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1952-03-10 第13回国会 衆議院 水産委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年三月十日(月曜日)     午前十一時九分開議  出席委員    委員長 川村善八郎君    理事 小高 熹郎君 理事田口 長治郎君    理事 永田  節君 理事 佐竹 新市君       石原 圓吉君    川端 佳夫君       鈴木 善幸君    冨永格五郎君       二階堂 進君    小松 勇次君       水野彦治郎君    木村  榮君  出席国務大臣         農 林 大 臣 廣川 弘禪君  出席政府委員         外務事務官         (欧米局長)  土屋  隼君         水産庁長官   鹽見友之助君  委員外出席者         農林事務官         (水産庁漁政部         長)      伊東 正義君         農林事務官         (水産庁漁政部         漁業調整第一課         長)      尾中  悟君         專  門  員 杉浦 保吉君         專  門  員 徳久 三種君     ————————————— 三月八日  委員上林與市郎辞任につき、その補欠として  佐々木更三君が議長指名委員に選任された。 同月十日  委員井之口政雄辞任につき、その補欠として  木村榮君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  公海漁業に関する件  漁業災害に関する件  真珠養殖事業に関する件     —————————————
  2. 川村善八郎

    川村委員長 これより水産委員会を開きます。  前会に引続き公海漁業に関する件について調査を進めます。  この際北洋かに漁業出漁問題について、本年は出漁を断念すると伝えられておりますが、その間の経緯について廣川農林大臣に対し質疑の通告がありますので、順次これを許します。鈴木君。
  3. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 去る七日に農林大臣談話をもちまして、本年度におけるところの北洋かに工船漁業出漁を断念されるという御発表をなさつたようであります。この北洋漁業出漁の問題は、講和條発効による独立国家として、国民がこの国際漁業への進出を非常に待望いたしており、かつ日米加国漁業協定仮調印を了しまして、北洋に対する円満な出漁が期待されているやさきに、この重大な農林大臣談話発表されまして、業界はもとより、国民全体がこれに非常に大きな関心を持つておるのであります。北洋漁業は、戰前におきましてもわが国民経済に寄与するところ非常に大きいものがあり、特に終戦後におけるわが国経済自立の上からいたしまして、北洋漁業の開発は、わが国の食糧問題はもとより、国民経済建直しの上からも非常に大きな意味を有するものであつて、これは国民的な大きな期待であると申さなければならぬのであります。もしこれが出漁を断念せざるを得ないというような事態になりますと、関係漁民志気の上にも非常に大きな影響があると思うのであります。またもう一点は、このかに工船漁業を断念せざるを得なかつた理由について、国民を納得させるように、また国際的にも誤りがないように、もし明確に御当局から発表がありませんならば、今後の国際間の漁業條約の締結の上にも、いろいろ思わざる悪影響を来すことも憂慮いたさるるのであります。このような観点からいたしまして、一つ国民的な志気をこの際落さないためにも、また国際間においても今後の漁業條約等に誤解が生じないように、この際農林大臣から、かに工船漁業を今年に限り断念せざるを得なかつた事情を、詳細本委員会を通じて内外に説明されることが必要であろうと思います。こういう観点から、農林大臣にこの問題についての経緯お尋ねいたしたいと思うのであります。
  4. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 かに工船ブリストル湾出漁の問題は、わが漁業界にとりまして大きな問題であつたのであります。私たちは、講和條がまだ正式に発効されない前にこのかに工船が出て参りまして、今までとじ込められておつた漁業界に光明を見出すことを期待いたしておつたのでございますが、ごく最近になつてアメリカ側からいろいろな事情が伝わつて参つてつたのであります。特に前に日本占領軍天然資源局漁業部長をしておられた方が、ブリストル湾附近アメリカかに工船漁業家の説得と申しましようか、反対を鎮撫に行つたという情報受取つたのでありますが、その後に至りまして、ネヴイル氏が外交局に新たに赴任され、その方からワシントンの情報並びにアメリカ漁民要望等をつぶさに聞きまして、特に現在私たちが待望しておる三国漁業協定の本調印前に、向うに飛んでいるいろいろなうわさを消し、そしてまた将来日本北洋漁業をわれわれがほんとうに享受いたしまして、これから受ける利益によつて日本漁民を潤し、日本経済を潤すことが一番賢明であると考え、非常に慎重な態度ではありますが、この場合ブリストル湾におけるかに工船は一時中止いたしまして、将来に希望をつなぐということを考えて中止したような次第であります。
  5. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 大臣に重ねてお尋ねいたしたいのでありますが、一つの点は、今回のかに工船漁業を一時断念いたしますことは、法律的にも、外交的にも、つまり吉田ダレス書簡精神にも背馳するものではないが、政府国際政治特に日米間の国交上の将来その他を考えて、大局的な見地から今年は一時これを断念するという御趣旨でございまするか。つまり法律上、外交上の制約とか利益とかいうものから出た措置ではなくて、日米間の国交の円満なる推進という大局的な見地からの政治的御配慮でありますかどうか。  第二点は、さけ、ます流し網漁業につきましては、規定方針通り今年操業せしめる御方針にかわりがないかどうか。この二点をお尋ねしたいと思うのであります。
  6. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 前段のお尋ねの、政治的にまた大局的に、将来の日本漁民を潤すためにこれをとりやめたのかどうかということでありますが、まつた政治的大局に基いてとりやめたわけであります。  後段の鮭鱒の問題につきましては、既定方針通り交渉を重ねております。
  7. 川村善八郎

  8. 永田節

    永田委員 北洋かに工船出漁の問題につきましては、日本の現今の状態から言つてまことに魅力的なものであり、大臣の御答弁の中にもありましたように、長い間とじ込められていた水産ためにもまさに朗報であり、日本水産の上下をあげて期待していたことでありますが、このかに工船の問題はわれわれ委員会におきましても、今日仮調印の時期でありますので、よほど慎重にやらないと、米並びにカナダの国民輿論を刺激して、あるいは本調印が延びるようなことがなきにしもあらずということを当初から御注意申し上げた。ところが農林省においては、当初日本業者許可をするということについては、その見通しについて條件を付してある。そこで水産庁には責任はないのだ。こう言われるのでありますが、一月の月末、二月ごろから政府のおとりになつた処置は、すなわち長官談であるとか、あるいは大臣談話であるとかいうようなものが新聞に発表になつておりますが、これらによりますと、政府はすでにこの権益がとれるものという見通しのもとに、業者許可を与える方針がきまつたというふうな方向に強く進んで行かれたと思われるのであります。ただいま大臣お話を承りますと、ブリストル湾方面におけるかに工船の問題に限つては、ネヴィル氏の勧告に基きまして、主としてアメリカ輿論を刺激しない意味におきまして、終局の目的は本條約の本調印をすみやかに終るという目的のもとに、政治的に一応にわかにこのかに工船出漁を中止したというような御説明でございますが、いやしくも一国の政府担当大臣処置として、あるときには許可を強要し、またあるときには許可を取消すというようなことは、要するに陳腐な言葉ではありますが、朝令暮改何らはじるところのないというようなことは、一体今日の占領治下におきまして、かようなことが公然と白日のもとに行われていいものかどうかということを、御質問申し上げる次第であります。もちろん軍にネヴイル氏の勧告に基いて——このネヴイル氏の勧告が、はたしてアメリカ輿論に匹敵するものであるかというようなことも、十二分に御勘案になつた問題であるかどうかということも、あわせて御答弁を願いたいと思います。
  9. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 かに工船出漁にあたつて愼重にやつたかどうか、あろいはまた朝令暮改をしているのではないかというお尋ねでありますが、三社に対しましては、平和が回復いたしまして、出漁ができるすべての條件整つたときにはという條件をつけなければいかぬというので、却下をいたしているのであります。さように愼重にいたしているのであります。またこのネヴイル氏の言葉がすべてのアメリカ輿論を代表いたしているかどうかというお尋ねでありますが、アメリカから帰つた方々意見、あるいはまた外務省側で探つた意見によりますと、刺激が非常に大きいようでありますので、これをわれわれは勘案いたしまて中止をいたしたようなわけであります。
  10. 永田節

    永田委員 このかに工船許可を急に政府が取消さなければならなくなつた理由については、なお質問がありますが、順序を変更いたしまして、ここでお伺いいたしますことは、先般かに工船許可をめぐりまして永野次長が四名の技官を従えまして、各社の事業計画というものを御検討に相なつたそうでございまするが、その結果が北洋かに工船許可にあたり、最も穏健妥当なる実力と経験、実績適確性というものの、非なるものと可なるものと精密に調査ができておるように承つておりますが、今日永野次長によるところの調査の結果というものは公表になつておりませんのみならず、逆にこの調査の結果に反するような方向に向つてことさらに故意水産庁がとりはからわれ、これがすなわち業界混乱陷らしめ、この混乱の声がアメリカに伝わりまして、にわかにアメリカ側勧告というものになり、その勧告に基きまして、政府が中止しなければならないというふうな状態になつたと承つておりまするが、この内容を御説明願いたいと思います。
  11. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 水産庁漁業会社に対しまして、いろいろな調査をすることは、これは水産庁として当然な行いであると思います。ただそれを公表するしないは、水産庁としてやるべきでないものはしないでおく方がよろしい。それからそういうことから混乱を引起して、出漁ができなくなつたということでありまするが、最初から三船団出すというような方向はとらない方がよろしいという方針にはかわりがなかつたのであります。
  12. 永田節

    永田委員 ただいま大臣の御答弁で、調査内容公表段階でなかつたということでございますが、アメリカ側を刺激されたところのものは、三船団ということにあつたと承りましたが、この三船団ということが、アメリカ側を強く刺激いたしましてやむなくこの渇望するところの北洋かに工船を中止しなければならない。つまり今日北洋かに工船をやむを得ず中止しなければならない理由が、三船団という誤報にあるとしたならば、今日の段階において、この三船団はまつた誤報にして、事実無根のことである。あくまでも一船団であるということを訂正なさいまして、あらためてこの交渉に入られる御用意はございませんでしようか。
  13. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 三船団等を出して向うを刺激してはいかぬというような考えから申しておるので、三船団それ自体が刺激したとは申しておりません。三船団で刺激したとするならば、取消して一船団ということでありまするが、すでにアメリカ輿論があのようにわれわれに伝つて来ておるのでありますから、この場合は一船団でもよした方がいいと考えます。
  14. 永田節

    永田委員 どうも政府のお答えは要領を得ないのでありますが、さらに私はもう一点特に廣川農林大臣に伺いたいのは、白洲次郎氏という方がおられますが、この方が二月二十日ごろと思いますが、日魯漁業会社会議室におきまして、各業者が御協議をなさいました。その席上に大西という日水の専務さんを廊下に呼び出しまして、政府許可方針はきまつた日水がぐずぐずすると脱落するぞというふうに、たいへん強い意思表示をなさつたということでございますが、政府白洲次郎氏とどういう御関係があるのでありますか。まつたく御関係がないとしたならば、この白洲氏の態度というものは、われわれ国会といたしまして、まことに黙認でき得ざる態度である。また御関係があるとしたならば、その事情を御説明願いたい。
  15. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 白洲次郎氏は一個の自由人でありまして、政府とは何ら関係を持つておりません。
  16. 永田節

    永田委員 白洲次郎氏は一個の自由人にして、政府と何ら関係はない、かような御答弁でございまするが、その御関係のない白洲次郎氏が、日本政府のなさる処置について疑わしき行動があるかのごとく思われる行動を起しておられるということについては、政府においては逐條御調査をなさいまして——北洋漁業の問題については、あたかも吉田政府なきがごとく、白洲政府のごとく、白洲農林大臣のごとく、かつてにふるまいまして、業界のものを唖然とさしておりますが、これは政府としてもまことに迷惑千万な話だろうと思う。従つてもし政府と何ら御関係がないとしたならば、政府白洲次郎氏を告発なさる意思がございませんでしようか。
  17. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 白洲次郎氏がどういう行動をしたかは、自由人としての行動でありますから、政府のあずかり知るところでございませんが、政府のやつておる行動を批判しようが、しまいが、それはかつてであります。また政府にどういうことで、どう抵触しておるかわかりませんが、今のところ告発する用意を持つておりません。
  18. 永田節

    永田委員 白洲氏がこの北洋かに工船出漁にあたりまして業界に対してたいへんな活躍をなさつておられる。特に日本水産の圧迫にあたりましては、白洲氏の発言がすこぶる大である。しかしこれは信ずべき情報によりますと、白洲次郎氏は日本政府をかさに着て、かような横暴な態度に出ておられるという非難がごうごうたるものがありますので、政府においては、さようなことはないということを私は信じておりますが、さらにこの内容を御調査相なりまして、かような間違いのないように、また事実さようなことがあるとしたならば、白洲氏に対してよほど御警戒を要するように御注意を申し上げる次第であります。  このかに工船出漁にあたりまして、大臣承知のように、水産議員連盟意向というものがございます。この水産議員連盟決議案というものは、日米加漁業協定精神によりまして、実績適格性を検討して許可を与える団体を選定すべきであるということを、長官に強く申し入れてあり、長官もまたこの水産議員連盟意向はすこぶる妥当な意向であるとしてお認めになつておられるのでありますが、私ども水産議員連盟といたしましては、農林省が三企業体許可をなされんとしておるところの、その一つ企業会社が、この適格性に欠けるものであるということを強く主張しておりますが、その主張と農林省意向が食い違つておる。そこでその許可がだんだん遷延いたしました結果が、たまたまアメリカ側の注意によつてやむを得ずこれをひつ込めざるを得なくなつたというのであります。もしわれわれ国会側の公平な意見が入れられて、二月の半ばごろまでにこの許可が下りておつたとしたならば、先般の委員会において外務省見解もありましたが、何ら今日のようなトラブルはなかつたものと思われるのでありまするが、政府はその手ぎわの悪かつたことをお認めになりまするかどうか。
  19. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 政府水産議員連盟のみならず、国民意見をよく聞いてきめまするので、何ら水産庁としてもどこまでやるということはいたさないのであります。それから仮定の話でありまするが、二月中に許可ができたらこんなことはなかつたのじやないかというのでありますが、不幸にして二月中に、農林省言つておる、平和を回復し、出漁できるすべての條件整つたときという、この條件をつけて来なかつたのでありまして、この点から見ても、二月中に許可はできなかつたと私は思います。
  20. 永田節

    永田委員 問題は、われわれ水産議員連盟において政府勧告いたしましたその内容と、農林省のお考えになつておられる内容が食い違つて、これがため許可が遅れたということになつて来るのでありまするが、仮定の問題はしばらくおきまして、われわれがある一社を批判いたしますと、国会は特にその一社を攻撃するかのごとくに伝えられることはまことに遺憾でありますため、名前は特に秘密を保ちたいと思いまするが、吉田総理がサンフランシスコに講和條約でおもむかれるにあたりまして、ある水産会社は、総理許可があつたと称しまして、まぐろアメリカへ陸揚げいたしました。この陸揚げがアメリカまぐろ業者をいたく刺激いたしまして、もちろんこのまぐろはたたかれ、遂に不合格品であるという烙印を押されたのであります。従いまして日本の扱うまぐろはすべてかくのごとく不合格品であるという印象を与えたことは、まことに遺憾にたえないのでありまするが、われわれが今日考えなければならないことは、この某会社のやられましたことが契機になりまして、それでなくてもアメリカ水産業界を刺激いたしておりまする日本水産の方法というものが、特に日本まぐろ来らば警戒すべしという声を起さしめまして、四五%の関税をかけるに至つたのであります。この関税をかけられた会社の船が日本に帰るにあたりまして、帰り荷物小麦を積むことになりましたところが、日本運輸省ばこれを許可しなかつた。これは運輸省がこの会社を告発いたしました事案によつて明らかでございまするが、告発によりまして、この会社罰金刑が決定したのであります。今日聞くところによりますと、この罰金刑もある特権によつて抹殺されたというふうに承つておりまするが、私もはつきり事案をつかんで申し上げているわけではございませんので、御了承願いたいのであります。かような会社、要するに利権に隠れて、法律を恐れざる特権企業会社国際漁場に将来出て参りますには、適格性があるかないかということについて、大臣の御見解を承つておきたいのであります。
  21. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 何かまぐろを持つて行つて、それが不適格品というような烙印を押されたというお話ですが、その事情を私よく承知いたしておりません、それからまた帰り小麦を積む積まない、これもよく知りませんが、多分これは運賃協定の問題か何かじやないかと私は承知いたしますが、しかし将来大洋に自由に出漁できる場合に、いやしくも法律を犯すような会社があつてはならぬのでありまして、これは道徳的の問題のみならず、法律を恐れないという一つのことになりまするので、こういうことについては、われわれは愼重にとりはからつて行きたいと思つております。
  22. 永田節

    永田委員 大臣見えたならば、こつぴどくやつてやろうと長い間考えておつたんですけれども、あなたの顔を見るとやはりわれわれは自由党でありますし、なかなかそう行きません。かえつて見えにならない方が私はしやべりいいのです。しかし春になつてあなたが農林大臣に再任されましてから、初めて当委員会にお見えになつたのでありまするが、あなたも御承知でしよう当委員会地獄の一丁目といつて二丁目のないところです。三年間に水産庁長官が三人かわつております。そこで私は、農林省責任者がこのたびのかに工船の問題によつて、古くからわれわれが童話でかにがさるにたたき殺されたという話を聞いておりまするが、今日遺憾ながら農林省の役人がかにに急所をはさまれた、かように思われるのであります。日本政府の認可が故意に遅れたため出漁が不可能になつたということは、日本自立経済にマイナスになつたということで、その責任を当然農林省は負つていただきたいと思うのであります。また説明が不十分でありましたので、おわかりにならないかもしれないが、一部ボス暗躍、圧力というものについては、当局ボスをおどらせるような企業会社に対しては、永遠にかような国際的許可を与えるということがないようにしてもつてボス暗躍を防ぎ、政治民主化を確立させたいと思うのでありまするが、これに対して農林大臣の御答弁を伺います。
  23. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 どうも農林省の不手際のところを責められまして、確かにかににはさまれたようなかつこうでありますが、これは私が見通しが悪いのでありまして、すべては私の責任であります。ただ水産委員会地獄の一丁目とは私考えておりません。これは洋洋たる将来の日本漁業を育てて行く極楽の一丁目である、さようにわれわれは考えております。それから農林省ボスをおどらせるような方向に云々というお話でありますが、そういう会社は私は擯斥いたします。
  24. 川村善八郎

  25. 木村榮

    木村(榮)委員 二、三点だけ承つておきたいのです。大臣の御説明で大体わかつたのですが、その中でアメリカ輿論が大体かに工船出漁は不可能のような輿論だ、そこで私のお尋ねしたい点は、そういつた輿論が生まれますのは、講和條がまだ正式に発効していない、従つてこの講和條約が発効していない條件下でできた今回の日米加国漁業協定は、正式にはまだその効力を発生したものでないという法的根拠に立つてこの許可反対の論拠が出て来ておると解釈していいかどうか、この点承つておきたい。
  26. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 先ほども申し上げました通り、まだ講和効力を発生いたしませんし、また三国漁業協定の実際の調印が行われておりませんので、これがため調印が遅れるようなことがあつては、将来非常に日本ためにならない。なおまたさらに他の国とこれからいろいろの協定をどんどんして行かなければなりませんので、そういうような障害を他の問題にまで及ぼすことは、われわれとしてはここ慎む方がよろしい、こう考えております。
  27. 木村榮

    木村(榮)委員 そうしますと、ネヴィルとかいう漁業担当官日本に来ていらつしやるようですが、あれは大体正式にはどういつた資格であるか、政府はその点についてどういう解釈をしているか承つておきたい。
  28. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 私は、外交局漁業官とでも申しましようか、そういうふうに聞いております。
  29. 木村榮

    木村(榮)委員 そうしますと、この方は今度の日米加漁業協定に基く協定に関連しては何ら権限がない方と解釈していいわけですね。
  30. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 さように承知いたしております。
  31. 木村榮

    木村(榮)委員 そういうことになつて来ますと、私たちが心配いたしますのは、今明らかにつたように、まだ講和條約が発効しない中において漁業協定もまだ正式なものではない、こうなつて来ますと、またアメリカ輿論といつたものがある場合に作用いたしますと、現在の鮭鱒などの出漁に対しても、あるいは当分一箇年間、あるいはいよいよ発効するまで延期してもらいたいといつたようなことになる危険性もあるのではないかと思う。そういつた場合の見通しなんかはいかがですか。
  32. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 かに工船出漁地域鮭鱒條件とはまた違つておるようでありまして、これは私たち最初から予定しておるように了解を遂げたいと思つております。ただネヴイル氏云云ということが横車のように聞こえるが、現在の情勢においては、そういうことは親切にとつた方がいいと思つておるだけであります。
  33. 木村榮

    木村(榮)委員 御説ごもつともと考えますが、しかしもしこの漁業協定がある程度講和発効前であつても、双方その協定精神を尊重いたしてやるということならば、協定のいろいろな事項にも示されておりますが、特にこういつた問題を解決いたしますためには合同委員会といつたような機構もございますので、そういつたものがかりに非公式であつても、ある程度話合いをして、そういつた意見調整の上に立つて問題が話合えるというのが、外交的な常識とでも申しましようか、現在の日本アメリカ関係においては、むしろ当然の行き方ではないかといつたことを考えます。ただ一漁業担当官であつて、簡単に言いますと、大した権限もないネヴイル氏が何とかいつたというようなことが大きく左右することになつて来ますと、今の状態は正式には占領下なんですから、そういうこともある場合にはあると思います。しかし政府のたびたびの声明でもはつきりいたしておりますように、大体そういうことはなくなつて来ているとわれわれは理解しているわけです。しかしこの問題に限つては万やむを得なかつた。なかなか政治上手の廣川農林大臣といえども、この問題には歯が立たなかつたと解釈してさしつかえないのですか。
  34. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 これはやはり正式に漁業協定調印されて、合同委員会なり、小委員会なり、分科会なり、これは術語は私はよくわかりませんが、そうしてきめて堂々と出漁するのが一番常道であると思います。それから私の政治力の及ばないということは、これはもう万人承知いたしておるところであります。さように御了承願つてけつこうです。
  35. 川村善八郎

    川村委員長 二階堂君。
  36. 二階堂進

    ○二階堂委員 簡単に二、三の点について大臣並びに欧米局長に希望的な質問をいたしたいと思いますが……。
  37. 川村善八郎

    川村委員長 二階堂君にお願いをしますが、農林大臣意見を伺うことがあと二つの議題に上つておりますので、できればどうぞ簡単に願います。
  38. 二階堂進

    ○二階堂委員 簡単にいたします。第一点は鮭鱒漁業の問題であります。この見通しについては先ほど鈴木委員等からの質問に対しましても、大臣は確たる見通しがあるというような御意見発表されたのでありますが、この問題はかに工船の問題のような結果にならないという確たる見通しをつけて諸般の準備を進められておるかどうか、ま過般のアメリカにおけるいろいろな政治情勢、いろいろな客観情勢等の変化によつて、再びこういうような結論になることがあれば、私は、非常に重大なる結果になり、影響するところはきわめて大きいということを、漁民の一人といたしまして非常に心配しておるのであります。この鮭鱒漁業につきましては、かにのような結論にならないという確たる見通しをつけて準備を進められておるかどうか、この点について確たる御答弁を願いたい。
  39. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 前轍を踏まないように注意をいたしまして、話を進めたいと思つております。
  40. 二階堂進

    ○二階堂委員 そういうことにならないように、ひとつしつかりと、外務省の方とも十分御連絡をとられまして進めていただきたい、こういうふうに希望を申し添える次第であります。  第二点は、八日の新聞でありますか、大臣が、かに工船については出漁を断念した、こういう意見を記者団に発表された。先ほどの御説明によりましても、諸般のいろいろな情勢を考慮されまして、政治的並びに大局的な立場から、将来の日本水産の進出を考えて、今回はかにについては断念した、こういう意見を申し述べられておるのでありますが、私どもはその意見を了承いたしておるわけであります。しかし大臣がかような意見発表される前に、今度のかに工船の問題につきましても、私どもの了解するところでは、吉田ダレス書簡内容にも抵触するものではない。法的に見ても、日本かに工船の進出は可能であるということは当然のことと思うのであります。今後日本水産が、講和締結後において、広く、正しく公海に進出できるということは当然のことであると考えております。この今後における公海進出の日本水産の基本的な態度というものを大臣がはつきり発表されて、日本の今後における公海進出の根本的態度はかくあるのである。しかしながら諸般のいろいろな情勢等を考えて、今回は断念せざるを得なかつたのであるということ、今後の公海進出における日本水産の根本態度というものを、大臣がはつきり国内にあるいは国外に宣明されて、しかる後にこういうような情勢上やむを得なかつたということを発表されるのが当然ではなかろうかと、私は考えておるのであります。今後大臣は、そういう気持であれば、もう一ぺんいろいろな談話の形式なりあるいは大臣意見として発表される御意思があるかどうか、この点についてお伺いしたい。
  41. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 平和回復後、われわれが大洋を広く正しく渡りまして、日本の経済に貢献するような基本をつくるために、各国と漁業協定をする準備をいたしておるようなわけであります。そういう基礎準備ができて初めて大きく、広く、正しくできると思うのであります。ただいまそういう準備を進めておる最中であります。ただ今度の問題については、なるほどダレス・吉田書簡にも抵触しないし、あるいはまた諸般の情勢から見て出せるのではないかという見通しはあつたのであります。しかし置かれておる現状から見て、この場合は、アメリカ輿論を刺激しない方がよろしい、こういう考えになつたので、そのようにしておるわけでありますが、将来はあなたの御意見のように、正しく世界に日本の立場を宣明することが当然だろうと思つております。
  42. 二階堂進

    ○二階堂委員 外務省欧米局長お尋ねいたしたいと思います。もちろん今回このかにの問題がかような結論に達しましたことは、非常に遺憾であるのでありまするが、事ここに至りますまでには、アメリカにおけるいろいろな水産業界の強硬な意見等もあつたということは十分わかるのであります。また国内においてのいろいろな措置の手落ちもあつたということも私どもは考えざるを得ないのであります。水産当局とされましても、外務省の方と情報の交換なり、あるいはいろいろな方面を通して調査をされておつたこととは思うのであります。しかしながら今回ネヴイル氏が帰つて来まして、新聞等の情報を見ますと、ネヴイル氏の勧告に基いてかようなことになつたというような印象を私どもは深くせざるを得ないのであります。水産庁当局は、外務省とこの問題等につきましても、従来は非常な密接な関係をもつて情報等の交換をされたことは考えるのでありますが。ただ私は、外務省当局に一言希望を申し上げたい点があるのであります。と申しますのは、今回のこのかに工船等の問題につきましても、アメリカにおいて最も強硬な意見を出しておるものは、私はアラスカ及び太平洋沿岸の水産業者ではなかろうかと考えておるのであります。アメリカ水産当局の、国務省あたりの意見考えてみましても、この太平洋沿岸の水産業者意見というものを相当強く反映をいたしておるという事実を——私は一昨々年の七月から十二月、アメリカをまわつて業界の連中ともいろいろ懇談をいたして参りましたが、それらの懇談を通してみても、強くその点を考えさせられたわけであります。ちようど一昨々年の十一月でありましたか、サンタバーバラにおきまして水産業界の方々との懇談会が催されたのであります。そこに私どもも前の長官飯山太平氏と列席をいたしたのでありますが、この大会にはアラスカ及び太平洋沿岸の業者が二百数十名集まつたのであります。そのときにいろいろな、水産協定の問題であるとか、あるいはまぐろ等の問題であるとか、関税等の問題も議題に上つたのでありますが、そのときに、私はサンフランシスコの外務省の事務所長にも連絡をいたし、かつロスアンゼルスの事務所長にも連絡をいたしまして、これは日本水産に非常に重大な関係のある会議であるから、列席をされて広く業界意見も聞いておかれだ方がいいのではないか、こういうことを私は注意をいたしたのであります。ところがサンフランシスコの事務所長は、それは行きたいには行きたいけれども、自分の管轄外の地域である、と申しますのは、サンタバーバラはロスアンゼルス事務所長の管轄内に入つておるわけでありまして、そこに行くのには外務大臣許可がいる。その許可を私から電報を打つてつてくれないか、こういうような意見を申し述べて来ておりましたので、私はその意見に非常な遺憾の意を表し、こういう重大な会議に、一々海を越えて大臣許可を得て出席しなければならない、一体そのような考え方自体が間違つているではないか、昔ならいざ知らず、これから新しき日本外交を、新しき日本の姿を強くアメリカの大衆の頭の中に植えつけなければならない、新しい感覚で外交も出発をしなければならぬのに、旧態依然たる事務的な、そうした條規、法規にとらわれた、こういう会議に出席することはできないというような気持を持つておるとするならば、はなはだ遺憾である。管轄は違つても、重大な会議であるから、旅費等もこちらで持つてもいいから出てくれ、こういうことを言つたのであります。今後もいろいろな重要な問題が水産の上におきましても起ると考えられるのでありますが、かような気持で外務省の役人の人たちが、やはり今後の外交の問題を取扱つて行かれるということになりますと、これはまたわが国にとりましても非常な損失が考えられるわけであります。今後そういうことがないように、ひとつ十分日本の在外事務所の出張所の方々にも御連絡をとつていただきたい。一々海を越えて大臣許可を得なければ行けないというようなことでは、日本の国家的損失になるということを考えるから、あえて自分の希望を申し上げます。なおこの在外事務所等も、今後講和條約締結後は、公使館なり、領事館なりというものに本格的になると考えておるのでありますが、特に太平洋沿岸は水産に関する問題が多い所でありますので、こういう事務所には、やはり水産界の専門的な知識を持ち、政治的にも大きく働き得るような人を、当然置かれるべきであると考えるのでありますが、これらの点についてどういうようなお考えを持つておるか、御意見を承りたいのであります。
  43. 土屋隼

    ○土屋政府委員 今回のかに工船につきましては、農林省特に水産庁と私どもの方は、あらゆる角度からこの問題を討議して参りましたし、また情報の交換もしたのであります。ただ外務省として今遺憾にたえませんのは、当時私どもの情勢判断では、大体三月一ぱいくらいで講和條約の批准が済みはしないか、そうすれば三国漁業協定はそれから間もなくのうちに正式の調印を終る。そうすれば何らアメリカ側を刺激することなく、平和裡にこのかに工船出漁できるという判断を当時したのであります。ただ実際はそれよりやや遅れて来ましたので、その点から見ますと、講和條約がかりに四月の半ばなり、四月の末に発効するということになりましても、漁業協定調印は、必ずしも翌日というわけにも参りません。相手国もあることでありますから、多少の時間もいるわけで、こういう点から考えますと、この点を無理押しいたしまして、権利だけを主張するということになりますと、どうしてもアメリカ業者との間にいろいろ摩擦も起きようということから、大局から見て、この際は涙をのんで水産庁の方でもお見合せをいただく方がよくはないかという考えを持つたところに、情勢の判断においてやや時間的なずれがあつたということは、これは自認せざるを得ないかと思います。それからアメリカ業者、特に製カン界の業者が、日本水産の問題に関しましては輿論の中心になり、それがためアメリカ輿論がかき立てられるという事実は、まさにその通りであります。そこで私どもとしては、アメリカには輸入業者だけではなく、日本水産物をアメリカに入れる場合においては、アメリカの消費者もまた大きな関心を持たなければならないわけでありまして、安いよい品物を買うということはアメリカの消費者の利益でなければならないはずであります。そういう点から消費者の声も出て来はしないかと思いまして、その方面にも多少の努力をして来たのでありますが、遺憾ながら本年はその努力がまだ報いられないという形であるわけであります。  在外事務所長、その他在外におります者が、漁業問題に対して重大な関心を持つべきことはまさに当然であります。日本の産業の中に水産業の占める位置から考えまして、外務省の海外に行つております者に、この点を認識しない者はなかつたはずだと思いますので、今後とも外務省の表に出ます者が、水産について日本利益を常に考慮しながら、相手国に対して善処するという点は最も心がけるべきことであり、上司に申し上げて、そういう点についてうかつな者がかりにあれば、今後において外務省としても十分海外を督励するつもりであります。  サンフランシスコう云々という問題がありましたが、現在の在外事務所は限られた予算と限られた権能を持つているだけであります。お話になりました当時は、遺憾ながら在外事務所はこの問題について自発的に出て行く権能を持つていなかつたのであります。現在においては、アメリカ政府の承認を得まして、ややその権能が拡大されましたから、今は行けるはずであります。それから任地以外に出ることがむずかしいということは、実は外務省にはきまりがありまして、自分の管轄区域以外には、大臣許可なくして出られないのでありますが、今は交通が発達しておりますから、そういう事態があれば、今後は電報一本で、遠い所でも二日もあれば大臣から行くわけでありまして、いかほど金が少くても、日本水産に影響のある、これだけのものを大臣許可しないはずはないと思います。今後は御期待に沿うような方面に、対外的にも行けるだろうと考えております。  水産専門家の点は、先日ここの会議でもやはりそういう御議論がございまして、私も帰りまして上司に伝えまして、今後外務省がこの水産関係の深い在外事務所、総領事館、あるいは公使館には、水産担当官を置く必要がないか。もしそれが予算その他からできないにしても、外務省の人たちにもこの問題をよく認識していただきまして万遺憾なきを期したいという意味のことを、希望として私どもの方からも伝えてあるわけであります。今後この点につきましては、御鞭撻をいただきまして、御期待に沿うような方針で措置したいと考えております。
  44. 二階堂進

    ○二階堂委員 もう時間もありませんので、簡單にお尋ねしますが、農林大臣にお伺いしたい点は機構改革の問題であります。水産日本経済に持つ役割が非常に大きなことは申し上げるまでもないのであります。私は従来から水産庁水産省にしたらどうかというようなことも申し上げたと思いますし、なおまた前国会におきましては、水産庁長官を次官会議に出席させるべきである、賠償庁長官その他の長官も次官会議に出席しておるのだから、きわめて重大な仕事をしておる水産庁長官が、次官会議に出席ができない、予算等の問題についても次官会議において発言ができるようにすべきであるにかかわらず、そういう機会が与えられておらないのははなはだ遺憾である。水産庁長官も次官会議に出席できるようにすべきであるということも、私は前委員長を通じて政府の方に申入れをしておつたのであります。最近機構改革が非常にやかましく言われております。水産庁が省どころではなく、部になつて行くということも新聞等に報ぜられておりますが、私どもはこの点非常に遺憾に考えておるのであります。大臣は今までの大臣に比較しまして、水産に最も理解の深い、最も関心を持つておられる大臣であると、私どもはかように考えまた信じておるものであります。この水産省の問題、水産庁が部になるというような問題等について、大臣の確たる御答弁は今どうかと考えるのでありますが、どういうふうにお考えになつておるか、率直にひとつ大臣の御意見をお聞かせ願えれば幸いだと思います。
  45. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 行政機構の改革について、現在水産庁の置かれておるところがどういうふうになつておるか、またどういう構想であるかというお話ですが、これはあなたのおつしやる通り、両院とも水産省設置の希望が強いことは御存じの通りであります。でありますからこれを小さくして部にするというような考えは持つておりません。また機構を縮めて機能を弱体化するような考えは、現在のところ持つておりません。私たちは、この置かれておる日本水産界の立場をよく見まして、最もよく機能が発揮できるようにしたいと思つております。     —————————————
  46. 川村善八郎

    川村委員長 次に漁業災害に関する件について調査を進めます。  去る三月四日の北海道及び三陸地方における地震津波による漁業災害について、その被害状況及びこれに対する復旧対策等について政府説明を求めます。
  47. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 今回の北海道並びに三陸を襲いました震災は、震源地が太平洋でございました関係から、津波を伴つたところの震災でございます。北海道、東北等におきまして特に私ども水産関係の災害が甚大でございます。漁船、漁具の破損並びに漁港、船だまり、そしてあるいは陸上諸施設の損害、非常にその被害は甚大であるように報ぜられておるのであります。農林大臣は、災害発生と同時に山添事務次官並びに野原政務次官をそれぞれ災害地に派遣されまして、御慰問並びに対策をいち早くなさつておるようでありますが、その後におきましてだんだん調査も集まつておられると思うのでありますが、これら三陸並びに北海道の災害漁村に対するところの応急的な対策、並びに今後のこのような異常災害に対するところの恒久的な災害対策につきまして農林大臣から政府の御方針をこの際お伺いいたしたいと思うのであります。特に恒久的、根本的な漁業災害対策につきましては、農業災害補償法等と同じように、漁業災害に対するところの補償対策というものは、全漁民の多年要望して参つた点であります。今国会におきまして、北九州、南九州のルース台風に対する対策として、本委員会は復旧資金に対する特別措置法をみずから立法し、すでに衆議院を通過いたしたのであります。これは暫定的特別立法でございますが、この際政府廣川農相の手によつて恒久的、根本的な漁業災害補償法等の制定に積極的に乗り出される御用意がありますかどうか、この点をあわせてお尋ねいたしたいと思うのであります。
  48. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 農林省からは班をつくりまして、この十勝沖地震の被害状況の調査並びに慰問等をいたしたのでありますが、まだ詳細な報告に接しておりません。北海道、岩手、宮城の順で少しずつ情報が入つて来ておりますが、まだほんとうの情報は入つておりません。そこで私たちはこの被害の状況を見まして、本年度の予備費は遺憾ながらもうございませんので、来年度の予備費等をこれに充てるような措置を講じたいと思つております。  それから漁業災害の臨時立法等に触れて恒久的に考えたらどうかというお話でありますが、特に日本のような災害国におきましては、やはりこれは恒久的に立法するのがほんとうだと私は考えておりますので、よく調査をさせまして、手段を講じたいと思つております。
  49. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 ただいま農林大臣から、漁業災害に対する根本的な対策について非常に力強い御発言がございましたが、ぜひこの際漁業者の多年の念願でありますこの災害立法につきまして、特段の御配慮をお願いしたいと思うのであります。  もう一点は、今回の災害におきましては、漁港の陸上施設としての魚揚げ場あるいは水産倉庫、あるいは漁業協同組合の事務所、こういう方面の被害がきわめて甚大なように報ぜられておるのであります。従来漁港法によりまして護岸でありますとか防波堤に対しましては国の助成がなされております。なお陸上施設につきましても、陸上無電その他に国の補助が行われるように法律的には道は開けておるのでありますが、国の財政の面からそれがいまだ実施されておらないという点がございます。しかし今回の災害は非常に広汎であり、かつ北海道、東北のように非常に経済力の低い、恵まれない零細な沿岸漁村が被害地でございますから、この際漁業港法の條文を最高度に生かしまして、防波堤あるいは護岸というもののほかに、これら魚揚げ場、給水給油施設、漁業協同組合の事務所等、これら共同諸施設に対してまで災害助成の方途を講ぜられるようにお願いしたいと思うのでありますが、これに対していかようにお考えになつておりますか、お尋ねしたいと思います。
  50. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 お話の点はごもつともでありますので、私たちはこの融資あるいは助成その他について、各省と連絡をとりまして十分検討いたしたいと思います。     —————————————
  51. 川村善八郎

    川村委員長 次に真珠養殖事業に関する件について発言を求められております。この際これを許します。田口長治郎君。
  52. 田口長治郎

    ○田口委員 ちようど農林大臣が御出席でございますから、真珠養殖に関しまして簡単に御質問いたしたいと思うのであります。  大臣も御承知通り真珠養殖事業法は過般衆議院を通過いたしまして、ただいま参議院の万に送付しておりますが、近日中に参議院も通過する見込みであります。同法案は、内容といたしまして四つの柱から成り立つているのであります。その一つは真珠研究所であり、第二の柱は輸出検査の問題であり、第三の柱は真珠母貝の増殖助成の問題でありますが、第四の問題が実はあの法案の骨子になつております。その第四の柱は、いわゆる第四條と第五條の関係であります。今日日本の真珠が相当数量生産ができておりますけれども、実際におきましては、生産されました真珠の大きさが、計画性がありませんために、ネックレスに編みます場合に、小さい真珠だけが非常に多くて、大きい真珠が全然合わない、このアンバランスが大きな欠点になつておるのでございます。この欠点を是正する意味におきまして第四條と第五條において計画生産をやらせる。農林大臣がその計画生産について助言勧告をする。その勧告あるいは助言を受入れた業者に対しましては資金のあつせんをする、こういうことになつておるのであります。御承知通りただいま真珠養殖業者は資金がないために、一年間でできる小さな真珠だけを生産いたしまして早く金にしてしまう、こういうようなことでネックレスに最も必要でありますところの大きな真珠、いわゆる三年あるいは四年かからなければできない真珠を生産する資金的余裕がないのであります。どうしても現在の十五億円程度の輸出金額を、ここ五箇年間に百億円程度にしますためには、今後三年四年かかる真珠をつくらなければ達成されない次第でございます。われわれはいろいろ計算いたしました結果、大体一年に三億円程度の資金があれば、ほんとうにバランスされた大きさの玉が計画的に生産できる、こういうことになつておるのでございます。日本の真珠事業を大ならしめる上にも、どうしてもこの三億円の資金が必要であると考えておるのでありますが、あの法案を通過させるにつきましては、農林大臣のこの三億円に対する資金あつせんということについて、大いに期待をいたしまして、法案が通過いたしました次第でございますが、この点につきまして、農林大臣にいかなる御準備といかなる御配慮を煩わしておりますか、この問題は非常に重大でありますから、何はさておいて大臣に解決してもらわなければならぬ、こういうことを期待しておる次第でございますが、大臣のこの点に対するお考えをお伺いしたいと思うのであります。
  53. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 日本の真珠が、全世界から愛されるような真珠をつくつて供給したいという法の精神でありますので、それに要する準備として特に四條、五條の問題を取上げられたようでありますが、農林省といたしましては、農林中金なりあるいはまた中小企業の関係なりの方に話は進めております、それからまた開発銀行につきましても、目下事務的に交渉いたしておりますが、最後には小林君ともよく話して、事の重要性をよく説いて、出してもらうようにいたしたいと思つております。
  54. 川村善八郎

    川村委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は公報をもつてお知らせすることとし、これにて散会いたします。     午後零時二十一分散会