運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1952-05-22 第13回国会 衆議院 厚生委員会 第31号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年五月二十二日(木曜日)     午前十一時六分開議  出席委員    委員長代理 理事 青柳 一郎君    理事 丸山 直友君 理事 亘  四郎君       新井 京太君    田中  元君       寺島隆太郎君    中川 俊思君       堀川 恭平君    松井 豊吉君       松永 佛骨君    松谷天光光君       堤 ツルヨ君    苅田アサノ君  出席政府委員         厚 生 技 官         (公衆衛生局環         境衛生部長)  楠本 正康君  委員外出席者         外務事務官   和田  力君         厚 生 技 官         (公衆衛生局検         疫課長)    軽部弥生一君         專  門  員 川井 章知君         專  門  員 引地亮太郎君         專  門  員 山本 正世君     ————————————— 五月二十一日  栄養改善法制定に関する請願三池信紹介)  (第二九四七号)  同(山本久雄紹介)(第二九四八号)  同(山口シヅエ紹介)(第二九七九号)  同(淺香忠雄紹介)(第二九八〇号)  同(尾関義一紹介)(第二九八一号)  同(井手光治紹介)(第二九八二号)  同(平澤長吉紹介)(第二九八三号)  同(關谷勝利紹介)(第二九八四号)  同(押谷富三紹介)(第二九八五号)  同(小峯柳多君紹介)(第二九八六号)  同外二件(並木芳雄紹介)(第二九八七号)  国民健康保險医療費及び診療所運営費国庫補助  増額の請願西村久之紹介)(第二九八八  号)  母子福祉法制定請願佐藤親弘紹介)(第  二九八九号)  同(圓谷光衞紹介)(第二九九〇号)  同(高塩三郎紹介)(第二九九一号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  参考人選定に関する件  小委員追加選任  外国軍用艦船等に関する検疫法特例案内閣提  出第二〇四号)     —————————————
  2. 青柳一郎

    青柳委員長代理 これより会議を開きます。  委員長が所用のため、私が臨時に委員長の職務を代行いたします。  外国軍用艦船等に関する検疫法特例案を議題とし、審査を進めます。御質疑はありませんか。
  3. 苅田アサノ

    苅田委員 まず厚生当局の方に御質問したいのですが、前会から引続いて御質問しておるわけですが、今度外国軍用艦船等に関する検疫法特例案が出るにあたりまして、厚生省の方では、これは諸外国においてもそういうのが習慣になつておるというふうな御説明であつたのですが、諸外国情勢日本情勢とは違う、協定下情勢は違うというようなことは前に申し上げましたから、その点は一応触れないで、きようは質問したいのです。  そうしますと、資料にいただきましたアメリカ軍用艦船検疫法抜卒などを見ましても、合衆国におきましても、自主的に検疫を省略することができるという規定はあるのですけれども検疫港以外の港に入港し得るという規定はないように私は思うのです。そういうことが、アメリカその他英仏独伊等の国においてもあるかどうかということを、お聞きしたいのです。
  4. 軽部弥生一

    軽部説明員 今回の特例にわざわざうたいましたのは、もとの検疫法、これには入港を指定してございます。それ以外には直接外国から来航した艦船は入れない、こういうふうに規定してございます。しかし、軍艦事前外交折衝によりまして、その行動お互いの国で了解し合つて動くという基礎の上に立つ行動でありますので、どの港にも、向うから要求があつた場合には、話がつきましたら、それを入れることを認めようという相互的なことになつておるわけであります。それで前の本法には制限規定がございますので、それを今度特例で落しまして、一応そういう道をあけた、こういうことになります。
  5. 苅田アサノ

    苅田委員 私のお聞きしたいのは、そういうことでなくて——事前に通告があれば、どの港へも入れようということはあるかもしれませんけれども、こういうふうに初めから港をあけまして、検疫港以外にも入港できるというような機構をなぜつくらなければならないかということであります。この間いただきましたアメリカ軍用艦船検疫法拔卒を見ましても、「合衆国のあるいは他の外国軍用の所有の船舶は主任医官の裁量によりて該船舶の制規医務士官の証明する場合には検疫検査を省略することができる。」というように——検疫港でなくもどこでも入つていいということを、こちらからわざわざ規定する必要はないと思うのでありますが、そういうことをなぜしなければならないか。これは諸外国にそういうことは例がないのじやないかということをお聞きしているわけであります。
  6. 軽部弥生一

    軽部説明員 今お話がございましたように、検疫港を二十幾つというように制限しておりますので、これを特例でもつてその制限を排除した、こういうことなのであります。
  7. 苅田アサノ

    苅田委員 だから、同じことですけれども、なぜ排除をしたかということ。つまり、なぜこの検疫所のないところにも入つてもよいのだということを、わざわざ規定しなければならないかということです。そういうことは諸外国にはないじやないか。検疫を省略することができるという申合せはあつても、わざわざ検疫設備のないところに、さあいらつしやいというふうに、港をあける必要はないじやないかということを言つているわけですよ。
  8. 軽部弥生一

    軽部説明員 わかりました。私の方も、どの港にも入ることができるということは、最初に申し上げましたように、本法におきましての入国港の指定による制限を落しておきませんと——今度の特例でどの港にも入り得るというふうにいたしておきませんと、その都度外交折衝によりまして、どこそこの港に入つてもよろしいか、そうして話合いの上で、よろしいというオーケーが出ました上で、本法制限した港以外の港が問題になつたときには、これもこの制限にひつかかつてしまう、こういうことになるおそれがあるのでございます。軍艦に対して、なぜそういうことをしたかということにつきましては、戰前からお互い国際慣習によりまして、軍艦というものが政府機関の代表を長として行動するということから、事前にまた外交折衝で打合せが行われるということ等からいたしまして、軍艦行動そのものをむやみやたらに一方的に制限するということは、戦時は別でございますけれども、そういうことをお互いに避けるという国際慣習にのつとるために、その道をあけたということなんです。本法制限規定を落しまして、そういうことを行い得るように道をあけた、こういうためにやつた処置であります。
  9. 苅田アサノ

    苅田委員 外国のそういう御便宜をはかるために道をあけたために、そこに日本国民防疫上の大きな穴が明くということまで、私は何もわざわざする必要はないと思うのですよ。今の日本国力からして、そういうすべての開港場検疫所をつくつたり、それに対する設備をしたりする費用がないのであれば、今はできないのだから、そういうふうなものはお断りして、この検疫港だけに入つて来るようにした方がいいと思います。それでなければ、主として軍艦が入つて来るのは、安保條約に基く行政協定による船以外は、あなたがおつしやるように一年に一ぱいか二はいしか入つて来ないのです。しよつちゆう入つて来る船は、アメリカの船にきまつているのですから、それならアメリカ費用で、あるいは防衛費の中から向うにお金を分担させてつくればよいのであつて、こちらの方で手を明けて、向うにだけ義理立てしなければならないということはないと思います。日本独立国だと政府は言つているのですから、義理立てをする必要はないと思います。それはどうですか。
  10. 軽部弥生一

    軽部説明員 わざわざ手を明けてというふうに、明文で書いてありますから、そういうふうにおとりになるかもしれませんが、要するに、ただいま申しますように、戰前からの国際慣習というものを生かすために、本法制限規定を落しておかなければ、どうしても自繩自縛になりまして、そこに今は二十四箇所ですか、この港以外の港に入つてくれては困るということをたてにとつてがんばらざるを得なくなる、こういうことになるのです。事実上、そういう慣習上のつき合いができるようにするための道をつくつたというのが、あくまでも筋でありまして、それ以外の港に入つてほしいということを表明したわけではないのであります。それは重々お話して十分おわかりだろうと思いますが、あの二十四箇所という港は、大体外国からの大きな船の出入りする港なんです。あれ以外に入つて来るということは、おそらくあるまいと思うのでございますが、全然国際慣習を破つてつき合いができないというような事態を避けるために、一応排除する規定を設けて、話合いが出た場合には話をつけられる道を残しておく、こういうことなのでありまして、あれは、どうぞどこでもお入りくださいというふうにおとりいただくと、まことに趣旨が違うのでございます。
  11. 苅田アサノ

    苅田委員 しかし、ああいうふうに法文に規定してあれば、どうぞお入りくださいというふうにとつてもしかたがないのです。何もわからないのですから、同じように並べてあるのですから、検疫法を施行していない港でも検疫ができるのだというふうにしてあれば、どこでも御都合のいいところにお入りくださいという以外の何ものでもないと思います。  それから、あなたは国際慣習によるとおつしやつたけれども、私がさつきからお尋ねしているように、アメリカあたりは、検疫を省略することができるという規定はあつても、検疫港以外のどこにでもお入りくださいという規定はないのですから、そんなものは書く必要がないじやないかということを、私は言つているわけです。
  12. 軽部弥生一

    軽部説明員 これは法律の立て方の問題だと思うのでございますが、私ども今度初めて一港検疫主義というものをとりまして、船側の行動の便利をはかるということをきめたのでございます。そこで入国港というものをぴつしやりきめてしまつたのです。でありますから、こういう規定が必要になつたのでありまして、これは明文にある以上、どこでも入つてよろしい、さあお入りくださいという、かうにおとりになるのも、読み方の一つでございますが、私どもとしては、そういうのが本旨ではございませんで、そういうふうに読み取れるという可能性は十分認められます。しかし私ども本旨は、あくまでどの港に入りたいという事前折衝があつた場合に、私の方ではこの二十四箇所にしか入れないことにきめてあるのだ、まことに困つたことではないかということが、なるべく起らないように、そういうふうな摩擦が起らないために道を開くというような趣旨でございまして、貧弱な国力をもつて病菌が入るかもしれないということを、門をあけて待つているという趣旨ではございません。
  13. 苅田アサノ

    苅田委員 それはわざわざ日本人を敵にして病菌で殺してやろうというようなことを考えない以上、あなたがおつしやつたように、手を明けて病菌が入つて来ることを待つている趣旨ではないということはわかるわけです。私もそんなふうには考えておりませんが、結局この結果が、そういうことになるかもしれない。だからそういう事態にならないうちに、これは政府として防ぎ得るではないかということを言つているのです。私は大体あなた方の御意見もわかつているのでして、ほかの委員からもこの点は質問があるでしようから、私はこれ以上質問いたしませんが、一つお聞きしたいのは、政府の方でも、港々に検疫所がないということは、少くとも不便だということは知つているのですから、今度はおもに外国のためにそういうふうに検疫所のない港を開いて、しかもそれを使用するのは、あなたも言つていらつしやるように、もし使用することがありとすれば、これは主として、一日に三十ぱいも横須賀だけに軍艦を入れているというアメリカ以外には、そう私は問題にならないと思います。実際の問題としては、どこの国にも門は開いておりますが、実際日々出入りしているのは米国の軍艦なんですから、それならそのための行政協定もあることですし、あなたの方で費用を出してもらつて検疫所日本で建てるからという交渉をされたか、しなかつたか、この際一点聞いておきたいと思いますが、どうですか。
  14. 楠本正康

    楠本政府委員 この点につきましては、今後の問題でふりまして、現状におきましては、私どもアメリカ側がこの特例規定いたしますと同様なことを、間違いなく実施してくれるということを、先日もお話ししましたように、期待をいたしております。従つて現状におきましては、必ずしも特別な経費は必要なかろうと考えておるのでありますが、将来御指摘のような点がありまして、多分に経費のかかるような事態が生じましたならば、その際は行政協定に基く予算措置というものは考えなければならぬと考えておるわけであります。
  15. 苅田アサノ

    苅田委員 前回同じような御答弁をなさいましたときに、私はそういうことは問題にならないのだ、そういうことは、目前の問題で将来の問題でないということを申しましたから、きようは申しません。  次に、前面十分お聞きしていなかつた飛行場のことにつきましてお尋ねしたいと思います。今回政府答弁によると、今予定されている三十の米軍飛行基地検疫は、今度制定される外国軍艦に対する検疫法特例を基準として、米軍に自主的に検疫をやらせるようになつて日本検疫を求められたとき以外はできないということに実質上はなるのだ、検疫所も、今度できるその米軍の大体三十くらいの基地内には、日本検疫所もできないのだ、こういうお話つたのです。すると、この米軍飛行基地は、朝鮮との戰争によつて最も多く用いられているものであつて、今は休戦会談が進められておりますが、その前途も必ずしも楽観できない状態になつている、これは御存じだと思います。そうすれば飛行基地から飛び立つたり、帰つて来たりする回数は、港の場合よりも、もつと頻繁でありますし、距離からいつても、ずつと短縮されるわけです。しかるに、朝鮮では米軍細菌戦をやつておるということがもつぱらいわれて、このことはフランスのキユリー博士等の権威ある科学者も、これを主張しているわけなんです。それだけじやなくて、国際的ないろいろな権威ある機関も、同様な問題でアメリカの反省を求めておりますし、特に最近では、アメリカの中におる科学者の学会で、アメリカ細菌戰を使わないということを決議して世界に発表しなければいけないということまで、いわれておるわけです。こういう状態ですから、單にこの細菌戦かデマだということは、何の根拠もないわけなんです。それでなくても、戦地は疫病が非常に流行しやすいような条件があるのですから、そういうときに政府が、日本国内の各地の飛行基地から、自由にそういつた戦場を経て来た飛行機が出入りするのに対して、何も防疫をみずからしない。こういうことで、日本国内にそういう伝染病が入らないという確信がほんとうに持てるのかどうか。そういうことを、私はお聞きしたいわけなんです。基地アメリカの権限内にあるといつても、黴薗に対してまでアメリカは保障してくれるわけじやないのです。今度は検疫権利が、占領が解除されて一応日本にまかされているというのですから、やはり日本人の健康を守るという意味から——特に基地にはパンパンなんかもしよつちゆう出入りしておりまして、日本国民密集地帶があるわけなんですから、こういう状態に対して、一体政府として、日本防疫ほんとうにこういう状態責任が持てるということが言えるのかどうか、この点をひとつお聞きしたいと思うのです。
  16. 楠本正康

    楠本政府委員 ただいまのお話を伺つておりますと、駐留軍国連軍とを若干混同されたのじやなかろうかとも考えられるのであります。と申しますのは、駐留軍はそうしばしば移動をしたり、あるいは戰地と往復するようなことは考えられないのであります。  次に、現在のような考え方で、はたして国内防疫間隙を生じないかという御意見でありますが、これに関しましては、もちろん私どもは、間隙をつくらないことを見越して、また間隙をつくらないために、かような措置とつたのでありますから、もちろんこの措置によりまして、国内防疫を混乱させるようなことはないということを、責任をもつて申し上げられると思うのであります。
  17. 苅田アサノ

    苅田委員 駐留軍国連軍を混同しているのじやないかとおつしやるのですが、しかし、私が今申しました三十の基地というのが、アメリカとの行政協定によつて今度きまつたということは、はつきりしているのであつて、そこを使用するのが、たまたま国連軍であろうとなかろうと、行動として、日本の側からいえば、これに対しては行政協定に基いた協約として、日本側にも発言する権利は当然あると思うのです。それから、部長は、今責任を持つて防疫のことはできるというふうにおつしやつたのですが、これは私は事実とはなはだ違うと思うのです。これは前回お尋ねしましたときに、米軍基地の問題で交渉をやつた際、日本政府基地の中に検疫所がないということは非常に困るから、ぜひ検疫所飛行基地の中に設けさせてもらいたいということを先方に要求し、先方の軍医も大体了承しておつたにかかわらず、アメリカ作戰上の見地からこの問題がいれられなかつたということを、課長も御答弁になつておるのです。そうすれば、日本政府としても、当然こういう状態が非常に国内防疫上不安だというからこそ、そういう交渉を進められたと思うのです。その交渉がいれられなかつたのであれば、これは国内防疫上非常な穴になつているのだということを率直に言われて、むしろ国民のすべての協力を得て、こういう問題をなくすることに私は努力される方が、ほんとうに良心的な官吏としての責任じやないかと思うのです。あなたのように、そういうことを隠してしまつて、ただ大丈夫ですと言つておられては、私どもは決して信用できないのです。
  18. 軽部弥生一

    軽部説明員 国連軍駐留軍の使い方というお話でございます。実際問題といたしまして、行政協定によりましてアメリカ軍の管理いたします基地の姿でございますが、これは実際現在その区域設定作業が、合同委員会進行中であるという、今進行形状態なんです。ですから、行政協定に基いてきめられた区域内に対する細部の行政運営につきましては、これはその上で人員なり費用なりというものが要するような事態が出て参りますと、さつそく私どもとして私ども検疫の立場で、もちろんまた予算も要求いたしまして御相談を申し上げたい、こういうふうに実は考えておるのであります。今まで申し上げておりますのは、行政協定以外の外国軍用艦船、こういうふうに御理解願いたい。ですから、この検疫法特例という名前が、行政協定に基く検疫法特例というのではございません、もともとの検疫法の中の特例である。それから行政協定に基いた基地に対して、何らかの措置を必要とするという場合には、法的措置も、あるいは予算的措置も当然必要になつて来ると思うのでございますが、御承知のように行政協定には検疫そのものを排除するというような條文がございません。それで私どもは、建前といたしまして、これは国内法が適用されてしかるべきものだ、こういう解釈を申し上げておる。そういう理論から参りますと、今お話のございましたように、アメリカの管理いたします区域の中にも、わが国の検疫事務所を持ちまして当然検疫すべきであつて、これが筋でございます。まことにその通りでございますが、実際問題といたしまして、行政協定の出入国に関する分科会。これの下相談に私ども参画しておるわけでございますが、個々の話でいろいろと折衝いたしました結果、実際問題といたしまして、そこのアメリカの管理する区域の中にわれわれを入れ得るという余地がない。しかし、私どもは、そこに間隙を生ずるおそれがある場合には、あらゆる行政権を私の方が留保しているのだから、私の方はどしどし発言する、こういうことを申し上げてあるのでございます。そこで現行航空機の交通につきましては、一応事後連絡でもけつこうでございます。しかし、汚染区域から参りましたり、あるいは疑わしい患者を積んで参りましたような場合には、即刻御連絡をいただく、そういうふうに私どもは了解しております。そういう疑わしい患者処置につきましても、すぐに連絡をいただく、こういうことに文書の申合せができております。ですから、筋と現実の姿に対処する方法を両方お考えいただいて、割つて行きませんと、私どもとしても動きがとれないことになるのでございますが、そういう意味で私どもは、筋はあくまで前の検疫法並びに今回の検疫法特例というものが事実上は国内行政でございますから、適用されるのである、こういう説明を申し上げておるわけであります。
  19. 苅田アサノ

    苅田委員 課長お話は、私一応わかるのですけれども、あなたが今おつしやつたお話の中にも、私は矛盾があると思うのは、行政協定には関係がない法律といつておいでになるのだけれども、しかしながら、港の方の検疫は、行政協定にとりきめがないのだから国内法で行くのだ、これを準用するのだとおつしやるところに、この法案自体がこのままでは非常に困る問題を残しておる。あなたのおつしやつておるように、そういう問題があれば、別個のとりきめをしなければいけないとおつしやるのですけれども、そのとりきめをしない前提で行われておるというところに、私は大きな問題があると思うのです。そういう点はこの間から私ども意見も十分申し上げてあるし、あなたの方としては、向う折衝をやつて基地の中にそういう防疫検疫所をつくる話までも進めたのだけれども向う作戰上からそれがいれられなかつたというお話まであつたのですから、私どもはそういう問題を、もつと大きな国民なり、あるいは国会なりの力で、あなた方が考えたように防疫上完全な態勢をつくることに協力させるように、この委員会でも御発言になつてほしいということを申し上げたわけなんです。そのことは、おそらく他の委員からも御質問があるでしようから、私はその点はこれで打切ります。  今、外務省の第三課長が見えているというので、次にそちらの方に御質問したいのですが、今回十八日の朝日新聞発表によりますと、安全保障條約に基く行政協定によつて予備工作の話が進められておる。それによつて、大体日本の内地でアメリカ軍が使用する土地がきまつたという発表がありました。これによりますと、軍港では、横須賀佐世保規定されているわけですが、しかしながら、もちろん私どもは、従前回章によつて連合軍が使用しておりました日本国内の他の開港も、これは従来通り引続いて使用されようになるのだと思いますが、その点はいかがになりますか。そうして、従来、今回軍港としてきめられた以外の日本開港がどの範囲にわたつて向うに使用されておつたかということも御説明願いたいと思います。
  20. 和田力

    和田説明員 ただいま課長というお話がありましたが、私は課長ではございません。課長代理でございまして、御了承を願います。  朝日新聞発表のございました記事につきましては、あれは外務省の方としては、別に関知しないものでございますが、大体施設交渉の段階は、当らずといえども遠からずでございまして、大筋は話が進んでおります。それで港の問題につきましては、先ほどお話がありましたように、軍港としては横須賀佐世保を大体軍側から使いたいという意思表示を受けております。あと開港場の問題ですが、これは現在港湾委員会というものをつくりまして、そこで個々的に検討されているわけでございますが、大体横浜の一部分、それから神戸の一部分——さん橋のごく一部分でございます。それが専用施設として残る可能性があると思います。あと港湾としては、向う専用のものというのはほとんどなくなります。それで、一般の開港の使用につきましては、軍としては随時使用できるわけでありますが、今申し上げました所以外の所は、特別に専用施設という種類のものは残らないことになるだろう、そういう見通しを持つております。
  21. 苅田アサノ

    苅田委員 従来総司令部から出ておりました回章というのがありまして、それによりますと、小樽、函館、横浜、横須賀、名古屋、清水、神戸、大坂、呉、佐世保、三池、長崎、門司、こういう所は米軍が自由に出入りして使用しておつたのですが、こういう形のものは依然としてこの前指定されました専用施設の以外にも残るのじやないかと私は思いますが、この点はいかがですか。
  22. 和田力

    和田説明員 そういう形としては残らないわけでございます。ただ開港場には自由に出入りできるという協定がございますから、その協定によりまして、自由に出入りできるわけでございます。
  23. 苅田アサノ

    苅田委員 これは横須賀の一検疫医の話なんですが、あのあたりには、開港といいますか、普通に指定されている港以外にも、あるいは沼津だとか熱海だとか小田原だとかいうところに外国軍用船が入つて来ている事実を認めているというようなことがあるわけですが、今後もしそういうふうなことがあれば、これは当然そうしたとりきめに違反する行動として、外務関係あたりで交渉を持たれるようなことができますかどうですか、その点をお伺いしておきます。
  24. 和田力

    和田説明員 お話趣旨がよくわからないのでありますが、アメリカ側の船は、日本側のどこの港にも入ることができるということになつているはずだと思います。でありますから、入ること自体は、決して違反ではないのであります。
  25. 苅田アサノ

    苅田委員 そうすると、検疫しない船が入つて来るときには、今度検疫強などで検疫についての通告とかなんとかを一応しなければならないのでありますが、何も設備のない港にどんどん入られた場合には、検疫上に穴があくことになります。そういうことは、従来できることになつていたのでありますか。
  26. 和田力

    和田説明員 開港場以外の所に入る場合には、一応通知を受けることになつておりますから、通知を受けた後に入つて来る。そういうことになつて、こちらには準備期間があると思いますが、そのことは厚生省から御答弁いただきたいと思います。
  27. 苅田アサノ

    苅田委員 あなたは、私の言つたことを誤解しておいでになる。私はそういう開港されていない小田原とか、沼津とか、熱海とかというところに入つて来た場合のことを申し上げておるのでありますが、あなたの御答弁では、当然入つて来る権限のないところに入つて来たということになると思うのであります。しかし、この線は直接今後の検疫法に関係がない。いかに強権を持つていればとて、検疫法などに対しましても、こちらが好意的な解釈をしていたのでは甘いのだ、やはり十分に法律はつくつておかなければだめだということの証拠に、そういう話がなると思うのであります。  次に、お聞きしたいのは、あなたは、現在接収されている十幾つかの港——東京なども含むのですが、これはそういう形では使われなくなるだろうということをおつしやつたのですが、その時期は一体いつごろになつて解除されるのですか。
  28. 和田力

    和田説明員 一部には、横浜の中央さん橋のように、すでに解放されつつあるものもございます。先ほど申し上げましたように、これは現在合同委員会の下部機構としての港湾委員会で、まあ折衝中でございますので、最終的に形はきまつておりませんが、きまりましたならば、すぐ発動されるのではないかと思います。それから、一番大きいのは横浜と神戸でございますが、神戸の場合には、神戸の元の扶桑金属あたりを使う計画がございます。その辺に倉庫を整備いたしまして、港湾にある倉庫その他を移すという計画のように聞いております。しかし、扶桑金属の使用も、港湾委員会で神戸のどのさん橋を使うかということも最終的にはきまつておりませんので、まだ実現をしていないわけであります。
  29. 苅田アサノ

    苅田委員 それから、もう一つあなたの御答弁で私が気になるのは、外国の船が日本中のどこの港でも開港場には入つて来ていいのだというような御答弁であつたのでありますが、ただいま問題になつている検疫の問題で、先ほど来の部長なり課長なりの御答弁は、検疫港以外は大体入らないことになつていて、めつたにそういうところに入らないのだという御答弁であつた。そういう御答弁があつたやさき、あなたの方では、開港場ならどこに入つて来てもいいのだという御答弁で、その辺がえらい食い違つておるのです。ですから、あなたの御答弁は、行政協定によつてそういうとりきめができているということなんですね。
  30. 和田力

    和田説明員 その点は、原則としては入れるはずになつております。ですが、事実上の問題としては、そういうところにめつたに入つて来ることはないと思いますので、その点に矛盾はないと思います。
  31. 苅田アサノ

    苅田委員 それは検疫港に入るという具体的なお約束ができているわけですか。
  32. 軽部弥生一

    軽部説明員 この点は、まだ外務省和田さんも御承知ないと思いますが、それぞれ分科会にわかれてお話を進めております。それで、先刻私お答えいたしましたように、原則として、今のお話のように、日本の港にどこでも入れる、特に軍用艦船については、今度は特例でそういうようになつております。これも出入国分科会で話をいたしておりますが、しかし現在の日本状態から考えますと、どの港へでもかつてに来られては、検疫もできないし、検疫官を派遣する旅費にも困る。事実また患者があつた場合の処置にも困る。であるから、どうしても何かあつた場合には、回航してもらうような措置がとられるということも考えられるから、極力現在の二十四箇所の検疫施行港に入り、検疫を受けてから行動してほしいということを、私ども下相談で申入れをしておるのでございます。その理由といたしましては、占領業務を遂行しておりましたときに、二十四箇所をスキャップが指定した。それが、わが国が独立いたしまして、今度は駐留軍なつアメリカ軍が、それ以上の港を自由に使うということを要求されるのはおかしいじやないか、こういうふうに私ども説明いたしました。その点も、向うはよく了承しております。そこで、ひとつもう少し冷静に御判断を願いたいのは、どこの港にも入れるといつておいて何事であるか、こういう議論が必ず出ると思います。これは先ほど来申し上げますように、国際慣習というものの建前から、港全部を締めてしまうことができない。そこで、本法特例としてこれを落した、こういうことなんです。それで極力検疫施行港に入りまして、その後自由通行許可証を持つて行動するということに了解がついておりまして、その点は御心配ないと思います。
  33. 苅田アサノ

    苅田委員 この点については、おそらくほかの委員もおつしやると思いますし、私の意見はこの前申し上げた通りですから、申しません。  ただ、もう一つ私は外務関係の説明員にお聞きしたいのですが、今度は外国軍艦には罰則が適用されないことになつている。これは外国軍艦というのは一国の領土を代表しているから、たとえば入港の手続、上陸の手続に規定通りのことが行われなくても、普通であれば一年以下の懲役、十万円以下の罰金というような重刑になつているのですが、そういう罰則は適用されないということになつている。これは一国の中に年に一回か二回入つて来る平時の外国軍用艦船なり飛行機についていわれることですが、現在のように横須賀港一港だけにでも月に七十そうからの軍艦が入つて来ているような現状で、日本政府としてこういう外国軍艦に対して、防疫上非常に心配になるような不法な行為があつたときにとるべき処置はないのかどうか。こういう場合は、検疫法では何ともできないけれども外務省としては、厳重にこれを処罰するような処置がとれるのかどうか、この点もお聞きしておきたいと思います。
  34. 和田力

    和田説明員 ただいまお話のありましたような事例が起りました場合には、合同委員会を通じまして、外交交渉によつて、苦情を申し込むなり何なりできることになつております。
  35. 苅田アサノ

    苅田委員 苦情を申し入れるだけで、これに対して向う責任をとるということは、やはりないわけですか。
  36. 和田力

    和田説明員 責任をとると申しますのは、どういうことでございましようか。
  37. 苅田アサノ

    苅田委員 私どもは日米合同の会談とかなんとかいうことは、あまり信用できない。というのは、さつきの船の例だけ見ても、日本が港を開いていない沼津とか小田原とか熱海とかいうところに、向うは実力を持つているから、強権を持つているからどんどん船を入れようと思えば入れる。こういう問題について話をしますといつたところで、やはりはつきりと何らかのとりかわしがなければ、そういう一つ一つの場合についての申入れがどの程度実際有効なものかどうか。あつてもなきがごとくに、こういうことが無視されて、さんざんかつてなことをされたのでは、少くとも防疫上の見地からだけでも、日本国民はたいへん不安にさらされるわけですから、そういうことを言つているわけです。
  38. 和田力

    和田説明員 先ほど厚生省の方からお話がございましたが、合同委員会には今十幾つかのサブコミテイというのがありまして、そこで行政協定の文面に規定された以上の細部的なとりきめを協議しておるわけであります。それで、先ほどのお話にもありましたように、実は私本会議に上つて来ておりませんので、よく存じておらなかつたのですが、たとえば、原則としては日本中どこの港にも入れるという立場であつても、これを出入国のサブコミテイで二十四なら二十四の港に出入するように両者で話合いができまして、それが合同委員会で承認されますと、両者に対して拘束力が出て来ます。
  39. 苅田アサノ

    苅田委員 それでは、外務当局に対する質問は終りまして、あと一点だけ厚生省当局にお聞きいたします。それは、なぜ現在検疫法に重大な関係のある会談が進まない間に、こういうものを提出して、上げてしまわなければならないのか。これに対して何らかの措置をとらなければならないというのであれば、それと関連の深いこういう問題は、時日もあることなんですから、——とにかく九十日間は従来の指示が生きているわけですから、なぜそれをしなければならないのか。もつと慎重に検討して万全の案をとるよう、そういう問題をも十分に考慮の上立法措置をした方がいいと思うのですが、その点はどうかということが一つ。  それから、ついでにこの点もお伺いしておきますが、前回の質問に対してのお答えにもありましたように、今度は従来全然アメリカの権限内にあつて日本検疫所がそれに關與しなかつた一部分検疫事務も、日本検疫官が担当することになるという御答弁であつたのですが、そういたしますと、従来の施設をそのままにしておきまして、これを定めることは、非常に無理があるのではないか。特に従来の施設では、定員の約一割に近いものが欠員になつておる。少くとも、その欠員だけは補充しなければいけないと思うのです。しかもその中には、十六人の医者の欠員があるということは、非常に重大なことなんで、このことは、検疫事務自体にいろいろな疑義があるとか、非常に過重な労働になつておるとか、そういう点が緩和されない限り、当然新しく増員はしなければならぬのですが、増員どころじやなくて、欠員補充さえできないのではないかと私は思うのです。これに対しまして、厚生当局として何か具体的な法策を持つておいでになるかどうか、この二点をお伺いいたします。
  40. 楠本正康

    楠本政府委員 第一点につきましては、先ほど来たびたび申し上げておりますように、この特例は、行政協定に関する特例ではございません、検疫法特例であります。従いまして、行政協定の細部決定云々の問題とは、関係がないわけであります。  第二点につきましては、仰せのように職員特に医師に欠員が多いことは、御指摘の通りでありまして、この点ははなはだ私も心配をいたしております。しからば、なぜ多いかという点になりますが、この点は、たとえば現在の国家公務員の俸給というものが、いわゆる医師のマーケット・プライスに比して相違がある、あるいはいろいろなその他の問題もありましようが、私どもこれらの点につきましては、鋭意優秀なる医師をもつて充てるように努力を進めて来ております。しかもこの問題は、厚生行政の面から見ますれば、決して一検疫所に関する問題だけではなくて、保健所その他さまざまな施設に同じようにいえる問題でありまして、これを一括して私ども努力をしておる次第であります。その結果、最近は、以前より比べれば、はるかに充足率はよくなつてつております。一方最近開業医師等につきましても、ある程度飽和点に近づきつつありますので、今後の見通しといたしましては、一層の努力と相まちまして、これらの欠員を補うことができると考えております。
  41. 青柳一郎

    青柳委員長代理 他に御質疑ございませんか。
  42. 松谷天光光

    ○松谷委員 和田説明員にお尋ねしたいのですが、ただいま問題になつております特例でございます。これは直接は行政協定には、法案としては関係はないと思うのでございますが、しかし、少くともこういう特例が施行されるということによつて起きて来るその結果は、行政協定等の上に、国内的に考えた場合に、具体的な問題が出て来るというお考えは、外務当局にはございませんでしようか。
  43. 和田力

    和田説明員 こういう御趣旨なんでございましようか。結果からいつて駐留軍との関係が起つて来るであろうと、こういうお話ですか。
  44. 松谷天光光

    ○松谷委員 この特例を実施することによつて、少くとも開港すべてに入港することができる。しかも、その検疫は厚生省の方の問題でございますが、とにかく先ほどの御説明でも、一方的な一方検疫ということも認めておるというような検疫のあり方で入国をいたしました場合に、その後に一応駐留軍との問題が国内に起きて来る。そこへ行政協定の問題がからまつては来ないであろうかということが危惧されるのでございますが、そういうことに対して、外務当局は、全然行政協定とこの検疫所開港場に置かずして入港を許可するという問題と、関連はないとお考えでございましようか。
  45. 和田力

    和田説明員 今の御質問はどうも厚生省の方からお答えいただいた方がいいのではないかと思うのでございますが、先ほどからの厚生省の御説明で、行政協定とは直接は関連がないということです。ですが、この行政協定に直接関連はないかもしれませんが、行政協定できめられた範囲の出入国、船舶というものが、逆にこの特例法によつて取扱われるということではないかと思います。
  46. 松谷天光光

    ○松谷委員 そのことなんでございます。厚生省側では、全然行政協定とは関係ないとおつしやるのでございます。しかし、今外務当局の和田説明員お話では、今お言葉にございましたように、つまり逆でございます。私の伺い方が逆だつたのですが、結局行政協定に指定されたそういう問題が、やはりこれにからんで来るということにはなりませんでしようか。今和田説明員お話によると、やはりここにも直接の関係はないけれども、間接的な関係は出て来るという御説明ですが、そこのところをもう少し和田説明員にお尋ねいたしたいと思います。
  47. 堤ツルヨ

    ○堤委員 関連して……。おわかりにならないようですから、もうちよつと松谷委員の御質問に私が補足いたします。たとえば、先ほどこちらの課長がおつしやいました元の占領軍時代には二十四だつた、それを広げて五十六に要求すること自体がおかしいじやないかということを私の方からも反駁した、こうおつしやつておるのです。従つて占領軍時代には二十四の港に限つてつた検疫港が、これによつて五十六に広がるということによつて、いわゆる衛生面の問題でなしに、行政協定によるいろいろな駐留軍の問題がこれに便乗してからまつて来る危險がある。たとえば、二十四の港で検疫を受けた軍艦から日本の本土に上陸する場合、これが五十六に広がつて、のべつまくなしに広がる場合、そこに非常に、検疫上の問題だけじやなしに、問題が起つて来る、それを私たちは憂えている。おそらく松谷委員質問もこの点だと思います。従つてこれは外務当局の問題になつて来ると思うのです。
  48. 和田力

    和田説明員 結局この問題は、行政協定できまつた艦船の出入でございますが、それだけを特別に扱う法律ではないということだと思います。ですから、結果から言うと、行政協定できめられた艦船の出入は、この法律にかかつて来ることは当然なんです。ですが、それだけを目的につくつたものでないという御説明を、厚生省の方が言われたのだと思います。
  49. 軽部弥生一

    軽部説明員 補足いたしますが、御心配の検疫は、そういう読み方をしていただくとそう読み得るという可能性があるということだと思いますが、先ほどお話申し上げましたように、行政協定関係の船の動き並びに検疫につきましては、分科会で打合せをいたしまして、そうして現在の二十四の港で一応検疫を受けるという建前をとつてくれという申入れをいたしてあります。そうしてそれを了承しております。先ほども、たしかこの点は申し上げたと思います。ですから、どこにでも入つて来るということと、行政協定による米軍軍用艦船の動きというものを結びつけてお考えなんですが、この法律特例そのものは、行政協定を離れまして、行政協定の細部打合せは今進行中でございますから、それについて必要なことは、その協定が固まり次第必要なデータをもちまして、また私どもとして御相談申し上げたい、こう考えております。現在の特例は、外国軍用艦船が、ほんとに頻度の少い形で日本へ来ますときのことを想定してきめたものでございます。
  50. 松谷天光光

    ○松谷委員 そこで、その点は了解ができたのでありますが、私どもにはまだなお軽部さんから御説明をいただきましたその言葉を、そのままに正直に受取りますと、今度はこの特例を、なぜあえて今出さなければならないかという疑義が出て来るのでございます。行政協定による私どもの心配は、お互いの相談で、紳士協定で行くというのですから、一応これは見送ることにいたしますが、そういたしましても、残る軍用艦船についても、今あらためて、ここに先ほどから問題になつておりますように、予算もない、検疫所もふやせない、欠員もあるという実情にありながら、なぜその二十四にとどめておくことができないのであるか、こういう疑問がさらにわいて来るのでございますが、それはいかがでございますか。
  51. 軽部弥生一

    軽部説明員 これは昨年御審議いただきました検疫法の二十二條に、外国から参ります軍用艦船につきましては、別に法律をもつてこれを定める、こういう規定がございまして、当時はわが国は——もちろん海軍もいまだにございませんが、占領下でもございますしいたしましたので、軍用艦船については、事実わが方が実質的にタッチできなかつたというような状況下につくりました法律でありましたために、二十二條に特例を設けまして、排除してございます。そこで検疫法を施行するにあたりましては、商用船舶については、検疫法で全部対象を捕捉できるのですが、外国から年に一、二回練習艦隊そのほかが参りましたときに、これを対象とする法律の根拠がなくなる、こういうことで、実は急遽独立と同時に必要であるということから立法いたしたわけであります。
  52. 松谷天光光

    ○松谷委員 その御趣旨から参りますと、これは別に特例を設けることは必要でございましようが、しかし、それをあえて開港場すべてに入港を認めるというような内容は——二十四であつたものを五十八に増さなければならないという理由は何もないと思うのでございますが……。
  53. 軽部弥生一

    軽部説明員 これもたびたび申し上げていまだにおわかりいただけないのはまことに残念にたえないのでございますが、これは戦前から、各国国際間の外交上の慣習がございまして、その国際慣習によりまして、軍艦——たとえば練習艦隊で御説明申し上げればいいのですが、日本の元海軍の練習艦隊が参りましたような場合にも、この港に入つてはいかぬ、あそこの港に入つてはいかぬということは、お互いに言わなかつたのだそうであります。そうして、これは向うから来ますときも、こちらから参りますときも、軍艦行動制限しないというお互いの相互的な慣習があるのでございます。それを私どもが一港検疫主義をとりましたために、本法におきまして、入国港を政令で定めておるということを落しませんと、その慣習に従つた国際的なおつき合いができない、こういうことのために、これを落したのであります。
  54. 青柳一郎

    青柳委員長代理 ちよつと速記をとめて。     〔速記中止〕
  55. 青柳一郎

    青柳委員長代理 速記を始めてください。ただいまの検疫法特例案に関する質疑は、本日はこの程度にしておきます。     —————————————
  56. 青柳一郎

    青柳委員長代理 次に、参考人選定に関する件についてお諮りいたします。  当委員会に設置いたしました日本赤十字社に関する小委員会において、調査のため、日本赤十字社の伊藤謹二君、後藤真三男君、岡田好治君、片岡経一君を参考人に選定し、小委員会に出席していただくべく、日時の決定その他に関しましては、委員長に御一任願いたいのでありますが、そのように決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  57. 青柳一郎

    青柳委員長代理 御異議なしと認め、そのように決します。     —————————————
  58. 青柳一郎

    青柳委員長代理 次に、小委員追加選任の件についてお諮りいたします。先般当委員会に、小委員本名よりなる日本赤十字社に関する小委員会を設置し、現在活動しているのでありますが、この小委員の数を十一名とし、真四郎君を同小委員に追加選任することに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  59. 青柳一郎

    青柳委員長代理 御異議ないと認め、亘四郎君を日本赤十字社に関する小委員に追加選任いたします。  本日はこの程度で散会いたします。明日は午前十時半から本委員会を開きます。     午後零時二十七分散会