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1952-02-29 第13回国会 衆議院 厚生委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年二月二十九日(金曜日)     午前十一時四十分開議  出席委員    委員長 大石 武一君    理事 青柳 一郎君 理事 丸山 直友君    理事 金子與重郎君 理事 岡  良一君       高橋  等君    寺島隆太郎君       堀川 恭平君    松永 佛骨君       松谷天光光君    柳原 三郎君       堤 ツルヨ君    苅田アサノ君  出席政府委員         警察予備隊本部         次長      江口見登留君         厚生政務次官  松野 頼三君         引揚援護庁長官 木村忠二郎君  委員外出席者         警察予備隊本部         課長         (医務局医務課         長)      須江杢二郎君         厚生事務官         (大臣官房総務         課長)     小山進次郎君         厚生事務官         (大臣官房統計         調査部指導課         長)      森  直一君         厚生事務官         (引揚援護庁長         官官房総務課         長)      畠中 順一君         厚 生 技 官         (公衆衛生局食         品衛生課長)  尾崎 嘉篤君         専  門  員 川井 章知君         専  門  員 引地亮太郎君         専  門  員 山本 正世君 二月二十七日  委員中川俊思君辞任につきその補欠として樋貝  詮三君が議長指名委員に選任された。 同月二十八日  委員橘直治君辞任につき、その補欠として長尾  達生君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 二月二十八日  復員船東豫丸沈没による死亡軍人遺族援護に  関する請願小西英雄紹介)(第九八七号)  国立旭川病院存置等請願外九件(佐々木秀世  君紹介)(第九八八号)  旭川市にアフター・ケア施設設置等請願外五  件(佐々木秀世紹介)(第九八九号)  北海道下結核病床増設等に関する請願外五件  (佐々木秀世紹介)(第九九〇号)  国立下呂病院存置請願岡村利右衞門君紹  介)(第一〇〇八号)  遺族援護強化に関する請願岡良一紹介)(  第一〇〇九号)  同外一件(堤ツルヨ紹介)(第一〇一〇号)  同(上林山榮吉君紹介)(第一〇七一号)  母子福祉法制定請願松澤兼人紹介)(第  一〇一一号)  同外二件(原田雪松紹介)(第一〇二五号)  栄養改善法制定に関する請願堤ツルヨ君紹  介)(第一〇一二号)  国立八雲病院存置請願外七件(川村善八郎君  紹介)(第一〇四一号)  児童福祉司制度廃止反対請願並木芳雄君紹  介)(第一〇五八号)  同(石田一松紹介)(第一〇五九号)  同(坂口主税紹介)(第一〇六〇号)  同(高木章紹介)(第一〇六一号)  同(三浦寅之助紹介)(第一〇六二号)  同(田中重彌君外一名紹介)(第一〇六三号)  同(佐久間徹紹介)(第一〇六四号)  同(加藤隆太郎紹介)(第一〇六五号)  同(坪川信三紹介)(第一〇六六号)  同(栗山長次郎紹介)(第一〇六七号)  同(野村專太郎紹介)(第一〇六八号)  あんま、はり、きゆう及び柔道整復師免許制  度存続等請願山手滿男紹介)(第一〇六  九号)  国立福知山病院深部治療器械設置等に関する  請願大石ヨシエ紹介)(第一〇七〇号) の審査を本委員会に付託された。 同月二十七日  アフタ・ケアー施設設置に関する陳情書外一件  (第六七三号)  新潟県民医療保障に関する陳情書外一件  (第六七四号)  附添婦制度改悪反対に関する陳情書  (第六七  五号)  進駐軍による被害の補償に関する陳情書  (第六  七六号)  未帰還者及び留守家族国家補償に関する陳情書  外八件(第六  七七号)  同外六件  (第六七八号)  遺族補償に関する陳情書  (第六七九号)  同(第六八  〇号)  同  (第六八一号)  同  (第六八二号)  傷い軍人待遇改善に関する陳情書  (第六八  三号)  戦争犠牲者に対する援護策に関する陳情書  (第六八四号)  同(第  六八五号)  戦争犠牲者に対する国家補償に関する陳情書外  三十二件  (第六八六号)  遺族援護に関する陳情書  (第六八七号)  戦没船員遺族援護に関する陳情書  (第六八八号)  同外一件  (第六八九号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  小委員追加選任  ポツダム宣言受諾に伴い発する命令に関する  件に基く厚生省関係命令措置に関する法律  案(内閣提出第一二号)  公衆衛生に関する件     ―――――――――――――
  2. 大石武一

    大石委員長 これより会議を開きます。  まず小委員追加選任の件についてお諮りいたします。現在当委員会設置されております小委員十一名よりなる戦争犠牲者補償に関する小委員会の小委員の数を十二名とし、同じく小委員十名よりなる水道に関する小委員会の小委員の数を十一名と改めて、その追加選任につきましては、委員長より指名することに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 大石武一

    大石委員長 御異議がなければ、金子與重郎君を戦争犠牲者補償に関する小委員に、丸山直友君を水道に関する小委員にそれぞれ指名いたします。     —————————————
  4. 大石武一

    大石委員長 次に、ポツダム宣言受諾に伴い発する命令に関する件に基く厚生省関係命令措置に関する法律案を議題とし質疑に入ります。通告順によりまして発言を許可いたします。岡良一君。
  5. 岡良一

    ○岡(良)委員 引揚援護庁長官の御出席願つて責任ある御返答をいただきたい点もありますので、その点は御出席を得てただしたいと思いますから、さしあたりの問題としては、主として小山総務課長に率直なる御見解をただしておきたいと思うのであります。  第一点は、引揚げ問題の今日までの推移、その過程を見ましても、また最近国会を通じて決定されるであろう遺族あるいは戦傷病者に対する国の責任における援護法律——特に予算はすでに通過いたしましたが、こういうことになりますと、引揚援護庁というものの構成、たとえば、現在は引揚援護局、第一復員局、第二復員局というふうにわかれておりますが、そのうち陸軍海軍にわたる復員業務というふうなものは、日本が独立をする、そうして国連なり中立国なり、あるいは当事国との間に、なお残留すると予想される七万有余の残留抑留者については、これは当然外務省がこの問題の責任ある立場に置かれることとなる。いわば日本自主外交一環として、この問題は大きく取上げられなければならないと思うのであります。そういたしますと、たとえば、先般のジユネーヴの会議にも、主として引揚援護庁関係方々が出ておられるというふうな形で、引揚げ促進の問題が、厚生省所管業務であるかのごとき感を与えるというふうなことを揚棄して、当然日本自主外交一環として、外務省所管業務として、外務省が主体的に引揚げ促進に当るべきものではないかというふうに感ずるのでありますが、その点について、小山総務課長の御見解を承りたいと思います。
  6. 小山進次郎

    小山説明員 ただいまお話がありました引揚げ促進に関する事務を、外務省が主管してやるべきでないかという御意見についてでございますが、これは、現在においても、そのようになつているわけでございまして、今後ともそういうやり方にはかわりはないわけでございます。ただ、実際上の問題といたしまして、引揚げ促進やり方を効果的に行いますためには、引揚げの問題について最も研究もしているし、また実質的に関心を持つておりまする引揚援護庁が、いろいろな意味において外務省に強い協力をして事を進めて行く。その結果が、ともすれば、あるいは印象として、引揚げ促進引揚援護庁が取扱うというような感じを与えているかもしれませんが、建前上も、また実際の事務の進め方も、先ほどお話がありました通りにしているわけでございます。今回参られました三人の代表の中にも、この意味外務省からは人が正式に参加しているわけでありますが、引揚援護庁からは参加しておらないのでございまして、実際上そうなつているということはこういつた人の選び方にもそのまま現われているわけでございます。
  7. 岡良一

    ○岡(良)委員 なお引揚げ促進業務は、引揚援護庁設置とともに、もつぱらこの庁が大きな関心を示し、また協力しておつたということについては、私どもも了とするのでありますが、しかしながら、たとえば実際問題といたしまして、現在いると予想されている在留邦人について、これはもはや復員局あるいは留守業務部等に備えつけてある兵籍名簿と申しましようか、こういつたものも、かなり整理されているのじやないかと思います。また今後予想される引揚者について、なお中共なり、ソ同盟なりに生存しているかどうかということについての、世話課がやつている業務等につきましても、やはりそれは引揚げ促進する資料として、あるいは前提としての業務であつて、当然引揚げを担当する外務省の手にこれが移されるということになるならば、機構的にも、やはりはつきりと、引揚げて来た者についての援護は、引揚援護庁なり厚生省所管業務としてやる、しかし引揚者日本の土を踏むまでに至る実際の手配と、またそういう情勢を馴致するための外交的な方途というものは、当然外務省所管ではないかと思うのでありまして、そういう点を実はお伺いしているわけであります。
  8. 畠中順一

    畠中説明員 お答えいたします。引揚げ促進の問題は、先ほど小山総務課長からお話がございましたように、建前も実際上外務省で担当しているわけでございます。それで引揚援護庁といたしましては、引揚げて来た者の援護と、それから引揚げに関しましては、まだ引揚げない人、特に軍人につきましての調査業務をいたしているわけでありまして、促進の問題は、あくまで外務省が担当しているのでございます。それで復員局仕事は、引揚げ促進の問題ではないのでございまして、調査仕事でございますが、それも含めまして、引揚援護庁では引揚げて来た援護だけをやつて、あとの調査なりを促進関係のある外務省でやるということになりますれば、現在の復員局機構をみな持つて行つて外務省でやるということならば、一応一貫はいたしますけれども、現在のところでは、促進の問題は外務省、それから軍人引揚げて来ない人の調査引揚げて来た人の援護援護庁でやる、こういう建前でやつているわけでございます。
  9. 岡良一

    ○岡(良)委員 まあそれでいいわけなんですが、なお関連して、それではお尋ねをしたいのですが、この間昭和二十七年度一般会計予算を拝見いたしましたときにも、関連してお尋ねいたしましたところ、たしかこれは大臣の御答弁であつたと思いますが、障害年金遺族年金を含むあの費目というものは、社会局の款項目に出ておりましたけれども、実質的には引揚援護庁がこれを取扱うということで、われわれもあの予算の審議においては、引揚援護庁の中であの問題をいろいろ当局にただしたことは、御存じ通りであります。そういたしますると、この遺族あるいは傷痍軍人等に対する援護というものは、おそらくウエートとして、は、引揚援護庁所管しておられる業務の中で、一番大きいものじやないかと思います。今、未復員者給与法なり特別未帰還者給与法なり、あるいは引揚者の住宅なり、また今年度から打切りなりましたが、更正資金の問題にいたしましても、あるいはまたそういうものよりも、今後国会を通過し得ると想像されておるところの遺族あるいは戦争による身体障害者に対する援護法律を施行する業務というものは、引揚援護庁が一番大きなウエートを持つて来ることは、だれしも想像ができるのであります。そういたしますると、引揚援護庁設置令は、当然具体的に大きな変化を遂げなければならないのではないかと思いますが、そういう事態に処して、この際皆さんの方で具体的にこういうふうにすべきではないか、またしたい、その他そういうふうな御意向があつたら率直に承りたいと思います。
  10. 畠中順一

    畠中説明員 遺族援護の問題と傷痍者の問題につきましては、御承知のように年金等予算社会局の方に組まれておりますが、その実施は引揚援護庁において行う方針でございます。そういう場合に引揚援護庁の現在の設置令の中でよは、遺族とか傷痍者対する援護措置が、法的にとられておりませんので、これは遺族傷痍者援護法律が出ました場合に、その法律の中で引揚援護庁設置令を改正して、引揚援護庁において、そういつた新しい仕事ができるように規定したいという方針でございます。それからなお引揚援護庁におきましては、引揚者の住宅問題だとか、あるいは更正資金の問題、あるいは応急援護の問題は、援護庁の中に援護局というものがございまして、復員局とは別途に行つておるのでありますが、遺族援護をいたすにいたしましても、引揚者援護は、援護局において従前通りつて行くつもりでございます。なお遺族援護、あるいは傷痍軍人援護の問題は、これは現在の復員局機構とは切り離すことができなと申しますか、切り離しますと、非常不経済な、能率の悪いことになるのでございまして、たとえば大体のところで、遺族にいたしましても、戦歿者が百七十六万ですか、それ以上の方がおれますし、その遺族の数は四百万近くあるのであります。こういう人々援護をいたします場合に、そういう人人が軍人であつたか、軍属であつたかという身分の判定のはつきりした資料がないと、支給に非常に錯誤を来すのであります。それからまた、そういうものがほんとうに公務で戦死をしたのか、あるいは戦傷死なのか、あるいは戦病死であるかというような調査がはつきりいたしておりませんと、遺族と称する者からたくさん申請がありましたときに、はつきりした認定ができないのでございます。そういつた軍人軍属身分、それから死亡原因調査等につきましては、従来そういつた仕事に携わつておられましたところの復員局方々が、この仕事にはきわめて適切でございますし、幸いにそういうことになれておる人々でその仕事をやつて行くということが、厚生省といたしましても、能率的なことじやないかと考えますので、そういうように行いたいと思つております。
  11. 岡良一

    ○岡(良)委員 引揚援護庁設置令第二条の中で、所管業務が二つにわかれております。そこで今御説明のように、第一号については、主として引揚援護庁がそれに当る。そのためには先ほども申しましたように、未復員者給与法なり特別未帰還者給与法なり、その他住宅の問題、生業資金問題等についていろいろな御努力を願つておる。第二号の旧陸海軍復員及びこれに関する事務を行う——問題はこれなんですが、引揚援護庁が第二条第二号の旧陸海軍復員及びこれに関する事務を行うというのは、内容的に見れば、これは結局戦傷病者援護、あるいは戦歿死に伴う遺族援護、こういうことがもはや中心の課題となつて来たのであつて復員ということ、またこれに関する事務という問題は、非常にいわばヒンテルグルンドに行つておるのじやないかという考え方でお尋ねしているのです。第一復員局と第二復員局というような局が持つておられるいろいろな旧軍隊内における資料というものは、これを私は否定するのではありませんが、この資料に基いての遺族あるいはこの戦傷病者に対する援護というものは、これはもはや復員業務というよりも、援護業務ではないかということで、第一復員局、第二復員局復員業務中心としていた時代は過ぎ去つた、むしろそういう戦争犠牲者である傷痍軍人遺族に対する援護というものが大きくクローズ・アップされて来ておる現在、第一復員局、第二復員局を存置しなければならないということは、実際の業務上、私は納得ができないのです。しかも、予算が通過するならば、もう四月にも、おそらく遺族なりまた傷痍軍人に、それぞれの支給を急ぐということにもなろうと思いまするが、やはり名は実の賓を現わすというか、その実体にふさわしい名称にかえて、またそれに伴う人的構成をも充実する。人的構成としては現在の人はいいとしても、問題は資料取扱いにあるので、そういう点で、引揚援護庁の方では、やはりもつとその業務にふさわしき名前にもし、また機構にもかえて行くというようなことが必要ではないかと思いますので、重ねてお尋ねしたい。
  12. 畠中順一

    畠中説明員 引揚援護庁におきまして、復員局が主となつて遺族援護なり、傷痍軍人援護を行つて来ておるという場合におきまして、その復員局名称なりを考えたらどうかというお話でございますが、名称等の問題につきましては、今後もいろいろ研究して参りたいと考えております。
  13. 岡良一

    ○岡(良)委員 いずれこの問題は、近い将来の具体的な問題として、これ以上の点については、お互いに十分研究して善処したいと思います。  関連してお尋ねをしたいのですが、第一復員局、第二復員局におられる旧軍人諸君、その数、それから旧軍人時代における階級、またこれらの諸君がどういう取扱いで軍服をセビロに着かえて残つておられるのか。またこの中で、いまだ追放を解除されない方方は何名あつて、それはどういう名前の人で、現在復員局においてはどういう地位についておられるか、この点をお尋ねしたいと思います。
  14. 畠中順一

    畠中説明員 復員局に現在おりますところの旧陸海軍軍人は、総数で百八十名でございます。階級別にいたしますと、陸軍海軍つきまぜてでございますが、大佐が二十六名、中佐が四十九名、少佐が六十五名、大尉が二十六名、中尉が十二名、少尉が二名、計百八十名となつております。これは御承知のように、昭和二十年十一月三十日に、陸海軍省が第一、第二復員省になりまして、それから数度の変遷を重ねまして、昭和二十三年の五月三十一日から引揚援護庁復員局が吸収されました。そのころは、たくさんの旧軍人復員局におりましたが、司令部からのいろいろな要求もございまして、その業務に支障を来さない限りにおいて減して参つたのでございまして、ただいまでは、百八十名になつておりますが、これらの人は、復員業務をやつて行く上に、ほかの文官ではわからない仕事が多いのでございますので、今日まで留任申請をいたしまして、復員業務に関してはとどまつて仕事をやつてもよいということで参つたわけでございます。しかしながら、最近追放解除になりまして、現在残つておりまする者は五名でございます。それは復員局局付と申しまして、局長のすぐ下におるのですが、局付美山要蔵氏、元の陸軍大佐でございます。それから同じく復員局復員業務部長高山信武氏、これは元の陸軍大佐でございます。それから復員局資料整理部長、元陸軍大佐服部卓四郎氏、それから中部復員連絡局広島支部支部長をしております元陸軍大佐斎藤明雄氏、それから海軍関係では第二復員局残務処理部長の元海軍主計大佐初見盈五郎氏、以上申し上げました五名が、覚書該当者として残つておる次第でございます。
  15. 岡良一

    ○岡(良)委員 最近私が見たのでも、二箇月ほど前の朝日新聞、また数週間前の読売新聞、また昨日の読売新聞にも、現在復員局にとどまつておられる方で、覚書該当者としていまだ追放を解除されない方々名前が出ておることは、課長御存じだと思う。このことについては、なお大臣からも御答弁を得たいと思いますから、その点も委員長にお含みを願いたいと思うのであります。  そこで、まず部内の様子を知つておられると考えまして、総務課長お尋ねしたいのでありますが、いわば在職延期ということは、実質的には謹慎の立場において、まつたセビロに着かえて、一般普通の行政事務に携わつておられるのでありまして、こういう方方が、従来の経歴から、そうした業務においていろいろと内部の事情、従来のいきさつをよく御存じであるから適当な方であるということ、またその立場から、それらを生かしてこの業務にお働きをいただいたということについては、われわれも特別に異議に申し立てるものではありません。しかし、現在いろいろな新聞情報などによつても、日本の再軍備というような問題が大きく取上げられております。これには、現在セビロを着た厚生省復員局部長なり課長なりという諸君名前が出ておるのであります。おそらく厚生省としても、そういう事実は御否定にはならないと思います。こういう情報が伝えられるということは、いろいろな意味で、厚生省職員諸君身分と関連して、誤解を招きやすい点でもあり、問題によつては、重大な責任をも伴う事項と思いますが、こういう新聞情報等が出たときに、厚生省あるいは引揚援護庁内部として、またその責任者立場から、何らかの御調査をなされたことがあるかどうか、まずこの点を承りたい。
  16. 畠中順一

    畠中説明員 復員局におります者が、最近新聞雑誌等で、再軍備に関連して名前がいろいろ出ておりますことは、われわれも承知をいたしておりますが、先ほどお言葉にございましたように、復員局職員は、最近まで追放の身でございましたし、復員事務に限定されまして、その範囲内で職にとどまつて今日まで来て、最近大部分の者が追放解除となりましたが、援護庁なり復員局なりといたしましては、復員局の者は、ややもすれば世間からいろいろな目で見られるので、いつも常に機会あるごとに、特に出処進退には注意をいたしまして、限定された復員業務に専念するように、そして再軍備の問題が世論でやかましくなつて来るに連れて、そういうものに巻き込まれないようによく注意して、与えられました復員業務に専念するようにということを、長官次長からも常に訓辞もいたしますし、復員局の者もお互いに戒め合つて、今日まで来ておるわけでございます。たまたま、これも復員局の一、二の者でございますけれども、新聞雑誌等に出るようなこともございまして、その都度そのことにつきまして、本人にいろいろ話してみるのでございますが、復員局においては再軍備等に関していろいろな仕事をしておるとか、その準備をしておるとかいうような事実は全然ございません。さように御承知願いたいと思います。ただ新聞雑誌等で言われますことにつきましては、そういうことも新聞雑誌等に取上げられないように注意をして行くように、その都度お話はいたしておる次第でございます。
  17. 岡良一

    ○岡(良)委員 復員局は、別に作戦局じやないのであつて、そういうことをせられないということは当然なことですが、ただ問題はまだ追放解除をされておらない覚書該当者であり、かつて阿南陸軍大臣高級副官であつた、あるいは東條の祕書官であつた、こういう身分諸君が、復員局の一事務官としての身分にありながら、しかも覚書該当者でありながら、再軍備計画等について直接関係をしておる。しかもそういうことが読売とか、朝日とかいう日本の大きな一流の中央新聞に載つて広く国民にばらまかれておる。これでは、まつた覚書該当者に対する処置を、覚書該当を厳密に施行すべき政府が、その覚書該当者がきわめて遺憾な行動をしておるにもかかわらず、これに対して、復員局ではしておらないが、外へ出てしておつてもいいということは——軍備計画というものは、これは日本の一切の政策にかかわる問題であり、また国会が当然審議すべき予算に重大な関係を持つものである。こういうものについて、復員局職員たることをやめて彼らが行動せられることは、隠密のうちになさる限りにおいてはわれわれもとがめだてたり、追究する理由はないかもしれませんけれども、復員局事務官たる立場におられる人が、そういうことをするということの責任、また覚書該当者がそういうことをやつておるということに対して、政府としてそれを黙つて見ておるということでは、私はこれは単にその人個人の問題ではなく、政府自体としても重大なやはり政治的責任があろうと思うのです。そういう点からお尋ねをいたしておるのであります。これは総務課長も、お立場上いろいろ言いにくいこともあろうと思いますけれども、私も資料なしにこの問題についてお話しているのではないので、委員長の方で後刻厚生大臣引揚援護庁長官の御出席願つて、その上でこの点を明らかにしたいと思います。  以上で一応私の質問は打切りたいと思います。
  18. 大石武一

    大石委員長 苅田君。
  19. 苅田アサノ

    ○苅田委員 岡委員の質問によりまして、大体のことは明らかになつたのでありますけれども、さらにこの引揚援護庁の中の仕事の一、二につきまして、明瞭にしたいと思います点をお聞きしたいと思います。  この長官官房で行われます事務の中に、機密に関する事務ということがあるわけなんですが、これはどういう種類の機密に関する事務であるのか。お話願いたいと思います。
  20. 小山進次郎

    小山説明員 これは共通の問題でございますので、私御説明申し上げますが、総じて大臣とか長官所管事項の中には、ほかの仕事のように現わされ切れない仕事を、機密に関する事項というような言葉で表現することが例になつております。ただそういう例に従つてあげてあるだけでございまして、特別の意味のあるものではございません。大体祕書官が扱つているたぐいの仕事が、これに当るわけであります。
  21. 苅田アサノ

    ○苅田委員 どういうことですか。一、二具体的にいえば……。
  22. 小山進次郎

    小山説明員 別に大したことはございませんが、たとえばどなたが面会を求めておられますが、これは断るようにいたしましようか、それともお会いするようにいたしましようか、こういつたような程度のことでございます。(笑声)
  23. 苅田アサノ

    ○苅田委員 どうもお役所の仕事にはそういうことがあつて、私どもやはりよくわからないのでお聞きするわけですが、それでは同じような長官官房で取扱われる事務の中の、国有財産及び物品に関する事務というのは、この中ではどういうことをいうのですか。
  24. 畠中順一

    畠中説明員 国有財産及び物品に関する事務ということでありますが、これはたとえば舞鶴の援護局がございますが、それは国有財産に属しておりまして、これの管理とか、いろいろな問題をいうのでございます。  それから物品は、これは普通の物品でございますが、そういうものを総務課で一まとめに取扱つておるというようなことでございます。
  25. 苅田アサノ

    ○苅田委員 その十のところにございますこう報に関する事務というのは、どういうのですか。
  26. 畠中順一

    畠中説明員 こう報に関する事務と申しますのは、これは厚生本省にもございますが、引揚援護庁でもつてつておる仕事を広く国民の方々にお知せして、その仕事を円滑にできるようにして行くという意味でございます。
  27. 苅田アサノ

    ○苅田委員 それから、今度は復員局の方のことについてお聞きしたいのですが、これは今度廃止する条項に該当しておると思いますが、連合国軍の要求に基く諸調査事務ということがあるわけです。これはもうすでに廃止する事項にはなつておるのですが、参考のためにどういうことについて調査が命ぜられておつたかということを、お聞きしたいのです。
  28. 畠中順一

    畠中説明員 連合国軍の要求に基く諸調査事務でございますが、これは主として太平洋戦争に関しまして、連合国軍の方から、その当時の日本軍の戦闘配備状況がどうであつたか、どこでどういう戦闘をしたかというような問題が、おもなるものでございます。
  29. 苅田アサノ

    ○苅田委員 今度はやはりこの残る部分に該当しておる事務なんですが、旧陸海軍の残務整理に関する事務というのがあるわけです。これはどういう事務がなお残つておりますか、お聞かせ願いたいのであります。
  30. 畠中順一

    畠中説明員 旧陸海軍の残務整理に関する事務といたしましては、主たるものが復員手続とか、あるいは未復員者の調査というようなものも一応入りますけれども、ここに掲げてありますのは、たとえば旧陸海軍当時の債権の、まだ取立ててないものの整理というようなものがございます。
  31. 苅田アサノ

    ○苅田委員 これははつきりしておきたいと思いますが、陸海軍の残務整理というものは、取立てていない債権の処理だけのことをいつているわけなんですか、そのほかの仕事は全然入つていないわけですか。
  32. 畠中順一

    畠中説明員 今申し上げました債権の処理が大部分かと思われます。
  33. 苅田アサノ

    ○苅田委員 これはやはり先ほど総務課長の御答弁の中にあつたわけですが、援護局の中のやつている、たとえば資料整理部長仕事というふうなものがあるわけですが、この資料整理部というものは、どういうことに関する資料をやつておるわけなんですか。
  34. 畠中順一

    畠中説明員 資料整理部は、その第六条の四に、連合国軍の要求に基く諸調査事務というのがございますが、それが、主として資料整理部の仕事でございまして、先ほど申し上げましたように、連合国軍の方から、主として太平洋戦争で、当時の軍が、どこにどういう配備をして、どういう戦闘をしたかというようなことについて、いろいろこまかい調査を要求して参りますので、その関係仕事であります。
  35. 苅田アサノ

    ○苅田委員 そうしますと、今度は連合国側からのそういう要求というふうなことはなくなつて、そうして日本も一応独立国という態勢のもとに自主的にやつて行くわけなんですから、こういう服部卓四郎というような人が部長をやつておる資料整理部というようなものは、当然仕事がなくなるというふうに考えられますが、その点いかがですか。
  36. 畠中順一

    畠中説明員 日本が独立いたしますと、連合国軍の要求に基く調査事務というものは、お説のようになくなると思います。従いまして、資料整理部の大部分の仕事はなくなると思いますが、なおこの部では、たとえば、まだ外地に残されておりますたくさんの遺骨の問題につきましても、当時の軍の行動等から調査して行かなければ、どこにどれほど遺骨があるかというような調査にも関連しますので、そういつた問題もやつております。また、外務省等の要求で、当時の軍が戦地におきまして与えました損害につきまして、賠償問題で、いろいろな資料を要求されるわけでございます。たとえば、どこにどういう施設を持つてつて、そのためにどういう損害を与えたかというようなことで、賠償に関連しまして、外務省から調査を要求して参りますので——独立後は連合国軍からの要求に基く調査はないと思います。従つて大部分の仕事は終ると思いますけれども、そういつたまだ残された仕事が若干残るかと思います。
  37. 苅田アサノ

    ○苅田委員 どこに遺骨がどういうふうに残つているかというようなことが、終戦後六年も七年もたつた今ごろになつて、まだこれから調査しなければならぬというようなことでは、実際今までそういう方面に調査の部課を設けておつてどういう仕事をしておつたのか。一体ここでそういう仕事をやつていたのか、それともそうでない仕事が、そういう建前でやられていたのかというようなことが、非常に疑問になつて来るわけです。それから特にあなたがおつしやるように、今後の賠償の取立てに対して参考にしたいということのために、こういう一部課を残して、今後もやはり店開きをしていなければならぬかどうかというふうなことも、私どもは非常に問題になると思うのです。そういう点につきまして、私どもここで、できればもつと実際上の調査もやつた上で、そういうふうなものを実際残しておく必要があるかどうかということも検討しなければ、簡単にこれはいい、このまま残しましようということは、ちよつと言い切れないと思うのです。こういうことにつきましては、総務課長に御答弁を求めることは、ちよつと無理かと思いますので、やはり私は後刻こういう問題に関しましては、大臣がおいでになりますれば、直接大臣からもお話を聞きたい、あるいは援護庁長官からも聞きたいと思いますけれども、総じて、今まで勅令によつてできました引揚援護庁というふうなところが、近年アメリカのジャーナリストであるマーク・ゲインなんかの日本滞在日記を見ましてもわかりますように、何とかして旧軍人軍閥の勢力を温存したいという一つの逃込み場所として、こうした復員局等に、必要でない、つまり実際は日本が民主国家として誕生するためには好ましくないようないろいろな根が、ここに温存されておつたのじやないかということが、そういう資料なんかから見ましても、想像できるわけなんです。特に今後こういう勅令が廃止されまして、新しく日本独自のものとしてここにつくられるという機会に遭遇いたしまして、私どもはこうした世上での、復員局機構を利用いたしまして、旧在郷軍人等の再組織、地下組織が進められておるというようなうわさをひんぴんとして聞いております際でもございますから、こういう問題につきまして、私どもは、もつと徹底的な調査究明をいたしませんことには、この引揚援護庁をそのまま存置するということに対しましては、了承できないと思うのです。こういう点につきまして、後刻大臣なり援護庁長官なりの御出席を得ました上で再度質問したいと思いますので、きようおいでになつております政府委員に対する質問は、このくらいにいたします。
  38. 大石武一

    大石委員長 他にこの法案についての御質疑はございませんか。——ちよつと速記をやめて。     〔速記中止〕
  39. 大石武一

    大石委員長 速記を始めてください。  それでは引続いて質問を継続いたします。
  40. 苅田アサノ

    ○苅田委員 引揚者の秩序保持に関する政令を廃止するということになつておりますが「但し、この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。」ということが書いてあるのです。これはどういうことなんですか、この点をお聞きしておきたいのです。
  41. 小山進次郎

    小山説明員 これも罰則の適用に関する一般の通則でございまして、たとえばこの政令の廃止の時期が二十七年四月一日というように定まりましたような場合、ちようどその前にこの罰則に触れて裁判手続が進んでいたというような場合に、一体どういう法律によつて今後処理するかということが、解釈論として非常にはつきりしなくなるわけであります。そういう場合にどちらによるかということを明瞭にするために、こういう規定を設けまして、その場合は犯した当時の法律によつてさばいて行くのだ、こういう趣旨をはつきりするだけであります。ただ実際問題としては、これは二年ぐらいの間働いておりませんから、事実上問題の起ることはありませんが、そういう通則に従つて書かれておるだけでございます。     —————————————
  42. 大石武一

    大石委員長 それでは一応ポツダム宣言受諾に伴い発する命令に関する件に基く厚生省関係命令措置に関する法律案の質疑をこれで打切りまして、次に公衆衛生に関する件に関し、警察予備隊の衛生状態についての発言を求められておりますので、これを許可いたします。岡良一君。
  43. 岡良一

    ○岡(良)委員 警察予備隊の現在の保健衛生の状況並びに疾病に関する統計等についてまずお伺いしたいと思います。
  44. 江口見登留

    ○江口政府委員 一言、全般的な予備隊の医療問題について、お答えいたしました後に、統計等によつて岡さんの御質問にお答えいたしたいと存じます。  警察予備隊の医療関係におきまして、は、決して十分でない点が多いのでございます。それにはいろいろ事情がございますが、まず医官の応募者が非常に少いということ——これは経済的な条件や、その他りつぱな病院がまだ予備隊にないというような意味から、医者の来手が非常に少いというような関係もありまして、われわれの予定しております三百数十名の医療関係の幹部のうち、いまだ七十名ぐらいしか、現実に働いてもらつておる医官がないというような現状でございます。その間隙を縫いますために、いろいろな方法を講じてはおりますが、何せ経費の問題もありますし、今の医官の待遇の問題もありますし、予備隊自体として隊員の健康管理をやつて行くことが、はなはだ手薄になつております点は、はなはだ申訳ないと思つておるのであります。しかしながら、比較的健康な青年をたくさん擁しておりまするので、お尋ねの疾病統計などにおきましても、他のこういう数の多い政府職員一般の健康関係などに比べてみますると、その健康状況なども、それほど劣つておるとは存じないのであります。その比較等につきましてはただいま統計で申し上げますから、それによつて御了承願いたいと思います。
  45. 須江杢二郎

    ○須江説明員 お答え申し上げます。われわれの統計で申しますと、予備隊の現在の患者発生数は、一箇月平均発生率を申しますと、二・四九%でございます。そのうち結核を申し上げますと一・五四%になります。その他の疾病から申しまして、こまかな病名別統計等については、もし明細にお答え申せということでございますれば、時間の関係上、場合によりましては資料によつてお答え申し上げてもよろしいかと存じます。現在予備隊の医療全般から申しますと、昨年度の二月には予備隊に属します医官が十二名しかございませんでした。それで予備隊のそれまでの措置としましては、嘱託の医官を求めまして、そして予備隊の部隊の医務室で診療をいたしておりました。その医務室の整備もまだ不完全な状態で、人も外部にお願いする、かような状態で診療を続けて参りましたが、ようやく本年の三月末には嘱託の医者をなくして、全部予備隊の医官をもつて診療をなし得るという段階になる見込みでございます。部隊の医務室がそういう状況でございますから、予備隊員の診療については、当然外部に委託をしなければなりませんので、国立病院、市その他各公共の病院と特定の診療契約をいたしまして、現在の社会保険の線による診療規定に基く診療を実施しております。ことに結核の場合には、べツド数の不足によりまして、やむを得ず帰宅療養——現在の結核患者総数が千百でございますが、そのうち八百五十名ほどの帰宅療養を認めております。それで予備隊自体といたしましては、予備隊員の健康の問題については、自隊の医官、施設によつてこれを行いたいという計画をもちまして、病院の設立、結核療養所の設立、医官その他の衛生幹部の充員について努力をしておるのでございますが、先ほどのように、現在医官は七十四名、歯科医官が五十七名、薬剤師が七十一名というような現状でありまして、まず診療に要する人の問題及び施設の問題につきまして非常に困難な状況に置かれておるのでございます。従つて募集を考えまして、今年三月末には医官は約六十名充員できる見通しになつております。それ以後の見通しについてはまだはつきりしたことは申し上げかねるのであります。もう一つわれわれの計画といたしましては、実地修練制度を採用いたしまして募集する計画を立てまして、昨年度より実施いたしております。
  46. 岡良一

    ○岡(良)委員 いろいろ詳しい資料、特に性病等に関連する資料等もありますので、後刻資料で御提出をいただいた上で、私どもも検討を加えたいと思いますから、そのようにおとりはからいを願いたいと思います。  そこで次長に伺いたいのは、あるいは課長でもけつこうでありますが、現在の予備隊の医療機関の組織と申しますか、これは体系的にはどういうふうな仕組みになつておるのでありますか。何か総監がおつて、その下に局があるとか部があるとか課があるとか、また地方キヤンプにおける仕組み、そういう点を伺つておきたい。
  47. 江口見登留

    ○江口政府委員 予備隊の医療全般を統轄すると申しますか、政策面と申しますか、基本面と申しますか、主としてそういう方面を担当する機構といたしましては、警察予備隊本部に医務局というのがございます。医務局に資材課と医務課と二課ございます。そこで警察予備隊の医療の根本的な方針ないしはそれに関連する予算調査というようなことをいたしております。それから隊の方に参りますと、総隊総監という七万五千人の最高の統卒者がおりまして、その一幕僚機関といたしまして衛生監というものが置いてございます。その待遇は警察監でございます。その下に特別幕僚といたしまして医務課長というものが置かれております。この衛生監の指導によりまして医務課長が、大体七万五千の隊員の全国におけるキヤンプに対してのいろいろな指導あるいは衛生資材の配付というようなことに参画して、それらのこと全般を地方のキヤンプに指示いたしておるのであります。キヤンプにおきましては、大体簡易な医務室を設けまして、そこにただいま申しましたような幹部級——今のところようやく一、二名程度になろうかと思いますが、その幹部級医官を置きまして、それに士補以下の助手をつけまして、軽微な診療につきましては、その医務室でするというような方法をとつております。
  48. 岡良一

    ○岡(良)委員 幕僚ということをよくおつしやいますが、予備隊令に、そういう言葉があるのですか。
  49. 江口見登留

    ○江口政府委員 幕僚と参謀という字は使つております。予備隊令にはありません。組織の規定でございますので、総理府令と申しますか、あるいは隊則と申しますか、そういう中にそういう字を使つております。
  50. 岡良一

    ○岡(良)委員 昨年度の予算において、予備隊の医療に関する費用は、一体どれくらいだつたのですか。また今年度においては、どのくらいを要求しておられるのか、またその骨子となる費目について、簡単でけつこうでございますから、御説明願いたいと思います。
  51. 須江杢二郎

    ○須江説明員 お答えをいたします。予備隊の衛生関係の資材その他いろいろな面から申しまして、ただいま創設当時のためにいろいろな資材設備を含めておりますので、年間の経営の面で申し上げることは、ちよつとむかずしいと思いますが、大体二十七年度に請求しております金額と同じ状態に考えられると思いますが、部隊内の消耗品は大体九千万円、それから外部に委託する診療のわくといたしまして一億四千万円の予算を計上しております。二十七年度までの資材関係から申しますと、大体編成装備と申しますか、その方の関係と、それでないものと含めまして総額十五億二千八百万円ほどの予算——これはすでに買つたものも含まりますが、二十七年度末までの請求額と現在までの総計がそうでございます。
  52. 岡良一

    ○岡(良)委員 それは二十六年度中ですね。
  53. 須江杢二郎

    ○須江説明員 二十六年度中ではございません。二十七年度末までの総計でございます。
  54. 岡良一

    ○岡(良)委員 それでは末端の地方キヤンプの方では、あるところでは国立病院との間に契約を結んでおられるところもあり、あるところでは大学の附属病院と契約しておられるということになつておりますが、これは予備隊の方と、当該病院との間の自由なる契約でやつておられるのですか。
  55. 須江杢二郎

    ○須江説明員 これは予備隊の各駐屯部隊が契約の責任を持ちまして、そうしてその契約を駐屯地で——契約に応じてくれる病院と応じてくれない病院がございますので、応じてもらえる病院にお願いをいたしております。
  56. 岡良一

    ○岡(良)委員 それではいろいろ御不自由なことでもあろうと思いますが、将来やはり予備隊としての独自な医療機関を設置するというふうな御計画があるのかどうか。もしおありとすれば、おそらく二十七年度にはこういうふうにしたいという御構想があると思いまするが、それについてひとつ御見解を伺いたい。
  57. 江口見登留

    ○江口政府委員 まことにごもつともなお尋ねでございまして、七万五千からの隊員の健康管理をして行きまする建前から申しましても、予備隊独自の病院が必要であることは、われわれも痛感いたしております。ただこれには、新しく病院を新設して参りますということには、非常な経費がかかるのでありまして、その面におきまして、財政当局の方に非常に納得をしてもらえないという面もございます。ことにそういう初めの施設費にずいぶん金がかかるという点から申しますると、条約発効後におきまして、進駐軍が従来接収しておりました建物で適当なものが返つて来るのじやないか、それを待つてそれを病院に改造するというようなことも一つの案ではないか、それまでは不自由ながら今の状態を続けたらどうかというような考え方も一面にありまするし、あるいはまた予備隊としては、そういう後方病院というようなものにあまり主眼を置くべきものではなくして、いわゆる出動した際の衛生部隊の活動と、現場における患者の輸送とか、あるいは応急治療とか、そういうものについて実際的な訓練を行うべきものであつて、病院については、一般の国立病院なり、あるいは民間病院なりを利用して行つたらどうかという意見もございまして、なかなか予備隊自体の病院が実現するという運びに至つていないのでございますが、われわれといたしましては、ぜひともそういうものを置いていただきたい。これによつて中身を充実すれば、その魅力によつて医官の方も来ていただくことかできるようになるであろうから、その意味におきまして、東京あたりに中央的な総合病院が一箇所ほしい。また各管区におきまして一つずつ合計四つほしい。あるいは別に結核病院もほしいというようなことで、それぞれ何床にしたらいいかというような計算もいたしまして、財政当局とも折衝いたしておりまするが、ただいま申しましたようないろいろな理由のために、実現を見ないでおることは、はなはだ遺憾だと存じまするが、今後とも努力を重ねて参りたいと存じます。
  58. 岡良一

    ○岡(良)委員 予備隊の使命は、予備隊令第一条に明確にうたわれておるわけですが、予備隊幹部とすれば、やはりそういう出動しなければならない事態というものを考えた場合に、当然重要な役割を果す医師なり、看護婦なりの充員というものが、当面の問題になろうと思いまするが、医師なり看護婦の充員についての具体的な御計画があるかどうかという点、あればその数字的な点をもあわせてお答えを願いたいし、なおまた日本赤十字社の問題です。最近日本赤十字社も、特殊な法人の資格を得たいという御要求もあるようでありまするが、予備隊としては、かつて日本赤十字社の看護婦養成方針というものは、主として戦争勃発の際における看護婦の充員供給にあつたのでありまするが、日本赤十字社に対して、そういうふうな協力を希望しておられるかどうかという点について、率直な予備隊幹部としての御見解と、この二、三点を承つておきたいと思います。
  59. 江口見登留

    ○江口政府委員 まだ予備隊に看護婦を置くという計画は具体化してはおりません。将来はそういうものを考えなければならぬかと思つておりまするが、目下のところは、男子の医官及びその補助者によつて、すべての療養を行つて行こうという方針を二十七年度も続けて行くつもりでございます。従いまして、将来看護婦を置くようになりました際に、その養成方法なり採用方法なりをどうするかという問題につきましては、将来の問題として研究を続けて行きたいと考えております。  それから、ただいまお話の医官の募集の計画について、数字的な根拠があれば示せというお話でありまするから、須江課長の方から……。
  60. 岡良一

    ○岡(良)委員 出動した場合における充員計画ですよ。
  61. 江口見登留

    ○江口政府委員 出動した場合の充員計画と申しましても、現在ありまする幹部を充てるほかは——出動先は国内でございまするので、その先々で、もし手が足りなければ、あるいは地元の病院のお手伝いを願うとかいうような方法を講じて行くよりほか——たとえばその場合に急に昔のように召集をするとかということは、全然考えておりませんので、そういう方法を講じて行くよりほか手がなかろうかと考えております。
  62. 岡良一

    ○岡(良)委員 赤十字社の関係をお聞きしましたが、その点もう一度はつきりお答え願いたい。
  63. 江口見登留

    ○江口政府委員 ただいま申しましたように、予備隊におきまして看護婦を入れるという考え方を、まだ具体化そうというふうには考えておりません。先ほど申しましたように、男子の幹部の医官及びその補助者でもつて、当分医療を続けて行くという気持でおりまするので、看護婦の養成とか採用とかという問題について、日赤と交渉したというふうな事実はございません。
  64. 岡良一

    ○岡(良)委員 今御存じだろうと思いまするが、厚生省の方では、本年度予算で全国九十九箇所の国立病院のうち、二十四箇所を除いて十五箇所はこれを結核療養所にベッドの転換をする。六十箇所は地方移譲をしたいという計画があるわけです。そこで予算等の関係もあつて、予備隊としては、あるいは中央における総合病院は別といたしまして、地方におけるブロック別にやはり中心的な医療機関を持ちたいというような考え方があるとしても、予算上きわめて困難だと思いまするが、そういうときには、予備隊としては国立病院を受け入れて、これを地方のブロックの病院として建直しをしたいという御意向があるのかどうか。またそういうことについて、厚生省との間に何らかのお話合いがあつたかどうか、その点をひとつ伺いたい。
  65. 江口見登留

    ○江口政府委員 厚生省の方で、国立病院に関しまして、そういう御計画があるということは承つております。しかし、その病院を予備隊の方で引受けるかどうかという問題につきましては、まだ私らの方としては考えておりません。先ほど申しましたように、何とかして進駐軍から返された建物を利用して病院をつくる、あるいは財政当局が認めれば、われわれが考えておる病院を新設したいということを考えております。厚生省の病院を移管していただこうというようなことは、目下のところ考えておりませんから、具体的に厚生省と相談したことはございません。と申しますのは、仮定としまして、そういうように入つて来た場合を考えてみましても、現在おります職員の人を一体予備隊でどうして行くか。普通の場合ならば、ただちに身分の転換もできましようが、制服を着た予備隊員に、すぐ現在の職員を切りかえるわけには行きませんし、その人をほかに移すということは、現在の予備隊の力ではできません。そういう人事上の関係もありますので、現在入院患者も相当いるのではないかと思いますが、そういう人たちを予備隊が全部引受けて、その人たちの跡始末をつけることも、予備隊としてはなかなか困難がありますので、そういう点からいたしましても、厚生省の病院をどうするかという点は、まだ具体的には何も考えておりません。
  66. 岡良一

    ○岡(良)委員 実はこの問題は、この委員会でもいろいろ論議の種になつておるのですが、その場合いろいろとわれわれが力説しておる重点は、かつては軍病院であつた、それが軍の離散とともに一般民間の病院、特に公共的な医療施設になる。ところが、現在これが新しい憲法のもとで、国民の健康も国の責任において保障するという建前が国民にも納得され、普及して非常に高い利用率を持つておる。そこで、われわれのおそれるところは、国立病院が地方財政のいろいろな困難性から受入れられない。しかし予算上これは本年内に受入れしめるがごとき予算措置について、衆議院はこれを決定しておる。そういうことになりますと、持つて行き場がなくて、どうだ、警察予備隊の方で引受けないかというようなお話が出ないとも限らない。そういうときに、うかつに引受けられては、われわれとしては、国民の福祉のために非常に困るので、今おつしやいました点をはつきりとわれわれは了解いたしますので、絶対に引受けないというふうにしてもらいたい。  それから結核患者の自宅療養なんですが、これはたとえばどういう条件ですか。何箇年間療養すれば退職するとか、あるいは療養中現行給与の何割を支給するとか、療養費の支給率はどういうふうにしていらつしやいますか、その点をひとつ伺いたい。
  67. 須江杢二郎

    ○須江説明員 ただいまの御質問にお答えいたします。結核患者の問題については、非常に困難な問題がございますが、今までの状態と申しますと、一昨年の暮れに、予備隊の隊員の三百九十三名と思いますが、ちよつと数字は今はつきりいたしませんが、それくらいの数の隊員を一時退職させまして——それは結核患者でありましたが、それを復職させまして、八箇月間そのままの給与を支給して、月六千円療養費を見る、そうしてその経過によつて、健康にもどつた者は予備隊勤務に復職させるとか、予備隊勤務に耐えない者は退職させるとかいう線で、第一次の予備隊の措置がとられたのであります。その当時予備隊の共済組合関係の諸法令、あるいは災害補償関係の諸法令の適用がなかつたためにとられた、やむを得ざる臨時の措置であつたかと存じます。その後いろいろな点から検討されて、現在公務員の補償その他に準ずる取扱いを、医療補償、災害補償についてとられるようになつております。現在のところ予備隊の結核患者の気胸療養、自宅療養を認めておりますのは、感染の危険を認めない、自宅に置いてもさしつかえないという軽症患者に限つて自宅療養を認めております。但し、こちらの方で重症と認められる者、特に自宅療養を認めがたいという者を、全部外部の結核療養所、あるいは結核病院にお願いするということができませんので、やむを得ず、ごくわずかではありますが、予備隊の休養室に隔離収容しておる者がございます。これははなはだ残念なことでありますが、やむを得ず現在の結核患者の状況からそういう措置をとつております。現在入室、入院あるいは自宅に帰つております者については、全部給与を支給しております。これは正常勤務に出でおる者と同じ給与でございます。まだ休職扱いの措置は、現在のところとつておりません。
  68. 岡良一

    ○岡(良)委員 御存じのように、長い経過の病気でありますので、これは未復員者給与法などで、未復員軍人が内地に帰りましてから三年間は、国の責任において療養することになつております。まだ店開き早々の予備隊でありますから、現在のところは現行の給与を支給するといたしましても、病気が長くなつた場合には、やはり問題が起つて来ると思いますが、そういう点については、何か具体的な御研究なり、案がありましようか。
  69. 須江杢二郎

    ○須江説明員 それについては、現在予備隊の処置は一般公務員に準ずることになつておりますので、公務員の休養期間二箇年、あるいは結核療養三箇年の医療給付を認めるという線を準用されるように努力いたしております。
  70. 岡良一

    ○岡(良)委員 最後に一点ですが、結核患者はふえつつある状況にあるかどうかという点、それから目宅療養と予備隊内の保養所のようなところに隔離療養しておる現在員、それと療養所等に委託をしておられる結核患者の数をあわせて承りたいと思います。
  71. 須江杢二郎

    ○須江説明員 十二月一日現在でありますが、外部の病院に入つております者、及び予備隊内にいる者の数、及び昨年の十一月に結核療養所を開設いたしまして、それに入つている者の状況を申し上げますと、入院している者二百十一名、予備隊の医務室つまり予備隊の中の休養室に隔離収容している者が二十七名、自宅療養を許しておりますのが八百四十七名ありまして、合計千八十五名が結核患者でございます。  結核患者の発生状況は、外部の集団的な発生率から比較いたしますと、最近は減少の傾向にございます。それは予備隊入隊以来、体格検査を三箇月ごとに定例の身体検査、集団検診をいたしまして、早期発見、早期治療に努めております関係その他によりまして、だんだん減少を来しております。ことに初期の隊員募集の際には、身体検査について、必ずしも手を尽されておつたとは言えないと思いますが、昨年の隊員募集の際の身体検査では、結核に対するレントゲン診断その他の措置を講じまして、なるべく結核患者の入隊を防ぐという手段を尽しておりますので、現在のところ、次第に減少しているのではないかと思われます。これが結核の長期療養という特徴から申しますると、二箇年の在隊期間を過ぎて、一応退職した者の療養まで見て行くことになりますど、当然累積して参りまして、予備隊としても見てやらなければならない、また見る責任を持つ患者数が年々ふえるじやないかと思われます。
  72. 苅田アサノ

    ○苅田委員 関連して二、三お聞きしたいと思います。委託患者として出されております先は、大体国立病院なり療養所なりだと思うのですが、いかがですか。もしそうであれば、どこの療養所なり病院なりに、何名入つているかということを、大体お知らせ願いたいと思います。もしただいま御返答できなければ、後刻資料として出していただきたいと思います。
  73. 須江杢二郎

    ○須江説明員 自宅療養と申しますのは、大体入院しておる者はほとんどないのでございまして、今予備隊の宿舎の設備が、はなはだまだ完全でないと申しますか、不完全な設備しかないところが多いのでありまして、集団生活をいたしております関係上、休養させるのにも十分な余裕がない。そのためにやむを得ず、自宅に帰して休養させ、通院させて加療しているという状況でございます。自宅療養では入院しておる者はほとんどございません。
  74. 苅田アサノ

    ○苅田委員 それでは先ほど八百四十七名と言われたのは、私は委託で入院させているというふうに聞いたのですが、これは自宅の誤りですか。
  75. 須江杢二郎

    ○須江説明員 自宅でございます。
  76. 苅田アサノ

    ○苅田委員 そうしますと、入院しておるのは、国立へ委託しておるのも含めて二百十一名というふうになると思いますが、これは、私どもの方にいろいろ来ております調査とは、たいへん違つておるように思います。現在二百十一名というのは、これはただいま、十二月一日の御調査だとおつしやつているのですが、私の方で聞いておりますのでは、たとえば九州の川棚、長崎の国立病院に三百名くらい入つているということも、正確ではございませんが聞いておりますので、そういう点で、非常に私どもが聞いておるのと違つておるというふうに思いますが、この点いかがでございましようか。
  77. 須江杢二郎

    ○須江説明員 ただいまおつしやられましたように、多数の者を国立病院なり国立療養所なりに入院させていただきますと、たいへん私どもの方としてはうれしいのでございますが、今御承知のように、結核患者と申しますと、大体早いところで二箇月、長いところで六箇月以上たたないと、国立病院でも国立療養所でも入院ができないというのが、日本の大体の各地の状況ではなかろうかと思われます。それで予備隊員だけが優先的に入院取扱いをしていただくということは、できかねるような状況でございまして、非常にやむを得ない者だけ無理やりに頼み込んで、辛うじて二百十一名の入院をお願いしておるという程度でございます。よそからいろいろなことで誤解が生ずるおそれがあると申しますのは、予備隊の者が、制服で入院なり、あるいは患者のお見舞に行つた場合、目立つために、非常に過大に見積もられたり、言われたりすることがあるのではなかろうかと思います。私どもの統計は正確なものでございまして、決して間違つた数字を申し上げておるわけではございません。
  78. 苅田アサノ

    ○苅田委員 それでは後ほど二百十一名の国立の病院なりあるいは国立の療養所に入つております者を、企業別にお出し願いたいと思うのです。二百十名というのは、国立に入つておるわけではないのでありますか。
  79. 須江杢二郎

    ○須江説明員 全部国立ではありません。
  80. 苅田アサノ

    ○苅田委員 国立に入つて、今委託している患者は、何人くらいありますか、それを聞きたいのです。
  81. 須江杢二郎

    ○須江説明員 これはただいま手元に資料がございませんので、あとで御報告させていただきたいと思います。
  82. 苅田アサノ

    ○苅田委員 私どもはしばしば、国立病院に対しまして、非常に強腰でもつて入院を要求せられる、こういう話を聞きます。それから、中には、実際病院のベットが、そういうことのために非常にふさがれて困つている。たとえば長野の療養所あたりは、そういうことのための陳情が国会の方にはあるわけでございます。そこでただいまのお話では、非常にわずかしか国立に入つていないというお話ですが、その点につきまして、もう少し正確にお話願います。
  83. 須江杢二郎

    ○須江説明員 二百十一人の入院患者があるわけであります。八百何本名は自宅で療養しております。二百十一名の患者は、そのうちの何人かが国立病院にお願いして入つておりますし、そのほかは県立病院とか、私立の病院とか、そういう病院に分散して入れておるわけであります。先ほどから、長野の方で三百名とかなんとかいうのは、お間違いじやないかと思います。
  84. 苅田アサノ

    ○苅田委員 私どものところに来ました資料につきましては、さらにこれはどのくらい正確であるかということは調べますが、また警察予備隊の方でも、さらにその点につきまして、誤解を招いているのでありますから、どういうふうに実は分布されているのかということを、後刻資料をお出し願いたいと思うのです。  それからいま一つお聞きいたしますが、地方の病院には、納得ずくで話をして、決して強制的ではないというお話があつたのですが、私どもの方に訴えられているところによりますと、たとえば松本の国立病院では、進駐軍が参りまして、入院させろということを強要しているというふうな事実もあるわけです。こういう点につきまして、これは予備隊としての御方針かどうか。もし方針と違つていれば、今後こういう事件に対しては、厳重に取締つていただけるかどうか、この点もひとつ御答弁願いたいと思います。
  85. 江口見登留

    ○江口政府委員 初期におきましては、各営舎についておりまするアメリカのアドヴァイザーが、いろいろとめんどうを見てくれた時代もございます。そのめんどうを見る一つの例として、直接アドヴァイザーが松本の病院などに行きまして、入院をさせてもらえないかという話は、したことがあるかもしれません。私詳しいことは聞いておりませんが、しかしそういうアドヴァイザーの言うことが、すべて正しいものとも考えられませんし、事実病院の方で収容力がない、一般の患者を扱うにも困つているという事情もよくわかりますれば、予備隊としましては、何もしいて割込もうという権限も何もないのでございますから、予備隊独自の立場においてお願いすると同時に、病院自体の立場においてお断りいただけばいい、こう考えております。
  86. 苅田アサノ

    ○苅田委員 ただいまの御答弁のように、ぜひお願いしたいと思うのです。私どもの方には、いろいろ国立の病院に従事しておる人、あるいは入院しておる人たちの方から、そうした予備隊のために、ほんとうは非常に手狭になつている病床が、さらに圧迫されて来るというふうな危険が、非常に訴えられておるわけなんで、この点は、もちろん警察予備隊の人も日本国の青年でありますから、こういう人たちも、十分めんどうを見なければならないのでありますけれども、やはりこれは予備隊として出ております十分な予算があるわけですから、この予算の中から、そうした患者の取扱いに十分なだけの施設を持たるべきであつて、それでなくても非常に狭隘で困つております民間の病院に対しまして、強制的な処置をとつて、入院を割込ませるというふうなことは、やはりこれは一般国民の感情から見ましても、非常におもしろくないことなんで、そういう点は、もし今までなかつたとすれば、非常にけつこうなわけでありますが、今後さらに予備隊は増員されるという計画もありますので、こういう点について特に私はお願いしたいのです。  さらにもう一つ、私はこの点だけお願いしておきたいと思うのです。それは御承知でもありましようが、北海道の美幌の海軍航空隊の跡に、せつかくいろいろ苦心してできました美幌の療養所が、予備隊の兵舎として接収されたという問題で、当時非常に騒がれたと思うのです。今度増員計画に従いまして、そういうような無理なことができないように、重々予備隊の幹部の方で御配慮ありたいということを、特にお願いしておきたいわけであります。
  87. 江口見登留

    ○江口政府委員 病院として、予備隊に割込まれるのは非常に困るという病院もあろうかと思いますので、そういう際においては、やはり病院の経営ということもありまして、その見地からしかるべく御判断になつて、断られる場合は断られてもやむを得ないと思いますが、むしろ病院によりましては、予備隊の隊員を歓迎するというのは、払いが明確であるというようなことから、ちやんときまつた点数によつてお支払いしておるというようなことで、経営の面からいつて歓迎する病院もあるということを、御了解願いたいと思います。  それから美幌の問題につきましては、もちろん病院施設であつたものを他に移つていただいて、そこへ予備隊が入つたのでございますから、これはやはり厚生省と十分連絡をとりまして、厚生省の了解のもとに、結核病床などの数を減らさないで済むように、予備隊からは、たしか六千万円だつたと思いますが、別に病院施設をつくるための経費を厚生省側にお渡ししまして、了解を得た上であの病院施設を営舎に流用したのであります。そういう例もございますから、御説の通りに十分注意いたしたいと思います。
  88. 大石武一

  89. 松谷天光光

    ○松谷委員 ただいままでの御説明のうちで、結核の発生患者に対しては、大体八箇月間の療養期間のめんどうを見られ、そしてその後の処置をとられたというお話でございました。隊が創設された当時は、おそらく結核の問題が、隊内でも相当問題であつたと思いますし、私どものところへも多くの陳情が来て、これは個人的にお願いに上り、また問題の処理をしていただいた点もあつたのでございますが、その八箇月間を経て、そちらから退職をさせた者は、今日までに総員何名でございましようか。
  90. 江口見登留

    ○江口政府委員 八箇月療養させて、復職できる者は復職させ、とうてい予備隊員として耐えられないという者につきましては退職してもらつた例はございまするが、これは一昨年におきまする臨時的な措置でございます。一昨年の夏に急遽七万数千人の者を入れました際、多数の応募者がありましたために、厳格な身体検査を執行する余裕がなかつたのであります。一応健康だと認められておる者を予備隊に収容いたしまして、収容直後ただちに厳密な検査をいたしまして、結核かいなかを判定しようと思つておりましたところが、先ほど申しまするように、その方の医官も十分におらず、施設も整わず、そのために秋になりまして、やつと全隊員につきましての検査が施行されたのであります。その際にやはり一応健康であろうと認められて入隊させた者の中からも、かなりの結核患者が出ました。しかし、これは一般の公務員と違いまして、二年間の任用期限で採用されて参つた者でありまするし、今申しまするように、結核患者は、大体においては入隊する以前から結核に感染しておつたものだということが認められますので、それを一般公務員並に、あと数年間も予備隊でめんどうを見るということも、どうも予備隊自身の仕事ではないのではないか、これは一般の国民医療をつかさどつておる見地から救済していただくのが至当ではないかというふうにも考えまして、しかし、ただちに退職を命ずるということも、はなはだ酷でありますので、それでは爾後八箇月間は療養をしていただく、その間は月額六千円までの療養費も支給することにいたしまして、臨時的な措置といたしまして、八箇月をもつて復職させるか退職させるかをきめたのでございます。その後は、入隊するにあたりまして——去年の暮れにも約一万人近くの者を補充として採用いたしましたが、これらにつきましては、厳格な検査を執行した上で入隊させておりますので、これらが入隊後もしも発病いたしますれば、入隊前には感染していなかつたものだということが、一応認定できるかと思います。これらにつきましては、できるだけ一般公務員に準じた待遇を、今後も続けて行くことになりますので、これらの者が八箇月で進退を決せられるということは、今後はございません。
  91. 松谷天光光

    ○松谷委員 ただいまの御説明で、臨時的な処置だとおつしやつたのでございますが、その点確かに臨時的な処置をおとりになつたのであろうと思うのでございます。しかし、その場合、ただいまの御説明にもあつたのですが、一応その臨時的な処置をとられた者たちは、入隊前から感染しておつたのではないかという御見解でございますね。これは私の伺つておりますところによりますと、その初期の入隊者も、一応とにかく隊の責任ある医官によつての検査を受けられ、入隊されたのでございまして、それがいかに粗漏であつたかということは、創設当初でございますから、あるいは現実問題としてはあるかもしれません。しかし一応の建前といたしましては、やはり隊の医官によるところの身体検査を受けて入つて来られた。隊の方とされては、多くの応募者の中から、一応健康であるという認定のもとに入隊させられた。それがたまたま不幸にして検査の粗漏であつた点から、かつての疾病者もあるいは入隊しておつたのかもわかりませんけれども、しかしそれだからといつて、これをそのまま放置するということは、私はあまりに無責任な御態度ではないかと思います。これは患者の立場になれば、そういう意見はより多く出ざるを得ないと思うのでございます。その場合に、今後発病いたした者については、公務員並のおとりはからいをなさる、これは了解できるのでございますが、その臨時的な一つの処置を受けた方々が、一体八箇月の間、一応月六千円の待遇を受けて、そのまま退職を命ぜられ、退職した者については、その後の処置というものは全然なかつたのかどうか、その点も伺わせていただきたいと思います。  それから先ほどもお願いいたしましたが、退職いたしました総員を伺いたと思います。
  92. 江口見登留

    ○江口政府委員 確かに一昨年の秋、そういう重大な問題を引起しましたことは、まことに恐縮に存ずるのでありまして、私どものところにも、実にお気の毒な隊員が参りまして、何とか続けて勤務させてもらいたいという、ほんとうにお気の毒な申出もしばしば受けたのでございます。何しろ七万数千の募集ということが、非常に緊急の必要性を持つておりました関係上、しかも予備隊自身でまだ医官を持つていない時分でございましたので、一応身体検査には民間の医者を嘱託して当つていただいたのでございます。もちろん予備隊が嘱託したのでございますから、責任は予備隊にあると言われれば、その通りでございますが、われわれは、その嘱託した医者の御経験なり御手腕なりを信頼申し上げて、検査していただいたのでございますので、一応は健康な方だと思つて入れたところが、先ほども申し上げました隊内における検査で、実は結核が出て来たというようなものも、相当数発見いたしたのであります。  それからこれはりくつになつて、はなはだ恐縮でございますが、予備隊に入りまする前には——これは一般公務員も同じでございまするが、六箇月以内は仮採用期間というものになつております。その間に、健康上あるいはその他の能力の上から申しまして、長くその地位につき得ない公務員ということが認められます場合には、退職を命ぜられることは、一般の公務員におきましてもそうなつておるのでありまして、そのことは予備隊員におきましても、六箇月の間試みに勤務してみて、心身の故障のために長く勤務できないという者につきましては、これは退職させられても、一般公務員と同様やむを得ないものだということを承知の上で入つたものだとわれわれは考えております。たまたま結核などと申しまするものは、自覚症状がなければわからないので、本人に責めがあるということを申し上げることもできないかと思いまするが、その意味におきまして、まあ六箇月くらいの検査でそういうことが発見されたのでございますから、退職してもらいたい。しかし、それははなはだお気の毒であるから、八箇月間は全給料を支給して、そのほかに最高月六千円までの療養費を持とうということで、臨時的にこの措置をつけたのでございます。その人数はただいま手元にございませんので、後ほど御報告申し上げることにいたしたいと思います。
  93. 松谷天光光

    ○松谷委員 いろいろ申し上げたい点もございますが、議論にもなりますし、また別の機会を得て、ひとつ懇談させていただきたいと思います。  それから私の聞き違いであつたかと思いますが、ただいまの最後の御説明で、八箇月間は俸給を支払つた上に月六千円の療養費を出された、そうなのでございますか。私は俸給を含めて六千円というふうに伺つていたのですが……。
  94. 江口見登留

    ○江口政府委員 いや違います、俸給の以外に六千円でございます。
  95. 松谷天光光

    ○松谷委員 それではその総数を、後ほどでけつこうでございますから、ひとつ出していただきたいと思います。その方々は全員が六箇月以内に発見されたものか、あるいはそれ以後に発見されたものがもしも含まれておるといたしますれば、その差もひとつ明瞭に伺わせていただきたいと思います。
  96. 大石武一

    大石委員長 午前中の会議はこの程度にとどめまして、午後二時まで休憩いたします。     午後一時三十一分休憩      ————◇—————     午後二時四十三分開議
  97. 大石武一

    大石委員長 休憩前に引続き会議を再開いたします。  ポツダム宣言受諾に伴い発する命令に関する件に基く厚生省関係命令措置に関する法律案を議題といたします。  別に御質疑もないようでありますから、お諮りいたしますが、本案の質疑は終了したものと認めるに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  98. 大石武一

    大石委員長 御異議なしと認め、本案の質疑は終了したものと認めます。  次に本案の討論に入ります。通告順によりまして岡良一君。
  99. 岡良一

    ○岡(良)委員 ポツダム宣言受諾に伴い発する命令に関する件に基く厚生省関係命令措置に関する法律案に関しては、単に厚生省のみならず、日本が独立をするというその大きなスタートラインに立つて受諾に伴い発する命令に関する一切の法規は、あらゆる省を通じてこれは一応廃棄さるべきものであるというのが、私の考えであります。しかしながら、実際問題といたしまして、これとともにまた復活しなければならないという二重の行政的な複雑さを避ける意味において、この受諾に伴い発する命令に関して、厚生省関係命令についてもまた特に考慮を要するものがあろうと思いまするので、一応そういう前提から、今度御提出になりました案件については、私は日本社会党の立場から賛意を表するものであります。  しかしながら、特に引揚援護庁設置に関する問題でありますが、この点は先ほど来の質疑を通じても、一応明らかになつた問題でありまするけれども、われわれは、遺族あるいは傷痍軍人に対する援護の新しい法律ができるならば、この法律を施行する行政官庁として、あるいは特別未帰還者給与法なり夫復員者給与法なり、その他戦争犠牲者に対する生業資金なり、職業補導なり、住宅対策なり、総合的な戦争犠牲者に対する諸種の国家補償事務を担当する諸官庁としての機構設置さるべきことを、われわれは要求するのでありまして、そういう点から、たとえばこの設置令第二条にうたつてあるような、旧陸海軍復員業務、こういう業務は至つて縮小されておることは、政府御存じ通りであろうと思う。あるいは第六条における復員局業務のうちでも、特に四、五の事項のごときは、もはやほとんど意味をなさないものになろうとしておるのでありまして、こういう点も指摘するまでもないのでありまするから、政府はすみやかに厚生省設置法を改正いたしまして、未復員者給与法、特別未帰還者給与法、並びに傷痍軍人遺族に対する援護の諸法律、こういう法律に基くところの戦争犠牲者に対する援護ないし国家補償のための行政官庁というように機構を大幅に改革せられまして、その法律に基く事務を主管し、人的構成をも十分考慮せられて、名実ともにその遺憾なきを期するがごときすつきりした改革をしていただきたいということを、強く念願するのであります。  また行政機構改革の声とともに、労働省や厚生省の統合等の問題も起つておりまするが、こういう行政簡素化の方向は、わが国における厚生行政をむしろ大幅に圧縮しようとする事態を起すことをわれわれは十分懸念いたしまする関係からも、この点に関しては存置を認めるが、以上申し述べましたような内容ないしその人的構成においても、新たにふさわしいものに切りかえられることを強く要望し、それを条件といたしまして、この御提出の案件には賛意を表する次第であります。
  100. 大石武一

  101. 苅田アサノ

    ○苅田委員 日本共産党は、ポツダム宣言受諾に伴い発する命令に関する件に基く厚生省関係命令措置に関する法律案のうち、引揚援護庁設置令に対して反対いたしております。私どもが引揚援護庁設置令に反対する理由は、設置令のできた二十三年当時には、海外残留者の引揚げ援護に関して、ういう特別な外局の必要であつた理由も——ここで何が実際になされたかということは別といたしましても——考えられるわけなんでありますが、ところが現在は、海外残留者は七万人余りを残して大部分の引揚げを完了しているのでありますから、今後の引揚げは、対等な国際関係の中で、主として外務省所管のもとに行われることが当然であります。かつ、午前中の政府答弁によつて見ましても、従来とも外務省引揚げ促進のことをやつていたということであれば、なおさら特別に引揚げ促進のための局を置くという理由はないと思うのであります。外務省の重要な任務の一つとして、今後は中国地区その他の引揚げ促進、その実行のために十分な予算をとつてつてもらいたいということは、私どもの希望であります。設置令の各条項を検討してみましても、その他の部分を検討してみましても、長官次長、局長を置いて、そういう大きな門構えでやらねばならないような特別な仕事はない。むしろその中には、復員局のような、引揚げとは特別関係のない、また他の部署でも十分やり得る局があるのであつて、しかもその中の責任のある地位に、旧日本軍隊の中枢に参加した覚書該当者追放軍人を充てて、仕事をやらせておる状態であります。しかもその仕事は、他の文官ではわからないと言つておるのでありますが、文官がわからないような仕事というものがあること自体今日問題であり、それを旧軍隊の幹部がイニシアチーヴをとつてつておるところに、今日、再軍備の震源地が復員局だと一般に見られるようなことが生れるのであります。また在郷軍人の下部組織が、こういう機関を通して進められておるというような印象を外部に与えておるのであります。実際私どもが見て、何が行われておるか、大きな疑問を持つておるわけであります。今日一方では、なお海外に残つておる同胞の引揚げを、できるだけすみやかに行うという問題があるわけでありますが、これはさつき申しましたように、外務省の管轄下で十分やり得るのであつて引揚者の生活の援護の問題が、今度は、非常に大きな問題になるのであります。これは、ただ海外の引揚者だけの問題でなくて、一般戦争犠牲者の問題とか、遺族問題とか、あるいは傷痍軍人の問題と同様な大切な問題であります。このためには、厚生省の中の社会局なり、あるいは特別の局なり課なりを設けてやるべきであつて引揚援護庁のような、再軍備の伏魔殿のようなものを包蔵しておるものをそのままここで承認することに対しましては、私どもは反対を表明せざるを得ないのであります。  以上が私どもの反対理由でございます。
  102. 大石武一

    大石委員長 以上で討論は終局いたしました。  ポツダム宣言受諾に伴い発する命令に関する件に基く厚生省関係命令措置に関する法律案を表決に付します。本案を原案の通り可決するに賛成の諸君の御起立を願います。     〔賛成者起立〕
  103. 大石武一

    大石委員長 起立多数。よつて本案は原案の通り可決いたされました。  なお議長に提出する報告書の作成その他に関しましては、先例により委員長に御一任願いたいと存じますが、そのように決するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  104. 大石武一

    大石委員長 御異議なしと認め、そのようにいたします。     —————————————
  105. 大石武一

    大石委員長 次に、引揚援護庁長官に対する質疑の発言を求められておりますので、これを許可いたします。岡良一君。
  106. 岡良一

    ○岡(良)委員 午前中にも少し触れたのでありますが、引揚擁護庁の木村長官にお伺いをいたします。  まず第一に、もしあなたの下僚に、覚書該当者でありながら政治に参画をする者があるといたしました場合に、あなたは監督にある立場において、いかなる処置に出られる御決意を持つておられるかということを、一応一般論として聞いておきたいと思います。
  107. 木村忠二郎

    ○木村(忠)政府委員 覚書該当者が政治に参画してはならないということは、申すまでもないことでありまして、われわれの監督の下にあります職員にいたしまして、そういうものがございましたならば、それに対しましては、適当なる処置をとらなければならぬと思つております。
  108. 岡良一

    ○岡(良)委員 おとなしい木村さんのことですから何ですが、もう少し大きな声で勇敢にお答え願いたいと思います。これはかつて週刊朝日にも掲載されて、広く世間にも読まれておりますし、数週間前にも読売新聞に数段抜きで取扱われております。きのうきよう二日間にわたつても、読売新聞が取上げております。この点についてお伺いしたいのですが、きのう、きようにわたつて連載されております読売新聞の記事は「生きかえる参謀本部」という表題のもとに出ております。この記事の中には、両日とも、あなたの下僚の方方名前がはつきり出ており、しかもこの方々が、生きかえる参謀本部の中心的な役割をしておるということが報道されております。このきのうきようの読売新聞の記事を、長官はお読みになつたかどうか、この点を質問いたします。
  109. 木村忠二郎

    ○木村(忠)政府委員 読売新聞の記事は、確かに拝見いたしました。
  110. 岡良一

    ○岡(良)委員 それではこういうことが、きのうきようの読売新聞だけではなく、すでに二箇月前の週間朝日にも、また数週間前の読売にも、やはりあなたの下僚が生きかえる参謀本部的な中心人物であるという報道がされておりますが、こういう報道に対して、かつてあなたは部内の当事者について、また関係者について、御調査をされたことがあるかどうか。もし御調査をされたとするならば、その結果としてどういう御報告を得られたか、この点を伺います。
  111. 木村忠二郎

    ○木村(忠)政府委員 この点につきましては、その当人に対しましても、またこれに関係いたしておりまする人々に対しましても調査をいたしましたが、現在までのところ、そういう事実がないというふうに私は考えております。
  112. 岡良一

    ○岡(良)委員 現在までのところそういう事実がないということは、その当事者のあなたに対する御返答であつたのか、それともそういう事実について、当事者のみならず諸般の事情を御調査の上での結論でありますか。
  113. 木村忠二郎

    ○木村(忠)政府委員 当事者並びに関係者に対しましていろいろ聴聞をいたしました結果、現在までのところそういう事実はないというふうに私は考えております。
  114. 岡良一

    ○岡(良)委員 そういう事実がないということを、長官としては確認をされたということでありまするが、そうなりますると、事は単純な汚職の問題よりも、ある意味においてはもつと大きな波紋を描き得る問題でもあり、特にまた覚書該当者が、再軍備といえば、これは国の一切の政策と予算関係する問題でありますが、そうい問題に関する具体的な企画に参画しておるということについて、調査をしたけれども、そういう事実がない。そうすると読売新聞に報道され、週刊朝日に報道されておつた記事は、事実無根であると長官は考えられるか。もし事実無根であるならば、事がこれだけの大きな問題であるだけに、厚生省としても、しかるべき処置をとられることは当然なことと思うのですが、かつてそういう処置をとられたかどうか。あるいはきのうきよう連日にわたつて出ておるこの「生きかえる参謀本部」なる記事については、いかなる処置を講ぜられようとせられるのか、その点を承りたい。
  115. 木村忠二郎

    ○木村(忠)政府委員 現在まで私の調査いたしましたところでは、事実そういうことはないというふうに考えております。これにつきましては、今後も十分調査いたしたいというふうに考えております。
  116. 岡良一

    ○岡(良)委員 であるから、もしないならば、この天下の大新聞である読売新聞に五段抜きで出ておるのですが、こういう大きな記事に対して事実がないと言う以上、これはプレス・コード違反であるから、その点についても、厚生省としては責任ある処置を具体的にとらなければならないと思うのですが、とるとすれば、どういう処置をとるかということです。
  117. 木村忠二郎

    ○木村(忠)政府委員 その点に関しましては、今後も十分調査をいたしました上で、確かにそういう事実がないということが断言できる——と申しますのは、われわれとしましては、調査しますことにつきまして、どうしても仕事に限界がございます。従いまして、現在までのところ、新聞に書いてありますことがどの程度の根拠で書いておるかということもわからない状態でございますので、ただちにこれに対しまして抗議を申し込むということは、きわめて困難でございます。ただわれわれといたしましては、現在までそういう事実がないということを、今のところ信じておる、こういうことを申し上げます。
  118. 岡良一

    ○岡(良)委員 問題は、たとえば旧軍人諸君が、太平洋戦史編纂のために参画しておるとか、あるいは軍事的な必要から、プライベートに、あるいは総司令部のセクシヨンの中で、いろいろな戦略面において、いろいろ陸軍の計画を参考等に言うておる、こういうことならば別な問題なんです。しかし、たとえば岡崎国務大臣のもとにおいて、公式な発令のない者が委員会のようなものをつくつて、こういうような計画を準備しつつあるということは、これは天下周知の事実であり、私自身も証拠を持つておる。そういう点について、なお調査をしてと、こうおつしやいますが、それでは、これは重大な問題なので、日限を切つてもらいたいと思うのだが、はつきりとした調査をいつなさるか。その調査の結果は当然われわれに文章でご報告を願い、また調査の結果において、とるべき処置が生まれにならば、これをとるということにして、おとりになる意思があるかどうか。この点について、もう一ぺん長官の御答弁を承りたい。
  119. 木村忠二郎

    ○木村(忠)政府委員 私至つて政治にうとうございますので、調査をどういうふうな方法でやつたらいいか。つまり表において私が当る限度において調査をすることはできますけれども、それ以上、私は警察権を持つておりませんので、個人の私行につきまして、どこまで探ることができますか、私どもとしては、何ともお答えのしようがありません。従いまして、私どもといたしましては、役所の職員といたしまして不都合なことがあつたかどうかということについては、十分究明したいと思いますが、何日までに、そういうことは絶対にないときれいにするということは、ちよつとここで申し上げかねます。
  120. 岡良一

    ○岡(良)委員 問題は、取扱つておる問題が日本の再軍備という問題であること、いま一つは、それに参画しておる者が覚書該当者であるということ、そしてその覚書該当者でこれに参画しておる者が、あなたの下僚であるということであります。これについては、長官としても、その職責上重大なる責任があろうと思うのであります。これはおつしやる通り、なかなか実体をとらえることは、政府部内のあなたとしては困難かもしれませんが、しかし、それにいたしましても、あなたはあなたの職責上、かりにいろいろな圧迫があつても、それをはね返して、すつきりした、やはり戦争犠牲者援護中心とする引揚援護庁というものにして行くというわれわれの希望にこたえて、明確な調査をできるだけ早くせられること、そしてまたその責任については、これまたはつきりとした処断をとつてもらいたいということ、この点を強く要求しておきたいのであります。またわれわれの方としても、多少の資料は持つております。人の名前も、人の数も、いつ、どこそこでということもわかつておりますが、これはさらに厚生大臣に対して一応お伺いして、その所見を承りたいと思いますので、一応長官に対しては、この程度で打切つておきます。
  121. 苅田アサノ

    ○苅田委員 午前中の質問で御答弁は得たのですけれども、今度復員局において、連合国軍の要求に基く調査事項等がなくなり、また旧陸海軍の残務整理といつても、大した用事がなくなつたような印象を受けたのですけれども、長官の御意見として、現在の復員局をそのまま置いて、つまりこれだけの仕事を、こういう門構えの中でしなければならないというようなお考えを、やはりまだ持つておいでになりますかどうか、その点を承りたいと思います。
  122. 木村忠二郎

    ○木村(忠)政府委員 現在復員局でやつております仕事のきわめて大きな部分を占めておりますのは、御承知通りに、留守家族に対しまして、現在まだ帰つておらない人たちの動静につきまして、できるだけ新しい資料をもつてこれをお知らせして、留守家族の方に御満足いただくことが非常に大きな仕事でございます。現在の復員局仕事といたしましては、そういうような非常にめんどうな仕事をいたしております。これにつきましては、現在きわめて資料が少い状態にある際に、その少い資料の中から、できるだけはつきりしたものをとらえなければならぬ、これはなかなか困難な仕事であります。これにつきましては、適切な資料を提供する者がございますれば、きわめていいのでございますけれども、現在資料を得ますためには、向うから帰つて来ました人々につきまして、一々当つてこれを調べなければならぬということで、非常にむずかしいことになつております。これには非常に長い期間にわたりまして、困難な仕事を現在いたしております。しかも、この仕事に従事しております者の数は、逐次減つてつております。減りますに従いまして、仕事のむずかしさは逐次増して参つておるのであります。従つて、こういう仕事がうまく行きませんと、遺族援護につきましても、留守家族の援護につきましても、十分なことができないということになるのであります。現在御承知通り外務省で発表しておりますところの数字の基礎になるような調査をいたしておりますが、そういう調査をする仕事というものは、非常にたいへんな仕事でございまして、現在そういう意味でもつて、逐次復員局は縮少されつつありますけれども、今ただちにこれをやめてよろしいという結論までは、まだ達しておらないわけでございます。
  123. 苅田アサノ

    ○苅田委員 まだ海外に残留しておる人たちの調査仕事というものが大きな仕事であるということは、よくわかるのですが、私はやはりその仕事の仕方自体が、今の復員局のやつておることが適当であろうかどうかということも、問題だろうと思います。実際のお話をしますと、岡山県の勝田郡飯岡村という所で、村議会を通じて私はお聞きしたのですが、ここで残つている未復員者と、それから吉野村という所に残つている未復員者とが重複していたということが、調べてもらいましたらわかつたわけです。だからこういうことは、復員局の中だけでやつているということ自体が、非常に仕事を遅らせておるので、やはりこういうことは、一般にもう少し公開的にやつて、そうして地元の人たちの協力を得てやるということが、私はほんとうに仕事促進させる一番重要なやり方だと思います。それを今まで通りやり方で、何人か、やはり相当の人がいなければできないでしようが、そういうことをやつておるから、こういう何か軍人の専売特許みたいなことになるので、私はそういうことをやめられて、もつとほんとうに効果的に仕事をやられる方法というようなことを考えられれば、あなたのおつしやつたようなことも、もつと促進して、やがてそういう軍人をたくさん使わなければできないというようなこともなくなるのではないかと思いますが、そういう点についてどうでしようか。
  124. 木村忠二郎

    ○木村(忠)政府委員 調査の方法等につきましては、だんだんとその調査やり方等につきましても精密の度を加えて来まして、だんだんこまかい、いい方法をとるように逐次なつて来ております。そういたしますと、現在非常に減つおりますけれども、だんだん能率的にやつて来ているという状況でございます。御説のございましたように、各方面の協力がなければならぬということは、言うまでもないことでございまして、これにつきましては、常に文書あるいは会同等によりまして、いろいろな人を集めまして、それと協議と申しますか、情報を集めながらやつておるわけであります。従いまして、これにつきましては、復員局の中だけでこそこそやつておるということではないのでありまして、各方面と連絡をとりながらやつておるのであります。もちろん復員局の中でいくらやつても、全体がわかるということではないのでありまして、各方面の協力を得なければならぬということは、同感でございまして、われわれといたしましても、そのようにやつておるつもりであります。
  125. 苅田アサノ

    ○苅田委員 ちよつと本筋からはずれるかもしれませんが、問題が重大なのでお聞きしておきたいのは、そういたしますと、これは氏名を発表しないのだということで、正面から行くと、なかなか知らせてもらえませんのです。県の世話課におきましても、それから市町村におきましても発表しないのですが、発表しないということでは、協力しようと思つても、協力の仕方がないので、これを公表するということが、この事態を促進させる根本になると私は思うのですけれども、なぜこれができないのですか。
  126. 木村忠二郎

    ○木村(忠)政府委員 これを公表いたしますると、いろいろ問題もございまするので、われわれの方としましては、そういうようなことをいたすよりは、むしろ遺族方々、留守家族の方方に十分な御連絡をとるという方法でやるのが一番いい、従いまして、われわれの方へ出ました情報によりまして、遺族なり留守家族の方々に十分御連絡をとつておりまするし、またそちらの方へ出ました資料につきましても、やはり続々と復員局の方へも参つておるのであります。従いまして、これを公表いたしました場合に起るいろいろな弊害を考えますならば、ただ数字を公表いたしますよりも、今申しました留守家族の方々に十分連絡をとるということが一番いい、あるいは帰つた方々に連絡するということが一番いいということでやつております。
  127. 苅田アサノ

    ○苅田委員 公表した場合の弊害というのは、どういうことでしようか、その点をひとつ伺いたい。
  128. 木村忠二郎

    ○木村(忠)政府委員 最も往々にしてありまするのは、留守宅詐欺、これに濫用されるおそれが非常にあります。従いまして、そういうような意味をもちまして、この名前を出しましたために、留守宅の詐欺を行うというようなことが多い、その他いろいろあるわけです。
  129. 苅田アサノ

    ○苅田委員 留守宅の詐欺が公表しない理由だということは、私は今初めて聞いたのです。私どもは、しばしばこれを公表してはいけないという厳重な達しがあるということを、聞いておるのですが、留守宅詐欺のことでしないというのは、初めて御当局から聞いたのです。これも日本中に留守宅詐欺のことの心配があるから、やはり公表ができないというならば、たとえばそういうものに対して、何らか手を打つてこれを公表するというふうなことは考えられませんですか。ただ留守宅の詐欺の場合だけであれば、たいていその留守の様子を知つておる人が詐欺に入るのだから、人々がいるかいないかということは、別に公表しようとしまいと、詐欺をする人にとつては、そんなに大きなことにはならないと思うのですが、どうですか。
  130. 木村忠二郎

    ○木村(忠)政府委員 私の方では、留守宅詐欺が行われるということが、非常に心配でありますし、ちよつと名前が知れたために、留守宅詐欺が行われたというような事例も聞いておりますので、この名前を公表することは、あくまでも避けたいと考えております。
  131. 苅田アサノ

    ○苅田委員 その点は、ここではもうよろしいのですが、さらにお聞きしますが、復員局には百八十人もの軍人がおられるわけです。大佐二十六人、中佐四十九人、少佐六十五人といつたふうなぐあいに、佐官以下の軍人が大勢おられる。その中には先ほど申しましたように、まだ追放の解けない人も五人おるというわけですが、こういう大勢の旧軍人の幹部たちの協力を、終戦後六年七年もたつた今日なお受けなければ、そういう引揚げ援護事務ができないような実情に実際あるのかどうか、この点をお聞きいたします。
  132. 木村忠二郎

    ○木村(忠)政府委員 御承知通りに、ある人が戦死したかどうかということを確認いたしますためには、戦場の状況等を十分に聞かなければなりません。そういうようなことを聞くについては、どうしてもその言うことに知識のある人でありませんと、しろうとが聞きましたのでは、その実相がなかなかつかめない。従いまして、こういうような調査仕事は、そういうことについて十分な知識を持つた人でなければできないということから、百八十名だけ現在残つております。御承知かと思いますが、復員局は全体で千四、五百人おるのでありまして、そのうちの百八十名が元軍人であります。
  133. 苅田アサノ

    ○苅田委員 その百八十人というのは、そういう戦場の様子を聞くために雇つてある人ですか。
  134. 木村忠二郎

    ○木村(忠)政府委員 戦場の様子から、確かに戦死したかどうか、その人がどこでどういうふうになつてしまつたとか、行方不明になつたとかいう状態を聞くためには、しろうとではなかなか聞けません。軍の行動というものにつきましても、いろいろな知識がありませんと、たとえば私らでは、そういうことは聞いてもわからない、そういう知識を持つた人が聞きますれば、割合に容易に筋道を立ててそのときの状態を一応再現することができる。そういう情報を持つた人々の話を正確に理解していろいろな調査をするためには、そういう専門家を使わなければ、何ともいたし方がないという場合が多いのであります。その他いろいろな軍人の跡始末をいたしまする関係でございますので、それにつきましては、やはりその方の知識がございませんと、ただしろうとが入りましたのでは、従前の状態が全然わからないということになりますので、そういう人たちの知識を使うというのが現状でございます。
  135. 苅田アサノ

    ○苅田委員 週刊朝日など、こういつた一般の輿論を代表しておると見られるようなものの記事を見ますると、復員局に残つている旧軍人は、終戦直後、一般国民が非常な生活の苦労をなめて来まして、その間に実際自分の身の皮を通じて国際情勢なり、日本の苦しい状態なりを考えておるから、とても日本の現状では再軍備などできるものでないということは、一般に外部にいて国民と同じような生活の苦労をなめた人は、その人が専門の軍人であればあるほど、よくわかつておるはずなのに、こういう復員局の中に温存されて一切の社会の荒波から守られて残つた人たちは、一向にそういう認識がなくて、今度の再軍備中心になつておるのだということが、一般の輿論として、そういう大きな日本の代表的な報道機関などから言われているわけです。それはやはり考えなければならぬと思う。復員局で実際のそういう戦場の様子を聞くために、百八十人もの人がいるということも、ずいぶん私はおかしな話だと思う。そういうことをするためには、復員局の正式な部員としなくても、何か特別な方法があるのではないかと思います。そういう人たちを、単に引揚援護庁の中の普通一般の人たちと同じような取扱いでもつて任免をやることができるのかどうか。こういう人たちは、やはり特別な扱いをしなければならぬのではないか、そういう点をお聞きしたい。
  136. 木村忠二郎

    ○木村(忠)政府委員 現在では、別に軍人でもございませんで、厚生事務官でございますから、普通の事務官と同じように扱つておるわけであります。
  137. 堤ツルヨ

    ○堤委員 議事進行について——先ほどの岡委員新聞記事につながる御質問、それから苅田委員の御質問は、非常に大きな問題だと思います。それでこれは援護庁長官に聞いておりましても、はつきりしない点があるのじやないか、もつと責任を追究しなければならない役目を私たちは持つていると思いますので、これはまず厚生大臣を呼んで、一応このことについての質問を緊急的にこの委員会でする機会をつくつてもらう、そしてさらにわからないときは、首相の出席を求めるなりしてやらなければならない問題だと思いますから、委員長はひとつ超党派的におとりはからい願いたいと思いますが、どうですか。
  138. 大石武一

    大石委員長 ちよつと速記をやめて……。     〔速記中止〕
  139. 大石武一

    大石委員長 速記を始めて。  本日はこれにて散会いたします。     午後三時二十一分散会