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1952-02-15 第13回国会 衆議院 行政監察特別委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年二月十五日(金曜日)     午後二時四十九分開議  出席委員    委員長 内藤  隆君    理事 鍛冶 良作君 理事 高木 松吉君    理事 田渕 光一君 理事 福田 喜東君    理事 小松 勇次君 理事 佐竹 新市君       井手 光治君    岡西 明貞君       篠田 弘作君    野村專太郎君       高倉 定助君    藤田 義光君       井上 良二君    竹村奈良一君       久保田鶴松君  委員外出席者         証     人         (関東財務局         長)      井上 義海君     ————————————— 本日の会議に付した事件  国有財産管理処分関係事件聖十字学園事件)     —————————————
  2. 内藤隆

    内藤委員長 会議を開きます。  ただちに国有財産管理処分関係事件中、聖十字学園事件について調査を進めます。  ただいまお見えになつておられる証人井上義海君ですか。
  3. 井上義海

    井上証人 そうでございます。
  4. 内藤隆

    内藤委員長 あらかじめ文書をもつて承知通り証人として証言を求むることに決定しましたので、さよう御承知を願います。  これより国有財産管理処分関係事件中、聖十字学園事件について証言を求めることになりますが、証言を求める前に証人に一言申し上げます。昭和二十二年法律第二百二十五号、議院における証人宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人証言を求める場合には、その前に宣誓をさせなければならないことと相なつております。  宣誓または証言を拒むことのできろのは、証言証人または証人配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族または証人とこれらの親族関係のあつた者及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するとき、またはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するとき、及び医師歯科医師、薬剤師、薬種商、産婆、弁護士、弁理士弁護人公証人、宗教または祷祀の職にある者またはこれらの職にあつた者がその職務知つた事実であつて黙秘すべきものについて尋問を受けたときに限られておりまして、それ以外には証言を拒むことはできないことになつております。しかして、証人が正当の理由がなくて宣誓または証言を拒んだときは、一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられ、かつ宣誓した証人虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処せられることとなつておるのであります。一応このことを御承知になつておいていただきたいと思います。  では法律の定めるところによりまして証人宣誓を求めます。御起立を願います。  宣誓書の御朗読を願います。     〔証人井上議海朗読〕     宣誓君  良心に従つて真実を述べ何事もか  くさず、又何事もつけ加えないこと  を誓います。
  5. 内藤隆

    内藤委員長 それでは宣誓書署名捺印を願います。     〔証人宣誓書署名捺印
  6. 内藤隆

    内藤委員長 なお証人が公務員として知り得た事実が職務上秘密に関するものであるときは、その旨を申出願いたいと存じます。  これより証言を求めることになりますが、証言は、証言を求められた範囲を越えないこと、また御発言の際にはその都度委員長の許可を得てなされるようお願いいたします。なお、こちらから質問をしておるときはおかけになつていてよろしゆうございますが、お答えの際は御起立を願います。  証人井上義海君は関東財務局長でありますか。
  7. 井上義海

    井上証人 そうでございます。
  8. 内藤隆

    内藤委員長 いつから現職につかれましたか。
  9. 井上義海

    井上証人 二十四年の六月一日に機構改革がありまして、そのときは名前東京財務部という名前で、現在は関東財務局に相なつております。
  10. 内藤隆

    内藤委員長 それでその名前のかわつたと同時にあなたは……。
  11. 井上義海

    井上証人 東京財務部ができましたときから財務部長で、関東財務局になつてから関東財務局長になつて現在に至つております。
  12. 内藤隆

    内藤委員長 その前は何ですか。東京財務部長であつたのですな。
  13. 井上義海

    井上証人 その前と申しますか、仕事国税関係財務系統一つ地方機関でやつておりまして、そのときは東京財務局という名前で、東京財務局のときは、国税関係財務関係一緒にそこでやつておりました。ところが二十四年の六月一日に機構改革がありまして、税は税一本になりまして、東京国税局財務系統と今の関東財務局、こういうふうにわかれ始めてからずつと私がやつております。
  14. 内藤隆

    内藤委員長 聖十字学園に対し、元東京衛生試験所跡を払い下げた当時の局長部長課長係長の氏名、及びその人々が現職はどういうことになつておられるか、述べてもらいたい。
  15. 井上義海

    井上証人 局長湯地謹爾郎部長国有財産部長中出芳雄つたと思います。課長以下はちよつとはつきり記憶しておりません。
  16. 内藤隆

    内藤委員長 その湯地局長は現在何をやつておられますか。
  17. 井上義海

    井上証人 現在公正取引委員会委員になつております。中出部長石炭配給公団清算人になつております。
  18. 内藤隆

    内藤委員長 国有財産払下げにつき、その申請から払下げ決定までの手続を競争入札の場合と随意契約の場合とにわけて、ひとつ説明を願いたいと思います。
  19. 井上義海

    井上証人 競争入札の場合には、御承知のように、まず競争入札にも、一般競争入札の場合と、指名競争入札の場合があります。一般の場合には告示いたしまして、その期日に競争入札をやつて、落札して契約させる。もちろん予定価格がありまして、それを越えておりませんと落札にはなりません。指名競争の場合には適格者を選定いたしまして、その範囲でやることになつております。随意契約の場合には、これは予算決算令第九十六條に該当する聖十字学園のような公益事業であるとか、公共団体であるとか、そういつた特定された事業内容のものと随意契約できるもの、そういう業種のものとやるわけであります。
  20. 内藤隆

    内藤委員長 あなた今証言中に予定価格があるとおつしやいましたが、それはもちろんなければならぬが、その予定価格はたれが決定するのですか。
  21. 井上義海

    井上証人 予定価格は、処分いたします財務局で見積りを出すわけであります。
  22. 内藤隆

    内藤委員長 それは財務局のおもにたれの仕事なんですか。
  23. 井上義海

    井上証人 それは財務局管財部仕事でありまして、競争入札いたします事案によりまして、課がおかれており、それぞれの課において予定価格を出すわけであります。
  24. 内藤隆

    内藤委員長 その予定価格というものを知つている者は、その事案にもよりますが、それぞれの部長課長係長以下までみな知つておりますか。
  25. 井上義海

    井上証人 大体局長決済を経ますから、決済にまわつておる範囲の者は知つております。
  26. 内藤隆

    内藤委員長 決済にまわる範囲はどれほどありますか。
  27. 井上義海

    井上証人 予定価格は、技術者がおりまして、当該技術者、それから係長課長部長局長……。
  28. 内藤隆

    内藤委員長 元東京衛生試験所跡土地建物財団法人聖十字学園に払い下げておりますが、申請者事業内容施設内容等に対して調査いたしましたか。
  29. 井上義海

    井上証人 これにつきましては、衛生試験所の跡を厚生省から引継ぐときに、厚生大臣から大蔵大臣あて聖十字学園に払い下げてやるようにという希望の添書がついております。また厚生省には都知事から非常に強い要望の依頼書もあつたので、それまで添付して来ておりました。それで一応私の方はこれは趣旨通り公益事業を営む法人と思いまして、それに処分するような考えでおりましたが、今委員長のおつしやいましたように、その事業計画につきましては相当審査いたしました。申請書が出てから契約を結ぶまでの期間、主として事業内容について不備な点がありまして、それの提出を求めるとか、あるいは新規計画等の不備な点についてさらに補つていただくというようなことのために、主として引継いでから払下げ契約をいたすまでの期間を経過したのであります。相当慎重に審査、調査をしたつもりでおります。
  30. 内藤隆

    内藤委員長 慎重にやられたに間違いありませんね。
  31. 井上義海

    井上証人 そうであります。
  32. 内藤隆

    内藤委員長 厚生大臣、その前に都知事ですか、相当強固な何か添付した書類があつたというが、それはどの程度に強固なんですか。
  33. 井上義海

    井上証人 都知事から厚生大臣にあてた依頼書というものは、その事業内容を書いてありまして、そういう引揚者、未亡人に仕事を与える授産事業をやるとか、あるいは浮浪者を収容するとか、家のない者に簡易宿泊所を提供するとかいうような仕事は、今東京都としては非常に必要なのだというようなことが書いてあつて従つてそういう事業を今度総合的にやる聖十字学園という社会事業団体にあの土地を払い下げてもらいたい、こういうような趣旨であつたと記憶しております。
  34. 内藤隆

    内藤委員長 厚生大臣の方に……。
  35. 井上義海

    井上証人 それは都知事厚生大臣に……。まだ引継ぐ前は行政財産で、厚生省所管でありますから……。
  36. 内藤隆

    内藤委員長 その申請書があなたの方へ来るまでに、都知事のところへ出した、都知事から強固なものがついて来た、というわけですね。
  37. 井上義海

    井上証人 厚生大臣大蔵大臣依頼されるものに添付されて来たのです。
  38. 内藤隆

    内藤委員長 わかりました。今の御答弁で、資産内容よりも事業内容相当に検討を加え、精密に調べたとおつしやいますが、具体的にどういうふうに調べられたのですか。
  39. 井上義海

    井上証人 私は直接やつたわけではないので、具体的な説明ちよつとしかねるのでありますが、初め申請書が提出されたときは、非常に簡単なものであつたようなことを聞いております。それを非常に具体的に数字をあげて説明するように、補つて参つたのであります。
  40. 内藤隆

    内藤委員長 何かあなたの方で、入れ知恵でもしてやつたのじやないですか。
  41. 井上義海

    井上証人 そういうことは決してございません。
  42. 内藤隆

    内藤委員長 ともかくも私委員長として考えますのに、事業というものは、やはりその事業をやる経営者なり事業者の人格の反映であると私は思う。そういう意味において、事業者履歴書というものは、相当にぼくは重要性を持つておると思うが、どうです、履歴等については詳細な調査をされましたか。
  43. 井上義海

    井上証人 履歴につきましては、委員長のおつしやいますような、非常に精密な調査をしたとは言いかねると思いますが、ただいま申しましたように、厚生大臣なり、東京都知事のそういうような依頼もあることでありまして、一応大蔵省といたしましては、そういう直接の監督官庁が推薦するものでありますから、それでも相当程度の信用がおけると考えたわけであります。
  44. 内藤隆

    内藤委員長 あなた方はその履歴等については、具体的に調べたことはないけれども、要するに厚生大臣なり都知事の、そういう強い意味の裏書があるからそれを信じた……。
  45. 井上義海

    井上証人 一応信じて、委員長のおつしやいますように、非常に詳しく調べたわけではありません。一応は調べたのです。
  46. 内藤隆

    内藤委員長 当委員会事務局調べでは、東京都へ出ておる磯川園長ですか、学園園長と称する人の履歴のごときは、これはほとんどすべてが、とは申しませんが、大部分虚偽なんです。
  47. 井上義海

    井上証人 都に出ておるもの……。
  48. 内藤隆

    内藤委員長 ええ。財団法人に直すときに東京都へ出ました履歴が……。あなたは見ておられるかどうかわからないけれども、こちらの調べでは、ほとんど大部分虚偽である。ことに先日来から証人を喚問して調べておりますと、元神兵隊なんかに関係しておつて神兵隊の残党であるということを自分でそこで自白している。それからまた渡邊証人なんかの証言を聞きましても、土足で人の家へ上つて、そして神兵隊を看板にして、脅迫がましいことをやる人物だということは明らかになつた。ことに私生活などは、これはここで述べていいかどうかはわからないけれども、外妾を四人も五人も持つておるというようなふしだらな生活をしておるというような事実も、だんだん発見されて来た。そういう者に、ただ単に書類的な関係であなた方がお扱いになるから、結局こういう国家に非常な損害を与えるような問題が、私は起つて来るのじやないかと思います。そういう意味で、あなたは事業内容調査されたとこうおつしやるけれども、ぼくはその根幹に触れていなかつたということを考えざるを得ない。これはあとで委員からも出るでありましよう。  そこでその払下げをしました物件の払下げ価格評定について、ひとつ説明をしてもらいたい。
  49. 井上義海

    井上証人 払下げ価格評定につきましては、まず隣地の、比準地相続税課税標準から得ました価格を出しました。それからもう一つは、専門家の、精通者意見も聞きました。その両者の評価を勘案いたしまして、そして坪当り千七百円と出したわけであります。
  50. 内藤隆

    内藤委員長 そういう今あなたのおつしやつたような、厳密な意味調査をやりましたか。
  51. 井上義海

    井上証人 むろんやつたわけです。
  52. 内藤隆

    内藤委員長 もちろんやつたのですか。
  53. 井上義海

    井上証人 はい。
  54. 内藤隆

    内藤委員長 専門的にというと、まずだれに聞きました。
  55. 井上義海

    井上証人 これは不動産会社専門家に聞いて出したわけであります。
  56. 内藤隆

    内藤委員長 その会社名と、その衝にあたつた人の名前がわかつたら……。
  57. 井上義海

  58. 内藤隆

    内藤委員長 鑑定課長、それから……。
  59. 井上義海

    井上証人 鑑定課長さんの御意見を聞きましたところ、大体坪あたり千七百円程度相続税課税標準より見ましたものも、大体千七百円程度という数字が出ました。大体その当時のその現況の時価としては適正であろうということで、これを払い下げたわけであります。
  60. 内藤隆

    内藤委員長 それからこの申請者は、払下げ決定前に書類を出しただけで、建築等の工事に着手しておつたようですが、これはどういうわけなんですか。何か了解でもあなたの方で与えたのですか。
  61. 井上義海

    井上証人 その当時の古い事情は、私直接それに関係していなかつたのでありますが、いろいろ当時の事情調べてみますと、ただいま申しましたように、元厚生省所管でありました行政財産を、厚生省の方から積極的に普通財産に引継いで来たわけでありまして、それにつきましては、ただいま申しましたような依頼もついて来ております。そして私の方は、その社会事業内容自体についてはまつたくしろうとであります。一応出ざれた書類等で検討してみますと、非常にこれは社会の福祉に役立つものである。またその当時から言つて、非常にこれはけつこうな事業であると考えまして、さような事情で、あの厚生省の元衛生試験所が戦災で焼けまして、引継ぎますまで数年間というものは、ほとんどそのままの状態になつておりますし、そこはほとんど無人状態でありました。聞きますれば、残土も相当うず高くなつておりまして、ほとんど現状では想像できない状態であつたそうであります。そういうようなことで、引継ぎを受けます前後ごろから、大体聖十字学園としては借りるものだ、借りられるものだという見通しで、若干準備的な措置をとつておられたというのが事実であつたようであります。
  62. 内藤隆

    内藤委員長 それは聖十字学園自身自分見通しをつけておつたのですか。見通しというものは、何かあなたの方で了解を与えなければ見通しがつくはずがないじやありませんか。
  63. 井上義海

    井上証人 そうです。私の方でいいとか悪いと言つたわけではない。実際に事実問題としては、すでにそういう措置がとられておつた。これは若干了解というか、大工小屋を建てるとかいうぐらいのことであつたようです。
  64. 内藤隆

    内藤委員長 それが違つておる。本建築にかかつておる。それはきのうの証人もそう言つている。それから学園売買契約の第十條違反をやつておりまするが、その違反の事実は、いつだれが発見したのですか。
  65. 井上義海

    井上証人 これは会計検査院の検査を受けましたときに、実地が見たいということで一緒に参りまして、そのときに調査してわかつたわけであります。
  66. 内藤隆

    内藤委員長 それは何年何月ですか。
  67. 井上義海

    井上証人 正確には記憶しておりませんが、二十五年の二月ごろではなかつたかと思います。
  68. 内藤隆

    内藤委員長 現地行つて、初めてわかつた。こういうわけですね。
  69. 井上義海

    井上証人 そうです。
  70. 内藤隆

    内藤委員長 そのわかつた時分にはどういう違反をやつておりましたか。
  71. 井上義海

    井上証人 わかりましたときには、買い受けました土地のうちで大きな道路に面した方は三十八軒でございますが、店舗にそれぞれ転売しております。そして千何坪の土地太洋自動車転売した。その他丸福、それから藤谷さんという個人にそれぞれ転売した事実を発見いたしております。
  72. 内藤隆

    内藤委員長 そこでそういう違反の事実を現地において発見した以上は、これに対してどういう処置をとりましたか。
  73. 井上義海

    井上証人 違反の事実を発見いたしましたので、財務局といたしましては、契約解除の問題を一応考えたのであります。ただ聖十字学園転売していない場所には、簡易宿泊所公衆浴場食堂といつたものも現に経営をしておりましたし、社会事業の一部をそこでやつておるとも考えられますので、その点だけは残しまして、転売したものにつきましては契約解除をして、更改契約にかえたわけでございます。
  74. 内藤隆

    内藤委員長 そうすると、あなたは二十五年の二月は局長の地位におられますから、あなた自身現地行つたのでしよう。
  75. 井上義海

    井上証人 その当時一度参りました。
  76. 内藤隆

    内藤委員長 現地行つて、そうして転売をした以外のものは、あなたは社会事業公益事業というものであるように認定して来られたわけですね。
  77. 井上義海

    井上証人 認定と申しますか、現実事業をやつておりましたことと、もう一つは、これは契約解除いたしましても、解除後の法律問題、取扱いが非常に複雑になつて参るのでありまして、転売先から申しますると、聖十字学園にすでに金を払つております。私の方はこれを全然認めないで解除して、転売先とまた直接契約をいたしますと、政府にもまた払わなければならないという相手側の立場もありまして、どうしても聖十字学園に払つたものは返してもらわなければならぬ、そういうことも考えまするし、これを全面的に契約解除いたしますと、そこで事業をやる者自体にとりまして、そういう点は、ことに小さい店舗がたくさんあるので、そこらの店舗の方も非常に困られるでありましようし、今申しましたように一部はそこで実際に事業をやつておるものでありますから、そういう取扱いをする方が最も穏当じやないかということで、更改契約を実行したわけでございます。
  78. 内藤隆

    内藤委員長 局長としてのお考えは、穏当に行つた方がいいという気持でやつた、こういうわけですが、われわれの考えでは、一部を解除するときにはなぜ一体全面的に全部を解除しないのか、こういうふうに考えられるのであります。ことに更改契約後、簡易食堂太陽湯外食券食堂、こういうものを社会事業だとあなたはお認めになつたとおつしやるが、一体その根拠はどこにあるのですか。
  79. 井上義海

    井上証人 社会事業として認めるというよりも、これはむしろ監督官庁の方でどう考えまするか、一応それ自体社会事業と言わぬまでも、併設して認められる範囲事業ではないかとも考えられました、それともう一つは、初めから、今委員長がおつしやいましたように、非常に悪い男で、とても問題にならぬものであれば、これは厚生省から引継ぎましたときに断固として拒否するべきであつたと私も考えまするが、その当時は事務当局といたしましては、まだほんとうに総合的なそういう社会事業をそこを基盤としてやつて行けるであろうという非常に希望をつないでおつて、初めから全然だめなものでしたら、今委員長がおつしやつたように、それは契約解除しておつたと思います。
  80. 内藤隆

    内藤委員長 本日はみぞれをついて委員各位現地行つて、つぶさに調査して参りました。またその前に本問題を当委員会で取上げることに決定いたしましてから、事務局は全力をあげてその内容調べたのですが、きよう行つてみますと、もうあの磯川なにがしなるものの証言によると、ああいうものはただくれてもいらないのだ、建物のごときは、むしろああいう焼け残つた建物をもらうことが迷惑であるというような、そんなことまでここで述べておつた。しかし現地行つて見れば、どうしてたいへんなものです。これはいずれも他の委員諸君からも質問が出ると私は考えますが、ことに事務所に使つておる建物のごときは、これは堂々たるものです。中に入りますと、きのうからけさにかけて礼拝堂をつくつておる。紙に礼拝堂と書いたものを張つてある。そのインチキを見たときに、きのうはここで、私は学園関係がないと証言しておる、しかるにきよう行つてみると、もう命令を下しておる。そういうわれわれ国会の議員諸君を瞞著するような、まるで子供だましの手段をとつておる。これは社会のダニだということを私は現実に見て来た。そういう者に対して、あなた方はただ単に、書類の上か、また現地にも行かれてどういうふうな調査をしたかは知らぬけれども、これを社会事業だ、公益事業だと認定されたその根拠を私は聞きたい。
  81. 井上義海

    井上証人 この点はただいまも申しましたように、そのこと自体社会事業併設事業範囲に入るかどうかということは、これは私どもも自信をもつて認定することは非常にむずかしい問題でありますが、ともかくもそういつた浮浪者のための簡易宿舎とか、そういつた食堂もやつておりますので、できればその範囲のものは残してやれば、本然の社会事業に進んで行くのではないか。もう一つは、今申しましたように、転売先が二重に金を払うことになりますので、その方も考えませんと、いずれは聖十字学園からそれだけの金をとらなければならない。転売先大蔵省とまた契約することを非常に迷惑がつておる。これは全部の契約をいたしますのには、非常な苦労と努力を、数名がここにかかり切りぐらいで——これも契約でありまして、話合いで行くものでございますが、転売先は非常にいやがつたわけでございます。それも長い期間非常な努力をいたしましてそこまで持つてつたわけであります。
  82. 内藤隆

    内藤委員長 ともかくも現実簡易宿泊所を見て来ました。太陽湯も見て来ました。外食券食堂も見て来ました。母子寮も見て来ました。一つ学園事業はありません。これはみな学園がやつておるのではない。学園はただそれを貸して権利金をとり、かすりをとつているにすぎない。これはあなたに申し上げてもしかたがない話だが、しかしながらその出発点において、あなたは事業内容を検討したと言うけれども、まことにずさんであつたということをお認めにはなりませんか。
  83. 井上義海

    井上証人 その点は、こういうふうな状態になりまして、初めからあれを引継ぎますときに、もつと徹底した調査——いくら厚生大臣なり東京都知事からの依頼がありましても、私の方はもつともつと徹底した調査をして、またかりにそういうひもつきのようなものになつて参りましても、徹底した調査をすれば、あるいはこういうようなことがなくて済んだかもしれません。その点は至らなかつたかと思います。
  84. 内藤隆

    内藤委員長 日通その他と払下げの新契約をやつておりますな。これを随意契約にした理由はどういうのです。
  85. 井上義海

    井上証人 日遺とやりましたのは、これは日通事業予算決算令九十六條の第二十一号でございますか、公益事業範囲に入ると思いますので、随意契約の対象にはなると思います。それともう一つは、日通からも嘆願書が出ておりまして……。
  86. 内藤隆

    内藤委員長 嘆願書が出ておる……。
  87. 井上義海

    井上証人 嘆願書と申しますか、陳情書と申しますか、秋葉原の駅からあまり遠くない。あの事業からいつて青菓物を集めたりあるいは買い出したりするのに非常にかつこうな場所でもあるし、都民の日常生活に寄与するものが多いから、ぜひ払い下げてもらいたいという陳情書が出ておりました。
  88. 内藤隆

    内藤委員長 そういう関係随意契約にした、こういうわけですな。その随意契約のときの払下げ価格評価はだれがやりました。
  89. 井上義海

    井上証人 これは財務局がやりました。
  90. 内藤隆

    内藤委員長 財務局自体がやつた。そのときはどこか専門的に参考に調査しなかつたのですか。
  91. 井上義海

    井上証人 これは先ほど申しましたように、その当時の基準地相続税課税標準から見た価格、それから財産税課税標準から見た価格、それから売買実例がその付近にありました。それら三者を勘案いたしまして出したわけであります。
  92. 内藤隆

    内藤委員長 その代金の収納の状況はどうです。
  93. 井上義海

    井上証人 日通からの代金ですか。
  94. 内藤隆

    内藤委員長 日通ももちろん、その他の契約もです。
  95. 井上義海

    井上証人 更改契約をしたときに、転売先と直接契約をした金ですか。
  96. 内藤隆

    内藤委員長 そうです。
  97. 井上義海

    井上証人 これは日通はもちろんですが、三十八軒の店舗は近く納める予定になつております。
  98. 内藤隆

    内藤委員長 近くとはいつです。
  99. 井上義海

    井上証人 大体支払い資金ができたので、近く——近日中に払う予定になつております。
  100. 内藤隆

    内藤委員長 まだ未納の額はどれほどありますか。
  101. 井上義海

    井上証人 未納の額は三百万円程度じやないかと思います。はつきりした数字ちよつと覚えておりません。
  102. 内藤隆

    内藤委員長 それから学園契約を更改した後、学園はさらにまたその契約條項の違反をやつておりますが、財務局ではそいう事実を調査したことはありますか。
  103. 井上義海

    井上証人 これは私ども積極的に調査したのではないのです。先般これは行政監察委員会事務局の方でやりました。
  104. 内藤隆

    内藤委員長 あなたの方は何もやらなかつたのか。
  105. 井上義海

    井上証人 その方の指示でその後調査したのであります。
  106. 内藤隆

    内藤委員長 かように学園は再度契約條項を無視し、払下げを受けた土地の一部を上野信用組合に転売したり、それから残土地の全部約千坪について日通及び熱海市の小倉あるいは原という人々に対して抵当権を設定する、あるいは大蔵省契約の本旨に従つて解除した場合、これらの転得者または抵当権者は、善意と悪意とを問わず、大蔵省としては一体どういう処置をとられるのですか。
  107. 井上義海

    井上証人 再び転売をしたという事実が調査の結果わかりましたので、これに対しましてどういう処置をとるかということにつきましては、私の方としては、今委員長のおつしやいましたように、磯川園長なる者が再度そういう措置をとつたことについて、現在非常に遺憾に思つておりまして、何とか適当な措置がないかと考えておりますが、かりに契約解除することは非常に簡単でありましても、ただいまおつしやいましたように、すで転売まで転々と登記されておりますし、抵当権が一番抵当、二番抵当と、九百数十万円のものがついております。契約解除した後の法律関係が非常に複雑になつておりまして、聖十字学園にもしその資力がなければ、解除してかえつて政府としては負債の方を背負い込むようになつても困りますので、どういうふうに処置することが一番妥当であるか、また聖十字学園に対して監督庁、厚生省なり都の方からどういうような処置をとるか、それらの行き方、やり方も連絡してみまして、関係方面とよく連絡をとつて、最も適切な処置をさつきゆうにとりたいと考えております。
  108. 内藤隆

    内藤委員長 昨日の磯川証人証言では、現在の聖十字学園の財産を評価すると——評価の方法によつてはどうともなるが、大体において二千万円近い財産を持つておる。磯川個人は無一文である。しかし聖十字学園は財産がある、こういう証言をしておる。これはあなたの方の大きな参考になろうと思うから一言申し上げておきます。  他に御質問はありませんか。
  109. 高木松吉

    ○高木(松)委員 証人はこの問題を通じて、国民の公僕としてなすべき仕事の責任を尽したとお思いになつておりますか。
  110. 井上義海

    井上証人 この点に関しましては、先ほど委員長からお話がございましたように、初めこれを引継ぎますときに……。
  111. 高木松吉

    ○高木(松)委員 そういう長い考え方でなく、どういうふうに今考えておられるかという感想をまず第一に聞きたい。あなたの感想……。
  112. 井上義海

    井上証人 現在まで持つて来ますにつきまして、事務当局としては非常な努力——ことにこれに直接担当しておるものが非常な努力をして、このために多少からだを悪くした人も出て非常な努力をしたのでありますが、結果的にこういうことになりましてたいへん遺憾に存じております。と同時に今委員長の申されましたように、私の方の至らぬ点が若干あつたと思つてこの点は今後大いに努力をして戒めて行かなければならぬと思います。
  113. 高木松吉

    ○高木(松)委員 こういう国有財産払下げは、従来今のような方法をもつてほとんどやられておつたのですか。言いかえれば、今のような程度の注意義務だけでおやりになつてつたのですか。
  114. 井上義海

    井上証人 聖十字学園にやりましたよりも、現在やつておりますのはもつと……。
  115. 高木松吉

    ○高木(松)委員 現在でなくして、当時他に国有財産払下げをしたものが数々あるでしよう。それに対する注意の程度はこの問題を取扱つたと同じ程度の注意以上には払われなかつたと言い得るかどうかと、こういう点です。
  116. 井上義海

    井上証人 その点は当時の事務の処理状況をちよつと御説明したいと思うのでございますが……。
  117. 高木松吉

    ○高木(松)委員 そういう長いことを聞かなくも、注意義務をどの程度つてつたか。この問題だけには注意義務を怠つたが、他の方面は注意義務を怠らなかつたというのか。この事案と同じ注意義務で他の場合も取扱つてつたかということの簡単な回答さえしていただけばいい。
  118. 井上義海

    井上証人 ちよつとこの事案と比較することが非常にむずかしいのでありますが、注意義務という点になりますと……。
  119. 高木松吉

    ○高木(松)委員 注意義務というものはひとつの観念の問題であつて事案が異なろうと形が違つてつても、注意する自分考え方をどこにおいていたかということは同じだろうと思うがどうです。
  120. 井上義海

    井上証人 その点は私は同じであります。
  121. 高木松吉

    ○高木(松)委員 それではこまかく聞きますが、あなたは関東財務局長になつたのはわかつたが、その前何と何をやつておられたか。東京財務局当時いつからいつまで何をやつて、いつからいつまで何をやつてつたかそれをはつきりしてもらいたい。
  122. 井上義海

    井上証人 東京財務局のときには総務部長をやつておりました。
  123. 高木松吉

    ○高木(松)委員 いつからいつまでです。
  124. 井上義海

    井上証人 これがまた非常に複雑なのでございますが、東京財務局はその前関東信越財務局東京財務局とにわかれまして、そのわかれる前が、それを一括した東京財務局という官庁であつたのです。その当時から総務部長に続いてなつておりました。
  125. 高木松吉

    ○高木(松)委員 それから先ほど厚生大臣から大蔵大臣に申渡し事項があつた当時の厚生大臣はたれですか。
  126. 井上義海

    井上証人 一松厚生大臣であります。
  127. 高木松吉

    ○高木(松)委員 大蔵大臣はどなたですか。
  128. 井上義海

  129. 高木松吉

    ○高木(松)委員 そこであなたにお尋ねしますが、厚生大臣から申渡しがあれば、それによつて大蔵大臣払下げ義務に拘束されるものですか。
  130. 井上義海

    井上証人 必ずしも拘束されるものではない。
  131. 高木松吉

    ○高木(松)委員 ただいまの必ずしもということについて、私どもは一つの疑義を持つのだが、少くとも国家財産を管理しておるあなたの役所が、他の役所の拘束を受けるということはないと思う。従つて独自の立場で、厳然たる態度で国家本位に考えて職責を行うべきものと私は考えるのだが、その点に見解の相違がありますか。
  132. 井上義海

    井上証人 その点では見解の相違はございませんが、ただ私は実際問題といたしまして、社会事業を監督する官庁の方からそういう裏書きがあれば、相当程度それは信用してかかるのもまたやむを得ないのではないかと考えるのであります。形式的にはむろん拘束されません。
  133. 高木松吉

    ○高木(松)委員 拘束されていないとすれば、たとい厚生大臣が何を言つて来ても、あなたの方は独自の立場で調査して適当のものであるか、適当のものでないかをはつきりと認定した上において払下げ事務をとるべきものだと私は思うが、もしそこにあなたの厳然たる態度がなかつたためにこの問題の大きな誤りを起しておるのじやないかと思うので尋ねるのだが、その点どうですか。
  134. 井上義海

    井上証人 私どもは拘束されてどうこうというのではなくて、どう申しますか、あるいは語弊があるかもしれませんが、調査能力の全力を尽してやつたつもりでございます。しかしその深さが、今委員のおつしやつたように足らなかつた点があると思う。多少そういつた裏書きのあることをあまり信用を置き過ぎたというきらいがないでもなかつたのではないか。
  135. 高木松吉

    ○高木(松)委員 わかりました。厚生大臣からいかなる内容の申送りを大蔵大臣にされたのですか。内容を詳細にお話し願いたい。
  136. 井上義海

    井上証人 内容はあまりありませんので、先ほど委員長から御質問がございましたように……。
  137. 内藤隆

    内藤委員長 ちよつと証人に申しますが、その書類はそこにあれば、簡単ならば読んでみたらどうです。
  138. 井上義海

    井上証人 東京都知事依頼、この依頼状がついて厚生大臣から大蔵大臣に来たのです。
  139. 高木松吉

    ○高木(松)委員 その内容を詳細に聞きたい。
  140. 内藤隆

    内藤委員長 読んでください。
  141. 井上義海

    井上証人 読んでようございますか——それでは読みます。  簡易宿泊所は戦災前に於ては東京都直営のもの一四、社会事業宿泊所四五、簡易旅館(木賃宿)四一八の  如き各々の宿泊施設に依り浮浪者、日傭労務者等の便宜を図つていたのであるが、之等の簡易宿泊所は概ね罹災し其の機能を全く喪失している為、罹災に因る住宅難に加えて現在の経済情勢に依り、住宅供給又は貸家、貸間紹介等の社会的経済保護の方法がないから、都市復興並びに進駐軍労務の為日傭労務者は日々激増し、之等宿所なき者が公園ガード下等に徘徊浮浪しており、之等の者を収容保護せねばならぬが、職のある宿所なき者等であるから、有料簡易宿泊所の設置が喫緊事と思料せられるにつき、都直営無料、有料宿泊所の新設を計画するも財政上意の如くならざる為、社会事業家に依る簡易宿泊事業の円滑を計ることが急務と思料致しますから、左記所在敷地並びに焼建物の貸与方特別の御詮議に依り御取計い願いたい。  一、所在地 千代田区和泉町二丁目  二、焼建物 旧衛生試験所省内こうなつております。
  142. 高木松吉

    ○高木(松)委員 それはだれにそういう便宜をはかつてやれと書いてあるのですか。
  143. 井上義海

    井上証人 社会事業家による簡易宿泊事業の認可方であります。
  144. 高木松吉

    ○高木(松)委員 そうすると何も聖十字学園にどうせいということは書いてないのですか。
  145. 井上義海

    井上証人 これを添付されまして、厚生大臣から大蔵大臣に、「厚生省所管東京衛生試験所々属公用財産中左記のものについてはその用途を廃止したので国有財産法第三條ノ三により引継する。追つて本件に関して聖十字学園代表者より別紙の如く東京都知事依頼状を添えて貸付け若しくは払下げ方の申請あり、払下げに当つて国有財産法第九條第一項但書の規定を適用されたい旨の陳靖あつたが、詮議の上希望を容れられたく関係書類を附して右申添へる」というのであります。
  146. 高木松吉

    ○高木(松)委員 それは厚生大臣の一松さんから栗栖さんのところによこした書類なんですね。
  147. 井上義海

    井上証人 そうです。
  148. 高木松吉

    ○高木(松)委員 その内容をあなたはどう受けておられましたか。
  149. 井上義海

    井上証人 ……。
  150. 高木松吉

    ○高木(松)委員 ではこう聞きましようか。現在わかつているような聖十字学園であつたならば、その書面の内容とは全然違いますよ。
  151. 井上義海

    井上証人 現在とは非常に違います。
  152. 高木松吉

    ○高木(松)委員 当時その問題について独自の立場から一応聖十字学園というものをお調べになりましたか。
  153. 井上義海

    井上証人 その当時雑種財産を取扱つておりましたのは数名でやつてつたのであります。この旧軍用財産、物納財産以外のかような雑種財産が都内に大体五千件程度ありました。それを数人が非常な努力をしてやつておりましたが、こういう申請を受けまして、またこういう書類を受取りまして、一応責任者に数度出ていただいていろいろな話をお開きし、それから申請書を提出された内容についても不備な点が非常にありましたので、七、八箇月の間これが整理に——向う側の整理のために日にちを食つたわけであります。そのときといたしましては、ずつと慎重にやつたつもりではおります。
  154. 高木松吉

    ○高木(松)委員 元来財務局調査することは、書面審理をすれば足るのですか、実態調査をすることを必要とするのですか。
  155. 井上義海

    井上証人 書面審査だけで十分納得が行きます場合には、書面審査だけで審理することになります。書面審査で納得が行きませんときには、もちろん実際について十分の調査をする場合もあるかと思います。
  156. 高木松吉

    ○高木(松)委員 その払下げの問題で国会に責任を負う立場にある人はどなたですか。
  157. 井上義海

    井上証人 それは関東財務局長だと思います。
  158. 高木松吉

    ○高木(松)委員 政治的責任は大蔵大臣——大蔵省所管ですね。
  159. 井上義海

    井上証人 所管大蔵省であります。
  160. 高木松吉

    ○高木(松)委員 そうすると、厚生大臣が何を言うて来ようが、法律的の責任というものはいわゆる大蔵省、あなた方のところにあることは間違いありませんね。
  161. 井上義海

    井上証人 それは……。
  162. 高木松吉

    ○高木(松)委員 こう聞きましよう。この書面があるがために書面審理によつてあなた方は責任を果した。その書面を出したのは東京都であり厚生大臣であるが、その書面に災いされて大きな過ちを起しているわけです。実態調査をすればすぐにわかるのだが、実態調査せずにやつたと私どもは思う。そこでそういう場合において、書面を出してよこした厚生省に責任があるのか、その責任の帰するところは大蔵省であるのか、どつちなのだろうかということをはつきりさせてもらいたい。
  163. 井上義海

    井上証人 それはもちろんこの財産の処分は大蔵省でやつたのでありますから、大蔵省と申しますか、当該の責任者は財務局であると思います。
  164. 高木松吉

    ○高木(松)委員 それは法律的の責任でしようね。法律的に帰属される責任はあなた方にあると断ぜざるを得ないでしよう。それは認めるでしよう。
  165. 井上義海

    井上証人 そうです。
  166. 高木松吉

    ○高木(松)委員 そうしますと、払下條項の中に「売払を受けた物件を引渡しを受けた日より拾ケ年間公益事業(保護、公益、授産)施設の用に使用する」とありまして、十箇年間の條件つきで払下げていますね。この條件つき払下げ内容を監督する責任を持つ者はどちらですか。
  167. 井上義海

    井上証人 それはその当該財産を処分しました官庁である関東財務局であります。
  168. 高木松吉

    ○高木(松)委員 そういうふうに理論的にまた法律的に責任があるとするならば、これだけの物件をこの條件で払下げた当時の聖十字学園というものが、こういう公益事業を行う能力ありと認定なさつたのですか。
  169. 井上義海

    井上証人 その点は先ほどから申しましたように、そのときの状態におきましては、これも一つ社会事業内容、あるいはやり方についての判断をする資料になつたと思います。その監督官庁からこういう書面が来ているのでありますから。ただそれだけではなくて、財務局といたしましては、財務局独自の、今委員のおつしやいましたような調査をしなければならぬが、それはそのときの状態においては十分やつたつもりでおるのであります。
  170. 高木松吉

    ○高木(松)委員 十分やつたとおつしやるが、一体聖十字学園財団法人としてどれだけの財産がありと認定し、その財産によつてこれだけの地所の上に公益事業をなし得るという認定をしたその資料となつたものを、ひとつはつきりさせていただきたい。
  171. 井上義海

    井上証人 その資料はただいま手もとに持ち合せておりませんが、資金関係と申しますと、社会事業でございますので、大部分が渡邊さんの寄付金あるいは補助金その他……。
  172. 高木松吉

    ○高木(松)委員 渡邊君のいわゆる寄付行為の内容は、あなた御承知でしようね。
  173. 井上義海

    井上証人 渡邊さんの所有されております不動産その他……。
  174. 高木松吉

    ○高木(松)委員 いや、寄付行為によつて取得したもののみが聖十字学園の財産であつて、その財産で、三千何百坪という地所の上に、いわゆる社会事業公益事業をなし得るという確信をあなた方がお持ちになつたのだから、その根拠となつた事情を述べてもらいたい。そこに重大な責任の問題が起きて来ると思うのです。書面審理にしても、この書面が財産目録としてついている。四十二万八千円、基本財産二十万円、不動産、現金と、こうずつと書いて、結局全寄付行為が一千八百五十五万二千八百五十円ということになつている。これだけが聖十字学園の財産であつて、しかも現金というものはわずかのものです。建物とか事務所とか器具とかいうものを出して、こういうふうに計算しておるのだが、あなた方の常識でお考えになつて、こういうふうに一つ法人が三千何百坪という地所を払下げを受けて、その上に社会事業、公共事業を起すだけの財産的力があつたと御認定になつたのですか。
  175. 井上義海

    井上証人 先ほどちよつと申しましたように、その当時は私直接の担当じやなかつたものですが、私考えまするのに、それは社会事業団体でありまするので、そういう事業を営むにはどうしても寄付行為が基礎になると思います。将来あるいは現実に今受けている寄付、あるいは補助、それから事業をやります収支——これは営利事業でないからほとんど上らぬと思いますが、そういうもので一応の事業計画の収支がついて行くものだと思います。
  176. 高木松吉

    ○高木(松)委員 少し法律的になつて常識的でないかもしれぬが、とにかく払下げの主体は聖十字学園です。この能力というものは、いわゆる寄付行為に制約されておるべき筋のものです。なおそれ以上に特に篤志家から寄付を受けるというならば、その磯川なり理事長なり聖十字学園なりの信用程度をつぶさに調べない限りは、こんな大きな財産を簡単に払い下げてしまうと、将来いざこざを起す原因をつくるであろうということは、注意義務を払つておれば何人もわかることだと思うが、この点はどうです。
  177. 井上義海

    井上証人 この点は現在こうなつておりますので、委員から言われまするとなるほどと思いますが、その当時といたしましては非常に厖大な財産を数多くやつておりますし、しかも一方にはできるだけこれを早期に処分しよう、そして予定の歳入に入れなければならぬ、こういうときでありまするので……。あとから考えてみますともつとこういう点を調査すればよかつたということは確かにあります。
  178. 高木松吉

    ○高木(松)委員 そういう責任のがれでなく率直に述べていただきたい。われわれは早期にやれと言つたけれども、こんなずさんな、あとで困るようなこんなことをやれとは言つてないと思う。やはり善良なる注意を払つてきちんとした仕事を早期にやれよと言つたんだから、いわゆるあなた方役人としては、自分の能力の限りを尽しておればそれでいいので、機構上人員が少いということのために遅れたからといつて、あなた方の責任は起きないのみならず、国家の公僕としたら善良なる注意を払つてなすべきが当然であつて、その当時いくら国有財産があつたからといつて、そう簡単に乱雑に払い下げてしまつたなら、国家利益は大いに損害させられる。そういうことをしろとはおそらく言つてないと思うが、その点どうですか。
  179. 井上義海

    井上証人 もちろんずさんに早期にやろうとは考えておりません。
  180. 高木松吉

    ○高木(松)委員 この問題をあなた方が正当化しようとしても、われわれが当時の実情をそのまま思い浮べて判断すれば、相当ずさんなやり方であることは争えない事実だと私は思う。先ほどから私が言つたように、指摘した点を一つ一つあなたの良心に訴えて考えてごらんなさい。決してまじめに、真剣に、ほんとうに注意義務を払つてつた仕事だとはだれも考えられない。それを考えておるというならば、いま一歩進んでお尋ねするが、とにかく聖十字学園としての法人の財産は今のような内容の財産である。ほかから寄付があるであろう、この聖十字学園に対していろいろなもらいものがあるであろうというようなことを測定したとするならば、測定する根拠がなければならぬ。終戦直後のどさくさにそういう寄付を受けられるというようなことが考えられますか。
  181. 井上義海

    井上証人 私は決して委員のおつしやることを反駁しておるのではないのです。ただあまりにも慎重にやりますと、随意契約をすること自体が非常にむずかしくなつて——その度合いの問題がもちろんあろうかと思うのでありますが、財産を処理する側から申しますと、これは競争入札で処分して行く方が歳入も上りますし、徴収も楽なのであります。しかし学校、公共団体、その他からいろいろな事情を述べて来られまして、できるだけそれに協力しようというのでやつておるのでありまして、非常に慎重にやりますと事務がだんだん渋滞するし、またそういう方面の御便宜をはかつて行くことも非常にむずかしくなつて参ります。もちろんこの聖十字学園の問題については、御指摘のように確かに調査に粗漏があつて、不十分であつたと私は考えます。この点はまことに申訳ないと思います。
  182. 高木松吉

    ○高木(松)委員 今のお話わかりますが、随意契約をして特に払下げを受ける人の立場を考慮するということは、国家的に見て例外ですよ。そうでしよう、観念的に考えて……。随意契約でなく競争入札にして公正な価格で売り渡せば、そこに何人も責任を負わずに、しかも公正なものが生れて来る。そういう建前でありとすれば、随意契約をする場合においては厳格に調べることの責任をあなた方に負わされておるという自覚はないのですか。
  183. 井上義海

    井上証人 もちろんおつしやいましたように例外的の措置であります。十分に調査はしたつもりでおりますし、今後はさらに随意契約については徹底的調査をしなければならぬと思つております。
  184. 高木松吉

    ○高木(松)委員 私は一般観念論を聞いておるのではありません。この聖十字学園の問題においてあなたはどう考えておられるかという、特定した問題に対しての回答を望んでおるのであります。
  185. 井上義海

    井上証人 この問題につきましてはとにかくこういう結果になつておりますので、いくらそのときの状況といたしまして、十分の調査をしたつもりでおりましても、これは結果がこうなつておりますから、これはもうただそのときの調査が足らなかつた考えるよりほかないと思います。
  186. 高木松吉

    ○高木(松)委員 結果は原因から来るのですよ。結果の生れておるものに対しては原因の責任を負わなければなりませんな、そうでしよう。そこでいま一つこの点についてお尋ねしたいのだが、随意契約をやること、それから一般競争入札指名競争入札することの選択権はあなた方にあるのですか、法律によつて規定されておる絶対性のものですか。この点どうですか。
  187. 井上義海

    井上証人 これは財務局長の判断でできるのであります、随意契約にするかしないかは……。もちろんそれに該当する事項でないといけません。
  188. 高木松吉

    ○高木(松)委員 たとえば該当する事項でも、どうもこれはいぶかしいという考えを持つた場合には、随意契約にせずに、それ自体競争入札で落すこともできるのですね。
  189. 井上義海

    井上証人 もちろんそうです。また現にそういう事例がたくさんあります。
  190. 高木松吉

    ○高木(松)委員 そうなるとなおさらわれわれは、あなた方の注意義務を払うことに対して大きな一つの責任を感じてもらいたい。少し考えてみたらすぐわかる問題、書面審理でもおそらくあなた方のような専門家であるならばわかる問題を、そこの一つのけじめをゆるめたばつかりに、あとは次から次へと乱雑きわまる問題が起きて、そして大きな損害を社会にもかけ、国家にもかけるような形になつて来た。のみならず磯川という人をわれわれ調べてみると、社会事業ということを掲げて、その内容は先ほど委員長の言つたような人なんだ。こんな人にやるとやらざるとは、あなた方の判断でできるんだというならば、何ゆえにその当時判断して、国家の利益を保護してくれなかつたか、社会にこういう害毒を流すようなことをさせたか。先ほどあなたの言つた転売——またうちを貸してとか、いろいろなことがありましたが、これみな一つとして、悪徳のなしたわざでないものは何もない。こういう大きな地所を、こういう能力のない財団法人にやらしたということ自体が、この問題の根本の責任の帰属するところと私は考えるが、あなたは同感ではございませんか。
  191. 井上義海

    井上証人 その点は先ほども申しましたように、確かにそういう結果になりまて、いろいろ迷惑をかけた点は申訳ないと思つております。ただ委員各位にこの点だけはくんでいただきたいのは、これが更改契約し、現在に至るまで非常な努力事務当局としてはやつております。その調査に至らなかつたために、こうなつてはおりまするが、そのときとしては、十分の調査はしたつもりであつた。それで随意契約をした場合に、全部が問題なく行くかということになりますと、それはどうしても中にはあるのであります。これなんかは、委員の指摘されましたように、確かに至らぬ点も多々あつたと思いますけれども、事務当局としては、初めからそういうことがわかつていて政治的に動いたということは、毫末もないのありまして、いろいろな資料、いろいろな面から、これなら社会事業だから、むしろ社会のためになるだろうということでやつた。結果は非常に悪いことになりましたが、払下げをするときの気持は、決してそういうものではなかつたのであります。この点だけはおくみとりいただきたい。
  192. 高木松吉

    ○高木(松)委員 あなたの希望は聞いておくが、私どもはむろんその当時の実情も考慮の中に入れて、あらゆる角度から判断して、あなた方が善良な官吏として、注意義務を払つてつた仕事とは絶対に受取るわけには行かない。そのことに関して本日現場に行つて調べてみた。まつたくどの仕事もどの仕事も、聖十字学園仕事としているものはほとんどない。太陽寮というのは浮浪児のあれですが、簡易宿泊所というのは、簡易宿泊所組合に権利金——寄付名義ですが権利金です。権利金をとつて、家賃をとつて経営はその人たちがやつている。決して聖十字学園がやつているのではない。それから母子寮——母子寮とよくも名前をつけた、ばかばかしくて話にならぬ、これも母子寮聖十字学園から場所を借りてやつている人は自分でこしらえて、一畳一万円の権利金をとつて、四畳半が一千五百円から二千円、四千円のものもある、そういうような家賃をとつてうちがなくて困る人間をぎゆうぎゆういじめている。むろん社会事業じやなくて、聖十字学園から場所を借り受けて、自分が営利的にやつているのだから、名目だけ母子寮とついているが、まつたく個人経営で、はなはだしい悪徳家主の形をとつている。太陽湯といえども、これまたその通り、別に社会事業でも何でもない、浴場の組合で借りてやつている、決して聖十字学園の直接の経営でも、委託経営でも何でもない。それから外食券食堂というのがあります。これもまつたくある人が借りて、権利金を払つて、毎月二万円なら二万円の家賃を払つて、そこで普通の営業をやつているにしかすぎない。そうしてみると、聖十字学園というのは何をやつているのだということになる。東京都からわずかの浮浪児を預かつて、今日は三十人ぐらいいる小さな仕事だけして、最初は三千何坪、今は千坪という結局先ほど証人から言う処理しにくいという点を、何とか処理しなければならないと思うが、処理方法をどうお考えになつているか、これが一つ。  こういう事実を、あなた方は十條によつて十年間公益事業に使つているかいないかを監督しなければならぬのにかかわれず、われわれがやつて始めてわかり、あなた方にわかつていないというようなお話でしたけれども、これは大きな監督上の責任を果さざる事実じやないかと思うが、この二つの点に対するあなたの考えはどうです。
  193. 井上義海

    井上証人 その点につきましては、先ほどからも申し上げておるのですが、まず園長のそういつたやり方につきましては、ただいまでは私どもの方でも調査して、今おつしやつたような事実は十分承知しております。これにつきましては非常に遺憾に思つて、むしろ非常な義憤を感じておるのであります。私ども契約の当事者の一方でありまして、これに対する処置としては、契約解除するという処置がとれることになつております。契約解除することは簡単でありまするが、その後、それではどういう法律問題、事実問題が起つて来るかということになりますると、先ほどから申しますように非常にむずかしい問題が起つて来る……。
  194. 高木松吉

    ○高木(松)委員 今の証人の言われることは、現在の段階となつてはその通りだと思う。そこで具体的に対象となつた聖十字学園の問題は別として、こういう問題をしでかしたあなた方の責任について、どういうふうにお考えになつておるか。責任をとる覚悟がありますか。役人が、やつたことに対して何らの責任をとらずにそのままにしておることは、行政運営の上に大きな問題だと思う。そこで私の言いたいことは、責任の所在をはつきりして、役人の方々も責任をとつてもらいたいと希望するのだが、これに対してあなたの感想はどうですか。
  195. 井上義海

    井上証人 この点は、契約をいたしました二十四年三月は、私は先ほど申しましたように直接その衝になかつたのであります……。
  196. 高木松吉

    ○高木(松)委員 まだわかつていないようだから……。要するにこの問題に関係して、責任を負うべきポストにおつた人たちが、責任がありとすれば責任をとつてもらいたい。責任があるかないかということと、責任ありとすれば、いかなる形においてその責任を果してもらえるのかということです。
  197. 井上義海

    井上証人 責任の問題は今しましたように、財務局が処理したのでありますから、責任と申しますれば、そういう結果になつたことについては非常に遺憾に存じております。申訳なく思つております。
  198. 高木松吉

    ○高木(松)委員 その遺憾の内容をどういうふうに表現されるか、どういう行動によつて遺憾の意を表せられるか、その内容を聞きたい。行政官庁はいま少し引締めて、国家を愛し国民の利益のためになすべきであるにかかわらず、この問題のごときことが各方面に存するかのごとく聞いておる。具体的に上つたこの問題に遺憾の意を表するならば、その遺憾の意の内容をあなた方としてははつきり明示していただきたい。
  199. 井上義海

    井上証人 この問題につきましてはまことに申訳ないのでありまするが、私どもといたしましては、相当多種多様の財産を処理、管理しておるのでありまして、今後十分かような粗漏の調査のないように、できるだけの努力を職員とともにいたして参りたいと考えております。ただ先般新聞に、四割安とか何とか出まして、担当の評価した人間がそれを見まして、私のところへ泣いて参りまして、非常に努力をして、いろいろなことで、むしろ社会事業に対して高過ぎるというので、非常な非難あつたのでありまして……。
  200. 田渕光一

    ○田渕委員 社会事業ならだが、社会事業でない。
  201. 井上義海

    井上証人 結果はそうでございましたけれども……。
  202. 高木松吉

    ○高木(松)委員 そんな長いことを聞いておるのじやない。前に責任を感じていると言われた。私どもは価格の問題というよりか、聖十字学園というものの調査をあなた方が完全にせずに、それが原因で、あそこへ住まつておる人たちにも大きな迷惑をかけ、国家もいろいろなあれをしておる。そうして現在なおそこの払下げ代金は完済されていないでしよう。これはやはり国家の大きな不利益なんです。そういういろいろな諸多のことを総合して、責任を感じておられるなら、それに対してどういう責任の感じ方をしているとか聞いたので、前半の供述は納得できろが、後半の言訳を聞こうとは私はしなかつた。しかしあなた方が感想を述べるのは自由だからいいが、後半の弁明をすることによつて前半の責任は消えて行くような気持で、はたして責任を感じているのか、感じていないのか疑わざるを得ないから、ここにまた畳みかけてあなたの責任感を聞くわけです。はつきりさしてください。
  203. 井上義海

    井上証人 これは十分責任を感じております。今後こういうことのないようにできるだけの努力をして、職員とともにできるだけむだな仕事は省くようにいたしまして、そういう契約後の調査にも十分の力を注いで行きたい覚悟でございます。
  204. 内藤隆

    内藤委員長 ちよつと証人に聞きます。ただいまの証言のうちに、社会事業に対してはむしろ高いくらいだという声を聞いておるということを今証言されましたね。それはどこから聞いたのですか。
  205. 井上義海

    井上証人 それは聖十字学園の方は非常に安く買いたいような気持でおつて、私の方はそれはとんでもない。これは適正な時価で処分するという、その点はもう十分通して来たつもりであります。
  206. 内藤隆

    内藤委員長 しかるに今あなたの証言中に社会事業に対してはむしろ高きに失しておるという声すら聞いておると証言したじやないか。
  207. 井上義海

    井上証人 それは買う方がそういうのです。
  208. 内藤隆

    内藤委員長 それはそうでしよう。買う方はただもらうといつておる。そんな声なんかをここで証言することは間違つている。買う方の意見をここで述べるということは、まだあなたはほんとうに責任を感じていないのじやないか。買う方はただもらいたいというのだ。それからもう一つ言いますが、あなたは磯川君と面会したことは何回ありますか。
  209. 井上義海

    井上証人 二回ぐらいあります。
  210. 内藤隆

    内藤委員長 二度も会えば、たいてい人というものは第一印象でわかるのだ、この男がはたしてまじめな堅実な社会事業家であるかどうかということぐらいは、判断できなかつたかどうです。
  211. 井上義海

    井上証人 そこまで見通すことができませんでした。
  212. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 簡単にその根本になる問題だと思うから承りますが、こういう随意契約でやるときには、社会事業をやる者でなければならぬ、それからさらにその社会事業をやる者は、財団法人でなければならぬ、こういうことですが、それは何かそういう内規でもあるのですか。
  213. 井上義海

    井上証人 それは規定には公共事業とあるわけです。事業内容が公共事業であれば随意契約の対象になるわけであります。
  214. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 財団法人であることを要するのじやないですか。
  215. 井上義海

    井上証人 必ずしも財団法人であることを、絶対の要件にはしないと思います。
  216. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 それは磯川のような者でも財団法人でなければいかぬというので、財団法人をつくつた、こう言つておりますが……。
  217. 井上義海

    井上証人 ただ私、ちよつと専門的で、よく存じませんが、社会事業を営むには財団法人でないと監督官庁認めないのではないかと思いますが……。
  218. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 そこでその点私聞きたいのですが、財団法人であればいいに違いないでしよう。ところがこういうものを払下げするときに一夜づくりで財団法人にして来る。これをしもいわゆる財団法人で堅実なものと認めて、対象にされることに、大きな原因があつたのじやないかと思うから聞くのですが、これはわれわれはよく知つておるが、銀行へ行つて金を借りるときに、いわゆる持込み担保というものは銀行は金を貸しません。それと同じことで、財団法人はよろしいが、持込み財団法人だ、これらの点に対してあなた方はどうお考えになつておるかを聞きたいのです。
  219. 井上義海

    井上証人 この問題につきましては今後よほど徹底した調査をして、ことに社会事業申請につきましては、先ほどからいろいろ委員の方の仰せもありましたように、徹底的な調査をして参りたいと考えております。
  220. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 さらに財団法人となると寄付行為があるわけですね。そこであなたのところへ出しました寄付行為の書類、これは先ほどあなたもおつしやつたが、渡邊敬吉なる者の寄付行為としてあなたのところへ出した書類、これに対してはたして寄付があつたかどうか。この寄付行為なるものは、これはおそらく書面審理でまず見られる。書面審理で見ると同時に、はたしてこういう寄付があつたかどうかを確められるはずのものと思うが、確められたものかいなかお聞きしたい。
  221. 井上義海

    井上証人 その当時は私直接やつておりませんで、責任のある答弁ができないのでございますが、もちろんその点は一応念査したと思います。
  222. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 ここで明らかに、寄付はいたしておりませんと言つている。寄付するつもりでありますと、つもりだと言うから、つもりはおかつたが、したのかと言つたら、しておりませんと言う。ほんとうにこれは持込み担保の見せ金と同じことだ。これらの点は、これは何といいましてもここのところが根本だから、今後は注意せられると同時に、なおかようなものがありはせぬかということを、あなたの責任上もう一ぺんよくお調べになつていただきたい。その点だけ申しておきます。
  223. 田渕光一

    ○田渕委員 私はこういうふうに局長に伺いたい。大体総論的なことは委員長並びに高木委員から質問があつてそこで責任の所在もはつきりしたし、しからば責任に対してはどういう処置をとるか、今後努力して職員と一緒に注意をして行く、大体そこへ来たのです。一体財務局長というものはすべての国有財産を処分するのでありますが、会計令によるところの支出負担行為の責任というものはあなたにあるのですか、どうですか。それをまず伺いたい。
  224. 井上義海

    井上証人 支出負担行為の責任はございます。
  225. 田渕光一

    ○田渕委員 そこで予算執行職員等の責任に関する法律というものは、昭和二十五年法律第百七十二号で出ておりますが、同法の第二條第二号の、会計法第十三條の二の第一項に規定する支出負担行為の認証官でもありますか。
  226. 井上義海

    井上証人 認証官は今主計課長がやつております。
  227. 田渕光一

    ○田渕委員 そこで責任は局長にある。そうするとこういうぐあいに国有財産のまず不注意あるいは過失によつて処分した後におけるところの国家に与えた損害の、いわゆる弁償責任、いわゆる弁償命令及び通知任務というような点、こういうことは、やはり弁償はあなたにありますか。かりに責任ありとすれば……。
  228. 井上義海

    井上証人 弁償の責任——損害ですか。
  229. 田渕光一

    ○田渕委員 そうです。大きな損害を国家に与えているのですね。これに対して国があなたに対する要求をした場合に、あなたは弁償の責任がありますか。現在の機構では、その弁償のいわゆる拘束からのがれておりますか。
  230. 井上義海

    井上証人 国にいかなる損害を財務局長が与えたかということによつて
  231. 田渕光一

    ○田渕委員 そうです。不注意あるいは過失によつて国に損害を与えた場合の賠償規定があるのでしよう。それが局長にどんどん処分させないわけだ。それだけ国家としてはあなた方の権限を押えているわけだ。責任を持たしておるわけです。これはどうですか、あなたにありませんか。
  232. 井上義海

    井上証人 国家に損害を与えたとなればあります。
  233. 田渕光一

    ○田渕委員 ありますね。そういたしますと、これは一応局長もいろいろ責任を感じられておるので、決して私は追究するのではないのだけれども、局長は今実際において給料は税金を引いて実収はどのくらいありますか。
  234. 井上義海

    井上証人 税金を引きまして、今度エースが上りましたので、二万六千円くらいになります。
  235. 田渕光一

    ○田渕委員 税金はどのくらいですか。
  236. 井上義海

    井上証人 税金は五千五百円くらいじやないかと思います。
  237. 田渕光一

    ○田渕委員 そこでまず国としては局長としての待遇はしておる。そこでこれは私ら委員として腹をきめなければならぬから伺うのだが、たとえば関東財務局長には局長用という自動車が国家から与えられておりますね。
  238. 井上義海

    井上証人 はあ。
  239. 田渕光一

    ○田渕委員 局長の自動車は何番ですか。
  240. 井上義海

    井上証人 これは四万五千八百五十四番でしたか、正確にはちよつと記憶いたしません。
  241. 田渕光一

    ○田渕委員 そこで局長は官舎をもらつておりますかどうですか。
  242. 井上義海

    井上証人 官舎はもらつておりません。
  243. 田渕光一

    ○田渕委員 官舎はないのですね。
  244. 井上義海

    井上証人 はあ。
  245. 田渕光一

    ○田渕委員 たいていの局長は官舎をもらつているわけだが、あなたは東京にお住居があるから官舎をもらわぬというわけですか。財務局長には官舎はないのですか。
  246. 井上義海

    井上証人 官舎というのは別に今……。
  247. 田渕光一

    ○田渕委員 公舎と申しますか、それは与えられておりますか。
  248. 井上義海

    井上証人 公務員宿舎ですか。
  249. 田渕光一

    ○田渕委員 それを与えられておりますか、御自宅ですか。
  250. 井上義海

    井上証人 今ありますから入つておりません。
  251. 田渕光一

    ○田渕委員 御自宅で……。
  252. 井上義海

    井上証人 はあ。
  253. 田渕光一

    ○田渕委員 私の伺いたいのは、大体局長には恩給がついているわけでしよう。恩給はまだつかぬのですか。
  254. 井上義海

    井上証人 もう恩給年限に達しております。
  255. 田渕光一

    ○田渕委員 ついておりますね。
  256. 井上義海

    井上証人 やめればつきます。
  257. 田渕光一

    ○田渕委員 そこで私はいろいろ聞きたいが、まず根本理念を考えてもらいたいと思うが、旧帝国憲法のもとでは、輦轂のもととわれわれの青年時代からこの新憲法までの間聞かされておつた。輦轂のもとにおいてかような犯罪が行われる、輦轂のもとにおいてかようなことが行われると、こう言われておつた。天皇を中心とする宮城を中心とするために……。しかし今日新憲法の民主憲法下においては、やはり国権の最高機関である国会のおひざ元でと言わなければならぬ。この国権の最高機関、国会のおひざ元の関東財務局の責任というものは、私は仙台財務局長、札幌財務局長、あるいは名古屋財務局長、大阪財務局長その他の財務局長に対する範を示されなければならぬと思うのです。この点はどうですか。
  258. 井上義海

    井上証人 その通りであります。
  259. 田渕光一

    ○田渕委員 そこでいろいろこの問題が発端となりまして、事務当局がこの問題に乗り出して、あなたの方の管財課を調べてみると、これに類似したとは言いませんが、いまだ金が入らぬとかごてごてしている事件が五十八件、二千数百万円に及んでいるということを事務当局は資料をあげておりますが、これは御存じですか。
  260. 井上義海

    井上証人 金額の点ははつきり知りませんが、大体その程度あると思います。
  261. 田渕光一

    ○田渕委員 そこで先ほど委員長から御質問がございましたが、払下げ書類を添付して、あたかもあなたの方の事務官なり技官なりが了解を得たごとく、あなたもそう言つてつた。当時のことにあなたは立ち会つていないからだが、非常な残土もあつたので、土地の片づけその他の整理もあつただろう。それを整理するための必要もあつただろう、もちろんこの契約がきまるまでに土をとつてくれたり、あるいは整理してくれることは、これは契約がかりに払下げに決定しなければ、国家に対して彼らはほしいためにやつたことであつて、いわゆる自業自得、みずからの損になりますが、国家の土地に対して、払下げのまだ契約をいたしていない、払下げ申請を出しただけで払下げが決定せぬ前に、あなたの先ほどの証言通り残土その他を片づけるのは国家に対して益であるからよろしい。しかしながらこれと反対に、ボイラーあるいはまた鉄くず、れんが、石材その他を合せて約九十八万円の寄付行為に渡邊が出ておるが、スクラツプをただちに処分をしておる。これに対してあなたの方の調査部において、払下げ前にこういうことをやるということはけしからぬ。これに対して窃盗罪なりもしくは何とかいう何をいたしましたか。国家のものを彼らは窃盗した、こういう九十八万円になんなんとするものを一—これは当時の金でありますから相当なものと思いますが、こういうことをあなたの方でも知つている、マル通からも受けております。これに対して処置をとられたというぐあいに御記憶がございますか、どうですか。
  262. 井上義海

    井上証人 記憶しておりません。
  263. 田渕光一

    ○田渕委員 これはやつておらぬ。さらにきよう行つておかつたのですが、太陽の家の煙突が今こしらえれば何十万ではできますまい。私は百万、もつと越すと思う。これが財産目録に入つていない。それともつと大きなことは、あれを払い下げするときに、三千何百坪のところに建ててある工作物と称するものは、ただでもいらぬと言つておりますが、本員たちが調べましたところによりますれば、今日かりに分解すれば、れんがは一枚八円であります。これがまず何十万枚でありましよう。あれだけの工作物に使つたれんがだけでも、今日から言えば私は何百万円のものだと思う。そうしてこれにまず横木を入れるならば十分使える。補強工作のできる範囲であります。というのは厚生省衛生試験所つたから、複雑な建物がなかつたから、戦災は受けたがれんがにひびが入つていないということがはつきりしておる。こういうものを見ると、とうていかような値段ではない。当時磯川というやり手が、日本不動産鑑定課長の杉浦をたぶらかし、あるいはまたあなたの方に鑑定さしたところのものに値段がくしくも一致したというようなことはあり得べきことではないのです。これらに対しても非常にあなたの方の書類審査が粗漏であつたということが現われて来るのでありますが、一緒に彼らの評価が出ておりますが、こういうことをやつておる。日本不動産杉浦鑑定課長は、先ほど局長がいろいろ答弁されたごとく、大体千七百円が普通であろう、こう言つておる。そのほかに今度はあなたの方の調査、あるいは精通者意見として、これは日本不動産の鑑定ですが、あらゆる点から相続税も千七百円、精通者意見も千七百円、よつて、こういうぐあいに、ほしい人といらない人はもちろん違いましようけれども、千七百円に追い込んだというところに、彼らは策謀しておるということがうかがえるのです。勧銀が、今日それを一万円と鑑定しております。そうするとここに大きな開きがありまするが、ともあれ、この煙突を見ておらぬし、あるいはまたその当時、普通国有財産に引継いだときに、この煙突がどのくらいするであろう、このボイラーは幾らぐらいするであろう、その他、鉄くず、石材、——今日一尺四方の石が三百円から五百円であります。石屋にちよつと手間を頼んでも、一日七百円、ちよつとした石をいじれば、たいへんな、千五百円、二千円につく。かようなものを三十八万円も窃盗されておるのに、措置をとらなかつたということについては、どうしても手続をとらなければならぬ、私たちはこう思うのであります。  これに対して、あなたは、書類技術上、これは千七百円というものが普通と思つてつたと言いますが、少くともマル通があの地所を民間人同士でするのなら、一万五千円が二万円でもほしいところでしよう。私は事業家だからよくわかる、二長町のあの通りです。こういうようなもので千七百円ならいい、どうも書類さえそろうたらわれわれの責任はないわということで払下げたということに対して、これは見方にもよりましようから、あまり追究はいたしませんが、非常に安かつたという点と、もう一つこれに対して、局長は政治的な圧力とかはなかつた言つておりますが、本件について参議院議員の木内四郎氏が、弁護士としてあなたに会いませんでしたか、どうですか、これを伺いたい。
  264. 井上義海

    井上証人 弁護士としてこの問題で会つたことはございません。
  265. 田渕光一

    ○田渕委員 そのほかに伺いますが、当時は賀陽宮を顧問とし、衆議院議員の馬場秀夫君、参議院議員の鈴木順一君、こういう方は、その後引続いてあなたは会いませんか。一回も会つておりませんか。
  266. 井上義海

    井上証人 ちよつと、どなたとどなたでしようか。
  267. 田渕光一

    ○田渕委員 当時の、現職ではないが、衆議院議員の馬場秀夫君、それから参議院議員の鈴木順一君、それから現参議院議員の木内四郎君です。
  268. 井上義海

    井上証人 木内さんにはたびたび会つておりますが、この問題で会つたことはございません。あとの二人の方には会つておりません。
  269. 田渕光一

    ○田渕委員 昨日本員が、磯川に証言を求めたのでありますが、この問題に対しまして、財産の払下げに非常に効力があつた、つまり木内四郎氏に対して金十万円の謝礼をするという、財団法人聖十字学園の渡邊、磯川の間の契約が出て来たのであります。あなたは木内さんと、この問題では会わぬけれども、ほかの問題で会つておる。けども私は思うのに、このほかの問題のうちに、木内四郎さんがこの問題に関連して行きはせぬかと思うのですが、どうでしようか。
  270. 井上義海

    井上証人 この問題に関しては、全然私そういうお話を木内さんから聞いたことはございません。
  271. 田渕光一

    ○田渕委員 ところがどうも木内さんを顧問としておると最後に出ておる、すでにその顧問である、顧問料だと言つておる、その顧問料も、最後に追究すると払つておらぬと、こういうのだが、すでに二万円渡したという契約書があるのであります。こういうような意味で、非常に政治的な暗躍があつたのじやないかという点を伺つたのですが、あなたが会わぬとおつしやれば、それでよろしい。  そこで、私個人の想像ですが、そもそもこの問題は日通が資金的バツクとなつて、ここらに払下げを受けるべく、しかも払下げがうまく受かつたならば君らに幾らも使わしてやろうというような構想、あるいは謀略がはかられて、資金を日通が持つておる。そうして受けて来た、すでにその契約が大体できたが金は払えない、頼まれたからというので日通が三百五十万円あなたの方に入れておる、こういうぐあいに私は見るのであります。そうするとこの間日通東京支社の総務部長証言では、秋葉原だけで、もうかる月には一千万円もうかると言つておる。北海道の端から九州の宮崎の端まで全国何万店と持つておるところの日通の一日の收益というものは、私は何億じやきかぬと思う。こういうような日通の大きな独占的な事業——今は許すとか許さぬとかいつて二、三やつておりまして、一駅一店ではありませんけれども、実質は日通がいい場所を占領し、実力を持つておるのだから、実権は日通が持つておる。毎月、何億、何十億といううよな利益をあげておるというようなところで、三百万や五百万ぐらいのものを投げ出すことは何でもない、私はこう思うのですが、あなたは、日通がこの金を入れておるという点にお気づきになりませんか。
  272. 井上義海

    井上証人 三百五十万円の聖十字学園が入れたその金でございますか。
  273. 田渕光一

    ○田渕委員 そうです。
  274. 井上義海

    井上証人 その金は日通が立てかえてある、それは承知しております。
  275. 田渕光一

    ○田渕委員 知つておりますか。ところがこういうようなものを日通が立てかえて払うべきだという——これは入金するときにあなたは在職中じやない、そうでしよう、あなたのときじやないから、あなたは日通が入れたか御存じないわけだが、事務引継ぎなり、当時の担当官から後刻聞いて知られたことですね。その二百五十円が国庫の金庫に入らないで、二百何日もどこにあつたかということを聞きたい、ここにもわれわれ疑いの目を向ける、聖十字学園が払わなければならぬものを、日通が三百五十万円の金を出す、秋葉原支店が出すのに、わざわざ当時集中排除法にひつかかつているというので、自動車修理費という名目で出金伝票を切つて、これを太洋自動車にまわして、太洋自動車はこれを小切手であなた方に持つて行つて、そうしてこの持つて行くのに日通の秋葉原支店がついて行つて、受取りは聖十字学園に出しておる、そうして金が二百何日も国庫に入つておらぬ、どこにこれは浮貸ししておつたか、どこの金庫に入つてつたかということをわれわれは国民の代表として伺わなければならぬのですが、この点あなたは、御存じなかろうが、こういうことがあつたということを下僚から聞いておりますか、どうですか。
  276. 井上義海

    井上証人 聞いております。
  277. 田渕光一

    ○田渕委員 聞いておるとすれば、この国庫に入らなければならぬ金が二百何日間、どこに浮貸しておつたのですか、それを承りたい。
  278. 井上義海

    井上証人 それは三百五十万円は、聖十字学園が延納分の第一回支払い分といたしまして、持つて来たのであります。財務局といたしましては即納で全部払うときは、そこで債務を履行するか履行しないかということはわかりますが、延納のときは、相当期間が長くわたりますから、できるだけ第一回分の金だけは出してもらいたい、話ずくで三百五十万円受取つたのでありますが、ただ第一回の支払い期日がたしか十一月ごろだつた、その関係でこれは一時保管しておかなければならぬ、こういうことで、もちろん大きな金でありますので、役所で持つておりますと危い、保管も十分でありませんので、そのときの、これはその処分した課ではなく、経理の方の係長自分名前で、大阪銀行だつたと思います。大阪銀行に預入をいたしておつたのであります。そうして第一回の支払い期日が来たときに、それを引出して国庫へ入れた、こういうようになつております。
  279. 田渕光一

    ○田渕委員 そうすると、大阪銀行に当時個人の名前で、しかも国有財産払下げした第一回の納入金を次の払込みまでというような意味で、大阪銀行に個人の名義で預けた。これがいいかどうかは、これからお互いに研究しましよう。しかしそのときに、大箇月なら六箇月を、定期とか、あるいは当時の六箇月の今あるラッキーとかあるいは福徳貯金とかいうような一等が当れば三十万円、五十万円というような名目の貯金でもしておつたのですか。普通預金でこれにどれだけの利子がついて来たものを国庫に収入したのですか、それはおわかりですか。
  280. 井上義海

    井上証人 その点は、ただいま申しましたように、正式の保管金ではないのでありまするが、第一回の支払い資金に充当する意味で事実預かつてつた、保管金類似のものです。しかしこれは国庫金ではありませんので、歳入にすぐ納めるわけにも参りませんので、大阪銀行の別段預金で無利子で預けております。
  281. 田渕光一

    ○田渕委員 そこで証人に申し上げまするが、こういう領収書が出ているのであります。受領書、一金三百五十万円なり、但し国東第七十四号契約による第一回納付金(予納分)、右領収しました。昭和二十四年四月二十五日。歳入歳出外現金出納官吏大蔵事務官飯塚俊吾、財団法人聖十字学園代表者磯川義隆殿、同代表者渡邊敬吉殿。そうすると今局長の御答弁になりました預り証ではなく、りつぱな受領書しかとわれわれには思えないのです。ここに国有財産を払い下げて、払い込んだ金を預かり金だからと大阪銀行へ預けて置く、私が今ふしぎに思つているのは、これなんです。五十八件二千数百万円の金がこんなふうにされたのではないかどうですか。
  282. 井上義海

    井上証人 その受取りの内容は私ちよつとまだ承知いたしておりませんが、それは三百五十万円持つて来られましたので、経理の方をやつておる係長の飯塚君がそれを預かつたという預かり証ではないかと思います。
  283. 田渕光一

    ○田渕委員 委員長、預かり証と領収書とはたいへん違いますから、ちよつと証人に見せてよろしゆうございますか。
  284. 内藤隆

    内藤委員長 よろしゆうございます。
  285. 井上義海

    井上証人 これは私はやはり三百五十万円持つて来られたのを、これは当該課ではこういう金銭の出納はやりませんから、出納官吏であります飯塚、これは当時は総務課の係長をやつておりましたが、これが一時保管しておつた。しかしそれは現金でありますから、役所に置いては保管の責めが全うできませんので、これを銀行に当日預けたわけであります。
  286. 田渕光一

    ○田渕委員 そこでこの領収書の文面で見ると、第一回の払込金と書いておりますが、たとえば第一回の払込金でなくて、疑義があるものならば、国家の公僕である、少くとも歳入歳出外現金の出納官吏ともある者が、預かるべからざるものを預かつて、しかも大阪銀行に預けたということの疑いが起きて来るのであります。この点はどういうぐあいに解釈なさいますか。
  287. 井上義海

    井上証人 それはただいま申しましたように、延納でありますので、少くとも第一回分は歳入を確保するという意味合いから預かつてつた。しかし納期がまだ来ておりませんから、一応出納関係をあずかつております飯塚君が預かりまして、そうして即日それを銀行の別段預金に預けておつたものだと思います。
  288. 田渕光一

    ○田渕委員 私はこういうように思うのであります。なるほどあとでマル通が七十二万七千二百何ぼという金を持つて行つて、これで第一回の四百二十万円になると思います。そういうような第一回分の納入金であるものを七十何万円のはしたを残して三百五十万円とりあえず手付金というようなものを入れたことにおいて、彼らは、あなたの方の領収書が出たならば、もうすでに払い下げられたのだ、第一回の内金を受取つたのだ、そこで詐欺もへちまもないということで、ぼつぼつ処分をして行くという動機を与えたということになるのです。それで、聖十字学園の磯川というのはやり手でありますから、うまく行つた、あるいはマル通は喜んだかもしれぬが、うまく関財をだましてやつた、これはしめたというところに追い込まれてしまつたことになるのです。これは例を私はいろいろ申し上げましよう。たとえば先般、私は今問題にしようと思つているのだが、つまり払下げ自動車を百台から昭和自動車あるいはその他の自動車にやつた名前は知らぬ。そのとき六百何十万円の金を払い込んで輸入税をとらぬようにしてしまつておる。航空隊の者と結んで二億円も払い下げられたのに一銭も払わぬ。通産省のやつはばかだ、六百万円の手付金をやつて占有権をとつて自動車をとつたのだから、なあに、とりたければとれとひつくりかえつてしまつておる。これが二億何千万円の問題になつておる。そういうふうにやり方がうまいのです。こういうぐあいに官庁がとるべからざるものをとり、業者からなぜその三百五十万円をとらなければならなかつたかということについては、私たちは疑いの念を持つ。やはり飲まされ食わされ、いろいろな情実関係があるからとらなければならぬように持ち込まれておるところに、日通関係の金がばらまかれておると思うのだが、局長はそう思いませんか。
  289. 井上義海

    井上証人 その点は私の方はそういうような大それたことは決してないのでありまして、分納する場合におきましては、相当期間になるので、ともかく第一回の分を早く金を預かりたいと思いました。それで先ほどからいろいろ非難もされたのでありますけれども、資金関係も十分ではないのでありますから、できるだけ早く歳入確保の意味で預かりたい、持つて来られましたのは、今申したようにこれはもう大事な金でありますので、間違いがないように即日預けてそれで保管して……。
  290. 高木松吉

    ○高木(松)委員 ちよつと関連して。さいぜんから聞いておると奇怪しごくの話なんで了解できないから関連して聞きますが、一体最初の解約しない前ですよ。前の本件の地所の支払い方法はどうなつてつたのですか。三回にわけて払うようになつていますか。
  291. 井上義海

    井上証人 そうであります。
  292. 高木松吉

    ○高木(松)委員 第一回は三百五十万円であることはお認めでしよう。
  293. 井上義海

    井上証人 三百五十万円であります。
  294. 高木松吉

    ○高木(松)委員 第二回が二百八十二万五千円、それから第三回が二百八十二万五千円、これで総計九百十五万円になるでしよう。これは間違いありませんか。
  295. 井上義海

    井上証人 間違いありません。
  296. 高木松吉

    ○高木(松)委員 第一回の三百五十万円を少くともマル通で持つて来ようが何しようが、受取りはとにかく払下げを受けた人に与えております。あなたの方としては当然受取るべき金じやないですか。延納でも何でもこれはもう当然受取るべき金を受取つたのじやないですか。
  297. 井上義海

    井上証人 その通りでありまするが、納期が来るまで保管しておつたのです。
  298. 高木松吉

    ○高木(松)委員 納期前に政府機関として受取る筋のものですか。
  299. 井上義海

    井上証人 それは買つた方が私の方としては歳入を確保する、確実に徴収できる。
  300. 高木松吉

    ○高木(松)委員 そういうことを聞いておるのではない。納期はいつですか。これを預かつたのはいつですか。
  301. 井上義海

    井上証人 預かりましたのは……。
  302. 高木松吉

    ○高木(松)委員 いや納付期限はいつですか。
  303. 井上義海

    井上証人 納付期限は十一月十五日でございましたが、第一回が昭和二十四年十一月十五日であつたと思います。それを二十四年の四月二十五日に預かりました。
  304. 高木松吉

    ○高木(松)委員 そこでそういう受取りを出して受取つておいて、これはいわゆる国家が保管するんじやない、私的に保管するのだ、こういう解釈ですね。
  305. 井上義海

    井上証人 これはまだ納入期日が来て納付しておりませんから、国庫金でもないわけです。
  306. 高木松吉

    ○高木(松)委員 そこでその金を銀行に持ち多くか何かして、または飯塚君が個人の資格で預かつてつたのだとすれば、第三者から差押えを食つても紛失しても、これは国家の責任ではありませんね。
  307. 井上義海

    井上証人 それは経理出納を預かる飯塚君の名前でやつておりますから、純然たる飯塚君個人です。個人関係の債務を……。
  308. 高木松吉

    ○高木(松)委員 これは重大な問題ですよ。いいかげんなことを言われちや困る。     〔高木(松)委員証人に文書を示す〕  これを見て、国家が受取つたんじやなくて、個人の受取つたものだということが言えるのですか。これだけの法律的な事実があつて、そうして年賦なり月賦弁済で払い下げておいて、納期が来ないから、個人で預かつて、銀行に預けておくというような乱脈な経理のやり方をして、それで国家の官吏が責任を果していると思いますか。
  309. 井上義海

    井上証人 それはただいま申しましたように、できるだけ歳入を確保しておく……。
  310. 高木松吉

    ○高木(松)委員 歳入を確保するということは、法律根拠なしに歳入を確保すべきものじやない。どろぼうして来てまでも、それから法律に反しても、それでも歳入を確保すればいいということではないでしよう。不法な歳入の確保をしいられているはずはない。合法的ならば、少くともいわゆる経理面にちやんと現わして、国家が責任を持つて預からずに、国家の役人が個人で公的の金を預かるなどというような乱脈なことをやつてつて、あなた方は国家の官吏として責任を果せるのですか。いま少し法律的にあなたは研究してごらんなさい。そのものがなくなつたらどうするのですか。それは少くとも納めた方は責任を果したというでしよう。国家は、あれは責任ない。個人のものだ。個人の飯塚君が払えなかつたら、これはだれの損害になる。あなた方は官吏として、そういうなすべからざることを容認し、弁解するから、そこにあなた方の官吏としての良識を疑い、良心を疑い、責任を疑い、そうして善良なる管理者の注意を怠つていると断ぜざるを得なくなる。そういうめちやくちやなことを当委員会で発言せられることは奇怪しごくだ。どう弁解しますか。田渕委員の言われるように、少くとも銀行に預けたということは、浮貸しだ。これから調べます。利息をとつておるかもしれません。人の金を預かつて、利息のつかない金を銀行に預けて、銀行は預かつた金だ、それを利用して、そこから利息をとらないというような不合理なことのあるべき筋のものでない。日本銀行とは違います。私的の銀行じやないか。黙つて聞いておれば、どこまでもあなたは弁解々々で、頭の先で事実をごまかして、それでわれわれの前を通ると思うか。少くともその証拠と現実に三百五十万円を役所として預かつている以上、その弁解が通ると思いますか。いま少し良心を呼び起して答弁してください。承知できませんよ。
  311. 田渕光一

    ○田渕委員 同僚高木委員からの法律的なお尋ねがありましたが、こんなことが行われるとすれば、関東財務局というものは伏魔殿だと思う。われわれ民間人が一日滞納すれば、同じ大蔵省の系統である国税局もしくはその出先の税署の若輩どもが、ただちに差押えを執行し、そうして日歩何銭、何十銭というものをとつて、はなはだしいのは、われわれの財産を処分してまでも今回国に吸い上げておる。われわれは今日国会議員としての歳費から毎月一万五千何百円の納税をいたしておる。こういうようなものによつて集まつた国の予算、それによつて求めた国有財産が、つまらないものから策動されて、たいへんな金がばらまかれているということが、調べれば調べるほどおかしくなる。これは相当調べて行きますが、あなたは、こういうぐあいにりつぱな領収書の出ているものを、最初預かり金と弁解し、さらに大阪銀行へ個人で預けた。ここなんです。今日銀座裏のハレムあたりへ行つて裸シヨウを見ているのは、各銀行や役所の部長とか課長とかいうふていなやからだ。まじめに働くものは働いても働いても今日食えない。こういうようなことをやつてもうけているから、何千円というようなチップをやつて、銀座をあれだけにぎわし、今日国家をこれだけ消費面に追い込んで、ドツジ氏なんかにはずかしいような生産減退を見、日本の再建を遅らしている。それはこういう官僚が多いからだと思う。あなたがやらぬにしても、少くともこの出納官吏の飯塚というものは、相当浮貸しによつて毎晩銀座裏を遊んでいるということを考えなければならぬ。それをあなたは信じられますか。これは飯塚個人の預けたものであつて、どこまでもこれは下僚として適当な措置だと弁解されますか、どうですか。
  312. 井上義海

    井上証人 この場合歳入確保ということも非常に強く考えておりましたけれども、特に分納金でありますので、三百五十万円持つて来ましたときに、納期を繰上げて、そこですぐ国庫金に入れればよかつたと思うのであります。ただ納期が遅れておりますので、保管しておる。これは決して浮貸ししておるということではなく、銀行を調べればすぐわかることでありまして、即日銀行に納めて、第一回の納入期日の前日だろうと思いますが、引出して充当しております。
  313. 内藤隆

    内藤委員長 証人に言いますが、三百五十万円からの現金でしよう。利子をとらなかつた、こう言うが、銀行は融資でもうけているじやないか。財務局が営利会社の銀行にもうけさせていいのか。それで裏面に何もないと言えますか。もつとまじめにやりなさい。
  314. 高木松吉

    ○高木(松)委員 あなたは期限が来てないから国庫で受けることができないと言うのですが、金額は間違いなく第一回の分納金ですね。この点はどうです。
  315. 井上義海

    井上証人 それは間違いありません。
  316. 高木松吉

    ○高木(松)委員 それが十一月何日とただいまおつしやつたね。四月に預かつて、期限は十一月何日というのを限られているでしよう。そして契約を結んで払い下げた以上は、その前に受取つたからといつて、国家では違法ではないでしよう。違法ですか。
  317. 井上義海

    井上証人 期限がまだ来ておりませんから、第一回の納入期限であります十一月十五日が参りまして、そこで納入告知書を出して、国庫に納入させます。
  318. 高木松吉

    ○高木(松)委員 一体期限というものは、だれの利益においてつくつたものですか。いわゆる三百五十万円の期限を十一月に切るということは、だれの利益のためにつくつた期限ですか。いま一歩進んで言いましよう。国家の利益のためではない。払下げを受けたものの利益のために期限を切つておる。従つて期限を長くされていることは、国家のために逆に実質上不利益なんです。法律では保護しているが、実質上は不利益だ。ところが払下げを受けた人が、払下代金を現金をもつて役所に納めたときに、国家を代表しておるあなた方が、期限が来ないから受取れません、その日でなければ受取れないというりくつはどこにありますか。当然受取れるのです。法律的に受取れるものを、受取れないと称して、四月から十一月までの間——しかもここからなお危険なんです。個人の名前で銀行に預けて、飯塚個人で引出せることになるでしよう、費消してしまつたらどうです。幸いにして費消しなかつたから、あなたはそこにいられるが、その危険というものがあるから、そういう取扱いは厳重に禁止せられているはずなんです。その部下の仕事を正当化しようと弁解をなさるとは、あなたが良心的にここで答弁されているとは私には考えられない。先ほどから責任を感じていると言つている。責任を感じているのなら、感じているらしい答弁をすれば、われわれはなるほどあなた方は将来に向つてよき官吏になれると納得できるけれども、いまなおさようなことをあなたがお話になるようでは、あなたは責任を感じているけれども、決してその責任を理解して改心していないということになる。われわれとしてはそういう役人がおるとすれば、それはどこまでも追究して、日本の国家全面の利益のために立ち上らなくちやならぬのだが、その点に対してあなたどう考えられますか。
  319. 井上義海

    井上証人 その点は、期限は相手方の利益のためにあるのであります。第一回の納入期限を、四月に持つて来たとき即刻即納金として受取つて処理するのが、これは妥当だと思うのです。
  320. 内藤隆

    内藤委員長 証人に聞くが、十一月の期限をずつと前の四月に持つて来たのでしよう。そこに何か君は不審なことを考えなかつたか、金があり余つておる聖十字ならこれはいいですよ、聖十字学園には金がびた一文もない。それが納期の十一月をずつとさかのぼつて四月に持つて来ている。そこに何かがあるということは考えないか。
  321. 井上義海

    井上証人 その点は、契約は二十三年度の終り三月の二十五日でありましたかにしたのであります。ただ内部事務といたしまして、この事件は本省において稟議しておるわけです。その稟議の回答を待つて、回答が来次第一回の納入に充当するということで、第一回の納入期限が延びたのであります。それが早く来れば即刻それはそれに充当するということに相なつたわであります。その回答が少し遅れたものでありましたから、第一回が十一月になつた
  322. 高木松吉

    ○高木(松)委員 どうもあなたの言うことは、飯塚がやつた仕事を金銭授受と解釈しているが、こういうことは善良なる役人のすることですか、個人名義で大阪銀行に三百五十万円という、個人からいえば大金を預け入れておくというようなことは、常々やつている方法ですか。
  323. 井上義海

    井上証人 これはまつたく異例なやり方であります。
  324. 高木松吉

    ○高木(松)委員 異例として方々にあるのですか、これ一つですか。
  325. 井上義海

    井上証人 これは本件よりないと思います。
  326. 高木松吉

    ○高木(松)委員 これ一つですね、これ一つを何のためにやらすのです。要するにこれは磯川一派の策動にあらゆる役人が乗せられていると常識で判断されても、これを否定することはできないとわれわれは推理する。何のためにほかでやらないことをこの問題にのみこういう違法な取扱いをなさつたのですか、違法の取扱いが原因になつて、しかもそれから起きて来る問題は常識として連想できる。たとえば磯川君が個人的に債券者から差押えられたらどうなるのです、国家といえども個人に対して取上げられないでしよう。そういうような関係に相なる扱いをやつて、それがあたりまえだと思つているあなたの考え方、役人がそういう通念を持つているのだとすれば、これは大いにわれわれは考えなければならぬ問題である。悪いことじやないですか、これは大きな罪をつくつたことじやないですか、なるほど預け先が銀行だからいいけれども、飯塚君が悪い人間で、これを持つて逃げていなくなつてしまつたつてしようがない。そういうことを認めておる。銀行まで持つて行く間に飯塚君が持つて逃げてしまつたらどうなるのです。そういう機会を与えて、国家が損するか個人が損するのか知らぬが、この受取りを出している以上は、少くとも国家に国家の役人が大きな損害を与える機会を了知できるような行動をとつたということは、これは役人としてすべき行動でないということだけははつきりしておると私は思う。それをあなたが延納金だ、それから納付金の確保だ、国家財政の確保だと言つておるが、国家財政は法的根拠なしに財政の確保をしようとはだれも考えていません。しかも役人は多数おる。これが自由かつて自分の思う存分のことをいろいろしたら、将来日本国家に大きな損をかけるという危険を考えて、法律に準拠してやれよといつておるのに、それに反して違法的な取扱いをしておる事実を認めながら、あなた自身はこれを弁解する余地がありますか、よくお考えなさい。
  327. 井上義海

    井上証人 その点もまことに申訳ないのでありますが、ただいま申しましたように、即納金として第一回の支払期日に持つて来たときに調定して納める、これはそうあるべきだと思います。ただ今申しましたように、大蔵省で稟議しております回答が……。
  328. 高木松吉

    ○高木(松)委員 それじや受取ればいい。
  329. 井上義海

    井上証人 それは正式に受取つて国庫に納入すればよかつた、そうあるべきだつた
  330. 高木松吉

    ○高木(松)委員 個人の名義でやるべきなんというのはもつてのほかだ。それは違法行為であつてやるべきでないということを認められないのですか。弁解の必要はないでしよう、これは。
  331. 内藤隆

    内藤委員長 もう相当に時間もたちましたから簡潔に願います。
  332. 小松勇次

    ○小松委員 今の問題に関連してお尋ねしたいのですが、あなたはその当時の売買契約書をそこへお持ちですか。
  333. 井上義海

    井上証人 持つております。
  334. 小松勇次

    ○小松委員 その第二條を見てください。どうなつておりますか、私の持つておる資料が間違つておるかもしれぬからあなたにお伺いするのです。
  335. 井上義海

    井上証人 「第二條乙は売払代金の内金三百五十万円を甲の発行する納入告知害により指定期間内に納付し残金は左により延納する。第一回昭和二十五年三月三十一日、二百八十二万五千円、延納利息年八分五厘、第二回昭和二十六年三月三十一日、二百八十二万五千円、延納利息年八分五厘」
  336. 小松勇次

    ○小松委員 これは「乙は売払代金の内金三百五十万円を甲の発行する納入告知書により指定期間内に納付し残金は左により延納する。」こういうことになつておるのですが、この三百五十万円というのは先に内金としてですね。それからその後において一回、二回の支払い方法を定めたものですね。
  337. 井上義海

    井上証人 そうでございます。
  338. 小松勇次

    ○小松委員 そうするとこの内金というものは、これはお役所ではこの契約と同時にとらないのですか。別に告知書をあらためて何日かおいてつくることになつているのですか、規定はどうなつておるのです。
  339. 井上義海

    井上証人 これは普通はただいま申しましたように、契約と同時に内金は徴収いたしますから、納入告知書を発行して納めさせるわけです。
  340. 小松勇次

    ○小松委員 それではこの金を持つて来たときに、ただちに告知書を発行する手続をどうしてとらなかつたのですか。
  341. 井上義海

    井上証人 その点が今申しましたように、これははなはだ申訳ないのでありますが、大蔵省で稟議しておりまして、契約は二十四年三月二十五日にいたしましたが、その回答が遅れたために、正式に調定を入れると、もちろんこれは問題ないと思いますが、その回答を待つて正式に入れた方がいいというので納入告知書を出すのが遅れた。
  342. 小松勇次

    ○小松委員 この契約を結ぶのに大蔵省の承認を得ておるのですか。得なくも財務局長の権限で単独にできるのですか。
  343. 井上義海

    井上証人 これは大蔵省に稟議する事項です。
  344. 小松勇次

    ○小松委員 稟議するでしよう。稟議したときは、この契約大蔵省承知しているから、ただちに発行してもらえばいいのに、半年もほうてておく必要はない。半年も期間を要している。
  345. 井上義海

    井上証人 それが遅れたわけでありまして……。
  346. 小松勇次

    ○小松委員 どうして遅れたか事情がわからない。そんなに役所の手続は日を要するのですか。この点を少しはつきりしていただきたい。こういう点が役所の事務が渋滞する原因だ。またこういうところにいろいろな問題が生じて来る。
  347. 井上義海

    井上証人 この点は今申し上げましたように、契約が先行してあとから稟議したようになつている。これは間違いありません。
  348. 小松勇次

    ○小松委員 そういうことをしても事後承諾は得られるのですか。
  349. 井上義海

    井上証人 内部処置では得なければいけない。これは年度末で急いでおつたためにやつた
  350. 小松勇次

    ○小松委員 これはあなたが局長でなかつた、ほかの人のようですが、こういうことはいかぬことでありますか。
  351. 井上義海

    井上証人 これは内部事情から言いますといけないことで、これは先に承認をとつてやるべきでしよう。
  352. 小松勇次

    ○小松委員 こういうこともできないことはないのですか。
  353. 井上義海

    井上証人 ただ急いでおつたので……。
  354. 小松勇次

    ○小松委員 こういうことをやつている。契約を急いで結ぶほどの急ぐことならば、金を納めることも急がなければならぬ。即時持つて来てやるべきものを、しかも告知害を発行せず半年もほうつておくということでは非常に矛盾がある。これはあなたどうお考えになりますか。われわれが不審を抱くのは当然だと思いませんか。
  355. 井上義海

    井上証人 当然だと思います。その事情は今申し上げましたような、回答が十月中旬ころになつてつたので、それで正式に納入さしたのが遅れた。
  356. 小松勇次

    ○小松委員 それではその間に本省へ、どうしているかと督促しなかつたのですか。何かそういう手続をとつたことがありますか。
  357. 井上義海

    井上証人 それは口頭ではもちろん督促をしていると思いますが……。
  358. 小松勇次

    ○小松委員 していると思うじやない。何かそうしたちやんとしたものがありますか。それではすわつてよく調べてください。——わかりませんか。わからなければあとで調べてください。しかしこういうことはすべからざることであつたということははつきりいたした。  そこでこの出納係の飯塚という人の上司はたれですか。
  359. 井上義海

    井上証人 その当時は総務課長がその直接の上司になつております。
  360. 小松勇次

    ○小松委員 この飯塚が金を預けるときには、飯塚個人が自由にこういうことができるのですか。上司の承認を得て預けるのですか。
  361. 井上義海

    井上証人 もちろん個人でなく、出納官吏であるから、たまたま飯塚君がそれになつておりますので、これは慎重に保管するという意味ですぐ銀行に持つて行かせて間違いない処置をとつた
  362. 小松勇次

    ○小松委員 上司がどこそこの銀行に預けるということが稟議が出て承認しているのですか。
  363. 井上義海

    井上証人 書面の稟議は出ていないかしらぬが、すぐ銀行に預けさせた。その日即刻預けさせた。
  364. 小松勇次

    ○小松委員 預けたのは単独で預けたのですか。ほかのものと一緒に……。
  365. 井上義海

    井上証人 これだけ単独です。
  366. 小松勇次

    ○小松委員 こういうことは、係官が上司の認可がなくてもどこの銀行に持つて行ごうとさしつかえないのか。
  367. 井上義海

    井上証人 大体出納官吏の扱つております限り、あるいはもとよりのところに持つてつたと思います。
  368. 小松勇次

    ○小松委員 しかし指定した銀行があるでしよう。そういうことはないのですか。
  369. 井上義海

    井上証人 指定銀行というものはない。国庫金の代理店ならばどこでもいい。ただもよりの銀行、近いところに持つて行つているのではないかと思います。
  370. 小松勇次

    ○小松委員 ちやんとした銀行ならいいが、もしもあやふやの銀行に持つて行つて変なことをされたらたいへんなことだと思う。皆さんの御心配になつているような事件が起らないとも限らぬと思う。そういうことも正しいこととはあなたはお認めにならぬでしよう。
  371. 井上義海

    井上証人 これは今申しましたように正しくないことでありまして、即刻納入させておけばこれは問題ない。承認が遅れたので、それまでできるだけ安全に保管したということであつて、それ自体としては……。
  372. 小松勇次

    ○小松委員 どうもわれわれ納得しかねる。関連質問はこれで終る。
  373. 田渕光一

    ○田渕委員 私は、この証人はおかしいと思うのですが、前財務局長の湯地謹爾郎さんのやつたものを、なぜそこまでおかばいになるかわからない。少くとも昭和二十四年三月二十五日に契約が結ばれ、翌月四月二十五日にマル通から三百五十万円持つて行つて払い込んで、そうして今度あなたは六月一日に前局長のあとを継がれている。この引継ぎのときでも、これはこうこうこういう関係があるから、井上君こうしてくれというような事務の引継ぎでも特にあつたのでしようか。
  374. 井上義海

    井上証人 特にこの点について引継ぎはございません。
  375. 田渕光一

    ○田渕委員 そうすると同僚同士をかばい合うところのあなたの精神はわかるが、なぜ湯地君をそこまでかばわなければならないか。たとえ湯地君といえども、大蔵大臣といえども、不正なことがあれば断固として切らなければならない。土一升、金一升——国権の最高機関たる国会において、あなたの言うところの反映が、全国の財務局に及ぼすじやないか、これを私が言う。最もあなたは恵まれておる、東京関東財務局は全国の財務局の首席だと思う。そのおひざ元でこういうことをやられておつた局長の非は非、是は是としてあなたは率直に言つていただきたい。確かに湯地君のやつたことは違法でありますとかおつしやつていただけばわれわれは納得をする。あなたがかばうならわれわれは言う。それは昭和二十四年三月二十五日に締結されたところの売買契約というものがある。しかもその売買契約書の第二條には「乙は売払代金の内金参百五拾円を甲の発行する納入告知書により指定期間内に納付し残金は左により延納する。」その延納が昭和二十五年、昭和二十六年とあつて昭和二十四年に結んだものなら二十四年二十五年、二十六年の三年の年度末にわたるもので、三百五十万円の金と二百八十二万五千円を二回で五百穴十五万円、この三百五十万円と五百六十五万円をプラスした九百十五万円で払い下げ、しかもその土地が、千代田区神田和泉町二番地の土地三千二百二十二坪、建物延べ二千二百四十三坪、石、れんがその他のものはもつと高いと思う。それに工作物一式としてある、これをただの九百十五万円でやつている。あなたは何も湯地君をいいとか何とかかばわなくもいいような値段でとろうとした磯川に対してよくもまあとれたと思うが、国有財産社会事業の美名のもとに隠れたインチキ者に対して、こういうように承認を——簡単なことをやつた東京都知事から時の厚生大臣一松に、まことにずさんなるところの裏書きをして、一松より時の大蔵大臣栗栖赳夫へ、栗栖赳夫によつてこれを行政財産から普通国有財産として払下げをやつている。この間に日通の資金をもつて払い込ませた。そうして得たものが社会事業の目的にあらずして、全部が転々売買されて、今日畳一畳につき一万円の権利金、四畳半で四万五千円の権利金を加えて、周旋の手数料がその一割の四千五百円とられて、約五万円なければ入れない。そうして三千円の家賃をとつてこれを母子寮といつている。まるつきり浮いてしまつたことをやつている。こんなことをやつているのに対してあなたは何をかばうのか。われわれはあくまでもその責任を追究する。湯地君でもあなたでも、支出負担行為に対しては、いわゆる予算決算及び会計令によつてあなた方にわれわれは国会として、今度はあなたの孫子の末までも徴収しなければならぬ。輩轂のもと——こういう旧憲法下においての言葉を私は使いたくないけれども、今日あなた方が大蔵官僚の一員として国会をなめつくしているということがここにある。大蔵官僚の横暴をきわめるところ、官尊民卑の思想、ここを私はほんとうに説きたいのだ、実際から言うと……。何で湯地君のことをかばうのか。あなたが後悔されて、あなたに手落ちのあることは、われわれはこれから理事会を開き、委員同士と相談をしてよく何いたします。しかしながらこういうことを一つ聞きたい。この問題について会計検査院があなたの方の管財課長——まあ一部契約解除でもよくやつたと言うてほめられましたということを事務当局部長言つているのですが、これはあなた会計検査院から、これによつてあなたはほめられましたかどうですか。
  376. 井上義海

    井上証人 私は直接これに関してそういうことを聞いておりません。
  377. 田渕光一

    ○田渕委員 いや、先日も会計検査院長の佐藤基君がまことに無責任なることを言うから、当委員会において国民の前に陳謝させた。ところがただちに会計検査院の職組から反撃を受けて、なぜ陳謝したんだ、そんな弱い院長のもとにおらぬということで突き返されると、これまた職員組合に対して陳謝状を出している。これはあなた大蔵省におつたんじやないか。まことに国会をなめるに至つては官尊民卑の思想がいまだに去らぬかということを、私はこの民主憲法下においてあなた方にすつかり言うてやる。これは聞かんとすればそうであるが、私の言わんとするところはここにあるのであります。わが自由党が綱紀の粛正、官紀の粛正を重大政綱の第一番に掲げているのはここにある。実際私は情なくなる。こういうことをあなた方がやつていることについて。ことに帝国憲法時代に育つたあなた方なんだ。ずつとあなたは事務官から来て、係長から課長から部長に来て、局長になつておるが、帝国憲法から今日まで五年か七年だから、依然としてその帝国憲法時代の思想が去らぬ。それだからここにこういうことが書いてある。もしも金額を期日通りに納めなければ延納すればただとる、四月も五月もただでとる。個人の名義で預かつたというようなのは大蔵官僚の行き過ぎだ。行き過ぎであると同時に、こういうことをやつたから、そこに魔がさしてこれが不在に処分された。われわれはここに追究のメスを進めなければならぬ。実に私はここで言いたい。あなたは何も湯地君の責任をかばうことはできません。井上さん、あなたはあなただけの責任を負えばいい。少くとも今日こういうことを私は言いたい。この犯罪の温床、ことに新聞面をにぎわしている官吏の汚職事件というものは、金銭が伴うのであります。公団関係その他いろいろ。しかし先ほどの御答弁でわれわれが直感するのは、とるべからざるところの三百五十万円をとつたとするならば重大な問題であるが、第二條において、「参百五拾万円を甲の発行する納入告知書」というのだから、これは財務局長として納入告知害が出せる。出さぬ前にこれをとつているということを、もう一つここにマル通の支社から本社にあてた書類をあなたに読んで聞かせる。こういうふうにはつきりわかつている。聖十字学園土地講入経過について。昭和二十四年二月財団法人聖十字学園理事長磯川義隆氏は大蔵省財務局より元東京衛生試験所焼跡土地三千二百二十二坪の払下げを受けることになり、その一部を当店で買つてくれと話を受け、たまたま車庫の敷地を物色のときでもありましたので、その一部一千百十二坪を学園より分壊してもらうことに相談したのであります。三月末に至り、学園大蔵省——大蔵官と書いてあるが、これはこれはあなたの方の関東財務局を言うんだが、関東財務局に、払下げ代金三百五十万円の第一回納付期間が到来し、その資金納付金を履行しなければ払下げを受けることができなくなるので、ぜひ三百五十万円を都合してもらいたいと再三の交渉を受けたのであります。右物件は学園に所有権移転登記をなした上、支払うべきでありますので、いかにすべきやを今野弁護士に相談し、というのだからこれはマル通の顧問弁護士だ。マル通は十何人かの顧問弁護士を置いているらしいが、そのうちの一人、さらに学園の顧問弁護士及川、大野両氏と法の関係調べ、第一回の納付金をすれば学園に移転登記ができるようだし、相手が大蔵省、いわゆる関東財務局であるから後日紛争もあるまいとのことで、弁護士双方で売買契約を作成してもらい、契約書に双方捺印して磯川学園長に同行、大蔵省に三百五十万円を当社員が持参の上支払いして納付済の領収書を受けたのです。こうはつきり書いてある。よつて当社はこれの建設の計画をなし、土地の整備を始めて工事費六十五万円余を要したのである。こう書いてある。マル通の方では早くもらいたいから三百五十万円持つてつたということは、支社から本社に説明書を出し、また秋葉原の支店長はこう言つている。こういうとるべからざる金をとる。とるものなら、各委員が先ほど言つた通り日本銀行へ行かなければならぬ。これを大阪銀行へ預けたということは、大阪銀行のやつから、あなたの飯塚とかが飲んでいるんだ。だから預け金があつたら持つて来てくれ。今日五十万円の金でも市中銀行はうやうやしているときだから、これは三百五十万円無利息で半年も置いておけば、銀行がもうけるだけの話なんだ。こういうようなことが全国津々浦々に行われているということが想像できます。国権の最高機関の国会のおひざ元でこれをやつている。私はあなたの責任を追究すると同時に、まずあなたを追究するよりも、せめてこういうことがあるまでにただちにしなければならぬことは、先ほどの五十八件、二千何百万円というものはこうなつているといふことを事務当局にあげているが、これらに対して、われわれは資料を求め、またあなたに証言を求めなければならない。
  378. 内藤隆

    内藤委員長 田渕委員に申し上げますが、どうです。もしまだ疑惑があり、いろいろ尋問すべきことがあれば、理事会において再喚問をすることにでも相談をして、本日はこの程度でひとつ打切つたらいかがです。
  379. 田渕光一

    ○田渕委員 わかりました。時間も切迫しておりますが、私はこうも言いたい。当委員会は国会に対して非常に尽し、あらゆる報告をあげておりますが、往々にして告発もせず、あるいは議会に報告をし、あるいはまた各省に勧告をいたしておりまするが、せめてこの事件だけでもいわゆる一罰百戒で、全国のモデルとして、この前湯地局長井上局長に対する予算決算会計の責任を追究し、同時に告発すべきものはどんどん告発して、これにおいて全国の官僚のだれているのをほんとうに引きしめる。こういう東京都において、最も優秀なる局長のいるところでこれでしよう。われわれは全国の財務局を伏魔殿と見なければならぬ。信用が置けなくなつて来た。ここで私はこの際モデルとして厳重に持つて行きたいと思うから、これを申し上げます。それにおいて今証人の心境を聞きたい。それで私は申し上げているのです。
  380. 内藤隆

    内藤委員長 最後にひとつ証人の心境を率直に述べてください。
  381. 井上義海

    井上証人 三百五十万円を長期間保管しておりましたのは、まことにこれは不当の措置だと思いますが、しかしこういう事件はこれが特殊の例でありまして、ほかにはそういうのはございませんし、それから現在におきましては、そういうことはもうまつたくやつておりません。
  382. 高木松吉

    ○高木(松)委員 ほかにはないということを、一体全国的にあなたは保証するか。一局長自分所管のことならいざしらず、そういう他のことまで口はばつたく絶対にほかにはない、ほかというのは全国的のことをさす。そういうことをお話になるということは、われわれとして納得しかねるがどうだ。
  383. 井上義海

    井上証人 そういう全国的なことを申し上げたのではないのです。この件は確かに非常に不当なやり方だと思いますが、本日いろいろ御不審がありました点は十分ひとつ今後努力いたしまして、全国の模範となるべき関東財務局になりたいと思います。
  384. 内藤隆

    内藤委員長 ちよつとそれではもう一つ。大阪銀行はどこの支店です。
  385. 井上義海

    井上証人 何ならあとから調べてお出しいたします。
  386. 田渕光一

    ○田渕委員 私はもう一分間でよろしい。今井上局長はまことに遺憾の意を表して心から恐縮したようでありますが、これを三百五十万円の事件のことだけに思つてもらつては困るのであります。あなた方及び前局長のずさんきわまるところの取扱いによつて——あらゆる謀略があつたということはこれから追究しますが、それによつて少くとも国家に、われわれの計算で一千八百万円ないし今日見て来たのによると数千万円国有財産の不正払下げによつて国家に損害を来しておるのであります。かような官界の腐敗というものは、ただ国費を濫費し、国力をはばむという点で非常に歎かわしいばかりではないのでありまして、これが国民全体の道義に悪影響を及ぼすことはもちろんであり、こういうことは軽視できません。同時にわが国のように官僚思想の根強い国において、ことに大蔵官僚はそれなんで、私はきらいである。そして各省の中でも安本と大蔵省くらいきらいな役人はないのであります。実際議員が大蔵省へ行きましても——河野主計局長なんかなまいきなやつで、議員に対して外へ出てくれと言う。私大臣の室でこつぴどくたたき上げた。国権の最高機関の議員を貴様何と考えている、と言つてやつつけて、池田君の前であやまらしたのです。たとえば暮れに陳情に行つても、鉄道の改札口のように入口をこしらえている。税務署の属吏に至つては、権柄づくでまことにけしからぬ。どこにこの原因があるかというと、今日市中において銀行家がのさばるごとく、国の予算を握つておるからで、そこに大蔵官僚の優越感がある。私は、井上君は今日は非常に緊張してわれわれに対しているからそう思わぬけれども、また加藤八郎みたいなりつぱな者もあるけれども、総じて大蔵官僚は官尊民卑、あるいは議員までも侮辱するような態度をとる。この間官房長官もたたき上げた。少くとも今日民主政治のもとにおいて、われわれは内閣総理大臣を指名している。内閣総理大臣が憲法によつて池田を大臣にしておる。池田君といえども悪いことがあればわれわれはやらなければならぬ。こういう民主政治というものをはつきり納得させなければならぬ。国会をなめ、国民をなめているからこういうことが起るということを、この際はつきり申し上げておきます。
  387. 竹村奈良一

    ○竹村委員 私ひとつ伺いたいことは、先ほどの委員長質問に対して、いわゆる払下げ価格の問題について、あなたは大体これの価格の決定、相続税の基準は専門人としての日本不動産の杉浦さんに頼んだ、こう言つておられるのですが、あなたの財務局管内で国有財産あるいはその他管理しておられるものを処分される場合に、日本不動産に払い下げた不動産その他はどのくらいありますか。ありませんか。あるでしよう。
  388. 井上義海

    井上証人 私の記憶している範囲では——日本不動産に払い下げたのは記憶しておりません。
  389. 竹村奈良一

    ○竹村委員 あなたの方は、たとえば土地建物等を払い下げる場合に直接そこに住んでいる人に払い下げておられることもありましようが、大部分日本不動産か、あるいはその他何か知りませんが、こういう土地建物の会社に払い下げておられることはありませんか。
  390. 井上義海

    井上証人 物納不動産の売払いのことをおつしやつているのだと思いますが、これは委託会社がありまして、委託会社に売払いの委託をさせております。
  391. 竹村奈良一

    ○竹村委員 それでは日本不動産は委託を受けておりませんか。
  392. 井上義海

    井上証人 日本不動産は委託を受けておると思います。委託会社になつていると思います。
  393. 竹村奈良一

    ○竹村委員 それではそういうふうに処分するときに、委託を受けた会社は常に一割とか二割とか手数料をとつて売りさばいておるのですか。そういう人たちに鑑定させた価格というものがはたして正しく財務局に反映すると思つておられますか。
  394. 井上義海

    井上証人 できるだけ公正なところを選んで専門家意見を聞いておるわけでありまして、この場合私は詳しくは存じませんが、適当だと思つて頼んだのだろうと思います。
  395. 竹村奈良一

    ○竹村委員 私は次のいろいろな機会に言いたいと思いますが、ともかくあつせんする業者に価格を鑑定させたのでは公正な価格に絶対に出されていないと思う。それでもなおあなたは、買う方の側に、値段を鑑定さして、正しい値段を入れられているとお思いですか。
  396. 井上義海

    井上証人 これは物納財産ではございませんので、この財産自身日本不動産には売払いを委託しておりません。これは普通財産です。
  397. 竹村奈良一

    ○竹村委員 もう一つ聞きますが、先ほどから問題になつておりました三百五十万円を大阪銀行へ預けた。これはこの件だけだと言われるが、ほかに絶対ありませんか。
  398. 井上義海

    井上証人 その点はよく調べてまた……。
  399. 竹村奈良一

    ○竹村委員 もう一点の疑問は、私は絶対ないとは言い切れないと思いますが、先ほどからあなたはこれだけだと言つておられるが、あなたはこれだけならこれだけに限定されて、これだけがそういうふうになつたというくらいに、たとえばこれに関係している渡邊とか、それから磯川とか、こういう人たちとの間に特殊的な関係があつたとはお思いになりませんか。
  400. 井上義海

    井上証人 この問題はそういうように政治的には動いていないと私は思つております。
  401. 竹村奈良一

    ○竹村委員 それでは伺いますが、あなたは聖十字学園払下げをやる場合にある程度調査したと言われておる。ところで私が聞きたいのは、調査した、調査したと言われますけれども、たとえば渡邊氏が一千五十万円を聖十字学園に寄付するということをあなたは調査したのでしよう。渡邊という人が寄付するだけの価値があるかどうかということも調査されていると思う。渡邊氏は一体どれだけの所得税を納めていますか、そういうものも調査しましたか。
  402. 井上義海

    井上証人 その点は十分調査が行き届いていなかつたと思います。
  403. 竹村奈良一

    ○竹村委員 それでは調査されたと言いますけれども、実際的な面については、書類調査であつても、たとえば一千万円以上寄付できるという人は相当な所得税を納めていなければならぬ。私がこの間質問いたしたところによりますと、この人は二十二年から二十六年まで一銭も払つていないのです。その人が一千万円からの寄付をするということは信ぜられないと思います。書類だけでも税務署で調べたらすぐわかる。税務署で調査されなかつたということは、あなたはやはりあなたの方の怠慢であつたということをはつきり認められますね。
  404. 井上義海

    井上証人 その点は怠慢であつたと思います。
  405. 内藤隆

    内藤委員長 他に御発言がなければ、井上証人に対する尋問はこれにて終了いたしました。証人には長時間御苦労さまでした。なお理事会の申合せによつては再喚問することになるかもしれません。そのことを一応申し上げておきます。  次会は公報をもつてお知らせいたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後五時三十九分散会