○淺利
委員 ただいま御
指摘の住宅政策の根本問題については、まことに同感であります。今のような住宅不足の際であるからこそ、こういう不正業者が跋扈する、また住宅にあこがれておる人々が、ややもすればその甘言に乘
つてあざむかれるというような事実があるのであります。それを撲滅するためにこういう
規定を設けるのでありまして、この罰則の重い、軽いということは、そのときの社会情勢によ
つてきまるものと思うのであります。ここに
規定しておりまするのも、たとえば登録をしないで、もぐりで
仕事をするというようなものは、これは強く罰しましても、正当なる業者は何ら影響を受けないのであります。もしこういう罰が軽ければ、たくさんのもうけをするならば、一ぺんや二ぺん見つか
つて罰を受けてもかまわぬ。今の米のやみ取引をする者が、三べんに一ぺん、四へんに一ぺん検挙されても、その他の場合に
利益を上げれば、そこで採算がとれるというような事情でありますから、こういう場合においては、やはり社会情勢によ
つて罰則というものは考うべきものと思うのであります。現在の各法令における罰則というものは非常に区々であります。これはいずれもその
法律制定の当時の情勢に照して罰則の
程度はきめておるのであります。でありまするから、たとえば
日本銀行の総裁が
日本銀行法の四十
八條によ
つて違反行為をした場合には、五千円以下の過料に処するというような
規定があります。これはずつと古い
規定であ
つて、その当時の五千円というものは相当効果があ
つたのでありますが、今日の経済事情から見れば、
日本銀行の総裁が、五千円やそこらの過料をとられた
つて、何ら痛痒を感じない。罰則の本旨は、ただ名誉的にこれを律するだけである。この過料によ
つて何らの制裁にはならぬというような今日の実情であります。しかしこれは過去の
法律が今日までその罰則
規定を
現実に即するように
改正しておらぬ、そのままにな
つておるのでありますから、各
法律の罰則は、その制定の時期によ
つて非常に区々であります。今日の経済状態、貨幣価値の下つた現状におきましては、この
程度の罰則でなければ制裁にはならぬ、こういう見地からこの
規定は設けたのであります。しかしながら、これは最高限を
規定しております。その罰に触れるところの人々の実際の行為の軽重なり、あるいは情状によ
つて適正な科刑が行われる、こういうことになるのでありまして、ただこの
法律は一番新しくて、現在の社会情勢、経済情勢の上からこの
程度のものが適当である、こういうふうに
考えたのであります。これは最近の法制局あたりの意見も、もし今後新しく制定する
法律であるならば、この
程度のものは普通であろうということの打合せもいたしておるのでありまして、むしろこの
法律の罰則の重いということよりも、現在における各種罰則の是正ということが先決問題ではないかということまで
考えられるのであります。