○安田
政府委員 生活保護法によります戰傷病者戦没者遺族等援護法による調整につきまして、その後きまりましたことを御報告申し上げたいと思います。
戰傷病者戦没者遺族等援護法の制定に伴いまして、同法によ
つて給付されます年金及び弔慰金を、
生活保護法の
適用にあた
つて、どういうふうに取扱うかということは、非常に問題がございます。
生活保護法の
建前からいたしますならば、当然これは差引かなければならぬことになるのでございますけれ
ども、そこにまたりくつ
通りにも行かない点がございまして、いろいろと研究いたしてみたのでございますけれ
ども、結局次のような調整をとることにいたしました。
今度の
戰傷病者戰没者遺族等援護法によりますところの弔慰金につきましては、元本も利子も、これは本来戰没者に対して、国がいわば現物をも
つて供養にかえるという趣旨のように理解いたしまして、一切これを収入として見込まないということにいたしました。
第二に遺族年金につきましては、母子世帯における母は、子女の養育のために中等労作以上の労働
状態にあるということを考えまして、その必要熱量を充足するための飲食物費として、最低生活費の認定におきまして次の額を加算いたしまして
——大体一級地及び二級地では月額五百円、三級地で月額四百円、四級地及び五級地は月額三百円でございます。右の結果
生活保護法の
適用において弔慰金及び年金の収入から減額される額は、昭和二十七年度におきましては、月額が七百五十円
——弔慰金の利子を二百五十円と見まして、勤労加算額を五百円と見ますから、七百五十円、昭和二十八年度以降において生活扶助を受けておりますところの遺家族に対しましては、四箇年で償還するということになりますならば、弔慰金の元本、償還金利子が千八百円になりますから、勤労加算を加えますとおおむね月に二千三百円ばかりがふえて行く、こういうことになる。
それから障害年金につきましては、身体障害者が日常生活を営むために、生活の
程度に応じてそれぞれ介護の
費用がいるというふうに考えまして、特別項症は月額千円、以下一項症、二項症、三項症、四項症までそれぞれ段階をつけまして、若干のものをつけ加える、こういうふうなとりきめをいたしたわけでございます。
これは母子世帯の方も、遺家族であるから特に五百円の加算をするというふうにしないで、大体小学校の六年以下の子供を持
つておりますならば、それはそうい
つた有子の未亡人家庭には五百円の加算をするという考え方で、
生活保護法の原則を貫いたわけであります。
なおまた戦傷病者に対しまして、それぞれ介護料として加算をいたしましたけれ
ども、これも身体障害者についてはそういうことをするという
建前で、
生活保護法の無差別平等の原則は破らないように考慮いたしたわけであります。
そのほか、今度
生活保護法の基準の改訂をいたしますときに、学校に行くまでの年齢の児童一人につきましては、月額五十円ずつの特別の加算をすることに相なります。
なおまた、生業扶助の
実施につきまして、大体未亡人家庭の子供が義務教育を終えまして生業を習得するということが多いのでございますけれ
ども、従来三千円でありましたのを一件四千円にしましたが、なお必要によりましては、都道府県知事限りでその生業資金の額を六千円まで上げる、こういうようなことにとりきめたわけでございます。それらのものを全部合せまして、今度の遺家族援護法と
生活保護法の
実施との調整の方策といたしたわけでございます。