火曜日)     午前十一時十六分開議  出席委員    委員長 佐藤 重遠君    理事 小山 長規君 理事 佐久間 徹君    理事 内藤 友明君 理事 松尾トシ子君       淺香 忠雄君    大上  司君       川野 芳滿君    島村 一郎君       清水 逸平君    夏堀源三郎君       三宅 則義君    宮幡  靖君       宮原幸三郎君    荒木萬壽夫君       深澤 義守君  出席政府委員         警察予備隊本部         次長      江口見登留君         総理府事務官         (特別調達庁管         理部長)    長岡 伊八君         大蔵事務官         (主計局法規課         長)      佐藤 一郎君         大蔵事務官         (管財局長)  内田 常雄君  委員外出席者         農林事務官         (農地局管理部         長)      谷垣 專一君         農林事務官         (農地局管理部         入植課長)   和栗  博君         專  門  員 椎木 文也君         專  門  員 黒田 久太君     ————————————— 二月九日  葉たばこ收納代金前渡に関する請願圓谷光衞  君紹介)(第五四七号)  噸税及び公有水面埋立免許料に関する請願(坂  本實君紹介)(第五四八号)  水あめ、ぶどう糖に対する物品税撤廃請願(  北村徳太郎紹介)(第五四九号)  旧陸軍共済組合員年金交付に関する請願(寺  島隆太郎紹介)(第五六二号)  同(山本久雄紹介)(第六〇六号)  揮発油税軽減に関する請願中村又一紹介)  (第五九四号)  舞鶴山の旧軍用地拂下げに関する請願大石ヨ  シエ君紹介)(第五九五号)  石油関係関税免税措置延期に関する請願(川  端佳夫紹介)(第六二四号)  在外資産補償に関する請願池見茂隆君紹  介)(第六二五号)  石川町に松戸葉たばこ試験場設置請願圓谷  光衞紹介)(第六二六号)  終戦後外地における被接收船舶国内補償等に  関する請願星島二郎君外七名紹介)(第六二  七号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  開拓者資金融通特別会計において貸付金財源  に充てるための一般会計からする繰入金に関す  る法律案内閣提出第二七号)     —————————————
  2. 佐藤重遠

    佐藤委員長 これより会議を開きます。  開拓者資金融特別会計において貸付金財源に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案議題として質疑に入ります。質疑は通告順によつてこれを許します。内藤友明君。
  3. 内藤友明

    内藤(友)委員 ただいま議題になりました開拓者資金融通特別会計において貸付金財源に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律につきまして、二、三お尋ね申し上げたいと思うのであります。  まず農林省農地局管理部長がお見えでありますので、初め簡單なことからお尋ねしたいのであります。この法律の第一に十五億三千百二十一万円という数字が出ているのでありますが、この十五億三千百二十一万円の内容をお伺いいたしたいのであります。
  4. 谷垣專一

    谷垣説明員 十五億三千万の内訳を御説明申し上げます。これは営農資金貸付といたしまして十二億六千万、それから開拓者が共同でいろいろと簡單な設備をいたしますが、そういうものに対しまして五千二百万、そのほかに二十三年度に入植をいたしました諸君が、非常に物価の変動がはげしくて家畜その他の導入が不十分でありましたので、特に二十三年度入植諸君に対しまして、主として家畜を融資するために二億一千七百万のものを貸し付ける、こういうようになつております。
  5. 内藤友明

    内藤(友)委員 そこでお尋ね申し上げたいのでありますが、まず私は農林省の方から農林省の今日の御方針をまず承りたいのであります。それはこういう特別の資金一般会計から毎年繰入れられまして、開拓政策を推進しておられるのでありまして、これは終戦国内食糧増産をしなければならぬという大きな使命のもとに、政府が取上げられておるのであります。今日までこのために政府財政投資をせられた金額は、私の調べによりますと、およそ三百六十億くらいになるかと思うのであります。またその仕事に携わつております開拓者入植者は、自己の力で二百億以上それに投じておると思うのであります。ただいまここへ刷りものを頂戴しましたが、これによつてみてもわかります通り、今日は十五万戸の入植者が入り、また入植はいたしませんでしたが、増反いたしました者も六十万戸に及んでおるのであります。かようにいたしまして、今日は非常に成績が上りまして、五十万町歩の開拓をやつたのであります。従つてこれからの生産は——これは私ども計算でありますから、多少政府の御発表と違うかもしれませんが、五百万石を凌駕するものと思うのであります。これを金額に直してみましても三百五十億は下らないということで、まことに日本食糧増産の大使命に向つて邁進いたしておることは、農林省でもお認めだろうと思うのであります。そこで今日問題になつておりますのは、警察予備隊とか連合軍が、開拓地演習地として物色するようなことが以前からよくあるのであります。私どもがもらつている資料を見てもこの問題が相当にある。これは全日本開拓者連盟諸君が全国を通じてお調べなつたものでありますから、おそらく農林省特別調達庁もこの資料はお持ちだろうと思うのであります。そこでこういう問題のために、農林省が今までやつて来られた開拓政策というものに、非常な暗影が投げかけられることになると思うのであります。これはいろいろと時勢がかわるのでありますから、かわる時勢に応じてまたいろいろと考え直さなければならぬ点のあることは了承できますが、農林省はこの警察予備隊とか、近く行政協定でとりきめになるいわゆる駐留軍の問題が起きて来るが、そういういろいろな情勢に応じて、従来非常に大きな力として推進して来られた開拓政策というものを、何らか御変更になるか、あるいは変更せずして、従来の方針通り続けられるのか。これは農林大臣にお伺いするのが適当かとも思いますが、大臣がお見えになりませんので、実際にこの仕事をやつておられる谷垣さんから、事務的なことでもけつこうですから、伺いたいと思います。
  6. 谷垣專一

    谷垣説明員 駐留軍の問題あるいは予備隊等の問題のために開拓地がかなり接收されておる、あるいは使用される計画が立つておることは事実でございます。しかしながらそれがために開拓全体の方針開拓の今後のやり方を変更するという考えは、農林省として持つておりません。ただその間におきまして開拓民にいろいろな不安な感じのあることは事実であります。そういう問題につきましては、それぞれ関係の方と御連絡をいたしまして、開拓民がそのために不安な感じを持たない、またそのために開拓政策の進展を阻害することのないよう努力したいと思いますし、また努力を続けているわけであります。
  7. 内藤友明

    内藤(友)委員 御方針を変更なさらぬというお答えでありますので、それはそうだと思うのであります。この問題は具体的にいろいろ申し上げますと、御理解願えると思うのでありますが、今日は時間をとりますから差控えて、いずれまた申し上げようと思いますが、先般農林委員会におきまして、この問題につきまして決議をして、各方面農林委員会の態度としてお示しになつているのであります。それによりますと、なるべく軍用地であるとか、警察予備隊用土地は、従来の農地あるいは開拓地をとらない、その他に求めようというのが、一つの大きな農林委員会方針だとしてとりきめられまして、政府要望書出しておられるのであります。これは一農林委員会の意見でありますけれども、おそらく国会の総意がここへ固まつたものと解釈するのでありますが、この農林委員会決議に対しまして、農林省はどうお考えになるのか。これが国会意思であるというならば、この方針に基いて、農林省は他の官庁に対してどういう具体的なお働きをしておられるのか、それをお尋ねいたしたいと思います。
  8. 谷垣專一

    谷垣説明員 衆議院の農林委員会の方から私たちの方にいただきました決議は、二月七日付のものでございます。これが今御指摘の決議であろうかと思うのでありますが、この中に盛られております趣旨、すなわち農地開拓地というようなものは、軍用地接收あるいは予備隊に使用することを原則としてやらないという方針、あるいはまた万やむを得ない場合においては、これに対して適正にして十分な補償を早期に支拂うようにせよ、あるいは現地処理はこれを避けて、中央において処理をしようというような趣旨であつたかと思うのでありますが、こういうような点につきましては、二月七日の決議をまたずに、私たちも大体こういうことが開拓民を安定させ、また開拓政策を推進して行く上に必要であると考えておりましたので、昨年末それぞれの関係方面に対し交渉、打合せをいたしておつたわけでございます。関係筋特別調達庁あるいは予備隊の方におきましても、昨年秋以来こういうようなことが急速に大きくなつて参りましたので、ことしになりまして私の方から予備隊の方にも申入れをいたしまして、それぞれ交渉を続けておるわけであります。なお外務省その他の方に対しましても、駐留軍関係その他の関係におきましては、適当な処置をとつていただくように、申し述べて来ておるわけであります。また関係方面にも、まだ十分な了解あるいは十分な対策という点には、これからの点が多いのでありますが、予備隊問題等にいたしましても、現地において、そういう紛争した状況が起きておるようなものにつきまして、それのさしとめを予備隊の方からも命じておるというような事情を知つておるわけであります。大体そういうようなことで今まで進めて参つております。
  9. 内藤友明

    内藤(友)委員 農林省事務を扱つておられる谷垣さんのお気持は大体わかつたのでありますが、そこで問題は、おのずから二つにわかれると思うのでありまして、一つは今谷垣さんから御返事いただきました接收の問題、できるだけ接收はやめてもらうという問題、どうしても接收しなければならぬという場合の補償の問題、この二つになろうかと思うのであります。  そこでもう一つ谷垣さんにお尋ねしたいのは、接收せられた場合は、政府が貸し付けました金は、一時償還をさせなければならぬものではないかと思うのであります。開拓者に対して貸し付けておりまする金は、昭和二十五年度末におきましての残高が、七十八億円くらいになつておるのであります。これに昭和二十六年度の分を加えますると、私は百億近くのものになろうかと思います。その中のどれだけが、この接收という問題によりまして、一時償還させなければならないものであるかは、これはあとからまたお聞かせ願いたいと思うのであります。そこで当然農林省のこの補助金貸付規定によりまして、こういうふうに途中でその開拓者仕事をやめるという者に対して、一時返済を命じなければならぬのでありますが、そういうことを具体的におやりになつておるかどうか。黙つて知らない顔をしておられるか。これは連帯保証もとつてある金だろうと思うのでありますが、いろいろととり方もあると思うのであります。具体的にこの貸付金——接收されることによつて離れた場合、当然政府としましては償還を命じなければならぬのでありますが、そういう御処置を過去においてなされたかどうかということを、お尋ねしたいと思うのであります。
  10. 谷垣專一

    谷垣説明員 これは全部のものにつきまして、はつきりと承知しておりませんので、そういうものの手続について、はつきり申し上げるのは、ちよつとまだ私調査が不十分でありますが、従来入植をいたしておつて接收をされましたところの諸君に対しましては、現在の法律の命じております通りに、一時にこれを拂う手続きをやつております。この問題は、一つには接收されました農家が換地を持ちまして、そうして新しい入植をいたして行くというような場合があるわけであります。これは農林省といたしましては、できるだけそういうようなお世話をいたしたいと思つておりますので、そういう例があるわけであります。こういうような場合には、一時取立てやり方を操作しなくていいことに相なりますので、引続いて今まで通り手続をとる状況が起きて参ります。それから全然接收いたしまして、農業を廃止するという諸君に対しましては、これは今申し上げましたような一時取立て方法手続をとつているわけであります。ただその場合実情等から見まして、それがかなり苛酷な場合が生ずることもあるかと思うのでありますが、現在の開拓者資金融通法の方から申しますと、そういうような手続をとらなければなりませんので、いささかその点において苦慮いたしている点があるのでありますが、大体今申しましたようなことで手続を進めております。
  11. 内藤友明

    内藤(友)委員 これはひとつ資料出していただきたいという気持を持つておるのでありますが、おそらくまだ問題がこのごろ始まつたことでありますから、資料がないのかと思いまして、もう少し時間的に御遠慮いたします。  そこで問題は、次には補償の問題になろうかと思うのでありますが、大蔵省管財局長特別調達庁からもお見えなつておりますから、具体的な例を申し上げまして、お尋ねしたいと用います。  大分県のある開拓地でありますが、これは新聞にも出ておりましたから、御存じだろうと思うのでありますが、一反に対する補償料は八千何がしというわずかの金であります。農家一戸当りにいたしますと、六万八千円という補償料なつております。これは特別調達庁がいろいろ折衝されまして、こういうことにおちついたのであります。ところが大分県のその他区につきまして実際に聞いてみますと、その六万八千円もらつた農家が、今の開拓者資金融通法によりまして五万円の貸付を得ておるのであります。そうしますと、五万円の借りている金を返さなければならぬ。それでわずか一万八千円しか残らないということになるのであります。そこでこの農家は転職しまして、いろいろと心配するけれども、どうしても一万何がしかの金では、どうにもならぬという具体的な問題があるのであります。これは一例でありまして、ほかの例を申し上げますと、まだ幾つもあるのでありますが、この例を見ましても、補償料が非常に安い。もちろんこの補償料は二十三年に大蔵省管財局長から出されました通牒、すなわち連合国軍指令等に基く損失に対する補償についてというもので、六万八千円という計算が出て来るのだろうと思うのであります。そこでお尋ねしたいのは、幸い管財局長もお見えでありますから、管財局長からお出しなつ通牒連合国軍指令等に基く損失に対する補償についてというこの通牒を、もう少し合理的に御修正なさる御意思があるのかどうかということを、お尋ねしたいのであります。
  12. 長岡伊八

    長岡政府委員 お答え申し上げます。開拓地がさらに進駐軍のために摂收されます問題につきましては、事情を聴取いたしまして、われわれといたしましても涙なくして、取扱うことのできぬような、実にお気の毒な状態にあることを重々承知いたしております。つきましては今日ではなるべく進駐軍にも話しまして、開拓土地接收を避けてもらうように交渉いたしておるのであります。何分にも御承知の通り特別調達庁という役所は、進駐軍に対するサービスをする役所でございますので、つべこべ申しますと、つべこべ言わずにお前らは提供するのが役目ではないかというふうにとられます。しかしながらわれわれといたしましては、日本の国情なりその地方の実態を進駐軍にも伝えまして、考慮をしてもらうということが、われわれに課せられた義務一つだと思つておりますので、常々その心がけで進駐軍に接触いたしております。現に進駐軍といたしましても、各地で農民諸君に御迷惑をかけて問題を起してはいかぬから、場合によれば現地において進駐軍もまじつて委員会のようなものをつくつて納得の行くようにして接收するようにということも申して来ております。それから現にわれわれの方から事情を話しまして、接收の範囲を狭くしてくれましたり、接收をとりやめたような例もあるのであります。これに対しまする補償の問題につきましては、先ほどお話がございました通牒大蔵省の方から出ておりますが、現在では実は進駐軍にいろいろと交渉をいたしまして、接收財産処理要綱なるものを承認を得まして——ようやくこれが正式に進駐軍から承認を得ましたのは昨年の十月でございますが、これによりまして処理いたしておるのであります。何分この接收地補償の問題は、進駐当時日本がどうなるかわからぬというときに、また財政上もどうなるかわからぬというときに始まりましたので、そこに非常な制約を受けまして、いわば日本の再建のために、再び犠牲になつていただいたというような形に相なつております。予算面からの制約もありますので、十分な御満足の行くだけの補償ができかねるのであります。それに、補償をいたしますときには、一々進駐軍承認を求める必要がありますので、なかなかこの承認が求めにくいのでありまして、われわれといたしましては、われわれに許されましたわくの中で、でき得る限りの補償を申し上げたい、こういう心組みで今日まで参つておるのであります。さらに講和條発効後に相なりますと、これは行政協定決定を見ました上で、さらにこの問題に考慮を加える必要があるかと思いますが、これは関係向きとも十分連絡いたしまして、善処いたしたいと考えておる次第でございます。
  13. 内藤友明

    内藤(友)委員 今長岡さんの御説明大分内容はつきりしたのでありますが、そこで私が内田さんにお尋ねいたしたいのは、これはあなたが局長のときにお出しなつ通牒ではないと思うのであります。けれども前の局長さんのときでありますから、これが出ておるのは事実であります。この二十三年二月一日にお出しなつ監理局長通牒というものは、平和條約が効力を発しますと、これがどうなるのでありますか。これは何か法律にでもかわつて行くのですか。どういう準備かちよつとお尋ねいたしたい。
  14. 長岡伊八

    長岡政府委員 便宜私からお答え申し上げます。ただいま申し上げました通りに、現在では進駐軍承認を得てやつておりまするが、今後の問題につきましては、実はこの接收につきましては、現在では終戦直後土地工作物使用令なるポツダム政令が出ておるのであります。これは進駐軍に対する提供の問題でございますので、條約が発効いたしますると、このポツダム政令廃止すべきものだと考えておりまして、現に本議会に廃止案を提出しております。しかし過去の実績から見ますると、この土地工作物使用令を適用いたしまして、土地接收した例はございません。なるべく話合いまして、御納得を得ました上でやりたい。法律の力によつて強制的にやるということは、従来避けて参つたのであります。但しこれが従来の接收の裏づけになつておるということは考えられるのでありますが、講和條発効後におきましてはどういうことに相なりますか、これは行政協定でいかような規定ができますか、日本政府が何か義務を負うのであるか、その條約の規定義務を負います関係いかんによりまして、さらに考慮を加えなければならぬ問題だと承知いたしております。
  15. 内藤友明

    内藤(友)委員 ただいまの長岡さんのお話進駐軍に関してのものでありますが、これは予備隊についてもあろうかと思うのであります。従つて今までも予備隊につきましてのこの補償の問題は、大体進駐軍の場合に準じてやられておつたのであります。従つて、今お話土地工作物使用令なるものが今度廃止になるのでありますから、当然監理局長からお出しなつておる通牒は、やはり何とか形をかえなければならぬと思うのでありますが、その点は大蔵省はどういう御準備をなさつておられるのか。準備なしでありますか、お尋ねしたいのであります。
  16. 内田常雄

    内田(常)政府委員 長岡政府委員から先ほど御説明がありましたように、二十三年の監理局長通牒というものは、実質的にはその後の接收財産処理要綱という閣議決定によつて修正されてしまつておりまして、今日では働いていないとお考え願いたいのであります。なお私が御指名にもかかわらず答弁に立ちませんでしたゆえんのものは、これは内輪を申し上げるのでありますが、昭和二十四年に監理局国有財産局が一緒になりまして、今日の監理局になつたのであります。今日の管財局ができる前の監理局というものは、終戦処理費の経理に関して一種の主計局の出店のような形で、特別調達庁との間に入つた仕事をやつておりました。しかしながら管財局ができた後におきましては、その仕事は、あるものは直接特別調達庁に、またあるものは主計局の本来の姿に帰つて来ておりまして、今後これらの補償につきましては、一つ予算上の問題として、主計局実情沿つた取扱いをするものだと思います。なお、もともとがこれは通牒でありますから、かりに講和條約が発効いたしましても、その取扱い法律に直すというようなことではないのでありまして、政府部内の一つ方針決定として処理されるものとして、今日他の場合における補償問題とあわせて、一体として大蔵省内部で研究をいたしております。
  17. 内藤友明

    内藤(友)委員 実は私もつと具体的なことを一つ申し上げなければならぬ段階になつたのでありますが、開拓地進駐軍あるいは予備隊が入りますときの補償というものは、先ほど申しましたように非常に安いのであります。ところが建設省がいろいろな工事をやるとか、あるいは農林省土地改良工事をやるとかいう場合の補償料は、予備隊とか進駐軍の場合の補償料よりも高いのであります。一例を申し上げますと、広島県の蘆田川のため池をつくりましたときに、反で九万八千円という補償料出しております。建設省の、これは埼玉県でありますが、江戸川の河川改修のときには十一万七千円出しております。しかるに大分県の十文字原開拓地に対しては、一反八千二百二十七円ということになつております。これは長岡さんからいろいろ御同情のあるようなお言葉があつたのでありますけれども——そういう言葉使つてはいけないのでありますけれども、あなたの方の出先が、アメリカの兵隊さんを連れて行つて言葉では実際にそういうことをおつしやらぬが、何となくそういうにおいをお出しなつて、交渉せられるものでありまするから、建設省農林省補償しておるものの十分の一になつてしまう。あなたの言葉は、まことに関拓民に対して御同情のある言葉でありますけれども、現実の結果が十分の一になつてしまつておるのであります。ここらあたりが非常に問題になるのでありまして、納得々々とおつしやるけれども納得にも無理な納得がありますし、喜んでの納得があります。あなたの方は無理な納得だろうと思うのでありますが、そういうふうなものが一反八千二百円、建設省が十一万円、農林省は九万八千円、こういうことになつて来るのだろうと思います。これが実は問題なのでありましてこれが解決されなければ、私は将来いよいよ深刻な問題が起きて来ると思うのであります。しかも、その深刻な問題が二十七年度においては、一般会計から十五億何がしの繰入金をいたしますが、この償還という問題に響いて来ることじやないかと思うのであります。だからあなたの方の納得ということが、血税をもつて一般会計から貸し付けた金を、償還できないというところへ来るのはどういうものだろうか。これは何も開拓地の者が、よけいなものをもらいたいというのでも何でもないのであります。私どもは国の予算、税金で納めた予算というものを開拓者に貸せるのでありますから、やはりこれは償還してもらわなければならぬ。償還させぬという前提のもとにおいて、こういう資金融通なんか出されるならば、私はこの法律をやめた方がいいと思う。そこをどうなさるのか。問題は実はそこにあると思うのであります。端的に申しまするならば、補償料が安いじやないか。農林省なり建設省なりは、やはり相談をして相手方が納得するもので行つておる。あなたのところはそうではない。それが国家の財政に影響を来しておるというのでありますが、あなたの方は出先でありますから、その背後に大蔵省というのがおありなさるので、これに対しては、あなたの方は私どもが満足するようなお答えは、なかなか願えぬだろうと思います。そこは御同情申し上げますが、そこらあたりはこれからどうなさるのか。行政協定にこういう問題が取入れられるというお話でありますが、これはいずれ行政協定のことをやつておる係の方に、お尋ねしたいと思うのであります。また警察予備隊の係の方にも、お尋ねしたいと思うのでありますが、特別調達庁の方としましては、やはり実際にその仕事をお扱いになつておられるのでありますから、その生きた体験をひとつ今度の行政協定の場合であるとか、あるいは警察予備隊のお方の方へお話願わなければ、将来いけないのじやないかと思うのでありますが、内田さんのお心持をひとつお話いただきたいと思うのであります。
  18. 長岡伊八

    長岡政府委員 まことにただいま御指摘の通りでございます。補償料が少いという御不満のあることは、重々承知いたしております。出先の者に対しましては、とらの威をかるきつねのような態度をさせないように、十分注意をいたしておるのであります。実は、先ほど説明申し上げますときに申し落したのでございますが、特別調達庁補償と申しますのは、他の場合と違いまして、これは終戦直後、先ほど申し上げました通り混乱時代に発足いたしましたので、土地を買い上げるという措置はとつておりませんのです。土地は借り上げまして、これに対して地代を拂うことになつております。この地代が少いという問題になつて来るのであります。なお補償の際には立毛なり果樹とか建物、工作物その他の定着物の移転費、動産の移転費、そのほかに接收によりまして通常生じまする損害を補償するということに相なつておりますが、これが一まとめになりまして、いわゆる補償ということに相なりまするので、根本の地代というものがこれには含まつておりません。今日までかように長く接收されるであろうということは、当初は何人も考えなかつた問題であります。これを借り上げるということになりますと、別に地代を拂うはずでございます。何分広い面積でございますので、予算関係もございまして、これを全部一時に買い上げるということは困難な事情にございますし、また地方によりましては、いかように接收されても、先租代々から伝わつた土地の名義をかえることはいやだ、どこまでも貸した形にしておいてもらいたい、こういう希望の土地もございます。しかし、場合によりますと、土地が非常に変更いたしておりまして、いつ返還されるかもわからないし、また返還されました場合には、その土地について非常な損害が起つておりますならば、解除になりましたときにその損害を補償することになつております。しかし、場合によりますと、元の土地にするための費用よりも、買い上げた方が費用も安く済むし、持主も満足だという土地もございます。そういうものにつきましては、希望によりまして買上げ補償という言葉使つておりますが、買い上げて行く方針を立てておる次第でございます。
  19. 内藤友明

    内藤(友)委員 なるほど今お話通りでありまして、買い上げたのではなく、借り上げたのだということであります。しかし開拓地で実際問題を考えてみますと、結局借上げも買上げも同じであります。貸したのだからといつて、演習しておる所で農業経営がやれるわけでない。実はこれでごまかされておるんじやないかと思う。これはやはり、そういうことをおつしやらずに、買上げだろうが、借上げだろうが、形式はありましようけれども、とにかく演習地から行けということでありますから、結局言葉のあやでありまして、私は同じだろうと思うのであります。従つて借上げなどというようなお考えでやられましたら、いよいよ問題が深刻になつて来るんじやないかと私は思う。これから駐留軍と申しますか、進駐軍ですが、その演習場所もだんだん多くなりましようし、予備隊の方もだんだんよけい接收して行かねばならぬと思うのでありますから、将来は、借上げなどというようなことはお考えなさらずに、やはりこれは買い上げてやつて行くというふうに、ならなければならぬと思うのであります。従つて私は、特別調達庁か、大蔵省か、農林省か、どこか存じませんけれども、こういうことにつきまして、具体的なしつかりした政府の態度をひとつおきめにならなければ、この法律というのがどうにもならぬのじやないか、こう思うのでありまして、政府として、こういう問題について将来どうなさるのかということを、お漏らし願いたいと思うのであります。
  20. 内田常雄

    内田(常)政府委員 特別調達庁からすでに説明がありましたように、今までの開拓地接收の仕方につきましては、進駐軍が直接使う場合あるいは警察予備隊等が直接使う場合、先ほど申しました接收財産処理要綱というものができておりまして、そのわく内で一々占領軍の承認を受けて、きわめて嚴格な規格のもとで補償料が支拂われておつたわけであります。しこうしてこれらのものは終戦処理費から支拂われるものが多かつたわけでありますが、内藤さんからお言葉がありました行政協定のとりきめにおきましては、私どもの承知しております範囲におきましては、行政協定は相互の完全な独立国としてのとりきめのもとに、合衆国軍隊が駐留するために必要な最小限度の施設区域というものは、それらのものが国有であれ、民有であれ、日本政府がこれを提供する、こういう建前をとつております。従つてその建前のもとにおきましては、日本政府が国民との関係において補償その他を自主的にきめまして、結果として進駐軍に提供するわけでありますが、行政協定発効した後におきましては、これは警察予備隊のために接收いたします分も、合衆国駐留軍のために接收いたします分も、建設省が国の事業目的のために直接接收いたします分も、やはりまつたく同じレベルに置いて、事の性質に応じて新しい見地から接收財産処理要綱というものをすつかりつくりかえて、内藤さんが御心配になつておるように、目的のいかんによつて国民に甲乙の差別なしに補償をするような内容に、練り上げて参る所存であります。
  21. 内藤友明

    内藤(友)委員 今議題なつております法律案の審議中に、そういう構想の概要でもひとつ具体的にお漏らしいただきますと、この法律案の審議が非常に促進されるのじやないかと思いますが、重ねて局長より御答弁を願います。
  22. 内田常雄

    内田(常)政府委員 補償は行政上の措置として補償をいたすのでありまして、法律あるいは政令等によりまして、一つの嚴密な規格を持つた定めをするというようなものではございません。従つて演習地等のことは、行政協定でも多分それがうたわれるでありましようが、合衆国軍隊等が演習地を使用する場合に——使用しない場合には、本来の所有者が合衆国軍隊の使用を妨げない範囲において、活用するというような建前をとられておるのでありますから、物により性質によりましてあるいは買上げのものもあるし、借り上げて済ませるものもある、こういう事態になつておると思います。もちろんそこで借り上げた目的が合衆国軍隊のためにすると、あるいは国内の建設のためにするとを問わず同じ考え方で行く、買上げをした方がよいという場合も、やはり同じ考え方で行くというような考え方をもちまして、あとは行政上、予算上の取扱いとして順次固めて参りたいと考えますので、この法律案の審議中に一つ法律案要綱のような形においてお示しすることは、困難ではないかと考えております。
  23. 内藤友明

    内藤(友)委員 別に法律案をお示しいただきたいと言うのじやありません。ただ私の一番心配するのは、先ほども申しましたように、二十七年度は十五億を一般会計から繰入れるようでありますが、正直に言つてこの金が将来返つて来るか返つて来ないかが、一番問題になつておるのであります。今までいろいろおやりになつたことから申しますと、毎年々々一般会計から繰入れる金というものは返つて来ないのじやないか。そこに実は問題があるのでありますから、この法律案を審議いたしますのには、どうしても政府はこういうことについてはこういう方針でおるのだ、関係各省と相談してこういうふうにしたのだというふうなことが、出て来なければならぬと思います。関係各省とよく御相談願つて、そういう問題についてはこういう方針で行くのだという政府方針がわかれば、それならば大丈夫将来十五億の金は返済できるのだから、いいではないかというふうになろうかと思うのであります。どうか政府の御方針を、この法律案審議中にお漏らしいただきたいのであります。
  24. 内田常雄

    内田(常)政府委員 内藤委員の御精神をくみまして、今後われわれはやれると思います。すでに申し述べましたように、今までは開拓者資金融通特別会計一般会計からの繰入れの関係と、終戦処理費の支出というまつたく違つた二本の道路で走つてつた従つて相互の関係一般会計から開拓者資金融通特別会計に繰入れましても、その金が返るか返らぬかという考慮なしに、終戦処理費の使い方という一つの押えられた使い方のもとに、二本の道路を走つてつたわけであります。今後も先ほど申しましたような意味合いにおきまして、両方の関係が十分調整されて行くように、補償の実際の処置を打立てて参る方針でありますので、私どもを信頼していただきたい。おそらく今後におきましては、目的によつて補償の仕方がまちまちで、あるものは非常に損害をこうむる、その結果一般会計から繰入れられた金を、将来一般会計に返せないというような事態がないように、動いて参ることと考えております。
  25. 内藤友明

    内藤(友)委員 内田さんから大分内容をお漏らしいただいて、ありがたいのでありますが、これは單に駐留軍であるとか予備隊であるとかが、接收するだけではないのでありまして、あるいはこのごろよくありますダムのために、一部落そつくり持つて行つてしまうところにも、いろいろ問題があるのでありますから、ひとつ内田さんの方で広い視野からいろいろ御検討いただきまして、もちろん財政支出とのにらみ合せもあることだろうと思うのでありますけれども、ぜひこれは合理的に御解決いただきたいと思うのであります。  それから予備隊関係駐留軍行政協定関係は、いずれあとでお尋ねいたしたいと思います。
  26. 佐藤重遠

    佐藤委員長 深澤義守君。
  27. 深澤義守

    ○深澤委員 上程されております法律案に関連して、まず農林省農地局にお伺いしたいのでありますが、当初開拓計画を日本政府としては立てられたのであります。それは日本が朝鮮、台湾、満州等の食糧の供給源を失つた従つて日本における食糧の自給対策の関係上、開拓計画をどうしても推進しなくてはいかぬということで、百五十五万町歩の当初の計画を立てられて、日本の食糧問題の解決のために、非常な努力をしようという計画が発表せられたのであります。もちろんわれわれといたしましては、根本的には日本の食糧は日本でまかなう、外国に依存するのであつては、独立の基礎が成り立たないという見地において、開拓に対しては全力を注ぐべき必要があることを、従来強調して参つたのであります。従つて農林省の百五十五万町歩の開拓計画、あるいは干拓の五万町歩、あるいはその他土地改良等の促進については、非常に賛意を表して来ているのでありますが、最近においては当初の開拓計画が頓挫している。むしろ当初農林省開拓指定地として決定したところを取消している。開拓計画に対して最近は熱意を失いつつあるように、われわれは現地においてそういう感を受けているのであります。こういうような関係から申しまして、私は最初の計画が現在においては挫折しているのではないかと考えるわけであります。従つて私がまず第一番にお伺いしたいのは、当初の百五十五万町歩の開拓、五万町歩の干拓、こういう問題を熱意をもつて推し進められているのかどうか、そうしてこの計画に対して予定通り進んでいるのかどうかという現状を、まず簡單にお伺いしたいのであります。
  28. 谷垣專一

    谷垣説明員 お手元に差上げております資料に書いております通りに、開墾面積その他を御承知願いたいと思うのでありますが、出発いたしました当初は、今まで耕作限界外にありました土地——これはもちろん社会的な事情、あるいは自然的な状況等によつてあるわけでありますが、その耕作限界外にありました土地をかなり急速に買收いたしまして、また買收をいたしますると同時に、当時の状況からいたしまして、入植者が十分なる選考を経ないままに急速に入植をして、一時かなりの混乱があつたのは事実であります。これをその後自然的條件から見まして、あるいはまた農民の各個の支出あるいは能力等から見まして、適当なものに漸次改めて参つております。従いまして今御指摘になりましたように、地区によりましては、従来計画都市と言つておりましたものが、かなり縮小されておるようなものが、中に間々できておるかと存じまするが、それは私たちの方としましては、開拓政策というものの推進を弱小化して行くつもりで、そういう結果が起きておるのではないのでありまして、計画を以前よりももう少し合理的にやつて行きたい、かような形からそういうことになつておる場合が多いのではないかと思います。もちろん個々の事例におきましては、いろいろな例があるかと思いますが、大体から申しまして、そういう形で進んであるのであります。ただ御指摘がありましたように、おととしまでは一万戸ずつの新規入植をいたしておりましたのが、去年は六千五百戸というように数字が減つております。そうして二十七年度におきまして御審議を願つておりますものでは、七千戸というような数字に相なつております。そういう新規入植の戸数が減つておるという意味におきまして、若干今申し上げましたように、開拓のスピードが落ちておるではないかというお考えがあるかと思います。但し、今年度の予算その他について御審議願つておることと思いますけれども、従来入植しておりましたところの入植者諸君の要望によりまして、それに付随して行われなければなりませんところの建設工事であるとか、あるいは水路工事であるとかいうようなものにつきましては、まだ十分とは申し上げかねますが、従前よりも重点を置いてやつておるということに相なつております。つまり入植戸数の減少は、若干かような形で昨年よりもふえておりますが、おととしに比べると若干減つておる。ただ入植をした諸君に対する要望にこたえる意味におきまして、道路であるとか、水路であるとか、建設工事というようなものが進んでおる、かような形に相なつております。
  29. 深澤義守

    ○深澤委員 農林当局が心配されていることはよくわかるのでありますが、入植いたしまして大体五年あるいは六年という年数になりまして、ちようど当初の資金融通を受けたものの返済の時期に来ておるのであります。この返済が非常によろしくないという状況が局部的にあります。われわれが現地開拓地を歩いてみて痛感したことは、農林省自体が開拓者に対する一つの根本的な方針を、考える段階に来ているということです。ここに開拓地としてずつと書いてありますが、これは大体平地です。ところがこの百五十五万町歩は、大体高冷地農業が非常に多いと私は思う。高冷地農業に対する基本方針、営農方針というものは、私はまだ不明確であると考えている。従つて高冷地農業に対する方針農林省が確立して、そうして営農が成立をし得るような方針を、考えなくちやならぬと私は考える。そういうような立場から考えて、五年や六年では、この高冷地農業というものが一本立ちになつて、独立してやつて行くことは困難であると私は考える。従つてここでいよいよ五年の年期が来たから、それで営農資金をひとつ回收しようといつても、実際はこれは不可能であると思う。そこでここに腰を入れて、現在入植した開拓者に対して、真にその開拓地に踏みとどまつて、終生を結局そこで営農するという決心を與えるためには、もう一段と資金の注入が必要であろうと私は思う。それならばものになると思う。ところがその方針農林省できまつておるかどうかということが、開拓者としては非常に不安です。従つて現在の開拓地状況は、営農はそこだけでは成立しない。それで日雇い労働とか、あるいは行商とかいうような形によつて、生活の資料を求めなければならぬ窮状にある。ある地帯におきましては、五年間入植いたしましても、いまだ電気が引かれてないというような、悲惨な状態もあるわけであります。だから私が農林省当局にお伺いしたいのは、今まで入植して数年たつたものが、それでもう一本立ちでやつて行けるという見解をお持ちになつているのか。それとも今後これに対して相当の営農資金を注入しなければ、やつて行けないという見解を持つているのか。そこにつまり期限が参りましたところの今までの営農資金を返還しなければ、もう資金は貸せないということになれば、現在入植したものはそれでおしまいです。その根本方針をどういうぐあいに考えられているのか。その点をひとつ明確にお聞きしたいのであります。
  30. 谷垣專一

    谷垣説明員 御指摘の通りに、それぞれの地帶によりまして営農形態がかわつて参ります。これは私たちの方でいろいろと関係者が相談をいたしまして、たとえば北海道の通常の地帶でありますれば七町歩で酪農をやらせる、あるいは東北のような場合は一年一作地帶が多いと思います。そうすると、これは大体四町歩で酪農を主とした形をとらせる。一年二作地帶のような所は——今御指摘になりました平地という地帶はおそらく一年三作地帶が多いと思いますが、これは二町歩ぐらいで穀畜の普通の経営をさせるというようなぐあいで、そういう経営と土地とのつながりにつきましては、私たちの方では大体これでやつて行けるという考え方を持つております。もちろん何と申しましても開拓者は、まだまだ蓄積された資金、資本というものがございませんので、ほかの一般農業者に比べますると、弱い点があることは事実であります。従いましてこれに対してもう少し有利な資金を注入することも、多々ますます弁ずる意味において必要であります。またそういうことが望ましいものもあると思いますが、現在そろそろ償還期限が来ておりますものは、なかなか今のところ成績がいいのでありまして、共同施設等は約九八%程度の償還率になつております。本格的な償還は来年からになりますから、これをもつてすぐに大丈夫だということは申し上げかねますけれども、従来入つておるものではその程度になつております。また営農資金等に関しても、現在奈良、新潟、岡山、広島というような諸県に関しましては、すべて完納いたしておるというような状況に相なつております。但し今深澤さんの御指摘になりましたように、これではたして十分かという問題になると、そう長期でなくてもよろしゆうございますが、もう少し自由に営農の方に金が向くようなものがほしいと思つております。これはもちろん開拓者自体の積立ての金その他でまかなえるように、銀行と連絡する方法もございますが、国家財政の方と関係が深い問題でありますので、それぞれ大蔵省の方と相談をいたしながら、漸次改善をいたして行くことにしたいと考えて進んでおります。
  31. 深澤義守

    ○深澤委員 開拓政策の問題については、いずれまた農林大臣等においでを願つてやれると思いますが、今の管理部長の見解では、まだまだ開拓者実情というものを御存じないと私は思う。現在特に高冷地農業地帶に入植した諸君は、あしたの米にも困り子供の教育費にも困るという窮状にあるわけです。失業状態にあるわけです。従つて短期の営農資金ということよりも、あすの生活資金が問題になつておるという窮状にあるわけです。この問題については、私はなお相当資料を持つておりますから、別のときに具体的に申し上げて、政府の対策をお聞きしたいと思います。  そこで、私は本日調達庁の方が来ておりますからお伺いしたい。御承知のように開拓地あるいは他の農地等が相当つぶされておるわけです。具体的に言うと、青森県の三沢あるいは鳥取県の弓ケ浜とか富士山麓とかいうところに、問題が相当あるわけです。先ほどからも接收財産処理要綱によつて処理して来たのだという御答弁があつたわけです。もちろん調達庁としては、法にきめられ、あるいは各省の協議等によつてきめられた方法によつて処理しておられるのでありますが、現地におる農民にとつてはまつたく不平不満であります。ところが先ほど調達庁の長岡さんのおつしやるところによれば、土地の收用を実施したことはまだほとんどない、全部納得ずくでやつておるとおつしやるけれども、そうではない。これはみな泣寝入りです。むしろ法律以前の強制によつてこれをみな取上げておる。そしてこの接收にあつた農民は、今に至るもあなたの方へいろいろな陳情をやつておると私は考える。具体的に静岡県の富士山麓の問題は、三年越しにこの問題が継続されて陳情が行われておるが、いまだに解決しない。もちろんあなたの方では処理規定や何かに制約されておりましようが、結局終戦当時の、将来どうなるかわからないというときにきめられたものでは、とても現状を救い得ない。従つて物価の高騰やあるいは現在の事情に即応して、補償などをする必要があると思うのです。従つて今まで解決したものは、もう拂つたからこれでいいのだというのでなしに、今後追加の補償なり支拂いなりをする必要があると思うのですが、調達庁としてはそういうことを考えられておるのかおらぬのか伺いたい。
  32. 長岡伊八

    長岡政府委員 ただいま御指摘になりました通り、各地の接收現地の方方に御不満であるということも、重々承知いたしております。先ほど申し上げましたのは、土地工作物使用令を適用しない契約の形をとつておるということを申し上げたのであります。その気持は強制的だとおつしやいますが、われわれといたしましては、強制という形はなるべく避けたいという考えから、契約の形をとつてつたのであります。何分進駐直後におきましては、アメリカの考えいかんによつては、進駐軍の権力によつて、何ら補償なしにただ使われることがあるのではないかという心配もあつたのであります。それが御承知の通り日本政府をして所有者から借り上げる形をとるようにという指令に基きまして、今日までやつてつたのであります。われわれといたしましても、今日まで長く続くであろうというような予想は、実は持つていなかつたのであります。従いまして中途で地代の値上げその他を行つたのであります。これがまだ皆さんの御満足の行く状態に行かぬというのが現状でございます。ただいま御指摘のようなことはごもつともだと思いますが、これは将来におきまして関係の向きとも十分連絡協議いたしまして、善処することにいたしたいと考えておる次第でございます。
  33. 深澤義守

    ○深澤委員 過去の問題についてはそういうこともあり得ると思います。そこで私がお伺いしたいのは、最近においてB二九が墜落いたしまして、神奈川県あるいは埼玉県等において被害を受けた事件がございます。これの耕作地の補償あるいは被害作物の補償というような問題は、どういうぐあいに処理されておるか伺いたい。
  34. 長岡伊八

    長岡政府委員 実はこの問題につきましては、進駐軍の行為に基く損害については、進駐軍は責任を負わぬということを申しております。従いましてB二九が落ちたとか、ジープにはね飛ばされたとかいうような問題につきましては、あまりに気の毒でありますので、日本政府はこれに対して見舞金を贈ることに相なつております。この見舞金は、これまた少いという御不満がずいぶんあつたのでありますが、実はこの問題は特調の所管外でございまして——と申しますのは、実際の処置は厚生省において取扱つておられる問題でございます。終戦処理費予算を厚生省の方に流す事務は、特調がやつておるのでありますが、この見舞金実施の問題につきましては、現在厚生省所管で行われておるのでありまして、先般横田におきましてB二九が墜落いたしました機会に、相当な増額はされたはずでございます。ちようど資料を持ち合せておりませんので、現在どういうふうに行われておるかということをはつきり御答弁申しかねますが、これは厚生省の所管で行われることを御承知願いたいと思います。
  35. 深澤義守

    ○深澤委員 はつきりしなかつたので、もう一回伺いますが、進駐軍の行為によつて被告を受けた者は、占領軍は責任を持たない。従つて日本政府がその問題に対する見舞金なり補償をやる、こういうことになつておるわけですか。
  36. 長岡伊八

    長岡政府委員 御指摘の通りに、本日は資料を持ち合せておりませんが、たしか東北でありましたか問題が起きましたときは、進駐軍に対しまして補償の要求をされたことがあるはずであります。そのときにそういう問題については、進駐軍は責任を負わぬということに相なつております。従いまして先ほど申し上げました通りに、日本政府が見舞金を出すことになつたと承知いたしております。
  37. 内藤友明

    内藤(友)委員 関連して伺いますが、するとそういう場合はどこへいろいろ陳情すればよいのですか。進駐軍は自分で事は起しておいたが、いやおれのところはあずかり知らぬのだ。日本政府は気の毒だから見舞金を出そうというのでは、仰いでお天と様にでも不平を言うのですか。泣寝入りですか。政府は国民のめんどうを何とかして見なければならない責任があるのですが、その政府の態度として、まことにどうもふかしぎ千万なのでありますが、そういうことが今の政府の態度なのでありますか。あなたにお聞きするのは御無理かもしれぬと思うのですが、妙な気持を持つたのでお伺いします。
  38. 長岡伊八

    長岡政府委員 この問題はただいま申し上げました通りに、特調直接の所管ではございませんので、御納得の行く御説明をいたしかねるのでありますが、実は先般横田に飛行機が落ちましたときに、前議会において相当議論が出まして、救済方法を講じなければならぬということで見舞金を増額されました。実際の事務は、私の承知いたしておりますところでは、たしか各都道府県において取扱つておられるように思います。
  39. 内藤友明

    内藤(友)委員 これは佐藤さんの御所管になると思いますが、大蔵省としてはそれでよいのでございますか。
  40. 佐藤一郎

    佐藤(一)政府委員 ただいま特調の方から御説明がありました点ですが、進駐軍に責任がない、こういうことがどういう方面でどういう形で言われたか、ちよつと私具体的に確かめてみないと明確なお答えができないのでありますが、現在たとえばジープにひかれるというような場合でも、全然補償規定がないわけでありまして、そういう意味からおつしやたのだろうと思います。進駐軍が責任がないという法律的な考え方は、どういう見地から来たのかわかりませんが、やはり占領という特殊な考え方から、そういうことを言つて来ておるのだろうと思います。日本政府としては、もちろんこれを捨てておくわけに参らないわけでありますからして、従来進駐軍が自発的にやることがないので、日本政府として、かわつて見舞金を出すという考え方で進む以外に、方法はないのだろうと思います。形式はともかくとしまして、実際上損害を受けた者に対して、どの程度満足の行くまで見舞金が出せるかどうかということの方が、実際問題でありますが、これについては今その予算その他の問題にも関連いたしますので、ちよつと私から御答弁はしかねるのであります。
  41. 深澤義守

    ○深澤委員 これは佐藤さんにお伺いいたしますが、つまり占領軍の行為と朝鮮作戦の行為とは別であるという見解から、朝鮮作戦に費す費用はドルで支拂う、それから占領軍の占領行為は終戦処理費から安拂うということが、大体予算支出の面から言つてはつきりしておると思う。従つて今度のB二九の墜落問題は、朝鮮作戦のためにおもむくB二九が墜落したのであつて、これは明らかに占領軍の行為の範囲外に属する問題であると考えられる。従つてB二九の墜落に対しては、朝鮮作戦に関する費用をドルで進駐軍が拂つたと同じように、当然これは占領軍が支拂うべき責任があると思う。日本政府はその点を強硬に占領軍に対して主張する権利があると思う。そういう見解を私は持つておりますが、今特調の長岡さんの考え方は、占領軍の行為は全然占領軍が責任を持たない、そして日本政府がこれをやるのだということになりますと、朝鮮作戦に関係する行為によつて受けた被害を、日本政府の一般国民の税金でもつて負担するということになりますと、これはわれわれ非常に理解に苦しむのでありますが、一体その点はどういうぐあいに佐藤さんはお考えになりますか。
  42. 佐藤一郎

    佐藤(一)政府委員 これは一つには進駐軍の認定の問題でもございまして、それが深澤さんが言明なさいましたように朝鮮作戦の関係であるのか、それともやはり日本の占領軍の任務の範囲であるのか、それにつきましては、ただいま私としては何とも申し上げかねるわけであります。まあ考え方としましては、やはり終戦処理費で拂つておるのでありますから、広い意味においては結局見舞金という形ではありますけれども、一種の責任をとつておるということも言えないことはないとも考えられるのであります。いずれにしましてもこの問題は、今私も十分研究をいたしておりませんから、ただちに十分な答弁を申し上げるわけには参りかねます。
  43. 深澤義守

    ○深澤委員 そこで特調の長岡さんにお伺いしたいのでありますが、その厚生省の支拂いというのは終戦処理費で拂つておるのですか、あるいは厚生省の何かほかの費目で拂つておるのですか。
  44. 長岡伊八

    長岡政府委員 終戦処理費から拂われておると承知いたしております。
  45. 深澤義守

    ○深澤委員 この問題は、今佐藤さんがおつしやつたように相当研究問題であり、われわれも一応もう少し確かめまして、あとでまた質問したいと思います。  そこで私は、時間がないようでありますから、なお二、三点簡單に質問させていただきたいのであります。最近警察予備隊演習地の問題が相当問題になつておるようであります。具体的には鳥取県の中浜村外数箇村の四百町歩、あるいは鳥取県の大山の山麓の五百町歩等が警察予備隊演習地になるというので、地元で問題になつております。さらに私どもの方の山梨県の富士山麓におきましても、警察予備隊の全国の演習地が建設され、そのために採草地等が相当つぶれるというような事情にあるわけでありますが、こういうことが今具体的に計画されておるのかどうか、その点をお伺いしておきたい。
  46. 佐藤重遠

    佐藤委員長 ちよつと深澤委員に申し上げます。警察予備隊次長が見えておつたのですけれども、先ほど退席されまして、ここにはいらつしやらないのです。それから本日は各政党の代議士会が、午後零時半からあるようなことになつておりますから、大分時間も経過いたしましたので、この程度で一応打切りまして、次会に続行したらどうかと思うのですが、いかがでしようか。
  47. 深澤義守

    ○深澤委員 それでは委員長にお願いしておきたいのでありますが、警察予備隊関係、それから管財局関係内田さんはさつきおられましたが退席されました。そういう人たちに出席していただいて、できたら明日もお願いしたいと思います。
  48. 佐藤重遠

    佐藤委員長 了承いたしました。  本日はこの程度にて散会いたします。次会は公報をもつてお知らせいたします。     午後零時四十一分散会