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田口委員 日米加漁業協定の
仮調印がでまして、ようやくわれわれが待望しておりました
北洋の
出漁ができるようになりましたことは、まことに喜ばしい次第でございますが、私はこの
北洋漁業に対しましては、ことに
終戰後日本が置かれておる
立場からいたしまして最重点的に
考えなければならない問題は、
国際信用を損しない、この問題が最も重大と
考えるのでございまして、この問題に関しましてはいろいろな
方法があると思いますが、各
方画から十分御研究にな
つて、いやしくも
日本の
漁業というものが、従来のような
国際的こ悪い印象を與えることがないように、ぜひ十分の御注意を願いたいと
考えるのでございます。それにつきましては、やはり
漁業の
経営形態というものが非常に重大なものではないかと
考えるのでございます。この
北洋漁業を
考える場合に、
国際信用の問題、第二に有利に
経営する、第三に広く
漁業者が参加する、こういうような三つの
原則をも
つて考えてみます場合におきまして、
かに工船などにいたしますと、どうも第一の
原則と第二の
原則という点が
一つの
形態で満足ができると思うのでございますけれども、広く
漁業者を参加させる、こういう問題について非常に困難な
漁業であるように
考えるのでございます。たとえば
独航船が
一つの網を入れる、そうして
調査をする、
川崎船は入れた網を上げる。そこで、どこで
仕事が切れるかということがわからない
漁業でありますから、この点はやはり
一つの
形態として進ませる。こういうことがこの
仕事を経済的にやる、そして国際的に
信用を失墜しない、こういうような
観点からいたしまして、私は
一つの確固たる
形態として進まなければならない
漁業ではないかと
考えるのでございますが、この点について
長官はどうお
考えにな
つておるか。まず第一点をお伺いいたします。
第二に
鮭鱒の流し網の
漁業でありますが、これはどうしても全国の
漁業者と言いますか、あるいはこの方に
経験のある
漁業者と言いますか、こういう者をできるだけ参加させていただきたい。ただこの場合におきまして、ことに今年の
出漁というものは、新しい
漁場で未開発の
漁場にも行かなければならないというような点から申しまして、カムチヤツカの東岸なんかの
漁業と非常に事情が違うと
考えるのでございます。こういう点から申しまして、必ずしも有利に
経営されるかどうかということが非常に疑問でございますが、広く
漁業者を参加させた場合におきまして、この参加した
漁業者が大きな
損失を招くということでは、非常に全部の者が困る次第でございますから、何か大きいところで、もしそういう
損失があ
つた場合におきましては、助けて
仕事をさせる。こういうような大きいところと小さいところの
結びつきを、おそらく
アラスカ海域では漁が非常に薄いと思うのでございまして、必ずしも有利に
経営ができる。とは
考えないのでございますから、小さいものと大きいものを結びつけられた場合におきまして、
損失が来た場合において、小さいものの
損失を大きいものでカバーする、その点をぜひ
考えて組み合してもらいたいのであります。なおこの
鮭鱒につきましては、第一の
原則でありますところの、
間違つても
国際信用を失墜するようなことがない、こういうようなことをしますためには、
許可の
方法ということが非常に問題になると思うのでございます。たとえば
独航船一つ一つに
許可を與える、これが非常に民主的のようでございますし、将来はそういう方向に行かなければならぬと思うのでございますけれども、この一年あるいは四、五年の間は相当訓練の時期でもありますし、何か
母船の方と
独航船の方と一緒にした
許可か、あるいは
母船と
独航船と
結びつきができるような、そういう
許可の
方法をお
考えにならなければならないと
考えるのでございますが、この点もひ
とつとくと御研究くださいまして、めいめいがか
つてにできるというようなことでなしに、
一つのかたまりで有機的につなが
つておる、こういう
許可の仕方でなければいかないと
考えますから、その点をとくとひ
とつ御研究くださいまして、かりそめにもそういう間違いがないようにお願いいたしたいと思うのでございます。要するにこの
北洋漁業というものは、非常にはなはなしいようでございますけれども、実際はやり方によりますと、採算がとれない、こういう結果にもなるおそれがあるのでございます。たとえば
かに工船なん
かにいたしますと、六万箱とりましても、おそらく四億七千万円程度の収入になると思うのでございますが、支出なんかをいろいろ計算いたしますと、船をチヤーターする。チヤーター料が非常に高い、こういうことになると、ほとんどごくわずかでございますけれども赤字が出る、こういう状態になると思いますから、とにかく赤字を出さないようなくふうをして、そうして
漁業が永続して将来
発展するような道を、ぜひとらなければならないと思うのでございます。以上につきまして、大部分は私の
意見でございますが、
かに工船の
経営形態について
長官はどういうふうにお
考えにな
つておりますか。それから
鮭鱒流し網で小さいものが損をした場合に、何とか大きいものにカバーをさせる、こういうようなことができるかどうか、あるいはぜひそうさせなければならぬ、こういうようにお
考えでありますかどうか、その二点だけお伺いいたします。