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1952-03-27 第13回国会 衆議院 水産委員会 第23号
公式Web版
会議録情報
0
昭和二十七年三月二十七日(木曜日) 午前十一時
開議
出席委員
委員長
川村善八郎
君
理事
小高
熹郎君
理事
田口長治郎
君
理事
永田 節君
理事
林 好次君
理事
佐竹 新市君
石原
圓吉
君 川端
佳夫
君 鈴木 善幸君
冨永格五郎
君
松田
鐵藏
君
水野彦治郎
君 木村 榮君
委員外
の
出席者
農林事務官
(
水産庁漁政部
長)
伊東
正義君
農林事務官
(
水産庁漁政部
協同組合課長
)
濱田
正君 農 林 技 官 (
水産庁漁政部
漁業調整
第二課 長)
高橋清三郎
君 專 門 員
徳久
三種君
—————————————
三月二十五日
委員武藤嘉一
君辞任につき、その補欠として川
端佳夫
君が議長の指名で
委員
に選任された。
—————————————
本日の
会議
に付した事件
漁業災害
に関する件
—————————————
川村善八郎
1
○
川村委員長
これより
会議
を開き
ます
。 本日の
委員会
に
水産庁
より
伊東漁政部長
、
高橋漁業調整
第二
課長
、
濱田協同組合課長
が
出席
しており
ます
。 まず
十勝沖地震
及び津波による
漁業災害
に関する件について
調査
を進め
ます
。本件について
松田委員
より
発言
を求められており
ます
ので、これを許し
ます
。
松田鐵藏
2
○
松田委員
この前の
委員会
において、
十勝沖地震
による
漁業災害
の
復旧資金
の融通に関する
特別措置法
の案が小
委員会
に付託されたので、小
委員会
といたしまして、その目的を貫徹するために、種々検討の上、大体成案を得ましたので、これを
政調会
に昨日提出いたしまして、
政調会
の厳密なる
調査
を
願つたの
であり
ます
。幸いにして理解ある自由党の
政調会
においては、これを通過さしていただき、しかして本日
総務会
にこれをかけたのであり
ます
。
総務会
においても満場これに
異議
なく通過させていただいたのであり
ます
。ただいま
国会対策委員会
の方にまわしておるのであり
ます
。 しかしてこのうちに
ルース台風
の場合と異
つた点
は、
ルース台風
の当時は
漁船
、
漁具
、
水産動植物
の
養殖施設
、この三点に限られてお
つたの
であり
ます
が、この
十勝沖災害
に最も
被害
の多か
つたの
は、
零細漁民
がつく
つて
おる
漁業協同組合
の
共同施設
も相当ひどい
被害
を受けておるのであり
ます
。この点
漁業共同施設
をも一項加えて、この
災害特別措置法
にしたいという考えをも
つて
折衝
してお
つたの
であり
ます
が、
大蔵省
の役人は、大体において大きな
漁村
のみをまわ
つて
歩くのであ
つて
、その
漁村
の底びき
漁業
だとか、またはかつおの
漁業
だとか、大きな
漁業
をや
つて
おる地区の
協同組合
の
りつぱな施設
などのみを見ておるのであ
つて
、
地方
に分散しておる零細な
協同組合
の
施設
などというものは見ていないのが現実の姿であり
ます
。ゆえにこの
共同施設
に対する認識が相当欠けておるのであ
つて
、要するに整備された漁港、大きな
漁業協同組合
の
施設
は、いくらでも
融資
または
復旧
の道があるのではないかとい
つた
ような
意見
を持
つて
おられるようであり
ます
が、この点に対しては、今回の
災害
においては、実に零細な
漁業協同組合
の
施設
が破壊されておるのであり、また
災害
はいつ来るか、どこに来るかわからぬので、ぜひとも
漁業協同組合
の
共同施設
に対しても、こうした
法律
によ
つて融資
の道をつけてやらなければならないというのが、われわれ小
委員会
における結論であ
つたの
であり
ます
。これを
大蔵当局
に十分認識させようと考えておるのであり
ます
。 また今日は
参議院
の
予算委員会
が大体終了することだろうと思い
ます
ので、この間は
大蔵当局
としては非常に忙しい時期であり、神経的にも悩んでおるときであるので、この間だけは遠慮を申して、行かないが、明日からただちに活発な行動を起すからということを前も
つて
通告しておるのでありまして、ただこの
法案
を
総務会
、
政調会
を通す場合においても、
融資
の額を明記していないのでありまして、この
融資
の額というものは、今後
大蔵省
と
折衝
の上に、これを明記して、再び
総務会
の了承を得るような
方法
にするということで、ただいままで進んでおるのでありまして、今までの
経過
を御
報告
申し上げ
ます
。
川村善八郎
3
○
川村委員長
なお
損害
の
状況
、その他
損害総額
、また
復旧
に対する今日までの
施策等
につきまして、
濱田協同組合課長
より御
報告
を願い
ます
。
濱田正
4
○
濱田説明員
十勝沖
の
災害
は、この前の
ルース台風
の
法案
の
上つた日
に
災害
が起りまして、ただちに私たちの方も、あの
前例
になら
つて
や
つて
行こうと考えまして、
調査
にとりかか
つた
わけであり
ます
。ただいままで来ており
ます
各県からの
報告
により
ます
れば、
漁船
、
漁具
、
養殖施設
、その他の
漁業施設
全部をひつくるめまして、
被害
が九億七千万円にな
つて
おり
ます
。これは
被害
の額でありまして、これを
復旧
する場合は、
被害額
とは当然一致しておりませんので、その
復旧
の額を見
ます
と、今言いました全部をひつくるめまして約十三億、こういうことになりまして、これを
ルース台風
の
前例
になら
つて金融措置
をや
つて
行きたい、かように考えておりましたところ、
水産
が大半の
被害
であり
ます
が、
農業関係
、
畜産関係
、
林業関係
もそれぞれ
被害
があり
ます
ので、この
被害
の
関係
を一本の
法律
にしまして、
ルース台風
の型になら
つて
、
融資
三割
損失補償
、四分の
利子補給
、こういう形で
農林省
全体としてや
つて
行こう、こういうことにな
つて
おり
ます
。
経過
は以上であり
ます
。
川村善八郎
5
○
川村委員長
この際
委員長
より
報告
申し上げておき
ます
。昨日
渡部農林官房長
及び
松浦農林委員長
より連絡がありまして、
水産委員会
において
災害復旧
の
法案
を提出するということであるそうだが、
農林委員会
においても、
農林
、
漁業
とも
災害復旧資金
の
融資特別法
を制定したいから、ぜひ協調してくれという申し入れがあ
つたの
であり
ます
。そこで
委員長
といたしましては、
農林委員会
の
専門員
と
水産委員会
の
専門員
との間において交渉をしてくれということで、こちらからは
農林委員会
に
徳久専門員
その他を派遣したのであり
ます
。その
経過等
につきまして
徳久専門員
より御
報告
いたさせ
ます
。
徳久三種
6
○
徳久專門員
ただいま
委員長
からの御
報告
がありました
通り
、
農林専門員
とそれから
農林省官房長
に
打合せ
をいたしまして、相当
農林災害
もあり
ます
ので、これを
一緒
に
法案
にまとめようという
意見
もあるのであり
ます
が、何分
水産
の方は時期的にも急ぐ
関係
もあり
ます
ので、今週中に
農林関係
が
大蔵省
その他の
関係省
と
打合せ
が済むならば
一緒
にや
つて
もいい。しかしながらそれが済まぬようならば、
水産
の方は
水産単独
で至急
法案
を出したい。こういうふうにまとめました。以上御
報告
いたし
ます
。
川村善八郎
7
○
川村委員長
この際お諮りいたし
ます
が、ただいま
徳久専門員
より
農林委員会
との
折衝
の
経過
を御
報告
いたしましたが、これに対していかがとり
はからい
ましようか。
松田鐵藏
8
○
松田委員
漁業関係
の
災害
は、時期的に非常に、同じ
災害
であ
つて
も都合いいときの
災害
であ
つたの
であり
ます
。要するに
休漁
中であ
つた
。しかして今年の
漁業
に間に合わせるべくその準備を急いでお
つた
がための
被害
であ
つた
がために、内地の船などの入会もなか
つた
。結局
被害
が幸いにして軽微であ
つた
。それが約十億に達しておるのであり
ます
。しかしてもはや四月中ごろから出漁せんとするときであ
つて
、もうさつきゆうに迫
つた
問題であるのであり
ます
。
農業関係
も、同じ私の選挙区であり
ます
けれども、今はサイロを築くとか、または
炭がま
をつくるとかいうような場合においても、北海道の凍
つて
おるときであ
つて
、幾分その期間が、ずれるのであり
ます
。さような
関係
からして、また
農業関係
の方ではもつともつと詳細にその
調査
が行き届いていないように見受けられるのであり
ます
。そこでこれら
農林省
の
意見
のように一括してやるというようなことであれば、相当時期的にずれがある。そういうような
関係
で、急場に間に合わせて行かなければならない。
漁業関係
の問題は、この
法案
を即刻通して
漁民
の
生産意欲
にこたえんとしなければならないものであり
ます
。ゆえにこの
法案
は先ほど
徳久
君からの
報告
があ
つた
ように、
農林委員会
がわれわれの欲しておる期日内に同調でき得るような場合においてはこれはいいことだと存ずるのであり
ます
が、さもない場合においては
水産関係
のものだけは一刻を争うものであるがゆえに、急速に
法律
の通過することを私は要望するのであり
ます
。しかして
農業関係
において、いろいろなこれらの急速に進むべき政治的な道も私どもはあるものと考えているのであり
ます
。また私も
農業関係
に対する重大な関心を持
つて
いるのでありまして、この
法案
が通過したならば、
農業関係
にも十分にお手伝いを申し上げたいと思うのであり
ます
。ゆえに
農林省内
において、また
大蔵省内
において急速に
農林関係
もでき得るような態勢を整えるようにわれわれは仕向けることではあるけれども、とりあえずわれわれはこの
漁業関係
の
法案
を急速に通すことを、
委員長
においてしかるべくお
はからい
を願いたいと存ずるのであり
ます
。
川村善八郎
9
○
川村委員長
ただいま
松田委員
より
農林委員会
の
申入れ
があるけれども、
漁業
の
特殊性
よりすみやかに立法して救済すべきである。かような
発言
がありましたが、その
通り
はからい
まして御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
川村善八郎
10
○
川村委員長
御
異議
なしと認め、さようとり
はからい
ます
。
—————————————
松田鐵藏
11
○
松田委員
きようは
塩見長官
が
出席
されてないので、まことに私の質問に対してはその要領を得ないことだろうと思うのであり
ます
が、一応将来の問題に対して私は
発言
をさせていただきたいと思うのであり
ます
。それは自分の
責任
のことであり
ます
。私は
冨永
前
委員長
が渡米中代理の
委員長
を勤めてお
つたの
であ
つて
、そのときにおいて
漁業法
の一部
改正
があ
つたの
であり
ます
。その
漁業法
の一部
改正
の場合においての
まき網漁業
に対して、
地方
的ないろいろな
調整
をしなければならない場面があるのであ
つて
、これに対してはこの
法律
を通過させることはよいが、
水産庁
として細則をきめ、しかしてその態度をきめるときは、よく
地方
の実情を聴取して、しかして
委員会
との完全なる
意見
の一致を見るように了解のできたときにおいてのみこれを施行するという建前において
田口委員
よりの
発言
もあり、
川村委員
よりの
発言
もありして、私はあの
法律案
を当
委員会
を通過さしたものであり
ます
。しかして二十七年二月七日の
委員会
において、
田口委員
よりこの問題が再び
発言
されて、
塩見長官
もそれに答えられておるのであり
ます
。次の二月九日の
委員会
において、私も
責任
上、また実際の
立場
からこの問題を取上げておるのでありまして、「この前の
委員会
で
田口委員
からいろいろと
地方
の
状況
について
議論
があ
つたの
でありまして、ああした
議論
に対して
水産庁
は十分に勘案して、その後に適当な
方法
を講じていただくことを
條件
として賛成するものであり
ます
。」こう言
つて
おるのであ
つて
、
川村委員長
もこれを繰返しておるのであり
ます
。しかして今日の実態は、長崎県と山口県との
調整
のでき得ないうちに海区制が発表されて今
紛糾
を来しておるというような状態にあるのであり
ます
。さて本日は、
塩見長官
は
出席
されていないのであり
ます
が、
伊東漁政部長
は赴任されてから日が浅いにもかかわらず、あらゆる
立場
において業界のために、
水産行政
のために盡力されておるのであ
つて
、
伊東漁政部長
に対してわれわれは非常な
親密感
と、また敬意を表しておるものであるがゆえに、
伊東漁政部長
には、こうした問題に対していかんともわれわれの
意見
を申し上げる筋合いでもないとも考えておるのであり
ます
が、
塩見長官
の
立場
が、
委員会
においてみずから答弁され、しかも前
長官
も答弁され、そうした問題を何ら
委員会
と
意見
も交換せずしてこの問題を
紛糾
に導いたということは、
国会軽視
の最もはなはだしいものであると私は考えておるものであり
ます
。また
川村委員長
においてもしかりであり
ます
。かような問題を、今日まで
長官
に対してこれを善処することを通告してあるかどうかということに対しても、私は特に
川村委員長
に対してもその
責任
を明らかにしていただきたい。そうすることによ
つて
、初めて
塩見長官
も
委員長
の
政治的手腕
によ
つて
正しい道に帰ることであろうと私は期待するものでありまして、次の
委員会
には
塩見長官
に対しては、徹底的に
国会軽視
の
責任
を問いたいと考えておるのでありまして、
委員長
からもしかるべく
長官
に
善処方
をお願いしていただきたいと考えるものであり
ます
。
川村善八郎
12
○
川村委員長
ただいま
松田委員
から
委員長
に
申入れ
がありましたが、
松田委員
の言われる
通り
、
水産長官
にそれぞれ励ましをつけまして、その
措置
を講じたいと思
つて
おり
ます
。
—————————————
川村善八郎
13
○
川村委員長
次に
水産資源保護法
の一部
改正
並びに
農林漁業組合再建整備法
の一部
改正
をいたしたいと思
つて
おり
ます
が、本問題は
他省
との
関係
もあり、また他
委員会
とも
折衝
をしなければならない
関係
があり
ます
ので、それぞれの小
委員会
でこれの
調査
を進めることにいたしたいと思
つて
おり
ます
。
石原圓吉
14
○
石原
(圓)
委員
資源保護法案
につきましては、昨年
参議院
との間に
申合せ
があるはずであり
ます
。これはこの
国会
においてその
申合せ
を必ず実行をして、そして実現を期するように
委員長
におかれて特段の御配慮を希望するものであり
ます
。
川村善八郎
15
○
川村委員長
ただいま
石原委員
より
発言
がありました
通り
、他
委員会
との
折衝
もあり
ます
ので、この
折衝
につきましては、
委員長
はもちろん正面に立
つて
活動いたし
ます
が、それぞれの小
委員会委員長
におきましても、それぞれの
方法
をも
つて
御
折衝
あるようにお願いいたしたいと思い
ます
。
小高熹郎
16
○
小高委員
水産庁当局
にお尋ねしたいのであり
ます
が、先般来
割当
の問題で
大分議論
をかもしておりました北洋の
さけ
、
ます
の
漁業
に対する隻数の問題であり
ます
が、これはどういうような
割当
に
なつ
たか、どういう
方針
であるか、一応お尋ねしたいと思い
ます
。
伊東正義
17
○
伊東説明員
お答えにならぬで、はなはだ恐縮なんであり
ます
が、私
そつちの方
を担任しておらないので、私からお答えするのは不適当と思い
ます
。次長なり
長官
から、別な機会に
参つて
御説明した方がいいと思い
ます
から、私の方から説明することは差控えさしていただきたいと思い
ます
。
川村善八郎
18
○
川村委員長
委員長
より
小高
君にお答え申し上げ
ます
。実はその問題は非常に重大な問題であり
ます
ので、この次の
委員会
には
水産庁長官
の
出席
を求めて、詳細な
報告
と今後の処理についての決意のほどをお伺いして質疑をして参りたい、かように考えており
ます
。
石原圓吉
19
○
石原
(圓)
委員
ただいま
小高委員
より
発言
のありました
さけ
、
ます
の出漁の問題は、今回
漁業
に関する小
委員会
において一応審議をいたしまして、結末に先立
つて
、
水産庁
より小
委員会
へ向けて
事前報告
をすべく要求したままにな
つて
おり
ます
から、もしその要求に対して回答なく決定したとすれば、ここに小
委員会
を無視したことになりまして、問題は相当
紛糾
すると思い
ます
から、小
委員長
としてこのことを一言申し上げておき
ます
。
川村善八郎
20
○
川村委員長
この際皆様にお諮りいたし
ます
。来週からの
委員会
は、火、木、土の三日にわた
つて
委員会
を開会いたす
方針
をとりたいと思い
ます
が、御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
川村善八郎
21
○
川村委員長
御
異議
なしと認め、さようとり
はからい
ます
。 本日はこの程度にとどめ、次回の
委員会
は公報をも
つて
お知らせいたし
ます
。散会いたし
ます
。 午前十一時三十二分散会