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青野委員 私は外務
委員会に一ぺん出ましたときに、この問題について、日本の産業の上から
質問したことがございます。聞くところによりますと、例をまた奄美大島にとるようですが、南北直線にして三十里—相当の島であります。年間三千万斤の黒砂糖、大島つむぎ、鉄道線路に必要なまくら木等ができる。それを二百海里隔
つたところ、全速力で船を飛ばして十二時間かかる鹿児島に持
つて行かなければ、
生活必需品とこれをかえることができない。信託統治にな
つて、アメリカの方が
生活に必要なる物資を
支給してくれればけつこうですが、そうでなければ、主食というものを持たないこの奄美大島の諸君は——在島民が二十三万、日本本土に来ております奄美大島出身が十八万人、合計四十一万人という
数字が出ております。これは鹿児島との、大言・申しますると貿易、いろいろな物々交換によ
つて生活して来た人々であります。最近調べたところによりますと、製鉄事業に必要なマンガン鉱石は、非常に高い金で、インドから買
つておるのを、北九州の八幡製鉄の調査団が、司令部の許可を受けて大々的に調査した結果は、全島マンガン鉱石で固ま
つておるということである。真偽のほどはよくわかりませんが、そういう報告がもたらされておる。そこで、信託統治にな
つておるものが、日本の製鉄産業に必要なるマンガン鉱石をば、適当なる方法で日米間の協定によ
つて、これは日本の鉄鋼産業に必要な原料だけはと
つていいことに認めてもらいたい、こういう交渉が最近行われておると私は推定いたします。そういたしますと、これは日本の
政府が、わざとこれらの小笠原、沖縄、奄美大島の諸君を日本人から除外をする、ニユージーランド、フイリピン、濠州あたりと安全保障条約や相互援助条約を求めて、日本の軍国主義を監視する目的で一種の軍事基地をつくるために信託統治にされたということは、これは世界の常識にな
つている。そういう約束をしなければ、ニユージーランドと濠州とフイリピンはサンフランシスコに出て来そうもない。アメリカの一方的
考え方のもとに、これらの日本の諸島は遂に信託統治、しかも国際情勢を考慮して無期限—無期限で信託統治にな
つておりますときは、一応国際情勢が緩和して、日本に復帰が許されるまでは せんじ詰めてみますと、一時金も
年金も、結局空白時代が何年か起る。まごまごすると五年も六年も続く。同じ日本人で戦争に大きな犠牲を払
つた日本人が、遂にアメリカの都合で日本の国籍を除外せられて、まま子扱いせられるということは、われわれにと
つて忍ぶことができないことなんだ。この点について おそらく日本の国籍はまだ離れておらないと、長官は御
答弁になりましたが、今のままで行けば、いやでもおうでもわかれるのです。ポツダム宣言では、日本復帰を正しい輿論と方法によ
つて表明すれば認めると、承知している。そういうことを書いておりながら、去年の八月ごろ、奄美大島あたりは、男女を問わず老幼を問わずハンガー・ストライキをや
つて日本復帰を嘆願したが、遂にいれられなか
つた。二十三万人、日本本土に来ておるのが十八万人—そうすると、私のお尋ねしたいのは、十八万人の諸君が奄美大島に本籍を持
つておるときには、日本に居住してお
つても、それらの諸君は
年金も、あるいは障害
年金も、あるいは一時金ももらえないのである。向うから、そういうことが議会を通過して一応決定して、条約も発効した後に、二十三万の島民が続々と日本本土に移転して来たときには、それは当然日本の国籍に入るのかどうか、こういう点をはつきりしておいてもらわないと—これは千島や樺太の問題、あるいは朝鮮の諸君との問題と関連をしますが、非常に大きい問題が出て来るわけである。この点について、やはり立案した
当局としては、相当の具体的なことをお持ちにな
つていると思いますが、ひ
とつ詳細にお伺いしておきたい。