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1952-02-14 第13回国会 衆議院 行政監察特別委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年二月十四日(木曜日)     午後一時四十二分開議  出席委員    委員長 内藤  隆君    理事 大泉 寛三君 理事 鍛冶 良作君    理事 高木 松吉君 理事 田渕 光一君    理事 福田 喜東君 理事 小松 勇次君    理事 佐竹 新市君    岡西 明貞君       川本 末治君    柳澤 義男君       大森 玉木君    藤田 義光君       井上 良二君    竹村奈良一君       久保田鶴松君    浦口 鉄男君  委員外出席者         証     人         (元財団法人聖         十字学園園長) 磯川 義隆君     ————————————— 本日の会議に付した事件  国有財産管理処分関係事件聖十字学園事件)     —————————————
  2. 内藤隆

    内藤委員長 会議を開きます。  ただちに国有財産管理処分関係事件中、聖十字学園事件について調査を進めます。ただいまお見えになつておられる証人は磯川義隆君ですな。
  3. 磯川義隆

    ○磯川証人 そうであります。
  4. 内藤隆

    内藤委員長 あらかじめ文書をもつて承知通り証人として証言を求むることに決定いたしましたので、さよう御承知を願います。  これより国有財産管理処分関係事件中、聖十字学園事件について証言求むることになりまするが証言を求める前に証人に一言申し上げます。昭和二十二年法律第二百二十五号、議院における証人宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人証言を求める場合には、その前に宣誓をさせなければならないことと相なつております。  宣誓または証言を拒むことのできるのは、証言証人または証人配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族または証人とこれらの親族関係のあつた者及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するとき、またはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するとき、及び医師歯科医師、薬剤師、薬種商、産婆、弁護士弁理士弁護人公証人、宗教または祷祀の職にある者またはこれらの職にあつた者がその職務上知つた事実であつて、黙秘すべきものについて尋問を受けたときに限られておりまして、それ以外には証言を拒むことはできないことになつております。しかして、証人が正当の理由がなくて宣誓または証言を拒んだときは一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられ、かつ宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処せられることとなつておるのであります。一応このことを御承知なつておいていただきたいと思います。  では法律の定めるところによりまして証人宣誓を求めます。御起立を願います。  宣誓書の御朗読を願います。     〔証人磯議隆朗読〕    宣誓書  良心に従つて、真実を述べ何事もかくさず、又何事もつけ加えないことを誓います。
  5. 内藤隆

    内藤委員長 それでは宣誓書署名捺印してください。     〔証人宣誓書署名捺印
  6. 内藤隆

    内藤委員長 これより証言を求めることになりますが、証言は、証言を求められた範囲を越えないこと、また御発言の際には、その都度委員長許可を得てなされるようお願いいたします。なお、こちらから質問をしておるときはおかけになつていてよろしゆうございますが、お答えの際は御起立を願います。  証人磯義隆君の経歴をひとつ述べてくれませんか。
  7. 磯川義隆

    ○磯川証人 時日は多少齟齬するかわかりませんけれども、大正十年より昭和六年ごろ東京日日新聞におりました。それから昭和八年、九年、十年は読売新聞で満洲におりました。昭和十一年には横浜貿易新報経営しておりました。それから南支中山県政府顧問をしておりました。それから昭和十六、十七、十八、終戰までは海軍の嘱託をしておりました。昭和二十二年より聖十字学園代表者としておりました。
  8. 内藤隆

    内藤委員長 あなたが聖十字学園財団法人に改組するとき東京都に提出した履歴書がありますな。
  9. 磯川義隆

    ○磯川証人 あります。
  10. 内藤隆

    内藤委員長 その履歴書についてお尋ねいたしますが、学業として大正五年九月米国加州サンフンシスコ加州大学に入学したと書いてありますが、これは間違いありませんね。
  11. 磯川義隆

    ○磯川証人 間違いありません。
  12. 内藤隆

    内藤委員長 そうして加州大学で何をされましたか。
  13. 磯川義隆

    ○磯川証人 その後にトーマス・クツクの船に乗つておりました。大正五年、六年、七年の三箇年。震災の年でありましたか、震災の年に帰りました。
  14. 内藤隆

    内藤委員長 加州大学を卒業されましたか。
  15. 磯川義隆

    ○磯川証人 卒業しません。
  16. 内藤隆

    内藤委員長 何年ほどやられましたか。
  17. 磯川義隆

    ○磯川証人 一年と十箇月やりました。
  18. 内藤隆

    内藤委員長 履歴書には二箇年修業と書いてありますね。
  19. 磯川義隆

    ○磯川証人 そうであります。
  20. 内藤隆

    内藤委員長 ただいまの証言中にもありましたが、大正十年の十月ごろ東京日日新聞におられたそうですね。
  21. 磯川義隆

    ○磯川証人 はい、おりました。
  22. 内藤隆

    内藤委員長 どういう仕事をしておりましたか。
  23. 磯川義隆

    ○磯川証人 主として販売及び事業部仕事をしておりました。
  24. 内藤隆

    内藤委員長 記者ではなかつたのですね。
  25. 磯川義隆

    ○磯川証人 そうであります。
  26. 内藤隆

    内藤委員長 それから読売新聞に入られたようですね。
  27. 磯川義隆

    ○磯川証人 読売新聞は満洲の販売権を獲得しまして通信と販売を兼ねておりました。
  28. 内藤隆

    内藤委員長 どんな名義で……。
  29. 磯川義隆

    ○磯川証人 読売満洲総局という名前を使つておりました。
  30. 内藤隆

    内藤委員長 その総局の何をしておりましたか。
  31. 磯川義隆

    ○磯川証人 総局で満洲全体の販売権を正力さんからもらいまして新聞販売をしておりました。
  32. 内藤隆

    内藤委員長 新聞販売業をやつてつたのですね。
  33. 磯川義隆

    ○磯川証人 そうであります。
  34. 内藤隆

    内藤委員長 経歴書には総局長として就任しておると書いてありますね。
  35. 磯川義隆

    ○磯川証人 総局長であります。
  36. 内藤隆

    内藤委員長 販売業請負じやないですか。
  37. 磯川義隆

    ○磯川証人 請負でありますし、補助金ももらつておりました。
  38. 内藤隆

    内藤委員長 そうすると請負総局長と両方兼ねておられたわけですね。
  39. 磯川義隆

    ○磯川証人 その当時は読売新聞過渡期でありましたから、いろいろな広告なんかもやつておりましたし、すべてをやつておりました。
  40. 内藤隆

    内藤委員長 それから昭和十七年に、ただいまの証言にもちよつとあつたようですが、海軍艦政本部三里塚修練道場新設と同時に同道場長を委嘱されると書いてありまするが、間違いありませんか。
  41. 磯川義隆

    ○磯川証人 間違いありません。
  42. 内藤隆

    内藤委員長 高等官三等の待遇も間違いありませんか。
  43. 磯川義隆

    ○磯川証人 間違いありません。
  44. 内藤隆

    内藤委員長 あなたとこの渡邊敬吉との間に昭和二十二年の十二月十七日、東京分園設置契約が締結されておるようですが、その内容説明してください。
  45. 磯川義隆

    ○磯川証人 時日はちよつと齟齬するかもわかりませんが、日にちは大体委員長の言われた時期と思います。当時渡邊さんがセントラルビルインドネシア会館設置するという計画がありましたから、それに参加しようと思いまして、渡邊さんと懇意になつていただきました。たまたまそれから聖十字学園の問題が出まして、初めは聖十字学園のことでなくインドネシア会館のことで懇意になつたのでございます。
  46. 内藤隆

    内藤委員長 それから契約は……。
  47. 磯川義隆

    ○磯川証人 それから第一回の契約は、これは私がただいまから申し上げますことは、非常に日にちとか数字にルーズな男でありますから多少間違いがあるかもわかりませんが、昭和二十二年の十一月か十二月だと思いますが、第一回の契約をいたしました。
  48. 内藤隆

    内藤委員長 それでは昭和二十二年十二月十七日の契約内容を、記憶を呼び起してください。——書類を見ていいでしよう。これを全部読まなくていい。要点だけでいいです。
  49. 磯川義隆

    ○磯川証人 磯川義隆を甲とし渡邊敬吉を乙とし左の契約を締結する。一、甲は聖十字学園理事会の決議によ  り乙を東京分園代表者とする。二、東京分園は聖十字学園社会事業  的使命を尊重しその運営任ずる。三、東京分園運営権利義務債権債務一切乙その責を負ふ。 四、東京分園経営並金品収支の一切は第三項に従ひ乙に於てこれをなす。 五、東京分園設置新設、拡充、改良)の地域は東京都下とす但し甲乙諒解の上第三者をして都下に於て乙の責任にあらざる分園設置する事を得。六、東京分園に於て必要とする官公庁並第三者に提出する書類に甲の名義を用ふる事を甲は承認する。 七、聖十字学園本園東京事務所は乙これを提供しその経費は甲の負担とする。 八、東京分園事業目標は左の通りとす、  イ、戦災孤兒不遇兒童保健指導所設置  ロ、母子寮托見所授産所設置  ハ、簡易宿泊所外食券食堂公衆浴場理髪所、質屋、物交所設置  二、戰災傷痍者授産所設置 九、東京分園は第八項の事業目的達成財源を確保するため左の事業を行ふ。  イ、貸事務所、貸店舗、貸住宅、貸間  口、旅館、貸席、料飲店  ハ、慈善市、芸能講演広告宣伝新聞、雑誌、書籍の刊行  二、物品製作販売  ホ、土建請負製材木工鉄工経営  へ、運輸、小運搬荷造請負  ト、農場、牧畜、林業、漁撈の経営  チ、その他時宜に順応せる諸事業十、東京分園はその事業益の一割(一〇%)を甲に納入する事業益の算定及び納入方法各種事業実施毎に、甲乙協議の上これを決定する。 十一、東京分園資産の二割(二〇%)は将来は解散又は甲が退園する場合金銭又は物件を以て甲に引渡す事とする。 その引渡期間は甲乙協議の上これを決定する。十二、東京分園が将来解散する場合はその資産の二割(二〇%)を永年忠実に勤務せる従業員に提供するその分配率及期間は乙に於て決定する。十三、本契約実施に当り甲乙に事故ある場合は甲乙の代理人又はその子孫これを継承する。あと署名捺印してございます。
  50. 内藤隆

    内藤委員長 この契約書によりますと、東京分園なるものは、分園目的事業を達成するためにさらにまたいろいろ事業を行つておるのですね。
  51. 磯川義隆

    ○磯川証人 そうであります。
  52. 内藤隆

    内藤委員長 その事業を見ると、もう芸能やら講演やら宣伝やら土木の請負やらありとあらゆるものをここへ列挙してありますな。
  53. 磯川義隆

    ○磯川証人 はい。
  54. 内藤隆

    内藤委員長 そこでこの間証人として喚問しました渡邊敬吉証言によりますと、自分事業渡邊事業の利益から一割を提供してこの分園経営事業に充てると、こう証言しておるが、これはどうだ。
  55. 磯川義隆

    ○磯川証人 自分事業といいますと、この事業でなく、ほかのセントラルビル経営意味でしようか、どういう意味でございましようか。
  56. 内藤隆

    内藤委員長 いろいろ彼は材木屋もやつておる、旅館もやつておる、ダンス・ホールもやつておる、……
  57. 磯川義隆

    ○磯川証人 そうであります。
  58. 内藤隆

    内藤委員長 だからそれらの事業から上る一割、決して分園事業から上つた一割を提供してはいない、こういう証言をしている、それはどうです。
  59. 磯川義隆

    ○磯川証人 私の方は分園から上つた一割だと契約にもある通り、そう思つております。
  60. 内藤隆

    内藤委員長 そうするとあなたの証言との間には非常な食い違いが出て来ておりますね、その事実を認めますね。間違いありませんか。
  61. 磯川義隆

    ○磯川証人 事実でございます。
  62. 内藤隆

    内藤委員長 厚生省東京衛生試験所焼跡払下げを受けましたね、その経過の大体を話してください。
  63. 磯川義隆

    ○磯川証人 これも日の食い違いがあるかもしれませんが、当時渡邊さんがセントラルビル経営しておつていろいろ金まわりがよかつた、この人はかわつた御仁で、なかなか義侠心に富んだ人で、こういう人に後援していただきたいと思つて、あの現場は私自身が探した。これを渡邊さんに報告いたしましたら、非常にいいところだからひとつあすこが手に入るように運動してくれと言われまして、それからいろいろな書類の作成とかいろいろな計画を立てまして、東京都や厚生省の奥書を付しまして大蔵省申請手続をいたしました。
  64. 内藤隆

    内藤委員長 その衛生試験所焼け跡はあなたの分園目的じやなかつたのですか。
  65. 磯川義隆

    ○磯川証人 分園目的であります。その分園目的分園長を渡邊さんにしていただいた。現場はちようど運よく私が前を通つておりまして、私が発見したものであります。
  66. 内藤隆

    内藤委員長 あなたと二人のこの契約を見ると、分園代表者渡邊敬吉なつておりますが。
  67. 磯川義隆

    ○磯川証人 はい。
  68. 内藤隆

    内藤委員長 しかし本人はこの間の証言をこう言つている。私は代表でもなければ理事長でもない、磯川にかつがれたと、ここで言つておりますが、どうですか。
  69. 磯川義隆

    ○磯川証人 それならばその限界をはつきり申し上げます。昭和二十四年の四月、私がそこへ行くまでは渡邊さんが理事長自分がかつてにした。二十四年から先は私がやつておりますから……。
  70. 内藤隆

    内藤委員長 二十四年の何月ごろ。
  71. 磯川義隆

    ○磯川証人 四月か五月、あすこ太陽祭りをしたときはたしか三日でありましたか。
  72. 内藤隆

    内藤委員長 二十四年の四月ころまでは渡邊が全権を振つて理事長の職をやつてつたのですね。
  73. 磯川義隆

    ○磯川証人 もちろんであります。
  74. 内藤隆

    内藤委員長 一度もやらぬと彼は何回も述べている。これは速記を見ればわかるが、たいへんな食い違いがそこにあると思うが、あなたの独断専行でやられたのは……。
  75. 磯川義隆

    ○磯川証人 二十四年以後は私の独断専行
  76. 内藤隆

    内藤委員長 その前は渡邊独断専行つた
  77. 磯川義隆

    ○磯川証人 そうでございます。
  78. 内藤隆

    内藤委員長 独断専行同士が寄り合つているわけだな。それからこの学園財団法人に改組されましたね。
  79. 磯川義隆

    ○磯川証人 いたしました。
  80. 内藤隆

    内藤委員長 その事情ちよつと述べてください。
  81. 磯川義隆

    ○磯川証人 実は私は財団法人でやるのは不賛成であつたのでありますけれども、法規上財団法人でないと、あの土地を払い下げせぬというのであります。それが一つ理由と、それから将来社会事業個人に認めない、財団法人でなければいかぬというような案が厚生省で出ましたので、それでちようと払下げ申請をする——時日はちよつと忘れましたが、一箇月ほど前に財団法人の認可をとりまして申請いたしました。
  82. 内藤隆

    内藤委員長 そうすると、東京衛生試験所の燒け跡の払下げを受けるために財団法人にしなければならなかつたので、払下げの手段、便宜上財団法人をつくつた……。
  83. 磯川義隆

    ○磯川証人 一つ理由はそうでございます。もう一つ理由は、将来は個人には許可しないという厚生省の方針であつた社会事業個人の施設を認めない、法人にしようというような意向でありましたので、その理由二つです。
  84. 内藤隆

    内藤委員長 そんな意向をだれに聞いたのですか。
  85. 磯川義隆

    ○磯川証人 現在でも個人には認めない。
  86. 内藤隆

    内藤委員長 将来も。
  87. 磯川義隆

    ○磯川証人 もちろんそうであります。
  88. 内藤隆

    内藤委員長 その時分個人に認めておつた
  89. 磯川義隆

    ○磯川証人 そうであります。
  90. 内藤隆

    内藤委員長 その時分個人に認めておつたが、将来は個人に認めないから。
  91. 磯川義隆

    ○磯川証人 おそらくただいまは個人のところはないと記憶しております。
  92. 内藤隆

    内藤委員長 その二つ理由財団法人にした、こういうわけですね。
  93. 磯川義隆

    ○磯川証人 そうでございます。
  94. 内藤隆

    内藤委員長 それから財団法人の聖十字学園寄付行為に添付された財産目録中、聖十字学園東京分園太陽湯建設財源として理事長渡邊敬吉寄付行為を受ける、との内容で、そうして寄付金現金七十万円、不動産貸付収益金八百六十八万円、それから不動産九百十七万二千余円、こういうように書いてありますが、これは間違いないのですな。
  95. 磯川義隆

    ○磯川証人 これは大蔵省払下げ申請書の帳簿がありますから、その通り間違いありません。
  96. 内藤隆

    内藤委員長 東京都へ申請するときにこれを添付しましたか、その内容を……。
  97. 磯川義隆

    ○磯川証人 そいつは添付いたしません。
  98. 内藤隆

    内藤委員長 どうしてしないのか。
  99. 磯川義隆

    ○磯川証人 それは、財団設立は四十万だと思います。当時の財団設立はたいてい二万か三万でありましたが、それ以上は許可になるのですが、まだ土地をこつちが獲得する前でありますから、申請するわけにも行かぬし、四十何万円の基金で、現金二十万円、あと調度備品等二十二万何千円で、四十一万か二万円の財団法人をつくりました。この数字大蔵省申請するときには、そうするということが、ちやんと書類にありますから、それに事実間違いありません。
  100. 内藤隆

    内藤委員長 その場合に理事長渡邊敬吉寄付行為があるんだから、これは内容の堅実さを見せるためにも書かなくちやならぬものだと思うがね。
  101. 磯川義隆

    ○磯川証人 まだこつちのものなつていないのでございますから、払下げをするために財団法人にしたのですから、半年かあとにはもちろんそうしなければなりませんが……。
  102. 内藤隆

    内藤委員長 東京財務局払下げ申請を出したとき、財務局から学園事業計画及び証人らの資産内容についてどういう調査を受けましたか。
  103. 磯川義隆

    ○磯川証人 これは渡邊さんの方の資産内容は相当調査されたことと思います。所在地はわかりませんが、日本橋の堀留にある事務所かどこかへ大蔵省から直接指令を出して、あそこの調査員が数回にわたつてセントラル・ビルヘ調査に来たことを記憶しております。
  104. 内藤隆

    内藤委員長 大蔵省というと東京財務局ですね。
  105. 磯川義隆

    ○磯川証人 そうであります。
  106. 内藤隆

    内藤委員長 数回来た。
  107. 磯川義隆

    ○磯川証人 はあ。
  108. 内藤隆

    内藤委員長 そこで証人らはこの申請を出しますと、間もなく焼け跡の残土の片づけやあるいは太陽寮事務所倉庫、貸店舗等建築に着手いたしましたね。
  109. 磯川義隆

    ○磯川証人 いたしました。
  110. 内藤隆

    内藤委員長 その資金はだれが幾ら出しましたか。
  111. 磯川義隆

    ○磯川証人 渡邊さんが全部出してくれました。但しその資金数字は、私も疑義を持つておりますが、一応は第三回目の契約書にその数字が現われております。これもそちらに提出したかと思いますが、千五十何万円かになります。
  112. 内藤隆

    内藤委員長 全部渡邊敬吉理事長が出した、こういうわけですね。
  113. 磯川義隆

    ○磯川証人 そうでございます。
  114. 内藤隆

    内藤委員長 その申請書を出しただけでは、その土地はまだあなたのものになつておらない。
  115. 磯川義隆

    ○磯川証人 そうでございます。
  116. 内藤隆

    内藤委員長 しかるに建築の工事にかかるとはどういうのですか。何か財務局了解でもありましたか。
  117. 磯川義隆

    ○磯川証人 了解は、その折衝は、実は私がしたのではなく、岡田さんがしてくれたのです。日にちのずれは忘れましたけれども、もちろん了解があつたと思います。
  118. 内藤隆

    内藤委員長 岡田とは何者です。
  119. 磯川義隆

    ○磯川証人 うち職員であります。
  120. 内藤隆

    内藤委員長 あなたのところの職員
  121. 磯川義隆

    ○磯川証人 そうでございます。私のところの職員ではなく、知人なのは私の知人でございますけれども、籍は渡邊さんの方の部下なつておつたのであります。
  122. 内藤隆

    内藤委員長 渡邊部下の人が行つて交渉をしておつたから財務局了解があつたとあなたは認めておるのですか。
  123. 磯川義隆

    ○磯川証人 はあ。
  124. 内藤隆

    内藤委員長 証人日本通運秋葉原支店土地千百十二坪、建物八十坪を一括して四百十五万円余で売却しておりますか。
  125. 磯川義隆

    ○磯川証人 しております。
  126. 内藤隆

    内藤委員長 一括して売つたんですね。
  127. 磯川義隆

    ○磯川証人 一括ではなくて約三分の一でございます。
  128. 内藤隆

    内藤委員長 千百十二坪の三分の一ですか。
  129. 磯川義隆

    ○磯川証人 全体が三千坪でありますから約三分の一です。
  130. 内藤隆

    内藤委員長 私の一括というのは土地建物も—括して売つたのかというのです。
  131. 磯川義隆

    ○磯川証人 そうです。
  132. 内藤隆

    内藤委員長 そうすると土地は一体坪どれほどに見たんです。
  133. 磯川義隆

    ○磯川証人 大蔵省査定は、とにかく九百十九万円を三千三百何坪で割りますから、それには建物がありますから、坪約千七、八百円の見当だと思います。
  134. 内藤隆

    内藤委員長 大蔵省査定というと……。
  135. 磯川義隆

    ○磯川証人 いわゆる大蔵省払下げてくれた金額でございます。一坪千七、八百円。
  136. 内藤隆

    内藤委員長 建物はどうです。
  137. 磯川義隆

    ○磯川証人 建物といつても、この委員会委員の方であそこを御調査なさつた方があるからわかると思いますが。建物であるようで建物でないような状況のところがずいぶんあります。裏にも建物がありますが。これは建設省で使用してはいかぬということでこわした。それはついておつてもこつちではありがたくない建物でありましたから、とりこわしをしなければならぬような焼け跡でございますから……。
  138. 内藤隆

    内藤委員長 使用にたえないものであつたのですか。
  139. 磯川義隆

    ○磯川証人 そうです。
  140. 内藤隆

    内藤委員長 現在それを使用しておりませんか。
  141. 磯川義隆

    ○磯川証人 それはこわしてしまつたんです。そこに坪数の大分食い違いがあります。今の現存と大蔵省払下げ時と……。
  142. 内藤隆

    内藤委員長 要するに財務局査定では千七、八百円ですか。
  143. 磯川義隆

    ○磯川証人 千七百七、八十円になつておつた
  144. 内藤隆

    内藤委員長 当委員会事務局で調べますと、あなたは今八十坪全部使えないとおつしやるが、使い得るものも相当にあるようです。
  145. 磯川義隆

    ○磯川証人 使えるものの方が多いのです。使えないものは一部です。
  146. 内藤隆

    内藤委員長 だからさいぜんのもらつても迷惑だというのは……。
  147. 磯川義隆

    ○磯川証人 それは裏にこわした建物がありますが、三、四百坪あつたと思います。そういうものも代価の中に含まれておりますから……。
  148. 内藤隆

    内藤委員長 そこで秋葉原支店売買契約をするときに、財務局学園との間に締結した売買契約書日通に見せましたか。
  149. 磯川義隆

    ○磯川証人 もちろん見せております。
  150. 内藤隆

    内藤委員長 それは日はどうです。
  151. 磯川義隆

    ○磯川証人 日はちよつと記憶しませんが……。
  152. 内藤隆

    内藤委員長 だれに見せた。
  153. 磯川義隆

    ○磯川証人 顧問弁護士にも、それから秋葉原支店倉庫課長にも見せました。
  154. 内藤隆

    内藤委員長 東京支店の者に見せなかつたですか。
  155. 磯川義隆

    ○磯川証人 当時は東京支店とは何も関係——これは順序が違いますが、日通秋葉原支店が買うようになつた径路は、私説明しな、てもよろしゆうございますか。
  156. 内藤隆

    内藤委員長 わかつているが、一応説明願つてもいい。
  157. 磯川義隆

    ○磯川証人 それは新橋の汐留支店の方から来た。汐留支店のある係員と、渡邊さんの部下である大西何がしとが知つているので、渡邊さんが金を出してくれない、今度日通が買つてくれるから、大蔵省へ納金しようという前提のもとに、汐留支店の、名は知りませんが、それと渡邊ざんと秋葉原支店と、三者で話をした。契約当事者秋葉原なんです、また使用上の当事者秋葉原なんです。
  158. 内藤隆

    内藤委員長 そうすると、使用しており、契約当事者秋葉原なつておるけれども、その間に汐留支店も介在しておるんですな。
  159. 磯川義隆

    ○磯川証人 そうであります。
  160. 内藤隆

    内藤委員長 そうして渡邊氏もその関係者で、これだけでやつた、こういうわけですね。
  161. 磯川義隆

    ○磯川証人 そうであります。
  162. 内藤隆

    内藤委員長 財務局との契約書の第十條によりますと、十年間公益事業使用という條件がついておるんですが、売買契約するときに、日通からこの條文について何か疑問でも出さなかつたですか。
  163. 磯川義隆

    ○磯川証人 もちろん疑問がありました。こういうことになつておるがどうだということを説明を求められました。私の方は、非常に悪いことだと思いますが、これは例文だと思つていた。
  164. 内藤隆

    内藤委員長 その点詳しく……。
  165. 磯川義隆

    ○磯川証人 私の申し上げることは、私法律家でありませんので間違つているか………当時私の方の弁護士さんも向う弁護士さんも、それはうちを借りる場合には造作しない、二階を貸さないと書いても、現在の経済状態では二階を貸しており、また造作をしておる、それと同一なものであるという説明を受けましたから、私もそれはかまいはしないと思つておりました。
  166. 内藤隆

    内藤委員長 日通の方はどういう態度をとりました。
  167. 磯川義隆

    ○磯川証人 日通の方も、そういうふうに私が説明しましたから、向う弁護士さんも、そうだということを強調して受取つたと思います。
  168. 内藤隆

    内藤委員長 日通のような大会社だから、顧問弁護士はおるに違いない。
  169. 磯川義隆

    ○磯川証人 十何人おる。
  170. 内藤隆

    内藤委員長 そういう場合にも、やはり協議をしておつただろうと思うが……。
  171. 磯川義隆

    ○磯川証人 そうであります。
  172. 内藤隆

    内藤委員長 その点委員各位から質疑が出ると思いますが、その理事長渡邊敬吉がやめた事情をひとつ話してくれませんか。
  173. 磯川義隆

    ○磯川証人 大体性格的には合いませんが、出してくれる金が出なくなつた。出ないという理由は、渡邊さんが悪いんじやない。御存じのことと思いますが、セントラルビル立ちのき問題があつた。これは堀留町にありますなかなかりつぱなビルでありまして、これがうまく行けば、それを売つて、ほんとうにあの方ならば、千や千二百万の金は出してくれることができた。ところが、これも長年係争しておりまして、逆に渡邊さんが立ちのきをせなければならぬようになりまして、セントラルビルから立ちのいた。そういういろいろなトラブルがありましたために、金が出なくなつた。出なくなると、私の方ではこれの経営ができなくなりますから困つておるところへ、第二回目の契約ができた。あの方は、性格的になかなか義侠心のあるいい方ですが、また半面のふらふらかわる方であります。なるがゆえに第二回は最も聖十字学園に有利な契約書を持つて来たので、私の判を置いて向うへ渡しましたら、向うの判を置いてくれない。そうするとその間に時間のずれがありまして、今度はそこがものになりそうに見えますために、第三回目の契約書をつくつてくれというので、また第三回目の契約書をつくつた。元来契約書は、そう何回も何回もかえるものではないということは知つております。それは御質問があればお答えしてもよろしうございますが、これはいろんな事情で第三回に……。
  174. 内藤隆

    内藤委員長 そうすると渡邊氏が思つたように資金を出してくれなかつたことが、渡邊氏が理事長を去つたおもな原因ですね。
  175. 磯川義隆

    ○磯川証人 そうです。
  176. 内藤隆

    内藤委員長 渡邊氏を尋問したときの話では、判なんかはあなたに全部預けてあるということであつた
  177. 磯川義隆

    ○磯川証人 一回も預つたことはありません。
  178. 内藤隆

    内藤委員長 磯川という人はどういう人か知らないが、判を手一ぱい持つてつて、それを適当にべたべた押すような人だ、それから金をあまり再三再四出せ出せと追られる、そして理事長というのはまるつきり権威のないものだ、そこで自分はやめたということになつておる。ただいまあなたは渡邊敬吉なるものは、まことに義侠心のある人物であると証言をされた。あるいはそうかもしれません。しかし、渡邊氏がここへ来られて尋問に答えるところを聞いていると、義侠心なんかのことは言いませんでした。もうけるために何でもやる商人であるときつぱり証言しておる。これはひとつお含みおきを願いたい。あなたは金を出さんと言うが、実際において一千五十万円ですか……。
  179. 磯川義隆

    ○磯川証人 一千五十三万円です。これは大分事実と相違しておりますが、契約に現われた数字はそうです。
  180. 内藤隆

    内藤委員長 その通り出ておるではないか。
  181. 磯川義隆

    ○磯川証人 出ております。
  182. 内藤隆

    内藤委員長 その上にまだ何か言つたのですか。
  183. 磯川義隆

    ○磯川証人 それは第三回目の契約をするときに、そういう数字で来たのです。それで渡邊氏と私が昭和二十四年交代するときには、事実渡邊さんには、私は金のことについては非常に権利義務をはつきりしておる男ですから、言うことは言いました。出してくれなくなつた。出してくれなくなつたところへ今度はほかの問題で渡邊さんは警察問題でごたごたして、あそこにおれないから私に来てくれというから、私があそこに飛び込めば、こういう問題が起きるということは、実は私予測しておつたのです。けれども自分代表者であり、責任を回避する性質のものでありませんから、どうせやるんだつたらやつてみようという気になつて、昭和二十四年の何月かに私はあそこへ行つて、今度は私が采配を振つたのです。
  184. 内藤隆

    内藤委員長 あなたは金の問題で渡邊さんの家へ土足で上つたことはありませんか。
  185. 磯川義隆

    ○磯川証人 土足ではありません。しかし、そのことについて、あした払うとかあさつて払うと言いますから口論したことは二、三回あります。
  186. 内藤隆

    内藤委員長 あなたは神兵隊なんかに関係はありませんか。
  187. 磯川義隆

    ○磯川証人 多少ありました。
  188. 内藤隆

    内藤委員長 土足で上つて、おれは神兵隊の残党だと言つて、恐喝めいたことをやるのでうんざりしました、そんならこわかつたかと聞いたら、なに、こわくありません。始終やられておるから、こういう証言でした。始終やつたのですか。
  189. 磯川義隆

    ○磯川証人 それなら私の方で反対のこと言いますが、そもそも太陽の家に来ておるのは、どうも人の名前をあげて人身攻撃するのは、本委員会の性質のものではないと思いますから、名前はお聞きとりをなさらないように願いますが……。
  190. 内藤隆

    内藤委員長 ここで証言に立つたときは、すべて明瞭にしていただかなければなりません。
  191. 磯川義隆

    ○磯川証人 新宿の鷲尾一派のなにがしといいましたか、とにかく太陽の家の土木工事に来ておる人は全部そういう人です。私もおどかされるような人間ではありませんが、いろんなトラブルがあつたときに向うのそういう者が集つて、どうするこうするとさんざんやられたことがあつた。これはいろいろな見解の相違とか感情の衝突でありますから、私はそういうことでおどかされたとは思つておりませんけれども、彼氏がもし言うならば、私自身もおどかされております。
  192. 内藤隆

    内藤委員長 そこでおどかしおどかされ、御両人の間に契約がまたできたようでありますが、その内容はどうです。大体でよろしゆうございます。
  193. 磯川義隆

    ○磯川証人 第三回目でございますか。
  194. 内藤隆

    内藤委員長 そうです。
  195. 磯川義隆

    ○磯川証人 第三回目は、従来の一回、二回の契約では弁護士や何かの立会いはいたさなかつたのでありますが、どうも三回だけは、これは正規な契約書か何かわかりませんけれども、正式に弁護士さんの立会いを得まして、数字もこまかく書いてあります。
  196. 内藤隆

    内藤委員長 大体でよろしゆうございます。要点だけ言つてください。
  197. 磯川義隆

    ○磯川証人 大体同じことでありますが、負担金という字を使つておりますが、これは負担金でなく寄付金であります。当然これはお断りしていい数字でありますけれども、判を押した理由あとで申し上げますが、負担費用は別紙の通りであるとして、それは一千五十三万円、そうしてその一千五十三万円の内訳というものは中に入つております。それからあの土地自分がかつてに使つていい土地は、これは大したことではありませんが、約百二、三十坪であります。それも私の方で承認しました。それで前の店舗を売りました五百三十二万何千円を、それから差引いてくれということになつて差引きました。ところが五百三十二万円というのは、この数字は私自身は知らないし、その金を私は取扱つていないし、自分自分でとられた金ですから、これはどうだか私も一向にわかりませんが、しかし契約面には入れておきました。そのかんじんなことは一番うしろの数字でございますが、たとえば十五箇月分、一箇月二十五万円の人件費の三百七十五万円、これを計上しておるわけであります。ところが事務員というのは、私の部下の事務員は私の方で支出しておりますから、この三百七十五万円というのは、セントラルビルで使つてつた人件費までこれに総合されておるのです。けれどもこれは書きました。それからあとの百九十二万円、取片づけ費用というものは、これは当然聖十字学園が負担すべきものであります。それから事務所とか倉庫を使つて百五万円というのも、これも当然聖十字学園が負担すべきものであります。但し大きな太陽の家、築地会館に建設した売店舖等に要した費用として、二百五十万円と書いてあります。そうすると売店舖になつた建設費用の二百五十万円も当然聖十字学園が負担して、かつ五百三十二万円の店舗からとつた金も渡邊さんが差引いておるのであります。そうするとまるきり私の方には数字から参りますと、借金を負わされたような形なのです。しかしこれは借金を負わされたというのと、あすこが形になりましたというのとはおのずから性質が違うだろうと思います。こういう借金を負わされたことに対しましては、私は非常に不満でありまして、時期があればこれは相殺してゼロにしていただきたいと思つておりますが、しかし反面あすこを形をつくつてくれますことについては、渡邊さんのような方だから金を出してくれたのだから、その点に対しては感謝しております。
  198. 内藤隆

    内藤委員長 それは寄付金じやなかつたのですか。
  199. 磯川義隆

    ○磯川証人 寄付金であります。
  200. 内藤隆

    内藤委員長 寄付金を返すというのは、どういうわけです。
  201. 磯川義隆

    ○磯川証人 返すも返さないも、向うで差引いてとられるので、これはどうも返したのではないのです。
  202. 内藤隆

    内藤委員長 その点についてはまたいずれお尋ねしましよう。あなたの学園のいろいろ事業もありまするが、この内容をひとつ聞きたいと思いますが、太陽寮はこれは別としまして、簡易宿泊所というのをやつていますね。
  203. 磯川義隆

    ○磯川証人 やつております。これは一泊ふろつき五十円でとめております。
  204. 内藤隆

    内藤委員長 これは学園が直接の経営じやないでしよう。
  205. 磯川義隆

    ○磯川証人 そうではありません。
  206. 内藤隆

    内藤委員長 どこかへ経営を委託してあるのでしよう。
  207. 磯川義隆

    ○磯川証人 そうであります。
  208. 内藤隆

    内藤委員長 その権利金は幾らですか。
  209. 磯川義隆

    ○磯川証人 権利金ではなくて、その契約の当時十万円の寄付をいただきました。
  210. 内藤隆

    内藤委員長 それから家賃は。
  211. 磯川義隆

    ○磯川証人 毎月三万円でございます。
  212. 内藤隆

    内藤委員長 それから母子寮というのはどういうのです。
  213. 磯川義隆

    ○磯川証人 母子寮というのは最近つくつたのであります。三月ほど前です。これはやはり家賃で私の方で貸しておりまして、そこに出資した人間が中の造作を全部直しております。
  214. 内藤隆

    内藤委員長 これは権利でもとつていますか。
  215. 磯川義隆

    ○磯川証人 十万円ほど私の方の家を直してくれたり事務所を直してくれたのを、寄付の形式でとつております。
  216. 内藤隆

    内藤委員長 それから簡易宿泊所経営者はだれです。名前を言つてください。
  217. 磯川義隆

    ○磯川証人 現在の契約者は藤松ということになつております。
  218. 内藤隆

    内藤委員長 藤松何です。
  219. 磯川義隆

    ○磯川証人 ちよつと名前は忘れました。
  220. 内藤隆

    内藤委員長 どこの者です。
  221. 磯川義隆

    ○磯川証人 あの中に住んでおります。その前は竹内春吉というのが経営しております。
  222. 内藤隆

  223. 磯川義隆

    ○磯川証人 それが母子寮であります。
  224. 内藤隆

    内藤委員長 そうすると簡易宿泊所の方は。
  225. 磯川義隆

    ○磯川証人 簡易宿泊所の方は、契約代表者は松井さんという人であります。けれども実際内容は、向うは組合で、何でも十数人で出資してくださつておるようです。
  226. 内藤隆

  227. 磯川義隆

    ○磯川証人 松井です。
  228. 内藤隆

    内藤委員長 松井から寄付の名義で十万円をとつた、そういうわけですか。
  229. 磯川義隆

    ○磯川証人 そうであります。
  230. 内藤隆

    内藤委員長 その松井はどういうふうに経営しておるか知りませんか。
  231. 磯川義隆

    ○磯川証人 現在も松井さんが代表者として、実際は十二、三人組合員の方が使用人を置きまして、そうして経営しております。
  232. 内藤隆

    内藤委員長 そうして三月ほど前に母子寮をつくつたのですね。
  233. 磯川義隆

    ○磯川証人 そうです。
  234. 内藤隆

    内藤委員長 現在ありますな。
  235. 磯川義隆

    ○磯川証人 ございます。
  236. 内藤隆

    内藤委員長 看板はかかつておりますか。
  237. 磯川義隆

    ○磯川証人 ちよつとその看板のことは記憶していないのです。
  238. 内藤隆

    内藤委員長 母子寮はどうです。疊一疊一万円、四疊半で四万五千円権利金をとつているが、それはどうです、存じませんか。
  239. 磯川義隆

    ○磯川証人 数字のことは実は本日ここへ来るときに、その計数を私が知らぬということでは、何だか無責任だし、私が詭弁を弄しているように思われることもいやですから、けさも竹丙さんに会つて聞いたのですが、その数字がいまだに報告されない。きよう中にはつくるということでございますが、大体総括した権利金は、百十五万円か二十万円くらいはとつているように思われます。
  240. 内藤隆

    内藤委員長 当委員会事務局の調べでは、疊一疊一万円、四疊半で四万五千円の権利金をとつておる。なおまたその手数料、さらにいわゆる部屋代として四疊半で三千円ないし二千円をとつておる。そういう事実があるのですか。
  241. 磯川義隆

    ○磯川証人 それはこちらの事務局の御調査の方が確実と思います。
  242. 内藤隆

    内藤委員長 それから太陽の湯というのはどういうのです。
  243. 磯川義隆

    ○磯川証人 それは普通の浴場でありまして、今と当時とはいろいろと状況が違いますが、当時は入浴料はたしか七円か八円でございました。その時分に六円と四円とただでした。今は十二円を八円に割引きして、それから生活保護法の適用を受けている者はただであります。
  244. 内藤隆

    内藤委員長 ただで入つておる者はありますか。
  245. 磯川義隆

    ○磯川証人 ございます。
  246. 内藤隆

    内藤委員長 毎日どのくらいただで入りますか。
  247. 磯川義隆

    ○磯川証人 今の数字は存じませんが、当時始めましたときは三十人から五十人ほどおりました。
  248. 内藤隆

    内藤委員長 権利金関係はどうなつておるのです。
  249. 磯川義隆

    ○磯川証人 この契約は実は私でないのでありまして、渡邊さんが契約しましたので、後日契約を更改しましたものを私は捺印いたしましたけれども、前の契約はどういうふうになつておる上か、おそらくとつていないと思いますが、その辺ははつきりいたしません。
  250. 内藤隆

    内藤委員長 その契約者の名前は。
  251. 磯川義隆

    ○磯川証人 北島というのです。
  252. 内藤隆

    内藤委員長 北島何というのです。
  253. 磯川義隆

    ○磯川証人 ちよつと名前は忘れました。
  254. 内藤隆

    内藤委員長 それから外食券食堂というのもやつておられますな。
  255. 磯川義隆

    ○磯川証人 やつております。
  256. 内藤隆

    内藤委員長 これはどういうのです。
  257. 磯川義隆

    ○磯川証人 これは当時食生活に困つておる者がありましたので、これこそは直営でやりたかつたのです。ところが統制でもつて東京都食堂事業協会というものがありまして、その会長には安井都長官がおられたのです。こいつはどうしても直接やるわけには行かないから、その東京事業協会の安井都長官の主宰しておられる食堂にやらしてくれといわれまして、それでやらしたのです。しかしこの契約も実は更改したのです。渡邊さんの契約したやつをあと更改しておりますが、私が捺印したやつはそこに出ておりますが、渡邊さんのは来ておりますかどうか知りません。
  258. 内藤隆

    内藤委員長 あなたの捺印したのは……。
  259. 磯川義隆

    ○磯川証人 それはあります。
  260. 内藤隆

    内藤委員長 権利金は……。
  261. 磯川義隆

    ○磯川証人 その権利金は、私の方ではとつておりませんが、渡邊さんの方はとつております。
  262. 内藤隆

    内藤委員長 学園の帳簿にはあるでしよう。
  263. 磯川義隆

    ○磯川証人 幾らとなつておりますか。
  264. 内藤隆

    内藤委員長 あなた知らないのですか。
  265. 磯川義隆

    ○磯川証人 ちよつと今返答を間違えると困りますから。——つておりませんね。しかもあれは学園が全部建築したのですから、とつてないと思います。
  266. 内藤隆

    内藤委員長 その経営者は今だれですか。
  267. 磯川義隆

    ○磯川証人 ちよつと名前は記憶しませんが、東京事業協会の須田町の主任をやつてつた人と私どもの方との契約なんです。
  268. 内藤隆

    内藤委員長 それから職業補導施設を何かやつておられるようですが、その内容はどうです。
  269. 磯川義隆

    ○磯川証人 それは浅草でドロツプの製造工場をやつております。
  270. 内藤隆

    内藤委員長 この支店じやないのですね。
  271. 磯川義隆

    ○磯川証人 松葉町です。
  272. 内藤隆

    内藤委員長 サンボウタイプ……。
  273. 磯川義隆

    ○磯川証人 それは中でやつております。
  274. 内藤隆

    内藤委員長 現在もやつておりますか。
  275. 磯川義隆

    ○磯川証人 現在もやつておりますが、ほとんどこつちと関係なくなつております。
  276. 内藤隆

    内藤委員長 どういうことでなくなつたのですか。
  277. 磯川義隆

    ○磯川証人 初めのうちの子供を職業補導のつもりでそこへやつておいたのですが、なかなかうまく行きませんので、今子供を引揚げましたから、私の方は全然使つていないで、サンポウタイプという独立した営業体でやつております。
  278. 内藤隆

    内藤委員長 大体あなたの簡単な説明を聞きましても、どうです、一体これであなたは社会事業であるとお考えですか。
  279. 磯川義隆

    ○磯川証人 考えております。
  280. 内藤隆

    内藤委員長 昨日の東京都並びに厚生省証人は、こういうものは社会事業じやないだから、すみやかにこれは解散させなければならぬということをここで証言しているのですが、その点どうですか。
  281. 磯川義隆

    ○磯川証人 それならなぜそういうことをもつと早く言つてくださらなかつたのです。そのために東京都で監査をやつておる。今になつて、こういう事件が起つてからそういうことを言うとは、所管者として卑怯千万です。監査というものはしよつちゆうやつておるのですから……。
  282. 内藤隆

    内藤委員長 しよつちゆう監査しておるというのですか。
  283. 磯川義隆

    ○磯川証人 非常に熱心にやつておりますから、私の方でこういうことをやつておるということは知らないわけはない。しかも家出人あたりを収容して——この間も某部長のむすこもとまつておりまして、非常に警視庁から感謝されておりますから、こういうことは知つております。
  284. 内藤隆

    内藤委員長 その役人と役所の悪いことはいずれ私の方でやるが、一体その両局長東京都は民生局長だ、それから厚生省は兒童局長だ。二人ともかようなものはすみやかに解散すべきものだという証言をしておる。ことに今あなたはたびたび監査に行つておるとか何とか言つておるが、年に一回しか行つていないじやないですか。
  285. 磯川義隆

    ○磯川証人 定期監査というのは一回でありますが、係員というのは二、三箇月日ごとに必ずまわつて来ます。
  286. 内藤隆

    内藤委員長 それは何をしておるのです。
  287. 磯川義隆

    ○磯川証人 それはいわゆる企業体でやつていることを、区の担当員、保護施設なら保護施設、児童福祉施設なら兒童福祉施設というように担当員がありまして、しよつちゆう来ております。
  288. 内藤隆

    内藤委員長 その点は昨日の証人とまつたく食い違つておりますね。申し訳ないが、一年に一ぺんしか行つていないのだ。しかもわずかに二時間ぐらいのものなんだというふうに述べておる。
  289. 磯川義隆

    ○磯川証人 いやそうじやありません。しよつちゆう来ております。
  290. 内藤隆

    内藤委員長 それじや別の名前をかたつて来ておるのでしよう。
  291. 磯川義隆

    ○磯川証人 いや事実来ております。
  292. 内藤隆

    内藤委員長 どうです。あなたはもちろん社会事業家として、これが社会事業と思うかといわれれば、思いますというのはあたりまえだ。しかしいろいろわれわれの方で調べ上げたもの、これを監督しておる立場のもの、そういう意見を総合してみると、これは社会事業でないということになる。ことにあなたはこの聖十字学園をつくるときに、賀陽宮——今は宮じやないが、あの人を何かにかつぎましたか。
  293. 磯川義隆

    ○磯川証人 はあ。
  294. 内藤隆

    内藤委員長 それはどういう事情で……
  295. 磯川義隆

    ○磯川証人 かついだという意味が私にはわからないのですが……。
  296. 内藤隆

    内藤委員長 それではどういうことで推戴したのです。
  297. 磯川義隆

    ○磯川証人 私は今は大分思想がかわつております。国際情勢や国家の成行きについて、実は私は長年反共運動をしておるものでありますけれども、最近は社会党の左翼とか共産党のやることについては正しい見方もあるというようなことで、私は一つのジレンマに陷つております。終戰後宮様は、これは長年皇室中心主義でやつておりましたから、りつぱな方だ、そういう方にやつていただけばいいという意味でやつたので、宮様をかついだという意味では毛頭ございません。
  298. 内藤隆

    内藤委員長 そういう人のお名前を借りた方がいいと思つたのでしよう。
  299. 磯川義隆

    ○磯川証人 いいといつて、大していいとは思つておりません。それによつて何ら利益があるわけではないので……。
  300. 内藤隆

    内藤委員長 大していいと思わないのに、なぜ賀陽宮さんを総裁にしたのです。
  301. 磯川義隆

    ○磯川証人 そちらの御見解がかついだのならかついだで、私らはかついだんじやありません。
  302. 内藤隆

    内藤委員長 あとでいずれ言うが、かりにもあなたが反共運動をやつたとか、右翼の何とかと言うておられるが、今は宮様はなくなつた。しかしながら終戰前まではやはりわれわれは尊敬もしておつた。宮という名称はないけれども、今も尊敬しておりますよ。これはそういう方々をかついでやる事業ですか。
  303. 磯川義隆

    ○磯川証人 それならこういうことはいかがでしようか。たとえばかついだんなら、その宮さんが、あるいは米がない、酒がないといつて、とりに来るというのはどういうのでしよう。それは全然矛盾しておりますよ。私の方が救済しておるのですよ。
  304. 内藤隆

    内藤委員長 君は宮様を救済しておつたのですか。
  305. 磯川義隆

    ○磯川証人 相当犠牲を払つておりました。尊敬する気持があり、救済する必要があるから、救済しておつた
  306. 内藤隆

    内藤委員長 一体救済という言葉と尊敬とは違う。
  307. 磯川義隆

    ○磯川証人 ですから、かついだとは私はちよつと思いませんね。
  308. 内藤隆

    内藤委員長 ここで君とかつぐ、かつがぬと今争つてもしかたがない。しかし私は委員長として、かついで、利用したと思つている。きつぱり言うておく。
  309. 磯川義隆

    ○磯川証人 そんならやむを得ないと思います。
  310. 内藤隆

    内藤委員長 ことにこういう元宮様をかつぎ、あるいはまた二、三の政界の人々の名前を列記し、そして社会事業の名に隠れて、国有財産を財務局と連絡して、裏面でどういうことをやつたか知らぬけれども、ともかくも安い値段で払い下げて、その目的以外の用にこれを使つて、それで社会事業家としてあなた良心に恥じませんか。
  311. 磯川義隆

    ○磯川証人 委員長、その御見解に対して私の方から突き返すようになると思いますが、してもいいでしようか。
  312. 内藤隆

    内藤委員長 よろしい。
  313. 磯川義隆

    ○磯川証人 感情を害さぬで。
  314. 内藤隆

    内藤委員長 公平に聞きましよう。
  315. 磯川義隆

    ○磯川証人 そんなら申し上げます。今のお話で、何か大蔵省と変な関係があつて安く払い下げたということですが、あれは実際安い土地じやないが、千七、八百円は当時の時価であります。今で御判断されたら坪三千円か五千円ということになるかもしれませんが、私はただもらうつもりでおつた。むしろ金を出すということがふしぎなんで、社会事業は国家の予算を使つて、国家がやることだ。国家がやることを私の方が金まで出してやる義務は毛頭考えていません。
  316. 内藤隆

    内藤委員長 そうすると、あなたは国家のやるべき事業を自費でやつたというのですか、犠牲的に。
  317. 磯川義隆

    ○磯川証人 そうです。あなた社会事業でないといわれるが、神田のあそこにあるのはあの第二種にちやんとある。委託であろうと何であろうと、現実にやつておるのでありますから、私は社会事業でないと御鑑定くださるということはちよつと間違つておるのではないかと思います。これは太陽の湯とは別ですが、私は千葉県における有数な兒童福祉施設をやつてつて、現に百何名の兒童を養つておるのでありますから、その福祉施設の方のことも調査員調査なすつただろうと思います。
  318. 内藤隆

    内藤委員長 あなたは、私のようなりつぱな事業をやつておる者に対しては、土地のごときは無償でくれるのがあたりまえだ、こういうお考えですね。
  319. 磯川義隆

    ○磯川証人 当時は、実際無償で使つてつたところがあります。ところが御存じだと思いますがGHQから、国家に金がないから国有財産は換金せよという命令が出た。大蔵省は換金するたにどんどん売り払つてしまつた。あの千七百円とか千八百円という数字は、私どもはありがたい数字ではないのであります。
  320. 内藤隆

    内藤委員長 それでは福田君。
  321. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 証人にいろいろお尋ねしたいことがありますが、証人昭和二十二年十二月一日、厚生大臣に対しまして旧衛生試験所跡の無償使用方の申請をしておられますね。
  322. 磯川義隆

    ○磯川証人 しております。
  323. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 あのときの申請書の趣旨及び事業計画を私は説明していただきたいのでございますが、その前に聖十字学園設立の時期はいつでございますか。
  324. 磯川義隆

    ○磯川証人 ちよつと日にちは……。
  325. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 およそでいいです。設立の時期はおよそおわかりでしよう。
  326. 磯川義隆

    ○磯川証人 この申請は二十三年三月二十日に出しておりますから、その前後だと思います。
  327. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 とにかく昭和二十二年十二月一日以前ですか、以後ですか。
  328. 磯川義隆

    ○磯川証人 渡邊さんとの第一回の契約の後でありますから……。
  329. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 第一回の契約の後ですか。
  330. 磯川義隆

    ○磯川証人 そうでございます。二十二年の十二月の契約ですから、二十三年くらいだと思います。
  331. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 設立はその後にやつておるのですか。
  332. 磯川義隆

    ○磯川証人 そうでございます。
  333. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 では、その渡邊さんとの契約に基きまして、衛生試験所跡の無償使用方の申請をしておる、その趣旨及び事業計画を、ひとつ簡單にここで述べていただけませんか。
  334. 磯川義隆

    ○磯川証人 大蔵省に出した事業計画ですか。
  335. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 厚生大臣に対して出したものです。
  336. 磯川義隆

    ○磯川証人 厚生大臣に対して出したのは、ちよつと私は……。大蔵省に出したのはあります。
  337. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 しかし、あなたは自分が出しておいて記憶はないのですか。
  338. 磯川義隆

    ○磯川証人 その当時の書類は私が作成しておりません。事務員が作成しております。
  339. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 提出者はあなたでしよう。
  340. 磯川義隆

    ○磯川証人 そうです。
  341. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 ですから、あなたは当然責任を負わなければならぬでしよう。
  342. 磯川義隆

    ○磯川証人 むろん責任を負います。
  343. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 書類はあるのではないですか。
  344. 磯川義隆

    ○磯川証人 あるのですが、持つて来るのを忘れました。
  345. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 それではこつちで調べたところを申し上げます。その計画によりますと、簡易宿泊所の収容人員として、職のある浮浪労務者四百六十人、収入の道なく野宿する強制収容者六十人、幼児保育所として、托兒四十人、右の収容所として、簡易宿泊所、保育所、浮浪見収容所、管理人室を建設する。あるいは経営の方針は東京都民政局の委託経営として実費を徴収するが、収入の道なき生活困窮者は無料とするというふうに書いてありますが、実際その後いろいろ経過をたどつて証人経営している事業を見ると、まつたくこの計画に違反しておりますが、どういうわけですか。
  346. 磯川義隆

    ○磯川証人 その当時はもちろんそういう計画であつたのです。けれども渡邊さんの方ではそういう金が出ませんい……。まず前提としてこういう問題がありますから、これを申し上げます。そもそも、これは私は無鉄砲な誇大妄想狂的なことをしたのではありません。渡邊さんが手数百万円を出してくれ、当時の厚生大臣があそこを視察いたしまして、これはやはり代表的な施設にしたいから補助金を出そうという言質を得ております。その次には復金に二千万円の借財を申し込みました。ところがこれも、GHQから私立の施設には補助金を出すことは相ならぬという通達が厚生省にあつた。そうすると、当時の厚生大臣が好意を持つてつてもだめになつてしまう。GHQの命令で出せないならば、これはやむを得ません。そこでまず二、三千万円のものは齟齬を来した。それから私は復金の理事長に数回面会しまして、二千万円の借財方を申し込んだ。これも貸出し順位は社会事業は甲、乙、丙になつておる。丙は、いわゆる金融面において無資格者であります。その復金の二千万円もだめになりました。厚生省補助金もだめになり、復金もだめになり、渡邊さんがだめになると、今委員さんのおつしやつたことは、そういう計画はありましたけれども、できなくなつたというやむを得ない事情であつたのです。 福田(喜)委員 証人が先ほど学園財団法人に改組した事情を述べられましたが、そのときにこういうことを言つておられます。社会事業厚生省の方針で財団法人でなくては許可しないようになつた従つてこれを財団法人に切りかえたのだが、切りかえたのは払下げのためで、社会事業はいかにも目的でないようなことを言われておりますが、一体証人社会事業とはどういうものだと認識しておられますか。
  347. 磯川義隆

    ○磯川証人 社会事業経営するには財団法人にしなければならぬという規定がありますので、それにしたのです。その社会事業の性質を申します。これは現に私のやつておる三里塚の兒童福祉施設は、りつぱな社会事業であります。神田におけるのも第二種における社会事業です。
  348. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 証人は、社会事業とは第一種とか第二種とか言つて一体どういう気持で社会事業というものを認識しておるか。そのお気持を聞きたいのです。
  349. 磯川義隆

    ○磯川証人 御答弁します。一種とは、法規にあるごとく養護施設あるいは虚弱児童の施設等、そういうものをするのを第一種と申します。それ以外の質屋、浴場、簡易宿泊所はこれは第二種と申します。二種は、いわゆる多角形的な経営でありますから、自然とこの許可は福祉施設のような衛生設備とか、火災の設備というようなことは案外たやすくできる性質を持つております。これを第二種と申します。
  350. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 今の御答弁を聞きますと、社会事業の種類や性質など、法律で規定する型だけをあなたはとつて、その精神というか目的というか、そういうものは一切御認識がないような気がします。私に言わせますと、たとえば浴場とか母子寮とか、そういうふうな法規に規定してある型だけふめばよいのであつて、これが営利の目的になろうとなるまいと、これによつて利潤を得る。社会公共の福祉のためにやるという目的、精神が全然あなたの念頭にないように思いますが、その点どうですか。
  351. 磯川義隆

    ○磯川証人 御返答申し上げます。第一、食堂は今の現況でお考えになると大きな間違いがあると思います。当時食生活に困つたときに、一食十三円で朝飯を食べる。みそしるにお新香をつけるというようなりつぱな給食であります。浴場しかり。しかもここに傍聴しておられると思うが、区会議員某氏の名刺を持つて来たものには無料でやつております。これはもちろん生活保護法の適用者ですから、現に簡易宿泊所もりつぱなもので、今二百五十人とまつております。ですから、私はこれは社会事業と言わなければならぬと思います。
  352. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 証人は、先ほど財団法人にしたのは払下げのためにした、社会事業目的でないというようなことを言われたが……。
  353. 磯川義隆

    ○磯川証人 いや、それはそうではない。それはお聞き違いだと思います。社会事業払下げをするのには、財団法人にしなければなりませんから、そこで財団法人にするのは私としてはいやなんですが、やむを得ず財団法人にするが、むしろ私に言わせれば、政府の補助金なんかなしのような状態の社会事業が日本にできなければ、ほんとうの社会事業じやないと思います。これについて、もうちよつと言わせていただいていいでしようか。
  354. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 その点についていま一つ言いたいのは、あなたは財務局との契約書の第十條に持つてつて、十年間は公共事業使用しなければならぬという條件がついておるが、その点について、日通当局との交渉について云々ということを言われました。そのときに、これは例文であるからかまわぬと言われた。社会事業というものもあなたは例文化して考えておられるようですが、その点は当委員会の認識は、おそらくみなそうであろうと思いますから、その点について伺います。
  355. 磯川義隆

    ○磯川証人 それについて私は非常に注意したし、まつたく万死に値いすると思うのはその問題であります。
  356. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 例文だからかまわぬというのですか。
  357. 磯川義隆

    ○磯川証人 いや、その当時はそう思つていた。今は非常に面目ないと思つております。けれども払い下げた当時と現実にやつている社会事業とは区別してお考え願わなければならぬと思います。     〔「人のことを言わぬで、自分のことを言え」と呼ぶ者あり〕
  358. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 どうです、今の社会事業を例文化して考えているという点は……。
  359. 磯川義隆

    ○磯川証人 その当時はそう思つてつたのです。それでさんざん新聞に出され、参集両院の皆様からも御調査を受けまして、これは私は悪かつたということを痛感しております。それはどんな御処断でも甘んじて受けます。
  360. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 責任を痛感しておるわけですね。
  361. 磯川義隆

    ○磯川証人 はあ。
  362. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 わかりました。この聖十字学園東京分園設置契約書をずつと読んでみますると、その第八に「東京分園事業目標は左の通りとす」と書いて、いろいろなことを書いてある。ところが第九に行きまして、「東京分園は第八項の事業目的達成財源を確保するため左の事業を行う」といつて書いてあるところは、まさに貸事務所、貸店舗、貸住宅、貸間、旅館、貸席、料飲店、慈善市、芸能講演広告宣伝新聞、雑誌、書籍の刊行、物品製作販売、これなんかは非常に広い。土建請負、製材、木工、鉄工の経営から運輸、小運搬、荷造請負、つ農場、牧畜、林業、漁撈の経営その他時宜に順応せる諸事業、まきに商売往来にもないような事業までやつて、これでもうけを吸つて、申訳的に八にそういう目的を「事業目標は左の通りとす」と書いて、第九にある「事業目的達成財源を確保するため左の事業を行う」というこの事業に至つては、まさにこれは社会事業どころの騒ぎじやない、こういう気がいたしますが、この点はその当時あなたはそういうつもりでおやりになつたでしようか。
  363. 磯川義隆

    ○磯川証人 それは事実その通りです。第一あそこでいろいろと営利事業をやることについて、皆さんから攻撃を私一身に受けておりますが、大蔵省に出しましたこれに堂々と私は書いてあるのです。どうしてそれを悪いというのですか。ないしよにやつたことじやない。私も読み上げます。大蔵省に出したのにもちやんと書いてあるのですから……。
  364. 内藤隆

    内藤委員長 聞いていないことを言つてはいけない。先ほど証言したろう、証言は質問の範囲を越えてはいけない。
  365. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 そうすると、今のあなたの御答弁からほぼ察知されることは、社会事業というものはこういうふううにだんだん転化して来て、あなたの言われるように、ここに書いてあるたとえば簡易宿泊所はこういうふうな契約でこうなつた母子寮のごときは最近三箇月ほど前三箇月というのは、これが事件なつ調査が始つてからでしようが、こういうことになつた、それから太陽湯というのは、渡邊契約者になつて、契約はかくかくだ、内容のからくりは云々、外食券食堂についても、こういうやりくりだということを今言われましたが、こういうものは初めから堂々と社会事業の看板のもとに、内容までさらけ出しているのだ、それを官庁が社会事業として受付けて、われわれに認可したのが悪いのだ、初めからこつちはやることは裸で出してりおるのだ、こういう結果になりますが、よろしゆうございますか。
  366. 磯川義隆

    ○磯川証人 その当時にそれが悪いと言えば、その点御注意くださいますれば、おそらく私はせなかつたのです。その次に、私は社会事業の行き方について、もう一ぺん質問以外のことですが、委員の皆さん方に御認識をいただきたいのですが、私は今詭弁を弄するのではないのであります。もちろん私は代表者であります。これがもし刑事問題になつて、十年行こうと二十年行こうと、私はあえてひけをとりません。但し社会事業の行き方について今度橋本さん——私の最も尊敬するあの橋本さんの行き方は……。
  367. 内藤隆

    内藤委員長 ちよつと待つてください。橋本さんというのはだれです。
  368. 磯川義隆

    ○磯川証人 前の厚生大臣。
  369. 内藤隆

    内藤委員長 関連のない発言は許しません。
  370. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 初めから自分のやることはこういうことだ。私に言わせれば営利事業、もうけるのだ。そのためにこういうことを堂々と看板にうたつてあるし、申請書にも書いてあるじやないか、それを社会事業として認めてやつた厚生大臣なり当時の財務局が悪いのだ、自分がやつておること、まさにやらんとすることは自分が出しておるのだ、それが今何が悪いか、こういうことになりますが……。
  371. 磯川義隆

    ○磯川証人 いや、そうじやありません。悪いことは私は悪いと申し上げます。ただ質問なさいますから、それに対してそのいきさつを言うので、いい悪いというのは皆さんが御批判くださるので、私はそういう気持でやつたというのであります。
  372. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 では、あなたは悪いということは認められておるのですね。
  373. 磯川義隆

    ○磯川証人 もちろん、ところが悪いことは認めますが、初め社会事業の行き方はどうだということを御質問くださつたら、私の気持がはつきりわかるのでございますが、委員長が質問しないことを言つてはいかぬとおつしやいますから……。
  374. 内藤隆

    内藤委員長 福田委員ちよつと申し上げますが、まだ長いですか。
  375. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 まだ少し……。簡單にやりますから、順を追うて答弁を簡單に願えばいいのです。
  376. 内藤隆

    内藤委員長 それではひとつ簡單に……。
  377. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 それでは委員長の要求に応じまして、簡單にやりまするが、東京都、厚生省の推薦を受けまして、東京財務局の折衝に移つたわけですが、その折衝は主としてだれとだれとやつたのか、その関係者職員氏名をあげていただきたいと思います。
  378. 磯川義隆

    ○磯川証人 大蔵省の方は苗木事務官であります。それから厚生省の方は山本さん、東京都の方は、これは大分人がかわつておりますから、四年前のことですから、東京都のことはちよつと忘れました。
  379. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 関係者の中に当事者以外の第三者がおつたはずですね。つまりあつせん調停をした人がおつたはずですが、あなた御存じでしよう。あなたと東京都、あなたと厚生省の間をとりなした人、橋渡しをした人がおりましたでしよう。
  380. 磯川義隆

    ○磯川証人 厚生省のことは太陽の湯をやる前に、三里塚で、聖十字学園というのは兒童福祉施設をやつてつたので、変な言い方ですが、厚生省の各課の人は顔を知つておりますから、あつせんしたということはないわけであります。
  381. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 御記憶ないですか。
  382. 磯川義隆

    ○磯川証人 それは役人以外ですか。
  383. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 ええ——なければよろしゆうございます。  簡易旅館組合や湯屋組合、これらの組合に委託経営をやらしたのは、だれからそんな知恵を与えられたのですか。初めからそのつもりでおやりになつたのですか。第三者の勧めがあつたのですか。
  384. 磯川義隆

    ○磯川証人 家賃をとるのはまずいというお話ですが、当時は、直営にしても、家賃をとつても、実質的にやればいいという考えを持つておりまして、お湯と食堂の方は、渡邊さんのあつせんでやりました。それから簡易宿泊所は、私自身がやりました。
  385. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 そういう経営形態をとつて、当時東京都の民生局で何も文句を言いませんでしたか。
  386. 磯川義隆

    ○磯川証人 昨年の監査のときに、これを直営にしなければいかぬということを申されました。
  387. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 その間何も文句を言わなかつたのですね。
  388. 磯川義隆

    ○磯川証人 その間は何も言わなかつた
  389. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 外食券食堂も、社会事業としてはまつたく調子はずれですが、税金の関係はどうなつておりますか。
  390. 磯川義隆

    ○磯川証人 営利々々というお考えを委員さんは持つていらつしやるが、家賃としては八万円しか入つて来ないのです。電話賃と人件費が足りないのですから、それ以外には何も収入がないので、私の聖十字学園に入るものは何もない。やつていらつしやる方の営利があつたか、つながつたかということは、ちよつと私には説明ができません。簡易宿泊所が三万円……(「権利金をとつておるじやないか」と呼ぶ者あり)権利として寄付金をとるのは、いわゆる寄付行為財団法人ですから、何十万円でもよい。     〔「まじめに言え」と呼び、その他発言する者あり〕
  391. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 それから関東財務局から契約の更改を受けておりますが、その理由、並びに更改契約内容はどういうことになつておりますか。
  392. 磯川義隆

    ○磯川証人 関東財務局からも再三、こういう状態ではいけないから、これを何とかしなければいかぬということで御注意を受けたのであります。実はちよつとまた御質問以外の点になりますが、日通の問題も、日通へ返金をして、それをとりもどそうというような案もございましたので、折衝中だつたのです。ところが関東財務局では、そう時期を待つことができない。だから現在使用しておる人間に、前の店舗三十何軒は店舗のかたに、日通日通の方に分割してやらなければならぬから、更改契約をせよといわれましたので、更改契約をしたのです。
  393. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 財務局へ代金の支払いを完了つしたのはいつですか。
  394. 磯川義隆

    ○磯川証人 たしか昨年の六月か七月だつたと思います。
  395. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 三月になつておりますが……。
  396. 磯川義隆

    ○磯川証人 それならそうです。
  397. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 所有権の移転登記はいつになりますか。
  398. 磯川義隆

    ○磯川証人 三月くらいかかりました。何でも土地をはかるのに、東京都との間にいろいろな悶着があつたらしいので、ずいぶんかかりました。たしか二月か三月かかりました。
  399. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 ところで代金完了の日に、あなたのところでは日通に抵当権を設定して、所有権移転登記の日に抵当権の設定登記をしておるのはどういうわけですか。
  400. 磯川義隆

    ○磯川証人 それは前に三百五十万円出してもらつたのがありますので、それを継承して日通に入れてくれと言いますので、それで入れたのです。
  401. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 昭和二十六年十一月十六日に、上野信用金庫に二番抵当を設定いたしておりますが、これはどういうわけですか。
  402. 磯川義隆

    ○磯川証人 それは二番で入れて金融をしてくれることになつたのです。ところが、どうも私の不徳のいたすところで、新聞に書かれましたので、実は一つも出してくれません。それで抹消いたしました。
  403. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 二番抵当を設定しておりますが、二十六年十二月二十四日にこれを抹消しております。これはどういうわけですか。
  404. 磯川義隆

    ○磯川証人 それは金を借りておりませんので、抹消してもらわるい私の方で困りますから、抹消してもらつたのです。一厘も借りておりません。
  405. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 一体こういうことをいろいろやつておりまして、たとえば抵当権を実行されるということになると、あなたは社会事業をやろうと思つてもできなくなります。が、こういうことは初めから……。
  406. 磯川義隆

    ○磯川証人 お言葉の通りでございます。できなくなるだろうということは、私も予測しておりましたから、私は手を引いて、次のりつぱな経営者にあれをお譲りしようという決意をしておつたわけです。
  407. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 熱海市の小倉光次、原廣二郎という人に、昭和二十六年二月十二日に五百万円の金円の貸借があつたとして、昭和二十七年の一月すなわち先月の十七日に抵当権の設定登記をしておりますが、これは一体どういうわけですか。
  408. 磯川義隆

    ○磯川証人 それも信用組合と同じように借り入れようと思いまして借りた金で、信用組合の方へ売渡し担保にしましたあれを取りかえそうとしたのです。けれども、これも不可能でございました。
  409. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 先月の十七日というのは、本事件事務局で調べられているときである。問題となつてから二番抵当を設定したのはどういうわけか。それから五百万円というのは、一体何のための金円の貸借ですか、この二点を伺います。
  410. 磯川義隆

    ○磯川証人 信用組合にこれを担保に売りましたときは、三百五十万円で売つたのであります。ところがいろいろな費用がかかつたから、どうしても四百四、五十万円かかる、五百万円借りないとその返済ができないから、借りるべく運動して設定登記をいたしました。
  411. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 借りない前に登記したのですか。
  412. 磯川義隆

    ○磯川証人 登記を先にやらなくちや貸してくれないのです。
  413. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 一体こういうふうに証人はいろいろなからくりをやつて、しかも社会事業に対する認識も、先ほどのあなたの御答弁によつておおよそうかがわれる。あなたは社会事業に対する認識について、この委員会が非常に奇異に思うけれども、それは時代の相違だ、昭和二十一、二年のころ、つまり敗戦直後においてはそんなことはふしぎでも何でもないのだ、こういうような算ですが、われわれははなはだ納得行かない。このような状況では、証人の債務不履行によつて債権者に抵当権を実行されるとか、貸借関係からいろいろの事業執行に不測の支障ができる、こういつたような場合に事業をやれなくなる、これは初めから覚悟の前だ、こういうようなお考えですが、これは間違いないところですか。あなたは今でもそうお考えですか。
  414. 磯川義隆

    ○磯川証人 恐れ入りますが、もう一度……。
  415. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 つまりあなたのお考えは、社会事業というものに対して、まつたく普通の事業だ、上の社会の二字はつけたりだ、私どもにはそういうふうに思われる。そのいわゆる脱法行為と申しますか、社会事業とか公益事業とかいう名のもとに、国家が与えている特典を百パーセントにあなたは利用しておられる。しかも心の中であなたが認識しておられるのは、営利事業目的としておられる、営利の追求だ、こういうふうにわれわれにはとれるのですが、この点についてのわれわれの認識は正しいですか、誤りですか。
  416. 磯川義隆

    ○磯川証人 脱法行為といいますが、私のところの収入は一箇月八万円しかない。ですから、それに対してまるまる脱法しても八万円の数字ですから、そう大きいものじやないのだと思います。
  417. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 そんなことでこの委員会通りませんよ。そういう愚弄した答弁はよしなさい。
  418. 内藤隆

    内藤委員長 小松君。
  419. 小松勇次

    ○小松委員 磯川さんが社会事業を志したのはどういう動機であつたか、まずこの点をお聞かせ願いたい。
  420. 磯川義隆

    ○磯川証人 終戦後こんとんとした世相を呈しておりましたので、一人でも困つた人を救済すればよいと思いまして始めました。
  421. 小松勇次

    ○小松委員 それだけのお考えだつたのですか。
  422. 磯川義隆

    ○磯川証人 そうであります。
  423. 小松勇次

    ○小松委員 この問題はあとでまた伺います。あなたの学園の役員の顔ぶれはどういう方ですか。
  424. 磯川義隆

    ○磯川証人 鈴木さん、馬場さん、うちの長男、今私は引いておりますが、当時は私、それであります。
  425. 小松勇次

    ○小松委員 鈴木さんは鈴木何というのですか。
  426. 磯川義隆

    ○磯川証人 鈴木順一でございます。
  427. 小松勇次

    ○小松委員 もとの賀陽宮さんも役員であつたのですか。
  428. 磯川義隆

    ○磯川証人 いえ顧問であります。
  429. 小松勇次

    ○小松委員 この方を顧問に推薦したのはどなたですか。
  430. 磯川義隆

    ○磯川証人 それは宮東という私の友人でございます。
  431. 小松勇次

    ○小松委員 快くお受けくださつたわけですか。
  432. 磯川義隆

    ○磯川証人 そうです。
  433. 小松勇次

    ○小松委員 会合にもしばしば列席されておりますか。
  434. 磯川義隆

    ○磯川証人 二十四年の四月の何日だかに太陽祭をいたしまして、そのとき来られてあとはもういらつしやいません。
  435. 小松勇次

    ○小松委員 あなたの方のかつて理事長をしておつた渡邊さんという方が辞任されたときの事情は先ほど委員長からお尋ねがあつたのですが、あなたのお話では性格も合わなかつた、金も出してくれなかつたのだ。こういうようなお話になつておりますが、渡邊さんの申されるのには、理事長であるけれども、園長の磯川さんが何も相談しない、自分には何も権限がなかつた、一人でかつてにやつておるから、そういうところへは関係できないからやめたんだ。こう言つておりますが、あなたの先ほどのお話ではよく話合いもしたということに私は聞いておつたのですが、その点を伺つておきます。
  436. 磯川義隆

    ○磯川証人 渡邊さんはおそらくそう言われるでありましよう。私は私でもつて、たとえばこれは実は非常に面目ないと思つておりますけれども、当委員会からも二十三年度の決算報告を提出しろということで、再三係の方の御足労を願つております。ところが二十三年の決算報告は何もできないのであります。それができないという理由は、渡邊さんが提出してくれないのです。それから前の店舗で、これには五百何万と書いてあります。実際は四百万円前後だと思いますが、これは家屋代かあるいは権利金か知りませんが、とりましたその報告が私の方にないのであります。第一前の店舗に何という人がおるか、二、三人の人は私も懇意にしておるが、何もわからない。私も実は計数的には非常にルーズな人間でありますけれども、渡邊さんは私にまた輪をかけたような、これは悪意でなくほんとうにルーズでありますために、それも提出してくれないとなりますと、財団法人の機構において、官庁でやかましく言われますので、それでよけい手を引いていただく方がいいと思つたという理由もあるわけであります。
  437. 小松勇次

    ○小松委員 聖十字学園資産の総額はどのくらいありますか。
  438. 磯川義隆

    ○磯川証人 財団法人として資産は四十二万何千であります。けれども今の時価でありますれば二千四、五百万円はあると思います。
  439. 小松勇次

    ○小松委員 それは現在の資産ですか。
  440. 磯川義隆

    ○磯川証人 現在の資産であります。
  441. 小松勇次

    ○小松委員 そうすると創立する当時の資産はどのくらいありました。
  442. 磯川義隆

    ○磯川証人 創立するときは払下げを受けない前でありますから、四十二万何千かの資産であります。基金であります。
  443. 小松勇次

    ○小松委員 基金が四十二万円あつたのですか。
  444. 磯川義隆

    ○磯川証人 そうです。
  445. 小松勇次

    ○小松委員 現在の総資産はどのくらいあります。
  446. 磯川義隆

    ○磯川証人 それは査定の仕方によりますけれども、私は二千五、六百万円か三千万円はあると思つております。
  447. 小松勇次

    ○小松委員 それは払下げ土地をやはり見積つての金ですか。
  448. 磯川義隆

    ○磯川証人 そうであります。
  449. 小松勇次

    ○小松委員 あなたどのくらいに見積つてあります。
  450. 磯川義隆

    ○磯川証人 私は現在では三千円から五千円の価値はあると思います。
  451. 小松勇次

    ○小松委員 あなたの払い下げた土地は坪幾らです。
  452. 磯川義隆

    ○磯川証人 ちよつと計数がはつきりしませんが、千七百円から千八百円と思つていただけばいいと思います。
  453. 小松勇次

    ○小松委員 土地だけは……。
  454. 磯川義隆

    ○磯川証人 そうであります。とにかく三千三百坪が九百十五万円ですから、そいつを割ると二千八、九百円になるのであります。けれどもそれには建物がありますから、まず土地だけは千七、八百円から最高二千円と思えばいいと思います。
  455. 小松勇次

    ○小松委員 財務局から払下げを受けるときは土地が幾ら、その他の工作物が幾らという区わけはなかつたのですか。
  456. 磯川義隆

    ○磯川証人 ございます。塀もありますし、煙突もついております。
  457. 小松勇次

    ○小松委員 そうするとそのときの土地は幾らになつておつたのですか。
  458. 磯川義隆

    ○磯川証人 それが千七百円か千八百円のはずであります。総体した数でありますから割らないとわかりません。
  459. 小松勇次

    ○小松委員 そうするとその当時払下げを受けた建物、工作物はどういうものがあつたのです。
  460. 磯川義隆

    ○磯川証人 全部焼け跡でございまして、一番目についておるのは煙突であります。それから三井の厚生病院との間にある境界のコンクリートの塀であります。それからあと焼け跡のれんがづくりであります。
  461. 小松勇次

    ○小松委員 あなたが払い下げたときの総額は幾らでしたか。
  462. 磯川義隆

    ○磯川証人 九百十五万円です。
  463. 小松勇次

    ○小松委員 それは最初でしよう。
  464. 磯川義隆

    ○磯川証人 更改ですか、四百四十何万円と思います。
  465. 小松勇次

    ○小松委員 それからそのときの坪数は幾らでしたか。
  466. 磯川義隆

    ○磯川証人 現在が九百でありますから、千二百幾らです。
  467. 小松勇次

    ○小松委員 千二百四十二坪ですか。
  468. 磯川義隆

    ○磯川証人 そうです。
  469. 小松勇次

    ○小松委員 前は千五百九十九坪からの建物があつたように思われるのですが、それはないのですか。
  470. 磯川義隆

    ○磯川証人 いや当時はございません、建設省から危険だからというので取払い命令を受けてこわしたのがたしか二、三百坪あると思います。
  471. 小松勇次

    ○小松委員 更改されておる契約書にも建物が千五百九十九坪、私の方の調べではこういうぐあいになつておりますが、そういうものはなかつたのですか。
  472. 磯川義隆

    ○磯川証人 信用組合の方に売渡し担保にいたしました。総計の四百何ぼというのは、あれは登記簿は建物でなく、何とか工作物という名義なつております。
  473. 小松勇次

    ○小松委員 そのほかに工作物一式というものがありますね、それは別の建物……。
  474. 磯川義隆

    ○磯川証人 それが四百六十何年ですから、今正味残つておりますのは六百坪くらいあります。
  475. 小松勇次

    ○小松委員 それは現在の所有地ですね。
  476. 磯川義隆

    ○磯川証人 そうです。
  477. 小松勇次

    ○小松委員 これが払い下げた土地の現在の所有ですね。
  478. 磯川義隆

    ○磯川証人 六百何坪というのは建物です、土地が九百三十何坪です。
  479. 小松勇次

    ○小松委員 あなたの方で量初三千坪からの地所の払い下げを御計画なすつた、そのときには三千坪の地所をあなたの方の社会事業の施設の敷地として全部使用するつもりであつたのですか。
  480. 磯川義隆

    ○磯川証人 もちろんそうであつたのです。
  481. 小松勇次

    ○小松委員 それではどういうわけで日通へ分譲したりあるいは丸福株式会社に分讓したりするような予約をあなたの方でしてあつたのですか、それはどういう事情ですか。
  482. 磯川義隆

    ○磯川証人 いやそうではありません、御説明申し上げます。当時渡邊さんは千七百万円ほどの金も出してくれると言いますし、厚生省の問題もありますから——もちろん私が悪党でもそんなにやるという計画は全然ない。ところが厚生省がだめになり、復金がだめになり、かつ渡邊さんが出してくれません、そのうちに第一回の三百五十万円の納期が追つた、そうすると大蔵省ではわあわあ言つて納めよ納めよと言つて来た、私はその問題で——金というものは実は生活費とか経営費のことではない、経営費の不足面は全部私が出した、大蔵省に納入する金のことで二回か三回渡邊さんに言い合つたのです。そうしますとそれならおれがつくつてやるからということで、新橋の何とかの社員と大西さんが来て、日通の方へ売つてその金で納めるという案を持つて来たのであります。それを私は承諾したのです。
  483. 小松勇次

    ○小松委員 それでは中途でそういうぐあいに変更されたわけですか。
  484. 磯川義隆

    ○磯川証人 そうであります。
  485. 小松勇次

    ○小松委員 あなたの今御経営なすつておりまする簡易宿泊所母子寮太陽の湯、職業補導所、こういうものに対して、あなたはこれはりつぱな社会事業だというお話だ。しかしこの経営内容を調べたところの東京都の民生局長のお話では、社会事業として決して適当なものでない、これは内容をいま少しく改めるか、さもなければこれを解散させることの方がよくはないかという意見を厚生省の方へ申し出てあるということを聞いておりまするが、そういう点から考えますると、私はこの実情を視察してないから知らないけれども、社会事業としては不適格なものではないかと私は思うのですが、あなたはりつぱな社会事業だということをそこで断言できますか。
  486. 磯川義隆

    ○磯川証人 御答弁申します。それは実は千葉県の民生局長も見に来ております。それから埼玉県の民生局長も見に来ております。ことに簡易宿泊所あたりはわずかに五十円でふろに入れて  とめるということは——実際今コーヒー一ぱい飲んでも五十円かかるのですから、これはずいぶん安くやるということで、みんな実はほめておられるのです。ところが昨日かいつか知りませんが、小松委員のおつしやる民生局長——もちろん実際言うたから言われるのだろうが、そう言つたとすれば非常に心外であります。私に向つては非常にりつぱな施設だと言つております。ことに簡易宿泊所は、今の食堂とか浴場なんというものは、営利とそこの分岐点がありますが、今どき五十円でふとんに入れて、しかも三枚立ての  ふとんに入れてふろに入れるということは、今の経済事情でどうでしようか。実際できるものでしようかしら  ん。
  487. 小松勇次

    ○小松委員 そうすると宿泊料金と入浴料とか、これは一緒に五十円の中に含まれているのですか。
  488. 磯川義隆

    ○磯川証人 はい、そうであります。
  489. 小松勇次

    ○小松委員 そうして入浴代は普通の、困る人に対しては何か割引でもし  ているのですか。
  490. 磯川義隆

    ○磯川証人 浴場というのは太陽の家と別になつております。簡易宿泊所というのは別にありまして、その簡易宿泊所に設備する浴場は無料で入れております。
  491. 小松勇次

    ○小松委員 あなたは先ほど、これらの収入は八万円くらいしかない、なかなか経営が困難だというお話がありましたが、今後なおこういう仕事をどこまでも継続してやつて行こうという御意思がありますか。
  492. 磯川義隆

    ○磯川証人 はつきり申し上げます。ばかばかしくて私には社会事業はできません。私はこれから思想運動に邁進します。そう皆さんに攻撃されて、国家の補助金一つも一厘ももらつているのでないのです。皆さんが私を批判していただくことは、御職務上、私は喜んで、自分も責任を感じますけれども、新聞にも、私自身が新聞経営しておりますけれども、一流新聞が。
  493. 内藤隆

    内藤委員長 まあそこはいいでしよう。
  494. 磯川義隆

    ○磯川証人 私はもうやりません。
  495. 小松勇次

    ○小松委員 社会事業に対してはあなた個人だけが莫大な負担をするだけでなく、国としても相当の助成をしてこういう仕事に遺憾なきを期することがわれわれの念願するところです。そうしなければならぬと思つている。けれどもあなたは、もう社会事業はいやだとおつしやるのですな。
  496. 磯川義隆

    ○磯川証人 いやです。
  497. 小松勇次

    ○小松委員 最初はそういうような国の援助でもあるからやろうというお気持があつたのですか。
  498. 磯川義隆

    ○磯川証人 援助じやないんです。そこで私がひとつ実現していただきたいのは、将来皆様政治家の方に御参考になるだろうと思いますが将来の社会事業の行き方はこうしたらいいだろうという、私の理想でありますけれども聞いていただければ、自然とこれは釈然とするだろうと思う。
  499. 小松勇次

    ○小松委員 それは時間がたいへん何ですからあとで伺いましよう。  そこで、あなたは非常に困る人を救つてやろう、弱いものを助けてやろう、こういうような精神の方だと私は思うのです。だから社会事業もひとつやつてみようといつてあなたはとつ組んだと思う、そういう方だと私は今も思つておりまするが、今あなたの話を伺うと、非常に私も自分思つてつた人とは違つたというような感じをここで持たされるのであります、あなたの方のこの簡易宿泊所は、東京だけでなくてまだ他所にこういうものを経営しているところがありますか。
  500. 磯川義隆

    ○磯川証人 今ちよつとこれも実はトラブルを起しておりますが、伊東にもグリーン・ハウスと申しまして、一泊百円でとめる施設を持つております。
  501. 小松勇次

    ○小松委員 その施設はあなたの御所有ですか。
  502. 磯川義隆

    ○磯川証人 いやこれは聖十字学園としての契約でちります。
  503. 小松勇次

    ○小松委員 聖十字学園が借りたのですか。
  504. 磯川義隆

    ○磯川証人 そうです。
  505. 小松勇次

    ○小松委員 どなたの御所有です。
  506. 磯川義隆

    ○磯川証人 それは田畑という人の所有です。
  507. 小松勇次

    ○小松委員 それはどういう契約内容ですか。
  508. 磯川義隆

    ○磯川証人 家賃は一箇月六千円、それから田畑夫妻に二人で一万四千円の給料、電気代から温泉料、全部こつち負担ということになつております。
  509. 小松勇次

    ○小松委員 税金から温泉料をあなたの方が負担して家賃が六千円。それで夫婦に月一万四千円の給料を与える、こういう契約なつている。
  510. 磯川義隆

    ○磯川証人 そうです。
  511. 小松勇次

    ○小松委員 どのくらいの家ですか。
  512. 磯川義隆

    ○磯川証人 六疊、二疊が八間あります。
  513. 小松勇次

    ○小松委員 これだけの家ですか。
  514. 磯川義隆

    ○磯川証人 はい。
  515. 小松勇次

    ○小松委員 失礼な話ですけれども、家賃や給料をずつと今日払つておりますか。
  516. 磯川義隆

    ○磯川証人 本年の一月の十五日まで皆済しております。
  517. 小松勇次

    ○小松委員 払つている。滞りないわけですか。
  518. 磯川義隆

    ○磯川証人 そうです。払つております。
  519. 小松勇次

    ○小松委員 家賃も。
  520. 磯川義隆

    ○磯川証人 家賃も払つております。私の方で直接払つている。昨年の十月までは受領書もここに準備しておりますが、あとは堀というのが払いまして、一月の十五日まで間違いなく払つております。
  521. 小松勇次

    ○小松委員 堀というのはどういう人ですか。
  522. 磯川義隆

    ○磯川証人 私の方の職員、と申しましてもまことにお気の毒ですが無給の職員で、そこを管理しております。
  523. 小松勇次

    ○小松委員 管理者ですか。
  524. 磯川義隆

    ○磯川証人 そうです。
  525. 小松勇次

    ○小松委員 あなたの方からそこの経営を託されて、そうしてその衝に当つている人ではないんですか。
  526. 磯川義隆

    ○磯川証人 そうであります。
  527. 小松勇次

    ○小松委員 その人があなたにかわつてこういう家賃や給料を払う義務があるわけですね。
  528. 磯川義隆

    ○磯川証人 そうでございます。
  529. 小松勇次

    ○小松委員 そういうことにあなたの方と約束がなつている。
  530. 磯川義隆

    ○磯川証人 そうでございます。
  531. 小松勇次

    ○小松委員 堀さんが一月までの給料、家賃を払つたということは絶対間違いありませんか。
  532. 磯川義隆

    ○磯川証人 私は堀さんの言葉を信じます。
  533. 小松勇次

    ○小松委員 いつ堀さんが……。
  534. 磯川義隆

    ○磯川証人 実はここにも当人が来ているわけですからお聞きくださると、その辺は確かだと思いますけれども、堀さんもなかなか生活に困つている方ですから……。(笑声)とにかく私はその問題は一月十五日までは払つたということは信じます。
  535. 小松勇次

    ○小松委員 私もあの近所の者ですが……。
  536. 磯川義隆

    ○磯川証人 よく知つております。
  537. 小松勇次

    ○小松委員 そこで私の耳に入つたのには、家を貸した人は、あなたが給料を払つてくれると言つたが、給料も払つてくれない。家賃もくれない。納税告知書が来ても払つてくれないから、それでその人たちはほかに商売がなくていやがつている。困つている。泣いているんです。こういう困る人を救おうというあなたの、社会事業に志すあなたのお気持が、こういうぐあいに人を困らしておいてそのままでいいか。こう私は思うのです。
  538. 磯川義隆

    ○磯川証人 しかし一月の十五日まで給料も何も。
  539. 小松勇次

    ○小松委員 払つてあればいいでしようけれども、私は最近聞いた。
  540. 磯川義隆

    ○磯川証人 いや、払つております。それは絶対払つております。
  541. 小松勇次

    ○小松委員 家賃も。
  542. 磯川義隆

    ○磯川証人 はい。
  543. 小松勇次

    ○小松委員 それは間違いありません。
  544. 磯川義隆

    ○磯川証人 間違いありません。
  545. 小松勇次

    ○小松委員 どこまでもこの家はあなたの方でこれからやはり経営していこうという御意見なんですか。
  546. 磯川義隆

    ○磯川証人 しかしその問題をここで聞かれると、ちよつとこれは何ですね。
  547. 小松勇次

    ○小松委員 いや、関連した問題ですから私は伺う。
  548. 内藤隆

    内藤委員長 学園経営でしよう。
  549. 磯川義隆

    ○磯川証人 いや、学園でも私は現在学園の人間ではございませんから、あとの人間とよく相談して申し上げます。
  550. 小松勇次

    ○小松委員 あなたは今学園園長さんじやないんですか。
  551. 磯川義隆

    ○磯川証人 そうでございます。
  552. 小松勇次

    ○小松委員 そうするとあと園長はだれですか。
  553. 磯川義隆

    ○磯川証人 太田正雄というのがおります。
  554. 小松勇次

    ○小松委員 あなたは全然このことにはくちばしをいれないのですか。
  555. 磯川義隆

    ○磯川証人 くちばしをいれる資格もありませんし、ただ私は工事費の立てかえ金がありますから……。その家の横へ食堂、居室、温泉場を引いたのです。そこの立てかえ金がありますからこれを私はいただかないと困る。
  556. 小松勇次

    ○小松委員 それはあなたが必要で、あなたが随意に建てたのでしよう。
  557. 磯川義隆

    ○磯川証人 そうです。
  558. 小松勇次

    ○小松委員 向うが建ててくれと言つて建てたものじやないでしよう。
  559. 磯川義隆

    ○磯川証人 いや、そこで寮をするために必要で建てたんです。
  560. 小松勇次

    ○小松委員 あなたが寮を経営するために必要で建てたものでしよう。
  561. 磯川義隆

    ○磯川証人 ええそうであります。ですから、金をくれなければとりこわして持つて来ますから同じことであります。
  562. 小松勇次

    ○小松委員 原型に復せばいいということですか。
  563. 磯川義隆

    ○磯川証人 そうです。原型に復すようにしますから。
  564. 小松勇次

    ○小松委員 あなたも元からの関係ですから、私はあの近所の者としても言うのですが、あなたは、給料を払つてあるとすれば問題はないでしようけれども、皆たいへん生活に困つておるようですし、社会事実いろいろ経営されるあなたであるから、そういう人々を救う意味においてひとつやつてもらいたいですね。
  565. 磯川義隆

    ○磯川証人 御忠告を喜んでお受けいたします。特に静岡県における名士であられる小松議員のおつしやることでありますから……。
  566. 小松勇次

    ○小松委員 私はあなたに、そうしてやつたらいいだろうということを御忠告を申し上げるのです。御忠告というか、まあお願いするわけであります。  そこでよけいなことはもう聞きません。たまたま私の方の問題がみんなあなたにからんでおるから伺うのですが、熱海の小倉光次や原廣二郎、これはあなたが原君なんかとはいろいろ関係があると聞きましたが、あなたはほんとうに五百万円借りているのですか。
  567. 磯川義隆

    ○磯川証人 借りていないのです。
  568. 小松勇次

    ○小松委員 いないで設定したのですか。
  569. 磯川義隆

    ○磯川証人 貸してくれるために設定したのです。これは、私のことが新聞に出ましたが、新聞の威光というものはなかなか偉大なもので、新聞に出たために貸してくれない。貸してくれたものは何でやつたかというと、とりもどすためにやつた。ですから借りていないのです。
  570. 小松勇次

    ○小松委員 幾らか借りていませんか。
  571. 磯川義隆

    ○磯川証人 五十万円借りています。
  572. 小松勇次

    ○小松委員 それは何にお使いになつたのですか。学園にお使いになつたのですか。
  573. 磯川義隆

    ○磯川証人 ええそうです。学園に……。
  574. 小松勇次

    ○小松委員 五十万円の十倍の金ですね。
  575. 磯川義隆

    ○磯川証人 あと四百五十万円は先月のみそかにもらうことになつた。それを貸してくれないためにそれを売つたのであります。
  576. 小松勇次

    ○小松委員 まあ先がりつぱな紳士だからいいですけれども、先が悪者だつたらどんなふうに出て来るかわかりませんよ。もし抵当権でも設定されたら学園が立たぬでしよう。
  577. 磯川義隆

    ○磯川証人 よくわかつております。それは相手を信じてやつたことでありますから……。また、そんな人物ではありません、
  578. 小松勇次

    ○小松委員 まあ、あなたの学園経営の問題でほかの委員からいろいろと聞かれると思うが、この機会に私は重ねて申し上げておきます。困つている人を助けるというのがあなたの義侠心なんだから、今の伊東や、そういう方面においてあなたとひつかかりのあつた者でもし困つている人があつたならば、払うべきものは払つてやり、解約すべきものは解約して、家も明け渡してやるというのがほんとうの人間のすることではないかと思うのです。ですからこれをこの機会にあなたにお願いしておきますが、やつてくれますか。
  579. 磯川義隆

    ○磯川証人 御忠告よくわかりました。
  580. 小松勇次

    ○小松委員 ひとつ骨折つてくれますか。
  581. 磯川義隆

    ○磯川証人 折ります。
  582. 高木松吉

    ○高木(松)委員 まず第一に、証人は、証人個人の財産をどれくらいお持ちになつておりますか。
  583. 磯川義隆

    ○磯川証人 無一物であります。
  584. 高木松吉

    ○高木(松)委員 社会事業とは、どういうことをさして社会事業といい、また社会事業の法的根拠はどこにあるのですか。
  585. 磯川義隆

    ○磯川証人 困窮者を救うことだと思います。
  586. 高木松吉

    ○高木(松)委員 無一物のあなたが困窮者を救うというようなことはできることですか。
  587. 磯川義隆

    ○磯川証人 それは、私の理論で行くとできます。私のやり方といいますか、私の計画していることでやればできます。
  588. 高木松吉

    ○高木(松)委員 あなたの計画でできていますか、今は。
  589. 磯川義隆

    ○磯川証人 現に私は無一物ですけれども、——委員の皆さんはあるいは社会事業ではないとおつしやるかもしれないけれども、私は社会事業だと思う。これは見解の相違でありますが、現にあれだけの仕事をやつておるのであります。無一物でもあれだけにできたのですから、——私は今後はいたしませんけれども、もしするとすれば、それは……。
  590. 高木松吉

    ○高木(松)委員 それではあなたの根本の心境を聞くが、この旧衛生試験所を払い下げてもらつてした仕事は、これは社会事業だとはつきり今信じておりますか。
  591. 磯川義隆

    ○磯川証人 買却したということは悪いことであります。ですけれども、今やつていることは現に社会福祉事業法の第二種社会事業にありますから、そう信じております。
  592. 高木松吉

    ○高木(松)委員 総合的に考えて、この問題であなたは良心に恥じておりませんか、おりますか。
  593. 磯川義隆

    ○磯川証人 たとえば、国有財産を払い下げてもらつたものを担保に入れるとか売り渡したということについては恥じておりますけれども、社会事業の実際の施設に対しては私はほめていただきたいと思います。
  594. 高木松吉

    ○高木(松)委員 それではこまかく聞いてあなたの気持をはつきりさせたいと思う。最初財務局払下げ申請した坪数は。
  595. 磯川義隆

    ○磯川証人 三千三百二十何坪であります。
  596. 高木松吉

    ○高木(松)委員 その地所は現在どうなつておりますか。
  597. 磯川義隆

    ○磯川証人 千二百何坪を直接日通の方に払い下げています。それから三百七、八十坪を前の店舗側の人が直接取得しております。それから、百七、八十坪は丸福というところで、——これは大蔵省に金を入れたと思いますけれども、直接やつております。私の方のやつが、土地が九百何坪、建坪が八百坪、そういうふうに分布されております。
  598. 高木松吉

    ○高木(松)委員 ここで念を押すまでもなく、これは国有財産であるということはわかつておりますね。
  599. 磯川義隆

    ○磯川証人 わかつております。
  600. 高木松吉

    ○高木(松)委員 この国有財産を、これらの人はどういう方法で払い下げているのですか。
  601. 磯川義隆

    ○磯川証人 総括して私の方でやるという計画でありましたところが、齟齬を来したので、更改契約のときに大蔵省から各自が直接の取引で払下げを受けておるのであります。
  602. 高木松吉

    ○高木(松)委員 それは随意契約ですか、競争入札によつてつたのですか。
  603. 磯川義隆

    ○磯川証人 私の方は随意契約でございます。
  604. 高木松吉

    ○高木(松)委員 ほかの方はどうですか。
  605. 磯川義隆

    ○磯川証人 今回の更改契約のときには、全部随契だと私は思つております。
  606. 高木松吉

    ○高木(松)委員 国有財産は、原則として競争入札の方法をもつて払い下げるということは御承知でしようね。
  607. 磯川義隆

    ○磯川証人 もちろん知つています。今ここで私は抗弁するわけではありませんが、ただいまではそうだが、当時、昭和二十二、三年ごろまでは、国有財産の払下げは競争入札でなくてどんどん払い下げておりました。二十四年から国有財産の払下げはやかましくなつたものと思つております。
  608. 高木松吉

    ○高木(松)委員 それははつきり言い切ることができますか。
  609. 磯川義隆

    ○磯川証人 私も当事者でないからわかりませんが、そういうふうに思つております。
  610. 高木松吉

    ○高木(松)委員 あなたにお教えしますが、これは初めから、原則として、競争入札で公平を期して払い下げるのがあたりまえである。ところがあなたが社会事業と称して、そうしてあれだけの三千何百坪という坪数の払下げを受けて、その金がないために日通から三百五十万円出さした、ほかの方からもとつてつたというような特殊の事実ができたのだが、それはあなたがまいてしまつたためにいわゆる随意契約をもつて払い下げざるを得ないような事実のあつたことは御承知ですか。
  611. 磯川義隆

    ○磯川証人 よくわかります。
  612. 高木松吉

    ○高木(松)委員 そうすると、国家の財産、言いかえればわれわれ全国民の財産を、あなたのやつた行動によつて手込めにしたような形になつたという  ことをお認めになりますか。
  613. 磯川義隆

    ○磯川証人 認めます。
  614. 高木松吉

    ○高木(松)委員 その点に対する責任はどうですか。
  615. 磯川義隆

    ○磯川証人 非常に痛感しております。
  616. 高木松吉

    ○高木(松)委員 責任を痛感しておられると言うが、それであなたは——金策のためかもしれませんが、その地所をわけてお売りになつたわけですね。
  617. 磯川義隆

    ○磯川証人 そうです。
  618. 高木松吉

    ○高木(松)委員 売つた内容を話してください。
  619. 磯川義隆

    ○磯川証人 その限度は、昭和二十四年の四月ごろと、私と渡邊さんは区切つていただきたいと思います。先ほどから再三申しまする三百五十万円借りましたことは、私と渡邊さんと話合いでいたしました。それから、前の店舗の約五百万円の収入がありましたのは、これは私の関知しないことでありまして、渡邊さんが直接とつたのであります。渡邊さんがやられたことでございます。それから最近——昨年の暮から本年にかけてやりましたことについては、全体としては私に責任があります。特別責任を感じているのは昨年の暮から本年にかけてのことであります。その分類をいたします。四百六十七坪を上野の信用組合へ売掛担保として売りました。三百五十万円の内訳を御説明申し上げます。内百七十万円は渡邊さんが当然入れるべき前の店舗の金を入れないので、それで店舗の方が非常にお困りだつた店舗の方もあそこで生活をしてやろうと思つて店舗をお貸しなさつた。ところが……。
  620. 高木松吉

    ○高木(松)委員 ごく簡単に説明してもらいたい、かえつてわかりにくくなる。そこでその地所をだれに幾坪、だれに幾坪わけてやるということにして、そのかわりに幾ら金をあなた方が——渡邊にしろ、あなたにしろ、学園としてとつたということを簡単に述べてください。
  621. 磯川義隆

    ○磯川証人 それで前のだれにということは、たとえば店舗側の金というものは、総括して直接大蔵省との関係なつておりますから、Aが幾ら、Bが幾らということはわかりません。
  622. 高木松吉

    ○高木(松)委員 私の問うておるのは、契約を更改した前に、あなた方は各商店街の人たちから金をとつておるのではないですか。
  623. 磯川義隆

    ○磯川証人 そうです。
  624. 高木松吉

    ○高木(松)委員 それをお聞きしたい。
  625. 磯川義隆

    ○磯川証人 これは私がやつたことではないのでありますから……。
  626. 高木松吉

    ○高木(松)委員 あなたがやつたことでなくとも、この聖十字学園の定款を見れば、全然あなたが知らぬというはずはない。われわれでは知る由もないけれども、あなたがそれを全然知らぬという話はない。
  627. 磯川義隆

    ○磯川証人 とつたという事実はよく知つております。責任ももちろん私でありますけれども、その事務を担当したのは、Aから幾らとつたかということは、実際渡邊さんが事務員を使つてみずからとつて、その報告が出ないということが、私と渡邊さんとが別れる一つの原因になつていたのです。
  628. 高木松吉

    ○高木(松)委員 そのとるについてはあなたも同意を与えていたのでしよう。たとえば個別的に同意を与えなくとも、総括的には同意を与えていたのでしよう。
  629. 磯川義隆

    ○磯川証人 与えておりました。
  630. 高木松吉

    ○高木(松)委員 とつたことは事実ですね。
  631. 磯川義隆

    ○磯川証人 そうです。
  632. 高木松吉

    ○高木(松)委員 この聖十字学園仕事を並べてありますね。先ほど説明した一番先に太陽寮というのがありますが、簡易宿泊所母子寮太陽の湯、外食券食堂、職業補導施設、これは一体あなたの学園で直接権利義務を持つて経営したのですか。
  633. 磯川義隆

    ○磯川証人 それは当初の目的は、渡邊さんと私の……。
  634. 高木松吉

    ○高木(松)委員 いや、当初ではなく、目的はあなたがいろいろな目的を立てて方々へ散らしているのです。そういうことを私は聞いているのじやない。現実の問題として、この経営の権利義務の関係はどなたについておる……。
  635. 磯川義隆

    ○磯川証人 現在ではもちろん私でございます。
  636. 高木松吉

    ○高木(松)委員 あなたではないでしよう。
  637. 磯川義隆

    ○磯川証人 そうです、私やめたんです。やめましても私に責任があると思つております。
  638. 高木松吉

    ○高木(松)委員 話が少しはつきりとつかめないようです。これは元来学園社会事業でしよう。
  639. 磯川義隆

    ○磯川証人 そうです。
  640. 高木松吉

    ○高木(松)委員 さすれば君自身、個人のいわゆる社会事業ではありませんね。
  641. 磯川義隆

    ○磯川証人 そうであります。
  642. 高木松吉

    ○高木(松)委員 その区別をはつきりとして話をしてもらわぬと、われわれはわかりにくくなる。そこで先ほど私が申し上げた、これらの一、二、三、四、五、六の事業は、学園の権利義務の直接ついている事業ですか。
  643. 磯川義隆

    ○磯川証人 もちろんでございます。
  644. 高木松吉

    ○高木(松)委員 これはあなたが直接経営しているんですか。
  645. 磯川義隆

    ○磯川証人 いや、それは委託経営でございます。
  646. 高木松吉

    ○高木(松)委員 委託経営内容説明してください。
  647. 磯川義隆

    ○磯川証人 この委託経営内容は、たとえば簡易宿泊所にいたしましても、今実は非常にごたごたを起こしておりますが、立てかえ金が返済になつた場合には、聖十字学園の方へ返すというつもりで、私の方はやつてつたのであります。ところがこれがまた……。
  648. 高木松吉

    ○高木(松)委員 法律的に説明とてもらいたいのです。少くとも契約である以上、法律的でないと通りませんから……。そこで簡易宿泊所の委託契約内容をごく大あらましでいいからお話しください。
  649. 磯川義隆

    ○磯川証人 聖十字学園代表は磯川であります。向う代表は松井修一郎さんです。それで当事者間に左の契約を締結した。松井さんは磯川の聖十字学園の権利に属する東京都のこれこれ番地の和泉町所在の焼煉瓦建物を宿泊所経営のため聖十字学園建築施行名義をもつて松井さんの費用をもつて建築する。二が、前項建物において宿泊所経営を引受け、毎月の純利益金中別に協定する割合の金額を別に定むる期日までに聖十字学園の方へ寄付する。
  650. 高木松吉

    ○高木(松)委員 そこまで聞けばわかります。その内容は委託契約ではないですね。事業それ自体を委託したにあらずして、その内容は單に建物資金、そういうものの契約であつて、何ら直接社会事業をあなたが依頼してやらしたということではないでしよう。
  651. 磯川義隆

    ○磯川証人 もともとその当時もただいまも簡易宿泊所というものは、社会事業の方に入つておりますから……。
  652. 高木松吉

    ○高木(松)委員 要するにあなたの学園のお持ちになつておる地所及びそこから出してつくつた建物をお貸しになつているというだけであつて、借りた方は借りた方として社会事業簡易宿泊所をやつているのではありませんか。
  653. 磯川義隆

    ○磯川証人 そうですけれども……。
  654. 高木松吉

    ○高木(松)委員 そうすればあなたのごまかしの言葉に乗るわけに行かぬ。委託事業ではない。社会事業の委託事業にあらずして、あなたは単なる家主にしかすぎないということをお認めになりますか。
  655. 磯川義隆

    ○磯川証人 それは第二にこういうことがあります。「前項建物において宿泊所経営を引受け」ということがありますから、宿泊所経営を引受けておりますから……。
  656. 高木松吉

    ○高木(松)委員 それでは要するにその契約目的、その建物を何に使うかというだけの契約であつて、委託事業とは全然違います。委託事業とは私が説明するまでもなく、あなたが主体になつておる仕事を代理せしめて、向うにやらすというならばいざ知らず、家屋を単に使わして、その仕事自身は向うさんがやる、こういうことにおいては決して委託事業とは言えない。従つてあなた自身の社会事業をやつておるにあらずして、もしそれ社会事業とすれば、簡易宿泊所を借りておる、その借りた個人社会事業であつて、あなた自身の社会事業じやないということになるが、その点はどうですか。
  657. 磯川義隆

    ○磯川証人 そういうふうにこれをとつていただいてもやむを得ぬと思いますけれども、私の方は……。
  658. 高木松吉

    ○高木(松)委員 その点を認めますね。やむを得ぬということは認めるということですか。
  659. 磯川義隆

    ○磯川証人 認めます。
  660. 高木松吉

    ○高木(松)委員 そうすると、母子寮も、大陽の湯も、外食券食堂も、職業補導施設も全部そういう形の契約においてあなたはおやりになつておるわけですね。
  661. 磯川義隆

    ○磯川証人 そうです。
  662. 高木松吉

    ○高木(松)委員 そうすると、あなた自身がこの払い下げた地所によつて何ら社会事業をやつておらぬという法律上の結論になるが、これは認められますか。
  663. 磯川義隆

    ○磯川証人 まことに抗弁して恐れ入りますが、法律上のことは私はわかりませんが、結果論から申しまして、現にやつておりますから、私はどこまでも社会事業であると思います。
  664. 高木松吉

    ○高木(松)委員 結果論から言えばといつて、こういう議論を広げて行けば、社会事業というものはほとんどわれわれ全部がやつておることになる。どこで線を引くかという問題である。権利義務があなたのいわゆる直接権利義務であるならば、あなたの社会事業であるが、他人のやつておることを、家屋を貸しておいたから、その家屋の目的社会事業であるからといつて、あなたの社会事業だと断ずることは、だれが考えても、法律家でなくとも、社会常識で考えても、考えられぬ結論だが、その点はどうです、
  665. 磯川義隆

    ○磯川証人 抗弁するようで恐れ入りますが、私の方ではそうとつてない。
  666. 高木松吉

    ○高木(松)委員 とつてないとすると、そこにあなたの根本の問題があると思うが、この点をただしたい。あなたは社会事業という美名に隠れて、今のような法律的に自分自身が直接の主体とならない社会事業をなして、そして方々から金を集め、国家の財産をそういう名目のもとに、トリツクを使つて払下げを受けて、そうして多くの人に迷惑をかける結果となるのに、この点に対してあなたは恥じませんか。
  667. 磯川義隆

    ○磯川証人 結果は非常に恥じております。
  668. 内藤隆

    内藤委員長 恥じているんだね。
  669. 磯川義隆

    ○磯川証人 恥じております。
  670. 高木松吉

    ○高木(松)委員 そうすると、今御自分を顧みて、自分自身のしていた今までの仕事というものは、自分でやつた社会事業ではないという結論になりませんか。
  671. 磯川義隆

    ○磯川証人 その辺がどうも私には大分見解の相違ですが、恥じてはおりますけれども、それについては私ちよつと……。
  672. 高木松吉

    ○高木(松)委員 最後に聞いておきたいのです。というのは、あなた自身はいろいろなことを言つておられますけれども、結局はわれわれが常識で、正当に見た社会事業家ではなく、まつたくまやかしものの社会事業家としかわれわれには思えないが、自分でも今ここでそう反省するというような気持にはなりませんか。
  673. 磯川義隆

    ○磯川証人 もちろん反省しております。
  674. 高木松吉

    ○高木(松)委員 あなたが元来考えていたことは、人格的にどうだか私はわかりませんが、主観的にとても自己を信じ切つて、何でもかんでも自分のすることは正当だ、そうして正当なことは認められる。法律的根拠のあるかのごとく過信して、社会の秩序をある程度乱している事実があると思うが、その点に対してあなたの考え方はどうです。
  675. 磯川義隆

    ○磯川証人 ちよつとそれに対してはどうも……。社会秩序を乱しておるとおつしやいますけれども……。
  676. 高木松吉

    ○高木(松)委員 あなたがさいぜんからお話になつたこと、そして他の証人からも言われたことを全部われわれは調べている。あなたの主観としてはいいと思つているかもしれぬが、している仕事一つとして、正当性の裏づけのある仕事はしておりません。たとえば払下げに対しても虚偽の書類をつくつている。お互いの契約面を見ておつても、一定の軌道をはずれたようなことをいろいろしておる。そういうあらゆるものを総合的に見て、あなた自身は主観的に正当性を持つてつても、客観的にはどうも正当性を認めることはできない。その結果として法律に反したり、道徳に反したり、いろいろしている事実を私どもは調べ上げているんだが、これはあなた自身が行つて来たのだから、われわれ調べ上げたことと同じ結論に達すれば、あなたの今よみがえつた良心によつて自分のやつていることが悪いことであるというふうに考えられませんか。
  677. 磯川義隆

    ○磯川証人 考えております。
  678. 高木松吉

    ○高木(松)委員 それならけつこうです。
  679. 田渕光一

    ○田渕委員 委員長の質問に対して証人が、あの秋葉原駅の東側にある地所を自分が発見したと言うが、これは官庁の公売物件として表示しておつたのですか、それともだれかから聞いて、これをあなたが発見したのでありますか。
  680. 磯川義隆

    ○磯川証人 あそこを歩いておりまして、あき地がありますので、どこの所有だと聞きましたら、厚生省の所有だと聞きまして、それから運動にかかつたのであります。
  681. 田渕光一

    ○田渕委員 そこでこの払下げの折衝に当つたのが、渡邊氏の部下岡田という人だというお話でありましたが、これは岡田何と言いますか。
  682. 磯川義隆

    ○磯川証人 岡田護さん。
  683. 田渕光一

    ○田渕委員 この方はどういう方ですか。
  684. 磯川義隆

    ○磯川証人 渡邊さんの部下で、私の方の職員ではないのであります。     〔委員長退席、高木(松)委員長代   理着席〕
  685. 田渕光一

    ○田渕委員 渡邊さんの部下であつても、あなたの方の財団の大きな仕事をしたのだから、この岡田護という人の経歴あるいは手腕くらいは、知つていなければならぬのですが、これはどういう人ですか。
  686. 磯川義隆

    ○磯川証人 兵隊であります。
  687. 田渕光一

    ○田渕委員 官吏ではありませんね。
  688. 磯川義隆

    ○磯川証人 そうではありません。
  689. 田渕光一

    ○田渕委員 そこで伺いますが、この岡田さんとそれから木内さんに対して——今の参議院議員の木内四郎君です。これに、弁護士としてあなたが十万円差上げるということを契約に書いてある。奔走した岡田と、払下げの奔走に対して動いた木内四郎氏、あなたの言う通り、当時の十万円と今日の十万円は大差があります。莫大な金であります。「甲乙弁護士木内四郎ニ対シ同氏が聖十字学園ノ国有財産払下ゲニ関シ盡力セラレタ労ニ報ユル為メ拾万円也ヲ贈呈スルコトニ合意シ甲乙各自五万円宛負担シ左記ノ通り支払フ」そしてこれを渡邊がすでに二万円払つておる。
  690. 磯川義隆

    ○磯川証人 そうです。
  691. 田渕光一

    ○田渕委員 そうしてあなたが最初に言つた渡邊部下である岡田護君にやつた。これも書いてある。第三項に「甲乙岡田護氏ノ聖十字学園ニ対スル労ニ報ユル為メ金拾万ヲ贈呈スルコトニ合意シ甲乙各自金五万円宛ヲ負担シ左記ノ通り支払フ」これは払下げに努力された岡田に、あなたがさつき言つた、安かつたから十万円ずつ出したんだろう。当時と今日とは値段が違う。大体議員をなめた言い方をしておる。
  692. 磯川義隆

    ○磯川証人 それは違います。それは十万円と申しますのは、月給を総括したものが十万円でございます。現に私の方の伝票を調べればわかりますが、岡田さんには毎月五万円ずつ払つておる。その十万円の半分払つておる。別に給料としてつけることは、やつは相当な年輩でいやですから、謝礼ということでつくつたのです。
  693. 田渕光一

    ○田渕委員 これは聖十字学園の国有財産払下げに関して盡力せられた労に対して、木内君に十万円出し、岡田護に十万円を出すということがはつきり書いてある。渡邊君から書類を出されたとき、この契約書が出て来た。これは国有財産を払下げするのに盡力があり、なおかつ国有財産が当時安かつたから、それに対して十万円ずつ、二十万円という当時の大金を謝礼に出したということを認めますか。
  694. 磯川義隆

    ○磯川証人 木内さんには弁護士としての謝礼ですから、事件を依頼すれば、弁護士に報酬を払うことは当然なことだと私は思います。
  695. 田渕光一

    ○田渕委員 愚弄してはいけない。この問題に対して弁護士が当つているのは、日通の今野と、それからあなたの方の……。
  696. 磯川義隆

    ○磯川証人 それは日通と私の方の契約書です。私の顧問弁護士木内さんと、日通のこととは関係がない問題です。
  697. 田渕光一

    ○田渕委員 木内君は参議院議員であります。参議院議員の圧力をもつておどらした。そうして岡田君がこれと知合いでおどり出したために、安く手に入つたのだ。こういうことで十万円ずつ二十万円出したということは、この契約書に現われているのだ。これをあなたはどう思うか。弁護士顧問料だと書いでおらない。「国有財産払下ゲニ関シ盡力セラレタ労ニ報ユル為メ」とはつきりしている。これはどうだ。
  698. 磯川義隆

    ○磯川証人 これはだれが書いたのですか。
  699. 田渕光一

    ○田渕委員 だれが書いたといつて、君と渡邊と二人で書いている。これはただ太陽の家の問題だけであります。であるから、太陽の家以外のあらゆるものについて、木内君にも岡田君にも礼を出しているわけだ。たとえばこれを読んで聞かせてあげる。「昭和二十四年五月十二日附ヲ以テ財団法人聖十字学園渡邊敬吉トノ間ニ成立シタ契約第十一條ノ趣旨ニヨリ右聖十字学園代表理事磯川義隆(以下甲ト称ス)ト渡邊敬吉(以下乙ト称ス)トノ間ニ右五月十二日附契約ヲ基本トシ此ノ契約ニ附帶シテ当時ノ立会人等立会ノ下ニ左記ノ通リ申合セ本覚書ヲ作成交換スル」一は落しますが、二に「甲乙弁護士木内四郎氏ニ対シ同氏が聖十字学園ノ国有財産払下ゲニ関シ盡力セラレタ労ニ報ユル為メ金拾万円也ヲ贈呈スルコトニ合意シ甲乙各自五万円宛負担シ左記ノ通り支払フ」普通の値段で払下げたものならなせ十万円ずつ二十万円というような大金を謝礼として出すのか、それを私は納得させてもらいたい。
  700. 磯川義隆

    ○磯川証人 私は木内さん、あの人には顧問弁護士としての顧問料を一つも払つていないのですから、十万円くらいのものは弁護士さんの収入として無理はない。
  701. 田渕光一

    ○田渕委員 それならなせ顧問料ということを書かないか、国有財産を払い下げた労に報いるというのですから……。
  702. 磯川義隆

    ○磯川証人 ですから、書類上のことでそういうふうに言われても、これはどうも見解の相違です。
  703. 田渕光一

    ○田渕委員 顧問料は顧問料で別です。なせ岡田顧問料十万円というものを出して労に報いた……。
  704. 磯川義隆

    ○磯川証人 あなたがそういうふうな御見解をなすつて、人格高潔な木内さんを攻撃なさるということに対しては、むしろ私は疑義を感ずる。
  705. 田渕光一

    ○田渕委員 私は人を攻撃するのではない。     (高木(松)委員長代理退席、委員長着席〕 はつきり文字に書いてある。参議院議員ともあろう者が、国有財産払下げに関与して、その礼に十万円もらつて済むと思うのか、りつぱな人格者に対してどうして……。
  706. 磯川義隆

    ○磯川証人 顧問料なら安過ぎます。
  707. 田渕光一

    ○田渕委員 それは顧問料ではない。
  708. 磯川義隆

    ○磯川証人 こちらは顧問料として払つたのですから……。
  709. 田渕光一

    ○田渕委員 じようだん言つちやいけない。顧問料と書いておらぬじやないか。君はなせ顧問料と書かぬ。
  710. 磯川義隆

    ○磯川証人 それは文書のことですから……。
  711. 内藤隆

    内藤委員長 証人、一々許可を得なければいけません。文書に書いてあればその通りじやないか。
  712. 磯川義隆

    ○磯川証人 はあ。
  713. 田渕光一

    ○田渕委員 私はあんなものはただもらうつもりでおつた社会事業をやるのは当時の七八千円は当時の相場としては高かつた。当時の十万円は今にしたら大したものだ。十万円ずつなせやつた。高いものなら礼をやる必要はないじやないか。
  714. 磯川義隆

    ○磯川証人 それなら私の方でお伺いしたいのですが……。
  715. 内藤隆

    内藤委員長 お伺いしたい……。伺うことはできません。
  716. 磯川義隆

    ○磯川証人 それなら国家の衆議院議員がそんなに安いものでしようか。
  717. 田渕光一

    ○田渕委員 何を言うんだ、けしからぬ。下手すると木内君が収賄になるのだぞ。こういうことを書いて……。なせ木内君が人格高潔なら顧問・料として書かぬか。
  718. 磯川義隆

    ○磯川証人 そうおとりになると……。
  719. 内藤隆

    内藤委員長 磯川君に注意する。ここは国会だぞ、何と心得ている。
  720. 磯川義隆

    ○磯川証人 そつちが質問なさるから……。
  721. 内藤隆

    内藤委員長 そうではない。ここは国権の最高の府だ。われわれ職権に基いてやつておる。
  722. 磯川義隆

    ○磯川証人 人身攻撃です。
  723. 田渕光一

    ○田渕委員 人身攻撃しておりません。
  724. 磯川義隆

    ○磯川証人 これは人身攻撃です。
  725. 内藤隆

    内藤委員長 委員長は人身攻撃と認めていない。
  726. 磯川義隆

    ○磯川証人 私は認めます。
  727. 内藤隆

    内藤委員長 君は認める権限はない。取消しなさい。僭越な話だ。人身攻撃と認めるという文句を取消しなさい。
  728. 磯川義隆

    ○磯川証人 ちよつと尋ねます。取消しますが、委員の方のお名前は何とおつしやいますか。
  729. 田渕光一

    ○田渕委員 田渕委員だ。われわれは、木内君だけではないのだ、閣僚といえども、時の宰相といえども、不正があつたならば、この行政監察委員会において証言を求めてはつきりやるのだ。それだけの権限は持つている。参議院議員の木内四郎という名前を出して、これが国有財産の払下げについて盡力せられたといつて、われわれから見ると、ただみたようにとつてしまつたのだ。こういうことに対して、木内君の名前を出すのなら、なせはつきり顧問料として書かぬかというのだ。これは議員同士の名誉を重んじて言つているので、攻撃しているのではない。
  730. 磯川義隆

    ○磯川証人 攻撃でなければ……。
  731. 内藤隆

    内藤委員長 まだ発言を許しておりません。
  732. 磯川義隆

    ○磯川証人 私は顧問料と思つております。
  733. 田渕光一

    ○田渕委員 顧問料ならなせ顧問料と書かぬ、こういうのだ。国有財産の払下げに関し、労に報いるため……。
  734. 磯川義隆

    ○磯川証人 ですから、それは渡邊さんが書いたのですから、その当時のことは……。
  735. 内藤隆

    内藤委員長 証人に申すが、君ほどの人物が、渡邊に罪をきせるようなことではいかぬ。さいぜん渡邊義侠心があるなどとほめるほどの君だろう。やはり君もそこに判を押しているのだから、認めなければいけない。
  736. 磯川義隆

    ○磯川証人 絶対私は回避しません。悪いのは私一人だから……。
  737. 田渕光一

    ○田渕委員 証人に伺いますが、証人の相棒である渡邊敬吉というのが社会事業をする男か、義侠的な男かは、証人の考えだ。私は商人だ、営利を目的とする以外に何もやりませんと言つておる。この渡邊すら安かつたろうと言つて五万円ずつ十万円出す約束をしている。これをりつぱに書いておるものを、渡邊が書いたものだなんて……。渡邊に言わせれば、独裁、ワン・マンきわまりない磯川だと言つておる。どこまでも顧問料として逃げるなら、ぼくは追究する。なせ国有財産払下げに関してというような名目をつけたのか。君が木内氏の人格を重んずるなら、これをはつきりしなければ、下手すれば政治上のスキヤンダルではないか。参議院議員の木内氏が、国有財産の払下げに盡力して、諸君から十万円の金をもらつだということは、収賄ではないか。
  738. 磯川義隆

    ○磯川証人 その金は渡しておりません。
  739. 田渕光一

    ○田渕委員 渡しておらない……。
  740. 磯川義隆

    ○磯川証人 いや、契約書だけです。渡しておりません。
  741. 内藤隆

    内藤委員長 証人に言うが、君はそういうことをここでがんばつたつて契約書というものがものを言うじやないか。金は渡さないと言つたところが、だれも現場で見た者はないだろう。そういうことは弁明にならないんだ。
  742. 磯川義隆

    ○磯川証人 それだけの金は、私は顧問弁護士として謝礼をしたがつたのです。しかし苦しいために岡田さんには五万円ずつやつておりますが、木内さんにはやつておりません。
  743. 田渕光一

    ○田渕委員 十万円やつた金は顧問料だと言つて君はさつき逃げたじやないか。それがいよいよ追いつめられて、渡しておりません。それは証拠がない、それは委員が判断するんだ。
  744. 磯川義隆

    ○磯川証人 私の方では渡しておりません。
  745. 田渕光一

    ○田渕委員 それではわれわれは委員として判断しよう。そこで外食券食堂を、東京都安井長官が主宰する食堂事業協会にやらしてくれというので、外食券食堂をやらしたというのだ。これは東京都のだれがやらしてくれると言つた
  746. 磯川義隆

    ○磯川証人 須田町外食券食堂の支部が小川町にありまして、そこの人間からであります。
  747. 田渕光一

    ○田渕委員 よろしい。それから先ほど証人は、賀陽宮が顧問になつたのは宮東という知合いの人がやつた、こういうお話です。賀陽宮は何で顧問を解かれた、それを伺いたい。
  748. 磯川義隆

    ○磯川証人 自然消滅で解かれてしまいました。
  749. 田渕光一

    ○田渕委員 参議院議員の木内君の問題を取上げれば。人身攻撃だとかいろいろ君は言うが、少くとも君も反共運動で行こうというような右翼はだの人とするならば、かりにも木内君をそれだけかばうなら、なせ賀陽宮様をひつぱつて来て、米がない、酒がないからくれと言つたというようなことを言う。君の人格は二重人格だ。一方では参議院議員の木内君からは利益を与えられているから人格高潔と言うが、賀陽宮が米をくれと言つたというようなことを暴露するようなことは人身攻撃ではないか。それでもつて君の人格が——かりにそういうことがあつても、この証言台で君が品にすべきでない、反共運動の右翼として立つ人間ならば、こういうようなことは口に出ないはずだ。
  750. 磯川義隆

    ○磯川証人 わかつた
  751. 内藤隆

    内藤委員長 じや取消したまえ。
  752. 磯川義隆

    ○磯川証人 取消します。
  753. 田渕光一

    ○田渕委員 うそか。
  754. 磯川義隆

    ○磯川証人 うそじやない、取消すということは事実であります。
  755. 田渕光一

    ○田渕委員 君にそんな反共運動をやつてもらつたつて迷惑だよ、慈善事業をかさに着て……。それから当時の厚生大臣というのは一松定吉か。
  756. 磯川義隆

    ○磯川証人 いえ、その次の厚生大臣であります。
  757. 内藤隆

    内藤委員長 一松君じやないんだね。
  758. 田渕光一

    ○田渕委員 当時の大蔵大臣栗栖赳夫氏がこれを払い下ぐべく、これを行政財産からはずして君の方に払い下げるという手を打つておるが、少くとも先ほど列挙された参議院議員の鈴木君や、木内君は、これに関与しておるかどうか。
  759. 磯川義隆

    ○磯川証人 払下げの問題には関与しておりません。
  760. 田渕光一

    ○田渕委員 それから、畑民生局長がりつぱなものだと言つた、こう言つているが、それでは畑民生局長がいつあたなのとこに行つたか。
  761. 磯川義隆

    ○磯川証人 十日ほど前にあそこを視察に来られ生きに、なかなか感じがいいと言つてほめて行つたそうであります。
  762. 田渕光一

    ○田渕委員 これは東天な問題なんです。畑民生局長は昨日当証言台で、一回も見ておりません、かように述べられております。りつばなものだとほめたということは言つておらないが、あなたは直接畑民生局長に会いましたか。
  763. 磯川義隆

    ○磯川証人 いいえ私の留守に来られました。
  764. 田渕光一

    ○田渕委員 だれからそれを聞きましたか。
  765. 磯川義隆

    ○磯川証人 うちの伊澤という監事が……。
  766. 田渕光一

    ○田渕委員 監事が畑民生局長が来たと言うたのですか。
  767. 磯川義隆

    ○磯川証人 そうです。民生局長は来ぬと言つておるのですか。
  768. 田渕光一

    ○田渕委員 厚生省の兒童局長を調べてわかつたのですが、昨年の七月二十三日に一回検査をした切りで行つておらない、こう言つておる。畑民生局長は、私が行つて見て来たとは言わぬ。厚生省の兒童局長はおととい、ちよつと行つて見て参りました、こう言つておる。
  769. 磯川義隆

    ○磯川証人 いや来ております。
  770. 田渕光一

    ○田渕委員 来ておる……。民生局長から名刺でもとつておるのか。
  771. 磯川義隆

    ○磯川証人 名刺はとりませんが、これはうち職員も知つております。ですから、来ていてもいないと言われるのが実にふしぎです。来るのが当然であるのに、行かぬというのは、おかしいと思います。
  772. 田渕光一

    ○田渕委員 先ほど同僚の小松委員からお尋ねがありましたが、伊東の家を借りているというのは、伊東市の吉田という人が、一碧湖畔に土地を持つている、その地所ですか。
  773. 磯川義隆

    ○磯川証人 いや、それは違います。
  774. 田渕光一

    ○田渕委員 これは今朝本員に情報があつたので伺うのだが、昭和二十五年の八月ごろというのだから、おととしだね。伊東の一碧湖畔に広汎な土地を購入して、喫茶・店及びバンガロー五軒を新築して、同所におめかけさんを置いて経営しているというがどうだ、あなたは……。
  775. 磯川義隆

    ○磯川証人 いや湖畔といつても、それは購入したわけではないのです。
  776. 田渕光一

    ○田渕委員 そこにあなたの奥さんがおられるのですか、どうですか。
  777. 磯川義隆

    ○磯川証人 個人の私生活の問題は聞いてもらいたくありません。
  778. 田渕光一

    ○田渕委員 それでわれわれは判断がつくからよろしい。そこで証人学園を背景として、配分されたララ物資をその付近の住民に売つて莫大な利益をあげておる。こういう情報が来ておるが、これはどうです。
  779. 磯川義隆

    ○磯川証人 全然そういうないことを言う……。
  780. 田渕光一

    ○田渕委員 なければ、ないと言えばよろしい。
  781. 磯川義隆

    ○磯川証人 ありません。
  782. 田渕光一

    ○田渕委員 熱海市に喫茶店を開いて、別の奥さんをもうけて、今盛大にやつている、これはどうだ。
  783. 磯川義隆

    ○磯川証人 それは違います。
  784. 田渕光一

    ○田渕委員 先ほど高木委員個人的財産を聞いたら、無一物だと言つた。今個人的な私生活まで聞いては困ると言うが、伊東の吉田の一碧湖畔の家を持つているというなら、これは君は無一物じやないじやないか。
  785. 磯川義隆

    ○磯川証人 借家ですから、借家は財産になりません。
  786. 田渕光一

    ○田渕委員 そういうことを言うならば、土地台帳なり家なりを法律的に調べて行こう、君がそう逃げるなら……。
  787. 磯川義隆

    ○磯川証人 どうぞ。
  788. 田渕光一

    ○田渕委員 いろいろ各委員から質問があつたのだが、結局この問題は岡田をおどらし、参議院議員の、当時のつまり弁護士顧問と称するか、参議院の木内氏をおどらし、そうして関東財務局から当時の値段で、高かつたとかただでもらうつもりであつたと言うが、われわれから見れば非常にべらぼうな安い値段でこれの払下げを受けている。これで社会事業をやるのだというので、財団法人聖十字学園の美名のもとに払下げを受けておる。磯川個人で行けば、りつぱに社会事業ができたと言うが、無一物では社会事業はできるものではない。そこであらゆる委員の言つた通り、この施設のつまり濫用と言おうか、権利さえとればいいというので、人にまかしてしまつている。いわゆる聖十字学園の精神を引継いで社会事業をやらぬから、こういう問題が起きて来た。知らなければあなたに教えて上げよう。たとえばこの太陽の湯においても、浮浪者を入れれば、のみやしらみを落すから、一般のお客が来ぬというので、どんどんこれを断つておる。そしてこれを普通料金でやつておる。こういうような問題、これは社会事業としてぼくはこの事業をやるのだから、この精神で君らがやつてくれという精神の注入——精神の行き違いがあつたから、こういうことになつておる、その結果母子寮というりつぱな名のもとにつくつたものが、一疊一万円の権利金をとり、四疊半で二万円も三万円も権利金をとつておる。何のための母子寮だ。それでは君が伊東湖畔にめかけを置いて、あらゆるぜいたく三昧するためにやつたとわれわれが認定しても、これはしかたがあるまい、どうだ。多くの人間を苦しめて——君らのような偽善社会事業家があるために、あの上野の地下道のルンペンたち、浮浪者たちが救われない。国家では救うつもりでやつておるのだ。救うつもりで、君らに安く払下げするならば、あの気の毒な戰災孤児や遺家族や、また未亡人たちが安い家に入れてもらえるだろう。生活がよくなるだろうというので、国家はこれをやらしたのだ。それを精神を引継がないでもつて、二十万でも三十万でも権利金さえとれば、ただちに委託経営だというので売つてしまつて、そして大勢の者をごまかしておる。そんなことをしているから、共産党の乘ずるところとなるのだ。君が反共運動をやると言つたからには、そういうことをするということがすでに間違つているんだ。どうなんだ。
  789. 磯川義隆

    ○磯川証人 たとえば今御質問の、一疊に幾らとつたということを言われますが、別に聖十字学園がとつているのではないのです。
  790. 田渕光一

    ○田渕委員 それを聞いているのではない。聖十字学園がとるのではない。聖十字学園という美名のもとに、君は二十万、三十万の権利金をとつてしまつた、こういうわけです。そして聖十字学園の精神はこうだから、こうやつてもらわなければならぬということを経営者に言つたら、そんなことはしないが、それを引継いでおらぬ。
  791. 磯川義隆

    ○磯川証人 経営の赤字というものは、だれが出すのですか。
  792. 田渕光一

    ○田渕委員 赤字を出すも出さぬもない。それがために国家が安くして、君に財団法人聖十字学園という美名のもとに払下げ、随意契約でことさら安い値段で払下げ、これをまた自由に売らせ、あらゆる設備と特典を与えているのではないか。国民の血税だ。
  793. 磯川義隆

    ○磯川証人 土地はあつても設備、そういう金はだれが出すのですか。
  794. 田渕光一

    ○田渕委員 渡邊が出すという契約をした。
  795. 磯川義隆

    ○磯川証人 出してくれなかつたらしようがない。
  796. 田渕光一

    ○田渕委員 出すも出さぬもない、君がワン・マンでもつて、判を全部とつてしまつた
  797. 内藤隆

    内藤委員長 証人、議論してはいけない。ここは議論する場所ではない。
  798. 田渕光一

    ○田渕委員 それは高木委員の質問に対して、相済まぬ、恥じておると認めたから、これをよう追究せぬのだが、君がこういう間違つたことさえしなければ、マル通へもあの土地が安く行かなかつただろう。あるいはまた君がつくつたところのあの三十八軒の商店街も安く行かなかつただろう。結局国有財産というものを、随意契約でとらなければならぬ原因をつくつたというのは、あなたの責任なんだ。国有財産を安く処分させて……。そうでしよう。そう思いませんか。
  799. 磯川義隆

    ○磯川証人 御返答申し上げます。その三十何軒というものは、それは私がやつたのではないのであります。責任は私は負いますけれども、渡邊さんのやつたことの内容まで私にはわからないのであります。それまで責めていただいたら、どうもこれは困ります。
  800. 田渕光一

    ○田渕委員 われわれはあなたを責めるのではない。責めるのには検事局の検察官がある。われわれはこういう社会事業という美名に隠れてやつておるあなたのような事業が、世の中にたくさんありはせぬかということが一つ。同時にこういうふうにまでなつて来るところに、何の欠陷があつて取締りができなかつたか、制度の欠陷がどこにあるかということを見て行く。そこにおいてきのうあたり厚生省を調べ、あるいは東京都を調べさしておる。結局現在の機構においては、この社会事業というものに対する監督の機構に非常に不備がある。こういうようなものを発見して行く、そういうものを直して行くがために言うのであつて、何も私は証人に恩怨があるわけではありません。そうでしよう。そこで私は少くともこういうような問題を起して、自分は責任の地位を移つてしまつたから知らぬ……。先ほどもその通りだ、同僚小松委員から質問があつたら、いや片づけます、片づけますと言うて、片づけるときにはすでにあなたの責任は、理事長をどいてしまつておる、あと理事長がやるのだ。結局高木委員が言われたごとく、あなたが独善的な行為をした結果が、そういうことになつておる。それはいろいろ世の中にはあります。あなたばかりではありません。ほかの例を見ても私はよくわかります。わかりますが、少くともあなたには最初から金がないのに、磯川理論で行けば、社会事業は行けるといううぬぼれだけはよしてもらいましよう。社会事業はそういうなまやさしいものではありません。  同時にもう一つあなたに聞いておきたいのは、今日上野の地下道におきまして、あれだけの浮浪者がある。取締り当局も困つている。これらはふろへも入れない。簡易宿泊所がこういうふうに委託してあつても泊れない。あなたに社会事業をやつてもらつて、こういうふうに結果においてはかわつてしまつた。非常に社会事業と相反した営利目的なつてしまつた。これがために今日上野の地下道あたりの困つている者は暖かいふろへも入れないということをあなたは何と思いなさる。われわれはあなた方が社会事業をやつてくださると思つて、国家が払下げを喜んでして、しかし結果においてこういうことになつてしまつた。ほんとうに平等な生活ができないような人たちがあるということに対して、あなたは社会事業家として今日何と考える。それを伺う。
  801. 磯川義隆

    ○磯川証人 今いろいろ深刻な御質問いただきましたけれども、浮浪人の問題が出ました。浮浪人も私の方では実は収容しております。ただ無料の簡易宿泊所ではないわけでありまして、そういう事情は御存じでありましよう。
  802. 井上良二

    ○井上(良)委員 ちよつとこの際二、三伺いたいのですが、その一つは、あなたはさいぜん同僚委員の質問に対して、社会事業はもういやだ、やめる、こういう御心境を吐かれたのですが、最初聖十字学園の名前のもとに、社会事業をやろうとかかり、そうしてここ二、三年やつて来て、いやになつた、どういうことでいやになつたのですか。
  803. 磯川義隆

    ○磯川証人 たとえば今回の問題であります。社会事業の行き方について、私は説明したいと思うのですが、御質問なさる方がなし、私の方から発言してはいかぬとおつしやると、できないのですけれども、根本は、国家の予算でやる社会事業は私は間違つておると思う。そうすると、今度個人でやるということになると、どうしても無理です。そうして、私はいわゆる欧米式の社会事業のやり方ならば、私も年も来たし晩年は思想運動などに活動せぬで、社会事業をしたい、今回の場合は結果も悪いし、私は非常に慚愧にたえないところがありますけれども、ただそのことだけ責められても——浮浪者の問題は、現在五十人も六十人も宿泊所にとまつている人間がある。社会事業の限界はどこかというと、何も何千人を扱わなければいかぬということじやなし、またかりに、そこで五十人も六十人も助けるということになると、その赤字はだれが負担するか。負担するのに、私たちがここでやるということになると自然と無理が来る。無理が来ますというと、今の御質問の、私はいやになる。そうするとどうしたらいいだろうか、国家の予算でやる。厚生省が予算を組んでくれたことは実にありがたいことですけれども、しかし国家は国家でこれからやらなければならぬことがずいぶんありますので、どうしたらいいだろうということが解決できれば、今の御質問の社会事業をやりたいのですけれども……。そのわけを言つてみましようか。
  804. 井上良二

    ○井上(良)委員 もうよろしい。社会事業というものは、契約によつてやるのですか、事業契約してやらしていいと考えておるのですか。
  805. 磯川義隆

    ○磯川証人 その点は最初からいろいろと質問されまして、やはり契約によつてやるということはいかぬ、自分が自身でやる方がいいということを痛感しております。
  806. 井上良二

    ○井上(良)委員 それは今痛感したのですか、最初からそうであつたのですか。
  807. 磯川義隆

    ○磯川証人 これはどうして契約をやつたかという一つ理由を申し上げたい、たとえばここに建設資金がある、たとえば簡易宿泊所といえば簡易宿泊所、それも実は簡易宿泊所から報告が来ないからわかりませんが、かりに三百五十万円かかつたとします。それをだんだん償却して行つて、二年、三年後においてこつちのものにもどる。もどれば直営でできるから、その時期を実は見ておるのであります。やがては直営の形式になるためにやつてつたのであります。
  808. 井上良二

    ○井上(良)委員 やがてはつて社会事業は、そういう収支が相償う事業をやるべきじやないのですよ。社会事業は、少くも初めから収支の償うものじやないのです。そこでいろいろ世の中の人から援助を受けて、また国家からも援助を受けてやるべき仕事であつて事業それ自身には、営利を目的とすべきじやないのです。あなたのおつしやる、つじつまの合うような事業をやるべき筋合いのものじや初めからないのです。そこのところの出発が第一誤つておるとお考えになりませんか。
  809. 磯川義隆

    ○磯川証人 考えております。それについて申し上げます。
  810. 井上良二

    ○井上(良)委員 よろしい、考えてお  つたらよろしい。
  811. 磯川義隆

    ○磯川証人 考えております。
  812. 井上良二

    ○井上(良)委員 そこにそもそもこの事件の出発の大きな誤りがあるのです。で、あなたはいろいろ自分のやつたことを正当づけようとして、また自分の信念に非常に自信を持たれておるようでございますけれども、実際やつて来られた跡を振りかえつて見ると、事業資金に追いまくられた結果、次から次へと打つている手が、まつた社会事業の本質を冒涜する偽善的なことになつておるのですよ、このことは、あなた自身が反省されなければなりません。そうでなければ、この事件は解決つきません。そうお思いになりませんか。
  813. 磯川義隆

    ○磯川証人 深く反省いたします。
  814. 井上良二

    ○井上(良)委員 そこでさつきから他の委員からもいろいろ御質問がされておりましたが、あなたが聖十字学園東京分園をつくられるということ、これ自身もやはりこの渡邊さんから金を出してもらうという前提に立つておるのですね。
  815. 磯川義隆

    ○磯川証人 そうであります。
  816. 井上良二

    ○井上(良)委員 そうして渡邊さんはその代償として、いろいろな事業に対して自分が責任を持つて、そこでもうけた金のうちから聖十字学園に何ぼかの金を出す。こういうことになつておるのです、建前が。この建前自身が、もうすでに社会事業本来の本筋をはずれておるのです、この契約自身が。そうお思いになりませんか。
  817. 磯川義隆

    ○磯川証人 思います。
  818. 井上良二

    ○井上(良)委員 そこで、その結果が、今問題になつております元衛生試験所の敷地及び建物払下げを受けた、こういうところへ来ておるわけです。そこでこれはまつたく営利を目的にした前提に立つており、社会事業は看板であつたということになつておるのです。その結果が御存じのようないろいろな面に非常に大きな迷惑をかけておるのです。またわれわれ国の財産を管理し監督する者といたしましても、あなたのやつたこの行為というものは、決してそれは妥当な行為とは考えられませんけれども、あなた自身もそれをお認めになりましよう。
  819. 磯川義隆

    ○磯川証人 そうであります。
  820. 井上良二

    ○井上(良)委員 そこでそうすると、現にあなたはこの自分のやつた行為とまつたく違つた結果が生じて、たいへん国家社会に迷惑をかけておる、そこでその責任は負うということをさいぜん証言されましたが、あなたは現在聖十字学園の何をおやりになつておりますか。
  821. 磯川義隆

    ○磯川証人 昨年辞職いたしましたから、現在は関係がありません。
  822. 井上良二

    ○井上(良)委員 関係がない……。そうすると聖十字学園の現在のいろいろの事業関係、あるいはまた財産関係に何らの発言権がないわけですね。全然ないのですね。
  823. 磯川義隆

    ○磯川証人 そうです。
  824. 井上良二

    ○井上(良)委員 全然ないのに、さいぜんからのあなたの御意見を聞いておると、自分個人事業の主管者のような御意見をたびたび出されておるが、どういうわけですか。
  825. 磯川義隆

    ○磯川証人 それは昨年中私が主管者でありましたので、その当時の心境をお話しているのだから、どうしてもやむを得ぬと思います。
  826. 井上良二

    ○井上(良)委員 そうすると、この聖十字学園の今日残されておる財産及び事業に対しては何らあなたは干渉せずに、また利害その他についても何らの権利を持つていないということが言明できますか。
  827. 磯川義隆

    ○磯川証人 言明できます。
  828. 井上良二

    ○井上(良)委員 しかるにあなたは今田渕委員の質問に対して、ここ数日前に東京都の民生局長が視察に来たということを証言されたが、一体どういう権限で、どういう理由であなたはおわかりになりますか。
  829. 磯川義隆

    ○磯川証人 それはそこには私の部下もおりますし、出入りしておりますればそういうことも話しますから、そういうことはすぐわかります。
  830. 井上良二

    ○井上(良)委員 どういうことで、そういうことをあなたに報告する必要がありますか。
  831. 磯川義隆

    ○磯川証人 いや、報告ではないのです。世間話で、きようはだれが来て、どうだということは、事務所へひよつくり行きますれば話が出ますから、ちやんと耳に入ります。
  832. 井上良二

    ○井上(良)委員 現在あなたは仕事は何をされておりますか。
  833. 磯川義隆

    ○磯川証人 現在無職であります。
  834. 井上良二

    ○井上(良)委員 そこで問題は、あなたの在任中及びあなたと渡邊さんとの時代においてでき上りました事態に対して、具体的にいかなる責任をお負いになりますか。
  835. 磯川義隆

    ○磯川証人 それはあとの整理の問題ですか。からだの問題でありましようか、とちらですか。——整理の問題では、これは私がそこに監視とか干渉をしておるのではありませんけれども、あそこに対策委員会というものをつくりましてほんとうに名実ともに備わつた社会事業を後任者がしてくれるように、今計画しておるのでございます。
  836. 井上良二

    ○井上(良)委員 それはどういう具体的なことをやつておるのですか。
  837. 磯川義隆

    ○磯川証人 対策委員会というものができました。
  838. 井上良二

    ○井上(良)委員 どういうメンバーですか。
  839. 磯川義隆

    ○磯川証人 元司法省関係の人であります。
  840. 井上良二

    ○井上(良)委員 名前は……。
  841. 磯川義隆

    ○磯川証人 大西……。
  842. 井上良二

    ○井上(良)委員 ほかの委員は何人おつて、だれだれがやつておりますか。
  843. 磯川義隆

    ○磯川証人 大西さんが委員長になりまして、厚生省東京都から二人委員を推薦しまして、そうして債権債務のあとのことにつきまして、今寄り寄り協議中でございます。
  844. 井上良二

    ○井上(良)委員 そうすると、あなた自身としては何ら責任を持たないわけでございますね。
  845. 磯川義隆

    ○磯川証人 過去の私のやつた行為に対しては責任を負います。
  846. 井上良二

    ○井上(良)委員 どういうことですか。
  847. 磯川義隆

    ○磯川証人 たとえば債務も相当ありますから、きれいにし、経営面においては、直営でないということは、私の方ではいいと思いましたが、皆さんの御意見、及び東京都からたびたび直営にしなければならぬと言われるということになりますと、これも直営にする。私は経営当事者ですから、私はそれを解決する義務を持つておると思います。
  848. 井上良二

    ○井上(良)委員 最後にもう一点伺つておきたいのは、聖十字学園の名称のもとに払下げを受けております土地を、日本通運の秋葉原支店に千百十二坪、建坪八十坪、これを四百十五万円で売りましたね。
  849. 磯川義隆

    ○磯川証人 はい。
  850. 井上良二

    ○井上(良)委員 この土地の価格が、あなたは大蔵当局の査定であつて、この土地は決してそんなに安い土地ではない、こういうことを言われておりますね。
  851. 磯川義隆

    ○磯川証人 はあ、言つております。
  852. 井上良二

    ○井上(良)委員 安い土地でないという理由はどこから一体そういうことを言われるのですか。
  853. 磯川義隆

    ○磯川証人 その当時あの近所の環境を調べたのであります。それで全部で九百十五万円と査定されたときに、私はただもらうつもりだ、それを金を出すくらいだつたら、半分にしてもらうと言つたら、そんなばかなことはない、半分なんてできやしないということでありますから、その当時の地価というものを全部調べました。それでやはり千七八百円から二千円が当時の地価ということでございます。
  854. 井上良二

    ○井上(良)委員 それはどこで調べたのですか。
  855. 磯川義隆

    ○磯川証人 美倉橋の辺から……。あそこの地価というものは、昭和通りになるとうんと上つて来るのであります。美倉橋から浅草橋の中間のところはずつと下つております。周旋屋も二、三軒ございますから、そこでも調べました。
  856. 井上良二

    ○井上(良)委員 それから間にちよつと委員長からも質問をされておりますが、今申しましたように、秋葉原支店にこの土地建物を売るという契約をした。そうしましたところが、その土地に対しては大蔵省との間の契約において、十年間は社会事業以外の目的に使つてはいかぬという契約をされておることは、あなたは御存じだつたのですね。
  857. 磯川義隆

    ○磯川証人 知つております。
  858. 井上良二

    ○井上(良)委員 それをマル通に売ります場合に、マル通の方は何も文句は言わなかつたのですか。
  859. 磯川義隆

    ○磯川証人 その際に契約書を見せましたら、非常に疑義を持ち、不安の念を持つておられたのであります。ところが大西さんとか、汐留支店の某あたりは、まあそんなら買つてやろうということを言いましたから、一応は見せましたけれども、とうとう押し通したのであります。
  860. 井上良二

    ○井上(良)委員 押し通した。それはどういう理由で……。
  861. 磯川義隆

    ○磯川証人 それはとにかく渡邊さんは金を出してくれませんから、その金が入らなかつたら、大蔵省に解約されてしまいますから、期限が切迫しておりましたので、どうしてもやつてくれというのでやつた
  862. 井上良二

    ○井上(良)委員 大蔵省に更改契約書が出ておりますね。
  863. 磯川義隆

    ○磯川証人 出ております。
  864. 井上良二

    ○井上(良)委員 その更改契約書契約人としてあなたと渡邊さんとの名前が押してありますね。
  865. 磯川義隆

    ○磯川証人 渡邊さんのは押してありません。私一人だけです。渡邊さんは昨年任期満了でやめておりますから、私だけになつております。
  866. 井上良二

    ○井上(良)委員 財務局に出ておるものは渡邊さんの名前を使つておりますがね。
  867. 磯川義隆

    ○磯川証人 一前の書類ではありませんか。
  868. 井上良二

    ○井上(良)委員 昭和二十六年二月二十八日出した書類です。
  869. 磯川義隆

    ○磯川証人 それは本書でございましようか、ちよつと見せていただけませんでしようか。そんなことはないと思います。
  870. 井上良二

    ○井上(良)委員 二月二十八日に出しませんか。
  871. 磯川義隆

    ○磯川証人 更改契約はもつとおそいと思います。昨年六月か、七月と思いますから……。
  872. 井上良二

    ○井上(良)委員 全然・渡邊さんの判は使つてない……。
  873. 磯川義隆

    ○磯川証人 使つておりません。
  874. 井上良二

    ○井上(良)委員 わかりました。
  875. 内藤隆

    内藤委員長 渡邊敬吉の名前を使つておりませんか。
  876. 磯川義隆

    ○磯川証人 使つておりません。契約書には……。
  877. 内藤隆

    内藤委員長 私の方に集まつておる材料には押してある。名前を書いてある。もう一ぺん記憶を呼び起して……。
  878. 磯川義隆

    ○磯川証人 それは大蔵省から当時どうするかと言われたときに、私一人の契約で、押しておりません。それはつくつた書類間違いございません。去年のことですから私は忘れておりません。
  879. 内藤隆

    内藤委員長 昭和二十六年二月二十八日ですぜ。
  880. 磯川義隆

    ○磯川証人 それは更改契約申請か何かじやないでしようか、更改契約でございますか。
  881. 内藤隆

    内藤委員長 更改契約だな。
  882. 磯川義隆

    ○磯川証人 契約書で……。ありませんですね。何かの間違いじやないでしようか。
  883. 内藤隆

    内藤委員長 当委員会事務局で調べた財務局から提出して来た資料によると、書いて判を押してある。
  884. 磯川義隆

    ○磯川証人 判を押してありますか。せひひとつ見せていただきたいですね。そんなことはないと思います。
  885. 内藤隆

    内藤委員長 資料ですからね。押しでなければ……。
  886. 磯川義隆

    ○磯川証人 押しておりません。私一人の判ですから……。
  887. 田渕光一

    ○田渕委員 先刻井上委員の質問に対する関連でございますが、そうすると、証人は対策委員会を設けてやる、  こう言つておられます。なるほど私たちもそういう善後措置を講ずることを国家のために希望するのであります。しかしながらそれは井上委員の質問に対するのがれにすぎなくて、寄付の名義でもつて、あなたが非常な、三十万円というような権利金をとつておる。これは寄付の名義で、そうしてすでに第三者が委託経営というような名前で占有、占拠しておる。ところがいかに対策委員会を設けても日数のかかることであり、あなたが今井上君に向つて、対策委員会で善後措置を講ずると言いますが、現行の日本の法律下においては、どうしてこれが磯川理論で片づきますか、それを伺いたい。
  888. 磯川義隆

    ○磯川証人 それはあそこにおる人とこちらの契約書がありますから、それに基いてやればできることだと思います。
  889. 田渕光一

    ○田渕委員 世の中はそんな甘いものではありませんよ。この住宅難のときに、母子寮にあれだけの人間がいて、疊一疊一万円、あるいはまた二千円、三千円の家賃を払つておるのに、立ちのかすだの、あるいは整理する。そしてこれをはつきりとした本然の社会事業の姿に返えそうとしても、できるもんじやないですよ。高木委員が言つたごとく、あなたがこれに精神を注入して、契約面にこういうわけだ、こうして行けという契約があれば、契約に反する行為として善後措置はできるかもしれぬけれども、りつぱに権利金をとつておる。その権利金を寄付だとあなたは逃げておるが、寄付であろうと何であろうと、権利金を出しておると、向う弁護士をつけたらどうするか。
  890. 磯川義隆

    ○磯川証人 アパートの問題は困難だと思いますが、ほかの問題はできると思います。
  891. 田渕光一

    ○田渕委員 そう世の中は甘いものではありません。それから先ほど本員がいろいろ尋ねましたら、いかにも木内参議院議員を攻撃したごとく証人はとつたらしいのでありますが、私は決して攻撃したのではありません。しかし渡したという契約書が出て参りましたし、ことにこのマル通の払下げ問題に対して学園顧問弁護士で、及川、大野両氏と書いてある。その契約書に及川武夫、大野米八、伊澤豊四郎が立合いになつておる。これは弁護士でありますか。
  892. 磯川義隆

    ○磯川証人 弁護士です。
  893. 田渕光一

    ○田渕委員 及川さんに大野さん。
  894. 磯川義隆

    ○磯川証人 そうであります。
  895. 田渕光一

    ○田渕委員 伊澤豊四郎さんは。
  896. 磯川義隆

    ○磯川証人 監事であります。
  897. 田渕光一

    ○田渕委員 この人が立ちつているこの契約書——そこでいろいろ本員が追究しますと、これは顧問料である。こうあなたは言う。そうして一銭も渡しておらぬ。こう断言された。しかと間違いございませんか。
  898. 磯川義隆

    ○磯川証人 間違いありません。
  899. 田渕光一

    ○田渕委員 偽証になりますが、間違いございませんか。
  900. 磯川義隆

    ○磯川証人 間違いありません。
  901. 田渕光一

    ○田渕委員 よろしい。しかと念を押します。この問題は重大なことだから、それなら読んで聞かせる。さつきこれは私あなたに言わなかつたのだが、つまり「甲乙各自五万円宛負担シ左記ノ通り支払フ」でとめておいた。その「左記ノ通り支払フ」の次に「一、太洋自動車株式会社トノ取引ニヨル精算残額ノ入金アリタルトキ甲ノ取得分ノ内カラ金五万円乙ノ取得分カラ金参万円(但シ乙ハ既二金弍万円ヲ木内氏ニ対スル分トシテ甲ニ渡シ済ミデアル)ヲ支払フ」ということが書いてある。どうだ。
  902. 磯川義隆

    ○磯川証人 それは何月ごろでしようか。
  903. 田渕光一

    ○田渕委員 何月ごろもへちまもない。さつき言うた契約書だ。あなたは絶対——これは国有財産の払下げ謝礼かと本員が聞いたら、そうではない顧問料だ。岡田氏には十万円、木内には十万円やる。すでにやつておると言い切つた顧問料、それは渡しておりませんと逃げた。
  904. 磯川義隆

    ○磯川証人 それは何の……。
  905. 田渕光一

    ○田渕委員 二万円すでに渡したことを了解の上で、磯川さんも、渡邊さんも、二人の弁護士立ちつて契約ができている。渡していないということはうそなのかね。
  906. 磯川義隆

    ○磯川証人 それは何に基いた契約書ですか。
  907. 田渕光一

    ○田渕委員 君は頭が悪いなあ。太陽の家精算に関する覚書だ。さつき読んだでしよう。これが偽証になるのだ。あなたは渡しておらぬと言うが、りつぱに渡しておるじやないか、二万円。
  908. 磯川義隆

    ○磯川証人 渡しておりません。たしか書類だけつくつてもそれを……。
  909. 田渕光一

    ○田渕委員 但し乙は金二万円なりを木内氏に対する分として渡しておるということを言つておるじやないか。
  910. 磯川義隆

    ○磯川証人 渡しておりません。
  911. 田渕光一

    ○田渕委員 君は書いたものまでも否認するのだつたら、われわれは考えるがどうだ。
  912. 磯川義隆

    ○磯川証人 それは契約書に書いても、それを実行しない場合がずいぶんある。
  913. 田渕光一

    ○田渕委員 すでに渡したものをちやんと認めておる。すでに渡したものをこの証書に……。
  914. 磯川義隆

    ○磯川証人 それは木内さんには渡しておりませんです。
  915. 田渕光一

    ○田渕委員 よく冷静におなりなさいよ。これはいわゆる太陽の家の精算だが、太陽の家精算に関して、太洋自動車に振りかえられて来ておる、なかなかこまかい契約書だ。「一、太洋自動車株式会社トノ取引ニヨル精算残額ノ入金アリタルトキ甲ノ取得分ノ内カラ金五万円乙ノ取得分カラ金参万円(但シ乙ハ既ニ金武万円ヲ木内氏ニ対スル分トシテ甲ニ渡シ済ミデアル)ヲ支払フ」とある。これはあなたが承諾しておる。二万円渡し済みである。そうしたら、君は木内君に対する顧問料をやらぬと言つておるが、ここにはつきり渡し済みだということは、何とあなたが言訳を言つて逃げようとも事実だ。
  916. 磯川義隆

    ○磯川証人 われわれは逃げようというような考えは一つもございません。責任を回避するという考えは一つもございません。けれども、それは契約書を書いても渡さぬ場合がある。担保を入れて五百万円とあつても……
  917. 田渕光一

    ○田渕委員 すでに渡し済みであると、こういうのだ。それを認めて及川、大野両弁護士……
  918. 磯川義隆

    ○磯川証人 何月ごろであるか、ちよつと……
  919. 田渕光一

    ○田渕委員 それは「二十四年五月十二日附ヲ以テ」というのだ。
  920. 磯川義隆

    ○磯川証人 精算金額というのはどんな数字をあげてございますか。
  921. 田渕光一

    ○田渕委員 太陽の家精算に関する覚書——これはおそらくあなたと渡邊とが手を切るときの覚書、それだろうと思います。
  922. 磯川義隆

    ○磯川証人 はあ、思い出しました。
  923. 田渕光一

    ○田渕委員 これで行けばたくさんあるのですが、これを拔萃したところを私は読んだのだ。りつぱにして精算書ができています。いろいろ詳しく書いてありますよ。数字も、なかなか相手は渡邊で、こまかいものでずつと書いておる、すでに渡し済みと書いておるが、どうだ。
  924. 磯川義隆

    ○磯川証人 ちよつとそれを見せていただくわけには行きませんでしようか。
  925. 田渕光一

    ○田渕委員 これは委員長どうですか。
  926. 内藤隆

    内藤委員長 そんなものは見せない。
  927. 田渕光一

    ○田渕委員 これは太陽の家精算に関する覚書「昭和二十四年五月十二日附ヲ以テ財団法人聖十字学園渡邊敬吉トノ間ニ成立シタ契約第十一條ノ趣旨ニヨリ右聖十字学園代表磯川義隆——このときは代表だ。「(以下甲ト称ス)ト渡邊敬吉(以下乙ト称ス)トノ間ニ右五月十二日附契約ヲ基本トシ此契約ニ附帶シテ当時ノ立会人立会ノ下ニ左記ノ通リ申合セ本覚書ヲ作成交換スル」とこう書いてある。その中にこれが出て来た。太洋自動車の問題、すでに二万円は木内氏に対する分として渡し済みである。
  928. 磯川義隆

    ○磯川証人 岡田さんの分は何と書いてありましようか。
  929. 田渕光一

    ○田渕委員 「甲乙岡田護氏ノ聖十字学園ニ対スル労ニ報ユル為メ金拾万円也ヲ贈呈スルコトニ合意シ甲乙各自金五万円宛ヲ負担シ左記ノ通り支払フ」……。
  930. 磯川義隆

    ○磯川証人 それはひとつ一ぺん私の方の記憶も呼び起さしていただけませんでしようかしら。
  931. 田渕光一

    ○田渕委員 呼び起すならいいけれども、断じてこれは……。
  932. 磯川義隆

    ○磯川証人 これはこういう関係があるのです。実は……。
  933. 田渕光一

    ○田渕委員 待ちなさい、ぼくが聞く。これはこういうわけなんだ。国有財産の払下げの謝礼として十万円渡した。こういうことに対して、それはそんなものじやない、顧問料だとあなたは逃げた。言訳された。それで顧問料としては渡しておりませんと言う。渡しておりませんと、はつきり証言された。しかしここへ来て、太洋自動車の分で二万円はすでに渡し済みだと、ごうなつておる。
  934. 磯川義隆

    ○磯川証人 ですから、その太洋自動車の精算が——、三百五十万円を大蔵省へ納めたですね。私は四百何万円というその数字内容は全然知らないのです。向うでつくつて来たのを私がやつたので、…百五十万円の小切手だけは渡したが……。
  935. 田渕光一

    ○田渕委員 磯川さんが知らなければ知らないでよろしい。ところがそういう礼を出したことがない、顧問料として出したことはないということを、知らないでは済まないでしよう。
  936. 磯川義隆

    ○磯川証人 その問題はこうしておきましよう。私が宮さんをかつぐとかなんとかいうことを委員長さんも皆さんも言われたが、そういう意思は私は毛頭ないのです。けれども新聞には名士名士という言葉が使つてある。私はこの名士という見解に疑義をはさんでおるのでありますが、少くともそういう方と、今回の事件について大蔵省厚生省東京都の責任者に御迷惑をかけたということについては、非常に面目ないと思つております。そこへ持つて来て国事多端の折、今日議員諸氏が午後一時から五時までの四時間、こうして集まられておる。これに対しても非常に済まないと思つておる。しかし、ものは悪意でなくやつたものが結果が悪いことがある。結局木内さんの問題に対しては、私は友人とか先輩とかいう意味でなく、誠心誠意聖十字学園をものにしてやろうと思つてつてくださつた。しかし結果が悪いので、私は非常に面目ないと思つている。しかもそれは政治家だから、金がなければできないということは私も知つております。私は金を上げなければならないと思つても、それができなくて——これははつきり申し上げます。三年ほど前の暮れにしようゆを一斗持つてつただけであります。それで私はあれほど何回も行つて顧問弁護士たちをさんさん使つておいて——私は木内さんは天下の名士だと思つておる。その名士をこきまわして、一銭もやらないということに対しては、まことに済まない。私はこの間も熱海でひよつこり木内さんに会つた。木内さんにこにこして磯川どうした、いや済まない、ということでわかれました。ですから、私は決して偽証だの何だの、そんな卑怯なことをする男では絶対にありません。ちよつと記憶を呼び起しましてから、あらためてこの問題に対して訂正を申し出ますから、二、三日の間お待ちを願います。
  937. 内藤隆

    内藤委員長 そこで証人委員長としてお伺いしておきます。さいぜん井上委員からもちよつと触れていましたが、もはや社会事業はいやになつた。だからこれから思想運動に入るんだ、こういう御証言がありました。そこで私の考える社会事業家というものは、そんな一ぺんや二度のつまづきでいやになるなんて軽薄なものであつてはならない。苦難の道、受難の道、踏まれ、けられて、それでも自分は人類のために盡す、社会のために盡すというところに、社会事業家の一つの大使命がなければならないと思うが、どうです。そういう点から申しましても、單にかようなものの経営の失敗、不始末から、かような問題が起つたというこの一事をもつてただちにおれは思想運動に入つてやるんだというようなたんかを切られることは、すでにあなたは社会事業家としての資格がないと、私はそう思うのです。これはあなた、受難の道なんですよ。こんなものでもうけようなんという観念じやいけないと思う。だからいずれ近く厚生省なり、東京都から解散の命令が来るか、どういう法律的な手続で来るか知らぬが、さような場合にはあなたは喜んで受けられますか。
  938. 磯川義隆

    ○磯川証人 喜んで受けます。ただ責任者の方に迷惑をかけないような処置をしたいと思います。
  939. 内藤隆

    内藤委員長 他に御発言がなければ、磯川証人に対する尋問はこれにて終了いたしました。証人には御苦労でした。  なお明十五日は聖十字学園の現地視察に参りますので、午前十一時に正面玄関にお集まりを願います。バスの用意をいたしておきます。視察終了後委員会を開会いたします。   本日はこれにて散会いたします。     午後四時五十五分散会