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1952-02-19 第13回国会 衆議院 厚生委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年二月十九日(火曜日)     午後一時五十六分開議  出席委員    委員長 大石 武一君    理事 青柳 一郎君 理事 丸山 直友君    理事 金子與重郎君 理事 岡  良一君       高橋  等君    橘  直治君       寺島隆太郎君    堀川 恭平君       松永 佛骨君    清藤 唯七君       堤 ツルヨ君    苅田アサノ君  出席国務大臣         国 務 大 臣 岡野 清豪君  出席政府委員         総理府事務官         (地方自治庁財         政課長)    奧野 誠亮君         厚生事務官         (兒童局長)  高田 正己君         厚生事務官         (保險局長)  久下 勝次君  委員外出席者         厚生事務官         (兒童局養護課         長)      内藤 誠夫君         厚生事務官         (保險局庶務課         長)      堀岡 吉次君         厚生事務官         (保險局健康保         險課長)    牛丸 義留君         厚生事務官         (保險局国民健         康保險課長)  山本 正淑君         厚 生 技 官         (保險局医療課         長)      五十嵐義明君         專  門  員 川井 章知君         專  門  員 引地亮太郎君         專  門  員 山本 正世君     ――――――――――――― 二月十八日  新潟県下の結核病床増設等に関する請願外六件  (丸山直友紹介)(第七六九号)  同外八件(塚田十一郎紹介)(第七七〇号)  同(稻村順三君紹介)(第七七一号)  同外一件(小林進紹介)(第八三一号)  同外五件(三宅正一紹介)(第八三二号)  同外五件(田中角榮紹介)(第八五八号)  国立旭川病院存置請願佐々木秀世紹介)  (第七七三号)  戰傷病者国家補償強化等に関する請願青柳  一郎君外三名紹介)(第七七四号)  同(青柳一郎紹介)(第七七五号)  生活保護法による生活扶助料引上げに関する請  願(稻村順三君紹介)(第七七六号)  同(石田博英君外一名紹介)(第八三四号)  国立療養所における給食費増額請願稻村順  三君紹介)(第七七七号)  結核予防法による補助費増額等に関する請願(  稻村順三君紹介)(第七七八号)  連合軍の事故による被害者損害賠償金支給に  関する請願青野武一紹介)(第七七九号)  結核患者附添婦制限反対に関する請願(稻村  順三君紹介)(第七八〇号)  母子福祉法制定請願飯塚定輔紹介)(第  七八一号)  同(青野武一紹介)(第八一一号)  国立病院等地方移管反対に関する請願(永井  英修紹介)(第八一二号)  療術師法制定反対等請願圓谷光衞紹介)  (第八三三号)  らい研究所設立等に関する請願岡良一君紹  介)(第八三七号) の審査を本委員会に付託された。 同日  健康保險診療費單価値上げに伴う差額全額国  庫負担に関する陳情書  (第四九二号)  国民医療保障確立に関する陳情書  (第四  九三号)  生活保護法最低基準額引上げに関する陳情書  (第四九四号)  国立病院及び国立療養所等地方移譲反対に関  する陳情書外一件  (第四九五号)  同(第四九六号)  未帰還者及び留守家族国家補償に関する陳情書  (第四九七号)  同(第四九八号)  同外一件  (第四九九号)  同外二件(  第五〇〇号)  遺族補償に関する陳情書外二件  (第五〇一号)  傷い軍人援護に関する陳情書  (第五〇二号)  あん摩、はり、きゆうに関する現行法存続等に  関する陳情書  (第五〇三号)  同  (第五〇四号)  国立公園雌阿寒岳保存に関する陳情書  (第五〇  五号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  昭和二十七年度厚生省関係予算に関する件  兒童福祉に関する件  戰争犠牲者補償に関する件     ―――――――――――――
  2. 大石武一

    大石委員長 これより会議を開きます。  前会に引続きまして昭和二十七年度厚生省関係予算に関する件について、保險局関係予算の発言を順次許可いたします。苅田アサノ君。
  3. 苅田アサノ

    苅田委員 厚生大臣おいでになつていませんので、大臣に対する質問は、お見えになつたときに譲りまして、保險局長から御答弁願えるものをひとつ質問したいのですが、今年度の再建整備費四億何がしを、保險料徴収が七割以上のところに対しまして貸し付ける計画だというような御説明でありました。それからまたほぼ同額の奨励金にいたしましても、やはり保險料金徴收の七割以上ということが條件になつておるようでありますが、今全国国民保險に加入しておりますところにおきまして、七割以上というのが、大体全体の数の中のどのくらいありますか。実数あるいはパーセンテージがわかつておりましたら、御答弁願いたいと思います。
  4. 久下勝次

    久下政府委員 昭和二十六年度末現在を、ただいま推定をしておる数字がございますが、御参考に申し上げたいと思います。昭和二十六年度末の国民健康保險総数は五千四十五と推定をいたしております。なお数字昭和二十六年度の第四・四半期事務費補助申請書によつて集計をいたした数字でございます。そのうち徴収成績が七〇%以上になる見込みのものは四千五十七と推定をいたしております。従つて約八割に該当するわけであります。
  5. 苅田アサノ

    苅田委員 二十六年度末の推定ということも御参考になりますけれども、そういう推計でなしに、最近の御調査で確実の数字、七〇%以上の徴收があるという数字がありましたから、それの方をむしろお聞きしたいと思うのです。
  6. 久下勝次

    久下政府委員 ただいま申し上げました数字は、昭和二十五年度末、すなわち昭和二十六年三月現在の実績によりまして二十六年度の徴収比率を推算いたしたものであります。実は年度途中でもありますので、正確なことは、ただいまのところ申し上げられない実情であります。
  7. 苅田アサノ

    苅田委員 それでは二十五年度末の徴收でもけつこうですが、実数をひとつお知らせを願いたいと思います。
  8. 久下勝次

    久下政府委員 ただいま二十五年の数字を手元に持つておりませんので、さつそく取調べましてお答え申し上げます。ただ御了解願いたいと思いますのは、さつき申し上げました通り、二十六年度の推計と申しますのは、この七〇%以上の徴收を、二十五年度末にやつておりましたものから推計いたしたわけでありますので、大体比率におきましては、こういうふうに御了承願つてよろしいのではないかと思います。
  9. 苅田アサノ

    苅田委員 それではまた後刻二十五年度末の状態——大体これは比率は違わないとおつしやるから、その通りであろうと思いますが、念のためにお知らせ願いたいと思います。なぜ私がこういうことをお聞きするかといいますと、政府は七割以上を拂つておる保険組合に対しまして、そういう恩典を與えるということでございますので、今非常に保険料取立てが苛酷に行われておるという実情があるのであります。たとえばここに一つ青森県の例があるわけで、私読んでみたいと思うのですが、青森南津軽石川町では、  一月六、七、八の三日間にわたり、昭和二十二、二十三、二十四、二十五の四箇年分の国民健康保険掛金未収に対し、約三百戸の差押えを敢行しておる。馬、豚、ラジオ、モーター等を押えた。大字小金崎三上文作さんは、五千円の滞納金に対して、時価六万五千円の農耕馬差押えられるというぐあいである。これは政府が七割の保険料を拂つておるところに対しては、そうした補助金なり、あるいは恩典なりを與えるというような計画が発表された結果、未収入の、掛金を納めていない一般農民なり、住民なりに対しまして、苛酷な差押えをやつて、その料金取立てているということが始まつている実情なんでありますが、政府はこういう事情を御存じでおいでになるかどうか、まずこの点をお伺いしたいと思います。
  10. 久下勝次

    久下政府委員 私はまだその具体的な報告は聞いておらないのですが、ただ制度的に申しますと、保険料滞納につきましては、法律滞納処分もできることに相なつております。場合によりましては「やむを得ないことではないかと思います。ただ先般申し上げました通り貸付金にいたしましても、あるいは奨励交付金にいたしましても、いずれも昭和二十六年度の保険料に対しての徴收率のみを問題にしておるわけでありますから、ただいまの御引例お話は、ずいぶんさかのぼつてまで滞納処分をしておるようでありますが、それとこれとは直接関係はないともいえると思うのであります。
  11. 苅田アサノ

    苅田委員 関係はないと申しましても、明らかにこれはそういう政府の指令に応じて、どうしてもこの国保の建直しをしようということを考えている人たちとしては、こういうことを思いつくのは、私は当然だと思うのです。ただここに問題になるのは、現在そういう保険料金が抑えない事情が、單に農民の方が拂わないのだ、住んでいる人が拂わないのだということだけで、これを取立てて適当かどうかということです。私はこれは政府一般的な政策、こういう国民健康保険に対する政策の大きな矛盾が、やはりこういう面に現われているのだから、そこを矯正しないで、ただ農民が納めなければ差押えをして、しかも農耕に直接必要な馬まで差押えて、保険料をとるということが、もしもこれが全国に行われたということになれば、これはまたたいへんゆゆしい問題が起ると思います。こういう点が行き過ぎであるかどうかということについて、ひとつ責任のある御答弁を願いたいと思います。
  12. 久下勝次

    久下政府委員 ただいまの具体的なお話につきましては、私どもまだ調査もいたしておりませんので、責任のあるお答えをこの席で申し上げるのは、いかがかと思いますが、ただ先ほども申し上げました通り社会保険制度というのは、相互扶助建前でやることでもありますので、そのためにこそまた保険料滞納者に対しましては、滞納処分もできることが法律上認められております。そのやり方が具体的に苛酷であるかどうかということは、具体的な事情調査いたしませんと、何とも申せないと思うのであります。ただちに差押えしたことが悪いとばかりは申せないと思います。
  13. 苅田アサノ

    苅田委員 あなたの方の調査は、いずれ、ぜひしていただきたいと思うのですが、具体的に、保険料取立てるためにこういう苛酷な手段をやるということは、もしこれが事実とすれば、行き過ぎになるかならぬかということをお尋ねしているわけです。これは御返答できるはずだと思いますが、もう一ぺんこの点に対してお答え願います。事実であるかないかということは、あなたの方でお調べになればいいので、これは差押えをやることができるのだから、こういうことをやられてもいいかどうかということを御答弁願いたいと思います。
  14. 久下勝次

    久下政府委員 どうも同じことを申し上げてたいへん恐縮でありますが、ただいまの御引例だけのことを伺つて、私ただちにこれが行き過ぎであるというふうに即断をするのもいかがかと思います。滞納の状況にもよりましようし、あるいはまたその滞納処分をいたしますまでの督促の手続でありますとか、周囲の環境でありますとか、これはいろいろ考えてみなければならぬと思います。財産を持つておりますのを差押えをするということは、先ほども申しているように、一応法律上認められていることでもあります。もしも単純にそれを悪いということであれば、法律規定そのものも悪いということになります。私としては責任のあるお答えを、この席で申し上げることは、差控えさせていただきたいと思います。
  15. 苅田アサノ

    苅田委員 五千円の滞納金に対して、時価六万五千円の農耕馬差押えられたということに対して、これが行き過ぎであるかないかということの御答弁ができないというのですから、私もそういうことと承知いたしますが、しかしこれはたいへんなことだと思います。今お話を聞きますと、七割以上の徴収率のない組合が、全国にわたつて五分の一もあるとすれば、この組合におきましては、当然やはりそうした未収の分を、しやにむに取立てるという結果が起きて来るのは、これはあたりまえだと思います。だから、そういう全国保険組合の五分の一の問題に、これは含まれておるような重大な現われが、すでに青森県にはつきりと起つておるということを、私は申し上げておるわけなんです。これに対しましてただいまのような御答弁があるとすれば、私はいかに新任早々保險局長とはいえ、それではあまり無責任な御答弁だと思うのです。しかし御答弁はそれだけしかできないというなら、私も今この場でそれ以上は追究しませんけれども、こういうことが、單に保險をかけているお百姓の人たち責任であるということばかりでなく、国民保険そのものに非常な矛盾があるということがあればこそ、二箇年にわたつて社会保障制度審議会が、二割の国庫負担をしなければいけないということを強調していると私は思うのです。また衆議院におきましても、国民健康保険には二割の国庫負担をしろということを、これは衆議院の決議として通過しておるわけです。だからそれが伝えられない、いわばそれが通らない結果が、さつそくこのように私は現われて来ていると思うのです。ですから、私はただ社会保障相互扶助の精神なんだから、その範囲だけでやつたらいいのだというようなお考えでなしに、どうしてもこういう人たち生活を守るためには、国民健康保険についてはもつと抜本的な処置をしなければならぬという、保険局長としてのはつきりとしたお心構えを私はぜひ持つていただきたいと思うのです。そうしてこういう行き過ぎに対しましては即刻——これではひどくいえば強奪みたいなものと思うのです。こんなふうなことを税金の取立てでやられ、また保険料未収でやられたのでは、これはもう土地の農民にしろ、住民にしろ、保険どころの騒ぎではなくなつてしまいますから、こういつた点はもつと十分に考えていただきたいと思うのです。私は大体今度の保険の二十七億の赤字に対して四億、あるいは奨励金を入れて八億ですか、この程度国庫の支出で、実際国民健康保険建直しを企図しております所期の目的が達せられるかどうかということ、これをもう一ぺん保険局長の品から御答弁を願いたいと思うのです。
  16. 久下勝次

    久下政府委員 私どもといたしましては、今日の国民健康保険状態が、この程度のことでただちに問題が解消して行くというふうには考えておりません。私どもといたしましても、もつと大幅に、また條件も緩和された措置がとられることを望んではおりまするけれども政府部内におきましていろいろ折衝いたしました結果、先般御説明申し上げたようなところで、今日の財政状態としてはおちつかざるを得なかつたということを御了承願いたいと思うのであります。
  17. 苅田アサノ

    苅田委員 国民健康保険赤字建直しの問題につきまして、私どもはただいまの局長の御答弁では、どうも納得が行かないのでありますが、この問題につきましては、また国民健康保険のための特別の小委員会もあることですし、そういうところでもつて、さらにもつと具体的な方法も討議できると思いますから、この問題はそれだけにしておきますが、ただいま申し上げました青森南津軽石川町で起りました差押えの問題が、もし事実とすれば、私はやはりこれは大きな今の政府のやつて行こうとしておる方針に対する一つの現われとして注目しなければならないと思いますので、すぐに政府の方からこの調査をなさいましてそうして報告をしていただきたい。これについてあらためて保険局長がどういうお考えであるかということも、どうぞ御返答を願いたい、かように考えております。  それから次に、これはこまかい問題ですけれども付添看護婦さんの問題で、一、二具体的なことをお尋ねしたいと思います。これは付添看護婦さんの給料に対しまして、昨年末一般公務員ベースアップに伴いまして、この付添看護婦給料も、これに準じた引上げが行われるものと、私ども考えておつたのでありますが、実情を聞きますと、この問題がまだ解決されておらない、もとのままの安い賃金で働いておるというような実情を、しばしば訴えられておるのであります。これに対しまして、政府の方としては、どういうふうな御処置をおとりになつたのでありましようか。また、もしもそういうような全国的にベースアップの問題が行きわたつていない場合には、どういうような処置をとつていただけましようか、この問題についても御意見を伺いたいと思います。
  18. 久下勝次

    久下政府委員 付添看護婦給與ベースアップの問題につきましては、御承知の通り、前に私の方で基準を指示いたしましたものが、以前の公務員ベースによつておりまして、その後公務員ベースが上りましたのに伴いまして、一部ではすでにそれにスライドして上つておりますが、まだこの辺不徹底な点があることは御指摘の通りでありますので、近く全国的に通牒を出しまして、そういうことができるのであるということをはりきり伝えまして、注意を促したいと思います。
  19. 苅田アサノ

    苅田委員 同じような問題でお尋ねしたいのですが、付添看護婦さんは、仕事の性質上夜間徹夜勤務というものがしばしば行われておるわけでありますが、これに対しまして、夜間勤務に対する当然の手当というようなもの、これが実際には実行されておらない。この点について当局の方はどういうふうにお考えになつておりますか。もしもそれを当然すべきであるのに、徹底していないとすれば、これに対しても私は全国的にやはり徹底するような処置を講じてもらいたいと思うのであります。  もう一つ、同じような問題ですが、二人以上の患者につき添つておる看護婦さんに対しまして生活保護法では、一人を増すたびに普通一割増し手当がついておる。ところが健康保険の方ではそういう増員に対する割増しというものが全然ない。これも不合理ではないかと思うのであります。こういう問題に対しまして、こまかい問題でありますが、ちよつと御答弁願いたい。
  20. 五十嵐義明

    五十嵐説明員 お許しを得まして私からかわつて答弁を申し上げます。徹夜勤務等の長時間にわたる勤務に対します考慮といたしましては、この前にもお示しいたしました基準では、二割五分の加算をすることができるという規定を置いていたのであります。これは二割五分というのが、公務員等の場合に比較いたしまして妥当なものであるかどうかということは、いろいろ問題がございますが、なおこの二割五分の徹夜勤務加算のほかに、基準になる料金をきめる場合に、特殊勤務として、いわば基本給の中に、二割五分の加算を認めて不定期の時間に対する考慮等が拂つてございますので、この両方の面でこの問題を解決したいというふうに考えます。  それから二人づき以上の場合のいわゆる歩増しという考え方、これは実は健康保険といたしましては、従来とも持つていなかつたわけであります。患者症状によりまして一人がつきつきりになる、あるいは二人、三人患者を受持つて見ることができるという、いろいろな場合があると思いますが、付添看護婦を認める基準としては、一応一人が一人を見るということを、そのときの症状によつて認めるという基準考えまして、それ以上の場合には、入院料の方で支拂つて行くということで、入院料金の中に普通の看護の場合でも、少くとも五人の患者に一人程度看護婦が置ける、完全看護の十五点では、四人あるいは五人に一人の看護婦が置けるという程度看護婦人件費を見込んでございます。そういう趣旨から参りまして、二人を受持つからといつて歩増しをするという考え方はとつておらないのでございます。
  21. 苅田アサノ

    苅田委員 しかし実際上医務局でおきめになりました基準によりましても、大体付添看護婦として、二人以上の患者にもつけていいような方法を講ずることができるということを、昨年の暮れの会合でもおつしやつていましたし、実情はやはりそういうふうなものがあるわけなんです。今申しましたように、生活保護法の方ではちやんとそれに対する割増し手当が出ているのですから、保険の方で出せない建前になつておるということは、少しおかしいじやないかと思うのですが、こういう点はどうなんでしようか。
  22. 五十嵐義明

    五十嵐説明員 生活保護法の場合でも、やはりこの健康保険の行き方に準じまして、いろいろな面で診療方法なり、あるいは看護基準なんというものが行われておるのが実情でございます。なぜ二人づき三人づきというような現実が出て参つたかと申しますと、従来とも、先ほど申し上げましたような症状によつてつけるという考え方で来たのでありますが、戦時中あるいは戦後の特殊な社会事情から、人手不足というようなことで、やむにやまれず二人持ち、三人持ちというような状態が出て来たわけであります。そういつた実情が自然それに反映いたしまして、そういつたところまで行き過ぎなつたというようなことは確かにあつたと思います。しかし事情がいろいろかわつて参りまして、入院費用等もいうような段階になつて参りましたので、従来の思想をそのまま踏襲いたしまして、その間の事情はつきりさせたい気持であります。社会局で実施しておりますものも、あるいはそういう歩増しというようなものが、従来の惰性として幾分残つているところがあるかもしれませんが、それは本来の行き方ではございません。今回も保險局基準にならいまして社会局がやるようになつております。
  23. 苅田アサノ

    苅田委員 どうも私ども付添看護婦さんと一緒に議をしたときはそういうふうな話でなかつたと思うのですが、しかし実情につきまして、もつと看護婦さんの方たちとも話ました上で、さらにこの問題につきましては当局側の方にいろいろお願いに上がることがあると思います。  きようの質問はこの程度にいたしておきますが、先ほど局長にお願いいたしました調査の件と、それからこれにつきましての保険局資料等は、ぜひ当委員会の方にちようだいしたいと思いますから、それにつきまして委員長の方に要求いたします。
  24. 青柳一郎

    青柳委員 国民健康保険の問題につきまして、二、三御質問をいたしたいと思います。来年度におきましては、国民健康保険保険料が、前年度すなわち二十六年度におきましてその徴収率七〇%以上のものに対して、再建整備のために長期融資が出る、さらには奨励金交付もあるということに相なつたことを伺つたのでありますが、七〇%以下のものが、先ほどの御説明によりましても二〇%ぐらいあるのでございます。相当まじめな運営をやつておる町村にして、最近の医療費の高騰、受診率増高に伴いまして、保険料が高くならざるを得ない。従つて保険料収入率が七〇%に達せざる、非常にまじめなる運営をやつておる町村が二〇%あるのであります。これら保険料徴収率七〇%に達せざるものについては、来年度におきまして何らの新しい措置が講ぜられておらぬ、こういうことに相なるのであります。社会保障制度の一番弱力国民健康保険を育てるにつきましては、非常に片手落ちな措置であると私は思うのであります。できるだけ国民健康保険事業全国的な普及に努めるべきが、社会保障制度を推進せんとしておる政府態度であるべきである、こう思うのであります。運営のよくない、あるいは成績のよくない町村にこそ、政府のあたたかい手を延ばしてそれを指導いたし、よくする、あるいはこれらに対して成績のいいところと同じように、国の物質的な手を延ばすということであつて、初めて国民健康保険事業全国的に行き渡つて、そうして社会保障制度への前進をするものと存ずるのであります。しかるに七〇%以下のものに対しては何ら措置を講じない、そういうところは捨てて顧みないんだということになりますと、非常に冷酷な措置であると同時に、社会保障制度への前進を企図しておられる政府態度として、いかにも肯定できないのでございます。七〇%以下の保険料徴収率しか持つておらない町村に対しましては、どういうお考えを持つておられるか、まず承りたいと思います。
  25. 久下勝次

    久下政府委員 まず第一に申し述べたいと思いますことは、確かに貸付金の貸付を受けます要件、あるいは奨励金を受け得る要件といたしましては、保険料徴收割合が七〇%以上であるということは、原則としてうたつておりますが、私どもとしては、貸付金につきましては、これを法律化いたします場合には、四つの條件がございますが、この四つの條件に合致しない場合でありましても、厚生大臣が特に必要と認める場合には、貸付金の貸付ができるというようにいたしたいと思います。むろんこれで全部解決するとは存じておりませんけれども、そういう措置は講じたいと思つて、ただいま具体的な法律案の準備を進めております次第であります。  もう一つ奨励金の方でありますが、これも同様な考え方で取扱いたいと思つておりますが、同時に、この方は将来徴収率を七〇%以上に上げますれば、すべての保険者が五箇年の間には奨励金交付を受け得る資格を持つという可能性がありますので、そういうふうな意味合いにおきまして、貸付金及び奨励金を通じまして、全面的に七〇%を厳密にやろうという気持はないのであります。ただ御了解をいただきたいと思いますことは、貸付金でありますとか、あるいは特別の奨励金というものを出しまするためには、全然無條件で金を出すというわけにも参りません。ある程度制限のつきますことも、また一面やむを得ないことでもあるというふうにも考えておる次第でございます。
  26. 青柳一郎

    青柳委員 ただいまのお話によりますると、厚生大臣が特に必要と認める場合には、保険料徴収率七〇%以下のものに対しても、長期融資の道を講ずるということであります。厚生大臣がよくごらんになりまして、ほんとうにこれを広く適用されて、でき得るだけこの再建整備の手段によりまして、七〇%以下の徴収率を持つておる弱い国保事業を助成するように、十分な御措置を願いたいと思うのであります。  第二点として伺いたいのは、再建整備に関しまして、二十六年度末までの赤字の二分の一に対して融資をするというのでございます。この二分の一ということを問題にしたいのでございますが、今までも非常に赤字解消に努めておつたのに、解消できなかつたという実情にある町村が多いのでございます。しかるに二分の一というものを政府から融資してもらつて、あとの二分の一は自分で拂わなければならぬのであります。これら財政力の弱い町村に、はたしてその能力ありやいなやということを憂うるのでございますが、その点に関しまして、政府当局の御意見を承らしていただきたいと思います。
  27. 久下勝次

    久下政府委員 まず最初に申し上げたいと思いますことは、政府と申しますよりも、厚生省といたしましては、赤字の半分で十分であるという考えは、当初は持つておらなかつたのでありますが、いろいろ政府部内におきまして折衝いたしました結果、これは先ほど申し上げましたと同じような意味合いにおきまして、貸付の條件につきまして、また貸付の額につきましても、御指摘のような制限をつけざるを得ないようなことになつたのであります。私どもといたしましては、貸付を受けましたものが、全部必ずしも同額の金を用意して赤字を補填することがきわめて容易にできるとばかりも思つておらぬのでありますけれども、一方におきまして奨励金の制度もございますし、あるいはまた町村によりますと、相当一般会計から繰入れもやつて、この方面に力を入れておるようなところもありますので、そういうようないろいろの措撃を講ずるように指導をいたしまして、何とか半額は組合の自力でやるようにしていただきたい。そのことがまた同時に将来組合が立ち直つて行くためにも必要なことではないかと思いまして、政府全体といたしましては、かような方針に決定をいたした次第であります。
  28. 青柳一郎

    青柳委員 ただいまの御答弁のあとの方は、私どもも納得できる点があるのでありますが、だんだんきなつて行く方に持つて行くためにというお話であります。しかし来年度は第一年度である。一一年度からはそういうことが考えられましようが、一年度から半額を国保が受持てということは、現状に照しましていかにも無理なように思うのであります。ただ、ただいま厚生省御当局におきましても、半分しか融資しないということにつきましては不満足であるというお話がありましたので、私どもも将来小委員会などにおきまして、その点につきまして努力いたしたいと存じます。  さらに同じ長期融資の問題でありますが、十年の間に償還をする。その初めの五年間はすえ置きであつて、その間は無利子である。そして残りの五年間におきまして六分五厘の利子によつてつて行くという力が、はたして国保にあるかどうか。この点も非常に心配な点でありますので、厚生省当局がこれでのまれた実情なり、厚生省の御意見を承らしていただきたいと思います。
  29. 久下勝次

    久下政府委員 まず第一に、六分五厘の利率についてのお話でございましたが、この問題につきましては、実は現在まだ財務当局と折衝いたしております。ただ遺憾ながら今日までの状況におきましては、他の公共団体への貸付金関係どもありまして、この利率を下げますことは、現在の段階では困難のようでございます。なお、この点は折衝を重ねておりますので、できるだけ條件をよくするように努力をいたしたいと思つております。  それから五箇年間で返済できる見通しかというようなお尋ねでございます。これも見方の問題、見解の相違になるかもしれませんが、何分にも総額はそう大した金ではございませんので、個々の保険者にとつてみますれば、そう多額の金額にもならないことでございますから、五箇年しかも無利子ですえ置いてあとの五箇年で返すということになれば、何とかできるのじやないかというふうに考えている次第であります。
  30. 青柳一郎

    青柳委員 あとの五箇年間で返せるかどうかというような問題にも、影響を持つて来るのでありますが、一点単価の増額の問題があります。この増額によりまして、来年度国保に負わされる負担は、実に二十九億円ということに相なつておるのでございますが、この二十九億円をいかに国保が負担して行くか。これに対しまして厚生省御当局に御成算がございましたならば、その方途につきまして教えていただきたい。
  31. 久下勝次

    久下政府委員 御指摘の二十九億円の計算でございますが、これはおそらく新單価を十一円五十銭にするものとして御計算の数字だと思います。私の方といたしましては、三十一億という数字が出ております。少し開きがございますけれども、いずれにいたしましても、全体としては多額の財政負担になるのであります。これに対する対策の第一としては、先般も全国的に通牒をいたしたのでありますが、国民健康保険におきましては、従来とも各医療担当者との契約によりまして、普通の健康保険の単価よりも低い単価で契約をいたしておる事例が相当多いのでございます。そういう点も考え合せまして、また国民健康保険の過去の実情考え、現状から考えまして、各保険者と診療担当者との契約におきましては、できるだけ安い単価で契約をするように、県に指導きせるように通牒を出したわけであります。それによりまして、今後の各保険者と診療担当者との契約にまたなければなりませんけれども、その数字は相当下まわつて来るのではないかという見通しを立てておる次第でございます。なお従来国立病院の診療単価は、国保につきまして実際問題として一割は下げておらなかつたのでありますが、今回は医務局とも相談いたしまして、一割の程度まで下げ得るというふうに了解をつけて、通牒を出しましたような次第でありますが、これらのことは、また全体の診療契約の上に影響があるのではないかと期待をいたしておる次第であります。それによりまして、先ほど申しましたように、よほど全体の数字は下まわつて来るのではないかと思いますが、さらにまた先ほど質問のありました奨励金の問題、あるいは貸付金の問題—貸付金は過去の債務の返済でありまするが、奨励金はわずかながら四億円ほどのものがとにかく全体に出ますので、これも赤字の負担増の解消に役立つのではないかと存じます。そのほか先ほど申しました一般会計の繰入れ等、各市町村におきまして自主的にいろいろ改善の道を講ずる余地もまだあるやに存じております。それらにつきましても、熱心に指導をいたしまして、全体として何とかいたさなければならない。確信があるかとお尋ねになれば、はつきりお答えできませんけれども、私どもとしては、そういう万般の措置を講ずることによりまして、国民健康保険の破綻を来さないように指導して参りたいと考えております。
  32. 青柳一郎

    青柳委員 いろいろお話がありましたが、まだはつきりした成算が得られないのであります。ただこの問題は、医師会方面におきましても、単価の増によりまして被保険者に迷惑をかけぬという動きも見せておりますが、医師会方面の協力も得なければなりませんと同時に、ただいまお答えになりました厚生省御当局の御努力を切にお願いするのみであります。  なお他の問題につきましては小委員会におきまして十分な論議を闘わして、りつぱな成案を得たいと存じております。
  33. 金子與重郎

    ○金子委員 保険局長先ほど青柳委員に対する御答弁や、先日の岡委員に対するこの問題についての御答弁を聞いておりますと、今のこの国保なり健保なり各種の社会保険というものを、どうにもならない一つわくの中で——憲法の中にでもあるかのような動かすべからざるわくの中で説明をしておるような点が非常に多く受取れるので、どうも納得が行かないのでありますが、こまかい点につきましては、国保に関する小委員会を設けてありますのでその際に讓るといたしまして今回はきわめて要点の五、六点について質問いたしたいと思うのであります。  まず第一に、国保の経営が困難になつて来ておる数字的な問題については、ただいま青柳委員との間に、いろいろ質疑があつたようでありますから、これは省略いたしまして、一般会計から繰入れるということが、一体今のほかの社会保険に比べていいことであるか悪いことであるか、その点はどう考えておりますか。そういうことは望ましいことでありますか、望ましくないことでありますか、その考え方を、ひとつ局長からお話願いたいと思います。
  34. 久下勝次

    久下政府委員 私が先ほど申し上げましたのは、そういうことをしておる町村もありまするからという意味で申し上げたのでありまして、むりやりに奨励をして行くべき筋のものでもないと思つております。ただ市町村民の負担を増さないような意味におきまして、財政力のある町村におきましては、国民健康保険の将来の健全な発達のためには、そういうような道も講ぜられてもいいのではないかという程度考えております。
  35. 金子與重郎

    ○金子委員 その考え方局長のお考えであれば、これは私の意見になりますから、しいて申し上げませんが、これは根本的に違うのであります。ほかの社会保険赤字に陷つたときには、国家がやつておる。国家が社会保障制度の確立ができないのに、さなきだに苦しい農村の貧弱財政の中でこれを負担させる。保険の費用も、あるいは村費も、即農民の負担であるということにおいては同じことになるのでありまして、制度の欠陷がこういう結果を来しておるのでありますから、赤字なつた場合に、国保に対して市町村一般会計から繰入れてこれを補足するというような考え方は、全然望ましくないことである。それを基準において国保の将来の健全性をはかるというふうな局長のお考え方については、もう一ぺん考え直していただきたいものと思うのであります。  それから医療費の単価の問題でありますが、私がこの間群馬県で医師会にお願いしましたところ、国保の苦しい現状を了とせられまして——決して今の医師会の要求する単価が無理だとは言わないし、共同戦線歩張つてこれを運動することはかまわないが、国の制度が何とかなるまで、しばらくの間この問題に対して争うことはやめて忍んでいただきたいということをお願いしましたところ、私の地元では一応そういうふうになつたのでありますけれども、そういうお願いをすること自体が非常に予盾なのであります。一体国民健康保険の単価が安いのは、どういう理由で安いのか。健保よりも医療を落していいのか。どこを根拠にして国保は単価を安くしていいというりくつが成り立つか。私はそういうことを医師会にお願いしておきながら、その意味が実はわからないのですが、局長は、どういう理由で国保の単価は安くてもいいのだということを理由づけておられますか。
  36. 久下勝次

    久下政府委員 確かにおつしやる通り、健保と国保と、医療の内容が違つていいということは言えないのであります。そういう筋合から申しますと、筋の通らないことかもしれません。ただ私が考えておりまするのは、先ほど青柳委員の御質問にもお答え申し上げた通り国民健康保険におきましては、過去におきまして、健康保険の単価よりも低い単価で、りくつは別にいたしまして、契約をしておりまする実例もございます。同時にまた、国民健康保険全体の今日の財政状態から考えまして、何とか医療担当者側に協力していただくというような意味合いにおきまして、大体この二つの理由で私どもとしては、全国的にできるだけ低い単価で契約をしてもらうようにというような通知を出したわけであります。
  37. 金子與重郎

    ○金子委員 その意味が局長にもわからないというのならば、これはもうこれ以上しかたがありません。どういう意味で安くしていいのかわからないが、とにかく安かつたから安いのだというりくつは、おそらく成り立たないだろうと私は思うのであります。あるいは、医師会側が健保の方でもうけ過ぎているのだから、その分を国保の方で引けということならばわかるけれども、そういう意味でもない。また医療の程度を落していいということでもない。それは私にもわからない、しかも局長にもわからない。今まで安かつたから安くしていいというのは、非常に不合理な問題だと思います。そこで、そういうことから派生的に出て参ります問題——かりに例を私の方にとつてみますと、今度私の県などでは国保の単価を一円五十銭安にするというが、そういうことになりますと、国保のある村とない村とで、結核や何かの請求の場合において非常にややこしい問題が出ますが、これはどういうふうに考えますか。
  38. 久下勝次

    久下政府委員 ちよつと御質問の御趣旨がわからないのでありますが……。
  39. 金子與重郎

    ○金子委員 国保のある村は単価を安くするが、国保のない村は健康保健並にするというと、同じ病院でありながら非常にややこしい問題になるのではないかと思いますが、その点はどう考えますか。
  40. 久下勝次

    久下政府委員 その点は確かに起り得ると思います。特に、大きな病院などで、国保も扱えば健保も扱う、あるいは生活保護も扱うというようなことになりますと、健保と国保と生活保護法、この三者の間に違いはありますが、相当事務はめんどうなことになると思いますが、どうもこれはまたやむを得ないことではないかと思います。
  41. 丸山直友

    丸山委員 ちよつと関連して伺います。今の問題でありますが、これは実際の診療に従事している者にとつては、非常に困る問題であります。国民健康保険組合が結成せられて、運営されておる市町村におる健康保険の被保険者の家族でありますが、すなわちその被扶養者は半額は本人負担になります。健康保険ではまかなつてもらえない。その半額の本人負担になる分が、国民健康保険の行われておる土地でありますと、それが国民健康保険の被保険者となつて、その半額に対しては国民健康保険の方から支拂つてもらうというのが実情であります。そうすると、同一の診療に対して、半分は健康保険の単価でもらえるし、半分はそれよりはるかに安い単価で——一割安いかどうか知らないが、とにかく安い単価でもらえる。そうすると治療を半分にわけて、こつちの半分は単価が高いのだけれども、こつちの半分は単価が安いというトラブルが起つて参りますが、その辺の調整はどういうふうにおやりになりますか。
  42. 久下勝次

    久下政府委員 確かにお話のようにそういう事例もありますから、従つてまたそういう問題の起りますことは、実際問題としてあり得ると思つております。さりとて、根本に立ちもどりましていかんともいたし方がございませんので、これはまあたいへんごめんどうなことを診療担当者側にお願いしなければならぬのでございますけれども、御協力を願う以外には方法がないと思つております。
  43. 丸山直友

    丸山委員 御協力を願うといわれますが、協力せざるを得ない立場に置かれる者は、非常に迷惑千万であります。同時にまた、これが被保険者に対して非常に迷惑である。これは医者の迷惑だけではない、被保険者に対して非常に迷惑だということを考慮されまして、国民保険の単価というものは、やはり保険というものも広い立場から、当然健康保険国民保険も同じ線に置くべきである。二の原則はひとつ確立せられるように、今後御協力を願いたいと考えます。
  44. 金子與重郎

    ○金子委員 その次は数字の問題でありますが、この厚生年金と、それから予算の中に組んであります船員保険との給付に対する補助費であります。これは疾病の方面には関係していないと了承してよろしいのですか。
  45. 久下勝次

    久下政府委員 船員保険も厚生年金も、保険に対する給付につきましては、国庫負担はない。その他の給付につきまして、それぞれ国庫負担があるのであります。
  46. 金子與重郎

    ○金子委員 そうすると、この両保険保険に対する給付というものは、疾病以外のもの、たとえば年金とか、そういうものだけに使われておるということに了承してよいわけですね。  それから国庫補助金がここにあがつておりますが、この国庫補助金の内容を概略御説明願いたいと思います。
  47. 久下勝次

    久下政府委員 まず最初の問題につきましてお答え申し上げます。大体お話通りでよろしいのでありますけれども、こまかく申しますと、船員保険の中の労災の給付につきましては、全額事業主負担、それから失業保険につきましては、御承知の通り陸上の場合と同じように三分の一が国庫負担、三分の一が本人、三分の一が事業主というような負担区分になつております。その他の年金、船員保険の給付につきまして、疾病以外のものは二割国庫負担というような計算になつております。それを個々につきまして積算をいたしましたものが、ここにあがつておるわけであります。
  48. 山本正淑

    山本説明員 国民健康保険保険者補助について、簡単に御説明申し上げます。まず事務費の補助でございますが、予算面では十六億一千百万円となつております。これは被保険者一人につき五十三円七十銭の割で計算いたしました三千万人分でございます。  それから次の保健指導医設置補助費でございますが、これは各市町村に保健指導医を設置いたしてございまして、これは大体に予防方面において活動してもらう、こういう意味におきまして設置いたしておりまする保健指導医が六千九百一人、こう見込んでおります。それに対しまして一年間二万四千円の三分の一補助、こういう算定でございます。  それからその次は、保健婦の設置補助でございまして、これは各市町村国民保険の保健婦としております保健婦五千三百三十四人につきまして一人当り八万八千七百円の三分の一を補助する、こういうもので算定した金額でございます。  それから直営診療施設の設置補助でございまするが、これは内容は四つにわかれておりまして、診療所を新築するものは二百九十一箇所、それから既存の診療所を医療法に基きまして整備するものが百四十箇所、それから病院の新設が十五箇所、既存病院の整備が十四箇所、これだけのものの新設並びに整備費の三分の一補助で四億となつております。     —————————————
  49. 大石武一

    大石委員長 ただいま岡野国務大臣が見えられましたので、保険給付関係予算の方を一時中断いたしまして、児童福祉に関する件につきまして、岡野国務大臣に対する発言の通告がございますので、順次これを許可いたします。なお、政府委員といたしましては、奥野財政課長並びに高田児童局長が見えておられます。通告順によりまして青柳委員
  50. 青柳一郎

    青柳委員 私は岡野国務大臣に対しまして、兒童福祉行政に必要な経費が、来年度におきましても平衡交付金で支出せられるという問題につきまして、若干の質問をいたしたいと存ずるものでございます。この問題につきましては、大臣すでに御存じかと思いまするが、昨年来、当厚生委員会におきましても数次の審議をいたし、あくまでも昭和二十四年度までにありましたように補助金をもちまして支出していただきたい、支出すべきであるという結論に達しておつた問題でございます。昨年におきましては奥野課長に来ていただきまして、この問題につきましても、いろいろ御意見を承つた点であるのであります。厚生委員会といたしまして、いろいろ実態を調査したことがあるのでございます。この実態は現在もなお続いておるのでありまして、この現状につきまして、大臣に少しく御紹介をいたしたいと存じます。結局平衡交付金のうちで、兒童福祉関係費用として、どのくらいが含まれておるかということが、府県並びに市町村におきまして不明確であるために、平衡交付金が予定通り来なかつたというような理由で、これらの費用の計上を、府県においても、市町村においても、がえんじないのでございます。またはあとまわしにする傾向があるのでございます。こういうことは、現実としてどういうことになつておるかと申しますと、児童に必要な各般の費用を、ときどきその限度を引上げるのでございますが、その引上げに対しまして、その引上げが実際に行われておらない。かえつて平衡交付金になりましてから、減少を見るのが実情でございます。そういう府県が相当多数に上るのでございます。内容的に見ますると、たとえば児童福祉に必要な施設を新設しようとか、あるいは拡充しようとか、そういう新規事業、これは大体見込んでおらぬというような府県も出て参ります。特に純県費負担の事業、たとえば児童福祉に必要な啓蒙宣伝、兒童に対して必要な慰安、これらの純県費負担の事業は、ほとんど削除されるという運命にあるのでございます。さらに年度途中におきましては、実行予算を編成される場合が、府県におきましてもたびたびあるのでございまするがそういう際には当初の予算が一律に天引せられるというような実情もございます。また追加予算がきわめて困難であるのでありましてたとえば厚生省から国庫補助職員の常員増並びに措置費の単価引上げというような措置を、自治庁当局とも御相談の上にもたしますと、府県におきましてこの予算措置が難航をするのでございます。それが四箇月も遅れるとか、あるいは全然一年間もやらないとかいうようなことも出て参ります。最もはなはだしい事例といたしましては、国庫補助金が来ましても、他の費用に押されまして兒童福祉に関する県費負担分を出し切れない関係から、むなしく補助金を返納せられるというようなことにもなるのであります。たとえば、佐賀県の精神薄弱兒童施設の設置費、あるいは教護院の増築費、中央兒童相談所の増築費というようなのがそれであるのであります。従いまして、欠員不補充の鉄則のもとでありますが、せつかく中央で苦心いたしまして獲得いたしました児童福祉関係職員の増員のごときも、第一線におきましては、とうてい認められないのでございます。これらの点は、さらに第一線の方に参りますると、児童を保育いたします保育所につきまして、町村当局が予算措置をとることを非常に躊躇する傾向を来しておるのでございます。保育所を年度の途中で増設しようといたしましても、認可はほとんど得られないのでございます。さらに兒童を収容いたします際に、たくさんの兒童を収容いたしますと、それだけ金がかかるものでありますから、収容を押える。さらに気の毒な家庭に育つた兒童を保育所に置くというのが、大体の趣旨であるのでございまするが、そういう兒童に必要な措置費が得られない関係から、気の毒でない兒童を保育所に入れて、どうやら経費のつじつまを合せるというようなことが数箇所に見られるのでございます。  いろいろ申し上げれば、数限りないのでございますが、これらのために、施設を営々としてまじめにやつておる経営主が、非常に大きい借金を背負うというようなこともありまして、につちもさつちも行かなくなるということもあるのでございます。これらはすべて厚生委員会におきまして調査いたしました現状であるのでございます。政治は現状をにらんでやつていただきたい。しかるに、なお来年度におきましても平衡交付金において児童福祉行政を取扱われようとされる際には、この実情はさらにますますはげしくなる一方であると存ぜられるのであります。われわれが従前から主張しておりますように、これはぜひ補助金を計上すべきであるということを考えるのであります。まず実情につきまして申し上げました。この実情を打開するに、平衡交付金をもつて打開し得るかどうかという点につきまして、非常な危惧を持つものでありますので、まず大臣のお教えを受けたいと思います。
  51. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 お答え申し上げます。児童福祉費が平衡交付金に入つておりますために、十分なる施設もできないし、また十分なることもできない。こういうようなことで、るる実例をあげてお話をされまして、まことに私としては心を打たれるような感じがします。その点につきまして、御承知のように二十四年度限りそういうものをみな平衡交付金に入れまして、スタートしてから、約一年半ばかりここに実行して来たのでございましたが、昨年の春以来、いろいろ、そういうような実情を訴えられまして、いろいろな陳情がございますので、ただいま厚生省並びに財政委員会の方でよくこれを検討しておる場合でもございますが、その検討が成案を得るに至りませんで、明年度もやはり従前通り平衡交付金でやつて行くようになつた次第でございます。
  52. 青柳一郎

    青柳委員 この問題は、二十五年度、二十六年度——ほとんど二十六年度を過そうとしておるときに、前から検討願つておるのでございますが、急速にその御検討を願いたい。そしてこの現状をはつきりとにらんでいただいて、この現状の大部分は、補助金が平衡交付金になつたためであるということを、ぜひお認めを願いたいと存ずるのでございます。先ほど私が申しましたのは、実情についてでございます。理論から申しましても、平衡交付金におきましては、たとえば一人当りの単価がきまつておるというようなものであれば、平衡交付金でさしつかえないと思うのでございますが、兒童の家庭は貧富さまざまでございます。その貧の程度がまた違うのであります。従つて児童一人々々に與えられる措置費は、おのおの千差万別でございます。そういう千差万別のものを、平衡交付金の中に取入れられるということにつきまして、理論的な危惧を持つものでございますが、これにつきましての大臣の御意見を承らしていただきたいと思います。
  53. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 これには両論ございまして平衡交付金でやるのがほんとうだとか、いやこれは補助金にした方がよいのだというようなことがございますが、その両論の可否がまだ十分決定されないものでございますから、こういうことになつておる次第でございます。その可否得失につきまして、一応事務当局から御説明申し上げます。
  54. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 青柳さんは厚生行政の権威者でありまして、私からとやかく御説明いたしませんでも、よくおわかりになつておられることでございます。しかしながら、なお一言児童福祉行政の費用につきまして、国からひもつきの財源を交付した方がいいかどうかということにつきましての考え方を申し上げさせていただきたいと思います。  お話のように、昭和二十四年度までは、児童福祉行政に対しまして、国から直接負担金を支出しておりました。昭和二十五年度の国、地方を通じますところの財政制度の根本的な改正にあたりまして、ひもつきな補助金は、原則としてやめた方がよろしいのではなかろうか、そうすることによつて、地方団体の独立性を確立して行きたい。地方団体の独立性を確立するためには、財政的なつながりというものを、なるたけ断ち切つた方が、自主的に物事を判断することが可能になりまして、住民に対して地方行政というものが活発に行われるのではなかろうかというふうな考え方が持たれたわけでございます。しかしながら、国が期待しておりますような行政が、各地方において行われませんと困りますので、基準の設定を通じて、地方行政の計画的な運営を行つて行こうというふうなことが考えられまして地方財政平衡交付金制度が生れて参つたわけでございます。すなわち全地方団体におきまして、兒童福祉行政その他の行政において、どの程度の財源を必要とするかということを測定しながら、他の行政におきまする経費も測定いたしまして、その団体の財政需要額から、その団体が獲得できまする税収入を差引きましたものを、地方財政平衡交付金として出して行く。言いかえれば、個々の地方団体について測定されました財政需要額は、どの地方団体においても財源として確保して行こうという建前がとられたわけであります。しかしながら、これらの交付金は、ひもつきの財源ではございませんので、自然どのように使いましても、地方団体の自由であります。その結果、青柳さんが御指摘になりましたように、あるいは若干の地方団体において、兒童福祉行政を軽視して、他の行政費により多くの財源を持ち込んでおるという団体もあるのではなかろうかと、私は想像するわけであります。その場合に考えなければならない問題は、いろいろあるだろうと思うのでありますけれども、それではその団体に願えられている財源をどのような使い方をすることが、その地方住民にとつて、あるいは国全体にとつて適当であるかどうかという判断を、どういう見地からするかということが一つございます。もう一つは、なるほど兒童福祉行政は非常に大切な行政であります。それならひもつきの財源でそれを強制して行く行き方がよろしいだろうか。あるいは他の立法措置を講じまして、必ずこの程度のことをしなければならないのだという強制的な道を講ずる必要がないかどうかということを考えなければならない、これも私は非常に大切な問題ではなかろうかと考えるのであります。そうやつても、なおかつ兒童福祉行政が円滑に行かない場合に、さらにあるいはひもつきの財源を交付するとかいうことがくふうされても、おそくはないのではないか、こういうことも考えるわけであります。それよりも、根本的には地方財源が全体として不足している。こういうところから、必ずしも個々の行政において満足するような成果が得られていないという点は、われわれとしても認めざるを得ないと思うのであります。児童福祉行政なり、個々の行政なり、それだけを取上げまして、それだけについて、国が期待しておりまするような行政運営を地方において実現せしめて行こうといたしますならば、私はやはりひもつきの財源が一番手取り早いと思うのであります。一番手取り早いのでありますけれども、これにはいろいろな弊害がございますので、補助金行政というものは廃止するという方向に持つて参りまして、まだ二十五年度、二十六年と二箇年度を経過しただけでありまして、このような行き方がいいか悪いかということにつきましては、なおいろいろな角度から研究して行く問題も多分にあるだろうと思うのであります。大体ひもつきの補助金行政をやりました場合には、補助金交付に伴いまする事務だけでも、やはり増加して来るということは、考えなければならないと思うのであります。さらにまた、これは兒童福祉行政について行われていることを言うわけではございませんけれども一般的に補助金行政は、いろいろと地方の行政に対しまして、あるいは人事について、あるいは機構について、不当な干渉の機会を與えがちであるということも、私は指摘しておきたいと思うのであります。さらにまた一定の金を地方の実情に即しまして最も適切な使い方をする。そういう意味において地方団体には総合行政を行つて行く権能が與えられているわけでありますが、総合行政の推進の見地から見た場合に、どうであろうかということも考えられるわけであります。あるいは補助金行政は、その補助金の支出の條件について示されました通りの画一的な行政を行つて行く——その通りの行政は地方において実現されて行きましようけれども住民みずからがどのようなやり方をすることが、それぞれの行政を伸ばすために最も適切であるか、みずからくふうする気構えというものは、私はやはり少くなつて行くということをおそれなければならないと思うのであります。さらにまた現在の地方税制がどういう姿になつているかということも、あわせて考えなければならないと思うのであります。かりに兒童福祉行政を昔のままに返すといたしますならば、東京都や大阪府なり市なりに対しましても、相当の補助金交付されるということになると思うのであります。こういう団体におきましては、現在では地方税制によつて得られます収入だけで十分であるとわれわれは考えております。そうしますと、現在におきましても、地方財源が偏在いたしておりますけれども、ますますこれらの偏在を激化させるおそれが出て来るだろうと思うのであります。でありますから、各種の行政に対しまして、国が直接支出する制度をつくるかどうかということを考えます場合には、地方税制なり、その他の財政制度とも一緒にして考えなければならないという考え方を持つておるわけであります。個々の地方団体において、児童福祉行政が十分でない。特に兒童福祉のことについて心配しておられる方々によりましては、あきたらぬ面も非常に多いだろうと思うのであります。その場合に、それぞれ市町村政府なり、府県政府なりに対しまして、兒童福祉行政にもつと金を出せと切実な訴えをする道と、市町村や府県の世話にならないで、直接政府からひもつきの金を持つて来ようとする態度とが、あるだろうと思うのであります。私は、やはりできるなら、地方ごとに住民にみずから解決させる道を選びたい、こういうふうな考え方を持つておるわけであります。しかしながら、兒童福祉行政を直接国からその何割かを支出金として交付する建前の長所というものも、無視することはできないだろうと思うのでありまして、そういう面で、先ほど大臣からお答えになりましたように、両方の長短をあわせ考えながら、他面には、また現行の地方財政制度、地方税制ともにらみ合せて研究して行きたい、こういうことから今日なお結論を得ていないような状態にあるわけであります。
  55. 青柳一郎

    青柳委員 奥野さんから、るる御説明をいただきまして私どもも、もちろん納得する点はあるのでございます。地方団体の独立なり、地方団体の団体内におきますところの計画的な運営なり、地方団体に自由を與えて地方団体のくふうにまかす、いかにも私どもは賛成でございます。私はここにすべての行政を、国庫から直接にひもつきでもつて、その必要な経費を出せと申し上げているのではないのでございます。兒童福祉行政というものは、至つて若い行政でございます。府県におきましては、もうすでにこれは御存じのように、各般にわたりまして財政的の負担に苦しんでおります。財政力がないのでございます。従いまして、こういう平衡交付金が参りますと、こういう若い行政には金を使つてくれないのが実情でございます。道路、橋梁、港湾、そういうものに使われがちであるということは、大臣もその実情をよく御存じであると思うのであります。兒童福祉行政は、ほんとうに若いじみな行政であるのでございます。そこに特殊性があるのでございます。われわれ厚生委員会におきまして、先回の国会におきましても、委員会といたしまして、ぜひこれば補助金にしてもらうべきであるという結論を得まじて、地方自治当局に対しましてもお話をしたことと存ずるのでございます。経済的に非常に困つている地方の実情、さらには兒童福祉行政の非常に弱い行政であるということ、さらに平衡交付金であるがために、先ほど私がごひろういたしましたような非常に気の毒な実態にあるということを、よく御認識をいただきたいのでございます。ただいま奥野さんのお話の中にも、円滑に行かない場合には考えなくちやならないのだ、こういうお話もあつたのであります。その点を私は大いに期待をいたします。どうぞ実情をごらんになり、また兒童福祉行政が、将来の日本を背負つて立つ児童のためのほんとうに必要な弱い行政であるということをお認め願いまして、できるだけすみやかな機会に、実情が円滑に行つていないということを御認識いただきまして、御是正をいただきたい。これにつきまして大臣の御善処をいただきたいと思うのでございますが、大臣の御意見を承らしていただきたいと思います。
  56. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 お答えいたします。御説しごくごもつともでございまして、私といたしましては、十分これを研究して行かなければならぬと思います。これを研究中に私が考えましたことは、ほかにもいろいろそういうことがございます。と申しますことは、何が原因であるかといえば、ただいま行われておりますところの地方の税制なんかも、実は自治が確立いたします過去六年間に、自治法がいつできた、公務員法がいつできた、財政法がいつできたというように、ばらばらにできましたので、まだ事務の再配分も十分できておらぬような状態でありまして、自治確立はまだその過程にあるものでございます。そういう過程にある場合に、特に一般の地方財政というものが非常にきゆうくつになつて来た。この地方の財政を、もう少しゆつたりとさせるということになれば、おそらくこの兒童福祉の問題も解決がつくと存じますが、しかしそれは別といたしましても、大なる原因は、私は自治の確立がまだいびつであるということ、同時に地方の財政を十分裕福にするだけの準備ができていなかつたということでございますから、私は今後——来年度でございますが、四月以降さつそく地方制度調査会というものをつくりまして、自治確立のために全般的の調査をいたしまして、そうしてそれにはやはり税法とか、そういうものを抜本塞源的に大きな改正をして行きたいと思います。そうしておそらく私の考えとしましては、何と申しましても、一家でも、一会社でも、一団体でも、財政が確立していないで自立ということはないはずでございますから、まず財政の方を固めまして、自立をさせて行きたいと考えております。そう考えておりますとともに、ただいまいろいろな地方の、まことに私ども子供を持つ親といたしまして、何だか涙ぐましいような事情を承りました。できるだけひとつ厚生省並びに財政委員会当局に、その結論を出させるように促進して行きたいと存じます。
  57. 青柳一郎

    青柳委員 ただいま大臣からお話がありまして、地方の財政権の確立が、地方自治の確立の一番重要な点であるということを認識するものでございますが、地方の財政の確立を待たずしても、途中におきましても、この問題につきましてどうぞ事情をよくおくみとりになりましても、御善処方をお願いいたしたいと思います。ほかにも発言者があると存じますから、私はこれで質問を終ります。
  58. 大石武一

  59. 岡良一

    ○岡(良)委員 青柳委員から、昨年来われわれの大きな達成目標として、それぞれ党へ帰つても、同僚議員の同意を得て、この兒童保護費のひもつきという問題は、本年度の予算において、はつきりとわれわれの期待する通りに実現され得るものと、実は期待しておつたのでありますが、それがわれわれの期待にそむいたことは、きわめて残念に思つておる次第であります。そこで岡野国務大臣にまず関連して二、三点お尋ねしたいと思います。  第一点は、兒童福祉に関する保護費を、交付金の中に込みにしないで、ひもつきにするということと関連いたしまして、大蔵省当局が、生活保護費の国の補助率を交換的に引下げようという意図を明示したという情報があるのでありますが、はたしてそういうことを、——と申しますのは、これは地方財政上ゆゆしき大きな負担の問題になるのでありますが、お聞きになつたかどうかという点を一点。  次に、この事実は、きわめて信憑性のある事実でございますが、こういうようなことが万一強行されたときに、はたして現在の段階における地方財政として、これを受入れ得る財政的余裕があるかどうか。この二点について、簡潔でけつこうでございますから、御決意を承りたいと思います。
  60. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 お答え申し上げます。第一点のことは、大蔵省と厚生省といろいろお話合いのときに出たことじやないかとも思いますが、私地方財政委員会の担当者といたしましては、伺つたことはございません。  第二点は場……。もう一度第二点の御質問を願いたいと思います。恐縮ですが……。
  61. 岡良一

    ○岡(良)委員 そのときに、あわせて生活保護費の——今国が八割補助しておりますが、これを五割程度に引下げて、他の五割は地方財政で負担をするというふうなことが、大蔵省の意向として伝えられたということなんですが、はたして今日の厖大な兒童保護費を、国の補助率を五割に引下げるということで、その残りの部分を地方財政が負担するだけの余裕が、現在の段階において地方財政にあるかどうかという点です。
  62. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 いや、私はそれを聞いておりません。考えられる余地としましては、生活保護費を、もし大蔵省が考えられるとしますれば、ひもつきにする額を五割にして、あとの三割を平衡交付金でも増したらうまみがあるなということを、ちよつと私伺つたことがございます。しかし減らすのではなくて、やり方を減す。そこにどういううまみがあるかと申しますと、生活保護費は、御承知の通り全国一律に出しておりますから、東京とか大阪というような財源が余つているところでも、やはりそれは国庫の金として出しております。そうしまして、今の案が——これは案かうわさか存じませんが、そういうことをちよつと耳にしたことはございますが、八割生活保護費として国家が出しております金を、五割はひもつきで今まで通り出す、あとの三割を平衡交付金へ組み入れるとしますと、今度は東京とか大阪とかいうような裕福な地方団体にはそれはまわさないで、その余つた額を貧弱なる地方に流しますから、同じ金額の八割の金が、五割は大阪、東京にも行きますけれども、三割分だけは東京、大阪なんかを除いて貧弱町村に行くから、三割分が四割、五割に向うという効果があることは事実なんですが、ただ問題は、そういうことがいいか悪いかいろいろ議論もございましようし、まだ検討したことはございません。しかしさようなうわさがあつたことだけは事実でございます。
  63. 岡良一

    ○岡(良)委員 地方財政委員会を所管しておられる大臣として、地方財政平衡交付金を地方に流すについては、その活用について、やはりここ二箇年間なりの御経験を通じて、何らか一応指導の基準というふうなものがあり得ると思うのでありますが、今日まで何かそういう明確な指導基準というふうなものはないのでありましようか。
  64. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 平衡交付金につきまして、その財源を與えるから指導——ということでございますか。
  65. 岡良一

    ○岡(良)委員 そうです。
  66. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 御承知の通りに、先ほど奥野課長が申しましたように、補助金でありますと、中央がいわゆる指導監督もしましようし、ときによれば干渉もするというふうになります。ところが平衡交付金は地方の財政需要と税による税収とを差引きしまして、足りないところを平衡交付金で渡します。しかし渡しました以上は、これは今問題になつている兒童福祉の金をほかへ流用して、兒童福祉が十分できないというような欠点があるから、兒童福祉をひとつ補助金でやつたらいいというおぼしめしでございますが、その反面、今度はまた地方は自分自身で自由自在に平衡交付金を使つて、ほんとうに自分の地方の実情に合つた政治をして行くという方面に使う、その自由がききますから、まあ平衡交付金の特長といたしますところは、地方がこれを自由に使う、従つてこちらからわけた以上は、あと使い道に対して指導はしないという建前になつておるのが平衡交付金でございます。
  67. 岡良一

    ○岡(良)委員 問題は先ほど青柳委員も言われましたように、指導といいましても、指導の方法もありましようが、補助金のように、あとで会計監査がすつかり結果を見てまわるというふうなところまでの強い指導でないまでも、やはり青柳委員が指摘されたように、まだ年端も行かない子供の福祉行政であつて、その行政自体も非常に日なお浅い行政であることは御存じの通りであります。單に制度化されたといいながら、なおまだ日本の長い家族制度の伝統は、子供を独立した人権として認め得るというところまで溶け込んでおらないことも御存じの通りであります。そういうことから、やはり全然干渉とまでは行かないまでも、先ほど課長は、地方分権を尊重する意味において、干渉は避けたいと言われまするが、それにいたしましても、こういう弱い行政、また制度というものについては——それは地方には、産業的にはいろいろな立地條件もありましよう。しかしながら、この児童行政というふうなものは、全国の最大公約数として、しかも新しい民主主義の国家としての日本が、子供の人権を尊重しようという大きな精神から生み出された制度であつて、今これからものにしようとしてかかつている。ところが、実際問題といたしましては、それがあるいは道路や橋の方に流れて行つて、福祉行政の方へは流れて行かないという実情は、たびたび私どもは事実を指摘して陳情申し上げておるのであります。そういう実情にありまするので、そういう点から、現に今年の予算におきましては、兒童局の予算は約三億ほど減つておる。なぜ三億減つておるかというと、保育所は今後あまり新設をしないということなんです。なぜかといえば、一つには、地方といたしましては、二分の一の国庫補助があつても、他の二分の一は、地方財政そのものが貧弱なために、その補助金を国から半分いただいても、自分たちの負担に耐えられないという事情もありましようし、いま一つは、やはり何と申しましても、まだ地方において兒童福祉行政というものについての認識がない。地方の行政執行者にないのか、あるいは地方の県議会を構成する議員諸公にないのか知りませんが、事実ないのであります。従いまして、昨年度においても、保育所等の閉鎖がひんぴんと起つておる。こういう点を考えまするときに、一年ゆつくり考えて何とかしたいとおつしやることでは、実はわれわれは納得ができないのでありまして、これは今後あるいは予算の追加補正等もありましようが、何らかの機会に原則を変更していただいて、兒童福祉行政については交付金からはずして、費目をつけて流していただきたいと思うのであります。特に岡野さんは三箇月有余英国におられたようでありますが、英国では出産手当や分娩手当や児童手当や、あるいは義務教育費の全額国庫負担が行われ、保育所の施設なども、見かけはみすばらしくとも、それを要求する母親の要望に十分こたえて、百パーセント保育所に子供が行つております。日本では、東京都内においても、まだ要求の一割か二割しかこたえておらないという事情にありますので、そういう点もどうかひとつ大臣の英国での御体験等を十分、ごしんしやくいただいて、地方財政の根本的建直しなどということは別といたしまして、緊急なこの問題について御善処をしていただくことを、この機会に心からお願いを申し上げる次第であります。
  68. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 るるお説を伺いまして、十分御趣旨の点を尊重いたし、善処いたしたいと存じます。
  69. 大石武一

    大石委員長 苅田君。
  70. 苅田アサノ

    苅田委員 先ほどから伺つておりますと、岡野国務大臣も、それから主務課長の財政課長も、この兒童の補助金を平衡交付金の中に入れるべきか入れるべきじやないかという問題については、まだ研究中だというような御答弁がありましたけれども、私はどうもそれはほんとうとは思われないのです。というのは、この平衡交付金の中に補助金が入つておるために、兒童福祉行政ができないということで、吉田内閣の兒童行政を従来から担当しておられましたところの児童局長自体が、昨年の秋この委員会で、これでは困るということをはつきり言つておられるのです。それだけではなくして、全国の兒童課長会議の、ついせんだつての箱根の会議でも、現在のような平衡交付金の中に含まれた状態では、兒童の福祉事業はできないという結論をはつきり出しておることは、あなたも御存じだと思うのです。それから厚生委員会で取調べましたところの兒童行政がどういう状態になつているかということは、先ほど自由党の青柳委員から、るる説明申し上げた通りでありまして、その結果によつてども委員会では、自由党を含めまして全会一致で、どうしても平衡交付金の中から兒童施設費等を含んでおる兒童福祉行政に対する補助金はわけてもらわなければならないという結論を出しまして、これは衆議院の決議にもなつておると思うのです。それからまた全国兒童福祉事業に面接携わつておるところの団体の運営者たちが、どうしてもこの兒童の費用を補助金にしてもらいたいということを、昨年来、もう足をすりこぎのようにして関係当局に陳情しておられることも、十分御存じだと思うのです。これ以上どういう御研究をなさつたら、この兒童行政が円滑に行つている、いないという結論が出るのか、まだこれ以上研究なさる必要があるかどうか。私どもは、平衡交付金制度そのものをやめてほしいということを、今言つているのではないのです。この兒童福祉行政を、今の平衡交付金の中に置いておくことは、児童憲章にうたわれ、児童保護法にうたわれておるように日本の子供を守ることはできないということは、この児童の問題に直接関係しておるあらゆるところから結論を出しておるのに、まだ結論をお出しになる必要があるということは、どうも私は納得が行かない。これはどういうことですか、ちよつとお伺いしたいのです。
  71. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 お答え申し上げます。先ほど私から青柳さん、岡さんにお答え申し上げました通りに、まだ十分研究が積んでおりませんので、結論が出ないわけでございます。去年からというお話でございますが、兒童福祉補助金から平衡交付金にしましてから、まだわずかに二年でございましてその二年のうちには、児童福祉だけでなく、ほかの方面にも、先ほど申し上げましたように、地方自治の確立ができておりませんものですから、利用しない点がたくさんありますので、そういうこともあわせ考えなければならぬと思います。この委員会でいろいろ御研究になつ実情によりますれば、ますます早く分離いたさなければならぬという感じを受けました。しかし、平衡交付金にいたしますときに、国家の補助金が三百六十億あつたのであります。それを三百億減らしまして平衡交付金にしました。平衡交付金にするには、相当研究してやつて来ておるものでございますから、われわれ今後かえますにつきましても、ただいま奥野課長から申しましたように、両方の見方を天びんにかけましてやらなければならぬと思います。しかし、今日皆様方から承りました御高説は、十分尊重いたしまして善処する次第でございます。
  72. 苅田アサノ

    苅田委員 これはもう御高説でも何でもないので、こういう実情については当然あなた方も御存じだと思うわけです。それで今私がお聞きしたのは、平衡交付金自体が、実際にうまく行つているか行つていないかの点は、いろいろの問題があると思うのですが、そういう大きな平衡交付金自体の問題でなくて、今の実情から兒童べの補助金を別個にしないということでは、兒童保護法にうたつてあるようなことを、そのまま実行することのできるような措置はとれない。まだそういうことの御研究をしなければ判断が出ないということなんですかどうですか、この点をひとつお聞きしたいと思うのです。
  73. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 お答え申し上げます。これはやはり地方の理事者また地方の財政を担当しておる方面の意見も、十分私は聞かなければならぬと思います。問題は、そういう点ではなくて、地方財政がほんとうに窮乏しておるということが、すべての欠陷の根幹だと思つております。でございますから、抜本塞源的にそれを直すことが第一と思います。しかし青柳さんから、それもそうだけれども、こういう情勢になつておるから、これは並行的、もしくは兒童福祉の方を優先的に考えたらどうかというお話もございましたから、そういたしましようという御返事を申し上げておる次第でございます。
  74. 苅田アサノ

    苅田委員 地方の理事者の考えをお聞きになるのでしたら、これはもう出ておると思うのです。と申しますのは、全国の知事会議において、平衡交付金が現在のような状態では、地方のいろいろの行政がとてもできないから、この平衡交付金自体をふやしてくれろということは、これは地方の財政の当局者自体が言つておるわけです。これは衆参両院が、わざわざ前国会に会期を延ばして決議もしたということは、私は当の責任者である国務大臣は御存じだと思う。ところが、今度平衡交付金が、そういう地方の理事者の要求しておるものより、大幅に削られておるという現状なんですから、この現状であれば、結局昨年度と同じように、優先的にどんどんほかの方にまわされてしまつて、兒童の保護費として出て来ないということは、もうわかつていることと思うのです。私はそういう逃げ口上でなくて、ほんとうにどうしたら日本の子供たちを守れるかという立場から、もつとまじめなお答えをお願いしたい。そういうことでは、全国の兒童の問題に携わつておられ、今日まで政府の児童福祉事業に協力して来られた人たちにしましても、おそらく私は現在の政府によつて兒童が守られるということはできないという結論を、私は下さざるを得なくなつて来るのではないかと思うのです。ですから、研究中だといつて、これに対するはつきりした結論を、新しい来年度からの実施に移されないというようなことでは、私は大きな社会問題が起るというように考えるのでありますが、大臣は一体いつまで研究なさつておるつもりか、大体研究の結論は一年先でもよろしい、二年先でもよろしいというお考えでやつておいでになるのかどうか、この点につきまして、私は御答弁願いたいのです。
  75. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 私が非常に気が長いようなお説でございますが、私は地方財政を担当しております立場上、單に一兒童福祉の問題に限らず、先ほども御言及なすつたように、ほかの方面の財政の処理についても、心配しております。平衡交付金が足りないということも、大きな問題でございます。これはすべての事業にかかつて来るのでございまして、あちらでもこちらでもそういうようなおしかりをこうむるわけでございますが、何を申しましても、結局地方の財政が逼迫しておるということは事実であります。これを直すということよりほかに、抜本塞源的に救済して行くことはできないのであります。ただ、私どもといたしましては、地方自治を確立いたしまして、地方にいろいろな行政をまかせておりますから、もし私は——これははなはだ恐縮でざいますが、過去のごとき御熱心なる御議論が、地方の自治団体の議会の中において起きましたならば、その地方の自治団体では、おそらく御趣旨に沿うような、いろいろなほかのことをほつておいても、兒童福祉の方に金を出すようになるのではないかと思います。その点、私ももう少し地方の自治団体の議会の様子あたりも調べてみなければならぬと考えております。
  76. 苅田アサノ

    苅田委員 今の地方の自治団体が、中央の議会と同じように、自由党の議員により大多数を占められておる現状で——この中には、青柳議員とか、丸山議員というように、こういう問題で私どもと一緒になつて協力しておられる方もおいでになりますけれども、これは私はそういうことをおつしやるのは、自由党の幹部である岡野さんとしては大した失言だと思う。そういうことはできないことはわかつておると思うのです。  次にこの点を一つお聞きしたいのですが、昨年の十二月に、この兒童福祉関係しておられる関係団体に対しまして、大蔵、厚生両大臣から、来年度からは兒童の措置費は補助金にするというような確約が與えられたということを、私どもは印刷物になつた児童福祉財政委員会等からの報告で聞いているわけなんです。そういうように、昨年末に厚生、大蔵両大臣がこれを平衡交付金からはずしてもいいというようなはつきりした考えをお持ちになつて、これを発表しておいでになるにもかかわらず、この問題が突如としてまた平衡交付金の中に繰入れられたということに対しましては、私どもはどうも納得が行かないのです。これは岡野大臣関係閣僚会議で、この平衡交付金からはずすということに対して非常な反対の意見があつたということも、私どもは巷間伺つているのでありますが、一体どういうわけでそういう親心のないような措置をなすつたか。これはあなたの御自分お一人の考え——やはりそういうことをするのには、もつとあなた自身でどうすることもできないような強力な何か関係があつたのかどうか。私はやはりこの問題につきましても、率直に御答弁願いたいのです。
  77. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 お答え申し上げます。大蔵大臣厚生大臣一致してそういう意見にきまつてしまつておるのを、私がこれを押えておるということでございます。たいへん私を偉い者にしていただきまして恐縮でございますが、実は大蔵大臣厚生大臣も、そういうことをはつきりと申し上げたとは、私は考えておりません。厚生大臣から相談は受けました。そして両方ともよく相談しようじやないかということにはなつておりますが、厚生大臣がこうするのだ、大蔵大臣もそれに同調してこうするのだ、しかし岡野がそれに反対してやめさせた、そういう事実は毛頭ございません。
  78. 苅田アサノ

    苅田委員 それではさらにお伺いいたします。全国の知事会議において、平衡交付金を増額するということが、非常に要望されました関係上、この兒童の福祉費を平衡交付金の中からとるということは、総額の上において外見上非常に少くなる。そうでなくてもそこれが問題になつておるのに困るというふうな、そういう処置考えられて、これは平衡交付金の中からはずされなかつたんだというようなことも、相当確かなところから出ておるのでありますが、こういう点は、そういうような政治的な取引のために、兒童の大切な保護をするための処置が左右されたかどうかということ。もしそういうことがあつたとすれば、非常に問題があると思います。この点につきましても、私はひとつ真相をはつきりお話願いたいと思うのです。
  79. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 お答え申し上げます。それはまつたくの誤伝でございまして、そういう事実はございません。
  80. 大石武一

    大石委員長 苅田さん、ほかに発言者もありますから、一まとめにして質問してください。
  81. 苅田アサノ

    苅田委員 大臣の方から、大蔵大臣厚生大臣も、そういうことを外部の団体に話したことはないとおつしやり、また知事会議のそういう要請に対しても、そうした政治的な取引から、この兒童の補助費を平衡交付金の中からはずすということも全然ない、こう言われてしまえば、私はそれ以上、今日あなたに、そういう答弁は詭弁だ、真実でないということを申し上げる根拠がないわけなんです。しかし、このことはいずれ外部の諸団体も、まんざら盲でもおしでもないでしようから、そういう大臣の御答弁に対しては、それぞれの場所で批判があると思います。また知事会議の問題にいたしましても、これはいずれ明らかになることができると思いますから、私は今日の御答弁はそのままでよろしいと思いますが、問題は、明らかにこういうふうに保護費が中に組まれますと——大臣もこれは御存じかと思いますけれども、今まで保育所の給食費だけは、去年まではまだ別個な厚生省の予算の中に組まれておつたのでありますが、今年からは、その保育所の給食費までが平衡交付金の中に入つてしまつておるのであります。こうなると、実際今日のような、父母が生活上に非常に困窮いたしております大多数の日本の家庭では、保育所にやるということすらが、非常に重荷になつて来ております。今でもそういう保育所関係に対する補助費が十分出ておらないために、経営者の方では、本意でないにもかかわりませず、どうしても一部分は、家庭的に恵まれた子、優先的に、保育所の対象にしなくてもいい子供さんを預からなくては経営ができない。もつと大きな社会的な見地から見て預からなければならない家庭の子供が預かれないという実情があることは、そういうところで働いておいでになる経営者なり、あるいは保母さんが言われておる。今年の予算から見ますれば、そういうほんとうに国として、兒童保護法の立場からも、児童憲章の立場からも守つてやらなければならない、両親にかわつて保護しなければならない子供が、ますますそういう保護からはずれて来るという傾向が、去年よりもつと出て来ている、もつと去年よりひどいことになると考えております。しかしながら、こういう問題をも御存じの上で、平衡交付金の中に補助費を入れておいてもいいか悪いか、研究しなければならぬというようなことを、あなたはまだお考えになつておるかどうか、私はもう一ぺんその点をお聞きしたいと思うのです。
  82. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 今お話のように、もし補助費が増額されなければならないというふうなことになりました場合には、それらの数字をよく検討いたしまして、兒童福祉行政にかわります基準財政需要額を、それだけ増額するような措置をとりまして、近く国会に提案する予定であります。
  83. 苅田アサノ

    苅田委員 今おつしやつたことで、少し最初のところを聞き漏らしたのですが、そういう措置費等について平衡交付金の中で十分行われないということがはつきりわかつたら、それだけのものは特別な予算を厚生省予算の中に計上して、これを円滑にやられるということを考えておる。大蔵省の方でそれだけの財政的な余裕はあるのだ、こういう御答弁つたのですか。
  84. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 給食関係に関しまする措置が、若干かわるようであります。その結果措置費を引上げなければならないという場合には、兒童福祉行政に伴います府県なり市町村なりの出費がふえるわけであります。従いましてその部分の財政需要の測定額を、ふえました部分だけ織り込みまして計算するようにいたします。
  85. 苅田アサノ

    苅田委員 何に計算するのですか。
  86. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 各地方団体で財政需要がどれだけあるか、そういうことを兒童福祉行政なり土木行政なり、個々について測定するわけであります。測定された金額は、地方財政平衡交付金と、その団体の徴税収入とでまかなえるような仕組みになつているわけであります。その基礎でありますところの財政需要額を、それだけ増額して測定いたすようにするわけであります。従つてまたその団体の財源がそれだけ多く與えられるということになるわけであります。
  87. 苅田アサノ

    苅田委員 それは給食費だけの問題につきまして、そういう措置をなさるということなんですか。私、今話を聞きましただけでは、すぐそれならば、少くとも保育所の給食に対しては、母親が子供を出すのに苦労しなくても済むのだということがはつきりわかるような——私の頭が少し悪いせいかどうかしりませんが、よろしいなというような御答弁でない。そういうことが、はたしてあなたのおつしやるように行われるかどうかということは、どうも私としては納得がいかないのですが、その問題はそれでよろしい。  それから、さつきお尋ねいたしました大臣が研究なさるということは、いつまで研究なさるかという時期、これは私まだ御答弁つていなかつた。それでそのことはやはり非常に大きな関心の的になつておると思うので、大体いつごろまでにそういう結論を出して、出すとすぐ本年度予算の中に組んでそういう措置をなされるおつもりであるかどうか、この点をひとつ御答弁願いたいと思うのです。
  88. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 御答えを申し上げます。物事はいろいろな経緯もございますし、研究の過程もございますから、いつということを、ただいまはつきりと申し上げるわけに行きません。これは先ほども申し上げましたように、皆様の御意見を尊重いたしまして善処する、ということは、早くするということであります。
  89. 苅田アサノ

    苅田委員 私はこれ以上いくら質問してみても、さつきからのような大臣の御答弁では、結局質問する方が侮られているという感じが強いのです。まじめな御答弁とは私は思いません。ただ私が申し上げたいのは、子供は黙つておりますけれども、しかし今のような政府責任者としての御答弁では、子供は何も云えないからといつたつて、これはそのままでは済まない。子供はあめ玉をほしがつているのですから、それに鉄砲玉を食わせてがまんさせるということはできないのです。先般来の大臣の、兒童の保護費に対する実に冷淡な、率直でない御答弁、今の吉田政府で行われている防衛費とか、再軍備費とかということの現われが、そのまま兒童の世界をこういうふうに脅かしているのだということを、いまに日本中の黙つている子供たちにかわつて、親たちや、子供に関係を持つている人たちが知るに違いないのだから、そういう人たちが、最もよく大臣の不誠意な御答弁に対して返答するだろうと思いますので、私の質問はきようはこれで打切ります。
  90. 堤ツルヨ

    ○堤委員 地方財政委員会の方を担当しておられます岡野大臣が、先ほどからの各委員の質問に対しまして、一にかかつて地方財政の貧困に起因しているということを答弁しておられるのでありますが、私たちこの委員会は、国会休会中に、昨年来各地方にわけて、ブロックごとに厚生行政の視察をいたしております。そのときに各府県から私たちにいろいろと陳情がございますが、その中には必ず兒童福祉施設の関係予算を、補助費にもどしてくれということの陳情を、実は承つているのでありまして、われわれ厚生委員といたしましては、それではしつかり国会でこれを実現するようにいたしますというので、この委員会で超党派的なまじめな検討をいたしまして與党の議員諸公も十分これを了とせられて、実は一度決議されているというような始末になつているのでございます。ただいま地方財政が貧困だから、こういうことになるだろうとおつしやつておりますが、岡野大臣のお言葉の通りでございます。先ほどから青柳委員、岡委員などは、そう露骨におつしやいませんでしたが、苅田委員がお触れになりました、平衡交付金は約束の額だけが地方に流せない、知事はやかましく言う、各地元に行つてみれば、地方は赤字をころがしているので、どうしても、平衡交付金の額をたとい一文でも多く見せかけなければならぬ。ここに政府が非常な苦境に追い込まれ、そこで知事の目をおおわんがために、平衡交付金の中に何でもかんでもぶち込んで平衡交付金を多く見せかけて、これだけのパーセンテージをやつたからごめんしてくれというようなことで、カバーしなければならない。かくのごとき、守られなければならない兒童福祉行政の予算は、検討の余地などなく、十分な結論が出ておりながら、なお故意的に平衡交付金の中に織り込まれているのではないかと、実に意地の悪い解釈でありますが、私はいたしております。なぜならば、先ほどから財政課長の御説明もございまして、ああいう常識は私たちも十分了といたしますし、また同感に思うところもございます。たとえば、先ほど大臣がおつしやいましたが、生活保護費の今の国八割、県二割というものを、五分に補助費を減らして、平衡交付金の中に三割を入れてみるというのも、実に妙味ある政策、やり方じやないかという考えを持つている。それはなぜかといえば、東京都、大阪市のような大都市に薄く、恵まれないところに厚くやるような手も打てるというようなことをおつしやいましたが、そういたしますと、先ほど課長もおつしやつておりましたように、逆に補助金に当然そういう手が打てる、補助金にもどして、平衡交付金の中にあります今の児童福祉関係の予算を、今岡野さんがおつしやつておつたような、妙味あるものにさえかえることができるのでございまして、私は今なお検討中だとおつしやるその政府の結論と、先ほど課長や大臣のおつしやる言葉とに食い違いがある。実にしどろもどろの答弁である。私は、地方財政平衡交付金の中に、犠牲的に加えられておる兒童福祉予算というふうに、実は曲解かもしれませんが解釈いたしまして、先ほど苅田委員と同じような考えを持つておるのでありますが、どうですか。結論は出ておるのでございますから、大臣思い切つて、これは平衡交付金の中にごまかさないで、補助金に返す御決意をなさつていただきたい。もしなさらないならば、私はここで動議を提出いたしまして、與党の委員諸公も賛成していただいて、この厚生委員会におきまして、補助金制度にもどすべきであるという重ねての決議を、きようしていただきたいと思つておるのであります。  先ほどからの苅田委員に対する答弁を聞いておりましても、可及的早く結論を出して——そう気の長い私でありませんという答弁でございましたが、政府のなさる答弁はのらりくらりとしておる。そういう言葉が三年、四年も続いた場合が、厚生委員会におきましては多いのであります。あながち岡野大臣だけとは申しませんけれども、非常にたよりない気がいたします。陳情を聞き、地方視察をいたし、関係当局の方々の御苦衷を、昨年の五月以来聞いて参りました私たちといたしましては、国会において責任を持つておりますので、大臣は虚心担懐に、この点だけは、それじや補助金に入れよう、修正してでももどそうという気持に、ここでなつてもらえないものか。先ほど御高説とおつしやいましたが、われわれ委員がここで申し上げておりますように、この御高説は今に始まつた御高説ではありません。二番せんじ、三番せんじ、四番せんじの出がらしでございますから、そこのところを認識を改められまして、ここで思い切つてつてもらいたい。思い切つてなさらないならば、委員長のおとりはからいによつて、再度委員会の決議をしたい、私かように思つております。
  91. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 せつかくの堤さんのお話でございますが、これは私一人で決定すべき筋会いのものでございません。先ほども申しましたように、さいふの元を締めておる大蔵大臣、主管大臣である厚生大臣もおりまして、そういう人たちが十分そういう気にならなければなりませんから、私自身は善処する考えでおりましても、あと両主管大臣がおりますし、閣内には十六人ほどおるのでございますから、これを今日あなたにお約束申し上げることは、ちよつと御遠慮させていただきたいと思います。
  92. 堤ツルヨ

    ○堤委員 それでは念のために申し上げておきますが、委員会では厚生大臣は了としておられるのですが、その点よろしゆうございますか。
  93. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 承知しました。
  94. 堤ツルヨ

    ○堤委員 非常にこづらにくいことばかり申しますが、岡野大臣がお見えでありますので、よう聞いていただきたいと思うのです。私たちが、いろいろ行政をやつておいでになる兒童局長あたりにお会いいたしますと、非常にこぼされる言葉があります。一部の局長、課長がおいでになるのに、非常に何でございますが、実際大蔵省の横暴というものは言語に絶する、こう言うのです。大蔵官僚と厚生省の官僚とが太刀打ちしても、歯が立たぬと言われる。私過去三年有半国会議員をしておりますけれども、大蔵官僚の骨組みの入つた予算が提出されたら、絶対多数の威力もございますけれども、議会などで少々がんばつても動かない。そういうことを考えたときに、はたして国会の必要ありやいなやということを、私過去三年の予算編成を見て、考えるのであります。むしろ大蔵省だけがお残りになつて、弱肉強食の政治を昔のままお続けになつた方が、民主化なんて口の先で言つているより、よほどきれいじやないかと思う点が非常に多い。これはあながち大蔵官僚の方だけを攻撃はできませんが、しかし絶対多数の自由党の方々の中にも、国会で奮闘なさつている青柳委員丸山委員あたり、特に憤慨していなさると思うのですが、国会に厚生予算が政府から提出されて、いまだかつてそれが一文も動いたことがない。まるで国会議員が討論会か雄弁大会をやつているようなありさまで、結論においては国会に提出された予算は、右にも左にもちつとも動かない。上にはマツカーサー、あるいは今のリツジウエイがおいでになり、また吉田反動内閣の性格もありますから、しかたがありませんけれども、これでは国会にほんとうの審議権が與えられているのかどうか疑問を持たざるを得ません。  もう一つつつ込んで申しますと、予算のぶんどり期になりますと、各省から予算の要求をして来るのでありますが、大蔵官僚の方々は、厚生行政の面からまじめに立案した要求額に対しても、くちばしをお入れになつて、ただ大蔵省の立場のみから、これをどろ沼の中に捨てるがごとく、弊履のごとく捨て去つて、厚生行政の面から見た意見は全然取上げられなかつたというのが、過去占領下における大蔵省のあり方であるということは、厚生関係だけではなく、至るところで言われておる。今日大蔵省の局長になり、課長となつているおえら方は、学校時代も俊秀な方で、試験もしつかり受け、われわれなどは歯も立たないような優秀な方ばかりだということは聞いておりますけれども、あまりにも横暴ではないか。この点は、一ぺん池田大蔵大臣に出てもらつて、直接申し上げてみたいと思うのですが、何がために今日厚生省があり、文部省があり、労働省があるのかということを考えるときに、先ほど青柳委員も言つておいでになりましたが、終戰後生れた若い行政、しかも文化行政、社会保障的な行政に対しましては、もう少し今日の弱い、貧しい財源の中から、守り育てて行こうという大蔵当局の人間的な誠意がなければ、いつまでたつても、日本の政治は進歩しないのでございまして、厚生省など何のためにあるのかわからないといつても、決して過言ではないと思う。この点、中間におられる奥野大臣に、この大蔵省の態度に対して、ひとつきびしい批判を今後も加えていただきたいと希望しますので、こういうことを申し上げるのでございます。厚生省などは、大蔵省に歯も、立たないそうであります。厚生行政的な見地から予算を要求されましても、大蔵省は弊履のごとく捨てて、お前たちはそんなことを言わないで黙つておれと言われる。こう申すと、厚生省の局長の方々をばかにするようですが、実際吉田ワンマンのもと、大蔵官僚連中も、みんなワンマンぶりを発揮しておられるそうでありますから、その点特に申し上げて胸によくたたき込んでおいていただきたいと思うのであります。  そこで私は動議を提出いたします。今日與党の委員諸君は非常に少うございますけれども、一番強硬であられる岡野大臣ががんばられるので、兒童福祉行政は、平衡交付金の中からどうしてももどすことができないという流布さへあるので、今日岡野さんをここへ呼び出して、各委員が質問をいたしましたけれども、かくのごとき責任のない答弁しか承れないといたしますならば、とうていこれは希望をつなげないものと私は存じます。そこで再度の決議ではございますけれども、今日この厚生委員会において、正式に兒童福祉関係する予算は補助金にもどすべきであるという決議をしていただきますよう動議を提出いたします。委員諸会の御賛成を求めるものであります。
  95. 大石武一

    大石委員長 ちよつと速記をとめて……。     〔速記中止〕
  96. 大石武一

    大石委員長 速記を始めてください。  それではお諮りいたします。兒童福祉に関する決議をされたいとのことでありますが、その構想を練ることは、母子福祉に関する小委員会にまかせることとしまして、委員長において納得の行くようにとりはからいたいと存じますから、以上御了承を願います。     —————————————
  97. 大石武一

    大石委員長 最前会に引続き保険局関係予算の発言を続行いたします。
  98. 金子與重郎

    ○金子委員 大分時間が切迫しておりますし、なお、きよう保険局関係を終らせたいというお話でありますので、こまかい点は小委員会に譲りまして、もう二、三点質問したいと思います。  まず第一に、保険事務費が全額ということになりまして、健保の方は八掛がやはり今年度から全額ということになつておりますが、この健保と国保の問題で、被保険者一人当りに対する事務費の割合はどう違いますか。
  99. 久下勝次

    久下政府委員 健保の場合は被保険者一人当り百三十七円五十銭——これは政府管掌の健康保険の事務費を被保険者数で割りまして、健康保険組合等はその額でやつております。それから国民健康保険の場合は、御承知の通り家族が全部被保険者ということになつおりまするので、ただいまの積算の基礎は、そうしたものを全部被保険者として一人当り五十三円七十銭ということにしまして、積算をしてあるのでございます。
  100. 金子與重郎

    ○金子委員 そうすると、健保の方の、百三十七円五十銭というのは、一家族に対するということになりますか。
  101. 久下勝次

    久下政府委員 一年間一家族といいますか、とにかく働いておりまする者が家族を養つておりましても、その家族のことは念頭に入れないで、被保険者一人当りということでやつております。
  102. 金子與重郎

    ○金子委員 国保の保険料のうち、今年から、保険税としてとり得るという形になつたわけでありますが、そのときに国保の保険税の内容でありますが、財産割というような性格の費用が全体のどのくらいを占めておりますか。
  103. 山本正淑

    山本説明員 国民健康保険税の課税標準の割合につきましては、法律では標準が示してございまして、財産割といたしまして、たしか二〇%ということになつておると思いますが、ただ実際におきましては、従来の保険料をどういうふうに積算いたして賦課しておつたかということによりまして、個々の町村によりましては、若干相違がございますので、今正確に何割になつているかという資料は、持ち合せておりません。
  104. 金子與重郎

    ○金子委員 この問題は、将来保険のあり方に対して非常に重要な問題でありますので、お願いしておきますが、保険の性格は違いますけれども、個人の勤労所得、要するに国民健康保険加入者の勤労所得に比例されて課せられる金額と、それから財産收入その他の性格によつて課せられるものと、これを大体目安を近くとつておいていただきたいと思います。調査していただきたいと思います。これはなぜかと申しますと、今の社会保険の中で、資産収入というものを保険の対象にしておるのは、ここだけでありまして、ほかの人は勤労者がかりに百万円の預金を持つておりましても、全然それは保険義務の対象になつておりません。ここだけがこういう形になつておりますので、そういうことは今社会保険という形になつておるけれども、結論から行きますと、実際上ここだけは国家さえもやり得ないような社会保障を、町村にやらせておるというこうになるのであります。そういう点において、今後の保険のあり方に対して、重要な一つのポイントだと思いますのでお願いするわけであります。  それからこまかい点については、小委員会で研究するといたしまして、せんだつて健康保険誤長の答弁には、少し私は不愉快であつたのであります。大工や左官というような自由労働者、こういう者を救済する道はないというふうなことを、幾度もおつしやられておるのでありますが、実は救済という言葉を使うのは、言語道断の次第でありまして、この人たちが一体救済されるなんということはないのであります。これは健保で救済するとか、国庫で救済するとか、救済ではありませんで、今の保険制度の欠陥がそこにしわを寄せておるのでありまして、これは申訳ない話でして、救済どころの話ではなくて、これに対する根本的な考え方をしなければならないというふうにお考え願いたい。同時に、それを今の健保で救いたいというような、やはり救済というような考え方でなく、そういうふうな社会層が日本の国民にたくさんあるのだ。従つてこれは拔本的な一つのものの考え方を面さなければいかぬということを、保険局長も各課長も、自分の保険課のセクシヨンにとらわれないで、もう一ぺん全体的に考えてみるというふうに、今後考えていただきたいということをお願いしておきます。  あとこまかい点は、小委員会でいろいろ研究させてもらいたいと思います。
  105. 岡良一

    ○岡(良)委員 先ほど久下さんのお話に、国立病院の方の単価はまた一割引下げる、こういう御発言があつたようで、これはまことに不遇な発言だと私は思うのであります。大体国立病院の経営は、やはりいろいろの点で非常にきゆうくつなために、保険一般單価引上げのときも、国立病院の諸君、特に事務担当者は、双手をあげて賛成しておられる。そこでどうやらそれも思い半ばに過ぐる不足した引上げではあるが、一応のんでおるというのが現状なのであつて、これをまたさらに国保の経営難を理由にして引下げるということになるということは、われわれの建前からどうしても納得できないのです。これはどうしてもやはりそういうことをせずに、ちやんと保険財政からは国立病院へ拂つてやる、そうしてそのもらつたもので施設の充実なり、不足定員の充実なり、あるいは八十二円が今年も八十二円だというような給食費は、やはりもつと栄養を必要とする病院に、適当なところに引上げるというようなところへ大きくさばいて行かなければならぬのに、またこれを引下げるということでは——保険局長におなりになつたのだから、保険財政を要領よく運ぼうという事務官僚としての要領のよさをねらわれることもさることながら、こういう保険財政の危機にあつては、やはり事務官としての要領のよさよりも、保険制度そのものを守らんとする、もつと高い政治的な責任感を強く要求したいのだが、これを申し上げるとまた長い議論になりますので、その問題はさておきまして、この際ちよつと二、三事務的な点でお尋ねしておきたいのです。  実は年金保険の制度ですが、厚生年金とか、あるいは船員保険の中にも含まれておるし、また恩給制度もありますし、いろいろなふうに、年金制度が非常に受給の資格においても、また受給の年齢においても、あるいは給付の額においても不統一になつている。これはやはり農民をも含めた国民年金制ということが理想ではありますが、さしあたりこの行政整理ないしは行政機構の簡素化の進捗というものとにらみ合せて、この重要な問題、事務費あるいは統計事務等の台帳の問題、いろいろな点で非常に複雑な問題があるので、何らかこの年金制について統一をする必要があるのではないかということを考えるのですが、その点について保険局長としての率直なお考えを承りたい。  もう一つは、保険制度も御存じのようにいろいろな社会保険の制度があつて、所管省も別なら、また制度においても非常な不統一があります。たとえば労災とか、失業とかいうものも、この行政機構の簡素化の線に沿つて、やはりもつと社会保険行政というものの一体化、統一、総合運営というような方向に持つて行くべきではないかという点が第二点。これは直接保険行政にタッチしておられる立場から、率直にこのお考え参考としてお聞きしておきたい。  それからもう一つ、年金の積立金が四百八十億ほどあります。これはあの会計法に上つても、やはり被保険者の福祉に還元し得る道は、法律の上に認められているわけなんだが、これが今日まできわめて少い。これは先般の予算委員会においても、大蔵大臣も、その声を十分聞いているので、善処したいというようなことを言つておられましたが、一体厚生省では、これまでその方面の努力をされたかどうか。またされたけれども、どういうところに隘路があつたのか。予算委員会において大蔵大臣が言明された以上、今後うんとふんばつてもらえば、五百億といえば相当のものですが、何らかの道がありそうに思えるので、そういう点についての今後の御構想。それから大体被保険者が四百五十億ほど保険料を拂つておりますが、この保険料も、営利企業である保険会社の保険料が、今度は引上げられて、四千円税金から控除される。してみれば、強制的に法律で加入しておる、しかも労働者や農民のこの保険料というものは、当然基礎控除の中に含まれていいのではないかと思いますが、こういう点についても、かつて努力されたことがあるかどうか、また今後の見通しはどうか、こういう点をひとつ率直なところをお伺いしたい。
  106. 久下勝次

    久下政府委員 最初に国立病院の診療費の割引のことでありますが、先ほど利きわめて簡單に申し上げましたために、あるいは御了解違いがあるのではないかと懸念いたしますので、これはちよつと詳しく申し上げておきたいと思います。  これは先ほど申し上げました国民保険の診療費の勢約の單価につきまして、一般的に厚生次官から全国に通牒を出されました趣旨と、かわつておらないのであります。その地方々々の実情に応じまして、一割ぐらいの限度までは割引してもよろしいということを、医務局長の方から全国に通牒が出たのであります。この問題は、私の方で全般的な通牒を出しますのに関連をいたしまして直接厚生省が運営をいたしております国立病院のことでもありますので、実は私の就任前、前任者のころから、医務局との間に話合いが進んでおりました問題であります。その後話合いがつきまして、ただいま申しましたような趣旨で出したのでありますから、御了承願いたいと思います。  それから年金制度に関してのお尋ねでございますが、確かに現在の各種の年金制度は、各種の法律の中に入つております。必ずしもその間に統一のないことも御指摘の通りであります。この問題は、ただちにこれを統一するという考え方で進みますかどうか、まだきめておりませんが、少くとも年金のぺースにつきましては、根本的にこの際検討をする必要があると思いまして、各種の年金制度を通じました一般に通ずる問題として、私どもとしては少くとも本年中、昭和二十七年中に何らかの結論を得まして、国会においてまた御審議をいただきたいと思つておる次第であります。  第三の社会保険制度の統一でございますが、これは社会保障制度審議会の勧告にも明らかにされておる通りであります。同時にこのことは、私どもの年来の主張でもあるわけでございます。ただ省が違つたりなどいたしますために、なかなかそれぞれの主張が一致いたしませんで、今日まだ実現を見るに至つていないのでありますが、私どもとしては、将来とも社会保障制度審議会の勧告の線に沿いまして、折衝を続けて参りたいと思つております。  それから厚生年金の積立金の運用の問題でございますが、これは終戦直後に、総司令部の指令によりまして、さらにそれがそのまま二年ほど前に、資金運用部資金法という形によつて律せられておりまして、私どもの望むような運用ができなかつたのは事実でございます。またできませんのは、そうした法律によるのでございます。この点につきましては、実は保険局におきましても、かねてから間断なく、何とかしてもらいたいという話合いを進めておつたのでありますが、昭和二十七年度の資金運用部資金の運用計画の中に、きわめてさ少ではございますが、数億の金が現在の法律のわく内で、何とか労働者の福祉施設のために使えるように、大体大蔵省当局も了解をしてくれておりまして、ただいま地方財政委員会その他大蔵省などと話合いをしておるところでありまして、この問も申し上げたのでありますが、この点は相当な見込みがあるものと思つております。このことは初めてのことでもありまするし、また法律建前関係もありますので、昭和二十七年度の計画の上には、そう大きく頭を出すわけには参らぬのでありますが、私どもとしては、近い将来におきまして、資金運用部資金法の改正をしてもらつて、各方面の御要望にこたえ得るようにして行きたいと思います。同時に、さつきも申し上げました、数億の金の現在のわく内においての運用それ自身が、今申し上げましたように、将来への明るい見通しを與えてくれたものと期待をしておる次第でございます。  それから保険料の課税控除の問題でございますが、これにつきましても、厚生省としては、従来非常に熱心に財政当局と折衝を重ねておつたのであります。打明けて申しますと、実は事務的には相当の程度まで見通しが立つてつたのでありますけれども、最後の段階で——現在おそらく提案になつておるのじやないかと思いますが、所得税法の改正の中には、これが現われずに、遺憾ながら提案をされておるような実情でございます。この点は、一方における一点單価値上げのこととも関連がありまして、事業主あるいは被保険者方面から、非常に熱望のあることでもありますし、私どもとしては、一応はそういうような結果に終りましたけれども、なお関係の向きと折衝を続けておるところでございます。
  107. 岡良一

    ○岡(良)委員 そうすると、資金運用部資金に入つている四百八十億と予想される積立金は、これは利子を見積られるものですか。もし利子が見積られるとすると、どのくらいの額になりますかということ。それから今所得税の改正法律案が出ておりますが、あの中でどうしても第六條を改正して、基礎控除を入れるのは、今が一番適当な時期だと思います。もつとせつかちにがんばつてつてもらわなければならないと思うのですが、一体あれを全部基礎控除に入れると、どのくらいの所得税の減額になるのか、そういう点何か資料があつたら……。
  108. 久下勝次

    久下政府委員 年金保険の積立ての運用につきましては、預金部に預け入れをしておりますが、利子は五分五厘つくことになつております。従いましてこれは手金保険会計の收入として扱つておるわけであります。
  109. 岡良一

    ○岡(良)委員 総額幾らですか。二十七年度予算で……。
  110. 久下勝次

    久下政府委員 昭和二十七年度予算で申しますと、三十億五千七百四十七万五千円であります。それから保険料の免税によつて積算せられます総額は、大体五十億程度でございます。     —————————————
  111. 苅田アサノ

    苅田委員 議事進行について、ちよつとこの際お伺いしたいのですけれども、今、国会の内外で大きな問題になつております戦争犠牲者の援護の対策につきまして非常に審議が遅れておりまして、いまだにこの委員会にこの法案が諮られておりませんが、一体この法案はどういうことになつておるのか、いつごろここに出されるか。きようはそういうことのお話ができる方がいらつしやらないと思いますけれども、大体政府の予定によると、今月末になるらしいというふうな運びのように承知しておるわけであります。しかし厚生委員会としましても、この遺族の援護の問題では、御承知のように昨年来三十何回という委員会を持ち十して、練りに練つて、そしてここの案も出して、この間精神的にも時間的にもいろいろこの委員会をあげて盡したと私は思うのです。ところがかんじんのこれがきまるときになると、こちらの委員会にはどういうものだということの御報告さえなしに、そして予算だけは——二十六日か二十七日か知りませんが、予算を通してしまうというような予定のように聞いておるのですが、これでは私は與党議員としても、厚生委員である限り、承知できないと思うのです。予算が決定する前に、必ずここに法案を出してもらいたいのです。法案を審議する前に予算を衆議院がきめるというようなことは、少くとも厚生委員会としては反対だということを、私は正式にここで決議して申入れたいと思いますが、その動議をひとつ御採択願いたいと思います。     〔速記中止〕
  112. 大石武一

    大石委員長 速記を始めて。  御趣旨に沿うようにいたします。  次会は二十二日午後一時から開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後四時四十三分散会