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1952-04-12 第13回国会 衆議院 水産委員会 第29号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年四月十二日(土曜日)     午前十時四十五分開議  出席委員    委員長 川村善八郎君    理事 小高 熹郎君 理事 田口長治郎君    理事 永田  節君 理事 林  好次君       石原 圓吉君    川端 佳夫君       鈴木 善幸君    冨永格五郎君       二階堂 進君    小松 勇次君       水野彦治郎君    井之口政雄君  出席政府委員         大蔵事務官         (銀行局総務課         長)      福田 久男君  委員外出席者         農林事務官         (水産庁漁政部         長)      伊東 正義君         農 林 技 官         (水産庁生産部         漁船課長)   高木  淳君         專  門  員 杉浦 保吉君         專  門  員 徳久 三種君     ――――――――――――― 四月十日  委員山口喜久一郎辞任につき、その補欠とし  て平井義一君が議長指名委員に選任された。 同月十二日  委員木村榮辞任につき、その補欠として井之  口政雄君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 四月十日  香深村に北方新魚田開発策源地としての諸施設  実現並びに魚田調査に関する請願玉置信一君  紹介)(第二〇六六号)  瀬戸内海水産開発法制定に関する請願川端佳  夫君外十二名紹介)(第二一二七号)  西部瀬戸内海における大型底びき網漁業の違反  操業防止のため漁礁沈下費国庫補助に関する請  願(木村榮君外二名紹介)(第二一二八号) の審査を本委員会に付託された。 同日  だ捕漁船並びに乗組員対策に関する陳情書  (第一二〇九号)  小型機船底びき網漁業整理減船に伴う乗組員  の救済措置に関する陳情書  (第一二一〇号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  水産金融に関する件     ―――――――――――――
  2. 川村善八郎

    川村委員長 これより水産委員会を開きます。  水産金融に関する件について調査を進めます。本件について質疑の通告がありますので、順次これを許します。本日政府委員として大蔵省銀行局総務課長福田久男君、説明員として水産庁漁政部長伊東正義君、同じく漁船課長高木淳君のお三人が出席しております。田口君。
  3. 田口長治郎

    田口委員 水産金融に関しまして、われわれが最も重大視しておる問題は、長期資金の問題でありますが、現在の実情から申しまして、水産長期資金は結局農林漁業融資特別会計とそれから開発銀行、この二つに期待するよりほかに方法がないと思うのでございますが、ちようど開発銀行融資対象の事業、あるいは時期的に考えまして農林漁業融資特別会計わくの設定、これがある程度研究済みの時期と考えますが、この二つ長期資金関係につきまして、水産の問題をいかように取扱つておられますか、一応その点をお伺いしたいと思うのであります。
  4. 福田久男

    福田政府委員 水産金融に関する長期資金ルートといたしまして、お話のように農林漁業融資特別会計が一番大きなルートであろうと思うのでありますが、この農林漁業融資特別会計につきましては、実は私あまり詳しい資料を持つて参りませんでした関係上、主として農林省金融課の方で取扱つておられますので、水産庁漁政部長がお見えになつておりますから、その方面関係詳細御存じかと思いますので、そちらの方へ讓らしていただきたいと思います。  第二の開発銀行でございますが、開発銀行は、御承知のように広く農林漁業のみならず、ただいまのところは電力、それから造船以外の重要な産業部面において、日本経済復興、再建のために必要な長期資金供給しておるわけでございまして、先般開発銀行及び農林漁業融資特別会計その他政府資金によつて産業及び交通関係供給すべき資金対象につきまして、経済安定本部を中心といたしまして検討を加えたのでございますが、ただいまその関係資料も持ち合せておりませんので、あらためて次の機会に私伺いまして、御説明する機会を持たせていただきたいと思います。なお長期資金に関しましては、政府資金といたしましては農林漁業融資特別会計及び開発銀行でございますけれども、そのほかに長期資金供給しておる部面もあると思うのであります。たとえば農林中央金庫において農林債券によつて長期資金を調達し、これによつて農林漁業関係長期資金を調達する、あるいは一般金融機関において、たとえば地方銀行等におきましても、もちろん資金源として預金大宗をなしております関係上、短期資金が多いとは思いますが、農林漁業関係、特に漁業方面ではそういう資金も出ておるのではないかと思つておりますが、地方によつてはそういうものもあろうと思います。そういつた一般金融機関におきましても、水産関係長期資金供給しておるものと思います。計数的に見ましても、そう全体において占める割合は大きくありませんが、出ておる地域もあるように見受けられるのであります。
  5. 伊東正義

    伊東説明員 私からお答えいたします。今お話のありました開発銀行特別会計の問題でございますが、開発銀行の方へは、私の方は大体水産関係として二十一億ばかりのものを申し込んでおるのでありますが、これはまだ決定はいたしておりません。それから特別会計の方でございますが、これは大体農林省の内部で配分いたしまして、水産関係に二十三億九千万ばかりのものが、大体わくとしてきまつております。今年度と違つてその中の項目として取上げて考えておりますのは、一つは漁港の中で、災害があつて修築する漁港があるのですが、そのほか漁港機能施設に若干のわく考えております。そのほか、あと六億九千ばかりの金ですが、これをたとえば定置とか、その他沖合の漁業とか、組合が自営でやるような場合の漁船建造資金に一部貸したい、それから協同組合荷さばき所等にも貸したい、また浅海増殖関係にも貸したいというので、一応六億九千万のわくをつくりまして、大蔵省話合いをしておるのでありますが、この点はまだ話合いが最終的にはついておりません。ついておりませんが、われわれとしては、ぜひこれは実現したいというので、去年と違つて考えておりますのは、漁港機能施設、今申し上げましたような組合関係漁船でありますとか、あるいは浅海増殖、それから組合荷さばき所というものを、項目としてあげております。そのほかに金融といいますか、例の証券買上げの問題がございます。これはまた証券担保金融考えても、あるいはいいかと思いますが、二つの問題がございます。これにつきましては、二十六年度は買上げ六十五億であつたのでありますが、二十七年度につきましては、買上げ幾らするというわくは、実はまだ決定しておりません。しておりませんが、この分がまたかなり長期のものに使われるのではないかというふうに、われわれは考えております。
  6. 田口長治郎

    田口委員 ただいま漁政部長お話で、開発銀行水産関係要求金額二十一億、それから農林漁業融資特別会計の方で二十三億九千万ということでございますが、一応その内訳を御説明願いたいと思います。
  7. 伊東正義

    伊東説明員 今申し上げました中で、特別会計の方の二十三億九千万というのは、決定したとお考え願つてよろしゆうございます。総額でございます。その中で考えておりますのは、漁港修築関係の三億、漁港災害復旧が一億四千万、機能施設が六千万、魚田開発が、これは北海道でございますが九千万、製氷冷凍が十億五千万、鮭鱒孵化場関係が六千万、それからさき申し上げました組合関係のもので、漁船建造でありますとか、増殖の問題とか、荷さばき所というようなものに、六億九千万を一応わくとして考えております。それを合せますと、二十三億九千万になるはずであります。それから開発銀行に要望いたしましたのは二十一億。これは自己調達を除きまして二十一億というのを出してありますが、これは先ほど申し上げましたように、決定ではございません。出してあるだけでありますが、その中で、水産物の高度利用関係、これは製氷冷凍、おもにそういうものでございますが、九億五千万、遠洋漁船建造関係が四億五千万、捕鯨船、キヤツチヤーに七億四千万ばかり出しております。それを合せますと、四捨五入した関係ちよつと違うかもしれませんが、二十一億くらいになるはずであります。
  8. 田口長治郎

    田口委員 御説明によりまして、金額は、ごくわずかでございますけれども漁船建造、これに対する長期資金もお考えなつておるようでございますけれども、今日の日本の各漁業関係漁船を通覧しますのに、終戦後つくりました船が大部分でございまして、どれもこれも大体七、八年を経過して、もう木造船としては使用ができない、こういうような状態なつておる。言いかえますと、更新時期に達しておる船が相当あるのでございまして、このままで押し通しますと、生命の危険を感ずるばかりでなしに、漁業自体能率という点から申しましても、まことに寒心にたえないような実情なつております。しかもそういうような漁船が一時に多数出て来ておる。しかるに漁業者経済状態考えてみますと、自己資本蓄積によつてこれらの漁船を更新するという漁業は、ほとんどないのでございまして、これに対しまして、何とか国でひとつ方法を講じて、別に補助金をほしいというわけでもありませんが、融資で、相当低利長期資金、こういうようなもので大部分漁船建造しなければ、いかんともできない時期に達してしまつておるのでございますが、この問題に対しまして、水産庁としてはいかようにお考えなつておりますか。多分研究中とは思いますが、数字的に一応そういう船齢に達した船の数、それからこれを更新する上におきましてどの程度資金がいるか、また水産庁としてはこれをいかように考えておるか、この点についてお伺いをいたしたいと思うのであります。
  9. 伊東正義

    伊東説明員 今御質問の船の建造費融資の問題でございますが、先ほど御説明しました特別会計の中にも若干船のことを考えております。これは先ほど申し上げましたように、まだ大蔵省と最後の決定にはなつておりませんので、御了承願います。これが決定になりますれば、七分五厘という低利で出るわけであります。その他の船につきまして、どのくらいの船が船齢に達しておるかという御質問でございますが、数字は漁船課長の方から後刻御説明申し上げます。考え方の問題ですが、今田品委員のおつしやいました融資の問題につきまして、相当長期低利であるということになりますと、今考えられますのは、特別会計で出すか、あるいはそれによらない場合は、ことし農林省の予算に初めて上りました家畜導入資金利子補給というような形でもとつて行かなければならぬかと思います。実はわれわれの方としまして、日本の船を全部つかまえまして、船齢に達しておるもの、これを改造するに幾らということは、まだ庁議等におきましては、そこまで相談に至つておりません。もちろんこれは問題でありますので、当然漁船課等では検討しておると思うのでありますが、まだ水産庁全部の意思としまして、どういう計画で、どういうことをやつて行くという段階にはまだ至つておりません。
  10. 高木淳

    高木説明員 現在の漁船実情を御説明いたしたいと思います。  おもな対象動力船になるわけでございますが、来月の半ばになりますと、昭和二十六年末の統計が大体でき上るのでありますが、二十五年末の統計で申しますと、動力漁船が十二万七千隻、トン数にいたしまして九十一万トンございますが、この中身を見ますと、約二十万トンが鋼船でありまして、おもに戦後建造された優秀な船であります。木造船の方は戦後建造されたものもありますが、船齢八年以上のものが約三六%、これはちようど二十三年の六月に一度船齢別統計を、動力船について一隻ずつずつととつてみました木造船のパーセンテージが四二%かになつておつたと思います。この四二%という数は、大体船齢十年以上というところでございます。今申し上げました三六%というのはちよつとぺースが違いまして、一応八年をとつてみたわけでございます。二年の差がありますので、それが約三六%、この三六%はちようど昨年末各県で調べたものを—全国やるわけにまだ至つておりませんので、千葉・茨城・大阪・和歌山と、ポイントを二つとりまして、それらの四県の動力船を集めて、船齢別にとつてこの間ちよつと作業してみますとそんな割合であります。木船で八年と申しますと、相当手数がかかり、修繕費がたくさんいる段階に立ち至つたものがそれだけになります。トン数にいたしますと、約二十四万トンばかりの木船がそういう古い状態でやつている、八年と申しましても、戦前という考え方になりますが、戦争中はもちろん、戦争前にしましても、支那事変その他でなかなか漁業建造できませんでしたので、十四、五年ぐらいなのを無理して使つているものが、この八年の中に相当入つておる状態であります。戦後は昭和二十一年から二十三年までの間にたくさん建造されたのでありますが、二十四、五、六、七年とこれは昔の平年並の建造をいたしております。船齢としては普通の状態じやなしに、二十一から三年の間に相当戦後の船ができているという分布の状態にあります。
  11. 田口長治郎

    田口委員 ただいまの御説明によりまして、木造船で八年を経過している漁船が二十四万トンもある、こういうことでございますが、御承知通り木造船がほんとうに経済的に使われる年齢は四年、無理に考えましても五年程度でございます。その後の木造船というものは、非常に修繕費がかかる、多少の操業による利益がありましても、その利益はほとんど修繕費に食われてしまう、こういうような実情木造船の経済的の価値と考えるのでございます。しかるにただいまの御説明によりまして、八年以上の木造船が二十四万トンもある、こういうような実情では、漁業能率ということも、もちろん上げることはできないのでありますけれども、非常に生命的に考えましても、危険を毎日身にしみて感じて、そうして操業しておる、こういうような実情考えるのでございます。しかるに漁業経営状態考えてみますれば、現在におきましては、あらゆる漁業自己資本蓄積によつて代船建造をすることができるということは、ほとんど見当がつかないのでございます。どうしてもこれは何か特別の融資に関するくふうをいたしましてそうして一定の計画のもとに老齢船を更新してしまう、こういうような方法考えなければならぬと思うのでありますが、この問題に対しまして、水産庁はまだ庁議その他をお聞きになつていないということでございますが、漁船課といたしましては、大蔵省とこの問題について今日まで御相談になりました経過がございますかどうか、また大蔵省といたしましては、かくのごとき実情に立ち至つているこの問題に対しまして、何か御研究なつておられることがありますかどうか、その点を重ねてお伺いいたします。
  12. 高木淳

    高木説明員 これはまだ庁議にもかけるところまで行きません。漁船建造という面だけの考え方と一緒に、漁業全般から見てかからねばなりませんので、それとにらみ合せた上で庁議相談しようと、こう思つているわけでございます。
  13. 田口長治郎

    田口委員 この問題はきわめて重大でございますから、国会といたしましてもすみやかに取上げまして、水産庁国会及び大蔵省あるいはその他の金融機関、こういうものとよくひとつ懇談をいたしまして、そうして問題をすみやかに解決するような道を講じたいと思いますから、適当な時期に、委員長におきまして、しかるべく代船建造問題につきましてお取上げを願いたいと思います。
  14. 小高熹郎

    小高委員 大蔵省銀行局福田総務課長にお尋ねいたしたいのでございますが、私どもはわが国の経済復興という意味におきまして、総合施策による祖国日本経済復興をいかにすべきか、この総合施策をどういうように基本的に考えて行かなければならないかということを考えまするとき、当然の結果として水産業の振興というものが大きく考えられるのでございますが、この水産業に対する金融及び金融に付随いたしますところの施策が、農業と比較いたしましてはなはだしく見劣りがする、極端に申しますれば、問題にならぬほど差別待遇をされているということにつきましては、先年来同志とともにこの点の解決に努力すべくやつて来たのでございますが、たまたま金融問題に相なりますると、とかく水産業に対する金融不健全金融というようなことをいわれるのでありますが、その不健全水産経済を健全化するにはどうしたらいいかということは、これは国の産業面を担当する政府及びわれわれ一体となつ解決しなければならない大きな問題であろうと思います。水産経済を語る場合に魚価最低保障等の問題も起きて来るのでありまするが、これらも現在ノールウエーにおいて、魚価最低保障をして漁村経済の安定を期しておるということを聞いておるのでありまするが、われわれの感覚においてただいまの姿において魚価最低保障をするということになりますと、冷蔵庫完備を期さなければならない。冷蔵庫完備するには資金がいる、また電源解決せなくちやならぬ、こういう関連的な見地からいたしまして、まず電源はともかくといたしまして、資金面の問題でございます。冷蔵庫資金については政府特融がございまするが、最近各種の事情を総合してみますると、政府特融ばかりで冷蔵庫問題は解決しない。当然会社関係にも開発銀行を通ずる融資をたくましくして、両々相またなければ、冷蔵庫完備ということはできない。それがやがて魚価最低保障自然解決の方途を講ずるのでございまして、そういう意味において政府特融のみでなく、開発銀行関係融資をもつとたくましく冷蔵、製氷関係にもしなければならぬと思うのでありますが、私が今日福田課長にお尋ねせんとするのは、漁船建造資金の問題であります。ただいまも水産庁当局からいろいろ内容説明がございましたが、老朽船の代船建造資金をどうするか、これは特に政府において特別な措置を講じないと、一般銀行においては設備資金はただいま出さないという方針に相なつておりますので、この点新たな施策をここに講じて行かなければならないのでございます。そういう意味から、政府においてただいま設備資金に対するどういうような窓口銀行を持つておるか。開発銀行であるとか、あるいは興業銀行であるとか、その他設備資金に対する長期金融をする窓口が何箇所あるかということを、まず第一にお伺いしたいのであります。
  15. 福田久男

    福田政府委員 水産業日本経済復興のためにいかに重要であるかということの認識を新たにせよというおしかりを受けたのでありますが、私どもも、お話通り水産業が国内の食糧供給面から考えましても、あるいはまた輸出産業という観点から見ましても、それが重要であることについては、これはおしかりを受けましたけれども、十分認めておるのでございます。ただ何分にも一般的に日本経済資本蓄積力が乏しく、資金量が各方面において不足しておるという事情もございますので、各産業とも十分な資金供給をすることはとうてい困難な事態にあるのでございますから、水産業におきまして不足がちであるという点は各産業も同様でございますので、ある程度忍んでいただかなければならないことは御了承いただけるだろうと思うのでございます。ところで水産業に関する長期資金窓口と申しますか、供給機関にどういうものがあるかという点でございまするが、先ほどもちよつと申し上げましたけれども、まず第一にお話に、ございました農林漁業融資特別会計というものが、最もそれを重点とした窓口であろうと思うのでございます。主として農林漁業融資特別会計は大きな企業というものは対象としないで、むしろそれ以下の企業対象考えられ、あるいは共同施設とか、そういうような面を対象として考えられておると思うのであります。それからやや大きい企業につきましては、開発銀行も応分の融資をそれに対して行つておるのでございます。昭和二十六年度におきましては、農林水産関係開発銀行が二十六年中に融資を承諾いたしました金額は八億三千万円で、ございまして三月末までに現実に融資をいたしました金額が七億一千万円に相なつております。内容の詳細は私詳しく承知しておりませんけれども、ただいま御指摘になりました高度利用、たとえば製氷冷凍というようなものもこの中につておるのであろうと思います。今申しました二つは一種の—一種のと申しますと語弊がありますが、政府資金であります。農林漁業融資特別会計につきましては政府融資決定するという仕組みになつておりますが、開発銀行はやや趣を異にいたしまして、大きな骨筋と申しますか、根本方針につきましては、毎年度政府資金による融資の基準となるべき産業に関する基本計画というものをきめて、その方針にのつとつて開発銀行融資をする。ただその基本計画なるものは金額の配分はいたしておりませんで、こういう対象に対しては融資することが適当であるという抽象的な業種と申しますか、もう少しくだいて申しますと、その中のたとえば漁業で申しますと、漁港の整備、魚田開発というような表現で、うものをきめておるのでございます。その抽象的な方針にのつとりまして、個々の案件についてはその方針にマツチし、また融資するを適当とするかいなか、また融資する金額はどの程度が適当であるかということは、開発銀行の自主的な責任においてこれを決定いたしておるのであります。従いまして水産関係のどういう会社幾らの金を貸すというようなことにつきましては、直接私ども復興金融金庫の場合と違いまして、融資の承諾ないしは決定については参画はいたしておらないのであります。もちろん事後におきましてこれを監督するということは可能でございますけれども責任の帰属を明らかにするという立場から、開発銀行理事者責任ということを明確ならしめるために、自主的に運営してもらつておるのでございます。それから第三の長期資金窓口といたしましては、債券発行機関がございます。債券発行機関として水産業に特に密接な関係のありますのは、農林中央金庫でございます。農林中央金庫は大体長期資金といたしまして、月々最近では四億程度農林債券発行いたしております。この農林債券四億の発行が、長期資金源大宗をなすものと考えられるだろうと思います。もちろんその中から農業方面あるいは林業方面に行くものもありましようが、水産関係に行くものもあるわけでございます。それから債券発行機関の次のカテゴリーといたしましては、債券発行銀行というものがございましてそれが本国会にも長期信用銀行法案というものを御提案申し上げて御審議を願つておるのでございますが、長期信用銀行のその前段階といたしましては、債券発行銀行でございますが、たとえば日本興業銀行日本勧業銀行、こういつた債券発行する銀行は、その得られたる長期資金によつて長期融資をやつておりますが、その長期融資対象には、主として企業形態における水産業対象になると思います。金額ちよつと調べて参りませんでしたけれども、その面からも水産関係長期資金が出ると思います。一般預金銀行につきましては、将来の指導方針としては、できる限り長期資金はそれらの債券発行する長期信用銀行をして担当せしめ、預金銀行長期資金に少し重点を置き過ぎた感がありますので、その業務分野を明確ならしめようという方針でございますけれども、しかし昔から預金銀行といえどもある程度長期資金は出しておりましたし、また出しても業務の運営にさしつかえないと思います。方向として、あまり預金資金長期資金に運用し過ぎますと、銀行の資産の流動性という点から見ていかがかと思われますので、方向としてそういう方向に向うが、長期融資を禁止するということは考えておらないのです。現に地方銀行におきましては、あらゆる種類の金融を担当しておりますので、特に水産業の盛んな地方におきましては、水産業に相当のウエートを置いた地方銀行もあるように承知いたしております。そういつた意味合いにおいて、漁業の運営資金はもちろんのこと、長期資金融資することも少くないのではないかというふうに考えております。何分にも各産業とも、自己資本が非常に他人資本、借入れ資本に比べて少ない関係上、コマーシヤル・ペースによつて融資考えます場合に、非常に御苦労をなさつておるということは、ただに水産業だけの問題じやなくて、一般的な問題であろうと思います。そういう意味で、一方において預貯金をふやす必要があると同時に、他方において自己資本をできるだけ充実するように、両面からこれを立て直して行くというように進まなければならないのではないかと考えるのであります。
  16. 小高熹郎

    小高委員 ただいま福田総務課長の答弁によりまして、設備資金に対する大体の考え方はわかりました。水産業に対して非常に理解あるお言葉でありましたが、そのくらい理解があるとするならば、漁民の犠牲において大衆が水産蛋白給源に満足するというような犠牲と、国民の栄養問題、これらを均整のとれた考え方と答えを出して行かなくてはいかぬと、私は考えるのであります。そういう際に、言葉の上の理解はありましても、実際にその結果は如実に現われておらない。ことに最近の地方銀行設備資金に対する貸出しは、奥からの指令によつてわれわれに貸出しすることができないのだという声を聞くのであります。ただいまの御答弁によりますと、そうでもないらしいのでありますが、これはその地方銀行の任意によつて長期設備資金を貸出してよろしいかどうかという基礎的な問題でありますので、一応漁民大衆から私はいろいろ嘉を訴えられると、これをひつさげて金融機関と折衝しなければならぬ機会が多いのでございますが、地方銀行では、本省から何らかの通牒があるために、設備資金が貸せない、長期資金が出せない、こう言つておるのであります。その点どうであるかということを重ねてお尋ねしたいのであります。
  17. 福田久男

    福田政府委員 ただいまの御質問は、おそらく昨年の十月二十日に銀行局長通牒として設備資金の融通の抑制に関する通達をいたした、そのことをさしておられるのではないかと思います。十月二十日のその通牒におきましては、ちよつと関係のところを説明いたしますと、原則としては、設備資金供給については特に愼重を期して、なるたけ新規の設備資金供給は、特に緊要なものは除いて、ほかのものは差控えた方が適当であろう、しかしそうは言つても、次に掲げるような資金についてはその例外だということで、若干の項目を掲げてあるのであります。たとえば並べたものを若干申し上げますと、電力の増強に必要な資金、船舶の造修及び取得に必要な資金、石炭の増産及び石炭鉱業の合理化に必要な資金、鉄鋼業の合理化に必要な資金、その次に農林漁業に関する資金で特に緊要なもの、それから中小企業については、輸出産業、重要産業の関連産業及び生活必需物資産業のための資金、そのあとにもございまして、たとえば開発銀行と協調融資のために行うものというような項目を並べております。その中で、農林漁業に関する資金で特に緊急なもの、あるいは中小企業については輸出産業、生活必需物資産業のために必要な資金—これは設備資金のことでございますが、そういつたものについては例外だというふうにいたしております。ただ非常に漠然といたしておりますのは、通牒全体があまりこまかな指図をしないで、できる限り各銀行の自主的な判断に基く協力に期待しておる建前上、非常に抽象的に書いてあるのでございます。今読み上げましたように、漁船建造資金は、貸すなという中には入つておらないので、例外の中の、農林漁業に関する資金で特に緊要なもの、緊要であると銀行で判断すれば、この通牒の趣旨から申しまして、貸していけないということにはならないと思うのでございます。
  18. 小高熹郎

    小高委員 日本が講和発効後において、広く海に活躍して水産日本の実をあげようということは、一つの経済復興の基本原則であることは、御承知通りであります。しかるにただいま論議されておるところの地方銀行長期融資は、水産関係はしてもよろしいということになつておるとはいいながら、実際問題としては、その通牒をたてにとつて出しておらない。出せないと言つておる。そこでしいてこれを追究すると、資金源が枯渇しておるというようなことになるのでございますが、今日特に福田課長に私が要求せんとするところは、地方銀行地方銀行として、今までのわくがそのままはつきりしているような、しないようなことであるならば、これはよろしいというわけには行かないのでありまして、地方銀行においても設備資金を出し得るというような、ひとつもつと強い解釈を一本出してもらいたいことと、それから出すようなことになつても、地方銀行においては資金源が十分でなくて、十分まかない切れないというようなことを言いかねないので、その際に大蔵当局は日銀に命じて、地方銀行に金を貸し出してまでこれをやらせたいというのが、私ども考えでありますが、そういうことをやつていただく意思があるかどうかということと、もう一点は、もしそういうことがめんどうである、あるいは困難であるとするならば、われわれが今主張せんとするところの老朽船の改造設備資金については、これはどうしても国が出すことが妥当であり、出さなければいかぬのであります。わが国の水産業に相当ウエートを持たしておるといつても、結果が現われておらないのでありますから、別途の方法政府直接に相当額の融資をする意思があるか、あるいは地方銀行に対して—地方銀行ほど実情をよく知つておるものはないのでありますから、その希望によつて政府の金を直接出すか、地方銀行を通じて出すか、いずれにしても出さなければ、先ほど田口委員からも御意見がありましたが、生命の危険もあるし、またこれをもつて経済復興の基礎にするということができないのでありますから、いずれにしても出さなければいけない。この感情をいかにせんということを追究しているのでありますから、その点に対してもう一回ひとつ明確なる御意思を伺いたいと思うのであります。
  19. 福田久男

    福田政府委員 地方銀行漁船建造資金の通牒をたてにとつて出さないというお話がありましたが、通牒は先ほど御説明したように、何でも農林水産関係資金ならばよろしいというのではなくて、特に緊要のものという條件はついておりますが、当該漁船建造がどうしても必要である。いたずらに漁船を増加しようという意味ではなくて、ほんとうにその代船を建造しなければ非常に困る事情にあるということを、地方銀行で判断すれば、通牒等との関係では出し得ると思うのでありますが、今度地方銀行の立場に立つてみますと、融資そのものが、対象としてはそれに該当いたしましても、コマーシヤル・ベースの立場から判断して、融資が非常に困難だというような事態が少くなかろうかと思います。これは水産業に限らず、あらゆる企業について、銀行融資が非常にやられないで困るという話があるのも、皆様も御存じの通りでありますが、結局は先ほど申しましたように、資本蓄積の乏しいという点にまた話は帰つて来ると思うのであります。そういう意味合いから、一面においては資金量の増、他面においてはコマーシヤル・ベースから見て、融資が非常に困難である場合があるという、この二つの点に問題は帰着するであろうと思います。  そこで第二の御質問は、地方銀行にも設備資金をどんどん出すように、そういつた業務分野を明らかにするような方法をやめたらどうだ、端的に言うとそういう御質問だつたと思います。しかしながら銀行経営の立場から言いますと、短期資金の多くの部分長期資金にいたしますと、預金の拂いもどしに支障を来たすというありふれた議論でございますが、そういつた面から見て、従来は長期資金供給する專門の機関というものがあまり明確になつておらなかつたので、長期資金を出す機関としては、主力を長期資金供給におく機関をつくる、同時に預金銀行の面では金融債を持つ、そういう流動的な形で運用して、長期金融機関の方に資金を流し、そちらの方から長期資金を出す、預金銀行の方では原則として短期の資金を出して、従来長期資金に出すような部面金融債でいつでも換価し得る状態に置いておくというような、基本分野を漸次明確ならしめるように持つて行くということは、世界各国における共通の立場だと思うのであります。お話のような方向で進むことは困難ではないかと思います。しかし前にも申しましたように、そういう預金銀行といえども、一切長期資金供給するのは適当でないというように申し上げているのではなくて、定期預金というものもございますし、また安定した底になつてずつと引続き残る資金量もございますので、ある程度長期資金供給をやることは禁止する意思は毛頭、ございません。  それから話はさつきの話にもどりますが、資金量の点から見まして、不足した場合に日本銀行から資金供給するという点でございますが、これは一方預金において吸収した金と、他方貸出しにおいて出した金と、総体をにらみ合せた資金繰り上必要な面については、日本銀行において全体の資金繰りのしりとして見る。もちろん金に色わけはしておりませんので、どの方面にその資金が流れるかということについては、そこまで追究はできないわけでございますが、必要な範囲においては通貨全体の状況なり金融情勢なりをにらみ合せまして、必要な範囲の銀行資金繰りのしりにつきましては、日本銀行において応分の操作をいたしておることは御承知通りであります。やはり何と申しましても、水産業につきましてはコマーシヤル・ベースの立場から見まして、融資が困難であるという事態が相当あるのじやなかろうか。それを解決するために、預金者をバツクに控えた預金銀行のみに依存することは、非常に困難な問題ではないかというように思うのであります。しかしかりに融資がこげつきました場合に、預金者に迷惑をかけるようなことにならないような措置と結びつけまして問題を処理する方向考えなければならぬ面が少くないのではなかろうかというように存ずるのであります。そういう意味合いから、たとえば開発銀行ができた、あるいは農林漁業融資特別会計というようなものができたのもそういつた趣旨をも兼ねておるのであります。一方においてそういつたコマーシヤル・ベースの関係と、他方において金利による一種の補助と申しますか、隠れたる補助と申しますか、そういつた思想から今申し上げましたような政府資金供給という道があるのではなかろうか、しかしそれはあくまで補完的な作用を営むのであつて、できるだけコマーシヤル・ベースに乗る限り一般のそれぞれの金融機関でまかない、その補完的な機能を営むものとして、そういつた政府資金を財政資金によつてまかなつて行くべき部分があるというように考えるべきじやなかろうかと思います。もちろん財政全般の事情等もございましようと思いますので、私の所管外のことではありますが、財政全般の事情ともにらみ合せて、各方面とも資金そのものは十分にとは行かない品わけでございますから、ほかの方の均衡その他を考えて、適当なところでがまんをしていただくというようなことにならざるを得ないのではないかと思います。
  20. 小高熹郎

    小高委員 最後に一点お尋ねしたいのでありまするが、答弁がなかなか丁寧でございまして、その点はほんとうに私どもも了承するのでありますが、急所になりますと適当にというような言葉でありまして、はなはだ不満足なのであります。具体的に言いますと、代船建造に要する資金が一年間に少くとも五十億はいる。これは数箇年計画でございまするが、エンジンをデイーゼル・エンジンに切りがえるということに対して、油の節約等の利益が非常に多いのでございます。これらに対して約十一億くらいの所要資金がほしい。合計六十一億程度のものをまず初年度において得たいのがわれわれのねらいであるのでありますが、この点について中小企業信用保険法というこの法の精神を取入れた融資を大蔵当局においてなさる意思があるかどうか。その点をお尋ねしたいと思います。
  21. 福田久男

    福田政府委員 御質問の点非常に重要な問題でもございますし、十分私どもも検討いたしておりませんので、検討いたしました上でお答えしたいと思います。
  22. 小高熹郎

    小高委員 それでは福田総務課長がお帰りになりましたら、どうかわれわれのこの意見を日本銀行の総裁及び各関係者及び大蔵省銀行局部内において十分に御研究くださいまして—これはどうしてもただいまこの場であなたからお答えをとるということは少し無理だと思いますので、日を改めてもう一度答弁をお聞きする機会をつくりたいと思うのであります。どうか今の言葉に基きまして、大蔵省及び日銀間において十分話合いをし、研究をして、必ずわれわれの希望が実現するよう切に努力をこいねがいまして、私の質問を打切つておきます。
  23. 福田久男

    福田政府委員 ただいまの問題は財政に相当重大な関係がございますので、皆さんの御意見をもう少し承つた上で、主計局それから水産庁等とも御協議を重ねて参りたい、かように考えます。
  24. 石原圓吉

    ○石原(圓)委員 福田さんは銀行局の総務課長さんでありまして、およそ銀行局の仕事のすべての立案、その他実行等の枢軸をなすものと思うのであります。そういう方が御出席になつたことは、本委員会においても非常にけつこうだと思うのでありますが、今後もしばしば御出席を願いたいのであります。希望として申し述べておきます。  まずこの代船建造のことでありますが、これはもう二年もこのまま置けば、木造船の約半分は能率を失つて—いわゆる沿岸の漁業を主として、半分は能率がなくなるという実情にあるのであります。この問題については、最近本委員会が取上げてこれの検討に着手したわけでありますが、大蔵省銀行局におきましては、この代船建造融資に対して今日まですでに御検討になつておるのでありましようか、またこの委員会が持ち出したので、初めて関心を持たれるというような程度ではないのでありましようか、これに対するところのただいまの総務課長さんのお考えはどんなことでありましようか、まず一応承つておきたいと思います。
  25. 福田久男

    福田政府委員 おしかりを受けると思いますけれども、今までのところそう深く検討したということはございませんでした。
  26. 石原圓吉

    ○石原(圓)委員 私らの立場から申しますと、日本水産物全体の漁獲水揚げをせんならぬ漁船でありましてこの問題は漁業者の生活の基本であります。これがただいまのところ初めて御認識の第一歩に入られるということは、非常にわれわれとしては遺憾なのでありまして、これは今回を機として十分調査研究をすみやかにやつていただく、それにつきましては、單に銀行局内部のみでは、促進上そうゆつくりとしておれない問題でありますから、何らかこれを具体化するについて適当なる方法をとる、その手段方法についてお考えがありましたならば、承りたいのであります。
  27. 福田久男

    福田政府委員 代船建造について最も事情をよく御存じである水産庁と十分御協議を申し上げて、検討して参りたいと思います。
  28. 石原圓吉

    ○石原(圓)委員 そのお言葉は銀行局を代表する総務課長さんのこの委員会における言明でありますから、私どもはかたくその点を確信を持つものであります。委員会が済んだならば、ただちにもその具体化に移るように、もう委員会が済んだら、また水産庁から何とか言つて来るだろうというようなことでは、漁民はほんとうに行き詰まるのでありますから、特にこの点は強い意味でお願いをいたしておきます。  次に開発銀行でありますが、過日開発銀行理事の方が御出席になつていろいろ話を聞いたのであります。そのときに、いわゆる五大会社と申しますか、大きな資本漁業会社にはすでに三億ほどの融資をしている。しかるに零細なる漁村の高度利用製氷冷凍、冷蔵には二億円ばかり融資する予定であるが、まだ少しも貸し出しておらぬということでありまして、いわゆる漁民大衆の方へはいまだ一厘も開発銀行は融通していない。しかるに五大会社へは三億円をすでに融通している。この事実は、銀行局においても指導的な意思が働いているのでしようか。たとえば財閥会社は大いに尊重してやるが、漁民大衆の側はしかるべくやれというのか。日本金融をつかさどる本家本山であります銀行局としての指導的なお考えはどうなつているのか。このことをわれわれは漁民大衆のために非常に不安を感ずるのでありまして、これに対するお考え方を承つておきたいのであります。
  29. 福田久男

    福田政府委員 開発銀行は、農林水産関係で先ほど申しましたが、二十六年度中において、融資承諾額は八億三千万円でございまして、そのうち融資いたしました金額が七億一千万円、承諾したが、まだ現実に金を渡していないものがその差額の一億何がしかになるわけであります。内容の個別の詳細は私今あまりこまかく承知しておりませんが、おそらくそのうち割に大きい企業が多くの部分を占めていると思います。もちろん開発銀行融資考えます場合に、開発銀行は主として企業形態における経営体を対象にするのでございますし、また店舗もう少いし、そうせざるを得ないと思います。制度的に考えますと、水産関係融資開発銀行が一手に引受けるというわけではもちろんなくて、先ほどもたびたび話が出ましたように、農林漁業融資特別会計というものもございまして、それらは農林中金の機構を通じて地方に組織も持つておりまするし、制度の根本から考えますと、やはり両者の分野というものがおのおのおると考えるのであります。従いまして組合とかそういう面を通じて出ますものにつきましては、農林漁業融資特別会計というものの方がそちらの方へまわつて企業形態の方にはまわらない、開発銀行企業形態を担当するという、おのずからそこに分野をつくつて考えて、両者をあわせて御判断いただきたいというふうに思うわけであります。
  30. 石原圓吉

    ○石原(圓)委員 はなはだ説明に対して惑いを生ずるのであります。数字的のことはまず第二にしまして、今福田課長の申されるところは、開発銀行は必ずしも水産金融すべき使命を持つておるのではないという意味に聞えるのでありますが、しかるに貸しておる、融通はしておる、こういうのであります。そうなれば融資を受ける連中は、融資が受けられるから融資を受けるというので、新しくできた開発銀行へ殺到するということは、零細なる漁業者の場合は当然であると思うのであります。かつて廣川さんが第一期農林大臣になつたときに、金融については水産金庫もしくは水産銀行をつくるということを堂々と宣言されたのでありまするが、その宣言は実現せなかつた。それから今回また再び農林大臣になられて、最近に農林水産金庫というか銀行というか、とにかく独立した金融機関をつくるということを申されておるのでありますが、これも実現の点ははなはだたよりないのであります。そうして一方中金におきましては、農林大臣の言うような金融機関はいらない、おれのところで十分まかなえるということを、理事長初め広言しておるのであります。それで実際においては、開発銀行も、またわれわれの方では最初ちつとも関心を持たなかつた商工中央金庫も水産へ融通をしておるのであります。こういうぐあいに、使命であるないにかかわらず、いろいろの方からわずかずつ融通をしておるということは、一つには漁民が迷う点であります。また漁業者が非常に迷う点であります。農林大臣は金融機関をつくると言う、中金はそれはいらない、こういうようなことを言つて開発銀行は貸しても貸さぬでも別に主たる使命でないけれども、融通はする、また商工中金もする、そういうことになるということは、いわゆる銀行局と申しますか大蔵省と申しますか、水産金融に対するところの確固不抜の方針がきまつていないということに結論をつけなければならないのではないか、そういうことならば、あつちの窓口にも融通を求め、こつちの窓口にも融通を求め、都会に本拠を置いておる五大会社のごときは、自動車で走れば、すぐ大蔵省でも水産庁でも行けるのでありますが、たとえば九州や北海道などの地方から、こういう金融を求めるために上京するのは、容易のことでないのであります。時間的にも経費の上にも非常な困難を感ずるのであります。だから政府が、どの銀行は積極的に貸す、どの銀行は貸さないということをはつきりしたならば、こういう惑いを漁民が起して、そうしてみなが特別の苦労をするということはなかろうかと思うのであります。そういう点につきましては、どうお考えなつておられますか。
  31. 福田久男

    福田政府委員 水産業金融につきましては、第一段には先ほど申しましたように農林漁業融資特別会計、第二段には農林中央金庫、そういう方面が主流をなしておると考えるのであります。それ以外の部面におきましては、たとえば地方銀行の話も先ほど出ましたが、それぞれの実情に応じて融資を行つておると思いますが、これは水産業に限らず、あらゆる産業について見ました場合に、一種類だけの金融機関というものではなかろうと思うのであります。いろいろな金融機関それぞれの実情に応じて融資を行い、あるいは融資を受けるというのが一般実情であろうと思います。そういう意味合いから見まして、水産業だけ別扱いにしておるということでは毛頭ないというふうに考えます。
  32. 石原圓吉

    ○石原(圓)委員 われわれは、貸すというのを貸さぬでおいてくれとは言わないのです。貸すことはできるだけ貸してもらいたいのであります。しかし窓口はどこへ行つたらいいのか、行く先に迷うようなことはいけないというのです。今度また輸出入銀行というのができた。あれは前には輸入銀行であつたか輸出銀行であつたか、とにかく一方であつた。それを輸出入銀行というものに性格をかえた。こういうことも、最初における研究が足らぬからで、結局ちよつと輸出銀行でやつてみようということで出発して、やつてみて、それから今度は輸出入銀行にするというふうで、非常に軽卒と申すと失礼でありますが、愼重な調査研究が足らぬために、業者を非常に混迷に陷れるおそれがないかということ、漁業者は確かにそういうことになつておるのであります。  そこでもう一つは市中銀行であります。市中銀行、民間銀行日本銀行と連絡がよく、たとえば日本銀行の役員をしておつた人が、民間銀行の頭取とか常務になるとか、あるいは日本銀行の重役方と縁故関係があるとか、そういう種々の関係のために非常に融通力のある民間銀行がある一方、そういう関係がないために非常にきゆうくつな銀行があるということを言われるのでありますが、この点について銀行局は、日本銀行もしくは民間銀行に対して、何らかの連絡もしくは指導方針があるのでありましようか。なお輸出入銀行の使命はどういう方面へ貸出しをするのか、たとえば水産物の輸出輸入に対しても、他のものと同様の融資をするのか、この点を承つておきたいと思います。
  33. 福田久男

    福田政府委員 前の方の御質問の趣旨、必ずしも私十分理解できませんでしたので、多少ピントがはずれておるお答えを申し上げるかもしれませんが、日本銀行関係者が地方銀行等に軍役としておる程度送られておることは事実であります。しかしながらそれだからといつて日本銀行業務のやり方なり何なりに特別の差等を設けておるということはないと思います。市中銀行金融を行います場合には、市中銀行として、あるいは地方銀行として金融を行いまするには、地方銀行としての自分の自主的な立場によつて個々の融資の案件を処理いたしておるわけでございますから、それに対して高い見地から見て、不急不要であるというような融資をいたしておりますれば、それに対して銀行検査等の場合に十分注意をするということにはいたしております。ただ個々の融資について、いわゆる融資あつせんという程度のものは日本銀行においてやつておりますが、進んで大蔵省から個別の案件について、融資についてとやかく申し上げることは一切いたしておりません。  第二の問題でありますが、輸出銀行が輸出入銀行なつたのは、どうもやつてみてまずかつたからまた直したのだろうという非常なおしかりを受けたのでありますが、これは申訳になりますので一応お耳を汚す程度にとどめていただきたいのですが、当初輸出銀行をつくります場合に、私どもといたしましては、輸出入銀行として発足いたしたいということで、相当時間をかけまして、長い間関係方面と交渉をいたしておつたのであります。しかしながら、どうしてもその問題が解決しないで輸出だけでスタートしたらどうだというような話になりまして、輸出銀行としてスタートをいたしたわけであります。今回輸入業務を入れましたけれども、輸入業務は私ども考えておるよりも範囲がかなり狭められております。非常に條件がつきまして、狭い範囲の輸入業務しか行えないことになつております。非常に抽象的ではありますが、もつと具体的に申し上げますと、輸出の面におきまして、俗にいうプラント輸出を対象にいたしております。たとえば機関車だとかあるいは繊維機械、紡績機械とかあるいは船とか、そういつたものを外国へ輸出いたします場合に、日本の生産者に対してその前提としてそういうプラント輸出をいたします場合には、代金の回収が長引くのであります。分割安拂いを受けますけれども、一年とか二年とか、長い期間かかつて四分の一ずつとかなんとかいう條件によつて回収する、その間の金に詰まります。日本のそういつたプラントを輸出することは、今後販路を拡張し、また日本品に親しんでもらうという意味合いからどうしても必要であるということで、そういつたプラント輸出の輸出代金の回収が遅れる間のつなぎの金融を担当するのが輸出銀行の輸出金融業務であります。他方今度入れました輸入金融は、そういつたプラント輸出と関連する場合もありますが、関連しない場合もありますので、具体的な事例で申しますと、ゴアの鉄鉱石を開発する、あの場合には、たまたまこちらのプラント輸出とゴアの鉄鉱石輸入と結びついたのでありまして、こちらから機械を輸出しまして、ゴアにそれを備えつける、そうして鉄鉱石を掘つてその鉄鉱石を日本へ輸入してさつきの輸出代金と相殺する、つまり鉄鉱石を入れて機械を出す、時間的に若干ずれますが、そういう構想で、ゴアの鉄鉱石開発というものに関連してプラント輸出が行われた。ところが、こちらの機械は入れないが、現地において開発資金としてどうしても金がいる。しかし将来、外で得た鉄鉱石なり銅鉱石なりを日本に五年なら五年契約で長期にわたつて日本から見れば輸入、向うから見れば輸出ですが、輸出をする契約をしてもよろしいという事例が東南アジア方面にかなりあるわけです。そこでそういつた契約をいたしまして、五年なら五年間にわたつて、毎年百万トンなら百万トンずつ日本でそういつた鉱物性資源を輸入するために、増産する開発資金、輸入代金の前渡しとして向うへ前渡しする金を輸出入銀行で貸すというのが今度の輸入業務のねらいでございます。そういつた意味で非常に限られた範囲の輸入金融業務しかできないということに相なつております。従いまして全体を通じまして一般の、たとえば綿花の輸入だとか、あるいは水産物の輸出だとか、あるいは綿製品の輸出だとか、そういつたものは輸出入銀行業務対象には入つておりません。それは一般金融によつてまかなつてもらいたいということであります。
  34. 川村善八郎

    川村委員長 この際、石原委員並びに各委員にお願いいたします。水産金融の質疑は継続いたしますが、伊東漁政部長は零時半から他の会議に出席しなければなりませんので、伊東漁政部長質問のある方は先にお願いをいたします。
  35. 石原圓吉

    ○石原(圓)委員 私のはすぐ片づけますから、ちよつとお願いします。輸出入銀行の輸出入は大体機械、鉱石というようなものに限られるわけでもないのでありますか。たとえばカン詰のごとき、またその他の、たとえば真珠の核をつくる原料は外国から来ます。そういうものはこの輸出入銀行融資対象になるのでありましようか。その点をちよつと伺つておきたいのであります。  次に復興金融金庫が今度財産全部を、負債も資産もみな開発銀行に引継いだ以後に、最近に非常に取立てが苛酷になつておるという事実があるのであります。これは私の県の坂手村という所でありますが、二十四年に三百万円揚繰網の建造資金を借りた。そうしてあと仕込み資金に二百万借り入れる約束でありましたが、その二百万円を貸さないために非常に困つて、結局復金の利息が返せない、それでも復金の時代は何とかがまんをしておつたのでありますが、今度開発銀行にかわつてから、すぐにその船舶を差押え、最近に競売に付するということができて参つたのでありましてそのときに、その窓口として融資をした土地の勧業銀行は非常に気の毒がつて、何とか緩和策をしたいというけれども、それができない。こういう事実が最近に現われたのでありますが、これは開発銀行に復金の融資を肩がわりをしたためにこういう苛酷な問題になつたわけですが、このことがもしひどくなれば、復金から借銭をして抑えない船主は、全部このような非常にみじめな処置にあうと思うのであります。元来復金の融資というものは、民間銀行その他が危険を感じて貸出しのできない産業に貸すということがそのときの性格であつた。そういう点からいつたならば、こういう処置をとるべきでないのであつてしかもこの坂手村の揚繰網に対しては、あとの仕込み資金二百万円を貸す約束をして貸さなかつたということが原因で、結局失敗に終るということになるのであつて、復金にも一部の責任があると思うのでありますが、それであるから復金時代は何ともなかつたが、開発銀行に引継ぎを受けてからそういう問題が起つた。こういうことなのでありまして、これらに対して、もし大蔵省指導方針が、復金では取立てが緩漫であつたから、お前のところへ引継ぐから、お前のところは厳格に取立てよというような、大蔵省、いわゆる政府の指導的な意味が含まれておるものであるか、ないかということについて、その点をちよつと伺つておきたいのであります。  大体これで私の質問は終りますが、最後にちよとつけ加えて尋ねたいことは、たとえば、最近に自動車を買うのに、輸入の自動車ならば、ドルを持つて行かなければ買えない、こういうようなことは、日本としては非常に不便だと思うのでありますが、ドル及びポンド、こういうものを使わなくて、国の貨幣でもつて輸入品の取引ができる時代が来るのか来ぬのか。来るならばいつごろかということを、大体の見通しでも、お考えがあれば聞かしてもらいたいのであります。  それからこれは全然私の空想かもしれませんが、漁村の水揚げ高、漁獲高から、たとえば千分の一でも、漁民全体から天引の貯金をすることが、法律上できるかどうか。もしそういうことができたならば、一年に数十億の漁民共同の金ができるのであります。そうなれば、大蔵省や他の金融機関へ頭を下げなくても、漁民みずからの積立金による水産金融ができる時代が来ると思うのでありますが、あるいはこういうことは憲法に抵触するとか、いろいろな説があるのでありますが、民主的に日本の漁民全体が申合せをしてそうして契約をして、たとい千分の一でも二でも水揚げ金を積み立てるということができぬものかどうか。このことも今すぐにできなければ、研究をして、でき得る方法があればひとつ研究してもらいたい、こう考えるのであります。以上であります。
  36. 福田久男

    福田政府委員 第一は、輸出入銀行の輸入業務の中に、真珠の原料になるものが入るかどうかということでございますが、この輸出入銀行の輸入業務対象になる品目は、ただいまのところ鉄鉱石、強粘結炭、そういつた数種の鉱物性資源が対象なつておりまして、お尋ねのものは対象なつておりません。目的は、先ほど申しましたように、東南アジアの開発ということと結びつけて考えておるということでございます。  第二の、復金貸出しについて特に回収を厳重にするように指示したかというお尋ねでありますが、御質問にありました個別の案件につきましては、どういう事情があつたのか私よく承知しておりませんので、当該案件についてのお答えはできませんけれども実情に応じて、その企業を生かすことによつて回収できるという見込みがあります場合には、普通の常識といたしましては、何とか生きるようにして回収するのが、金融機関としてのやるべき常道であろうと思います。何かほかに原因があつてすぐに差押えをしなければならない、公売しなければならないという特殊な事情があれば別でございますが、もしその具体的案件について詳しく承知されたいのであつたならば、開発銀行の方へお問合せいただければわかるのではなかろうかというふうに思います。  それから第三の、ドルによつて自動車その他外国品を買うのが非常に不便であるというお尋ねでございましたが、どうも御質問の御趣旨がよくわからないのでございますが、外国から直接輸入いたします場合には、外国の人が円をもらつても、たとえばアメリカの人であれば、アメリカで円をもらつてもしかたがありませんので、ドルで拂わなければなりません。しかしドルを買うためには、日本としては円を拂つてドルを買う。その円とドルとの交換については、為替管理法によつて許可を受けなければなりませんけれども、為替銀行の方で手続をやつてもらえる。もし外国の自動車を輸入しようという場合に、貿易商なら貿易商からお買いになれば、貿易商へ円を拂つて、貿易商の方で為替銀行の方と為替を組んで、向うの方で外貨と円との交換を適当にやつてもらえるんじやないかと思います。この仕組みは、将来といえども世界の通貨が一本にならない限り存続するものと思います。  第四の、水揚げの天引貯金でありますが、これは当事者の間で契約によつて納得づくでそういうことがまとまりますれば、憲法違反の問題にもなりませんし、法律も要しないでできる問題だと思います。現にある地方ではそういうことをやつておられるところがあるように聞いております。
  37. 川村善八郎

    川村委員長 林君。
  38. 林好次

    ○林(好)委員 漁政部長がたいへんお忙しいようですから、きわめて簡単にお伺いしたいと思います。  十勝沖の地震の災害に対します特別金融措置法が、去る四日に国会を通過いたしまして、法案は成立をいたしておるわけであります。しかしながら、あの問題は、御承知のように緊急に緊急を要する緊急措置でありましてその後の災害者からの融資に対する申込み、またそれに対する融資はどの程度に進捗いたしておりますか。一応大蔵省水産庁にお伺いいたしたいと思います。
  39. 伊東正義

    伊東説明員 お答えいたします。法律が通りまして、われわれといたしましては、ルース台風の法律と同じ問題でありますので、実はルース台風の政令もまだ出ておりませんので、ルース台風の政令と一緒にこの十勝沖の政令も大蔵省と交渉いたしておるような次第であります。政令の関係で行きますと、一点残つておりますのは、ルース台風と違いまして共同施設が政令できまるようになりますので、この共同施設のどういうものがそこに入るかということを今やつております。これは今政令を準備いたしております。  それからフアンドの問題でございますが、ルース台風は十五億、今度は六億ということに法律できまつたのでありますが、ルース台風の場合は、実は資金運用部資金で若干農林債券を引受けてもらつて、中金の農林債券発行する手はずを整えたのでありますが、今回も同じようなことで、中金の農林債券発行してフアンドをつくりたいということで、今大蔵省と交渉いたしております。ただこれは中金だけでなく、市中銀行等、どこからでも借りられるわけでありまして、現実にそれを今十勝沖災害として幾ら貸出しをしたかという調査はまだできておりません。
  40. 林好次

    ○林(好)委員 どうもルース台風に対する政令もまだ出ておらぬ、ことに緊急を要する十勝沖の地震に対する政令も出ておらぬということは、政府はきわめて怠慢である。私は実に唖然としたわけですが、そういうことで、あの緊急を要する金融がはたして満足にできるかどうか。北海道の地震は、御承知のように漁期半ばのものもありますし、また準備行為をいたしておる漁業もあるわけであります。それが津波のために、漁船も漁具も、その他の施設も流失いたしておる。ただちに金融をしなければ生業を奪われておるという現況であります。であるにもかかわらず、ルース台風の法律はいつ通過いたしましたか、はつきり記憶はいたしておりませんけれども、相当時日は経過しておるはずであります。ルース台風に関する法律に対しましても政令がまだ出ておらぬ、これは私は初めて聞いたので実は唖然といたしておるのですが、きわめて政府は怠慢であると考えるのであります。どうか大蔵省におきましても水産庁におきましても、すみやかに政令を出していただきましてそうしてただちに金融をしてもらわなければ、あのルース台風あるいはまた十勝沖の地震の災害に関する法案を通しました趣旨に反することであろうと私は考えるのであります。これは大蔵省におきましても水産庁におきましても、すみやかにお運びを願うことを切にお願い申し上げます。
  41. 伊東正義

    伊東説明員 お答えいたします。今の点でございますが、たとえばルース台風の問題でも、あれは経過規定で前から借りた分について融資するごとになつております。それから十勝沖も法律の施行の日以後に受けたものは融資できますので、政令が遅れておるということは確かにあるのでありますが、問題はむしろ中金なり何なりに幾らフアンドをやるかということの方が私は基本的な問題だと思つております。これは私どもとしましても至急に解決をしてやりたいというふうに考えております。
  42. 井之口政雄

    ○井之口委員 漁船建造の融通について今研究なつておりますが、一体これの実現性というものがきわめてあやふやであります。もうすでに予算も通つておりますし、大蔵省においては財政方針決定しておるわけであります。そこでそういう中において、船の方に今年約五十億、それから機械の方に十一億というふうな大きな融資を今からするとすれば、大蔵省の方においてもまた水産庁の方においても、相当確実な見通しを持つていなければならぬと思うのでありますが、その大体の見通しについて、ひとつ漁政部長にお伺いしてみたいと思います。  それからお急ぎのようですからして簡単に二つ三つまとめてお聞きしたいのですが、いよいよこれが融資されるとするならば、大体政府においては、県別にこうした八年以上の、ほとんど使用にたえないような非能率老朽船をどんなふうに算定しておいでになりますか、かつそれが漁業協同組合を通じてやられるというふうな融資方法なつておりますが、どういうふうな漁業協同組合対象にしてたいがい予定を組んでおいでになりますか、その点もひとつお聞きしたいのであります。  それから第三番目に、融資の所要額が、今から五箇年ずつと続けて行きまして、総体において二百五十億になつて、このうち約七割を融資するという仕組みになつておりますが、あとの三割を自己資金においてまかなうことのできないような漁民に対しては、どういう処置をとられるか、全然そういうところに対しては処置のしようがないのか、またその三割の自己資金政府は別個の方法でこれに援助してやろうという計画があるのかないのか、そういう点もお聞きしてみたいと思います。  それから全体のトン数にいたしまして漁船の現在数六十六万トンのうちから約三六%の二十四万トンを対象といたしておられるということですが、このうち動力のついていない部分、これがどれくらいになるのか、動力がついていない部分に対してはどういう融資方法考えておいでになるのか。こうしたところはきわめて零細な漁民でありますために、資金融資をほとんど受けられなくなるのではなかろうかということを懸念する次第でありますが、その点についていやそういうものでない、そうしたところにもこれは行くものであるというふうな見通しがありましたならば、その点もひとつお答えしていただきとうございます。  それから元来今までのこうした融資方法は、保証人とかいろいろなものをやかましく言う、あるいは協同組合責任を持たすという場合に、協同組合の中で零細なものの利益が顧みられないというような事情ができて来るものでありまして、そのために零細な部分はとかく融資方面からおろそかになつて除外される傾向があるのでありますが、この協同組合に対して、あなた方がそうしたことのないようにする政策は何か持つておられるか、この点について御返事を願いたいと思います。
  43. 伊東正義

    伊東説明員 順序は違うかもしれませんが申し上げます。最初の実現性の問題でございます。これは私冒頭に田口委員の御質問に対してお答え申し上げたのでありますが、今議論になつております代船建造の問題は、水産庁の内部において計画的に全国の船をつかまえて、どういうふうな年次で代船建造をやつて行こうというようなことは、まだ十分練つてございません。これはもちろん担当の課等で研究したこともあるかと思いますが、今申し上げたように、まだ水産庁全部として練つておりません。もちろん先ほどから大蔵省に対して御質問もあるのでありますが、われわれはまだ大蔵省にこの問題について何も話してございません。ただこの問題は非常に重要な問題でありますので、われわれとしても中で十分研究もしなければいかぬと思つております。やり方もこれは先ほどの御質問にお答えしたのでありますが、低利長期ということになりますと、これはやはり特別会計の中で出すか、あるいは家畜導入資金の利子補給金のような予算的措置がいると思います。それで今すぐということよりも、われわれとしてはもう少しこれは研究したいと思います。特に二百五十億といえば、これは何箇年計画であるかは別にしまして、現在水産業全部で借りておる残高が、市中銀行から全部入れて、日銀の調べで三百六十億くらいの貸出し残があります。それに比較しても二百五十億という金は相当な金でありますので、よほどこれは研究をしてやりたいというふうに考えます。やる方法としては、私今申し上げたような予算的な措置がいるであろうと思います。この案を前提にされてそれでは県別にどう算定されたか、漁業組合はどうか、三〇%自己資金で調達できないものはどうするかといういろいろな御質問があるのでありますが、これはわれわれまだ具体的に検討はいたしておりません。それでこれについて一々御答弁するような段階には、まだ実は至つておらぬ次第であります。ただこれは動力と無動力の別があるかというお話がありましたが、今問題になつておる数字なんかは全部動力船について言つておる問題なのであります。
  44. 井之口政雄

    ○井之口委員 しかしここに三六%が船齢八年以上のほとんど使用にたえないような非能率的な老朽船であるということもすでに算定しておられる。何らかの算定の基礎がない限りは、やはりこういうものはわからぬと思いますが、そうしたものをお持合せないのでありますか。
  45. 伊東正義

    伊東説明員 これは動力船の登録原簿がありますので、おそらくそれからみんな拾つたと思うのです。何県にどれくらいということは、今ここに数字は持つておりません。
  46. 川村善八郎

    川村委員長 井之口君にちよつと申し上げておきますが、この資料委員会から求めて提出させたのであつて水産庁からこれを提出したのではありませんから、御了承願います。
  47. 井之口政雄

    ○井之口委員 それではひとつ委員長にもお願いしたいと思いますが、その点の調査部分をやはりある程度出していただかないと、こうした融資関係は非常にやましいことが普通からむものでありまして、現に農林委員会においても、畜産奨励金の融資関係において不正の雲がただよつておるようなことが委員会において報じられておる次第でありますから、その点全国的にどういうふうな配置になつておるか、ただ一般的に三六%の老朽船があるというぐらいでは、なかなか承知できかねるのでありますから、その点の調査資料を出させるように、委員長の方からもお取上げになつていただきとうございます。漁政部長に対してはそれぐらいにしておきます。
  48. 川村善八郎

    川村委員長 ただいまの井之口君の御発言に対しましては、資料等の完備をするように水産庁に申入れをすることにいたします。
  49. 永田節

    ○永田委員 ルース台風並びに十勝沖の災害につきましてこれに関連いたしまして水産当局にお尋ねしたいと思いますことは、先ほど林委員の御質問のように、今日まで政令の御処置もないということは正しく業務怠慢である、むしろ業務違反で、実にこれは、重要な問題を等閑に付したという責任はとういてのがれられない、かように思うのであります。先ほどの御説明を承りまして、私実に奇異に感じましたことは、ルース台風の災害には共同施設というものは織り込まれていなかつた、しかるに今度の十勝沖においての災害には共同施設というものがその対象に含まれておるということを承つたのでありますが、何ゆえに前回のルース台風にはこれが含まれないで、今回の十勝沖の災害には共同施設災害をも含まれたか、十勝沖の災害共同施設災害対象として含まれる以上は、当然ルース台風にも含まれてしかるべきではないか、かように思うのでありますが、これに対して水産庁の御見解を承りたい。  もう一点は、漁船代船建造に伴いまして、かねてから私は漁船課長にもしばしば申し入れてあります通り、なるほど今日の情勢においては、その筋の命令によつて大型の建造わくというものはきまつておりますが、しかしこの大型のわくそれ自体が大型を持つていながら出漁をしていない、そのような人もある。しからばこの出漁していない大型の持主に、お前は漁に出ないのかと言うと、いや出ます、こう言つて出ない。そこで遠洋意欲の盛んな、資力に富んだ業者がたまに現われても、すでにわくによつて押えられておるということで、大型漁業というものが進んでおらない実情考えられるのでありますが、なるほど規約は規約といたしまして一応この大型船の建造の許可というものも、近くまた様子もかわつて参りましようが、なるべく近い将来においてそのようなことを改めて各県一單位ずつでも実情調査の上、新たに許可をなさるというふうな御方針に転換されてはどうか、かように思うのでありますが、これまた水産当局の御意見を承りたいのであります。
  50. 伊東正義

    伊東説明員 ルース台風のことについてお答えいたします。これはルース台風の予算なりあるいは実行当時におきまして私面接担当しておりませんのではつきりしたことは知りませんが、何かルース台風の際は予算の関係等がからみ合つて共同施設も要求していたのが落ちたということも私は聞いております。それで両方の法律ともこれは議員立法でお出しになつた法律でありますので、私の方からどうという御答弁をいたすのもどうかと思うのでありまして、その点は私の方からはひとつ御了承願つて、何か交渉の過程には予算の関係で前は落ちたということを聞いておりますが、その程度で、ごかんべん願いたいと思います。
  51. 永田節

    ○永田委員 たいへんお上手な遁辞を申し述べられたのでありますが、なるほど議員立法には間違いないが、その議員立法に先だちまして、おのおのの関係当局と打合せがあつたはずです。その打合せの過程において、その事実は水産当局として十分御了承のことと存じます。そこであくまでもこれは十勝沖において共同施設対象なつた以上は、被害の程度においてはむしろ悲惨であつたルース台風に対しては、同じく共同施設もこれまた災害対象に加えてもらわなければならない、かように思うのであります。いずれあらためて御協議をいただくといたしまして、一応当局はその事実はお認めになり、かつお含み置き願いたいと思うのであります。
  52. 高木淳

    高木説明員 今の大型漁船建造の問題につきましては、トン数わくの問題と、もう一つは漁業許可の問題がからみ合つておりまして、今講和になつたらどうだというお尋ねもあつたように思われますが、それらの点とにらみ合せて、このままでいいかどうかということを一応検討してみておる最中であます。そのように御了承を願います。
  53. 川村善八郎

    川村委員長 大蔵省銀行局総務課長に対する質問を継続いたします。永田君。
  54. 永田節

    ○永田委員 先ほど大蔵省の御説明を承つておりまして、私痛切に感じましたことについて、大蔵省に御参考に供しまして、大蔵省側から御善処をお願いする次第であります。水産関係にいろいろな金融の機関を設けられても、根本問題といたしまして、水産それ自体に御理解のない機関がいくらできても、砂上の樓閣にひとしいのであります。最も顯著な事実をあげますと、北海道においての金融銀行は主として拓銀であります。その他の日本における五大銀行等は、北海道の水産には危険を感じまして一銭も融資をしておりません。これは同じ銀行業務であり、手がたく行かなければならないその建前からいたしまして、拓銀のみが北海道の水産に特にめんどうがよいということは、一にかかつて水産それ自体に対する銀行側の理解によるものである、かように考えるのであります。しからばその後において生れましたところの開銀の問題であります。先ほど御説明のように、二十六年度においては八億三千万の中で約七億一千万を貸出しが決定して、残が一億二千万、かように承りましたが、この数字はただ大づかみに承るとなるほどとうなずかれるのでありますが、しさいにこれを検討して参りますと、この八億三千万の中においてどの程度中小企業に振り向けられておるかということでございます。私の調べによりますと、この中で大洋漁業が約一億五千万、日本水産が一億六千万、極洋が二億、ほかに一口大品が冷蔵庫できまつていると聞いておりますが、この大洋、日水、極洋を合計いたしまして五億一千万、これがすべて南洋捕鯨に投資されているのであります。あなたも御承知でございましようが、南洋捕鯨の各会社に対しましては、この資金は主として造船の資金と了承いたしまするが、造船の資金は御承知のように市中銀行にも各社それぞれ造船のわくをお持ちになつていると承知いたしております。にもかかわらず、中小企業水産業のために特に考慮されましたところの開発銀行水産面の資金がかような大資本会社に吸収されている、これをあなたはどういうふうにお考えになりますか。日本の中小企業特に水産業の中小企業体というものは、今日日本の経済自立の母体をなしているということは明らかな事実でございまするが、かような事実は銀行局においてよく御調査を願いまして開銀がどこにどれだけ貸出したというリストを、今日の段階においては調製できることと思いますので、後日近き将来に必ず本委員会にこのリストの御提出を願いたい、また二十六年度中の貸出しの資金が、今日すでに新年度の四月の半ばでありまするが、今日なお決定しておらない。二十六年度の貸出し見積りというものは、水産庁におきまして各県ごとに三社ずつをそれぞれ厳重に調査をいたしまして、開発銀行に提出してある。開発銀行はこの水産庁のリストを中心にいろいろと審査をされておるのでありまするが、年度を過ぐる四月の半ば今日なおかつ一億二千万というものが決定を見ておらないという事実は、一体何に原因するのであるか。もちろん開発銀行においては愼重にというお言葉をお使いになることと思いまするが、水産は生きものである、時期がある。時期を経過するとその金が出てもすでに証文の出し遅れということになつ意味をなさない。従いまして、時期において適当に調査をしていただかないと、普通の貸出しのように貸主の、企業体の嚴重な審査調査ということになつたならば、おそらく今日の水産業界においてはこれに適格するものはほとんど十指のうちにあるものと私は思うのであります。そこで多少の危険はありましてもある程度は目に見て、将来の償還能力がありその計画がありさえすれば、多少の危険は冒してでも出してもらいたいというのがわれわれ委員会の意向である。これによつて初めて中企業の地上施設というものが行われ、これによつて魚価の維持の対策が保たれて、初めて水産業界が明るい道を歩くことができるということになると思うのであります。以上申し述べたことにつきまして、大蔵省の御答弁はいりませんが、開銀に対しましてはあなたの方から嚴重なる警告と監督を怠らないように、そうして近き将来に必ずこのリストを本委員会に御提出を願いたいと思うのであります。
  55. 井之口政雄

    ○井之口委員 福田総務課長さんにちよつとお尋ねいたします。今こういう漁船建造資金融通についてのいろいろな案が出ておりますが、まあこれはほとんど実行性のないものだとしか今までのお話で承つて思われないのであります。やれ公庫でもつて資金を漁民に融通するとか、あるいは水産銀行をつくるとか、いずれも出るたびにそんなものはみなつぶれてしまつている。この問題でも約二百五十億からの金を五年間にわたつて融資するというのですが、その資金の出て来る方面、それも長々と市中銀行ではだめだ、商業銀行のコマーシヤル・ベースによつて融資されるものしか取扱つていないのだからそういうものはだめだというような長たらしい説明もありましたけれども、しかし一体こういう案が出て来る以上は何らかの方法を持ち、それからこれがどういうふうな実現の上における困難性があるかというような、いくらかそこに具体性がなければならぬと思いますが、そういう根本的な点はあるいは農林省の方において、また大蔵大臣において検討されるとしても、課長として一体こういうものを議題にして検討しても実際効果が現れ得るものかどうか、簡單でいいですから、率直にひとつ返事してもらいたいと思いますが、どうでしよう。
  56. 福田久男

    福田政府委員 お手元に資料があるようでございますが、実は私この資料を一度も見たことがございませんので、全然内容も存じておりませんので、お許しを願いたいと思います。
  57. 井之口政雄

    ○井之口委員 それでは話にもなにもならぬので、これはひとつ大いに勉強して、こういうことが可能であるかどうかも調べてもらいたいと思いますが、元来、先ほどいろいろなお説教がございましたが、こういう大きな資金を財政によつてまかなうということになつて来ますれば、その財政方面は租税によつてみな徴収されたところのものであつて、この租税を特別の企業の上に流すことになるわけです。これは一つの資本というものを蓄積して行くところの本来的な方法じやないわけです。大きな大衆に対する攻奪でなければならぬと思うのです。そういう方針大蔵省においてえて今までとられておつて、そのために国民は重税に苦しんでいるのであります。そうかといつて、それならばこの小さな漁業というものはほかに資金を商業銀行から得られる道もない。これも一つの矛盾である。こういう矛盾の上に皆さん方の政治というものが立つていると思うのであります。さらにこれを公債によつて得るとか何とかいう方法で行くとすれば、そうしたものは今日ほとんど禁止になつている。のみならず今度預金部の金とかいろいろなものをそこに融資するということになれば、ごく零細な預金を集めて成立しているところのもでありますから、そういう方面はやはりこれを大衆に還元して行くようなふうに使わなければならない。ところが先ほどのお話によりますと、そういうようなものは、少くともやはり動力船以上のものであつて、これの融資を受けるような人たちというものは、相当担保があるとか保証人がいるとかいうような確実なものでなければならぬというふうに制限されて来ることになるのですが、こういう一つの矛盾が八方ふさがりになつて、今の大蔵省方針では、漁民の生活をどうしても守ることができないようなジレンマに陷つている、八方ふさがりの状態だと思いますが、これに対してあなたの方で大体の見通しでもいい、責任のあるものでなくてもよろしいのですが、何かそこから切り拔けて行ける方途があるとお思いになるでしようかどうでしようか。
  58. 福田久男

    福田政府委員 非常にむずかしい問題で、かつまた抽象的なお話でございますので、どうお答えしていいか実は答えるべき言葉もないのでございますが、お話のように財政で負担するにもおのずから限度があり、また民間の金融で行くとすればコマーシヤル・ベースという難関、あるいは資金量という難関にぶつかり、また預金資金といえども預金者は郵便貯金の貯金者ですから、それも確実に運用しなければならぬということになるので、いろいろなネツクが方々にあるわけでありますが、それらの條件を勘案しながら考究を進めて行かなければならぬという程度の答えしかできないのであります。ただ資金運用部の資金につきまして地方還元のお話がございましたが、ただいまのところ、終戦後地方債は全額預金部で引受けておりましたので、地方債に対して資金運用部資金が相当多額に出ているわけであります。そういう意味で地方還元ということも、地方債を通じて行われておるというふうにも考えられるのじやなかろうかと思います。もちろん金融債はことしの計画から落ちておりますが、あるいは開発銀行、輸出銀行開発銀行、輸出銀行はまだございませんが、今後はそういう問題も起つて来るかもしれぬ。国民金融公庫に対する貸付も講じ、いろいろな点で地方にも還元するような運用計画なつて参るというふうに考えられると思います。
  59. 井之口政雄

    ○井之口委員 あなたはまだよく内容を御存じありませんからしかたありませんが、二百五十億を五年間にわたつて漁船建造のために融資しようという計画なんです。そういう点で大蔵省としてはどういう道からその資金を得て来ればいいというふうにあなた方はお考えになりますか。
  60. 福田久男

    福田政府委員 先ほど申し上げましたように、もう少し資料その他を検討いたしました上で結論を得るようにいたしたいと思います。
  61. 川村善八郎

    川村委員長 この際お諮りいたします。水産金融の重要なることは各委員の御発言の通りであります。ここに水産業の根幹をなす漁業に直接使うところの漁船あるいはデイーゼル・エンジンのとりかえ等に要する資金は最も急を要し、最も重要なる資金と存ずるのであります。従つて委員会においては、必要に応じては立法措置も講じ、その資金の円滑化をはからなければならぬと思いますので、この際この問題を水産金融に関する小委員会に付託し、十分研究してその実をあげたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  62. 川村善八郎

    川村委員長 御異議なしと認めさよう決します。  本日はこの程度にとどめ、次会は公報をもつてお知らせいたします。  これにて散会いたします。     午後零時五十三分散会