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1952-02-20 第13回国会 衆議院 図書館運営委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年二月二十日(水曜日)     午前十一時三十一分開議  出席委員    委員長 菊池 義郎君       青木 孝義君    多田  勇君       水谷  昇君    村瀬 宣親君       井之口政雄君  委員外出席者         国立国会図書館         長       金森徳次郎君     ————————————— 二月二十日  委員中西伊之助君辞任につき、その補欠として  井之口政雄君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  国立国会図書館組織規程の一部を改正する規程  案  国立国会図書館職員定員規程の一部を改正する  規程案  国立国会図書館支部上野図書館組織規程の一部  を改正する規程案     —————————————
  2. 菊池義郎

    菊池委員長 それではこれより会議を開きます。  国立国会図書館法第十一條の規定に基きまして、国会図書館から、国立国会図書館組織規程の一部を改正する規程案国立国会図書館職員定員規程の一部を改正する規程案、及び国立国会図書館支部上野図書館組織規程の一部を改正する規程案の三件が本委員会に提出されてあります。本日はこの三件を一括議題といたしまして審議を進めることにいたします。まず国会図書館長説明を求めます。金森国会図書館長
  3. 金森徳次郎

    金森国立国会図書館長 ただいまお願いをしておりまする三つの件につきまして順次申し上げますが、第一に組織規程改正について申し上げます。  大体ねらつておりまするところは二つの点であります。一つ調査及び立法考査局職務を拡充するという点でございます。それは私どもの方の図書館性質として、社会科学に関する図書館資料の中で、法律政治に関しまするものは、大体議員その他国会関係者が最も多くこれを利用せられますので、これにつきましての閲覧その他の図書館奉仕の完全を期さなければならない、こういう考えを持つておりまして、そこで法律政治に関しまする図書館の機能を、調査及び立法考査局の主管のもとに置くことにいたしました。これが第三條の改正眼目であります。お手元に出しておりまする改正案の第三條というところは、たいへん大きな改正があるがごとくに字が並んでおりまするが、これはひつきよう形を整えるためでありまして、一号、二号、三号、四号は、法律にすでに掲げられて、おるものをここに並べて書いただけで、新しき意味を含んでおりません。第五号に書いてありますところが今回の改正主眼一つとするところであります。つまり法律及び政治に関する図書館資料につきまして、紹介、説明その他の事務をいたしまして、いわば法律図書館が特別に調立局管理下にできる、こういう意味になるのであります。なお六号に書いておりまする法律の索引の作成等のところでありまするが、これは実ば従来やつてつたのでありますし、大体は法律に基いてなすべきものであります。今回この規程を完備いたしまするから、従つて今までやつてつたことをはつきりここに書き表わした、これがその精神であります。  次にこの改正の第二の重点といたしましては、調査立法考査局の業務の充実をはかるために、その組織をかえるという点であります。かねがね渡米議員団図書館運営委員会その他の方々の御支援によりまして、本年度におきましても、この調立局は六十余名の増員をすでに認められておりまして、現在そのほとんど全部を満たしておるのでありまするが、かように職員がだんだんふえて参りますると、中の機構をかえなければならぬことになるのであります。そこで局の組織の改善くふうをいたしまして、それをこの組織規程に織り込むことにいたしました。つまり第三十條の次に第二十條の二として一條を加えましたのがそれであります。その大きな改正点は、事務範囲が広く、職員の数が百二十名ほどにもふえましたことに関連をいたしまして、今までのように課だけでやつて行きますとどうもまとまりが悪いのであります。考えておりますところでは十四課を持つことになります。十四課をばらばらにして統轄することは、なかなか容易なわざではございません。ことに専門仕事も違つておりますので、これを統轄いたしまするために、ここに部という機構を置きまして、結局この局は四つの課と三つの部からできる、こういう組織にいたしました。これでおのおの責任の所在もはつきりして、幾分の専門にわかれて十分な活動ができる、これがねらいどころであります。あとはそれらに付属いたしまして手続上のことが少しばかり掲げございまするが、主眼点は、繰返して申しますが、法律図書館はつきりさせるということと、調立局におきまして課の上に部を置く、こういう構想であります。もとより予算の上に影響いたしまする点は少しも持つておりません。ただいまのところは現在のままやつて行けるという考えであります。  次に第二と第三の案件、つまり定員規程に関するものでありますが、まず本館職員定員規程の方から申し上げます。この中に含まれておりまするものは、行政整理に伴つておるものであります。かねがね申し上げましたように図書館におきましても二つ図書館本館上野図書館を通じまして二十七人の整理をするという方針になつておりまするので、その二十七人の人を減らすために、必要な規程改正をしなければならぬのであります。それだけならばきわめて簡單なのでありまして、合計二十七人の人が減る、こういう規程をつくればいいように見えますが、これにからみましてまた別のことを考慮しておるのであります。それはどういう部面から人を減らすか。おのおの職員には上の地位、中の地位、下の地位とわかれておりますために、どういうところで減らすかをよく考えなければなりません。またそれと関連をいたしまして、従来の職員のいわば種類とでも申しますか、たとえば雇用人の方と雇用人でない方との間の調節をはかりまして、できるだけ必要な部面りつぱな人が働き得るということにいたしますために、人員の方を減らすということのほかに、中の職員の構成の適正をはかるという二つ考えをもちまして、これをいろいろ組み合せて案をつくつたのであります。内容が幾分複雑でございまして、口だけで述べますることは不便でありまするので、お手元にまわしてありまする書類の議案第二とありまするもののしまいの方に参考二として、横書きにいたしました数字の表があるのであります。これをごらんいただきますると、どういうふうに変化したかということがわかりまするが、その大きい眼目を申しますると、人数におきましては、全体として五百九十三人という現在定員が五百六十六人となつて二十七人減つたのであります。この紙の一番下の行の中に出ておる数字であります。合計二十七人減りまするのにも、規程の上で減りますのと、規程の外で減りますのと両方ございましてその関係が、この表のまん中どころ及び下の方の二本筋で境にしてあるところに現われて来ておりまするが、規程の上で現われまするのは、三百七十二が三百九十に増加しております。これは、規程の外にある方で減らしまして、規程の中にある数字はふえるというように、人員を配列したからであります。実質を申しますれば、主事補及び用人を減らしまして主事以上の人数に振りかえた結果から、規程の上では職員が若干ふえた形になつております。しかし規程外主事補用人のところで八十人が五十二人に減つておる、それで整つておるのであります。要するに、今回の予算の縮小に伴いまして人数を減らす、そして人数を減らすに伴いまして、従来の職員の区分を幾分実質に合うように調整をいたしまして、こまかいことは別といたしましても、できるだけ適材が適所におつて仕事ができるようにくふうをした、こういう考え方になつております。あと非常にこまかくなりまするので、またお尋ねに従いましてお答えいたしたいと思います。さようなわけで、結局この六月三十日までの間に、現実の減員を実行するという方針を立てております。もとより予算国会を通ることを條件として、この改正を実施するつもりであることは言うをまちません。  なおこれに関連をいたしまして、調立機構のことについて申し上げたいのでありまするが、先ほども申しましたように、二年前に国会議員団がアメリカへ行かれましたときに、向うの国会図書館調査機構が非常に完備しておるところに御着想になりましてそれからいろいろ予算のお骨折りを願いまして、約六十人の増員をこの部面に認められたのであります。ところがこれとからみまして、ちようどその人をふやしますときに、行政整理という問題が起つておりましたために、自然、人のやりくりのくふうから、物事が幾分遅れて参りました。ただいまのところ、ほぼ所定の形をいたしておるのでありまするが、その間に調査の御依頼の件数が、一年前と最近のそれとを比べまして、非常にふえております。最近、一年間は八百二十四件の調査の御依頼を受けております。その前の一年間は三百七十四件という数になつております。これは倍以上、事の大小軽重を論じますれば、もつと大きな変化になつておると思われます。現に最近におきましては、いろいろ込み入つた問題、たとえば継続費に関しまする諸国の運用のやり方であるとか、企業合理化に関しましてのやや手の込んだ調査であるとか、あるいはまた防衛分担金というようなものについて諸国がどんなふうの計数を持つておるかとか、そういう相当困難な調査の御依頼を受けておりまして、自然にこの面はよく取運んで行くことと思つております。ただ今までのように十幾つかの課にわかれておりましては、百二十数人の人を運用いたしまする上にもおもしろくありません。今日差出しております書類の中の横開き簡單な表があります。この表の上の欄にあるのは現在の機構、下の方にあるのは四月一日から施行する機構の趣旨でございますが、この表をごらんくださると大体の変化がわかるのであります。下の欄につきまして初めの方をちよつと御説明申し上げますと、総務課というのがあることはふしぎではございませんし、それから調査資料統計課、これも図書館として資料を整備しつて行く組織として最も必要なことは明瞭であります。その次に法律政治図書館第一課、法律政治図書館第二課となつておりまするのは、従来実際には法律政治図書館のひな型のようなものは運営しておりましたけれども、しかし、いろいろの関係でまだ準備時代でありましたので、正式に名乗りをあげなかつたのでありますが、今度四月一日から正式に名乗りをあげまして、一般部面からの権能をこの部門に移して、まとまつた法律政治図書館を開こうということを明らかにしたのであります。大体日本図書館学校の子供あるいは教育の面に発達いたしましたために、一国の法律政治について何か調べようとしましても、これにぴつたり当る図書館はなかつたのでございます。たとえば各国の法令がすぐわかるように、日本中の各府県の條例、大都市の條例までも一ぺんにわかるように、あるいはまたこまかい判決例等も容易に得られるように、こういう着想から申しますと、なかなか思うような図書館はございませんでした。法律を離れまして政治の面におきましても、実際政治に適するようなものはございませんでした。私どもの方では今国内資料もとより、外国資料もできるだけ手広にこの面において集めまして、何とか役に立つものにしたい、こう考えておりまするし、これはもとより一般にも公開する一のでありまして、ものによつて程度の差は出て来まするけれども、できるだけ一般国民あるいは各官庁に公開する、こういう考え方でやつております。次のところへ行つて、部が三つございまするが、大体ここに示されておりまするように、初めの政治部というところはいわゆる法制一般というものと、それから外交関係のものとをここに合せております。これは仕事の上でこまかくわければ、はてしもございませんが、大体一般法制外交というようなものは、條約と国内法関連するような意味もありまして、一手にまとめることが便宜的であります。それからその次の経済部と申しまするのは、一ここに下の方に課がわかれておりまするように、経済法令課財政金融課農林課一般経済課、こういう形で区分しつつ、一まとめにして行こうという考え方です。次の社会部とありまするのは、名前がはたしてどこまで完全かは別といたしまして、実際やつておりまするのは、下にありまする社会法令課文教課社会厚生課労働課というので、経済以外の国の政治に現われて来まするものを網羅的にここに取入れておるのであります。こういうふうに大きくわけて行きますると、責任をとる人たちに、専門調査員のほかに、またその面の経験の深い人が当ることができまするので、今までよりはずつと系統的な仕事がやりやすくなるであろうと考えております。何しろ百二十人の職員をいきなり分解いたしますると、私ども経験を持つておりまするけれども、なかなか一目で部局長が統轄するということも困難でありまして、中間の締めくくりをすることはやむを得ないことと思つております。よそで部長をつくりまする、非常に格の高いものを持つて行く、こういう感じがいたしまするけれども、今日の予算状況では、そういうことはにわかに計画することができませんので、中にありまする職員を差繰つて、そう格別無理なことはしないで、比較的地位の高い人がその部を統轄する、こういう建前行つております。  以上申し上げましたところによりまして、何分御審議のほどをお願いいたします。
  4. 菊池義郎

    菊池委員長 ただいまの館長説明に対しまして、何か御質疑はありませんか。
  5. 村瀬宣親

    村瀬委員 国立国会図書館組織規程の一部を改正する規程案としてお配りをいただいたものを拝見いたします。と、二十條はそのままにしておくように書かれてあるのでありますが、二十條はそのままでよろしいのでありますか。すなわち二十條に「局、部、分館、及び支部図書館に課、又は室を置く。」というのがあるのでありますが、今御説明になりました表を見ますと、室というようなものはなくなりますし、また第二十條の二というものを挿入して、調査及び立法考査局に課のほか部を置くということになりますると、この二十條にある「局、部、分館」という中の部というものが、重複してしまうことになるのではありませんか。
  6. 金森徳次郎

    金森国立国会図書館長 図書館の中の組立ては複雑になつております。従つて今仰せになつたような疑問が起りやすいと思いますが、初め図書館をつくりますときに、中を大体幾つもの局にわける。こういう考えを持つてつてみたのであります。つまり立法考査局というものも局であり、受入整理というものも局であるというふうに、局を本体としてやつてみましたけれども、何しろ中の人数仕事という面におきましての比重が違つておるのでありまして、調査及び立法考査局という方は、どうしても仕掛が大きいのであります、仕事範囲も広い、これはよその振合いから見まして局にすることが妥当である、しかし他の部門は、よその振合い考えますと、局にするのもおもしろくない、こういう考え方で途中で一ぺん変更いたしまして、部というものをつくつたのであります。そこで二十條に出ております部というのは、局と大体同じ意味の部を考えております。つまり館長に隷属しておつて、ほかのものを経由いたしませんところの部というものを考えておりますが、この二十條は、そのできた当時はその意味であつて、今日もその形を踏襲しております。ところが今回できますのは、調査及び立法考査局の中に部をこしらえるのでありまして、同じ部という名前を持つておりましても性質が違うのであります。でありますから、今度新しくできましたところのもの、二十條の二に部を置きましたのは、これは局の部、現在の二十條にあります部は図書館の部、こういうことで字は一つでありますけれども意味が違つております。そこで一方をとりはずすことはできないということです。それからまた二十條に「室を置く。」というところがございますが、この室は調立ばかりでなく、現在ほかの部の中にも、課とするに不適当なものには室というものを置いておりますので、そこでやはり室という字を残しておく必要があるのであります。
  7. 村瀬宣親

    村瀬委員 その点はわかりましたが、先ほど定員の方の御説明によりますと、主事補用人等を減らして、中堅幹部のところをふやしているのでありまして、これは運営上そういうことができるならば非常に好都合と思うのでありますけれども、そういたしますと、将来さらに下部の方を減して中堅以上の方をふやすということによつて実質的に図書館職員を充実して行くということは、自由におやりになる御方針でありますか。
  8. 金森徳次郎

    金森国立国会図書館長 今お話になりましたように、主事補用人を減らして、上の職員に振りかえて行くというやり方は、これはいわば便法に近いものでありまして、本来からいえば、主事補主事補主事以上は主事以上、仕事性質によつて違つているものでありますから、そんなにむやみに振りかえるというりくつが起るものではありません。しかし現在の日本の実情は、各官庁ともに、やはり従来の行き道の不完全を感じておりまして、相当りつぱな閲歴のある人、りつぱな活動力のある人、また現に重要な仕事をする人が、従来の伝統によつて下の方、主事補用人のところに入れられている。こういう歴史的なありさまも少からぬのであります。よそのことは別といたしまして、私の方の図書館では、何しろできますときに、四年ばかり前に大急ぎに計画を立て、そして大体よその振り合いによりまして、人の種類をきめましたために、主事補用人というものが、比較的数が多かつたのであります。ところが図書館というものは、御承知のように、一人々々がインテリの仕事でなければなりません。教育程度におきましても、高等学校程度の人と大学程度の人、つまりそういう普通学一般でも、やや高等な知識を持ち、あるいは専門的知識をほかの者よりも多いくらいに持つという人でなければ、図書館の主たる事務は担任できません。普通の部局でありますると、下の方はただ命令によつて動く雑務のようなことをいたしますので、そういう職員が多くてもちつともおかしくないし、適当とも言えますけれども、どうも図書館というところは、雑用事務というものは比較的少いのでありまして、自分一人で書物のさばきをつけ、あるいは参考問題を解決するということになりますと、ちよつとほかの例によりにくいのであります。大体主事補用人というのは、床を掃除するとか、あるいは何か物を運搬するとか、図書館でありますれば、書物を庫から持つて来て運ぶとか、こういう軽微なことには適しますけれども現実図書館らしい知識的な仕事をいたしまするときには、これは非常に無理なものであります。けれども当時の情勢によりまして、欲張つて人数だけ先にもらつてというので、いい人を実はとり過ぎたというのは語弊がありますけれども、かなり資格のいい人をとりまして、現在になつて考えてみますと、腕はある、そして地位は相当込み入つておるというときに、いつまでも従来の沿革によつて主事補用人のところにたくさん入れておくということは、おもしろくない。そこでこれは私の方だけでかつてにできることではありません。財務当局の方ともいろいろ相談をいたしまして、予算の方はなかなかきびしいのでありまするから、そちらの方と連繋をとつて、いろいろ相談の結果、この辺まではひとつ、いわば格上げを認めよう、こういう話をしまして、実際の人を割振つてみまして、今日ごらんに入れたような案になつております。御承知のように、この境界線によりまして、同じ公務員の中でも、一方は恩給のつくような公務員になり、他方はそういうことにならないというような区別もございまして、これは重要な問題であります。将来こういう趨勢がまた——だんだんできるだけよい方向に持つて行きたいと思いますけれども、現在のところこの方向をそんなに期待することができませんし、のみならずもう一つ下の方に、これより下ともいうべきところに臨時の職員、いわゆるアルバイトと称します者が、こちらの方でもふえて来るような趨勢でありまして、アルバイトと、それからここにありまするいわば地位の低い雑用職員と、それから本格の職員と、この三つのものをどういうふうにうまくやつて行くかということが問題になりまして——これは理論的には大して困難な問題ではございません、これはこういう人の職務だ、こうきめてしまえば何でもありませんけれども、やはり予算振合いがありまして、目下苦心しつつ努力しておりますが、今日ここに示しました上の方になる人たちは、みんなはつきりした知識的な任務を担任しておるポストの人であります。
  9. 村瀬宣親

    村瀬委員 お尋ねをする基礎といたしまして、お配りいただきました表でありますが、調査及び立法考査局機構図の、今度改正になります下の欄を拝見いたしますと、総務課二つにわけて、今まで総務課でやつてつたところから、調査資料統計課を引抜いて、一課を設けておられるわけであります。そうするとあと総務課といつても、庶務課のような事が総務課に残るだけであると思うのでありますが、それはそれといたしまして、その次に法律政治図書館第一課という、新たにこういう名称が出て来ております。法律政治図書館という一つ図書館ができたような感じを、ちよつとこれだけを見ますると與えられるわけでありますが、この法律政治図書館という名称内容、別に法務図書館というものが支部にあるわけでありますが、そういう国立国会図書館支部法務図書館というようなものとの関連等はどうなつているものでありましようか。  それから経済部のところに行きまして、農林課というものがあります。現行法では、上の方の欄を見ますると、農林水産調査室になつておるものが、下の改正案では農林課となつて農林水産課とはなつていないのであります。水産というものは、日本の食糧その他の問題で非常に大事なものになるのでありますが、これは一般経済課水産を入れるのでありますか、あるいはやはり農林課の中の方で水産はお扱いになるのでありますか、小さいことでありますけれども、念のためにお聞きしておきたいと思います。
  10. 金森徳次郎

    金森国立国会図書館長 初めにお話になりました法律政治図書館の問題でありますが、これは原則としては過半数は議会サービスをする、そして一般官庁及び一般人にもサービスをする、こういう建前でありまして、場所もすでに国会の横にありまして、私の方で分室と名づけておりますが、そこには約十五万冊の書物を入れることのできる鉄筋コンクリートの建物をこしらえまして、そこに主たる書物を置いてやつて行こうという考え方を持つております。でありますから、これはできるだけ議会に接近をいたしまして、そしてそのお役に立つようなものであり、同じ法律と申しましても、議会の目的に合うように、立法的の解釈とか裁判とかいう意味より、法律をつくる上におきまして、必要な知識を與えるような図書館にして行きたい、これがこの願望であります。  それから、支部図書館の中に法務府の図書館はございますが、これはよほど限られたものでありまして、いわば昔の司法者の系統によつて集められました書物であり、ねらうところは、裁判に直接関係を持つておりますので、そこに含まれておりまするものも、外国判決例とか、あるいは日本判決例とか、民事法商事法手続法解釈とか、こういうような点に重点が置かれておりまして、非常にりつぱな図書館ではありまするが、議会のわきにこしらえるものとは、まつた方針を異にしておるものであります。  なお先ほど総務課等のことをお話になりましたが、案外ここの仕事は、総務課仕事のほかに庶務課仕事をやつてつて、従来ここであらゆる調査資料統計資料、たとえば統計をつくる、あるいは整備するということまでも含んでやつておりましたが、要するに、庶務的なものと、専門的なものとが一つの課になつておりました。それを人員関係等も考えまして、二つにわける方がいいというので、総務課と、調査資料統計課というふうにわけましたが、これはなかなか意味を持つておるものであります。  それから法律政治図書館の一課、二課というふうにわかれておりますのは、これはお尋ねにはございませんので、少しこつちから説明の押売りをするというような感じもございますが、この国会図書館法の中に書いてありまするところによつて日本法令の索引をつくる義務があるのでございます。新しく法律ができますると、あるいは命令ができるというときにおいて、どういうものがいつできて、いつ改正せられて、いつどういうふうになくなつてつたか。こういうことにつきましての責任ある索引をつくるということがこの任務になつております。これは非常に専門的なものでありまするし、またこれに加えまして、地方公共団体の條例や規則というものまで、もしできるならば、つまり余力ができますれば、索引もつくりたい。大体そういうふうに、第二課というところはやや技術的でありますが、索引をつくるとか、あるいは索引をつくることに非常に近づいておる。何という法文が今どうなつておるか、こういう質問がありましたときに、すぐ出して、ごらんに入れる。こういう点に着想しております。ここの第一課というところは、これは一般図書館の普通の事務に類似したところでありまして、本を集めて来て並べて、人に係宜を與え、読んでもらう。こういうようなことを考えております。  次に経済部のところの農林課というところでありまするが、これは上の方の欄に書いてありまする室の名前は少しく字が多過ぎまして、字が多いということは何でもないように思いますけれども、しよつちゆう字を公文書の上に書いて発信したり、受取つたりしておりまするから、字が二字か三字多いか少いかということは相当能率に影響いたしますので、できるだけ煩を省こう、こういうような考えを持つております。日本では農林という言葉の中に水産を含める、畜産も含めるというとで、大体政府の方の官庁名前にもなつておりますので、それを含めて農林、こういう字を使つておりますが、中の分課内規というものをつくつて去りまするところには、はつきりさせておりまして、「内外の農林及び水産の害態に関する事務を行う。」というふうに書いて心得としております。
  11. 村瀬宣親

    村瀬委員 農林の中に水産を含めるということは、大体通念ではあつたのでありますけれども、特に衆議院、参議院、いわゆる国会において常任委員会をつくりますときにも、水産常任委員会は最初からできておつたような事情もありまして、含められるということは、ある程度今までの通念であつたかもしれませんが、重視するという点から考えますと、水産というものはやはり表面に出しておくのが至当である。特に海国でありまして、魚族によつて蛋白資源を日本人はとらねば、いくら穀類によつて、あるいは畜産の乳製品等で養おうといたしましても、所要のカロリーはとうていとれぬ。大半というか、半分に近いものを海の中からとつて来なければならぬという現況に置かれました日本では、水産というものを特に重視する必要があると思いますので、この点は私はやはり農林水産と二字あつても、別に能率に影響するほど煩雑になるものではないというふうに考えるのであります。そこでもう一つお尋ねしてから本論に入りたいと思うのでありますが、特にこの第四條の中の第一号のところで、「一般公衆のために図書館資料」として、その下に括弧して、「法律及び政治に関するものを除く。」と今度改正するのだという原案が出ておるわけであります。そういたしますると、一般考査部のところでは、一般公衆のために図書館資料の紹介、説明等の考査奉仕を行うけれども法律及び政治に関する部面は、一般考査部でやらないのだということをはつきり條文に書こうというのが今度の改正案であります。そうして調査及び立法考査局では新たに第五号を加えまして、法律及び政治に関する図書館資料につき、館内閲覧、貸出し等に関する事務等を行うというふうに改正しようというのでありますが、元来調査及び立法考査局は、ここに一号から四号まで書いてあります通り、国会を主にしてその事務行つておるのが本体であるのであります。それを法律及び政治に関するものは国会以外のものに対しても、これから調査立法考査局で奉仕をなさるという方針にかわつたのであります。そういたしまして、館内閲覧の便宜ということになりますと、今のあの三宅坂の設備では、館内閲覧といいましても、われわれ参りましてもはなはだ整つていない感じがするのであります。これはどういう計画を持つておるでしようか。
  12. 金森徳次郎

    金森国立国会図書館長 先ほどの水産のことでちよつと初めに申し上げますが、ここに表に書きましたのは実は御参考のために示しましたもので、内部のこまかい規定で扱つて行くのであります。ただいまお話もございましたので、そういうこともひとつ念頭に置いてもう一ぺん考え直して参りますが、それは今日の御審議関係ございませんけれども、内部の事務の扱いの上において妥当な方法を研究して行きたいと思つております。  次に四條の第一号中に出ております点は、こういうふうに考えております。実は図書館の本建築ができまして、あらゆる資料一つの建物の中に入つて行くということになりますと、問題はごく簡單になりますけれども、今は何しろ赤坂旧離宮跡で一般仕事をしており、調査立法の仕事国会のわきで仕事をしておる。非常に場所が離れておりまして、従つてこの仕事に応じまして新味を考えなければならぬというときにおいて、調立のところに政治法律書物をくつつけるということは、これは絶対的でありまして、そうしなければ調立仕事はできません。同時に品物を二組に持つということはとてもできませんので、従つて政治法律等の書物を持つておるところが、いわゆる普通の意味図書館事務をもやらなければうまく行かないわけであります。そこでいわゆる公衆向きの図書館事務というものをも諸般の角度から調立の権能にする。そのかわり一般の方からは、法律政治のことを主務とする仕事を除く。こういうふうに区別したわけであります。こうはわけまするけれども、主として法律政治のことを一般考査部ではやらぬということでありまして、もののつながりで、こういうところまで法律を知らなければならない、たまたま参考に使いたい、こういう程度のものは、やはり一般考査部の方にも置くという趣旨であります。従つて実際は、普通の人の研究は、一般考査部の方で間に合うと思います。やや立ち入つた法律、政法を研究する人が、つまり新しい法律政治図書館というところに来ることになろうと思います。そこで今御指摘になりました館内閲覧ができるか、こういうことでありますが、これはできるというも、できないというも程度の問題でありまして、現在のところこれは相当の人が入つて——五十人ばかりは常にこちらに入つてつておりますから、まあ小さい意味の館内閲覧はやつておりまするけれども、しかしこれは決して理想的ではございません。新館が——今理想としております新しいものができれば、かなり問題は解決いたしますけれども、そこに至ります間にも、できるだけ場所を拡張いたしまして、おおよそ読みに来る人の数を考えつつ、できるだけこれを満たして行きたいというふうに思つておりますから、相当の効果をあげ得るものと思つております。今ちよつとお尋ねの点で疑問を持ちましたが、——疑問というのは、私どもの反省をする意味の疑問を持ちましたが、調立は主として国会サービスするものである。それが一般閲覧をするということのつながりに、幾分何か考慮すべき点があるような気がいたしました。筋から言うと、お説の通りであります。調立国会サービスするということが主眼でありますから、ここに一般公衆の閲覧事務をつけますことは、下手をすると、一般閲覧の方が軽く扱われるという懸念がないとは言えません。そこで私の方では特にその点を注意いたしまして、中の課をはつきり区分いたしまして、一般閲覧の方面は調立の中の一つの課が主として責任を持つというふうにしておりますから、実質上の不便はないと考えております。図書館の中の右の手の仕事、左の手の仕事をどこの課に担任させるか、こういうこまかい問題になりまして、これは私の今までの経験の結果から来るのでありますが、日本のどこの図書館へ行きましても、法律政治書物を楽々と見せてくれるところはないと言つてよかろうと思います。なぜかと申しますと、こういう専門書物になりますと、普通の図書館では処置し切れないのでありまして、たまたま法律の本を買い集めたといいましても、世間のジヤーナリズムに浮かされて、実は愚にもつかない法律書物を買つて、これは新刊書だからけつこうだ、こういうような傾きもあるのでありまして、やはり専門専門で、十分に苦労をする人がこれを担任するよりほかに道はございません。どうも今のところでは、人の知識あるいは能力の関係から、調立の気持を持つておる人が個々の法律図書館をやるのが一番賢いような気がいたしまして、多少煩雑になりますけれども、そういうくふうをしたわけであります。
  13. 村瀬宣親

    村瀬委員 私はこれに関連をして館長の御意見を承つておきたいと思うのでありますが、ただいまの御答弁にもありました通り、調査及び立法考査局の拡充は議員としてもまた国民としても何より望むところでありましてかような秩序整然とした一つ機構ができ上りますことは、非常に喜ばしいことなのであります。同時に私たちが実際議員生活をいたしておりましてもつと勉強をせねばならぬとつくづく感ずるのでありますが、非常に時間がないのであります。それには距離的にいつて、どうしても四階にできております分館を利用するということが一番手近であり、これは将来とも雄大な館長の御計画のあの新館が、十年後に建ちますか、十二年後に建ちますか、あれができ上るまでは、あるいはでき上つた後でも必要かと思うのでありますが、少くともそれができ上るまでは、この四階の分館の利用ということが、われわれの議員生活の時間を大切にせればならない制肘の中におりましては、唯一の利用機関になると思うのであります。むろん電話等で立法調査局の方へいろいろお願いすることは当然ありますけれども、自分で行つてこの点をちよつと見たいというふうな点になりますと、どうしても四階の分館の重要さを私たちはしみじみ感ずるのであります。この組織に関する案がきよう出ておるわけでありますが、分館の充実というような点につきまして何か構想をお持ちでございましようか。  もう一つお尋ねいたしたいと思いますのは、われわれの議員生活といたしまして、特に早く必要な書物が見たい、これまた議員としても必然的な要求でありますが、今書籍の購入については受入整理部にいろいろあるようありますが、早く見たいというような観点からいたしますと、購入の部面にも簡便な方式をとつていただいて、伝票制度等を有効に利用されて——むろん金銭出納等は一箇所において当然すべきでありましようけれども、あるいは台帳記入その他の関係で、各支部図書館館長責任もとに、伝票制によつて——支拂いはむろん一箇所でしていいのでありますが、その現物を各所要の分館または支部図書館に早くまわすというような方法について、何らかの改善の余地はないかどうかという点を、利用者のわれわれの立場からときどき感ずるのであります。そういう点に対しまして館長の御意見を承りたいと思  います。
  14. 金森徳次郎

    金森国立国会図書館長 分館の問題、つまり国会の中に国会議員の利用する図書館の設備を持つべきかどうか、こういう点についてでありますが、ただいま私の考えておりますのは、ある程度の読書施設は国会の中に永久に置くべきものであると考えております。ただいますぐわきに本館たる図書館ができたといたしましても、これはよほど時間の関係がありまして、わずか一町のところでも、歩いて行くということは、気分の上に響きがございますから、必要な書物は自分の書斎で読むように、国会の建物の中で読むことが好ましいと思つております。これは私ども一存では意見が言えませんので、国会の建物を直接管理しておられる人との間に将来お話も起ると思いますが、ただいまのところでは、このまま存置しておく考えを持つております。その中にどういうものを置くのがいいかということになりますと、これはちよつとむずかしい点があります。それは、場所をあまり広くとることができないということ、また書物を二重に買うことをよほど遠慮しなければならぬということ、また国会内の図書室はそんなにたくさんの書物を備えつける必要はないのでありまして、議員の方々がしよつちゆう御利用になりやすいものを置くことがいい、こういうふうな気持を持つております。ただいまのやり方といたしましては、国会内の分館にはおおよそこのくらいの金を使つて書物を買つたらいいという、内部的の割当をしておきまして、そうしていろいろ出て来る書物責任者がよくあさりまして、その予算範囲内でここを完備して行く、こういうふうな考え方を持つております。ほんとうの私の気持を申し上げますと、閲覧室の設備等はあまりいいとは思えないのでありまして、せつかく本をお読みになろうとするときに、その部屋のほこりの立ち方、足元のかたさということは、院内のほかの部屋よりも劣るようなきらいもありまして、こういうところはできるだけ完備するように努めて行きたいと思いますが、これはほんとうは借家世帶でありまして、私の方の直接管理し得ない部分もありまするので、思うにまかせぬ姿を呈しております。  それから次に、書物を買うときに迅速に手に入つて、どこにでも早く行きわたるようにしたい、これは私どももまつたくその念願をしております。支部図書館と申しまするか、大体各官庁図書館がその図書館ごとに事務を処理しておりまするから、これは中央館がまつた関係を持つておりません。関係のありまするのは上野図書館、その他そこまで行かないが小さい施設がどういう影響を受けるかという点でありますが、しかし上野図書館は一手に本を中央館で買つておりまするので、そこに時間のかかる余地はございません。現在書物を買いまするのにも一種の書物を扱う組合を出版業者につくつてもらいまして、それから毎日二十部なり四十部なり出まするものを一かたまりにして図書館で受入れる。こういう形をとつておりますから、古い時代と比べましては、かなり迅速に新しい本が手に入つて来るのであります。ところがそこまではよろしゆうございますけれども、今度入つた書物を本だなに載せるというところへ行つて、いくらあせりましても現在は約二週間かかるのであります。これが実に情ないことでありまして、本屋へ行けば出た書物がすぐ読める。図書館へというと、二週間かからなければ本だなに出ない。これは実に残念なことであります。だから技術的にこれをどのくらいまで縮められるか、これが問題でありますけれども、いろいろとくふうをいたしましても、人数が少く、大体年に一万数千種の書物が出まして、これを処置して行くことが事実はうまく行つておりません。しかし当初から比べますると、その時間を半分以下に縮め得たと思つております。なお公用の場合に読みたい必要がある、こういうような場合におきましては、その整理の段階を通らないで、途中からごらんに入れる道ももちろん準備しております。
  15. 村瀬宣親

    村瀬委員 最後に一点だけお伺いして私の質問を終ります。現在新刊書は早く手に入つているはずだという今の館長の御答弁でありましたが、つまり本館へは届いておつても、分館へしばらく来ないというようなことがあるように——私は何の本でありましたか、四階へ上つて、まだ来てないか、まだ来てない、ということがしばらくあつたと思うのでありまして、そういう点について、いわゆる伝票制度の利用ということで何か簡便な方法はないかということを考えたのでありますが、それはあとでまた御研究おきをお願いいたします。いずれにいたしましても、遠大な理想も非常によいのでありますが、まず足元から一歩々々利用して行くというのが一番大事でありまして、その点から申しますると、われわれ議員にとりましては、この議事堂内にせつかく書庫の設備もあるのでありまするから、分館をできる限り充実していただくというのが一番手早い方法であります。一方さつきのリフアレンスと相まつて図書館の利用が有効に進むと思うのでありますから、これは御答弁はいりませんが、私の意見として申し上げておきにます。  それから、最後にお尋ねしたいと申しますのは、ちようど第三号議案に出ております上野図書館でありますが、議案と直接の関係があるわけではありませんけれども、たまたまここ出ておりますから、お尋ねをしておきたいのであります。国立国会図書館法の第二十二條によりますと、上野図書館のことが書いてあるのでありますが、「この図書館はできる限り速かに、東京都に移管し、移管前に制定される法律及び諸規程従つて運用される。」ということになつているのであります。こちらへ移りましてから上野図書館も大分整備整頓もできて参つて、利用度も非常によくなつていると思うのでありますが、この図書館法の第二十一條に対して、その後館長はどういうような御方針でおられるでありましよとか。これを伺いまして私の質問を終ります。
  16. 金森徳次郎

    金森国立国会図書館長 先ほどの、分館の方に書物が来るのがおそいという事例があるように仰せになりましたが、時と場合にそういうこともあろうと思います。実際は書物本館の方に配列せらるるのと、分館に配列せらるるのとは同じときでありまして、ことさらにそこに前後の起ることはいたしません。ただ分館の方に買います書物は全部ではございません。たまたま分館の方には配置せられない書物であつたかもしれません。そういうときには電話一つその図書館からおかけくださいますれば、ただちに間に合うようにしているつもりであります。もし円滑が失われたとすればそのときの手落ちである、こういうことになりまするが、なるべくひとつやかましくおつしやつていただきまして、私の方の便宜をはかる手がゆるまないように御盡力を願いたいと思つております。  それから上野図書館のことは、これは実は難物でありまして、私が図書館の管理を引受けましたときに、あの法律を見て意味がよくわからなかつのであります。いろいろの関係しておつた方の意見を聞いて、おおよその意味はつかみましたけれども、しかし根本におきまして、国費をもつて、国本体の目的をもつて集めたところの八十年の上野の蓄積というものをそのまま東京都に渡すというりくつは、私にはどんなことがあつて考えられないのであります。あの法律の規定は非常に簡單でありますけれども、そういう意味ではなくて、あの着想は、国の図書館一つでいい、だから一つできれば、もう上野図書館は、ある意味においていらなくなる、だから一つ整理せよ、一つ整理すれば、そこに何か重複したるものとか、あるいは不要になつたものというものができる、こういう考え方、そこで、そういう意味上野図書館は、適当の順序を経て東京都に移管したらいい、こういう意味であろうと思つております。ところが、上野図書館というものは、これは初めから東京都の図書館ではなくして、全国の図書館であり、あそこには正倉院、法隆寺、ああいう付近の古文書なども若干入つておりますし、明治文化を記念すべき必要なる文献等もほぼ網羅的になつておりまして、これの扱い方はよほどくふうをしなければならぬと思つております。しかしただいままでのところ、東京都もこれを責任を持つて引受けようというような気持ははつきり示されておりません。若干の交渉はございました。予算は国家持ちであるというようなうわさは聞きましたけれども、ごく立ち入つた相談はまだどつちからも示しておりません。それから私どもの立場から申しますと、中央図書館というものが名実ともに整いまして、そして上野にある必要な書物も安全に格納できるというときになりますと、あの建物、あるいは重複したる書物、あるいは特に東京都に適する書物、こういうようなものの処置は、あらためて法律をもつて解決していただいてしかるべくやりたい、こういう考えを持つております。数年前に、図書館関係の連絡の委員会法律の中にきまつておりますが、一応その委員会で議していただきまして、おおよその大原則だけはできておりまするけれども、まだ実行的に本館の建物ができないために、あれを持つて来たつて書物を置くところも何もございませんので、まあしばらく静観をしている状況であります。
  17. 水谷昇

    ○水谷(昇)委員 ちよつと議事進行について。この図書館の運営の問題あるいは将来の計画については、さらに委員の方でも御質問申し上げて伺いたい点がたくさんあるのでありますから、近いうちにもう一回委員会を開いてもらいたいと思います。本日は出席議員も非常に少いので、この次の委員会でさらに出席を促してやつたらよかろうと思うのであります。但し当局の方でこの現在をお急ぎになるのならば、きようこれを決議してもいい、かように考えます。
  18. 菊池義郎

    菊池委員長 ほかに御質疑はございませんか。——御質疑がなければお諮りいたしますが、国立国会図書館組織規程の一部を改正する規程案国立国会図書館職員定員規程の一部を改正する規程案国立国会図書館支部上野図書館組織規程の一部を改正する規程案、この三案はいずれも承認するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  19. 菊池義郎

    菊池委員長 御異議なしと認めます。よつて右の三案はいずれもこれを承認するに決しました。  次会は公報をもつてお知らせ申し上げます。  本日はこれをもつて散会いたします。     午後零時四十三分散会