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金森国立国会図書館長 ただいまお願いをしておりまする
三つの件につきまして順次申し上げますが、第一に
組織規程の
改正について申し上げます。
大体ねら
つておりまするところは
二つの点であります。
一つは
調査及び
立法考査局の
職務を拡充するという点でございます。それは私
どもの方の
図書館の
性質として、
社会科学に関する
図書館資料の中で、
法律、
政治に関しまするものは、大体
議員その他
国会関係者が最も多くこれを利用せられますので、これにつきましての閲覧その他の
図書館奉仕の完全を期さなければならない、こういう
考えを持
つておりまして、そこで
法律、
政治に関しまする
図書館の機能を、
調査及び
立法考査局の主管の
もとに置くことにいたしました。これが第三條の
改正の
眼目であります。お
手元に出しておりまする
改正案の第三條というところは、たいへん大きな
改正があるがごとくに字が並んでおりまするが、これはひ
つきよう形を整えるためでありまして、一号、二号、三号、四号は、
法律にすでに掲げられて、おるものをここに並べて書いただけで、新しき
意味を含んでおりません。第五号に書いてありますところが今回の
改正の
主眼の
一つとするところであります。つまり
法律及び
政治に関する
図書館資料につきまして、紹介、
説明その他の
事務をいたしまして、いわば
法律図書館が特別に
調立局の
管理下にできる、こういう
意味になるのであります。なお六号に書いておりまする
法律の索引の
作成等のところでありまするが、これは実ば従来や
つてお
つたのでありますし、大体は
法律に基いてなすべきものであります。今回この
規程を完備いたしまするから、
従つて今までや
つてお
つたことを
はつきりここに書き表わした、これがその精神であります。
次にこの
改正の第二の
重点といたしましては、
調査立法考査局の業務の充実をはかるために、その
組織をかえるという点であります。かねがね
渡米議員団や
図書館運営委員会その他の方々の御支援によりまして、本年度におきましても、この
調立局は六十余名の
増員をすでに認められておりまして、現在そのほとんど全部を満たしておるのでありまするが、かように
職員がだんだんふえて参りますると、中の
機構をかえなければならぬことになるのであります。そこで局の
組織の改善くふうをいたしまして、それをこの
組織規程に織り込むことにいたしました。つまり第三十條の次に第二十條の二として
一條を加えましたのがそれであります。その大きな
改正点は、
事務の
範囲が広く、
職員の数が百二十名ほどにもふえましたことに
関連をいたしまして、今までのように課だけでや
つて行きますとどうもまとまりが悪いのであります。
考えておりますところでは十四課を持つことになります。十四課をばらばらにして統轄することは、なかなか容易なわざではございません。ことに
専門の
仕事も違
つておりますので、これを統轄いたしまするために、ここに部という
機構を置きまして、結局この局は四つの課と
三つの部からできる、こういう
組織にいたしました。これでおのおの
責任の所在も
はつきりして、幾分の
専門にわかれて十分な
活動ができる、これがねらいどころであります。
あとはそれらに付属いたしまして
手続上のことが少しばかり掲げございまするが、
主眼点は、繰返して申しますが、
法律図書館を
はつきりさせるということと、
調立局におきまして課の上に部を置く、こういう構想であります。
もとより
予算の上に影響いたしまする点は少しも持
つておりません。ただいまのところは現在のままや
つて行けるという
考えであります。
次に第二と第三の案件、つまり
定員規程に関するものでありますが、まず
本館の
職員定員の
規程の方から申し上げます。この中に含まれておりまするものは、
行政整理に伴
つておるものであります。かねがね申し上げましたように
図書館におきましても
二つの
図書館、
本館と
上野の
図書館を通じまして二十七人の
整理をするという
方針にな
つておりまするので、その二十七人の人を減らすために、必要な
規程の
改正をしなければならぬのであります。それだけならばきわめて
簡單なのでありまして、
合計二十七人の人が減る、こういう
規程をつくればいいように見えますが、これにからみましてまた別のことを考慮しておるのであります。それはどういう
部面から人を減らすか。おのおの
職員には上の
地位、中の
地位、下の
地位とわかれておりますために、どういうところで減らすかをよく
考えなければなりません。またそれと
関連をいたしまして、従来の
職員のいわば
種類とでも申しますか、たとえば
雇用人の方と
雇用人でない方との間の調節をはかりまして、できるだけ必要な
部面に
りつぱな人が働き得るということにいたしますために、
人員の方を減らすということのほかに、中の
職員の構成の適正をはかるという
二つの
考えをもちまして、これをいろいろ組み合せて案をつく
つたのであります。
内容が幾分複雑でございまして、口だけで述べますることは不便でありまするので、お
手元にまわしてありまする
書類の議案第二とありまするもののしまいの方に参考二として、横書きにいたしました
数字の表があるのであります。これをごらんいただきますると、どういうふうに
変化したかということがわかりまするが、その大きい
眼目を申しますると、
人数におきましては、全体として五百九十三人という現在
定員が五百六十六人とな
つて二十七人
減つたのであります。この紙の一番下の行の中に出ておる
数字であります。
合計二十七人減りまするのにも、
規程の上で減りますのと、
規程の外で減りますのと両方ございましてその
関係が、この表のまん中どころ及び下の方の二本筋で境にしてあるところに現われて来ておりまするが、
規程の上で現われまするのは、三百七十二が三百九十に増加しております。これは、
規程の外にある方で減らしまして、
規程の中にある
数字はふえるというように、
人員を配列したからであります。
実質を申しますれば、
主事補及び
用人を減らしまして
主事以上の
人数に振りかえた結果から、
規程の上では
職員が若干ふえた形にな
つております。しかし
規程外の
主事補、
用人のところで八十人が五十二人に減
つておる、それで整
つておるのであります。要するに、今回の
予算の縮小に伴いまして
人数を減らす、そして
人数を減らすに伴いまして、従来の
職員の区分を幾分
実質に合うように調整をいたしまして、こまかいことは別といたしましても、できるだけ適材が適所にお
つて仕事ができるようにくふうをした、こういう
考え方にな
つております。
あと非常にこまかくなりまするので、また
お尋ねに従いましてお答えいたしたいと思います。さようなわけで、結局この六月三十日までの間に、
現実の減員を実行するという
方針を立てております。
もとより
予算が
国会を通ることを
條件として、この
改正を実施するつもりであることは言うをまちません。
なおこれに
関連をいたしまして、
調立の
機構のことについて申し上げたいのでありまするが、先ほ
ども申しましたように、二年前に
国会の
議員団がアメリカへ行かれましたときに、向うの
国会図書館の
調査機構が非常に完備しておるところに御
着想になりましてそれからいろいろ
予算のお骨折りを願いまして、約六十人の
増員をこの
部面に認められたのであります。ところがこれとからみまして、
ちようどその人をふやしますときに、
行政整理という問題が起
つておりましたために、自然、人のやりくりのくふうから、物事が幾分遅れて参りました。ただいまのところ、ほぼ所定の形をいたしておるのでありまするが、その間に
調査の御
依頼の件数が、一年前と最近のそれとを比べまして、非常にふえております。最近、一年間は八百二十四件の
調査の御
依頼を受けております。その前の一年間は三百七十四件という数にな
つております。これは倍以上、事の
大小軽重を論じますれば、もつと大きな
変化にな
つておると思われます。現に最近におきましては、いろいろ込み入
つた問題、たとえば
継続費に関しまする
諸国の運用の
やり方であるとか、
企業合理化に関しましてのやや手の込んだ
調査であるとか、あるいはまた
防衛分担金というようなものについて
諸国がどんなふうの計数を持
つておるかとか、そういう相当困難な
調査の御
依頼を受けておりまして、自然にこの面はよく取運んで行くことと思
つております。ただ今までのように十
幾つかの課にわかれておりましては、百二十数人の人を運用いたしまする上にもおもしろくありません。今日差出しております
書類の中の
横開きの
簡單な表があります。この表の上の欄にあるのは現在の
機構、下の方にあるのは四月一日から施行する
機構の趣旨でございますが、この表をごらんくださると大体の
変化がわかるのであります。下の欄につきまして初めの方を
ちよつと御
説明申し上げますと、
総務課というのがあることはふしぎではございませんし、それから
調査資料統計課、これも
図書館として
資料を整備し
つて行く
組織として最も必要なことは明瞭であります。その次に
法律政治図書館第一課、
法律政治図書館第二課とな
つておりまするのは、従来実際には
法律政治図書館のひな型のようなものは運営しておりましたけれ
ども、しかし、いろいろの
関係でまだ
準備時代でありましたので、正式に
名乗りをあげなか
つたのでありますが、今度四月一日から正式に
名乗りをあげまして、
一般の
部面からの権能をこの
部門に移して、まとま
つた法律政治図書館を開こうということを明らかにしたのであります。大体
日本の
図書館は
学校の子供あるいは
教育の面に発達いたしましたために、一国の
法律政治について何か調べようとしましても、これにぴ
つたり当る
図書館はなか
つたのでございます。たとえば各国の
法令がすぐわかるように、
日本中の各府県の
條例、大都市の
條例までも一ぺんにわかるように、あるいはまたこまかい
判決例等も容易に得られるように、こういう
着想から申しますと、なかなか思うような
図書館はございませんでした。
法律を離れまして
政治の面におきましても、実際
政治に適するようなものはございませんでした。私
どもの方では今
国内の
資料は
もとより、
外国の
資料もできるだけ手広にこの面において集めまして、何とか役に立つものにしたい、こう
考えておりまするし、これは
もとより
一般にも公開する一のでありまして、ものによ
つて程度の差は出て来まするけれ
ども、できるだけ
一般国民あるいは各
官庁に公開する、こういう
考え方でや
つております。次のところへ
行つて、部が
三つございまするが、大体ここに示されておりまするように、初めの
政治部というところはいわゆる
法制一般というものと、それから
外交関係のものとをここに合せております。これは
仕事の上でこまかくわければ、はてしもございませんが、大体
一般法制と
外交というようなものは、條約と
国内法が
関連するような
意味もありまして、一手にまとめることが便宜的であります。それからその次の
経済部と申しまするのは、一ここに下の方に課がわかれておりまするように、
経済法令課、
財政金融課、
農林課、
一般経済課、こういう形で区分しつつ、一まとめにして行こうという
考え方です。次の
社会部とありまするのは、
名前がはたしてどこまで完全かは別といたしまして、実際や
つておりまするのは、下にありまする
社会法令課、
文教課、
社会厚生課、
労働課というので、
経済以外の国の
政治に現われて来まするものを網羅的にここに取入れておるのであります。こういうふうに大きくわけて行きますると、
責任をとる
人たちに、
専門調査員のほかに、またその面の
経験の深い人が当ることができまするので、今までよりはずつと系統的な
仕事がやりやすくなるであろうと
考えております。何しろ百二十人の
職員をいきなり分解いたしますると、私
どもも
経験を持
つておりまするけれ
ども、なかなか一目で
部局長が統轄するということも困難でありまして、中間の締めくくりをすることはやむを得ないことと思
つております。よそで部長をつくりまする、非常に格の高いものを持
つて行く、こういう
感じがいたしまするけれ
ども、今日の
予算状況では、そういうことはにわかに計画することができませんので、中にありまする
職員を差繰
つて、そう格別無理なことはしないで、比較的
地位の高い人がその部を統轄する、こういう
建前で
行つております。
以上申し上げましたところによりまして、何分御
審議のほどをお願いいたします。