○内藤(友)
委員 ただいま御
質問がありましたことに関連いたしまして、二、三お尋ね申し上げたいと思うのであります。この
匿名供出の問題につきましては、この
委員会でさきに
深澤君からいろいろ、お尋ねがありまして、そのお尋ねに対して、
主税局長から木で鼻をくく
つたような御答弁があ
つたのでありますが、それに対しまして、私、そのときの
委員会で、それはおもしろくないじやないか、ことに今日の日本の食糧事情というものを
考えてみると、私
どもはこの問題については、よほどまじめな態度で
考えなければならぬ。これは廣川さんも御存じだろうと思うのでありますが、ごく最近ブラジルから外米を入れたのでありますが、トン二百五ドルにな
つております。これは沖渡しであります。従いまして、これを内地にわけますときは、おそらく石一万二、三千円になろうかと思うのであります。そういう高いものを入れなければならぬ今日の日本の食糧事情、しかもドルの少いときに、農民が自己の飯米までさいて出そうかという農林省の
匿名供出制度に対して、
所得があるのだから、
所得税をとるのは当然で、断じてその線は譲らぬというような
お話でありましたので、ずいぶん
主税局長には申訳ないほどえげつない言葉を申し上げて、御考慮を願
つた次第なのであります。そこで私が廣川さんにお尋ねしたいのは、実は大臣のただいまのお言葉は、その
通り私は受取ります。しかし世間にはややもしますと、大臣のお言葉に対して、廣川放言という言葉があるのであります。たとえば地方の者が参りまして、大臣にいろいろお願い申す。すると大臣は、心配するな、属領
どもが何と言
つてお
つても、おれが引受けてるんだからと言
つて、胸をおたたきになる。みな喜んで帰る。ちつともそれができ上らないというようなことから、私は廣川放言というものが出ておるのではないかと思うのであります。ところが大勢の者は決して愚な者ではないのでありまして、やはり大勢の中には賢者があるのであります。そこで、大臣は非常にこのごろ農村をお歩きにな
つておりまするから、農村の事情もよくおわかりになられまして、いろいろあたたかい思いがあるのでありますが、どうもこういう点を見ると、ああ、また廣川放言かというわけで、信用しないのであります。それであなたは、食糧
長官から府県知事にあてて
匿名供出制度の通知を出しておりますが、おそらく私は、あなたが今日そういうことをしても出ないと思う。それが出るためには、廣川放言という言葉をひとつ返上するというようなことで、や
つてもらわなければならぬのでありまして、問題は一にかか
つてそこにある。さきに奥村君がいろいろ国税
長官にお尋ねに
なつたのでありますが、私も
匿名供出というものについては、
税金をかけてはならぬと思う。かけべきものじやない。今日の農
業者の
課税の
制度から申しまして、私はそう思う。二十三年のあのときも、この
委員会におきまして私はこの問題を取上げました。その当時も
主税局長はやはり平田さんでありまして、ずいぶんこの問題は真劍にここで議論したのでありますが、現にあの結果をながめてみましても、
匿名供出はあとで非常に農家から恨まれて、農林省は二十四年も二十五年も差控えたというような事情であ
つたのであります。
そこで私は、廣川さんは大臣でありますから、
政府の態度をひとつお尋ね申し上げたいと思うのであります。先ほど
高橋長官が
お話になりました
通り、これは
匿名供出いわゆる超過供出に対する奨励金が今度出る。これが
課税の対象になるのでありますが、この
課税の対象になる問題について、特別の
法律をこの国会にお出しなさる意思があるかどうかということであります。
匿名供出したものは、私は
課税の対象にならぬと思う。これはあなたの所から出ておる通牒で、あとから私は
高橋さんともう少し深く掘り下げて、検討してみたいと思うのでありますが、私はかからぬと思うのであります。ただかかるのは奨励金の問題でありますが、その奨励金は特別な
法律を出して
税金をかけないという
政府の御趣旨かどうか。それをひとつお答えいただきたいと思うのであります。
政府の態度をお尋ね申し上げます。