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1952-02-13 第13回国会 衆議院 水産委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年二月十三日(水曜日)     午前十一時二十九分開議  出席委員    委員長 川村善八郎君    理事 小高 熹郎君 理事 田口長治郎君    理事 永田  節君 理事 林  好次君    理事 佐竹 新市君       石原 圓吉君    川端 佳夫君       鈴木 善幸君    田渕 光一君       冨永格五郎君    松田 鐵藏君       小松 勇次君    水野彦治郎君       木村  榮君    佐々木更三君  出席政府委員         水産庁長官   塩見友之助君  委員外出席者         農林事務官         (水産庁漁政部         協同組合課長) 濱田  正君         農 林 技 官         (水産庁漁政部         漁船保險課長) 伊藤  茂君         専  門  員 杉浦 保吉君         専  門  員 徳久 三種君 二月十二日  委員井之口政雄君辞任につき、その補欠として  木村榮君が議長の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 二月十二日  内水面漁族増殖に対する国庫補助金増額陳情  書  (第四四一号)  水産資源保護法案等制定に関する陳情書  (  第四四二号)  内水面漁場管理委員会経費増額に関する陳情  書  (第四四三号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  漁船損害補償に関する件  漁業災害補償に関する件  公海漁業に関する件     ―――――――――――――
  2. 川村善八郎

    川村委員長 これより水産委員会を開きます。  この際漁船損害補償に関する件並びに漁業災害補償に関する件について、漁船損害補償及び漁業災害補償に関する小委員長より発言を求められております。これを許します、松田君。
  3. 松田鐵藏

    松田委員 きよう小委員会を開きまして、両法案に対する不審査をしたのでありますが、漁船損害補償法案に対しては課長より詳細な説明があつたのであります。しかしてこの問題に対し本委員会において再び担当官から説明していただきたいと存ずるものであります。  また漁業災害復旧資金融通に関する特別措置法に関しても小委員会においていろいろ論議され、大体了承したのでありますが、この法案に対しても担当官より御説明願いたいと存じます。以上御報告申し上げます。
  4. 川村善八郎

    川村委員長 漁業損害補償に関する法案内容について、伊藤漁船保険課長より御説明を願います。伊藤君。
  5. 伊藤茂

    伊藤説明員 漁船損害補償中心は、協同組合地域を單位といたしまして、特定漁船所有者が三分の二以上保險に加するという決議または同意をしたときには、他の三分の一以下の者は強制的に漁船普通保険に入らなければならないというところにあるわけであります。これに対しまして政府はその特定漁船普通保険料の半額を負担するという点に中心がございます。この点につきましては法案の三十三條に記載してございます。  なお今まで小委員会で御審議願つておりました事項と最近かわつたことにつきましては、第四十條に「組合は、保険目的たる漁船につき、保険期間中その負担した危険が消滅したときは、定款の定めるところにより、保険料の一部を組合員に拂戻をすることができる。」という規定を入れていただきましたが、この考え方は、普通保険特殊保険とを契約した場合に、たとえば特殊保険の全損事故が起きた場合には、普通保険保険料の未経過分の一部を組合員拂いもどしをすることができるという規定が新たに入りまして、これに関連して百十八條に、政府の再保険関係保険料組合にまた拂いもどしすることができるという規定が入りました。概略以上であります。
  6. 川村善八郎

    川村委員長 ただいま御説明のありました事柄について御質疑があればこれを許します。     〔「なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 川村善八郎

    川村委員長 それでは御質疑がないようでありますから、次に漁業災害補償に関する法案について濱田課長より御説明を願います。
  8. 濱田正

    濱田説明員 漁業につきましては、漁船保険を除きましては災害に対してその補償をするという制度がないのでありまして、一旦災害を受けるとこれの再起はなかなか容易でなく、また金融のペースにも乗りがたいので、災害補騰制度というものを何らかの形でぜひとも打出すということが非常に重要なことでありますが、これが臨時措置といたしまして、二十六年十月のルース台風によつて受けた漁業災害に対してすみやかに融資をやつて復旧が容易にできるようにしたいという考え方で、予算にも十五億の融資額対象にして、それの四分、三千万円の利子補給するという建前と、もう一つ損害が起つた場合はその融資額に対して三割を限度として損失補償するという建前によりまして、災害復旧を円滑にして行きたい、かように考えたわけであります。その災害復旧対象といたしましては漁船、漁具、水産動植物増殖施設等で、金融機関としては農林中央金庫その他の市中銀行融資を担当して、その金融機関に対して四分の利子補給損害が起つた場合の融資額の三分の一を限度として損失補償をする、こういう建前法案を準備しておる次第であります。
  9. 川村善八郎

    川村委員長 ただいま濱田協同組合課長より漁業災害復旧資金融通に関する特別措置法案内容の概要を説明いたしましたが、これに対して御質疑または御意見があればこれを許します。
  10. 木村榮

    木村(榮)委員 これは貸す場合の限度が十五億となつておりますが、ルース台風被害は各県によつて相当状況が違うと思う。そこでもし法律できまつた予算わくを突破して申込みが各県から出て来たような場合の調整はどういうふうにしてやるのですか。
  11. 濱田正

    濱田説明員 十五億を対象にして三千万円という予算で押えられておりますから、われわれの考え方といたしましては、各県の災害状態を見まして、ある程度県ごとわくづけをして、重要な順序から知事に調整してもらうということを考えております。
  12. 木村榮

    木村(榮)委員 去年のあのときの各県の被害報告なんか見ると、相当巨額になつていたと思う。そこで各県の大体のわくをきめる場合のやり方は、あなた方の方と県なら県とが折衝してきめるのか、それともこういう臨時措置法というものが少くとも出た以上は、何かそういうわくのきめ方にも、これが臨瞬措置法であるだけに、法律でうたつて置くような必要がないのか。こういう点は御考慮になつておるかどうか。ただ單に今までのほかの一般予算やり方と同じように、関係官庁と各県とが折衝してきめるということ以外には考慮されていないのかどうか、この点を承りたい。
  13. 濱田正

    濱田説明員 これは、その被害状況によりまして一律一体に何かの形できめてしまうというのは、私は実際問題として困難ではないかと思いますので、各府県と相談しながらきめる方がむしろ実情に即して行くのじやないか、かように考える次第であります。
  14. 木村榮

    木村(榮)委員 私の申し上げたいのは、こういつた臨時的な特別措置法であるから、従つてこの調整のための何か委員会みたいなものでも設けて、そして公平円満な貸付方法といつたようなものを考慮する必要はないかどうかという点なんです。
  15. 濱田正

    濱田説明員 それは、ごもつともです。私もそのように考えます。公平円満といいますか、各県にアンバランスがないようにすることは、当然やらなくてはならないことなのです。それを委員会制度でやるか、県ごとの相談づくでやるか、そのやり方は、まだアンバランスがないようにせよという考え方だけで、まだやり方は考えておりません。
  16. 佐々木更三

    佐々木(更)委員 法律目的についてでありますが、これは去年の十月の台風にだけ適用されることに目的が限定されておるのでございますが、今後の台風その他の損害の起きた場合には一体どういうふうにするのか。單に去年の台風にだけ適用するというのでなしに、将来とも漁業者災害に対する補償が必要ではないかと思うのでございますが、こういうふうに目的を限定した理由がどこにあるのか、これをひとつお聞かせ願いたい。
  17. 濱田正

    濱田説明員 お説の通り、その点は私は最も重要な点だと考えます。最初に申しましたように、漁業者に対する災害補償制度というものは、全然漁船保険を除いてはないという状態でありますので、何らかの基本対策を打出す必要は当然あると考えます。そこでそれの一つのきつかけと申しますか、足がかりと申しますか、そういう意味において私はこの法案は非常に重要な意味を持つものだと思うし、また持たせなければならぬ、かように考えるわけであります。ところが予算関係におきまして、これを全般的に広げて行くという考え方まではまだ達していないのです。しかしながらこれを足がかりには確かにして行くのだという考え方で、この案にも書いてありますように標題の「昭和二十六年十月」、これをすりかえて行ける。何かまた事件が起つた標題だけをすりかえて続けて行く、こういう考え方でこの制度というものをだんだんと広げて行きたい、かように考えております。
  18. 佐々木更三

    佐々木(更)委員 台風その他による突発的な災害に対して、現在資本その他非常に困つている漁民に対して、融資その他によつて救済してやろうという精神には私は全幅的に賛成なのであります。たとえば農業におきましては農業災害保険があるが、従来漁業界にはこの法案のようなものがなかつたのであります。その際にこういうものができるということは、日本漁業、特に沿岸漁業にとつてはこういう法律制定が必要だと思うのでございまして、この精神には賛成なのであります。ただいまお答えのような精神でこの法律がもしも提案されるとしまするならば——遡及してこれらの災害に対する救済の必要であることは当然でありましようが、もし遡及してこれらの救済に必要なる法律であるならば、むしろ将来起る事態に対してこそもつと必要である、こういうことに当然なると思うのであります。むろん政府におきましては予算その他があるでございましようけれども、しかし昨年のこの台風にだけこれを適用して、将来起る事態に対しては何らこの法律適用を延長しないばかりか、現在のところにおいてはこれを考慮しない。こういうことは少くも法律目的が中途半端になるのでありまして、むしろそれは制度及び行政の不公平である。加うるに、ある意味においては悪い効果を及ぼし、将来漁業生産に対する協力態勢にも悪い影響を及ぼすのではなかろうか。私はこの際、むしろそういう精神を将来に生かす意味において日本漁業を抜本的にここで一変させる意味において、この法律目的を單に昨年度の台風だけに限らず、将来にわたつてこれを適用するような方向に改めるのが至当である。そうでなければこの法律の真の精神が死んでしまつて、一部に対する不公平なるところの擁護政策、言いかえれば一部に対して不当な利益を與えるものである、こういうことになると思いますので、当局はこの際目的適用を将来にわたつてなすようにおかえになるお考えがないかどうか、この点についてお尋ねいたします。
  19. 松田鐵藏

    松田委員 ただいま佐々木委員の御発言は、私どもといたしましても最も力説して来たのでありますが、小委員長立場から今までの経過をあまりにも簡單に申し上げたのが、私の一番まずい点であつたのであります。しかしてこの法案に対する今までの経過は、佐々木委員は本日初めて委員となつて来られたので、その内容がおわかりにならないためにかような議論をされるのであります。そもそもこの法案のでき上つた、またわれわれがつくらなければならないという熱意に燃て、水産業者としては最もよい法案である、かような趣旨で行かなければならないという観点から、今の御議論と同一な考え方を持つてわれわれは進んだのであります。しかしてまた佐々木委員のおつしやるように、日本国家財政建前から今はいかんともするわけに参らぬので、大体において三十六億という金額が各県からの総合された金額であつたのでありますが、せめて十五億、予算建前から、金融の逼迫している今日において、この程度で妥協しなければならない立場になつたので、やむを得ずこれをのんだのであります。しこうして当初において五千八百万円という利子補給額を要求し、これに努力をしたのでありますが、この第二條の三項にある十五億円を限度とする。かようなことは将来金融の見通しがつく態勢なつたならば、この三千万円という利子補給額もつと増すことを確約してあることを委員諸君にも話して、御了解を得ているわけであります。ただいまの佐々木委員の御議論もつともなことだと思いますが、やむを得ざる事情によつてわれわれはこの法案をまず通過させて、将来こうした災害に対しては、水産委員会が一致団結して、再びこういう法案をただちに出すことができ得るように努力したい。このことは法案の付則の第三項にも政府は、融賞機関がこの法律施行前第二條第一項に規定する者に対してなした貸付について、政令の定めるところにより、当該貸付につき利子補給をすることができるとあるわけでありまして、こうした点からそのときどきにこの法案基礎として、これと類似した法案を出してやつて行ける。しこうして佐々木委員も言われたように、将来完全なる法案をつくる基礎にしようという考え方が各小委員によつて論議され、この点に対する皆さんの御了承も得ておるのであります。政府の御説明を要求されておりますが、小委員長立場から今までの経過を御報告申し上げておきます。
  20. 川村善八郎

    川村委員長 特に委員長からも佐々木君にお願い申し上げます。ただいま松田委員長から、るる今日までの折衝の過程を報告されましたが、その中に佐々木君の御意見はごもつともであるという言葉も入つておりますので、御了承願いたいと思います。なほ来この法律りつぱなものにするように委員が努力して貫徹したい、かように存じております。
  21. 佐々木更三

    佐々木(更)委員 小委員会の御苦心のほどはわかるのだが、私はやはりある特殊的な、ことに地域的に特別な保護法になると思うのであります。従つて、小委員会の御苦心のあとはわかるのでございますけれども、私はもう一度御検討を願いたい、こう思うのであります。(「必要なし」と呼ぶ者あり)必要はないというお話でありますが、私の立場からいいますと必要がありますので、この際適用される地域損害額、こういうものに対する資料を御提出あらんことを委員長を通してお願い申し上げます。
  22. 川村善八郎

    川村委員長 了承いたしました。
  23. 小高熹郎

    小高委員 私は水産庁長官利子補給の問題についてお尋ねをしたいと思うのであります。塩見水産庁長官は、かつて農林省の大臣官房長をなさつておられて、その傘下に農林金融課を納めておりましたので、農林水産関係政府資金については十分に御承知のことと思いましてお尋ねをいたすのでありますが、この法案を見ますと、元の利子幾らで、それで四分の利子補給をして、漁民が負担しなければいけない利子差引幾らになるかということが明記されておらないのであります。私は先ほども委員会においてこの点非常な疑義を持つたのでございますが、先般畜産関係法案が出ようとしているのに際して、二十四億の資金裏付として出るやに聞いているのでありまするが、それは元の利子農林中金から一割二分五厘で出て、そうして五分の利子補給をするから、差引畜産関係者は七分五厘の利子を拂うことになるというように聞いているのであります。この法案を漠然と見ますると、農林漁業資金融通法であるとか、それに基く資金であるとか、あるいは政府低利資金であるとかいうような感覚を持ちたがるのでございます。そうなりますると、六分か七分の元の利子に対して四分の補給がされるならば、これはほんとうに安い利子になるのであります。あるいはそうでなくて、法案には漠然としておつてそれが書いてないのでありまするが、これは常識で考えると、低利資金特融というような金利のほかに四分が補給されるような気がするのでありまするが、事実はあるいは四分差引いた、実際拂う利子が七分か七分五厘でありはしないかというような非常な心配を私は抱いているのであります。その元の金利幾らであるか、それから補給すべきものを差引いた利子がいかほどになるかという点等に対して、一応御見解を伺いたい。
  24. 塩見友之助

    塩見政府委員 小高委員の御質問に対してお答えいたします。この資金源がどうなつているかということにつきましては、政府資金もかなりきゆうくつな状態にあるために、農林漁業資金融通特別会計を二百億まで来年度ふやしたわけでございますけれども、その中にはこれは入つておりませんので、普通に中金が金融債その他で集めました資金その他の金融機関につきましても同様、普通の市中から集めた預金なり何なりという形のものが元になつて、それから四分引下げるという形でございまするので、御懸念のありました通りに、やはり七分以上の金利になるものと考えます。それから家畜導入の方の資金につきましても、その点については同様でございまして、これは中期と申しますか、五年、七年というふうな期間にわたりますので、元の金利も相当高くなつておりまして、五分を差引いて、大体七分五厘ぐらいになる、こういうふうな形で利子は決定されることと存じます。それで二百億まで農林漁業資金融通特別会計資金源をふやしましたけれども、それだけでは水産であるとか、畜産であるとかいう点では資金はなお足りない。政府資金ではそれ以上は現在の状態ではとても見られない、こういうふうな状態から、資金源市中のものをこれに充てるという形で、ただ利子の点についてだけ農林漁業資金融通特別会計における共同施設と同じ金利まで下げるという方向で、この利子補給というふうなものがこれと家畜導入の二つについて特例として認められる、こういう形になつております。それで日本金利全体が高いというふうな点について、水産業とか、その他あらゆる産業がそうだと思いますけれども産業生産を確保するというふうな点から見て、非常に今苦しい状態にあるわけですけれども金利水準全体が高い関係から現在の状態ではこの程度でがまんしなければならないというふうな関係予算が組まれた、こういう経緯になつておるのでございます。
  25. 小高熹郎

    小高委員 ただ今の塩見長官の御答弁で、私が杞憂しておる図星がやや当つたことる実は遺憾に思うものでございます。この法案の性質が困窮しておるところの災害復旧でありますから、無理をしてもというような希望を持つておるし、法案を一瞥して見ますと、低利資金からまたこれだけの利子補給がありわせぬかという錯覚を起しやすい形になつておるのでございまするが、やはり結局は七分か七分五厘の利子は四部差引かれて拂わなければいけないのじやなかろうかというようなことに陷つてしまつたのでありまするが、これはいやしくも私ども法案を通過せしめる場合に、もとの利子が一割であるとか、一割七分であるとか、一割二分五厘であるとかいう基準を明らかにいたしまして、そうして四分補給して、差引幾ら利子を負担するかということがはつきりいたしませんと、法案審議が非常にしにくうございますから、その点は農林中金という相手もあることでございまするから、これ以上追究いたしませんが、ひとつ至急お打合せをいただきまして、この次の機会に、元の利子幾らで、四分差引いたもので幾ら負担するということをひとつお答え願いますよう、次の宿題にお願いをいたしておきます。
  26. 川村善八郎

    川村委員長 次に北洋漁業について永田委員より発言を求められております。これを許します。永田君。
  27. 永田節

    永田委員 私はしばらく旅行をいたしておりまして、本委員会にごぶさたいたしておつたのでございまするが、旅行中たまたま新聞等によりまして、前後三回にわたりまして、北洋漁業許可の問題が新聞に伝わつておるのでございまするが、われわれ水産常任委員会といたしましては、今日なお日米加漁業協定もようやく仮調印の域にあるのでございまして、最も慎重を期さなければならない折からでもございますし、さらにまた世界に対しまして、日本の過去における長年の濫獲というものは、国際漁場の不信を高めておりまする関係上、かにのような底棲性のもの、さけ、ますのような遡河性のもの、これの魚族の資源濫獲、並びに資源保護というものが密接な対照を示す関係上、日米加協定資源の調査を行いつつ、ときに協定を訂正したり、緩急改めるところが多く、まつたく定まらない状態でございます。これらは一にかかつて日本の過去の濫獲が、その責任世界から追究されておるという状態にあるのが、今日のわが国の水産状態であろうと思うのであります。従いましてもちろんこの許可にあたりましては、最も慎重に考慮いたしまして、後顧の憂いのないような堂々たる態度をもつて、切迫したこの漁期にあたりまして、すみやかに決断されんことを望むものでありまするが、ひとり政府のみの責任にゆだねるということは、今日の国際情勢において、われわれ国会としては遺憾ながら政府の威信をもつてしては、この問題は解決しにくい。そこでわれわれ国会は最も妥当にして嚴正なる意見をもつて政府に必要なるときに勧告をするように準備を進めているのでございますが、政府においても、少くともこの許可をめぐりまして政府独断でおきめにならないで、水産委員会の意向も十二分に尊重なさる御意思ありやいなやということを、一点お伺いしたいのでございます。私の留守中にあるいは御質問があつて、重複するかもしれませんが、その辺は悪しからずあらためてお答え願いたいと思うのでございます。  さらに引続きまして、今日のこの新聞リツジウエイ大将ソ連抗議日本船捕獲禁止抑留者の釈放も要求という大見出しで、ソ連国際法を無視しまして、日本船を百数十隻も不法拿捕したその乱暴の数々が一々列記されているのでございます。これに対しまして北海道に近接するソ連領島嶼ソ連当局に対して、司令部公認漁場の内外を問わず全公海における全日本漁夫の拿捕を今後禁止する指令がただちにソ連の手によつて発せられること、これら漁船に関してすでに発せられたすべての接収命令ソ連政府によつて取消すこと、さらに目下ソ連側に不当に抑留中の全漁船乗組員とを、即時ソ連政府は釈放すること。これらの諸点を最高司令部は毎度ソ連政府に向つて要求しているかのように報道されておるのでありますが、これらの事実もやがて日本北洋漁場と不可分の関係を生じて参るのでございますし、司令部はかく事実をあげて大々的にソ連抗議をするにあたりましては、少くとも日本政府においても、司令部措置に先んじて、しかるべく善後措置が講ぜられておつたものと考えられるのでありますが、一体これらのゆゆしい問題の解決にあたつて水産庁はいかなる御処置を今日までおとりになつておられたのか、御報告を願いたい。
  28. 塩見友之助

    塩見政府委員 北洋漁業許可の問題については、資源保護というような観点に立つて、国際的に見て非常に重大な問題であり、ことにこれがおそらく平和條約が成立して、平和国家の第一出発の国際的な進出という形をとると思いますので、この点非常に重要な点であり、また御指摘の通り底棲性、あるいは遡河性の魚類であつて、繁殖上非常に考慮を要するという点は十分考えて参らなければならぬと考えておりますが、政府独断に陥らないように、この問題の進め方については、われわれの方としましても関係業界意見を十分内部的にも検討してもらいながら、進めてもらうような措置をとつております。その関係業界の中にもいろいろな意見もありますし、利害関係等もあるために、遅れているという状態になつておりますけれども、これはどうも政府の方でとつております方針によつて、できるだけ関係業界一体になつて国際的な併用を増すような形で、ことにかに工船等については二船隊等というような話もありましたけれども、大体どう見ても、手がたく考えた場合に一船隊以上はいかぬ、こういう方針は堅持したいと思つておりますし、鮭鱒等については、百ばい以内にしてくれ、こういうような意見もございましたけれども水産庁当局としましては、その半分の五十隻以内という手がたい形で相談をし合つている。こういうような形で関係業界の方に懲通しております。この問題については、もちろんいろいろ経営上の問題もございますし、過去の経験者の意見も十分尊重しなければならないことでございますから、できるだけ政府独断に陷るというようなことのないように、関係業界意見を十分に練つてもらつて、その上で政府方針を決定して参りたいと思つております。この委員会等においても、御意見等ございますれば、十分伺つて、それを農林大臣にもお伝えし、それに対処して参りたいと考えております。  それからもう一つソ連日本漁船の拿捕についての御質問でございますけれども、私従来からのずつと長い経過というものは、ここに書類を持つておりませんので存じておらないのでございますけれども水産庁当局といたしましては、時々問題があるたびに、外務省を通じて正式に総司令部の方へ連絡するとともに、天然資源局の方を通じて、外交局の方へ内容的に必要な部分は十分連絡する。それで適当な処置をとつてもらうように常に連絡は怠つていないつもりで、個々の問題についての通報は時々しておる、こういう状態でありますが、総司令部としての対処策については、総司令部の方で決定されることでありますので、決定あり次第、あるいは外務省を通じ、あるいは天然資源局を通じまして、直接GHQの方の対処策を伺つて参り、その都度こちらの方も意見を申し上げる、こういう形になつております。その点について今後、ことに平和克復後マツカーサー・ラインというふうなものが、これは占領政策上必要で行われたものでありますから、占領政策終結とともに当然これは撤廃されるという関係になりますれば、またそういう拿捕、臨検その他の国際的な関係はあるいはますますむずかしくなつてくるかもわかりませんし、そういう点について、これから意気込んで出漁しようという日本漁業者の勇気というか、進取の気持というか、そういうものをくじかせる点があつてはいかぬと思うので、私も非常に憂慮しておるわけであつて、その点については、今後ともなお一層の努力を傾けて参らなければならぬ、こう考えております。
  29. 永田節

    永田委員 ただいま長官の北洋漁業許可をめぐるところの御答弁は、われわれ委員会に対してすこぶる協調的な御答弁であると思います。申し上げるまでもなく、この北洋漁業許可の問題は、ひとり政府のみの独断によつて決定すべき御題ではない。業者も水産常任委員会政府一体となつて、最も慎重に解決をしなければならない問題だろうと私は思うのであります。決して委員会なり業者が政府の行政権にくちばしを入れるという問題ではありません。何となれば、長官みずから御存じのように、今回のこの漁業の出発を日本政府が誤つたならば、大洋漁業はやがて沖合いを圧迫し、沖合いの漁業が沿岸を圧迫し、遂に日本漁業自身がまつたく混乱に陥つて、再び世界に日の目を見ない、まつたく不幸な日本水産ということになつて来るのであります。従いまして北洋漁業の問題というものは遠洋漁業中唯一無二の最も魅力的な漁場である関係上、この許可にあたりましては、必ず水産常任委員会と密接なる御連絡のもとに、その処置を誤らざるよう重ねて御要望申し上げまして、再び御答弁を承りたいと思います。
  30. 塩見友之助

    塩見政府委員 この許可自体は行政行為としてやることで、今お話の通りでございますけれども内容としましては、これから平和克服後、日本が初めて忍びに忍んだ海域から新しい海域へ進出できるというふうな点から見て、全漁業者の一番刮目しておるとろでもあるし、ことに北洋漁業は、今般出漁できる範囲はかなり狭められてはおりますけれども、これは相当将来性がある漁場でございますので、日本漁業の全体に対する影響も相当大きいし、特にまた間接には沖合いを通じて沿岸の漁業に対する好影響を及ぼすような形で進めて行きたい、こう考えております。そういうふうな関係から、出漁する関係業者以外、漁業全体の問題に関係の深いことでございますので、前々から委員長を通じ、いろいろお話も申し上げておりますし、御意見の方もできるだけ伺いながら進めるように、連絡をしながらやつて参りたい、こう考えております。
  31. 永田節

    永田委員 そこで私は委員長を通じて本委員会にお願い申し上げたいことがあるのでございます。この北洋の漁業に関しましては、政府の案がまとまりましたならば、それと前後いたしまして、委員会委員会で独自の見解を持ちまして一応この内容を検討してみたい、かように考えます。たとえば新聞等に報ぜられておりますところは、三社をもつて一社にまとめるというふうな、それから外国資本を入れるの入れないの、ないしは中小業者に云々というふうなことが伝えられておりますが、これらの問題もつぶさに本委員会において審議してみたいと思うのでありますが、委員長よりこのことをおはからい願いまして、幸いに各委員の御賛同を得たいと思います。ひとつおはからいを顔いたい。
  32. 川村善八郎

    川村委員長 お答え申し上げます。農林大臣並びに水産長官に対しましては常に連絡をとつております。従つて先ほど塩見長官からるる御説明があつたように、業者の意見も十分尊重するということについてそれぞれ話もいたしておりますので、業者の意見がまとまるような機会の以前に、さらに皆さんにお諮りをし、さらに水産庁から本委員会に諮らして、この委員会意見もとりまとめて、今度の許可については御指摘のようなことのないように、完全無欠な許可を行つて行きたい、かように考えております。
  33. 川端佳夫

    ○川端委員 私もただいまの永田委員の北洋の出漁の問題に関連いたしまして、一点念を押して伺いたいのであります。実はただいま水産長官の話を伺い、あるいは委員長のお考え方を伺つたのでありますが、この数日間業者等が集まりまして、いろいろ意見も述べておるようでありまするが、業者の話を伺いますると、相当結論に近いところまで話合いが進んでいるかのような話をいたしておるのであります。はたして水産庁の長官は永田委員が今言われましたように、この北洋出漁の件許可の問題については、事前に本委員会にある程度の成案をお示しになつて、そうしてはつきりと相談をなさるお考えか。今の水準庁部内のお話合いのぐあいはかなりまとまりかけておるのではないか、業者等の話を伺うと、相当のところまで進んでいるかのようでありまするので、危惧の念から重ねてこの点を伺いたいと思うのであります。  なおこの機会に、しからはこの成案を得る時期はいつか、かに工船とあるいは鮭鱒の関係はわけて、また御計画をお立てになる都合もございましよう。かに工船の関係はどの時期にどういう方法でやりたいと思つておるのか。あるいは鮭鱒関係はどういう時期までにまとめたいと思つておるのか。平和回復後と申されまするけれども、相当準備の期間もいるはずであります。従つて相当取急いでこの用意は進められなければならないと思うのでありますが、その見通し等について重ねてお伺いをいたしておきたいと思うのであります。なお質問の答弁によりまして続けて伺いたいと思います。
  34. 塩見友之助

    塩見政府委員 前に長官談で発表しました線で業界の方は慫慂をし続けております。先ほども永田委員の御質問にお答えしましたように、私の方の内容としてはかには一船団、それで三者が連名許可を受けるとか、あるいは会社を新しくつくるとかというふうな点については、十分懇談し合つて一体なつた形で進めてもらうようにということを進めております。それから鮭鱒につきましては、大体独航船の方から固めるべきだというふうに考えておりまして、五十ばい以内ということで、母船につきましては、これは新しい漁場でもありまするので、三千五百トンくらいの冷凍の施設をしつかりつけたものでやつた方が採算的にもいい、紅とかあるいはますはカン詰にできるものでもあるから、そういうふうな利用の仕方をして、内地の塩ざけの値段を落さないという点も考慮しなければならない。またそれらの点で、それよりももう少し手軽な千トン、千五百トンくらいな船がいいという意見もあります。そういう点については、業者の創意というものをできるだけ生かしてやつて行くことが必要ではないかと思いますので、母船を出そうというところ及び沿岸の独航船の団体というふうなものの間で、十分議を練つて永田委員もお話になつたように、まつたくことしは、鮭鱒については特に試験的な段階でございますから、そういう点について十分な試験ができ、しかしかたがたそれは企業的に見ても危険性がないという形体を、業界の創意でとつてもらわなければならない、それで進めて参りたいと思つて、今相談をしてもらつておるところであります。ことに沿岸の独航船につきましては、これは北海道にも各府県にもわたることなので、現在独航船の方も非常に範囲が広いので、ばらばらであつては困る。それでまとまつた団体をつくつて、そういう点についての意見を至急まとめて相談し合うということで、懲慰している段階であります。そのまとまる時期等につきましては、できるだけ早い方が出漁準備の方から見ればいいわけでございますけれども、今のところ確たる御返答をするまでに至つておりません。ただ業界に対しましては、出漁に十分間に合うように急いでやつてもらいたい、その時期はいつごろがいいかということは、業界の方でも重大な関心を持つておりまするし、自分たちのことでもあるので、およその見当はつけながら業界の方で相談をし合つておる、こういう形だと思いますが、今のところ方針としましては、長官談というもので出しました以上、数字につきましては今申し上げた以上のところを出ておらないのであります。
  35. 川村善八郎

    川村委員長 時間がありませんので簡單にお願いいたします。
  36. 川端佳夫

    ○川端委員 承知しました。ただいまのお話は、結論として本委員会等にも十分に事情を疏通せしめるように努力を誓つてもらうことを要望いたしまして、もう一点、先ほどの永田委員発言に関連して拿捕の問題について伺いたいのであります。北洋関係ソ連領域といいますか、ソ連関係並びに中国関係の東支那海方面、黄海方面、ひつくるめまして、拿捕が非常に頻繁に行われまして、日本漁船が災難を受けておるわけでありますが、先ほどしばしば外務省を通じて適当な措置を請じられておるというお話はあつたのであります。私は愛媛県でありますが、愛媛県におきましても、マッカーサー・ライン内に出漁いたしておつた事実がその当時の無電等によつてもはつきりしておるもので拿捕されておるものも数件ございます。こういうふうな拿捕の件数等は、水産庁においてはつきりとおわかりになつておるはずでありますが、これはどの程度になつておりましようか。今すぐにおわかりにならなければ、一応おまとめになつた資料を見せてもらいたい。時間がないそうですからかけ足で申しますが、この乗組員等が非情に苦労いたしております。そうしてこの乗組員の家族あたりが日夜非常に心配をいたしており、かつ心配は生命の安否と同時に生活の心配をいたしております。残つた乗組員の家族が非常に生活に苦労をいたしておるわけでありますが、早急に拿捕の件が解決いたさないということでありましたら、これに対しても適当な措置を考えざるを得ないのではないか、あるいは船員保険適用を何かの形で、法律の改正をいたしてもようございましよう、何かのそういう便法を講じて救つてやる必要があるのではないかということを感ずるのでありますが、この点について、拿捕の件数等がおわかりになればそれも伺いたいし、乗組員がどのくらな範囲になるか、しかもこれに対しての対策は一応どんな程度に考えて行きたい思うのか、この点をかいつまんで伺いたいと思うのであります。
  37. 塩見友之助

    塩見政府委員 拿捕の件数につきましては、先般の委員会でそのときまでの数字を申し上げておりますが、その後またふえております。今詳細な数字は持つて来ておりますけれども、そう大きく数字は違つてはおらないと存じます。なお取調べました上で、さらに追加された分をお答え申し上げるようにいたしたいと思います。乗組の船員の保護につきましては、これは川端委員の御意見通り、船員法等においては、あの保険適用されないというふうな形になつておりまして、もしあれを適用するとすればどうしても法律改正を必要とする、それから未帰還者に対する保護というふうな点についても、これは終戦前から問題であつて、今度の場合は適用されないので、それでそつちの方の関係の方も、これは額は非常に低いものではありますが、これもやはり法法律改正でもしなければ適用されない、こういうような形になつております。それから今のところ、そういう関係法律を改正しないで、政府の方で援助をやるための資金を出す方法はないわけで、今年度の予算にもそれは組まれておらないわけで、そういう点については何らかの対策を考えなければならないわけでございますけれども、さしあたりましては、以西の方の船員とそれからその経営者の方の間で歩み寄つて、それで話をつけてもらうように慫慂しておりますし、各地においてそういう交渉はやり合つておるはずであります。できますならば、そういう共済的な何らかの施設が構ぜられるような方向に向えば、私らの方としても、できるだけそれの裏打ちとして財政的にも援助のできるような方法をそれと一体となつて考えて行きたい。失業保険その他についても、とにかく労務者の方も出す、経営者も出す、政府も出す、こういうな形態を何か考える必要があるのではないかと思います。それで労務者と乗組員と経営者の話合いも、そういうような含みをもつて話合つて行く、私らの方も、その進み方次第ではできるだけの裏打ちをしたい、こういう考え方で今相談をしてもらつておる最中であります。
  38. 田口長治郎

    ○田口委員 北洋漁業ことにかに工船の問題について長官にちよつとお伺いしたいのであります。この四、五日以来、業界の一部には今年のかに工船の出濃いろいろ時期の関係その他からとりやめたらどうかというような御意見が相当有力にあるようでありますが、御承知のようにかにはその生態状態から申しまして、とらないからといつてあの漁場が非常に繁殖がよくなるというような関係はない生物でもありますし、あのようなふうにして海底に埋まつておる世界的の資源であるので、需要家の方から言えば非常に惜しい、こういうような点もあります。またあれは世界的に日本人が初めて調査探求した漁場でもあり、こういうようないろいろの点から考えますと、多少の理由はありましても、今年のかに工船の出漁を見合せるということは、日本として絶対にとるべきものではない、こういうふうに私は考えるのでございますが、この点について長官はいかようにお考えでございますか、日本の将来の問題にも関係する重大問題でございますから、この一点だけをお伺いしたいと思います。
  39. 塩見友之助

    塩見政府委員 田口委員のお説の通りかには数年すれば、たとい濫獲になつてつた場合でも回復するだろうとあの地帶では一応技術者が考えている状態でありまして、ここ十数年とつておらないから、資源としては十分回復しておると考えられます。ここで一年出漁を待つたからといつて資源がさらに回復するようなことにはならないのではないかと考えられます。ことに日本の経済全体の状態からいたしまして、外貨の獲得ことにアメリカヘの輸出によるドルの獲得ということは、経済全体を円滑に運行させて行く上から見ても、非常に大事な点でもありまするので、そういう点から言えば、日本全体として考えた場合には、準備が整つている自信があるならば出漁するのが望ましいことだと考えております。ただその点について、業界全体だれもが出ないというような形になつても、政府はそれを強制するわけには参らないのですけれども、現在の日本水産業界全体の気持としては、少しくらいの無理はあつても出たいという気持は横溢していると思いますし、それの日本漁業全体に対する気分の上から、明るさをもたらして来るというふうな点からの利益も少なからぬものがあると思いますので、政府としては、当初の方針は何ら変更を今のところいたしておりません。
  40. 木村榮

    木村(榮)委員 長官にお尋ねしたいのですが、拿捕船の現状の資料をお出しになるときに、台湾政府関係並びに韓国関係もお出し願いたい。もう一つは、台湾関係の拿捕された区域の日本漁船の出漁状況、韓国方面で拿捕された区域の日本漁船の出漁状況と、北洋、東支那海方面の状況がどれくらい違うかという点を、船の数と漁場の問題についてお伺いいたします。
  41. 塩見友之助

    塩見政府委員 漁場の方はかなり錯綜してもおりまするし、海の上のことでありまして、境界がきつばり切られているという形でもなく、それは出漁の日誌等を繰つた上でないとどの方面に幾らという数字はまとめにくいわけです。あの海区はずつと緯度、経度をこまかく切つてありまして、同じ船でもこつちからこつちというような形でまわつて魚を追つて引いて参りますので、そういうような国別にどつちと関係が深いところにどう出たかという数字は、検討してみないと簡単にまとまるかどうかわからないと思います。それから漁期によりまして漁場が移動するわけでありますが、その点についても時期によつて相当な変化があると考えます。その数字はちよつと検討してみないとわからないけれども、むずかしいのではないかと考えます。
  42. 木村榮

    木村(榮)委員 それから台湾政府の方からもまだ未帰還の船があるように承つておりますが、どのくらいあるのですか。この前御報告なかつたと思うのです。
  43. 塩見友之助

    塩見政府委員 特殊保険にひつかかつて来た船の関係の数字はございます。
  44. 伊藤茂

    伊藤説明員 今詳細な数字は持つておりませんが、大体の記憶によりますと、特殊保険として拿捕関係の特約をしておりますものにつきましては、一月末の状況で、全国で約三十八隻が保険の支拂いの対象になつておるのでございます。そのうち北洋関係が八隻くらいだと思います。支拂額の関係から申しますと、一億五千万円くらいの支拂いになります。北洋関係はおそらく千万円に満たないと思います。大部分が中共関係でございます。韓国並びに台湾の分は、ほとんど帰還いたしましたから、おそらく支拂いの対象になつておらぬと存じます。御参考までに申し上げますが、それに対する保険料の収入が約四千万円でありまして、一億円以上の赤字が出ております。
  45. 木村榮

    木村(榮)委員 そこで承りたい点は、いわゆる特殊保険というものを拂う場合は、大体あなたの方では、ラインの内部でつかまつたという認定の場合にお拂いになつておると思うのです。外部の問題になつてくると、それはわからないわけなんですね。
  46. 伊藤茂

    伊藤説明員 特殊保険の支拂いは、お説の通りマッカーサー・ライン内の事故ということになつておりますので、この証明につきましては、出先の監督官の報告を徴しまして——これも明確なことはわからぬのですが、大体ライン内の見込みであるということの証明をいただきまして、支拂うことにしております。
  47. 木村榮

    木村(榮)委員 しかしながら拿捕そのものが不当なものであるとしたならば、これは全部拂うべきことになると思うのですが、そういう点の解釈は、今までは、ライン内は事故だ、ライン外は事故でない、こういう認定の上に立つてやられることにおいては間違いないわけなんですね。将来はわかりませんが、今まではそうなんですね
  48. 伊藤茂

    伊藤説明員 今までのやり方はそうであります。ライン内のみ支拂うという方針でございます。
  49. 小松勇次

    ○小松委員 この拿捕の問題に関連して伺いたいのでありまするが、現在マツカーサー・ライン内において操業しておる船に対しても、かくのごとき不法なる拿捕が行われておる。そこで講和條約発効後、当然このマ・ラインが撤廃された後において、どういうことになるかということは、おおよそ想像ができるのであります。中国においては東支那海はわれわれの領海であると言い、また韓国においては公海における国家主権の宣言をしておる。こういうようなことをいろいろ総合してみますると、たといマ・ラインが撤廃されても、将来にこういう問題が頻発するであろうとわれわれは憂えるのであります。今後のこれらに対する対策について、政府はいかなるお考えを持つておるか、具体的の案をひとつお聞かせ願いたい。
  50. 塩見友之助

    塩見政府委員 小松委員の御質問にお答えいたします。韓国とか台湾の国民政府とかいうふうなものに対しましては、平和條約第九條に基きまして漁業協定を結んで行く、こういう線でできるだけ紛争のないように処理ができるのではないか、またそういうふうに進めて行かなければならないのではないかと考えております。いろいろ李承晩ラインその他一方的な宣言もございますけれども、それに対しては、われわれの方といたしましては、従来からとつておりますところの、また日米加漁業協定において認められましたところの、過去からの国際慣習に基く公海における漁業の自由というふうな原則は堅持して交渉を進めて行く、こういう腹組みでおります。  それから中共に関しましては、全体の中共との国際関係がどういうふうになるかというところは、まだはつきりとした見通しもつきませんので、一番その間の調整には困難が多いかと存じます。それに対しては十分検討しながら進めなければならないわけですけれども、ただいまのところ、これといつて紛争を防止するよいきめ手はなかなか出て来ないというような形で、遺憾には存じますけれども、将来ともこの関係はむずかしい問題を引続き惹起するというふうな点を覚悟しながら、それに対する具体的な処理方法について、なお検討して参る必要があるのではないかと考えております。
  51. 小松勇次

    ○小松委員 さような問題が惹起しないように、将来政府においては、保護船なりあるいは監視船のごときものを使用して、日本漁船保護するというようなお考えはないか、また現在中共に拿捕されている船の返還に対しては、どういうような手を打つておるか、それをちよつと伺いたい。
  52. 塩見友之助

    塩見政府委員 政府の方といたしましては、そういう点について、できるだけ監視のみならず将来はその保護も加えながら、今まで予算上認められておつて出しております船は運用して参りたい、こう思つておるのであります。中共に対しましては、占領下にある限り、現在のところは司令部を通じて折衝するという方法しかないわけでございますが、今のところ先ほど永田委員の御質問にもお答えしました通り状態で、時々われわれの方といたしましては、そういうデータその他を提供しまして、司令部の善処方をお願いしておるわけであります。
  53. 川村善八郎

    川村委員長 本日は時間もありませんのでこの程度にとどめ、明後日は真珠養殖事業法案中心にその他緊急の問題について審議いたしたいと思います。  本日はこれで散会いたします。     午後零時四十八分散会