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1952-06-20 第13回国会 衆議院 水産委員会 第46号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年六月二十日(金曜日)     午前十時四十六分開議  出席委員    委員長 川村 善八郎君    理事 小高 熹郎君 理事 田口長治郎君    理事 永田  節君 理事 林  好次君    理事 佐竹 新市君       石原 圓吉君    冨永格五郎君       二階堂 進君    平井 義一君       松田 鐵藏君    小松 勇次君       水野彦治郎君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 村上 義一君  出席政府委員         運輸事務官         (海運局長)  岡田 修一君         運 輸 技 官         (船舶局長)  甘利 昂一君  委員外出席者         農林事務官         (水産庁漁政部         長)      伊東 正義君         農 林 技 官         (水産庁生産部         漁船課長)   高木  淳君         專  門  員 杉浦 保吉君         專  門  員 徳久 三種君     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  漁業損害補償に関する件  漁船建造に関する件  水産業の電化に関する件   請 願  一 青島漁港拡充整備促進請願川野芳滿君    紹介)(第一〇一号)  二 水産業協同組合法の一部改正に関する請願    (鈴木善幸紹介)(第一七四号)  三 大槌漁港修築工事促進請願鈴木善幸君    紹介)(第一七五号)  四 小浜漁港修築工事促進請願鈴木善幸君    紹介)(第一七六号)  五 高家漁港災害復旧工事施行請願鈴木善    幸君紹介)(第一七七号)  六 崎浜漁港修築工事促進請願鈴木善幸君    紹介)(第一七八号)  七 漁港整備促進に関する請願鈴木善幸君紹    介)(第一七九号)  八 泊村に船入ま築設の請願冨永格五郎君紹    介)(第二八七号)  九 吉岡漁港拡張等請願冨永格五郎君紹    介)(第二八八号) 一〇 奧戸漁港に船だまり工事施行請願山崎    岩男君紹介)(第三〇八号) 一一 富来漁港を第四種に指定請願南好雄君    紹介)(第三〇九号) 一二 元地漁港を第四種に指定請願玉置信一    君紹介)(第三六〇号) 一三 小泊漁港修築拡張工事施行請願山崎岩    男君紹介)(第四九八号) 一四 佐世保湾内夜間漁業禁止及び障害物被害に    よる損害補償請願田口長治郎紹介)    (第五三四号) 一五 北洋漁業再開に関する請願川村善八郎君    紹介)(第六五二号) 一六 八重根漁港設促進請願川村善八郎君    紹介)(第六五三号) 一七 アミラン漁網購入費国庫補助請願(水谷    昇君紹介)(第六五四号) 一八 農林漁業組合再建整備法の一部改正に関す    る請願田口長治郎紹介)(第六五五    号) 一九 漁場最上開発促進請願上林與市郎君    紹介)(第七八四号) 二〇 漁業用資材に対する補給金制度復活請願    (上林與市郎紹介)(第七八五号) 二一 さけ人工ふ化場国営化に関する請願上林    與市郎紹介)(第七八六号) 二二 名護漁港船だまり工事施行請願(尾崎末    吉君紹介)(第八五九号) 二三 関内部落漁港築設の請願冨永格五郎君    紹介)(第九一六号) 二四 宮野部落船入ま築設の請願冨永格五郎    君紹介)(第九一七号) 二五 小型機船底びき網漁業整理者救済対策    確立に関する請願田口長治郎紹介)(    第九一八号) 二六 山臼漁港設促進に関する請願林好次君    紹介)(第一〇七五号) 二七 網代漁港拡張に関する請願畠山鶴吉君紹    介)(第一一七二号) 二八 北千島たら釣漁業者北洋出漁に関する請    願(冨永格五郎紹介)(第一二一一号) 二九 漁船保険制度改革に関する請願冨永格五    郎君紹介)(第一五〇〇号) 三〇 水産煉製品鮮度保持のため研究機関拡充    に関する請願(上林山榮吉紹介)(第一    五〇一号) 三一 十勝沖地震による水産施設被害救済に関    する請願(佐々木更三君紹介)(第一八七    一号) 三二 昭和二十六年十月の台風による漁業災害の    復旧資金の融通に関する特別措置法損失    補助限度引上げ請願岩川與助紹介)    (第一九〇八号) 三三 厚内漁港修築工事継続実施請願高倉定    助君紹介)(第一九三二号) 三四 香深村に北方魚田開発策源地としての諸    施設実現並びに魚田調査に関する請願(玉    置信一君紹介)(第二〇六六号) 三五 瀬戸内海水産開発法制定に関する請願(川    端佳夫君外十二名紹介)(第二一二七号) 三六 西部瀬戸内海における大型底びき網漁業の    違反操業防止のため漁礁沈下費国庫補助に    関する請願木村榮君外二名紹介)(第二    一二八号) 三七 五勝手漁港を第一種に指定請願冨永格    五郎紹介)(第二一七四号) 三八 赤崎浦漁港築設の請願(上林山榮吉君紹    介)(第二三四五号) 三九 網代漁港修築工事促進請願小松勇次君    紹介)(第二三六〇号) 四〇 網代漁港を第三種に指定請願小松勇次    君紹介)(第二三六一号) 四一 十勝沖地震による水産施設被害救済に関    する請願小澤佐重喜紹介)(第二四一    一号) 四二 柳津町、飯野川地内北上川の魚てい改善    に関する請願小澤佐重喜紹介)(第二    四一二号) 四三 島根県に水産業改良普及技術員設置及び国    庫補助請願山本利壽紹介)(第二四    一三号) 四四 中型旋網漁業操業区域越佐海峡拡張反    対等の請願小林進紹介)(第二四八〇    号) 四五 瀬戸内海水産開発法制定に関する請願(川    西清紹介)(第二五一八号) 四六 枕崎漁港防波堤災害復旧に関する請願(上    林山榮吉紹介)(第二五五二号) 四七 名田村地中内楠井防波堤災害復旧に関する    請願田渕光一紹介)(第二五五三号) 四八 だ捕漁船、船主及び船員に    対する国家補償等に関する請願田口長治    郎君外二名紹介)(第二六四七号) 四九 雄島村に漁港築設の請願奧村又十郎君紹    介)(第二六七〇号) 五〇 漁港修築費予算増額に関する請願田口長    治郎君紹介)(第二七一四号) 五一 伊予灘海域における漁業取締及び水産振興    等に関する請願關谷勝利紹介)(第二    八二八号) 五二 忍路港を漁港指定等請願小川原政信    君紹介)(第二八二九号) 五三 だ捕漁船乗組員家族生活擁護に関する請    願(川村善八郎紹介)(第二八九二号) 五四 だ捕漁船乗組員家族生活擁護に関する請    願(田口長治郎紹介)(第三一〇九号) 五五 北海道水産研究所室蘭試験地施設拡充費    増額等請願篠田弘作紹介)(第三二    五六号) 五六 田子漁港を第三種に指定請願宮幡靖君    紹介)(第三三四三号) 五七 内路港漁港指定請願玉置信一君紹    介)(第三四二三号) 五八 上磯漁港整備計画に関する請願冨永格    五郎紹介)(第三四二四号) 五九 両石漁港整備促進に関する請願鈴木善幸    君紹介)(第三五二九号) 六〇 八雲漁港築設の請願冨永格五郎紹介)    (第三八九三号)   陳情書  一 水産業及び中小商工業振興のための融資に    関する陳情書    (第七〇号)  二 機船底びき網漁業北海道海区入会操業を    大海区制に改めることに関する陳情書    (第七一号)  三 漁港整備促進に関する陳情書    (第七二号)  四 瀬戸内海水産開発審議会設置に関する陳    情書(第七三号)  五 漁業調整委員会経費増額に関する陳情書    (第七四号)  六 小型機船底びき網漁業減船整理に要する補    償の陳情書(第七    五号)  七 四ヶ浦町の第四種漁港急速指定に関する陳    情書(第一七    七号)  八 漁船保険制度改革に関する陳情書    (第二    七二号)  九 旋網漁業に関する陳情書    (    第二七三号) 一〇 小型機船底びぎ網漁業特別措置に関する    陳情書(    第二七四号) 一一 小型機船底びき網漁業整理減船に伴う乗    組員救済措置に関する陳情書    (第三四九号) 一二 内水面漁族増殖に対する国庫補助金増額の    陳情書    (第四四一号) 一三 水産資源保護法案等制定に関する陳情書    (第四四二号) 一四 内水面漁場管理委員会経費増額に関する    陳情書    (第四四三号) 一五 漁船不法だ捕防止並びにだ捕漁船返還    に関する陳情書    (第五一三号) 一六 漁船不法だ捕並びにだ捕漁船返還に関す    る陳情書    (第六一〇号) 一七五十猛漁港整備に関する陳情書    (第六一一    号) 一八 だ捕抑留漁船船員及び留守家族の身分、生    活保障に関する陳情書外一件    (第七七五号) 一九 漁業改良普及事業に対する国費助成陳情    書(第七七六    号) 二〇 漁獲物鮮度保持に関する研究機関拡充の陳    情書    (第七七七号) 二一 抑留漁船船員及び留守家族生活保障に関    する陳情書(    第九三五号) 二二 だ捕漁船並びに乗組員対策に関する陳情書    (第一二〇九号) 二三 小型機船底びき網漁業整理減船に伴う乗    組員救済措置に関する陳情書    (第一二一〇号) 二四 漁船不法だ捕防止並びにだ捕漁船返還に    関する陳情書(    第一三四八号) 二五 漁船不法だ捕防止並びにだ捕漁船返還に    関する陳情書    (第一五五八号) 二六 機船底びき網漁業の全廃に関する陳情書    (第一八七〇    号) 二七 浅藻漁港修築工事促進に関する陳情書    (第二〇五二号) 二八 漁業取締方策の強化に関する陳情書    (第二二五九号)     ―――――――――――――
  2. 川村善八郎

    川村委員長 これより水産委員会を開きます。  請願及び陳情書審査に入ります。本日の請願及び陳情書を、日程全部を一括議題といたします。まず請願及び陳情書審査小委員長の御報告を求めます。冨永君。
  3. 冨永格五郎

    冨永委員 昨十九日請願及び陳情書審査小委員会を開きまして審査をいたしましたので、その経過並びに結果について簡單に御報告申し上げます。  本会期中に当委員会に付託になりました請願は全部で六十件でありまして、その内訳は漁港、船だまり関係が三十三件、北方公海漁場及び漁場開発に関するもの六件、漁業災害及び損害補償関係四件、拿捕漁船に関するもの三件、漁業取締りに関するもの三件、漁業施設関係三件、その他八件となつております。  まず請願取扱い方の基本的な問題について各委員から種々の御意見が述べられましたのでありますが、今回の審査においては、前国会通り、一応その要旨の一部あるいは大部分がすでに実現されたもの及びすでに実施の途上にあるものは、その目的が達成されたものとして取扱う申合せのもとに、各請願について愼重検討を重ねた次第であります。  その結果本日の請願日程中第四、第五、第七、第九、第一〇、第一六ないし第一九、第二一ないし第二六、第二八、第三〇、第三三、第三四、第三六ないし第三八、第四二、第四三、第四七、第四九ないし第五二、第五五、第五七ないし第六〇、以上三十四件の請願はいずれもその趣旨は適切妥当なものと認め、採択の上内閣に送付すべきものと決し、また第一ないし第三、第六、第八、第一三ないし第一五、第二七、第二九、第三一、第三九、第四一第四六、第四八、第五三、第五四以上十七件の請願は、すでにその目的が達成されたものでありますから、これらの各請願は議院の議決を要しないものと決しました。その他の九件の各請願内容につきましては、今後なお愼重審査する必要がありますので、その取扱い決定につきましては留保するに決した次第であります。  次に陳情書でありますが、本委員会に送付となりました件数は二十八件であります。各陳情書につきましても、愼重審査をいたしました結果、これらはすべて本委員会において了承すべきものと決した次第であります。なお個々の詳細なる内容については、文書において御審議願うことといたしまして簡単でありますが、本小委員会審査経過並びに結果の御報告を申し上げた次第であります。
  4. 川村善八郎

    川村委員長 これにて小委員長報告は終りました。  お諮りいたします。請願及び陳情書の可否及びその取扱いにつきましては、ただいま小委員長報告通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 川村善八郎

    川村委員長 御異議なしと認めます。よつて小委員長報告通り決しました。  重ねてお諮りいたします。ただいま議決いたしました請願に関する委員会報告書の作成につきましては、先例により委員長に御一任を願いたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 川村善八郎

    川村委員長 御異議なしと認め、そのように決定いたします。     —————————————
  7. 川村善八郎

    川村委員長 次に漁業損害補償に関する件について調査を進めます。  小高君より発言を求められておりますので、これを許します。小高君。
  8. 小高熹郎

    小高委員 ただいま議題となつております漁業災害補償の問題について、水産庁当局にお尋ねいたしたいのであります。それは先般当委員会において私から発言いたしました件に基きまして、伊東漁政部長千葉九十九里浜に出張なされましたが、現在漁民が訴えております演習の問題、それは演習を継続して補償してくれというのではなくて、でき得れば演習地場所がえをしてもらいたい、こういう強硬な意見をお伝えいたしましたところ、現地行つてつぶさに実情調査の上でしかるべく決定を見たいという御答弁でございましたが、その後現地出張なされた結果、いかような調査と、いかような外務省及び関係筋話合いが進められておるか、その点をお尋ねいたしたいのであります。
  9. 伊東正義

    伊東説明員 今御質問の点でございますが、この前小高委員より御質問がありまして、その後二、三日たちまして私片貝参つたのであります。そして実際に実彈を撃つております演習も見て参りましたし、関係漁民方々にもお会いいたしまして、お話を伺つて参りました。それでまたスラム街と申しますか、乗り子の人のお宅もたずねていろいろなお話を聞いたのでありますが、現地で聞きました話は、今小高委員がおつしやいました通り演習を全然やめてくれ、補償金が少いとか、あるいは演習程度を軽くしてくれというような問題じやなくて、全然別な所でやつてくれという御要望でありました。また過去において出しました損失補償金というものも、私は一軒一軒聞いたのでありますが、これももちろん十分でないということを私はよく認識して参つたのであります。その後この片貝の問題をどうするかということにつきましては、まだ駐留軍との交渉はいたしておりません渉いたしております段階で。いたしておりませんというのは、今われわれ交渉いたしております段階では、駐留軍が、陸軍関係演習について北海道紋別を出して来ただけで、ほかの地区は実は今出しておらぬのであります。でわれわれとしましては、絞別だけを先に取上げて議論はできぬ。駐留軍——これは陸軍関係でありますが、陸軍関係全国でどういう所を使いたいかという全国リストをもらつて初めて交渉に入ろうじやないかというふうなことで、今陸軍関係との交渉は頓挫いたしておりますので、片貝につきまして、これをどういうふうにするかというような交渉にはまだ入つておりません。ただ、これは国内的な問題になりますが、あそこを全部やめるということになりますと、おそらく向うから適当なかえ地を要求されるんじやなかろうか、その場合に、適当なかえ地があるかないかということは非常な問題なのでありまして、この片貝をどういうような形で向うへ話を持つて行くかということは、まだ内部的にはきめておらぬような状態でございます。
  10. 小高熹郎

    小高委員 ただいま伊東部長答弁によりますと、正式に向うから言うて来たのは、北海道の絞別付近だけであるというようなことでありましたが、それは講和條約の完全発効前に言うて来たのでありまするか、それとも四月二十八日以後に絞別だけを出して来たのであるか、その点をお尋ねいたしたいと思います。
  11. 伊東正義

    伊東説明員 私がお答えしましたものは、米駐留軍陸軍関係だけでございます。海軍、空軍につきましては講和発効向うの全部のリストが出て来ております。陸軍は、実は絞別だけが講和発効後に、というのは、六月二十八日に新たにあそこで上陸演習をやりたい、新しい演習内容でありますので、これは正式に言つて来たのであります。片貝とか何かの従来使つております所は、従来のままで、講和発効後こういう形でやりたいという正式な申入れはまだないのであります。それでわれわれとしましては、講和発行演習をするなら、全部正式にリストを出して申入れをしてほしい、それで個々の問題について一つ一つつて行こうじやないかということを今言つているのでありまして、絞別だけを取急いで出して来ておるものでありますから、われわれは紋別だけを取り上げることはできぬというので、今向うと押問答をしておるような状態であります。
  12. 小高熹郎

    小高委員 そうなりますと、まだ向うから正式に九十九里その他については言うて来ないから、今後の折衝があるやに了承するのでございます。今漁民の訴えんとするところは、実に数年の長きにわたつて苦痛に耐えかねるから、場所がえをしてくれというのでありまして、場所がえをする場合に、適当な換地があるならばということを言われはせぬかということでありますが、過去における日本の軍隊が演習をした事例はたくさんあるのでありますが、同一場所で数年間、しかも立入りを禁止して農漁民被害を與えるというようなことは、比較的少くはなかつたかというような気がいたすのであります。そういう意味において、あくまでも同一場所で今後何年も続けなくてはいけないのかという点について、漁民一つの自覚といいますか、あるいは過去の自分らの考え方に対する反省というか、真剣な一つの再検討が試みられて来たのであります。場所がえをしてもらえないならば、十分なる災害補償が来ていいわけだが、災害補償も天井から目薬程度であつて、しかも講和発効後の今日において、依然として演習地として継続されるということに対する疑義がここに生じて来たのでありまして、私どももこういうまじめな考え方に対しては、誠意をもつてこたえなければならないというように思うのであります。要は水産庁当局の熱意の問題になるのでありまする。数年間持続したことであるから、何とかひとつ場所がえをしてくれというようなことを強く要望してもらいたいのでありますが、それに対して伊東部長のお考えはどうであるか、もう一度お尋ねしたいのであります。
  13. 伊東正義

    伊東説明員 その問題につきましては、現地でも今小高委員のおつしやつたように、非常に強い要望がありましたので、われわれといたしましては、向うから案が出ました場合に、水産庁独自でこれを決定するというようなことをせぬで、特に片貝問題につきましては、あそこに対策協議会もございますので、その方々とよく連絡して、同一歩調で向う話合いをしようじやないかというようなことも、現地協議会方々と話し合つて来たのであります。われわれとしましても、小高委員のおつしやるように、最善の努力はいたしてみたい。これも現地とよく連絡をとりまして、特に片貝についてはやつてみたいというような考えでおります。
  14. 小高熹郎

    小高委員 もう一点お伺いしたいのであります。千葉県の東京湾富津のお台場付近の問題であります。これは昨年一部補償されたのでありまするが、最近その付近町村の影響は、昨年度補償されました数箇町村ばかりでなく、もつと範囲が広いではないかという新しい問題が出て来たのであります。これらの東京湾富津を中心とする施設の問題などについては、先般成立いたしました水面利用に関する法律が、九十九里の場合には当然適用されると思うのでありますが、富津の場合にも適用されるかどうか。この点をお尋ねいたしたいのであります。
  15. 伊東正義

    伊東説明員 御質問の点はおそらく防潜網の問題であろうと思うのでありますが、これはこの前たしか主計局長も見えまして答弁されたと思うのであります。間接被害といいますか、提供しました区域内の損失でなくて、区域外損失の問題でございますから、これにつきましてはあの法律が直接適用にはならぬので、別途立法措置を至急にやるということをたしか主計局長答弁されたと思うのであります。ただその法律ができぬ間は何も補償せぬという意味ではなくてその間は見舞金といいますか、それと同じような方法で何とか応急措置をやつて行きたい。立法措置ができました後においては、その負担の区分が、日本側だけではなくて、あるいは駐留軍側のある程度負担という問題も起きるかもしれぬが、そういう負担の問題も駐留軍との間に話がついておりませんので、それを交渉して法律をつくるというようなことを、たしか主計局長も言つておられると思うのでありまして、あの法律は直接は適用はないというように考えております。ただあの富津の辺の防潜網の問題については、この前網をわけてくれというのでわけたのでありますが、われわれが今出しております案は、あの辺の防潜網は全部とつてくれという案をつくつて向う側に出そうと思いまして、農林当局といたしましては、防潜網は第一海堡と第二海堡の間でありましたか、千葉寄りの方は海も非常に浅いので、向うにとつてくれということで交渉しようと思つて案をつくつております。
  16. 小高熹郎

    小高委員 ただいまの御意見で、間接被害に対する考え方がややわかつて来たのでありますが、漁業の直接被害間接被害の事柄を考えますと、これはまつたく水産当局においても非常に判定困難なものがあるであろうということは推察いたすのであります。これは大村湾その他全国各地にある現象でございまするが、東京湾のあの地区防潜網を張られたために、ちようど定置網かけ出しを張られたように、魚がそごへ来て引きかえしてしまうので、これは間接被害であるけれども、見ようによつては直接被害である。こういうことから今後この種の間接被害の問題は、かなりやかましく漁民から出て来ると思うのであります。あらかじめそれらの事構も御推察の上で、私ども愼重研究したいと思いますが、水産庁におかれても慎重に研究の歩を、ただいまから進められますように要望して、質問を打切つておきます。
  17. 小松勇次

    小松委員 関連して。演習地の問題に対しましては、ただいま小高君から御要望もありましたが、その意を体して、水産庁においても適当な措置をとられんことをわれわれは切に望むものでありますが、それと同時に最も重大なる問題は、その演習地に対する損害補償をどういうぐあいにするか、その計算方法がはつきりしておるか、この点をひとつお伺いしたいのであります。
  18. 伊東正義

    伊東説明員 損失補償の基準の問題でございますが、これは大蔵省交渉をいたしておりますが、まだ最後の決定はいたしておりません。これは私の方の水産も問題でありますし、農地等においても補償の問題がございます。それで大蔵省とわれわれの見解の違う点でございますが、これは簡單に申し上げますと、大蔵省考え方としましては、漁業ができない間ほかで働いて相当収入があるだろう、それを幾らに見るかということで、今案は大蔵省とわれわれの間に意見の合わぬ点があるのでございます。われわれとしましては、漁村等においては、漁業ができない間にそう急にほかで就労の機会もない、そうほかに労働收入もないというようなことで主張しているのでありますが、大蔵省の見解は、その間でもかなりほかで収入があるのじやないかというようなことで、まだ意見の食い違いがございます。それで最終的に算定の基準というものはまだきまつておりません。これは交渉はいたしております。農地も大体同様な問題がございます。
  19. 小松勇次

    小松委員 ただいまの問題について水産庁としての要求の基準案はどういう案ですか。
  20. 伊東正義

    伊東説明員 それはこの前もたしかここで御説明いたしたと思うのでありますが、演習がありませんときの平年の所得というものを出しましてそれから演習をしました年——演習によつて操業ができなくなつて漁獲が減つたということによりますところの所得の減があるわけでありますが、その平年の所得と演習をしましたときの所得の差をまるまる補償してほしいというようなことをわれわれは言つておるのであります。大蔵省はその何掛だというようなことで、今やつておるわけなのでありまして、そこが先ほどの食い違いなのであります。われわれは漁村では、演習があつたからといつて急にほかへ行つて働くといつても、なかなか働く機会はないのだというようなことで、差額を全部補償してくれというようなことを主張いたしております。
  21. 川村善八郎

    川村委員長 ただいま政府委員運輸省海運局長岡田修一君。説明員水産庁漁船課長高木淳君が御出席されました。     —————————————
  22. 川村善八郎

    川村委員長 次に漁船建造に関する件について調査を進めます。この際永田委員より発言を求められております。これを許します。永田君。
  23. 永田節

    ○永田委員 私は現在わが国の動力漁船のうちでも、木船の二十四万トンが船齢八年以上に達し、ほとんど使用にたえない非能率な老朽船であるので、至急にこの代船を建造いたすべく諸般の準備をいたしておるような次第でございます。ところで、ここに代船を建造すると申しましても、何だか代船という文字が、間に合せのものをつくるように聞えるかもしれませんけれども、決してさような意図ではございませんで、われわれの待望久しかつたところの対日講和條約の発効を機会といたしまして、前途洋々たる独立国家、水産日本の船出に際しまして、世界に誇る日本独特の優秀漁船を実際に進出せしめたいという勇図を抱いているものであります。言葉はかりに代船建造という文字を使用いたしておりまするけれども、計画はかくのごとき生やさしいものではございませんことは、御承知おきを願いたいと思うのであります。従つて、この代船建造は、一、技術の上において、二、金融の上において、三、行政処置の上において、それぞれ水も漏らさぬ用意周到な方途のもとで進めたいと思つておるような次第でございます。ついては、政府においてもつとにこの切望を痛感しておられ、諸般の調査研究を進めておられることと存じますが、次の数項にわたりまして政府の御意見なり方針なりを承つておきたいと思うのでございます。  第一は、今回私が代船を建造しようとする漁船は、船体もエンジンも終戰後のどさくさの間につくられたものであります。技術も資材も間に合せのもので、すなわち敗戰という客観的情勢下において、終戰という環境の悪條件のもとにつくられましたものでありまするから、幾多の深刻な欠陷を持つておるということが事実でございます。ただ船齢八年以上に及んでいるから使用に耐えないと軽く片づけることはできない。船齢八年以上というのは平時における標準でありまして、現実の老朽さ、脆弱さ、危險さというようなことについて、その真相はいかようなものであるか、忌憚のない御意見を承りたいと思うのであります。  第二は、二十四万トンの代船建造、デイーゼルの一万四千三百五十隻、三十二万馬力を五箇年間に実施する上に、施設、資材、技術等については何らの心配はいらないか。また、先ほど申し上げましたように、今回の代船建造を機会に、船体、エンジン等はいかに改善せんとするのか、たとえば、従来の漁船漁業能率の向上に偏重いたしまして、乗組員の衛生とか厚生施設にはごうも考慮が拂われていなかつた。さらに漁撈、すなわち魚をとることには真剣に考えられておりましたが、漁獲物の鮮度の維持とか食品の衛生というような点については、まつたく無関心であつた。この際これらの点を十分考慮に入れて代船を建造しなければならないと思うのでありますが、政府より、この点に関して具体的な実例をあげての御説明を承りたいと思う。  第三は、講和発効に伴う漁船操業、海区の拡大、拿捕、海難に伴う艦種構造、レーダーに関する政府の所感を、さしつかえのない程度で御説明を願いたいと思う。
  24. 高木淳

    ○高木説明員 お尋ねのように、戰後つくられました漁船は、食糧のいろいろ切迫した事情がございましたので、ともかく船が第一ということで、戦争中につくられておりましたところのエンジン並びに戰争中にほかの方に用意されておりました材料を利用して、急速につくり始めたのが起りでございましてただいまのお話のように、昭和二十三年くらいまでは、そういう線で急速に補充をいたしたのでございますが、その後は、船質の改善ということからしまして、船体も機関も質をよくするということに重点を置き、方針としては量よりも質の方向に移動して参つたのでございます。物量的に申しますと、今お話のように、船齢八年以上の船が相当ございます。この八年以内のものの中にも、今申し上げました戰争直後の船はそれに匹適するものも相当に含まれております。  二番目の鮮度の問題と乗組員の衛生の問題ですが、お魚自身の方も量よりも質というふうにかわつておりますので、その後つくられますものは、漁船に防熱装置をするとか、冷凍機械をつけるとかいたしましてお魚の鮮度を落さないようにしようという装置ができて参つております。それから乗組員の居住関係におきましても、相当長い航海になりますので、また短い航海でも、相当多人数狭い所に乗るものにつきましては、最近の傾向といたしましては、それらに特にこれまでと違つたゆとりを持たせる方向に動いております。
  25. 伊東正義

    伊東説明員 今御質問のありました中で、金融の問題もちよつと触れておられたと思うのでありますが、これは先般永田委員からも、たしかこの委員会で御質問がありまして代船建造の金融の問題があつたのであります。われわれ今内部でいろいろ相談いたしているのでありますが、御承知の特融関係は、これは大体組合というものが中心になつて考えられております。今年の特融の中でも、組合の自営等につきましては、約四億足らずのものを、船をつくる場合に七分五厘で融資をして行こうというようなことも今内部で考えております。大体これは特融は組合が中心になつて考えられているわけであります。そこで特融は大体組合が中心でありますので、個人なり会社なりというものを中心にした金融制度というものを、別途考える必要があるのではなかろうかというので、われわれ中におきまして、漁業権証券を持つている人は漁業権証券を出す、証券のない人はある程度の積立てをして、基金のようなものをつくりまして、それを中心にして、その何倍というようなものを融資をするというような制度を、今大蔵省等と一案をつくつて交渉はいたしております。まだ最終のこういう制度だといつて発表するまでの段階には至つておりませんが、そういうものを中心にしまして、個人なり会社なりが代船建造をいたしますとか、あるいは合成繊維を利用するというような場合の金融を何とか考える必要はあるのではなかろうかということは、中で相談はいたしております。
  26. 永田節

    ○永田委員 ただいま水産庁のそれぞれの説明を承りまして、水産庁の動きというものははつきりして参つたのであります。この問題は主として金融の問題が中心になつて参ることは、ただいま部長の御説明の通りでございます。このことにつきましては、水産庁もつとに大蔵省と熱心に御協議を続けておられると聞いておるのでありますが、あまりにもこの問題の解決に日数を要し過ぎているのじやないかといううらみがあります。そこでただいま御指摘のように、組合中心主義からさらに個人、会社にもあるいは漁業権証券あるいは基金をつくつて、その何倍というふうなお話を承りましたが、それが基準として今後話合いが進む見通しがついておられるのでありまするか、今日の段階ではどういうふうに解釈すればよいのでありまするか、重ねてお伺いしたいのでございます。  もう一つ、代船建造には燃料のデイーゼル化というものがその次にあげられる問題でありまするが、このデイーゼル化が実施できますると、年間に節約されるところの燃料が合計約九万九千キロ、価格にいたしまして十七億五千万、これだけの節約、大体年間の三割以上の節約ができるということになるのでありまするが、今日のような輸入原油の状況から行きまして、デイーゼル・エンジン化すということについての見通しは、どういうふうな見通しを持つておられるのか、あわせてお答え願いたいと思います。
  27. 高木淳

    ○高木説明員 現在は漁船に使いますデイーゼル・エンジンの製作工場の能力といたしましては、今永田委員から御発言がありました船に該当する分は大体できると思います。ただ問題になるのは、材質関係がまだ改善されておらないのです。金属の材料関係です。だから機械としては出る能力がありますが、優秀な材料が期待できるだけ入るかどうかということに難点が残つております。  それからもう一つ補足しておきますのは、デイーゼル・エンジンにかえると申しましても、現在のデイーゼル・エンジンの範囲といたしましては、小さいところはデイーゼルで相当成績が上るのであります。また大きいところも上るのであります、そこで大体間が一つあいているわけであります。だから七十五から下三、四十ぐらいまでは、まだデイ—ゼルが攻めて行く余地が技術的にないようでございます。
  28. 伊東正義

    伊東説明員 金融のお話でございますが、実は今考えております案ができますと、ある実行措置が必要なように考えております。それでわれわれとしましては、この次の国会に、何とかしてそういう制度を御審議願いたいというようなことで、今大蔵省話合いを進めておりますが、今まだ了解を得る段階には至つておりません。
  29. 永田節

    ○永田委員 漁船の代船建造に伴うデイーゼル化という問題は、少くともわが水産界の画期的事業の一つでありまして、この問題は急速に解決しなければならないと思うのであります。その線につきまして、政府の各位の今後の熱心なる御努力を期待しなければならないと思うのでありますが、單にこれは水産庁のみが一生懸命におやりになつたところで、所期の目的を達することは困難でございます。そもそもデイーゼル化ができましたその後において起る問題は、いかにして原油の輸入を安くするかという問題が必然的に起つて参るのであります、そこで原油と申しましても、揮発油もありますし、燈油もありますし、軽油があります、重油があります、重油の中でもA、B、Cとございまして、このデイーゼルという問題がわれわれ水産業界に最も関心の深い問題でありますが、聞くところによりますと、原油は将来統制撤廃されるということを承つておりますが、撤廃されますと自由になる、勢い値段も安くなつて来る、こういうふうに考えられますが、この際原油を運ぶタンカーの建造にあたりまして、やはり運輸省に対して参考になることを申し上げ、また運輸省側からもその所信を承りたいと思うのでありますが、油の値段が下つて参りましても、タンカー業者には関係がないかように了承できます。タンカー会社は、国際申合せみたような一つの基準がありまして、その運賃よりも上げることもできなければ下げることもできないというようなかつこうになつておるように承つております。そこでこのタンカーの会社は、原液が高かろうが安かろうが運んで、運賃をもうけることについては毛頭かわりがない、かように了承できますが、これとてもタンカーの会社の健全な運行と不安定な運行というものは、ただちに原油の価格に大きな影響があると考えられますが、最近運輸省におきますところのタンカー建造の許可というものの方針について、おさしつかえのない程度において御説明をまず願いたいと思います。
  30. 川村善八郎

    川村委員長 ただいま運輸大臣村上義一君が出席されました。
  31. 岡田修一

    ○岡田(修)政府委員 タンカーにつきましては、ただいま申されましたお説の通りでありまして、タンカー業者としては、そのときどきの国際マーケツトに従つて油を運んでおるという実情でございます。今年度大体当初安本で計画いたしておりました輸送量の六〇%程度日本船で運ばれる予定でございます。その後経済安定本部で、その輸入量を相当削減する計画がある由でございまするが、もし削減されますると、それ品以上のパーセンテージを運ぶことになると考えます。しかし国際的にタンカー全般が非常に不足いたしておりますので運輸省としては、油につきまして日本の輸入量の全量を日本船博運び得る程度までタンカーをつくりたいしかように考えております。  今年度の建造予定といたしましては、大体国内資金によるものを五万トン、それから外資導入によるものを五万トン程度、合せて十万トン程度の建造を予定いたしておつたのであります。ところで従来タンカーにつきましても、見返り資金から一部融資いたしておりましだが、昨年のタンカーの運賃が非常に高くて、必ずしも見返り資金から融資しなくても、タンカーの建造が推進できる、こういう見通しを立てまして今年度は国内資金によるものを全額市中資金によるというふうにいたしました。  そこでただいまお尋ねの許可の方針でございますが、ただいま申しましたように、全額市中資金によつてタンカーを建造するという方針をとりましたがために、タンカーを建造する希望者で、市中銀行から確実に金を借り得るということが明確にされる者については、これを許可するという考え方によりまして、先ほど申しました五万トン、隻数にいたしますと、四隻でございますが、この四隻についての建造申込社を募つたのでございます。これに対しまして約十社申込があつたのでございます。しかし申込はございましたが、これが全部銀行側から融資がつくということがはつきりいたしておりません。従つて銀行側と十分打合せをいたしまして、そのうちからとりあえず、銀行側からこれだけは融資がつけ得ますという明確な意思表示のありましたもの、三隻だけを許可いたしたわけであります。
  32. 永田節

    ○永田委員 三隻はどことどこですか。
  33. 岡田修一

    ○岡田(修)政府委員 三隻は三菱海運、飯野海運、明治海運であります。あとにつきましては、そのときの申合せといいますか話合いで、先ほど言いました外資導入によつてタンカーの建造がどういうふうに進むかという状況、あるいは市中銀行の資金繰り等を考えて、さらに追つて考える、こういうふうな状況でございます。
  34. 永田節

    ○永田委員 タンカーの建造許可方針につきまして、御説明を承りまして、その内容がはつきりいたしたのでありますが、国内資金によりますところの、すなわち市中銀行の資金の融資、この裏づけによりまして償還能力に応じて三社に御許可ができましたように承りましたが、もちろんこの運輸省のこの御方針についてとやかく申し上げるものではございませんが、ただ償還能力にのみ重点を置かれて、この許可をなされるということについては、われわれの指摘する水産のデイーゼル化というものは、まことに困難になつて来るのではないかと思われるのであります。償還能力に応じまして、もちろんこの金融の措置も講じられなければなりませんが、さらにこのタンカー業者の実績というものも、この御計画に十二分に勘案されていただかないと、せつかく金融の御措置ができまして、タンカーが建造されましても、聞くところによりますと、自家用でタンカーを運航せんとする会社もあるかに承つておりますし、かりにまた自家用にあらずしても、極端なる貨物輸送船——会社が一ぱいのタンカーを持ちましたところで、採算がとれるかどうかということは、にわかに判断ができないのみならず、一年すえ置きの三箇年の年賦償還がはたして完全に履行できるかという問題も、疑わしい問題が起つて来るのではないかということも考えられるのであります。従いまして、このタンカーの許可に際しまして、もちろんこの市中銀行の裏づけも必要でございますが、その会社の内容というものが、すなわちタンカー会社でなくてはならないということも、第一の條件に上げられなければならないと思われるのでありますが、この点について運輸省御当局の御意見はいかがでございましようか。たとえばある会社のごときは——東京タンカーという会社がありますが、これは日本石油のわかれの会社のようであります。この日本石油でタンカーを一ぱい持ちまして、それを日本石油で運航ができないので、東京タンカーというものをつくつた。ところがこの船はキングス・キヤニオンというのでありますが、これは日本油槽船にチャーターして運航しておるという状況だそうであります。たとえばこういうことになりますと、ただ銀行の裏づけのみによつて許可をなさるということも、一応御考慮を促さなければならないということにも考えられる。特にまたある漁業会社がタンカーの申請をしておるように承つておりますが、この漁業会社のタンカーというものと、政府のタンカ治の許可というものと、おのずとこれは許可の方針に意義が違うのではないかと私は考えるのであります。少くとも漁業会社のタンカーの建造というものは、あくまでも自家用である。冬は南氷洋に出まして鯨をとる。この鯨をとる自家用の燃料をまず輸送し、帰りには自家用の鯨油を積んで帰る。夏遊んでいるときは、他の石油会社にこれはチヤーターをするというようなことになつて来るのではなかろうかと、私には考えられるのであります。これらの点につきまして、市中銀行のみの裏づけが中心か、さらにまたそのタンカー重点主義の方針は、全然考慮に入れないのか、この点について御答弁を願いたいと思います。
  35. 岡田修一

    ○岡田(修)政府委員 先ほどの説明で申し落しましたが、市中銀行と協議をいたしまするに際しましても、それがタンカー業者であるかどうか、あるいはタンカー業者でなくても、その船を建造した場合に、自分の船員で運航し得る能力のある海運業者であるかどうかという点を、十分考慮に入れて打合せをいたしておる次第でございます。従いまして融資を受け得る力があるかどうかということに重点は置きまするが、それと同時に、ただいま御説のような点をあわせて考慮しておる次第であります。先ほどの東京タンカーの件でございますが、これは外国から輸入した船のものでありまして、新造とはいささか趣の違うものでございます。
  36. 川村善八郎

    川村委員長 ただいま運輸省船舶局長甘利昂一君が出席しました。
  37. 永田節

    ○永田委員 タンカーの建造につきまして、私ども調査によりますと、タンカー船というものの運賃の稼働は、すこぶる率がいいように承つております。従いまして、原油のしかも約七〇%というものが運賃に計算されるようにも承つております。ところがこの七〇%のうちの四五%というものしか拂つてもらえないで、残り二五%というものは、各石油会社が着腹しておるというふうなことも承つております。これらによつてみますと、油会社よりもタンカー会社の方が利益が多いのであるということがうかがえるのであります。そこでしからば、タンカー業者は、常にかように永年稼働できるかと申しますと、決してさようなことでもないように承れます。すなわち第五次油槽船計画のときには、少くとも海事標準賃率よ与もマイナスであつたというふうに承つております。わずかに第六次の後半ごろから、この当時もやはり三〇%くらいプラスになつた。今日この八次の建造では、約五〇%ばかりのプラスになつておるというふうに承つておりまするが、そこで、最近第六次の後半以来、第八次の今日に至るまで、今後、将来も当分の間タンカーのかせぎがよかろうという、單なる思いつきによりまして建造を申し出るというふうな会社より、海事標準賃率よりもマイナスのときにおいても外貨の獲得、日本国民のためにといつて、進んで第五次当時に建造されたタンカー業者の実績こそ、われわれは最も尊重しなければならないことじやないかと思うのでありまするが、これらの点につきまして運輸省の御意見を伺いたい。
  38. 岡田修一

    ○岡田(修)政府委員 お説の通り考えております。ただ目先のブームにつられて、投機的に建造する人よりは、実際上タンカーの必要性に基き、また従来からの経験を生かすために、タンカー建造の熱意に燃えている人を、重要視するということは、これは当然だ、かように考えております。
  39. 永田節

    ○永田委員 そこで、結局このタンカー業者というものは、各石油会社と十分連絡のある、協力を求められちところのタンカー業者でないと、かりに融資をいたしましても、融資が完全に償還されるかどうかという見通しすら疑われて来るのじやないかと思うのであります。たとえば單なる貨物船会社では、タンカーによつてかせぐ会社の収益とはとうてい比較にならない。そこで貨物運送船会社が、かりに一ぽいのタンカーを市中銀行の融資を受けて建造運航いたしましたとしても、一年すえ置きの三箇年では、とうていこれに償還が当てられるかどうかということがむずかしかろうと私は思う、一ぱいの建造されたタンカーによつてそのタンカー自体が全員債を支拂つて行かなければならないということになつて来るのじやないかと思うのであります。ところが重点的に古くから、大手筋、あるいは準大手筋と言われるようなタンカー会社の場合には、その憂いがまつたくない。たとえば一ぱいのタンカー建造資金を融資を受けましても、その会社で持つておる六ぱいなり七はいなりという全タンカーの能力によつてこの償還が完全に果せる、かようにも考えられまするが、これはもしさようなことが私の言う通りであるとしたならば、運輸当局においても、このタンカーの許可はよほど愼重に御考慮を願わないと、われわれはただいまのところ、あなた方も御存じの通り漁船のデイーゼル化ということを声を大にして叫んでおります。この問題にもやがてはこの影響が大きく響いて来ることでありますので、御答弁はいりませんが、重ねて運輸当局の賢明なる御処置を期待してやまないものであります。
  40. 松田鐵藏

    ○松田委員 ただいま永田委員からるる質問があり、また御答弁があつたので、この概要は大体わかつたのでありますが、私申し上げることは、われわれの業界の一人者である運輸大臣が幸い御出席になられましたので、私ども考え方は、国の考え方がかくあるべきだと考えておるのでありますが、要するに日本が輸入する石油の必要量が百二十万トンである。そのうちの過半数は水産に使われるのである。こういうことから行きまして、私ども水産委員会として、また漁業者として、この問題を大きく取上げて行かなければならないのでありまして、そういう角度からわれわれは申し上げおるのであります。そこで永田委員がるる御質問になつたので、私またそれを重複する必要はないのでありまするが、われわれの方の一番重要である燃料が、先ほどの質問の中にありましたように、漁民全体の利益のために、タンカー会社がタンカーをつくつて輸送するということは、非常にわれわれは幸福なことと思うのであります。だが自己の自家用としてタンカーをつくり、そうして国のあらゆる方針に従つてこれを許可してもらうということになれば、その会社自体は非常に利益になる。しかし国民全体がその恩惠に浴することができ得ない、かようなことであれば資本主義のわれわれの政党として、ただいまの自家用という立場からいつても、これはいいことであるけれども、もう一歩大衆の利益のため、漁民全体の利益の止めに公開された会社のように、全部の者にその恩惠が行くという会社が出願された場合においては、われわれの尊敬しておる村上運輸大臣は、かような会社にこそ初めて許可を與うべきだというように私は考えておるのでありますが、こういう点は、運輸大臣としてどうお考えなさいますか、お聞きしたいと思うのでございます。  それからもう一つ、先ほど永田委員からも御質問のあつたように、この仕事がいいから一隻の船でもつて許可をとつて、そうしてこれから着業しよう、運送業をやつて行こうということも、これもまた日本国民全体八千四百万の、おのおの一人々々仕事を持つて行くことでなければ、狭い日本の国におつて経済が成り立つて行かぬのではあるけれども、国有鉄道だとかまたは専売公社だとか、こういうようにすべての仕事を国が主体となつてつて行くというようなことになつて行くと、日本国民八千四百万というものが、非常に仕事の部面を減らされて行くのでいけないことではないか。しかしその反面に、その会社の利益のために一隻でも自分がやつて行こう、こういうことになると、そのものにのみは利益があつても、もしこれが不況な場合にどういうことになるかということをもよくお考えおきを願つて、まずもち屋はもち屋というあの昔からある言葉は、科学的な言葉ではないけれども、これが経済の原則であるということは、運輸大臣もよくお考えになつておられるだろうと思うのであります。要するに、戰後派のような考え方を持つて行くことが是か、またはもち屋はもち屋というような立場から、業界に專心的に努力して行こうというものがいいのか、原則から行けば、八千万国民が全部仕事を持つて行くという二とがいいけれども、世の中には戰後派のように、これもいいあれもいいといつてやるようなことであつては、これはまた業界を混乱させるという憂いがあるのではないか、こういう意味から、あとの一隻か二隻の許可というものに対して、どういうようなお考えを持つておられるか、でき得る範囲の御答弁でけつこうでありますが、運輸大臣の経済に対するお考えの一端でも知ることができるならば、非常にけつこうだと思うのであります。運輸大臣の御答弁を願います。
  41. 村上義一

    ○村上国務大臣 御指摘の第一点につきましても、また第二点につきましても、大体同趣旨の御意見のように拝聽いたします。まつたく運輸大臣として感をひとしくするものであるのであります。とにかく石油資源のきわめて貧困なるわが国におきましては、ほとんど全部といつていい油を輸入にまたなければならないのであります。しかもこの需要者、今もお話の、漁業家にはぜひなくてはならない必要物資であるのであります。この漁業家の必要物資をでき得る限り低廉に供給するということの必要なことは、これまた申し上げるまでもないことであります。政府としましては、二十四年以来計画造船に着手して今日に至つた次第でありまするが、タンカーの新造につきましても、でき得る限り低廉に、わが国において油の給供をいたしたいという観点から、必要量の百パーセントをわが国のタンカーで積みとることができるようにしたいという方針を持つておりまするのも、今御指摘のような趣旨にほかならないのであります。ただ先刻も海運局長から申し述べましたことく、タンカーの建造費を政府の手元において特別の手当を従来は講じて参つたのでありますが、見返り資金もおいおい先細りに相なりまして、今年度わずかに百四十億を新船建造全体に充当するということに相なりました。従つていろいろ検討を重ねました結果、タンカーについては政府資金の供給がなくとも、大体ある程度は建造できるという見通しを持ち得たような次第であります。それは先刻も局長から申し述べました通り、国内資金で五万トンを建造する、なお外資の協力を得てさらに五万トン建造したいという方策を、実は立てたような次第であります。外資の協力を得て建造する分も、大体三割は国内資金によらなければならないのであります。この全額国内資金による分、そうして外資の協力を得て、三割だけ国内資金でまかなうというものとをタンカーの建造のわくといたしまして、私は船主にかわり、日銀その他に懇請をあらかじめいたしたのであります。いろいろの紆余曲折はありましたが、幸いに打合せが結了いたしまして、政府としてただいま申しましたような方針をとるように相なつた次第であります。御指摘のように、三ばいだけはすでに決定いたしましたが、あとの国内資金のみによつて建造する分五万トンの中で、残る一ぱいは時期を遅らして金融の確約をしたい。従つて、あとの一ぱいについてはしばらく延期をしてくれという、実は金融界からの申入れを受けて、事情やむを得ないと思つて延期をしておるような次第であります。御承知の通り、政府の資金を少しも供給せずに、もつぱら市中金融にのみ依存するということにしました結果、金融機関が資力、信用十分なりと認めて、この会社に金融の契約をしたい、要するに金融確約書を初めて書き得る、こういう船会社に対して過去において三ばいの分は認可をしたような次第であります。もちろん金融機関が金融の確約をせられた会社であるならば、何ら他の條件は顧慮せずに、無條件で政府が認めるということはしないのでありまして、御指摘のような方針に当てはめて検討を一応いたしまして、その上で認めたような次第であります。今後の分につきましても、この方針をもつて進みたいと思つております。
  42. 松田鐵藏

    ○松田委員 大臣の御懇切な御意思を拝聴することができまして、われわれ非常に満足するものであります。どうか私ども水産委員会として考えているような意思を十分反映させてくださいまして、一日も早くあとの一そうも建造許可を與えるように、特段の御配慮を願いたいと思います。
  43. 川村善八郎

    川村委員長 石原君。
  44. 石原圓吉

    ○石原(圓)委員 これは直接運輸大臣の所管とも申しかねますが、この機会に水産業者の希望しておる点を申し述べてお考えを願い、またそれに対する御意見もあつたら、この際お聞かせを願つておきたいのであります。  水産議員連盟におきましては、外油の統制撤廃並びに関税撤廃の実現に強力に努力をしたわけでありますが、関税の撤廃等もそれぞれ目的を達することになつたわけであります。しかるにその間におきまして、国産石油の経営者の立場から、外油の価格を引下げることや統制を撤廃することは、油の輸入に支障を来して漁村に潤沢に油が潤わないということが宣伝もされ、ある意味からは、関係の各社にもその運動があつたようにとれるのでありまするが、この点は今後の燃油の問題に重要な問題を持つと思うのであります。従つて国産石油の増産をはかることには、国は別個の方法で助成をするとか——国産の燃油を増産しようというのには、全然別個の建前で国は助成その他の方策を立てる。そして輸入燃油のために国産燃油に従来しておる人たちが脅威を感ずるからというようなことから、外油に対する不利益な施策を実現せなければならぬということは、非常に国家としては考えなければならぬ問題であるから、今後国産の重油、燃油に対しては、国家は積極的に助成をして、できるだけ未開発の方面をボーリングをするとか、種々の方策を講ずることには、国はあげて助成すべし、そして外曲の輸入に対しては、それがために不利益を生ずるようなことのないような政策が必要であると考えるのでありますが、大臣はどのような御意見を持つておられるでしようか。御方針なり御意見を聞かしていただいたらけつこうであると思います。
  45. 村上義一

    ○村上国務大臣 独立国として石油資源の緊要であることは申し上げるまでもありませんが、不幸にしてわが国は、その資源に現在のところすこぶる乏しい状態でありましてどうしてもほとんど全部に近いものを輸入にまつておるという実情であるのであります。もし、わが国においても未開発の資源があるならば、これは国策として資源を開発して行かなければならぬものだと、私は考えるものであります。しかしながらその開発をするために、輸入の石油類について、関税の障壁もしくはこれに類似するような方途をとつて、これを進めるということは、これは全然間違つたやり方だと思うのであります。現在の政府でもそういう方針はまつたくとつておらないのでありまして、これはもう御承知の通りであります。資源開発のために、特に要する開発費が必要であるならば、これはおのずから別個の方法で開発をすべきものであると思うのであります。御説はまつたく同感であります。     —————————————
  46. 川村善八郎

    川村委員長 次に、水産業の電化に関する件について調査を進めます。  この際松田委員より発言を求められておりますのでこれを許します。松田君。
  47. 松田鐵藏

    ○松田委員 農山漁村電化促進法案を立案するにあたりまして、その説明を申し上げます。  戰後わが国の民主化を促進いたしますためには、総人口の半ばを占める農山漁民の生活文化を向上し、農山漁家の経済を安定し、あわせて農林漁業の生産力を高めることが最も肝要であります。しかるにわが国農山漁村の実情を見ますると、いまだ電燈さえともらず、文化の惠みを受けることのない農山漁家が、全国で約二十万戸を越える状況であります。さらに動力線が入つておらぬために、生産にぜひとも必要な動力機械を使用することができない農山漁村も、全国に多数存在しておる現状であります。これらの未点燈部落、あるいは電力不足地域に生活しております農山漁業者が、万難を排して電力を導入しようと、熱烈な要望を抱いておるのは、きわめて当然のことであります。  従いまして戰後、見返り資金あるいは農林漁業資金融通法によりまして、ある程度の資金が供給され、現在までに八十箇所程度の小水力発電所が建設された次第であります。しかしながら、これだけでは單に一部の希望を満たしたにすぎないのでありまして、今なお数百箇所の地点で建設を希望していながら、資金を得られないため、貧しく暗い生活を余儀なくさせられておる状況であります。従いまして、われわれといたしましては、これらの惠みを受けることの少い人々に、光を與えようといたしまして、この法案を提案いたしたいと存ずるのであります。  この法案の主要な点を申し上げます。第一は、農山漁業に従事しておる団体が、電力を導入しようとするにあたりまして、小水力発電所を建設したり、配電施設を設けたりする場合に必要な資金を、農林漁業資金融通法によつて貸し付けることを積極的に規定いたしたことであります。  第二は、開拓地関係につきましては、右の場合に多少の補助金を交付しようとするものであります。  第三は、電気施設を設けた後、その運営が大切でありますので、電力の利用あるいは組合の経営につきまして、農林大臣が適切な指導を加えて行きたいという規定であります。  第四は、農林漁業団体が発電所を建設いたしまする場合に、既設の電力会社との間に施設の利用とか、電力の売買とかいろいろの交渉が出て参りますので、その際なるべく弱い農村漁業者に過分の負担がかからないよう、協議あるいは訴願等の道を設けたことであります。  第五は、現在農林省が土地改良事業として灌漑排水施設設置し、中には相当大きな水利ダム等も築造されておるのであります。これらのダム及び水路を活用いたしまして、農業水利との調整をはかりながら、同時に、水力発電の事業も考慮して工事を施工することが、国家のため最も有利でありますので、この点を法文の上に明言いたしまして、水力資源の総合的な開発を期待するものであります。  以上が、この法案の主要な内容であります。
  48. 川村善八郎

    川村委員長 ただいまの松田委員の御発言は、すなわち、農漁村電力の導入法案の大体取上げようとしておりまする内容でありますので、この取扱い経過について簡單委員長より御報告申し上げます。  この法案の内容につきましては、お手元に差上げておりまする農漁村用電力導入法案の要綱でありますが、今期国会にぜひ立法化したいということで、それぞれ手続をいたしまして、大体今期国会に提出される見込みに相なつたのであります。そこでこの法案の取扱い方をどの委員会で取扱うか、すなわち農林委員会で取扱うかあるいは水産委員会で取扱うかという問題について、いろいろ農林委員会とも折衝を重ねましたところ、農林委員会においてぜひ取上げるからという委員長同士の話合いがなりましたので、昨日農林委員会で取上げていただくことに決定して、それぞれ手続を了した次第であります。そこで農林委員会が取上げましても、水産関係のある水産動力の問題については、水産委員会としても取上げなければなりませんし、農林委員会にさらに合同審議をしていただくことを申入れいたしました次第であります。
  49. 石原圓吉

    ○石原(圓)委員 この問題は最も緊急な重大な問題であります。ことに北海道の漁村のごとき、また全国の離島のごときは、最もこの問題に苦しんでおるのでありまして、一刻も早くこれが実現を要すると思うのであります。一例を申しますと、三重県の志摩軍神島村、この神島村は伊勢湾のまん中にある島でありまして、燈台を設け、外国船の出入その他に非常に重要な役割を負担しておるのであります。しかもこの島に水力電気の配電がないのでありまして、今日までの制度の不備もありまして、いかほど中部配電等へ要求いたしましても応じない。その結果、神島村は三百戸、千六百人の住民でありますが、ここに重油を使うところの発電の設備を村民だけでいたしまして、いまだに継続しておるのでありまするが、だんだんと機械は痛む、同時にまた重油に不自由を感じて、最近では夕方より夜中の十二時までより電燈はつけない。それはどういうわけかと申しますると、重油そのものが不自由であるという点と、それから料金の問題でありまして、本土における電燈料の約五倍程度負担を村民、漁民がせねばならぬのであります。御承知のようにこの島は千六百人漏れなく漁業者でありまして、そういうところに配電をしない結果が非常な困難をして、夜中の十二時には電燈を消して、そうして必要であればそれからまたランプをつける、こういうような不自由をやつておるのであります。この離島へ水力電気を送れば、離島に使つておる電燈用の重油は全部漁業用に使うことができろのでありまして、これらのために漁業の能率が上らぬことも非常なものであります。よつて一刻も早くこの問題の実現するように特に希望をするものであります。
  50. 二階堂進

    ○二階堂委員 ただいま松田議員より説明をされました農漁村用電力導入法の取扱いについてでありますが、この法案は水産委員会において提案されたものであります。従いましてこの法案の審議は水産委員会が主になつて審議を進むべきものと考えるわけであります。特に松田議員がこの問題につきましては非常な努力を拂われたことも御承知の通りでありまして、あくまでもこの法案の審議の中心は水産委員会になければならないと考えるわけであります。先ほど委員長から、農林委員会との話合いによつて審議を進めるというような御報告もあげましたが、もちろん今後の審議のあり方についてはその通りでよかろうと考えますけれども、この法案を審議される場合には、必ず農林委員会との合同委員会においてこれを審議されるようなとりはからいをされるように、特に私は要望申し上げておきます。
  51. 川村善八郎

    川村委員長 先ほどの石原委員からの御発言に対しましては、私も全然同感でありますので、その努力を十分いたす覚悟を持つております。  なお二階堂君からの御発言に対しましては、農林委員長と十分打合せをいたしまして、合同委員会をもつて決定するということの打合せをした次第であります。しかしながら水産委員会といたしましては、水産に最も重大な関係を持つものでありますので、別個にまたさらに水産委員会としても調査を進める所存であります。
  52. 川村善八郎

    川村委員長 この際水産庁当局にお伺いいたします。ただいま電気通信委員会にて、内閣提出にて審議いたしております公衆電気通信法案の内容について検討いたしますに、公用水面の使用あるいは水底線路の保護等の條文について、漁業権を取り消し、あるいは変更する等一方的な措置を規定しているようでありますが、本案は内閣提出であり、これが提案されるまでに、当然水産庁話合いがあつたことと存じますが、水産庁はこれが提案されるまでにどのような交渉を受け、どのような要望をいたして来たか。この間の経過について詳細御説明を願いたいのであります。その結果により当委員会といたしましては、何らかの意思を決定いたさなければならないと存じますので、詳細に御説明を願います。
  53. 伊東正義

    伊東説明員 今の公衆電気通信法案の問題でありますが、これは今御説明のありました通り内閣提出であります。事前の連絡でございますが、実は十分な連絡がとれませんで、そういうような法案が上程された結果となつております、われわれといたしましては、実はきのうも課長が向うへ参りまして、その中の不適当と思われる條文について、何とか直してくれぬかということも話合つております。電気通信省の方からも公文がほしいということで、文書も出しているような次第でございます。参議院の方でもきのうその話が出まして、われわれといたしましては、農林省としてはこういうことを考えておりますということを、議会の両方の水産委員会に申し上げようということに、きのうまでのところは事務的なことをやつております。
  54. 川村善八郎

    川村委員長 これに関しまして御質疑があれば許します。
  55. 松田鐵藏

    ○松田委員 ただいま委員長質問に対して、さつぱり要領の得ない御答弁がありましたが、これは十分資料を出していただいて、次の委員会で詳細に審議したいと思います。委員長より特に水産庁またはその所管省に対して出席を求められるよう、おとりはからいを願いたいと思います。
  56. 川村善八郎

    川村委員長 ただいまの松田君の御発言の趣旨は十分わかりました。委員長として十分その意を盡すべく努力する所在であります。     —————————————
  57. 松田鐵藏

    ○松田委員 私は特に水産庁質問したいのでありまするが、先ほどいろいろ漁船の金融問題に関して説明があつたのであります。そのうちに本年農林漁業特別融資の中から、協同組合に対して建造資金を融資するがごとき言葉が出ておつたのであります。一体これはどういうことであるか。しかも本年水産庁関係として二十億の金がある。この予算をとるときは、国会に向つてわれわれ委員会に向つても、必要な案であり、必要な予算であるということを常に水産庁は力説し、われわれも協力したものであります  さてその内容は、昨年までは日本の国の魚価維持対策のために製氷、冷蔵に対してこれをとつておつた。しかもこの予算をとつた理由は、昨年の当初予算にはびた一銭もなかつた。それを一体水産庁は何をしておつたかということで、委員会でもみにもみ、またわれわれ委員会としても、大蔵省あるいは農林省ともあらゆる折衝をして十億の補正予算をとつたのであります。しかるに今日日本の津々浦々から製氷、冷蔵について二十億なり三十億なりという申請が出ておる。一体いつ、どのような経過によつてこの製氷、冷蔵の目的とつた予算を、そういう方を満たすことなくして漁船の金融とかその他の金融に使つたのであるか。予算さえとれば、あとは独自の立場においてどのような方法でもやり得るのだ、これはまつたく官僚的の考え方だと思う。われわれは行政の面にまでくちばしを入れようというのではない。しかし過去の歴史を十分知つておるならば、一応はこの内容委員会に諮るべきが順当だと思う。昨年は漁港に対して幾ら、塩田に対しては幾ら、これに対しては幾らというようなことで内容を明示して、われわれに協力を仰いだではないか。ところが今年は一つもしていない。一体、漁政部長はわれわれに対していつこういう内容にしたいからというような意見を述べたことがあるか。しかも先ほど永田委員からるる質問があつたように、現在最も重要な漁船の建造及びデイーゼル化について、議員提出で法案を出さんとしておる。しかるに漁業協同組合に漁船建造のわくを與えてやろうとしておる。かつて気ままに自己の考え方によつてこの予算を分配するなどもつてのほかである。その中には相当いまわしいものさえあるとわれわれは見ておるが、その内容について、水産庁の方針がどのようなことであつたのか、詳細な説明を承りたい。
  58. 伊東正義

    伊東説明員 ことしの予算のわくの問題について、これは全然この委員会で話したことがないではないかというお話であつたのでありますが、しかし私日にちは忘れたのでありますが、ことしの計画は大体こういう計画で使うつもりでありますという説明をしたことがございます。(「速記録を持つて来たまえ、聞いたことがない」と呼ぶ者あり)日にちは忘れましたが、申し述べたことがあります。しかしてただいまのわくの使い方の問題でありますが、製氷、冷蔵にはことしは十億五千万円ばかりわけております。それからこれは従来からもありましたが漁港関係にも使つております。それからただいま御質問の新しい問題でありますが、この資金を使います際、いろいろ問題が出たのでございますが、一つの観点になりましたのは、例の証券の税金の問題であります。当初もらつた証券には税金がかからぬというような構想、これは私の心構えでありますが、あつたのが、なかなかその通りには行かなくて、税金もとられるようになつた。それで組合関係に何か融資を、今までの融資のほかに融資を考える必要があるのじやないかということが、われわれの内部でいろいろ議論をしたわけなのであります。その結果使い方をきめましたのは、漁港機能施設と申しまして、漁港におきましてたとえば休養施設をつくりますとか、あるいは給水施設をつくるとか、あるいは無線施設をつくりますとか、こういうような漁港機能施設にも一部のものは使う。それから国が浅海増殖の補助金を出しております。それでこれらの裏打ちにも若干使う。それから今問題になりました組合の自営の問題でございますが、これは御承知の漁業制度改革によりまして、組合にかなり定置漁業権が参つております。定置の自営は相当数ございます。これに要します船でありますとか、あるいは漁業漁業とは離れました自営でも、これは厳格な意味の自営でございますが、そういうものにつきましても、融資を考えたらどうであろうかというようなことで、一応わくをつくりまして、私は、日にちは忘れましたが、ここで御説明したこともあつたと記憶いたしております。(「ないない」と」呼ぶ者あり)これは実は政令もつくりまして、漁業組合の営む漁業に要する施設という政令がありまして、そこに船でありますとか、あるいは漁業組合が自営で建てます荷さばき所でありますとか、あるいは水産倉庫でありますとか、そういうようなものにも融資ができるような政令が実はできておるのであります。(「政令をかつてにつくつたんじやないか」と呼ぶ者あり)われわれがかつてに何でもできるという観念でやつたじやないかというおしかりを受けたのでありますが、実はそうじやなくて、たしか御相談申し上げたようにも記憶するのでありますが、その点は御了承願いたいと思います。
  59. 松田鐵藏

    ○松田委員 大体、ここで説明したしないは別として、説明したとしても、一体水産庁は何を考えておるか。漁船課長が、われわれが漁船の金融というものに対して資料を求めているのに、出したその資料の中には八年たてば老朽船として木造船というものが使用に耐えないということになつておる。これはわれわれ水産業者としても同感である、最も正しい見方である。しかして八年間たつた船を対象として漁船の新造をしようとか、デイーゼル化をしようとか、こういう考え方をもつて大きな日本漁民全体の利益のためにこの漁船の金融、デイーゼル化をせんとしている。しかるに特融の年限は何年であるか、一年すえ置きの十五箇年じやないか。十五箇年たつたならば、一体あなたは今漁船の金融をするというが、漁船はどのようになるか、はたしてその十五箇年の——十年以上になつたならばどれだけの機能ができるか。特融によつて出した金がどこから入るか、償還金がどこから入るか。大体水産庁がわれわれに資料を與えた最も正しい科学的な、今までの体験等を生かして、八年というものを一つの目標にしておる。特融は十五年、しからばその食い違いはどこにあるか。しかも三百七億というものを目標として、われわれは漁船の金融をやらんとしておる。それに今幾ばくの金を出して——二億か三億出すことだろうと思うが、一体それがどういう矛盾が起るか。それならばこうした問題が、漁船の金融をやらんとする問題が起きたときにおいては、是か否かということは、あなた方が省議にかけてよく研究されたらいい。そうして研究されて、国会からこういう提案があるのだからというのであるならば、あなた方の漁船金融というものはひつこめるのが理の当然じやないか。しかもはなはだしいことには、冷蔵庫などというものは飽和状態であるから、冷蔵庫の特融などというものはあまり重点的に見なくてもいいなどということを、水産庁の高官連中のあなた方がときどき話しておるということも聞いておる。とんでもない間違いだ。われわれの冷蔵庫というものは、魚価維持対策だ。現にたいやえびなら幾ら高くてもいいが、大衆魚が今日どういうことになつているか、一尾三円よりしないいかが、市中においては二十円に売られているじやないか。そういうことでは、漁民はとうてい引合わない。せめて五円か七円にまでなることによつて漁民の経済が成り立つ。それを凍結することによつて、初めて市販が十円くらいに売られることになり、消費者が安いものを食い、カロリーの多いものを食えるのだ、こういうことになつて三千人の東京の小売商が、たとい失業しようとも、東京都民七百万の幸福を願うというには、どうしても漁業根拠地に冷蔵庫をつくり、そうしてカロリーの多い、鮮度の高い魚を安く供給する。漁民は倍以上の魚価になり、市民は半値以下のものを買い得る。こういうことになつて初めて魚価維持対策が成り立つので、冷蔵庫によつて利益をしようなどという考え方は、もはや時代から遠ざかつている考え方だ。それをどういうふうに考えているのか。冷蔵庫が必要ないとか、製氷工場が必要ないとか、しかも中金なんというものはとんでもないやり方、水産庁にそういう意見がぼつぼつあるものだから、中金も同じようなことを言つておる。かようなことで、われわれが三年半かかつて、魚価維持対策によつてこれまで政策を練つて努力したことを等閑に付してしまつて、三百何十億を出そうという、漁船の金融にも支障を来すような考え方をあなた方はやつておるじやないか。もし私どもの法案が正しいものであつたならば、もつともつと早く、先ほど永田委員から言われたように、もつともつど積極的にあなた方はやるべきだ、それをやらずして、特融の乏しい予算の中から漁船の金融に金を出すなんてとんでもない話。しかもそれには中金に巣食つているボスどもが、あなたの方へみな周旋しているじやないか、こんなことで一体正しい水産行政ができるかどうか。漁船の金融ということと、同じ金融でも特融で十五年でもつて金融をしようということとは雲泥の差だ。ただくれてやるような金になつてしまう。あとからとれなくなつたらどうずる。特融というものは、八割というものを国が補助している金だ。とれなかつたらどうする。新しいうちに活用のできるうちに金を返すような方法をとることによつて漁民というものは自力更生ができる。ただかつてほうだいにさようなことをやるなんて、とんでもない。次の委員会に正しい資料をすつかり出してもらいたい。ぼくはどんなことをしても反対する。
  60. 川村善八郎

    川村委員長 この際伊東漁政部長に申し入れておきます。かつて漁船建造の懇談会を衆議院の委員長室で水産長官を中心に開催したのであります。そのとき水産長官の御意見では、漁船建造資金を特融のわくから出すことは、まことにおもしろくない。ぜひ他の資金、いわゆる政府資金をもつて漁船の建造あるいはデイーゼル化をしようという話でありましたので、よく水産長官と打合せをなし、さらに今水産庁で計画しております資料等を、この次の委員会に提出あらんことを要望いたしておきます。
  61. 石原圓吉

    ○石原(圓)委員 代船建造のことで申し添えておきます。このことは、松田委員が非常に熱意をもつて心配されて、議員連盟へも持ち出された問題でもありますが、その後聞くところによると、この代船建造の資金は、水産庁塩見長官において特別なる考慮があるから、そのために漁船課などは差控えておれというような話もあつたということを、間接に聞いておるのであります。それにもかかわらず、その後何ら長官としての意見が出て来ない。これはどうしたことであるかということを、われわれはいまだ不審に思つておるわけであります。従つてそういう方針があつたのかなかつたのか。あるならばあるように、今委員長要望されたように、近い機会に、そのいわゆる長官の大方針を示してもらいたいと思うのであります。ことに今月十七日に、連盟においては発動機のメーカー、それから以西、以東の底びきの団体の代表者、かつお、まぐろの漁業者の代表者、発動機、造船所のメーカー等、おもなる有力者が集まつて、数時間協議をしたのであります。そのときの協議は、ある一地方は漁業協同組合を通じての融資もやむを得ないところもあるだろう、またそれがいいところもあろう、しかし大体において非常に困難である。單協を通じての融資というものは、全国普遍的には困難である、こういうことが論議された。結論としては、以西底びきは底びき、あるいは以東底びきは底びき、またはかつお、まぐろ、その他の各業種別団体、協会のようなものができて、その団体へ政府が融資をする、特融をするということが、概念的に一番合理的じやないか、こういう結論になつたのであります。従つて地区別に、たとえば北海道なら北海道、東北なら東北、九州なら九州と、一地方一団体とするか、または数団体にするか、それらは実際問題でありますけれども、要するに業種別の団体を認めて、それへ中金その他が融資でき得るようにする道をつけることが、一番効果的で早道だ、こういう結論に達して、それがために、それの具体化をさらに連盟においては研究することになつております。どうか水産庁においてもその点を含まれて、十分御協力を願いたいと思うのであります。  次に補正予算の問題であります。これは代船の建造、ただいま松田委員の言われた冷凍、冷蔵設備、それから漁港、この三つのものは何としても補正予算をとらなければならぬと思うのでありますが、それに対してもわれわれにも何も話はないのであるが、どこまで一体これは進んでおるのか。ことに冷凍、冷蔵の問題であります。当局は御承知でありましようが、昭和十二年が最近における漁獲高の最高峰であつた。それが戰争等でだんだん減つて、去年あたりからまた増して来ておるのであります。増すに従つていわゆる第一線漁村における冷凍、冷蔵等の設備がなければ、魚を全部腐らしてしまう。腐らない場合には、東京のような大都市に持つて来て、大都市の中間業者にその利益を大部分占められる。こういう結論になるのでありまして、これから先どうしてもこれは津々浦々に冷凍、冷蔵の設備がなければならぬと思う。それによつて漁村は増産をしても、漁業者はやつて行ける。そのとつて来たものを腐らしてしまうということになれば、それはもう漁業者の滅亡であります。よつてこの代船建造、漁港の予算、冷凍、冷蔵の設備、この三の補正予算は、何としても当局は大蔵省と闘つて、各省とも折衝をして、また微力なわれわれでも、常任委員の協力を求める意思があるならば、それにわれわれは決して協力を辞さないのであります。どうかそういうことにお願いをいたしたい。  次にこれは希望でありますが、北洋のさけ、ますの漁業はどうも採算がとれにくい、海区を広げてくれということが申請されたということが、新聞にあるのであります。これは事実かどうか。調べてみて、まつたく採算がとれない場合は、これは当局は至急考慮すべき問題でないか。この点はただいま行つておる母船や独航船のみのことを言うのではないのであつて、将来国際漁業に発展する上から、真剣なる考慮を要すると思うのであります。これを私は進言を申し上げておく次第であります。  次に海区調整委員の選挙が、八月に中央、地方それぞれやられるようでありますが、これに対しても非常に考慮を要する問題であると思うのであります。すでに海区委員の中央委員には、かつてはとかくの非難があつて漁民に非常な不安を與えて、また不利なる影響もあつたように思うのであります。この選挙に対しては、これは選挙でありますから、水産庁の干渉とか圧迫とか、そういうことはできないけれども、民主主義の立場において、どうしたらいいかということを十分お考えになつて、またその方法について、次の委員会に内示でもなされるならば、非常に都合がいいのでなかろうかと思うのであります。  以上は希望として申し入れておきます。
  62. 川村善八郎

    川村委員長 ただいま石原委員より御発言が最後にありました点であります。すなわち中央漁業調整審議会の委員であります。われわれが当初あの委員を任命をせられた時分に、本委員会で相当論議せられた問題でありますので、この次の委員会に、大体今度の改選される中央漁業調整審議会の委員のメンバーがわかりましたならば、御提示あらんことを要望しておきます。  本日はこの程度にとどめ、次会は公報をもつてお知らせいたします。     午後零時四十九分散会