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1952-03-03 第13回国会 衆議院 水産委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年三月三日(月曜日)     午前十時三十八分開議  出席委員    委員長 川村善八郎君    理事 小高 熹郎君 理事 田口長治郎君    理事 林  好次君 理事 佐竹 新市君       石原 圓吉君    川端 佳夫君       鈴木 善幸君    田渕 光一君       冨永格五郎君    松田 鐵藏君       井之口政雄君    上林與市郎君  出席政府委員         水産庁長官   塩見友之助君  委員外出席者         農林事務官         (水産庁漁政部         長)      伊東 正義君         專  門  員 杉浦 保吉君         專  門  員 徳久 三種君     ————————————— 三月三日  委員木村榮君及び佐々木更三君辞任につき、そ  の補欠として井之口政雄君及び上林與市郎君が  議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  昭和二十六年十月の台風による漁業災害復旧  資金融通に関する特別措置法案松田鐵藏君  外十一名提出衆法第三号)  真珠養殖事業法案石原圓吉君外十四名提出、  第十二回国会衆法第八号)  水産金融に関する件  漁業取締に関する件  漁業損害補償に関する件     —————————————
  2. 川村善八郎

    川村委員長 これより水産委員会を開きます。  昭和二十六年十月の台風による漁業災害復旧資金融通に関する特別措置法案議題として審議を進めます。まず提案者より提案理由の御説明を願います。松田鐵藏君。
  3. 松田鐵藏

    松田委員 ただいま議題となりました、昭和二十六年十月の台風による漁業災害復旧資金融通に関する特別措置法案提出理由を御説明申し上げます。  この法案は、ルース台風による漁船、漁具及び養殖施設等漁業施設災害復旧資金融資を円満にすることを目的としたものでありまして、農林中央金庫等融資機関が、漁業者に対し復旧資金融資をするときは、その融資につき政府損失補償及び利子補給契約を結ぶことができるようにいたしたものであります。すなわち、復旧資金の総額の限度を十五億円とし、これについて政府は、融資機関のした融資ごとに、年四分の利子補給を行い、かつ、三割以内の損失補償を行おうとするものでありまして、二十七年度予算中にはこれに要する予算措置も講ぜられている次第であります。  御承知のとおり、政府がこのような補償契約を結ぶことは戰後初めての措置でありまして、かくのごとき特別の措置によりまして、ルース台風による甚大な被害の復旧の促進をはかりたき所存であります。  なお漁業部門にはいまだ確固たる補償制度が欠如しておりますので、今後はこの特別措置の成果を見まして漸進恒久的制度の確立を期する必要があると思う次第であります。何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願いいたします。
  4. 川村善八郎

    川村委員長 これより本案に対する質疑に入ります。御質疑はありませんか。     〔「なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 川村善八郎

    川村委員長 別に御質疑もないようでありますので、本案につき質疑を終了いたします。  これより討論に付する段階でありますが、別に討論通告もありませんのでこれを省略し、ただちに採決いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 川村善八郎

    川村委員長 御異議なしと認め、これより採決いたします。  本案賛成諸君の御起立を願います。     〔総員起立
  7. 川村善八郎

    川村委員長 起立総員。よつて本案原案通り可決いたしました。  なお本案に対する委員会報告書作成につきましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 川村善八郎

    川村委員長 御異議なしと認め、さようとりはからいます。     —————————————
  9. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 日程、追加の動議提出いたします。前国会以来本委員会において愼重審議を重ねて参りました真珠養殖事業法案をこの際日程に追加し、審議を進められんことを望みます。
  10. 川村善八郎

    川村委員長 ただいまの鈴木君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 川村善八郎

    川村委員長 御異議なしと認め、これより真珠養殖事業法案議題とし、審査を進めます。去る二月十八日田口長治郎君より本案に対する修正案提出され、その趣旨弁明を聴取いたしましたが、本修正案について同君よりその補足訂正のため発言を求められておりますので、これを許します。田口長治郎君。
  12. 田口長治郎

    田口委員 去る二月十八日本委員会におきまして、真珠養殖事業法案に対する修正案について御説明申し上げ、原案とともに修正案について御審議を願つておる次第でありますが、さき修正案について一、二補足修正する必要を生じましたので、お手元に配付しております案の通り前の修正案につけ加えて修正いたしたいと存ずる次第であります。  その趣旨及び内容について御説明申し上げます。原案の第四条と第五条との関係でありますが、まず第四条におきましては、すべての真珠養殖業者に対して、毎年その営む事業につき計画をきめて農林大臣提出することに義務づけ、強制いたしておるのでありまするが、次の第五条におきましては、これが裏づけというべきの資金のあつせんはすべての養殖事業者対象としていないで、提出した計画について助言または勧告をし、これに応じた者に対してのみすることになつておるのであります。すなわち一方においてはすべての者に義務を課しておりながら、他方資金の面については一部の者を対象といたしておりますので、この際この不均衡の調整をはかることが適当と考えられましたので、原案の第四条を農林大臣は毎年養殖事業者に対し計画提出を求むることができることに修正して、第五条との調整をいたした次第であります。かく修正することによりまして、当然さき修正による第十五条第一項の計画提出にかかわる罰則の規定はなくなるのでありまして、これを削つたのであります。これが補足修正をいたさんとするおもなる内容でございます。そこでこの修正さきの第一次修正案と一本にいたし御審議を願いたいと存じまして、補足修正の字句について御審議願つた次第であります。
  13. 川村善八郎

    川村委員長 これより原案並びに修正案一括議題とし、質疑を許します。石原君。
  14. 石原圓吉

    石原(圓)委員 本案の第四条をそのままにして、第五条を修正することが私ども多年の研究の結果理想といたしておりましたが、この点に対しては種々今後に期待をいたしまして、この修正案賛成をするものであります。私は真珠事業法案理想としては、完全なる事業の統制とは申しませんが、ある程度調整を加えて、対外的に真珠そのものの価値の向上数量の調節をなし、世界的貴金属と相並んで、たとえばダイヤモンド政策のごとき政策をもつて臨みたいと存ずるのでありますが、何としても母貝増産真珠そのものの品質の向上品種別数量調整輸出検査の励行、真珠養殖研究の徹底がおもなる目的であります。本法案は私の理想と申しますか、私の目標としたところは少しく隔たりはありますけれども、本法案の成立後に、機を見て、さらにあの実績にかんがみて、補足充実をいたしたいと思うのであります。業界の期待に沿わんとするには実績により、経験の上にいたしたいと思いますので、今回はこの修正案賛成をいたすものであります。
  15. 川村善八郎

    川村委員長 他に御質疑もないようでありますので、本案に対する質疑はこれにて終了いたします。  これより討論に付する段階でありますが、別に討論通告もありませんので、これを省略し、ただちに採決いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  16. 川村善八郎

    川村委員長 御異議なしと認め、これより採決いたします。まず修正案について採決いたします。本修正案通り決するに賛成諸君の御起立を願います。     〔賛成者起立
  17. 川村善八郎

    川村委員長 起立多数。よつて修正案決定いたしました。  次に修正部分を除く原案について採決いたします。ただいま決定いたしました修正部分を除く原案賛成諸君の御起立を願います。     〔賛成者起立
  18. 川村善八郎

    川村委員長 起立多数。よつて本案修正議決せられました。  なお本案に対する委員会報告書作成につきましては、先例により委員長に御一任願いたいと思いますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  19. 川村善八郎

    川村委員長 御異議なしと認め、さようとりはからいます。
  20. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 ただいま真珠養殖事業法案は共産党を除く各党の多数の賛成を得まして、本委員会において議決を見たわけでありますがこの際私は政府当局に対しまして希望を申し上げておきたいと思うのであります。ただいま決定を見ました事業法案によりますと、生産計画農林大臣提出し、農林大臣助言あるいは勧告に基いて事業を進めました場合には、農林大臣資金のあつせんをすることに相なつているのであります。この資金は大体四箇年ないし五箇年の長期賛金といたしまして、第一年度二十七年度に最低三億円程度長期資金をあつせんすることに相なつていると思うのであります。つきましてはこの最低三億の資金あつせんわくを、農林大臣並びに周東安本長官に私ども折衝いたしましたところ、廣川農相周東長官も、責任をもつてこの三億の資金わくを確保することに努力するという言明を得ているのでありますが、本日は両大臣の御出席がございません。そこでこの際彌見長官並びに川村委員長から、適当なる機会に、この資金わく設定についての政府としてのはつきりした方針を本委員会に示されるよう、御両所から政府に対して御連絡をいただきたいと思います。
  21. 川村善八郎

    川村委員長 ただいま鈴木君の御発言中、委員長に対する御要望に対しましては、先般周東安本長官にお会いして資金の問題をいろいろお話合いしたのであります。鈴木君の御発言と同様、責任をもつて資金のあつせんをするという言明をいただきましたし、今朝農林大臣に会いまして同様折衝いたしましたところ、資金の問題については責任をもつてあつせんする。従つて本日の委員会でできれば通せという激励までいただいて来ましたので、鈴木君の御期待に沿うよう委員長といたしまして努力する考えであります。
  22. 塩見友之助

    塩見政府委員 ただいま事務的に取進めている最中でありまして、努力をいたします。
  23. 石原圓吉

    石原(圓)委員 この法案はちようど足かけ三年にわたつてやつと委員会を通過したのでありますし、その間の苦心さんたんたる情勢について、ただいま説明はいたしませんですが、委員諸君の御理解ある御協力に対しまして厚く感謝の意を表するものであります。つきましては水産長官は、この問題はあまり今日まで深くタッチされなかつたわけでありますが、さしあたりこの母貝生産増殖に対する計画が非常に差追つているのでありまして、三月一ばいにはぜひともその実施等をしていただかなければならぬということになつておりますから、水産庁関係各府県と連絡をとつて、まずこの法案の最も主要なる目的とする母貝増産の第一年度、本年度計画を遺憾なく遂行せられるよう、ただいま高橋課長もお見えになりましたが、どうかその点を十分急速にお手配あらんことを強く要望いたします。     —————————————
  24. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 今日は漁政部長もお見えになつておりますが、昭和二十六年度は余すところ三週間を出ない状況になりましたが、政府並びに本委員会漁業経営の安定の大きな施策といたしまして、水産物高度利用施設農林漁業資金特別会計によりまして実施して参つたわけであります。この二十六年度におきますところの水産物高度利用の、つまり製氷冷凍工場その他の融資につきましては、特別会計わくは一応十億程度に相なつてつたわけでありますが、水産庁におきましては、土地改良その他のわくの中で、もしそれらが年度内に消化されない場合には、その中から非常に各方面から要望の多いところの、しかも施策として非常に時宜に適したところの水産物高度利用の面に、その残余分を流用するをいう目途のもとに、十二億ないし十三億程度の一応の目途をつけて、各漁業協同組合から願い出しましたものを、第一次並びに第二次として査定をいたしておるように私ども承知いたしておるのであります。ところが第一次、第二次と事務的に処理いたしておりますものの内容につきましては、ただ調査資料不足があつて審議の時間を要したとか、あるいは地元にいろいろな事情があつて、特殊なケースとして特に調査を要するとか、そういうようなもつぱら事務的な手続によつて、第一次分とほとんど一緒に申請がなされておりながら、そういう若干の手続上の問題で、第二次分にまわされておる。しかも第二次におきましても水産庁においては、すでにこれが当然二十六年度において融資すべきものである。こういうぐあいに事務的には結論が出ておるというのであります。ところが私ども並びに水産庁が最初に期待いたしたのと反しまして、土地改良その他におきましても、とにかく與えられたわくはこの際消化させようということで、大体土地改良その他においても、わくは全部使つてしまうということになつておるようでありますので、当初予定しました水産わく十億に、プラス二億くらいのものが予定通り追加することができないように相なつて来るのではないか、こう予測いたされるのであります。そうしますと第一次分が十億四千万、それに二億程度の第二次分、この十億を越えた分については、二十七年度にまわさざるを得ないというような結果に相なると思うのであります。私が前段で申し上げましたように、第一次といい、第二次といい、本来二十六年度のわくでまかなうべきものである、こういう観点からいたしまして、水産庁においては、この第二次分については二十七年度において必ず出すという決定をいたし、そうして二十六年度において出すべきものが二十七年度にずれたのであるから、農林中央金庫に対して、その間のつなぎ資金をただちに融資するように、政府責任を持つてあつせんすべきものだ、こう考えるのでありますが、これに対して政府はどういうぐあにおとりはからいになる御方針であるか、この際承つておきたいと思うのであります。
  25. 伊東正義

    伊東説明員 私からお答えいたします。ただいま鈴木委員からお話がありました通り、当初は十億というわく融資計画をつくりまして、これは事業量全部で行きますと、十四億くらいになりますが、あとの四億は来年度にひもつきで残る形になつております。これは私ども来ます前に決定が済んでおる分であります。今お話の第二次という問題でありますが、これは農林省全部のわく調整してみまして、もし余つた水産にもわけてもらうという話合いでやつてつたのでありますが、これはむしろ水産がほかのわくを食つておる。鮭鱒孵化場等におきましては予定わく以上に融資して、ほかのわく水産が食つておる。そういう形になつておりますので、今年度中に第二次としてやる分のわくは今ございません。それで私どもとしましても、当然今年考えられてよかつた問題が二、三あつたということを聞いております。そういうものと来年のものと一緒考えまして、どうして不足分については、御説の通り中金からつなぎ資金を出してもらう。でありますから、ある期間は七分五厘ではなしに、一割一分といつた若干高い金利で一、二箇月の間は勘弁してもらうということで、官房長にも話し合つて了承を得ております。ただ金額が幾らということはきまつておりませんが、御説のような考え方でやる予定になつております。
  26. 松田鐵藏

    松田委員 ただいまの特融の問題について、私は当委員会において再三長官にも質問をしておるのでありますが、いまだその回答に接していないのであります。それは單協育成強化が成り立つて、初めて連合会育成強化というものはなつて行くものである。連合会というものは單協指導機関であると私はかたく信じておるものであります。連合会は株式会社のごとき事業団体ではないのであります。ところがややもすれば連合会は、單脇のこうした特融によつて、その村、港に施設をつくらんとするとき、それにじやまをして、自分の経営に移さんとする傾向がたくさんあるのであります。極端な例を申し上げますならば、鹿児島県の連合会のごときものであります。鹿児島県においては、既設業者鹿児島市に三つも四つもあつて製氷の能力からいつて十分である。ところがそれに対して、場合によつては足りない場合もあるが、既設業者が貯蔵庫を幾分ふやすことによつて十分であるという陳情も受けておる。その地方選出の代議士からもよくその事情を聞いて参おるのでありますが、これに対して連合会は、当初の單協決議によつて新たに拡張の計異を立てた。ところが先ほど提案した、ルース台風によつて漁業災害特別措置法を出さなければならないような災害を受けた結果、單協漁業権証券もあろうし、また自己資金もあつたことだろうと思うが、国から非常な援助を受けなければ立つて行けない、ゆえに前の決議は誤つてつたから、反対しなければならないという陳情もわれわれのところへ参つおつたし、水産庁へも来ておつた、にもかかわらず、水産庁鹿児島漁連に対して決定を與えてやつたという問題が論議されておつたのであります。これらはいまだにその内容報告もなく、しかして決定のままになつているのであります。單協育成強化を叫んでいる当局として、どうして連合会にかような企業的な仕事をさせなければならないのか、われわれの納得のできない問題であります。私どもはかような意見から、北海道道漁連は、北海道に持つている八つ冷蔵庫をも單協に開放すべし、しかして輿脇の力ででき得ない場合においては、連合会指導の立場にあり、また單協に対してあらゆる援助方法考えなければならないから、中央冷蔵庫をつくつて單協利益をはかるようにすべきである。かような見地から、北海道道漁連は今や八つ冷蔵庫輿脇に開放する手段を講じておる。しかして幾分の特融を受けて、中央漁民のための大きな冷蔵庫をつくつて利益を度外現して單脇利益をはからんとする方法をわれわれは北海道道漁連に相談し、さように考えさせておるのでありまするが、これこそはほんとうの連合会の行き方ではないか。鹿児島県のごとき、宮城県のごときは單協を圧迫する方法でおるとわれわれは考えておる。かようなことに対して、どのような御指示をなされているか、お考えを持つておられるかお聞きしたいのであります。  またもう一つ、農林中央金庫においては、どういう考え方から行くのか存じませんが、事務的な経費によつて融資に対する調査に、まことに銀行が、高利貸しが金を貸すがごごとき態度でもつて臨んでおる。せつかく組合は全部の借金漁業権証券によつてまず返そうとする。当委員会漁業権証券借金を返してはいけない。單協育成強化のために使う方法を講じろということをはつきり指示しておりまた湯河理事長借金はとらないと言明しておる。にもかかわらず全部の借金を払えと言う。またそれが自主的に払うものであつたならばこれは決して悪いことではないと考えておるが、その裏面に向つては、高利貸しよりももつともつとひどい条件をつけ、そうした審査によつてつておる。これから單協がまじめに民主的にその組合育成強化をはからんとするものに対しても、かように考え方を持つておる。しかも大体特融というものは二割は農林中央金庫の負担になるが、八割は政府責任である。場合によつては正しい行き方によつて事業となさんとし、その地方漁民利益をはかろうとする場合であつても、万が一災害によつてこれらが破壊されたような場合においては、八割は政府はこれをくれてやらなければならない。払わなくてもいいものである。かような性質を持つておるものと私は考えておるのでありまするが、但しこれはどこまでも借りた金であつて、もらつたものではない。正しくこれを払わんとして行かなければならない。しかし組合地方のためにあらゆる育成強化組合員協同利益のためにこうした事業考えるのに、政府の親心をも忘れている。しかして高利貸しよりもひどい考え方をもつて、年内に決定されたものをいまだにそれを停頓さておる。しかも北海道農林中央金庫の前の支所長などというものは、それがために転任させられてしまつた。また職員たちもさよう考え方を持つてつたならばもつともつとかえなければならないのであります。これは北海道における輿論であります。これは漁業のみならず、農業の方においてもさようであります。まことにわれわれの納得でき得ない考え方をかれらはしておるのでありありまして、正しい特融の性格、精神というものを十分把握されるように長官からも特に農林中央金庫の当事者に申し入れていただきたい。しかして委員長にお願いするのでありますが、近いうちに農林中央金庫理次長を当委員会に呼んで、いろいろこれまでの誤つおる点をわれわれは指摘いたしまして、しかして正しい道によつて特融が一日も早く貸出しでき得るような手段をとられんことを希望するものであります。  まず水産庁の御意見を承りたいと思います。
  27. 塩見友之助

    塩見政府委員 特融関係單協に貸すか、連合会に貸すとかいうのは、單協限りの施設であれば單協がやるのが適当だと思いますけれども、関連する数個の單協がその施設を利用するというような場合には、これは連合会の方も考えてみなければならぬ場合はあるだろうと思います。具体的な問題に対しては、今いろいろと懸案があるようでありますけれども、私も詳細具体的な例について一個々々検討しないと、その可否はお答えいたしかねるわけでございます。  それから中金のやり方に対しては、これは過去から中金が非常に官僚的であるという非難は強くあつたわけで、私も官房長時代に、そういうふうな非難理由がある部分が非常に多いからというので、あらゆる機会にそういう点について中金最高当局の方にたびたび申入れもやり、支所長会議等の席上でもそういう点について警告は発したわけですけれども、具体的な問題に対しましてどういういうことになつておるかということは、詳細調査した上でないとちよつとお答えいたしかねるわけでございます。
  28. 川村善八郎

    川村委員長 松田委員発言中、委員長に対する御要望がありましたのでお答えいたします。この次の委員会には水産金融の問題、並びに海上保安問題等を取上げたいと存じますので、その当日は十分聞きただすことにいたします。     —————————————
  29. 田口長治郎

    田口委員 私はこの際、西日本各県が非常に重大関心を持つておりますところのまき網の漁業調整の問題について、水産庁長官の御意見をお伺いいたしたいと思うのであります。  水産庁は四、五日以来、長崎県から鳥取県までの県係員び業者を東京にお集めになりまして、そうしてこの問題に対する調整に関しまとて非常に御努力をしておられるように承知いたしておるのでございますが、今回招集になりました目的とその経過及び結果について、詳細にひとつ本委員会において御報告願いたいと思うのであります。
  30. 伊東正義

    伊東説明員 その問題は私からお答えいたします。今御質問がありましたように、先週四日間にわたりまして鳥取、島根、山口、福岡佐賀長崎ですかの各県当局業者の方々にお集まり願いまして、水産庁が中に入りまして会談をいたしました。この目的でございますが、この目的は昨年十二月一ぱいで許可の切れました対馬漁場目的としますところのさばきんちやくの入漁の問題の話合いをつけることでございました。これは田口委員がよく御承知のように、従来対馬漁場目的としました他府県の船が約七十ぱい弱であつたのでありますが、これに対しまして長崎県当局は、十二月の許可の切れたのを機といたしまして、入漁は困る、長崎県に移籍すれば許可をしてもいいが、ほかの県の方は許可をせぬというような方針をとられたらしいのであります。それでこの一月以来、従来入漁いたしておりました佐賀福岡、山口、鳥取、島根、あの辺の船があそこに行つて操業できなくなつたということで、大分問題を起したわけであります。水産当局としましては、こういう問題はわれわれが最初中に入りますよりも、賢明な知事さんがたくさんおられるのでありますから、知事さん同士の話合いで話をつけてもらいたいということで、静観いたしておつたのでありますが、その経過を見、知事会議の様子を開きましても、なかなか話合いがまとまらぬ。それでさばの盛漁期も目前に追つており、ほかの県の船は大分引込船を使いまして、待機しているといつたような状態でありますので、入漁を拒まれました各県から、ひとつ水産庁が中に入つて話合いをしてくれぬかという要請がありましたので、先週四日間にわたつて会議を開いたわけであります。それでこれは目前の三、四、五の三箇月のさばの盛漁期を対象としました入漁の問題でございます。この入漁の問題を解決しようと思つて会談を開いたのでありますが、長崎佐賀福岡とは話合いがつきまして、これはすぐわれわれの方からも長崎へ電報を打ちまして、佐賀福岡の船はすぐ許可をして入漁するように手続をしてほしいというようなことをいたしました。これは長崎のいわし揚繰も佐賀へ行つて若干操業したいというようないろいろな希望条件も出まして、長崎佐賀福岡話合いがついて問題は解決いたしました。それから島根、鳥取は両方ともなかなか入漁話合いがつきませんで、さしあたり三、四、五の三箇月は島根、鳥取の船も長崎へ行つてさばの操業をしない。また長崎の船も島根、鳥取へ行つて操業することは見合せようというようなことで、話合いがつかぬままにわかれております。一番問題は山口と長崎なのでございますが、これは両方からいろいろ希望条件が出まして、東京で話合いをつけたかつたのでありますが、水産庁が出しました案につきまして、山口側はここでのむと言つたのでありますが、長崎側は即答できぬということで、日を切りまして三月十日一ぱいに御返事をもらいたい、その御返事がなければひとつ農林省として考えておる方針でやらなければいかぬというようなことを申し上げまして、長崎と山口の関係は、十日の日を切つたまま今おのおの関係者が現地へ帰られまして、地元で相談の上水産庁に返事をするということに相なつております。
  31. 田口長治郎

    田口委員 ただいまの御説明によりまして大体の経過はわかつたのでございますが、私らの聞いておるところによりますと、島根と鳥取は極端なるモンロー主義——ほかの県では、島根、鳥取にも他県からの船を入れることを承知すれば、鳥取、島根の船も他県に行つていい、こういうようなところまで行つておるのだが、島根、鳥取は極端なるモンロー主義でどうしてもほかの船は入れないというようなことで、この二県だけは決裂をしておる。それから山口県につきましては、山口県の沿岸にも相当さばがおりますのにもかかわらず、山口県におきまして火光利用の漁業を禁止しておりますがために山口県の船自体も他県に行つて仕事をしなければ仕事にならない、こういうような実情でありますから、山口県にも火光利用のさんちやくをやらせるような処置を講じてさえくれれば山口県との折衝もスムーズに行く、こういうようなことで、山口県当局に対しましても、このことに関して御努力をされるようにというような話のように聞いておるのでございますが、この点につきまして水産庁は山口県に対して、山口県沖合いで火光利用をさせるようなそういう問題につきまして、ある程度の慫慂をされましたかどうか。その点をお伺いいたしたいと思うのであります。  それと、重ねてこの鳥取、島根県のモンロー主義に対しましては、いかなるお考えを持つておらるるのでございますか、この二点をまずお伺いいたしたいと思うのであります。
  32. 伊東正義

    伊東説明員 山口、鳥取、島根の二つのブロックの問題でございますが、まず山口の問題からお答えをいたしますこれは山口県は戦前より火光利用の揚繰の操業を禁止いたしております。それで水産庁といたしましても、今問題になつておりますところのさばきんちやくの入漁に関連いたしまして、県当局ももう一回これは再考してくれぬかということで、水産庁から出しました案にもそのことははつきり書いてあります。ただわれわれそのと口頭で申し上げましたが、これは山口県自体でも沿岸漁業者との問題で非常に深刻な問題がありますので、戦前からずつと禁止しそおりました操業方法を急に解くということはなかなか困難あります。よほど県内においても、沿岸漁業者話合いをつけないでこれをやりますと、ちようど昨年の新潟のような問題を起す可能性が多分にありますので、その辺のところは、よく帰つて県の沿岸漁業者とも相談をし、海区の調整についても相談をしてやつてほしい、しかしできればそういう操業ができるようにやつてほしいという慫慂はいたしてあります。これは文書にも書いてあります。  それから鳥取、島根の問題でございますが、これはお説の通り長崎県以上のモンロー主義であります。長崎県も私はモンロー主義と思つておるのでありますが、長崎県以上のモンロー主義であります。この点は私もはつきり言つたのでありますが、島根、鳥取長崎県に出しました案を、長崎はのんでおります。島根、鳥取が断つておるのであります。私ども水産庁としましても、島根、鳥取両県につきましては、これは非常に遺憾である。近い将来におきまして、これも両県内の沿岸漁業者との関係があるのでありますが、従来入つていた船を締め出すというようなやり方ははなはだ遺憾でありますので、島根、鳥取につきましても機会あるごとにそういう方針をやめるようにということを言うつもりでありますし、会談でをかれます際にも、水産庁としては強力にその点を話してあります。
  33. 田口長治郎

    田口委員 ただいまの御説明によりまして、大体一部だけは地ならしができておりますけれども、大部分のところは、水産庁がお考えになつておるような将来海区の設定の問題につきまして、まだ地ならしが十分できていないように私は考えるのでございます。一方この省令発布の時期が三月の十四日に追つておる、こういうような事情もありますし、海区設定のための各条件はまだまだそろつていない。この両方面から考えまして、あの水産庁案でございますか、あるいは水産庁の係員の試案と申しますか、海区設定の問題につきましてはその期間と各県の事情との関係からいたしまして、三月十四日までに省令を発布することは、私は非常に困難と思うのでありまするが、この点について水産長官はいかようにお考えになつておりますか、この一点をお伺いいたします。
  34. 塩見友之助

    塩見政府委員 その点については、今後の各県の、水産庁の案によつて調整の仕方を見て、決定する必要があると思つております。ただいまどうするかというふうなことを確言する段階ではないと思います。     —————————————
  35. 小高熹郎

    ○小高委員 塩見水産庁長官にお尋ねしたいのでありますが、ルース台風による漁業災害復旧資金融通に関する特別措置法も本委員会を通過して、ここに一段と力強きものを覚えることはまことに欣快でございますが、これに関連いたしまして、漁業災害があまりにも多いのでございます。たとえば定置漁業とか、のり漁業あるいはかきその他の貝類等が、高潮とかあるいは暴風であるとかのために集団的の被害を受けるというようなものに対して、何らかの措置を講じたいということをかねがね私は考えておつたのでございますが、この種のものに対して、保険制度をお考えになつておることがあるかどうかということについてでございます。先般漁船に対する損害保険制度が確立いたしましたことは、これは漁民一般が非常に欣快に思つておるのでございますが、漁船のみをもちまして漁業経営の安定がなし得られたというわけには参りません。その意味において定置とか、のりとか、かきその他の貝類等の集団的被害による漁業保険制度を確立いたしたらどうかということを考えておるのでございます。これにつきまして、従来は水産庁内に漁船保険課というものがございましたが、この漁船保険課のわくをもつと広げまして漁業保険課というような一つの課の制度にして、漁船の保険のみでなく、もつとふところを広げた漁業経営の安定を期する意味において保険制度を確立したらどうか、かように私は考えておるのでございますが、これに対して水産庁長官はいかにお考えになりますか御意見を伺いたいのであります。
  36. 塩見友之助

    塩見政府委員 小高委員のお尋ねにお答えいたします。定置及び養殖の相当な固定施設を持つた者に対する保険制度で、台風その他の災害に対する対策を立ててはどうか、こういうお尋ねでございます。けれども、まつた賛成であります。実はこれは私前に漁政課長になつておりましたときにその問題を取上げまして、金融上とにかくどうしても保険の裏打ちがなくては円滑を期し得ないのではないか、こう考えまして、民間と一緒になりまして、保険の研究に当らしておつたのですけれども、その後それが進捗を見ませんで、現在もそういうふうな制度ができていない。まだ調査においても、危険率その他十分なデータを積んでない、こういう状態にあるのははなはだ遺憾に存じます。私就任早々ただちにそういう点について、やはりあの当時から危険率その他に対するデータを十分積んでおれば、保険制度確立の基礎は今ごろにはできておるはずだ。それが中途で投げ捨てられておるために、基礎的な制度ができないのは遺憾だ、こう考えまして、その研究等につきましても、経済課とかそういう他の方の仕事も持つておるところではなかなかやりにくそうにも考えましたので、これを現在では保険のテクニックというふうな点、基礎データを集積するという点について経験のある漁船保険課について、検討をやらせた方がよいのではないかと思つて、私は現在お説の通りの形で検討を進めさせるようにとりはからつております。
  37. 小高熹郎

    ○小高委員 本問題に対して、水産庁長官がすでに相当の研究をなされておるということを伺いまして、非常に私は欣快に思うのでございまするが、どうか漁業協同組合を単位として保険金を負担せしめれば、必ずやこれは大きなる安全弁として期待できるごとと思いますので、すみやかにその結末が編み出されるよう努力してくださることを切に希望しておく次第であります。
  38. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 先ほど田口委員から御発言がありましたまき網の調整問題は、ほとんど全国の都道府県に関連を持つところの重要な漁業問題であります。そこで本委員会におきましても、水産資源に関する小委員会におきまして、さつそくこれを議題として、取上げまして、政府当局と十分協議懇談を遂げて、この調整を真に漁業者が納得し、安心するような形においてやつて参りたい、こう考えておりますので、私小委員長といたしまして委員長と御相談の上、適当な時期にこのまき網の調整に関する問題について小委員会を開催いたしたいと考えておることを、委員各位に御了承を得ておきたいと思うのです。  次に本日の午後に、わが自由党の政務調査会におきまして、石油の統制問題が他の稀少物資の統制と関連いたしまして審議されることに相なつておるのであります。この石油の統制を撤廃すべきかいなかという問題は、昨年来業界に来おいても非常に大きな問題になつた点であります。今日はすでに石油事情は世界的に見まして非常に円滑に行つております。国内におきましても、漁業関係者はもとより、大きな消費者であります自動車関係、そういう方面におきましても統制の撤廃はすでに輿論に相なつておるのであります。そういうような関係から、党においてはすでに石油の統制は三月三十一日をもつて撤廃すべしという一応の結論を得ておつたのでありますが、先般閣議において稀少物資の統制と関連しましてこの問題が論議されたやに聞いております。そこで再び政調においてこの問題を再検討するという段階になつておるのでありますが、本委員会といたしましても、これは漁業経費の低減の面からいいまして重要な問題でありますから、この石油問題を近い機会に本委員会として取上げられまして、国会側の意向を政府にはつきり宣明することが必要だと思うのであります。このことを委員長に提案をいたしておきたいと思うのであります。
  39. 川村善八郎

    川村委員長 ただいま鈴木君の発言に、石油問題について近い委員会において取上げるよう要望がありましたので、さようとりはからいます。  実は長官はただいま大臣より呼出しが参りましたので、本日はこの程度にとどめ、あとの委員会は公報をもつてお知らせ申し上げることとし、これにて散会いたします。     午前十一時三十八分散会