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1952-05-28 第13回国会 衆議院 建設委員会 第36号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年五月二十八日(水曜日)     午後一時五十九分開議  出席委員    委員長 松本 一郎君    理事 内海 安吉君 理事 田中 角榮君    理事 村瀬 宣親君 理事 前田榮之助君       淺利 三朗君    宇田  恒君       上林山榮吉君    瀬戸山三男君       高田 弥市君    三池  信君       増田 連也君    池田 峯雄君  出席政府委員         建設事務官         (住宅局長)  師岡健四郎君  委員外出席者         議     員 遠藤 三郎君         大蔵事務官         (銀行局保險課         長)      狩谷 亨一君         建設事務官         (住宅局住宅金         融課長)    前田 光嘉君         住宅金融公庫総         裁       鈴木 敬一君         参  考  人         (日本損害保險         協会専務理事) 葛西  浩君         参  考  人         (東京建築局         長)      石井  桂君         参  考  人         (大正火災海上         株式会社社長) 山根 春衛君         専  門  員 西畑 正倫君         専  門  員 田中 義一君     ————————————— 五月二十七日  伊東国際観光温泉文化都市建設法の一部を改正  する法律案遠藤三郎君外九名提出衆法第五  七号) 同日  富良野橋永久橋架替え請願河口陽一君  外一名紹介)(第三一八九号)  小田原、伊東間道路国道編入等請願(畠  山鶴吉紹介)(第三二四一号)  県道益田小川線国道編入等請願坂本實  君紹介)(第三二四二号)  特別都市建設法に基く該当都市建設特別委員会  設置請願川端佳夫紹介)(第三二六〇  号)  県道富六尾線改修工事施行請願内藤隆君  紹介)(第三二六一号)  国道九号線中熊谷市、甲府市間を二級国道に編  入の請願阿左美廣治紹介)(第三二六二  号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  参考人招致の件  伊東国際観光温泉文化都市建設法の一部を改正  する法律案遠藤三郎君外九名提出衆法第五  七号)  住宅災害補償制度に関する件     —————————————
  2. 松本一郎

    松本委員長 これより建設委員会を開会いたします。  伊東国際観光温泉文化都市建設法の一部を改正する法律案遠藤三郎君外九名提出衆法第五七号を議題といたします。まず提出者より提案理由説明を求めます。遠藤三郎君。
  3. 遠藤三郎

    遠藤三郎君 伊東市は去る昭和二十五年七月二十五日国際観光温泉文化都市建設法に基き、国際観光温泉文化都市として指定せられ、その後本都市設置趣旨にかんがみ、伊東市において着々観光都市の整備を推進している次第であります。今日においては内外人を含めて観光客は一箇年間百六十万人程度以上に上り、日本内地民観光保養地としての役割を十分発揮しているのみならず、さらに外人観光客も年々増加し、今日においては世界的な観光都市として再認識されるに至つております。  しかるところ、鉱業権の設定の問題が論議に上り、伊東市内において鉱物採掘の出願が頻繁として起り、万一市の地域内において探鉱事業実施するようなことになれば温泉の湧出がとまり、観光都市は一朝にして壊滅するおそれがあり、目下伊東市民は戰々きようようとしている次第であります。鉱物採掘も国家的にはもちろん重要でありますが、温泉観光都市による外貨の獲得はさらに百倍千倍の大きな鉱物獲得になることは火を見るよりも明らかであります。市民が安心して観光都市建設に邁進できるよう、市の地域内における鉱物採掘、土石の採取その他の観光温泉資源の保護に著しい影響を及ぼすおそれのある行為を禁止または制限することができるよう法制的根拠を與えるため、伊東国際観光温泉文化都市建設法の一部を改正ようとするものであります。もちろんこの場合、伊東市は通常生ずべき損害補償する建前であります。  以上が本法案提出する理由でありますが、何とぞ愼重御審議の上速やかに可決あらんことを御願いいたします。
  4. 松本一郎

    松本委員長 本案に対する質疑次会に譲りたいと思います。     —————————————
  5. 松本一郎

    松本委員長 次に日程に基きまして住宅金融公庫法の一部を改正する法律案のうちの、住宅災害補償制度に関しまして、本日は参考人をお招きいたしましてその御意見を聽取することといたしましたが、この日程に入ります前にお諮りいたしたいと思います。すなわちここに山根春衛君、大正火災海上保險株式会社社長参考人としてさらに追加招致し、意見を聽取いたしたいと思いますが御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 松本一郎

    松本委員長 御異議なきものと認め、さよう決します。  つきましては住宅災害補償制度に関して調査を進めます。すなわち現在委員会において審査中の住宅金融公庫法の一部を改正する法律案につきまして、特に住宅災害補償制度について調査を進めて行きたいと思います。本日は参考人として石井桂君、東京建築局長葛西浩君、日本損害保險協会専務理事山根春衛君、大正火災海上保險会社社長、以上三君をお招きいたしました。  この際参考人方々にごあいさつを申し上げます。本日は御多用中のところわざわざお招きいたし、貴重な時間をさいて御出席くださいましたことを厚くお礼を申し上げます。当委員会の意のあるところをおくみとりくださいまして、恐縮ながらお時間は十分程度意見の御開陳を願いたいと存じます。それでは本件につきまして、まず山根春衛君の御意見を伺いたいと思います。
  7. 山根春衛

    山根参考人 ただいま御紹介にあずかりました山根であります。住宅金融公庫のうちの災害補償契約に関する業務の問題でありますが、私ども目下住宅拂底の際に、いかにして住宅をたくさん供給するかという問題につきまして、いろいろ御施設をなされましたことにつきましては、国民として非常に喜ばしく存じておる次第であります。ただ損害保險事業者としての経験並びに現在の立場から申しまして、災害補償業務を行うよう法案改正されるにつきましては、多少疑義がある次第であります。その反対の理由といたしまして、技術的に申しまして料率補償料を定めましてその業務を行いますことにつきまして、これがはたして住宅供給を受ける人たち経費の軽減になるかどうかは疑問だと思うのでございます。それは一つ損害保險業者住宅金融公庫物件に対しましては、特別安い保險料をもつて契約をしておるのでございますが、もし本法の規定のようにきまりました場合には未償還の借入金に対しまする部分についてこの補償業務が行われまして、それ以外の部分、つまり自己資金に属するものは民間保險会社契約をしなければならぬ。そうしますと、はたして現在の場合と同じよう取扱いができるかどうかわからぬ。従いまして被供給者経費が軽減されるということはどうも疑問ではないかと考えられます。それからまた実際問題について、これも技術的な問題でございますが、損害保險事業におきまして損害額決定は非常にむずかしい問題でございまして、公平に迅速に解決することは相当問題であろうかと思うのでございます。先般の鳥取大火のときに、住宅金融公庫物件が百五、六十戸焼けまして、大体二千万円に近い損害だと聞いております。その支拂いも約二週間の間に損害保險会社としましては解決したような次第でございまして、これは非常に迅速な決定、解決だと存ずる次第でございまして、こういつた技術的な点から申しましても、従来の保險会社取扱いが必ずしも悪くなかつたということが言えると思うのであります。それから損害保險事業は御承知のように国際的な事業でございまして、われわれ損害保險事業者といたしますと、一部の比較的優良な住宅保險損害保險会社の手から離れるということは、国際的な信用も失うというようなことになりはしないかと思うのであります。そういつた意味から申しまして、この災害補償業務を追加されるという御提案に対しましては、損害保險事業者といたしまして賛成いたしかねるよう考えを持つておる次第でございます。
  8. 上林山榮吉

    上林委員 ちよつと議事進行について意見を申し上げます。参考人の陳述が全部終つてから参考人に対して質疑をした方がよいか、それとも質疑応答を明確にする意味から、お一人が済んだ直後簡單に短かい時間で一人ずつ質問して行つた方がよくはないかとも思うのでありますが、ひとつ委員長から委員各位にお諮りを願いたいと思います。
  9. 松本一郎

    松本委員長 ただいまの上林委員からの御意見でございますが、委員長といたしましては、参考人方々の御意見を一応拜聽いたしまして、その上で各位から参考人のお名前を指されて御質疑を願うという心組みでおりますので、参考人の御意見を全部お聞き願つた方が御質問もしていただきよいかということを実は考えておりますが、いかがはからいましようか。
  10. 上林山榮吉

    上林委員 それでもけつこうです。
  11. 松本一郎

    松本委員長 それではさように御了承願います。  でははなはだ恐縮ですが葛西さんよりお願いいたします。
  12. 葛西浩

    葛西参考人 ただいまの山根参考人からのお話とやや重複する点もあるかと思いますが、災害補償制度の問題についてわれわれ新聞等で承知いたしまして、損害保險業者といたしまして、それに対する意見をそれぞれ関係方面にすでに提出いたしてございます。右いずれも御質問済みの問題ではないかと考えます。  ただいま山根さんからお話のありましたように、被融資人負担が軽減されるかどうかということにはまつたく同じ趣旨考えを持つております。初年度には少くとも頭金に対しては自己負担において、災害補償制度以外の民間保險制度による補償をお求めにならなければならない立場になるだろうと思います。それから木造家屋に例をとりまして十八年間年々償還をされますと、自己負担の分が漸次増大しまして、補償制度による補償を受ける部分がだんだん減つて参りますので、これを十八年間で私ども計算をいたしますと、必ずしも被融資者負担が軽減される結果にはならないと考えます。もつともこれは法案ではわかりません。新聞等で承知いたしますと、補償料金を三円ないし三円五十銭と仮定いたしまして計算いたした結果がこういうふうに相なるわけであります。  それから滅失あるいは毀損の場合、主として毀損の場合を申し上げますと、それの修繕費に充てるために償還免除額までの再融資をされるというふうに法案では拜見いたします。さようにいたしますと、新しい住宅をふやすためにいろいろ御計画になつておりますその資金が、既設建物毀損修繕の方に流れまして、住宅が新しくふえるという面にそれだけマイナスを生ずるのではないかというふうに考えられますので、願わくは既設建物毀損部分に対しての修繕その他の資金の面は、民間保險を御利用願いまして当局の言われます住宅を増設するという面をもつばら強く敷衍していただくことが国民としても望ましいのではないかと考えておるわけでございます。  それからこの点も山根参考人と重複いたすかもわかりませんが、民間保險業者契約をいたしておりまする料率につきましていろいろ御批判もあろうかと思いますが、なるほど二十五年十月に住宅金融公庫業務が発足されましてから満一年間、さらに昨年の十月から本年の三月までの統計は私どもの方でわかつておりますが、それによりますと損害率というものは相当低いのは事実でございます。但し先月十七日の鳥取大火によりまして約二千万円の保險金支拂われておりますので、これを計算に入れますと損害率も著しく増大して参ります。なお昨年の十月から起算いたしまして、本年の九月一ぱいまでの残余の期間に起り得る可能性のある損害、不幸にして第二、第三の鳥取を生じないとも限らぬと思います。それらのことを考えましたときに、必ずしも御立案になつておりまする補償制度補償料金のみによつて十分まかなえるかどうかということは、私ども損害保險に多少経験を持つておる者といたしまして疑問を持たざるを得ないのであります。補償料金範囲でまかなえない大きな赤字が生じた場合には、何らかの方法によつて補填されるものと考えますが、そういたしますと、住宅金融公庫から融資を受けた住宅所有者が非常に仕合せな立場になります。一般国民から申しますと、あるいは公平を欠くのではないかと感じもするのであります。主としてそういう点で私ども損害保險に従事いたしますものといたしまして、この補償制度に対しては遺憾ながら御賛成しかねるのでございます。以上簡單でございますが私の公述は終ります。
  13. 松本一郎

    松本委員長 次に石井桂君。
  14. 石井桂

    石井参考人 私、都の建築局長石井でございます。本日参考人としてお呼出しを受けましたが、突然で研究も十分しておりませんし、また補償制度につきましてはしろうとでありますので、きわめて常識的の意見簡單に申し上げたいと思います。  改正案によるところの補償制度におきましては、貸付金の未償還分だけの免除をするよう制度になつておるようでございます。そういたしますと、われわれ住宅建設を一生懸命で進めているものの立場から見ますと、公庫の方では、たとえば住宅が焼けたと仮定いたしますと、住宅が焼けたときまでは償還金償還される、その残りがまた補償料でまかなえますから、公庫は損得なしということでまことに都合がいい。しかし焼けた建築主の方は、未償還金分は別といたしましても、頭金拂つた償還金は灰になつてしまうということで、何かもの足りないような気がいたします。そこでちようど焼けぬよう状態に、焼けたものがもう一ぺん同じよう状態に建つて、そうして焼けたときからあと残つた金償還すればいいというよう程度にごめんどうを見ていただけるなら非常にいいのじやないか、そうでないとちよつと徹底を欠くうらみがあるのじやないかという気がいたします。但し火災のみならず、風水害とかいうものも対象にした点でありますとか、あるいはむしろ営業でなくて、自家保險制度にのつとつておられるのだと思いますので、従つて営業方面から比べれば料率は自然安くなるだろうと存じます。そういう点では私はこの制度が悪いとは考えません。本日お呼出しがあつて、この制度はいいか、悪いかということをはつきりしろということかもお聞きしないで、漫然と出て参つたのでありまして、こういう点は考えられないものかという、欠けておると思われる点と、非常にいいと思われるような点を申し上げまして、御参考に供した次第であります。たいへん簡單でございますが、きわめて常識的でありますが、私の意見を終ります。
  15. 松本一郎

  16. 鈴木敬一

    鈴木説明員 私は住宅金融公庫従事者として、立法に基く実施機関としての立場からのお尋ねだろうと思いますが、大体損害補償制度というものを今回公庫法中に追加せられる趣旨提案のあつた政府の意図は、おそらくは債務者すなわち家屋所有者でありますが、これらの負担をなるべき軽減させよう、こういう動機にほかならぬことかと考えます。いろいろな観点から、公庫の被貸付者すなわち債務者についての御意見もあるかと思いまするが、本来庶民階級中層階級の、自己資金もある程度持つが、それのみでは家屋は建たぬという人に公庫から貸付をしようというのでありまして、月何十円、何百円という金も、収支の上から非常に生計費にも響くよう状況の人々を対象としておるのでありまするから、少しでもその負担が安かれということは、われわれの立場から申しまして、ことに債務者方面から見られて、けつこうな改正であると見なければなるまいかと思います。ただこれは、われわれが実施当局でありますから、改正法律案成立の上は実施をしなければならぬのでありますが、保険類似制度の運用はこれまた一つの特殊の業務であると思いますので、私初め公庫の現在の職員のみをもつてしてはとうていその完璧を期することはむずかしいかと私は思います。自然そういう方面に対する事務の熟達をはかる必要がありますし、また人員、経費等も相当な数量をこれがために特に増加していただかなければ、これが実施完璧を期することはできぬと考えております。ただいまのところ私どもの承つている範囲内においては、いかなる陣容のいかなる設備が、公庫法改正によつて公庫に與えられるかということをよく存じておりません。これはあるいは立法後における今後の問題になるかもしれませんが、そこに当事者としては多大の心配をしているということを申し上げておくことが偽らざる申し上げようかと存じます。またこの災害補償制度なしで現行民間保險業者による共同保險契約と申しますか、料金一般料率よりも相当減じた。また取扱い方法等付保債務者立場からいつて比較的簡易な方法によつて取扱つてもらつております。またこの民間保険業者との共同保險契約による付保状況は、きわめてスム—スに円滑に実施せられつつありますので、現在の状況のまま推し進めたといたしましても、またそれも可なりではなかろうかといつたような心境にある次第であります。簡単に要点だけ申し上げた次第であります。
  17. 松本一郎

    松本委員長 以上をもちまして参考人の方の御意見開陳は終りました。参考人の方に対して御質疑がありますればこれを許します。なお住宅金融公庫総裁鈴木敬一君、大蔵省銀行局保険課長狩谷亨一君、建設省住宅局長師岡健四郎君、以上の五名が見えておりますから、以上主君に対する質疑もこの際ともにお許しいたします。質疑通告順によります。三池信君。
  18. 三池信

    三池委員 せつかくお忙しいときに参考人の方に来ていただいて、わずか十分くらいの参考意見を承つたのでありますが、非常に、もつたいないことで、もう少し詳しく意のあるところを十分盡させていただくようにとりはからつていただきたかつたのであります。一応今御参考意見を承りまして、私は今の御意見とは非常にかけ離れたよう一般的な質問になるかもしれませんが、議事を進めます上において御質問をしたいと思います。一般的な問題はお三方どなたにということでもございませんし、また大蔵当局あたりからも見えておられるそうですから、そういう方からの御答弁でもけつこうであります。  第一点は、金融公庫法によつて住宅ができたその住宅に対しては、火災保險会社は再保険をつけておられるか。それから国有財産民間火災保險会社保険対象になつておるか。それと約款によつて保險をかけておつて支拂わないというような特別の場合があるように承つておりますが、そういうのはどういう場合であるか。たとえば天災地変あるいは戰争における戰災というようなものは拂わないかどうかということであります。さつき鳥取の話が出ましたけれども鳥取はもう支拂いは完了しておるかどうか。さらに現在一般保險料と、便宜をはかつて減額していただいておるという、公庫法による住宅に対する減額はどれくらいの割合になつておるか。以上五点をどなたからでもけつこうですが、伺いたいと思います。
  19. 葛西浩

    葛西参考人 ただいまの御質疑に対してお答えをいたします。住宅公庫保險に関しての再保險の問題でありますが、これはただいままでの経過では、私は一つ例外がないかあるかはちよつとわかりかねますが、大部分はまだ再保險をするに至らない、かよう考えます。と申しますのは、二十五年の十月から発足なされまして、建物の密度というか、一箇所に多数の建物が集約的に建築されるというのは、まだ多く実現してないのではないかと思います。その点について漸次復旧されるにつきまして、部分的には一戸一戸の建物は限られておりましても、集団的に一箇所に多くの建物が建ちますと、保險事業者としては一回の火災で延焼するおそれがあると思う限度を定めまして、それが自己資産に比して非常に過大であると考える場合には、超過部分に対して再保險をかける、かように相なると考えます。  それから約款によつて保險をかけておつて支拂わない保險があるかどうかというお尋ねでございますが、これは代表的に申しますとただいま御指摘にありました戰争危險による損害、地震による損害、今回補償制度にも御計画になつておるやに伺つております風水害の問題、これらは現在の日本損害保險会社といたしましてはお引受けをいたしかねております。これはでき得ればそういうものにまで広げて引受けたいというのが業者としての念願でもございます。またできるだけそういうふうに調査研究も進めつつありますけれども、遺憾ながら予測のつかないような大きな損害に対しては、責任を完全に果すだけの資産その他の準備について不十分な点があるのでありまして、ただいままでそういう種類のものをお引受けいたしかねております。  それから鳥取市の支拂い状況についてのお尋ねがございましたが、これは十七日に火災が発生し十八日の午前に及んで鎭火いたしました。その後主管の店である京都の支店の者が即時現地にかけつけました。ああいう大火でありますので、調査にも連絡がなかなか困難で、ございまして、東京、大阪からも応援隊を派遣して、幸い二十九日から三十日ごろまでに一応の調査が完了し、五月二日か三日には約九割方支拂いが完了いたしたというふうに承知しております。ごく部分的には火災の発生時に契約申込みをしたというふうなことで、時間的な調査を要する問題も例外的にはございました。さような問題は今の二週間以内にはあるいは支拂いが完了されない例外のケースとしてあつた、かよう考えます。  それから公庫料率についての御質問でございましたが、試みに二十五年十月から二十六年九月までの、業務開始以来一年間の、契約されました現実の保険料平均してみますと、六円二十四銭程度に相なつております。その後に一般住宅保險料率等の引下げもありました関係上、二十六年十月から二十七年三月までしか統計が出ておりません。ちようど六箇月間になりますが、その数字を見ますと、全体の一年間の六円二十四銭であつた平均料率が、約五円七十銭見当に相なつております。これはまだあとの半年の契約状況によりましてさらに数字は変化する可能性があると考えております。  それから他の一般料率に対してどういう割合で勉強されておるかと申しますと、保險料率平均は、その年度年度建物配置状況によりまして動いて参ります。大体全国の住宅料率平均いたしまして八円五十銭ないし九円になる、かよう考えます。これはときによつて違いますので、一律にそれが動かないとは申し上げかねますが、現在約三割二分強の開きになつております。
  20. 狩谷亨一

    狩谷説明員 国有財産について保險に付せられることになつておりますのは、実は私国有財産主管でございませんので、はつきりしたことをこの席で御答弁申し上げかねますが、私の承知しておる限りにおいては、あるいは例外はあるかもしれませが、民間保險会社火災保險はついてないと思います。
  21. 山根春衛

    山根参考人 ただいま国有財産民間保險会社保險されておるかどうかという御質問でございますが、国有財産といたしましては、民間保險会社保險はつけておられないのが原則でございますが、戰争後国が接収した財産、工場とか機械とかいうものに対しましては、火災保險民間会社契約した例があるのでございます。
  22. 三池信

    三池委員 葛西さんにお尋ねいたします。保險会社営業的な部門に入つてまことに恐縮でございますけれども、大体保險会社保險対象物件がいろいろあるわけです。住宅もありましようし、海上損害保險もありましようし、いろいろありましようが、そういうようなプールをしないで、住宅だけに関する場合に、今まで保險会社でやつておられる損害のために支拂いをされた部分と、会社営業費並びに利潤というものがどういう割合になるか。住宅というものは割合優秀な、火災保險会社側としてはありがたい物件だろうと考えるのですが、住宅だけに関しますると、いわゆる付加保險料といいますか、そういうものはどういう割合になつておるかということを、概略でよろしゆうございますからお知らせいただきたいと思います。
  23. 葛西浩

    葛西参考人 お答えいたします。御質問の純保險料、付加保險料の区分は、私ども保險業者といたしましてもむずかしい問題でございます。ことに御質問にありました住宅物件だけに対しての経費割合がどうなつておるかということは、ちよつと区分して数字的に申し上げにくいと思います。と申しますのは、火災保險損害保險と大きく分けまして、火災保險のうちでも住宅外の店舗物件、工場物件、倉庫物件等もございますが、そういうものを総合的に見まして、火災保險料率を立てるという建前になつておりまして、これはもちろん私どもの監督官庁であります。大蔵御当局の認可を得てそれぞれ実施しておるわけであります。これを普通物件について経費割合がどのくらいということは、一般保險会社は区分して経費割合を算定しておりません。ただごく常識的に申し上げまして、ただいま御指摘の通りに住宅物件火災保險対象物としては非常にけつこうなものであるということはまさにその通りでございます。従いまして一般の店舗、工場、倉庫等に比べましては、料率自体は、住宅物件は金融公庫物件に限らず、一般住宅物件につきましても、その他の物件に比べますと、低い料率契約されておることも事実であります。ただ同じ保險料を收受いたしますのに、口数を非常に多く集めなければならぬという事情もございますし、現実の問題として外勤の従業員が、店舗、住宅等へ一回お尋ねして、それで契約が成立して、保險料をいただくということはむずかしいのでありまして、主人が留守だとか、今都合が悪いとかいうようなことで、一つ契約について何回か通つて御折衝を申し上げないと、契約の成立、保險料の收受ということが実現しにくい。こういう面から申しますと、交通費あるいは従業員の給與の時間割にいたしますと、経費が比較的かかるということをごく常識的に御判断願えるかと思うのであります。住宅物件だけの経費をわけるということは、理論的にあるいは不可能ではないかもしれませんが、ただいままで私どもがやつております経費の区分制度では、数字的には申し上げかねる実情であります。
  24. 三池信

    三池委員 今の御説明で、住宅だけのそういうものはなかなか率が出にくいということは、あるいは一部そういう点もあるかと思います。しかしながら今度はその経費の中でも、たとえば住宅の場合だと勧誘に行く経費が大きなものであるといたしますと、住宅金融公庫によつて建てた家の経費はほとんどゼロに近いというふうに考えられやしないか。契約を勧誘に行くわけでもないし、保險をかけなければ公庫が金を貸してくれないから、金を借りる契約をすると同時に保險に入つている。それがどういうようなことでどういう会社がやられるのか私どもはわかりませんが、おそらく公庫が中に入つてしかるべき保險会社契約させるわけでありましようから、そういう面からいいますと、公庫の場合に関しては付加保險はほとんどゼロに近いと考えてもよろしゆうございますか。
  25. 葛西浩

    葛西参考人 お答えいたします。住宅金融公庫保險については募集経費がゼロに近いという御指摘でございました。これは二十五年十月に公庫火災保險契約を引受けますときに、料率をいかなる点に置くべきかということにつきましては、業者の間でも十分協議をいたしまして、さらに大蔵御当局にも御了解を得ました。その引下げの理由といたしましては、ただいま御指摘の募集経費が非常に安く済むという点が主たる原因でございました。それから危險度ということだけを一般住宅と比較して申しますときに、比較的建坪率その他にも制限があつて、極度の密集は考えられない。それから建築物自体の規格も建設省でお組みになつたある規格に基いての建築物ができる。それらの点で、危險度においても、一般住宅よりやや良好であるということは考えられるが、そう一割も二割もその危険度において下るということはなかなか考えられないというのが業者の結論であり、また建設当局の御意見でもございました。主たる原因は募集の経費が少く、手続が簡略であるから、相当な料率の割引をしても可能であろうということで、ただいままで実行しておりました料率が生れて来たわけであります。さよう御了承願いたいと思います。
  26. 三池信

    三池委員 もう一つ、最近の一番新しいデータにおきまして、二十五年度から昨年度におきまして、保險契約のために保險会社に入つて来る保險料と、損害があつたために保險会社支拂われた両金額をひとつ伺つておきたい。
  27. 葛西浩

    葛西参考人 二十五年十月の発足から一年半を通算して申し上げますと、二十五年十月から二十七年三月まで收受いたしました保險料が一億九千四百万、端数は省略いたします。それに対して支拂いました保險金が八百五十万。これは三月末で、鳥取大火の約二千万は計上されておりません。これを計上いたしますと数字はずつとふえて参ります。それからこの点をひとつ御留意いただきたいと思います。それはただいま申し上げました数字は、一応三月までに納收されました保險料と、三月までに火災が生じましたために支拂つた保險金だけを一応比較しての数字でありまして、この收受されました一億九千四百万の保險料に対応する責任額は、極端に申しますと、最後の三月三十一日に契約されました保險は来年の三月三十一日まで責任が残つております。これを私ども業者といたしましては未経過分保險料と称して、既経過の分と未経過分と区わけして措置するのが建前となつております。保險会社の決算等におきましても、責任準備金その他を保險業法に基きまして積み立てておりますのは、やはりそういう趣旨でありまして、そこで保險料の入つたものは集計できますが、またそれに対応する責任額は契約方法によつて段階がつきますが、最も極端な場合にはまる一年まだあとに残つてつて、その間に危險の残る可能性ありということを考慮してそれをしなければならぬ、かように相なつております。
  28. 三池信

    三池委員 今の御答弁で承知いたしますと一億九千四百万の中に未済の分を残しまして八百五十万、だからかりに倍にしましても千七百万を支拂われているわけであります。そうしますと約一億七千万余りは、もし経費が入らないといたしますと、それが保險会社の利益に入つて来ているというふうにもなると思うのであります。葛西さんへの質問はこれで打切りまして、鈴木総裁にひとつ御質問したいと思います。さつきのお話では可もなし不可もなし、どつちでもいいようなことですが、総裁は住宅金融公庫法なるものの性格を十分に御承知だろうと思うのです。先ほどから参考人方々意見をお聞きになりまして、総裁自身はどういうふうなお考えをされたか。たとえば山根さんの場合も葛西さんの場合も、御意見はほとんど同じようにとれるのでありますが、たとえば技術的な問題がある、なかなか災害補償契約というものは好ましくないという意見であります。それは結局割引をして保險金を安くしてやる。しかしながら損害補償契約が今度の改正法案が通りますと、そういう便宜を保險会社は與えることができない。従つて保險というもののほんとうの意義を理解して火災保險に加入する人は、それだけ多くの保險料支拂わなければならない。だから必ずしもこれが公庫から融資を受けて金を借りた人の利益になるかどうかわからないということだつたのです。これに対して総裁の御意見をお聞きしたいと思いますが、私自身があのお話を聞いて考えますことは、現在の公庫から融資を受けて家を建てている人は、先ほども申しましたように自分の金では建てられない、やつと融資を受けてそれを月の收入の中から十何年間かかつて拂うという勤労者階級が大部分でありまして、その人たちがほんとうに自分の家を持つてつたら——自分の家であつたとしても火災保險をかけ得る人たちであるかどうか。金融公庫が金を貸すのにどうしても保險に入らなければ貸さないというから、やむを得ず入つているような人ではないかと思うのです。私自身の考えから言いますと、金融公庫法による住宅政策というものが非常に混同して考えられておる。公庫法による住宅というものは、あくまでそういう階層の人たちを相手にして行く社会政策的な意義があるために、できるだけ負担を軽減する、安い金で安い負担住宅が手に入るようにしなければならぬという意義を持つている法案だと思う。だからそれを徹底させるためには、あくまで社会政策的な意義を貫く意味において負担の軽減というものをはからなければならぬ。さつきの石井局長のお話ように、焼けてしまつたらただ借金を返すだけで、またそれを建てるだけの金はないということはごもつともなんですが、あの階層では自己財産を擁護するというような、保險に対する認識のある方々が非常に少いのじやないか。認識はあつてもその能力を持つておる人は少いのじやないか。実際においてそうだとしますと、自己財産の擁護をしたいというよう保險に対する理解があり、かつそれだけの能力を持つておるところの一部の人々のために、公庫から金を借りておる大部分人たちが、その犠牲において、しかも公庫の社会政策的なほんとうの意義を少くするということは、公庫法の忠実なる精神を体していただかなければならぬ総裁としては、あのお話は納得が行かないのじやないかと思うのです。また技術的に損害の額を決定するようなときに、はなはだ専門的な人がいるのだというお話でありますが、鳥取ようなああいう何年に一回あるかわからないというような、まつたく不測なものを対象としてのお話ではまことにそうでありましようが、昨年度あたりでも私が承知しておりまする燒失物件というものは、わずかに十五件、そういうものに対しましてはそう専門的にたくさんの人を用意して常置しておく必要はない。そういう場合には便宜的な手段、方法が当然生れなければならない。また保險事業が国際的な事業であつて、優秀な物件を除外されるということは非常に困る。これは日本の国自体が資本の蓄積によつてだんだんと再建されなければならぬという面からいいますと、あえて一保險業ばかりでなく、大いに必要なことだと思うのでありますが、その対象がせつかく公庫法によつて、そういう庶民階級に対する住宅緩和をはかつてやろうという、そういうものを対象にしての資本蓄積というものは、本来の法案趣旨と違つておる。また別箇の観点をつけなければいけない。これは私たちの党の政務調査会での持論でありましたが、これは非常に民業を圧迫する法案であるから、やめたらよかろうというよう意見もあつたのであります。しかし私は全然別箇の考えを持つてつた金融公庫法によつて住宅がどんどん建てられ、少くとも年に五万戸くらい建てられるということは、現在はともかくも、十年、あるいはそれ以上過ぎには優秀なる保險会社契約対象物件となるものを提供しておるわけです。むしろ民業助長に協力しておる。本来からいいますと、補償制度というものはこの法案ができる当初になければならぬ。それを便宜的にそこまで立案者並びにわれわれの頭がまわらなかつたせいか、一時安易な方法として、保險会社保險契約によつて担保をとる、本来から言いますと、これはこの法案の当初にこういう補償契約制度というものがなければならなかつた。こういうことをすること自体が公庫法案の趣旨を貫く意味合いだ、これは遅ればせながら今日元に返そうというのでありますから、何ら民業圧迫というようなふうに解釈されるのは私は妥当でない。そうして公庫法によつて家が建つということは、それ自体がすでに将来にわたつて保險業に対して非常に優秀なる物件を提供しているということになるのですから、民業圧迫というふうなことにはならないと思うのであります。そういうよう意味合いによりまして、総裁は現在でも別に困りもしないというようお話でありますけれども、さらに総裁自身の公庫法案の忠実なる施行者の立場において現在の改正法案の成立を極力希望されるよう意見を私は期待するものであります。総裁のお考えを承りたいと思います。
  29. 鈴木敬一

    鈴木説明員 ただいまのお尋ねにお答えいたします。公庫貸付にあたりましてなるべく諸般の観点から債務者負担をなるべく軽からしめるような結果に導くようにしたいということは、ただいま御発言と同様に私も切実なる熱望を抱いておるものの一人であります。その意味から申しましては、なるべく保險料補償料等の負担もできるだけ軽い方がよろしいということは、あくまで熱望いたしております。あるいはまた質問外のことにわたりまするが、家屋に伴う税金というような面におきましても、できるだけその負担が軽い方がよろしい、あるいは金額におきましてはその方が重いのかもしれません。すべてそういう広き視野に立つてなるべく負担を軽からしめたいということは当初よりの念願でありまするし、また今後もあらゆる機会において、そういう措置ができ得る機会があるならば、さようにとりはからうように主務省にも建言をいたしたいということを考えておるのでありますが、私どもの方の付保物件はことごとく債務者自己所有家屋でありまして、これは葛西参考人から付保物件の安全性というようなことについてもお言葉があつたかに思いまするが、賃貸家屋その他官公庁、工場、会社事務所等よりはその意味において非常に安全度があるものと考えます。  それからもう一つ民間火災保險会社に当初以来料率の軽減をお願いしておる私どもの気持の一つの動機は、参考人からお述べになつた以外に、われわれの方におきましては、代理保險業者の手を経ないということ、これは保險業者が代理保險業の手を必ず経ておやりになつておるのが一般の例のようでありまして、これは当然に相当程度の代理手数料があることと考えますので、当公庫の方の手続におきましてはさよう経費もほとんどいらないのではないかといつたよう考え方から、当初は少し乱暴な提案つたかもしれませんが、一般料率の五割引き程度の軽減を願いたいということも申し出た機会があつたのでありますが、大蔵御当局の監督のお立場からの御意見もあり、業者方面の御意見もあつて大体三〇%減ということにおちついたのであります。さらにまた第二回目の協定を開始するにあたつても、われわれ全体三〇%減に願いたいということでありましたが、今申し上げたような各方面の御意向の結果、専用住宅については三〇%でよろしいから、店舗等の併用住宅については料率の減じ方を少くするというような現行とりきめができているわけであります。もし民間保險業者のお手をわずらわすといたしましても、各方面の御意向の妥結したところでなければ実施できませんけれども、なるべく保險料率を安くいたしますことは、どこまでも念願いたしておるのであります。その意味合いにおいて今回の損害補償制度ははたしてどれだけの補償料率になりますか、私確定した結果を聞いておりませんけれども、ある程度安くなるという点においては、きわめてけつこうな、これは新しい制度であるということを先ほど申し上げた次第であります。但しもし今の御質問意味が、そういうものを全廃する考えはないかといつたようなお考えであれば、やはりわれわれの方といたしましては、債務者負担はなるべく少くするようにという考えは持つておりますけれども、貴重なる政府資金、あるいはまた零細なる貯金より成るところの預金部資金を貸しつけるのでありますから、これが債権の確保ということにつきましては、社会常識からいいましても、不動産貸付の当然の方法である担保物件をつけるというがごときことは、これはしなければならないことと考えております。何らかのそういう補償物件というようなことはやめてよろしいという考えまでには至りません。そういう意味合いにおいて先ほども申し上げたわけであります。なお現在民間業者と共同保險を結んで行つておりますものは、きわめて円滑に運行されつつあり、もしそういう料率をもつと下げなくてもよろしいという観点に立ちますれば、現行通りで別に不可はないという意味を申し上げたのであります。どうぞ御了解願いたいのであります。
  30. 上林山榮吉

    上林委員 本問題は言うまでもなく、国民の納めた税金によつて、家を建てることができないで困つている人たちに、できるだけ有利に家を建てさせる、そうしてその結果はさらにこれをあらゆる角度から拡大して行つてできるだけ多くの家を建てさせるという点から判断をして行かなければならぬ問題だと思うのであります。その点からいえば、イデオロギーとしてはあくまでこれは民間保險会社にやらすべきものであると考えますけれども、実際問題としては一部必ずしもそう行かない場合もあると考えるのであります。ひいては政府としても、保險会社としても、できるだけわれわれが考えているこの線に向つて進んでいるものだというふうに判断をいたしております。ただその方法がどの程度に違うのであるか、また比較した場合にいずれが実際的であり、大局から見てよいかということを比較検討して判断して行かなければならないのだ、こういうふうに考えておりますので、この点から暫時質問をしてみたいのであります。  まず第一点は、保險会社側のどなたからでもよいのでありますが、先ほど三池委員にお答えになつた問題で、繰返してお聞きいたしたいことは、公庫が始まつて、あなたたちの方で保險をかけられてから今日まで約一年半、その間に一億九千四百万円の保險料を納めてもらつておる。それに対して損害鳥取の分も加えて二千八百五十万円である、こういうことでありましてこれを差引いてみますと一億六千五百五十万円の大きな黒字であります。ただ先ほどの御説明にもありました通り、この中に未経過分の損害というものをまだ見ていないということでございますが、未経過分の損害分を加えますと、一体どの程度になりますか、この点をまず伺つておきます。
  31. 葛西浩

    葛西参考人 ただいま御質問の未経過の部分損害がどの程度あるかということでございますが、損害は起つてみませんと單なる推定にすぎないのでありますが、そういう損害に充当する資金としてこれだけは積み立てなければならぬという保險業法施行規則の規定によりまして、公庫保險料一億九千四百万円の中で計算いたしますと、約九千万円というものが、まだ利益に計上できない、将来起るべき損害に対する準備金という計算に相なります。この九千万円の損害が起るか起らぬかということは、まだ将来の問題で、今日からは推定以上には出ませんが、そういう計算に相なつております。
  32. 上林山榮吉

    上林委員 九千万円を未経過分に対する基金として積み立てておるという点は了解をいたしましたが、これはあくまでも規則による積立金であつて、御答弁にもありました通り、事件が起つてみないと、どういう数字が割当てられて行くかということはわからない。これは大きな問題だと思いますが、ただ今まで起つた標準からこれを換算してみますと、九千万円まるまるの損害が将来起るべきものではない。こういうことだけは明瞭であります。そこで私が少く立ち入つて意見を拜聽したいのは、第一点としては、ただいまにおいても一般料率に比して三割二分程度割引の便宜を與えておられる。この点は私は非常に敬意を表しておる点であります。そこで一歩前進しまして、今日日本の都市計画は戦前に比較いたしまして非常に進んでおります。防火帶を設け、道路を広げ、水道を拡充し、その他いろいろ防火の設備等も、今日は戦前に比較して相当進んで来ておる。なお建てられる公庫住宅は相当の規格がありまして、延焼という点などは相当部分食い止め得る方法に進んで来ておる。こういう点等から考えまして、鈴木総裁も言つておられたようでありますが、五割見当料率を下げても、経営は十分立つのではないか。しかも今後一年間に五万戸、場合によつては財政の事情を考えまして七、八万戸建て得る時代が必ず来ると私ども考えておるし、またそうしなければならない熱意をもつてども建設事業に協力を示しておるものの一人でございますが、そういう点から考えてみて、五割ということがはつきり言えないとするならば、今の三割二分よりもある程度料率を楽にしてやる。こういうようなお考えはないかどうか、この点を承つておきたいのであります。
  33. 葛西浩

    葛西参考人 お答えをいたします。ただいまお話のありました未経過分そのままの損害が生ずるものとは過去の数字から考え考えられないということは一応ごもつともでございますが、しかしこれは何人もちよつと予測のつきませんことで、あるいは不幸にして未経過部分では補填し得ない災害が起らないとも私どもは保証いたしかねるのであります。ただ先ほど来いろいろ各委員の方、鈴木金融公庫総裁からも、できるだけ契約者の負担を軽減するようにという御趣旨は、私どもとしてもまつたく同感でございます。それから先ほど三池先生からも御指摘のありましたように、住宅が非常にふえるということは、やがて民間業者契約対象物件がふえるから、必ずしもマイナスではないではないかということも、まつたく私どもも同感でございます。従いまして現在行つております料率を、もう一段と軽減する余地がないかどうかというただいまの御質問でございましたが、この点につきましては、いろいろ保險会社間でも、過去の統計等から考えまして、もう一歩勉強したいという考えを持つて目下いろいろ協議いたしております。但し料率は、私ども業者で組織しております料率算定会というような団体がございまして、そこでいろいろ各般の資料によりまして料率を勘案いたしまして、そこで出ました結果を大蔵当局の御認可を得て実施するという建前になつております。その点につきましては、できるだけ勉強したいということは申し上げておきますが、どの程度までの勉強ができるかということにつきましては、至急になお業者間で協議をしまして、また大蔵当局の御認可を得た上で実現をいたしたい、かよう考えております。
  34. 上林山榮吉

    上林委員 営利を目的としておられる保險会社から、きわめて理解ある御答弁をしていただいたのでありますが、われわれはその点から考えまして、これまた敬意を表するのでありますし、できるだけ五割程度に近いものを実現するように御努力を願うと同時に、大蔵省の保險課長も見えておるのでありますから、この事情を上司によくお伝え願いまして、できるだけわれわれの希望というか、あるいは家を建てておる者の希望というか、そういう人たちの希望に近いものを実現せられるように、重ねてこれは希望として申し上げておきたいと思います。  第二点は、日本保險会社は現在の段階においては、先ほど御答弁にもあつた通り資産状況は必ずしも安定の域には達していないと思います。しかし漸次立ち直つて安定向上の方向に進みつつあることも、これもまた事実であると考えておるのであります。諸外国の例をとつてみますと、住宅政策の一環として保險会社が直接家を建てている場合もあるし、あるいはまた融資をいたしましてできるだけ多くの家を建てさせることに協力をしておる。わが国でも、船会社等においては、一部公共的な事業としてそういうような方向をたどつている段階かと思うのでありますが、そういう観点から考えて、ぽつぽつできる程度範囲内においてこういうよう建設的な面に協力をして行く、こういうお考えがあるとすればまことに幸いであり、私どもこの問題を通じて、家をたくさん建てられるようにして行きたいというのが根本の趣旨でありますから、そういう点からも、われわれは切実にこれを要望しておるのであります。但し外国並にこれをやれという無理な注文をしておるのでもない。しかしもうイデオロギーの域を脱して具体的な仕事の段階に入つて来たのだ、たといそれはわずか百軒でもよろしい、あるいは五百軒でもよろしいが、こういうような方向に進んで行くということが保險会社も立ち、住宅政策の一環として見るべきものが必ずあるのだ、双方の利益を考えて、私はそういうようなことをお聞きしておるのでありますが、日本においてはまだ早いか、あるいはもう、少しでもやつてよい時期か、この点を実際担当しておられる有力なる保險会社の代表者の皆さんに、この際特に伺つておきたいと思います。
  35. 山根春衛

    山根参考人 ただいまの上林山先生からのお話の点につきまして、お答えいたしたいと思います。それに先だちまして先ほど上林山さんから、住宅公庫料率を五割近くになるように勉強する考えはないかどうかというようお話がございましたが、実は私ども考えておりますのは、単に住宅金融公庫料率一般料率から引下げる、差別的な待遇をするというよう考えよりも、日本住宅全般について引下げる、ただいまお話になりました消防とか、都市建設状況とか、経済の情勢とか、社会情勢とかを勘案いたしまして、一般住宅料率を引下げて行くということがわれわれの念願でございます。ただそうした場合には、住宅公庫物件と必ずしも五割とか三割とかいう差別がなくても、一般人たち負担できるように安い料率にするということがわれわれの考えでございますので、その点はひとつ御了解を願いたいと存じます。  それから第二の保險会社資産の運用の点でございますが、住宅を実際に経営する、あるいは建てて行く考えはないかというお話でございます。これはわれわれといたしましては、実は社員とか従業員の住宅を持つことすら十分に行つてないよう状態でございまして、住宅経営をするというようなことは、まだ多少困難な面があるかと思います。しかしながら住宅経営が、われわれが被保險者の家庭からお預りしております資金の運用の面に多少でもプラスになり、あるいは損をしないで済むというような段階になりますならば、住宅の建築特にアパートの建設というようなことを考えてもいいということをわれわれは常に考えおります。  それから住宅方面融資をしたらどうか。これはその受入れ態勢と申しますか、住宅会社なりあるいはそういつた施設がございまして、保險会社融資のわくにはまりますならばこれは行つてもよろしいと考えております。御承知のよう保險業法によりまして、保險会社資産の運用につきましては非常に厳重なわくがございまして、株式投資には資産の三割までを許される、不動産投資には資産の二割までを許されるというふうな規定がございまして、また投資は資産の二割までというようなわくがございますので、その範囲内で優良な会社あるいは優良な物件に対しましては、金融機関に関する規則に違反しない限り、融資してもさしつかえないというふうに考えております。
  36. 上林山榮吉

    上林委員 直接ないしは間接に法の範囲内において、あるいは資産の許す範囲内において、投資によつて住宅政策に協力してもよろしい、こういうような御答弁であつたと了解するのでありまするが、願わくば、日本保險会社ももうそういう方向に一部進んでいい時期であるというふうに考えておるのであります。そこでこの問題は非常に重大な問題でありますので、これ以上私はお尋ねをいたしませんが、なお投資の関係で法律の改正が必要であれば、法律の改正をやつてでもわれわれはあなた方の熱意に並行して国民の要望にこたえてもいいというよう考えを持つておりますので、ほんとうに住宅政策にそういう積極的な御関心を持つておられるとすれば、できるだけ近い機会にそういう方向に進めてもらいたい。これが私の第二の切なる希望であります。  そこでこの際参考に承つておきたいことは、法的にいろいろ制限が加えられておる資産の三割を株式、不動産には二割、投資には二割というふうになつておるということでありまするが、現在そこにもし資料がありますならばお答えを願いたいのは、現在において日本保險会社はこの法の示す割合で、どの程度実際各方面に投資をしておるか、大きな数字だけでけつこうでありますから、参考に承つておきたいと思います。
  37. 山根春衛

    山根参考人 ただいまの上林山先生からの御質問に対するお答えをいたします。本年二月末の数字しかまだ手元にまとまつておりませんので、その数字によりましてお答えいたします。現在損害保險会社二十社の総資産が三百六十億ということになつております。このうち実際にまだ保險契約者から保險会社に入らない保險料が一箇月分、大体七十億ほどございますので、実際の財産といたしましては、約二百九十億ございます。そのうちで、損害がありましたならばいつでも支拂うという責任準備金のうちの現金、預金というものを、そのうちの約三割になります九十億ほど持つております。それから有価証券のうちの株式が九十億——これは帳簿価格でありますが、これも大体三割になつております。社債はごくわずかでありますが、約五億、それから国債、地方債が六千万、これを御説明申し上げますと、戦争中は国債の占める割合が非常に多かつたのでございますが、御承知のように戦後国債の買上げ等によりまして、あるいはその後発行がございませんので、かように減少したわけでございます。  それから融資の方は船舶融資、証券融資、これらを加えまして大体四十億、割合にしますと一割三分ほどになつております。それから不動産投資、これは主として事務所、営業所、あるいは社員の住宅等を主としたものでございますが、これが三十五億ございます。こういつた数字になつております。
  38. 上林山榮吉

    上林委員 この問題については少しく掘り下げて御意見を拜聽したいのでありますけれども、時間の関係もありましようから、他日に譲りまして、次にお尋ねをいたしたいことは、政府提出しておる案の特徴といいますか、それとも長所といいますか、私ども考えておる点は、災害の起つた場合の災害補償料支拂つて行こうとしておる点だと考えておるのであります。ただその場合三円五十銭ではたして十分にこれをまかなつて行けるかどうかということは、これから検討を加えて行かなければならないのであります。そこで保險会社側にお伺いをいたしておきたいことは、約款によりまして戦争とか地震とか風水害とかいうようなものは現在では引受けないことにしておる。けれども、でき得べくんば、これも資産状況とにらみ合せて将来は何とかして行きたい、こういう考えを持つておるのだ、こういう将来への暗示を與えてもらつたのでありますが、私は保險会社が営利事業である以上、同時にまた半ば公共性を持つておる事業であるという点から、あまりに多くの希望を申し上げて根本を破壊するような要求をしてはならないと考えております。ただそこで、この中の一つだけでもよろしい、風水害の場合等も何らかの方法を将来考える余地はないか、これを全部やるということは、とうてい至難だと考えます。しかしながら、その中から、日本の実情として事実水害が多いことは御承知の通りであるが、これにも一定の條件をつけて、最小限度でいいのでありますが、私は将来、しかも近い将来何とかの考えを及ぼして行くというようなことも必要になつて来るのじやないか。これさえ解決すれば、私は今ただちに政府案を引込めて現状をある程度改革するだけで、保險会社側の要望に応じてよいのだというくらいに考えるのであります。こういう点について、近い将来、何とかして行くというような準備あるいは調査研究でも、すでに着手しておられるものがあるかどうか、この点参考のために伺つておきたいと思います。
  39. 葛西浩

    葛西参考人 ただいまの御質問に対してお答えをいたします。戦争保險、地震保險風水害保險と、私も先ほど三つ例としてあげました。その中で、ただいま上林山先生からどれか一つでも実現するような用意がなされておるかどうかという御質問つたと思います。戦争保險、地震保險につきましては、大蔵御当局で、地震保險の御計画等もかつてお立てになつたことも承知いたしておりますが、いろいろ予算等の問題で実現をいたしませんでした。戦争保險につきましては、これは民間事業としてなかな成り立ちにくいという考えは現在でも遺憾ながら脱し切つておりません。ただ風水害につきましては、先般来建設省御当局からのいろいろの資料も拜借し、また民間業者においても、火災保險、その他につきまして資料を集めまして、できればひとつやりたいという希望は持つて進めておりますが、やはり再保險制度であるとか、補償制度であるとか、国家のお力をまたないでは、現在の段階ではなかなか実現しにくい点で、行き悩んでおるわけであります。もう一つ民間の企業にいたしますと、任意契約という制度をとらざるを得ないのであります。強制ということは国家の事業でないと実現しにくいと思います。任意契約といたしますと、日本は確かに風水害が年々繰返されておる事実はよく承知しておりますが、地方的に毎年何回かの災害をこうむる土地と、比較的に安全な土地とございまして任意契約の措置をとりますならば、災害の多い地域の方だけが、この制度を利用される。私どもの言葉でこれを逆選択と申しておりますが、契約の逆選択をされますと、やはり民間企業の経営としてはそれのみでは実現しにくいという点に突き当りまして、非常に苦難をいたしておりますので、これにつきましてはなお将来とも大蔵御当局にもいろいろ懇請いたし、民間の力の及ばぬ点はまた政府のお力もお借りいたしまして何とかわれわれの使命の一端を果したいという熱意を十分持つております。さように御了承を願います。
  40. 上林山榮吉

    上林委員 ただいま御答弁になつような大きな構想はわれわれも望むところでありますが、資産等の関係、また保險の性質からいつて、現段階においてはなかなか十分にできないだろうということもお察しできるのであります。ただ私が提案いたしました趣旨は、住宅公庫の分に対して風水害の場合に何らか考慮の余地はないか、一般国民という点を一応離れまして、そういうよう考えはないという点であります。  第二点は、一般的な問題になりますが、再保險をつけているものはわずかに一部分であるということでありますが、近い将来どの程度政府なりその他の方法で協力すれば再保險を拡大し得るか、どういう種類のもの、あるいはどういう範囲のものくらいまでは増し得るというよう考えはないのかどうか。これをお尋ねするのは保險事業全体の立場からはもちろんのことでありますけれども保險会社資産内容のいかんということから、ひいて公庫保險契約とか、あるいはその他の住宅政策とかに関連をして来るから私は申し上げておるのでありまして、決して保險事業全体について深く研究をしようという意味ではございませんから、その辺をお含みの上でこの二点をお示し願えるならば幸いであると思います。
  41. 葛西浩

    葛西参考人 ただいま住宅公庫保險について風水害の危險を民間会社で引受けることが可能であるかどうか、またはそれに対しどういう熱意を持つているかという限定された御質問でございます。先ほど私は取違えまして、一般的なお答えを申し上げて失礼いたしました。この点は一般問題よりはさらに問題を局限して検討が進められる問題でございます。保險業自体はあくまでも認可事業でございますから、新しい業種の営業を開始するときには当局の認可ということが前提の條件になります。それには私どもがいろいろな資料をとりそろえ、その資料に基いて当局の認可を得て初めてやるのでありまして、一般的にも何とかそういう制度を実現したいという熱意で進んでおりますので、ただいま住宅公庫物件について特に十分な熱意を持てという委員各位からの御要望のように承りましたが、その点については十分業者の皆様の御意向も伝えまして、何とかそういう問題の具現をいたしますように、当局とも御了解を得て進めたいと考えます。  それから再保險の問題につきまして、先ほど私がただいまのところでは再保險をあまりつけていないと申し上げましたのは、火災保險のみについての意味でお答えをいたしたのであります。火災保險につきましては、先刻申し上げましたよう公庫物件の密集度がまだ過大になつておりませんので、一回の火災で延焼する限度はそう過大になることは予想されません。再保險は、大体引受けたものをその元受会社が全額を負担して一回の火災で非常に大きな損害が起る場合に、負担しにくいというか、どういう部分が自分の力以上であるかということを一応判定いたしまして、その超過部分の責任をほかに転稼する制度であります。その点まだ火災保險については住宅公庫物件の密集度がそう過大になつておりませんために、大部分は元受会社が責任を負担して、他に転稼してないということを申し上げたのであります。それから風水害等につきましては損害程度の予想がなかなかつきませんために、民間会社の現在の資力では全部責任を負担するということが企業の経営上非常に危險であるという観点から、ある金額以上の損害が生じた場合には政府等で責任を持つていただきたい。それを再保險の手続によつて政府にある金額の超過部分だけを持つていただくということを希望しておることを申し上げたわけであります。
  42. 上林山榮吉

    上林委員 再保險の問題についても公庫住宅等の関係でもう少し希望もあり、お尋ねもしたいのでありますが、ただいまの御答弁でいくらか認識を得ましたので、この程度にしておきます。  次に伺いたいのは、公庫住宅保險をつける場合は事務費がほとんどかからない、従つて三割二分の割引をしているのだということであつたので、黒字の数字の内容から私はもう少し料率を安くしてもらいたいという要望をいたしたわけであります。そこで少しでも住宅をたくさん建てさせるためには住宅公庫資産内容もこれを確実にして行かなければならない、こういうわけで私どももできるだけ一般会計から費用を出すようにしたいという努力もしておりますが、御承知の通り今日運用部の資金を相当多額にこれにつぎ込んでいるという実情であります。そこでわれわれが希望するところは、損害が非常にあつた場合は別として、損害が非常に少かつた場合はそれだけ保險会社はもうかつたわけでありますから、その一部をさいて公庫資金内容を充実するという意味でこれを還元する方法考えて行つてもいいのだ、また非常にもうかつた場合はそれでもけつこうだ、しかしこれも一定の條件がついておりまして、決して野放しの議論ではないつもりでございます。そういうふうに考えて行つてはどうかと思うが、この点に対しても、こういう問題を考えて来てくれといつて皆さんをお呼びしたのではないから、非常に困難な点もあるかもわかりませんが、一つの新しい方法として、私は取上げていい問題だと思いますので、この場を借りて、有力な皆さんにお尋ねをしておきたい、こう考える次第であります。
  43. 葛西浩

    葛西参考人 ただいま御意見を承りました。無事にその年度を経過して、公庫契約物件に対する成績が非常によかつた場合に、その收入保險料の一部を公庫にもどすよう方法考えられないか、こういう御趣旨でありますが、これは海上保險等で、無事もどしという、個々の契約についての制度がまさに損害保險に行われておる実例はございます。ただこういう場合に、こういう制度がただちに実現できるかということにつきましては、ただいまお話ように、実はまだわれわれも用意をいたしておりませんので、一つの新しい問題を先生方から與えられたものとして、可能なものであれば、ぜひ実現するよう研究させていただきたい、かよう考えます。
  44. 上林山榮吉

    上林委員 私の提起した問題に対して、ただちに実現し得るものと、近い将来、事情の許す範囲内において実現するように努力しようじやないかというような、きわめて建設的な御意見を拜聽しまして、思つたよりも、保險会社の首脳部の方々はものわかりがいい、こういうふうに考えて、新たに敬意を表する次第でありますが、どうかこの場限りの議論に終らず、ただいま提起した問題が、実際問題としても、研究のいかんによつては、でき得る要素が多分にあると思いますので、ひとつ熱意ある御研究と、具体的な対策を講ぜられたい、こういう希望を付して、これ以上は質問いたしません。  最後に、東京建築局長石井氏にお伺いいたしたいことは、先ほどはきわめておもしろい御意見を拜聴したのでありますが、それは別として、端的に伺いたいことは、東京都が経営しておる公営住宅、こういうようなものについては、東京都自身で自分の物件保險をかけることは法理上筋が通らないと思いますが、その他の方法で、どういう財産保全の方法を講ぜられておるものか、この点について、参考のために伺つておきたいと思います。
  45. 石井桂

    石井参考人 ただいまの御質問の、公営住宅につきましては、東京都では目下三万戸ほどございますが、当初は一つ保險に入つておりませんでした。それは公営住宅が防火上非常に考慮して、木造並びに鉄筋コンクリートとも建てられておる関係でございます。しかし昭和二十四年から、戸山ハイツに初めて一般火災保險会社保險をかけたわけであります。その間も、一つも事故はございませんで、結局焼けるよりも保險料の方が高いということで、私の方は予算を出しましたが、通りません。しかし幸いに、最近公営住宅共済会というものができまして、自家保險制度ができたのです。それにかかりましたとたんに二、三戸焼けまして、私の方はその費用で復旧いたしましたので、保險制度はやはりあつた方がいいということで、都営住宅は焼けましたらば建つような手段がとれておりますから、それを申し上げておきます。
  46. 田中角榮

    田中(角)委員 私は簡單住宅金融公庫の総裁と住宅局長に、質問ではなく、希望を兼ねて申し上げておきたいと思います。本日は参考人の御意見を聽取する会でございますので、こういう発言はどうかと思いますが、私はこの次の機会に出席できないかと思つておりますので、私の意見を申し上げておきたいと考えます。  いろいろと御議論がありますが、私はこの法律案につきましては、公庫住宅の利用者の負担を軽減したいために補償制度を設けるという原則的理論には賛成であります。しかし、住宅金融公庫の現在の状況において、補償制度をつくつて保險の加入を解消するということに対しては、全面的に賛成をするわけには行かない。そう申し上げるよりも、時期尚早であるというふうに考えております。私は自由党の議員でありますので、党の意向も十分くみ、しかも私の理論と一致をする観点から申し上げるのでありますが、現在日本住宅政策というものが非常に貧困であるために、適切なる住宅政策をとらねばならぬということは、申すまでもありません。住宅が拂底しておることも、私が言わなくてもその通りでありますが、その方法としては、いわゆる住宅が不足だから国の一般財政から金を入れて、幾らでも住宅をつくるのだという考えには反対であります。理論的に考えても、国家予算というものは、無料公開の原則に立つものに対して費消せらるべきが原則であります。その意味において、私たち自身も、住宅対策に対しては過去長いこと苦心をし、しかもこれに対して献策も行い、立法もして参つたのでありまして、住宅金融公庫法の成立に対しても、当委員会は相当な努力を拂つたのであります。住宅が少いから、今までの貧困な住宅行政の面のみでは、この問題を解決することはできない。その意味においては、第一種公営住宅、第二種公営住宅のごとき法律案を通したり、また住宅金融公庫法のごとき法律案も通して、住宅拂底を緩和しなければならぬ、こう考えておるのでありますが、普通の原則論から言いますと、一般国民から吸い上げた一般会計の歳出金をもつてまかなうものは、こういう特殊な、嚴密に言いますと、ある一部の人たちが利益を得るための支出には、なるべく使わないことが原則でなければならぬ。現在道路にしても、あらゆる面に対して不足でありますが、ただ大きなわくからいつて住宅問題を解決するためには、そんな理論は言つておれないのだということで、一つの便法とし、まだ理論的のもいろいろな議論があるにもかかわらず、住宅というものに対して、一般公共事業費の中で相当大きなわくをとつておる。これは現実的な問題としてやむを得ないことであります。住宅は、少くとも利用する人たちが自分の資力でつくることが理想であります。もちろん高度の社会保障制度をやらなければならない現在の社会情勢として、こういう理論的にのみ終始するのでなく、第一種公営住宅、第二種公営住宅をあわせて公営住宅法を制定し、しかも現在住宅金融公庫法を制定しておるのでありますが、いわゆる国家補償立場から、当然引揚者あるいは要保護者に対して與えられる住宅に対しては、これはもう無條件に負担軽減というものを第一義に掲げなければなりません。しかしそのような問題に対しては、現在府県営の国庫補助公営住宅に対しては地方自治法による共済制度が設けられておるのでありまして、その通り住宅金融公庫法によるところの住宅に対してもやろうという政府の御提案でありますが、これは少し考えなければならぬと思う。住宅金融公庫というものは中産階級のうちをつくるのではないかということをいろいろな議論として言われてますが、これは当然なことであります。厚生省が考えました第一種、第二種公営住宅というものは、これは要保護者のためにつくる、そのため法律を制定したのであります。それと住宅金融公庫を使うものの中間的なものに対して、現在の公営住宅法が適用されておるわけであります。それと自費でもつてつくれない人の中間層をねらつたものが住宅金融公庫法であらねばならない。もちろん国家投資をする場合には、住宅が必要であるために国家投資をしなければならないと同時に、この回收は確実でなければならぬ。そういう二つの相反する面を同時に行おうとするところにいろいろな問題があるのでありますが、住宅金融公庫もその意味において公営住宅法による公営住宅と一律に論ずることはいけないと私は考えております。だから私は将来の問題としては、先ほど上林委員も言われましたが、住宅金融公庫法による住宅を現在つくろうとしておる人たちは、できるだけ自分の資力をあげてこの公営住宅を買收するような方向に進んで行かなければならぬと思います。しかもその回收せられた金は、再びこの種の住宅建設資金に投資をせられて、一般会計からの支出の金は、なるべく小さく圧縮をして行かなければならないということは、私は原則論であろうと思います。それは理想に走るものであるというならば、私は今そこに大蔵省の保險課長がおいでになりますので——今金融統制をやつておりますことはやむを得ませんけれども、こういうものこそ金融統制をはずした第一段の処置として、これは保險会社方々にお聞きするということではなく、われわれ自体の力でやらなければならないと考えております。金融統制が、国家資金もそうでありますが、今いろいろな問題を起しておる。金融統制のわくははずすべきだ。なお預金部資金問題等もいろいろ問題がありますが、私は金融統制をはずすということを前提にした場合、火災保險の余剰金は当然住宅投資に振り向けられるべきだ、これは法律をもつて行うべきだと考えております。その意味において今住宅金融公庫を使つておられるよう方々は、将来火災保險会社の余剰金の対象になる住宅を借りて、それよりも一歩進んだ場合には、前に日本勧業銀行がつくつてつたようなものまで進歩しなければだめだ、こういうふうに考えておりますので、今住宅金融公庫法による何万戸の住宅に対して保險料率が高いから、しかも、この間政府の言われたように、三円何十銭でやつて行けるということを言つておりますが、こういうことをやつておると、住宅政策に対する一般の不信が起きて来る。これは働いたものの中からまず第一番にうちをつくるという進取な気象をつくる意味においても、ただ現実のみにこだわつて高い利子を掲げると、私は住宅政策に対して破綻が来ると考えておりますので、その意味においても、現在の住宅金融公庫法改正案から強制加入保險というものを取除いたということは反対であります。ただ料率の問題に対してはいろいろありますが、これは保險会社とそれから住宅金融公庫との間で十分検討せられて、妥結点を見出せるわけでありますので、これはわれわれが関知しなくても、あなた方が本法の精神を十分理解せられておるのでありますから——運用の上において保險会社は当然三五%限でなければならないというのか、五〇%といわれるのか、それはあなた方は利害が相反する立場でありますので、これは両者で十分妥結ができる。ただ大本を間違つてもらいたくないということだけを申し上げてみたいのであります。  もう一つ、この間、住宅局長が発言せられておりましたが、私はそのときに反問しようと思つたのですが、時間もありませんでしたのでそのままになつておりましたけれども補償制度という問題に対して、自由党やその他の政党が、民間企業が圧迫せられるからということを言つておられます。私は、そういうふうな意味で申し上げておるのではありません。政府企業というものは、大体結末はうまく行かないのです。本委員会で取上げた一番大きな問題の中で住宅営団の建物がありますが、これのしまいというものも、まつたく安かろう悪かろうに終つてしまつたわけであります。三円何十銭で政府が十分補償制度をつくつてやれるというけれども、その補償額を越える災害が起きた場合はいかにされるか。こういう問題に対しては、必ず国家が政府損失として欠損処分にする以外にないのです。欠損処分にして行くと、政府の金はもらつたものだ、復興金融金庫から借りたものはもらつたものだ、こういう税金は納められない、私たちはこういうところに線を引きたい。住宅金融公庫の選に当つて金を借りたものは、一般の財源の中から出してもらつておるだけに、一つの恩典に浴しておるのだという感情だけは捨てたくありません。私たちは住宅金融公庫法を制定した当時、そういうきつい意見を出しております。これはうちがないのですから、選に当つた、うちができた、税金も拂わぬでよい、保險料も安い方がいい、なお燃えたら国家補償をしてくれるのなら、これはまことにいいのです。これはソ連へでも行つてやらなければこういうことはできない。私はこういうふうに考えております。このたびの状況においては、少くとも住宅金融公庫法のほかに公営住宅法があるのでありますから、特に住宅金融公庫法のねらうところをお間違いにならないで、将来火災保險会社の余剰金は住宅建設に振り向けられるべきであり、究極の目的としては、特別な人の利益を目標とした住宅政策は変更せらるべしという結論から、この火災保險の小さな問題を論ずるよりも、大きな問題を論ずる方がよい。特に保險課長がおいでになりますので、この資金統制のわくがはずれた場合は、大蔵省がみずからこれを買つて出て、住宅政策を立案せられることを希望します。非常にはげしい言葉になりましたが、時間がありませんのでこんな強いことを申し上げたのでありまして、私の意のあるところをくまれることを希望します。
  47. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 私はきようわざわざおいでをいただきました参考人の皆さんに数点お伺いをいたしたいのでありますが、その前に参考人方々にも論点を明らかにしていただく意味におきまして、師岡局長にきわめて簡單に要点だけをお伺いをいたしたいのであります。まず災害補償約款その他の問題でありますが、今まで政府の御答弁によりますると、災害補償料率は千分の三・五にしたいという御答弁があつたのであります。それは第二十二條の二の第二項の政令でお定めになるのでありますか。それをお伺いいたします。
  48. 師岡健四郎

    ○師岡政府委員 その通りでございます。
  49. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 そういたしますと、この千分の三・五という率は店舗との併用住宅をも加えた平均の率でありますか。またこれは平均が三・五でありますから、政令はどういうふうにお書きになりますか。つまり三円五十銭にしても、これは三円のところもあり、六円のところもあると思うのであります。地域によつて違うと思うのであります。政令の案文をひとつお示しを願いたいと思います。
  50. 師岡健四郎

    ○師岡政府委員 千分の三・五という大体の試算で出ておる料率でありますが、これは平均でありましてもちろん地域別に多少の差ができるわけであります。
  51. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 ちよつと案文を示してください。
  52. 師岡健四郎

    ○師岡政府委員 詳細な規定になりますのでまだ検討中でありまして、ただいまお示しできないわけであります。御了承願いたいと思います。
  53. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 それではその政令には別表ができて、たとえば東京都は千分の五・五、山口市は千分の三・五、こういうふうにおきめになるのであります。
  54. 師岡健四郎

    ○師岡政府委員 一例として申し上げればそういうことになろうかと思います。ただ一般料率といえども地域別にいろいろ差があるのでありまして、災害補償制度考えました料率は千分の三・五の平均料率で行くわけであります。
  55. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 第二十七條の二に災害補償準備金を積み立てることになつておりますが、これは火災が少くて黒字のときにはそういうことができますが、不幸にして大火災が起つて赤字のときにはどういうふうに処理をなさるのでありますか。
  56. 師岡健四郎

    ○師岡政府委員 赤字の問題でありますが、この補償制度は災害が起りましたときに債務を免除するという契約であります。従いまして公庫といたしましては、一応バランス・シートの上におきまして、これを繰越し欠損として載せて行けばよいのでありまして、後年度におきましてその損失は平均化されると考えております。
  57. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 そこに非常にあいまいなかつて住宅営団のときのような面が生ずる余地があると思うのであります。ですから政府の方に対する御質問はこの程度にとどめておきまして、これから参考人の方にお尋ねをいたしたいと思います。  元来当委員会におきましては、昨年でありますが、この住宅金融公庫法の一部を改正したいということで理事会で結論を得まして、そうして、少しでも家を建てた人の負担を軽減したいという意味から、利率の低減、償還年限の延長、面積の増大の問題を一応当委員会決定をしたのであります。そうして当時の習わしといたしましてGHQの方にも交渉に行つたのてありますが、その方で了解が得られずしてこういうことになつたのであります。従つて昨年からのいきさつを考えますならば、どのよう方法にでもして住宅を建てた人の負担を軽減しなければならぬという一貫した方針に立つておるのでありまして、その点は先ほど三池委員がるる述べられた通りであります。そこで今お聞きの通り師岡局長は政府を代表されまして、平均して千分の三・五でやるのだという御答弁であつたのであります。ところが火災保險関係方々は、現行は千分の五・七一、千円に対し五円七十一銭で、それを割引しても一割引の五円十三銭くらいまでがせいぜい割引できる限度であろう、こう言つておられるかに仄聞いたしておるのでありますが、三円五銭と五円十三銭との間には一円六十三銭という差が生じておるのであります。これは先ほど三池委員が詳細にお尋ねになりました通り、募集経費もまずゼロである、危險度も住宅金融公庫で建てる場合にはいろいろな制約といいますか、監督ではありませんが、いろいろ現場も調査いたしますから、一般ように密集度もないし、また規格についても一般よりはよいという観点がありますので、危險度ははるかに一般よりは安全性があるわけであります。そういたしますと、建設者において算出をいたしました蓋然率の三円五十銭見当にまで——三円五十銭では全然奉仕をしなければならないから利益本位の保險会社ではできないかもしれませんが、それに近い線まで下げられるというお考えは全然ありませんか、どうでありますか、お伺いいたします。
  58. 葛西浩

    葛西参考人 村瀬委員にお答えいたします。先ほど来各委員方々からもお聞きになりましたが、募集経費がかからないからもつと安くできるだろうという御質問ように拜聽いたしました。住宅公庫物件だけを特に拾い上げて申し上げますと、あるいは御指摘のようになるかもしれませんが、反対に保險業者は全国の物件対象契約をいたしておりますので、不幸にしてある部分につきましては厖大なる損害負担しなければならない面も出て来る。それこれを全国的に計算をいたしまして、できるだけ優良な物件保險に対しては料率を安く契約したいというのが趣旨であります。また事業会社といたしまして一定の税金も全体の営業量に応じて負担をしなければならない面もございますので、全然奉仕ということは無理だろうというお話もございましたが、やはり全体から見ますと経営の成り立つ基本線を保持しなければならないという立場もございますので、建設当局の御計算になりました千分の三・五というものはあるいは妥当であるかもしれませんが、民間業者営業対象として考えますときに、住宅公庫だけが特別に費用がかからぬから、それと同様もしくは同様に近いところまでという点には非常に困難なところがあるということを御了解願いたいと思います。
  59. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 これは実情を申し上げておきたいと思うのでありますが、御承知のように当委員会で可決いたしましたものは本会できまり、それが参議院へ行つてまた同様な審議をするわけであります。そのときに政府は十万円の建物に対して三百五十円でよいという原案を出したのを、各委員が集つて五百十三円というふうに修正をしたということになるならば、国民はなかなか承服いたしません。またそういうことになりますと、当院を通過しても参議院でなかなか通過することはむずかしいのであります。そこにははつきりと国民にもなるほど修正した方が正しいという一つの明確な数字的な動かすべからざる基準がないことには、ここだけ通つてもなかなか最後の法律とはなり得るものではないのであります。そこで税金は一体どれくらい見れば妥当であるか。三円五十銭に対し、あるいは十五銭の税金に、さらに十五銭が会社の建築、事務所の拡張、その他帳薄、文房具等にいるというような基礎がそこにでき上りまして、三円八十銭くらいは当然であろうというような基礎になりますれば、必ずしも三円五十銭を一銭上まわつてもそういう修正をしたのは不都合だということはないと思うのであります。三円五十銭の場合でも、一方公庫の職員もふやさなければならぬでありましようし、それによつて公庫経費もふえて行くでありましよう。また先ほど師岡局長がお述べになりました通り、不幸にして大火災があつたときには、はつきりその場合では出て来ない。次々と追い繰つて出て参りまして、最後に何年か後に出るという危險もあるのでありますから、できればせつかく今までやつておる大災保險業者にやつていただくのが一番よいと思うのであります。問題はせつかく政府負担を安くしてやろうとして法案を出して来たのに、もつと高い率を納めいという修正では、とうていそこは通りません。そこの科学的な数字的な基礎が明らかになるかならないかによつて、この問題は審議を進めなければならぬと思うのでありますが、おおよそどの点までは保險協会の方におきまして收支相償つて行くとお考えになるでありましようか、重ねて私はお伺いいたしたいのであります。
  60. 葛西浩

    葛西参考人 ただいまの御質問は、先刻三池先生あるいは上林山先生からも同様の御趣旨の御質問があつたのでありますが、料率はできるだけ低減するよう関係会社も協力をいたし、また認可の御立場にある大蔵当局の御了解も得て引受けたいということを申し上げておるわけであります。先ほど住宅局の方から、不幸にして赤字を生じた場合には次年度勘定に繰越すという御説明があつたように伺いましたが、保險業者としては自己資産とにらみ合して、いかなる大火災が起つてもその責任を完全に果したい、また果すべきが当然の使命でありますが、その点についての安全度というものも考え契約を引受けなければならないのでありまして、赤字が生ずれば、極端な場合にはその会社が破産をするという結果に相なろうかと思いますが、そういうことのないようにいたしますことと、それから住宅公庫の貸し付ける物件以外の多数の契約者の利益ということも、同時に考えて行かなければならぬ。その契約だけ責任を果しても、他のさらに大多数の被保險者に対する補償の責が果せないということのないよう考えて行かなければならぬ。この点は監督の大蔵御当局におかれても、全契約者の利益を保護する立場から、常に料率経費あらゆる面に検査をいたし監督をせられておるようなわけであります。料率の面をどのくらいまで勉強できるかという御質問に対しましては、私この席でただちに御答弁いたしかねますが、御指摘の趣旨を十分尊重して引受けるように、会社方々とも十分協議して、大蔵省当局の御理解を得られる限りできるだけ協力をいたしたいと考えております。
  61. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 大蔵省の保險関係説明員がおいでになつておるそうでありますが、参考人の御答弁を伺いますと、保險料率をあまり下げるのは、何か他の保險に危險を與えるので、大蔵当局が阻止しておるというふうにも響いてとれたのでありますが、大蔵当局はどういうふうにお考えになりますか。先ほどからの私の質問に関連して御意見を伺いたいと思います。
  62. 狩谷亨一

    狩谷説明員 大蔵省といたしましては、保險料を極力引下げるということによりまして、契約者へのサービスを保險会社に徹底してもらう。もちろん第一次的には全契約者について平等に扱いたいと考えております。しかしながらその平等ということを一応敷衍して御説明いたしますれば、あらゆる契約者から同一の料率でとるということではもちろんございません。それは火災保險を例にとりましても、構造のいかんによりまして、あるいはその地域の消火設備のいかんによりまして、あるいは過去の損害発生率のいかんによりまして、もちろんいろいろな差等があるわけでありまして、そのような差等を考慮いたしました上で、実質的に平等な扱いをするということに相なつております。さよう意味において考えました場合に、公庫物件につきましては、他の一般住宅の場合に比較いたしまして、先ほど来御質疑がありましたよう火災保險対象として、発生率は少いとか、あるいは契約獲得につきましての余分な経費が少くて済む、かような事実があることは承知いたしております。従いまして過去においてさような観点から一般住宅を比較しまして、公庫料率に差等が設けられていたのであろうと考えております。今後におきまして、事情の許す限りにおきましてさような差等は、契約者平等の保險の大原則の一つを貫くゆえんであるとも考えますので、考えて参りたいと思います。ただいま大蔵省の立場といたしまして、幾らの料率がいいか、幾らの差等を設けるのがいいかということを、ここですぐお答えすることはできない実情でございます。  なお現在の火災保險料率につきましては、昨年一般住宅保險につきましては二回の引下げをいたしております。住宅以外の普通物件につきましても、一回の引下げを見ました。従つて住宅物件につきましては一昨年の十一月に比べて、現在二割安くなつております。また公庫物件につきましても、同様に引下げが行われております。現在公庫から入つております住宅料率につきましては、昨年九月ないし十月当時の一般料率に比べまして、現在の水準は六割以下になつておるような現状でございます。また料率も引下げの傾向になつておるという全般の背景のもとに、この問題についても御審議をいただきたいと考えております。
  63. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 公庫のできたときよりは大分下つておるという大蔵省の説明員のお話でありましたが、それはさきに三池委員がお述べになりました通り、公庫ができると同時に自家保險制度をやつておるならば、一億九千四百万円に対し二千八百五十万円、まだむろん将来の危險も残つておりまするが、二千八百五十万円を差引いた一億六千万円ほどのものが別勘定で残つておるということになつておるのでありまして、料率が下つて行くのはこの事実から見ても当然であります。もつともそう言つてつても、あしたどういう大火災が起らぬとも限らぬのでありまして、これは保險制度自体の根本に触れまするから何とも言えないのでありますが、もともとプロバビリテイーの算出というものは、年限は長いほど確実なものが出る、また対象物も範囲を広く、数字を多くするほど、これは人間の死亡率のように動かないものが出るのでありまして、面積と物件と年限とを縮めますならば、非常に危險性は多いのでありまするから、わずか一年六箇月の例をもつてただちに当てはめることはできないのではあります。しかし一応ここにこういう数字が出て参つたといたしますると、やはり建設当局において三円五十銭でやれるという自信を持たれるのも、またあながちとつぴな考えではないという数字が出て参るわけであります。  そこで私はもう一度また師岡局長にお尋ねをするのでありますが、この問題は法案全体を通じて有機的な関連があるのでありまして、すなわち利率を五分五厘から六分に上げるというところに保險料率、いわゆる補償制度というものを思いつかれた原因があると思うのであります。利率が順々に下つて、今まで通り三割引あるいは三割二分引で保險会社でやつてくださるならば、多少危險の伴うこういうことまでもやつてもいいとお思いになつたかもしれませんが、時代に逆行といいますか、とにかくこういう住宅を建てた人の家計費は一向向上しないときに、五分五厘を六分に値上げするという案をここでおつくりになるについては、何とか少し負担を軽減してやる方法考えてやらねばならないという必然の使命に追い詰められて、こういう案を考えられたと思うのでありますが、一体利率を五分五厘から六分に上げるという点は、何らかの交渉または折衝の余地があつたのではないか。むろん郵便貯金の利率等は上つているのでありますけれども、それでもまだ五分五厘にもなつていないのであります。四分何ぼかと思います。そういう関係から、この利率を上げるという点について師岡局長はどういうふうな折衝をされておりますか。それをお伺いしておきたいと思います。
  64. 師岡健四郎

    ○師岡政府委員 利率の引上げにつきましては、前の委員会におきまして数次御説明しておりますように、公庫貸付資金の構成が、政府資金あるいは見返り資金の分の全体に占める比重が少くなりまして、資金運用部資金からの借入れが多くなつた。これに対する利拂いが全体としまして二分五厘、この資金コストが上りましたので、六分にしなければならぬという情勢になつたわけであります。その間さらに高い利率の話もあつたのでありまするが、これにつきましては、当時私は公庫におつたのでありますが、あまりにも一時に急激に利率を引上げるということはどうかと思いましてこのようにおちついた次第であります。
  65. 松本一郎

    松本委員長 村瀬君にちよつと申します。きよう補償制度に関する参考人として来てもらつておりますので、質疑は一応打切りになつてはと思いますが……。
  66. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 それとの関連もあつてつておるのであります。  最後に、参考人としてせつかく来ていただきました方に伺つてみたいと私は思うのであります。先ほど三百六十億円の資産の内訳を一応御説明になられました。不動産融資として三十五億円ということになつておるような御説明であつたと思いますが、この比率をずつと高めてもらう方法はないものでありましようか。またこの不動産融資というものは対象は主としてどういうふうになつていますか。
  67. 山根春衛

    山根参考人 ただいまの御質問にお答えいたします。ただいま申されました保險会社資産のうち、不動産投資が三十五億、全体の資産の大体一割程度でございますが、これは業法に定められました割合の二割に比較しますと、半分しか投資していないのじやないかというお感じがあるかと思うのでございます。この不動産投資のおもな目的は、事務所とかあるいは社員の住宅とか寄宿舎、そういうものが大部分でございまして、そのほかに抵当権貸付という項目がございます。これは三十二億ほどございます。これは大部分は船舶建造資金に対する融資でございまして、不動産はあまり入つておらないかと思うのでございます。こういうよう状態でございまして、不動産の投資をもつとふやす意思があるかどうかという御質問に対しましては、実はこれは全体から見た数字でございますが、個々の会社によりましては、不動産投資の余地のない資産構成をしておる会社もございますので、一概に不動産投資をふやし得るということは申し上げられないのでございますが、保險会社といたしましても、先ほど申しましたように、営業所とか事務所とかあるいは社員の住宅とか、一般貸付住宅という計画は具体化いたしておりませんが、そういう方面の投資がどんどんふえておるのでございます。従いまして一般住宅だけに投資するということは、実は保險会社にもそういつた機関もございませんし、また住宅経営ということはなかなかむずかしいので、保險会社が直接やる段階にまだ至つておりません。しかしそういう問題も、これは先ほど三池先生からお話のありましたように海外等では資金の運用としてアパートの建設等をやつておる例もございますので、だんだんそういう研究もしたいと思つております。
  68. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 ありがとうございました。私の質問はこれで終ります。
  69. 淺利三朗

    ○淺利委員 関連して……。大体は皆さんの質問でわかつたのでありますが、私はただ二、三の点について補足的に伺つておきたい。  第一は住宅公庫貸付に対する保險であります。これは住宅公庫貸付金自己資金の比率がどの程度になつているかということを建設当局に伺つたのでありますが、それが明確でない。それでそういうものの保險について住宅公庫保險を受けておられる保險会社において、公庫から借りた資金自己資金とを区別してどういう比率になつているかというような御研究があるならばそれをお示し願いたい。今できなければあとで表にしていただいてもよろしゆうございます。  もう一つそれに関連して、たとえば住宅公庫から借りたものが最初は木造であつて一万八千円が基準であつた、後二万六千円になり、今日は二万八千円になつております。そして現在の物価の値上りからみれば、その当時一万八千円基準で建てたものも今日は三万円以上になつている。この物価の値上りに対応して保險金はふやしている実情であるか。依然として従来のままであるか。何かそういうことの御研究があるならば、それもひとつお示しを願いたい。  それから住宅公庫は自分の貸した金だけはこれでまかなえるけれども、しかし自己資金部分とかあるいはまた物価の値上りに対応して建築主資産としてこれを担保に保險に供すべき価格が上騰しておつたという場合であれば、公庫の借金を返す以外に、また自分の保險をする場合が生ずるだろうと思う。そういう場合においては、もしこの制度がしかれたならば、保險業者方々はただいまの三割引という恩典をこれに均霑させるか、そういう点をまずもつて伺いたいと思います。お調べがなければあとで表を出していただいてもけつこうです。
  70. 葛西浩

    葛西参考人 ただいまの御質問保險会社に関するものについてお答え申し上げますが、第一の融資金額に相当する保險の金額と、自己資金に相当する保險部分との数字的に区分ができているかどうかという御質問かと思います。これは実はまだ統計局に数字を用意されておりませんので、御趣旨に沿うような資料を至急集めまして、できました結果を後日書面でお答え申し上げたいと思います。  それから住宅の値上りについて保險金額が増額されているかどうか、これも同様にまだはつきり数字をつかんでおりませんので後ほどお答えいたしたいと思います。  それからこの制度が実行されましたときに、住宅所有者が任意に民間保險会社保險をおつけになるという場合を想定いたしますと、先刻来いろいろ御指摘のありました募集面の経費節約という大きな要素が失われて、一般契約と同様な取扱いをしなければならない。構造、配置状況等による危險度が少いという点がどの点まで料率に現われますかは別といたしまして、その点は若干研究の余地があろうかと思うのでありますが、募集面については、一般契約と何ら区別が生じないという点で、少くとも現在行つておりますような割引いた料率がそのまま適用されることは困難である、かよう考えます。
  71. 淺利三朗

    ○淺利委員 もう一つお伺いしたいことは、ただいま投資の面が保險業法によつて制約されておると申されましたが、今この資金運営の面において、たとえば社債の利率、国及び地方債の利率、それから船舶に投資した利率、不動産に投資した利率というものが、大体どのくらいの率で運用されておるか、もしわかりましたらお示しください。
  72. 山根春衛

    山根参考人 これは御承知のように社債、地方債の利率はほぼきまつておりまして、大体利回りから申しまして九分から一割程度でございます。それから船舶融資は大体一割でございます。株式の方はもちろん利回りでわかりません。
  73. 淺利三朗

    ○淺利委員 その方はよろしゆうございます。そこで実は先刻上林委員からも質問があつたようでございますが、保險会社住宅建設に対して投資をするなり、あるいはまたみずから建築をするという方法をとられてはどうかということは、住宅審議会の第一回の会合の際に、私が当時招待を受けまして出席したとき、火災保險の代表の方がおいでになりまして、そのとき私はこの意見を述べておつたのであります。さらに東京海上のある首脳部の方にもこの問題の研究を要請し、また建設当局にはしばしばこの問題を取上げて検討するように要請しておつたのでありますが、いまだにその結論を得ておらないのであります。今日参考人の方の御説明によりますと、あの当時から見れば非常に進歩したとお考えになつておる、これに協力してもいいというような御意思があるようでありますが、私ども考えておりますのは、保險会社はやはり対象物となるところの家屋なり、その他のものがふえればふえるほど安く経営ができるという建前であります。そうすれば住宅建設に皆様方が投資をされ、それがかりに低利であつても、さらに建てた建物によつて保險料というものが入つて来る。ことに耐火建造物でありましたならばその料金割合に危險率は少い。そこで一方においては労せずしてその保險料がどんどんふえて入つて来る。投資においては一割、あるいは九分というような利率では少し安過ぎるかもしれないけれども、その建てた建物が、やがて皆様方の事業対象となつて来るということをあわせて考慮するならば、ここに十分住宅建設ということを考える余地がありはしないか。そういうことはぜひひとつお考えを願いたいということをかねてから切望いたしておるのであります。これについて政府当局といたしましては、ただいまの保險業法というものの、株式には何割とか、あるいは不動産に何割というようなわくを定めておるが、住宅その他建物保險に当る会社であれば、その対象物をふやしてますます業界の発展を期するというような投資の方面については特にこのわくを広げてこれに投資するように、規則を改正する場合においては考慮すべきだと思うが、政府当局はどういうふうにお考えになりますか、その点を政府からも伺い、また業者の方からも承つておきたいと思います。
  74. 狩谷亨一

    狩谷説明員 ただいまの御質問に対してお答えいたします。損害保險会社業務と、住宅建設とが密接な関係があるということについては、私もお話の通りだと思つております。ただそれにつきまして、どの程度住宅建設資金損害保險会社が出すべきかという問題になつて参りますと、具体的には二つの観点から問題があると思います。  まず第一の観点は、現在の保險業法におきまして、これは先ほど来いろいろ御審議がございましたが、実はこれは保險業法における資金運用の制限につきましては、これは戦時中あるいは戦後の臨時的なものではないという点なのでございます。なぜそのような制限をしているかということでございますが、保險会社は御承知のごとく一種の金融機関でございまして、金融機関で多数の契約者の金をお預かりしている。そうして一旦事故があつたならば、それを遅滯なく拂いもどす、これが金融機関として保險会社に課せられた第一の使命だと考えております。そのために多数の契約者から預かりました金をまず安全にかつ有効性を保つて保管するということが保險会社としては第一の使命でございます。従いまして現金とか預金勘定が多くなることは、さよう意味で当然でございます。その点貸付を中心にいたします銀行とはやや趣を異にした点でございます。またその資産につきまして、契約者から預かつております金は、貸付によりまして損害をこうむる、あるいは所有したものが、不動産につきまして将来価値が減ずるというようなことがありますれば、それがために契約者に御迷惑をかけるということになりましては、保險会社としての第一の使命が半減せざるを得ない、こういうことになるわけであります。そこで資産の運用につきましては、流動性ということが第一の條件でございまいす。その次にあるいは有利性とか、換価性、それからまた資産の種類についてヴアライエテイーを持つということも一つの安全性を尊ぶということから、これが原則となつておるわけであります。さような見地から立てられておるのが現在の業法でございまして、こまかにそういうことがきまつておるのは、そういうよう趣旨でございまして、従いましてそういう見地からやはりこの問題は考えてみなくてはならない。もちろん私はただいまの御提案を全面的に否定する意思は毛頭ございません。そういう保險会社住宅建設資金を出すということは、これは事業と密接な関連があり、また事業の将来の発展の地盤をつくる基礎であるということは重々承知しております。ただ全然契約者のための共通の財産である。保險会社資産というものについては第一に流動性があり、安全性があり、かつ有利性がある。そのためにヴアライエテイーを設ける、かようなプリンシプルが資産運用についてとられなければならないということを申し上げたのであります。  第二の点は保險会社資金につきましては、御承知のごとく金融機関あるいは金融の貸出しの場合につきまして申し上げますと、長期の資金と短期の資金の問題がございます。そこで住宅建設に当ります面に貸出します資金は、通常長期の資金でありまして、それが換価性がむずかしいというのが一般の原則でございます。損害保險会社資金は短期にかわる資金でございます。さよう意味におきまして、もちろん短期のものにつきましても一定の歩どまりはあると思いますが、その限度においては長期のものにまわすことはもちろん可能でございます。しかし保險会社の扱つております運用資産の非常に大きな部分を固定資産に投資するということには、保險会社の経営自体の面からいつておのずから限界が出て来るということも申し上げたいと存じます。  以上のような観点から考えました場合に、どの程度住宅建設にまわすべきかという問題は、むしろ現在の業法のわくの問題よりは具体的なわくの範囲内での投資方針の問題に帰せられるのではないかと思います。
  75. 淺利三朗

    ○淺利委員 この問題は今大蔵省的の考え保險業を金融業という安全性の立場から考えておられるようであります。しかしこれは住宅なりその他の面に対して保險ということは一種の公益的の事業でもあり、また住宅政策の上からいつて保險業というものは、住宅に関する限りにおいては、少くとも住宅政策の一環として考慮すべきものと思うのであります。でありますから、今のように不動産として固定すると、すぐ困るというよう意見もありますけれども、しかし確固たる財産である限りは、それによつて他の金融の道で一時の問題も解決すると思います。ややもすると、今日までの実際を見ますと、保險会社の金融というものは政府がこれを統制して、政府の金融政策の一環にこれを盛り入れる、あるいは住宅建設その他の面においてこれを活用するというよう方面において考慮が欠けておりはせぬか、船舶建造については海上保險関係資金ではありましようが、まわしているが、住宅方面にはまわしておらぬ。こういうことが将来の住宅政策の上から見たならば、さきにも申し上げました通り、住宅建設をふやせば、同時に保險会社業務は拡張して行く。こういう面から、あわせて住宅政策の上に非常に影響を及ぼすことが大きいと思うのであります。この点については政府当局においても、また保險会社においても、さらに再検討をしていただきたい。もし各保險会社はすべてそういうことは一緒にできないとしても、ある特殊の会社がそういう新機軸を出してその際政府が認めるということになれば、またその間に創意くふうによつて新たなる計画も立つて来ると思うのであります。現にこれはアメリカあたりにおいては実施しておるのでありますから、日本の今日の現状においてこれをなし得ない隘路はどこにあるのか、政府の業界監督の嚴密なためにあるのか、あるいは日本保險業者資産のいまだ強固ならざる点にあるのかといつた点は十分御検討を願いたいと思います。  なお申し上げたいこともたくさんありますが、大分時間もたちましたから、この程度にとどめますが、金融公庫の総裁が説明されたように、一方において保險料金の安くなるということを希望されるということと、それから現在の保險に限るということでも十分に行けるという御意見があつたようであります。今回のこの制度の上においては、金融公庫がその貸金の担保という点からは、これはまことにけつこうでありますが、しかし住宅政策という大きい見地から見れば、ただそう貸した貸金の回收ができたというだけでは何にもならない。貸金が回收された、その家が焼けた。そして住宅公庫がさらにその家にまた金を貸して建てるということになれば少しもふえて来ない。であるから、これは一般保險によつて、たとえば物価の値上りに対応して再建築ができる程度保險を勧奨するということであれば、その分だけは焼けても再建築ができて、そうして回收した金によつて住宅公庫はさらに別個に貸し得る、こういうことになりますが、もしこれを消極的に、たださしあたりの料金が安いのだからということで、再建築の保証ができないというようなことであつては、住宅の増設という政策の上において十分補われないということはありはせぬかと思うのであります。そういう点も十分考慮に入れて住宅公庫としては、この問題について十分のお考えをもつてつていただきたい。こういうふうに私は考えておるのであります。これ以上は意見でありまして、あまり申し上げることはありませんから、本日はこの程度にして私は打切つておきます。
  76. 前田榮之助

    前田(榮)委員 いろいろ御質問があつて、ほとんど盡きたようでありますが、最後の御質問を申し上げる。私の考えでは本日参考人に出てもらつてその意見を当委員会が聞くということは、国民の声を聞くということではない。国民の声を聞くということであるならば、これはただ保險業者の声を聞いたたけでは片手落ちなのでありまして、保險を付する住宅の使用者の意見も同時に聞かなければならぬ。ただ本日われわれが今から申し上げる点は、今度法律の中で自己保險をつくつてやろうとするそのことを専門家の立場からどう考えていらつしやるか、この点を聞くわけであります。それでそういう点におもに重点を置いてお答えを願いたいのでありますが、今保險会社の方では千円に対して五円七十銭、それから住宅金融公庫の方では三円ないし三円五十銭、こう踏んでおられます。もちろん保險業者立場と、現在の金融公庫立場とは性質が違うのでありまして、私はその率が不当であるとかどうとかということは今申し上げることは差控えたいと思います。ただ約二円幾らというものが住宅建設し、使用する者の立場に非常に利益になるということだけは、この数字が明確に示しておるのであります。問題はこういうことをやるという住宅金融公庫計画が、保險業者の長年の経験、専門的な知識から見て危險であるかどうか。こういうことをわれわれは聞きたいのであります。もちろん保險会社としては経費の点でたとえば勧誘する費用だとか、あるいはその他の営業費、または税金その他のいろいろなものがかかるので、そういう点住宅金融公庫の方は非常に有利になることは当然なのでありますが、問題は危險性の点であります。実際は私はいろいろな会社計算によつて、十分な資料を出していただきたかつたのでありますが、これはそういう用意ができなかつたということでありますので、そこまでお尋ねすることは控えたいと思いますが、鳥取ような大火災は何年に一ぺんかだと思います。そういうものもひつくるめて、今住宅金融公庫が経営をするのに対して、三円五十銭ではどういう点で危險なのか、こんなことをやつたのでは、住宅金融公庫は何らか赤字が出るとかあるいは将来困るだろう、こういう点をお教えいただきたい。こういう点を伺わないと、ほんとうにわれわれは、やはり二円幾らも国民住宅建設する人が利益を得る方法に反対して、現在出ておるところの法案の一部改正を修正するなどということは、国民の代表として非常にやりにくいのです。そういう点をできれば数字をあげて、あるいはいろいろな事情をはつきり示してやつてもらいたいのでありますが、かりに数字で示されないとしても、何かわれわれにぴんと来るようなところをお示しを願えれば非常に参考になると思うのであります。
  77. 葛西浩

    葛西参考人 ただいまの御質問簡單にお答えさしていただきたいと思います。先刻来同様の御趣旨の御質問がいろいろございまして、その答弁と重複する点があるかもしれませんが、今回の法案でお考えになつておる三円五十銭が妥当であるか、現在私どもが行りております五円七十銭見当が妥当であるかということは、いろいろ観点によつてつて参ります。この二十五年の十月、公庫業務発足以来、私ども契約をお引受けをいたしております過去の業績は、御指摘の通り非常に危險の程度は薄かつたという数字が現われておりますが、今回の鳥取大火によりまして、一躍その損害率がふえたということも御承知の通りの事実であります。鳥取ようなことは何年に一回しかないという御指摘でございましたが、これは必ずしもそうとのみ考えにくい点があるのではないかと思います。私ども保險に従事しております者の経験から申しますると、最近の一、二年の例を申しましても、秋田県の能代、それから昨年は熱海、それから明石、広島、伊勢の松阪、近くは神奈川県の小田原等におきましては一回に相当な数が焼失した例があります。また過去一年半の経過におきまして、住宅金融公庫貸付物件がまだ全国的に十分普及されていない現状におきましては、あるいは鳥取ような例はきわめてまれであるという御意見が立ちますが、漸次普及度が増しますにつきまして、やはり相当な地方都市におきましては、終戰後の、大火のありました場合には相当な数のものが罹災する可能性のあることは考えなければならぬと思います。われわれも現行料率から、大蔵当局の御了解も得て七分ないし一割程度引下げはあるいはできるのではないかと考えておりますが、この点は各保險会社ともよく協議をいたしまして、当局の御了解を得ませんと、どの程度まで現行料率を引下げるかという確答はこの際遠慮させていただきたいと思います。
  78. 前田榮之助

    前田(榮)委員 私は現在の保險会社料率を下げていただきたいということを申し上げておるのではないのでありまして、ただ現在われわれが審議しておるところの金融公庫自己保險に対する問題に対しあなた方の綿密な御批判をいただきたいということであります。今のお話ようなことではまだわれわれには納得が行かないのですが、どうも保險業者立場だけで御判断になつよう感じしかわれわれには受取れないのであります。しかしながらこれ以上ここでいろいろ御意見を申し上げたところできりのないことでありますから、その点はこのくらいにしておきます。  次に石井さんにお尋ね申し上げるわけでありますが、この東京都の三万戸の住宅に対して共済保險による災害補償をやつておるということでございますが、その負担率というものはどうなつおりますか、これがおわかりになつおりますればひとつお願いいたします。千円に対して幾らくらいですか。
  79. 石井桂

    石井参考人 それはこちらへ参るときに調べて参りませんでしたから覚えておりませんですが、一般保險会社における率よりもずつと低かつたということだけは記憶しております。
  80. 前田榮之助

    前田(榮)委員 今度は師岡さんにお尋ねいたしますが、今保險会社の方からは、三円ないし三円五十銭の率では危険である、専門家の長年の経験なりいろいろな研究立場から考えてこれは危險である、こう一応の断定をされたわけでありますが、それにもかかわらずこれは危險でないということをたびたび繰返しておる。万一鳥取ようなことが起つた場合においては翌年において調整をするからということでありますが、これに対するあなたの御意見はどうでありますか、これをお聞かせ願いたいと思います。
  81. 師岡健四郎

    ○師岡政府委員 千分の三・五という計算をしましたのは、これはたびたび申し上げておりますようにまだ試算の程度でありますが、大体これで行くというふうに考えております。その計算しました根拠というものは、大体昭和十七年より昭和二十六年までの全国の火災状況また風水害状況、災害全般の状況を見まして、その危險率から割出しておるわけでありまして、大数計算かたいたしまして、鳥取の場合その他のいろいろな災害もございますが、そういうものは十年間の平均によりましてすべて平均化されておるものと思います。
  82. 前田榮之助

    前田(榮)委員 大蔵省の保險課長にお尋ねするわけでありますが、今お聞きの通りに保險会社意見、それから住宅局長意見をいろいろ伺つたわけでありますが、保險課長は保險会社に対しては一つの監督の立場にあり、事情も十分御研究になつておると思うのであります。それで今住宅金融公庫の方で計画を立てられた三円五十銭の線は、一応御相談にあずかられたことがあるかどうかということが第一点。それから保險につきましては、会社と金融公庫とは立場が違うことは前に申し上げた通りでありますが、その率の違うことを不当だとかなんとかいうことを申し上げるのではないのでありまして、今住宅局長の言われたことに信用が置けるかどうかということについて、長年の監督の立場でまたそういうことを御研究なつ立場で御意見があれば、われわれが本案を議するのに非常に参考になることですから、聞かせてもらいたいと思います。
  83. 狩谷亨一

    狩谷説明員 第一の御質問の相談を受けたことがあるかというお話につきましては、三円ないし三円五十銭程度建設省の案であるということは私どもつておりますが、但しその問題は法律の問題ではございません。政令の問題に讓られている経過から考えましても、私どもとしては政令が制定されるときには、その料率の是正ということにつきまして、過去のいろいろの資料、統計等を十分見せていただきまして、それで行くならばそれでよろしいという程度考え方で現在来ております。大蔵省の保險課といたしまして、現在三円ないし三円五十銭が妥当であるという結論に達しておるわけではございません。  それから過去の経験から推してというお話でございますが、民営形態の場合と金融公庫の場合と本質的に違つている点は、先ほど葛西参考人からお話があつた通りでございます。いざという場合には公庫には繰越し欠損で処置する方法がございますが、民営会社にはその方法が絶対にないのでありまして、ここに非常に安全度を見ておかなければならないという一つの差異がございます。準備金のお話が先ほどからちらちら出ておりますが、責任準備金として積み立てますものは、普通の場合を考えますと正味収入保險料の約半分ということでもつてやるのが原則でございます。しかし民営会社でもつて健全な経営をやつて行こうというためには、少くとも正味収入保險料と同額ないしはそれ以上、すなわち最低線の倍またはそれ以上が必要であるということは保険に携わつている者の常識でございます。戰前におきましてはその線を越えております。戰後におきましては在外資産の切捨とか、補償の打切りとかさようなことになりまして保険会社はまる裸になつておりました。その後逐次資産内容はよくなつておりますが、本年度決算におきましてまだ確定しておりませんが、全社平均でせいぜい八〇%くらいにしかまだ行つていないのではないか。なお御参考までにこの点を申し上げますと、アメリカあたりの保險会社について申し上げますと、私どもで持つております資料といたしましては、正味収入保險料に対して責任準備金が三五%前後というようなものもあるわけでございます。少し御説明が脱線して恐縮でございますが、さよう意味におきまして、今日の日本保險会社の責任準備金は国際水準から行くとまだまだ勉強しなければならない状況であります。さような責任準備金をどのくらい積むか、あるいは責任準備金を積む根拠といたしましては、異常災害発生に備える点にあるのでありまして、そこで異常災害の見積りをいかにするかという点におきまして、それをある程度保險料の算定に織り込ませなければならない。また一般の全国的な住宅統計を基礎にしてとります場合には、平均化された数字が出て来る。しかし火災保險に現実に課せられるものについては、その間に逆選択が行われる余地がある。さような点も一般住宅統計をそのまま適用し得ないゆえんではないか、また火災保險公庫の過去一年半余りの経験をもつてしては、まだ戸数が少いという点において、大数法則をそのまま働かす余地が十分ないのではないかというような点で、この問題について三円五十銭が正しいかあるいは五円七十銭が正しいかという点は非常に判別の困難なゆえんがあるわけです。
  84. 前田榮之助

    前田(榮)委員 いろいろ御答弁をいただきまして、まことにありがとうございました。  最後に住宅局長お尋ねを申し上げておきたいのですが、今度の法案によつて自己保險をやられる場合の未償還分に対する保險ということは、これは住宅金融公庫の方から言いますと、これで十分なんです。ただこれは、たびたびここでもお話が出たように、未償還分だけでやつた場合においては、被保險者は次の建設をどうするかという問題が起るのでありまして、次の住宅建設できるようにしなければならなぬ。そういう点で何かこれらを救う方法についての御計画があるかどうか。この点お聞かせを願いたい。
  85. 師岡健四郎

    ○師岡政府委員 この災害補償制度におきましては、未償還額の分についてだけ考えておるわけであります。従いまして復興資金についての問題は、一般保險にまかせるわけであります。さような観点から、この災害補償制度によるものについては、多少とも考慮して行くという点を考えて立案されておるわけであります。
  86. 松本一郎

    松本委員長 各委員の御質問も終りましたが、参考人方々にはたいへん御迷惑でした。時間も遅れていますが、私からもお尋ねしたい点があります。先ほど狩谷説明員の御答弁で、支拂い保險金なきときは、繰越し欠損によつて見るということであつたようですが、そういうことになるのですか。もう一度このことをお尋ねしておきます。
  87. 狩谷亨一

    狩谷説明員 私が申しましたのは、あるいは表現が悪かりたかもしれませんが、公庫の場合で申しますと債務免除をいたしますことは、保險会社の場合で言いますと、保險金支拂いということと実質上同じことになると思います。保險金支拂いに関することは、公庫の場合債務免除で行くのでありますが、その間に赤字が生じた場合は、繰越し欠損でやるのだと私は了承しております。
  88. 松本一郎

    松本委員長 原案を提案された政府委員に一言尋ねておきますが、火災があつたときは、すみやかに支拂いをしなければならぬ。幸いに蓄積があればよろしいが、もし火災があつて支拂い準備金がないとき、何をもつてこれに支拂うか。その御用意、御準備等があつてこの法案を出されたのか。心構えを伺つておきたい。
  89. 師岡健四郎

    ○師岡政府委員 災害補償制度は、この二十二條の二にありまするように、災害によりまして住宅が滅失または毀損した場合に、その債務を免除するということでございまして、その場合に、ただちに普通の保險の場合に保險金支拂うという必要は全然ないわけでございます。
  90. 松本一郎

    松本委員長 よくわかりました。そのとき免除した損害は、余裕の保險料の蓄積があればよいが、もしないとき赤字はどこから補填するか、これを伺つておきます。
  91. 師岡健四郎

    ○師岡政府委員 それは先ほど御説明いたしましたように、繰越し欠損の形で処理いたします。
  92. 松本一郎

    松本委員長 その繰越し欠損はだれの負担になりますか。保險料を納めた保險契約者の追徴によつてまかなうのか、国民全体の負担によるのか、伺つておきます。
  93. 師岡健四郎

    ○師岡政府委員 もちろん公庫計算上の問題でありまして債務者または国民全体の負担になるというふうなことはございません。
  94. 松本一郎

    松本委員長 ただいまの師岡君の御答弁によると、債務者負担にならず、国民全体の負担にならずというのですが、その赤字が出たときの金額はどこから生み出すか、これを伺います。
  95. 師岡健四郎

    ○師岡政府委員 説明の言葉が足りなかつたかもしれませんが、債務免除に対応する分は、平素の災害補償料の積立てでまかなわれる次第でありまして、料率の定めが適正を得ておりますならば、全体の債務免除額がこの料率による災害補償料額をオーバーすることはないと考えております。
  96. 松本一郎

    松本委員長 御答弁によるデータによると、昭和十七年から二十六年という大体十箇年をとられておるようですが、先ほど葛西さんから述べられたことく、大火災が連続して発生しているというよう状態等を考えたとき、この災害補償法によつてあるいは赤字が相当出るのではないかと思いますが、同一の算定による危險率も見られて千分の三五というものができたのか、いま一度伺つておきたいと思います。
  97. 前田光嘉

    前田説明員 三円五十銭の基礎には異常災害準備金も見ております。一般保險会社がやつておりますところの異常災害準備金に非常に似ておりますが、ただいまお話ように、非常に異常災害が続発するということになりますと、場合によつてはこの三円五十銭の補償料を多少とも引上げねばならぬような時期が来るかもしれませんが、今のところわれわれの計算では大丈夫だろうと思います。
  98. 松本一郎

    松本委員長 公庫が経営者となつてこの保險事業をやることになります。従つてもし万一赤字が出た場合に、その支拂金がないというときには、これは政府がやる事業でありますから、一面政府が再保險事業をやるという建前をとらなければ安全とは言えないと考えますが、その再保險事業をやることについての心構えと準備とがあつてこの法案を出されたのか、それを伺つておきたいと思います。
  99. 前田光嘉

    前田説明員 公庫はその全額の資本金を政府が出資しておりますので、ないとは思いますが、相当多額の赤字が毎年出ます場合には、公庫資産が減少します。そうした場合、公庫の新規の貸付がある程度減るかもしれませんが、その場合には、政府からまた別の資本金が出ますので、事実上政府が再保險をしたと同じような形になるものだろうと考えております。
  100. 松本一郎

    松本委員長 しからばその住宅建設に用意すべき準備金を再保險に充当することによつて、あらためて政府が再保險をする必要はないということになれば、それだけ住宅建設にひびが入ることになると思いますがいかがでしようか。
  101. 前田光嘉

    前田説明員 その問題は現在考えておりますところの三円五十銭の料率が必ず赤字になることを全然考えておりませんので、これならば十分補つて余りあると考えております。たといあつてもそれは、ごくわずかなものでありまして、住宅建設を非常に少くするという程度には決して参らないと考えております。
  102. 松本一郎

    松本委員長 参考に少しく意見を申してさらにお伺いしておきますが、災害補償法は、農業に関しては昭和二十二年米麦、蚕繭、家畜、そうして任意共済は一昨年から施行され、建物共済をやつて、私もその衝に当り、当事者として建物共済には相当力を入れておりますが、昨年ルース台風が九州一帶を襲つたとき、鹿兒島県、宮崎県におきましては大被害を受けた。その支拂準備金がなくて、結局農林中金から、各県連合会を初め理事が私有財産まで担保に入れて融資を受けて支拂つたというようなことで、それ以来政府の再保險なくしては料率の安い、任意共済の建物共済ができないということで、先般来災害補償改正で農林委員会で連日審議されておりました。結論が出ないで将来に持ち越されてしまつたのでありますが、農業組合なり国、公共団体が保險事業をやりますと、往々にして問題になるのはこの点です。そこで伺つておきたいと思うのは、たとえば全焼した場合は問題は比較的ないのでありますが、類焼して半分焼けたとか、三分の一焼けたとかいうような場合に、民間会社ならば、会社の信用と今後の保險加入の障害等を考えて、被害者にその支拂いをしておる。しかし組合や公営でやりますと、そういう場合には赤字を恐れるあまり、ついその査定に嚴格をきわめ、しかもその支拂いは半年、一年後になるという例がしばしばある。現在農災法による保險も米麦は半年たたなければ保險金支拂いません。家畜も同様です。ひどいものは一年も先になつて来る。任意共済は被害が多いとその支拂いは三月も半年もあとになつて来る。従つてこういう制度を設けられても、民間会社ように迅速に支拂いをされ、かつまた被害者の納得の行く支拂いをされる御意思があるかどうか、伺つておきたいと思います。
  103. 師岡健四郎

    ○師岡政府委員 この点法律による実務の点につましては、前に公庫総裁からのお話があつたわけでありますが、制度創設の初めにおきましては、多少能率は落ちるだろうと思いますが、研鑚これ努めれば、多少の程度の差はありますが、能率の発揮ができようかと思つております。
  104. 淺利三朗

    ○淺利委員 先刻住宅政策の見地から概括的に申したのですが、この補償金で免除にはなりますが、そうすると借金は済んだが新たに家が建たぬ。そこで別個にまた保險会社に自分の財産をかけるということになると、そのときは三割なり四割の割引の特典がないということで、被保險者が一方に利益を受け、一方に利益を受けない。それで債務の償還さえできればあとはかけたいでおくかというと、今度は家を建てられぬということになる。その際は住宅公庫では優先的に再びそれに貸すという御方針をとられるかどうか、お伺いしておきたいと思います。
  105. 師岡健四郎

    ○師岡政府委員 復興資金につきましては、従来の公庫の実際の貸付といたしましては、相当めんどうを見てやつておるのでありまして、この災害補償制度のみで考える必要はないと考えております。
  106. 淺利三朗

    ○淺利委員 今申し上げたような場合、もう一つ特別の事情として、住宅公庫はそういうものに優先的に貸すかどうか。公庫総裁の御方針を承つておきたい。
  107. 鈴木敬一

    鈴木説明員 特に優先的に考えるつもりは今のところございません。
  108. 松本一郎

    松本委員長 それでは本日はこの程度で散会いたします。  参考人方々にはたいへん御多忙中を遅くまで御苦労でございました。     午後五時三十八分散会