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1952-03-26 第13回国会 衆議院 行政監察特別委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年三月二十六日(水曜日)     午前十一時九分開議  出席委員    委員長 内藤  隆君    理事 大泉 寛三君 理事 高木 松吉君    理事 田渕 光一君 理事 福田 喜東君    理事 佐竹 新市君       天野 公義君    岡西 明貞君       黒澤富次郎君    志田 義信君       野村專太郎君    大森 玉木君       椎熊 三郎君    藤田 義光君       井上 良二君    竹村奈良一君       山口 武秀君    久保田鶴松君       浦口 鉄男君  委員外出席者         証     人         (山口商工課         長)      小田 義男君         証     人         (西日本海事工         業株式会社社         長)      武岡  賢君     ――――――――――――― 三月十八日  委員中村清君辞任につき、その補欠として黒澤  富次郎君が議長の指名委員に選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  国有財産管理処分関係事件(戰艦「陸奥関係  事件)     ―――――――――――――
  2. 内藤隆

    内藤委員長 会議を開きます。  経済調査庁関係事件調査につきましては、すでに昨年の六月二十一日及び八月十五日の理事会におきまして、基礎調査を行うことに決定いたし、本年一月二十五日の理事会において、基礎調査報告を聞いたのでありまするが、委員会において証人を喚問して調査を行うほどの事件でない、委員長より警告を與える程度の取扱いにしたらよろしいとのことでありましたので、本委員長より、二月十四日、経済調査庁次長奥村君に対し、嚴に警告を與えたのでありますが、これに対するその後の処置につきまして書面が参つておりますから、これを朗読いたします。   昭和二十七年三月五日      経済調査庁次長 奥村重正  衆議院行政監察特別委員会   委員長 内藤 隆殿    地方経済調査局経費不当流用    について  大阪地方経済調査局及び東京地方経  済調査局経費流用の件に関しては  寛大なる御取計いに預り深謝致しま  す。当庁と致しましては自今斯る行  為の絶無を期すべく  (一) 七月二十日各管区経済局長会     議を招集し、大阪地方経済調査局     の問題を中心として将来に於ける     経理面自戒につき協議しまし     た。  (二) 然るに八月十四日東京地方経済     調査局に於て類似の問題を惹起し     ましたので直ちに管下各局に対し     経理面の粛正方嚴重示達致します     と共に  (三) 十月六日再度各管区経済局長会     議を招集し、引続き  (四) 十月二十六日各管区総務課長会     議を開催し警官を繰り返し関係責     任者に銘感せしめるほか内部監査     の強化を計ることに致しました。     尚  (五) 管区経済局の段階に於きまして     は中央に於ける会議後夫々七日以     内に管内地方経済調査局長総務     課長或は会計主任を招集して中央     の意図するところを嚴達する等爾     来経理面監督指導に特別な配慮     を講じて居ります。今後も機会あ     る毎に関係者の注意を喚起して参     りたいと存じて居ります。自戒の     実情を申述べ貴酬と致します。以上であります。  なお本件に関する基礎調査報告書を参考のため速記録の末尾に掲載いたしたいと存じますのでさよう御了承願います。     ―――――――――――――
  3. 内藤隆

    内藤委員長 この際お諮りいたします。国有財産管理処分関係事件中、戰艦陸奥関係事件につきましては、事務局における基礎調査も完了たいし、理事会におきまして協議の結果、本委員会において証人を喚問して調査を行うことに意見の一致を見ましたので、この際国有財産管理処分関係事件中、戰艦陸奥関係事件について、委員会において本調査に着手いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 内藤隆

    内藤委員長 御異議なきものと認めます。それではさよう決定いたしました。  なお本件に関しましては、本日は山口商工課長小出義男君、西日本海事工業株式会社社長武岡賢君、三月二十七日に山口地検次席検事岡谷良文君、中国財務局長森岡謹一郎君、三月二十八日に建設省管理局長澁江操一君、山口県知事田中龍夫君、以上六名の諸君にそれぞれ本委員会出頭を求める手続をいたしておいたのでありますが、以上の諸君を本委員会証人として決定したいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 内藤隆

    内藤委員長 御異議なきものと認めます。それでは証人として決定しました。なお証人出頭日時等に変更を生じたときの処置につきましては、委員長に御一任を願います。  これより国有財産管理処分関係事件中、戰艦陸奥関係事件について調査を進めます。ただいまお見えになつておられる方は小田義男君ですね。
  6. 小田義男

    小田証人 さようでございます。
  7. 内藤隆

    内藤委員長 あらかじめ文書をもつて承知の通り、本日正式の証人として証言を求めることに決定いたしましたからさよう御了承ください。  これより国有財産管理処分関係事件中、戰艦陸奥関係事件について証言を求めることになりますが、証言を求める前に証人に一言申し上げます。昭和二十二年法律第二百二十五号、議院における証人宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人証言を求める場合にはその前に宣誓をさせなければならないことと相なつております。  宣誓または証言を拒むことのできるのは、証言証人または証人配偶者四親等内の血族もしくは三親等内の姻族または証人とこれらの親族関係のあつた者及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するとき、またはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するとき、及び医師歯科医師、薬剤師、薬種商、産婆、弁護士弁理士弁護人公証人、宗教または祷祀の職にある者またはこれらの職にあつた者がその職務上知つた事実であつて、默秘すべきものについて尋問を受けたときに限られておりまして、それ以外には証言を拒むことはできないことになつております。しかして、証人が正当の理由がなくて宣誓または証言を拒んだときは、一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられ、かつ宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処せられることとなつておるのであります。一応このことを御承知なつておいていただきたいと思います。  では法律の定めるところによりまして証人宣誓を求めます。御起立を願  います。  宣誓書の御朗読を願います。     〔証人小田義男朗読〕     宣誓書   良心に従つて、真実を述べ何事も   かくさず、又何事もつけ加えない   ことを誓います。
  8. 内藤隆

    内藤委員長 それでは宣誓書署名捺印を願います。     〔証人宣誓書署名捺印
  9. 内藤隆

    内藤委員長 これより証言を求めることになりますが、証言は、証言を求められた範囲を越えないこと、また御発言の際には、その都度委員長許可を得てなされるようお願いいたします。なお、こちらから質問をしておるときはおかけになつていてよろしゆうございますが、お答えの際は立つてお答えを願います。  証人小田義男君は現在山口商工課長でありますね。
  10. 小田義男

    小田証人 そうであります。
  11. 内藤隆

    内藤委員長 いつから商工課長になられましたか。
  12. 小田義男

    小田証人 昭和二十四年十一月一日であります。
  13. 内藤隆

    内藤委員長 商工課長としてあなたは、元戰艦陸奥搭載物件引揚げ作業建設省から委任された当時、在職中だつたわけですな。
  14. 小田義男

    小田証人 そうではありません。
  15. 内藤隆

    内藤委員長 それでは建設省から委任を受けた当時の商工課長はだれでした。
  16. 小田義男

    小田証人 現在会計課長をいたしております井上文治さんという方だと思います。
  17. 内藤隆

    内藤委員長 現在の会計課長井上文治から、そういう委任をされた経緯引継ぎは受けておられますな。
  18. 小田義男

    小田証人 その点、この問題につきましての初代井上課長から彌源治課長、こういうふうにかわりまして、私は彌源治課長から書類上の引継ぎを受けました。
  19. 内藤隆

    内藤委員長 その間にもう一人おられたのですな。
  20. 小田義男

    小田証人 そうです。
  21. 内藤隆

    内藤委員長 そうするとその前の商工課長からあなたは引継ぎを受けておられることは間違いないのですな。
  22. 小田義男

    小田証人 実は商工課がこの仕事を初めからやつてつたのではございませんで、賠償課という課がございまして、井上さんというのはこの陸奥に関するときの初代賠償課長でございます。それから彌源治さんが賠償課長になりまして、機構改革をやりましたときに賠償課を解散いたしまして、商工課の中に包含した、こういうことでございます。
  23. 内藤隆

    内藤委員長 その賠償課というものを行政機構改革の際に商工課に併合したわけですな。
  24. 小田義男

    小田証人 そうであります。
  25. 内藤隆

  26. 小田義男

    小田証人 当時陸奥引揚げ休止状態にありましたので、実際問題といたしまして私自身に詳細なる引継ぎはございませんでした。
  27. 内藤隆

    内藤委員長 詳細なものはなくても何か文書に残つているでしよう。
  28. 小田義男

    小田証人 文書は全部一括引継ぎまして、その当時からおりました係長並びに係官も全部商工課の方に引継いだのであります。そんな関係商工課長自身にはあまり詳しい引継ぎはございませんでした。
  29. 内藤隆

    内藤委員長 しかしその建設省から委任されたいきさつは現在は御承知ですか。
  30. 小田義男

    小田証人 承知いたしております。
  31. 内藤隆

    内藤委員長 それではその知つておられる程度でよろしゆうございますが。どういう経緯委任されたかひとつ述べてください。
  32. 小田義男

    小田証人 私持参いたしております書類に基きましてお答え申し上げてよろしゆうございましようか。
  33. 内藤隆

    内藤委員長 書類でもよろしい。
  34. 小田義男

    小田証人 どういうわけで陸奥搭載物件引揚げ許可になつたかという概要につきまして申し述べます。  旧軍艦陸奥は、昭和十八年岩国市の沖合いの柱島水道におきまして、南方作戰を直前に控えまして原因不明の沈沒をいたしたのであります。その後継戰になりましてもその消息を絶たれておりましたが、西日本海事工業株式会社がその詳細なる調査をいたしまして、陸奥沈沒箇所並び搭載物件の概略を把握することができたのであります。当時は終戰後の混乱の時期でもありまして、物資面におきましても不足の状態でありましたし、民主安定のためにこの海底に沈沒いたしておりますところの物資引揚げて活用するという目的をもちまして、山口県知事西日本海事工業株式会社県單独許可をいたしたのであります。ところが山口県が許可をいたしますと、極東海軍司令部の方から、日本海軍所属艦隊目録を全部司令部に出すことになつている、それが陸奥目録のリストの中に載つていないではないか、この陸奥はそんな関係でまだ連合軍のものだ、日本政府返還なつていないものであるから、これを県限りにおいて、また日本政府たけでかつてに処理できるものではないという嚴重なる警告を受けたのであります。ここにおきまして山口県はただちに西日本海事工業株式会社に與えました引揚げ許可を撤回いたしたのであります。その後におきましては、この種海沒戰艦引揚げということは非常にいろいろなむずかしい事業であるというようなことから、作業許可については十分検討をいたしまして、同時にこの引揚げということについてはどちらかというと消極的な態度をとつたのであります。ところが先ほど申し述べましたように、西日本海事は、戰艦陸奥のあり場所を見つけて、搭載物件内容も知つているという点から、その点があつたのだと思うのでございますが、搭載物件許可を、直接に建設省また極東海軍司令部の方に出頭いたしまして、猛烈に陳情をいたしまして、この引揚げ許可の手配をいたしたのであります。そういうようなわけで、西日本海事工業株式会社建設省が一応主体になり、県も建設省の要請がありましたので係官が参りまして、極東海軍を訪問して、引揚げ許可ができるように陳情いたしたのであります。極東海軍の方も、正式に申請書を出せばこの点について考慮するというようなお言葉があつたようでございまして、建設省は二十三年の十一月九日付をもちまして極東海軍司令長官あてに正式に戰艦陸奥搭載物件引揚げ許可申請書を提出したのであります。その搭載物件と申しますものは限定されているのであります。その建設省申請いたしました搭載物件は、重油とガソリンと非鉄金属食糧品繊維類、ワイヤ・ロープ、マニラ・ロープ、これだけの品種に限定いたしているわけでございます。その申請に対しまして同年の十二月一日付をもちまして、極東海軍司令長官から建設省あてに、同じ品目につきまして、こういう搭載物件引揚げをしてもよろしいという、正式の返還建設大臣が受けたのであります。しかしその極東海軍から日本政府建設大臣引揚げ許可になりました搭載物件内容は、これは日本政府建設省責任においてこの作業監督一切をやれ、こういうことに相なつております。ところが建設省自体はこれを山口県知事作業並びに監督の実務を依頼をする、こういうことでございます。ところで……。
  35. 内藤隆

    内藤委員長 よろしい、大体。そうすると、建設省責任においてやれというのを、建設省山口県知事委任をしたわけなんですね。
  36. 小田義男

    小田証人 そうであります。
  37. 内藤隆

    内藤委員長 そこで引揚げ作業及び引揚げ物件処分に関し西日本海事工業株式会社随意契約を結んでいるようですね。
  38. 小田義男

    小田証人 そうでございます。
  39. 内藤隆

    内藤委員長 これは競争入札にするのが原則ではなかつたのですか。そのいきさつはどうですか。
  40. 小田義男

    小田証人 その点を申し上げます。建設大臣山口県知事監督委任いたしましたので、県といたしましてはこの競争入札手続をいたしたのであります。競争入札手続は一応指名競争入札ということになつて、これは県が單独指名競争入札をやつたのではございませんで、建設大臣に、県において競争入札をやる場合に、指名競争入札をやらしてもらいたいということになつたのであります。競争入札をやりましたときに応募者が六社あつたのであります。その中に西日本海事工業株式会社も含まれておつたのであります。それで県といたしましては、二十四年の六月三日にいよいよ指名競争入札の執行をいたしたのであります。場所山口県の県庁内でございまして、そのときの加入者は六社のうち四社が棄権をいたしまして二社だけが参加いたしたのであります。その二社とは、山口徳山市の橋本産業株式会社と、山口県玖珂郡柳井町の西日本海事工業株式会社、この二社でございます。ところが入札をいたしましたところ、西日本海事入札金額が八十六万円、橋本産業入札金額が六十万円、いわゆる県の予定価格が九十三万三千円でありまして、その県の予定価格に達しなかつたために再度入札を両社にやらせましたところが、西日本海事が九十万円、橋本産業が八十六万九千円、なお予定価格に達しないのであります。ここにおきまして、最高入札者である西日本海事工業随意契約を結ぶことに満場異議なく承認ができたわけであります。
  41. 内藤隆

    内藤委員長 その西日本海事工業というのは、自分陸奥引揚げるのを目的でつくつた会社じやないのですか。
  42. 小田義男

    小田証人 その点は私自身詳細には存じないのでありますが、西日本海事工業株式会社というものは、陸奥引揚げる前にも徳山海沒煉炭とかいうような海沒物件引揚げておつた。そして相当なと申しますか、ある程度サルベージ会社としての成果を持つてつた。こういうように聞いております。
  43. 内藤隆

    内藤委員長 その契約された経過はそれでわかりますが、随意契約内容等はどうですか。
  44. 小田義男

    小田証人 そこで県といたしましては、西日本海事契約書を結んだのであります。契約書につきましては、極東海軍から建設大臣許可になり、指定されましたあの品目以外は揚げてはいけない。また武器彈薬というようなものに手を触れてはいけない。それから同品目であつても、引揚量、契約量というものが規定されてあるのでございますが、その規定された契約量以上に、いわゆる超過引揚げをする場合には、県の承認を得て引揚げることができる、こういうことになつております。それから指定品目以外に民需産業に最も有益なる物件が発見された場合には、会社の方は県に報告する、そして県は建設省申請いたしまして、建設省極東海軍許可を得て、初めてこの指定された品目以外のものを揚げることができる、こういうようなことを規定いたしております。また九十三万三千円で落札したのでありますが、これは海沒のままの姿で契約をしたのでございますから、実際に作業いたしましたときに、あるいは損失が出るかもわからない。しかしそれは毛頭県の責任ではないというような事項契約しております。なお期限につきましての規定、あるいは会社作業をやりましたときにどういう物件を揚げたか、あるいは揚げた物件報告を県にどういうように出すか、それから県は随時倉庫、会社帳簿、あるいは現場を臨検することができるという監督規定というようなことと、最後にこの契約を一方的に県が解除することができるという条項を結んでおります。
  45. 内藤隆

    内藤委員長 その引揚げ作業の期間はいつまでになつておりますか。
  46. 小田義男

    小田証人 それは二十四年の六月二十日から二十四年の十一月三十日までとなつております。これも契約を結んでおります。
  47. 内藤隆

    内藤委員長 そこでその随意契約業務監督はどういうふうにやつておられましたか。
  48. 小田義男

    小田証人 以上のように契約が成立いたしましたので県といたしましては、監督業務要綱というものをつくりまして、これによりまして、西日本海事登載物件引揚げ作業監督を実施したのであります。その要点を申し上げますと、県といたしましては、この陸奥引揚げ作業監督県吏員二名を充てる、そしてその監督県吏員帳簿その他作業状況監督いたし、または臨検することができる、あるいは西日本海事登載物件引揚げをどういうふうにして作業するかというような、作業計画書というものを出させる、あるいは收支計算書というものを出させる、それから引揚げたものを――いくら契約数量でございましても、引揚げたときには報告をして、これの処分は県の承認を得なければできない、その書類様式はこういうような様式でしなければならぬというような、細部にわたりましての業務要綱をつくりまして、そのことを会社の方に周知徹底さして、会社の方にやらせたのであります。
  49. 内藤隆

    内藤委員長 そうすると、その二名の吏員は随時現地に出張しておつたのですか。または県庁において、現場からの報告を聞いておつたにすぎないのですか。
  50. 小田義男

    小田証人 現場の方にはしばしば参ると同時、会社の方から参りました報告につきましても、この規定によつて処理する、こういうふうにいたしておつたわけであります。
  51. 内藤隆

    内藤委員長 引揚げ作業現場にもたびたび行きましたね。
  52. 小田義男

    小田証人 そうです。
  53. 内藤隆

    内藤委員長 西日本海事工業がその作業中、会社内部内紛が起きたというようなことを聞きますが、そう事実はありましたか。
  54. 小田義男

    小田証人 お答え申し上げます。西日本海事内部におきまして、十五年の夏ごろだつたと思いますが、内紛が起きました。これは私の聞いております範囲では、ずつとこれを手がけて参りました西日本社長田中恒治さんという方と、当時専務取締役にあられました葛西正美さんという方との間に、会社代表権の争いがあつた、こういうように聞いております。
  55. 内藤隆

    内藤委員長 ただそれだけですか。何か作業をやつてみたが、業務の成績が上らぬというようなことも原因じやなかつたのですか。
  56. 小田義男

    小田証人 私が書類その他で聞いております点におきましては、最初そういうような契約で、西日本海事作業を始めたのでございますが、一番最初復員局から、登載物件のいろいろな物資を揚げるよりも、まず英霊を引揚ぐべきである、こういうような御指示もございまして、ごもつともなことでございすし、西日本海事社長田中恒次という人は陸軍中佐であり、大半の従業員陸海軍の人であつたように聞いております。
  57. 内藤隆

    内藤委員長 元陸軍中佐ですか。
  58. 小田義男

    小田証人 そういうように聞いております。それでほかの作業をやめて、英靈二百柱を揚げることに專念した、こういうように聞いております。そんな関係もあり、同時に最初でもあるし、何しろ深海四十メートルというようなところでございますし干満の差がはなはだしい、潮流の非常にはげしい急流のところでもございますし、なかなか作業がうまく行かなかつた。結局経営が不振であつた、こういうように聞いておりますが、その辺のことから内紛が起きたのかとも存じます。
  59. 内藤隆

    内藤委員長 そしてその内紛のために一時作業を休止しておつたのですね。
  60. 小田義男

    小田証人 それは県が中止命令を出したのです。
  61. 内藤隆

    内藤委員長 県が中止命令を出したから休止したのですか。
  62. 小田義男

    小田証人 そうです。
  63. 内藤隆

    内藤委員長 会社内部内紛のために休止したのではないのですか。
  64. 小田義男

    小田証人 それはなぜ県が中止命令を出したかというと、自分こそ正当な社長であるというて、弁護士までも入れまして、なぜ入札をして許可を持つておる正当なものに作業をやらせないか、行政裁判をやるということまで言われるのでございますが、会社代表権爭奪というような件について、県がどちらが正しい社長であるかというようなことを弁別することはなかなか困難でありますし、県としましては、そういう内紛を続けておる間は少くとも作業を中止しろということを命じたのであります。
  65. 内藤隆

    内藤委員長 そうすると、その作業を休止しておる間に戰艦陸奥連合軍から返還されて、国有財産となつたわけですね。
  66. 小田義男

    小田証人 そうだと思います。
  67. 内藤隆

    内藤委員長 そうすると、中国財務局にそれが引継がれておつたから、それをまたさらに県の方へ、財務局との関係において引継いで来た、こういうことになるわけですね、その財務局との引継ぎその他の処置を、どういうふうにやられましたか。
  68. 小田義男

    小田証人 極東海軍から第三管区海上保安部を通じまして、山口県知事戰艦陸奥を払い下げる、返還するという通知を受けましたので、山口県知事は、二十五年の七月十二日付をもちまして、中国財務局山口支部長にこれを移管いたしておるのであります。県といたしましては、従来はこれは連合軍財産である、しかしながら艦体大藏省国有財産になれば、今後はすべてが大藏省の所管になる。それで大蔵省の出先である中国財務局と密接な連絡をとつて作業を実施しなければならぬということを考えましたので、県といたしましてはこれを移管いたしますと同時に当時は内紛中でございまして、作業はやめさせておつたわけでございますが、その後におきましては、県は中国財務局長あてに、会社作業を初めたときとか、あるいは超過引揚げをしておるようなときの許可の問題だとか、延期の問題だとか、すべて公文書をもつて中国財務局長さんに御連絡申し上げ、同時に今までは県單位あるいは建設省だけで現場監督もやつてさしつかえなかつたが、極東海軍から大蔵省艦体返還せられた後においては、建設省からも県に対して、十分中国財務局連絡をとつてやれという御指示もございましたので、まず中国財務局の係の方に、引揚げ作業現場も見ていただきたいというわけで、山口県の土木の持つております船を借りまして、中国財務局の係の方に御案内状を差上げまして、私どもは一応課長さんに出てもらいたいと思つたのですが、課長さんの御都合が悪いので、係の方がおいでになりまして、現地へ御案内をいたしまして、山口県は搭載物件をこういう方法で引揚げさせておるということをお話申し上げると同時に、公文書でも、今後ひとつ艦体所有者大蔵省と、搭載物件を揚げておる県と、この問題の監督については、国有財産になつたのだから、ひとつ共同で監督をやつていただきたい、こういうような文書も差上げて、いろいろと御依頼申し上げたのであります。非常に監督ということもむずかしいところへ持つて来まして、国有財産にもなつたので、ますます作業が困難になつたというようなわけで、そういうような手を打つたのであります。
  69. 内藤隆

    内藤委員長 その監督の性格が一変したわけですから……。
  70. 小田義男

    小田証人 艦体自体が大蔵省の所有になつた、こういうわけで、連合軍財産ではなくなつたわけであります。
  71. 内藤隆

    内藤委員長 そこで西日本海事工業作業を再開させた、そのいきさつはどうです。
  72. 小田義男

    小田証人 これは会社の間におきまして和解をいたしまして、田中恒治さんが引退をいたして、專務であつた葛西正美さんが社長になつたということで、両者が県においでになりまして、その旨を伝え今後一切県には迷惑をかけない、作業の再開をやらせてくれというお話がありましたので、県といたしましては作業の再開をさせたわけであります。
  73. 内藤隆

    内藤委員長 その和解の内容は御承知でありますか。
  74. 小田義男

    小田証人 田中恒治さん、葛西正美さんの間につくられました和解協定書というものは、あとになつて私見せてもらいましたので、存じております。
  75. 内藤隆

    内藤委員長 あとでそれを見たわけですね。
  76. 小田義男

    小田証人 そうであります。
  77. 内藤隆

    内藤委員長 その協定書をそこに持つておられますか。
  78. 小田義男

    小田証人 ここに写しを持つております。
  79. 内藤隆

    内藤委員長 それをひとつ読んでください。
  80. 小田義男

    小田証人 読みます。    協 定 書  田中恒治を甲とし、葛西正美を乙とし、西日本海事工業株式会社の紛争に関し、次の協定を結ぶ。  第一 乙は甲に対して現金を以つて金七百万円を提供する。  其の支払い方法は  第一回参百五十万円也 昭和二十五年十月三日迄  第二回貳百万円也 昭和二十五年十月二十五日迄  第三回壱百五十万円也 昭和二十五年十一月十五日迄  第一回は、柳井町弘田弁護士宅に於て、第二回、第三回は会社に於て各之を支払う。  第二 甲は第一回支払いと引換えに、現債権者より会社に対して債権の弁済を要求しない方途を確立し、之に関する証憑書類山口市沢田弁護士に、供託すること、但し大阪矢野金次、丸善石油の分を除く。  第三 甲は乙が会社の経営者であることを確認し、甲は乙に対し、会社財産を引渡すこと。  第四 第一回分割金支払と同時に、本紛争に関連して生じた一切の告訴及訴訟の取消し取下げを為すこと。  第五 乙に於て分割金の支払いを怠つたときは、何等意思表示を要せず本協定は解消する。本件に依つて生ずる損害は、甲の関與せざるものとす。このときは、乙に於て会社の経営権を甲に移し直に之に関する登記其の他一切の手続を為すこと。  第六 立会人たる県は、第一回分割金支払のありたることを認めたるときは、乙に対し作業再開及火薬使用許可をなすものとす。  第七 乙は第一の提供金の完済に至る迄、会社の株券全部を沢田弁護士に供託すること。  第八 本協定に関し疑義紛争を生じたるときは、弘田、沢田弁護士に調定を依頼し、其の裁定に服すること。  右協定を証するため、本書参通を作成し各当事者及び県各一通を保管する。    昭和二十五年九月二十七日      甲       田中恒治      乙  葛西正美代理人              沢田達男    立会人山口商工課              河崎 潔       〃      河崎 寅       〃      武岡 賢以上であります。
  81. 内藤隆

    内藤委員長 そういう内容によつて和解をしたので、いよいよ作業の再開を許可した。そのときに何か実施条項等を、西日本海事工業会社に県から指示しましたか。
  82. 小田義男

    小田証人 はい。
  83. 内藤隆

    内藤委員長 その内容を、簡單でよろしゆうございますから、ひとつ説明してください。どういう指示事項をしたか……。
  84. 小田義男

    小田証人 県といたしましても、内紛を起したということは嚴然たる事実でありますので、今後十分に監督をして行かなければならぬ、こういうように考えまして、同時に專務ではあつたとしても、新しい代表取締役に葛西正美という方がなり、また重役陣も異動したようでありますので、二十五年の十月九日付をもちまして、会社の代表者に対しまして県が内紛を起したころにはまだ艦体大蔵省に移管していなかつたかもしれないが、現在においては艦体自体は大蔵省国有財産である。また大蔵省からも申出がある。当然艦体の保全管理ということについては大蔵省責任を持つてやられるのであるから、搭載物件引揚げについて艦体の一部の破壞をする、そうして艦体引揚げるというようなことは絶対にしては相ならぬというようなことを伝えました。同時に引揚げ物件は、搭載せられた、最初に指定した品目以外のものは揚げてはいけない、こういうことで、県といたしましても十分に注意をいたしますと同時に、火薬につきましても、今後は詳細なる説明書をつけて申請を出してくれ、艦体自体の破壞をして、艦体自体を引揚げてはいけない、こういうことを注意をいたしますと同時に、中国財務局長さんにも山口県知事が二十五年の十月二十一日付をもちまして、艦体大蔵省の所管でありますので、現在西日本海事というものにこういう作業をこういう方法でやらしているのだ。これについて今度新しく社長がかわつて再開することになつたのであるが、十分今後は県としても大蔵省連絡を密にして、共同の責任において監督をやつて行きたいと思つている、よろしくお願い申し上げたい。こういうようなことで公文書を出しますと同時に、先ほど申し上げましたように、係官に来ていただいて、現地を御案内したのでございます。
  85. 内藤隆

    内藤委員長 その実施条項の中に、やはり引揚げ作業の期限等は指示してありましたな。
  86. 小田義男

    小田証人 ございます。六項のうち三項に十一月三十日限りで――申し上げるのを忘れておりましたが、二十五年の十一月三十日限りで期限が切れるわけでございます。十一月三十日で期限が切れるということも建設省から指示が来ておるから、その点十分通知する、こういうように書いております。
  87. 内藤隆

    内藤委員長 期限が来て延長は許可しないというようなことを、やはり実施条項の中に書いてあつたはずですな。
  88. 小田義男

    小田証人 困難であるだろう。
  89. 内藤隆

    内藤委員長 延長しないと書いてない、困難だ……。
  90. 小田義男

    小田証人 「搭載物件の引揚期間は昭和二十四年十一月三十日附変更契約書に基き本年十一月三十日限りとなつて居り、之が延長は建設省より申越もあり、到底困難と認めらるるにつき、予め御了承置相成りたい」こういうことであります。
  91. 内藤隆

    内藤委員長 それから県当局は非鉄金属超過引揚げをどの度程に許可しましたか。
  92. 小田義男

    小田証人 二百六十トンであります。
  93. 内藤隆

    内藤委員長 二百六十トンまでの非鉄金属引揚げてよろしいということになつたわけですね。
  94. 小田義男

    小田証人 引揚げさしたのが二百六十トンであります。
  95. 内藤隆

    内藤委員長 一体非鉄金属超過引揚げというのは何トンまでが許可できることになつておつたのですか。
  96. 小田義男

    小田証人 その点は、私の知つている範囲内におきましては、非鉄金属に限らずすべてのものが何トンまではよろしいということははつきりどこにも書いてはございませんが、最初に申し上げましたように、極東海軍に対しまして建設大臣がこういう搭載物件返還してもらいたいというときに、物資名のところに搭載数量と引揚げ可能数量を二段につけて書いてあるのでございます。そのときの数字を見ますと、建設大臣から極東海軍許可申請を出されたときには、重油は搭載推定量が一千トン、引揚げ見込み量が五百トン、ガソリンは搭載推定が五十トン、引揚げ見込みが二十トン、非鉄金属は搭載推定量が二百トン、引揚げ見込み量が三十トン、食糧は一千トン推定であつて引揚げ見込みが五十トン、纎維関係が搭載推定が五十トンで、引揚げ見込みが十トン、マニラ・ロープ及びワイヤー、ロープが百トンの搭載推定で引揚げ見込みが二十トン、こういうように出してございますし、それから極東海軍の方から正式に覚書で建設大臣許可になりましたときの内容を見ますと、非鉄金属以外はほとんどかわりはないのであります。建設大臣から申請いたしました数字は、非鉄金属につきましては搭載見込み数量を推定二百トンあるだらう、こう書いておりますが、極東海軍の方の許可証の中には一千トンあるだろう、それから引揚げ可能見込み数量三十トン、以前と同じく三十トン、こういうように今なつておるわけです。
  97. 内藤隆

    内藤委員長 そうすれば、この推定量というものが出ておるから、一千トンなら一千トンまでの程度承認できるのじやないですか。
  98. 小田義男

    小田証人 その点につきまして、私どももこういうようなことは行政事務として、あまりないようなケースでございますのでいろいろと研究をいたしたのでございます。何しろ戰艦陸奥は四十メートル下に沈んでおる。サルベージ業者の言うことを一応信用して、概要を書いた引揚げ作業の計画なんかを見て、説明させて、なるほどこういうものがこういうところに沈んでおるのかなということ以外にはないのでございます。それで県としましても、サルベージ業者の引揚げ作業計画は、どういうものが搭載物件としてあるというような書類を一応検討いたしまして、あるいは建設大臣あるいは極東海軍のこの問題等を勘案いたしまして、幾ら非鉄金属が搭載されておるといつても、これは定義といいますか、非常にむずかしい問題があつて艦体をこわしたのではいけない、こういうように考えて、機械だとか素材だとかいうようなものを合せて、戰艦陸奥というものには非鉄金属の搭載は三百トンぐらいがやまやまじやないかというように考えておつたのです。
  99. 内藤隆

    内藤委員長 その点わかりました。それからさいぜんの証言中にあつたことく、引揚げ作業昭和二十五年十一月三十日限り建設省においても延長する意思はないということを実施条項の中に織り込んでありますが、事実は引揚げ期間を昭和二十六年五月三十一日まで延長しておるようですな。
  100. 小田義男

    小田証人 そうでございます。
  101. 内藤隆

    内藤委員長 その延長の理由は何ですか。
  102. 小田義男

    小田証人 第三回目の延長の理由でございますが、これはすべて極東海軍が、日本政府建設省責任をもつてやれ、建設省自身責任においてやらなければならぬということになつております建前上、重要な問題、たとえば超過引揚げをしなければならぬとか、あるいは延期をするとかいうような重要な問題につきましては、すべて監督官庁である建設大臣許可がいる。県はこれに対して何らの権限もないわけです。問題はここに建設省大蔵省と両方から十一月三十日以降においては延期はできない延期はしてくれるなという公文書が来ておる。これは私どももどうも合点が行かないのでございますが、中国財務局であつたかと思いますが、十一月三十日で搭載物件の期限は切れるのだから、昭和二十五年十一月三十日以降においては、GHQの指示もあるし、大蔵省としては、艦体自体の引揚げ国有財産として引揚げるから、延期してくれるなということが山口県に文書で来ておる。これはしてくれるなとおつしやる方が少しぐあいが惡いのでありまして、県としてはそういう責任も権限もないのであります。それから、建設省の方からのものも、先ほど申し上げたようにおそらく困難であろう、こういうふうに書いてございますので、私の方は当然建設省大蔵省会議をされれば、おそらくどちらにおいても許可にはならぬだろう、こういうように考えておつたのであります。ところが会社の方から十一月三十日になります前、二週間ぐらい前ではなかつたかと思いますが、正式に十一月三十日以降なお継続延期の申請書建設大臣あてに書いたものを持つて来たのであります。それで私どもは商工部長以下集まりまして、これはもう財務局の方も、艦体引揚げるから延期してくれるなとおつしやつておるし、建設省の方もそういうことなんだし、また会社内紛を起したりごたごたしておるし、あるいはまた艦体自体を引揚げれば、搭載物件も一ぺんに上るのだから、これにしくはないという気持で、これは建設省大蔵省までもないことだから却下しよう、こういう議論も出たのでありますが、前商工部長の、しかし県には延期を却下する権限がない、県が手続だけはとつてやるのが当然じやないか、これを県だけで拒否するというのは少し事務的に行き過げじやないだろうか、こういう御意見もありましたので、一応ごくおざなりな文書をつけまして建設省に申達の手続をとつて、一に建設省の御要望に従おう、こういうことで公文書をつけて会社申請書を送つたのであります。そういたしましたところが、建設者の方は大蔵省の方に御相談になつて、そうして大蔵省の方から条件付で同意をされて、建設省の方から二十六年の五月三十一日まで許可をするという正式の許可書が参つたのであります。
  103. 内藤隆

    内藤委員長 県自体はそういう権限がないが、しかし、ながら公文書としてそういうものが出た以上はこれを却下することもいかぬという意味で、簡單な文書をくつつけて、それを県を通して建設省に出したというわけですね。
  104. 小田義男

    小田証人 はい。
  105. 内藤隆

    内藤委員長 県としてはそれに対して協力をしなかつたのですか。
  106. 小田義男

    小田証人 全然協力いたしておりません。
  107. 内藤隆

    内藤委員長 そうすると、引揚げ作業の延長は建設省並びに大蔵省の協議においてやつたとあなたはお考えですね。
  108. 小田義男

    小田証人 そういうふうに考えております。
  109. 内藤隆

    内藤委員長 それに間違いないですね。
  110. 小田義男

    小田証人 ありません。
  111. 内藤隆

    内藤委員長 それから西日本海事工業は三月三十一日をもつて作業中止を命ぜられたようですね。
  112. 小田義男

    小田証人 そうであります。
  113. 内藤隆

    内藤委員長 一体その中止を命ぜられた事情はどういうのですか、これは会社内紛じやないでしようね。
  114. 小田義男

    小田証人 その点申し上げます。二十六年の三月の二十日前後、二十二、三日ではなかつたかと思うのですが、商工課長ほか課員二名が引揚げ地へ拔打ち的に監査に参つたのであります。そこは非常に不便なところでありまして、朝山口を出ますと夕方になつてようやく現地に着く、それに汽車に乗り連絡船に乗り、またバスで四時間も五時間もゆられなければならぬという場所で、そのときそこへ参りましたのは夕方でありましたが、その晩とまつてあくる日行つたのでは、いなかのことであるから、県から監督に来ているということがすぐわかつて何にもならないというふうに考えましたので、村役場の配慮によりまして船を出していただきまして、その村から現場まで船でやはり一時間ぐらいかかりましたが、そこへ拔打ち的に行きましたところが、ちようど大きなクレーンのロープが切れるように張り切つておりまして、私たちも異様に感じたのであります。またそばには予備船みたいなのがありまして、大きな艦体の一部と目されるような物件を揚げておるのであります。こういうような実情を私確認いたしましたので、これはひとつ写真機でも持つて来てこれを撮影しておかなければ、あとで海にでもほうり出されたら困るというふうに感じたのであります。すぐ現場主任を呼びまして、艦体の一部は破壞してこれを売り飛ばす、こういうようなことは県との契約違反じやないか、こうなじつたのであります。こういうことでは、県としては作業の継続はまだ五月の末まであるけれども、引続きやらせるわけには行かない、こういうことを申しました。私は翌日が土曜日であつた関係上、中国財務局へ参るのには朝早く行かなければならないので、四時か三時でございましたかに起きて、財務局まで参りました。その現場国有財産を揚げておるような現場を確認した。はなはだ申訳ない、自分としてはただちにこれをやめさせる、こういう決意をした。しかし県に帰つて知事さんに復命して正式な手続をとつてやる、こういうふうに申し上げて、私すぐ帰りまして、ちようど部長さんは出張中でありましたので、私自身直接知事さんのところへ参りまして現況を報告しましたところが、すぐ知事さんも、この問題の作業は困難だということはわかつておるじやないかというようなことから、すぐやめさせる、こういうような御命令がありまして、会社社長を呼びやめさせた。
  115. 内藤隆

    内藤委員長 要するに証人小田自身現場に行つて見たその実情から言うと、許可以外の艦体を破壞しておるような実情があつた
  116. 小田義男

    小田証人 そうです。
  117. 内藤隆

    内藤委員長 それでこれは許可条項に反するから、すみやかに作業を中止しなければならぬ、こういうことですね。その手続をあなた自身がとつたわけだね。
  118. 小田義男

    小田証人 私と課の職員を二名連れて行つたのです。
  119. 内藤隆

    内藤委員長 そうすると、県が超過引揚げ許可したというようなこともないわけですね。
  120. 小田義男

    小田証人 超過引揚げは二百六十トンさせておるのであります。
  121. 内藤隆

    内藤委員長 そうすると、超過引揚げ許可した、それから作業の再三のこの延長については、さいぜんの証言によると県は関知していない、こういうのですね。
  122. 小田義男

    小田証人 県は副申の手続はとりましたけれども、知事に権限がない、一に建設省御当局の御指示に従う、こういうことであります。
  123. 内藤隆

    内藤委員長 それから作業に多量の火薬を使用させておりませんか。
  124. 小田義男

    小田証人 火薬を使用させております。
  125. 内藤隆

    内藤委員長 それは多量というても程度ですが、いわゆる引揚げ作業をするに必要な程度以上に火薬を使用させておるのじやないですか。
  126. 小田義男

    小田証人 実は火薬の問題につきまして御了解を得たいと思うのでございますが、この戰艦陸奥が原因不明の爆発によつて沈んだ。そのときに中が半分割れて、うつぶさつたようにして擱坐しておる、こういうことになつておりまして、搭載物件引揚げるという極東海軍許可書、あるいは建設大臣の、政府の責任において引揚げるということについてのお考えも、すべてこの艦体がうつぶさつている中の、ある搭載物件引揚げるということでございますので、排水量四万トンの戰艦陸奥の中のものを引揚げる、それも中を背にして沈んでおるというようなものについては、どうしても最小限度艦体の一部を破壞しまして、そして中に通路なら通路をつくりまして、その外壁を壞し、中の室のいろいろな仕切りのあるところを火薬であけて、そして搭載物件を引出して揚げるということをしなければ、どうしても搭載物件は揚らないのだというように、建設省も考えておられましたし県も考えておる。そこで火薬の割当をいたしておるのでございます。
  127. 内藤隆

    内藤委員長 そうすると、簡單に言うと軍艦がひつくり返つておるのだね。だから搭載しておつたものを引揚げるときには、どうしても外部から破壞して行かなければならぬ。それで火薬を多量に使用することを認めておつたわけですね。
  128. 小田義男

    小田証人 決して多量にやるという氣持ではないのでございますが……。
  129. 内藤隆

    内藤委員長 どれほどやりました、火薬を……。
  130. 小田義男

    小田証人 一番たくさんやつておりまするのはダイナマイトを二トン五百やつております。
  131. 内藤隆

    内藤委員長 そのほかないのですね。
  132. 小田義男

    小田証人 そのほかにずつとありますが、これは期限を切つてつております。二トン五百は六箇月間の消費量であります。火薬の割当というものは、火薬類取締りの法律が出ておりまして、一箇年間に消費するものを県に申請して、一ぺんにもらう権利があるということになつております。県としましては、一箇年間に使うものを一ぺんに渡しだのでは取締り上はなはだ困るというので、県条例を設置いたしまして、六箇月間の消費量を一度に渡すことができるようにやつております。これは六箇月間分として申請したものを六箇月に消費せよ、それを一箇月で使つて、あとありませんから五箇月分をいただきたいと言うて来てもそれは渡せないのだ、こういうことで渡したのであります。
  133. 内藤隆

    内藤委員長 他に尋問することはありませんか。
  134. 大泉寛三

    ○大泉委員 山口県知事は、建設省からその作業の実施監督委任されているのですが、その委任法律的根拠、性質等に対して、あなたが直接の監督の立場にありましようから、知つている範囲でこれを説明していただきたいと思います。
  135. 小田義男

    小田証人 私直接の監督の立場にございましたが、先ほど申し上げましたように、三代目の課長でございまして、最初契約会社と県がつくり、あるいは建設省から県に知事が委任されたときには、全然まだ山口県にいなかつたというような関係もありまして、あまりそういうことを詳しく存じておりませんが、私見といたしましては二通りに考えております。これは地方自治法の百四十九条の第八号に基いた、例の法令とか政令に基いた委任事項であるという考え方、だから県はどうしてもこれをお受けしてやらなければならぬという考え方、その場合には少くとも県と建設省と両方に行政上の責任がある。それからこれは民法上の契約かもしれない。そうした場合には建設省の、政府の責任において仕事をしなければならぬということが明示してある仕事を、民法上の契約として県が引受けるということについての行政上の責任は建設費にあるじやないか。なおこれは申し述べておりませんが、山口県知事は、建設省からお前の方でやれということで指示が来ましたときに、すぐ承知いたしましたということで引受けたのじやないのでございます。作業が非常に困難で、必然的に監督が非常に困難な仕事であるから、これはとても簡單に引受けられない、官庁の監督にもおのずから限度があるのであつて、武器だとかあるいは警察権もあるわけでございませんし、限度があるので、こんな不便なところで四十メートルも沈んでいる船の中のものだけ引揚げるのを県に委任するといつても、それはなかなか引受けられない、よく周知徹底して監督しても、なおかつ業者がもし目を盗んでやつた場合には県は責任を持ちませんぞということを建設省あてに知事名で公文書を出しておるのであります。そうしたところが、そのほかにいろいろなことを言うておるのでありますが、その通りでけつこうだという公文書の回答が来ておるのであります。そういうような関係がありまして、法的にどうかということにつきましては私も詳しく存じませんので、その程度のことしか考えておらぬのであります。
  136. 大泉寛三

    ○大泉委員 引揚げに対する物資入札価格については、そういう打合せがあつたのですか、なかつたのですか。
  137. 小田義男

    小田証人 先ほど入札価格を九十三万三千円にしたということにつきましては、入札はどういう方法でやれ、指名競争入札でやつてよろしいという建設省の御意向でございますし、県がその程度入札の予定金額をするということについては、あらかじめ建設省係官の方で話合いがついておつたものと聞いております。
  138. 大泉寛三

    ○大泉委員 作業監督はどういうふうなことでやつたかは大体今までの話でわかつておりますが、建設省から監督に対する費用なんというものは出たのですか、出ないのですか。
  139. 小田義男

    小田証人 その点につきましては建設省から県に委任があつて、県の知事がこんなむずかしい作業では監督責任は負えないということを申し上げましたときに、ひとつ経費を全部建設省で御負担をお願いしたいということをお願い申し上げましたのです。そして、数学的にははつきりいたしませんが、建設省から五、六十万円いただきまして、会社自体に精密な調査をやらすために、県はその中から会社調査費用にも出しておりますので、県のいただいた実際の費用というものは、はつきりいたしませんが、三、四十万円か――三十万円じやないかと思います。
  140. 大泉寛三

    ○大泉委員 作業監督が実際において必要となつたの昭和二十五年十月以降で、特に超過引揚げ承認後が一番大切な時期であつたと思うのですが、この期間の県としての監督の状況を簡單に……。
  141. 小田義男

    小田証人 御承知のように、これはどうしても県の責任において監督しなければならぬという氣持からいたしまして、建設省からも来ていただきまして現場にも御案内いたし、中国財務局にも御案内いたしますとともに、県の方は柳井町というところに土木の出張所がございまして、そこに県の船がある。非常に小さな船でございますがそれをお借りして――拔打ち的にということになりますとそれ以外にはないのでありまして、船に乗つて拔打ち的に係官が行つて見る。おるいは陸路、バス、連絡船、バスというもので行つて現場を見る、現場を見に行くにはやはりまた船がいりますので、村役場の船をお借りして見るというような方法で、職員を随時現地へ拔打的に見に行かせる、こういう方法をとつたのでありますが、いずれもその報告は不正なことをやつておることは一度も聞いたことはないのであります。
  142. 大泉寛三

    ○大泉委員 さつき証人が、船体を爆破して船体の材料が引揚げられたというようなことを発見して、後に引揚げ中止命令の意図を示されたということでありますが、いわゆる不正引揚げを発見したのは、その前じやないですか。そのあとですか。
  143. 小田義男

    小田証人 あとでございます。
  144. 大泉寛三

    ○大泉委員 これに対してどういう処置をとられたか。
  145. 小田義男

    小田証人 三月の二十二、三日ごろに現地へ行つて、ほんとうに引揚げておるところを確認いたしたのでございますが、私が先ほど申し上げたように、翌日財務局へ行つてその話をしたら、財務局の方ではずつと前からその事実を御承知のようでございまして、私の方では、そんなことを御存じなら、なぜ早く私どもの方へ知らしていただけないかというように申しました。
  146. 内藤隆

    内藤委員長 ちよつと待つてください。あなたが二十六年三月二十二、三日ころに行く前に、中国財務局はすでにその事実を知つてつたのですな。
  147. 小田義男

    小田証人 知つてつたのだと思います。
  148. 内藤隆

    内藤委員長 今の証言にありましたな。
  149. 小田義男

    小田証人 確認はしておりませんけれども、そういううわさを知つておりました。
  150. 大泉寛三

    ○大泉委員 それからこの七百万円の権利讓渡に県が介在しているという、いわゆるこの超過引揚げ承認、いわゆる作業期間の延長、火薬の多量使用許可等の一連の事実から見ると、この事件というのは県が業者と一緒になつて、国有財産の不法破壞を行つたと解釈されるようでありますが、これに対してどう思いますか。
  151. 小田義男

    小田証人 この問題につきましては、県は絶対に会社と共謀してそういうことをやらせるということはしておりません。
  152. 大泉寛三

    ○大泉委員 この許可をされた時期から、二十六年中止命令を出されるまでに、鉄あるいは非鉄金属その他の物資の価格について、相当大きな変動があつたということは、証人は御承知でありましよう。その価格の変動について記憶がありましたら、ごく簡單に御説明願いたい。
  153. 小田義男

    小田証人 私の方といたしましても、価格の変動があることは承知いたしております。また延期したのは県だというように考えられておるようでありますが、そういうことではないのでありまして、建設省許可をいたしたのであります。それから超過引揚げにつきましても建設省からさしてもよろしいということでありました。  それから価格の点につきましては、これは特殊物件といたしまして、払下げの見込み価格と所要経費と、その品質というものを勘案して決定する、こういうことになつておりまして、この点につきましても最初のケースでもございますので、建設省の方にすべて御指示を仰ぎに行く、こういうようなわけであります。
  154. 大泉寛三

    ○大泉委員 県では、こういう原因不明で沈沒した日本の戰力の最も大きな軍艦に対する調査賞料を減滅するようなことを、ただ物資引揚げにのみとらわれてやつたのであるか、あるいはその当時相当異論がなかつたのか、こういう戰力を破壞された原因調査に対しては何らの考慮をしなかつたのかどうか。
  155. 小田義男

    小田証人 山口県が一番最初に中の搭載物件引揚げさせるということをやりましたその目的は、非常に当時物資が不足しておつた。そうしていたずらに海底に非常に貴重な物資が眠つておる、死蔵されておるということにつきまして、何とかこれを早く活用できるようにしたい、こういう気持でございました。と同時に当時の情勢は戰艦陸奥というようなものがああいう場所に沈沒しておるということについて、その艦艇自体が引揚げられる、また引揚げようというような事態はとうてい考えられなかつたということと、もう一つは、戰艦陸奥自体の引揚げについての極東海軍からの許可というものは、当分交付されそうにないというような点から、県はやつたのでございますが、その後県は撤回いたしまして、正式に中の搭載物件だけをやるということについては、西日本海事が猛烈に政府にも陳情いたし、極東海軍にも陳情申し上げて、許可になつた、こういうことでありまして、私ども当時いなかつたので、その当時の気持ははたしてどこにあつたかわかりませんが、推定するならば、おそらくそうした物資の活用というところにあつて連合軍の方も戰艦陸奥非鉄金属は一千トンくらい揚げてもいいというような考えでおられたのではないかというように資料では見られるのであります。
  156. 高木松吉

    ○高木(松)委員 関連して、そうすると、その法律上の根拠はいかようあろうとも、末端の監督の実際に当るのは山口県であつたことは間違いないですか。
  157. 小田義男

    小田証人 そうです。
  158. 高木松吉

    ○高木(松)委員 そうすると、あなた方三月の半ば過ぎに現地に行つて、違法の引揚げをやつているという事実を認定したのですから、違法引揚げによつて引揚げ許可条項以外の、たとえば船体を破壞して揚げたとか、いろいろなことがあるようですが、その被害トン数とか被害金額はちよつとわかるまいが、被害トン数などはわかつておるのですか。監督責任上、少くとも盗んで引揚げた部分に対する調査はできておりますか。
  159. 小田義男

    小田証人 この問題につきまして、私の方が監督責任上被害をこうむつたわけでございますから、その監督責任上、この被害状況をよく調べなければならぬ、こういうように考えたのでありますけれども、これは山口県の国警が合同捜査本部をつくりまして、刑事事件として西日本海事の重要書類、県のこれに関します重要書類は全部押收をされたのであります。そんな関係で私どもはその概要も調べられない。会社の方も拘束され、また自由になりましても書類がないので、その点はわからない、目下取調べ中であるというように申しておりますし、私の方もこれ以上はどうにもならないので、一応検察御当局のお調べを待つておるのであります。
  160. 高木松吉

    ○高木(松)委員 そこは責任ある立場にある以上は、むろん刑事問題になるものは刑事問題として責任を負うべきものだが、保管といいましようか、少くとも監督しておられるあなた方としては、どれくらいの被害のトン数が鉄においてあつたか、要するに許可事項以外の被実状況というものを、あなたの方で調べてなければならぬはずだと思うのですが、それがわかれば、監督責任というところから、一体どれだけ何が引揚げられて、国家なりどこが損害をこうむるか、いろいろ立場々々で違つて来ますけれども、いずれにしても、その責任を課せられておるあなた方としては、どれくらい盗まれておるのか、どれくらいどうなつておるのかというような、調査報告責任はあるわけですね。その責任を盡しておるのか盡していないのか、盡しておるとすれば、盡した結果として、たとえば艦体は何百トン、何々はどれくらい引揚げられた、あるいはそれ以外の物資引揚げられて盗まれておるというように、その量というものがわからないとわれわれは困るのですが、あなたの方でわかつてつたら聞かしてもらいたいし、わかつておるべき筋だと思うからお尋ねする。
  161. 小田義男

    小田証人 この問題につきましては、私の方は直接会社にどの程度のことをやつたかということについての被害状況を調べても、なかなかはつきりつかめないというような状態のうちにおりましたし、国警で事件になりましたので、私の方では警察を通じて、その警察のお調べした被害状況――莫大な器材を窃取いたして売却しておるということを聞きまして、まことに遺憾に存じておる次第であります。
  162. 高木松吉

    ○高木(松)委員 監督の方法としては役所がやるのだし、予算の関係もいろいろあるだろうから、それはあなた自身が直接手を下して調べなくても、国警なりその他の所管の方々の調べによつてわかつて報告された内容はおわかりだろうと思う。今莫大と言つておるが、数字などがわかつてつたら伺いたい。
  163. 小田義男

    小田証人 私はそれを全部記憶いたしておりませんが、推進器だとか、シヤフトだとかいうような器材を破壞していたのを総計いたしまして、五千万円ぐらいは少くとも利益としてあつた、こういうように記憶いたしております。
  164. 高木松吉

    ○高木(松)委員 委員長から特にお命じを願いたいんだが、その数字の内容、何トンぐらい盗んで引揚げておるかという数字の内容をあとで報告してもらいたいことと、換価処分されて金銭になつておるとすれば、その金銭になつた数字もあわせてそれと同時に報告していただきたいと思います。
  165. 内藤隆

    内藤委員長 ただいまの高木委員の要求はわかりましたか。
  166. 小田義男

    小田証人 わかりました。
  167. 内藤隆

    内藤委員長 それではなるべく早く書類にして出してください。
  168. 小田義男

    小田証人 かしこまりました。
  169. 佐竹新市

    ○佐竹(新)委員 西日本海事は相当不正事件があつたというので、昨年検察庁の方で取調べを受けたようでありますが、西日本海事引揚げまして各所に売つたリストを見ますと、いわゆる搭載物資にあらざる鉄というようなものが相当に売却されたことが明細にされてあるのでありますが、それは監督の立場にある県として承知しておつたのか、承知してなかつたのか、その点どうですか。
  170. 小田義男

    小田証人 非鉄金属引揚げにつきまして、鉄が一部一つの機械に付随してついているというような場合は、これは社会通念上やむを得ないのじやないか、こういうように建設省の方とも了解がついておるということを、当時の係吏員の方から私はあとから、聞いたのでありますが、鉄そのものの引揚げということは明示してないのでございます。
  171. 佐竹新市

    ○佐竹(新)委員 そこでスクリユーなんかもとつているように見えるのでありますが、いわゆる艦体の搭載物資というのは一体どの範囲を言うのですか。
  172. 小田義男

    小田証人 ここに言います搭載物件についての定義といいますか、そういう問題でございますが、これは私自身としましてもいろいろ研究勉強いたしたのでありますが、この問題につきましては、千トンも非鉄金属搭載物件として搭載されておるということが極東海軍の正式の覚書にも出ております。こういうような観点から考えまして、戰艦陸奥というものは、リストにも載つてなかつたものを、ようやく極東海軍がリストに載せられて、特殊物件の特別なケースとして、極東海軍搭載物件引揚げ、払下げの許可を與えられたものであつて、ここでこの陸奥搭載物件というものは艦体に搭載しておる物件であつて艦体に固着してないところの物件、たとえば艤裝品、こういうように考えておるのであります。
  173. 佐竹新市

    ○佐竹(新)委員 そうすると、シヤフトとかスクリユーとかいうようなものは、極東海軍司令部がこれを搭載物資として許可したのでありますか。その点はいかがです。
  174. 小田義男

    小田証人 その点、先ほど来申し上げますように、最初のときでなしに、何代もあとで引継いで、その後引継ぎのときも、そういう問題も出なかつたので、一千トンの搭載物件がある、非鉄金属があるということに対して、その搭載物件ということの定義について、はたして極東海軍も今申し上げたようにお考えになつておるかどうかという問題については、私不明なのでございますが、推定いたしまして、一応艦艇に固着しない搭載されておる艤裝品をこの際搭載物件と、こう称されておるのではないか、そういうように考えてやつて来たのであります。
  175. 佐竹新市

    ○佐竹(新)委員 昨年来このことが新聞に出まして、わが日本社会党の方からこの行政監察委員会で取上げてもらうようにお願いしておつたのであります。従つていろいろと最近の新聞を切り、拔いて持つておるのでありますが、相当鉄を各方面に売りさばいておるというようなことを見て、いろいろ調べたいところが、この鉄を売ること、鉄を引揚げること、これは山口県の方で許可をいただいておるというように言つておるのでありますが、この点はどうでありますか。
  176. 小田義男

    小田証人 この点、そういうように会社自体が考えておりましても、県といたしましては非鉄金属以外の物資というものを揚げる場合には、建設省許可を得る、こういうことになつておりますので、鉄自体の引揚げを命ずるわけにはいかないのでありまして、鉄が、たとえば搭載物件の一部に付属しておるというものも事実上出て来るのではないか。そういうようなものは揚げた後において別個に解体をして、鉄だけはどういうように処理するかという問題は考えられるのではないかと思います。
  177. 佐竹新市

    ○佐竹(新)委員 その引揚げた非鉄金属に鉄がくつついておつた、そのくつついておつた鉄を売る場合において、山口県の方から許可書を出しておるのではないか。
  178. 小田義男

    小田証人 非鉄金属以外のものについて、かりに鉄が非鉄金属に付随しているような場合、要するに付随というような意味でそういうようなことを出しておるかもしれませんが、原則的にはそういうことは認められない、こういうように考えます。
  179. 佐竹新市

    ○佐竹(新)委員 許可を出しておるとすれば、業者は鉄を引揚げて売つてもさしつかえない、そういう結果になりはしませんか。それは県の方の責任になるのではないか。もう一つつつ込んで言いますが、ここは重大な問題です。私が調査したところによりますと、県なり建設省なり大蔵省なり極東海軍司令部なり、すべてのいわゆる許可書類が、西日本海事工業に対しては十二通、本行政監察委員会に上つておりますのは大体九通くらいあります。その食い違いは一体どうしたのであるかといつて私が聞いてみましたところが、これは要するに事件になると同時に山口県の方から来られて、重大問題になるからというので、その書類二通を破つてしまつた、こういうことを私は聞いておる。それはどういう点から来たかというと、当時広島合同捜査本部から調べるということで、宇品署の刑事二人が調べたときには、その書類はあつた。この事件なつてからその書類がなくなつておる、こういうことなのです。してみれば、この間にこういうような事件を起さした原因は、山口県がそういう鉄を引揚げて売つてもいい。当然艦体を爆破せいとは言わぬでしよう。しかしながらその非鉄金属についておる鉄を、要するに売ることを認める許可山口県が出して、その許可書がどこに行つたか、行方不明になつておる。宇品署はこれを証明すると言つておりますが、この点どうなのですか。
  180. 小田義男

    小田証人 私自身そういうことにつきましては存じないのであります。
  181. 佐竹新市

    ○佐竹(新)委員 ここに重要な問題があると思うのでありますが、この点はひとつ今後の調査にあたりまして、各所に鉄を売つております、あるいはスクリユー売つておる、いろいろ売つておる。この問題が不正なことをしたかしないかという調査の中心になると思うので、そういうことがあつたかどうか。広島市の宇品署ではそういう事実を認めると言つておる。県では認めないと言つておる。まただれがそういうことを言つておるのか。この点を明らかにしていただきたい。
  182. 小田義男

    小田証人 そのことにつきましては、私の方で調査をいたします。
  183. 内藤隆

    内藤委員長 他にありませんか。田淵君。
  184. 田渕光一

    ○田渕委員 去年の春ころだと思うのであります。瀬戸内海ことに山口県、広島県の漁民が当時の自由党の政務調査会に陳情して参りました。それは戰艦の引揚げのために火薬を使うので、漁民として非常に生活権を脅かされる。こういう場合その引揚げ作業区域の漁業権の保障をしてもらいたいという陳情があつたのを覚えております。そこでその当時問題になつたと思うのでありますが、中央に地元漁民が具申され、陳情されて来た。それで係省からあなたの方に通知するというようなことから、一体どういうぐあいに火薬を使つて作業をしておるのかということを見に行くというようなことの動機になつたのではありませんか。
  185. 小田義男

    小田証人 私が三月二十二、三日に参りましたときのことは、その火薬の使用の問題についても、もちろんこれを不当に使つておるというような事実があるならば、これは当然漁民の問題にもなります。また艦体自体を解体するのに、火薬を使つてもその艦体自体の損傷は最低限度にするということでありますが、莫大なものを一時に使うということは艦体を破壞する。もちろん魚がいなくなるということは漁民に対して非常な御迷惑をかけるというような点を考えまして、両方含んで……。
  186. 田渕光一

    ○田渕委員 午後も引続いてこの証人証言を求めますか、それともまだやりますか。実は私はもう少し伺おうとすると三十分以上かかるだろうと思う。そこで午後になさいますか、それともこれから継続してなさいますか、一応お諮り願つて……。
  187. 内藤隆

    内藤委員長 御希望があればお諮りしまして、午後も継続してよろしゆうございます。
  188. 田渕光一

    ○田渕委員 一応委員各位にお諮り願つて、願わくは午後に願いたい。佐竹委員の御発言といい、また今証人がおつしやつている点をいろいろ伺つて参りますと、この責任の所在がとこにあるかという問題であります。はたして五千万円の国有財産を不正にやらした監督不行届き上の責任山口県にあるとするならば、国家が山口県に対してどういう手続きをとられるかという点を伺おうとすると、三十分以上かかると思う。願わくは午後に願われぬか。すでに十二時五十分、食事の時間に入つておりますので、一応お諮りいただいて、願わくは御賛成願いたい。
  189. 内藤隆

    内藤委員長 それではただいまの田渕委員の御希望もありますが、どうでしよう、小田証人に対する尋問は、今暫時休憩して、午後継続してやりたいと思いますが、いかがでありましよう。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  190. 内藤隆

    内藤委員長 それでは異議ないと認めまして、午後引続いて小田証人に尋問いたします。  暫時休憩いたします。     午後零時四十九分休憩      ――――◇―――――     午後四時十六分開議
  191. 内藤隆

    内藤委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  小田証人に対する尋問を継続いたします。田渕光一君。
  192. 田渕光一

    ○田渕委員 午前中の委員会で特に了解を得て午後へ延ばしましたが、本会議の都合で時間がたいへん遅れましたことをおわびいたしておきます。証人に伺いたいのは、午前中の証言中、拔打ち的に村役場の船で現場に行つて、あれを発見したというように証言されていますが、これは私が先ほど申し上げました通り、昨年の春ごろ、地元漁民の、火薬を厖大に使用するために漁族がなくなつてしまつて生活ができないという陳情を国会が受けております。かような問題が山口県の水産課にも行つて、結局山口県の水産課とあなたの方と御相談の上で行つたものではありませんか。そうと違いますか、ひとつその点をはつきり願いたいのであります。
  193. 小田義男

    小田証人 拔打ち的に監督のために現場に参りました、こう申し上げましたが、拔打ち的と申し上げましたのは言葉が少しどうかと思います。会社の方に連絡をとつて、何月何日に作業状況を見に行くからということを知らしてなかつた。もちろん会社の船でなしに、村役場の船をお借りして、默つて会社の揚げている現場に監視に行つた、こういう意味でございます。  それから漁類の方の関係で行つたのじやないか、こういう仰せでございますが、この点は先ほども申し述べましたように、瀬戸内海沿岸はダイナマイトの密漁が相当盛んなのでありまして、水産業者の方も非常に神経質になつておられる。私たちも火薬類の取締りについては非常に神経質になつておりまして、国家警察管区本部などもしよつちゆう海岸の方に行つておられるのであります。そういう意味におきまして、火薬を使うことによつて水産漁類がいなくなるというような陳情か県の水産課方面にも入つてつたようであります。私どもとしましても、そういう面についても、もちろん水産に対してそういう不当なことをもしやつてつたならば、事実についても指摘する。こういう意味で会社には連絡をとらないで現地調査に行つたというわけでございます。
  194. 田渕光一

    ○田渕委員 そうするとまず魚族の繁殖その他の関係もあるので、水産課の方々と商工課の方々と行つた、こう伺つてよろしゆうございますか。
  195. 小田義男

    小田証人 その通りでございます。
  196. 田渕光一

    ○田渕委員 午前中には自分の方の商工課だけで二、三の吏員を連れて行つたと伺いましたが、それでは水産課の連中も一緒に行つたと御訂正されますか。
  197. 小田義男

    小田証人 その問題は、私の方は、私は商工部の商工課長でございますので、商工部の職員も一緒に随行させて行つたのでございますが、水産の方では水産部の係の方が現地においでになつたので、私は水産部の方を監督とか指導して、あるいは随員としてつれて行くという意味でもないのであります。その点につきましては決して強い意味ではないのであります。
  198. 田渕光一

    ○田渕委員 要は水産課の連中と一緒に行かれたかどうかということなのです。
  199. 小田義男

    小田証人 一緒に参つたのであります。
  200. 田渕光一

    ○田渕委員 それで商工課としても監督責任上拔打ち的に行つた。要するに監督責任上自発的に行つたというぐあいにも伺えるし、また同時に水産も一緒に行つた、こういうふうに一応了解いたしましよう。というのは、それはもちろん水産にも関係があるからでもありますが、商工課当局だけで監督責任上行つたというよりも、むしろその監督外である水産課も関連があつてつた、こういうふうに私は了解いたしますが、それでよろしゆうございますか。
  201. 小田義男

    小田証人 私の方の監督ということにつきましては、その場合に私だけではございませんで、商工部長の御指示によつてつたわけでございまするし、私自身もそのことを意見として申し上げたのであります。会社が計画通りの作業をやつておるということが当然好ましいことでございますけれども、それ以外のことをもしやつてつて、ほかの方にも迷惑をかける、つまり漁業方面にも迷惑をかけるとか、あるいは不正な事実があつて大蔵省の方の所管のものを煩わすということになれば、そちらの方にももちろん御迷惑をかける。それでそういうことのないように、県としても商工部としても監督を当然しなければならない。それで魚の方の問題につきましては、私の方から水産部の方にお電話をいたしまして、私の方は何日に現地監督に行く、あなたの方も行かれたことはないだろう、ついてはあなたも御一緒においでになりませんかと言つた。そして私課長に行つていただきたいと思つて電話したのですが、課長さんの方は民生部の関係もあつて、その日はどうしても手が引けない、私の方からは次長が行くからというようなお話があつたのであります。そのように御了承願いたいと思います。
  202. 田渕光一

    ○田渕委員 その点はよくわかりました。  そこで証人が引継いで来ておられますずつと前――つまり賠償課の機構の改革によつて、当時の、つまり井上会計課長、それからその次の賠償課長になつた源治課長、それからあなたに引継がれた、がしかし、その前者の二人の方はまず別といたしまして、あなたが山口県の商工課長になられたのが二十四年の十一月一日であります。そこで二十四年の六月二十日の田中知事と西日本海事田中恒治君との間の契約書、これは返還以前の特殊物件を当時の極東海軍司令部許可のもとにやつたという契約で、これが進んで来て、それをあなたが引継がれた。そこで今度は課長に就任されたあなたの責任になつたときに、これが解除されて、国有財産に引継がれた。それが中国財務局の名になつておる。ここで、特殊物件から国有財産に引継がれたとき、特殊物件時代と、あなたが課長に就任されてあなたの責任としてやる時代とは、朝鮮動乱の影響ですでに情勢がかわつて来ている。特殊物件の、価格の安い時代、特殊物件という特殊な環境に置かれており、これを払下げするとかあるいは引揚げをするとかいう契約の当時の状況と、国有財産に引継がれてあなたが監督されるようになつたときの状況とは非常にかわつて来ておるのであるから、なぜこのときに契約の切りかえをして更改をしなかつたのかということが私の頭に浮んで来るのであります。これはどういうわけで切りかえて更改をしなかつたのか、これをひとつ詳しく伺いたいと思います。
  203. 小田義男

    小田証人 申し上げます。特殊物件として二十四年の六月の二十日に県と西日本海事が結んだときと、その後の二十五年の七月以降における国有財産返還があつたときと物価の変動があつた。そういうようなことから見て、なぜ契約を切りかえなかつたかということでございますが、特殊物件としての陸奥搭載物件引揚げることの許可は、建設大臣極東海軍申請して、極東海軍は、これを日本政府責任において一切引揚げをなせと命令されたのでありまして、県は一切の指示建設省から受けまして、その線に沿つてすべてのことを実施いたしておるのでございまして、早く言えば、もうほんとうに下働きをさしていただいているというような状態でございます。ところが、艦体国有財産になつたときに、県の方に通知があつて返還なつて参りましたので、手続上、県は中国財務局公文書返還になつたことのお引継ぎをした、こういうわけであります。そうした場合に、この搭載物資としての引揚げ作業そのものは、国有財産として、所有者である大蔵省の方で艦体自体の作業をお始めにならないという期間におきましては、建設省から何らの指示もない。大蔵省の方からも、県がやつていた作業自体については別にいいとも悪いとも言つていない。こういう状況でございますので、この問題は、特殊物件として極東海軍が搭載物資の払下げをお進めになつたものであろうと思います。依然として何分の御指示が、極東海軍はもちろんのこと、建設省あるいは大蔵省の方から県の方へない限りは、最初のケースで継続をされるということになつて来た、こういうように解釈をいたしたのでございます。  なお価格の変動という点につきましては、二十四年の六月二十日付で西日本海事契約をいたしました中に、九十三万三千円で入札をやつておりますが、そのときには契約によつて――その契約内容建設省に御承認を得ておりますが、実際に引揚げた場合に、海の中に沈んでいるものをそのまま引揚げるのだから、沈んでいるそのままを入札させるのでございますから、この場合実際に作業いたしましたときに、九十三万三千円より上まわつても下まわつてもその点は一切県の責任ではないという契約が結んであるのであります。そういう関係で私どもといたしましても、その点は一応考えないでもなかつたのでございますけれども、これは一つの民法上の契終であるので、その点はやむを得ない、安くなつた場合には会社がうんと損をするけれども、県は責任を持たない、こういうことに契約なつておるのでございますので、そのままやつたわけであります。
  204. 田渕光一

    ○田渕委員 それは特殊物件として、つまり賠償物件として一応連合軍のいわゆる権限内にあるときの契約と、国有財産に切りかえて来たときの契約とでは、おのずから価格の変動があることは当然であります。しかしそれは解釈のしようでありますが、建設省の御指示によつてつたのだと、建設省責任を転嫁されておりますけれども、契約当事者は山口県の田中知事で、建設省契約をしておりません。そうすれば建設省が一応あなたの方、つまり地方庁に対しては、そういうものの監督その他のことは頼むかもしれぬけれども、契約当事者が山口県である以上は、この責任建設省に持つて行くことは、私はできないと思う。契約山口県である。つまり建設省が田中西日本海事契約をして、それを現地において君らが監督してくれという監督権の委讓であるならば、私は追究しないのでありますけれども、田中知事そのものが契約の当事者となつて、この国有財産の前身である特殊物件契約しておる。そうして今度は国有財産になつたときにこれを更改しないことは、契約の当事者として山口県の責任は私は免れないと思うが、この点はどうですか。
  205. 小田義男

    小田証人 申し上げます。ただいまの問題は、特殊物件としての契約国有財産になつたときの契約とかわるのだから、そのときになぜ契約を切りかえないかということであると思いますが、国有財産になつたという問題は、艦体国有財産になつたので、中に入つておりますところの特殊物件は、依然として特殊物件であります。艦体自体は国有財産、今までは艦体自体は連合軍の所管であつたのが、今度大蔵省の所管になつたのだけれども、中にある搭載物件、ガソリンとか非鉄金属とか重油だとか纎維類というものは、依然として建設省の所管をいたします特殊物件でございますので、建設省の御所管になつております特殊物件の下請をやつております県といたしましては、当然そのまま継続さしていただくのがいいんじやないかと思つております。
  206. 田渕光一

    ○田渕委員 この契約書の第四条にはこう書いてある。これは御承知だと思うが、「第一条の物件及び武器彈薬以外の物件で、民需産業に役立つものが発見せられ、これを引揚げんとする場合、または第一条の売払い数量を超過して同物件引揚げんとする場合には、乙はあらかじめ甲の承認を受けこれを引揚げることができる。」こう第四条で山口県と西日本との間の契約がはつきりしておる。そこで第八条へ行きまして、第八条は、「乙は本契約締結後ただちに引げ搭作業に着手するものとす。乙の木引揚げ作業の期限はこれを昭和二十四年十一月三十日までとす」こういうことになつておる。そうすると、あなたが就任されたのが昭和二十四年の十一月一日であるから、あなたが引継がれた日から三十日しか期間がない。期限は来ておるのであるから、あなたの責任においてこれを更改しなければならぬ。ところがどうも、艦体そのものが国有財産になつたので、中の特殊物件はまだ依然として賠償物件である、こういうようなぐあいに証言されましたが、およそ艦体についておるものを、つまり極東海軍司令長官許可するときには、中の特殊物件だけは別だというような差別はなかつた。すでに艦体自身ばかりでなく、艦体に搭載すべき、つまり艦から切り離したところの、たとえば重油とか食糧とか、艦に搭載する物件、これは最物極東海軍の管轄であつた、これが許可を受けて、何もかも一緒に物件の解除ができて、国有財産なつて来たこういうふうに私は思うのですが、あなたの先ほどの証言だと、ガソリンや食糧その他のものは特殊物件であつて艦体だけが国有財産になつたのだ、こういうようなお話ですが、その点ははつきりおわかりになりますか。
  207. 小田義男

    小田証人 この点、お尋ねでございますが、これは私といたしましては、先ほど申し上げましたように、十一月からこの仕事をしたのではありません。十一月一日に商工課長に奉職したのでございまして、私の引継いだのは二十五年の夏でございます。それで艦体国有財産になつた。まだ搭載物件引揚げ作業をしておるときに艦体国有財産ということになつて、正式に国有財産として大蔵省返還書類が届いたとするならば、建設省や県が默つて大蔵省の方から書類を引継がないで、無断で、中の搭載物件建設省の所管だといつて引揚げているわけではございませんので、大蔵省の方とされましても、国有財産になつたのだから、艦体の中の搭載物件極東海軍から許可をとつた搭載物件は全部大蔵省のものだから作業をやらせない、こういうように当然御指示に相なるべきものだと思いますし、私の方も、建設省の方から十一月三十日に引続きまして期限を御延期になる、こういうような状態でございますので、県の責任において更改するということは、私の方の所管ではない、こういうように考えるのです。
  208. 田渕光一

    ○田渕委員 それはあなたの一方的な考えであつて、少くともわれわれ国会として見て行けば、契約当事者にこの責任をただす以外にないのであります。建設省との間は事務的な連絡であつて責任の所在というものは建設省じやありません。こういうものに対して君の方でしかるべくやつてくれという全権をまかされておつて、全権をまかされた山口県が西日本契約を結んでおるのだから、契約の当事者だから、監督責任もあれば、これを有効に処分し、有効に国家のために役立てるという責任は私は山口県にあると思う。これを建設省指示によつてつたと言つても、責任はのがれられないと思うが、あなたは依然として、この責任建設省指示でやつたのであつて山口県はただ契約の名前を貸しただけだと言われるのですか、それをはつきりしたいのです。
  209. 小田義男

    小田証人 私どもの考え方といたしましては、契約をいたしますのも、契約のいたし方につきましても、建設省指示を得てやつておりますし、その結果契約をいたしました内容につきましても、建設省の了解を得ておりますので、国有財産になつたあかつきにおいて、なせそのまま契約を継続したか、こういうお言葉でございますけれども、私どもの立場からいたしますならば、もしそういうことが成り立つならば、大蔵省あるいは建設省の方からおかしいじやないかという指示が当然あるべきでございますが、そういうように考えなかつたのであります。
  210. 田渕光一

    ○田渕委員 これはだれが聞いてもふかしぎなんです。契約書にははつきり全部うたつておる。「契約書」と書いて、その次に、「旧日本軍艦陸奥搭載物件の引揚及売払に関し契約担当者山口県知事田中龍夫を甲とし、引揚買受人西日本海事工業株式会社々長田中恒治を乙として左の条項を契約す。」、こう書いておつて、金額を書き、いろいろ条項を書いておるが、これは建設省指示によつてやるのだということは一つも書いてない。この契約書から言えば、当然山口県の責任であるというようにわれわれは思いますが、どこまでも建設省指示でやつたと言いのがれるならば、それ以上は追求いたしませんが、この契約書全文を読んでみれば、建設省の建の字も出て来ておりません。結局所在が山口県の沖合にあつたから、これは山口県の所有なりという頭で、これは自分のところの所有だという頭で、契約したのではありませんか。あなたは知らぬかしらぬけれども、前の方は……。
  211. 小田義男

    小田証人 その辺のことにつきましては、私はつきり申し上げかねます。
  212. 田渕光一

    ○田渕委員 それではあなたの責任になつた、つまり賠償課機構改革によつて商工課が引継いだのは何年の何月でありますか。
  213. 小田義男

    小田証人 二十五年の五月であつたと思います。
  214. 田渕光一

    ○田渕委員 二十五年の五月から今の証人責任が発動して来るわけですね。そうすると、二十五年の九月二十七日、それから約四月たつて、協定書というものができております。つまり契約書ができて、ごてごていたしまして、そこに協定書というものができた。協定しなければ山口県が許可せぬというので、第一回、第二回、第三回と三回にわたつて七百万円をこの前の社長の田中にやるという協定書ができておる。この協定書に立会人として山口商工課の河崎潔という人が立会つておりますが、これは何がゆえにこういう会社の協定書の、七百万円の金を三回にわたつてやるというような線まで山口県が立入つて、この契約に立会いましたか。
  215. 小田義男

    小田証人 会社がトラブルを起しまして、その内紛自体も両者の代表者が代表権の争いでごたごたやつておりました。県といたしましては、当時川南造船か何かでそういう例がございまして、県がどちら方につくというようなことにはタッチしない、そういうことで私どもやつて来たのであります。会社側におきましても、いろいろと両者におきまして折衝をやつてつたようであります。ところが私の方の河崎潔というものがなぜ最後にでき上つた協定書に対して立会人として捺印をしておるか、この点の疑問はごもつともだと存ずるのであります。なぜ県の吏員がその協定に立ち会つたかという問題でございますが、両者の間でさきにも一、二度和解ができた。そして和解ができたから作業をやらせてください、こういうような話かあつたが、実際には今までできていなかつた。こういうようなことが一、二度ございまして、県としましては、和解ができてすつきりした姿になることが望ましい、建設省としてもせつかく監督委任したのに、内紛ばかり起しているような会社では困つたものだ、こういうようにお考えになるのも当然だと思いますし、内紛が両者間においてできるだけ自主的に和解できるということが望ましいのでございましたが、しかしながら県が中に入つてまで手を握らせようという意思はなかつたのであります。ところがたまたま今度こそ和解をするのだ、とにかくどつちがうそを言うか和解したときの話の内容を県から来て見てください、証人なつてください、責任はかけません、こういうことであつた。県といたしましては、そんな会社の和解のことはお互いにおやりになつたらよいじやありませんか、県としては従来通りタツチしない、あなた方が 約をおつくりになつて、両方の代表者が県に来られて商工部長なりのところに来て了解を求められればよいじやございませんか、こういうふうに申し上げたのでございますが、いや、この前のように、話がきまつてもあすにはもうひつくり返るということがあつては困る、だから県からもそういう話は確かに聞いたというわけで、聞くだけでよいのだから来て聞いてくれというのです。こういうわけで商工部長にも御相談し、私どもの考え方としても、オブザーヴアーとして県の意思を言わないで、県の意思を対外的にも発表しないで、聞くだけ聞いて来い、こういうことで行かした。ところがその後この河崎潔県吏員が帰つて来まして、その翌日であつたか、二、三日先であつたか、私が話を聞きましたときは、いろいろ具体的な話も聞いて、立会人として判を押して帰つたということを聞きました。それでは話が違うじやないか、判を押さなければいいじやないか、県は責任を持たされるわけじやないだろうなということを、私自身も河崎君に念を押したら、そうじやございません、課長からも部長からも言われたように、参りましたときには、オブザーヴアーとして、県の意思は伝えていない。ただこういう内容で両者間が話をやつたということの事実を見きわめるために行つたのであつて、その事実を私は確かに承知しておるのだという單なる意味で判を押した、こういうのでございます。これはまずいことをしたなと私も言つたのでございますが、そういう意味で押したということでもありますし、また弁護士の方々もこれでまた県に責任をかけるというような方々もおられない、さような次第であります。
  216. 田渕光一

    ○田渕委員 ただ立会いだけなら私はここまで証人に伺わないのです。この協定書の第六条にはつきりもう県が介在しておるのです。これは県として拔けられない責任に追い込まれておるのです。すなわちこの協定書の第六条をごらんになると、よくわかりますが協定書の第六条にこう書いてある。「第六立会人たる県は、第一回分割金支払のありたることを認めたるときは、乙に対し作業再開及火藥使用許可をなすものとす。」とこう言つてある。あなたの今の証言の通り、今までの契約は何度も違つておる、今度ばかりはうそじやございません、オブザーヴアーとして来て、一ぺん話を聞いてくださいというような、軍なるオブザーヴアーとしての山口商工課のタツチじやない。契約の第六条に契約許可権を持つておるから、これを第一回の金を払つたらお前に使わす。第一回の金を払わなければ作業の再開を許可しない。この協定書の責任というものに山口県も入つてしまつておる。ただ單なるオブザーヴサーで河崎潔君がちよつと判を押して来たというのとは大分違うのですが、これは当時係長の河崎君からどういう報告を受けたにしても、少くともこれは「本書参通を作製し、各当事者及び県各一通を保管する。」ということになつているらしいから、あなたの方にあるわけです。県がここまで何でタツチしなければならぬかというところがわれわれとして納得が行かない。
  217. 小田義男

    小田証人 申し上げます。この点につきましては先ほど来申し上げましたように、まつたく何と申しますか、その零囲氣に包まれて、要するに單なるオブザーヴアーというような氣持で本人が判を押して帰つたということで、私自身もそういうふうに考えたのでございまして、この点はそのときの情勢上單に話を確かに聞いたという意味で判を押したのであります。一応この六の預のに入つていることは、県といたしましても、その場でそのときにぱつぱときまつて河崎君も捺印したと、こういうようなことで、はなはだどうもこの点につきましては、先ほどから申し上げましたように、オブザーヴアーならオブザーヴアーのようにして、できるだけ聞いて帰る、こういう点私も……
  218. 田渕光一

    ○田渕委員 この係長は年輩は幾つくらいの人ですか。
  219. 小田義男

    小田証人 はつきり覚えておりませんが、四十三ないし四ぐらいじやないかと思います。
  220. 田渕光一

    ○田渕委員 そこで私はふしぎなことをあなたにお尋ねするのですが、あなたの部下である係長の河崎潔君が四十三才である。この西日本海事におつた河崎寅君は幾つですか。
  221. 小田義男

    小田証人 私は存じません
  222. 田渕光一

    ○田渕委員 この河崎潔君と河崎寅君と、しかも氏も同じで一字の名前でありますが、兄弟か親戚か何かの関係か、全然別人ですか。
  223. 小田義男

    小田証人 私の推定では全然関係のない別人だと思います。
  224. 田渕光一

    ○田渕委員 ここらはちよつとふしぎだ。県はここまでタッチする必要はない。タッチするについては、商工課長の下の係長の河崎君と、あるいは西日本の河崎君と関係しておるから、そこまで深入しているのではないかと感じられたので伺つたのであります。ところで二十五年の九月二十七日の協定のときにあなたが当時の責任者であつた。そこで国有財産になつたものを、まず契約の更改を知らずにやつたということも、あなたの解釈違いもありましようが、そう言つたところで、この特殊物件自体に九十三万――百万足らずでこれだけのものをやらそうという契約ができた途中で国有財産になつた、おまけにこの二十五年の九月と言えば、すでに朝鮮動乱が起きて三月もたつている。相当物資に詰り、価格の変動を来し、スクラツプの必要を生じて来た時代です。こういう時代に契約を更改しなかつたという点は、あとでわれわれは判断を出すのでありますが、少くともこの特殊物件のときに見積つたもの、銅板の腐つたもの、くぎの腐つたものは当時トン八万円というように聞いておりますが、一貫目三百円ぐらいで賣れたことを聞いているのですから、二百七十貫で八万円、それから引揚げ作業費が六万六千円かかつて、マージンつまり結局利益とするものが一万四千円しかない、一万四千円しかないものに、最初つたような特殊物件引揚げ契約では七百万円という金を田中に返してやることはなかなか不可能であるので、その七百万円を返すということは、三回に分割して後継者の葛西がこの田中に三回にわたつて返す、こういうのです。そうするとトン一万四千円しかもうからない、引揚げる価値のないのに七百万円も金を立てかえて葛西がこれを引受けるということは、陸奥の中にまで豊富にものがあつて、たとえば一トン何十万円とするものがあるかもしれない。銅あるいは砲金いわゆる眞鍮類スクリユーとか、こういう価格の相当のものがあるから、これは七百万円台で田中と手を切つてもまだ十分もうかるという計算が葛西の腹の中にできているから、山口県がこれに立ち会いましてずるずる引きずり込んで来て、河崎君に判を押させてこれで契約ができたのだと言つて、火薬の使用許可を受けて艦をどんどん破壞して持つてつた。それが約五千万円であろうと……。こういう国有財産に将来なるかならぬかわからぬにしても、必ずいずれなるべきもの、あるいはまた価格のあるものを、わずか百万円で県が契約をして、しかもごてごてがあつた、御丁寧にそのごてごての手伝いまでやつて、協定書の契約の中に持つてつて、協定が実行できれば火薬をやろうというようなことを言つて、立会人河崎潔によつて七百万円の金を返すということを県が責任を帶びた、帶びた以上は県は火薬もやらなければならぬし、これだけのものを揚げさせなければならぬから、艦をどんどん破壞して持つてつて何千万円というものをもうけた、こういうことになる。この責任がどこにあるかというと、山口県にあるのであつて、決して建設省じやないと思うのですが、どうですか。七百万円のときに立ち会つたということがすでにおかしい。トン一万四千円しか利益がないものならば、五百トンというものを持つて来なければ七百万円にはならない。結局これは艦を破壞して行く、あなた方が見に行つたときにどんどんぶちこわしておつたのはあたりまえです。しかも大量に火薬を與えておる。二トン何ぼというのは莫大な火薬です。これは半年間に二トンの火薬であつて最初から何トン渡したかということを調べて行けば相当の火薬を渡している。ここらにもわれわれの納得できないことがある。大体七百万円の金を返すについて、一万四千円の利潤しかないのに七百万円の金を返すというのは、葛西がこの責任を負わすことについて、この協定に立ち会われた河崎君が――すでにここまで県がタッチするということは、七百万円の金を返すまではとられる。今のことの協議なり、稟議なり、これを訂正するなりの方法が当時の経済部長なり、あるいは商工課長なり、私は首脳部が打つべき手をなぜ打たなかつたかと思うのであります。この点をもつと納得の行くようにお教えを願いたい。
  225. 小田義男

    小田証人 申し上げます。七百万円の協定書を田中恒治葛西正美両氏が結んだということについて、県が七百万円の金を払わせるように援助してやらなければならぬという責任はもちろんないのでございますが、私自身も今仰せになりましたように七百万円というものを書いてあるのに、もう期限もわずかしかない、搭載物件というのもは限られたものなんです。これをなぜこういうような七百万円を払うというようなべらぼうな金額を書いておるのだろうかという疑問を私自身つたのです。それで私自身としましては、商工部長にも御相談をいたしまして、会社の幹部の葛西正美氏であつたか、その下の重役の武岡賢氏であつたか、どちらであつたか両者であつたかもしれませんが、商工部長室で話をいたしたのであります。先般、行かないというのに、弁護士その他からぜひ来るだけは来てくれこう言われるのでオブザーヴアーで行けというので行つたところが、とうとう判を置して帰つて来ておるのであります。よく話を聞けば、別に責任を持つというような意味で押したのでもなければ、七百万円どうこうというようなことで責任を持たされても困る、まして建設省というものは、先ほども申しましたように、十一月の前にはもうおそらく延期はできないだろう。また中国財務局大蔵省かいずれかにおいては、十一月三十日以降においては国有財産として艦体自体の払下げをやるから、こういうことでやつてみたらいいのではないか。期限ももちろんだ。それに七百万円というものをやつて県に責任を負わされては困る。そんなことは毛頭考えていないのだということを話したのであります。そうしたところが――今から結果論になつて参りますが、かりに大きな不正があつたというその結果において原因を探究します場合には、すべてその当時のことが、どうして気がつかなかつたかとか、あるいはもう少し常識的に考えるべきだということがあつたかもしれませんが、両氏あるいは武岡一人であつたか、要するに私たちは搭載物件というものを引揚げて金をもうけようと思つておるのではございません。西日本海事サルベージ会社というものは自分ではないけれども、前社長田中恒治氏は命をかけてまで陸奥とつ組んだ。リストにも載つていない、あるいは場所もわかつていないというのを、自分が探して発見して、県、建設省極東海軍まで陳情に行つて、この搭載物件許可をしてもらつた。しかし搭載物件だけではないのだ。もう大蔵省国有財産としても返還なつておるのだから、大蔵省がいずれ競争入札なりあるいは随契なり、いずれかの方法によつて陸奥というものの艦体自体を揚げられるということは、いずれ近いことだろうと思つておる。しかしそのためには、何といつても随契で行くのが会社としては一番いいのだ。そして西日本だけが多くのサルベージ会社の中でも、陸奥自体については一番よく実情も知つておるし、引揚げ自体は、搭載物件をやつておるのだから、ここで、その実績と技術というものを認められるならば、競争入札にも落札するであろうし、自分のねらいとしては随契でやつて行きたい、こういうふうに考えておるので、自分たちは戰艦陸奥というものの全体を揚げられるようなことを考えておる。そういうように思つておるのだ。こういうように大言壯語といいますか、事実そういうことを言うておるのであります。それでそういうことは大蔵省の方の御関係であつて、いつ競争入札をおやりになるやら、あるいは随意契約でおやりになるやら、そういうことはわからないではないか。こういうことを言うたのでありますが、自信のほどを示したのであります。戰艦陸奥をやれば、艦体自体を揚げれば、利益も上るであろうし、また世界的に有名なサルベージ業者になる。戰艦陸奥という世界的なものを揚げたということになる。こう言われるのでありまして、事実葛西さんでありましたか、武岡さんでありましたか、結果からいえば大言壯語ということが言えるかもわかりませんが、そのときにはまじめに真劍にとつ組んでおられました。現在でもあるいはそう思われておるかもしれませんが、とにかくそういうことをまじめにおつしやつておりました。私どもの解釈では、この七百万円というものについて、県は当然責任を持つべきものではないという解釈でごごいましたが、一応疑義を持つたのであります。何回も何回も和解するすると言つて、和解してはごちやごちやとこわれるというようなことで、この問題も、おそらくまたたく間にばたばたとこういうような契約書ができたのではないかと推定されるのであります。この問題について県は、協定ができたならば、ほんとうに両者そろつてこういう協定をつくりましたということができれば、作業はやらなければならぬではないか、こういうように考えたのであります。
  226. 田渕光一

    ○田渕委員 率直に申しますが、私の聞かんとするところは責任の所在であります。要はわずか百万円くらいの金で、国有財産契約の更改もせずにやつて来たということは、どこにこの責任があるか、といえば、いかなる事情があろうとも、われわれとしてみれば契約当事者である山口県を追究する以外にない。しかもこの契約書並びにそれから来たところの協定書にはつきり協定ができて、この第一回の金が渡されたならば火薬の使用を許そう。火薬の使用は県が握つておるのだから、この金の払いをしなければ葛西の方は火薬の使用ができない。そこで私どもこの七百万円という金を現認したものではありませんけれども、これはブローカーから集めたものだということを聞いております。陸奥は大きなものだから金を貸せというので、ブローカーから何百万円を集めて、その金を田中に與えておるのであります。だから大言壯語をしておるということは、もちろん西日本サルベージの名前を世界的にあげようというような、精神的な名誉をとろうという点もあつたかもしれませんけれども、利益があるからであります。少くともこの七百万円という金を集めたのは、当時の朝鮮動乱によつて非常にスクラツプの値段が上つて来たというので、ブローカーから金をとつてこれを田中に與えた。そしてうるさい田中と手を切らして、この金が一回でも行つたならば葛西の方に火薬の使用を許そうということで厖大な火薬を與えた。一体食糧やガソリンや何かを出すために倉庫を破つて行くのでありますから、そうたくさんの火薬はいらぬと思うのであります。それを六箇月の間に二トン五分といえば二千五百キロです。二千五百キログラムの火薬を與えておるとするならば、結局一年とすれば五千キロのものを與えておる。こういうようなことで、山口県は自分の沖にあるものだから、今となれば建設省指示だとかどうとか言つてあなた方は逃げるけれども、結局田中という者によつて陸奥の位置がわかり、それによつて山口県が骨を折つてあれらにやらす、結局山口県と田中との間に、あなたは知らぬかもしれぬけれども、最初契約した当時に、山口県にも幾分の利益を與えるのだというような意味から、だんだん以前の賠償課長時代から悪因縁ができて来て、それがあなたになつ機構改革で解散して、この引継ぎがあつて、あなたは契約の更改もせずにまたこれに二千五百キログラムの火薬を與えて、どんどん厖大な、想像もつかぬほどの火薬を與えた。しかも七百万円のブローカーから集めた金を田中に提供した。こんなところに山口県がタツチした。これは国会としても、私個人としても非常に不可解なのであります。これはどこまでも山口県の責任だと思う。山口県の責任はすなわち知事の責任であると同時に、担当官のあなたがこれは責任を負わなければならない。五千万円と言つておりますが、今日計算すれば一億になるかどうか、まだわかりませんので、数字をはつきり出してみましよう。また将来陸奥がサルベージによつて揚げられたらどれだけこわれておつたということがわかる。卵に仮定すれば半分こわれているかどうかわかつて来る。そうするとこれが、あるいはやみでスクラツプとしてどこへどれだけ流れたかということがわかり、結局国有財産の不正、不当な処分をしたということは、あなた方の責任ではないか。だんだんその責任を前任からついて行くとそうなる。だから拔打ち的に調査に行つたのだと言つておるけれども、それは拔打ち的に調査に行つたのではないと私は推察する。どんどん厖大な火薬を與えてやらすものだから、その辺の魚が死んでしまつて、その辺の漁民から猛烈な陳情が国会にあつた山口県に行つても問題にならぬので、何とかしてくれという陳情をわれわれ水産委員として受けた。それでわれわれは陸奥状態を調べてみようということまでやつた。だからどう考えても拔打ち的に、国家の財産を完全にするために見に行つたということは、先ほど私が言つた通り、水産委員の方へ陳情があり、国会がやかましく言うから行つたのであつて、決してあなたの責任、何とか国有財産を有利に処分しなければならぬという責任感から行つたのではないと、私の心では伺つておる。あなたはそういうつもりで行つたのじやないかもしれぬ、水産課の方にうるさく言われてしようがないというので行つたかもしれぬけれども、私はそう思います。結局五千万円なり、あるいは何千万円になるかしれませんがその責任をかりに山口県が負うとしたら、知事が負うのですか、あなたが負うのですか。あるいは山口県条例、あるいは今日の日本の会計法とか、あるいは支出負担行為というようなことで、これは中国財務局長に責任があるのか、この点をはつきりするのが当委員会目的であると思う。この点をひとつはつきり伺いたいのです。われわれが伺つておるところでは、あなたは責任建設省に負わせている。建設省指示によつてつたと言うがいずれ他の証人を呼べばわかるでしよう。現職のあなたが、つまり二十五年の五月からかかつて、すでに朝鮮動乱が起きて、どんどん物価が上つて行くときである。こういうような意味から考えてみると、どうもあなた方のやつて来たことが、国有財産を完全に、いわゆる国家のために、民生安定のために使つたと、私ら思えないのです。一部のブロカーあるいは一部のこういう不正な者――これは実際に不正をやつたのです。不正な業者と結託してやつてつた。たまたまこの問題が起きて来て国会で調べたら、あなたは結論としてそう逃げておるけれども、この点率直に責任があなたにあるのか、知事にあるのか伺いたい。もちろんあなたにあることは、知事にありますが、その点をひとつはつきりしてもらいたい。これはどこまでも建設省責任だ、山口県の商工課責任でないならないとはつきり言うならば、われわれはさらに追究して行きます。
  227. 小田義男

    小田証人 私は途中からこの問題の事務を引継ぎました関係もございますが、いろいろの点を考えてみましたときに、決して建設省だとかあるいは大蔵省の方面に責任があつて、県に全然責任がない、こういうものではないと思います。しかしながらこの問題は、たとえばかりに自治法によつて、国が法令に基いて県に委任をした、こういう場合にそれが適合するものだとするならば、こういう問題が起きたときの責任は、共同責任ではないか。どちらも善意を盡してやれるだけのことをやつて起きた問題です。また国有財産なつておるので、県としましては、こういう非常にむずかしい作業をやつておりまして、できる範囲内においての監督その他はやりましたが、国有財産所有者である大蔵省においても、十分県と一緒に共同で、ひとつ監督をやつていただけないでしようか、こう申し上げて、現地を県の費用で御案内申し上げた。こういうような関係もありまして、この点は大蔵省の方も、県も、建設省も、責任はお互いにあるのじやないか、こういうように考えるのでございます。これは私自身決してよそに責任をなすりつけるというような問題ではないので、そういうように自分の方としてはできるだけの方法でやつて来たのです。それでこういうことになつて来ますと、それでは十一月三十日に打切ればよかつたじやないか、あるいは一番最初の、二十四年の六月か二十四年の十一月のときに打切ればよかつたと言われるかもしれないが、二度目のときにはすでに国有財産なつているのです。それを建設省大蔵省の方で御相談になつて御許可になつた。県はこれには権限がないのでございます。その点なども十分御承知いただきたいと思うのであります。それで問題ができたときには、それは県に責任がある、こうおつしやられると、県は責任はない、こう言うわけにも行かぬわけでありますが、やれるだけのことをやつてそういう問題が起きて、しかも県は延期することの権限は全然ないので、あの時期においては、結果論から申せば、艦体搭載物件を掲げるより、大蔵省艦体全部を掲げるべき時期だつたと思います。こういう点を十分お考えいただきまして、私どもとしましては、すべてお互いにこの問題については責任があるのじやないか、こういうように考えるのであります。
  228. 田渕光一

    ○田渕委員 責任を回避するのではなくて、お互いにあるのではないか、こういうようなお話まで進んで来たのでありますが、そうすると、こういう問題が起きたときに、山口県当局と中国財務局当局もしくは建設省当局と、公文のとりかわしはありましたか。こうして行く、こうしなければ結果において山口県の責任になるが、あなたの方はどうだというようなやりとりがございましたか。その御記憶はございますか。
  229. 小田義男

    小田証人 私が引継ぎましたとき、資料によつてその点は記憶しておるのでございます。それは建設省極東海軍から、政府の責任においてやれと言われて許可をとられたときに、県にこういう方法でこの問題を委任するから、作業の事務監督をやれというのでやり方の方法、処分等にまでわたつて委任公文書でされて来たのであります。それは單にこういう事業をお前の方に委任するからやれ、こう言われたのではなくして、こういう方法で監督なり、作業委任をやれ、こういうようにおつしやつて委任を受けたのであります。二十三年の十二月の暮れに建設省から、その話が公文書で参りまして、県は二十四年の五月二日付をもちまして、この問題については一つの条件をつけてくれということで、建設省公文書をもつて回答を要望したのであります。その要望事項と申しますのは、今の監督の件につきましては、「引揚げ作業に関する業務監督及び責任の限界」こうなつておりまして、「引揚げ作業に関する業務監督については、特に遺憾なきを期するため、業者に対し嚴重なる注意を発し、他面随時作業監督等を実施しまするも、官庁監督についてはおのずから限界のあることを了承していただきたい。万一県が監督を周知徹底させておいて、なおかつ業者が指示、注意に関して惹起せる諸為については、知事はその責任を負わざるものとする。」こういうことを書いて、これは法的に有効であるかどうか別といたしまして、当時の県の立場からいたしまして、非常に不便なところであり、それからまだ全国的にもこういうことをやつていないし、四十メートルもある水深の底に沈んでおる戰艦陸奥の中にある搭載物件引揚げるその監督を、県がやるということについては、なかなかむずかしいということで、県は建設省に五月二日付をもつて、意見を聞いたのであります。その結果五月十日付をもちまして、「沈沒せる旧日本軍艦陸奥引揚げについては、何月何日をもつて実施方針について照会があつたが、本件は貴見通り実施してさしつかえない。右回答する。」という文書が参つておるのでございます。これが法的にどうかこうかということについては、研究その他の何もあると思いますけれども、そこまで建設省委任された事項についてお引受けするについては、県は躊躇して、それで建設省の方に十分にその点を含んでいただきたい、こういうような手を打つて公文書もあるのであります。
  230. 田渕光一

    ○田渕委員 大体責任の所在というものは、われわれはいろいろあとで判定を下しましようが、建設省その他大蔵省、とかくそれなんです。これはもう厚生省の何を調べてもその通りで、監督権を地方の知事にまかす、地方の知事との間の横の連絡もちつともとれていなくて、責任がどこに行くかわからなくなつてしまう。そこで少くとも当時の、あの大東亜戰争前と今日の価格の何からいつても、あの当時の何億という、いわゆる国民の血税によつてつくられた艦が、国有財産に返つて来たならば、やはり何十億なら何十億の価格のあるものは、こわれて海に入つておるものでも、国有財産とすれば、国民の血税のものなんだ。これはいかに建設省責任、あるいは財務局責任に、かりに結論において転嫁することが山口県としてできても、結果が、今日五千万円か何千万円かわかりませんが、日立の製作所へスクリユーが送られておるということがわかつて来た。こういうようなものを、トン二十万円か三十万円、四トン百万円で売つて、結果がこんなぐあいになつた。それから契約にまで立ち入つて行き、両方厖大な利益を得た。これはまあわれわれは技術家、專門家、エンジニアから聞きましよう。少くともこれぐらいのものはどのくらいのものか、聞いて行けばわかるのでありますが、少くとも今日あなたの心境は、商工課長としての自分責任を、国有財産を処理する、あるいは建設省財務局から委任された事項といいながらも、山口県当局として、これはどうしても責任を完全に果していなかつた責任の一端が確かにあるということを、あなたは言われておるけれども、まつた自分たちの監督の不行届きと、他の部下の、係長が契約協定書の内容にまで立ち入つていたというような責任から、国家にこれだけの迷惑をかけたということに対するあなたの御感想はどうですか、率直に。
  231. 小田義男

    小田証人 本件につきましては、県といたしましてはいろいろの手を打ちまして、監督の実務にも当りました。また建設省には重要なことはいろいろと御指示を得てやりましたし、国有財産になりましてからは、先ほど来るる申し上げますように、財務局にも御連絡は申し上げて、いろいろとやつておりますけれども、現実の問題として、監督委任を受けるその作業状態が、非常に惡いコンデイシヨンにある。しかも一応責任は負われないという了解を知事は建設省にしておりますけれども、現実の問題としてこういう問題が起きたということについては、はなはだ申訳ないと、かように思つております。
  232. 田渕光一

    ○田渕委員 もう一点だけ。先ほど佐竹委員からの御質問があつたのですが、十二通の許可書というものが、宇品の警察署にあつた。それが九通しかない。三通というものを山口県で引破つたらしいというような話をされていましたが、こういうことについてお聞きになつたことがありますか。
  233. 小田義男

    小田証人 私自身先ほど申し上げましたように、そのことについては記憶をいたしません。存じておりません。
  234. 田渕光一

    ○田渕委員 県当局で知らぬとすれば、私はこれはこう思います。少くとも西日本サルベージが被疑者として今あがり、検察庁で調べておるように伺つておりますが、そういうつまり被告人に不利な書類を警察自身が破る必要はないんだ、もしも西日本海事工業が、県の許可書が何だといつて、スクラツプで売るがために偽造してつくつた書類であれば、警察がそのつくつた行為者、行使者に向つて、その罪を何すればいいのである。これを警察が破つたということは、県そのものが、出しておることが不利であるから破られたというように私は伺うのでありますが、こういうようなことについで、全然三通の書類がなくなつたとか、いや警察からあなたの方へ問合せがあつたとかいうことはございませんか。少くとも宇品の警察には、調べるならば十二通の許可書というものの写しがあるわけなんです。私はそう思う。これから調べて行けば。それについて県当局でなくしたとかどうとかいうようなことは、合同捜査本部あたりからでも、あなたは聞いたことはございませんか。この件に対して。
  235. 小田義男

    小田証人 宇品において書類がなくなつたということ自身は、私は聞いておりません。
  236. 浦口鉄男

    ○浦口委員 最終責任建設省か、大蔵省かということは、証人証言によつても大体うかがえたのでありますが、ただ私思いますことは、何と申しましても、現場直接の監督責任山口県に相当ある、こういうふうに考えていいと思います。そこでお伺いしたいことは、最初着手にあたつて昭和二十四年六月二十日に県と西日本海事工業との間にとりかわされた契約書は、二十五年の七月引揚げ再開後の仕事にも、この契約書がやはり継続的に効力があるということを、私先ほど証人証言の中から承知をしたのですが、その点念を押しておきたいのですが、いかがでしよう。
  237. 小田義男

    小田証人 最初契約が生きておるものだ、効力のあるものだ、かように考えております。
  238. 浦口鉄男

    ○浦口委員 そういたしますと、それに付随した業務監督要綱と作業計画というものに、二十四年の六月二十四日に西日本海事工業に対して県から業務監督要綱を示して、引揚げ作業監督するということが出ているわけです。この中に、第一に、県は業務監督更員二名を置き、西日本海事工業株式会社の旧日本軍艦陸奥搭載物件引揚げ及び処理に関する業務監督するものとするということが、最初に書いてあることは御承知と思います。しかもこれと関連をいたしまして、ただいま証人山口県知事から建設省に対する照会事項の中で、監督の限界についてお話になりました。これは県としては上級官庁に対しての免責条項という面で、証人は県に都合のいいところだけを今言われた。ところが都合の惡いところが一つある。それは知事より建設省に対する照会事項の終りに「尚業務監督作業現場に專任監督吏員を常置するものとす」という条項がありますが、これも先ほどの証言からいえば、全部の条項をひつくるめて、建設省からこの通りやれ、こういう承認があつたと了解するのでありますが、この条項とただいまの業務監督要綱と、両方照らし合して見たときに、現場業務監督吏員を常置する、あるいは二名を置いて、引揚げ及び処理に関する業務監督するということが、はつきりとうたわれておるのですが、現実にこれが完全に行われていたとすれば、われわれはこうした不正が最も早い機会に中止することができた、こう思うですが、その現場における監督状態を詳しくお話願いたい。
  239. 小田義男

    小田証人 申し上げます。これも私前任者から話を伺つたのでありますが、最初の計画はやはり現地に人を駐在させる、こういうような考え方でもありましようし、もう少し大きく考えれば、監視船くらいも雇おう、こういうくらいに考えておつたようであります。ところがここにもございますが、経費はやはり国費でいただきたい、こういうような関係で経費の面から建設省にお願いをしておるのでございます。しかしこれは何と申しましても、現実の問題として相当な経費がかかるわけでございますので、建設省としても御無理だと思います。また監視船を雇う、現地へ宿舎を置いて駐在員を置くというようなことはなかなかむずかしいというようなことから、この業務要綱では業務管理員、つまり担当の吏員を置いて監督事務に当らせる、こういうようにいたしたこういうように私承知しておるのであります。
  240. 浦口鉄男

    ○浦口委員 そうするとたいへん人が惡いようですが、こういうふうにしつかりと業務要綱あるいは建設省に対しての照会事項ではつきり約束しておいたが、建設省から予算が出そうもないまた出なければ県としては予算がない、だからやむを得なかつた。こういうことになると思うのですが、そういうふうに理解しておいてよろしいのでしようね。
  241. 小田義男

    小田証人 申し上げます。これは決して建設省にいろいろと予算をいただいておらぬのでございまして、予算を建設省からいただかなかつたから船も買えなかつた、あるいは常置することもできなかつた、こういう意味ではございませんが、予算はいただいておりますけれども、それだけの大がかりの監督をするほどの予算を、建設省においてもいろいろの御都合もおありでしようし、いただけなかつたので、できるだけの監督をいたした、こういうわけでございます。
  242. 浦口鉄男

    ○浦口委員 そうするとまあ現地に常置できなかつたが、現実にどの程度監督をされたか、そのことをお聞きしておきたい。
  243. 小田義男

    小田証人 山口県の柱島の現場は、船で参りますと、山口県の柳井というところから船を出すのが便利なのであります。それで山口県の土木部に柳井の土木出張所というものがございまして、そこに非常にチヤチな船でございますが、船を持つておりますので、その船を借りまして現場に行く、それで先ほど申し上げましたように、財務局の方を御案内したのもこの船、建設省の方を御案内したのもこの船であります。ところがそこは二里、三里ぐらいまでは波もしずかなのでありますが、四時間、五時間ぐらいかかるので、相当の時間先へ出ますと、もう小さな船ですと、一月、二月はもちろんのこと、今ごろでも相当波の中へ巻き込まれるぐらい船が動搖して、非常に危險があるというようなところでございます。建設省の方や財務局の方を御案内しても、途中で船醉いされて、もう帰ろうかというような状態であるというような場所でございます。そこはしかし県の職員は大分なれて、船の方も大分強い者もおります。そういう者で、特殊物件の係もおりますので、現地へも船でも参りますし、また船で行きますと、やはり片道五時間、往復で十時間もかかりますので、相当な経費もいるわけであります。そういうような関係で、しよつちゆう船ばかりお借りするわけにも行きませんので、汽車で大畠という港へ行きまして、そこから大島郡という島に渡りまして、またバスへ四、五時間乗つて、夕方現地へ着くというような現状でございますが、やはり陸路で参りましても、漁業組合の方々やあるいは村役場の方々にもお会いして、現場のお話をして、そうして船を出していただいて現地に行く、こういうような方法を繰返さしておる、こういうわけでございますし、それよりほかに当時としては――結果的から申しますと、やはりもう少し大々的にということも考えらるべきじやないかと思いますけれども、当時としましてはそういう方法で実施をいたしたのでございます。
  244. 浦口鉄男

    ○浦口委員 大体現地の状況はわかりましたが、それだけに私はどうもお役所のやり方というものは納得が行かない。書類の方だけは非常にりつぱにこういうふうに、こういう契約書で、こういう約束で監督をしているのだ、しかしまあ事件が起きると、やつていたはずなんだが、どうもこの通り事実が行かなくてまことに申訳ないということが、実際の役所の常識になつている。私は最初こういう契約をきめるときに、やはり現地のそういう情勢はわかつていると思う。それができてから波が高かつたとか、いろいろお聞きすることは、まことにわれわれとしては遺憾なのですが、これはこれ以上追究はいたしません。  そこでもう一つお尋ねしておきたいことと、この売却物件につきましては、売却調書とか、あるいは諸経費の明細書というものが提出されることになつていたと思います。これは私はちよつと今数字を覚えませんが、月に一回とかあるいはその引揚げ料金は月に三回というふうに出ることになつていたと思いますが、これは必ずしも現地に危險を冒して行かなくても監督できたと思いますが、その点どういうことであつたか。おそらくこの引揚げに該当しない物資が相当民間会社に売られておるということは、事務局調査でも出ているわけです。しかもそれは二十五年の十月再開以後になつて相当数量出ているわけです。この売却調書及び諸経費の明細というものが、最初に言う通り実際時期的に提出されていれば、私はことしの三月二十三日ですか、拔打ち的に調査に行つて、それまでは知らなかつたというような、こういうどうも想像のできない事態は起きなかつたと思います。そこで諸経費の明細あるいは売却調書というものがはたしてその約束通り出て、それに対して監督が行われたか、もう一つは作業計画書というものが出ておることになつておるのですが、それが出ておるか、その実情を詳しくお聞きしておきたい。
  245. 小田義男

    小田証人 申し上げます。規定によりまして作業計画書あるいは日報というようなものが出ておつたかどうかということでございますが、これは日報、作業計画とも出ておつたと思います。その点につきましては、係員を置きまして、いろいろ検討を加えてやつてつた、こういうふうに考えておるのでございます。国警あたり、合同捜査本部でお調べになりました結果の、いろいろなものについての引揚げというようなことは、県の方に、日報にはスクリユーというようなものを揚げたというようなことはもちろん出ませんので、その点につきましては作業計画書等その他すべて出ておつた、こういうふうに存じております。
  246. 浦口鉄男

    ○浦口委員 そうするとその間において課長さんは多分判を押されると思うのですが、引揚げに該当しないものが相当出ているというところに、その判を押される途中において疑問をお持ちになりませんでしたか。その点いかがですか。
  247. 小田義男

    小田証人 私どもの県の方に係を経由して参りました書類には、そういう不正なものを揚げておるということの内容は記録してなかつた、かように考えるのであります。
  248. 浦口鉄男

    ○浦口委員 そうすると、これは西日本工業が虚偽の申告をしていた。事実揚げていたものと別なものを、いわゆる役所に通りそうなものだけを届けて、役所を通らないような、いわゆる艦体を爆破したものとか、そういう引揚げに該当しないであろう物資は届けないで横流しした、こういうふうに考えられるわけですが、その点いかがでしよう。
  249. 小田義男

    小田証人 この問題につきましては、検察当局で愼重に御調査なつておりますので、この点につきましては、私もその結果を待つてみなければいけないのではないかと思いますが、少くとも私たち自身がどうもそういうように考えられるのでございます。
  250. 井上良二

    井上(良)委員 たいへん時間がおそくなつ証人には御迷惑と思いますけども、重要な点を二、三伺つておきたいと思います。  最初に、引揚げ契約を九十三万三千円でいたしておりますけれども、一体九十三万三千円と見積つた根拠はどこにあるのですか。それを伺いたい。
  251. 小田義男

    小田証人 この問題につきましても、私、書類によつてお答え申し上げますが、この九十三万三千円の所定物資の所定数量を引揚げた場合の算出の基礎でございますが、一応総益金をふみまして、この総益金から差引き純益金が出まして、そのうちの業者の利潤を二割見たのでございまして、結局海の中にあります入札する対象の物件引揚げ後における販売予想価格より、引揚げに要する見積り諸経費を控除いたしました価格を売却価格にした、こういうことになつておるのでございます。
  252. 井上良二

    井上(良)委員 これはあなたの時代でなかつたから、書類の上の答弁しかできぬと思いますけれども、海の底にありまして、実際現物を押えているものではないわけですね。その押えているのじやないものを、そういう九十三万三千円というはした金で評価するというのが実におかしいのです。どこからそういうそろばんが出て来るのですか。何ぼあるやら事実わからない。それもあなた方が海の底へ入つてつて調べてみて、ここに書いてある数字のようなものが現存しておるという確実な証拠を握つたがゆえに、これを揚げた場合、当時の価格に換算した場合これで売れる。だからこれだけの口銭があるからこれだけの価格で妥当だ、こういうのなら話はわかるが、一体九十三万三千円という価格をきめた根拠は、物を確認した上に立つていないのでしよう。これだけのものが必ず沈沒しておるという確認の上に立つておるのですか。この数字の根拠は……。
  253. 小田義男

    小田証人 このケースは海の中に沈んでおる搭載物件をそのままの姿で入札をやつて価格をきめたというやり方でございましてこれはここに非常にむずかしい問題その他いろいろと……。
  254. 井上良二

    井上(良)委員 私が聞いているのは、何ぼあるかわからぬけれども、そのくらいあるだろうというところのおよその見当ですね。これはそれよりしようがないでしよう。
  255. 小田義男

    小田証人 そう思います。引揚げ見込量となつておりますから……。搭載推定量はこのくらいある。引揚げられる見込量はこのくらいある。だから実際にやつてみた場合に、引揚げた実績は、物があるかないか、引揚げられる量が多いか少いか、増減は多少ある、こういうことになりましようしその点ははつきりしなかつたわけですが、それがために一定の品目につきまして、一定の数量をベースにしまして入札をした。ワイヤーが五十トンなら五十トン海の底に陸奥搭載物件としてあつた場合に、揚げたときには何ぼでこれが売れるだろう。しかしその場合、揚げる経費はどれくらいかかるだろうというようなことから算定をいたしまして、九十三万三千円とした。だからその当時競争入札をやつたときに、六社であつたけれども、こんなことではというようなこともあつたのではないかと思いますが、四社棄権をしておるというようなことでございます。
  256. 井上良二

    井上(良)委員 私の聞いておりますのは九十三万三千円と査定した根拠でございますから、今おつしやるように、たとえばあなたの方がガソリンならガソリンのドラムカンが何ぼあるということを押えて、それで引揚げる経費がこれだけかかる。だから当時の価格にしてどうしてもこれだけの値打があるという査定価格でないわけです。これは何ぼあるかわからぬ。これくらい揚るだろうという一つのまるきり雲をつかむ想定の上に立つておる。あなたの方が潜水夫なら潜水夫を入れまして、実際くまなく搭載物件調査した結果なら、これだけ現物がある。しかし工事のいろいろな都合や、また荷役等の都合によつて損傷を生ずるものも出て来ようから、十本のものならそのうち六本しかしらぬ、こういうようなことは言われると思います。しかしその十本を押えておるか押えていないかということが問題です。私の聞いておるのは……。それだから現物を確認した上でその全体の価格を査定して、それで売渡しの契約をするというか、そういうことになつているのですか。そうじやないでしよう。時間がないからそこを簡單にお願いします。
  257. 小田義男

    小田証人 この問題は県もいろいろサルベージ会社から資科をとつたと思いますが、はつきり申し上げますと引揚げ見込み量でいろいろな査定をいたして金額を出した。そうしてもし作業をやつた場合に、この九十三万円で損をした場合には、県は責任を持たないというような入札者との契約なつておるのでございますから、あくまでも引揚げ見込量で一定の品目と、一定のその品目に対する引揚げ見込量ということで、数学的には見込みで行つたのだ、こういうように考えております。
  258. 井上良二

    井上(良)委員 次にさきに問題にいたしておりました火薬の使用の問題であります。使用を許可するにあたりまして、たとえば引揚げ予定物件がこういうところにあるから、これとこれとを破壞しなければその引揚げ予定のところまで行けない。それにはこれだけの火薬がいる。そういうような船の沈沒しておるあり姿を現物に直して、そこで爆破すべき箇所をあなた方の方に指示して、これとこれこれを爆破しなければ搭載物件のところまで到達できない。その爆破すべき箇所は、これこれこれこれである。いわゆるそれは通行する通路ですね。そういう船の爆破すべき箇所を具体的に明示した書類がなければいかぬのです。それに伴つて必要な火薬なら火薬がこれだけ必要だということで、あなたの方が火薬の使用を許可するわけです、その具体的な艦の沈沒状況に応じて、搭載物件の所在地を明記した艦の爆破作業を実施するための具体的な計画書といいますか、そういうものがありますか。
  259. 小田義男

    小田証人 火薬の使用につきましては、使用の用途並びにこれに要する図面説明書というようなものを出さして、これを檢討してやる。こういう方法でやつております。
  260. 井上良二

    井上(良)委員 それにそんなにたくさんの火薬を必要とするものでございますか、たとえばここへお示しになつております重油、揮発油、需品庫や油槽庫、油を積んであるところ、それから纎維品、食糧品、ワイヤー・ロープ非鉄金属こういうものの置いてありますところを爆破するのに、そんなにたくさんの火薬がどういうわけでいるのです。艦の構造も知らぬようなしろうとに話をするようなことを言わぬようにしてもらわぬと……。横に倒れておろうが、ひつくり返つて倒れておろうが、大体陸奥の艦の構造というものはこうなつておる。ここは食糧庫だ、ここは油槽庫だ、ここは何を入れてあるところだとすぐわかるのです。外板を爆破すればすぐそこには行き得るのです。何重も何重も壞して行かなければ目的物に達しないほどの手間のかかるようなものではないのです。だから外板なら外板を爆破すれば、すぐにどこにあるということは大体設計でわかつておりますから、そういうことから考えて見て、あまりにも火薬の使用が多過ぎるというところにわれわれは疑問を持つてつて、ここにそもそも不正が行われる大きな原因が発生しておる、この火薬の莫大な使用というものについて、いわゆる特殊物件引揚げだけにそんなに多くの火薬は必要ではない。逆に最初あなたがお話になりましたような、英霊の引揚げについて、英霊の捜査上、あらゆるところをくまなく捜査する必要があつて、爆破しなければ十分な捜査ができぬということで、最初英靈捜査の目的で爆破するということならまだ話はわかるのです。ところがこういう特殊物件を置いてある倉庫というものは大体もう位置は限られているのです。そこを穴をあけて、人が通るくらいの穴をあけ、物がひつぱり出せるくらいの穴をあけるのに、そんなに大きな火薬がいるということはわれわれしろうとは常識から考えて想像できない。そういう点は全然検討はされないのでございますか。一体どういう火薬使用許可書類が出ておりますか。その書類を持つておりますか、そこに……。
  261. 小田義男

    小田証人 その資料はございません。この問題につきまして、私の方でも、六箇月間に使う場合に、いろいろ平均して使えばこのくらいいるのじやないかというふうに、火薬の方も一応係が認定をしてやつたのだと思うのでございますが、その辺につきましては、普通の陸上のこととも違いますし、実際の点として多い少いの問題につきましては、結果的に見ると、艦全体の――今申されたような艦の構造自体というものが、潜水夫の方に探らして、こういうふうなことになつているのだから、こうだということを会社の方でおつしやれば、そうかなと思つた。要するに錯覚に陷つたというようなことも、今のお話を伺いまして考えられるのでありまして、その点につきましてはごもつともだと思います。
  262. 内藤隆

    内藤委員長 ちよつと井上さん待つてください。ちよつと関連していますが、特殊物件である場合には、その特殊物件のしまつてあるところを爆破して行かなければ出ないことは間違いありませんな。これは契約に載つておるのですか、明記してあるのですか。そこを爆破して行つて特殊物件を出せということを……。
  263. 小田義男

    小田証人 契約にはございません。
  264. 内藤隆

    内藤委員長 ないのでしよう。
  265. 小田義男

    小田証人 はあ。
  266. 内藤隆

    内藤委員長 それからもう一つ、国有財産になると爆破できないでしようできますか。
  267. 小田義男

    小田証人 この問題は国有財産になつた場合、艦体自体は大藏省のものである。それまでは連合軍のものである。しかし搭載物件は、大蔵省の方でも艦体をまだ引揚げにならないということと、それから建設省の方でも、契約を今申し上げるように延期もやつておられるということで、私ども自身は継続をやるということについては当然できるものだ。ただ艦体搭載物件を引き出すため最小限度の破壞とはやむを得ないのじやないか、これを引揚げてはいかないけれども、搭載物件を揚げるために、艦体の一部を最小限度に破壞して損傷するということはやむを得ないのじやないか、こういうふうに考えております。
  268. 内藤隆

    内藤委員長 考えておるが、それも契約書にはないのでしよう、そういうことは明記してないのでしよう。
  269. 小田義男

    小田証人 ございません。
  270. 内藤隆

    内藤委員長 さらに国有財産だと、これを処分するには処分すべき法的根拠がある。そうでしよう。そうしてしかもそれは爆破してはならぬとなつておる。現実にそれを爆破しておるでしようこれはお認めになりますか。
  271. 小田義男

    小田証人 その問題につきましては、所有者でありますところの財務局の方へも御連絡は申し上げておる。それである程度の御了解を得なければ、大蔵省の方でそれはけしからぬ、もうやめてくれ、こうおつしやれば私の方はやめるのだけれども……。
  272. 内藤隆

    内藤委員長 やめるのだけれども、了解があつたと、こういうわけなんですね。
  273. 小田義男

    小田証人 そういうふうに感じております。
  274. 内藤隆

    内藤委員長 そういうわけなんですね。
  275. 小田義男

    小田証人 はあ、それは公文書を出しております。
  276. 内藤隆

    内藤委員長 それでは井上さん。
  277. 井上良二

    井上(良)委員 あなたの方に西日本海事工業から作業計画書を出されておりまますね。その計画書によると、今私の聞いております特殊物件の格納されております艦の位置というものが全部報告されている。たとえば食品はここにある、纎維品はここにある、ワイヤー・ロープはここにある、揮発油はここにある、重油はここにあるというあり場所が全部計画書で報告されておるのですね。それをこう見ておると、今私が申し上げましたように、爆破作業に必要な火薬はそんなに使わなくても行けるところばかりなんです。私昔造船をやつておりましたから、よく船の内容は知つておるのです。それだから、そういう点から考えて、必要以上のものが渡されているということは、これを引揚げするだけの火薬使用の目的ではなしに、別の目的に火薬が使われたということが明白です。これが一つ。それから火薬をどんどん使い出してから後に、いわゆる民間会社引揚げ物件がやみで賣り出されたというのと、ちようど時期が一緒になつているのではないか。あなたが火薬の許可をどんどん與え出したときに、引揚げ物件が民間の会社にやみ賣りされて行つている。そこに警察や検事局が活動を始め出したという前の方が、一番よけいあなたは火薬を出しているのではないか。そうあなたは思いませんか。
  278. 小田義男

    小田証人 私自身事件になりまして国警の方でお調べになつて、その被害状況をお聞きしまして、火薬をもつて艦体の一部を破壞したのだ、こういうように国警あたりでお話を伺つておるのであります。その点につきましては、詭弁になるように思われるのでありますが、私の方が火薬をやつたということは決してそういう意味ではございませんで、六箇月間にこの程度やればいいじやないかというふうに考えて渡した、艦体の一部を破壞してはいけない、こういうふうに十分言うてあるので、その点は……。
  279. 内藤隆

    内藤委員長 証人に重ねてお伺いしておきますが、私の質問に対しますあなたの答弁は、爆破してもよいというふうに、大蔵省なり建設省、いわゆる国有財産の帰属の役所が了解しておつたとただいま証言されましたね、その点どうですか。
  280. 小田義男

    小田証人 火薬をもつて艦体の一部を破壞いたしまして搭載物件引揚げるということについては、正式に公文書で、火薬でもつて一部破壞して搭載物件引揚げるということはよろしゆうございますかということの了解はとつておりませんが、超過引揚げ物件とか、あるいは非鉄金属引揚げとかいうことについての一切の御報告は御承認を得ているので、当然それはこういうふうにお考えになつておるのじやないか。……
  281. 内藤隆

    内藤委員長 国有財産に移管された場合、やはりそういうふうにあなたの方では了解があるものとしておつたのですね。
  282. 小田義男

    小田証人 私の方では、国有財産になりましてからは、財務局のお係の方にも現地を見に行つていただいているのです。それはちようど爆薬をかけて作業をやつておるだろう。もちろんその後、火薬を使つて引揚げてはいけないということもないので、私の方の一方的な解釈かもしれませんけれども、私の方ではそういうように考えておりました。
  283. 内藤隆

    内藤委員長 当委員会事務局の調べでは大蔵省からは、爆破してはいけないと県に再三の通告を発したが、県はこれを無規してやつておるという調べですが、どうですか。
  284. 小田義男

    小田証人 その点につきましては、国有財産になつたので、艦体を破壞して、艦体の一部を揚げるようなことをさせてはいけない、こういうように私の方は解釈をいたしておるのでございます。
  285. 井上良二

    井上(良)委員 さらに進んで伺いたいのですが、問題、あなたがさいぜんお話になりましたように、英靈を搬出するといいますか、優先的に出そうというときには、火薬は全然使つていないのでございますね。それからその後においても火薬はほとんど使われておりません。あなたの代になつてから火薬が非常に使われ出しておる。そこで問題は、あなたの代になるまでに、この会社がごたごたして、いわゆる予定通りの成績をあげることができず、そこに朝鮮動乱がからんで来て、これに対する魅力というものが非常に強くなつて来て、必要以上の火薬を使う理由をことさらにくつつけて火薬の請求をした跡歴然です。というのは、あなたの方に出しておる作業計画書によれば、かりに爆破しなければならぬ箇所があつたにしても、少量の火薬で済んでおる。これだけの物件を搬出引揚げするのにそんなに多量の火薬を必要としないということは、常識上わかりきつておる。それをあなたがしろうとであつたというか、あるいはまた業者の言うことが妥当と誤認したか、まつたく具体的事実について検討を加えずに火薬の使用を許可したというところに搭載物件以外のものが爆破されて引揚げられ、それがやみに流されておる。この火薬をあなたが出したというところに、問題を起した重大な責任があるわけです。そこはよくあなたは考えておきませんと、いろいろと契約がどうのこうのというよりも、この火薬を使用しなくてもよいところに使用した、必要以上の火薬をあなたが出した結果、そういう不正を起す原因をつくつているわけである。火薬がなかつたら、そんなことはできはせぬ。そこに大きな原因があるということを考えなければならぬことが一つ。いま一つ、さきに質問されておりましたが、この引揚げ作業についての監督ですが、この監督をまつたく形式的にあなたはおやりになつた。これは言い逃れはできません。嚴重に監督したとは言えません。その監督する経費の問題について、主管省たる建設省にそんなことを申し入れても、はたして経費をくれるやら、くれぬやら、わからないだろう、またそんなことを申しても、実際上くれぬだろうという一つの想定のもとにおいてあなたが処理されておる。具体的にこの現場監督をやるためには、これこれの監督の人件費を必要とし、かつ監視船を必要とし、また合宿所を必要とする。しかもこの引揚げに対してはどのくらいの日時がかかるから、これに使用する経費はこれだけいる、この経費を建設省は出してくれるか、くれぬかということも、予算をもつて正確に建設省に要求いたしましたか。
  286. 小田義男

    小田証人 お答え申し上げます。予算の問題につきましては、二十五年末二十六年も予算書をつくつて要求をいたしておるのでございます。
  287. 井上良二

    井上(良)委員 監督をするために必要な人件費が、大体二人くらいの者を県からは現地へ出すことになつておるそうですか、二人くらいで十分監督ができるのか。それに要する経費ですか。それともさきにあなたがおつしやつたように、監視船を持ちたいとか、あるいは監督者の基地における宿舎を設けたいとか、そういう人件費及び設営費、船の借入費、そういう総合的な予算を建設省に要求したけれども、建設省はこれを聞いてくれなかつた、こういうことですか、どういうことですか。
  288. 小田義男

    小田証人 当初におきましても、監視船を雇い入れる、それから常置をするというので、はつきりした数字は申し上げられないのでございますか、七十五万円くらい要求した、こういうふうに聞いております。それから二十五年、二十六年においても予算のお願いを申し上げて……。
  289. 井上良二

    井上(良)委員 それに対して建設省はどういうふうでありましたか。全然認めないのですか。
  290. 小田義男

    小田証人 二十四年度におきまして、この問題については今までに五、六十万円いただいておるように考えております。そのうち二十万円は船の中の調査をする費用に使われておりますので、監督の方ではありません。こういうように私どもの方では考えております。
  291. 井上良二

    井上(良)委員 この七十五万円というのは、第一回に二十四年度にこれだけ監督の費用がいるということで要求したのでございますか。それを覚えてないのですか。
  292. 小田義男

    小田証人 おそらく船を雇い入れるにつきましての二十四年度間の経費ではないかと思つております。
  293. 井上良二

    井上(良)委員 そうするとあなたの県の会計というか、あなたのところのやり方というものはちよつとおかしいね。というのは、これは全体を引揚げてもらつたところで九十三万円、そこをあなた監視だけに七十五万円を一年に使うということはないだろう。これは一体どうなんですかね。七十五万円は九十五万円とプラスした上で請負わすということなら話はわかるけれども、えらいまた御奉公したもんじやないか。
  294. 小田義男

    小田証人 それはやはり四十メートルも深いところに沈んでいるものを、しかも搭載しているものを上げるために所要経費がかかるから、結局の売上げ値段というものがその程度になつたのであろうと思うのでありまして、そのために監督の経費が高くつく、こうおつしやるのはごもつともだと思うのであります。その程度のことについては、私自身七十五万円であつたかどうかということについても私の記憶であります。
  295. 井上良二

    井上(良)委員 今あなたは、小さい船で現場へ行くのに往復十時間もかかる。しかも航海は非常に安全ではない。そういう事態においては十分監督ができぬ。さらにまた陸路を利用しても相当長距離を要するので、実際上監督は十分にできていないという事態をあなたは考えて、もう少し監督をしつかりしないと、もし問題が起つたときに困るでしよう。そこで監督について必要な経費というか、処置を上司なりあるいはまた上級機関たる建設省に、あなたの責任なつてから考えたことがありませんか。
  296. 小田義男

    小田証人 その点考えたのでありまして、二十五年、二十六年両年度にわたりまして要求をいたしております。
  297. 井上良二

    井上(良)委員 その要求が七十五万円ですか。
  298. 小田義男

    小田証人 そういうわけではございません。
  299. 井上良二

    井上(良)委員 その要求はどのくらいですか。
  300. 小田義男

    小田証人 その要求額は私自身はつきりした数字は記憶いたしておりませんが、あとで調べて申し上げたいと思います。
  301. 井上良二

    井上(良)委員 しかしあなたはこれの直接の責任者でございましよう。そして現に人を何人使つて監督しておつたということもあなたは御存じでございましよう。そうしたらそれに対して、年間どのくらいの経費がいる。これは県費で出すか、国から補助をもらうかということについて、あなたはそのくらいのことは課長として頭に入れておいてもらわないとあぶなくてしようがないよ。そんなことがわからぬというようなことを言われたんじや、こつちの方がしようがない。どうですか。
  302. 小田義男

    小田証人 二十五年、二十六年度におきましてその数字そのものがはつきり申し上げられなかつたのでありますが、二十万円ないし三十万円という程度はぜひ出していただきたいというふうにお願い申し上げたのであります。
  303. 井上良二

    井上(良)委員 そこでその金はもらつたのですか、もらわないのですか。
  304. 小田義男

    小田証人 いただけなかつたのであります。
  305. 井上良二

    井上(良)委員 いただけなかつたというのは、建設省の方では必要を認めないということだつたのですか、どういうことです。そういう監督の必要はないということだつたのですか。これは大事なことですから……。
  306. 小田義男

    小田証人 監督の必要がないという意味ではないのであります。県費その他でやる、こういうことであろうと思つております。
  307. 井上良二

    井上(良)委員 あなたは今ちよつと変なつじつまの合わないことを言つたが、疲れておるのだろうと思いますが、どうもつじつまが合いませんよ。この仕事というのは、建設省から県が委任を受けている、県の責任において処理しておる仕事でしよう。そうするとあなたの方は、委任を受けた当事者として、その責任を果すためにはこれこれのことをしてもらわなければ困るという、その委任をされる方に対しては当然正当な主張ができる立場におるわけです。だから、先ほどのお話のように、委任されましても、これとこれとこれについては県としては責任を持てませんよということまであなたの方は上司である建設省に言うておるわけですね。建設省の方はそれでもかまわないからやつてくれ、こういうことになつておるわけだ。従つてそれがあるからというわけじやないだろうけれども、この監督を嚴重にやらなければならぬということは、いろいろな点であなたはよくおわかりのことと思う。そこで現地監督者を二人派遣した、この二人の所要経費は何ぼかかるとあなたは思つておりますか。宿泊料その他ご二人の人件費は一年でどのくらいかかりますか。一人一箇月少くとも一万五千円か二万円くらいかかりますよ。そうすると、この二人をやつてつたらどんなに考えても数字が合いはせぬ。そんなだらしのないそろばんをやつてはどうにもならぬ。足らぬところはしかたがない、県費で負担すると言う。県費で負担する筋合いのものじやないのです。県の何の利益にもならぬじやないか。人件費から考えてみても、あなたの言うことと数字が合わぬじやないか。公務員の給與ベースから割出して行つて――十九や二十の給仕上りの三千円か五千円の者を監督者に出しはしまい。相当しつかりした者を出さなければならぬ。どんなに少く見積つても月一万五千円くらいはかかる人を出さなければならぬ。そうすると年間経費を見積つて二十万円というような数字がどだい話にならないじやないか。もう少しそこをはつきり言うてもらわぬと困る。今度は建設省を呼びますから、そんなことを言うてもらつたら話のつじつまが合わぬことになるじやないか。
  308. 小田義男

    小田証人 今人件費の問題等が出ましたが、私の方でお願いをいたしておりますのは、やはり旅費というものが主体になるわけでございまして、山口市から現地まで行きますのには、船を借り切る場合には経費が高くつきますけれども、船でなくて行く場合には、あまり大した金額にもならぬのであります。しかしいずれにいたしましても、国家から委任を受けました仕事でございますし、最初の経費につきましてもいただくようにお約束もなつておりましたので、県としては全部の経費を国から出していただきたい、出していただくのが当然だと思います。それで相当量、たとえば五、六十万円国からいただいておる。それ以外に県としてもお願いをしたんだけれども、まあまあこれでということでございましたので、県はできるだけの経費でやつてつた、こういうわけでございます。
  309. 井上良二

    井上(良)委員 ここでやはり問題になりますのは、この事件はあなたがさいぜんから御証言されておりますように、建設省から、国有財産なつてから後のものは委任を受けておる。そうすると山口県の経費でやるべき仕事と違うのですから、これに要する経費は建設省から補助するという建前でなければならぬ。その建前を明らかにせずに、委任を受けてやつておるというところに問題があるのです。あなたは單に監督者の人件費だけを今問題にされておるようだけれども、やはりこれだけの事業を監督し、これだけの事業を行つて行くためには、県としては相当な経費をかけておるわけですが、どういうわけで県が委任事務にそんなたくさんの経費をかけなければならぬのか、法律による委任命令事項なら別にありますが、何ら法律によるものであるわけじやなし、何ゆえ県がこんなものにたくさんの経費を負担してやる心要があるのでありますか、山口県民にすればよけいなことしてくれるというようなものですよ。それだからあなたとしては所要経費はすつかり計上して、それでこれこれの契約期間にこれだけのものを揚げるためには、これだけの委任事務の経費がかかります、これだけは補助してくれますか、補助してくれなければ引受けられない、こう持つて行くのが当然でしよう。その手続をとつていないじやありませんか、どういうわけでとられないのですか。
  310. 小田義男

    小田証人 手続をとつたのであります。とつたのでありますがいただけなかつたというのが実際問題なのでありまして、御了承を願いたいと思います。
  311. 佐竹新市

    ○佐竹(新)委員 関連して大体問題が起きたのは、いわゆる搭載物資以外のものを爆破して引揚げた。それを他に売却して横流しをしておる、こういうことでありますが、この引揚げたものをどこへ売つたというようなことは県へ報告をしておるのでありますか。
  312. 小田義男

    小田証人 揚げたものは宇品の芸備倉庫に集積をせよ、そして一定の書式で台帳をつくつて県の方に報告をして、県の方がこれを統制物資であるならば統制機関の方に移す、あるいはさしつかえない自由物資であつた場合には、自由販売の物資として売つてもさしつかえない、こういう手配をしております。
  313. 佐竹新市

    ○佐竹(新)委員 この間の広島の新聞を見ますと、警察が合同捜査本部を持つて、検察官が起訴まではしておらぬが、検察庁が調べてみた結果によつて、岡谷という次席検事が横領の疑いがあるということを言つておる。それは報告をした数字と売つた数字とに食い違いがある。このトン数というものは、あなたはどういうふうにして調べられたのですか。海から揚げましてカンカンに立ち会つてトン数を見たのですか。
  314. 小田義男

    小田証人 このトン数の問題につきましては、会社自体が宇品の倉庫へ持つてつたときにはそこにカンカンがあつたが、カンカンに全部かけなくても、大体この程度のものがあると、ある程度まで推定が確実にできるものについては、やつたかやらないかわかりませんが、そういうものについてはその数量を記入しまして、これを県に報告する。県はこれを見まして、一定の時期に集積しました際に現地でこれの査定をする、こういうような方法をとつておりました。
  315. 佐竹新市

    ○佐竹(新)委員 宇品の芸備倉庫へ集積したものを県は現地に行つて立ち会つて、そして嚴重に検査をして見ておつたのですか。
  316. 小田義男

    小田証人 宇品の倉庫には私どもの係人員を派遣いたしまして、その点は現物と書類とが食い違いがあるかないかということを確認させたのであります。
  317. 佐竹新市

    ○佐竹(新)委員 たとえば船から揚げますね、そしてクレーンでつり上げる。それには相当重いものがありますね、ものによつては十何トンというものがある。それがはたして宇品のどういう倉庫か知らないが――大体宇品の倉庫は私知つておりますが、そういうものが常識上揚げられると思われるかどうか。あなたはただこの場さえいいかげんな証言をしておけばいいと思われるかもしれませんが、実際上そういうことができると思われるか、あなたはそこまで監督しておられますかどうですか。
  318. 小田義男

    小田証人 係官といたしまして現地へ参りましたものの話によりますと、非常に重量の大きい物件につきましては、その倉庫まで持つて来るというようなことはできないので、引揚げたところに置いておく、あるいは宇品の揚げたところに置いてあるというようなことがあつた。こういうように聞いております。
  319. 佐竹新市

    ○佐竹(新)委員 大阪方面へ持つてつても相当売られておるのですが、あなたの方では現場で実際に立ち会つておるのですか。揚つたものを船へ入れる。入れればとうていあんなものは看貫にかけられない。だから船足で見て、大体これは何ぼくらいと推定するのですか。そういうものを立ち会つて、そしてそれがどこへ行くかという行先を突きとめておつたのですか。
  320. 小田義男

    小田証人 現場から起重機船で引揚げたものを船へ積んであるところの現物自体は、監査に行つたとき以外には立ち会つていない。
  321. 佐竹新市

    ○佐竹(新)委員 それじや見ていないのですね。それではおよそ月に何回くらい行つたのですか。
  322. 小田義男

    小田証人 二、三回ではなかつたかとま思います。
  323. 佐竹新市

    ○佐竹(新)委員 それではほとんど行つていないですね。どのくらいのものを引揚げたのやら、ただ報告したものをあなたは信ぜられる、こういうことですね。
  324. 小田義男

    小田証人 引揚げたものは宇品の倉庫へ集結せよということになつておるのであります。
  325. 佐竹新市

    ○佐竹(新)委員 宇品の倉庫とはどこの何の倉庫ですか。どういう倉庫ですか。宇品の倉庫は、私は広島ですからよく知つております。
  326. 小田義男

    小田証人 宇品の芸備倉庫であります。
  327. 佐竹新市

    ○佐竹(新)委員 宇品の芸備倉庫というのは海岸からどの辺にありますか。あなた行つておるのですか。
  328. 小田義男

    小田証人 私自身は参りません。
  329. 佐竹新市

    ○佐竹(新)委員 これ以上追究しませんが、私の知つている範囲では、そういう大きなものが入る倉庫はないと思う。それはやはりあなたの方でいわゆる監督をしていない、全然していない、ぼくはそう思う。だからこういう結果を来したことは、県にもあなたは責任をのがれようと思えばのがれられる。火薬を積まして、そうして引揚げたものは今度どこへどうなつたのかわからない。ただ報告したものだけでもつて県の方は処理して行く。それ以外のものは何もやつていない。こういうように考えるが、証人はどうですか。
  330. 小田義男

    小田証人 私の方といたしましては、宇品の倉庫に集積したものについては、係長を派遣して監査いたしております。
  331. 内藤隆

    内藤委員長 しかし宇品へ行かれるのは一箇月の間に二回か三回でしよう。
  332. 小田義男

    小田証人 それはやはり県が毎日行くわけに参りませんので、集積して一定の量に達したときに行つて、初めてよろしいというときにだけ自由処分になる。
  333. 内藤隆

    内藤委員長 その間に何をしておるかは想像し得るじやありませんか。まあいいでしよう。
  334. 小田義男

    小田証人 しかしそういうことになりますと、監督が倉庫にも一人来ておらなければならぬ、こういうことになりますし、また経費というものがこれに関係するということになる。
  335. 内藤隆

    内藤委員長 それはしかたがない。問題はそれなんだ。
  336. 井上良二

    井上(良)委員 いま一点だけ伺いますが、つまりあなたの方は、民間の方への契約責任契約当事者であるけれども、その契約当事者というものは建設省から委任を受けてやつているので、当面の責任は負えぬというような印象を非常に強くわれわれに述べられております。ところがあなたはそう言うけれども、実際ここであなたとして非常に注意しなければならぬのは、建設省から委任を受けているのです。委任の義務をあなたは果していないということです。県が委任の義務を果しているとあなたはお考えになつておりますか。
  337. 小田義男

    小田証人 できるだけのことはやつて来たと思つております。
  338. 井上良二

    井上(良)委員 できるだけのことはやつて来たと言うけれども、さきに私が瞬間をした点についても十分でないことが明らかになつたことをあなたはお認めになるでしよう。それから今の監督の問題に対してもまつたく手拔かりですよ。それに伴う予算的措置についてもまつたくやるべきことをやつていない。そうしてまた引揚げ物件処分についても全然放任状態であるということは、これは当然監督すべきあなたの立場としては、監督の不行届きは免れないでしよう。そういう監督でいいとあなたはお考えになりますか。そういう監督でいいというのならばこれは何をか言わんやですけれども、現実にそれが横流れをして国警の発動となり、検察当局まで手を入れなければならぬ事件なつて来ているという事態なのに、私の方はこことこことここまで手をやつてつたけれども、この面においてはこういう惡いことをしておつた、あなた方は打つべき手を打たずして幾らでも不正が働ける余地を残しておいて、この事実をもつて十分なことをやつて来たつもりですとは言えぬですよ。どうですその点は。
  339. 小田義男

    小田証人 その点につきまして予算の面、実際の監督の困難性というものがありまして、結果においてこういう問題が起きたことについてはたいへん遺憾に思つておるのであります。
  340. 内藤隆

    内藤委員長 この際ちよつとお諮りいたしますが、相当時間もかかりましたし、証人も見受けると疾労しておられるように見えまするが、もし皆さんの方でまだまだ証人に尋問しなければならぬというお気持ならば、続いて明日でもまたここで御質問等願うことにいたしまして、どうです簡單にひとつ
  341. 井上良二

    井上(良)委員 もう一点だけで私はいいのです。
  342. 内藤隆

    内藤委員長 それでは簡単に……。
  343. 井上良二

    井上(良)委員 この事態につきまして、たとえば作業日報の報告会社から出された場合に、あなたが目を通して、また予算的措置を監督上必要とする場合に、それぞれあなたの方の上司である商工部長といいますか、経済部長といいますか、その人々にあなたは相談をされて、あるいは知事にそれぞれその都度相談をしておりますか、しておりませんか。
  344. 小田義男

    小田証人 商工部長はずつとこの問題に最初からタツチしておられますので、私どもより以上におく知つておられましたので、私は極力部長には御相談申し上げてやつております。知事さんには、知事さんも非常にお忙しゆうございますし、また部長限りで、部長に御相談すればよろしいものであろうと考えて、もし知事さんに御相談することがあれば部長さんから知事さんの方にお話があつたのじやないかと思つておりますが、私自身知事さんにはお話を申し上げておりません。
  345. 田渕光一

    ○田渕委員 だんだんわかつて来たのでありますが、この九十三万三千円という金は一体どこへ入りましたか、山口県の金庫に入りましたか、国庫に入りましたか、どうです。
  346. 小田義男

    小田証人 はなはだ失礼でございますが、はつきりいたしておりませんけれども、国庫に入つたのだろうと思つております。
  347. 田渕光一

    ○田渕委員 前任者のやつたことで、小田証人はお知れじやないと思うのですが、契約書の第二条にこうあるのです。「前条の売却価格は物件の引揚後に於ける販売予想価格より引揚に要する見積諸経費を控除した価格とし、乙は本契約締結と同時にその代金を甲に納入するものとす。」として、山口県にるということになつておるのです。そうすると陸奥というものは九十三万円で売られて、その金は契約では山口県へ入つてしまうということになつておるのです。だから契約書にはつきりしておるので、国庫に入つているとは思いません。この点の資料をひとつあとで出していただきたい。
  348. 内藤隆

    内藤委員長 証人にそこに答弁するだけの資料がなくて、記憶にない場合は、今晩でも電話をかけて聞いて、あす委員長報告してください。
  349. 小田義男

    小田証人 かしこまりました。
  350. 田渕光一

    ○田渕委員 それからもう一点伺いたいのは、排水量四万三千五百八十一トンというような、世界的に大きな有名な陸奥でありますが、この建造費が当時の建造費で幾らぐらいかかつたということを大体お聞きでございますか。
  351. 小田義男

    小田証人 知りません。
  352. 田渕光一

    ○田渕委員 いつごろ建造にかかつて、試運転をいつごろして、これは十八年の六月に沈沒したのでありますが、これもわかればひとつそのときに一緒に御報告願いたいのであります。この九十三万三千円は山口県の金庫に入つているわけであります。
  353. 内藤隆

    内藤委員長 それではただいま田渕委員のおつしやつたことわかりますね、九十三万何千円の納入先と、それからこの軍艦陸奥の建造費並びに進水式をあげた時期。それから沈沒するまでの期間等がおわかりならば調べて委員長あてに報告を願います。
  354. 井上良二

    井上(良)委員 同時に私がさいぜん申し上げましたように、県から建設省に対して監督費その他引揚げに要する経費の予算を要求しておるわけです。補助金を要求した、それの資料を出してもらいたい。
  355. 内藤隆

    内藤委員長 ただいま井上委員の質問されましたように、いろいろ経費として建設省に要求されたものについて予算年度等を調べて、委員長報告してください。
  356. 小田義男

    小田証人 かしこまりました。
  357. 田渕光一

    ○田渕委員 山口県が大体火薬を濫費するというか、公用外にたいへん渡した、それがためにいろいろ水産魚族にも影響を来し、ますます陸奥を破壞せしめたのでありますが、大体山口県が、これだげ火薬をやるということは、宇部炭鉱があるから火薬の使用量というか、配給量があるのでこういうふうになつたんだろうと思いますが、私も炭鉱業をして経験があるのですが、マイト何本、電管何本使つた、こういう報告をして、火薬使用明細表というのを出さなければいかぬ、これは治安対策上からいつてもそうなんです。これだけの大きな火薬が横に流れたらたいへんなことになる、こういう明細表の報告もできているわけですから、これの資料もできれば御提出願いたい。
  358. 内藤隆

    内藤委員長 ただいま田渕委員の要求されましたのも提出していただきたい。
  359. 田渕光一

    ○田渕委員 それからもう一点です。それは七十五万円の予算を要求した、ところが二十五年五月の機構改革以来賠償課を引継いでから後に、あなた自身が七十五万円の監督費というものを建設省へ請求されたかどうか、これもおわかりになればこの際お教え願いたい。
  360. 小田義男

    小田証人 七十五万円と申し上げましたのは、私の記憶がはつきりいたしておりましたので申し上げたのです。金額を申し上げたのでございますが、これは最初出発いたしますときに、船も雇い入れておる、こう申し立てたから、少くとも七十五万円いただきたいという要求をしたということを、私が記憶いたしておつたので申し上げたわけであります。
  361. 浦口鉄男

    ○浦口委員 一つお確かめしておきたいと思います。それは最初引揚げを開始してから途中で会社が約八百五十万円の欠損を出した、こういうことになつておりますね。そのときの状態は揮発油、重油は期待に反して四百二十トンの約一割しか出なかつた、そして食料品も腐敗して食用とならなかつた。しかしただ私お聞きしたいのは、揮発と重油は一割くらいしか量が出なかつたということは、そのほかになかつた、こう解してよいと思います。その他の食料品、纎維品、ワイヤロープこういうものは大体最初西日本海事工業が出した作業計画書引揚げの見積りというか、予想トン数が全部出たと見てよいと思うのですが、その点いかがですか。
  362. 小田義男

    小田証人 食料品その他については引揚げたものが非常に腐敗しておつたというような実績から揚げなかつた、こういうように聞いております。それからその他のものにつきましても、重油等を五十一トンでありますか、揚げておりまして、それぞれの統制機関に配給をしておるのであります。
  363. 浦口鉄男

    ○浦口委員 最初の計画書にある数量は、それが使えたとか、使用不能であつたとか、腐敗したということは別として、このときは結局もう全部引揚げてしまつてあとに残つていなかつた、こういうふうに考えられるのですが、いかがでしようか。
  364. 小田義男

    小田証人 私どもの聞いております範囲では、食品とか纎維品とかガソリンというようなものは引揚げるものもなかつた、こういうように聞いておりました。
  365. 浦口鉄男

    ○浦口委員 そういたしますと、再開にあたつて西日本海事工業の前の社長の田中氏が葛西氏に七百万円で一応権利を讓渡した、こういうふうに聞いていいと思いますが、そのときには非鉄金属最初の見積りによつて三十トンしかない、先ほど他の委員からも質問がありましたが、七百万円をまかなうには五百トンくらいの非鉄金属が出なければまかなえないということがさつきはつきりしたのですが、そうすると再開前に、田中さんから葛西さんに移るときに、もう最初の計画書による引揚げに該当する物資は全然なかつた、こういうふうにはつきりわかるのですが、その点いかがですか。
  366. 小田義男

    小田証人 非鉄金属が一千トンくらいある搭載見込み数量が一千トンくらいあるという極東海軍のお考え、あるいは建設省の二百トンくらいあるというお考え等を考えまして、非鉄金属搭載物件というものは相当にあるというような考え方と、それから重油等につきましてはまだまだあるガソリンについては割合に量が少い、こういうように考えておつたのであります。
  367. 浦口鉄男

    ○浦口委員 そうすると、再開後ガソリンや重油は全然報告の中には出ていないですな。それと、そういうことになりますと、最初西日本海事工業が出した作業計画書非鉄金属の三十トンというのは、全然見積りの誤りであつた、あるいは事実あるが、引揚げ不可能と思つたの引揚げ可能の線が出て来た、こういうふうに考えて、あなたの方では千トンということを認めて再開を許した、こういうふうに考えていいですか。
  368. 小田義男

    小田証人 非鉄金属が千トンの登載見込量があると極東海軍は考えておられ、建設省は二百トンくらいの登載見込量があるであろう、こういうふうに公文書なつておるのでありますが、実際問題におきまして、先ほど申し上げましたように、特殊物件としての非鉄金属というものは三百トンくらいのものじやないかというような考え方をいたしたのであります。
  369. 内藤隆

    内藤委員長 他に御発言がなければ、小田証人に対する尋問はこれで終了いたしました。証人には長時間御苦労さまでございました。  なお本日午後出頭を求めておりました武岡証人は、本会議の都合により時間も遅くなりましたので、明二十七日午前十時に出頭するようはからいたいと思います。さよう御了承願います。  本日はこれにて散会いたします。     午後六時五十二分散会