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1952-05-20 第13回国会 衆議院 厚生委員会 第30号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年五月二十日(火曜日)     午前十一時十三分開議  出席委員    委員長代理理事 青柳 一郎君    理事 丸山 直友君    新井 京太君       高橋  等君    田中  元君       寺島隆太郎君    堀川 恭平君       松井 豊吉君    松永 佛骨君       松谷天光光君    岡  良一君       堤 ツルヨ君    苅田アサノ君  出席政府委員         厚生事務官         (社会局長)  安田  巖君         厚 生 技 官         (公衆衛生局環         境衛生部長)  楠本 正康君  委員外出席者         厚 生 技 官         (公衆衛生局検         疫課長)    輕部彌生一君         專  門  員 川井 章知君         專  門  員 引地亮太郎君         專  門  員 山本 正世君     ――――――――――――― 五月二十日  委員三宅正一君辞任につき、その補欠として岡  良一君が議長の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 五月十六日  連合国の要求に基く政府の命により兵器爆発物  処理中殉職者国家補償に関する請願大石ヨ  シエ君紹介)(第二七六五号)  栄養改善法制定に関する請願(小金義照君紹  介)(第二八〇〇号)  理容師美容師法存続に関する請願赤松勇君紹  介)(第二八〇一号)  母子福祉法制定請願塚田十一郎紹介)(  第二八〇二号) 同月十九日  栄養改善法制定に関する請願坪川信三君紹  介)(第二八二六号)  同(小高熹郎君紹介)(第二八九〇号)  同(大橋武夫紹介)(第二八九一号)  愛媛県下の地盤沈下変動に伴う下水道敷設費国  庫補助請願關谷勝利紹介)(第二八三五  号) の審査を本委員会に付託された。 同月十七日  母子福祉法制定促進に関する陳情書  (第一八四九号)  公立保育所新設設備費国庫補助予算の増額に関  する陳情書(第一八五  〇号)  幼稚園等施設費国庫補助に関する陳情書  (第一八五一号)  生活保護法による生活保護費全額国庫負担の  陳情書(第一八五  二号)  国立病院地方移譲反対に関する陳情書  (第一八五三号)  健康保險診療費單価値上げに伴う差額全額国  庫負担に関する陳情書  (第一八五四号)  国民健康保險制度拡充強化に関する陳情書  (第一八五五号)  未復員者給与法適用患者療養保障に関する陳  情書(  第一八五六号)  遺族補償に関する陳情書  (第一八五七号)  未帰還者及び留守家族国家補償に関する陳情書  (第一八五八  号)  元満洲開拓青年義勇隊員戰傷病者戰没者遺族  等援護法適用陳情書  (第一八五九号)  水橋町の簡易上水道に対する国庫補助陳情書  (第  一八六〇号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  外国軍用艦船等に関する検疫法特例案内閣提  出第二〇四号)  生活保護に関する件     ―――――――――――――
  2. 青柳一郎

    青柳委員長代理 都合により委員長が不在でありますので、私が委員長の職を勤めます。  これより会議を開きます。  外国軍用艦船等に関する検疫法特例案を議題とし、審査を進めます。質疑を順次許可いたします。苅田委員
  3. 苅田アサノ

    苅田委員 検疫法特例案の三條によりますと「検疫は、検疫港以外の港及び検疫飛行場以外の飛行においても行う。」という條項があるわけですが、これは外国から参りました飛行機あるいは軍用艦船に対しまして検疫を必ず行うということ、それから行う主体の責任日本政府だ、こういうことを意味しておるのかどうかということが一点と、それから同時に、これは必ず検疫を受けなければならないということ、受けなければ上陸できないということを意味しておるのかどうか、この点につきましてお伺いいたします。
  4. 楠本正康

    楠本政府委員 御指摘のように、検疫港以外の港におきましても、検疫をしなければならぬことに相なつております。  第二点の、検疫をしなければ上陸できないかという御質疑でございますけれども検疫が済まなければ、上陸はできません。
  5. 苅田アサノ

    苅田委員 私の質問の中で、お答えがいただけなかつたのは、行うのは日本政府かどうかということを、私はお伺いしたわけなんです。
  6. 楠本正康

    楠本政府委員 日本政府責任において実施をいたすことになつております。
  7. 苅田アサノ

    苅田委員 この法令ができますにつきましては、実施のための予算とか、あるいは検疫所施設等は、当然考慮してあると思うのでありますが、それは大体この法律適用される船が、検疫港の中に何そうくらい、あるいは検疫港以外のところにはどのくらい入るというような想定のもとにこれがつくられておるかということをお聞きしたい。
  8. 楠本正康

    楠本政府委員 検疫港以外の港に入る場合のものは、年間一ぱいないし二はい程度だろうと考えておる次第であります。
  9. 苅田アサノ

    苅田委員 検疫港はどうですか。
  10. 楠本正康

    楠本政府委員 検疫港におきましても、同様であります。
  11. 苅田アサノ

    苅田委員 そうしますと、検疫港におきましても、あるいは検疫港以外におきましても、この法律適用を受ける外国軍用艦船というものは、年間一ぱいないし二はいがせいぜいだという予想でこの法律はつくられておる、かように解釈してよろしゆうございますか。
  12. 楠本正康

    楠本政府委員 その通りであります。
  13. 苅田アサノ

    苅田委員 そういたしますと、現在日米両国の間で、行政協定実施についての予備工作班話合いが進められております。それによりますと、十八日の東京朝日新聞等で発表されておりますところを見ますと、佐世保とか横須賀、こういうところは軍港として指定されているわけですが、こういうところに入つて来ます外国軍用艦船に対しましては、日本検疫事務は全然介入しないということになるのですか、どうですか。
  14. 楠本正康

    楠本政府委員 アメリカが管理いたします区域内におきます検疫につきましても、ただいま御審議を願つております特例適用いたしまして、日本政府責任において実施することが建前であります。
  15. 苅田アサノ

    苅田委員 そういたしますと、昨日横須賀検疫所に参りまして、横浜検疫所長横須賀支所長その他の人たちと一緒に話しましたのですが、そのときの横須賀支所長の話では、現在でも月七十くらいの外国軍用艦船が入港しているということを言つておるのであります。横須賀一港におきましてもそういう状態であるとすれば、先刻部長年間を通じて一ぱいか二はいという御答弁と、はなはだしく食い違うと思うのですが、これはどういうことになるのですか。
  16. 楠本正康

    楠本政府委員 年間を通じまして一、二はいと申し上げましたのは、アメリカの管理に属しております特別区域をさした意味ではございません。特別な区域はおのずから別であります。
  17. 苅田アサノ

    苅田委員 その特別区域におきましても、検疫責任なり、あるいはこれに協力する実際の事務なりは、やはり日本検疫所が関係するのかどうか、あるいは日本検疫所だけで行うのか、あるいは日本検疫所協力して行うのか、どうかその点をお聞きしたい。
  18. 楠本正康

    楠本政府委員 ただいまもお答え申し上げましたように、日本政府責任におきまして実施するのが建前なつております。ただこの特別な区域は、その特殊性もありますので、この点を尊重いたしまして、協議をして実施いたします。
  19. 苅田アサノ

    苅田委員 私はこの法律適用されるのかどうかということをお聞きしているわけなんです。そういう特別な区域におきましては、この法律適用されないのかどうかということを——これには、やはり特別な建前でもつて協力しなければならぬということが書いてあるわけですが、これ以外のまた何か約束ができるのですか、これをお聞きしたいのです。
  20. 楠本正康

    楠本政府委員 たびたびお答え申し上げましたように、特別なる区域におきましても、この特例適用することが建前であります。
  21. 苅田アサノ

    苅田委員 はつきりしたのですが、この法律建前だということは、どういうことなんですか。適用するのが原則だけれども、実際は適用されない場合もあるということなんですか。それとも、これはどの軍艦に対しても、みんな適用されるのが建前だというくらいのことしか言えないんじやないですか。特別にアメリカ軍事基地だけが建前なんですか、どういうことなんですか、何か取扱いが違いますか。
  22. 楠本正康

    楠本政府委員 特別なる区域につきましては、ただいま申し上げましたように、特殊性がございます。従いまして、私どもはこの特殊性を尊重いたしまして協議を遂げるわけであります。従いまして、要すれば、この法律に規定すれば、この法律に規定いたしました内容を、そのまま先方におきまして間違いなく実施いたしまして、その結果を、たとえば文書等をもつて報告せしむるというような措置は、これは協議内容に入つて参ります。しかしながら、日本政府の手におきまして確認をいたしまして、つまり確認権を確保いたしまして、国内防疫間隙を生じないようにいたしますことは当然であります。
  23. 苅田アサノ

    苅田委員 そうしますと、この法律は、そういう佐世保とか、あるいは横須賀等軍港と予定されたいるところにも実施されるのが建前だということが御答弁なつたのですが、そういたしますと、ここに入つて来るのは、現在でも横須賀一港でも月に七十そうくらいの外国軍用艦船が入つて来ておるという状態だということをひとつお含みおき願いたいのです。それは従来は、全然日本検疫の手続を経なかつたのですが、今回からはこれも日本検疫所責任の範囲でこれをすることになるんだという建前の御答弁があつたと思うのです。  それから、もう一つお伺いしたいのは、現在までこの二港以外に、アメリカ司令部艦船だけを見ましても、開港といたしまして小樽、函館、横浜横須賀、清水、神戸、大阪、呉、佐世保、三池、長崎、門司というものが指定されているわけなんです。この指定されている以外の、たとえば手近なところでいいますれば、東京湾なんかでも、八割、九割まで岸壁が接収されているという状態なんですが、こういうところに入つて来ますところの船に対しまして、私はまずこの点を——これは外務委員会でよくお聞きしなければわからないので、日をあらためてお聞きするつもりですが、検疫課の方といたしましては、こういう港に入つて来ていた船が、今後は全然入らなくなる、そうして全部が軍港に入つて来るというお見通しでおいでになるかどうか。それともやはりこういうところに入つて来ることがあるということがあるということになれば、これは今あなたが言つておいでなつたように、一ぱいや二はいだというふうなことは、とても言えないと思うのです。ですから、その点ひとつあなた方のお考えをお聞きしたいわけです。
  24. 楠本正康

    楠本政府委員 先方十分協議了解をいたしまして、今後は直接非検疫港に入ることはしないことになつております。これは先方十分協議済みであります。
  25. 苅田アサノ

    苅田委員 検疫港以外には、そういうアメリカ軍艦に入つてもらわないということを、厚生省の方としては話を進めていらつしやる、こういうことなんですか。
  26. 楠本正康

    楠本政府委員 直接検疫港以外の港に入ることはしないということが、すでに了解済みであります。
  27. 苅田アサノ

    苅田委員 その点はわかりました。そうしますと、アメリカの船の場合は、必ず検疫港に入つて来る、こういうことが建前なつておるとおつしやるわけなんでしよう。
  28. 楠本正康

    楠本政府委員 その通りであります。
  29. 苅田アサノ

    苅田委員 私昨日横浜検疫所に参りまして伺つた話によりますと、全然検疫港の指定のない沼津であるとか、あるいは小田原、熱海、そういうところに外国艦船が入つておるようだということ——これは横須賀支所長もお話になつておいでなつたわけですが、こういうことを考えますと、上部では話合いができておつても、完全に行われているとは思えないことがあるわけなんです。その点も一つ問題でありますが、そういたしますと、そういうような方々の港に今度はアメリカの船も入つて来る。そうして軍港以外で、そうした検疫所を設けておる港に、従来通り船が入つて来ることになりますと、これに対します検疫経費、それから現在の施設等につきまして、これを実施するにあたつて、どういうような処置を厚生省は講じておいでになるかということをお聞きしたいのです。
  30. 楠本正康

    楠本政府委員 この特例の規定しておりますところは、平時措置を規定してございます。従いまして、特別なる区域等がある関係上、もしも今後船の出入りが多くなつた場合は、それらに基く経費は、行政協定に基きまして必要な経費を要求する予定であります。
  31. 苅田アサノ

    苅田委員 平時の規定だと言われますけれども軍事基地とか軍港がたくさん設定される。私、飛行機のことはこれからお伺いするはずなんですが、三十も飛行場が設定される。この現実が日本平時状態なんで、特別の状態である。もう今後二箇月か半箇年か、一年かでなくなる状態じやないわけなんで、将来じやなく、今直面しておるこの状態に対して、この法案がどういう意味を持つておるか。しかも、これを実施するための費用を、現在何ら考えてなくて、これからそういうことが起つた場合に交渉するというのでは、そういう点は非常に手抜かりといいますか、これは全然空想的に立てられたような感じがするのですが、そういう点はいかがですか。
  32. 楠本正康

    楠本政府委員 御質問の点は、おそらく特別なる区域等を指していらつしやると存じますが、この点につきましては、先ほど来たびたび申し上げておりますように、要すれば、この特例に規定してありますとまつたく同様なことを間違いなく先方において責任を持つて実施して、当方文書その他をもつて報告せしむることに相なつております。そういうこともあります。また一方、もしさようなために、日本政府側におきまして著しい経費負担をしなければならぬような場合には、行政協定によつて必要なる経費を計上しなければならぬと考えております。
  33. 苅田アサノ

    苅田委員 私はどうもその部長のおつしやることが納得が行かないのです。もし何だつたら、直接この事務を担当しておいでになる検疫課長の方で御答弁願つてもいいのですけれども、私がお聞きしている点は、こういうことなんです。つまり今までは外国艦船検疫責任連合軍の総司令部にあつた。ですから、昨年の五月に検疫法のもとの法律が制定されますときの公衆衛生局長の御答弁にも、責任は総司令部にあるけれども、しかし実際の事務は、相当こちらの方の人たち協力しておるのだという御答弁が、ここに書いてあるわけです。ところが今度は、責任はわが方にある。そうしてわが方でもつてこの検疫事務を扱うということになれば、——これは昨日あたりも言われている。今までは外国船舶に対しては、横浜でも横須賀でも、自分たちは関知しなかつた。ところが、これからは自分たちがやるのだということになつて来れば、もう当然そこに人員の点なり施設の点なりで、今までと違つたことができるはずなんです。できなければならぬはずなんです。これに対して政府の方では、そういつた予算措置施設あるいは人員等に対して、どういう措置を講ぜられるつもりかということをはつきり聞きたいわけです。これは今までと同じようにということは言えないと思うのですが、この点いかがですか。
  34. 楠本正康

    楠本政府委員 ただいま申し上げましたように、必要がありましたならば、行政協定に基きまして、所要の経費を計上いたすということを申し上げているわけであります。
  35. 苅田アサノ

    苅田委員 必要があれば——もうこれは必要なんじやないですか。そういうふうに自分の方の検疫所責任を持つてやるということがきまれば、今までは外国の方でやらせていたことを、こつちでやるわけです。必要があれば、——ないといつても、そういう建前なつている以上、それを予算化しなければならないのは当然ではないですか。たとえば検疫にしましても、今までは外国の船には自分たちは全然タッチしなかつた。ところが、今度は横須賀一港でも一月のうちに七十ぱいから八十ぱい入つて来る船舶に対してやるということになれば、人員の点なんかだつて考えなければならぬでよしう。そういうことは、必要があれば行政協定でやると言つたつて、この法律からは、こういうことをやることが必要になつて来ているのではないですか。
  36. 楠本正康

    楠本政府委員 どうも御理解いただけないのですが、つまり特別なる基地につきましては、十分基地特殊性を尊重いたしますからして、その措置といたしまして、先ほどもお答え申し上げましたように、まつたくこの特例で規定したことと同様なことを、間違いなく先方において責任を持つて実施してもらつて、その結果を当方に通告してもらうというようなことをいたしますれば、必ずしも経費は必要ではないのです。それによつて、要するに国内防疫態勢間隙を来さなければいいのですから、さような措置を講ずれば経費は必要ございません。しかし、さようなことだけではなかなかうまく行かぬ。どうしてもこれは日本政府も実際に手を出して、その特別な区域の中においてもやらなければならぬというようなことになつたならば、それはまたその予算は別の話であるということを申し上げているわけであります。
  37. 苅田アサノ

    苅田委員 どうも私は部長の言つておられることがよくわからないのです。なぜかと申しますと、あなたは基地は特別なはからいでするんだからとおつしやいましたけれども基地においてもこの法律適用するのが建前だということをおつしやつたでしよう。向うがこれをどれだけやるかやらないかということを、一応こちらで検査する、まあ権利はないとしましても、日本政府としては、この法律はそういう基地の中にも、軍港の中にも適用するんだということを、先刻あなたはおつしやつたばかりでしよう。それからあなたがおつしやつているのは、基地以外の、たとえば今までの開港場などに対しても軍艦が当然入つて来るということになれば、そこの検疫所でも、やはり同じようにそういう検疫をしなければならぬということになるのでしよう。それともあなたのおつしやるのと違つてアメリカ軍艦飛行機に対しては、全然この法律適用しないのだとおつしやれば、またそれはわかるのですよ。そうではなくて、これを適用するんだとおつしやるからには、少くとも向うかう船が入つて来れば、その船に対してこちらから検疫船行つて、そうして中を実際調べないまでも、どこからやつて来たとかなんとかいうような、明告書にあることを一応向うに確かめる、そういうようなことは当然するんだと思うのですが、そういう事務がふえただけでも、これはもう従来よりは大して違うのです。一ぺん行つて来るにはどのくらいかかるかというと、二時間もかかると言つておるくらいです。これをしなければならぬわけでしよう。これも全然しないということではないと思うのですが、そういうことも今度は全然しないのですか、どうなんですか。
  38. 輕部彌生一

    輕部説明員 それでは検疫課長からお答えいたします。昨日横浜においでいただきまして、検疫状態をごらんにいただきましたから、おわかりのことと思います。それで、この法律は、先ほどから部長が申しておりますように、平時状態において外国から来航する軍用艦船航空機に対しまして施行するという建前をとりましたので、その建前から参りますと、年間想定いたしておりますのも大体一、二はい程度であります。それは戦前の例で、そういうふうに想定いたしたわけであります。その平時外国軍用艦船に関する限りは、この法律適用いたしましても、特にそのために予算措置を必要とするというほどのこともあるまい、現在の予算でまかなえるのではないか、こういう御説明であります。  それから行政協定にまりましてアメリカ軍の管理いたします区域出入いたします軍用艦船航空機というものは、行政協定に従いまして出入権利を留保しておるわけです。アメリカさんが一応とつております。でありますから、当然そこに、検疫につきましても、出入につきものでございますから、協定には明文はございませんけれども、一応向う責任においてある程度検疫が行い得るというふうにアメリカ軍は解釈しておる、こういうことなんです。それに対しましてその区域というものの性質が、私どもにもまだはつきりのみ込めておりませんでしたが、私どもといたしましては、あくまで国内のある種の区域に対しましても、これは日本行政権が及ぶという解釈を一応とつております。そのために、外国軍用艦船という立場に対しましては、この法律立場に立ちまして日本検疫法がそこに施行されるのである、こういう建前をとつて説明を申し上げておるわけでございます。そこで、今の行政協定に基きましてアメリカ軍の管理いたします区域出入する航空機艦船に対しての検疫について、費用が必要となるという場合には、当然予算化しなければならない。こういうことであります。そこで、先ほど部長から説明がございましたように、これはアメリカ軍の管理いたします区域の特性にかんがみまして、ここにおいて軍用艦船検疫法をそのまま適用するということにいたしましては、その区域に入ることができないという状態ができるわけであります。これはわが方で実際問題として手が出ない。こういうかつこうになります。そこで占領期間中にやつておりましたスキヤツプの責任においてやる検疫日本側協力するという建前、あれをちようど逆に参りまして、アメリカ軍の管理いたします区域における検疫には、アメリカ軍協力を求めるという形をとります。そうして、その実施のあとをわが検疫官によつてこれを確認する、こういう形をとらざるを得ないというのが現状であります。おそらくそうなると思います。そこで昨日お目にかけましたような船に便乗いたしまして、アメリカ軍艦がその区域に入りますたびに出動いたしまして、軍艦の中に乗り込みまして、くまなく艦内を衛生検査するということは、おそらく行い得ないというふうに解釈せざるを得ないのであります。従いまして、一月に七十ぱいという船が参りましても、一日二はい程度ということになります。その程度の業務ならば、船まで出かけることにいたしましても、現在の状況で人員その他でまかない得るということの説明なんです。おわかりいただけますか。
  39. 苅田アサノ

    苅田委員 私がここで特にお聞きしたい点はこういうことなんです。そういたしますと、従来は公衆衛生局長の、昨年の検疫法ができるときの御答弁では、占領下において外国軍用艦船に対しては総司令部の方に検疫をする権利がまかされておる。それに対しては日本検疫官は相当これに協力しておる。これは公衆衛生局長の記録が残つております。私はそれを持つておりますからお読みしてもいいのですが、その点間違いないと思います。「現在の軍用艦船、あるいは軍用飛行機に対します検疫は、責任連合軍当局責任においてやつております。実務につきましては、日本検疫官が相当関与してやつております」といつておるのですから、やつておるわけです。ところが、今度占領が解除されて、講和後になつて特定の地域に米軍が駐屯するということになつておりますけれども、今度はそこにおいで占領下でやつていたほど、自主的にこちらから検疫をする権利もなくなるかどうかということなんです。あなたの方では、それがなくなるというような想定です。ところが日本の方に検疫権利があるのに、こちらで義務だけを負わされておるわけでしよう。ところが実際の検疫にタッチする場合に、占領下でやつてつたほどのこともできないというようなことになることはおかしいと思うのですが、その点はどうですか。
  40. 楠本正康

    楠本政府委員 先ほどもお答え申し上げましたように、この特例に規定してあります内容を、そのまま間違いなく先方において実施をいたしまして、当方に通告をし、当方におきましては確認権を確保いたしまして、国内防疫態勢間隙を生じないようにいたしておる次第であります。従つて今度は場所をかえまして、今後はこちらのやる検疫に対しまして先方協力をするという逆な関係になつたというふうに御理解を願いたいと存じます。
  41. 苅田アサノ

    苅田委員 それは私も、問題は、国内の防疫上に大きな穴ができるかできないかということが大きな問題だから、それを言つておるわけで、あなたはこちらから要求しただけのことを、向うがやつてくれることを確認すると言いますが、一体どういうことで確認ができるのですか。昨日も実際検疫事務をやつている人からのお話を聞けば、明告書だけで確認するといつても、できないと言うのです。それには非常に不安があると言つておるわけです。ただ自分が実際タッチして、自分が実地に調べた上でこれを確認するということは、骨は折れるけれども確認はできる。それでもまだ神様でない限り、完全に防疫上の態勢がとれるかどうかということは言えないわけです。ところが、自分が全然実務にも携わらないで、そうして確認権だけを確保するといつても、どうやつてそういうことを確認しますか。私はそういうことは実際の人だつたら、とにかく書類だけ出されて確認しろと言われても、責任だけ背負わされるだけで、そういうことは実際上の立場からいえばできないと思う。ほんとうにそれは言葉だけの確認で、必ずそういう場合に防疫上の拔かりのない処置ができておるという証拠にはならないと思う。特に私はこの際申し添えておきたいと思うのですけれども外国軍用艦船は非常に衛生上の措置に手抜かりがないというような、今の原生当局のお考えは間違いであるということを、昨日も実際に検疫をやつている人の話から聞いております。つまり、自分たちは非常に衛生程度が高いんだという安心ですか、そういうことのために、かえつて積極的な防疫の処置を手抜かりして、過去の経験に徴しても、しばしばそういう病気が発生した例があるということも話しておられるのですから、ただ向うから差出されたそういう明告書をこちらで確認するというだけの責任で、それについて、実際上向うに立ち入つてやることができないということになれば、日本政府は、ほんとうに責任だけ背負わされて、することは全部向うがするということになつてしまうので、私はこれではとてもだめだと思う。
  42. 楠本正康

    楠本政府委員 いろいろな具体的な問題になりますと、これは協議をして行います。従つて協議のことが規定してあるわけでございます。協議をして行いますから、これは大体今御指摘のような点は心配ないと考えております。
  43. 苅田アサノ

    苅田委員 あなたが心配ないと言われても、実際上の問題として、従来占領下でやられていただけの、実際について日本検疫官が相当関与しておるというのですが、これくらいの関与することも、今度は基地内ではできなくなるのですか、どうですか。その点だけひとつお聞きしたい。
  44. 輕部彌生一

    輕部説明員 前回の公衆衛生局長の御答弁にありますように、現在占領下においても相当程度タッチしておるということは、米軍検疫官の配置してない港におきまして、米軍軍用艦船に対する検疫日本側検疫官がタッチしていた、こういうことでございます。でありますから、今度私どもが全面的にタッチするという建前をとりましても、特殊な米軍の管理いたします区域以外につきましては、従来と実際はあまりかわりはないということになる。従来もやつてつたその通りのことをやつておる、こういうことになります。ですから、その辺ちよつと誤解しておられるのではないかと思います。ですから、決してわが方は全面的に占領時代よりもつと退却した、そういうことでは決してございません。それを御了解願いたい。
  45. 苅田アサノ

    苅田委員 きようは質問を早くやめるようにということですから、この次に残しますが、もう一つお聞きしたいのは空港の場合です。空港は従来検疫のある空港というものは羽田と岩国しかないわけです。ところが、今度行政協定によつて大体整理されるというのに、三十の空港ができているわけです。そうすると、そういうところにおきましても、今あなたがお考えになつたように、米軍協力して、もしも日本がこの検疫をやるということになれば、これはその費用とか施設とか人員とかの点について、現状通りではやれないことになるのですが、その点はどうですか。
  46. 輕部彌生一

    輕部説明員 この件は、私ども一般の外国軍用艦船に対する検疫特例というものを立法いたしておりますときには、この基地状態がいかように発展するかということは、私どもにはまだわかつておりません。でございますから、一応これは協議をして、いかようにやつて行くかということは、行政協定の精神に従いまして具体的な運営方法を考えたい、こういうふうに考えております。今回あのような区域が設定されるということになりますと、やはり先ほど部長説明にありますように、協議をもつてこの運営をはかるという方法をとらざるを得ない、こう思うのであります。そこで軍用航空機基地となりますと、これはかなり数の多いことでございますし、一々そこにわれわれの人員を配置するということになりますと、相当な予算を計上しなければならないと思います。しかし、基地の性格から考えまして、やはりここに検疫官を派遣して実際に発着する風行機にタッチするということは、軍用機である限り、毎回々々必ずしも可能ではなかろうというふうに考えざるを得ない。しかし行政協定によります範囲は、駐留軍の動きでございます。これは戰闘に参加いたします国連軍と違いまして、駐留軍に関する限りは、行動がよほど少いのではないか、こういうふうに私どもは想像いたしております。そこで検疫伝染病の流行いたしました地域から飛来するという航空機がありました場合には、私どもも、健康な航空機であつた場合には一応明告書事務報告で了承する。もしそこに明らかに汚染されたという証拠を持つた航空機が参りました場合には、その都度連絡をいただいて、それに対する処置をお互いに協議してきめようじやないか、こういうふうに実は考えております。
  47. 苅田アサノ

    苅田委員 最後のところをもう一ぺん……。
  48. 輕部彌生一

    輕部説明員 汚染された証拠が明らかな飛行機が、米軍の管理いたします飛行場に入るということがわかります。こういう場合には、平気な顏をして今実はコレラの患者を積んだ飛行機を飛ばしておるのだということを、から手でもつて待ち受けるということはおそらくないと思う。そこの飛行場における当局から連絡をいただきまして、それに対する処置を早くとり得るように協議をいたしたい、こういうふうに実は考えております。ですから、あまり例数は多くないのではないかというように考えております。
  49. 苅田アサノ

    苅田委員 しかし、今、日本国内想定されておる三十の飛行基地というものは、国連軍の基地ではなくて、あくまで日米合同委員会話合いでできている基地なんですから、これはやはり行政協定による基地と見る以外に方法はないと思う。ところが、その基地にもこの法律適用ざれるか、されないかという問題、さつきの話では、軍港には適用されるとおつしやつたでしよう。それでは飛行基地にはどうなるかということになるわけです。適用されるのか、されないのか、そういうことが、この法律には一切明記されていないわけです。私どもに理解できないのです。適用されるのかされないのか。やはり法律として出される以上は、はつきりさせる必要があると思うのです。
  50. 輕部彌生一

    輕部説明員 ちよつと行政協定のとりきめに基く検疫法特例というふうにお考え違いしておられるのではないかと思うのでありますが、この検疫法特例は、たびたび申し上げましたように、行政協定に基く特別法ではございません。
  51. 苅田アサノ

    苅田委員 だから、基く特例法ではないのだけれども、つまり軍港にはこれが適用されるとおつしやつたでしよう。そうであれば、これは当然飛行場にも適用されるのですか、どうですかということを、お聞きしておるわけです。
  52. 輕部彌生一

    輕部説明員 その建前から行きますと、当然適用されるのであります。
  53. 青柳一郎

    青柳委員長代理 それでは本日はこの外国軍用艦船等に関する検疫法特例案に関する審議はこの程度にいたします。     —————————————
  54. 青柳一郎

    青柳委員長代理 次に遺家族傷痍軍人等の援護に関する生活保護実施等につき、社会局長より説明を聽取いたしたいと存じます。安田社会局長
  55. 安田巖

    ○安田政府委員 生活保護法によります戰傷病者戦没者遺族等援護法による調整につきまして、その後きまりましたことを御報告申し上げたいと思います。  戰傷病者戦没者遺族等援護法の制定に伴いまして、同法によつて給付されます年金及び弔慰金を、生活保護法適用にあたつて、どういうふうに取扱うかということは、非常に問題がございます。生活保護法建前からいたしますならば、当然これは差引かなければならぬことになるのでございますけれども、そこにまたりくつ通りにも行かない点がございまして、いろいろと研究いたしてみたのでございますけれども、結局次のような調整をとることにいたしました。  今度の戰傷病者戰没者遺族等援護法によりますところの弔慰金につきましては、元本も利子も、これは本来戰没者に対して、国がいわば現物をもつて供養にかえるという趣旨のように理解いたしまして、一切これを収入として見込まないということにいたしました。  第二に遺族年金につきましては、母子世帯における母は、子女の養育のために中等労作以上の労働状態にあるということを考えまして、その必要熱量を充足するための飲食物費として、最低生活費の認定におきまして次の額を加算いたしまして——大体一級地及び二級地では月額五百円、三級地で月額四百円、四級地及び五級地は月額三百円でございます。右の結果生活保護法適用において弔慰金及び年金の収入から減額される額は、昭和二十七年度におきましては、月額が七百五十円——弔慰金の利子を二百五十円と見まして、勤労加算額を五百円と見ますから、七百五十円、昭和二十八年度以降において生活扶助を受けておりますところの遺家族に対しましては、四箇年で償還するということになりますならば、弔慰金の元本、償還金利子が千八百円になりますから、勤労加算を加えますとおおむね月に二千三百円ばかりがふえて行く、こういうことになる。  それから障害年金につきましては、身体障害者が日常生活を営むために、生活の程度に応じてそれぞれ介護の費用がいるというふうに考えまして、特別項症は月額千円、以下一項症、二項症、三項症、四項症までそれぞれ段階をつけまして、若干のものをつけ加える、こういうふうなとりきめをいたしたわけでございます。  これは母子世帯の方も、遺家族であるから特に五百円の加算をするというふうにしないで、大体小学校の六年以下の子供を持つておりますならば、それはそういつた有子の未亡人家庭には五百円の加算をするという考え方で、生活保護法の原則を貫いたわけであります。  なおまた戦傷病者に対しまして、それぞれ介護料として加算をいたしましたけれども、これも身体障害者についてはそういうことをするという建前で、生活保護法の無差別平等の原則は破らないように考慮いたしたわけであります。  そのほか、今度生活保護法の基準の改訂をいたしますときに、学校に行くまでの年齢の児童一人につきましては、月額五十円ずつの特別の加算をすることに相なります。  なおまた、生業扶助の実施につきまして、大体未亡人家庭の子供が義務教育を終えまして生業を習得するということが多いのでございますけれども、従来三千円でありましたのを一件四千円にしましたが、なお必要によりましては、都道府県知事限りでその生業資金の額を六千円まで上げる、こういうようなことにとりきめたわけでございます。それらのものを全部合せまして、今度の遺家族援護法と生活保護法実施との調整の方策といたしたわけでございます。
  56. 青柳一郎

    青柳委員長代理 本件に関しての御質疑がありましたら、許可いたしたいと存じます。御質疑ありませんか。
  57. 高橋等

    ○高橋(等)委員 本日は簡単に質疑をいたしまして、あとは他日に讓りたいと思いますが、この年金をもらつている父母に対しては、何か特別の御考慮をお払いになつたか。払つてないとすれば、その理由はどういうようになつているのか。
  58. 安田巖

    ○安田政府委員 最初にちよつと申し上げたのでございますけれども生活保護を受けております者が、遺族であるとか、そうでないとかいうことによりまして、取扱いが二、三になるということは、生活保護法建前から申しますと、どうしても割り切れない。そこで何かそういう点で説明のつくような方法でやつて行きたいという考えから、ただいま申しましたような、母子家庭だけは一番苦しくて、しかもまた子供を持つているために生活費もかかるというようなりくつをつけまして、ただいま申し上げたようなことをやりました。従つて老人の場合は、考慮いたしておりません。
  59. 高橋等

    ○高橋(等)委員 吉武厚生大臣及び池田大蔵大臣から、戦傷病者遺族等の援護法に対するわれわれのたび重なる質問に対しまして、御答弁をいただいたことは、生活保護法適用については、遺族について特に考慮をするということだつた。ところが、今お聞きしますと、なるほど一般の未亡人の方も、そうして手厚く保護されることは非常にけつこうであります。しかし、われわれは、それ以上の保護を戦争犠牲者に与えたいということを、実は当委員会は希望いたしております。しかるに、このたびの措置を承りますと、どうも私たちの希望と大分かけ離れているように考えられるのであります。その生活の困窮の原因が、非常に一般の方と違つて、結局国に一家の働き手の生命をささげたことが原因になつているということで、われわれとしては特別の保護を講じたいと考える。せつかく年金が出ましても、老人たちに対しましては、それは何にもならない場合がある。これでは何のための遺族補償かわからないのです。それと、たとえば税の面を考えてみましても、一般の未亡人は、あれはたしか税額四千円の控除で、今度は戦争未亡人は税額六千円の控除、また六十五歳以上の戦争犠牲者の父母に対しましても、税額六千円の控除をいたしている。それらの点を考えますと、国が施策をなす上において、一方ではそうした特別の保護をいたしながら、一方同じような観点に立つた生活保護の面において——ことに税金を納められる方はまだ幸福なんです。そういう差別をつけられないことも、またいいかもしれない。しかし、それはつける方が妥当だと私は考える。それよりももつと生活程度の低い人に対して何ら施策をしないということは、私としてはどうもふに落ちないように考えます。これは今御答弁をいただけば、りくつのつく範囲でやりたいと言う。そのりくつも私にはよくわからない。そこできようこれを議論いたしましても、短時間では済まないと思います。一応資料をいただきまして、その資料にのつとつて、小委員会で一応——この問題は重大な問題でありますから、審議をいたすことにいたしたい、こういうように考えまして——私はなお小委員会におきましては、施行細則につきましても、一応見せていただきまして、なるべく法案の趣旨がよく徹底をして、手厚い補償が実際面において実行されるようにはからいたいと考えております。本日は私はこの点はこの程度で打切らせていただきます。
  60. 安田巖

    ○安田政府委員 今お話になりましたことで、老人と有子の未亡人の間に差異があるのでございますけれども、しかし、たとえば父母が世帯主であります場合には、あるいはまた世帯の一員でありましても、そこには同時にまた弔慰金がただいま出ているわけです。その弔慰金についての差引ということはいたしませんから、その点は、今のお話の中に加えて御考慮願いたいと思います。
  61. 青柳一郎

    青柳委員長代理 この件につきまして、本日は御質問はございませんか。——他に御発言がないようでありますから、本日はこれをもつて散会いたします。  次会は明後日午前十時から開会いたします。     午後零時七分散会