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1952-05-30 第13回国会 衆議院 人事委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年五月三十日(金曜日)     午前十一時三十九分開議  出席委員    委員長 田中不破三君    理事 田中伊三次君 理事 藤枝 泉介君    理事 平川 篤雄君 理事 松澤 兼人君       伊藤 郷一君    今村 忠助君       西村 久之君    本間 俊一君       今井  耕君    岡  良一君       井之口政雄君    岡田 春夫君  出席国務大臣         国 務 大 臣 大橋 武夫君  出席政府委員         内閣官房長官 剱木 亨弘君         総理府事務官         (大臣官房審議         室長事務代理) 増子 正宏君         総理府事務官         (恩給局長)  三橋 則雄君         警察予備隊本部         次長      江口見登留君         警察予備隊本部         人事局長    加藤 陽三君         警察予備隊本部         人事局人事課長 間狩 信義君         大蔵事務官         (主計局給与課         長)      岸本  晉君         海上保安庁長官 柳澤 米吉君  委員外出席者         警察予備隊本部         医務局医務課長 須江杢二郎君         專  門  員 安倍 三郎君     ――――――――――――― 五日三十日  委員岡良一君辞任につき、その補欠として三宅  正一君が議長の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 五月二十九日  北海道地域給地追加指定に関する陳情書  (第二〇二二号)  北海道地域給指定に関する陳情書外一件  (第二  〇二三号)  大曲町の地域給指定に関する陳情書外一件  (第  二〇二四号)  鶴舞町の地域給指定に関する陳情書  (第二〇二五  号)  若松村の地域給指定に関する陳情書  (第二〇二  六号)  二十七年度石炭手当支給に関する陳情書  (第二〇二七  号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  保安庁職員給与法案内閣提出第二二八号)  昭和二十七年度における国家公務員に対する臨  時手当支給に関する法律案内閣提出第二四  三号)     ―――――――――――――
  2. 田中不破三

    田中委員長 これより人事委員会を開会いたします。  ただいまより保安庁職員給与法案を議題として質疑を継続いたします。岡良一君。
  3. 岡良一

    ○岡(良)委員 大橋国務大臣に二、三点お伺いいたしたいと思います。実は私のお尋ねいたしたいことは、保安庁法案審議の際に、その当該委員会において論議も相当したのではないかと思いますが、その速記録もまだ入手いたしておりませんので、保安隊給与に関して相当な国費が投入される以上、保安隊性格というふうなものに触れて、これは多少委員長の御注意があるかもしれませんが、掘り下げてお尋ねをいたしたいと思います。  まず第一にお伺いしたいことは、行政協定第二十四條の規定と、この保安隊出動その他に関連性のある問題でありますが、行政協定には「日本区域において敵対行為又は敵対行為の急迫した脅威が生じた場合には、日本国政府及び合衆国政府は、日本区域防衛のため必要な共同措置を執り、且つ、安全保障條約第一條目的を遂行するため、直ちに協議しなければならない。」こううたわれておるわけであります。そこでこの両国政府が必要な共同措置をとるべき事態、すなわち、「敵対行為又は敵対行為の急迫した脅威が生じた場合」とは、この保安庁法案の第六條第十四項にうたわれておる「わが国の平和と秩序を維持し、人命及び財産を保護するため、特別の必要がある場合において行動すること。」とあるこの「特別の必要がある場合」という表現とシノ二ムであるのかどうか、同じ事態であると解釈していいのかどうかという点をまずお尋ねいたします。
  4. 大橋武夫

    大橋国務大臣 実は私も、この行政協定敵対行為という字句を正確にどう解釈するか、ただいま記憶いたしておりませんが、この敵対行為というものが外国勢力との敵対行為というようなことでありまするならば、保安庁法の「特別の必要がある場合」というものは、それよりは広いと存じます。すなわち国内におきまして、騒擾、動乱等のありました場合に、それが敵対行為というものでない場合においても、必要があれば出動しなければならぬ場合もあろうと思います。また警察力をもちまして処理できない事態国内で起つた場合に出動することが建前になつておるのでございますから、そういう意味では、むしろ保安庁法の「特別の必要がある場合」という場合の方が広いのではなかろうか、そういう意味で、必ずしも同意の言葉とは考えておらぬわけでございます。
  5. 岡良一

    ○岡(良)委員 それでは具体的にお尋ねをいたしたいと思いまするが、大臣のお考えでは、たとえばそうした敵対行為でない場合でも保安隊出動はあり得る、これは保安庁法案にもうたつてありますが、問題は、行政協定の二十四條にある「必要な共同措置」、この「共同措置」というものの中には、命令出動の名においてうたわれておりまする保安隊出動が含まれておるのかどうかという点についての御見解を、まずお尋ねしておきたいと思います。
  6. 大橋武夫

    大橋国務大臣 抽象的には含まれておると存じます。もし共同措置として、米国駐留單敵対行為に対しましてある敢行をする、その際に日本側機関でありまするところの警察予備隊が、それと不可分の関係にありまする他の任務を分担するというようなことは、この協議において当然協議される場合が多かろうと思います。これはひとり警察予備隊ばかりでなく、国内の他の機関においても、その際に物資の調達面であるとか、あるいは輸送に対する協力の面とか、そういうふうな場合においてどういう任務を分担するかというようなことが協議されるだろうと思います。そういうことはすべて共同措置という言葉の中に入ることと考えております。
  7. 岡良一

    ○岡(良)委員 御意見はわかりますが、問題は、この保安庁法案を見ますると、第四條の規定でも、「わが国の平和と秩序を維持し、人命及び財産を保護するため、」ということにはつきりうたわれてありまするので、そういたしますると、共同措置という場合においては、保安隊保安隊として、その行動部隊として共同してその作戰——というと語弊がありまするが——参画するのであるかどうかという点を重ねてお尋ねいたします。
  8. 大橋武夫

    大橋国務大臣 保安隊はすべて内閣総理大臣命令によつて行動するわけでございまして、ただいまの行政協定に基きまして、日本側機関駐留單機関との間に一つの国際的なとりきめができ上るわけでございまして、そのとりきめを実施するために保安隊活動が予定されておるという場合においては、内閣総理大臣がそのために必要な行動保安隊に対して命令する、こういう関係になるんじやないかと思います。
  9. 岡良一

    ○岡(良)委員 それでは、保安庁法案の六十一條に、命令出動の場合に「非常事態」という表現が用いてありまするが、この非常事態に対する判定は、どういう機関がなし、またどういう手順を経てこの宣言がなされるものであるかという点について、これは警察法にもうたわれておりまするが、この機会に明確に承つておきたいと思います。
  10. 大橋武夫

    大橋国務大臣 六十一條非常事態認定は、内閣総理大臣権限に属しておるのでございまするが、おそらくかくのごとき重大なる事態については、総理大臣閣議に諮るとか、そうした措置を講じた上で認定をし、出動を命ずるということになろうと存じます。なおこれに対しては、宣言というようなことは、法律上必ずしも必要な要件とはなつておりません。
  11. 岡良一

    ○岡(良)委員 警察法には、国家公安委員会非常事態であるということについての宣言と申しましようか、全国あるいはその一部について、非常事態であるということの認定内閣総理大臣が広く衆知せしめるための勧告をするということがうたわれておりますが、この六十一條による非常事態ということも、内閣総理大臣の一方的な判断あるいは当該内閣閣議等によつてされるものではなくして、やはりこのような手順はふまれるのでありましようか。
  12. 大橋武夫

    大橋国務大臣 現実の場合において、ふむことが望ましいこととは存じまするが、ふむことを法律上の要件とはいたしておりません。
  13. 岡良一

    ○岡(良)委員 そうしますと、この行政協定によつて協議するということがあとになつて、まず緊急事態に対して共同措置をとる、そこで共同措置をとる場合には、保安隊命令出動をする。ところがそれは非常事態である。ところでその非常事態については、国家公安委員会勧告を待たずして、その内閣が一方的な判断によつてこれを認定し、命令出動させることができる、こういうふうに解釈していいのでございますか。
  14. 大橋武夫

    大橋国務大臣 六十一條非常事態警察法非常事態宣言というものとは、大体事態が類似の事態であるとは存じますが、必ずしも法律的にかれこれ関連あるものとは考えておりません。
  15. 岡良一

    ○岡(良)委員 私は法律専門家ではありませんから、これは大橋さんの方がよほどエキスパートでいらつしやるわけでありますが、私ども考え方では、昔の明治憲法における戒嚴令にも近いような、相当重大な事態ではないかと思うのであります。こういう重大な非常事態というものが法律に正規に明文化されたにもかかわらず、その概念において、解釈において二つ三つあるということは、これは非常に重大な問題と存じまするが、その点について大橋国務大臣の重ねての御見解を承りたいと思います。
  16. 大橋武夫

    大橋国務大臣 すべて法律條文というものは、その條文目的から見まして、ふさわしい字句を使用いたしておるわけでございます。六十一條において、非常事態に際して、特に必要があると認める場合には、出動を命ずる、こういうことを書いてあるのでございますが、これは非常事態宣言があろうとなかろうと、とにかくだれが見ても非常事態と認められるような事態に際して、一般警察力で処置できない事態が起つて、そのために保安隊出動させる必要ありと認める場合に出動を命ずる。こういう意味で書いてあるのでございます。一方警察法におきましては、非常事態宣言をいたすということになつておりますが、その目的内閣総理大臣が、国家地方警察並びに自治体警察を一元的に統制して、直接の指揮下に置くような必要がありと認められるような治安上の状態、そういう状態の場合に、非常事態宣言をする。そしてその場合における手続を法定いたしたものなのでございまして、六十一條はこれでさしつかえないと心得ております。
  17. 岡良一

    ○岡(良)委員 その御意見では、どうも私ども納得ができかねるのです。それはさておきまして、そこで先ほど来の御答弁によりまして、この行政協定に盛られておる共同措置には、日本保安隊行動部隊として参画する可能性があるということ、そこでその場合、共同措置ということで、その後において協議をするという取扱いになつておりますが、共同措置とつた場合における指揮権あるいは編成権、こういつたような、多少軍事的性格を帯びた諸権能というものは、やはり保安隊命令系統というものを堅持されてやるのであるか。しかしそうなりますと、そうした相当重大な脅威が迫つておるときにおいて指揮命令系統が二本化するということは、これは臨機に機動的な活動をする上においてきわめて不便なことは常識上当然だと思いますが、行政協定第二十四條における共同措置によつて保安隊実力部隊として参画するという場合において、一体その指揮権あるいは命令権編成権等保安隊に所属するものであるかどうか。少くともわれわれの危惧するところは、何と申しましても、実力の段階においては大きな開きを持つておるし、しかも事態が急迫をしておるということになつて命令指揮系統が一本化を要請されることが当然であるとするならば、保安隊行動というものの指揮命令系統日本側にはつきり確保されないのではないかという懸念があるのでありまするが、こういう点について、国務大臣としての責任ある御見解を承つておきたいのであります。
  18. 大橋武夫

    大橋国務大臣 保安隊または警備隊に対する指揮命令というものは、保安庁法によつて法律によつて定められておるわけでございまして、これは内閣総理大臣指揮下にあるわけでございます。行政協定において防衛上の共同措置協議する、こういうように書いてありまするが、すでに行政協定の基本となつておりまする安全保障條約を御審議いただいた際においても、政府といたしましては明らかにいたしましたるごとく、これらの平和條約なり、あるいは安全保障條約を執行するために必要な法律上の手続、あるいは予算上の手続、そういう事柄がありました場合においては、あらためて予算案または法律案の形において、国会の御審議を願わなければ、実質安全保障條約あるいは平和條約、そういうことにいかなる規定があつても、それは実行する考えがない、こういうことを申してあるわけでございます。すなわち保安隊警備隊指揮命令ということは保安庁法によるところの法律事項でございまするので、これに反するような行政協定がかりに将来行われたといたしましても、それはそのままでは国内法として通用させる考えはないのでございまして、その場合に、もし必要がありといたしまするならば、保安庁法改正という法的措置をとらなければ、指揮権を変更するというような措置はあり得ない、こういう方針をとつておるわけでございます。のみならず、ただいまのところといたしましては、かようなる場合においても、保安隊または警備隊指揮権について、何らかの変更をする必要があろうということは、今毛頭考えておりませんような次第でございまして、いかなる意味におきましても、行政協定それ自体によつて保安隊警備隊に対する国内法規定せられた指揮命令系統というものが変更されることは、断じてあり得ないものと考えております。
  19. 岡良一

    ○岡(良)委員 私が執拗にただしておる本心も、実はこの行政協定二十四條では、日米両国政府が相談する前に、まず共同措置をとるということがうたつてありますので、共同措置といえば、当然これは実力的な参画、單なる輸送事務なり、補給業務以外の参画が予想されるのであつて見れば、やはりその場合に、そうした協同の歩調をもつて一応対抗的な行動に出る場合でも、指揮命令系統というものが、その事態なつた場合には、これは国会審議を得て、そしてそれに対応すべき国内法を整備する余裕があり得るかどうかという問題があるので、お尋ねしておつたのでありますが、その点はさておきまして、それでは、そういう共同措置をとり得る範囲といたしまして、行政協定の第二十四條において、「日本区域」ということがうたつてあります。「日本区域」というのは安全保障條約に「イン・アンド・アバウト・ジヤパン」ですか、日本並び日本の周辺という言葉をうたつてありますが、大体同様な意味を持つておるものと解釈していいでしようか。
  20. 大橋武夫

    大橋国務大臣 警察予備隊ばかりでなく、日本側安全保障條約に基く行政協定によつていろいろな協力をするという場合における、その協力すべき事柄というものは、法律によつて許されたる範囲内の事柄でなければならぬわけでございまして、法律によつて許されざる事柄を引受けましても、それを実行いたしまするためには、まずもつて法律改正をしなければならぬのでございます。従つて、それは法律改正が行われるということを條件としてのみ、そういう約束ができるものでありまして、その法律改正国会の御審議において否決せられるというような場合においては、当然その相談というものは効力を生じない、こういうやり方になるわけでございます。それから次のお尋ねは、「日本区域」というのは、日本領土領海内であるか、あるいはそれを越えた公海あるいは他国の領域をも含むかどうかという点が御質問の点だと存じますが、かような解釈がいかにありましようとも、その協議において相談された結果、日本行動として日本が義務づけられるものは、現行の法律範囲内において、政府に許されたる権限以上のものではあり得ないわけでございます。従いまして、保安隊あるいは警備隊というものの活動が、かりにそういう協議において相談されましても、それはこの保安庁法規定した範囲内のこと以外にはあり得ない、こういうふうに考えております。
  21. 岡良一

    ○岡(良)委員 御趣旨はよくわかるのでありますが、しかしこの保安庁法案を見ましても、相当な拡張解釈が許されると思うのであります。現にこの六十一條のごときも、非常な拡張解釈がされるし、大臣もしておられる。非常事態というものは、私ども考えでは、やはり相当重大な事態であつて、これは法律規定された手続を経て、国民の納得の行く事態というものが、はつきりと打出されなければならない。ところが大臣の御答弁では、非常事態とは、ここに書いてあるのは、社会通念に基く非常事態であるというようなことになりますと、まつたくもつて大きな拡張解釈が許され得る。こういうようなかつこうになつておりますので、私はだめを押したいと思うのでありますが、それではそういう場合、具体的にお尋ねをいたしますが、日本地域というものに保安隊出動するといたしましても、その日本地域というものに対しては、朝鮮、あるいは台湾、あるいは二十九度以南の南西諸島、小笠原、歯舞、色丹というような地域には、これはたとい米軍要請があつても、共同行動に参加しない。これは国会の議決をまつて、あるいは国内法を整備しなければ参加すべきものではない。かように大臣はお信じでいらつしやいますか。
  22. 大橋武夫

    大橋国務大臣 その通りでございます。
  23. 岡良一

    ○岡(良)委員 それで、実はきようあたりも新聞を読んでおりますると、朝鮮平島動乱もなかなか容易ならざる事態に来るきざしが見えておるようでありまするし、ワシントンの官辺あたりの公式の報道も、共産單一大攻勢展開かというようなことが大きな見出で伝えられておりますが、私ども小さいときから聞いておるわけですが、攻撃が最上の防禦であるということ、これは古来あるいは東西を通じての、一つの大きな戰訓だと思いますけれども行政協定に盛られておる、重大なる脅威が急迫せんとする事態に対して、守らんとする立場における先制作戰というものも考えられますが、そういう場合この先制作戰というものは、これは海を越えた地域における作戰をもあわせ含んで実施される可能性がありますが、こういう場合には、たとえばアメリカ單要請があつても、保安隊としては出動しないという点については、大臣としては、出動しないものである政府としては出動させる意向は全然ない、こういうふうにお考えでいらつしやいますか。
  24. 大橋武夫

    大橋国務大臣 御審議をいただいております保安庁法規定に基いてのみ、保安隊行動すべきものである、こう考えております。そうしてこの保安庁法精神というものは、警察予備隊、つまり保安隊というものが海外出動するということは、これはその性格から見てあり得ざるもの、こういう趣旨に了解いたしておりまするから、さような場合におきまして、いかに日本の平和の秩序を維持するために必要であり、あるいは有益な作戰であるといたしましても、海外出動するということは全然考えておりません。
  25. 岡良一

    ○岡(良)委員 いずれにいたしましても、保安官なり警備官諸君は、相当な犠牲払つて勤務をしていただかねばならないわけであります。そうした非常に大きな犠牲負担を伴う勤務でありまするが、これは実は恩給局長お尋ねしたいのでありまするが、最近旧軍人恩給復活運動が相当全国的にも盛んでありますし、政府におかれましても恩給法特例審議会等を経て、旧軍人恩給の部分的な復元等については、おそらく具体的なものが用意され、また提出されることとなろうと思いますが、この保安隊任務実質にかんがみまして、これらに対する特殊なる何らかの措置、これらの公務による事故ないし死亡等に対する特別措置について、恩給局長として、恩給を扱われておる立場から、現在この法律に考慮されておるような給与でもつて足れりとされておるかどうか、こういう点についてお考えを承つておきたいと思います。
  26. 三橋則雄

    ○三橋政府委員 保安庁職員につきましては、ただいまのところでは、警察官諸君と同様な取扱いをしまして、そうして恩給措置をして行くことに規定いたしておるところでございまして、将来におきましていろいろかわつて来るようなことがありまして、そうして今の取扱いをどうしてもかえなければいけないという事態が起つて参りましたならば、当然かえることを考えなければならないと思いまするが、ただいまのところにおきましては、今取扱いをきめておりますのをかえなければいけないということは、全然予想していないところでございます。
  27. 岡良一

    ○岡(良)委員 実はこの給与法案を見ますと、特別な勤務に従事した場合には、やはり特別の給与支給するということになつておるのでございまするが、それは政令にゆだねるというような取扱いになつております。しかし、むしろ保安隊保安官警備官に対する給与では、政令にゆだねる部分の方が大きな関心があるのですが、その点について恩給局長としては、この政令にゆだねられた特別なる勤務、要するに実際行動参画をして、そのために生命失つたあるいは永久的な身体障害者なつた、そういう場合、どういう取扱いをすべきものであるとお考えか、恩給局長立場から、この場合参考としてお聞きしておきたいと思いまりす。
  28. 三橋則雄

    ○三橋政府委員 私の手元におきまして、この保安庁職員恩給法上の取扱いをどうするかということを審議しまする際に、いろいろと関係当局から聞きましたところによりますと、今お話のような特殊な勤務に服した場合に、特殊な給与をするということになつておりまするけれども、そのために、ただいまのところでは、警察官と同じような取扱いにすることにきめておりますのを変更するような事態に至つていない、かように結論を得ておるのでございます。
  29. 岡良一

    ○岡(良)委員 希望として申し上げておきたいと思うのでが、何しろそういう身体なり生命の危險にさらされるような公務に服するという立場に置かれておる保安官なり警備官諸君に対しては、やはりこれは人道的な立場からも、相当政府としても留意をしていただきたい思う。なおさらに、これは大橋国務大臣お尋ねしたい。政府としては、保安隊精神といいましようか、根本的な観念と申しましようか、そういう点について、松澤君どの間にいろいろ応酬があつたようでありまするが、そこで最近いただきました総隊総監ですか、その方の訓示を拜見いたしますると、警察予備隊根本精神は、愛国心民族心である、こういうことが繰返し強調されておるのであります。この間大橋国務大臣の御答弁によれば、日本民主主義を守るということが警察予備隊、ひいては保安隊根本精神である、こういうふうな御答弁であつたように記憶しておりまするが、この点について、重ねてこの保安隊の根本的な心構えと申しましようか、保安隊に属する諸君の具体的な心の置きどころはどういうところにあるのかという点について、お聞きしたいと思います。
  30. 大橋武夫

    大橋国務大臣 保安隊の使命についてこの根本的な認識といたしまして、保安隊というものが日本民主主義、また民主主義を内容といたしております憲法をあくまでも護持するというそうした心がけでやつて行くべきものである。そしてその任務の遂行にあたりましては、職務の性質上、特に犠牲行使要請されることが一段と大である、こう考えますので、特に愛国心というものを振起する必要があると考えております。
  31. 岡良一

    ○岡(良)委員 この際、あまり文学的な論争をするつもりはちつともないのでありますが、総監訓示を見ると、愛国心とは何だ、愛民族心とは何だということがあとで書いてある。それを読んでみると、結局民族なり国家というものが、言葉や血縁や土地や歴史を共同にする共同体だ。これを自己の大きな犠牲的勇気と責任によつて、あくまでも子孫に伝えねばならないという考え方が書いてあります。それはだれしも言うことで、その通りでありますが、しかし單にそういう形だけでこの愛国心を鼓舞するということになれば、これは明治憲法における愛国心の鼓舞というものと、大体同じような形になつて来る。ただしかし愛国心といつても、国のあり方によつて、その国をどの方向に愛して行くかという愛し方にはいろいろあるわけでありますが、総監訓示のような、きわめて文学的な、抽象的な愛国心ということでは、これは保安隊というものに、ほんとうに性根が入つて仕事に従事してもらえるものかどうか疑問を持つておるわけです。そういう点で、たとえば昔は、私も星一つで軍隊生活を二年以上やつたことがありますが、何か軍人に賜わりたる勅諭とかいろいろなものがあつて、日夜復調され、服鷹もされておつたのでありますが、やはりそういうような心のよりどころというものがなければならぬ。昔は一君万民で、具体的な人間にちやんとすべての方向が集中されておつたが、今それがなくなつてしまつた。そこに保安庁なり保安隊というものの諸君の気持のよりどころに、非常に不明確なものがあるのじやないか。こういう点が、非常にぼくは不幸なことだと思うわけでありますが、そういう点について、何か明確なめどを与えるというふうな努力が必要じやないかと思いますが、国務大臣としての御見解を承りたいと思います。
  32. 大橋武夫

    大橋国務大臣 岡委員のお話につきましては、私も全幅的に同意をいたしておるわけでございます。予備隊といたしましても、この点については特に考えなければならぬと思います。その一端といたしまして、ごらんになつたような総隊総監訓示等も行つておるわけでございますが、特に愛国心を涵養するという方法といたしましては、現実に予備隊において実施しておりますのは、毎日各キャンプにおきまして、国旗の掲揚式を行つております。そして夕刻には国旗を降下する。これは国家に対する観念というものをしつかり植えつける一つの象徴的な方法として採用をいたしておるわけでございます。もちろんこの日の丸によつて象徴されるところの国家というものは、民主主義を基調とした日本憲法の正しい理解に基くところの正しい国家観念でなければならぬと考えております。この点についてはだんだんと努力いたしておる次第でございます。
  33. 岡良一

    ○岡(良)委員 国旗もけつこうですが、ぼくは保安官なり警備官諸君の心中に、何らか忸怩たるものがあるとするならば、それはやはりこれが軍備であるならば軍備だという点をはつきりさせる。ここのあいまいさに、ぼくは保安官やあるいは整備官の諸君に割切れないものがあるのじやないかという点を、最後に申し上げたいのです。たとえば清盛が衣を着た、そのすそに刀のごじりが見えたというのではなく、よろいを着ながら衣だと言い張る、こういうふうなところに、やはり保安庁に所属する職員の、割切れない何ものかがあるのじやないかと私も感じておる一人なのでありますが、それはさておきまして、なお一、二点お伺いしたいのは、保安隊の厚生施設、特に医療施設の現況はどういうことになつておりますか、この点を伺いたいと思います。
  34. 加藤陽三

    ○加藤政府委員 警察予備隊の厚生施設につきましては、私どもも非常に意を用いておるのであります。ただだんだんと、一昨年警察予備隊の創設せられましたときに比べますと環境も改善されて参り、また像内のその方面の設備も充足して参つておりまして、よい方向に向つておりますけれども、まだ完全とは思つていないのであります。一応われわれのやつておりますところといたしましては、昨年以来すでに運動用具とか娯楽用具のようなものを、各キャンプに設備いたしました。本年度におきましても、御協賛をいただきました予算の中から、約二千二百万円くらいの予算をもつて、この方面の設備の一段の拡充に努力したいと思つておるのでございます。また昨年の九月から、警察予備隊の共済組合で発足いたしまして、この運営によりまして、職員の福利厚生の方が、さらに飛躍的に強化できるのではないかと思つておるのでございます。  医療の方につきましては、まだ病院ができておらないことを非常に遺憾に思うのでございますが、だんだんと隊内の医療施設は整備しつつあるのでございます。医官の方について申し上げますと、昭和二十六年の五月には、医官が三十名しかいなかつたのでございますが、昭和二十六年の暮れには七十名に増加いたし、現在におきましては、百二十名の医官がおり、そのほかに歯科の医官が六十三名、それから目下幹部候補生として見習い中の医官が三十九名おります。これでももちろんまだ十分ではございませんけれども、こういう人たちが漸時実際の勤務について参るようになりますと、だんだんとこの方面も改善せられて参るのではなかろうかというふうに考えております。患者の数につきまして申しますと、昭和二十六年の五月当時の調査によりますと、患者数が五千四十五人、そのうち結核患者が一千七十九名というふうになつておりまして、それが二十六年の夏時分の統計によりますと、患者総数が四千二百六十九名、うち結核患者が一千二十九名、昨年の暮れになりますと患者の数が二千百二十名、うち結核患者が一千八十五名、本年の三月末現在におきましては、患者数が三千八百九十名で、うち結核患者が一千九十一名というふうになつておるのでありまして、この方向につきましても、私どもはなお一層努力をいたしまして、環境衛生の整備改善をはかり、この面からも、また隊員の日常の生活を規律する諸般の條件をも改善いたしまして、さらに努力したいと思つております。本年の十月ごろまでには、針尾及び福山方面に病院を開設したい計画で、ただいま努力中でございます。又キャンプには、全部簡單なる診療施設は完備しております。以上が大体の概略でございます。
  35. 岡良一

    ○岡(良)委員 今数字をお聞きいたしますと、総患者数は総体的に漸減の傾向にありますけれども、しかし結核患者というか、結核の発生率の方は、パーセントとして多くなつておるように感じますが、一体それは保安隊内部において、あるいは警察予備隊の内部において、結核予防のためにどういう計画的な、組織的な、集団検診とか何とか、そういうことをやつておられるのかということ。いま一つは、一体この保安隊に対して一日の供給カロリーはどのくらいを基準にしておられるか。そういう点を……。
  36. 須江杢二郎

    ○須江説明員 今の御質問にお答えいたします。入隊時の身体検査その他レントゲンの撮影はいたしませんでしたが、その後二十五年の年末、二十六年の春に、レントゲン検査その他の措置を講じまして、そのときの患者を、全部入院あるいは自宅療養等をいたさせました。その後定期に年に四回身体検査をいたしまして、もちろんレントゲンの間接撮影、あやしい者には直接撮影をいたします。そしてツベルクリンあるいはBCGの予防措置も講じて参つておるのであります。昨年中の患者発生数を申しますと、郵政省と電気通信省の関係の統計と比較いたしましても、予備隊の方が発生数が少いのであります。予備隊は大体二・四二%でございます。郵政省、電気通信省におきましては、大体六・五、七・六%近いパーセンテージでありまして、よその官庁よりは半分くらいの数でございます。
  37. 岡良一

    ○岡(良)委員 カロリーは ……。
  38. 須江杢二郎

    ○須江説明員 カロリーは、大体三千二百五十カロリーでございます。
  39. 岡良一

    ○岡(良)委員 今の御説明の中で、電通省や郵政省と比較されて、結核発生率のパーセンテージが低いと言われましたが、これはおよそそういうものと比較するのは、私はあなた方の結核に対する熱意が、実はないとさえ言いたいくらいなんです。特殊な劇務に服しておる環境におるのでありますから、これはそういう他の諸官庁は問題でなく、しかも全体として見れば、やはり少いとは申しながら、パーセンテージがふえつつある傾向にある。日本全体としては、御存じのように、結核はもはや青年の病から壯年、老年の病に移行しつつあるし、万対死亡率も現在減少しつつある。にもかかわらず、警察予備隊におきましては、現在不幸にして全患者の中で結核患者の発生率が、漸増の傾向にあるということは、よほど注意しなければならぬことだと思います。これは保安隊の問題だけでなく、社会的な問題としても十分注意してもらわないと、結核にかかつて出されたということでは、菌が社会にばらまかれて、結核がふえて来るのですから、よほど結核対策というものは、集団的な規律生活をやつておられるところは、十分注意していただきたいと思います。  それから伝染病あるいは花柳病については、統計的に発生率について数字があつたら、この際お聞かせ願いたいと思います。
  40. 須江杢二郎

    ○須江説明員 今の結核の患者の発生率について申しますと、昨年の三月は四二%でございましたが、年末には二五%に下つております。実際先ほど加藤政府委員からお答え申し上げましたように、衛生関係の所要人員、つまり医者が不足しておりました関係その他で、初めのころは発生率が高かつたのでありますが、しかし昨今は非常に発生率が減つてつております。  それから次の伝染病につきましては、普通の夏季の伝染病以外については、ほとんどないといつてよろしいのでございます。慢性伝染病につきましては、前の軍隊と比較いたしますと、予備隊の率は低くなつております。それから急性伝染病につきましては、一般に他の発生傘から比べて、予備隊が多いというようには、統計には出ておりません。現在こまかな数字を持つておりませんので、数字的なことはお答えできません。
  41. 岡良一

    ○岡(良)委員 花柳病の方は……。
  42. 須江杢二郎

    ○須江説明員 花柳病も、昔の軍隊よりは少いのであります。
  43. 岡良一

    ○岡(良)委員 私は、給与の問題もさることながら、やはり厚生関係のことについても、十分な留意を払うということが、実質的にはやはり給与の裏づけになるという点でお尋ねしておるわけですが、今の医務課長の御答弁では、あなたは専門家でおられるようでありますが、われわれとしては、はなはだ手薄なような気持がありますので、ひとつ十分今後とも留意をしていただきたいと思います。  それから保安隊はキャンプということで、かなり移動性を持つておるような感じがいたしますが、一般の保安官なりそういう諸君は、これは兵舎のようなところに入つておるといたしまして、その他の上級者は、やはり住宅などに入らなければならぬわけなので、なかなかそうあちこち在宅があるわけではないし、相当都会地でキャンプが営まれるということになると、こういう問題が早速起つて来るわけでありますが、これはやはり公務員住宅のような関係や何かでつくる計画を持つておいでになりますか。
  44. 加藤陽三

    ○加藤政府委員 ただいまお話になりましたごとく、住宅の問題は非常にわれわれといたしましては重大で、かつなかなか困難な問題なのでございますが、今までのところ、警察予備隊費の中から所要の金額を充当いたしまして、六百一戸住宅を全国につくつております。本年も増員に伴いまして、さらに三百数十戸の住宅を建設したいと思いまして、ただいま各方面と折衝中でございます。
  45. 岡良一

    ○岡(良)委員 この住宅の問題に関連して、この際最後に御注意を申し上げたいのですが、実は先般族行中ある駅で、RTOの待合室がなくなつた。しかしそのまま残されておる。これに警察予備隊のおえら方が入つておる。それからこれは警察予備隊の官舎じやないが、やはり公務員住宅ということで、一千戸近い世帯が群生しておる横に、相当堂々たる公務員住宅が建設されておる。その結果として、そこに住んでおる引揚者であり、戰災者である住民は、非常な批判をしておる。そういうことを考えますとき、われわれはこの諸君の住宅の問題も、十分な顧慮を払うことは当然ではありますが、何かしら一つのやはり特権的な意識があると、それからいろいろな問題で出て来るということになると、やはり予備隊に対する、また保安隊に対する国民の批判の的にもなるのであるから、そういう事例がないように、今後もひとつ十分留意をしていただきたいということを、最後につけ加えまして私の質問を終ります。
  46. 田中不破三

  47. 松澤兼人

    松澤委員 先ほど岡君が質問し、また私が質問いたしました非常事態の問題でありますが、大体いろいろ質疑応答の中において明らかになりました点は、次のような点であると思います。第一に、非常事態の判定及び非常事態に対処するための出動命令内閣総理大臣が持つておる。この点につきましては、先般私と大橋国務大臣の間の質疑において、その実際上の手続はどうなるのかということを質問いたしましたところ、場合によつて閣議も開かれるかもしれないというお話であつたと思うのであります。実際上の手続といたしましては、所管大臣である国務大臣が、事態が非常に急迫しておるということを総理大臣に進言して、総理大臣が必要と認めた場合には、閣議を開いて、閣議で決定して、非常事態である、部隊の出動を命ずる、こういう手順になると思いますが、大体この手順によつて総理大臣非常事態の判定をなす。そして部隊の出動を命ずるということになるのであるか、あるいはその他の手続がこれに入るのであるかということを。もう一度明らかにしていただきたいと思います。
  48. 大橋武夫

    大橋国務大臣 法的要件といたしましては、ただいま仰せられましたようなことだけが要件になつておるわけでありまして、保安庁長官が状況を判断いたし、総理大臣に申出をいたす、それに対して内閣総理大臣出動命令を出す、これで法的要件は完備いたしておるわけであります。しかしながら事態の判定につきましては、都内において起りました事態についても、いわんやまた遠隔の領域内において起りました事態につきましても、なかなか困難でありますし、また必要外の場合に予備隊を出動させるということも適切ではございませんので、もちろん法的要件とはなつておりませんが、内閣総理大臣なり、あるいは保安庁長官において、関係機関から情報を聴取するなり、またその状況下における関係機関のそれぞれの処置を承知いたし、また事態の処理についての最後的見通し等を十分に勘案した上で決定をするということに、当然なるものと考えておるわけでございます。自然公安委員会なりあるいは都道府県知事なり、そうした機関と打合せた上で判定をするというようなことも、手続の実際においては十分にあり得ることと考えますが、それは法的要件とはいたしてございません。
  49. 松澤兼人

    松澤委員 そういたしますと、閣議にはかるということは絶対の要件ではなくて、所管大臣総理大臣に進言をして、総理大臣がそれでは緊急事態と判定して、部隊の出動を命ずるということだけでよろしいのでありますか、内閣総理大臣が部隊の出動を命ずる場合には、やはり閣議という形式を経なければならないものでありましようか。
  50. 大橋武夫

    大橋国務大臣 法的要件としては、閣議に諮るかどうかということは規定をいたしてございません。従つて法律的には閣議を経ずして出動命令が出されても、それは適法の出動命令であるということになるわけでございます。しかしながら、この六十一條規定いたしておりますごとく、内閣総理大臣出動を命じたる場合におきましては、出動を命じた日から二十日以内に国会に付議して承認を求めなければならない、こういうふうなことでございまして、非常に重大な事柄であり、また出動をいたしました場合においては、事態の推移によりましては、この出動に要する経費というものも相当多額に上る、そうなりますと、その予算を議決するためにも、国会に付議しなければならないということにまでなるわけでございますから、通常の場合においては、かような事態は当然閣議に付議さるべき事柄であろうと常識上判断をいたしておるわけでございます。
  51. 松澤兼人

    松澤委員 部隊出動の場合は、大体それによつて明らかになりましたが、警察法関係によりますと、公安委員会勧告によつて総理大臣非常事態の布告をする、その後において国家地方警察なり自治体警察を掌握して命令をするということになつているのでありますが、先ほども岡君から質問がありましたが、非常事態というものは單一であつて、その單一の事態に処する場合に、部隊の場合には総理大臣が、国務大臣の助言を聞くということはもちろんあるでしようが、独自の立場から判定する。同一の事態に対して、全警察を掌握して指揮命令をするという場合には、国家公安委員会勧告をまたなければ、全警察を掌握することはできない。こういうことになつているようでありますが、非常事態に対して警察を動かす場合には、国家公安委員会勧告がなければ動かせないということは、保安部隊を動かす場合と、全警察を動かす場合とでは、全警察を指揮命令することの方がむしろ先であつて、その警察力の不足の点を保安隊出動にまつということが順序であるように聞いておつたのでありますが、その関係はいかがでございましようか。
  52. 大橋武夫

    大橋国務大臣 警察法第六十二條におきましては、国家非常事態に際して、治安維持のため特に必要があると認めるときは布告を発すると、こうなつておるわけです。ですから六十二條自体から申しましても、非常事態になれば必ず布告をするというわけではないのであつて非常事態になつても、布告をする場合もあれば、布告をしないで済ます場合もあるということは、六十二條の規定自体で明らかだと思います。この保安庁法第六十一條におきましては、非常事態に際して特別に必要があると認める場合には、保安隊または警備隊出動を命ずる。こうなつておるのでありますから、非常事態ならば必ず出すというのではない。これも出す必要があれば非常事態の際ならば出す、こういうことでございます。従いまして非常事態というものを宣言する必要がある場合と、予備隊を出す場合とは、おのずから別個の場合である。いずれも非常事態であることは間違いありませんが、非常事態の中にもいろいろの場合がありまして、警察法上の布告をすることが適切である場合においては、公安委員会勧告によつて布告をする。保安隊出動を要する場合には、保安隊出動を進める。こういうことになつておるわけであります。そしてこの保安隊出動ということは、政府が常に掌握いたしておりまする機関に事実上の活動を命ずるのでございますから、従つて法律関係を設定するのではなく、一つの事実上の行動をいたすことでございますから、これについては、布告をするということは必ずしも法的要件ではないと思います。しかしながらかような重大な事柄でございますから、もちろん保安隊警備隊出動命令された場合には、政府の公的機関によつて国内にその旨が発表されるということは、もとより望ましいことであり、そうさるべきものと思つております。
  53. 松澤兼人

    松澤委員 保安隊出動につきましては、非常事態の布告が欠くべからざる要件であるとは私も思つておりませんけれども、同時にそれについて、全警察力を動員させるという場合には、非常事態の布告ということがどうしても欠くべからざる要件である。従いまして一方においては、独自の立場から総理大臣が保安部隊を指揮命令できる。一方においては、国家公安委員会勧告がなければ全警察力を掌握し、これに対して指揮命令することはできない。事態はむしろ先に警察力を動員して、ある程度まで治安の確保に当り、それでも治安の確保ができない場合に部隊を動かすということになるのが、警察法及び保安庁法の骨子ではないかと思うのであります。もしそういう事態について、公安委員会勧告しなかつた場合には、総理大臣非常事態の布告もできないし、全警察力を掌握することもできないで、部隊だけが先に動いているという結果になりはしないですか。
  54. 大橋武夫

    大橋国務大臣 その辺は公安委員会においても政府におきましても、良識をもつて行動されると考えますので、そうした事態はあり得ないと思います。
  55. 松澤兼人

    松澤委員 なお警察法の第六十六條には、内閣総理大臣非常事態について警察力を掌握して行動を命ずる場合には、国家公安委員会は常に必要な助言をしなければならぬということになつているのでありますが、そういたしますと、ある程度非常事態の布告があつたからといつて総理大臣が独自の立場から全警察力を掌握して、これを指揮命令するというわけではなく、やはり公安委員会の助言というものが必要である。その助言と総理大臣のいわゆる指揮命令権というものはどういう関係にあるのかということを次にお伺いいたしたい。
  56. 大橋武夫

    大橋国務大臣 この点は法律に書いてある通りだと存じます。公安委員会の助言に基いて総理大臣が職権を行使する、その行使に当つては必要な助言をする、これだけのことだと思います。もちろん公安委員会が助言をしなければならないというその義務及び責任だけをここに規定しておるのでございまして、その助言が総理大臣に対していかなる法律的効果を持つかということは、この規定では何ら触れておらぬと思います。
  57. 松澤兼人

    松澤委員 そういたしますと、これで非常事態に対する保安庁関係の動員と、警察関係の動員というものが大体明らかになつたわけでありますが、先ほど岡君が指摘されました行政協定に基くアメリカ軍との協力の問題がさらに残つて参るのであります。これはいわゆる駐留軍の方から、非常事態に対処するために保安隊出動をしてくれという話があれば、総理大臣はそれによつて法律上さしつかえがなかつたら、また事態が急迫しているということを判定すれば、先ほどの第一の場合、すなわち保安部隊の出動ということを命令し得る、こういうことになりますか。
  58. 大橋武夫

    大橋国務大臣 大体そういうことになると存じますが、要は敵対行為の危險の切迫した場合、あるいは現実に発生した場合において、行政協定の示すところよつて協議される、その協議の内容として、保安隊行動について何らかの協議がされるということがありました場合には、その協議において定められた活動というものが、この保安庁法規定に基きまして、正当な権限範囲内に属する事項ならば、そうした約束に基いて総理大臣出動を命ずるということは、十分に考え得ることでございます。
  59. 松澤兼人

    松澤委員 そこでお尋ねいたしまするが、行政協定に基きまして必要な措置を講ずる、そうしてそのあと協議をするということになりますと、部隊の出動の方が先に行つてしまつて総理大臣あるいは外務大臣に対するいろいろの協議がそのあとから来るという危險はございませんか。
  60. 大橋武夫

    大橋国務大臣 行政協定関係條文をお持ちでございましたら、ちよつと拜見さしていただきたいのですが……。
  61. 松澤兼人

    松澤委員 私もここに持つておりませんので、この点はいずれまた條文を両方で持つて来て、そのときお伺いすることにしましよう。ただわれわれとして希望いたしたいことは、アメリカの部隊と先に話合いをして、部隊が便宜出動しておつて非常事態の判定なり、あるいは総理大臣命令なりはあとから出て来るというようなことがないかということが心配なのであります。どういう事態が起るにもせよ、一応は総理大臣の判定及び出動命令ということがあつてから、部隊の行動ということが起されればいいのです。先ほど大橋国務大臣も申されたように、予算上の措置、あるいは法律上の措置も講じてから、部隊の出動範囲が決定されるということであれば、もちろんけつこうでございますけれども、どこまでも私どもとしましては、そういう事態に立ち至つて日本の自主的な判断及び行動を留保していただきたいということをお願いしておる次第であります。この問題につきましては、あらためてまた両方で條文を持つて参りまして、その上でひとつ審議することにいたしたいと思います。
  62. 大橋武夫

    大橋国務大臣 ただいま御心配になりました点は、まことにごもつともでございまして、さような場合において、政府の上部機関の意思に関係なく部隊が出動するというようなことは今日の憲法下において断じて許されざることであります。そういうことを絶対になからしめるというのが、この第六十一條において総理大臣出動命令を設けた趣旨でございますから、運用にあたりましては、法の考えておりますこの精神によつてどこまでもやつて行く、御心配のような点は絶対にあり得ない、そういう法意であると理解いたしております。
  63. 平川篤雄

    ○平川委員 医務課長が見えておりますので、専門的な立場で、前に質問したことに関連して、この際お聞きしておきたいと思います。最近新規の募集をいたします際に、どうも応募者が十分に集まつて来ないということが伝えられておるのでありますが、課長は元の軍隊をお知りになつておるかどうかは私わかりませんが、常識的にでもけつこうであります。大体医学的な見地から、現在の予備隊、あるいは将来の保安隊の訓練が、過去の軍隊というものと比べて、一体どちらがはげしいものであるか、それに耐えられる身体状況として、昔のいわゆる甲種合格というものは、一体どういうパーセンテージのものをさしたものであるか、それに対応するだけの応募人員が現在得られておるかどうか、こういうような点について、とりまとめてお話をいただきたいと思います。
  64. 須江杢二郎

    ○須江説明員 ただいま手元に正確な数字を持つておりませんので、概略的に申し上げますと、今の予備隊の隊員選考には、大体旧軍隊の甲種合格をものさしにしております。しかし志願者でございまして、徴兵でございませんので、非常に優秀な体力の人を募集することが困難であるということは言えるのであります。これは徴兵と現在の志願制度との差であると思います。  それから訓練の問題を申しますと、これは装備その他が違いますので、精密な意味で比較することはできないと思いますが、今のところは大差はないのじやないかというふうに漠然と考えております。  それから患者の面につきまして申しますと、これは先ほどの説明に補足した方がよろしいかと思いますが、現在の隊員のうち、実際に病気で診療を受けたり休んでいる者は五・二%でございます。そして九四・八%は健康で働いておるということになります。診療を受けておる者のうち、実際に仕事をしておる者が三六・三%、残りの六三・七%が入室とか入院、あるいは自宅療養だとか、そういうふうに実務を休んで休養しておるという状況であります。
  65. 平川篤雄

    ○平川委員 現在募集上非常に困難を感じておるのではないかということを私が指摘いたしましたのにかかわらず、江口さんは、何の支障もないということを御答弁になつておるのですが、医務課長の立場としては、志願であるから、非常に困難を感じておられるのが実情でありますね。
  66. 須江杢二郎

    ○須江説明員 これは現在のところは、もつと優秀な人がほしいという意味では困難を感ずると思います。しかし昔の軍隊の線で採用するならばとれる。予備隊採用の基準は、身体検査だけできまるものではございませんで、やはり思想的な問題とかいろいろなほかの問題もございます。私としては身体検査の面だけで申し上げたわけであります。
  67. 田中不破三

    田中委員長 それでは午前中の会議はこの程度にとどめまして、午後は二時から再開いたします。  これにて暫時休憩いたします。     午後零時五十七分休憩      ————◇—————     午後二時五十五分開議
  68. 田中不破三

    田中委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  ただいまより保安庁職員給与法案を議題として質疑を継続いたします。岡良一君。
  69. 岡良一

    ○岡(良)委員 第四十一條の「保安官及び警備官は、その階級ごとに政令で定める年齢に達したときに、退職するものとする。」この年齢は大体どういうところに基準を置いておりましようか。また退職の際における退職金等について、この後にも書いてはあるようでありますが、この機会にあわせて御答弁を願いたいと思います。
  70. 江口見登留

    ○江口政府委員 ただいまこの停年制の問題につきましては、いろいろと研究中でございます。素案は持つておりまするが、まだ正式に発表する段階にまで達しておりません。大体海の方とにらみ合せてやる必要がありまするし、海の方としましても目下研究中でございます。海と陸とをわけるかどうかという問題もございます。昔の軍でございますと、かえつて多少異なつておりましたが、それらをまた異なるように考えるか、あるいは大体同じ停年制で行くかというようなことを目下研究中でございますが、昔の軍に比べますと、少し停年を下げてみたらどうだろうか、こういう程度の着想を今いたしておるだけでございまして、もうしばらくいたしませんと、はつきりした年齢をお示しできないかと存じます。
  71. 岡良一

    ○岡(良)委員 退職金の方は……。
  72. 江口見登留

    ○江口政府委員 昔の軍で参りますと、大将は兵科で六十五年になつておりましたが……。(「退職のときの金」と呼ぶ者あり)退職金につきましては普通の公務員の退職金に準じた退職金が出せるようにしたいと考えております。ただ、ただいま御審議つておりまする保安庁法などには、二年の任期で採用された者に対する特別の考慮を払つた、六万円とは違う意味の、特別退職金というものが掲げられておりますが、二年の任期のない一般の職員につきましては、一般の国家公務員の退職の際に支給される退職金と同率のものを支給するこういうふうに考えております。
  73. 岡良一

    ○岡(良)委員 そういたしますると、たとえば現在の国家公務員に対する恩給法も援用されるということになつて法律では、階級ごとに政令で定める年齢に達したときには退職をする。そうしますると、大体政令で定められた年齢というものは、国家公務員の年齢よりは比較的低いのじやないかと思うので、若くして退職することになるのじやないでしようか。そうしますると、それに対して国家公務員恩給法がそのまま適用されるということになると、退職金あるいはその後における処遇というものが非常な不均衡になりはしないかということを感ずるのですが、そういう点はいかがなものでしようか。
  74. 江口見登留

    ○江口政府委員 退職金に関しまして一番問題になりますのは、階級の下の者かと存じます。先ほど申し上げましたように、二年で退職するのが一応の建前でございまして、それをさらに再任用を志願すれば、四年になり六年になりというふうにして続けることもできるわけでございます。従いまして、警査長以下の二年の任期で採用される者の停年と、恩給年限に達するこれらの者の年限の問題と、両方あわせて考えなければならぬ問題で、非常にむずかしい点でございます。たとえば警査長あたりにいたしまして、二十前後で入りまして恩給年限に達するまで勤められるかと申しますと、まつたく勤められないことはございません。しかしながら十年も十五年も勤めていて、相かわらず警査長の階級におるというような人の能力というものは、一般よりは劣ると見なければならぬわけでございます。そうしますと、そういう連中としましては、五年、十年おられたら、その上の士補の階級に上げる、こういうことが考えられるわけでございます。士補の階級になりますると、われわれ今考えておりまする警査長以下の停年の年限よりは多少幅を広くしております。それらの点もただいま研究中でございまして、警査長以下で恩給のつくまでおれるかどうか。またおり得るようにしたいとも考えております。しかしおるようにするには、ただいま申しましたように、そんな下の階級でいつまでも、五年も十五年もおるような人は、どつちかというと能力がありませんので、早くやめてもらつた方がいいのではないか、こういう両面の考え方をしなければなりませんので、その点を今苦慮しておるところでございます。
  75. 岡良一

    ○岡(良)委員 とにかく相当若いところで——退職年齢というものが政令規定されるということになると、退職後における生活の不安ということも考えられますので、やはり何らかの特殊な方法によつて、退職者に対する処遇というものが、普通一般国家公務員における恩給受給権の発生し得る資格條件としての特別の措置が必要ではないかと思うのですが、そういう点もやはりできるだけ近い将来にわれわれに明示していただきたいと思うのです。  それからもう一つお伺いしたいのは、たとえば出動命令等によりまして出動いたしまして、その行動中の事故に基いて死亡した場合、これは階級別にいろいろな措置が講じられますかどうかという点と、いま一つは、たとえば今の警長といいますか、昔の上等兵というようなところでどういう処遇が与えられるか、数字でひとつお話を願いたい。
  76. 江口見登留

    ○江口政府委員 ただいまのお尋ねは、出動中に事故で死亡したというようなときの特別の処遇方法をどう考えておるかという御質問だと思います。出動中でなくても、常日ごろの訓練中に事故が生じて死亡したというような事例もあります。この場合には一般の国家公務員支給されているような補償をそのまま準用して行く。たとえば死亡しました場合には、公務上の死亡ならば日給の千日分の遺族補償料と、それから六十日分の葬祭料でございますから、一番下の階級で申しまして百七十円の日給でありますから、それの千倍の十七万円、それに六十日分の葬祭料がつくわけであります。これは常日ごろの訓練の際におきましてもその程度の手当が出るわけであります。出動中の場合には一層危險を予想されますので、その支給率はもう少し高いものにしなければならぬ、かように考えておるのであります。しかし御審議つておりまする法案の條文にもありまするように、出動の際の特別の処遇については、別の法律で定めることにいたしておりますので、それらの点についてもすみやかに成案を得まして、法律として御審議を願いたい、かように考えております。
  77. 岡良一

    ○岡(良)委員 やはりその点が給与法案審議するときには重要な点であろうと思いますので、お尋ねしたわけですが、その点もはつきりとできるだけすみやかに、しかもこれは、やはり恩給法、その他のいろいろ復活を予想される軍人恩給との関連性のある問題でありますから、この際やはり統一ある基準というふうなものを政府としても御考慮願いたいと思います。  それでは次に第五十一條で「職員は、法令に従い、誠実にその職務を遂行するものとし、職務上の危險」云々ということが書いてあります。最後に「上司の許可を受けないで職務を離れてはならない。」こう書いてありますが、かりに出動命令が発せられた、ところがそのときある一人の保安官が、この出動命令の発せられた日にそのキャンプにいなかつたというような場合、やはりこれはいろいろ事情が起つて来ると思いますが、そういう場合どういうふうな形で規制されるのかという点を承りたい。
  78. 加藤陽三

    ○加藤政府委員 第五十一條に、職務遂行上の義務といたしまして、お示しのように「職員は、法令に従い、誠実にその職務を遂行するものとし、職務上の危險若しくは責任を回避し、又は上司の許可を受けないで職務を離れてはならない。」となつております。出動命令が発せられました際におきましては、われわれの考え方といたしましては、隊に出動命令をやりますと、隊から各隊員に出動命令を周知させるという処置がとられます。その際におきまして、その隊員がキャンプにおりませんと、その所在地に向つてこれを周知きせる方法をとる。罰則の方におきましては、出動命令が発せられました場合におきましては、一定の期間職務を離れておりますと罰則の適用を受けることになつておりますが、それは本人に周知せしめた日から一定の期間を経過した場合において各條での適用がある、こういうふうに考えておる次第でございます。
  79. 岡良一

    ○岡(良)委員 それでは、先ほど午前中いろいろ松澤さんその他のお尋ねに対して大臣から御答弁がありましたが、たとえば架空の仮定といたしまして、海外出動しなければならないというような事態が緊急に起きた、その場合にこの隊員はそれを拒否する権利はあるのかどうか。要するにこれまでのたびたびの政府の御言明によれば、海外出動するという場合には、国会法律の協賛を経て初めてできることであるということでありますので、そういう法律がはつきりしない以前に、たまたま海外出動しなければならないというようなときに、隊員がそれを拒否するということは、これは職務遂行の義務を奉じないことに取扱われるのか、それともこれは当然な権利として認められるのであるかという点は、どういうものでしようか。
  80. 大橋武夫

    大橋国務大臣 海外派遣ということは法律上あり得べからざることでもございますから、御懸念のような出動命令が出ることは絶対にありません。しかし何か理論上しいて答えてみろといわれれば、そういう違法の命令でございまするから、服従の義務はないのであつて、自己の責任において服従しているというわけですから答えはおのずから明らかだと思います。
  81. 岡良一

    ○岡(良)委員 この機会に法律専門家であられる大橋国務大臣に御見解をお示し願いたいのですが、憲法の第二十二條では、職業選択の自由というものがわれわれには与えられているわけであります。これと職務遂行に関する義務規定というものはどういう姿で調整されるのか。
  82. 大橋武夫

    大橋国務大臣 この義務というものは、ある職業に当然付随した義務でありまして、職務上の義務はあるのであります。職業の選択というものはある職業を選択するについて、個人の自由意思によつて、選択の権利が保障されている、こういうことを意味するのでございます。自己の選択によつて職業につきました以上、その職業に当然予定されたところの義務というものは、これは当然履行しなければならぬのはあたりまえのことだと考える。何ら職業の自由と関係のない規定である、こう存じております。
  83. 岡良一

    ○岡(良)委員 御趣旨はよくわかりますが、ただ私ども考えでは、憲法に保障されている職業の選択の自由に関しても、これはいわば人間本来の固有の自由である。従つてその自由に基いて、彼がみずからの意思によつていかなる選択職業につこうと、これは自由である。ところで、その職業を離れることも自由であるが、しかしそれにしても、その職業についている過程において、やはり自己の意思に反した事態があつた場合においてはこれを拒否するということは、これはいわゆる義務規定によつて拘束をされなければならないものであるのか、それともそういう場合には、そういう自由を認めて、これが隊伍を離れることについてはすなおに隊の上司は認められるのかどうか。そういう点についての御見解を承りたい。
  84. 大橋武夫

    大橋国務大臣 現実の問題といたしまして、本人が退職をしたいという場合においては、隊務の運営に支障を生じない限りは、本人の意思によつて従つて辞職を認めるのは当然だと思います。しかしながら、この予備隊というもののできておりまする目的から考えて、かつてなときにかつてな申出によつて退職をするということを無制限に認めますと、予備隊というものを平素から組織し、訓練し、非常の際に備えるという意義が沒却されまするから、その予備隊の存立の目的、使命というものを沒却する程度に至りますると、退職の自由を制限するもの、これは公共的な見地からして当然考えるべきことだと思うのであります。さような弊害のない限り、もちろん本人の意思を尊重して退職を認めるのは、当然だと思います。
  85. 岡良一

    ○岡(良)委員 お気持はわれわれも大体了承いたしますが、一昨日も松澤氏からも御意見がありましたが、結局保安隊の運営におきましては、民主主義的運営がこういう組織としてできないことは当然であります。といつて現在のような條件あるいは環境の中では保安隊のそれぞれの諸君の気持も、非常に割切れないものがあることも実は聞くのでありますが、そういう点については義務規定が強く自由を拘束するという形の運営をなさらないで、やはり一つの大きな目標を持つた団体としての信義なり友愛というものが十分たたえられて運営されるようにということを、最後に心から念願いたして質問を終ります。
  86. 田中不破三

    田中委員長 松澤君に申し上げますが、御出席を要求しておられます岡崎外務大臣は、所用のためにただいま本委員会に御出席がいたしかねるような状況でございます。ついてはただいま大橋国務大臣がおられますので、特に大橋国務大臣だけに対しての御質疑がございますか。それとも岡崎国務大臣と一緒に御質問になりますか。
  87. 松澤兼人

    松澤委員 岡崎国務大臣が都合で御出席がなければ、この次の機会に質問することにいたしまして、大橋国務大臣がよければ、二、三点御質問したいと思います。  四十六條に公正審査会のことが規定されております。「職員は、その意に反して、降任され、休職にされ、若しくは免職され」云々と書いてありまして、長官に対し審査請求をすることができる。長官は審査請求を受けた場合には、これを公正審査会に付議しなければならないということになつておりまして、今後各種の問題は、この公正審査会において判定が下されるものと思うのであります。私どもが非常に心配しておりますことは、長官としましては政党に関係することも望ましくないし、あるいは外部の諸団体と関係することもあまり望ましくないというふうにいわれているのでありまして、それはごもつともな点であります。しかしたといこの部隊に所属する職員が、その部隊の性格上、もしくはその他の関係上、そういう一定の社会以外において普通の人々が享受しております各種の権利がいろいろと制限を受けるということはあるいはあり得ることではありましても、しかし一方考えてみるならば、こういう特殊の社会であるから、職員が時に自己の不利の問題、あるいはまた勤務状態もしくは保健衛生の問題につきましては、一応意見を述べたり、もしくはそれらの主として福利的な問題について希望を申し出ることが許されなければならないと思います。しかしそういうふうな自分たちの問題について意見を述べたということのために、その意に反して処分を受けるというようなことになりますと、福利の問題あるいはその他直接に職員の生活に関する問題などが、上から一方的に押しつけられるという危險が生じて来るのでありまして、職員が自分の福利の問題、あるいはまたキャンプの中における生活の問題等に対し、どの程度まで上の人々に対して意見を述べ得るか。あるいは述べたことによつてその意に反して処分を受けるということがあり得るのか。それらの点についての限界、もしくは発言の自由がどの程度にあるかというようなことについて御所見を承りたいと思います。
  88. 大橋武夫

    大橋国務大臣 上官に対しましていろいろな意見を述べる、ことに自分の身上につきまして意見を述べるということは、言葉をかえて言えば、これは一つの陳情行為だろうと思います。かような行為は何人に対しても許さるべきものと考えております。ただその意見取扱い方、そういう点においては、部隊の規律なり秩序というものを害しないように注意をして取扱つて行く必要があると思います。
  89. 松澤兼人

    松澤委員 私はこれまでの軍隊に関係したこともないし、あるいは現在警察予備隊の中においてこういう問題の処理の仕方がどうなつているか、全然わからないのでありまするが、実情といたしまして、こういう身近な衛生の問題や、あるいは福利の問題などについて、過去の軍隊の中においてあつた考えられるようなものと、それから現在の警察予備隊の中において、こういう問題について、職員の希望なり意見なりというものが、どういう方法によつて聞き入れられ取上げられて処理されているかという点について、これは実際上の問題でありますので、具体的な事例が部隊の中にあつたことについてお話願えればけつこうであります。
  90. 江口見登留

    ○江口政府委員 昔と違いまして、隊員の福利厚生というような問題は、隊員の士気を鼓舞する上におきましても非常に大切なことと存じます。従いまして、あるキャンプごとに厚生係官という幹部を置いております。またそれを助ける意味におきまして、厚生委員会というものを設けておりまして、それにはいろいろの階級の人が集まりまして、各隊員に対する衛生問題、あるいは厚生問題、保健問題、その他娯楽問題というようなことにつきまして、いろいろ審議をした上である種の事業を実施して行くという組織ができておりまして、そこへ大体多くの隊員の希望が持ち込まれます。例をあげますれば、あるキャンプにおいては非常に野球が行われておるとか、あるキャンプにおいてはラグビーが取上げられておるとか、あるキャンプにおいては隊員の持寄りその他の方法によつて、りつぱな図書室ができているとかいう組織を通じまして、そういう人々の希望を実現させるような方法をとつております。この制度は、今までのところまだ資金や施設が十分ではございませんが、おいおいに隊員の希望を充足して参りつつあるようにわれわれは考えております。
  91. 松澤兼人

    松澤委員 次に公正審査会におきましてある種の判定がなされた。そうすると長官がそれによつて必要な措置を講ずることになつているわけなんですが、かりに職員がその意に反して処分を受けた、それが不服であつて審査を請求した。公正審査会における審査の結果、職員制に有利な判定があつたという場合には、長官はその意に反してやめさせられた者を再び復職させるという法的な措置をおとりになりますか。
  92. 江口見登留

    ○江口政府委員 この公正審査会の決定に基きまして、処分された隊員の主張が、正当であると認められました場合においては、いかなる処分を受けました際におきましても、元の身分に復帰させることができる、かように考えております。
  93. 松澤兼人

    松澤委員 公正審査会は政令をもつてその組織及び運営を定めることになつておりますが、どういう人々がこの公正審査会の構成員になるか、お考えがありましたらお述べいただきたいと思います。
  94. 江口見登留

    ○江口政府委員 大体われわれが考えておりまするのは、公正審査会は、大体五人くらいの委員で組織してはどうかと考えております。もつとも公正審査会に持ち出される事項のうちでは、やはり身分上の処分に対して不服があつてこの審査会に訴え出るというのが、その大部分であろうと存じます。従いまして、本部の職員及び総隊総監部の職員を合せてこの審査会をつくろうかと考えておりますが、その際には、できるだけ審査会の判定を公平にする意味におきまして、人事を扱つている部門の職員はそれに加えないで、公正な、それ以外の立場から見てその処分を判断し得るような委員会の構成をつくりたいものだ、かように考えております。
  95. 松澤兼人

    松澤委員 この公正審査会は、処分の不当を救済するという意味を持つているのでありますか、隊内の規律などを保持させるために、何か別の機関を置くことをお考えになつていらつしやいますか。たとえば懲戒委員会と申しますか、規律委員会と申しますか、そういうようなものは全然おつくりにならないのですか。
  96. 江口見登留

    ○江口政府委員 そういう問題に関しての審判的な機構を持つかというお尋ねだと思いますが、その点につきましては、特にそういう制度的なものは考えておりません。隊長のみずからの責任において、それぞれの階級を通じ、一般隊員に対して規律を重んじさせる。そのほかには保安庁法にありまするように、部内の秩序維持に当る適任者を養成いたしまして、その者の監督のもとに、不規律なことが内部において行われないように取締りを加えて行きたい、かように考えております。
  97. 松澤兼人

    松澤委員 部隊の中にさらに警察的な役割を演ずる人々の規定があつたと思うのでありますが、これは従来の憲兵的な意味における職員でありますか、従来の憲兵的な役割とは違つた意味を持つものでありますか、その点を御説明願つておきたいと思います。
  98. 大橋武夫

    大橋国務大臣 隊内におきまする規律保持のための職員は、従来の憲兵のごとく、部外に対して一般犯罪の検挙とか逮捕とか、そういつた仕事をやるのではなく、もつぱら部隊の中の規律を保持する、かねて直接部隊に対して加えられたところの犯罪を検挙する、こういう特殊の任務を持つておるのでありまして、昔の軍隊時代の憲兵とは、その職務がまつたく違つております。
  99. 松澤兼人

    松澤委員 この警察的な職員というものが、もしあやまつた従来の憲兵的な役割を演ずることになりはしないかということを、私は心配しているわけでありますが、ただいまの国務大臣のお話では、そういう仕事は全然考えておらないということであります。もしあやまつて、こういう職員がいわゆる憲兵的な役割を持つて、隊内における各種の諜報を集めたりするようなことになつて参りますと、これは隊内の規律ということから考えて、逆にこれに反抗するような職員の気持を起しはしないかと考えるのでありますが、そういう思想調査であるとか、あるいは諜報的な役割というようなものは、全然この警察的な職員にやらせる考えはないと解釈してよろしゆうございましようか。
  100. 大橋武夫

    大橋国務大臣 隊内の規律を保持するに必要な範囲内で、いろいろな調査をすることは当然あり得ることでございます。しかしながら、部外の一般的な犯罪について情報を収集したりするというようなことは、考えておりません。
  101. 松澤兼人

    松澤委員 最後にお尋ねいたしたいと思いますことは、いろいろな共産主義の宣伝がこの保安隊あるいは警備隊に対して行われており、いろいろの雑誌が出ているということでありますが、かかる働きかけの現状及び従来かかる働きかけと呼応して処分され、もしくは罷免された隊員の状況、そういうものについて、できるならば少し詳細にお話願いたいと思います。
  102. 江口見登留

    ○江口政府委員 予備隊に対しまする外部のそういう働きかけも、一時非常に多く見受けられました。その具体的な方法といたしましては、塀の外からビラを投げ込んで行くとか、あるいは隊員が外出しておりまする際に、暗い所でそつと紙片を渡して行くとか、あるいは隊員に呼びかけて特殊の集会に誘いかけるとか、あるいはまたそういう人たちの家族、特に若い婦人などを酒保などに入れるとか、あるいはバーなどを経営しているところにそういう者が入つて、そのバーに来た隊員に対していろいろ働きかけるのみならず、隊内の情報をとるというような事例もしばしば現れておりました。しかし隊員全般の気持といたしましては、そういう方法や、あるいはそういう働きかけに応ずる者はきわめて少数でございます。もとより便所の落書きなどの中には、そういう主義を持つておるのではないかと思われるようなものも相当見受けられましたが、しかしその数もだんだん減つて参りまして、特にだれがそういう落書きをしたかという調査もわれわれ困難でありまするし、そういう思想を持つておるとか、そういう方面に同情的な隊員であるとかいうことでなしに、そういう方面の思想を持つておる隊員は、通常の勤務において自然に現れて参るのであります。特に上官の命令に従わないとか、あるいは特殊な不平な事項があつたときには、二、三人が共同ですわり込みをやるとかいうような事例もあつたのでありますが、こういう勤務違反のかどによつて隊外に出すという事例もしばしばございました。しかしながら、特にその人がいわゆる共産主義者であつて、どういう行動を隊内においてとつたというようなことをあげるまでもなく、そういう外部的な現われによりまして、だんだん整理されて行つたのでありまして、現在におきましては、そういう思想の者があつて、特に他の隊員に働きかけるというような根強い運動は見受けられません。外部からの働きかけも、隊員自身が相手にしなくなつたというような様子が多分に見受けられますので、それらにつきましては、われわれといたしましても、決してそれほど危険視してはいないというような実情であります。
  103. 松澤兼人

    松澤委員 多少質問を留保いたしまして、きようはこれで終ります。
  104. 田中不破三

    田中委員長 他に御質疑のある方はありませんか。——別に質疑もないようでありますから、本法案に対する質疑は、岡崎外務大臣に対する質疑を除き、大体これにて終了いたしました。     —————————————
  105. 田中不破三

    田中委員長 次に、昭和二十七年度における国家公務員に対する臨時手当支給に関する法律案内閣提出第二四三号を議題といたして質疑に入ります。質疑は通告の順序によりこれを許します。平川篤雄君。
  106. 平川篤雄

    ○平川委員 簡単に二、三の点についてお聞きしておきたいと思います。このたび夏期手当が出ることになつたのでありますが御提案によると、大体半月分ということになつておりますが、本年度予算に年末並びに夏期手当分として計上せられておりますものは、どのくらいになつておりますか。
  107. 剱木亨弘

    ○劔木政府委員 二十七年度の予算では、一月分を計上してあります。
  108. 平川篤雄

    ○平川委員 大体今まで相当国家財政が苦しいときでも、夏期は出さなくても年末には何とか出して来た。通念から考えましても、夏期よりも年末を重くするというのが常識でありますが、今回半箇月分出るということになりますと、年末には一箇月分ないしは二箇月分、少くとも予算以上にお出しになる意図があると了解してよろしゆうございますか。
  109. 剱木亨弘

    ○劔木政府委員 現在のところは、予算に一月分を計上してあるだけでございまして、従いまして夏期に半月分を出しますと、年末には一応予算範囲内で半月分ということにいたしております。
  110. 平川篤雄

    ○平川委員 今までの政府のやり方から考えると、どうもそれが私には納得行かないのですが、わざわざよくなさる必要を感じておられるとは思えない。そこで、私はそういうように善意に誤解をしたわけでありますけれども、年末の方は何とか考えて、補正予算でもお組みになつて、十分にお出しになるという意図があるのじやありませんでしようか、これは善意の誤解でございますから、どうぞひとつ
  111. 剱木亨弘

    ○劔木政府委員 現在のところでは、予算が一月とはつきりきめられておりますので、それ以上のことは現在考えていないと申し上げるよりしかたがございません。
  112. 平川篤雄

    ○平川委員 どうしてこれを半箇月分とおきめになつたのか、その理由をお聞きしたいと思います。
  113. 剱木亨弘

    ○劔木政府委員 人事院の勧告では、夏期に〇・二、それから年末に〇・八という勧告がございましたが、夏期に〇・二を支給いたしますことについて相当考慮したのでございますが、現在の経済情勢その他を考慮いたしまして、やはり半月分程度は必要であろうと考えまして、半月分を支給することにいたした次第であります。
  114. 平川篤雄

    ○平川委員 そうすると、人事院では〇・二ということを考えておるのだが、それじやあまり少い、現在の経済情勢では公務員は困るだろうから、五〇%出す、こういうふうにお考えなつたと了解するわけであります。そういたしますと、なおさら私は今のことが問題になると思うのですが、通念から申しますと、非常に年末が苦しい、夏期よりもその方を、また公務員としても期待いたしておると思うのでありますが、やはり出そうという非常な善意がおありなのじやないのですか。これは私は、もしそうでなしに、半分ずつしか出さないというつもりでおやりになつたとすると、どうもその意図がはつきりしない、むしろ最近いろいろな公務員に対する問題なんかがありますから、政治的な御考慮で、元来〇・二くらいにしたいところをこの際半月分ぐらい出したというような、政治的な考慮があるのじやないかというようなことまで邪推したくなるのであります。
  115. 剱木亨弘

    ○劔木政府委員 〇・五を出しますときに、そういう御議論のあることは一応予想はいたしておつたのでございますが、しかし予算が明確にきめられております現在におきましては、〇・五を年末に出すと申し上げるより以上には、申し上げることはできません。ただなおこういう問題につきまして、人事院の勧告その他があれば、また別個の問題になるかと思います。
  116. 平川篤雄

    ○平川委員 人事院の勧告があれば、またあらためて考え直すということと、私念のためにもう一度念を押しておきたいのでありますが、経済的な事情というものを非常に御考慮になつておるようであります。年末においてどうであるかということは予想もつきませんが、その経済的な情勢いかんによつては、御考慮の余地は残つておるわけでありますね。その点をひとつ
  117. 剱木亨弘

    ○劔木政府委員 もちろん現在の給与体系全体といたしまして、経済的な変動ということは当然考慮に入れるべきものだと考えますので、いかなる経済的事情があつても全然考慮の余地がな  いとは考えておりません。
  118. 平川篤雄

    ○平川委員 それではその問題はそれでおきまして、平衡交付金の中にはどういうふうに用意せられておるかということ。それからもう一つは、公企業体あるいは特別会計、その他の公務員についてどういうふうであるか、さらによく問題になつております常勤的な非常勤職員、こういうものに対する問題、それを一括お聞きしたいと思います。
  119. 剱木亨弘

    ○劔木政府委員 地方の平衡交付金につきましては、平衡交付金の基準財政需要額の算定の基礎に一箇月分を計上いたしております。それから特別会計でございますが、たとえば国鉄におきましては、予算といたしましては〇・五を計上いたしております。それから専売公社の方は、一箇月分を計上しておりますが、この両者は給与支給なりきめ方が異なつておりまして、それを夏期にどういうふうに出して行くかということは、各公社におきましての交渉によつて決定すると思います。それから非常勤でありますが、常時勤務しております労務者につきましては、やはり一般職に準じた取扱いをするようにいたしております。
  120. 平川篤雄

    ○平川委員 これは官房の方の御関係ではないかと思いますが、国鉄には必ず問題が起ると思うのであります。そういう点で、調整についてどういうふうな御意図をお持ちになつておりますか。
  121. 剱木亨弘

    ○劔木政府委員 国鉄につきましては、その給与を決定いたしまする場合に、話合いで一般職に対しまする年末手当、各手当を含めた一月分を計上するということと異なりまして、その給与の中にそういうものを含めた意味において給与の額がきまつておりますので、一応この手当の方は、半月分でいいというような了解のもとにきめられておるのでございます。その〇・五なり予算といたしまして、これをこの際どういうふうに支給するかということは、交渉によつて決定するのではないかと思います。
  122. 平川篤雄

    ○平川委員 ただいまの御答弁は、給与の中に、簡単にいえば年末手当の五〇%、あるいはそれに近い数字がもうすでに織り込まれておるから、手当としての年末手当等のわくとしては五〇%と現われておる、こういうふうに了解してよろしいんですか。
  123. 剱木亨弘

    ○劔木政府委員 さようでございます。
  124. 平川篤雄

    ○平川委員 それでは、この際ちよつとこれと関連をする問題でありますが、先ほどの経済的な事情ということは、やはりこの給与とそれから一般の生計費なり物価なりとの関係が御考慮に入れてあると思うのでありますが、政府としては、人事院の勧告をまつておやりになるのでありましようけれども、現在の給与ペースについてはどういうふうな御見解をお持ちになつておりますか、こと際ちよつと聞いておきたい。
  125. 剱木亨弘

    ○劔木政府委員 給与ペースという点につきましては、人事院において、相当物価その他と関連しまして研究をしておるものと思います。政府としましては、人事院の勧告をまつて考慮いたすものでございまして、現在のところ給与ペースを改訂するということは、直接考えておらないのであります。
  126. 平川篤雄

    ○平川委員 先ほどの経済上の考慮ということは、そういう必要をある程度認めておられるという意味に了解しては間違いなんですか。そこのところを関連してお答え願いたいと思います。
  127. 剱木亨弘

    ○劔木政府委員 給与ペースの点だけでございませんで、経済上の考慮と申しますのは、一般の民間等におきましてのいろいろな夏季におきまする手当の関係、そういうような点も考慮に入れて考慮したわけでございます。
  128. 田中不破三

    田中委員長 ほかに御質疑はございませんか。
  129. 藤枝泉介

    ○藤枝委員 二点ほどお伺いしたいのでありますが、第一に、今回の手当の法律案を臨時立法にされました理由をお伺いいたしたいのであります。提案理由の御説明の中にも、今後において給与全般の問題と関連して十分研究したいというお話がありまして、お心持は大体わかるのでありますが、ことに人事院が目下給与準則を研究しておりますので、それらもにらみ合せる意味だろうと思うのであります。実は年末手当は、二十五年からすでに恒久立法になつております。昨年の人事院のペース改訂の勧告に伴う——多分十月ごろの人事院の意見の申出の中にも、特別手当として、先ほど官房副長官からお答えもありましたように、夏期に二割、それから年末に八割というような意見の申出もありました。それは採用されなかつたのでありますが、そういつた点を考えますと、むしろ年末手当と同様に、この手当も恒久的な立法にされた方がよかつたのじやないかという気持がいたしますので、臨時立法にされました理由をひとつお聞かせいただきたい。
  130. 剱木亨弘

    ○劔木政府委員 ただいま申された理由でございますが、人事院におきまして給与準則を定めつつありますが、なおこの点につきましては、いろいろ研究をしなければならぬ点が多々あるかと思います。特に年末手当につきましては、その額をどういうふうにするかということもやはり問題がございましようし、なおこの支給の方法につきましても、賞与のような意味におきましてこれを考えて行くかどうとかいうような点も、研究を要する点でございます。そこでこれを恒久立法にいたしますのは、どうも急を要しましたので、その研究をやはり十分してから恒久立法にした方がいいと考えまして、この際はとりあえず臨時立法として提案した次第であります。
  131. 藤枝泉介

    ○藤枝委員 大体お気持はわかるのですが、こういう質問をいたしましたのは、将来の問題としてたとえば相当給与の基準が上れば、こういう夏期手当、年末手当のようなものを廃止したいというような意味を含んでおられるのか、それともそういうことは別として、いろいろ支給の基準その他やり方等についての研究が足りないからもう少し研究したいというのか、その点をお聞きしたがつたわけであります。
  132. 剱木亨弘

    ○劔木政府委員 給与の基準が上りますと、将来こういう制度をやめるというような考え方は、現在持つておりません。
  133. 藤枝泉介

    ○藤枝委員 これは先ほど平川委員から御質問があつて答弁でわかるのでありますが、この例の非常勤的常勤でございます。大体法律の第一條で、おそらく従前通りの政令を定められるのだろうと思うのでありますが、提案理由の説明の中に「常勤の一般職及び特別職の国家公務員全部といたしました。」というような説明がありますので、さらに念を押して伺いたいのでありますが、よく問題になります例の林野庁の請負制度の職員、従来いろいろ問題を起しましたが、年末手当においては解決していると思うのでありますが、これらには当然支払わるべきものだと考えますが、いかがでございましようか。
  134. 増子正宏

    ○増子政府委員 ただいまの御質問でございますが、非常勤労務者、いわゆる常勤的労務者、そのうちで一定の條件によりまして常勤職員として人事院が取扱うことを認めておりますものにつきましては、当然この法律によりまして臨時手当支給されるわけでありますが、この條件に入らないものの中でいわゆる林野庁関係の御指摘の労務者でありますが、これらのものにつきましては、当然にはこの法律の適用はないわけでございます。しかし従来年末手当も実質的に出しておりますので、今度の手当につきましてもいわゆる賃金の割増の形式で支給するということにいたしておる次第であります。
  135. 藤枝泉介

    ○藤枝委員 最後に伺いたいのはこの手当を出されるためにどれくらいの所要額になりますか。あるいはできますならば一般会計、特別会計にわけていただいてもいいし、わけられなければ総額でもけつこうですが、お聞かせ願いたいと思います。
  136. 岸本晉

    ○岸本政府委員 臨時手当の総額は一般会計におきましては、総額二十三億三千四百万円、特別会計におきましては総額二十三億五千九百万円、政府関係機関、これは国鉄と専売を一応度外視いたしまして、そのほかの政府機関、たとえば国民金融公庫、住宅金融公庫等でございますが、その分が千八百万円ということになつております。
  137. 田中不破三

    田中委員長 ほかに御質疑はござい  ませんか。——なければ本日はこの程度にとどめ、次会は明三十一日午前十時半より開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後三時五十一分散会