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村上政府委員 それでは
提案理由の説明を補足いたしまして、法文の順序に従いまして各
事項ごとの説明を加えたいと思います。なお最初にただいま資料の御要求がいろいろございました。これは仰せの
通り法律は一本でございますが、内容は四十数件にわたる
政令を含んでおりますので、いろいろ御疑問の点も多いかと存じます。御要求の資料はできるだけ早くとりまとめまして、お手元に差上げたいと思い、
事務当局もせつかく努力いたすつもりでございます。なお
税法審議に関連いたします
租税收入の明細は、本日お手元にわたる予定にいたしておりますので、さよう御了承いただきたいと思います。
ただいままでにお手元に差上げました資料といたしましては、
法律案のほかに
活版刷りにいたしました
参照條文及び
新旧対照表というものが差上げてあると思います。これは最初にまず目次がございまして、上段に今回改正いたしました後の新
條文が掲げてあり、下の段に改正前の、つまり現行のものが旧
條文として掲げてあります。
新旧対照でずつと四十数件の
政令、
省令等について内容を掲げてございます。
それから別に
ガリ版で刷りましたもので、
法律案要綱という四、五枚の紙がお手元に行つておると思います。従いまして、ただいまから
法律案、それから
参照條文、要綱、この三つの資料に基きまして、概括的な御説明を申し上げたいと思います。
なおお断りいたしておきたいと存じますが、何分四十数件にわたるものでございますので、非常に詳細な御説明を申し上げますと、時間の
関係等でかえつて最初にごたごたいたすかと存じますので、大体
改正法律案の逐條の順序に従いまして、各
政令につきまして概括的な御説明を申し上げる、かような順序にいたしたいと思います。
まず
法律案の方を見ていただきます。その前にいわゆる
ポツ政全体について多少補足的な説明をさしていただきますと、これは十分御承知のことでございますが、昭和二十年勅令五百四十二号という、旧憲法に基きます
緊急勅令を根拠といたしまして発せられました
勅令——その後名前がかわりまして
政令でございますが、
政令にして
法律と同様の効力を有するという、いわば一種特殊の
政令でございます。各省を通計いたしまして、発せられましたいわゆる
ポツ政は二百九十件以上に上ると聞いておりますが、この数字は必ずしも正確でございません。そのうち
大蔵省の関係が約五十件くらいございます。しこうしてその根拠は、これも御承知でありますが、スキヤツプ・イン、あるいは
メモランダムという、いずれも文書によりまする
連合軍司令部の
命令、
指令等を具体的な根拠として発せられましたものでございます。
講和條約の発効後これらのものを整理いたす必要があることは、これは私から申し上げる必要もございませんが、ただこれを全面的に廃止するというようなことは、実体を見ますとなかなか一挙にできかねるのでございまして、講和後の日本の状態から考えましても、この法令の内容によりましては、その実体を存置する必要のあるものが多少あるわけでございます。これらのものにつきましては、今回国会の御審議を経て、
法律としての効力を存置させたいという趣旨のものが含まつております。
その内容を分析いたしますと、この
参照條文の最初の目次のところをおあけいただくとわかりやすいと思います。そこで三つの部分にわけてございます。第一が
改正存続命令関係、それが
改正條文で申し上げますと第一條ないし第七條でございます。第二の
グループは、
存続命令関係、これは法文の第八條でございますが、
命令全体あるいは
命令のある規定を改正することなしに、そのまま存置させるものがこの
グループでございます。それから最後に第三の
グループといたしまして、
廃止命令関係、これは法文で申し上げますと九條ないし十三條の関係でございますが、これはこれらのものを今回廃止してしまうという
グループでございます。それに十四條が加わりまして、法文としては全体で十四條、それに附則が別に加わつておりますが、全体は十四條の法文でございます。各省を通じまする
ポツ政令、
ポツ省令の整理の措置といたしましては、当初は、これを内閣で一括して、各省にわたるものを全部を通じて整理したらどうか、というような意向も多少あつたのでございますが、こういたしますと非常に厖大な
法律案になりますし、また
関係方面との
折衝等、相当時間を要することとなりますので、建前としましては、
各省別に、所管の
ポツ政についてそれぞれ別の
法律をもつて整理するという取扱いにいたしました。なお
大蔵省関係は五十件近くございますが、そのうち今回対象といたしておりますのは四十一件でございます。あと四
政令につきましては、別途別の
法律案をもつて、今国会で御審議を仰ぎたいと思つております。この点は
先ほど提案理由の説明の中に申し述べた通りでございます。
次に内容に入りますが、三つの
グループにわかれることは先ほど申し上げた通りでございますが、
参照條文の
新旧対照表の目次で、ずつと通覧していただきますと、内容は種々雑多でございますが、
大蔵省所管行政に関係ある
政令、
省令等でございまして、その内容のおもなるものは、日本の商社が旧領土あるいは外国において
経済活動をいたしておりました、その
跡始末の整理のための
政令が相当ございます。また
日本国内において
外国商社——これにはわけて申し上げますと、いわゆる
連合国の系統のものと、
枢軸国の系統のものと両方あると思いますが、それの
経済活動の整理、
跡始末、それから通貨、
為替そういつた所管行政に関係ある
政令、その次には
大蔵大臣が
国庫大臣である関係から、たとえば軍人に対する給与の返還でございますとか、あるいはいわゆる
賜金公債でございますとか、あるいは
臨軍会計の
跡始末でございますとか、新しいところではいわゆる
学校給食に関しまする
ポツダム政令といつたようなものも、内容として含まつております。
そこでこの
法律案の第一條をごらんいただきたいと思いますが、第一條は、
閉鎖機関令の一部改正でございます。
閉鎖機関と申しますものは、これはすでに御承知かと存じますが、
新旧対照表の第一ページ、ここに定義がありますので、これをごらんいただきたいと思いますが、旧
條文で申しますと、「この勅令において
閉鎖機関とは、
連合国最高司令官の要求に基き、その本邦内における業務を停止し、その本邦内にある財産の清算をなすべきものとして
大蔵大臣及びその業務に係る行政の
所管大臣の指定する法人その他の団体をいう。」というふうになつております。たとえて申し上げた方が早いかと思いますが、いわゆる
在外関係のものとしては、満鉄、
台湾銀行、
朝鮮銀行、
北支開発といつた在外にありましたその種の会社が、全部これに含まれます。それから
統制機関といたしまして、たとえば
中央水産業会、あるいは
中央食糧営団といつたような、全国的な
統制機関が
閉鎖機関の一つの
グループでございます。なおその下部の機構といたしまして、
県單位の
食糧営団というようなものも、いわゆる
閉鎖機関の
グループに入ります。かような機関につきまして、その業務を停止し、その財産の清算をすみやかにいたしたいというのが、そもそも
閉鎖機関令の趣旨でございますが、現在までに
閉鎖機関として指定いたしましたものの総数は、これはいずれ資料で差上げるつもりでございますが、千八十八に上つております。そのうち指定を解除されましたものは一件でございます。そこで指定が継続いたしておりました千八十七の
そういつた機関につきまして、昨年十月末現在におきまして、すでに
清算事務を終了いたしましたものが五百二十九件に及んでおります。従いまして残りましたものが五百五十八件あるわけでございますが、このうち——これは
見込みでございますので、多少推定が入りますが、間もなく
清算事務が終了できるという
見込みのものが二百六十件ばかりございます。それからあとの三百件くらいは、最終的に清算が終了するまでには、なお相当期間を要するかというものでございます。これは主として
在外関係の、たとえば
台湾銀行、
朝鮮銀行といつたものの
グループが、最終的な整理までには相当時間を要するというものでございます。
そこで
閉鎖機関令につきます今度の改正の要点でございますが、
ガリ版で要綱が差上げてございますから、これをごらんいただきたいと思います。「
閉鎖機関令」とあつて、その下の「
閉鎖機関の
特殊整理の現況にかんがみ、
閉鎖機関の
指定日前に
行つた行為に対する取消の制度に関する規定その他不要となつた規定を削除する」というのが改正の第一点であります。その次の「
平和條約の
効力発生に伴う規定の整理を行う。」というのが第二点であります。要するにこの
閉鎖機関令が制定されました趣旨は、先ほど簡單に申し上げましたが、その実体は、今後といえども
清算事務のおおむね終了するまで、継続する必要があるのでありますが、ただいま要綱で申し上げました二点につきましては、少くともこの際改正をいたしたいといのうが、今回の改正の趣旨でございます。
逐條で申し上げますと、第一條第一項中「
連合国最高司令官の要求に基き」とありますのを削る。これはかようなものがなくなるので、これは当然の字句の修正でございます。
それから「第二條を削り、第一條の二を第二條とする。」として
條文を繰上げておりますのは、番号の整理でございますが、第二條を削つております。これは
参照條文の一ページをごらんいただきたいと思いますが、この内容は、
閉鎖機関に指定されました場合に、その
営業所の店舗につきましてとびらを封鎖する。あるいは機関たることを明示する。そのために要すれば
警察官吏の援助を求めるというような規定でございまして、当時としてはあるいは必要があつたかもしれませんが、今となりましてはまつたく必要のない規定でございますので、今回これを削除いたしたいと存じます。
次に「第五條第六項を削る。」という規定でございますが、これは
参照條文の第二ページをごらんいただきたいと思います。そこに傍線を引いてございますところが改正の箇所でございますが、
閉鎖機関の元の役員は、第五條第一項によりまして
閉鎖機関に指定されますと同時に、解任されたことになるわけであります。そこでそれを受けまして第六項におきまして、それらの者は
指定日以後は
閉鎖機関の
営業所、店舗に出入りできないという規定があつたわけでございます。これも当初といたしましてはあるいは理由があつたかと存じますが、今となりましては全然その必要もございませんし、またその規定のいたし方が非常に強権的な色彩が強いものでございますから、削りたいと思います。
それから第十八條の二は
参照條文の二ページの終りごろでございますが、これを削除いたしております。この規定の趣旨は、
閉鎖機関の債権というものは「他の法例にかかわらず」とございますので、他の各種の債権に優先して弁済を受けるという規定でございまして、たとえば
徴税権にすら優先するという規定でございます。これは
閉鎖機関の債権を確保したいという趣旨に出たものでございますが、適用の例もございませんし、またその実体につきましてもいささか強過ぎる規定でございますので、これを削除いたしたいと存じます。
それから法文の方に参ります。「第十九條第一項中「
連合国最高司令官の要求に基き」を削る。」というのは、最初第一條について申し上げましたと同様の趣旨でございます。それから「第十九條の八から第十九條の二十四までを削る。」とございます。これは
参照條文の三ページから四、五、六、十、八ページにわたる相当長い
條文でございますが、まず十九條の八から二十四までの規定の趣旨を申し上げますと、これは
閉鎖機関が
閉鎖機関に指定されます前にいたしました
経済行為につきまして、
閉鎖機関委員会という監督機関が取消し得るという趣旨を規定いたしました。その取消しの手続あるいは効力、またこれに対します異議の申立、調査、聽聞会、さらに
大蔵大臣への不服の申立、裁判所への出訴というような各種の段階につきまして所要の規定を設けておるわけでありまして、この趣旨も、
閉鎖機関が経済的にその債権者を害する行為をしております場合、またはその結果を招来するような行為をしておりました場合に、債権者保護のためにそれを取消し得るという規定があつたわけであります。ただ取消しました結果、不当な取消しが行われると、これはまた逆に困るわけでございますので、それに対する異議の申立、聽聞会あるいは不服の申立、出訴というような各種の抗弁の段階を設けておつたわけでございます。ところがこれは十九條の二十二をごらんいただきたいと思いますが、これは「
指定日から一年間これを行わないときは、時効により消滅する。行為の日から三年を経過したときも、又同様とする。」ということで、すでに最初申し上げましたたくさんの
閉鎖機関につきましては、この時効の期間が経過しておるわけでありまして、実際適用の必要はすでになくなつておるわけであります。従いまして実体の必要がすでに解消しておるということから、今回これを削除いたしたいと思います。
それから法案の方の二ページ「第二十條第三項を削る。」という規定がございます。これは
参照條文の九ページでございます。この規定の趣旨は、
閉鎖機関につきまして、一ぺん指定いたしまして、あとで指定の解除が行われました場合には、かつて行いましたところの封印を解除するという規定でございますが、これは前に封印の点につきまして削除いたしましたので、当然のこととしてこれも削除いたしたいと存じます。
それから「第二十四條を削り、第二十三條の二を第二十四條とする。」第二十四條は、これは
参照條文の九ページにございますが、封印の場合、当該官吏は身分証明書の携行を要するという規定でございます。これは実体の封印の方を削りましたので、当然これもいらなくなる規定と存じます。二十三條の二を二十四條とする。これも
條文整理で番号を繰上げたわけでございます。
なおその次に、「第二十九條の二中左の各号」云々、そこからずつと終りの「第三十二條中第二十九條の二」云々、そこまでは、ただいままで申し上げましたような実体の改正に伴いまして罰則規定を整備したものでございます。こまごまいたしますので、それぞれの項につきましての説明は、省略させていただきたいと思います。
次に、法案の第二條でございます。これは見出しに書いてございますように、
閉鎖機関整理委員会令の一部改正をいたしたいという趣旨でございます。
閉鎖機関整理委員会と申しますものは、これはあらためて申し述べる必要はございませんが、実体の
閉鎖機関令を受けまして、その実施機関、実行機関として置かれました機関でございます。委員とその下の事務職員からなつております。ところが大体
閉鎖機関につきましては、前に申し述べましたように、大部分につきましては、その整理、清算の目的を達しましたので、二十七年度におきましては、なるべく早い機会に解散いたしたいと予定いたしておりますが、ここに改正に出て参りますのは、むしろ技術的な改正が多いかと存じます。
第二條第一項でございますが、「第十四條中「昭和二十一年勅令第五百六十七号(会社の
証券保有制限等に関する勅令)第十一條及び」を削る。」とございます。これは
参照條文第十ページにございます。これはあとで出て参りますが、会社の
証券保有制限等に関する勅令という勅令は、今回のこの
法律で廃止を予定いたしております。従いましてここで引用いたしておりますので、当然削除すべきかと存じます。
それから「第十六條第二項を削る。」これは
参照條文の十一ページの初めの方にございますが、聽聞会の経費に関する規定でございます。これは前に申し述べました通り、聽聞会の規定は
閉鎖機関令の方で削除になります。
従つてこれも当然削除すべきかと存じます。予算も二十七年度予算では計上いたしておりません。
それから「第二十條を次のように改める。」これを
参照條文の十一ページをごらんいただけばおわかりやすいかと存じますが、現在の
政令におきましては、整理
委員会は、目的の達成によつて解散するという規定になつております。ところが具体的に目的達成の時期はいつであるかということは、認定の問題が一つあるのでございまして、嚴密に解しますれば、全部の
閉鎖機関が完全に
清算事務を終了した目というようにも解釈できますが、そういたしますと、特殊な
閉鎖機関が清算が長引くという場合には、大部分の仕事を終つていながら解散ができないということにも考えられますので、
大蔵大臣の
命令によつて解散するというふうに、修正いたしたいと考えた次第であります。なお全部の清算が完全に終了いたしません場合に、
委員会が解散する場合におきましては、残務のやり方といたしましては、
大蔵大臣の指定する清算人が残務を担当するという方式を考えております。
それから次の行でございますが、「第二十二條を削り、第二十三條を」云々とありますのは、これは第二十二條は罰則の関係、あとは
條文整理の関係でございます。実体に大した関係ございません。
それから法案の方の第三條に参りますが、これはそこに見出しがございますように
閉鎖機関に関する債権の時効等の特例に関する
政令の一部改正でございます。これは
参照條文としましては、十二ページの初めにございますが、この勅令の趣旨は、
閉鎖機関の債権または
閉鎖機関に対する債権につきましては、時効が普通の法令の規定によりましてすでに切れておるものにつきましても、それは切れ五かつたということにいたしまして、債権債務を完全に清算したいというのが、この
政令全体の趣旨であります。
第三條は十二ページの下にございますが、印度支那銀行、日仏銀行及び中国銀行、これらのものの債権につきまして、その規定を準用しておつたわけでございますが、これら三銀行につきまして、その実体の整理がすでに終了いたしましたので、今後存置の実益がなくなりましたので削りたいと存じます。
それから第四條、旧
日本占領地域に本店を有する会社の本邦内にある財産の整理に関する
政令の一部改正、これはいわゆる在外会社でございます。在外会社の
政令の本来の趣旨、これはあらためて申し上げる必要もないかと存じますが、在外会社の国内にある財産につきまして、その債権債務をなるべく早く清算いたしたい。但しその場合在外にある資産がございますので、かりに在外資産の方で負債を生ずるようならば、その見合いに対する資産だけを残しまして、残余のものにつきまして急速に清算いたしたいというのが、この
政令の本来の趣旨でございます。そこで今回の改正は「第一條及び第二條第一項第一号中「
連合国最高司令官の要求に基き、」を削る。」これは前に述べましたが、当然のことだと存じます。
それから「第二十五條第四項及び第五項を削り、」とございますが、これは会社の証券保有制限に関する
政令というものを引用しておるわけでございます。その保有制限の
政令が今回廃止されますので、それに伴いましてこちらも
條文いたしたわけであります。「同條第六項を同條第四項とする。」これは候文の繰上げ整理であります。
それから「第三十四條の三第四項中「
法律」を「別に
法律」に改める。」これも字句の整理でありますが、
政令が今回の本法によりまして、
法律たるの効果を有するに至りますので、「「別に
法律」に改める。」というふうな字句の整理をいたしたわけであります。
次に第五條でございますが、
国外居住外国人等に対する債務の弁済のためにする供託の特例に関する
政令の一部改正、これは
参照條文の方でごらんになりますと十四ページにございます。この
政令のもともとの要旨を申し上げますと、日本国外におります
外国人の債権——その債務者が
日本国内におるわけでございますが、その債権のために供託をいたします場合、相手方がおりませんので、その場所、それから手続あるいは時効の期間、また
供託物の
還付請求をいたしますが、その手続等について特例を設けるのが、この
政令の趣旨でございます。今回の改正の要旨を申し上げますと、いままでかような特例を設けて参つたのでございますが、
講和條約発効後におきましては、原則としてこういつた例外的措置を廃止したいというのが、今回の改正の趣旨でございます。そこで
條文をごらんいただきますと「第一條中」とありまして、ずつとごたごたとなつておりますが、この趣旨はただいま申し上げましたように、一般的にはかかる特例は廃止したい。但し、括弧の中に入つておりますいわゆる在外会社に関する債務、それからドイツ財産管理令、これは
参照條文の方でごらんいただくとおわかりいただけると思いますが、その二つにつきましては、例外的に特例の措置を存置したいというのが、今回の改正の趣旨であります。
それからその次の「第七條中「別に」を削る。」これは字句整理でございます。
それから第九條、これを削除いたしております。これは
参照條文の方の資料で申しますと、十五ページから十六ページにかけまして規定がございますが、供託されましたものを債権者が
還付請求をいたします場合、従来は
占領下でございますので特殊な形といたしましてその間に外国の使節団が、いわば俗な言葉で申し上げますと仲介する、委任を受けてその請求に当るというような規定が入つておつたわけでございますが、これを削りまして、最初申し上げたような趣旨に、債権者本人が請求するというような建前に直したいと存じます。その趣旨の改正でございます。
それから以下「第十二條中「附則第四項」を「附則第三項」に改める。」これは番号整理でございます。
それから「第十三條中「(昭和二十四年
政令第二百九十一号)」を削る。」とあります。これは在外会社の
政令でございますが、これを今回改正しておりますので、それに伴う字句整理でございます。
それから十四條、これは罰則規定でございますが、本令の九條を改正いたしました結果として当然の字句整理かと存じます。
それから法文の方の六ページに参ります。「附則第二項から附則第五項までを次のように改める。」とございますが、そのうち上にアラビア数字で2、3と番号がついてございますが、これは実体に影響はございません。法文の番号整理、字句修正でございます。
それから第六條、これはそこに見出しがございますが、
国外居住外国人等に対する債務の弁済のためにする供託の特例に関する
政令の一部改正、これは今申し上げました通り五條の内容でございますが、それに伴う
経過規定を設けております。これは多少ごたごた書いてございますが、その趣旨を申し上げますと、今説明申し上げましたように
供託物の供託、それからそれの
還付請求につきまして特例的な規定が入つておりましたのを、今回削除するわけでございますが、旧令に基いて行われました効力を規定するのは、実体をひつくり返すことになりますので、その効力をそのまま認めるという趣旨を、ここに規定しておるわけでございます。
それから第七條に参ります。第七條は日本証券取引所の有価証券売買取引事業特別会計に属する財産の管理に関する件の一部改正でございます。これは
参照條文の方は第十八ページでございます。これは
政令でございませんで、ポツダム省令という特殊な形をとつております。この省令の本来の趣旨を簡單に申し上げますと、これは戰時中政府が株式の売買を操作しておつたのでございます。そのための收支を取引所の中の特別会計として整理しておりましたわけでございます。これにつきまして清算を進めて参つておるわけでございますが、今回の改正は、そこの十八ページの
新旧対照でごらんいただきたいのでございますが、「
閉鎖機関整理委員会が、これを管理する。」というふうになつておつたのでございますが、
閉鎖機関自体につきまして、なるべく早い機会に
閉鎖機関を解散したいというような考えも持つておりますので、これは「
大蔵大臣の選任する清算人」というふうに改めたいと存じます。
第二條の改正も同様の趣旨でございます。
それから第三條は、「司法大臣」というふうな文句がいまだに残つておりますので、この際ついでに改正したいという趣旨でございます。
以上が内容を改正いたしまして
法律として存続したいという
政令でございますが、なおこの種のものとしては、
先ほど提案理由の中でちよつと触れましたように、
連合国財産の
返還等に関する
政令そのほかドイツ財産管理令、
連合国財産である株式の回復に関する
政令、
連合国財産上の家屋等の譲渡に関する
政令、この四本が同様の趣旨で改正存続を要するものでございますが、これは準備の進捗の関係上、便宜別の
法律にいたしまして御審議を仰ぎたいと存じております。
八條は将来
命令そのものあるいは
命令のある規定をそのまま存続させたいというものを列記してございます。そこでこの内容はいろいろ差異がございますが、大別して申し上げますと、内容がそのまま
講和條約発効後においても残つておるもの、たとえば特別調達資金設置令というようなものは、現にこれによつて運用されておりますが、なお先のことは明確にわかりませんが、今後といえどもこういつた運用の方法が、引続き行われるのではないかというふうに予想もされます。そういつたものは
政令の全部を残しております。またたとえば第一番目にございますが、明治三十九年
法律云々という勅令でございますが、これは附則の第六項だけを残しております。たとえば附則の第六項と申しますものは、資料の二十一ページにございますが、「本令施行ノ際現ニ国ニ於テ神社ノ用ニ供シ又ハ供スルモノト決定シタル公用財産ハ之ヲ従来ヨリ引続キ神社ノ用ニ供スル雑種財産ト看做ス」この規定だけを存続させるわけであります。従いましてこういうふうに一部存続させるものは、一々申し上げませんが、たとえば今申し上げましたような、この規定の中に国有財産に関連する規定を設けておる、その規定だけは残したいというようなもの、あるいは罰則は残したいというようなもの、こういつたものはいずれも当該規定だけを布置することといたしております。これは各件ごとに御説明申し上げますと、非常にごたごたいたしますので、
参照條文につきまして当該規定をごらんいただくことにして、省略させていただきたいと思います。
それから第九條でございます。これは條約発効後廃止する
命令を、二十二あつたと思いますが、一指列挙してございます。これにつきましても、各
政令ごとにそれぞれ内容を申し上げたいのでございますが、相当長時間を要すると思いますので、別の機会に讓らせていただきまして、本席では省略させていただきたいと思います。
なお
参照條文の方でちよつと申し上げておきますが、廃止いたします
政令等は、
参照條文の三十七ページ以下にいずれも全文を掲げてございますので、御参考にごらんになつていただきたいと思います。
法文の方の十條は、第九條に廃止する
政令を列記してございますが、それに伴いまして若干の
経過規定を要するものにつきましての規定を設けております。まずその十條は、旧
臨時軍事費特別会計、いわゆる臨軍特別会計の措置でございますが、これは
参照條文の三十七ページにその勅令が出ております。これはたびたび決算
委員会において御指摘を受けまして、なぜ早く整理しないか、なぜ一般会計に入れてしまわないかという、実はおしかりをこうむつておる会計でございますが、その三十七ページに掲げてございます勅令の本旨によりますと、二十一年二月二十八日をもつて終結する、そうしてその残余財産負債は一般会計に入れる、なおその後本来臨軍特別会計に帰属すべき收入支出があつた場合には、それを年度ごとに一般会計に整理するというふうな規定の趣旨があるのでございますが、これが実はその通り整理ができませんで、今日に及んでおるのであります。この理由としては決算
委員会においてたびたび御説明申し上げておりますが、まず旧外地特別会計との関係、たとえば朝鮮総督府特別会計、台湾総督府特別会計あるいは樺太庁特別会計といつたような旧外地特別会計との收入支出の整理と申しますか、今後の成り行きが確定いたしませんためにきめがたい。それから外地金庫、南発とかいつたような特殊な金庫との関係、これはいわゆる
閉鎖機関でございますが、そういつたものとの債権債務の関係が、これまた確定いたしがたい。なおまたこまかい事項としては、たとえば野戰郵便局で受入れました郵便貯金、こういつたものを臨軍の負担にするかしないかというような問題がございます。そういつたいろいろ外の
閉鎖機関というようなもの、あるいは外地会計との関係におきまして、臨軍だけを先に完全に清算するということがいたしがたい実態でございますので、今日まで一般会計に完全に入れてしまうということをいたしませんで、決算の場合には一般会計の方に、いわば外書きのかつこうで、そのときまでに整理のつきました收入支出を計上して、特掲してあるというような形にしてございます。この
條文はその実態をそのまま受けておるわけでございまして、「二十五年度以降において收納又は支出若しくは支払の判明した金額については、当分の間、これを旧
臨時軍事費特別会計分として別途に整理し、据え置くものとする。」というのは、一般会計に完全に一体としないで、別に特掲して個々に整理しておくという意味でございます。
それから第二項は国会への決算書の提出関係を規定してございますが、ただその括弧書きのところに、「旧
臨時軍事費特別会計の終結に関する件第三條第二項の規定による整理金額を含む。」というような規定が入つております。これは第一項が二十五年度から適用することになつておりますので、二十四年度、二十三年度、二十二年度の分はどうするのだという問題があるわけでございます。そこでそれらのものを含めまして、同様の整理をするという趣旨をここに規定しておるわけでございます。要するにこの十條は、一括いたしまして本来の昭和二十一年に出ました勅令の趣旨通りの整理ができがたい実情をもちまして、今日に及んでおる
臨軍会計を、しばらくそのままのかつこうで持つて行きたい。しかし勅令はもはや條約発効後効力を失いますので、ここにあらためて
法律としての御審議をいただきたい、かような趣旨でございます。
なお先に飛んで恐縮でございますが、この
條文に関連がありますので、法文の方の附則一項をごらんいただきたいと思います。「この
法律は、日本国との
平和條約の最初の
効力発生の日から施行する。」これが全部を通ずる原則でございますが、但し、第九條第二号、これは臨軍の整理に関する勅令を廃止するという該当の規定でございます。それから第十條が今御説明した
経過規定の内容でございますが、この規定は公布の日から施行する。それから「第十條の規定は、昭和二十五年度以降の旧
臨時軍事費特別会計所属の歳入金又は歳出金の整理について適用する。」というふうに、ここだけは適用実施の日を繰上げております。これは実態が二十二年度から継続する事柄でありますので、法文上は二十五年度という規定でございますが、実態はその十條の二項の括弧書きの規定によりましてその前からかような整理をいたしたい、なお公布の日から施行するといたしておりますのは、実態が遡及いたしておりますので、さかのぼる期間を少しでも短かくしたいというような趣旨から、かような規定になつておるわけでございます。
それから第十一條、これは法文の十五ページでございますが、これも非常にごたごたした規定で恐縮でございます。簡單に要旨を申し述べますと、いわゆる独禁法という
法律がございまして、会社の株式取得をある程度制限しておるわけでございますが、
大蔵大臣の許可を得て株を所有しておる場合がございます。そのすでに所有しておるものの効力を存置させたい。十一條の冒頭にございます旧会社の
証券保有制限等に関する勅令、これは今度本法によりまして廃止するわけでございますが、その勅令の規定によりまして、独禁法の例外として、会社が株を保有しておる場合、それをさかのぼつて効力をなくすのは酷でございますので、その効力だけは存置する。これが十一條の趣旨でございます。
それから十二條は、これは一項、二項ともにある特定の会社に関する措置でございますが、これの基本となります実体の政令は、九條に列記してございます。たとえば帝国製糸会社、これは九條の五号、「ジエー・アンド・ピー・コウツ・リミテツドに対する財産の返還に関する政令」この中にこの種の規定が入つておるわけであります。それから富士紡績、これは同様第九條の五号、この
政令の中に入つております。そこで実体の
政令を今回廃止いたしますので、経過措置といたしまして、この課税に関する規定だけは、ここに特掲いたしまして、従前の例によるというふうにいたしたわけでございます。
それから十三條、これは罰則に関します規定でございますが、廃止それから改正いたします
政令の有効期間に行われました行為について、罰則は前の例によるという規定でございます。
十四條、これは特に御説明の必要はないかと思います。
附則の第一項、これは先ほど御説明を申し上げました通りでございます。附則の第二項は、
大蔵省設置法を一部修正しておりますが、これは
参照條文の一番終り、六十九ページをごらんいただきたいと思います。実体の修正は、第四條五十号を削るということでございまして「通貨の製造工場を管理及び監督すること。」という規定が、
大蔵省の外局でございます印刷庁の権限として規定がございます。この内容は、これは資料の六十一ページだつたかと思いますが「通貨等製造工場管理規則」という
大蔵省令が出ております。その内容は、政府が通貨の製造のため、必要があります場合には、印刷工場それから製紙工場等を強権をもつて管理できるという規定でございます。この規則は現実に発動いたしまして、十九工場くらいに適用いたしまして今日に及んでおります。しかしながら今後におきましては、かかる強権的措置は必要がなくなるはずでございます。かりに実体につきましてある程度そういう必要がありといたしますれば、司法上の契約に基いて行えば事足りるのでございます。そこで法文の第九條の第十一号、ページで申しますと十二ページ「通貨等製造工場管理規則」というものは廃止することに予定いたしております。従いましてそのための権限を規定いたしました印刷庁の通貨の製造工場を管理及び監督することという規定は、当然必要がなくなるわけでございますので、これを削除いたしたいという趣旨でございます。
その他五十條、五十三條等がございますが、これはいずれも同様の趣旨のためにあります
條文の逐次整理でございます。
以上大ざつぱに素通りいたしまして非常に恐縮でございましたが、大体
條文を追つて御説明いたしたのでございます。なお各個の
政令等につきましては、説明を省略いたしました部分もございますので、御指摘あるいは御質問に応じまして、逐次説明を加えさしていただきたいと思います。