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1952-02-02 第13回国会 衆議院 大蔵委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年二月二日(土曜日)     午前十時四十六分開議  出席委員    委員長 佐藤 重遠君    理事 奧村又十郎君 理事 小山 長規君    理事 佐久間 徹君 理事 内藤 友明君       川野 芳滿君    島村 一郎君       清水 逸平君    夏堀源三郎君       三宅 則義君    武藤 嘉一君       高田 富之君    深澤 義守君  出席政府委員         大蔵事務官         (主税局長)  平田敬一郎君         国税庁長官   高橋  衛君  委員外出席者         專  門  員 椎木 文也君         專  門  員 黒田 久太君     ————————————— 本日の会議に付した事件  税制及び金融制度に関する件     —————————————
  2. 佐藤重遠

    佐藤委員長 これより会議を開きます。  昨日政府当局から今回提出される税制改正案の概要につきまして説明を聽取いたし、質疑に入つたのでありますが、本日も引続き税制改正に関する件を議題として、質疑を続行いたしたいと存じます。質疑は通告順によつてこれを許すことといたします。内藤友明君。
  3. 内藤友明

    内藤(友)委員 昨日深澤さんの方からお尋ねになりました匿名供出のことにつきまして、平田さんにお伺いいたしたいのであります。昨日深澤さんに対するこの問題についてのお答えは、所得のあるところには必ず所得税をとるのだ。それはまさにその通りでありますが、しかしそれは原則でありますので、所得がありましても、そのときの国の情勢によりまして特例を設けることは、やはりあり得ることだと思うのであります。そこで私平田さんにお尋ねしたいのは、所得のあるところ必ず所得税を納めるのだ。それに対する特例が現在あるのかないのか。まずそれからひとつお伺いいたしまして、次にまたお尋ねを進めたいと思います。
  4. 平田敬一郎

    平田政府委員 匿名供出の場合といえども所得がありますので、やはり課税しないわけには行かぬだろうということを、昨日申し上げたのであります。何か免税したり特例を設けておる例はないかという御質問のようでありますが、これはそれぞれ国の政策を遂行する上におきまして、必要な場合におきましては免税している例もございます。たとえば重要物産製造業等につきましては、三箇年を限りまして、そういう物資の増産をはかるために、免税するという制度を現在設けております。これが一つ国家政策から来る特別の免税に関する制度であると考えております。なおそのほかにも若干あろうかと思いますが、そういうことがありますことは内藤さん御承知通りだと思います。
  5. 内藤友明

    内藤(友)委員 そういたしますと、国家政策で免税しなければならぬ必要の生じた場合は免税する。これは現にそういう制度があるのであります。ところがその考え方でありますが、どういうことが国家政策に必要であるのかないのかということに、問題がかかつて来ると思いますので、それは主税局とは申しませんが、政府におきまして何かものさしがあるのでありますかどうか。それを先にお尋ねいたします。
  6. 平田敬一郎

    平田政府委員 これはやはりものさしといたしましては、いかに政策が必要がありましても、負担の公平と申しますか、それを著しく阻害するような場合におきましては、やはり都合が悪いという点もございますので、必要性負担の公平との関係、それをよく考えまして、そのときに応じまして、妥当な制度をきめるという考え方にいたしておりますので、ものさしと申しましても、一律にあらゆる場合に当てはまるものさしというものは、別段ございません。大体今申し上げましたような見地中心にいたしまして、そのときの事情等をよく勘案いたしまして、きめておる次第でございます。
  7. 内藤友明

    内藤(友)委員 そこでお尋ねしたいと思うのでありますが、今日日本の国の食糧問題が非常に深刻な状態になつておるということは、大蔵省の皆様も決してお認めにならぬことではないと思うのであります。絶対不定食糧二千万石、政府が三百五、六十万トンの輸入をしてこれを補おうということは、二十七年度の予算の中にも織り込まれておることなのであります。ところが、これは平田さんの御主管でないか存じませんけれども、これだけの食糧を輸入するために、はたしてドルがあるかどうか。また多少ありますドルをその方面にさくということは、どういうことかこういうのが今日非常な大きな問題で、ことにアメリカガリオアイロアというふうなものがなくなつた後において、しかも日本の国がこれから独立国家になります上においては、政治中心、基本というものは、おそらくこの点にかかつて来るのではないかと私は思うのであります。そこで二、三日前に農林省カナダから米を買い入れる約束をいたしたのでありますが、それによりますると、トン二百ドルになつておるのであります。これは沖渡しであります。これを一石に直してみますと一万千円何がしで、これは沖渡しでありますから内地へずつと入れるための諸がかりを入れますると、おそらく石一万二、三千円のものになろうかと思うのであります。もちろんカナダの米は、内地の米と比較いたしますと多少の優劣はありますけれども、他の熱帯米と比べてかなり良質は良質であります。しかしそういう高価なものをこの国に入れて、それで一体この国の食糧問題の解決になるのかということを考えて行きますと、私どもは非常な心配が実は持てるのであります。でありますから、そういうことを多少でも緩和しようということで、食糧行政責任当局匿名供出というものまであえてして、何とかこの困難な問題の解決をはかりたいということに対しては、大蔵当局もやはりその大きな線に沿つて行くのが、ほんとうにこの国を心配する者の態度だと私は思うのであります。ことに匿名というのは匿名なのであります。わからぬのであります。その匿名なるものに一体どうして課税するのかという、その制度の根本についても大きな疑問を持つのであります。この問題につきまして三年ほど前にも、私どもが実際に村の農業協同組合をまわりまして、匿名とは言うけれども、やはりわかつておるじやないかというので、税務署が非常にえげつない調査方法をやられたということを聞いて、その事情主税局長お話申し上げて、これは供出というものを阻害しておることではないかということも申し上げたのであります。しかし、その当時はまだどちらかと申しますと、アメリカからのイロアガリオアによりまして食糧が入れられておりましたから、痛切な気持も起きておらなかつたのでありますが、今日になりますとかなり状態が違つておりますので、この際抜本的な考えで、こういう制度に対して援助して行くということが、主税局長ほんとうに国を心配するまじめな態度であると私は思うのであります。農林省は一生懸命にこの制度について考えておるのでありますから、これはまあ主税局長に対する御希望でありますけれども、どうかひとつ従来のそういうお気持をこの際御修正いただきまして、この匿名供出が円滑に行つて、少しでも日本食糧問題の解決に資するようにしていただきたいということを、特にお願い申し上げる次第であります。私は時間がありますれば、今日の日本食糧事情についていま少しくお話申し上げて、御翻意を願いたいのでありますが、これはまあ主税局長もよく御承知でありましようから、きようは申し上げませんけれども、どうかこの制度が何とか円滑に行くように、この上とも御配慮をお願い申し上げたいと思うのであります。昨日の深澤委員に対する御答弁があまりにぶつきらぼうで、はたして主税局長は今日の日本の国のこの深刻な問題をどう考えておられるのか、どこのお役人かというふうな気持を私は持つたのでありますが、主税局長はこの日本の国の官吏なんでありますから、こういうことをひとつ十分にお考えいただきまして——農林当局もあなたのところに参れば、ねこの前のねずみのような態度になるか存じませんけれども、どうかひとつその点はまじめにお考えいただきたいものだと、重ねてお願い申し上げる次第であります。御答弁はいりません。
  8. 平田敬一郎

    平田政府委員 御答弁はいりませんということでありますが、一言重ねて申し上げておきます。  供出の重要なことは私どももよく承知いたしておる次第でありまして、認識の程度が足らぬじやないかという御批評があれば、あるいはそういう点はどうかと思いますが、よくそういう点は反省してみたいと思います。ただ、普通の供出の分は課税をして、超過供出の分は課税をしないということが、所得税のかけ方からして少しいかがであろうかということですが、匿名供出は大体超過供出の分だろうと思うのであります。これはほんとうを申しますと、農林省からも二、三年前に相談があつたのでありますが、課税だけの見地から申しますと、一体匿名供出なんて認めること自体がおかしいじやないかという、むしろそういう議論までしなければならぬ問題でありますけれども、そこは供出の必要があつて供出関係匿名の方がうまく行くのならば、そこまでは言わぬことにしよう。ただこれは、なかなか税務署調査が骨が折れるが、骨を折ることはいたしかたない。所得税をかけないというわけにはやはり行かないので、骨折つてよく調べて、課税すべきものはすることにするよりいたしかたがないだろうということで、実はいたわけでありまして、ほんとうを申しますと、課税だけの見地から行きますと、匿名供出などというものは困ると言いたいところですが、それは言わないでおるというようなところも、ひとつ御了承願いたいと存ずる次第でございます。
  9. 佐藤重遠

  10. 佐久間徹

    佐久間委員 この機会に御説明を受けました医師社会保險のことで、ちよつとお尋ねしたいと思うのであります。  先般御承知通り健康保險診療單価の引上げの問題が、非常に重大化しております。まあ一応形は解決したような感を受けておりますけれども、その底流にはなかなかむずかしい問題があるように聞いておるのでありまして、今議会あたりまた再燃するのじやないかというように思つておりますので、この機会に税の方に関係する面を、お伺いしておきたいと思うのでございます。これはたしかここへ書いてあります通り税金の方で相当めんどうを見たとでもいうのですか、譲歩して解決考えたということになつておるようでございますが、これについて平田さんから、そのいきさつを御説明いただきたいと思うのでございます。
  11. 平田敬一郎

    平田政府委員 社会保險料改訂の問題は、直接私どもの所管でございませんので、あまり責任のある答弁になるかならないか、この点御了承願いたいと思いますが、一応私が承知いたしております限りにおきまして申し上げるということを、御了承願いたいと思います。  料率の改訂の問題が大分やかましくなつていたことは、承知いたしておるのでございますが、これはやはりあまり上げますと、被保險者負担に影響して参りますので、そう上げるわけに行くまい。あまり上げないことになりますと、最近やはり費用が大分高くなつて来ておりますので、従いましてお医者の純所得と申しますか、これがやはり相当つて来ておる。つまり收入に対しまして、ほんとうの純所得の割合がますます低下せざるを得ない。そういう事情は私ども課税当局としましても、やはり考慮せざるを得ぬだろう、考慮すべきが当然だということで、社会保險收入から所得を算定いたします場合に、これは実際調べまして算定するわけでありますが、なかなか全部についてできませんので、一種標準率を使つておりますことは御承知通りであります。これにつきまして、二割五分ないし三割くらいのところで、大体二割五分に近くなる方が多くなるかと思いますが、そういうくらいの所得率によることにいたしまして、できる限り社会保險医者実情に即するような課税をしようということにつきましては、大蔵省も十分考えまして、そういう趣旨通達国税庁から地方に流しまして、徹底させることにいたしておる次第であります。それによつて保險料收入に対しまして、お医者さんのほんとうの純益が最近下つて来ている。その実情に十分即するようにしよう、こういう考えでそういうようにいたしておる次第であります。  それからここに提案しております源泉課税の問題は、それとは若干問題が違うのでありますが、やはりこの種の收入はなるべくもとで若干の源泉課税をしておきまして、あとで精算しまして課税するという方が、納税者の方々も便宜でありますし、また徴收立場から行きましてもいいのじやないかということで、源泉徴收制度を設けたらどうか、こういう考えでありまして、従いまして税率等も比較的低く、收入の一割程度税率にいたしたいと考えておる次第でございます。そういう制度を導入いたしまして、お医者さんの税金をできるだけ納めやすいようにしよう、こういうのが今回の改正せんとする趣旨でございます。お話趣旨の点は大体お答えいたしたかと思いますが、なお不足の点がございましたら、重ねてお答えいたしたいと思います。
  12. 佐久間徹

    佐久間委員 御説明を了承いたしますが、旧来医者仕事とでも申しますか、診療事業については、税務当局としては、これをどういうぐあいにお考えになつておられるものでしようか。普通の事業と同じようにこれをごらんになつておるのかどうか。この点をひとつ……。
  13. 平田敬一郎

    平田政府委員 課税の面におきまして所得税の方は、弁護士医師公認会計士代理士、こういう所得給與所得と違いまして、勤労控除をいたしておりませんことは御承知通りでございます。こういう所得は、どちらかと申しますと、本人サービス提供による所得一種役務提供による所得考えられるわけであります。その中に勤労的要素多分に多いということは、私どもよく承知いたしておるのでございますが、雇用契約に基きまして確定的な給與をもらうというのと、また大分性質が違いはしないかという点で、所得税におきましては、総與所得とは違つた扱いをいたしております。むしろ一般事業所得と同じ関係になつております。ただ地方税事業税におきましては、これは特別所得税といたしまして、普通の事業所得よりも若干低い税率課税いたしておるような次第でございます。税制の上におきましても、国税、地方税を通じますと、若干の差が出ておる、こういうのが現在の行き方かと存じます。
  14. 佐久間徹

    佐久間委員 そういたしますと、事業所得と同じようにこれを見、地方税で多少低く見ている、こういうように了承するのですが、どうも私はここに解せない点があるように思うのであります。たとえていうならば、厚生省見解と、税務署見解いわゆる大蔵省当局見解と、違つているように思われる節があるのです。医者厚生省の方の相当強い監督下にあるわけでありまして、旧来思想から申しまして仁術であるという思想がいまだにあるわけであります。これはやはり輿論が非常に支持しているわけで、たとえば深夜の診療を拒否することはできないんだとか、あるいは急患に対してはどういう措置をしなければいかぬとか、いろいろこまかい指示がある。これは要するに旧来日本のありきたりの考えである仁術であるということに基くものだ、こういうぐあいに解釈されておるのでありまして、医者それ自身もそういう気持でやつているように、われわれは承知しておるのであります。一般国民もこういう気持で、今のところはうまく行つておるように思われるのであります。  ところが片方課税の観点から見ますると、そうでない。一般事業所得と同じようにこれを見て、課税対象にしている。こういうところに多少矛盾があるように思われるのでありますが、これを何か一本にする方法がないかどうか。課税立場にある平田さんの、これに対する将来の理想とでも申しますか、ひとつお尋ねしてみたいと思うのであります。厚生省関係多分にございますが、厚生省考えともとより多少違いがあるでしよう。それはわからないことはないのでありますけれども、そのままこれを放置しておくことは、いろいろこれから派生的の議論が出て来るので、政治をやつて行く上において困る問題があると思うのです。そこで一日も早くこれを歩み寄りでもさして、一つの帰一した観念をもつて律して行くことが望ましいんじやないか、こういうぐあいに思うのでございますが、ひとつ御意見のほどを聞かしていただけばけつこうだと思うのです。
  15. 平田敬一郎

    平田政府委員 医師業務運営について、いろいろ法律上の制限なり拘束義務があると思いまするし、またわが国のしきたりからいたしまして、一種特別の道義があるということも私ども承知いたしております。ただ課税の上におきまして問題にすべき点はどういうことかという点が、実は本質的に重要な問題でございまして、そういう点から行きますと、たとえば同じお医者さんでありますが、病院に勤めて月給をもらつておるお医者さんと、みずから病院業を経営しておる、あるいは独立医師として、自分主人として医業をやつている、そういう二つの人の場合に差をつけていいかどうかということが、問題のわかれ目だと存じておるのでございます。今の税法の建前から行きますと、やはり月給をもらつて、どこかに勤めて医師仕事をしているという場合は、これは同じ医師でありましても、一般給與所得者と同じように、一割五分の勤労控除をしておる。これに対しまして、自分主人として医業を営んでおる——営んでおるということは少し語弊があるかもしれませんが、医業行つている、こういう場合におきましては、その收入はやはり独立的な役務提供による收入ということにいたしまして、これはどちらかと申しますと、普通の事業所得と同じように見ている。むしろ課税見地から行きますと、そこの点に本質的な差を見出すべきではないかということが、現在の考え方であります。ただ問題は、それじや事業所得と見ているのはまだいいとして、純粋の営業所得と、そういう医師とか弁護士とかいう人の、独立的な業務による所得、これは全然同じに扱つていいかどうかということにつきましては、これは確かに私若干の議論があろうと思いますが、しかしこれは同じ営業の中におきましても、少し規模の大きな営業と、まつた自分が働いている小売店等営業との差があるようでありまするし、それから同じ事業所得といいましても、農業所得のごとくまつた本人労働の結果生れて来る所得、ただこの場合におきましても、事業自体の経営の主体は本人でありますので、状況によつてもうかつたり損をするということになりますが、そういうものとの間にどういう差があるかということになりますと、所得性質から申しますと、なかなか差がつけがたい。従つて一つの問題は、シヤウプ勧告にありましたように、農業所得に対しては勤労控除を認めたらどうかという議論があるのでありますが、かりに事業所得低額所得に対しまして、勤労的要素がありとして、控除を認めるとしますれば、これは私医業所得等につきましても、同じような考え方で行かなければならぬだろうと考える次第でございますけれども、その点の差はいろいろな事情からいたしまして、いまだどうかと思つておるのでございます。本質的にはさつき申し上げましたように、月給取りのお医者さんと、自分で開業しているお医者さんとの差を、税制上つけて行くべきかどうかという点が要点で、現在の制度は、ある程度その差をつけてしかるべしという考え方に立つておるわけでございます。これはやはり考え方としましては、相当理由のあるところではないかと考えておるわけでございます。
  16. 佐久間徹

    佐久間委員 これは勤務しておる医者とすれば、普通のサラリーマンにやや近いわけでありまして、また責任程度も低いと思うのであります。ただ大きな病院はさりながら、いわゆる開業医というのが非常に多いと思う。これらは相当責任を持つし、御承知通り医者というのは非常に何と申しますか誇りを持つている。自分仕事は聖業だなんというぐあいに思つている。人命に関する大きな仕事といえば、仕事であります。それは今日のような競争場裡におきましては、サービスもよくやつて行かなければならぬし、また反面におきましては、先ほども申しました通り仁術というような考えから、無理もやつているのが一般現況であります。この收入事業所得と断定してしまうということには、私はどうしても無理があるのじやないか。気の毒のような気もするのであります。昔は非常に医者はもうかるといいますか、生活の程度も非常によかつたような時代もあつたようでございますが、昨今はそうでなくて非常に苦しい立場に追い込まれておる。だから健康保險診療單価引上げの問題なんということもやかましくなつた。本来ならば、こういつたようなものがサービスでやつて行けるようなぐあいにつておるならば、ほかの所得が十分つぐなつて行けば、そうやかましく言う人たちじやないと私は思う。ああいう人たちは、社会の上位にあるものとみずから任じておるような人たちですから、できるだけ社会サービスして行くという気持にかわりはないと私は思う。ただ背に腹はかえられぬという面で、そういうぐあいにつて来るのでありますから、事業所得なるものも、普通の事業者のように利益を十分に追求して行くということができない現況にある。というのは、やはり日本の古来の仁術というようなことが、あくまでこれらの人たちをがんじがらめに縛つて行く、こういうようなただいまの状況に置かれている医者に対して、一般事業所得者と同じような課税対象に持つて行くということは、酷に過ぎはしないか、こういうぐあいに私は考えておる次第でございます。これは将来厚生省あたり見解も十分聞いてみなければ、結論には行かないと思いますが、どうかひとつその辺のことも今後御研究くだすつてあとう限りの、何と申しますか、それらの人たちがやつて行けるような、また仁術という言葉に適合するような考え方を持つていただくように、お願いしたいと思います。この点は御答弁はいりませんが、お願いしておきます。
  17. 平田敬一郎

    平田政府委員 いろいろお話を承りましたわけでございますが、課税面におきまして、医師社会的に重要な地位にあるということも、これは一般的には私どももそのように存じますが、ただ弁護士公認会計士といつたような種類の業務医師業務と、所得の性格と申しますか、課税見地の上において差をつける理由があるかどうかということになりますと、なかなかこれはやはり今お話になりましたような事情で、簡單に結論が出て来ないのではないかという点がございまして、いろいろ実情の点は私どもよく研究してみたいと思いますけれども、むしろ現在としまして、先ほど申したように、事業所得の中にでも、小さいところには本人労働による所得が多いので、特別な何か控除制度を設けたらどうかという意見がございますが、そういう問題の一環として考えるならば、確かに考えられるだろうと思います。しかし医師所得弁護士なり公認会計士等所得と、何かやはり違うものであるというふうに考えるのは、少しどうも私ども十分に理解しがたい点があるのでございますが、その点考えてみたいと思うのでございますけれども、やはり一種自由職業による所得というカテゴリーの中に、入つて来るのじやないかと考えておる次第であります。
  18. 佐久間徹

    佐久間委員 どうも医者弁護士あたりと一緒にお考えになられるのは、これは少し違いはしないか。異議があると思うんだが、さつきから何べんも私は繰返して申しておるのですが、厚生省の方では、仁術ということをあくまでモットーとして、すべての規律をしているようであります。通達その他を見ますと、大体そういう線に沿つてつているようで、弁護士ちよつとこれは大きな隔たりがあるのじやないかというように考えられるのですが、その辺どうも立場が違うのじやなくて、議論の的がお互いに違つて来ているように思うのです。これも十分将来研究してみる必要があろうかと私も考えておりますけれどもちよつと概念的に考えて、どうも弁護士医者というものはたいへん違うような気がするのです。今それを押問答したところでしようがないが、私は異議を申し上げておきます。
  19. 平田敬一郎

    平田政府委員 ちよつと申し上げておきますが、私は仕事の内容、それから責任程度、そういうものが違うかどうかということにつきましてよりも、課税の上におきましては所得の性格と申しますか、そういうものを考えなくちやならぬ。所得の性格から行きまして、むしろやはりどちらかといいますと、そういう一つのカテゴリーの中に入つているんじやないかと申し上げた次第でありまして、その点少し違つた点をお互いに強調しているのかもしれませんが、ひとつよく考えてみたいと存じます。
  20. 小山長規

    ○小山委員 関連して——ただいま佐久間委員から医師健康保險に対する課税の問題が出ておりましたので、関連して当局の意見をただしておきたいことがあるのでありますが、この社会保險に対する課税標準率を、三割ないし二割五分ということに国税庁が指示されたことは、私も承知しておりますし、またその文面も見ております。この標準率を三割ないし二割五分としたことにつきましては、社会保險の一点單価の引上げの問題とからんで、政治的な考慮が拂われて、ああいうふうになつたとわれわれは了承いたしおる。ところがその中央におけるいろいろな政治的な考慮の結果が、実際出先当局のところに参りますと、必ずしもそう行つていない。そこで非常な課税上の混乱が起る危險があるのであります。従つて主税局考えておられる根本を、この際ただしておく必要があるのではないだろうか。と申しますのは、課税標準率を三割ないし二割五分のところに置くという通牒は参つておるのでございますが、しからば実体調査をいたした場合に、それと違つた結果が出て来た場合には、どういう課税をするのかということが明らかにされておらない。それから青色申告をいたした場合に、この課税標準率と著しく違つて来ておる場合の処置が考えられておらない。私どもが了承いたしておるところによれば、一点單価を引上げることによつて、国の負担あるいは地方公共団体の負担、あるいは被保險者負担が著しく増大するということから、課税の面において手心をいたすほかはないという政治的考慮の結果、三割ないし二割五分という線が打出されたと了解しております以上は、この社会保險に対する標準率というものは、最大限その辺に置かるべきものであつて、それ以上の結果が実体調査によつて——どのような実体調査をされるのか知りませんが、あるいは青色申告書で提出した率が税の不知によつて出すべき経費を出さなかつたというような場合には、やはりその三割ないし二割五分の課税標準率に合うような方向に、指導するというふうに向けられなければ、この政治的考慮の結果出されたところの通牒というものは意味をなさぬ、かように考えるのでありますけれども、主税当局はその辺はいかようにお考えになつておるのか、承りたいのであります。
  21. 平田敬一郎

    平田政府委員 ただいまの最後に小山さんが申されましたことを、私は実は申し上げたいと思つていたところでありまして、丁寧によく調査し、親切に指導できる立場でやりますと、大体その辺のところに行くんじやないかということを、私ども考えておりまして、そういう頭で実際調べる際に対処すべきものではないかと考えておる次第であります。
  22. 川野芳滿

    ○川野委員 私途中から主税局長答弁を聞きましたので、あるいは聞き違いかとも考えますが、一応ただしてみたいと思います。ただいま佐久間委員の質問に対しまして、医者健康保險に対する所得が正確である、従つて課税標準率を三割ないし二割五分にした、こういうような意味に解釈されるような答弁がございましたが、もう一度この点を明らかにしていただきたいと思います。
  23. 平田敬一郎

    平田政府委員 正確であるからというわけでは実はないのでございまして、單価の引上げの問題もあつたのに、なかなか被保險者負担が大きい。ところが医者の経費もふえるばかりだ。これが最近の現状である。その実情に十分即応し得るような課税率にしようというのが趣旨でございまして、はつきりするからどうという趣旨ではないことを重ねて申し上げます。
  24. 川野芳滿

    ○川野委員 実は健康保險医者の收益というものははつきりいたしておる。従いましてそういうものについては、ある程度標準率を下げるのがしかるべきだ。私はこういう意見を持つておりますので、実はただいま重ねて質問をいたしたのでございますが、この標準率の問題については、いろいろ議論もあるかと存じます。しかしこういうような所得が正確なものについては、当然標準率をある程度下げるということが、正当ではないかと存じます。  さらに葉タバコの收納代金あるいは酒税、これは收入が非常にはつきりいたしておる業種でございます。こういうものについては、ある程度標準率を下げるのがしかるべきじやないか、こう考えますので、今回の健康保險課税問題につきましては、あるいは政治上の含みも加わりまして、先般ああいう解決になつたものと考えまするが、実際の標準率をきめる問題は、今後に残されるものと考えます。そういう場合には所得が正確なものについては、ある程度標準率を下げてやる、こういう含みで標準率をきめられんことを希望いたしまして、私の関連質問を終ります。
  25. 平田敬一郎

    平田政府委員 今の御意見の点、收入金がはつきりするから経費もよく十分見なくてはならぬ、こういう意味におきまして経費の見落ちがないような建前で、標準率をつくらなくてはならぬ、こういう意味でしたら私も賛成でございます。ただ所得がはつきりするものについて、実際の所得以下に見るような結果にしなくてはならぬという御意見でございますと、遺憾ながら賛成できないのでございます。その一線は守りつつ、今申しましたように收入がはつきりしました場合におきましては、うつかりしますと、経費の見方が足らぬときもございますので、そういうものを見まして、実際に即しまして正しい所得が出て来るような算定法をしなくてはならぬ、こういう意味でございましたら、私どもつたく同感でありますことを申し上げておきたい。
  26. 川野芳滿

    ○川野委員 賢明な平田局長を信頼いたしまして、もうこれで質問を終ります。
  27. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 私はただいま議題になつておりまする二十七年度の租税收入につきまして、質疑を行いたいと思う次第でございます。大きな話を先に持つて参りましたが、大蔵大臣は本会議でも資本の蓄積を言われたのでございまして、われわれも賛成であります。利子の引上げを考えているというような意味合いでありましたが、また画期的な事柄は無記名定期預金をやる、こういうことを言つておられたのですが、利子をどのくらいにするか。あまり高くいたしますと、資本が集中するかあるいは脱税になる。それであるいは安くした方がよろしいか。その問題は十分に検討しなければならぬと思いますが、政府当局はどう見積つておられまするかどうか。どういうような方式でこの無記名定期を復活しようとしておりますか。その辺を最初にお伺いしたい。
  28. 平田敬一郎

    平田政府委員 この問題は金利の問題とかいろいろの問題がございますので、いずれ大臣がこの会議に法案提出後御出席になるかと思いますが、その際三宅委員から御質問になつた方がいいと思います。
  29. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 それではそういうふうにいたしますが、前の委員長でありました川野芳滿氏からも、たびたび質問されたことでありましたが、酒税に対しましては、われわれは根本におきましては、二十七年二月からは米を自由販売にして、十分つくつて、農村もしくは勤労者にたくさん飲ましてやりたい、こう思つておりましたが、いろいろな故障が起りまして、自由販売は延期になつたようであります。今度の考え方によりますと、百五十億円ばかり増徴いたしまして、二十六年度は千百六十億円の酒税だつたのでありまするが、今回の二十七年度には千三百億円というようになつたわけでありまして、百五十億円ほど増徴になつた。それは多くつくるという方針でやつておりまするか。それとも値を上げるという方針でやつておりまするか、承りたいと思います。
  30. 平田敬一郎

    平田政府委員 これは実は多くつくるという考え方で、そろばんを出しておるのでございます。と申しますのは、昨年は米が六十万石の割当を受けたのでありますが、ことしは七十四万石程度の割当を受けました。約二割強の増でございます。それからビールの原料であります麦につきましても、若干増加が見込まれる。それと最近の売れ行き状況からいたしまして、増産しました酒類も相当程度売れるだろうということを考えまして、見積りをいたしたようなわけでございます。ただ農村方面に少し安い酒をもつと多量につくつてつて、密造を退治したらどうか。この意見は私ども十分よく承りまして、私どもできますればそういうふうにしたいと考えておるのでございますが、なかなか今の米の配給状況供出状況等からいたしますと、一挙にそこまで行きがたいような事情がございまして、この問題の抜本解決はもう少し将来に延ばさざるを得ない。よく今後といえども考えてみたいと思つております。ただ配給につきましては、もう配給をやめたらどうかという意見大分あるのでございますが、農村方面の配給だけはどうもやめるわけには行かぬというので、ことしも農村に対する特配は残すことにいたしておりまして、それによりまして密造等につきましても、できるだけ対処をいたしたい。もちろん密造の取締費も相当増額いたしまして、取締りと両方で善処をして行きたいと考えております。
  31. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 今の主税局長お話は大体了承いたします。酒を多くつくつて密造を防止する。もつともな話でありまして、私はむしろ農村におきましては、二級酒が四百円台になつておりまするが、少くとも三百円台くらいに下げてやつたならば、密造も大分減少するであろう、こういう観点を持つておるのでありまして、またしばしば各委員からも質問せられました通り、密造対策につきましては、相当活発に費用を出しまして、嚴密に密造はやめさせる。しこうして農村には割合に安い酒を流してやる、こういう線を堅持することこそ、政治家の任務であると思うのでありまするからして、一段と特にその考慮を増していただきたいと思います。今度は配給につきましても、農村に十分配給し、官庁用もしくは密造対策用にも酒を多少配給すると考えておりまするが、これは毒をもつて毒を制する。警察官吏の応援を求めた場合等におきましては、ある程度まで酒を出しまして、慰労してやるのは当然であろうと思いまするからして、そうしたような必要欠くべからざるものは、ぜひある程度まで地方にも農村もしくは官庁にも配給してやる。この線は堅持してもらいたいと思う。同時にまたこの密造対策費もふやしてもらいたいと思いますが、これに対しまして答弁をいただきたいと思います。
  32. 平田敬一郎

    平田政府委員 密造の取締りの必要がありますことは、お話通りでございまして、密造対策費もたしか今年は一億二、三千万円に増額いたしまして、十分対処いたしたいと考えておるのでございます。ただ特配につきましても、主として農村方面に特配をするという考えでおります。一般の官庁は特配をやめております。従いまして、もちろん密造につきましては、警察方面の援助も必要でございますので、そういう方面に対しましても、しかるべき援助をしていただくことができますように、予算の上におきましても、できるだけ配慮を加えることにいたしておる次第でございます。そういう点は十分考慮しまして、よく考えて行きたいと存じます。
  33. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 ちよつと申し上げたいと思いますが、官庁用に、もちろんたくさんやれとは言いませんが、今申しましたような密造対策用には、酒をやつてもらいたいと思います。金で奨励することもけつこうでございますが、酒をもつてやるということも一つの奨励の方法であると思いますから、慰労にはぜひ酒をもつてつてもらいたい。  もう一つこれに関連しておりますから申し上げますが、揮発油税というものはあなたの所管だと思います。この揮発油税につきましては、道路を改修し、もしくは道路の鋪装に使うという事柄が、一番便利であると私どもは思つておりますが、ただ收入を上げればよろしい、こういう意味合いでございましようか。これをどういう方面に使つたならば、日本の交通文化もしくは将来の発展に寄與貢献するかという点を持つておられるか。この際ただしておきたいと思います。
  34. 平田敬一郎

    平田政府委員 揮発油税は、来年度予算では約百億近くなるかと思いますが、これはもちろん一般の租税收入でありまして、この租税收入は御承知通りそれぞれ有用な費用に充てられるので、決してとりつぱなしの税金ではございません。歳出の側におきましても、公共事業費等で道路の建設等に、やはり相当多額の金を出しておるのでございます。それと揮発油税と完全に見合いをとつてやるかやらぬかという問題が、いわゆる目的税の理論でありまして、揮発油税を目的税にして、道路の費用に充てたらどうかという議論がございますが、これは私はやはり歳入歳出の政策としましていかがであろうか。あまり賛成いたしかねる。やはり揮発油税は揮発油税としまして、ほかの税の関係を考慮して妥当な税率徴收する。道路は道路といたしまして、公共事業の中におきまして適当な割振りをきめまして、必要な金は出して行くというふうに行きますのが、やはり総合的な政策が織り込まれて、うまく行くのではないかというふうに考えておる次第でございますので、この際目的税にするということは、これはどうもいかがかと存じます。しかし大体結果におきましては、やはり道路の方にも百億に近い金が国費から出ておると見ております。それは完全に見合いをとつたわけではございませんが、総合的によく判断しまして、適当な歳出を出して行くというのが、やはり正しい行くべき道ではないかと考えております。
  35. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 今の平田局長のお話は了承いたしました。  次はきのうもちよつとお伺いしましたが、物品税は戦時中できたものでふりますから、戦後になつたならばはずすというのがわれわれの趣旨であります。しこうしてぜいたく品でありますとか高級品には、もちろんかける。これはやむを得ないことであります。本年二十七年度におきましても、物品税は増徴のようになつておりますが、私はむしろ減額いたした方がよろしいと思いますが、どういう根本において増徴せられたか、はなはだおかしなことであると思います。少くとも零細なる企業者もしくは税收入の少い者は、勇敢にはずしてこそわれわれは目的を達する、かように思いますが、主税局長はどういう方針でおられますか、承りたいと存じます。
  36. 平田敬一郎

    平田政府委員 物品税は増徴はいたしておらないのであります。收入がふえますのは、やはり消費の増加に対応します自然増收でございまして、増税をしてやろうというわけではございません。間接税につきましては、先般も申し上げました通り、現下の財政事情にかんがみまして、今までのような減税方針は、どうもこの際放棄せざるを得なくなつたという、一般的な政策的な考え方からいたしまして、考えておる次第でございます。従いまして物品税にいたしましても、今回は特別な改正案を政府といたしましては考えておりません。いろいろ物品税の技術面その他につきまして、問題のある点は承知いたしておるのでございます。そういう問題につきましてはなおよく研究しまして、必要な機会にあるいはお出しする機会もあろうかと存じますが、今回としてはそのような考え方で方針をきめた次第ではありません。
  37. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 平田局長もおいでになり、同時に高橋長官もおいでになりますから、両方に関連いたしましてお尋ねいたします。二月には確定申告を出すのでありまして、われわれもその用意をいたしておりますが、今までの平田局長並びに高橋長官のお話によりますと、比較的昨年度から本年度にかけまして申告を是認した。しかし二十七年の二月においては、相当更正決定しなければならぬかというような意味合いも、承つたわけでありまするが、はたして高橋長官は、二月の確定申告につきましては、相当程度思い切つて更正決定をやる用意をお持ちでありまするか。それともある程度まで、前年度のように割に更正決定は少くする、こういう意味合いでありまするか、承りたいと思います。
  38. 高橋衛

    ○高橋(衛)政府委員 昨日も御答弁申し上げました通り、今年度におきましても、昨年の方針と同じように、できるだけ更正決定を避けまして、各納税者の御協力を得まして、納得の行くところの申告を出していただくようにしたいと考えております。ただ昨年の実績を振りかえつて検討してみますと、更正決定を避けるということにあまりに力を注ぎました結果、何と申しますか、ずいぶん長く、三月一ぱい、ところによりましては四月に入つてからも、そういうふうな努力が続けられたのでありますが、法律の建前は、何といたしましても二月末日が申告期限になつているというふうな点から考えまして、また今年はいろいろな事業者所得の内容についての調査が、量においても質においても、前年度と比べまして非常に改善されておりまするので、そんな点からいたしまして、今年はなるべく法律の趣旨にのつとつて、だらだらとしないで仕事処理して行きたい、そういうふうに考えておるのであります。ただ今年の非常な特徴は、昨日も申し上げました通り、生産においても物価においても、相当の上昇を見ておりますので、それが所得に反映いたしまして、予定申告の段階におきますところの所得金額よりも、各納税者によりましては、相当大幅な増加があり得るかと思うのであります。従つて申告は、なるほど所得はそれだけあつたけれども、納税は一時にはなかなか困難だというふうな事情のある方も、多いかと思うのであります。そういうことが原因いたしまして、どの程度いい申告を出していただく、またどの程度ほんとうに納税について、御協力を願えるかという点については、ある程度の困難を私ども予想しておるのでありまするが、とにかくそれらのことについては、事前に個々の各納税者の皆さんに、それぞれお話も申し上げておりまするし、各種の宣伝もいたしておりまするので、できるだけ御準備を願つている方もあろうかと考えます。従つてこういうふうに所得が非常に上昇をしているというふうに、一般的に見込まれますけれども、何とかしてそう混乱も起さずに、そう更正決定も多くしないでやつて行きたい、そういうふうに考えておる次第であります。
  39. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 今の高橋長官の趣旨は、どうかひとつ下々の国税局並びに税務署に流して、しこうして今ここで質疑応答いたしましたことを、そのまま徹底するようにしていただきたいと思います。つきましては、私どもは先年の国会におきまして、異議を申請したる者に対しましては、三箇月以内に税務署が再調査する、もしそれを怠つた場合におきましては、あと三箇月以内で、国税局の協議団によつてこれをさばく、こういう線を堅持したのでございます。断じて無責任なことはしない、こういう答弁を得ておるわけでありまするが、はたして実情は、高橋さんの御調査によりますると、税務署で再調査行つてこれを直したものがどのくらいあるか。あるいは国税局にまわつたものがどのくらいあるか。しかしてどういう機関でもつてこれを更正し、もしくは訂正し、あるいは審査の結果処理いたしたかということを、この際承りたいと存じます。
  40. 高橋衛

    ○高橋(衛)政府委員 更正決定に対して異議のありまする場合に、再調査の請求をまずいたします。それが三箇月経過いたしますと、審査の請求ができるということに相なつております。それでその処理に関しましては、ただいま三宅さんのお話通り趣旨で、もつぱら指導して参つたのでありますが、ただ私ども率直に反省をいたしまして、改善を要すると考えております点は、何と申しましても協議団の制度が発足早々でありまするので、その制度について、單に納税者のみならず、税務官吏側においても、なかなか十分にこれをのみ込んでくれないというふうな傾向も、署によつては見えるのであります。それはどういうことかと申しますと、協議団によつてそれが訂正されるくらいならば、税務署においてそれを訂正して行きたいというふうな、何と申しますか、狭い対立的な感じも、率直に申し上げまして、あるような事情もございまして、ある税務署におきましては、ほとんど協議団にまわらない。ある税務署におきまして、は、これに反してこういうふうな紛争の処理は、すべて協議団にまわした方がいいのだというふうな考えのもとに、積極的にほとんど再調査のようなものを、きわめて簡單のものは別といたしまして、実質的に異議のあるものにつきましては、協議団に大部分まもすというふうな署がございます。それで昨年中ごろからそういうふうな実情をよく見ましたので、それぞれそれらの点を改善するように、強力に指導しておる次第であります。  なおこの制度その他に関しましては、実際の運用面におきまして、今後今回の確定申告に対する更正決定を機会にして、さらに改善をして、どんどん協議団にまわして、しかもそれを迅速に解決して行けるという方向に持つて行きたいと、考えておる次第であります。  なお数字はただいまここに持ち合せませんので、追つて申し上げたいと思います。
  41. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 今の高橋長官の御答弁は、率直にお話があつたのでありますが、どうか税務署におきましても意地ばらないで、すなおな気持でもつてやる、こういう線を堅持することこそ、納税者に対しまして親切な方法であると思いますから、よく親切をもつて下々のものを指導してもらいたい、かように考えておりまして、いやしくも見ないで更正決定をしたり、また三箇月たつてもうつちやつておくということのないように、嚴重に戒告をしていただきたいと存じます。  次は平田さんに、ちよつと関係がありますからお伺いいたしますが、行政整理によつて税務機構の改革をいたしたい。たとえて申しますと、調査部等におきましては、ある程度まで資料等はよろしいからというようなわけ合いで、税務官吏の整理をしなければならぬという段階であるかと思いますが、税務機構の改革を考えておられますか、おられませんか。行政整理ということと対照いたしまして、どういうふうにして今後の税務行政をやつて行かれますか。と同時に地方税務事務所というものがあります。これは地方税を取扱つておるのでありますが、非常に頻繁に参ります関係上、国税も来る、地方税も来るというようなわけで、同じ所得に対しまして、二へんも三べんも調査に来る。また区によりましては区役所が来るというような煩瑣な例がありますから、これを一本化しまして、少くとも所得の決定は税務署でやる。これに付随いたしまして、地方の税務事務所もしくは区役所が、これにかけるというふうにいたしますことこそ、税の一本化、單純化、平均化になると思いますが、平田さんはどう思つておりますか、承りたい。
  42. 平田敬一郎

    平田政府委員 結論から申しますと、私は今の三宅さんのお話のような意見に、実は賛成なのでございますが、ただこの問題になかなか地方自治の根本につながる一つの問題でありまして、戰後の地方自治の確立、それから二十五年度の地方財政の確立という点は、それぞれやはり国は国、府県は府県、市町村は市町村、これはやはりそれぞれ一種の緊密な関係はありますが、相当独立性を持つた政治団体であつて、府県は府県でやはり自分で財源を求めて、自分でいろいろな仕事をして行く、市町村は市町村でやつて行く、そういう建前で動いて行くべきものだ。従いまして税制も昔の附加税主義はやめまして、大体独立税主義にいたしまして、国税と府県税と市町村税、これは同じ課税標準をなるべく避けまして、違つた税を認めることにいたしたのでございますが、その思想を極端に貫きますと、やはり府県は府県で自分自分税金課税標準を調査する、市町村は市町村で調査をするということまで、実は行つてしまうのでございます。しかしその辺は、いくら独立税主義と申しましても、日本のような狭い国では少しどうも行き過ぎではないか。やはり納税者の便宜ということも考えなければなりませんし、それから経費がいたずらに高くかかつて、経費倒れになるという点も考えなければなりませんので、私は一つの中間的な考え方といたしまして、課税標準の調査と決定、これはどこか適当な国、府県、市町村、どこでもいいのですが、一番有能な、能率のいいところでやらせる。その課税標準をもとにして、税率をきめたり、きまつた税率に基きまして税額がきまりますが、その税額を現実に集めるのは、やはりそれぞれ国は国、県は県、市町村は市町村というふうにわけて徴收することにすれば、地方団体の独立性の問題ともよほど調整がつくのではないか。その辺のところで、この問題を解決したらどうかという、これは私の個人的な意見です。しかしこれに対しましては、今申しましたように、いろいろ地方自治の本質論からするむずかしい議論がございますので、今国会では実現ができるかできないか、あるいは少し将来に延ばすことになるかと思いますが、よくそういう点も考えまして、将来は国税、地方税を通じました全体の税務行政機構がうまく行きますように、考えて行きたいと思つておる次第であります。
  43. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 今主税局長お話になりましたが、高橋長官にも申し上げたい。例を申し上げますとよくわかりますから申し上げます。  墨田税務署というのがありますが、その隣に墨田税務事務所という地方の事務所があるのであります。機構からいたしますと、国税の方が大きいと思いますが、実際の建物、人員の方から見ますと、地方の税務事務所の方がはるかにりつぱであつて大きい。人も多い。そして租税收入は少い。これはとんでもないことでありまして、今までの局長のお話によりますと、国税の徴收費は五%と聞いておりまするが、地方税徴收費は一二%かかつている。倍も徴收費をかけまして、税收入が少い。しかも家はりつぱで人員は多い。能力は減退しておる。こんなばかげたことはないのでありまするから、ひとつ国会を通じて申し上げておきますが、高橋長官も一ぺん実際をよく見てまわるとわかると思いますから、御参考までに申し上げます。実際は税務署で調べたものを、そのまま地方の税務事務所に持つて行つてきめるということを聞いておりますが、あなたはどう考えておりますか。
  44. 高橋衛

    ○高橋(衛)政府委員 ただいま国の徴税費が五%というお話でございましたが、二十六年度の予算で申しますと、これは二・六三%でございます。御指摘の約半分でありますが、明二十七年度におきましては、徴税費は租税歳入予算に対して二・二%とさらに大いに節約することに相なつております。なお地方税のいろいろな調査その他課税標準の決定等に関しまして、もちろん国としてもできるだけ協力いたしております。しかしそれがどの程度地方税の基礎になつておるかということにつきましては、私の方では関知し得ないところでありますから、御了承願います。
  45. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 平田さんにひとつ伺いますが、調査査察部というものが国税庁並びに国税局にあるわけです。そういう調査はけつこうですが、査察というものはある程度まで嚴格にいたしたいと思いますから、査察の方は国税局、調査部の方は税務署というふうにわけてもらいたいと思いますが、その点についてはどう考えておりますか。
  46. 平田敬一郎

    平田政府委員 この問題は、むしろ高橋長官からいろいろ実情をよくお聞きになつた上で、御判断になつた方がいいと思いますが、将来の問題としましては、いろいろ問題があろうかと存じます。しかし大納税者調査を小さい單位の税務署でやりますと、なかなかまた弊害もありますし、十分徹底し得ない点もありますので、大きな法人とか大きな所得者の場合の調査を局でやりますことは、確かに一つのりつぱな考え方でありまして、これをすぐに元にもどしてしまうかどうかという点につきましては、まだそこまで考えておりません。ただ個人の所得税納税者のようなものは局で調べる。営業所得は別ですが、その他の所得者の場合におきましては、局の調査課で調べる必要があるかどうか。法人の方も、資本金の問題につきまして、今二百万円になつておりますが、その程度なり限界をどうするかということにつきましてはいろいろありまして、私ども国税庁とよく相談しまして、是正すべき点は是正いたしたいと考えております。この問題はむしろ高橋長官の方から、よく実情お話つた方がよかろうと思います。
  47. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 私はこの前半田さん並びに高橋長官にお伺いしたのでありますが、前は法人の資本金五百万円を国税局でやり、あと税務署でやつていた。それがだんだん下つて来て三百万円になり、次は二百万円になりまして、二百万円以上は国税局、あと税務署というふうになつた。私はこの前も申したと思いまするが、物価指数その他からいたしますと旧来の二十万円以下の資本金というものは、現今の計算で行きますと約五千万円、こういう見解がつくわけでありますが、今国税局でやつておりますのは、二百万円を基準といたしておるということでありますから、はなはだどうも失礼な話でありますが、税務署はどちらかというと同族会社のかすをやつておる、こういうようなことに相なるかと思いますから、資本金は東京、大阪のような大都市においては、五千万円以上は局、あと税務署、こういう観点でやり、地方の農村を含めた他府県におきましては、三千万円を基準といたしまして、三千万円以上は国税局、以下は税務署、こういう方向が割合に円滑に行くのではないかと思うのであります。失礼な話でありますが、各税務署とも二百万円以下の小さい同族会社、もしくはそれ以下のものばかりやつておる。こういうことは、高橋さんのお話はどういうお考えか知りませんが、私は高橋さんの意見と違つていますから、どうか私どものような意見をいれまして、資本金五千万円以上は国税局、以下は税務署というふうに勇敢にしていただいた方が、税務行政が円滑に行くのではないかと思うのであります。長官はみずから指導しておられる税務職員をあまり軽蔑しないように、重んじてやつていただきたいと思いますが、いかがでありましようか承りたい。
  48. 高橋衛

    ○高橋(衛)政府委員 税務署と国税局との所管限度の問題につきましては、この前の国会においてもたびたび御答弁申し上げました通り、御指摘のように漸次全般の資本金も向上して参りますし、所得の水準も漸次上つて参りましたので、それに応じて、今後たとえば二十七年度の分等におきましては、その機会にこれが是正をいたしたいと考えております。その方向といたしましては、ただいま三宅さん御指摘のような方向にある程度行きたい、そういうふうに考えております。ただ調査制度をつくりました趣旨は、一つは非常に複雑な業態の法人その他の大企業につきまして、これを専門的な見地から十分掘り下げて検討して行くということが、ぜひ必要であるという見地からいたしましたことと、いま一つは、従来の税務行政のやり方が、どつちかと申しますと推定的なやり方が非常に多かつた。それを何とかして切りかえて行きたい。その一つの新しい企画を、割合に優秀な人を集めて、狭い範囲からそういう新しいやり方を切り開いて行きたい。この二つの意味を持つてつたのであります。それで全般の税務行政のやり方等につきましても、大体方向の転換がある程度なし得たかと思うのでありますが、なお今日満足すべき状況ではもちろんございません。従つて今一挙にそれを元の制度にもどすというようなことは、適当でないと考えておるのでありますが、とにかく所管限度の問題につきましては、三宅さん御指摘のような方向に、ある程度二十七年度からは改正したい、そういうふうに考えております。
  49. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 今高橋長官のお話になりました事柄、資本金の限度を引上げるということを了承いたしますから、そのつもりで、もしどのくらい引上げるという予定がついておりましたら、この際承りたいと存じます。
  50. 高橋衛

    ○高橋(衛)政府委員 ただいま愼重に検討中でございますので、大体結論が出ました上で、お答えいたしたいと思います。
  51. 武藤嘉一

    ○武藤(嘉)委員 三宅委員の関連質問ですから……。三宅君の質問の酒税に関連して一つ平田局長にお尋ねしたいのは、どうも大蔵省方面は、酒が非常に年末に売れている。この勢いでは、今年も消化が十分できるようなお見通しであろうと思うのでありますが、どうも農村は、どこもほとんど資金が枯渇して、農民の協同組合の引出しは非常にはげしく行われておりますし、ことにいも類なんかを扱つておりました畑作地帶は、非常に澱粉の値下りで打撃を受けておりますので、お考えのように、今のような勢いで酒が売れるのだとお考えになつていらつしやることは、かなり楽観し過ぎるのではないかと思います。むしろこれは私は、今急遽実行なさいとは申し上げませんが、できるだけ早くこれは減税の方へ持つて行つていただかなければ、必ず大きな破綻が来るであろうと思うのです。ことに滞納が現在でも相当あるようでありますが、これは、そういたしますると、清酒以外の面は非常に滞納がふえて来る可能性があるのではなかろうかと思います。一概に生産がふえるとか、あるいは増石ができるというふうに、楽観をなさつていらつしやるようでありますが、それ以前の一昨年の十二月に比べまして、非常に事情がかわつておるのではなかろうかと思いますので、これはきようは長官も主税局長もお二人ともおいでですから、いい機会ですから申し上げますが、できるだけこれは値下げ、いわゆる減税促進の方へ持つて行つていただくには、御両所がいらつしやれば、これに越したことはありませんから、そう願いたいと思うのであります。  それからなおこまかいことでありますが、実はみりんという業態があるのであります。これは主として大きいものは宝のように新式みりんというのをつくつておりますが、岐阜、愛知、三重、この府県が全国の八割を占めておるのに、旧式みりんというものがあるのであります。旧式みりんは、非常に売れ行き不振で困つております。昔は、私が聞いているところでは、東京のそば屋はほとんど全部みりんを使つておりました。味をつけるのにみりんを使わなければならない。それから牛肉屋のたれ、あれもみりんを全部使つたものだそうです。ところが非常に税が高くなつだために、現在ではみりんはほとんど使われていない。そば屋も東京市内で一軒か二軒、特殊に高い、上等なそば屋さんは別としまして、大部分はもうみりんは使わない。かえつて味の素かその他の調味品を使つている。そこで非常にみりん業者が困つておるのであります。これは大体飲んで酔つぱらうためにできているものではなくて、実は調味料が本格的な使命であります。調味料であるべきものが、たまたま原料が酒精がまじつておるがために調味料になつておらない。そのために従来は安かつたから大きな一斗びんを備えつけて、そば屋さんやあるいは牛肉屋さんが使つてつたそうですが、現在業者の声を聞きますと、ほとんど使われていない。そのために愛知県、三重県、岐阜県、これは全国の八割をつくつている旧式みりんの所在地ですが、業者が非常に困つて、全部みりんというもりはやめてしまうものかどうかと迷つているそうであります。私どもが申し上げたいのは、調味料であるべきものならば、たとい原料が酒精であろうとも、これは飲まないのが本来であつて、味つけに使うものであるとすれば、これは何か特別の処置をみりんに対して考えていただかないと、みりんというものはなくなる。もちろん、そんなものはほかに味の素とか、使うものがあるかもしれませんが、非常にうまいうなぎのたれとかうまいそばは、みりんを使わなくては絶対味が出ないそうです。ですから、みりんの税は致醉飲料だと考えないで、致醉的なものではない、酔つぱらうものではないのだ、調味料だという使命を特に認識を願つて、何かひとつお考え願いたいと思つております。  なお、いやみを言うようでありますが、密造対策の費用がだんだんふえましたが、酒税は千三百億以上でありますから、千三百万円お出しくださつても千分の一であります。これではまだ足りないくらいであります。のみならず、どうも密造対策費というものは、税務署で聞きますと、用途が款項目流用ができるというところから、密造対策以外にでも使われているようなことを聞くのであります。密造対策費が少いところへ、しかもそれがほかの方面へ流用されては、はなはだもつて迷惑千万でありますので、うんと密造対策費は上げていただくか、少くとも密造対策費は酒類の密造対策だけに使うということに、はつきり御指示を願わぬと、どうもほかに使われやすい傾きだと、私は税務署のあるところから聞いておる。ほかにも申し上げたいのですが、きようは時間がありませんから、この密造対策費をもつとふやしていただきたい。それからみりんについては、特に致醉飲料ではないという別扱いを、ひとつお二人にお願いしたいと思います。
  52. 平田敬一郎

    平田政府委員 酒の売れ行きにつきまして非常に楽観しておるというようなお話でございましたが、私ども楽観もいたしておりませんし、悲観もしていないというのが現状だろうと思います。と申しますのは、大体見込み石数をごらんになればわかりますが、四百九十万石程度、これくらいでございましたら、まずいいところではないか。うんと楽観しまして、もつとたくさん売れると見ておりますと、これは少し御非難のような点が当るかと思いますが、まず最近の状況から見まして、この程度ぐらいは消化できるのではないか、原料がふえまして増産になりまして、ちようどいいところではないかと考えております。税率につきましては、一般に間接税の減税方針につきまして申し上げた通りでありまして、この際どうしても酒について減税しなければならぬという事情もないようでございますので、さしあたり見合せることにいたした次第であります。  それからみりんの問題につきましては、私どももよく話を聞いておりますので、将来何か改正の機会がございましたら、そういう点は十分研究してみたいと思います。  それから密造対策についてでございましたが、私先ほど一億三千万と申しましたが、たしか最後にきまりましたのは一億六千万円のようでございます。この点は高橋長官からお話があるかもしれませんが、でき得る限り密造につきましても、力を入れてやつて行くという方針はかわりがございませんので、御了承願いたいと思います。
  53. 高橋衛

    ○高橋(衛)政府委員 酒税の收入につきましては、十二月末で課税高がすでに一千九十九億円に相なつております。そのうち八百四十五億円が收入済みであります。これは納期が一月末、二月末等になりますので、今後の情勢をいろいろ検討いたしましても、予算額だけの收入は確実に得られる見込みであります。しこうして先ほど滞納がだんだんふえて来ておるというお話でございますが、滞納は昨年の春からふえて参りまして、八月ごろに十七億円を酒税については越えたのでありますが、その後減少して参りまして、現在のところ大体十五億円程度に減少して参つております。従つて酒税の收入については、私どもさほど懸念もしていない次第でございます。  なお密造取締費を他に流用するというようなお話でございましたが、むしろ逆でありまして、密造取締りのために、その他の経費を無理をしてでもこれに注いでおるというのが、実情でございます。しこうして予算といたしましても、二十六年度は八千五百万円の取締費でございましたが、二十七年度におきましては、約倍に近いところの一億六千万円に増額いたしまして、これにさらに力を注いで行きたいというふうに考えております。
  54. 佐藤重遠

    佐藤委員長 高田富之君。
  55. 高田富之

    ○高田(富)委員 私は税の根本をなしておる国民所得の計算、並びにこれに基く税の問題について、御質問したいのですが、これは大分時間がかかりますので、この次の税金問題について質疑の許される機会に、最初にやらせていただくことを、委員長に御了承いただいおいて、そのときにいろいろと御当局のこれに関する考え方を、詳細にお聞きしたいと考えております。きようはその前提になる点だけを一点だけ、参考資料の数字についてだけ確かめさせていただくことに、とどめたいと思います。  まず第一に伺つておきたいことは、最初の五ページの租税印紙收入の源泉所得のところですが、源泉所得のAの「給與所得に対する所得税」というところの四、五行目あたりに、支給人員は昭和二十七年度は五・三%ふえておる。安拂い給與金額は四割ふえるということになつております。これは要するに金額をこの人員で割ればわかるでしようが、給與ベースが上るという前提、並びに雇用人員が相当数増加するということですね。これが第一点。  それから次にお伺いしたいことは、八ページのEのところに「現行法による昭和二十七年分の課税見込」という欄があるのであります。このほかにもそれと類似のずつと説明がありますが、これを例にとつて、こういうふうに理解してよろしいかどうかということを、尋ねておきたいのですが、これで行きますと、結局一人当りの総所得金額、それからずつと基礎控除、扶養控除というふうに引いて参りまして、結局課税所得金額というものが括弧の一人当りになりますと、営業では十八万六千円ということになり、農業の場合で見ますと五万六千三百円、税金が一万二千九百円、約一万三千円、そうしますと、差引四万三千円、結局農業の場合、特にこの場合は低いようですから承つておきたいのですが、税金を拂つてしまいますと四万円しか残らない。しかも農業の場合は扶養控除など引いておりますが、人員から見ましても大体四人平均くらいになつておると思うのですが、そういうふうに農業で四万円残る。そうしますと、結局は基礎控除が五万円ありますから、一人でいえば九万円になりますけれども、家族四人ということになりまして、三人までは二万円ずつの基礎控除というわけで、結局これで行きますと、基礎控除になつた残余の分、税金を差引いてしまつた分の收益だけでは、常識的に考えてみましても、生活はとうてい不可能な数字になつておるのですが、これはそういうふうに理解して間違いがないかどうかという点。  それから次のページに参りまして、ずつと前から同じでございますが、九ページの「收入歩合」ですね。九ページの「收入歩合」七二%、前年度も七〇%くらいでございますが、ことに本年度は、前から政府相当減税しておるということを言つておるし、現に今度はこの間の臨時のあれを恒常化して、減税が行われておるというときに、そういう減税をされて、しかも相当国民所得もふえるというような状態の中にあつて、なおかつ営業の例でいえば、三割からのものが対象にならぬということをあらかじめ予定しておくということは、相当ここに問題があるのではないか。あらかじめ三割も落しておかなければならぬ。依然としてそういう状態が改善されないと予定しておくということは、何か税の徴收方法あるいは收入の見積り等において、相当の無理矛盾が、今までの実績からも改められず、将来もずつと改められることがないという前提に立つておると理解するほかに、しかたがないのではないかという点。  さらに次のページの法人税のところで伺いたいことは、法人税のところに行きますと「旧法」「申告分」と書いてありますが、申告分のところに行きまして、生産、物価、同上の相乗、所得率、この所得率を見ましても、資本金二百万円以上のところは八〇%、それから税務署所管のところは八五%、総合では一方は一〇六・二に対して一方は一二〇・一というふうに、小さい法人の方が所得率が高いということは、ちよつと常識的に見ただけではその根拠がわからないのでありますが、これはどういう根拠に基いてどういう計算をしたものでありますか。  それからもう一点、次のページの「更正決定分」というところを見ますと、更正決定は資本金二百万円以上のところについては五%、税務署所管分は二〇%ということ、これもやはり何か小さい法人の方が更正決定がべらぼうに率が高いのでありますが、こういうふうなことも、きのうもちよつと質問いたしましたが、小さい法人に対して個人と同じような扱いをあくまでして行く、そういうふうに通牒が出ておるとか、そういうふうに実際やつておるとか、世間で言われておるのでありますが、こういうふうな見積りについての根拠を伺いたい。  これはちよつと見ただけですが、一応簡單でけつこうですから聞かしていただいて、その次に国民所得の算定その他についてお伺いしたいと思います。
  56. 平田敬一郎

    平田政府委員 今のお尋ねの点、一応要点をお答え申し上げておきます。が、まず給與所得の人員と支拂給與の増加率ですが、これはその前にaの欄をごらんになればわかりますように、二十五年度に対する増加率でございます。二年分の増加率が入つております。二十五年をなぜとつたかと申しますと、二十六年はまだ実績がはつきりしておりませんので、はつきりしております実績を基準にしまして、それぞれ見積つたわけでありまして、二十六年に対します七年の見込みを申し上げますと、雇用の方が一・一%の増、それから給與の金額が、最近の水準から若干上ると見まして、年平均一割一分四厘の増、あわせまして一割二分程度の六年対七年は増加を見ておるのでございまして、これは大体最近の賃金の状況並びに雇用の増は、安本と大体考え方を同じにしておるのでありますが、そういう点からいたしまして、二十七年の税額にいたした次第でございます。四〇%とか五%とかいうのは、二十五年に対する比較でありますから、よく御了承を願いたいと思います。それからその次は八ページですが、今農業についてお問いになりましたが、bの「総所得金額」、これは実は所得金額なのでございます。これは收入金額から必要経費を差引きました農家の所得が、税法上いわゆる総所得から基礎控除、扶養控除あるいはその他の各種控除を引きまして、最後の税率を適用する場合の所得がこのfの欄の課税所得金額、従いまして所得金額十五万七千円に対しまして、現行法によりますと一万二千九百円の所得税がかかるのでございまして、差引手取りからいたしますと十四万四千七百円ほど残る、こういう計算になるわけでありまして、課税所得は一応参考に計上しておりますが、所得金額から幾ら税金を拂うかということになりますと、今申し上げました見地でごらん願うと御承知願えると思います。総所得金額は收入金額にあらずして、收入金額から必要経費を差引きましたいわゆる純所得でございます。その所得であるということで御了承願いたいと思います。それが改正後におきましては、一人当りの税額が一万二千九百円のものが九千八百円に減ることになります。九ページ目のBのiの欄をごらんになればわかりますが、これは改正後における税額でございます。  それからもう一つは、営業の当年度の收入を七二%、農業は九二%、その他の事業を八二%、全部合せまして七五%、これは若干よく見ていると思いますが、大体従来と同様でありますことは御指摘の通りであります。すなわちこれをなぜ一〇〇%近くに見れないかということは、まことにごもつともなことで、理想から申しますと、当年度も実は一〇〇%に行くのがいいのですが、ただ御承知通り申告期限が二月の末日、それから会計年度の終りが四月の終りであります。全部申告で更正決定を必要としなくなりまして、自宅で正しく申告され、それから申告された税額が全部すぐ納まつてしまうということになりますと、実はこの率は一〇〇%でいいのですが、なかなか今の状況でありますと、確定申告で税金がある程度集中しまして、申告がされましても一ぺんに納めるのがむずかしいというので、ある程度滞納が出て来ます。それから役所の側におきましても、全部短期間に調べまして、更正決定をしてしまうというわけには行かない事情がありまして、相当丁重に調べまして正しい所得を見出すとしますれば、どうしても決定を少し遅らせざるを得ない。むしろ今の国税庁負担している申告所得税の年度末における仕事というものは、えらいものでありまして、短期間に非常に大きな分量の仕事をしなければならぬ点があります。そういう点から行きますと、できればほんとうは更正決定も、翌年度にまわすようにすればもつとよく行くのですが、それもなかなかそう行きませんので、できるだけスピードを上げてやつてもらうことにいたしております。どうしてもそういうものが翌年度にずれるということは、そういう点をある程度見なければならぬというので、七二%程度に見ている。これは今の申告期限とそれから会計年度の締切り期限から行きますと、現在のところこの程度が適当じやないかと、見積りしておるわけであります。もちろん翌年度に繰越します二八%の分も、滞納の分は翌年度徴收することになりまして、次年度の繰越しの收入になつて一部は出て来ておる。全部今まで入つて来ておりませんが、入つて来ております分は、その次の段に「前年度よりの繰越滞納額」といたしまして、繰越額をさらに見込んで計算いたしております。七二%しかとれないので、あとはほうつておくという趣旨じやないことを、御了承願いたいと思います。つまり翌年度にずれる額が二八%になります。そのうち全部納める人と一部どうしても納まらぬ人と、中には出て来るということであります。その点御了承願いたいと思います。  それから法人税の更正決定の所得率と更正決定の率でございますが、所得率に若干の差を設けましたのは、税務署所管の分は小売業等も大分あるわけであります。ここになぜ所得率を下げたかと申しますと、これは主として二十六年度の法人の利益の中には、物価の値上りによります一時の価格差益と申しますか、その異常利益が実は相当つておるという点が考えられますので、その部分は二十七年度といたしましては、それほど多く見るわけには行かぬだろうというわけで、若干所得率を下げるということにいたしておるのであります。そういう見地から行きますと、税務署所管の法人の分と比較的大きな法人の分では、業態が違つておりますので、この程度の差をつけるのはやはり妥当ではないか。小売業等の場合においては、それほど価格差益は前からございませんでしたので、そういう部分が多い部面につきましては、なお一層の所得率の低下は見る必要はなかろう、こういうわけでございます。  それから更正決定のその次の歩合が大分違うわけであります。これは率直に申し上げまして、最近大きな会社は申告が実は非常によくなりました。これは税法の周知徹底あるいは会社の責任者等の納税に対する考え方が、最近税法の改正あるいはその他からいたしまして、非常にかわつて参りまして、申告の成績が実は非常にいい。これに比較いたしまして、やはり中小の法人になりますと、なかなか徹底しておりませんので、調べてみますと、申告と所得額との間に相当の開きが出て来る場合が多い。そういう最近の実情をもとにいたしまして、更正決定による増加を見ておるわけでありまして、決してこれを政策的に下の方を酷にするとか、上の方をやわらかにするという趣旨では全然ないことを御了承願います。
  57. 佐藤重遠

    佐藤委員長 ただいま議題となつております税制改正に関する件につきましては、いまだ論議の余地が相当多いと思われますので、質疑を次会に譲りたいと思います。次会は二月四日午後一時より開会いたします。  本日はこの程度にとどめて散会いたします。     午後零時二十六分散会