○
平田政府委員 二十七年度の
税制改正につきましては、大体におきまして成案を得まして、
目下法律準備中でございまして、近く提出の運びになる
見込みでございますが、本日はその
改正の
要綱につきまして、御
説明申し上げたいと存じます。
お
手元に
昭和二十七年度
税制改正の
要綱という書類を本日お配りしたはずだと思いますが、それに基きまして御
説明申し上げたいと存じます。
まず
基本的な
考え方でございますが、この点につきまして、大臣からも本
会議におきまして御
説明があつたかと思うのでありますが、最近の財政の
状況などにかんがみまして、大体次に述べますような
基本的な
考え方によ
つておるのでございます。まずいわゆる
減税または
増税と申しますか、そういう問題につきましては
所得税と
相続税はできる限り
軽減する。
所得税につきましては前
国会で
臨時特例法が出ておりますので、あの
減税を二十七年度も引続き踏襲するという
見込みでありまして、これによ
つて相当実質的に
減税になると思いますが、とにかく
減税方針をとる。
相続税につきましても相当重過ぎますので、これを
減税する。これが
一つの点であります。
法人税につきましては、新たに
増税する
意味ではございませんが、
前回増税しました
措置を二十七年度におきましても、そのまま踏襲して行く。それから
間接税につきましては、最近まで
減税を重ねて来ましたが、この際
減税は一切行わない。
砂糖につきましてだけは
自由販売になる等の
関係がございますので、
砂糖消費税と
輸入税は若干の
増税を行う、こういう点が
増税または
減税問題に対する
基本的な二十七年度の
考え方でございます。そういう
方針をできるだけ堅持しようという
考えであります。従いまして酒税とか
物品税とかにつきまして、
軽減の
要望もございましたが、
政府としましては一切
軽減をいたさないことにいたす
考えであります。
それから
税制の
制度的な
改正の問題でございますが、この点につきましては二十五年度に
改正しました
現行税制について、いろいろ
民間等におきまして
要望があることも、よく承知いたしておるのでありますが、二十五年度に
改正しました
税制の
基本に触れるような根本的な
改正につきましては、もう少し
状況を見あるいはさらによく検討した上で、
結論を出すということにいたしまして、やはり本年といたしましても、
実施の結果にかんがみまして
実情に即しない点を、
基本を著しくこわさない
限度におきまして、できる限り調整を
考えて行く、こういう
考え方に立
つております。できる限り
実情に即するように、さらに
負担の一層の
軽減をはかるなど、それから
課税の
簡素化をできるだけ努めることにいたしたい。なお資本の蓄積の必要なことは、前々申し上げておる
通りでございまして二十六年度におきましても、これに必要な
措置をいろいろ講じましたが、今回それもでき得る限りさらに
措置を追加または拡充いたしまして、必要な
措置を講ずる、こういう
考え方に立
つておる次第でございます。以上が大体の
基本的な
考え方でございますが、以下各税の
改正の
内容につきまして、お
手元にお配りしました
要綱に基きまして、御
説明申し上げたいと存じます。
まず
所得税でございますが、
所得税につきましては、さきに
臨時特例法によりまして
実施しました
控除と
税率の
改正を、次のように平年度化することにいたしたい。
基礎控除を従来の
税法では三万円、二十六年度は三万八千円に
なつておりますのを五万円に
引上げる。それからこの平年度化するという
意味は、若干問題がございますので、申し上げておきたいと思いますが、
給與所得者の場合は、すでに昨年の十一月から八月にさかのぼ
つて実行したわけでありまして、八月から
基礎控除は五万円ということで
税額が計算されております。従いまして
給與所得者の
月税でございますと、今回の
改正で別段
負担がかわるということはない。ただ
申告所得税の場合でありますと、八月から実行いたしました
関係上、二十六年分の
申告所得税、つまりことしの二月に納期の
最終期限が参りますところの二十六年分の
申告所得税につきましては、
基礎控除は三万八千円に
なつているわけであります。それが二十七年分におきましては五万円に引上がるということになります。
年税の方は今回の
改正によりまして、実質的にやはり
特例法よりも引上がるということになるのでございまして、その点
源泉課税の方と
申告所得税の方と、若干技術的な理由から影響が違うということを御了承願いたいと思います。このことは
ひとり基礎控除だけではございません。
扶養控除及び
税率につきましても、それぞれ同様な
関係になるのでございます。その点特に申し上げておきたいと思います。
扶養控除につきましては、三人まで一人二万円に
引上げる。三人以上は一万五千円すえ置き、これも
前回申し上げたのと同じでございます。それから
税率につきましては、ここに示しておりますように、
最高税率を従来百万円
超過百分の五十五でございましたのを、二百万円
超過百分の五十五に改め、中間の
税率も若干それに応じましてずらしております。すなわち、五万円の
区分をなくしまして、八万円の
区分にいたした。それから十万円をなくして、十二万円にいたしました。十五万円をなくしまして、二十万円を越える
金額にいたしまして、以下順次
税率を上に引延ばすという
方法を講じておる次第でございます。これも
前回申し上げました
税率と同じでございまして、特に申し上げる必要はないかと存じます。
それから
不具者控除、
老年者控除、
寡婦控除及び
勤労学生控除、この
制度は
昭和二十六年度から新しく設けたのでございますが、これにつきましては
前回申し上げました
通り、
改正前一万五千円の
所得控除を、四千円
税額から
控除するという
方法に改めました。これはすでに
臨時特例で出しておりますが、これも平年度化することになります。
それから今回新たに追加しました点は、旧
軍人軍属の
遺家族でありますところの
寡婦及び
老年者、並びに旧
軍人軍属で戦争のために
不具者となられた方々に対しましては、この四千円の
税額控除を、六千円の
税額控除に
引上げるということにいたそうというのでございます。これは今回の
遺家族援護の
趣旨と関連しまして、
所得科におきましても一層の
軽減をはかるという
趣旨でございます。
それから
生命保險料につきましても、二十六年度から新しく
控除の
制度を設けたのでありますが、これを今までは二千円まで
保險料を
控除いたしておりましたのを、四千円に
引上げることにいたしました。この結果、大体
保險金額十万円
程度までの
保險料は、
課税所得から
控除されるということに相なるかと存じます。
次は
青色申告者の問題でありますが、
青色申告者につきましては、さらに一層
優遇措置を講じてもらいたいという
要望が大分ございます。その中に、
一定の
所得金額が出て来た場合には、割引したらどうかという
議論、これは
国会においてもたびたび御
議論があつたと思いますが、そういう
議論がございます。しかしそういう
方法は、どうも私
ども所得税の本旨にかんがみまして適当ではないので、やはり何か
課税標準の計算その他において、合理的に
考えられる
限度において、できるだけ
考えてみたいという
趣旨からいたしまして、今回
青色申告書を提出しました
納税義務者の
家族従業者について、
給與の
控除を認めることにしたらどうか。但し奥さんと未成年の子供は除きまして、それ以外の人の場合におきまして、よそに働きに出ないで、自分の家で働いて仕事をしておる人に
給與の
支拂いを
行つた場合に、これを
事業上の
必要経費と認める。御承知の
通り、
現行法ではそういう
所得は全部
世帶主の
所得と見て、
課税することにいたしております。そのかわり
扶養控除の一万五千円を
所得から
控除いたしておるのでございますが、今回はそれにかえまして、五万円を
限度といたしまして、
給料を
必要経費として
控除する、こういうことにいたしたいと
考えておるのであります。これは
少額の比較的低
所得者であるところの
青色申告者の場合におきましては、相当の恩典になるかと
考えております。
給料五万円以下でございますので、五万円以下で拂う
限度におきましては、
基礎控除が年五万円に上りましたから、
勤労所得税がかからなく
なつて来るわけでございます。従いまして
少額の
事業所得者で
青色申告をした場合におきましては、この
規定によりまして、相当優遇されるという結果になるものと
考えております。
その次は
変動所得に対する
課税の
改正でありますが、この点につきましては、
負担の
軽減をはかるのと、できる限り
簡素化をはかりたいというので、
改正を加えたい。ただこのうち、
譲渡所得等につきましては、全部
課税を見合せたらどうかという
根本論もございましたが、そういう問題は先ほど申し上げましたように、若干二十五年度の
税制改正の
基本に触れて参りますので、今回といたしましては、これは将来に
結論を延ばすことにいたしまして、さしあたりできる限りその
基本に触れない
限度におきまして、
課税の
経減と
簡素化をはかろう、こういう
趣旨でございます。
しかしこれによりましても、
少額の比較的低い
中小の
所得者の場合におきましては、私は相当な
負担の
軽減になるものと
考えるのでございます。その
内容を申し上げますと、まず
退職所得につきましては、これは
所得の性質上、一時
所得の中でも最も
担税力が弱いと
考えられますので、
前回臨時特例法によりましていたしました
措置を、そのまま平年度化することにする。すなわち十五万円をまず
基礎控除いたしまして、
残額を二分の一にして、その二分の一だけに対しまして
税率を別途に適用して、
税額を計算する。これにいたしますと、
源泉課税だけで済まし得る人が大
部分でありまして、
簡素化の上におきましても、総合する煩雑もなくなりますし、非常に
負担の
軽減と、両方の目的を達し得るというふうに
考えております。それから
譲渡所得、
山林所得の一時
所得につきましては、これは十万円の
特別控除を行うことにいたしたい。この種の
所得のうち、
中小の
所得の場合につきましては、
担税力も必ずしも普通の
所得通りではないということも
考えられますし、また一々
少額の取引を
少額の
納税者の場合について、
所得税法のむずかしい
規定によ
つて所得税を計算するということは、なかなか困難である点もありますし、また
税務署等におきましても、小さい部面について
調査の徹底をはかるということも、なかなかこれは問題でございますので、そういう点を考慮いたしまして、特に十万円
程度以下のものにつきましては、
課税しないことにする。十万円を越えます場合におきましては、十万円を
控除しまして
課税しよう、こういう
趣旨であります。これによりまして、
株式の
投資家等の場合におきましても、一年に二、三千株くらい売買する場合におきましては、大体もう
讓渡所得税の問題はなくなるのではないかと見ております。もちろん非常にうまくふやしまして、一株
当り値幅が大きくて、うんと差が多い場合は、そう行きません。これは
一つの目安にすぎませんが、
値幅がどのくらい動きますか、三割前後動いて、それでもうけたような場合、二、三千株まで売買しても、大体
譲渡所得税の問題はなくなる場合が多いだろう。もちろん非常に値上りした場合におきましては、
少額でも十万円の
利益が出る場合もありましよう。反対にもつと大量に売買しても、十万円の
利益が出ない場合もあるかと思いますが、まず頭数から申しまして、大
部分の
株式の
投資家と申しますか、そういう場合におきましては、大体十万円の
控除を設けますと、
譲渡所得税の問題はあまり認めなくてもいいということに相なるのではないかと見ております。しかし
譲渡所得等におきまして、大口の
利益を得たという場合におきましては、何と申しましても、他の
所得者との
負担の
バランス等の
関係もございますし、そこまで全部やりますことはいろいろ
税制上の問題がございますから、その問題は
政府といたしまして将来研究することにいたしまして、今回としましてはこのような
措置にいたしたいという
考えなのでございます。
山林所得の場合におきましても、たとえば
山林所得が二十万円ありますと、十万円を
控除しまして、半額に対して
課税するわけでございますし、これは相当な
負担の
軽減になると
考えております。ただ分離して
課税するということはいたしませんで、やはり十万円
控除した
残額を
課税所得といたしまして、総合して
課税する。総合して
課税する際には、例の五箇年間の五分五乗の
方法によりますところの、
平均課税の
方法を選択することができる。これはもちろん
納税者が必要ないと認めて、選択しなければそれでもさしつかえないわけですが、選択することができる。その五箇年選択します
範囲を四項に掲げておりますが、でき得る限り
簡素化する
意味におきまして、一年間一ぺん五分三乗で計算すればいいというふうに
範囲を拡張いたしたい。現在は二十万円以下の
所得については、一年間で計算することを認めておるのでありますが、今回の場合は、
変動所得の
金額五十万円
程度以下の場合は、一年限り五分三乗の
方法で計算しましたら、毎年五箇年間やる必要がないことにいたしたいと
考えております。ただ
漁業所得とか
原稿料の
所得等、主として
変動所得によりまして、
所得の大
部分を占めるような場合等は、一年限りにいたしますと、他の
所得者との間にあまりにも
負担のアン・
バランスが生じますので、そういう場合におきましては、これはやはり五箇年間の選択を主としていただかなければならぬと
考えておりますが、その場合におきましても、その種の
所得が五割以下でありますれば、一年限りで済ますような
措置をとることにいたしたい。そういう
意味合いにおきまして、できる限り
変動所得につきましては
負担の
軽減と、ことに
中小所得の
負担の
軽減と、それから
課税の簡單化をはかる
改正を加えたい
考えであります。
それから
不動産の
譲渡所得の場合におきまして、
住宅や
農地の場合等は、ある
住宅を売
つて新しい
住宅を買いかえる。あるいは建てる、あるいはある
農地を売りまして他の
農地を買う、こういう場合におきましては、売
つてから買うまでの間が一年以内であります場合におきましては、
譲渡所得税の
課税をしないでおこう。ただそのかわり、
あとで取得しました家をさらに売りました場合におきましては、その
取得原価は、前に売りました家の
取得原価をも
つて原価とするということにしなければおかしいと思いますので、そういうふうにするつもりでございます。同時に
相続の場合に、今みなし
讓渡所得税をと
つておりますが、これも
相続の際には
課税しないでおきまして、
あとで実際売つた際に
課税するということに、あわせて
改正を加えたいと
考えております。その
辺細目でございますので、さらに
法律案を提案いたしました際にこまかく申し上げますが、今申し上げましたような
趣旨で、
改正を加えることにいたしたいと
考えております。
それから次は
源泉課税の問題でございますが、
源泉課税につきましては、一応若干
源泉課税の
範囲を新しく拡張いたしたい。
一つは医師の
社会保險に基く診
療收入、それから
弁護士、
公認会計士等が
法人から受ける
報酬、それから
日本に住んでいない人が受けております
特許権の
使用料、そういうものにつきまして
一定の
税率で
源泉課税をいたしたいと
考えております。診
療收入とか、
弁護士、
公認会計士の
報酬等につきましては一〇%
程度の
税率で、
特許権につきましては二〇%
程度の
税率で源泉徴收することにしたらどうか。なお
特許権の場合に一五%
程度にするかどうか、若干現在なお精査中でありますが、そういうことを新しく設けたい。それから
配当に対しまする
源泉課税は、そのままやはり二〇%続行する
考えでございます。それから
原稿料の二〇%の
税率は、
文士等の場合におきまして少し高過ぎるというような点もあるようでありまして、返す場合がやや多きに過ぎるような傾向がございますので、この
税率を若干引下げたい。しかし何と申しましても、
源泉課税の
範囲を拡張いたしますと、最後に
申告の際に清算するわけでございますが、どうしても納め過ぎるような人が出て来ることになるのであります。そういう人の場合におきまして、なるべく早く返すような
措置を——これは
国税庁の
運用の面に主としてなるのでありますが、法令の
運用においてもできる限り妥当な
措置を講じまして、早く返すようにいたしたい。それによりまして、極力
納税の
円滑化をはかるようにして参りたいと
考えております。昔の
税法は
源泉課税はと
りつぱなし、
申告所得税等は、返す場合は大体
調査が間違
つて誤謬訂正するという場合に返すというのが、昔の
日本の返す場合の
方法であつたのでありますが、戰後の
税制におきましては、全部
源泉課税で一応と
つておきまして、
確定申告で
申告して、少な過ぎる分は追徴するし、それからとり過ぎの分は返すという
制度上、やはり追徴したり還付したりするような
制度に
なつたわけであります。そういう点、
制度といたしまして、特に返すべきものは迅速に返すという
方針で、現在も
国税庁はや
つておられるのでありますが、今後におきましても、そういうことをさらに促進してや
つていただきたいというように
考えているのでございます。
それからその次は租税の二重
課税の防止に関する協定を各国と結ぶつもりでございますが、現在のところアメリカと一応下打合せ中であります。それに関連いたしまして、
日本におきまして生じた
所得に対しましては、できる限り
日本においてまず優先して
課税する。相互に
住所地国で
課税する場合におきましては、
発生地で
課税しました
税額を
控除することによりまして、二重
課税を防ぐようにする。こういう点を
基本的に
考えておるのでございます。
日本の
所得税法は
発生地課税主義の建前に大分近いのでございますが、なお
條文等におきまして不十分な点もございますので、この際
日本におきまして生じた
所得に対しましては、できる限りその
所得者が
日本に
住居所がない場合におきましても、
課税するような
措置を拡張するように、
規定の
改正を行いたいと
考えております。
それからその次は
法人税でございますが、
法人税につきましては、
前回大
部分の
改正をいたしましたので、今回の
改正は
前回の
改正の引続きといたしまして、若干の
改正を行うこととしたにすぎません。
一つは
配当に対しまして
源泉課税を行いますので、その結果赤字で、
法人税額から
源泉課税額を
控除しきれない場合には、やはりこれは還付するということにいたしたいと
考えております。なお公社債、
銀行預金等の
利子等につきましても、現在
源泉課税をや
つて、これはと
りつぱなしでございまして、
法人の場合は返さないことにいたしておりますが、これはやはりとり過ぎましたら返すことに、あわせていたしたいと
考えております。
それからその次は
法人税額の半額を三月
徴收猶予する
制度を、
臨時国会で開いたわけでありますが、日歩四銭の
利子税は少し高過ぎるきらいがございますので、二銭
程度に引下げたい。
相続税の
年賦延納の場合の
利子税も、二銭に引下げておるのでございますが、
法律上当然
徴收猶予を認めるという場合におきましては、若干低い金利が適当ではないかというので、二銭に引下げるつもりであります。
それから次は
相続税でございますが、
相続税につきましては、まず
基礎控除十五万円を三十万円に
引上げたい。これは
相続人一人
ごとでありますので、たとえば四人
相続人がおりますと、
財産をうまくわけますと、百二十万円
程度まで
控除される、こういうことになりまして、相当な
改正だと
考えております。また農家の場合等におきまして、分割がむずかしい点もあるようでございますが、大体現在の
自作農家の場合においては、
農地と
家屋敷を持
つている。それを長男が
相続するというような場合におきましては、大体三十万円の
基礎控除を設けますと、
相続税の問題はなくなるのではないかと
考えております。そういう点を
考えまして、三十万円にいたした次第であります。
それから
保險金につきましては、昨年から十万円の
控除を認めましたが、今後は二十万円に、それを
引上げる。おやじさんが在職中なく
なつて、息子さんが
退職金をもらつたような場合、本人が
退職金をもらわれた場合は
所得税の問題ですが、被
相続人がなく
なつて、
退職金に相当する額をもらつた場合におきましては、
相続税の問題になるわけですが、その際におきましても、やはり二十万円の
特別控除を認める。それから
保險金は
相続人ごとの
控除になりますが、
退職金の方は、これはどうもやはり
相続人一人につき二十万円というのが妥当だという
考え方でありまして、
相続人一人について二十万円の
控除にいたしておるわけであり
ます。
その次は
税率でございますが、
税率につきましては、
最高現在五千万円を越える
ごとに、百分の九十という非常に高率に
なつておりますので、
日本の
実情からいたしますと、やはり少し高過ぎるという点もございますので、一億円を越える場合におきましては、百分の七十の
税率にする。下の方も、二十万円を越える
金額は、百分の三十を二十五に上げる。以下順次
税率の適用を、上にずらせまして、
税負担の
軽減をはかりたい。二十万円以下の場合の
税率の
下げ方が少いのですが、この辺は実は
控除の
引上げによりまして、
大分負担が
軽減になりますので、
税率といたしましては、このような
改正でいいのではないかと
考えております。なお
相続税につきましては、
山林と
不動産が
相続財産の半額以上である場合におきましては、五年の
延納期間を十年に延長する。それから
一般に、
山林不動産ばかりではありません。
一般の
延納を認める場合の
利子税は、四銭を二銭に引下げることにいたしております。なお
相続の場合の
申告及び納付の
期限を、現在四箇月に
なつておりますが、六箇月
程度に延長いたしたい、そのような
改正をはかる
考えでございます。
相続税の
負担が
改正の前後でどうなるかということにつきましては、七ページに
改正前後の
相続税の
負担額調べというものを示しております。これによ
つてごらんになればわかるように、相当
相続税につきましては、
負担の
軽減になるかと
考えておるのでございます。
最後に
砂糖消費税でございますが、
砂糖消費税につきましては、この四月から
砂糖が
自由販売になる予定に
なつておりますので、それに対応いたしまして、
砂糖消費税と
輸入税と、両方で若干の
増税をはかりたい。
砂糖消費税におきましては、約七割
程度の増徴を
考えております。今
税率は、百斤につき千円、つまり一斤十円の
税率に
なつております。それを七円ほど
引上げまして、一斤十七円の
税率にいたしたい。それから
輸入税の方は、今粗糖は一〇%、精製糖が二〇%でございますが、それを粗糖を二〇%に
引上げ、精製糖の方を三五%に
引上げる。両方合せますと、約一斤当り十円強の
税負担の増になるかと思
つております。大体
砂糖の値段は、現在
自由販売のものが一斤百十円ちよつと強、配給が六十八円くらいでございますが、配給がやめになりまして、この税がかかるということになりますと、今の国際相場の動き次第にもよりますが、現在の国際相場から行きますと、八十円前後の値段になりはしないか。それに対しまして、
輸入税と
砂糖消費税を加えまして、二十四円前後の税の
負担になるかと
考えますが、三割くらいの
輸入税と消費税を通じました
砂糖の税の
負担ということになりまして、その
程度でございますれば、まず妥当なところじやないかというふうに
考えておるのであります。なお、この
輸入税を特に
課税することにいたしましたのは、申すまでもなく北海道の甜菜糖並びに黒糖などの、
日本の糖業をできる限り保護しようという点と、
一般に
砂糖消費税及び関税を通じてこのように
増税いたします結果、若干水あめ等に対しましても、ひいてはかんしよ等に対しましても、いい影響があるということも、あわせて
考えておるのであります。
以上大体
改正の
内容について申し上げた次第でございまして、この結果どういうふうになるかということにつきましては、別に予算の
説明という資料で、相当詳細な資料を出しておりますので、それをごらん願いたいと
考える次第でございます。なおそういう点につきましては、将来必要な際に御
説明申し上げてもよろしいかと
考えますが、一応これで
説明を終ります。