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1952-02-13 第13回国会 衆議院 行政監察特別委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年二月十三日(水曜日)     午後一時四十二分開議  出席委員    委員長 内藤  隆君    理事 大泉 寛三君 理事 鍛冶 良作君    理事 高木 松吉君 理事 田渕 光一君    理事 福田 喜東君 理事 小松 勇次君    理事 佐竹 新市君       岡西 明貞君    押谷 富三君       志田 義信君    野村專太郎君       大森 玉木君    高倉 定助君       藤田 義光君    井上 良二君       竹村奈良一君    山口 武秀君       久保田鶴松君    浦口 鉄男君  委員外出席者         証     人         (日本通運株式         会社東京支社総         務部長)    古屋 良平君         証     人         (東京民生局         長)      畑 市次郎君         証     人         (厚生省児童局         長)      高田 正巳君     ————————————— 本日の会議に付した事件  国有財産管理処分関係事件聖十字学園事件)     —————————————
  2. 内藤隆

    内藤委員長 会議を開きます。  これより国有財産管理処分関係事件中、聖十字学園事件について調査を進めます。ただいまお見えになつておられる証人古屋良平君ですね。
  3. 古屋良平

    古屋証人 はい。
  4. 内藤隆

    内藤委員長 あらかじめ文書をもつて承知通り証人として証言を求めることに決定いたしましたので、さよう御承知を願います。  これより国有財産管理処分関係事件中、聖十字学園事件について証言を求めることになりまするが、証言を求める前に証人に一言申し上げます。昭和二十二年法律第二百二十五号、議院における証人宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人証言を求める場合には、その前に宣誓をさせなければならないことと相なつております。  宣誓または証言を拒むことのできるのは、証言証人または証人配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族または証人とこれらの親族関係のあつた者及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するとき、またはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するとき、及び医師歯科医師、薬剤師、薬種商、産婆、弁護士、弁理士弁護人公証人、宗教または祷祀の職にある者またはこれらの職にあつた者がその職務上知つた事実であつて、黙祕すべきものについて尋問を受けたときに限られておりまして、それ以外には証言を拒むことはできないことになつております。しかして、証人が正当の理由がなくて宣誓または証言を拒んだときは、一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられ、かつ宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処せられることとなつておるのであります。一応このことを御承知になつておいていただきたいと思います。  では法律に定めるところによりまして証人宣誓を求めます。御起立を願います。  宣誓書の御朗読を願います。     〔証人古屋良平朗読〕    宣誓書   良心に従つて、真実を述べ何事も  かくさず、又何事もつけ加えないこ  とを誓います。
  5. 内藤隆

    内藤委員長 それでは宣誓書署名捺印してください。     〔証人宣誓書署名捺印
  6. 内藤隆

    内藤委員長 これより証言を求めることになりますが、証言は、証言を求められた範囲を越えないこと、また御発言の際には、その都度委員長許可を得てなされるようお願いいたします。なお、こちらから質問をしておるときはおかけになつていてよろしゆうございますが、お答えの際は御起立を願います。  証人古屋良平君は現在日本通運株式会社東京支社総務部長ですか。
  7. 古屋良平

    古屋証人 はい、その通りであります。
  8. 内藤隆

    内藤委員長 あなたは、聖十字学園から旧衛生試験所土地建物を買受けたとき、その当時東京支社でどういう職を担当しておられましたか。
  9. 古屋良平

    古屋証人 当時、東京支社経理部長でありました。
  10. 内藤隆

    内藤委員長 経理部長として、この衛生試験所土地建物を買受けたことに関係をしておりましたか。
  11. 古屋良平

    古屋証人 関係という言葉はよくわかりませんが、東京支社財産を買うとか、あるいはまた支店財産を取得するとかいうようなときには、それぞれ所定の手続従つて手続された場合に、その可否を定める、あるいはその代金の支出をするような際におきましてのある一定の権限までの可否をきめる何を持つておりました。
  12. 内藤隆

    内藤委員長 それでは、その物件買受の当時の経過を簡単に説明してくれませんか。
  13. 古屋良平

    古屋証人 聖十字学園と申しますと、聖十字学園から直接買つたというものは私どもにはございません。いつのことでございましようか。
  14. 内藤隆

    内藤委員長 聖十字学園からは直接に買つたことがないというのですか。
  15. 古屋良平

    古屋証人 ええ買つたことはないのです。聖十字学園から支店が直接買おうとして買つたことがないというのは、あるいは言葉が足りないかもしれませんが、当時支店が買おうとして金を払つたが買えなかつたということまでの経過承知しております。
  16. 内藤隆

    内藤委員長 金を払つたが買えなかつたのですか。
  17. 古屋良平

    古屋証人 はあ、買えなかつたです。
  18. 内藤隆

    内藤委員長 その事情ちよつと述べてください。
  19. 古屋良平

    古屋証人 申し上げます。私ども会社秋葉原支店と申します支店がございまして、その支店では、当時車庫の敷地を必要として方々を物色しておりましたところが、たまたま聖十字学園のどなたか私どもはわかりませんが、聖十字学園の方からの関係がつきまして、そして車庫に適当な地所だということがわかりましたので、そこで秋葉原支店は当時この交渉を進めたのであります。それらについて、これは支社が直接——当時の私どもが直接やつたことでもございませんですが、その後においてかようなものを会社が当然に買受ける必要ありとして認めた際に、それらの事情承知し、その後において私ども調査した結果を申し上げます。従いまして直接支社がこれをやつたということでなく、支店がやつたことを順序立てて申し上げます。ちよつとその前に申し上げますが、委員長にこちらから逆に質問していいですな。
  20. 内藤隆

    内藤委員長 質問はいかんです。——それじやどうでしよう、こう聞きましようか。あなたの支社としては、さような買つたことはない。しかしながらその土地がほしかつたので代金は出したのでしよう。
  21. 古屋良平

    古屋証人 代金三百五十万円をですね。それからそのあと追い追い払いまして、合計四百二十二万七千七百二十八円を払つてあることがここの記録に載つております。
  22. 内藤隆

    内藤委員長 そうするとどこの名義でそれを買つたのです。
  23. 古屋良平

    古屋証人 当時は日本通運とすると、集中排除法関係から、直接こういうものを買うには、やはり持株会社整理委員会許可がなければ買えなかつたものであります。そこで当時の支店長がやはりやむにやまれず、そうした場所——これは話がいろいろになりますけれども、何としてもその程度地所買つて、そして車庫——会社が必要とする運搬具、すなわち車両類を保管する場所を見つけなければ、国鉄の構内に今までのように置いておいたのでは——構内に置いておくということはいろいろな関係から……。
  24. 内藤隆

    内藤委員長 ちよつと待つてください。それはあなたの会社の必要な土地を買わなければならなかつたことを述べておられるのですか。
  25. 古屋良平

    古屋証人 そうです。
  26. 内藤隆

    内藤委員長 それはいりません。そこで大体今証人証言中にもありましたか、集中排除法の適用を受けておる会社ですな、これは持株会社整理委員会の承認を得なければ、社業の拡張とかその他ができぬことはこれは明らかです。しかるにそれを無視して、むしろ脱法的に、他のあなたの子会社ですか、太洋自動車株式会社というのがあるらしい。
  27. 古屋良平

    古屋証人 太洋、あります。
  28. 内藤隆

    内藤委員長 その会社名義買つておるようですな。
  29. 古屋良平

    古屋証人 そういうふうに、秋葉原支店としては事情やむにやまれないことですが、太洋へ頼んで、太洋名前をば借りたとでも申しますか、やることに支店で話を進めたもののようでございます。
  30. 内藤隆

    内藤委員長 会社経営上やむを得ぬから、そういうような脱法行為をやつた……。
  31. 古屋良平

    古屋証人 そういうことを当時の支店長がとりはからつたようであります。
  32. 内藤隆

    内藤委員長 支店長がやつたので、あなたはそのことは知りませんか。
  33. 古屋良平

    古屋証人 その当時は知りませんでした。
  34. 内藤隆

    内藤委員長 ともかくも集中排除法禁止事項を無視して、会社がやつたということはお認めになりますか。
  35. 古屋良平

    古屋証人 そういう話を進めたということですね。
  36. 内藤隆

    内藤委員長 けれども金は出しておるのだからね。実際に……。それから聖十字学園は、社会事業にこれを供用する目的国有財産払下げを受けたものであることは間違いない。一体あなた方がその目的を無視して取引をやつたのはどういうわけなんですか。何かそこていきさつがなければならぬと思うが……。
  37. 古屋良平

    古屋証人 別に無視したというような何は考えておらぬですが、また聖十字学園がどのようなことを営んでおり、どのような性格を持つておるかということは、当時私どもはそういうことは知らなかつたのでありますから、別に無視しておるというようなことは……。
  38. 内藤隆

    内藤委員長 聖十字学園というものは、社会事業をやつておるということくらいはわかつてつたでしよう。
  39. 古屋良平

    古屋証人 社会事業をやつておるか——その後これが明らかになつたときは、そういうことは伺いましたけれども、当時聖十字学園がそういう社会事業とか、また何のためのものであるかということは考えておりませんでした。
  40. 内藤隆

    内藤委員長 考えずにやつた
  41. 古屋良平

    古屋証人 ええ。
  42. 内藤隆

    内藤委員長 何か財務局との了解があつたのですか。
  43. 古屋良平

    古屋証人 当時、財務局了解を得ることもなかつたじやないかと思いますね。聖十字学園とのみの交渉であつたようでありますから……。
  44. 内藤隆

    内藤委員長 ところが第一回の代金三百五十万円というものは、日通の社員が相手方の聖十字学園を通じないで直接に財務局へ持つて行つておるようです。これはどういうことですか。
  45. 古屋良平

    古屋証人 わかりませぬですね。当時の秋葉原支店がどのような手続によつて直接払い込んだか、それはわかりませんですが、聖十字学園の内金としてとこれにもありますし、いろいろな書類にもあります通り聖十字学園のものとしてかどうか知りませんけれども、とにかく聖十字学園を一応通したということにはその後の書類においてもなつておりますから、直接私どもの方と財務局の方と取引したということはございませんですね。
  46. 内藤隆

    内藤委員長 書類にはそうなつているが、事実は直接に持つてつたことは間違いない。
  47. 古屋良平

    古屋証人 ああそうですか。私ども自分でそういうことをやつていないからわからないです。
  48. 内藤隆

    内藤委員長 しかし経理部長としてどうです。
  49. 古屋良平

    古屋証人 申し上げますが、経理部長としていろいろな——こんな問題は珍しいですが、経理部長という仕事は、財産関係ばかりでなく、あらゆる収支は経理部長が一切やつております。ですからこういうこまかいことまで——その当時日通の人間が実際持つて行つて払い込んだかどうかということまで私どもは……。
  50. 内藤隆

    内藤委員長 脱法行為をやつて三百五十万円から現金を持つて行くのがこまかい仕事ですか。
  51. 古屋良平

    古屋証人 こまかいと申すと言葉が悪いかもしれませんが、日通の職員が持つてつたかどうかということまでは承知しておらぬのです。
  52. 内藤隆

    内藤委員長 昨日調べた証人証言によりますと、日通聖十字学園なるものの園長なりあるいは理事長というものを信頼せず持つてつたんだ、こういうような証言もありました。
  53. 古屋良平

    古屋証人 それはその分まではわからぬですな。信頼しなかつたかどうかということも、私が当事者で取引をやつておりますれば、まあ信用できないから直接払い込んだらよかろうというようなことも言つたかもしれませんけれども……。
  54. 内藤隆

    内藤委員長 あなたの会社会計検査院から調査を受けたことがありますか。
  55. 古屋良平

    古屋証人 会計検査院から調査を受けるということは、日本通運株式会社法によつて、半官半民の当時は会計検査院から調査を受けたように承知しておりますが……。
  56. 内藤隆

    内藤委員長 それはどういう問題ですか、単なる会計調査ですか。
  57. 古屋良平

    古屋証人 私ども支社はそういうことはございませんが、本社の方は年にたしか一回でしたか、本社の方へ会計検査院から見えていろいろと御調査があつた。これは定期的にありました。
  58. 内藤隆

    内藤委員長 この聖十字学園契約条項違反により財務局から契約の解除を受けるごとになつたとき、日通財務局に対し事情を具申嘆願した結果、この既買収地のほか別に二百坪を増加してもらうことになつたそうですが、そういう事情を御存じですか。
  59. 古屋良平

    古屋証人 それは承知しております。それは当時お話のございましたように三百五十万円、あるいはその後にばらばらにいたしまして合計は四百二十何万かが一応聖十字学園に渡つておることになつておるのですが、これが聖十字学園の違約によつて日通へ渡らない。それから先ほど申し上げましたように、日通としてはどうしても土地をほしいということから、そうした土地を物色しておりましたところが、たまたま違約によつてどもに別な場所払下げしてくだざるというようなお話もございましたので、財務局へお願いして払下げを受けました。しかしそれは別につけ加えた、まあ二百坪ふえたような感じでございますけれども、計算その他すべては二百坪を包含したものによつて受けたようであります。
  60. 内藤隆

    内藤委員長 あなたが東京支社経理部長のとき、昭和二十六年の三月の二十六日と思いますが、車両部長連名本社会計部長車両部長宛書簡のうちにこういう文書を書いたことを御記憶ありますか。「該土地はその後土地価格が高騰しており払下要請も多く又払下価格も修正されてありましたが、既支払金の事実も明白であり、又当社松尾監査役の再三の御奔走もありまして、払下の価格の査定に関し、前記既支払代金織り込み格安にする条件を附し、払下げ契約締結方内意があつた次第であります」云々という書簡をやつた覚えはありますか。
  61. 古屋良平

    古屋証人 ございます。
  62. 内藤隆

    内藤委員長 それでは何か内意があつたというのは……。
  63. 古屋良平

    古屋証人 これは実はほしいほしいのあまりに、当時日本通運も金には苦しい。そこでこうした施設はもうほとんどできなかつたのですが、何にしても前の三百五十万、また四百二十万から払つておるということと、それから地所を欲しいという秋葉原要請、何しろ百二十台からの自動車置き場所がないというのでありますから、そこでそういうようなほしさのあまりから、本社に対しましても、トリツクというとおかしいのですが、そういうふうに言葉を用いて、一々本社も現地へ出て来てあちらこちら値段調査をしてまわるわけでもありませんので、私どももそうした言葉を用いて、そうしてこれほど安いのだ。それからまた当時三百五十万という金を、財務局の方へもこれは見ていただきたい。どうしても見ていただかなければ私ども責任上困るというようなことで御要請したのですが、財務局はそういうものは見られない。聖十字は聖十字であり、日通日通であるからそういうものは見られない、価格は適当な、こちらで評価した値段払下げをする、こういうことであつたのですが、その通りのことを書いてやつたのでは本社はなかなか承認しないのです。そこで本社にひとつ何とかして承認願うには、この程度のことでも書かなければだめだろうということで書いたことなんです。それから松尾さんは監査役でありまして、私ども払下げを受けたい一心から、松尾監査役にもお願いしてごあつせんを願つた。しかしそういうことはおれも困るな、昔は知らぬこともなかつたけれども、今はそういうことは困るというお話でしたが、ぜひひとつ橋渡しを願いたいというようなことで、松尾さんが役所の方に何回か——再三再四という言葉が今使つてありますが、一回か二回伺つて、そしてお願いしたことはございますが、そのときも松尾監査役価格の問題にはできるだけ安くしてくれという言葉は申し上げましたけれども、内々にしてくれなどという話は言わなかつたようです。また役所の方でもその程度にしてやろうというようなことはその際にはお話はなかつたのです。
  64. 内藤隆

    内藤委員長 松尾という監査役大蔵官僚であつて会計課長か何かしておつたんでしよう。だからそういう場合に大蔵省を説き落すために監査役に雇つてあるんでしよう。
  65. 古屋良平

    古屋証人 必ずしも——国有財産払下げを受けることは、幾年に一回か、それこそわかりませんので、私ども専売局——これはたしか専売局関係ではないかと思うのですが……。
  66. 内藤隆

    内藤委員長 そこでこの文面にある「内意があつた次第であります」というのは、内意とは松尾さんの再三の奔走による内意ですか。
  67. 古屋良平

    古屋証人 それはまあ君の方にも三百五十万円という損害役所がかけたわけではないが、君の方も非常に損をしておるな、特に君の方は公共事業会社でもあり、一応払下げしようとする場合には、そういうものに払い下げる方がいいのだから、払い下げてやろうというようなことで、折衝する間にそういうお話もあつたわけです。
  68. 内藤隆

    内藤委員長 大体坪七千円くらいする、当時の七千円、八千円ともいいますが、そういう土地を四千円で買い受けたことになるのですな。一体現在その付近土地地価はどれほどしておるか存じませんか。
  69. 古屋良平

    古屋証人 当時は私ども地価が幾らしておるというようなことは実は調べてないのです。ただ先ほど申し上げましたように、買いたい一心で、七千円するとか八千円するとかいうことであつて、別段当時の相場八千円だが、四千円にしてくださいということで懇請も申し上げませんし、また地価付近でどのくらいしたかというようなことも、うわさなどが、あの辺どのくらいするだろう、あるいは六千円であるとも言うし、表でなくて裏の方で使いにくい場所なんだから、四千円でも高いよというような説もありますけれども、とにかく本社にはそうした文面で安く買つたから、従つてこれは内輪の話ですが、三百五十万円あるいは四百万円の金がカバーできるのだというようなことにでつちあげたわけです。そうでなければそれだけの場所本社はうんと言わないのです。
  70. 内藤隆

    内藤委員長 そうするとこの四千円という評価価格は一体だれがきめたんです。
  71. 古屋良平

    古屋証人 これはお役所の方できめた。
  72. 内藤隆

    内藤委員長 お役所のだれです。
  73. 古屋良平

    古屋証人 だれかわかりませんけれども……。
  74. 内藤隆

  75. 古屋良平

    古屋証人 そうです、お役所の方できめていただいて、そうして私ども代金を払い込んだわけですから。あるいは四千円ちようどに査定していただいたかどうか、書いたものを見なければわかりませんが……。
  76. 内藤隆

    内藤委員長 とにかくあなたの方でそういう裏工作を、いろんな圧力をかけたかどうか知りませんが、いろいろな運動をして、半分値くらいで買つた、それは会社としてはいいでしよう。また付近の者もその影響を受けて安く買つた。しかしながら一方それを払い下げた国家はここで非常な損害をしておるわけです。そうでしよう。一体あなたはこういう事実に対してどういうお考えですか。
  77. 古屋良平

    古屋証人 言葉は過ぎるかもしれませんが、私ども財務局に別に裏面工作をやつたためしも絶対ございません。そういうことはちよつと納得行きませんです。
  78. 内藤隆

    内藤委員長 ここに書いてあるでしよう。
  79. 古屋良平

    古屋証人 ですからそういうことを、内輪としてそうしなければ本社がお許しをしないから……。
  80. 内藤隆

    内藤委員長 それはりくつだ、おかしい。内輪だから何もこういうことをやる必要はないじやないか。
  81. 古屋良平

    古屋証人 やる必要もないが、なかなか買つてくれないのですよ。
  82. 内藤隆

    内藤委員長 とにかく車両部長並びに経理部長両名の連名でやつた手紙の中に、ここに書いてあるから、私は裏面工作をやつた、こう言うのです。
  83. 古屋良平

    古屋証人 その当時の文書には——先ほど来申し上げる通り、そういうような裏面工作というようなことは全然やつたことはございませんし、しかも松尾さんが行きましても、お役所行つて一、二度頭を下げる程度でございまして、そういうような裏面工作というようなことはいたしません。
  84. 内藤隆

    内藤委員長 今あなたは何も松尾さんがどうしたか知らぬとおつしやつたが、そこまで松尾監査役をあなたは弁明する立場でないでしよう。
  85. 古屋良平

    古屋証人 いや別に弁明もいたしませんが……。
  86. 内藤隆

    内藤委員長 ここにあなた自身が書いておつて、弁明してはいかぬですね。
  87. 古屋良平

    古屋証人 ええ。
  88. 内藤隆

    内藤委員長 そこでどうです。そういう損害を国に与えたことを、あなたはどうお思いになりますか。
  89. 古屋良平

    古屋証人 私これも何と申し上げていいか、私どもが特に安くしていただきたいということで裏面工作をし、また私自身がお役所の方にお会いして、そういうような値段にきまつたとしますと、私ども国家に対して相済まぬと考えますけれども、私といたしますと、お役所の皆さんのお顔も存じませんのですから……。
  90. 内藤隆

    内藤委員長 あなたは、そういう評価をしたのはこちらから頼んだわけじやない。それは財務局自身でやつたのだから……。
  91. 古屋良平

    古屋証人 そういうことなんです。
  92. 内藤隆

    内藤委員長 もし国家損害を与えたとすれば、財務局のお役人自身がやつたのだ。
  93. 古屋良平

    古屋証人 そういうことでございます。
  94. 内藤隆

    内藤委員長 他に——高木君。
  95. 高木松吉

    高木(松)委員 どうも事実がはつきりいたしませんから、くどいようだが聞いておきたい。  旧衛生試験所跡土地というものは証人は知つておられるのでしようか。
  96. 古屋良平

    古屋証人 場所でございましようか。
  97. 高木松吉

    高木(松)委員 はあ。
  98. 古屋良平

    古屋証人 場所は存じております。
  99. 高木松吉

    高木(松)委員 そこで幾坪手に入れられたのです。全部で……。
  100. 古屋良平

    古屋証人 それは最初の私ども買おうとして買えなかつた分でございましようか。それともあとで払下げを事実受けた分でございましようか。
  101. 高木松吉

    高木(松)委員 ここを聞きたいのです。聖十字学園から最初買受ようとした坪数は幾らであるか。
  102. 古屋良平

    古屋証人 申し上げます。最初の分は土地一千百十二坪五合六勺です。それから建物は二階建の建物で延べで八十坪一棟……。
  103. 高木松吉

    高木(松)委員 そこでお尋ねいたしますが、その物件をあなたの秋葉原支店聖十字学園との間に契約ができたのですか。
  104. 古屋良平

    古屋証人 これは当時、先ほどお話の中にもありましたように、私ども投資会社太洋自動車株式会社との間に——間と申しましても、秋葉原支店名前を借りたものによつて、この契約ができております。
  105. 高木松吉

    高木(松)委員 そこを明瞭にしてもらいたい。直接契約できたのでなければ、その名前を借りたところとどういう契約をして、その名前を貸したものと聖十字学園との間に、どういう契約ができておるかという事実を明らかにしてもらいたい。
  106. 古屋良平

    古屋証人 これは太洋自動車株式会社名前を借りたのでありまするが、事実は日本通運秋葉原支店との契約であるということでございます。
  107. 高木松吉

    高木(松)委員 そうするとその形において契約した契約内容お話しください。
  108. 古屋良平

    古屋証人 太洋自動車株式会社聖十字学園との間の契約でございましようか。
  109. 高木松吉

    高木(松)委員 そのあなたが今お話になつたような形で行われた契約内容です。
  110. 古屋良平

    古屋証人 契約書は今持つておりませんが、あるいは契約書がありますかどうですか。こういう内容でございます。昭和二十四年四月二十五日に約束しましたのが、太洋自動車聖十字学園の間でございます。事実はこれは名前を借りただけですから、日本通運秋葉原支店で、先ほど申し上げたように土地が一千百十二坪五合六勺、一棟八十坪ですが、支払い条件契約と同時に三百五十万円を聖十字学園払つて、それから所有権移転登記がなされたと同時に残りの七十二万七千七百二十八円を支払う、こういう契約内容でございます。そうしまして二十四年四月二十五日に三百五十万円払いまして、それからその後に幾つかに分割いたしまして、残りの七十二万七千七百二十八円を支払つております。従いまして移転登記が完了されないのに、これだけの金額を向うの要請によつて支払つたということになつております。
  111. 高木松吉

    高木(松)委員 それで、その契約聖十字学園で履行しなかつたのでしよう。
  112. 古屋良平

    古屋証人 はい、そうであります。
  113. 高木松吉

    高木(松)委員 金は渡したが……。
  114. 古屋良平

    古屋証人 はい、そうであります。
  115. 高木松吉

    高木(松)委員 そこで少くともそれだけの地所を買う、それだけの代金支払うというからには、大蔵省の地所である、国家地所である、どういう手続と、どういう方法で聖十字学園に一応来て、それからあなたの方に移るのだというようなことに対して調査研究した事実がありますか。
  116. 古屋良平

    古屋証人 これは申し上げますが、国家地所であるということは承知しておりました。従いましてまた聖十字学園の所有でもないということもはつきりしておりました。ただ聖十字学園といたしますと、三百五十万円の支払いをすれば、あとは——これは聖十字学園役所との契約書内容にございますようですが、三百五十万円を第一回に払い込め、あとは延納を順にして行けばよろしい、こういう契約であるようでありまして、それが聖十字学園名義に移るから、そこで日通契約内容のものは日通へ引渡す、こういう約束であります。
  117. 高木松吉

    高木(松)委員 そこで払下げ物件がどういうふうにされるか、払下げたらすぐ転売してよろしいというようなことがあるのかないのか、そういうこまかいことは調査しなかつたのですか。
  118. 古屋良平

    古屋証人 それは当時もうかつでした。秋葉原の店とすると調査をいたしませんでした。
  119. 高木松吉

    高木(松)委員 そうしてその契約聖十字学園に金を払つたが、結局地所は来なかつたということですか。
  120. 古屋良平

    古屋証人 はあ、そうでございます。
  121. 高木松吉

    高木(松)委員 それで地所が来なければ問題ですから、どうなつたのですか、その後……。
  122. 古屋良平

    古屋証人 そこで私どもも、聖十字学園の当時渡辺、磯川両氏と、秋葉原の店も支社に対しても本社に対しても申訳ないというので、必死になつて追いかけまわしたようですが、もう居留守を使われる、ぬらりくらりで、どうにも相手にならない、一箇年以上も過ぎ去つている事実なんで……。そこでその後に磯川をつかまえまして、厳談いたしましても、これだけはどうにもならなかつたということであります。
  123. 高木松吉

    高木(松)委員 その三百五十万円というのは一体どうなつているのです。
  124. 古屋良平

    古屋証人 そこで私ども会社といたしまして三百五十万円、そのほかに……。
  125. 高木松吉

    高木(松)委員 三百五十万円だけ聞いておるのです。
  126. 古屋良平

    古屋証人 三百五十万円は、その後磯川との間に、仮の払下げを受けました地所を担保といたしまして、抵当権の設定をしております。
  127. 高木松吉

    高木(松)委員 それから七十二万円の方は、これは何の金です。
  128. 古屋良平

    古屋証人 これは彼と約束した代金の三百五十万円の残りなんです。
  129. 高木松吉

    高木(松)委員 きのうの証人によると、その三百五十万円というものはあなたの方から持つて行つて、受取りは聖十字学園の受取りをとつて来た、こう言つておるのですが、そういう事実があるんじやないですか。さつきからの話を聞いていると、相当危険な状態の上に必要性に迫られてこの土地を買い込もうとしたらしい、それはわかる。そうすると、少くともあなた方は商人である以上、危険だと思えば金の行き先を確めることは当然だと思う。大蔵省に支払うべきものか、聖十字学園の磯川君の手に行くべきものか確めなければならぬ。そうなると、大蔵省へ持つて行けば安心なんだけれども、持つて行かなければ不安心なんだから、あなたの方で現金を大蔵省へ持つて行つて、受取りだけ聖十字学園に持つて来るというのが道理のようであるが、その点についてどういう事実があつたのですか。
  130. 古屋良平

    古屋証人 私ははつきり記憶がありませんが、聖十字学園のどなたかと秋葉原支店の者と一緒に財務局に伺つたのじやないかと思います。
  131. 高木松吉

    高木(松)委員 結局地所所有権移転ができなかつた。で、その後あなたの方から大蔵省の方へ、これは困るというので、掛合いを始めたのですか。
  132. 古屋良平

    古屋証人 大蔵省の方に掛合いはいたしません。
  133. 高木松吉

    高木(松)委員 財務局との間に……。
  134. 古屋良平

    古屋証人 財務局との間には私ども掛合いはいたしません。
  135. 高木松吉

    高木(松)委員 事実を明らかにしたいからお尋ねするのだが、だれがあなたの方へ、直接財務局の方から地所を払い下げるという形において所有権を取得する世話をやつたのですか。
  136. 古屋良平

    古屋証人 財務局の方にお伺いして、どなたが係かということを伺つて、私どもの店の者が折衝申し上げたのです。
  137. 高木松吉

    高木(松)委員 そこを聞きたいのです。要するに聖十字学園では自分のものとして所有権を取得して、あなたの方へ直接渡したわけではないでしよう。
  138. 古屋良平

    古屋証人 はい。
  139. 高木松吉

    高木(松)委員 財務局から直接あなたの方で払下げを受けているのでしよう。
  140. 古屋良平

    古屋証人 それは、これがどうしても聖十字学園から渡らない、そして同時にまた聖十字学園の方の契約も解消された後のことであります。
  141. 高木松吉

    高木(松)委員 それを聞きたいのです。そこでそういう状態になつてからあなたの方で、少くとも財務局交渉してそういう結果を生んだんでしよう、現在のような結果を。その交渉内容を話してほしいというのです。
  142. 古屋良平

    古屋証人 交渉内容と申しましても別に申し上げるような何はございませんでして、聖十字学園に渡らない、破約になりました土地を、私ども大体必要の面積だけ払下げを……。
  143. 高木松吉

    高木(松)委員 あなたがお話なつ地所、家屋は、財務局と随意契約ですか競争入札ですか。
  144. 古屋良平

    古屋証人 随契のようであります。
  145. 高木松吉

    高木(松)委員 随意契約をするということになれば、両方当事者だから資格の問題と価格の問題が出て来るので、折衝した事実がないとはわれわれには受取れないのだが、その点はどうです。
  146. 古屋良平

    古屋証人 折衝した事実は、先ほど文書の中に——裏面工作というお話もありましたが、裏面工作はございませんけれども、私ども折衝申し上げた事実はございます。それによつて払下げを受けたのであります。
  147. 高木松吉

    高木(松)委員 そこで折衝の詳細を聞きたいのだが、長くなるでしようから私の方から質問いたします。価格の問題は、少くとも前に聖十字学園払つたこの三百五十万円の損失があなたの方にありますね。
  148. 古屋良平

    古屋証人 はあ。
  149. 高木松吉

    高木(松)委員 この払下げ価格に対して三百五十万円のあなたの方の損失は全然考慮の中に入つておりませんか。
  150. 古屋良平

    古屋証人 入つていないと考えます。
  151. 高木松吉

    高木(松)委員 そうしますと、三百五十万円のあなたの方の損失を考慮せずに、何のゆえあつて随意契約であなたの方へ払下げなつたのですか。
  152. 古屋良平

    古屋証人 私ども考えますのに、日本通運は普通の企業でなく公共性を持つた通運業でございますので、おそらくそうした見地から一般のこれをもつて営利の商売をするのと違つて、国民大衆の貨物を輸送するトラツクの収容場所がないという……。
  153. 高木松吉

    高木(松)委員 わかりました、そう長く言わなくても。おそらく直接間接に国家民衆のために利益でない仕事というものはない。あなたのそんな説明を聞こうとしているのではない。当時は集排法の適用を受けた時分ではないですか。
  154. 古屋良平

    古屋証人 第二段の払下げを受けましたときは集排法はもうすでに解除になつた後であります。
  155. 高木松吉

    高木(松)委員 それではもう一つお尋ねします。あなた方は要するに公共の目的だということで随意契約をなすつたんですか。あなた方の会社は公益を目的とする会社だから払下げの資格があるというので大蔵省はあなた方の方に随意契約をなすつたのですか。
  156. 古屋良平

    古屋証人 私どもはそういうふうに解釈しております。
  157. 高木松吉

    高木(松)委員 今はどう考えておりますか。
  158. 古屋良平

    古屋証人 ただいまもそう考えております。
  159. 高木松吉

    高木(松)委員 価格の問題ですが、あなたの方へこの地所払下げられるからには価格というものに重大な条件がいる。この価格に対してあなた方はどういうふうに考えてこれが適当だとお思いになつたのですか。
  160. 古屋良平

    古屋証人 これは先ほど申し上げましたが、私どもも、あそこの土地払下げを受けます場合に、幾らが正しい値段かというようなことはあちらこちら聞きましたが、あるいは四千円ともいい、五千円ともいい、表通りならば六千円だとか七千円というようなことも聞きましたが、表通りではございません。私どもも一度場所を見ましたが、入口は狭く、裏の方へ行つて広がつている地所でありますので、値段とすれば四千円ならばまずまず正しい値段だ、こう考えまして値段の約束をしたようなわけであります。
  161. 高木松吉

    高木(松)委員 最後にお尋ねしますが、あなたの方の側、いわゆる買受け側のあなたの方で、三百五十万円の財務局払つた金を、今度支払つて買つた地所価格に織り込んで買いとろうとすることは、あなた方の立場としては当然起きて来る考え方なんだが、そういう考えは起きなかつたのですか。
  162. 古屋良平

    古屋証人 当時それを含んでというよりは、それをむしろ進んで見てくれ、私どもの方が事実払つたことなんだからということで、財務局へも懇請したのですが、財務局日通聖十字学園は違うのだから、日通の払込みを今度払い下げるものに見込むということは絶対ならぬということで、はつきりお断りを受けました。
  163. 高木松吉

    高木(松)委員 そこで今あなたの口に出て来た三百五十万円は、あなたの方では、それは債権があるかないかは別として、実際問題としてはむずかしい状態に置かれているわけです。それを織り込んで価格をきめようと努力をしたということは事実なんだな、今言つたように……。
  164. 古屋良平

    古屋証人 一応お願いはいたしました。
  165. 高木松吉

    高木(松)委員 それには相当しつこい努力をさるべきものでもあるし、なお相手方の方でも人情としてそれは考慮せらるべきものであると思うのだが、その点はどうだつたんですか。
  166. 古屋良平

    古屋証人 それがあまり人情をかけていただけなかつたのです。
  167. 高木松吉

    高木(松)委員 ほんとうですか。
  168. 古屋良平

    古屋証人 ほんとうです。
  169. 高木松吉

    高木(松)委員 監査役が出て行つていろいろ骨折つたということは、その場面ではないのですか。
  170. 古屋良平

    古屋証人 であつたのですが、監査役も帰つてみて、どうも値段の点はだめだと言つておりました。
  171. 高木松吉

    高木(松)委員 そこで先ほど委員長が聞いたような書簡内容ができ上つたのではないですか。
  172. 古屋良平

    古屋証人 まあそういうことに、本社買つてもらいたい一心で、値段も安いのだ、松尾さんにも奔走していただいたから、この値段が一番安いのだというところででつちあげて、そうして書面を出して——これは内幕をお話して恐れ入りますけれども、およそ私どものような大きい会社でありますと、こんなような策略もたまにはやることがあります。
  173. 高木松吉

    高木(松)委員 それではあなたにはつきり聞きたいのだが、証人は当委員会から書簡行つてから、財務局の人に会つているでしよう。
  174. 古屋良平

    古屋証人 財務局のどなたでしようか。
  175. 高木松吉

    高木(松)委員 だれでもいい。
  176. 古屋良平

    古屋証人 一人も会つておりません。第一、財務局のどなたが……。
  177. 高木松吉

    高木(松)委員 どなたでもいいから、それは会つていないと言い切れますか。
  178. 古屋良平

    古屋証人 言い切れます。
  179. 高木松吉

    高木(松)委員 もし会つていれば偽証ですからね。
  180. 古屋良平

    古屋証人 これを何のために書いたか、私は天地神明に恥じずに書いたのであります。
  181. 高木松吉

    高木(松)委員 それをはつきりしてください。会いませんね。
  182. 古屋良平

    古屋証人 会いません。私はそういう人間ではありません。
  183. 田渕光一

    ○田渕委員 いろいろ聞きたい点があります。今高木委員質問に関連してですが、証人は公共性を持つた会社である、こう数回言つております。公共性を持つた会社であればこそ、北海道の端から九州まで一駅一店主義でマル通にやらせていることは、われわれも知つている。これは何十億の資産になるか知らぬが、少くとも公共性を持つた会社であるものが、各支社が、あなたのような者ばかりおつて、トリツクだの、策略だのを用いて、この会社の金をもし濫用し、濫費するということがあつたらどうなるか、それをまず伺いたい。
  184. 古屋良平

    古屋証人 お尋ねの中にありました、日本通運は独占事業、一駅一店とおつしやいましたが、現在では通運業法によりまして、各駅に一店ないしは場所によりますと三店程度のものが、一昨年から免許制によりまして営んでおりますから、現在では日本通運は一駅一店のものではございませんことをまず申し上げておきます。  それからお説のように、日本通運がいろいろな場合に、本社支社ともかようなトリツクを用いて、そうしてよけいな金を使う、そういう点についてでございますが、これは私どもの方は、この土地をほしいほしいという一心でやつたわけでございまして、あらゆる万般がこういうような乱脈をきわめたことでないことを御了承願いたいと思います。
  185. 田渕光一

    ○田渕委員 もちろん私の言うのは、実質上一駅一店の力を持つてつているということを言つておるわけでありまして、二、三認可制になつたことも存じております。しかしその公共性を持つた日通ともあろうものが、支社本社にトリツクをし、あるいはでつち上げ、ときによれば策略もやつておるというようなことを、各支店でやり出した場合には、私は日通本社の権威が持たぬと思う。そこで聞くのでありまするが、経営上何としてもほしいほしいの一点で、当時集中排除法——金を契約したのは排除法が廃止になつてからでありまするが、当時少くとも集中排除法の規定によつて、マル通は特殊会社整理委員会の承認を得なければならぬ、こういうことを知つていながら、太洋自動車に、自動車修理というような名目で出金伝票を出している。それを当時の経理部長のあなたは知つていますか。
  186. 古屋良平

    古屋証人 それは先ほど申し上げました通り、まことに相済みませんが、そういうことまで知らなかつた。それは支社に申請してもだめ、本社に申請してもだめということがはつきりわかつたものですから、当時の支店長ちよつと太洋名前を拝借した、こういうことでございます。
  187. 田渕光一

    ○田渕委員 秋葉原支店長がほしいほしいの一心からかりにやつて来ましても、あなたには支社経理部長としての最後の金の責任がある。三百五十万円の金を秋葉原支店に出したのではないか。東京支社経理部長が決済をして、一切の権限を持つておる経理部長の資格で、集中排除法も、特殊会社整理委員会に行つていることもよく知つておりながら、あなたが三百五十万円の金を出した。これを堂々と大蔵省に持つて行けばいいのに、わざわざ太洋自動車という子会社に振りかえて、自動車修理というような——これは明らかに策略だ。自動車修繕費仮払いとして太洋自動車に三百五十万円の小切手を出した。ここに作為がないと言えますか。集中排除法があつて、それにひつかかることを知つておるから、太洋自動車なるものに、いりもせぬのに修繕費としてあなたの方から金を持たしてやつておるのじやないですか。
  188. 古屋良平

    古屋証人 これは、その当時私どもとしては金を出したのではございません。秋葉原支店として出したのでございます。支社の私どもが出したのではございません。
  189. 田渕光一

    ○田渕委員 支店長が出したと言いますが、ここにあがつておるように、あなたの方の、日本通運株式会社東京支社の伝票で切つているじやないですか。伺いますが、あなたの下に経理主任の大橋というのがおりますか。
  190. 古屋良平

    古屋証人 大橋というのはおりません。
  191. 田渕光一

    ○田渕委員 経理課長の田中というのは……。
  192. 古屋良平

    古屋証人 おりません。
  193. 田渕光一

    ○田渕委員 代理で佐藤というのは……。
  194. 古屋良平

    古屋証人 おりません。
  195. 田渕光一

    ○田渕委員 そうすると、要するにこの東京支社の伝票で出ているのは……。
  196. 古屋良平

    古屋証人 伝票は東京支社という印刷で全支店に配給しておりますが、それを各支店で使つておりまして、支社の伝票ではございません。
  197. 田渕光一

    ○田渕委員 支社の伝票ではないと言うが、それでは秋葉原支店太洋自動車に三百五十万円の仮装の伝票を切つたということを、あなたは支社経理部長として知つておられますね。
  198. 古屋良平

    古屋証人 その後に承知いたしまして、たいへんなことをしてくれたということでございましたが……。
  199. 田渕光一

    ○田渕委員 そうすると、この秋葉原地所は、支社の方へは相談なく、秋葉原支店だけでもつて買つたのでありますか。
  200. 古屋良平

    古屋証人 先ほど申し上げたように、支社に話してもこういうものは承認してくれない。もちろん本社などは当時は頑強に否定しましたから、だめだというので、当時の支店長がやりました。
  201. 田渕光一

    ○田渕委員 そこで伺いたいのだが、少くとも最初は千百十二坪何がしでそれを三百五十万円に七十二万か足して、結局四百二十二万七千七百二十八円で買つた。千百十二坪というのは、聖十字学園の関連性においてやむを得ぬが、松尾監査役奔走したために、さらにここに二百坪増して財務局から受けた。それはあなたの方から本社会計部長に出した二十六年三日二十六日の書類にちやんと出ておる。
  202. 古屋良平

    古屋証人 ございます。
  203. 田渕光一

    ○田渕委員 そうすると、時価よりも安いものを買つて、さらにまた二百坪とつたということになり、財務局をたぶらかしたことになるが、これはどうなる。
  204. 古屋良平

    古屋証人 それにはちよつとあなたの誤解があるのではないかと考えますが、別段最初値段通りで私ども買つたわけではございませんので、聖十字学園から土地をもらうときの値段とはちよつと違うと思うのです。それから二百坪というものは、私ども最初考えたものよりふえておりますけれども、それは二百坪ぽつんと残ることは困る、確かに使い道がそこは——私よく記憶ないのですが、私どもがそこをもらうことはむしろ迷惑なのを、それまで一緒に引取らなければ、それだけ残つたつておれの方ではどこへも払下げようがないというので、無理に押しつけられたように私ども考えております。
  205. 田渕光一

    ○田渕委員 そこであなたが最初三百五十万円金を出し、あとから七十二万七千七百二十八円を払つたのだ。これがこの問題の秋葉原土地でありましよう。
  206. 古屋良平

    古屋証人 そうです。
  207. 田渕光一

    ○田渕委員 それ以上の金が出ておりますか。
  208. 古屋良平

    古屋証人 そのほかにたとえば整地料だとか何とかというものは、これは内輪の話ですが、代金のほかに、整地料としてたしか何ぼか出ておると思います。
  209. 田渕光一

    ○田渕委員 その整地料は財務局払つたのでありますか。
  210. 古屋良平

    古屋証人 磯川の方で整地するというので……。
  211. 田渕光一

    ○田渕委員 私の方で伺うのは、財務局へあなたが四百二十二万七千七百二十八円より払つてないと、冒頭にあなたが証言されておりますから、二百坪ふえた金を払つたかどうかということを聞いておる。
  212. 古屋良平

    古屋証人 二百坪と、前の四百何万円とは全然違うのでありますから、話がごつちやになるように思うのですが、前のは磯川と私の方の場合のものでありますし……。
  213. 田渕光一

    ○田渕委員 私の聞くのは、あなたは幾ら払つたかという委員長の御質問に対して、三百五十万円の小切手と七十二万七千七百二十八円あとから払いました、それ以上の金は払つてない、と証言された。
  214. 古屋良平

    古屋証人 それは代金としてはさようでございます。土地をならして——承知のようにあそこはれんがですから……。
  215. 田渕光一

    ○田渕委員 よけいなことは言わぬでよろしい。四百二十二万七千七百二十八円しかあなたが払つていないとおつしやつた。それは間違いないか。
  216. 古屋良平

    古屋証人 それは代金としてはそうです。
  217. 田渕光一

    ○田渕委員 そうすると、二百坪の代金をどこへ払つた
  218. 古屋良平

    古屋証人 二百坪というのは、あとの口ですから。
  219. 田渕光一

    ○田渕委員 あとの口でも何でも金を払つてない。松尾監査役奔走によつて、千百十二坪に加えたんだろう。
  220. 古屋良平

    古屋証人 そこで四千円という値段の御査定を受けたのは、二百坪をつけてからのことでありますから……。
  221. 田渕光一

    ○田渕委員 あなたの説明を聞くのではない。とにかく四百二十二万七千七百二十八円しか払つていないと、あなたは言つている。あとは学園の磯川へ払つたか、渡辺へ払つたか私は知らぬけれども財務局払つた金はそれだけしかないのですか。
  222. 古屋良平

    古屋証人 ちよつと私にはわからない。
  223. 田渕光一

    ○田渕委員 わからぬというのはけしからぬ。千百十二坪というものは学園関係買つたまではわれわれ知つて来た。その金は三百五十万円と七十二万七千七百二十八円払つた。その以外のものは払わないということを委員長にあなたは証言された。
  224. 古屋良平

    古屋証人 ですからそれは代金としてはそうでございます。
  225. 田渕光一

    ○田渕委員 代金としては、それならばこれだけしか払つていないのですね。
  226. 古屋良平

    古屋証人 磯川に払つたのは……。
  227. 田渕光一

    ○田渕委員 財務局払つたのを聞いている。
  228. 古屋良平

    古屋証人 その磯川の分と、私どもがあとで払下げを受けた分とは全然別でございます。
  229. 田渕光一

    ○田渕委員 払下げを受けた額は幾らですか。
  230. 古屋良平

    古屋証人 私ども払下げを申請いたしましたのは、土地が三二九・〇八坪、それから建物が二九一・八三坪、それにどんなものであるか存じませぬが、工作物がついております。そして代金は御指定の通り代金でお受けいたしますということを言つております。
  231. 田渕光一

    ○田渕委員 幾らですか。
  232. 古屋良平

    古屋証人 代金はここに書いてございませんが……。
  233. 田渕光一

    ○田渕委員 議事の進行上申し上げましよう。あなたでわからなければ、これじやありませんか。財務局学園に対して契約を更改したが、残額の分については次のごとく新契約を締結したというので、あなたの方と財務局の方と契約をされておりませんか。
  234. 古屋良平

    古屋証人 あとの分はしております。契約はしてございますが、ここに持つて参らなかつたかな。
  235. 内藤隆

    内藤委員長 田渕委員に申し上げますが、少し教えてやらなければ、これは時間がかかつてしようがない。
  236. 田渕光一

    ○田渕委員 それでは申し上げましよう。あなたの方で払下げを六月十一日に関東財務局としたような書類がありますか。そういう資料はお持ちになりませんか。
  237. 古屋良平

    古屋証人 聖十字学園関係だけでして、あとの財務局との直接の分はここへ持つて参りません。
  238. 田渕光一

    ○田渕委員 結局私思うのに、この建物二百九十一坪というのは、最初八十坪の焼けれんがというか、れんがづくりの建物つたに違いない。これをあなたの方で買つたのでありますが、結局学園財務局との間の契約が解除になると同時に、あなたの方で土地千百十二坪を二百坪ふやし、建物を二百九十一坪に約二百十一坪ふやしておる。それから工作物一式——私はこの建物値段がふえたんだと思つてつたのですが、結局五百九十二万一千八百三十二円というものを払つておりますが、この記憶はございますか。
  239. 古屋良平

    古屋証人 ございます。
  240. 田渕光一

    ○田渕委員 それでは伺いますが、そもそもこの土地払下げするのは、社会事業、慈善事業であるところの聖十字学園へ払い下げる。そしてさらにその社会事業団体として浮浪者や、あるいは家出人を入れるとか、そういう方面に使うのだということで払い下げることにした。ところが、いよいよ契約したが、財務局払下げ決定に行くまでに金ができない。そこであなたの方の秋葉原支店から三百五十万円出した。それがどうもうまく行かぬというので、学園の方のものを解除をされてあなた方が受けた。それは公共性を持つた事業であるからという特例で随意契約で受けた、こう言う。もともとこれはあなたの方に行くべきものではなかつた学園からの縁によつてあなたの方へ入つたということはこれは事実です。しかるにあなたの方で五百九十二万一千八百三十二円というものを払い込んだかどうか、私は調べておらぬからわからぬが、あなたが記憶があるとすれば、払い込んだものと思う。
  241. 古屋良平

    古屋証人 あります。
  242. 田渕光一

    ○田渕委員 新規に払い込んだとすると、先の三百五十万円というものがあなたの方へ帰つて来ましたか、帰つて来ませんでしたか。
  243. 古屋良平

    古屋証人 帰つて参りません。
  244. 田渕光一

    ○田渕委員 そうすると、この二十四年の四月二十五日に秋葉原支店から関東財務局に払い込んだ三百五十万円という金は聖十字学園の領収証で来ておる。あなたの方で払い込んだ金が……。
  245. 古屋良平

    古屋証人 はい。
  246. 田渕光一

    ○田渕委員 それに対して聖十字学園の方からその当時支店の方で契約かあるいは金銭の仮領収証か何かもらつておきましたか。
  247. 古屋良平

    古屋証人 聖十字学園の方からもらつたものと思います。
  248. 田渕光一

    ○田渕委員 そうすると、聖十字学園社会事業団体であるために安くして払い下げたという事実はあなた認めますね。
  249. 古屋良平

    古屋証人 それは聖十字学園に対してでしようか。
  250. 田渕光一

    ○田渕委員 聖十字学園だからこういう安い値段でこれだけのものを払い下げてやつた。その払下げの第一回の金をあなたの方で立てかえた。ところが、財務局としては払下金の領収証は聖十字学園の方にしか出せない。あなたの方の金は宙に浮いておるわけです。持つてつたけれども、領収証はよその名前で、あなたの方としては仮領収証というものをとつておる。そうすると、これは聖十字学園の方へ払い下げるということを承知の土であなた方はこの金を出した。集中排除法あるいは特殊整理委員会の承認を受けなければならぬのに、そういうものをほしいという意味で、当時の集中排除法に違反しながらこの金を払つたということになるのだが、仮領収証をとつておるということになれば、これはどういうふうに考えますか。
  251. 古屋良平

    古屋証人 とつておると思います。
  252. 田渕光一

    ○田渕委員 とつているとすれば、知つているでしよう。聖十字学園に払い下げるべきものをかわりに払つたならよろしい。何ら土地ももらわず、慈善事業、社会事業団体であるから、よろしい、金が浮いているからこれを使いなさいといつて、トリツクしたり、策略したり、でつち上げたんならいいが、ちやんと三百五十万円の仮領収証をもらい、千百十二坪の買うべかりしものを買つた。あなたはそれを知つているでしよう。
  253. 古屋良平

    古屋証人 それは先ほど申し上げましたように、秋葉原支店がそういう支払いをしたわけであります。
  254. 田渕光一

    ○田渕委員 そうすると、当時の経理部長のあなたの責任ではなくして、秋葉原支店長の集中排除法違反の責任だというのですか。
  255. 古屋良平

    古屋証人 責任がどこというよりも、秋葉原支店長がそういうふうにして聖十字学園交渉して譲つてもらうということに話をきめたわけであります。
  256. 田渕光一

    ○田渕委員 秋葉原支店では三百五十万円とか四百万円とか一定の限度がありましようが、それは支店長の権限でやれますか。
  257. 古屋良平

    古屋証人 支店長の根限は交際費とか会議費とか、それからまだその他につきましても支店長の権限というものはきまつておりまして、一定の限度以上のものは支店長のはからいでは支払うことはできないことになつております。
  258. 田渕光一

    ○田渕委員 そこであなたに聞くのだが、あなたは秋葉原支店長に責任を負わすけれども秋葉原支店長には交際費とか何とか一定の限度があるが、三百五十万円までは権限があるのですか。
  259. 古屋良平

    古屋証人 いいえ、それは交際費に限らず、その他権限はありますが、それを支店長はかまわずやつたというわけなんです。申請をして、支社の承認を受けずにやつた……。
  260. 田渕光一

    ○田渕委員 支社の承認を受けずして三百五十万円もの金を一支店長が使えますか。
  261. 古屋良平

    古屋証人 使うといつても、これは当時の心境を支店長に聞かなければわからぬのですが、それは支社でもしかりまして、私どもそういうことをしてやつては困るじやないかということで、当時大分ごたごたしましたけれども支店長が少しはからい過ぎた。先ほど申し上げましたように、支社から本社に申請してももちろんだめだからというので、支店長がはからい過ぎた、こういうことです。
  262. 田渕光一

    ○田渕委員 働き過ぎただけでは済まぬ、これは集中排除法にひつかかるのだ。たとえば早川社長にひつかかつて来るのだ。その問題をただやり過ぎたというだけで済ませますか。それともその当時秋葉原支店長を何か処分しましたか。
  263. 古屋良平

    古屋証人 たしか何か始末はつけておると思いますが、ちよつと記憶がありません。
  264. 田渕光一

    ○田渕委員 これだけの大きな、社長をひつくくるような問題を起した。三年以下の懲役、十万円以下の罰金になつておるのですよ。日通の社長ははつきりひつかかつておるのですよ。日通の社長の何はあなた方本社にあり、本社の責任というのは分断されて支社にあり、支社のは秋葉原にあつて、この支店長の責任はどうしてものがれられませんよ。御存じなければ申し上げますけれども、これは集中排除法の二十三条ですよ。二十三条に「法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務又は財産に関して、第二十一条第一項〔委員会の命令・制限・禁止の違反等〕又は前条の違反行為をしたときは、行為者を罰する外、その法人又は人に対しても、各本条の罰金刑を科する。」こうある。
  265. 古屋良平

    古屋証人 ああそうですか。
  266. 田渕光一

    ○田渕委員 ああそうですがといつて、あなた時の経理部長ともあろうものが集中排除法をその当時知らなかつたのですか。
  267. 古屋良平

    古屋証人 そういう刑の詳しいことまで存じませんでした。
  268. 田渕光一

    ○田渕委員 あなたも良識もあることであろうから、これ以上言いませんが、そこであなたの方は松尾という元大蔵省の会計課長をしておつた者監査役という名目で入れて、そして当時の会計課長が今の財務局長と知合いという情実か何かの関係をもつて、これをいわゆる公共性という特例をしいて、随意契約であなたの方へ格安に払い下げた。これはマル通が公共性を持つているから払下げをすることはわれわれもいたし方ないと思う。ことに輸送の便宜をはかつているという公共性を持つているから、それは認める。しかしながらあなたの方の値段を坪三千円くらいにしたために、その付近におつた三十六戸のマーケツト、あるいはその他の建物地所も同じ値段の三千円そこそこ払い下げている。これらを合すると、国有財産を千八百万円も不当に払い下げたということになるのですが、マル通の松尾という元大蔵省の会計課長をしておつた男が監査役に入つたり、財務局長と情実の関係さえなければ、千三百坪というものも相当値段で売られた、少くとも坪六千円近くも安く売つておるという事実もここに上つておる。国有財産を千八百万円も不当に払い下げたということをあなたはどう考えます。
  269. 古屋良平

    古屋証人 私ども先ほどから申し上げるように、払下げを受けた値段がそういうべらぼうな安い値段であるかどうかということは考えておりません。また松尾もお役所伺つてお願いはしたが、当時値段の折衝は松尾さんは全然やつておいでになりませんから、その点私ども存じません。
  270. 田渕光一

    ○田渕委員 あなたは値段の折衝はやらなかつただろう、こう言うが、松尾監査役の再三の御奔走によつて大蔵省のさしずによつて書類をつくつた、こう書いてあるじやないか、あなた方の本社の方への報告は、これはどうなんです。
  271. 古屋良平

    古屋証人 さしずという——先ほど言うように、本社の承認を受けたい一心で、そうしたようなことも、再三の御奔走であつたわけではなかつたですが、再三の御奔走であるというようなことも書き、またおさしずというようなことも書いたもののように考えます。
  272. 田渕光一

    ○田渕委員 それでは元へもどりますが、結局あなたが経理部長車両部長連名で出したものは、本社を欺く、本社に対してでつち上げてやるということで、松尾はそういうふうにやらぬけれども、われわれはそういうように本社を納得せしめるべく書いた。
  273. 古屋良平

    古屋証人 はあ、そういうことでございます。
  274. 田渕光一

    ○田渕委員 じようだん言つちやいかぬ、それならばなぜ聖十字学園払下げるべきものが、あなたの方で金を立てかえて払つたが、契約を履行しないからと、そのとき三百五十万円だけとつてきれいに手を引かない、君らに坪三千円という安い値段で売つたためにマーケツトその他の地所も三千円ということで売つている。これを合体すると千八百万円からの不当な処分をしておるということになる。そういう影響があるということは、あなたは考えなかつたか。
  275. 古屋良平

    古屋証人 私ども値段をさし値とでも申しますか、これだけでほしいということを申し上げたことはございませんから、そういうようなことは考えてみたことはございません。
  276. 田渕光一

    ○田渕委員 ここが重大な証言ですよ。あなたはこれだけでほしいということを言うたこともなければ、さし値したこともない、そうすると関東財務局長はかつてに君たちの、松尾君の指令で払い下げたと聞いてよろしいか。
  277. 古屋良平

    古屋証人 いえ、私どもほしいということは希望いたしまして、願書は出しましたけれども値段についてこれこれの値段でもつて払下げを受けたいというようなことは申し上げた覚えはないのであります。
  278. 田渕光一

    ○田渕委員 それならばこれを関東財務局長がかつて値段を指定して、君の方へ払い下げた、松尾との情実関係で安く払い下げた。
  279. 古屋良平

    古屋証人 松尾との情実関係ということは、ちよつと私どもは……。
  280. 田渕光一

    ○田渕委員 情実関係だ、はつきりわかるじやないか、大蔵省の会計課長であつた者財務局長のところへ行つて、流してくれとお願いをしたのじやないか。
  281. 古屋良平

    古屋証人 そういうようにお願いはしましたけれども値段交渉はいたしません。
  282. 内藤隆

    内藤委員長 証人松尾君と財務局との交渉には立ち会つていましたか。
  283. 古屋良平

    古屋証人 おりませんでした。
  284. 内藤隆

    内藤委員長 それならどうして知つておる。
  285. 古屋良平

    古屋証人 それは当時松尾さんが帰つて見えて、値段はおれには幾らということは言えないから、おさしずの値段ということで頼んで来た。できるだけ安く頼むということは言つて来たと言つておりました。
  286. 内藤隆

    内藤委員長 そうすると、今田渕委員が聞いておつたのは、さような安い値段関東財務局役人が決定したと聞いていいかということです。
  287. 古屋良平

    古屋証人 どうも私どもおさしずの値段でいただきますということになつておりますので、わからないのですが。
  288. 内藤隆

    内藤委員長 わからないことはないじやないか。
  289. 古屋良平

    古屋証人 おさしずの値段で頂戴したいということを私どもつているのです。
  290. 田渕光一

    ○田渕委員 そうするとあなたが立ち会わないからわからぬが、松尾はつまりおさしずの値段でということを財務局長に頼んで来たから、安く売るだろうということをあなたが直接松尾から聞いたのですか。
  291. 古屋良平

    古屋証人 はあ聞きました。
  292. 田渕光一

    ○田渕委員 それは間違いありませんね。速記録に残るんですよ。
  293. 古屋良平

    古屋証人 残つてよろしゆうございます。値段だけは安くしてくれということは頼んで来た。
  294. 田渕光一

    ○田渕委員 あなたがそう言うと、財務局長がかつて松尾との情実で市価一万円ないし八、九千円するものを、わずか三千円で日通へ払い下げたということになるのですが、かまいませんか。
  295. 内藤隆

    内藤委員長 さいぜんの証人証言では、松尾監査役は、値段の問題には触れないとここに証言しているんです。しかるに安くしてくれと頼んで来たということは、値段の問題に触れている。
  296. 古屋良平

    古屋証人 私どもの考え方は、幾ら幾らにしてくれというような値段をお願いしたわけでなく、まあひとつなるべく安くしてくれ、こういうことを言つたというだけです。この点値段を幾ら幾らにしてくれということはおつしやらなかつたという……。
  297. 田渕光一

    ○田渕委員 この土地国有財産ですよ、国有財産払下げするのには、鑑定人を置くなり評価人を買くなり、あるいは競争入札にして、ほんとうに正しくこれを公平の値段で売らなければ、国民が持たぬ、国有財産を情実やマル通だという特例によつて安く払い下げられたことは。そうすると評価人はつけたか、あるいはあなたの方で値段を言わぬが、財務局がかつて松尾監査役交渉によつてしたのであつて、われわれはさし値をしたことはない、買う方では幾らでもいいが、——ただなら最も安いが、高くきめられた場合には、あなたは経理部長としてどうする。おさし値でよろしゆうございますと言うて、一万円の土地を一万五千円と言われたら、あなたはどうする、それを聞きますか。
  298. 古屋良平

    古屋証人 それはもちろん私もあまり高いと思えば、これは高いから幾らかもつとまけていただけませんかということを申します。
  299. 田渕光一

    ○田渕委員 高ければそう言うならば、なぜこういうように不当に安いものを、これで下つたら国会から問題が一起きませんか、国有財産を払い下げするのですから、財務局長これに異存がございませんかということの一言を連達しましたか。
  300. 古屋良平

    古屋証人 連達しませんでした。
  301. 田渕光一

    ○田渕委員 そうすると安い方ならいいということだね。
  302. 古屋良平

    古屋証人 私ども値段をさし値しないが、安くしていただければ安いだけけつこうだと思つております。
  303. 田渕光一

    ○田渕委員 そうすると要するに公共性もなく、一市井人にひとしい、安くさえあれば国家に迷惑をかけてもマル通だけ利益すればいいという経理部長の考えですか。
  304. 古屋良平

    古屋証人 いえ、私どもはお役所が、まさかに日通だからといつて、そんなばかばかしい値段、国会から問題にされるような値段で払い下げをしていただけるとも考えておりませんでしたから、お役所のおさしずの値段でけつこうです、こういうようにお願いしたのです。
  305. 田渕光一

    ○田渕委員 もう一点伺いますが、そこまで進んだらこれ以上はわれわれ常識で判断しましよう。ところであなたの方が二十六年の三月二十八日に、学園日通に対して、左記物件に五百九十九万円の抵当権を設定した、日通では何の意味で五百九十九万円抵当権を設定しましたか。
  306. 古屋良平

    古屋証人 これは三百五十万円と七十二万円なにがしと整地料とその他を合しまして、学園との間に抵当権の設定になつたのであります。
  307. 田渕光一

    ○田渕委員 そうすると学園は財団法人です。内容が悪くてもよくても一応。こういうようなものに対して、これらが非常な骨を折つて努力して来て、あなたの方の金でやつと契約が成立してとつたというやつを、次の金が払えないためにマル通に三分の一、そうしてその残つた三分の二というものを処分しながらやつて行くうちに、五百九十九万円の金を払わなかつたならば、あなたの方で抵当権を執行ずるでしようね。
  308. 古屋良平

    古屋証人 学園が払わなければ執行したいと思います。
  309. 田渕光一

    ○田渕委員 そうすると学園としてどうして経営できて行きましようか。
  310. 古屋良平

    古屋証人 学園が経営できないかもしれませんけれども、私どもとすると、欺かれたわけですから、それだけの抵当権の設定をするのは当然じやないかと思います。
  311. 田渕光一

    ○田渕委員 欺かれたのか、欺いたか、結果においては、とりようによつてはあなたの方で欺いておる。学園は仮装なる財団法人をつくつて財務局をだまし、あるいはまた民生局長をだまし、あるいはまた厚生省の児童局長をだまして書類をでつち上げて、仮装なる財団法人をつくつて、まず財団法人の書類上の形式ができたから、払下げ契約ができた、その金をあなたの方で払つてつて、これは払下げさえしなければそのとき解消できている地所を、自分の方でほしいときには、手段を選ばず、集中排除法にひつかかろうが、ひつかかるまいが、自分の方で金を出して、松尾を使つてなおかつとつてしまつた。あなたに、五百九十九万円も担保をつけたら財団法人として立つて行かれぬくらいの常識がありそうなものだが、どうだ、これは。
  312. 古屋良平

    古屋証人 それは私ども財団がどういうふうにでき上つたか、当時の支店長にしても知らなくて、ただこういう地所があるからおれの方へ払下げを受ければ、すぐ転売ができるから、君の方でその地所を買わないかということを人の仲介によつて話を持ち込まれたのでありまして、創立当時の事情とか、それから財団法人の磯川の方として、それをどういうふうにして処分する気になつたかというようなことは一切それはわからないですね。
  313. 田渕光一

    ○田渕委員 他の委員も御質問がありましようから私は一部留保しておきまして、あとまたやりますけれども他の委員にお送りいただきます。
  314. 内藤隆

    内藤委員長 ちよつと聞きますが、その聖十字学園日通との交渉、だれか人が入つたように今証人が話しましたが、だれですか。
  315. 古屋良平

    古屋証人 最初話しを持ち込んで来たのは私ども聞いておりませんけれども、だれか、聖十字学園の磯川か渡辺か、当時知りませんでしたけれども、とにかく日本通運に対してこれを買わないかという話を持つて来たのは、直接相対で磯川なり渡辺なりと秋葉原支店でやつたわけではございませんで、だれかその間に入つたように……。
  316. 内藤隆

    内藤委員長 だれか存じませんか。
  317. 古屋良平

    古屋証人 存じませんけれども、だれかあるように聞いております。
  318. 内藤隆

    内藤委員長 入つていると聞いたというのですか。
  319. 古屋良平

    古屋証人 聞いたのです。
  320. 内藤隆

    内藤委員長 入つたことは間違いありませんか。
  321. 古屋良平

    古屋証人 間違いありません。直接当時の支店長とは知り合いでなかつたようです。
  322. 井上良二

    ○井上(良)委員 大事な点を一点聞いておきたいのですが、今委員長ちよつと聞かれておつたのですが、聖十字学園の問題の土地を買おう、それを譲り受けようとした動機ですね。その動機は今お話のように、この土地買つてくれぬかという申出があつて、そこであなたの方では、この土地ちようど秋葉原の駅に近いことでもあるし、値段さえ合えば買おうということになつて買うことになつたのと違うのですか。
  323. 古屋良平

    古屋証人 そういうことです。どなたか記憶がありませんけれども聖十字学園の方から持ち込まれて、秋葉原支店が買う気になつたようであります。
  324. 井上良二

    ○井上(良)委員 そこで問題は二つあると思うのです。一つは買おうということになつて、さて一体値段は幾らかということが当然起つて来ます。その場合、買おうとするあなたの方の会社としては、その方面の地価がどのくらいしておるかということを一応問い合せた上で買うことになりませんか。
  325. 古屋良平

    古屋証人 当時支店長としても地価がどのくらいの値段がしているかということは調べたと思いますけれども……。
  326. 井上良二

    ○井上(良)委員 あなたの方にはそういうことを相談されませんか。
  327. 古屋良平

    古屋証人 私ども当時その値段交渉をどのように聖十字学園との間についてやつたかということも今承知しておりませんから……。
  328. 井上良二

    ○井上(良)委員 あなたは三百五十万円の金を支払つたことについては報告を受け、その承認をしたでしよう。
  329. 古屋良平

    古屋証人 ですから、そうしたことによつて、その後において支店長からずつとあとに、支店長がないしよでやつてつて、その後に……。
  330. 井上良二

    ○井上(良)委員 秋葉原が三百五十万円の金を扱う場合の一月の収益というものはどのくらいになりますか。
  331. 古屋良平

    古屋証人 そうですね。月によつて違いますけれども、収益といたしまして、これは差益と利益と、こういうふうになりますけれども、利益といたしますと、秋葉原支店は最高の場合には大体月に一千万円、少いときには——これは繁閑がありますから、わずか百万円程度のこともあります。
  332. 井上良二

    ○井上(良)委員 その金の支社の方への払込みといいますか、清算ですね、たとえばきようこれだけ金が入つて来たからと支店へ抱かしておく金はどのくらい置いてありますか。
  333. 古屋良平

    古屋証人 支店に持たしておく金はそのときによつて、月末とかで違いますけれども、百万、二百万のときもありますれば、また五、六百万程度のときもあります。
  334. 井上良二

    ○井上(良)委員 そういう状態のときに三百五十万円という金をかりに支店が金を融通したということになりますと、それだけ支店には穴が明くわけですね。
  335. 古屋良平

    古屋証人 支店の金がそれだけ減るわけでございますね。
  336. 井上良二

    ○井上(良)委員 従つてあなたの方にその交渉なしに金を動かすということはあり得ないわけですね。
  337. 古屋良平

    古屋証人 それがその当時は、先ほど申し上げましたように、支店長が自分で支払いをやつたようなわけなんです。
  338. 井上良二

    ○井上(良)委員 自分でやつたということも、あなたはその報告を受けてあとで文句を言つたでしよう。
  339. 古屋良平

    古屋証人 あとで小言を言いました。
  340. 井上良二

    ○井上(良)委員 そのときに地価が何ぼであつたということを聞くのでしよう。
  341. 古屋良平

    古屋証人 地価関係まで、高いとか安いとかいうようなことも、話にはいたしましたが、それは高いとか、それは安いとかということを話し合つたという記憶はありませんですけれども……。
  342. 井上良二

    ○井上(良)委員 あなたは支社経理部長でしよう。その下にある支店がそういう不動産を収買する場合に、その地価が何ぼして、どのくらいの価値があるか聞かぬで金を出すやつがありますか。
  343. 古屋良平

    古屋証人 私が金を出したのではなく、そうしてからあとで、そんなことをしてくれてはたいへんなことではないかと言つて支店長をしかりもいたしましたのですが、値段が高いとか安いとかいうところまでは実は気がつかなかつた
  344. 井上良二

    ○井上(良)委員 値段が安いか高いかということに気がつかなんだというような、そんな非常識な伝票の出し方を日通はしておりますか。物を買つて、その物が幾らの物であるか、幾らの単価だということで、自動車一台買うたつて、ガソリン一本買うたつて、単価はちやんとあなたは聞くでしよう。それが不当な単価である場合には、あなたは当然それに文句を言う監督者としての責任がある。その場合は、そういう不当なことをやつて、その報告があつて、三百五十万円出金しなければならぬ、事後承認をあなたが与える場合に、その土地の単価が何ぼだ、建物の単価が何ぼということをあなたが聞かぬで承認するというのは、どだいおかしいじやないか、そんな話は常識上考えられるか。
  345. 古屋良平

    古屋証人 その後にこの問題について報告を受けて、値段その他の折衝も聞きましたけれども、その報告を受けたときに、高いから安いからというようなことについて深くその内容を掘り下げなかつたことは相済みませんけれども……。
  346. 井上良二

    ○井上(良)委員 掘り下げる、掘り下げぬの問題ではないのです。そのときに高いか安いかということについて、単価幾らで買うたかということは聞いたであろうと思います。
  347. 古屋良平

    古屋証人 聞きましたです。
  348. 井上良二

    ○井上(良)委員 それ、聞いたじやないか。
  349. 古屋良平

    古屋証人 値段が高いとか安いということを私は言わなかつたのであつて、三百五十万円払うには、値段というものは先ほど何したように、四百二十二万幾らということの値段ですから……。
  350. 井上良二

    ○井上(良)委員 あなたとしては値段を聞いた場合、その値段を相談する相手の支店長か何かが来て、あなたにそういう事態を報告した場合、当然この付近は坪七千円しておりますとか、八千円しておりますとか、あるいは勧銀その他で調べたところによると一万円しているところもあります。だから坪三千円や四千円で買えば安いという報告をされた上において、そうかそれならまあ適当な値段だということであなたが承認を与えたのじやないか。
  351. 古屋良平

    古屋証人 普通の場合はそうでございます。
  352. 井上良二

    ○井上(良)委員 普通の場合といつても、どの場合もそうじやないですか。ガソリンを買うにしても、自動車を買うにしても、いろいろな各社からのそれぞれの値段表を調べて、最も確実で最も妥当な価格で買い上げるのでしよう。
  353. 古屋良平

    古屋証人 そういうわけです。
  354. 井上良二

    ○井上(良)委員 この場合だけは別ですか。
  355. 古屋良平

    古屋証人 この場合は先ほど申し上げる通り、すでに値段秋葉原支店できめられて、そうして秋葉原支店が四百二十二万という値段で約束をしたわけですから……。
  356. 井上良二

    ○井上(良)委員 それは秋葉原支店がきめたにしても、あなたに報告したのでしよう。そのときに当然他のいろいろな例を持ち出して来て、つまりその付近地価標準を出して来て、この土地はこの単価で、場所柄といいいい場所ですから買つておいても決して損をしません。だから了解をしてくれ、こう言つてあなたのところへ来たんでしよう。そうでなければあなたは承認できないじやありませんか。
  357. 古屋良平

    古屋証人 それは四百二十二万円という金で話はありましたけれども、私どもも当時は、先ほど来申し上げましたように、集排法のこともあつて、そういう値段できめて取引をすることを認めるわけに行きませんので、たいへんなことをしてくれた、困つたことをしてくれたというだけであつて値段の検討にまでは行きませんでした。
  358. 内藤隆

    内藤委員長 ちよつと証人に聞きますが、それはちよつと違つております。集排法のことは考えてもいなかつた、知らなかつたと言つているじやな  いか、答弁が違つているじやないか。
  359. 古屋良平

    古屋証人 考えてなかつたということは、刑を受けるということを……。集排法は私承知しております。
  360. 内藤隆

    内藤委員長 集排法を承知しておれば、それには刑罰があることはわかる  じやないか。
  361. 古屋良平

    古屋証人 刑を受けるその刑の内容をおつしやられたのですが、そういう刑を受けるということは知らなかつた。集排法があるということはもちろん承知しておりました。
  362. 内藤隆

    内藤委員長 ごまかしをやつてはいかぬ、もう少し良心的にやらなければいかぬ。
  363. 井上良二

    ○井上(良)委員 あなたは今集排法云云を申されたが、あなたが集排法をよく理解をされておつて、そういう報告を受けた場合は、そういう契約はできないことになつているんです。従つてあなたとしてはただちにそこでその契約は解除せよ、かりに金を払つてつても、これはやむを得ない、法律を犯してそんなことをすることはいけない。解除せよということをあなたは申さなければならぬでしよう。その法律を知つてつたんですか、そうしたら……。古屋証人 解除しろということは言いませんでしたが、その当時の秋葉原支店長には、そのことのいけなかつたことはきつく申しましたが、契約解除しろということまでは申しませんでした。
  364. 井上良二

    ○井上(良)委員 だからあなたはみずから集排法にひつかかるということを知つておりながら、契約解除を申し渡さなかつたということは、あなたみずから集中排除法を知つておりながらやつたということになりますぞ。
  365. 古屋良平

    古屋証人 その点支店長がやつたことを後日解除させなかつたことはどうも相済みませんけれども、解除しろということまでは申しませんでした。
  366. 井上良二

    ○井上(良)委員 そこでもう一ぺん元へもどりますが、あなたはまつたくその集排法を知つてつて、そういう相談を受けながら契約の解除を申し渡さなかつたという、そこに重大な責任が一つあるわけですよ。それからいま一つは、こういう建物なりこういう土地を買いました。ついてはこれだけの金を出しました。その相談をあなたが受けたときに、当然あなたとしてはその土地なり建物価格の妥当性というものについて報告を受け、あなたとしては高いか安いかはつきり返事をしたはずだ。返事をしないであなたがそんな無断な金を出したことを承認するはずはないでしよう。
  367. 古屋良平

    古屋証人 それはずつとあとのことでありますので……。
  368. 井上良二

    ○井上(良)委員 いやあとであつても、現実にあなたにそういう承認を求めに来た場合は、当然高いか安いかについてあなたとしては相談を受け、契約を解除せよと言わぬ限りにおいては、あなたの経理部長としての立場からいうならば、あなたは妥当な返事をされておるはずだ。これは自分で考えて妥当な価格だと思つたからそれを承認したんでしよう。
  369. 古屋良平

    古屋証人 承認いたしましたのはもうずつと……。
  370. 井上良二

    ○井上(良)委員 いやあとも先もないが、あなたのそのときの態度というものは、相手方から値段はこれこれ、坪数はこれこれ、支払い方法はこれこれという報告を受けまして、あなたは経理部長としての重大な責任上、なるほどそうか、それならいいということで承認を与えたんでしよう。あなたの立場からいうならば妥当な価格だ、こういうことでしよう。そうじやなかつたですか。
  371. 古屋良平

    古屋証人 それはずつとあとのことでございまして、値段の検討をしたということはずつと終りに近いと申しますか、この新しい契約が始まるころになつてども支社は初めて触れたようなわけなんです。
  372. 井上良二

    ○井上(良)委員 あなたの方はその後にさらに財務当局とこの土地払下げ契約をしておるのですね。最初聖十字学園の場合と二段になつておるでしよう。
  373. 古屋良平

    古屋証人 二つになつております。
  374. 井上良二

    ○井上(良)委員 聖十字学園の場合は、あなたの今のお話のように、聖十字学園がこの土地を買わぬかと言うて来て、そこで値段条件が合えばということで金を出しましたね、それが目的を達し得なかつた、そこで直接財務局にあなたの方が交渉されたわけですね。
  375. 古屋良平

    古屋証人 そういうことです、聖十字学園契約が解除になつた後にそういうことが始まりました。
  376. 井上良二

    ○井上(良)委員 そこであなたの方としては聖十字学園とあなたの方との話において、この単価というものについて、一応の制限はされておりますね。
  377. 古屋良平

    古屋証人 聖十字学園との間ではそういうことです、幾ら幾らということが……。
  378. 井上良二

    ○井上(良)委員 あなたの方と財務局との直接折衝の場合の単価とどれだけの開きがありますか。
  379. 古屋良平

    古屋証人 計算してみませんが、相当の開きがあるように思います。
  380. 井上良二

    ○井上(良)委員 どれだけありますか。
  381. 古屋良平

    古屋証人 私そろばんをとつてみませんが……。     〔「坪当り七千円するということをあなた方は書いておる」と呼ぶ者あり〕
  382. 古屋良平

    古屋証人 それは世間の相場だというふうに聞いておりました。どのくらいになりますか、そろばんをとつてございませんから……。
  383. 井上良二

    ○井上(良)委員 あなたの方では坪何ぼで買おうとしたのですか。
  384. 古屋良平

    古屋証人 聖十字学園ですか。
  385. 井上良二

    ○井上(良)委員 聖十字学園の方は坪四千円でしよう。
  386. 古屋良平

    古屋証人 いいえそうではございません。
  387. 井上良二

    ○井上(良)委員 もつと安いですか。
  388. 古屋良平

    古屋証人 聖十字学園の方はずつと安いです。
  389. 井上良二

    ○井上(良)委員 幾らですか。
  390. 古屋良平

    古屋証人 坪当りの単価が出ておりませんから、ちよつとわからぬですが……。もつともこれは坪当り幾らというふうに出ておりましようか……。
  391. 井上良二

    ○井上(良)委員 三千七、八百円か四千円くらいでしよう。あなたの方と財務局との新しい払下げ契約は坪当りどれくらいでしよう。
  392. 古屋良平

    古屋証人 ……。
  393. 井上良二

    ○井上(良)委員 わからなければそれでよろしい。そこで今大ざつぱに考えてみても、聖十字学園からあなたの方が譲り受けようとする場合は、坪当り三千七、八百円というところでしよう。あなたの方が大蔵省財務局から直接払下げを受ける場合は四千円見当です。これはどつこいどつこいの値段です、おわかりになりますか。この値段はあなたがお考えになつてもおわかりになる通り、これは法外に安い値段である。それをあなたはさいぜんから法外に安い値段でないと証言をされておるが、法外に安くないという根拠はどこにありますか。私がさいぜんからいろいろな角度から聞いておるけれども、あなたはこの地価に対しては全然関知してない、また他の委員質問に対しても、そういうことについては全然関知しない、大蔵省財務局のおさしずの価格で、こういう一点ばりの答弁をされておりますが、現実にあなたの方が坪四千円そこそこで買い入れるということになつた場合、一体この価格が妥当な価格であるという根拠はどこにあるのですか。
  394. 古屋良平

    古屋証人 私はこれまでこの値段を妥当な値段でありますということを申し上げたことはございません。お役所のもので、おさしずの通り値段で頂戴いたしますと、これははつきりそういうふうに申し上げてございます。何円何銭で頂戴いたしたいということまで申し上げてございませぬから、その値段が妥当な値段であるということは私申し上げません。
  395. 井上良二

    ○井上(良)委員 妙なことを聞きますが、この契約は随意契約らしいのでありますが、随意契約であつて契約を入れます場合に、大体建物評価何ぼ、坪当りの地価評価何ぼでこれを払い下げてもらいたいという申請書を出すのと違いますか。そんな申請書を出しておりませんか。
  396. 古屋良平

    古屋証人 私どもは当時払下げの嘆願書を出してはおりますが、私記憶はございませんが、何円何銭で払い下げていただきたいということを申し上げたことはないと思うのです。
  397. 井上良二

    ○井上(良)委員 そうすると払下げの申請書は、単なるこの土地がほしいから払い下げてくれという抽象的なものであつて、建坪何坪のものを坪当り何ぼ何ぼ、あるいは土地が何坪のものを坪当り何ぼ々々の価格で払い下げて、こういう用途のためにこういうふうに使うから払い下げてくれ、そういう払下げに対する具体的な申請はしてはおりませんか。
  398. 古屋良平

    古屋証人 そういうお願いはいたしているのでございますが、価格の点は触れておりません。
  399. 井上良二

    ○井上(良)委員 値段の点は全然触れてない……。
  400. 古屋良平

    古屋証人 はい、そうでございます。
  401. 井上良二

    ○井上(良)委員 そうしますと、大蔵省から坪当り四千円くらいの価格で払い下げるという交渉をしたその相手はだれですか。
  402. 古屋良平

    古屋証人 財務局の方の方ですか。
  403. 井上良二

    ○井上(良)委員 あなたの方と財務局の方と……。
  404. 古屋良平

    古屋証人 それは私ではございませんが、私の方の係と財務局の方の……。
  405. 井上良二

    ○井上(良)委員 係のだれです。名前を言つてください。
  406. 古屋良平

    古屋証人 名前は係が二人、三人ございますから、そのうちのだれが当りましたか、私今ちよつとど忘れしましたけれども、私の方の係とそれから財務局のどなたかとお目にかかつて、この交渉をしたことは事実でございます。
  407. 井上良二

    ○井上(良)委員 あなたのほかに交渉をする人が二人か三人しかいないのでしよう。そうしてきようあなたは証人として出頭して、この問題でいわゆる申開きをしなければならぬということについて、ここに出張をする場合に、あなたとしては当然その人と相談をして来ている、実際に。それが想像される、私には。
  408. 古屋良平

    古屋証人 はい。
  409. 井上良二

    ○井上(良)委員 その人の何で名前を言えませぬか。
  410. 古屋良平

    古屋証人 言えないのじやないのです。実は先ほど申し上げた通り最初……。
  411. 井上良二

    ○井上(良)委員 だから三人いるなら三人名前を言いなさい。
  412. 古屋良平

    古屋証人 係の名前ですか。そうですか。課長が秋山、係長が山本、係員が伊藤、この三人おりますから、そのうちのだれが当つたかということはあるいは……。
  413. 井上良二

    ○井上(良)委員 この問題の証人としてあなたがここで尋問されるということについて、この問題を特にあなたの方で今まで扱つた責任者があるはずだ。その人と相談をして、そういう資料をちやんとつくつてつて来たんでしよう。あなたの方にそんな資料があるはずがない。
  414. 古屋良平

    古屋証人 もちろんそうですが、これは聖十字学園事件関係がございましたから、聖十字のことばかり考えておつてあとの取引の、財務局からお受けしたときのことは、こういう資料がちよつと足りないのでございます。
  415. 井上良二

    ○井上(良)委員 そこで問題はさらに進みますが、あなた自身今申します通り、全然こつちの方では値段を指示せずに大蔵省のおさしずの価格、こういうような、さつき田渕委員質問しておりました通り、そのおさしずの価格があなたの会社の予定する価格より高かつた場合、あなたの会社の必要とする目的に払い下げられぬ場合が起つたときに、一体どうします。そこの問題はおよそこの価格で払い下げてもらいたいということが具体化せねばならぬ。何ぼでもかまわぬから御随意にひとつおさしずの値段でさしつかえございませんというようなことが、およそ取引上、そんなことが常識上考えられますか。
  416. 古屋良平

    古屋証人 これは大体先ほども申し上げたように、なるべく安い値段でお願いしますということは確かに申し上げましたが、別段幾ら幾らという値段は申し上げなかつた。従いましてこれは安い値段なり、そういうように私どもは考えて、そうしてお受けしたようなわけでございます。
  417. 井上良二

    ○井上(良)委員 その安い値段なりというのはどういうところを対照にして安い値段と考えるのですか。
  418. 古屋良平

    古屋証人 一応そう考えたわけですな。
  419. 井上良二

    ○井上(良)委員 一応と言つたつて、標準がなければわかりやせぬじやないか、そんなことは。
  420. 古屋良平

    古屋証人 これはつけ加えて申し上げますが、建物と申しましても屋根はない、焼けれんがの周囲のある建物ですから、価格の査定などもなかなかむずかしいことでございまして、私どもどの程度か高いものか安いものかということもわかりませんので、お役所の方にもできるだけ安くお願いしますということをお願いした結果、ああした五百九十万、六百万近い値段払下げを受けることになりました。それでお受けしたようなわけです。
  421. 井上良二

    ○井上(良)委員 ちよつとそのかんじんなところをあなたぼかすからいかぬ。少くとも物を買う場合、ガソリンを買うたつてそうじやないか。取引きの会社値段を聞いて、最も安い品質のやつを買おうとするでしよう、あなたの方は。それと同じことですよ。あの土地を買う場合に、やはりあの付近地価が何ぼしているか、また将来どうなつて行くか、またここにこういう施設をすればどうなるかという諸般の情勢というものが判定された上に価格がきめられるのでしよう。少くともここは国会ですよ。国家の最高機関に来ておつて、子供だましみたいなことを陳述してはいかぬですよ。常識をもつて話さなければ……。あなただつて日通の大事な役目を負わされたあなたじやないか。そのあなたが物を買う場合に、全然付近の関連性も考えずに、付近地価が何ぼしているものやら、建物価格がどうしているものやら、また将来そこがどう発展しどう一体さびれて行くものか、そういう諸般の情勢を考慮せずに物を買う者がありますか。つまり非常識なことを私らに答えられてはかないませんよ。もつと正直なほんとうのことを言うてもらわなければ時間がかかつて……。
  422. 古屋良平

    古屋証人 周囲の地価と比較してどの程度ということも、そうこれは押しなべてやつておりますので、ただいま申し上げるように、建物も見方によつては高価にも考えられますし、また安くも考えられるというようなことで、私どもとすると、事実頂戴するときにえらい高いというふうにも考えておりませんし、えらい安かつたというようにも考えておりません。
  423. 井上良二

    ○井上(良)委員 そのあなたが高くないという理由はどういう理由があるか。また安くないという理由はどういうところからそういう結論が出て来たかということを私は聞いているのであつて、たとえば付近のこういう所、こういう所をこういう方法で調べ出した、あるいはまた興信所なら興信所を通して調べたか、あるいは勧銀なら勧銀を通しで調べたか。いろいろあなた、不動産を設定するにしてもそれぞれの地価の標準というものがきめられるわけでしよう。だからそういう地価の標準を全然考慮せずにやるはずがないから、だからどういう方法で、そういう額が妥当な価格であるとあなたは考えて大蔵省の御指示の価格で買い入れた、とこう言うんだから、それを聞いているんです。
  424. 古屋良平

    古屋証人 どうも……。
  425. 井上良二

    ○井上(良)委員 どうもじやない。(笑声)
  426. 古屋良平

    古屋証人 値段ですね。値段がまあ高いか安いかを考えたかとおつしやるのですが、事実おさしずの値段でやつたということと、表通りでなくて裏側であつたものですから——ども当時の値段が大通りならどう、裏ならどうということを、はつきりと勧銀かどつかへ鑑定でも受けてやればよかつたのですが、地所をほしいということから、よそへでも払下げられたらたいへんだというので……。
  427. 井上良二

    ○井上(良)委員 もう一ぺんはつきり申し上げますが、少くとも五、六百万円の金を動かすにあたつて、その金にかえられる相手の価値が妥当な価値であるかどうかということがきめられずに、そんな金を経理部長が出すのは、そのことから越権ですよ、私から言わせれば。また、あなたが日通経理部長としてそれだけの重責を負わされているのについては、相当したたか者でなかつたら、それだけの仕事はできない。一つ物を買うにしても、高いか安いか、品物をよく見て、妥当な値段でなければ買わない。ましてや何百万円という金で買い入れるときには、その買い入れる値段が正当な価格であるかどうであるか、詳細に検討した上で買い入れるにきまつておる。それを、標準に持つて来る何らの資料なしに金を出したということになれば、もしそれが高かつた場合は一体どうなるのです、あなたの地位は。安いものを買うたからこそ、会社の方で喜ばれておるかしらぬが、逆に高いもので悪いものをつかまされたらどうなる。そんな不見識なことで金が使えますか。そういう非常識なことで……。
  428. 内藤隆

    内藤委員長 井上さんに申し上げますが、ここで聞いておりますと、無責任きわまることなんで、あとまだ二人証人があるのですから、こういうのを追つかけておつてはしかたがない……。
  429. 井上良二

    ○井上(良)委員 この証人は、財務局長を呼びました後に、もう一ぺん出席願うようにしてもらいたい。
  430. 内藤隆

    内藤委員長 それでは理事会に諮りまして、もう一度呼ぶ機会があるかもしれませんから、さように……。
  431. 大泉寛三

    ○大泉委員 会社の経理上のことについて、一、二点聞いてみたいと思います。三百五十方円の太洋自動車払つたときには、自動車の修繕費として仮払いとして払つたと言われておりますが、これは当然会社の内部経費である。この経費があとで財産買収に対する金を変化したいきさつをひとつ……。
  432. 古屋良平

    古屋証人 私、よく伝票を見ておりませんが、経費といつても、いきなり修繕費として落してないと思うのです。おそらく仮払いではなかつたかと考えます。
  433. 大泉寛三

    ○大泉委員 これは二十四年四月十五日に払つてつて、あとで会社が、解除になつてから二十六年六月に契約されるまで仮払いでそのままにおいておつたのですか。
  434. 古屋良平

    古屋証人 そう思います。
  435. 大泉寛三

    ○大泉委員 これはどうも会社としては、あまりにずさんな経理法だと思う。少くとも自動車の修繕費その他で、いわゆる経費として支払つたものを、あとになつて財産収得のために肩がわりした。そうすると太洋自動車に対する小切手の交換とはいいながら、一応はこの財産収得をするときには太洋自動車支払いをしなければならない、こういう計算になりますね。
  436. 古屋良平

    古屋証人 伝票でもつて太洋自動車に支払つた形式をとつたわけです。
  437. 大泉寛三

    ○大泉委員 そうするとそれの金の二重な計算が出て来るわけですが、そのいきさつは、あなたの会社の経理法では、どういうふうにしておるのですか。
  438. 古屋良平

    古屋証人 二重ということはありませんが、仮払いの科目のままで、契約が完了するまでそのままでおいて、そして正当科目にもどし入れができるときに振りかえができるときに……。
  439. 大泉寛三

    ○大泉委員 どうも日通ともあろうものが、二箇年も金をそのままにしておくということで経理上済むのですか。いかなる小さな会社にしても、そんなことはあり得ないと思う。そこでその金の行きどころが不明になつて来る。たとえば支払いに対して支店長名前でいやしくも三百五十万円払つてしまつて、それが仮払いの形式で二箇年もほうり投げておる。そしてまた土地代金が不当に安い。また随意契約のもとにかつてに行われたというようなことから想像すると、どうもそこに国有財産の不当価格払下げがあるのではないかと疑われる。会社の小切手の交換とはいいながら、一つの金が二重支払いの計算になつておる。先に経費として支払つた金は、一体今度はどういうふうな処置をとつたのであるか、うやむやのうちに消えてなくなつたというのですか。
  440. 古屋良平

    古屋証人 それは消えてなくなつておりませんので、仮払いのままにしてございまして、そして後日、これは契約の履行を磯川氏の方に迫つておりましたけれども、磯川氏が言を左右にして応じない、逃げまわつておるということでどうにもならなかつたのですが、最後まで追いかけまして、最終的には聖十字学園との間に七十二方円何がしその他を加えて抵当権を設定して、初めて仮払いを消したように思つております。
  441. 大泉寛三

    ○大泉委員 初めから太洋自動車に仮払いとして払つた修繕代はなかつたわけですね。
  442. 古屋良平

    古屋証人 そういうことです。太洋自動車名前を借りたということであつて太洋自動車に修繕代を払つたわけではございません。
  443. 大泉寛三

    ○大泉委員 そうすると帳簿の記帳が、初めから作為的であつたわけですね。
  444. 小松勇次

    ○小松委員 あなたの会社聖十字学園土地の売買の契約をなすつた、その金三百五十万円を財務局へあなたの方で立てかえられておるのですが、その財務局へ納めた日はいつなんですか。
  445. 古屋良平

    古屋証人 二十四年の四月二十五日に三百五十万円支払いました。
  446. 小松勇次

    ○小松委員 これは聖十字学園名前で納めたわけですな。
  447. 古屋良平

    古屋証人 そういうことです。
  448. 小松勇次

    ○小松委員 これはどういう手続で、財務局のどこへ納めたのですか。
  449. 古屋良平

    古屋証人 どこへ納めましたか、聖十字学園の方と一緒に私どもの店の者が行つて納めたかとも考えますが、どこへ納めたか私今承知しておりません。
  450. 小松勇次

    ○小松委員 それから今問題になつておりまする、あなたの方で財務局から払下げたこの秋葉原土地は、現在あなたが見て、現在の時価では非常に払下げ価格が安かつたということをお感じになりませんか。
  451. 古屋良平

    古屋証人 そこの土地をどこかに評価してもらいまして、そうしてその評価価格より下まわつたというふうになれば、安かつたかとも考えますが、ここは、先ほど申しましたように、評価もしませんでしたので、安く払下げを受けたとも考えておりません。
  452. 小松勇次

    ○小松委員 あなたはその地所を御存じでしよう。
  453. 古屋良平

    古屋証人 行つて見ました。
  454. 小松勇次

    ○小松委員 その周囲の価格はどのくらいしておりますか、お聞きになつておりませんか。
  455. 古屋良平

    古屋証人 どのくらいしておりますか、私聞いておりませんです。
  456. 小松勇次

    ○小松委員 しかし高いものとは思わないでしよう。
  457. 古屋良平

    古屋証人 これは建物も一緒にありますので、値段を査定するのに高いか安いかということは、非常に困難だと思うのです。建物が屋根のない焼れんがの建物でございまして……。
  458. 小松勇次

    ○小松委員 しかしあなたの方から、先ほどどなたかからお話が出たけれども本社の方に対していろいろ禀議された場合には、安いものだということを書いてありますね。そのときには、坪一万円からするものだ、こういうことも書いてありますね。だからおよそ標準はその当時わかつてつたのですね。
  459. 古屋良平

    古屋証人 一万円ということは書いてないように思います。
  460. 小松勇次

    ○小松委員 七千円から一万円すると書いてある。
  461. 古屋良平

    古屋証人 その当時は先ほど申し上げましたように、本社から承認を受けたい、そこの地所を買いたい一心で、そういうようなことを本社へ申請いたしました。
  462. 小松勇次

    ○小松委員 あなたは、買いたい一心でそういうことを申請したとおつしやるけれども、それでは、よしんば五千円しかしないものを一万円の申請でも、買いたいときにはやるのですか。これは逆な方法で伺うのだけれども……。
  463. 古屋良平

    古屋証人 そういう御質問は、恐れ入りますけれども、買いたい、買いたいということから、その値段は安い値段だということで本社へ申請したわけなのであります。
  464. 小松勇次

    ○小松委員 きわめて私の伺うことは簡単です。この土地は安いものであつたか、高いものを握らさせられたのか、どう思いますかということです。それだけひとつはつきり聞きたいのです。
  465. 内藤隆

    内藤委員長 簡単なことじやないですか。そう考えて苦慮しなくちやならぬことじやないでしよう。今の心境で安いものを買つたか、高いものを買わされたか。簡単なことじやないですか。
  466. 古屋良平

    古屋証人 むしろそうしいておつしやられれば、ああした焼けれんがの屋根のないうんと修繕費もかけなければ使えないような場所であれば、しいて言えば、私は今の心境からすれば、幾らか高かつたのじやないかというふうにも考えます。
  467. 小松勇次

    ○小松委員 伺いますが、土地の坪四千円ぐらいでは高いものでしようか、あの辺はどうでしよう。
  468. 古屋良平

    古屋証人 調べればよかつたのですが、そこまで調べてないで、お役所のお値段で頂戴しておるので、どうもあの辺として四千円が安いかどうかということもわかりませんです。
  469. 小松勇次

    ○小松委員 お役所のいう通りじやなくて、あなたが高いものであるか安いものであるか……。
  470. 内藤隆

    内藤委員長 小松委員に申しますが要するにこの証人は、われわれは評価はちつともお願いしてなかつた役所から来る値段買つておるのだからというので、罪をこの評価をした役所に着せておる。だからそれを決定した役所をひとつ調べましよう。それ以外に方法がないと思うのです。
  471. 小松勇次

    ○小松委員 あなたの会社でこういうことが一参番わかる人は一体だれです。秋葉原支店長なのですか。
  472. 古屋良平

    古屋証人 最初交渉の始まつたときには、秋葉原支店長でございまして、その後またこうした財産を買うとか買つたとかの処理については、最終的には私のところで処理しております。
  473. 小松勇次

    ○小松委員 私、もう遠慮します。
  474. 内藤隆

    内藤委員長 他に御発言がなければ、古屋証人に対する尋問はこれにて終了いたしました。しかし井上委員の申出もありまするから、この証人を再喚問するがどうかを、次の理事会において皆様にお諮りいたしまして決定いたします。証人には御苦労さまでした。     —————————————
  475. 内藤隆

    内藤委員長 引続き畑証人より証言を求むることにいたします。   ただいまお見えになつておられる証人は畑市次郎君ですね。
  476. 畑市次郎

    ○畑証人 そうです。
  477. 内藤隆

    内藤委員長 あらかじめ文書をもつて承知通り証人として証言を求むることに決定いたしましたので、さよう御承知を願います。
  478. 畑市次郎

    ○畑証人 はあ。
  479. 内藤隆

    内藤委員長 これより国有財産管理処分関係事件中、聖十字学園事件について証言を求むることになりますが、証言を求める前に証人に一言申し上げます。昭和二十二年法律第二百二十五号、議院における証人宣誓及び証言等に関する法律によりまして証人証言を求むる場合には、その前に宣誓をさせなければならないことと相なつております。  宣誓または証言を拒むことのできるのは、証言証人または証人配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族または証人とこれらの親族関係のあつた者及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するとき、またはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するとき、及び医師歯科医師、薬剤師、薬種商、産婆、弁護士、弁理士弁護人公証人、宗教または祷祀の職にある者またはこれらの職にあつた者がその職務上知つた事実であつて黙祕すべきものについて尋問を受けたときに限られておりまして、それ以外には証言を拒むことはできないことになつております。しかして、証人が正当の理由がなくて宣誓または証言を拒んだときは、一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられ、かつ宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処せられることとなつておるのであります。一応このことを御承知になつておいていただきたいと思います。  なお証人が公務員として知り得た事実が、職務上の秘密に関するものであるときは、その旨を申出を願いたいのであります。では法律の定めるところによりまして、証人宣誓を求めます。御起立を願います。  宣誓文をお読みください。     〔証人畑市次郎君朗読〕    宣誓書   良心に従つて、真実を述べ何事もかくさず、又何事もつけ加えないことを誓います。
  480. 内藤隆

    内藤委員長 それでは宣誓書署名捺印してください。     〔証人宣誓書署名捺印
  481. 内藤隆

    内藤委員長 これより証言を求むることになりますが、証言は、証言を求められた範囲を越えないこと、また御発言の際には、その都度委員長許可を得てなされるよう願つておきます。なお、こちらから質問をしておるときはおかけになつていてよろしゆうございますが、お答えの際は御起立をしてお答えください。  証人畑市次郎君は現在東京民生局長でありますね。
  482. 畑市次郎

    ○畑証人 そうです。
  483. 内藤隆

    内藤委員長 いつから民生局長の職にあられますか。
  484. 畑市次郎

    ○畑証人 昭和二十六年九月二十七日であります。
  485. 内藤隆

    内藤委員長 あなたは財団法人聖十字学園というものを御存じですか。
  486. 畑市次郎

    ○畑証人 存じております。
  487. 内藤隆

    内藤委員長 その性格、内容等、御存じの点をひとつ簡単に御説明願います。
  488. 畑市次郎

    ○畑証人 財団法人聖十字学園社会事業関係法規の適用を受けている団体であります。それで、一つとしては民法の第三十四条の規定によつて設立されました公益法人でございます。それからいま一つは、児童福祉施設として児童福祉法の適用を受けている団体でございます。
  489. 内藤隆

    内藤委員長 昭和二十二年の十二月六日民保発第一六八八号をもつて東京都知事安井誠一郎より厚生大臣一松定吉あてに「簡易宿泊所及保育所用焼跡貸与方依頼について」という書簡が出ておりますが、御承知ですか。
  490. 畑市次郎

    ○畑証人 存じております。
  491. 内藤隆

    内藤委員長 ちよつと内容を説明してくれませんか。
  492. 畑市次郎

    ○畑証人 昭和二十二年十二月六日民保発第一六八八号をもちまして、知事から厚生大臣あてに「簡易宿泊所及保育所用焼跡貸与方依頼について」という書類が出ております。この内容は読んでよろしゆうございますか。
  493. 内藤隆

    内藤委員長 読んで……。
  494. 畑市次郎

    ○畑証人 簡易宿泊所は戦災前においては東京都直営のもの十四、社会事業宿泊所四十五、簡易旅館(木賃宿)四百十八のごとき多くの宿泊施設により、浮浪者、日雇い労務者等の便宜をはかつていたのであるが、これらの簡易宿泊所はおおむね罹災し、その機能をまつたく喪失しているため、罹災による住宅難に加えて、現在の経済情勢により住宅供給または貸家、貸間紹介等の社会的経済保護の方法がないから、都市復興並びに進駐軍労務のため日雇い労働者は日に日に激増しており、これら宿所なき者が公園、ガード下等に徘徊浮浪しており、これらの者を収容保護せねばならぬが、職のある宿所なき者等であるから、有料簡易宿泊所の設置が喫緊事と思料せられるにつき、都直営無料、有料宿泊所の新設を計画するも財政上意のごとくならざるため、社会事業家による簡易宿泊事業の円滑をはかることが急務と思料いたしますから、左記所在敷地並びに焼建物の貸与方特別の御詮議によりおとりはからい願いたい。    記  一 所在地 千代田区和泉町一丁目二焼建物衛生試験所  以上でございます。
  495. 内藤隆

    内藤委員長 それと同様なものを厚生大臣に対して出しているということを聞いておりますか。
  496. 畑市次郎

    ○畑証人 いま一回お願いします。
  497. 内藤隆

    内藤委員長 それはあなたの方から厚生大臣の方へ行つたものですな。また聖十字学園からもそういうものが行つておるということを知つておりますか。
  498. 畑市次郎

    ○畑証人 それは存じません。
  499. 内藤隆

    内藤委員長 そういうものが行つているようなんですが、そのときに学園の申請の要点は、簡易宿泊所と幼児保育所の経営をやりたい、しかもそれは民生局の委託経営の方針でやつて行きたいということなんですが、そういうことを御存じありませんか。
  500. 畑市次郎

    ○畑証人 財団法人として出発する場合におけるこの事業内容については、存じております。
  501. 内藤隆

    内藤委員長 そうすると、あなたの方の都の民生局の委託経営でやりたいということに、双方で協定というか、確認をしておるというようなことはおわかりにならぬですか。
  502. 畑市次郎

    ○畑証人 その点は当時の局長としてどういう意思表示をいたしましたか存じませんが、おそらく今の文言等によつて、しつかりした施設ができましたあかつきにおきましては、委託経営するのが適当であろう、こういうように処置したと私は考えております。
  503. 内藤隆

    内藤委員長 学園内容がしつかりしたものになれば、委託経営しようという確約があつたと聞き及んでおるのですね。
  504. 畑市次郎

    ○畑証人 確約と申しますが、話合いで進んだものと存じております。
  505. 内藤隆

    内藤委員長 前の局長というのは上平正明さんですか。
  506. 畑市次郎

    ○畑証人 上平正治。
  507. 内藤隆

    内藤委員長 東京都の推薦依頼によつて厚生省は、いわゆる旧衛生試験所ですか、土地の公用廃止の手続をとつて、そしてこれを大蔵省に引継ぎ、学園側は東京財務局、現在の関東財務局に対して払下げ要請した。しかし単なる私事業としてでは、これの払下げを受けることができないので、これを財団法人に改組したのですね。民生局最初土地貸与の申込みがあつたとき、及び財団法人設立の認可申請のあつたとき、学園に対して一体どういう調査をされましたか。
  508. 畑市次郎

    ○畑証人 私当時の局長でないので、その経過についてつまびらかにいたしませんが、私事件が起りまして以来調査するのに、その調査が非常に不備であつたということを率直に認めなければならぬ、かように考えております。
  509. 内藤隆

    内藤委員長 委員長としては、別に不備であつたかどうかは今聞いておりませんが、ともかくもあなたとしては、その調査がまことに不備であつたということを率直にお認めになるわけですね。
  510. 畑市次郎

    ○畑証人 そうです。
  511. 内藤隆

    内藤委員長 そうでしようね。ここへその写しが来ておりますが、衛生局長初め大体十二の判を押してある。十二人からがおつて、これをただ盲判を押して、内容をだれ一人真剣に調べている者はない。一体こんな機構でいいのですか。
  512. 畑市次郎

    ○畑証人 当時の社会、経済情勢から申しますと、戦災を受けて、その惨度も非常にひどかつた。それから都の財政も非常に貧弱であつた。しかるに一方においては、戦災者が非常に多い、浮浪者が多い、金がない、手も足も出ない。従つて社会事業という名のもとにこうした仕事をするということになりますれば、やはり民間の人にやつてもらうよりほかに手がなかつたとは存じますけれども、確かに今委員長お話のように、いま少し入念に調査すべきものであつたことは認めます。
  513. 内藤隆

    内藤委員長 大体この局長以下十一名の課長、係長という長ばかりが並んでおつて、そしてその調査が、一つも実際にこの学園内容を調べないということは、私はそこに一つの機構上の大きな欠陥を見出さざるを得ない。どうです。あなたはどうお考えですか。これは率直にそう考えられますか。
  514. 畑市次郎

    ○畑証人 これは機構上の問題というよりも、そうした仕事をするに際しては、やはりけじめをはつきりして、そして十分にこれを調査しなければならぬ。従つてこれは局長以下ずつとそういう点について、ある程度怠慢のそしりを免れない、かように考えます。
  515. 内藤隆

    内藤委員長 学園東京財務局から公益事業に供用する条件で、この土地建物払下げてもらつたということになつておりますね。そこでこの公益事業というものの中には、太陽寮、簡易宿泊所、母子寮、太陽の湯、外食券食堂、職業補導施設というものがあげられておりますが、この事業内容をひとつ説明願いたいのです。まず第一の太陽寮からひとつやつてください。
  516. 畑市次郎

    ○畑証人 太陽寮は、これは家出人の一時保護の更生施設でございまして、この財団の直営しておるものでございます。そこでこの施設は、生活保護法によつて都は認可しておりません。というのは、施設を認可するというのには、設備その他の点より十分でないように考えまして、認可しておりません。しかしながら生活保護法の第三十条で、生活扶助を要するものは居宅において扶助しなければならぬということになつておりますが、しかし家出人等につきましては、そういうわけに行きませんし、東京都といたしましては、今こうした直営の施設を持ちませんので、これに対しまして保護費の支給をしておるわけでございます。従つて認可がございませんから、事務費等の支出はしておりません。昨年の十二月末には、収容人員が五十五名でありまして、生活保護法を適用して扶助しておる者は三十四人、しからざる者は二十一人、かような現状でございます。
  517. 内藤隆

    内藤委員長 それから次の簡易宿泊所はどういうのですか。
  518. 畑市次郎

    ○畑証人 この簡易宿泊所は、大東京簡易旅館組合連合会会長の松井修一郎という人に委託経営さしております。一日大体宿泊する者が二百人から二百十名という程度でございますが、ここに宿泊しておる者からは、一日五十円の宿銭を徴収しております。経営の点を申しますと、あぶれた日であるとか、あるいは日曜、祭日、雨天というような場合におきましては、免除するような措置を講じておるようでありますが、この松井修一郎という人から、この財団は月に三万円の使用料を徴収しておるようでございます。
  519. 内藤隆

    内藤委員長 その五十円というのは何ですか。
  520. 畑市次郎

    ○畑証人 これはその宿泊者から受託者である松井修一郎という人が、それだけをその部屋代といいますか、宿泊料として徴収しておる、こういうことです。
  521. 内藤隆

    内藤委員長 それから、食費等はもちろんその中に加わつておらぬわけですね。
  522. 畑市次郎

    ○畑証人 もちろん入つておりません。
  523. 内藤隆

    内藤委員長 あぶれた日には割引か何かすると言つたが……。
  524. 畑市次郎

    ○畑証人 あぶれた場合は、宿泊料をとつておらない……。
  525. 内藤隆

    内藤委員長 まつたく事実ですか。
  526. 畑市次郎

    ○畑証人 それは私の方から監査に参りまして、現実にそこの事務当局から伺つたことでございます。
  527. 内藤隆

    内藤委員長 事務当局から伺つたので……。
  528. 畑市次郎

    ○畑証人 そしてそれは事務所の前にもちやんと書いて、一般の者や、そこの宿泊者に表示しておるのでございます。
  529. 内藤隆

    内藤委員長 それから母子寮というのはどういうものです。
  530. 畑市次郎

    ○畑証人 この母子寮というのが、はなはだ変な存在になつておるのでありますが、あそこに食堂がございまして、その食堂の二階に、たしか三十二部屋ありまするが、これに対しまして住宅困窮者に、相当の部屋代をとつて宿泊させておる、こういう現状でございます。これは母子寮と言いますが、母子ばかりではないように存じております。
  531. 内藤隆

    内藤委員長 三十二の部屋があつて、その部屋代はどういうふうになつておるのです。
  532. 畑市次郎

    ○畑証人 部屋代は、その受託者が住まう者から直接徴収しておる。それから財団が月二万円徴収しておる。こういう状況でございます。
  533. 内藤隆

    内藤委員長 やはり一畳幾らというふうなことで部屋代をきめてありますか
  534. 畑市次郎

    ○畑証人 との前監査に参つたのは、たしか昨年の七月か八月の候だと存じますが、そのときにはその点が出ておりませんで、はつきりいたしませんが、相当額の間代を徴収しておるということは事実でございます。
  535. 内藤隆

    内藤委員長 当事務局の調べでは、四畳半一室が権利金四万五千円、そうしてほかに手数料というものを一割とつておる。さらにまた部屋代は事実は月二千円から三千円となつておるのです。そういう事実は……。
  536. 畑市次郎

    ○畑証人 二千円から三千円ということはいわれておるようですが、権利金の点は、おそらく二階を改修したものでありますから、そのときの、権利金と申しますか、補修費と申しますか、とにかくそういう意味で相当額徴収しておるのではないか、こういうように私どもは考えております。
  537. 内藤隆

    内藤委員長 ともかくもその母子寮の現場を見ますと、もちろん設備もまことに不完全であるが、不衛生をきわめておる。そうしてまたその階下には簡易食堂というものがあります。これもまた衛生上から、あるいは火災の方面から見ましても、まことに危険な状態にあるというふうなことですが、それが四畳半で四万五千円もとつている。普通のアパートでもかような高いものじやないとわれわれは考えておるが、どうです、これは。先ほどの証言のうち、まことに変な存在であるがと言つたが、その変な存在というのはどういう意味ですか。
  538. 畑市次郎

    ○畑証人 それは昨年の七月、八月の候に監査をいたしまして、そのあとまだやつておりませんから、その点まだ事務当局から聞いておりませんので、さつそく調べてみたいと思います。
  539. 内藤隆

    内藤委員長 とにかく変なものであるということはおわかりですな。
  540. 畑市次郎

    ○畑証人 はつきりしたものでないということだけは、はつきり申し上げられます。
  541. 内藤隆

    内藤委員長 それからこの太陽の湯はどういうとなんです。
  542. 畑市次郎

    ○畑証人 太陽の湯は同じところにございますが、北島鉱という人に昭和二十四年の四月一日から委託経営をさしております。一日の入浴者の数は三百八十人から五百五十人程度、私どもの監査ではかような結果になつております。この太陽の湯は、生活困窮者には普通料金の二割引、それから生活保護法の該当者につきましては、券が発行されておりますれば無料入浴せしめておる、かようなことになつておりますが、これまた財団の方へ納付しておりまする使用料は月一万円、こういうことになつております。
  543. 内藤隆

    内藤委員長 どうです、そういう無料とか、あるいは割引というものを実際に実行しておると認められますか。
  544. 畑市次郎

    ○畑証人 これは昨年の七月、私どもの職員が監査いたしました場合に、監事その他から言われたことでございまして、個々にその湯へ行きまして調査したことではないのでございますが、さような処置をとつておるというふうに存じております。
  545. 内藤隆

    内藤委員長 事務局の調べでは、浮浪者等が入つて来られては一般の客が迷惑するからというので、これを片つぱしから断つておるという事実がある。それからもう一つ、あなたは今毎月一万円の家賃をとつておるというが、事実は二万円とつておるようですね。その点大分違つておるが、要するに去年の七月ごろのあなた方の方のいわゆる調査の資料ですから、あまり当てにならないが、毎月こういうことをやらないのですか。
  546. 畑市次郎

    ○畑証人 これは年に一回でございまして、私どもの方といたしましては、認可施設その他施設が非常に多いものでございますから、従つて一年一回ずつまわりましても、一日とか半日とかいうようなことで、十分にその精査を遂げておる余裕がないといいますか、これは私はなはだ遺憾に思つておるのですが、そういうような現状でございます。
  547. 内藤隆

    内藤委員長 その一年一回というのは、そういうふうに法規的にでもきまつておるのですか。
  548. 畑市次郎

    ○畑証人 一回とか二回とかいうことはございませんが、現状におきましては、一回以上するのは困難なのであります。特に二十四年の六月二十三日に厚生省社会局長、児童局長、それから引揚援護庁の援護局長から、これは東京都だけではございませんが、各府県知事に通牒がございまして、公益法人の監査を厳重にやるようにということがございまして、それによりまして特に二十四年からずつとやつておりますが、これは御案内のように全国的な施設でございまして、従つてその許可は厚生大臣がいたします。そして監査は、この通牒によりまして東京都がやつておるのであります。過去三回にわたつてこれをやつておるのでありますが、この経営の方式が非常によくないのでございまして、その都度警告を発しておるような状況でございます。
  549. 内藤隆

    内藤委員長 外食券食堂というのはどういうのですか。
  550. 畑市次郎

    ○畑証人 外食券食堂と申しまするのは、かつて米穀の統制が非常に強化されたときにしたのでありまして、今は民生食堂と名が直つておりまするが、これは生活保護法の適用を受けた者とか、それから生活が非常に困つておる者とか、あるいは自宅で給食することが非常に困難だとか、こういうような人のために、早朝から昼、夜にわたりまして給食を安価に提供する、こういうことで民生食堂というものを指定しております。値段の点から申しますと、これは三食でたしか六十一円と存じておりますが、そういうものを給食するということになつておるのであります。それで嗜好食だとかいうようなものは、別にこれはお客さんから要求されたときに出す。そういう最低限度の生活のために、その便益を供し、低廉な価格で給食をする、こういうために設けた食堂でございます。
  551. 内藤隆

    内藤委員長 これも聖十字学園は直接にやらないで、やはり経営を食堂協会とかに委託して、そうして家賃を徴収しておるというのですね。そういう事実はおわかりですか。
  552. 畑市次郎

    ○畑証人 その通りでございます。
  553. 内藤隆

    内藤委員長 どれほど家賃をとつておりますか。
  554. 畑市次郎

    ○畑証人 家賃は月二万円でございます。
  555. 内藤隆

    内藤委員長 どうも何ですね、これとても単に家賃をかせぐだけで、これが社会事業、社会施設だとは認められませんね。それから職業補導施設としてサンポウタイプ工場というのをやつておるらしいのですが、その内容は御存じですか。
  556. 畑市次郎

    ○畑証人 これは私ども民生局としてもよく存じませんで、たいへんに恐縮でございますが、場所は台東区松葉町百一番地というのにございまして、すでに監査したころは職業補導は打切つたというような話でございまして、これはたしか税務当局の方からも強く指摘されまして、もうやめたことになつておるのでございます。むろんこれも直営と称しておりますが、そうでなくして、城野鍼五郎という人にたしか委託しておるというような話でございます。
  557. 内藤隆

    内藤委員長 ただいまの局長の証言によりまして、この学園公共事業と称してやつておるものの内容は大体明瞭になりましたが、そういうものを通じてみますときに、公益法人に許されておる収益事業の範囲あるいはその限界というものについて、あなたのお考えを述べてもらいたいと思います。
  558. 畑市次郎

    ○畑証人 これはすでに御存じのごとく、社会福祉法人の場合におきましては収益事業を営むことができる。しかしそれから上つたところの収益は、その公共的な用途に使用しなければならぬ、かようなことになつておるのでございます。
  559. 内藤隆

    内藤委員長 範囲とか限度というものはもちろんそうでなければならぬと思いますがね。ともかくもこの収益によつて経営者の生活費や純益までが認められておるとすれば、社会事業を経営することは、要するに一種の営業と同じような感じを持たれますな。
  560. 畑市次郎

    ○畑証人 まことに仰せの通りでございまして、さような状況でございますので、私ども昨年の七月いたしました監査の結果におきましては、そうした経営方式は適当でないということと、それからもうそれに対してはこの財団は解散するのが適当だという意思を、書面並びに口頭で言つておるような次第でございます。
  561. 内藤隆

    内藤委員長 その書面はいつ……。
  562. 畑市次郎

    ○畑証人 ここにございます。今の点を申し上げますと、監査は昨年の七月二十三日に実施いたしました。そこで事業及び会計についての指導監査の結果は判定を可といたしたのであります。私の方の成績表は優、良、可、不可として、その可。それから概評をそれにつけて、帳簿の備えつけ、帳簿の整理、これも可。それから事業の運営の方式は、これは適当でない。そこでそのうち特にこういう公益事業をするについて、こういうような委託経営の方式をとつて、しかもこうした使用料を徴収するという方式、これは適当でないから、二十六年度内に直営に移行するのが適当である。それから最後に公益法人としては不適当であるから解散することが適当である。かような判定を下しまして、厚生省の方へはまだ書類では申し上げておりませんけれども、大体書類で申し上げるときは一年分を一括して三月に出しておりますが、口頭をもつて厚生省には申し上げてあると思うのでございます。かような状況であります。
  563. 内藤隆

    内藤委員長 都の民生局としては、これはもう可で、経営として適当でない、解散せい、こういうわけなのですな。
  564. 畑市次郎

    ○畑証人 さようでございます。
  565. 田渕光一

    ○田渕委員 どうも二十六年の七月二十三日に監査を一回やつただけだ。監査の結果不備と認めた、こういうぐあいに今話されましたのですが、大体内容の実態を知つておらぬ。局長は実際を把握しておらぬ。たとえば母子寮にいたしましても、先ほど委員長が申しましたごとく権利金を畳一畳一万円、四畳半で四万五千円、そうして部屋代を二千円から三千円とつておるのに、これを知らない。昨年の七月からそのまま放任しておるということが事務局の調査でわかつたが、そのような現在インチキきわまる施設が、社会事業の美名に隠れて、悪辣をきわめて弱い者を搾取している。それをそのままに放置しておるということは、局長の責任でないかと私は思う。この点はどう考えますか。
  566. 畑市次郎

    ○畑証人 ただいま私申し上げるのに漏れたのが二点ございますが、昭和二十四年に厚生省の二局と、それから引揚援護庁の援護局からの通牒がございまして、二十四年の八月二十九日に一回指導監査をいたしております。それから二十五年におきましては、これは八月十四日に実施をいたしております。それから最後には二十六年の七月二十三日に実施いたしておりまして、こういうような状況では公益法人として不適当だから、年度内に解散することが適当だということと、今事業をしておる限界におきましては、直営に移行するようにということを、責任者に申し渡してある次第でございます。それから今の母子寮と称せられるもののその部屋代の点ですが、これは二千円とか三千円というような相当額の使用料を徴収しておるということは、先に私から申し上げたのであります。
  567. 田渕光一

    ○田渕委員 少くとも母子寮にとにかく二千円、三千円の部屋代をとつて、畳一畳に一万円の権利金をとるというようなことは、母子寮の性質からいつてこれは妥当でない。これは局長は何と考えますか。
  568. 畑市次郎

    ○畑証人 まさにその通りでございます。
  569. 田渕光一

    ○田渕委員 まさにその通りでは、局長の責任を果しておらぬでしよう。
  570. 畑市次郎

    ○畑証人 であればこそ、先に申し上げたように、私どもの方としては、公益法人としては不適当であり、解散すべきが適当である、同時に主務省である厚生省に対しましては、これは事務当局の方からすでに言つてあると私部下から聞いてあるのですが、これに対して設立の許可の取消しの処置をするか、適正な処置をしてほしいという申出をしておるのであります。ですから、これは主務省においてさように処置する。こう思います。
  571. 田渕光一

    ○田渕委員 先ほど委員長質問通り、局長以下十二人も判を押して、これが実態を調査せずに——一つのインチキきわまる、これはいわゆる社会事業の美名に隠れた聖十字学園である。この実態について昨年の七月二十三日に監査しておつて、その後の監査というものは——一年に一回しかやらない。これは人員の不足もありましよう。けれども、こういうことでは、たとえば家出人の収容所に家出人がいつ入つて、いつ出たかということはわからない。これに対して六十四万円の補助を与えておる。また五万円の赤い羽根の共同募金まで与えておる。またさらに簡易宿泊所という名義のものを、直営でやらすべきものをやらさないで、旅館組合に二十万円の権利金をとつてやらして、権利金を出した者は、今度は一日五十円の宿泊料をとつておる。それにまた太陽の湯などは、浮浪児や、最も困る失業者を入浴させるという美名のもとにつくつたものを、浴場組合に貸して二万円の権利金をとつておる。浮浪児を入れれば市民が入つて来ないというので、拒否しておる。さらにまた母子寮が今申し上げたような状態、外食券食堂に対しては、二万円の家賃をとつておる。職業補導所に三十万円の権利金をとつて、これまた三交代くらいでやらしておる。われわれ国会が調べるまでに、あなた方、つまり都の民生局長ととてやらなければならぬものをやつていないで、ただ下僚にやらせるから、そういうふうになつておる。実際にいつて、局長は社会事業の実態というものを把握しておらぬ。ここに結論が来るのであります。われわれ絶えず言つておる。東京都は一つの伏魔殿である。実際こういうようなことをして、あなたがその責任を果さなければ、この一社会事業を見ても、伏魔殿だといわれたつて、しかたがないでしよう。どうです。
  572. 畑市次郎

    ○畑証人 本日は東京都の伏魔殿とかいうような御批判を私はいただいてよろしゆうございますか。その点を……。
  573. 内藤隆

    内藤委員長 田渕委員の言うことは、この一事を見ても、伏魔殿といわれておるじやないかということなのです。ですから、これに関連性を持つてつておられるわけです。
  574. 田渕光一

    ○田渕委員 少くともこれだけの国有財産——社会事業の名のもとに仮想的なものをつくつて、その金をマル通から払い込まして、そうしてこれだけの悪いことをしておるのが、去年の七月の監査でわかつた。それを直営にさすか、さらには解散をさすか——直営にさすということがすでに私は不可解でたまらぬ。かような悪いものを首を切らないということが、伏魔殿だというのだ。そういう批判を受けるとか、なまいきなことを民生局長は言うておる。こういう悪いことをしておるものを、なぜただちに解散させないで、直営にさすか、解散さすか、解散したらいいと思うというようなことは、それは怠慢だと思う。これに対してどういう責任をとるか。
  575. 畑市次郎

    ○畑証人 前に申し上げた通りであります。
  576. 内藤隆

    内藤委員長 畑君に注意しますが、そういう挑戦的な態度ではなく、われわれ国権の最高の府として、今どこにかような社会事業の欠点があるかということを、非常に真剣味を持つてつておるのですから、あなたの感情でこれをやるなら、委員長は考えますよ。
  577. 田渕光一

    ○田渕委員 局長は冒頭に委員長質問に対して、当時の局長は調査が不備であつたことを率直に認めますと言つておる。前任の局長が調査が不備であつたために、こういう一つの問題を起しておる。国有財産を何千万円と不当な安値で払い下げて、そうして転売させて、弱い者を助けるという美名のもとに搾取しておる。たとえばふろの一事をもつても、その通り。入れなければならぬのに、浮浪児が入つて来たのではお客が入らぬからといつて、これをけつておる。こういう実態を国会が調査するまでに、なぜあなたが早く調査をやらぬのですか。その責任をどうするのです。挑戦的に来るなら、国会としてどこまでも追究しなければならぬ。
  578. 畑市次郎

    ○畑証人 私自身は、三、四日前の夜、現地を調査したのでありますが、あのふろ場は、いわゆるあそこに収容した者のふろに充当し、それからさつき申し上げたように、二割引の措置とか、あるいは券を発行した者については無料にする、こういうようなことを私は伺つてつたので、もしそうでなくて、浮浪者が入ることに対して拒否するというようなことであれば、これは私どもとしても、その面からしても放置することはできない。それから前に申し上げたように、今一万円の使用料を毎月とつて、委託経営するというがごときは、財団法人設置の本来の趣旨にかんがみて適当でない。だからこれは直営にすべきだ。しかも現状においてはとてもいかぬから、解散すべきだ。こういうことで、主務省である厚生省に対しまして、そう申し入れておるのであります。
  579. 内藤隆

    内藤委員長 ちよつと聞きますが、申出というのは、口頭ですか、書類ですか。
  580. 畑市次郎

    ○畑証人 これは毎年年末に一括して厚生省へ報告いたしますので、それまでの処置としましては口頭であります。
  581. 内藤隆

    内藤委員長 口頭でいいのですか。
  582. 畑市次郎

    ○畑証人 年に一回終末に文書でいたしまするが、それまでの間といたしましては、口頭で報告をする、こういう  ことでやつております。
  583. 内藤隆

    内藤委員長 けれども、局長が解散すべきものであると率直に認められたような悪性なものを、単に口頭だけで  やつてつて、それで目的は達せられますか。
  584. 畑市次郎

    ○畑証人 これはやはり厚生省の方で態度をはつきりきめていただきまして、認可の取消しをしていただきたい、かように考えております。
  585. 内藤隆

    内藤委員長 そこで私が申し上げたいのは、厚生省をしてすみやかにさような態度をとらすためには、あなたの方でいろいろと資料を持つて行つて、その内容の悪いことをるる申さなければならぬでしよう。そのことをやつておられるかどうかというのです。
  586. 畑市次郎

    ○畑証人 それは私の部下からすでに申しておるのであります。
  587. 内藤隆

    内藤委員長 何回ほど。
  588. 畑市次郎

    ○畑証人 私は、この問題が起るまでは、この点につきましては十分に承知しておらなかつたので、さきに委員の方からお話がありましたように、その点は私すぐ気がつかなかつたということははなはだ怠慢である。この点は私は率直に認めます。
  589. 内藤隆

    内藤委員長 当委員会がこの問題を取上げることになつたことによつて、初めてびつくりしてあなたはやつた、こういうわけなのですね。
  590. 畑市次郎

    ○畑証人 そうです。
  591. 田渕光一

    ○田渕委員 そこで局長が責任を回避しておらぬということはわかつて参りまするが、局長が冒頭に、少くとも当時の局長の調査は不備であつたことを率直に認める、こういうのでありますけれども、その不備というのは、どういう点が不備なのですか。
  592. 畑市次郎

    ○畑証人 最初のこの申請を見ますと、設立当初の資産は四十二万八千円でございまして、その内訳は、二十万円が基本財産、現金であります。あと二十二万八千円というのは備品でございまして、こういうような貧弱な資産内容をもつて、あれだけ広大なものを運営するということは適当でない、こういう意味であります。この問題が起るまで十分この点を私が承知しなかつたという点につきましては、私は率直に私の怠慢であるということは認めます。事後における処置は、さつき申し上げましたように、それぞれの機関に対しまして御注意を促しておるのであります。
  593. 田渕光一

    ○田渕委員 その不備の点は、そういうものじやなかろう。当時の参議院議員の鈴木順一、医学博士松崎陽、あるいはまた前衆議院議員の馬場秀夫、それから元賀陽宮様、こういうような名士の名を連ねておるが、インチキきわまる、わずか四十万くらいの資産内容しかない財団法人聖十字学園というものは信用ができないのである。これは都の安井知事から、当時の一松厚生大臣に申請し、大蔵大臣の栗栖赳夫君が、これを国有財産として処分するようにやつたというような点の、政治的圧力があつたために、そうなつたのじやないかと私は思うのですが、この点はどうですか。
  594. 畑市次郎

    ○畑証人 この点につきましては、私、当時の局長からまだその点を伺つておりません。
  595. 田渕光一

    ○田渕委員 局長は本日の委員会で証言されたことをもつて、この解散というようなことに対する措置を、三月の年一回の厚生省への報告ばかりでなく、ただちに決行する御意思がありますか、どうですか。
  596. 畑市次郎

    ○畑証人 これは厚生省に対しましてもこの点を十分に申し上げて、法の発動をしていただきたい、かように考えております。
  597. 内藤隆

    内藤委員長 他に御発言がなければ、畑証人に対する尋問はこれにて経了いたしました。証人には長時間御苦労さまでございました。     —————————————
  598. 内藤隆

    内藤委員長 引続き高田証人より証言を求めるごとにいたします。ただいまお見えになつておられる証人は高田正巳君ですね。——あらかじめ文書をもつて承知通り証人として証言を求めることに決定いたしましたので、さよう御承知を願います。  これより団有財産管理処分関係律件中、聖十字学園事件について証言を求めることになりますが、証言を求める前に証人に一言申し上げます。昭和二十二年法律第二百二十五号、議院における証人宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人証言を求める場合には、その前に宣誓をさせなければならないことと相なつております。  宣誓または証言を拒むことのできるのは、証言証人または証人配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族または証人とこれらの親族関係のあつた者及び証人の後見人または証人の後見を受けたる者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するとき、またはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するとき、及び医師歯科医師、薬剤師、薬種商、産婆、弁護士、弁理士弁護人公証人、宗教または祷祀の職にある者またはこれらの職にあつた者がその職務上知つた事実であつて、黙祕すべきものについて尋問を受けたときに限られておりまして、それ以外には証言を拒むことはできないことになつております。しかして、証人が正当の理由がなくて宣誓または証言を拒んだときは、一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられ、かつ宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処せられることとなつておるのであります。一応このことを御承知になつておいていただきたいと思います。  なお証人が公務員として知り得た事実が、職務上の祕密に関するものであるときは、その旨申出を願いたいと存じます。  では法律の定めるところによりまして、証人宣誓を求めます。御起立を願います。  宣誓書を読んでください。     〔証人高田正巳君朗読〕    宣誓書   良心に従つて、真実を述べ何事もかくさず、又何事もつけ加えないことを誓います。
  599. 内藤隆

    内藤委員長 それでは宣誓書署名捺印してください。     〔証人宣誓書署名捺印
  600. 内藤隆

    内藤委員長 これより証言を求めることになりますが、証言は、証言を求められた範囲を越えないこと、また御発言の際には、その都度委員長許可を得てなされるようお願いしておきます。なお。こちらから質問をしておるときはそのままでよろしゆうございますが、お答えの際は御起立をしてお答えを願います。高田さんは厚生省児童局長ですな。
  601. 高田正巳

    ○高田証人 さようでございます。
  602. 内藤隆

    内藤委員長 いつから児童局長になられましたか。
  603. 高田正巳

    ○高田証人 昭和二十四年十二月からでございます。
  604. 内藤隆

    内藤委員長 児童局長という職責は、戦災孤児あるいは浮浪児の補導教化等をやるごとなのですか。
  605. 高田正巳

    ○高田証人 さようでございます。それも所管でございます。
  606. 内藤隆

    内藤委員長 そのほかに何か……。
  607. 高田正巳

    ○高田証人 広く子供の福祉をはかるというようなことを所管にいたしております。
  608. 内藤隆

    内藤委員長 そこで浮浪者の収容施設あるいは母子寮、あるいは幼児の育児所等の業務はあなたの所管じやないですか。
  609. 高田正巳

    ○高田証人 母子寮、それから保育所と申しますか、それは私の方の所管でございます。浮浪者の収容施設は私の所管ではございません。
  610. 内藤隆

    内藤委員長 昭和二十二年十二月一日、聖十字学園より厚生大臣あてに簡易宿泊所、幼児保育所、浮浪児収容所を設置したいから厚生省東京衛生試験所の焼け跡を無償で貸与してもらいたいという申請があつたことを御存じですか。
  611. 高田正巳

    ○高田証人 それは児童局の所管ではございませんし、当時また私もその任にありませんでしたので、調べて参りましたが、その調べましたところによりまして、そういう申請があつたことを知りました。
  612. 内藤隆

    内藤委員長 あなたは二十四年十二月に就任されたのだからね。二十二年だから……。けれどもこの申請の中に、あなたの所管である保育所等がやはり含まれておるのですから、あなたの所管の事項には関係はあるわけですな。
  613. 高田正巳

    ○高田証人 さようでございます。その保育所というようなことは児童局の所管でございますが、今の……。
  614. 内藤隆

    内藤委員長 簡易宿泊所、浮浪児収容所、そういうものはあなたの所管ではないわけでございますね。
  615. 高田正巳

    ○高田証人 さようでございます。それから土地建物の貸下げ、払下げということは、これは官房会計課の所管でございます。
  616. 内藤隆

    内藤委員長 その後大蔵省側では、この市井の一社会事業団体ではまずいというので、これを財団法人に改組して払下げ申請を出した方がいいということになつて学園昭和二十三年二月、財団法人聖十字学園の設立認可申請を東京都知事を経由して厚生大臣に提出をしている。これに対しまして厚生大臣は、四月一日付で認可をしているが、その際の認可の事情等は御存じありませんか。
  617. 高田正巳

    ○高田証人 その法人は、確かにただいま御質問通りに、二十三年四月一日付で認可になつております。その当時の事情という御質問でございますが、この団体は、二十二年の一月の十五日以降、千葉県におきまして生活保護法に基いた児童保護施設を設置しております。もつとも生活保護法に基いた児童保護施設は、その後の児童福祉法の制定施行に伴いまして、昭和二十三年四月から児童福祉法に基く養護施設ということになつておりますが、そういう施設を設置しておりまして、比較的堅実に経営しておりまして、その経営の実績から見て、当該財団を民法法人として認めるのは適当であると考えられたわけであります。なお当時の事情といたしましては、御承知のように浮浪児だとか、戦災孤児あるいは引揚げ等による生活困窮者が相当多く出ておりまして、これらの要保護者の援護のことにつきましては、収容施設等の保護機関が未整備の状態でございました。それでこれらの保護の万全を期し得ない実情でありましたので、一つでも多くの民間団体の社会事業への参加が望まれておつたような状況でございました。さような状況に際しまして、ただいま申し上げましたように、すでに千葉県におきまして生活保護法の保護施設を運営いたしておりまする当該団体が法人の申請をいたして参りましたので、その法人からの設立許可申請を形式的に審理いたしまして、形式的な要件を具備いたしておりましたので、認可をいたしたようなわけであります。
  618. 内藤隆

    内藤委員長 ただいまの証言中に、千葉県の三里塚の方は非常に——非常とはおつしやらなかつたが、相当の成績をあげておるということだつた。それから推して見ると、その計画書も信頼するに足ると思うてやつた、こういうわけですね。ところがさいぜんの東京都の民生局長の証言によりますと、まことにどうも奇怪しごくなことなんで、その解散を命ずるように厚生省の方へいろいろ口頭で決議を求めた、こういう証言があつたのであります。三里塚の方はどうか知りません、これは当委員会としては問題にしておりませんが、東京都における認可後のやり方というものがまつたくなつていないということは事実なんです。そういう点はどうなんです。
  619. 高田正巳

    ○高田証人 ただいまお答えいたしましたのは、その法人として認可をした当時の事情はどうかという御質問でございましたので、私さようなお答えをいたしたのであります。
  620. 内藤隆

    内藤委員長 書類的には完備しておつた……。
  621. 高田正巳

    ○高田証人 さようでございます。その後の運営の状態が非常にぐあいが悪いじやないかという今の御質問でございますが、千葉県の方はその後——これが法人の事業の主体でございまして、私どもの所管になつておりまするのも、その意味で児童局の所管の法人になつておるわけであります。附帯事業として行つておりまする神田の和泉町の方の事業は、これは事業自体としては児童局の所管ではございません。しかし法人監督という意味で、法人の行つておる事業という意味では私どもの方にも責任があるわけであります。神田の方の事業の実体は必ずしも適当でないということを最近において承知をいたしました。
  622. 内藤隆

    内藤委員長 最近においてそういう事実をつかんだわけですか。
  623. 高田正巳

    ○高田証人 はあ。
  624. 内藤隆

    内藤委員長 別に現地に行つて調べたようなことでもあるのですか。
  625. 高田正巳

    ○高田証人 実際の法人の監督の仕事は、法理上は最終責任は厚生大臣にございますけれども、全国に散在しておる法人の監督を厚生省でやるわけにも参りませんので、知事の方にお願いをいたしております。それで厚生省といたしましては、年度末に提出されまする書面の審理で監督をいたしておるだけでございまして、実際の監督指導は知事にお願いをいたしております。従つてこの法人の業務について、厚生省が直接実地監査をいたしたことはございません。ただ昨日私が行つて見て参りました。さような状況でございます。
  626. 内藤隆

    内藤委員長 どうです。昨日現地をごらんになつた御感想は。
  627. 高田正巳

    ○高田証人 これはあるいは私の個人的な見解になるかもしれませんがよろしゆうございますか。
  628. 内藤隆

    内藤委員長 よろしゆうございます。
  629. 高田正巳

    ○高田証人 あの事業の中には、事業自体としては、そう不適当だというふうに言い切れないものもあると思います。しかしながら、その事業のやり方につきまして、その背後にひそんでおるいろいろなやり方といいますか、ちよつと表現はまずいかしれませんが、たとえば例をあげてみますれば、簡易宿泊所というようなものがございました。昨日は二百人前後の者が宿所を求めておりました。その事業自体は、必ずしも私は適当でないとは申しません。しかしその簡易宿泊所の経営のやり方については、あまり適当でない、かように私は感じたのであります。
  630. 内藤隆

    内藤委員長 そうでしような。もちろん社会事業という美名に隠れておるんだから、表面から見れば、その事業自体は相当なものだろうと思う。しかしその実体に至つては、言語道断なものであると私どもも考えておる。そこであなたの所管じやないこともありますが、母子寮、あるいはまた太陽の家とか簡易宿泊所というようなものは、社会事業の限界を逸脱しておるように思われますが、この点は、御見解はどうですか。
  631. 高田正巳

    ○高田証人 今母子寮とおつしやいましたのは、私ちよつと了解いたしかねるのですが、昨日見て参りましたのでは、母子寮なんというのはなかつたように思います。簡易アパートというものがございました。
  632. 内藤隆

    内藤委員長 簡易食堂の二階に母子寮というのが……。
  633. 高田正巳

    ○高田証人 簡易食堂の二階に簡易アパートというように書いてありました。看板も出ておりました。
  634. 内藤隆

    内藤委員長 看板を塗りかえたかな。どうです、結論的に厚生省としてはかような社会事業団体——社会事業の美名に隠れて、そうしていわゆるいろいろな手を使つて国の財産払下げを受けて、それを法規を逸脱して他に転売するというような、こういうことをやる社会事業団体に対して、厚生省は将来どういう対策をお持ちになつておりますか。
  635. 高田正巳

    ○高田証人 当該団体が、今委員長が御指摘のように、社会事業の美名に隠れて非常に悪いことをやつておるかどうかということは、私どもも十分まだ調査をいたしておりませんので、何とも言い切れないと思いますけれども、もしさようなことであれば、これは私どもとしてもそのまま捨ておきがたいと思います。当該団体につきまして聞いたところによりますると、法人自体の方で解散の意図もあるとかいうことを東京都庁の方から私聞いておりますが、かような財団法人は解散をいたして、残つた事業につきましては、それぞれたとえば千葉県の事業でありますとか、あるいは神田の事業にいたしましても、もしこれが妥当なるものであるとすれば、事業自体は、それぞれ適当な他の者にやらせるとかいうことにいたしまして、不適当なものはやめさせるというような措置をとりまして、法人としてはむしろ解散をいたした方がよかろうかと私も思つております。なおその点につきましては、東京都庁の方と十分協議をし、相談をいたしてきめたいと思います。
  636. 内藤隆

    内藤委員長 さいぜんの東京都の畑民生局長は、再三口頭をもつて厚生省の方へすみやかに解散の命令を出されるようにと交渉をしているという証言をしております。ところが今あなたのお話を聞くと、学園自体も解散をしたいと望んでおるということですが、そこに少し食い違いもありますけれども、要するに東京都としては、あなたの方へ、かようなものは解散すべきものであるということを、再三口頭でや、つて来ておりますか。
  637. 高田正巳

    ○高田証人 私自身はそのことを聞いておりませんが、あるいはそういうことがあつたかもしれません。私自身承知いたしておりません。
  638. 内藤隆

    内藤委員長 あなたの方の所管関係のものもあるのだから、あなたの方に通じなければならぬわけですね、口頭できびしく申し込んでおる以上は。
  639. 高田正巳

    ○高田証人 私自身は聞いておりません。
  640. 竹村奈良一

    ○竹村委員 一点だけお伺いいたしておきたいのです。たとえばこういうような財団法人による社会事業団体に対するあなたの方の監督関係は、大体各府県の知事に委任されて、そうして年に一回の書類によつてその適否を判断しておるというお話でございましたが、おそらく全国においてこれに類するような事業を行う社会事業団体というものがずいぶんあるのではないかと考える。というのは、現実に東京都の政府のおひざもとにおいて、こういう奇怪しごくな社会事業団体が公然のさばつて事業をやつているという事実から考えて、私はあると思うのですが、これに対してあなたは、いやそうでない、あの年に一回の書類だけで見ておつても、そういうことはおそらくないのだ、たまたまこれ一つだと考えておるのですか。私はどうもこれ一つではなく、これに類するようなものが各地にあるのじやないかと思うのですが、これに対してあなたの御感想はどうですか。
  641. 高田正巳

    ○高田証人 たいへんむずかしい御質問のように思うのでございますが、私の考えておりますところでは、全国の方々にこういうことがあるというふうには考えておりません。私の目の届かないようなことで、あるいはそういうものがほかにもあるかもしれませんが、ただいま私の考えておりますところでは、さようなものが方々にあるというふうなことはないと私は信じております。
  642. 竹村奈良一

    ○竹村委員 それでは、本件で問題になつておるこういう聖十字の社会事業団体が適当でないとお考えになつたのは、この行政監察委員会の問題になつたがゆえにそうお考えになつたのですか。その前に考えられておりましたか。
  643. 高田正巳

    ○高田証人 今申し上げましたように、私ども直接監督いたしておりませんので、正直なところ、問題になつてから承知をいたしました。それまでは気がつきませんでした。
  644. 竹村奈良一

    ○竹村委員 あなたは先ほどの私の質問に対するお答えでは、現在ではまあ大体ないと思つている、あるいはあるかもしれないというお話でございますが、本件が問題になつてからこういうことをお気づきになつたということは、やはりこういう社会事業を看板にしていろいろ行われておる不正というものが、あるいは全国にあるかもしれないわけなのであります。これに対して厚生省上しては、すべての社会事業団体に対して、至急に厳密な調査あるいは再検討をされる意思はありませんか、その点をお聞きいたしたい。
  645. 高田正巳

    ○高田証人 そのことにつきましては、昨年社会福祉事業法という法律を出しまして、そうして新たに社会福祉法人という制度を設けました。と申しますのは、その一つのねらいは、民法による公益法人でありますと、その監督規定等も比較的楽になつております。なお収益事業の監督等につきましても、特別な規定もないというようなことでありまするので、社会福祉法人という制度をつくりまして、監督ももう少し厳重にできるというようなことにいたしております。従つてなおまた社会福祉法人になつたものには、保護の規定もこれに設けまして、ほんとうに社会事業をやるというものにつきましては、社会福祉法人に切りかえてやつてもらうということにいたしました。従つて社会福祉法人に切りかえのときに相当な審査をいたしまするし、なお社会福祉法人になりました上は、民法の公益法人よりはずつと監督が容易になるということに相なつております。そのことによりまして、今御質問のような調査も達成し得ると私は考えております。
  646. 岡西明貞

    ○岡西委員 ちよつとお伺いします。先ほど委員長質問に対するあなたの答弁のうちに、聖十字の母子寮においでになつた時分に簡易アパートになつていたというお話でございましたが、ここにおいでになつたのはいつごろでございますか。
  647. 高田正巳

    ○高田証人 昨日でございます。
  648. 岡西明貞

    ○岡西委員 この問題が起つてからおいでになつたわけですね。そうしますと、先ほど民生局長の証言によりますると、との聖十字に対する解散のことについてはまだ話していないけれども内容の営業のことについては、厚生省の方に解散するように話をしておるということでございましたが、あなたの方といたしましては、今日の証言等によりますると、すでに偽善的悪徳社会事業家がやつておるということを認められておりまするので、この聖十字の解散に対することを、あなた方の方から東京都に指令するお考えはございますか。
  649. 高田正巳

    ○高田証人 若干法律的な問題になりまするけれども、解散命令はたしか民法施行法か何かにその法律的な根拠がございまして、従来法人に対して解散命令を出した場合に、行政訴訟か何かで負けている事例もあるそうでございます。これは規定が非常に漠然としておりまして、解散命令というものを法律的に論議いたします場合には、相当慎重に考えなければならぬものと私は考えております。従いまして実質的の解散を行いますることが、私この際非常に適当だと思います。しかしそれを解散命令という形で行いまするか、あるいは他の方法で行きまするか、あるいは認可の取消しというような方法で行きまするか、その辺のところは私自身ももう少し研究をしてみたいと今のところは存じております。
  650. 岡西明貞

    ○岡西委員 この社会事業が、先ほどからの証言によりますと、明らかに営利的なものであるということはここで認められているわけなのです。しかもこの監督庁の東京都で、厚生省に解散までやつてくれというようなお話があつた場合、あなた自体としては、そういう命令を受けた場合、訴訟でもしなければならぬというような状況になつて、その判定に苦しむというようなお話もございますけれども、すでに今日この委員会で問題になり、直接の監督官庁であります東京都からも、それだけの相談があなた方にある事態に照して、早急に認可を取消すなり、あるいは解散するということについてやられるお考えがございますか。
  651. 高田正巳

    ○高田証人 早急にこの問題について措置をとりたいと思つております。ただその措置の形式を、解散命令ということに限定しているようなただいまの御質問でありましたので、私さきのようなお答えを申し上げたのであります。実質的には御指摘のようなことに、措置としては相なると思いますが、形式はどういうふうになりますか、もう少し研究さしていただきたいと思います。
  652. 岡西明貞

    ○岡西委員 その調査をあなたの方でされるまでに、大体何日間くらいかかる予定でございますか。かような質問をあなたに申し上げるのは、こういう社会事業が偽善的社会事業家によつてやられるということがすでにはつきり認められ、とにかく国民の前に本委員会でこれだけ暴露された以上は、行政官庁として早急にこれをやる必要があると私は考える。この調査については、すでにあなたも昨日おいでになつたというお話でありまするが、これを調査する月日はそうかからぬと思う。そういう認定は早急にされるべきものだと私は考えております。たとえばこれを今月一ぱいにやるとか、三月末の年度内にやるということは可能だと思つておりますので、その点につきましては早急適切にやるように希望いたしておきます。
  653. 田渕光一

    ○田渕委員 東京都の畑民生局長にしろ、高田局長にしろ、あなた方は局長という名前だけなのだ。ほんとうは火事があつて燃えてしまつてから火事跡へ行つたようなものだ。しかも母子寮だの保育所というものはあなたの所管だと思う。きのう見に行つただけではわかるまいから、私が教えてあげる。そういう実体をよく知つておらぬから、岡西委員質問に対して、解散すると行政訴訟でも起されるとか言う。それはどろぼうにも三分の理があるけれども、これほど判然としたものをそんなゆうちようなことを言つているあなた方は、われわれは局長として信任できない、大きな厚生省の予算をとり、費用をとつて、しかも終戦後における社会施設というものが非常に急速になりつつあるときに、その監督権というものを東京都知事に依頼しておる、こうさつき言つた。これは一体どういうわけだ。その監督権を、東京都知事ばかりじやなく、全国の知事に委任しておるのか、私の聞きたいのはそこにある。社会事業団体に対する監督事務の実際というものは、どんなふうにして行われているか。諸君が予算ばかりとつて、国民の血税をやみからやみに流す。問題が起きたからというので、ちよちよ自動車で見たくらいでわかるものか。それだから簡易アパートの看板を見て来て、ここへ来てこれが母子寮なのだと言う。これがあなたの感覚なのだ。こういうことで、あなたが東京都に委任しておるということがいいのかどうか。あるいはそういうふうなことになつて、依頼された東京都が三月末に年に一回書類報告をすればいい、そういうふうな機構で、戦災浮浪児あるいはまた遺児、この終戦後におけるところの社会事業をやらなければならぬこの問題に対して、児童局長としてそういうゆうちようなことで責任が済むのかどうか、これが一つ。東京都へ依頼しておるということは、自分の権限を委譲しておるのか。東京都の畑局長は主管省である厚生省がやるべきだ、それであるから私の方では口頭で何回も言つておるという。それをあなたの下僚が何らあなたに報告していないということはわかつた、局長は何も知らぬというのだから……。そこに厚生省の児童局の下僚と局長との間のつながりの不完全がある。こういう重大な問題について、あなたの監督権を東京都知事に委任し、知事は三管局長である畑民生局長にまかしておるというのはほんとうなのか、実際はあなたが監督権を持つておるのか、それを一ぺん伺いたい。
  654. 高田正巳

    ○高田証人 法理的にはその指導監督の最終責任は厚生大臣が負うべきでありますが、しかし全国各地に散在するこれらの法人を、実際に実地に監督指導するということは、これは実際問題として不可能でございます。従いまして主たる事務所の所在地の都道府県知事にその指導監督の実施をお願いしておるわけであります。それは先ほど申し上げた通りでございます。それから二番目の、東京都知事の方から、この解散をしたらよかろうというようなことをたびたび申し出ておるけれども、私がそれを知らないということを申し上げましたのは、この法人についていろいろ問題がある、実体はこうだということを、問題が起つてから東京都の方から私どもの局の方に御連絡のあつたことは、よく承知をいたしております。しかしそれが、ただちに解散命令を出すというふうな形式でこの問題を処理することがいいというふうに、はつきりした意味で相談があつたようには、私は部下から報告を受けておりません。
  655. 田渕光一

    ○田渕委員 先ほどの畑民生局長も非常にけしからぬと思う。監査の結果、優、良、可、不可とわけて、これを可と判定したというような、なまぬるいことを言うておる。これはそもそもできるときから、東京都の連中も財務局の連中も、厚生省の連中も、みんな偽善者の磯川というものにやられておる。あんたは知らぬけれども、根こそぎ末輩はやられてしまつて、すつかり愚弄されてしまつておる。飲まされたか、もらつたか、そんなことは知らぬけれども……。あなたはさつきこういうような重大な発言をしておる。形式的な書類が具備しておつたから許可したと。しかし私は、本人の経歴とか財産内容とかいうものまで下僚が調べて、局長が判を押し、大臣の決裁をとつて財団法人として認可すべきだと思う。つまり大臣は結局あんた方を信頼しておるのだから、あんたはいわゆる一番の責任者だ。それを形式的な書類が具備しておればいいという話を伺つたが、将来もそういう精神で行きますか。
  656. 高田正巳

    ○高田証人 先ほどの私の答えを、あるいはそういうふうにお聞きくだすつたかもしれないと思いますが、形式的な書類も具備しておつたというのは、たとえば財産につきましては、銀行の証明書であるとかいうような形式的な書類も具備しておつたので……。その前に申し上げましたことは、この団体は千葉県で保護法の施設としての事業の実績を持つております。千葉県で、二十二年でございますから、一年余りの実績を持つておるわけであります。その施設は比較的堅実に事業を経営しており、相当な子供を預かつて経営しておる。そういう実体関係と、それから当時の社会情勢というものも申し上げておるのであります。そういうふうなことで許可をしたのであります。従つてただいまの、将来も形式的な要件だけ具備しておれば認可する方針であるか、許可する方針であるかという御質問でございますが、さようなつもりはございません。なおさような法人の申請につきましては、それぞれ現地の事務所の所在地の知事を経由して参りまして、実体的な調査は知事がいたしまして、副申をつけることになつております。その副申は十分に尊重いたしたい、かように考えております。
  657. 田渕光一

    ○田渕委員 千葉県の三里塚の艦政本部とか何とかいう海軍の施設を払い下げたということは、これも書類上の形式なんだ。ところが、これは実体が完全なものだ、非常に成績を上げておるということも、あなたが実地に見たわけではございません。当時の形式的な書類の具備で、つまり千葉県の方では成績がよかつた、まあ新規の聖十字学園の工事も手続ができておるから、そこで許可した。こういういいかげんなことをやつておる。これはあなたが知らぬから私が申し上げるが、実際事務局が調ベたのについて言えば——この母子寮などはあなたの管轄でありますから、あなたが見に行つたら、アパートの看板がかかつてつたと言う。ところが、これは東京都の方で出したというので、前に畑証人に聞いたのでありますが、太陽の家は簡易宿泊所、母子寮、太陽湯、外食券食堂、職業補導所、こういうのをつくるので、これだけの土地がいるのだといつて財務局から三千坪払下げを受けておる。これはあなたに言つても、あなたにはわからない。あなたは行政監察から呼出しを受けた。それで一応見ておかなければ自分の任務も尽せないし、義務も果せないからというので、ちよつと行つて見て来ただけだ。ほんとうに太陽の家の中に入つて行つて、実際に労働者が入つているのか、浮浪児が入つているのか、町のルンペンが入つているのかということを研究するくらいの気がなければだめだ。あなただけじつとそこにすわつてつて、机の上でぺたぺたと判こを押しておるだけでは、何にもわかつていやしない。そうでしよう。そんなあなたに月給をあげているのじやないのです。ただ行つて見て来ただけだから言うのだ。私の言うのは、たとえばあなたの管轄ではないかもしれませんけれども、家出人の収容所なんというものは、二十四年、二十五年に東京都から六十万円もらつておる。赤い羽根の共同募金の金ももらつておる。それでふとんを買つているといつているが、実際は六十余万円という金はどういうふうに使つておるかわかつてはいない。しかもこれがどうなつておるかわからないのに、それを事務監督だけでやつておる。東京都の民生局の下僚にやらしておる。たとえば簡易宿泊所で一日五十円の宿泊料をとつておる。その金でこの財団法人聖十字学園を経営しておるのかと思うと、そうじやない。東京都の簡易旅館組合に二十万の権利金をとつて貸しておる。この簡易宿泊所は一日五十円の宿泊料をとつておるのだ。あなたはこの施設を見て来たか知らないが、きたない、ひどい場所です。それからまた太陽の湯というのは、今言つた通り浮浪児などを入れるために太陽湯をつくつたと言つておるが、それが湯屋組合人権利金をとつて一箇月二万円の家賃で貸しておる。ところがその経営者は、浮浪児がきたないから、浮浪児に来てもらつては困ると言つてつておる。割引券を出しているというが、そんなのは名ばかりで、実際は少しも社会事業ではないのだ。さらにまた母子寮は、今言つた通り藤谷松治という者に月三万円でこれを貸しておる。この藤谷がまたこれを三階建に直して、三十二の部屋をつくつたりして、これが一箇月間代として二千円から三千円をとつておる。しかも畳一畳に対して一万円の権利金をとつておる。これが母子寮ですよ。母子寮という名目でありながら、畳一畳に一万円、四畳半で四万五千円とつて、なおかつ二千円、三千円という家賃をとつておる。またこの外食券食堂は、二万円でこれを貸しておる。職業補導所なんというのも名ばかりで、これはタイプの修理工場で、三十万円の権利金をとつておる。ちつとも仕事をしていない。これだけの実際をわれわれの事務局が調べて来た。これを厚生省の児童局長ともあろう者が、きのうになつてぽかぽか見て来て、今の岡西委員質問に対して、行政訴訟を起されると何とか言う。これで君行政訴訟を起す理由があるのか。この実体もよく知つておらぬのに、何のためにわれわれが四時間近くも質問しておるか。何のために局長のいすにすわつておるのかとわれわれは言いたい。ぽこぽこと盲判を押すばかりが局長じやないのだ。局長にはもつとすることがある。下僚をもつと監督しなさい。さつそく東京都に行つて、あすにでも解散命令を下すくらいの覚悟ができたかどうか。これが事実なんだ。行政監察でこれだけの資料が出て来ておるのだ。
  658. 高田正巳

    ○高田証人 ただいまのお話のようなことが全部事実でありまするならば、これは解散命令を下すに妥当したようなケースかと思います。大体さようなことであるということは——的確には私は承知いたしておりませんが、この問題が起きましてからは大体のところは承知をいたしております。ただ先ほど母子寮ではない簡易アパートだと申し上げたのは、母子寮というものは、あのようなものを母子寮と申すのではないという意味です。私どもの所管しております母子寮というのは、もう少し実体のかわつたものであります。あれを母子寮と言うならば、まつたくの僭称でありまして、私は、その意味において母子寮というようなものはなかつたということを申し上げただけであります。実体がとんでもない、母子寮とは非常に遠いものであるという意味で申し上げたのであります。
  659. 田渕光一

    ○田渕委員 これは局長のけしからぬ官僚独善の根性だと思う。私はむかつとしたのだが、あなたに私が今言うたことは、衆議院の行政監察委員会の事務局が調べて来た資料で言つているのだ。事実だとすればとは何ということか、それはどういう意味か。国会が調べたことを局長は疑つているのか。事実だとすればとは何という失敬なことを言うか。事実なんだ。国会では、あなたの言つたことは全部速記録に出るのだぞ。今言つたことを取消すか、どうだ。
  660. 高田正巳

    ○高田証人 私は、疑つたとか何とかいう意味でそういう言葉を使つたのではありません。従いまして、もしそういう誤解がありまするならばこれは取消します。
  661. 田渕光一

    ○田渕委員 よろしい。これは事実なんだ。国会の行監事務局はうそ偽りで何もこんなよけいなことを書く必要はない。事務局がわれわれに対してこういう資料を提供しており、われわれはその資料を信じて、あなたが知らないからこうしてあなたに教えているのだが、あなたの下僚も知らなければ、局長のあなたも知らない。依頼してある東京都の民生局長も知らなければ、その下僚も知らない。私がふしぎに思うのはそこだよ。こういう国有財産をただのような値段で払い下げているのだが、マル通からそのうち三百五十万円をもらつている。これはおそらくマル通に一部を世話してやつて、その金をマル通がやつたものだと思う。そうしてこういうものを取得したものだと思う。聖十字学園、あるいは母子寮、こういう美名に隠れたにせ社会事業はただ一つではない。さつき竹村委員が言つたように全国にある。ただここに氷山の一角が現れているにすぎないのだ。このようなあなた方の監督では、今日の行政機構の全体からいつても、そういう社会事業に対する監督というものがまつたく実行されておらない、われわれが納めているところの税金、またあなたも納めているところの税金、その血税をもつて国家の予算はまかなわれているのだ。ところが実際の実施面において、この予算の執行がどういうふうに行われているかというと、国有財産をただみたいな値段払下げをする。そうして国家に大きな迷惑をかける。今言つたような、そういう社会事業の美名に隠れた悪徳な、不良なインチキ屋が全国にたくさんいる。そういう連中がいろいろのものをつくる。しかしあなた方は全国を把握することはできないから、都道府県知事に監督を依頼している。そこで都道府県の民生局長をいじめてみれば、主管が厚生省であると言う。まるで責任のなすり合いだ。こういうようなものに対してどういうぐあいに制度をかえて行つたらいいかという考えは浮びませんか。現在のまま、このままでいいと思つているか、この点はどうですか。
  662. 高田正巳

    ○高田証人 その点につきましては、先ほど別の委員の御質問にお答えいたしましたように、社会福祉法人というものの制度でもう少し監督を十分にいたして行きたい。今までの民法法人の監督では不十分である。かように考えております。
  663. 田渕光一

    ○田渕委員 もう一点。あなた方は法律さえつくれば取締れると思つているらしいが、社会では、悪いやつらが法律よりも先に行くのです。犯罪が法律の先を行く。あなた方が法律をつくればまたその裏をかく。だから調べることが大事だというような点も気づくし、こんな問題が起つても教えられるわけだけれども、あなた、この社会事業団体と称する聖十字学園というものはこうですよ。一千何百万円というものは渡辺という者の寄付で建てたと言つているが、実は寄付ではなくて立てかえで、五百万というものはすでに返してしまつている。これは借りたんだ。そうして方々で悪いことをしている。しかもこの前身であるところの、磯川のやつた千葉のものは、千葉県において非常に実績をあげている。それがいいと思つてつて来たということを言つているが、はたしてこれがいいかどうか。あなたは当時行つて見て来たかどうか。あなたが行かれたわけではない、見ていない。結局、形式的な書類が具備して来れば、あなた方は盲判をばたばた押す。一番かわいそうなのは戦災遺児、浮浪児、あるいはルンペンだ、あぶれた連中だ。国家の方では、彼らが言うように行つているだろうと思つて予算を執行しているのだ。  ところが実体は一つも得られていない。あなたにきよう証言を求めたゆえんはそこにある。この監督機構を、あなたは局長としてどういうふうにやればいいと思つているか、都道府県知事に委任をしなければできないようなものを、なぜ児童局だのなんのと設置したか、もう一度言つてみなさい。監督をよその者がしなくちやならぬものをなぜ厚生省が——それなら都道府県の責任にしてしまえばいい、役得だけはうんととつておきたいわ、あらゆるものを認可、許可その他監督をするような顔してすわつてつても、実体がちつとも残らぬじやないか。もうはつきりして来ておる。この行政監察委員会できよう、きのうとやつたというので、ちよつと見ておかぬと、すぐ行政監察委員会でやられると思つて、局長の自動車で見に行つた。こんなことで局長が児童局長でやつて行けるのでは心細い。
  664. 内藤隆

    内藤委員長 田渕委員に答弁する前に、ちよつとあなたに申しておきますが、さいぜんのあなたの、千葉県の三里塚の母子寮は順調に行つているとかいう証言ですが、それはあなた自身直接に見られたわけではなく、書類的にそう考えているのではないですか。
  665. 高田正巳

    ○高田証人 千葉県の施設につきまして、私自身は見ておりません。ただこれは東京都の報告によつて、私はそういうふうに申し上げたわけであります。
  666. 内藤隆

    内藤委員長 当委員会の事務局においては、十分にその辺も調査してある。しかしいやしくもあなたが、この委員会においてさような今問題になつておるものを、謳歌するとまでは言わぬまでも、健全に発達しておると、一体責任を持つてここで保証するというのは問題だと思うのです。どうです、もう一ぺん考え直して……。
  667. 高田正巳

    ○高田証人 非常に微妙な言葉を使つたように、あるいは誤解を受けるかもわかりませんが、当時の認可したときの事情はどうかという御質問でございましたので、そういう認定に基いて当時法人の認可をいたしましたということを申し上げたわけであります。それで今日千葉県の施設がどの程度、われわれとしてこれにたいこ判を押すべきであるかということにつきましては、これはもう少し私自身も見て調査をいたさなければならないと思つております。
  668. 田渕光一

    ○田渕委員 今委員長が聞いた、千葉県の方が、認可する当時の状態として完全であつた——これをあなたが見ておられれば別ですが、その当時あなたは児童局長ではないのだから、ただその当時の調査がそうであつたらしいという言葉じやないですか。当時具備しておつた——今の委員長のお言葉ではないけれども、謳歌するような、千葉県の三里塚が非常に完全であつたということをさつき言われたが、その当時完全であつたか不完全であつたか、自分自身は知らぬ。私はさつき事務局の調べた事実を申し上げた。議員の申すことか事実であつたならは——東京都あたりが十二人も判を押して、むしやむしややつている。だから私は局長をしかりつけた。そういうふうなだらしのない者の報告を、東京都あるいは千葉県の知事が、やはり裏書きをして来て、あなたの方に出して来ている。あなたは知らぬことでしよう。知らぬことならば、事実かどうか、よかつたものかどうかということを、あなたここで証言できますか。
  669. 高田正巳

    ○高田証人 私が先ほど申したのは、あるいは言葉の使い方がそうなつておりませんでしたかもしれませんが、最初申し上げましたように、私は当時は在任しておりませんでしたし、従つて自身がその当時のことにつきまして承知をしておるということではございません。それで、ただそういうふうに謳歌をしたつもりもなかつたのでありますが、比較的まあまあ堅実に千葉県の方の事業は行つてつたというふうに当時認定をいたして、認可をしたのであるということを、私が今日自分で当時の事情を調べまして、そういうふうなことであつたということを申し上げたわけであります。
  670. 田渕光一

    ○田渕委員 もう一点。畑局長はこう言つておるのです。当時の東京都の民生局長は、率直に言つて調査が不備であつたと言つておる。これが聖十字学園である。しかしながらこれの最後の判を押したのは厚生大臣で、あなたの前局長つまり当時の児童局長の小島徳雄君、現在社会制度審議会の事務局長をやつておる。この人のやつたことが今言うごとくであつたならば、率直に言つて、あなた、いいと思うか、悪いと思うか。やはり形式的な書類でやつたものと思うか、その判断はどうですか。東京都の畑局長は、現にはつきり悪いと率直に言つている。これはとんでもないことですと言つている。畑局長は、現在済生会の副会長をしておる上平正明という人の局長の時代に認可したことは、率直に言つて調査が粗漏であつたと言つている。粗漏でなければ、私もここまで言わぬ。みんな下の連中が磯川という辣腕家に飲まされ、食わされ、すつかりやられてしまつた。そうして毎日何百人というものを苦しめている。だから当時の児童局長、今社会制度審議会の事務局長をしておる小島徳雄君、この人のやつたことが完全であつたか不完全であつたか、どういうふうに考えられるか、それを伺いたい。あなたの責任として……。
  671. 高田正巳

    ○高田証人 その後においてただいま起つておりますような事態を起しておるのでありますから、調査として完全であつたとは申し上げられないと思います。
  672. 浦口鉄男

    ○浦口委員 問題の最終責任は厚生大臣にありますから、厚生大臣にお聞きするところと思うのですが、この際局長に二、三点だけお尋ねしておきます。  問題は監督の面と思うのでありますが、先ほど畑証人お話によりますと、都の民生局といたしまして、一年に一回、しかも二、三時間しか調査をすることができない現状であつた、そうしてその調査に基いて書類で厚生省に出すというお話がありました。厚生省はその書類によつて監督をしておるということが、今局長の証言ではつきりしたわけですが、はたして一年に一回、しかも二、三時間しか、こうした施設に対して監督ができないというふうな現状であるとすれば、いかに監督に重点を置くと言われても、実際問題として私はこれはできないと思うのですが、そういう実情にあるかどうか。局長のお考えを聞いておきたい。
  673. 高田正巳

    ○高田証人 一年に一回しかできないかどうかということは、これは人員の関係でありますとか、あるいは法人全体の監督ということになりますと、旅費を要する所もありましようから、私、はつきり何とも申し上げられません。ただそこにおのずから人員とか予算とかいうものによりまして、その監督に制限を受けるということはあると思います。一回あるいは一回半—二年に三回とかあるいは一年に二回とかということが不可能であるかどうかということは、私は今ちよつと何とも申し上げられないと思います。  それからなお御参考までに申し上げますが、事業の監督と法人の監督とは別にやつておるのでございます。たとえば当該の団体が経営しておりまする——千葉県の実例で申しますれば、千葉県の児童福祉施設、これにつきましては、たしか年に二回、児童福祉事業として、実地に事業自体の監督をいたすような建前に相なつております。今御指摘の畑証人がおつしやつたのは、法人に対する監督ということであろうかと思います。従いまして、事業の方の監督と、それから法人の監督というものを合せますれば、年一回よりは、もう少し参つておるはずでございます。
  674. 浦口鉄男

    ○浦口委員 どうもわれわれ常識でちよつと考えられないのですね。こういう大きな問題が、聖十字学園が財団法人として設立されてまる四年間、ほとんどわからなかつたということを考えると——役人の方は必ず予算が足りない、人員が足りないとおつしやる、これはいつでも聞くのであります。もちろん国会でそのことに無関心でいるわけではないのでありますが、私は、要は監督上の実際についての熱意が足りないのではないかと考える。数字上は、幾つこういう法人があつて、人が幾らいて、予算がこれしかないからできない、いわゆる机上論ではそう行くと思うのでありますが、しかし、いかに当つてみなくても、世間の風評とか、ほんとうに責任ある立場に立つていられれば、そういう数字上のことでなしに、随時いかなる方法でも私は監督はできると思う。そういう点で責任の立場にあられる局長は、今後の問題として十分お考え願いたいこう思うのであります。  もう一つお聞きしておきたいことは、監督の問題も重大でありますが、要はこうした問題が起きないための事前措置が大事だと思う。すでに国有財産がこういうふうに不正に流用されている事実を見ましても、さかのぼつて許可の問題について、非常にずさんな点があると思う。この学園もそうでありますが、元の賀陽宮殿下あるいは衆参議員というような名前が、大体こういう社会事業団体の設立の認可にあたつては、まず並べられるのであります。私の知る範囲では、こうした肩書きが並ぶと、地方庁といたしましては、ほとんど調査することなしに副申をつけて出す、地方庁が副申をつけて出せば、中央では無条件でこれが許可になるというふうに、われわれは承知しているのであります。非常に極端な表現かもしれませんが、そうした結果各地において——こうした大きな問題は別としましても、大小非常にたくさんの問題が出ているのをわれわれは承知している。そこでこの認可にあたつて、いま一段と厳格な処置をすべきではないかということをつくつく考えるわけであります。先ほどお話のありました、社会福祉法人に対して今後監督を厳重にするということは、まことにけつこうでありますが、その以前の許可申請に対する認可について、どういうふうにお考えになつているか、その点をお聞かせ願いたいと思います。
  675. 高田正巳

    ○高田証人 前段の、監督について熱意が足りなかつたのではないかという御質問に対しましては、いやしくもかような事態を現実に生じておるわけでありまするから、その間にいろいろ実際上の制約があつたにいたしましても、監督上の責任といたしまして、はなはだ遺憾なことに存じます。従いまして、私ども今後この監督に十分な努力をいたしたいと考えております。  それから、新しく法人を許可する際に、もう少し厳重に審査をすべきではないかという御質問でございますが、この点も同様に私考えます。今後社会福祉法人の許可にあたりましては、かようなことを避けまするように審査を十分厳重にいたしたい、かように考えております。
  676. 浦口鉄男

    ○浦口委員 最後に、こうした社会事業を主とする公益法人が、これは東京都の例でもよろしゆうございますが、実際どのくらいあるかということをあとでお知らせ願いたいと思います。  いま一つ、設立とか申請について、決定をするのは厚生大臣でありますが、その間に何かこれを調査する審議会のようなものがあるように承知しておりましたが、その点いかがですか。
  677. 高田正巳

    ○高田証人 法人の数につきましては、私今ちよつと存じておりませんので、後刻お知らせ申し上げたいと思います。それから、許可について審議会にかけることになつておるように思うが、ということでございますが、さようなことはないのでございます。
  678. 内藤隆

    内藤委員長 他に御発言がなければ、高田証人に対する尋問はこれにて終了いたしました。証人には長時間御苦労さまでございました。  次会は明十四日午後一時より開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後五時五十五分散会