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遠藤三郎君 その点につきましては、はなはだ遺憾でありますけれども、
ボーリングをして試験をしたことはないのであります。従いまして今度の
土地調整委員会における問題におきましても、やはり
はつきりしないという点が一番の問題であつたわけであります。しかし古老の言うところによりましても、昔からごく小規模に掘
つてみたというような、そういう
経験からいいましても、その
地域はやはり
温泉の源であるということを
伊東市民はかたく信じておるわけであります。しかしこれは、残念なるかな、学問的な裏づけができないわけであります。数百尺掘
つてみた
経験があるわけではありませんし、どうも
はつきりした結論を出すわけに行きません。ただ
伊東市民として非常に恐れておりますことは、
伊東のすぐ隣に
土肥温泉というのがありますけれども、この
土肥温泉の例がまざまざと
伊東市民の頭に焼きつけられております。
土肥温泉におきましては、この
温泉の
湧出地域から一里も隔た
つた所に金山の
採掘が許可されたわけであります。その当時
土肥温泉の町民は大反対をいたしましたけれども、当時の科学ではその
程度の距離の所に
鉱山を掘
つても
温泉には支障がないということを
はつきり言明があ
つて、そうして
鉱山の
採掘を許したのであります。しかしその結果は、数年ならずして
温泉がもうかれてしまいまして、今日におきましては
土肥温泉はまつたく壊滅しております。しかもその
鉱山の何百尺の
地下におきましては、大きな鉄管の中に
温泉が一ぱいどろ水にまじ
つてわいて参りますから、これを利用することができないで、今海に流しているような状況であります。そういう実例をまざまざと見ておるものですから、
伊東市民としては、これはたいへんなことだというので、実は戰戰きようきようとしておるというのが実情でございます。